JP2013228370A - 測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法 - Google Patents

測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法 Download PDF

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Abstract

【課題】測色対象の被写体から安定した画像データを取得して精度のよい測色を行うことができる測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法を提供する。
【解決手段】被写体であるパターン画像を撮像することで得られる画像から、測色制御部50の検出部532が、パターン画像の2点間の距離を検出する。そして、撮像部42の出力補正部452が、検出部532により検出された2点間の距離と基準距離との割合に応じた補正率で、パターン画像に含まれる測色対象パッチの画像データを補正する。測色制御部50の測色値算出部531は、出力補正部452で補正された測色対象パッチの画像データに基づいて、測色対象パッチの測色値を算出する。
【選択図】図8

Description

本発明は、測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法に関する。
プリンタなどの画像形成装置では、機器固有の特性による出力のばらつきを抑制して入力に対する出力の再現性を高めるために、カラーマネジメントと呼ばれる処理が行われる。カラーマネジメントは、たとえば以下の手法で行われる。まず、基準色の色票(パッチ)の画像を画像形成装置により実際に出力し(以下、画像形成装置が画像として出力したパッチを「測色対象パッチ」という。)、この測色対象パッチを測色装置により測色する。そして、測色した測色対象パッチの測色値と、対応する基準色の標準色空間における表色値との差分に基づいて色変換パラメータを生成し、この色変換パラメータを画像形成装置に設定する。その後、画像形成装置は、入力した画像データに応じた画像を出力する際に、設定した色変換パラメータに基づいて、入力した画像データに対して色変換を行い、色変換を行った後の画像データに基づいて画像を出力する。これにより、画像形成装置は、機器固有の特性による出力のばらつきが抑制された再現性の高い画像出力を行うことができる。
以上のようなカラーマネジメントにおいて、測色対象パッチを測色する測色装置としては、分光測色器が広く用いられている。分光測色器は、波長ごとの分光反射率が得られるため高精度の測色を行うことができる。しかしながら、分光測色器は高価な装置であるため、より安価な装置を用いて高精度の測色を行えるようにすることが要望されている。
測色を安価に実現する方法の一例として、イメージセンサを備える撮像装置により測色対象を被写体として撮像し、撮像により得られる被写体のRGB値を標準色空間における表色値に変換することが挙げられる。たとえば、特許文献1には、測色対象となる被写体の近くに被写体の比較対象となる基準色票を置き、被写体と基準色票とをカラービデオカメラにより同時に撮像して、撮像により得られる基準色票のRGBデータを用いて被写体のRGBデータを補正した上で、被写体のRGBデータを標準色空間における表色値に変換するという技術が記載されている。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、被写体と光源とカラービデオカメラとの位置関係を保つことが難しく、撮像のたびに撮像条件が変動してしまって、測色対象の被写体から安定した画像データを得ることができない虞がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、測色対象の被写体から安定した画像データを取得して精度のよい測色を行うことができる測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、筐体と、前記筐体に保持され、領域を撮像するセンサ部と、前記筐体に保持され、前記領域を照明する照明光源と、前記センサ部が前記領域を撮像して得た画像データから、所定の2点間の距離を検出する検出部と、検出された前記2点間の距離と基準距離との割合に応じて、測色対象の被写体を含む前記画像データを補正する補正部と、補正された前記画像データに基づいて、前記被写体の測色値を算出する算出部と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、測色対象の被写体から安定した画像データを取得して精度のよい測色を行うことができるという効果を奏する。
図1は、画像形成装置の内部を透視して示す斜視図である。 図2は、画像形成装置の内部の機械的構成を示す上面図である。 図3は、キャリッジを昇降させる昇降機構の一例を説明する図である。 図4は、キャリッジに搭載される記録ヘッドの配置例を説明する図である。 図5−1は、撮像部の縦断面図(図5−2中のX1−X1線断面図)である。 図5−2は、撮像部の内部を透視して示す上面図である。 図5−3は、筐体の底面部を図5−1中のX2方向から見た平面図である。 図6は、基準チャートの具体例を示す図である。 図7は、画像形成装置の制御機構の概略構成を示すブロック図である。 図8は、測色装置の制御機構の一構成例を示すブロック図である。 図9は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。 図10は、初期基準RGB値の一例を示す図である。 図11は、測色処理の概要を説明する図である。 図12は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。 図13は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。 図14は、基本測色処理を説明する図である。 図15は、基本測色処理を説明する図である。 図16は、間隙dの変化に伴う光路長の変化と画像における被写体の位置の変化をモデル化した図である。 図17は、画像形成装置が記録媒体上に形成するパターン画像の一例を示す図である。 図18は、図17に示すパターン画像を撮像部で撮像することにより得られる画像を示す図である。 図19は、図18に示す外枠の画像における右上角部の点(p1,p1’)および右下角部の点(p2,p2’)を抜き出した図である。 図20は、間隙変化量とセンサ出力との関係を表す図である。 図21は、間隙変化量と補正前のセンサ出力と出力補正後の値との関係の一例を示す図である。 図22は、プラテン板の表面形状と記録媒体に形成されたパターン画像の外枠の形状歪みを説明する図である。 図23は、外枠の形状歪みのパターンを示す図である。 図24は、パターン画像の形状歪みの有無に応じて測色対象パッチの測色を行うか否かを判定する一連の処理の流れを示すフローチャートである。 図25は、判定部がパターン画像の形状歪みの歪みパターンの判定も行う場合の一連の処理の流れを示すフローチャートである。 図26は、検出部が検出する2点間の距離を用いて間隙dを調整する一連の処理の流れを示すフローチャートである。 図27は、検出部が検出する2点間の距離を用いて間隙dを調整する一連の処理の流れを示すフローチャートである。 図28は、第1変形例の撮像部の縦断面図である。 図29は、第2変形例の撮像部の縦断面図である。 図30は、第3変形例の撮像部の縦断面図である。 図31は、第4変形例の撮像部の縦断面図である。 図32−1は、第5変形例の撮像部の縦断面図である。 図32−2は、第5変形例の撮像部における筐体の底面部を図32−1中のX3方向から見た平面図である。 図33は、第6変形例の撮像部の縦断面図である。 図34は、測色システムの概略構成を示す図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る測色装置、画像形成装置、測色システムおよび測色方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタを例示するが、本発明は、記録媒体に画像を出力する様々なタイプの画像形成装置に対して広く適用可能である。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図4を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5を昇降させる昇降機構の一例を説明する図、図4は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動して、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体Pに対して画像を形成するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッド6y、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッド6m、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッド6c、およびブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッド6k(以下、記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。)が搭載されている。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体P側)に向くように、キャリッジ5に搭載されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、たとえば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ41がエンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構21を備える。維持機構21は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン板22が設けられている。プラテン板22は、記録ヘッド6から記録媒体P上にインクを吐出する際に、記録媒体Pを支持するためのものである。本実施形態に係る画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン板22は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体Pは、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン板22上を、副走査方向に間欠的に搬送される。また、記録媒体Pは、副走査方向への搬送が停止されている間は、プラテン板22の裏面(記録媒体Pが載置される面とは逆の面)側に設けられた吸引ファンの吸引により、プラテン板22上に保持される。
記録媒体Pとして、はがきなどの厚手の用紙やコート紙などのカールの強い用紙、あるいはマットフィルムのような表面にざらつきのある用紙を用いる場合は、記録媒体Pとキャリッジ5との間の距離を、一般的な普通紙を用いる場合と同等にすると、記録媒体Pが記録ヘッド6と接触して記録ヘッド6の破損に繋がる虞がある。そこで、画像形成装置100は、キャリッジ5を昇降させる昇降機構を備えており、厚手の用紙やコート紙、マットフィルムなどを記録媒体Pとして用いる場合に、記録媒体Pとキャリッジ5との間の距離を大きく取ることができるようにしている。なお、キャリッジ5の昇降とは、記録媒体Pに対して近接離間する方向へのキャリッジ5の移動をいう。
昇降機構は、たとえば図3に示すように、キャリッジ昇降モータ30の駆動により偏心カム31を変位させてキャリッジ5を昇降させる構成である。すなわち、キャリッジ昇降モータ30の回転により、キャリッジ昇降モータ30の回転軸に取り付けられたギア30aが偏心カム31の軸31aを回転させる。軸31aは偏心カム31の中心から変位した位置に設けられているため、軸31aが回転すると偏心カム31が変位する。キャリッジ5は、偏心カム31に当接しているため、偏心カム31の変位に伴って図中矢印で示す方向に昇降する。なお、図3に示す昇降機構はあくまで一例であり、キャリッジ5を昇降できる機能であればどのような構成であってもよい。
記録ヘッド6は、複数のノズル列を備えており、プラテン板22上を搬送される記録媒体P上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体Pに画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で記録媒体Pに形成できる画像の幅を多く確保するため、図4に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図4に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図4に示す配列に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体Pを副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体Pの副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン板22上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を形成する。
特に、画像形成装置100の色再現特性を調整するための色調整時には、記録媒体Pにインクを吐出して測色対象パッチCPを形成する。測色対象パッチCPは、基準色のパッチを画像形成装置100が実際に出力することで得られる画像であり、画像形成装置100の出力特性を反映している。したがって、測色対象パッチCPの測色値に基づいて色変換パラメータを生成し、この色変換パラメータを用いて色変換を行った後の画像データに基づいて画像を出力することで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、測色対象パッチCPを測色するための測色装置を備える。測色装置は、被写体を後述する基準チャートKCとともに撮像する撮像部42を備える。撮像部42は、図2および図3に示すように、キャリッジ5に対して固定されて設けられ、キャリッジ5と一体となって主走査方向に往復移動する。また、昇降機構によりキャリッジ5が昇降すると、キャリッジ5の昇降に伴って撮像部42も昇降する。撮像部42には、当該撮像部42が撮像を行う際の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる基準チャートKCが一体に設けられている。そして、撮像部42は、キャリッジ5の移動に伴って被写体と対向する位置に移動した状態で、被写体と基準チャートKCとを同時に撮像する。なお、ここでの同時に撮像とは、被写体と基準チャートKCとを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、1フレーム内に被写体と基準チャートKCとを含む画像データを取得すれば、被写体と基準チャートKCとを同時に撮像したことになる。
画像形成装置100の色調整時には、測色対象パッチCPが形成された記録媒体Pがプラテン板22上にセットされる。そして、副走査モータによる調整シートCSの搬送およびキャリッジ5の移動により、撮像部42を測色対象パッチCPと対向する位置に移動させる。この状態で、撮像部42が、測色対象パッチCPと基準チャートKCとを同時に撮像する。測色装置は、撮像部42が測色対象パッチCPを被写体として撮像を行うことで得られる測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データを用いて、後述する方法によって測色対象パッチCPの測色値を算出する。
<撮像部の具体例>
次に、図5−1乃至図5−3を参照しながら、撮像部42の具体例について詳細に説明する。図5−1乃至図5−3は、撮像部42の具体例を示す図であり、図5−1は、撮像部42の縦断面図(図5−2中のX1−X1線断面図)、図5−2は、撮像部42の内部を透視して示す上面図、図5−3は、筐体の底面部を図5−1中のX2方向から見た平面図である。
撮像部42は、枠体422と基板423とを組み合わせて構成された筐体421を備える。枠体422は、筐体421の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板423は、枠体422の開放端を閉塞して筐体421の上面を構成するように、締結部材424によって枠体422に締結され、枠体422と一体化されている。
筐体421は、その底面部421aが所定の間隙dを介してプラテン板22上の記録媒体Pと対向するように、キャリッジ5に固定される。記録媒体Pと対向する筐体421の底面部421aには、記録媒体Pに形成された被写体(色調整では測色対象パッチCP)を筐体421の内部から撮影可能にするための開口部425が設けられている。
筐体421の内部には、筐体421の内部と外部に亘る所定範囲の領域を撮像するセンサユニット(センサ部)430が設けられている。センサユニット430は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサ431と、センサユニット430の撮像範囲の光学像を2次元イメージセンサ431のセンサ面に結像する結像レンズ432とを備える。2次元イメージセンサ431は、センサ面が筐体421の底面部421a側に向くように、たとえば、基板423の内面(部品実装面)に実装されている。結像レンズ432は、その光学特性に応じて定められる位置関係を保つように2次元イメージセンサ431に対して位置決めされた状態で固定されている。
筐体421の底面部421aのセンサユニット430と対向する内面側には、底面部421aに設けられた開口部425と隣り合うようにして、基準チャートKCが形成されたチャート板410が配置されている。チャート板410は、たとえば、基準チャートKCが形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。基準チャートKCは、センサユニット430により被写体(測色対象パッチCP)とともに撮像されるものである。つまり、センサユニット430は、筐体421の底面421aに設けられた開口部425を介して筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)を撮像すると同時に、筐体421の底面421aの内面側に配置されたチャート板410上の基準チャートKCを撮像する。なお、基準チャートKCの詳細については後述する。
また、筐体421の内部には、光路長変更部材440が配置されている。光路長変更部材440は、光を透過する屈折率n(nは任意の数)の光学素子である。光路長変更部材440は、筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)とセンサユニット430との間の光路中に配置され、被写体(測色対象パッチCP)の光学像の結像面を基準チャートKCの光学像の結像面に近づける機能を持つ。つまり、本実施形態の撮像部42では、被写体(測色対象パッチCP)とセンサユニット430との間の光路中に光路長変更部材440を配置することによって、筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)の光学像の結像面と、筐体421の内部の基準チャートKCの結像面とを、ともにセンサユニット430の2次元イメージセンサ431のセンサ面に合わせるようにしている。なお、図5−1では、光路長変更部材440を筐体421の底面部421a上に載置した例を図示しているが、光路長変更部材440は必ずしも底面部421a上に載置する必要はなく、筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)とセンサユニット430との間の光路中に配置されていればよい。
光路長変更部材440を光が通過すると、光路長変更部材440の屈折率nに応じて光路長が延び、画像が浮き上がって見える。画像の浮上がり量Cは、光路長変更部材440の光軸方向の長さをLpとすると、以下の式で求めることができる。
C=Lp(1−1/n)
また、センサユニット430の結像レンズ432の主点と基準チャートKCとの間の距離をLcとすると、結像レンズ432の主点と光路長変更部材440を透過する光学像の前側焦点面(撮像面)との間の距離Lは、以下の式で求めることができる。
L=Lc+Lp(1−1/n)
ここで、光路長変更部材440の屈折率nを1.5とした場合、L=Lc+Lp(1/3)となり、光路長変更部材440を透過する光学像の光路長を光路長変更部材440の光軸方向の長さLpの約1/3だけ長くすることができる。この場合、例えばLp=9[mm]とすれば、L=Lc+3[mm]となるので、センサユニット430から基準チャートKCまでの距離と被写体(測色対象パッチCP)までの距離との差が3mmとなる状態で撮像すれば、基準チャートKCの光学像の後側焦点面(結像面)と、被写体(測色対象パッチCP)の光学像の後側焦点面(結像面)とを、ともにセンサユニット430の2次元イメージセンサ431のセンサ面に合わせることができる。
また、筐体421の内部には、センサユニット430が被写体(測色対象パッチCP)と基準チャートKCとを同時に撮像する際に、センサユニット430の撮像範囲となる領域、つまり、被写体(測色対象パッチCP)および基準チャートKCを含む領域を照明する照明光源426が設けられている。照明光源426としては、たとえばLEDが用いられる。本実施形態においては、照明光源426として2つのLEDを用いる。照明光源426として用いるこれら2つのLEDは、たとえば、センサユニット430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装される。ただし、照明光源426は、被写体(測色対象パッチCP)と基準チャートKCとを照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板423に直接実装されていなくてもよい。
また、本実施形態では、図5−2に示すように、照明光源426として用いる2つのLEDを基板423側から筐体421の底面部421a側に垂直に見下ろしたときの底面部421a上の投影位置が、開口部425と基準チャートKCとの間の領域内となり、且つ、センサユニット430を中心として対称となる位置となるように、これら2つのLEDが配置されている。換言すると、照明光源426として用いる2つのLEDを結ぶ線がセンサユニット430の結像レンズ432の中心を通り、且つ、この2つのLEDを結ぶ線に対して線対称となる位置に、筐体421の底面部421aに設けられた開口部425と基準チャートKCとが配置される。照明光源426として用いる2つのLEDをこのように配置することにより、被写体(測色対象パッチCP)と基準チャートKCとを、概ね同一の条件にて照明することができる。
なお、本実施形態では、照明光源426としてLEDを用いているが、光源の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを照明光源426として用いるようにしてもよい。有機ELを照明光源426として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
ところで、筐体421の内部に配置された基準チャートKCと同一の照明条件により筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)を照明するには、センサユニット430による撮像時に外光が被写体(測色対象パッチCP)に当たらないようにして、照明光源426からの照明光のみで被写体(測色対象パッチCP)を照明する必要がある。被写体(測色対象パッチCP)に外光が当たらないようにするには、筐体421の底面部421aと記録媒体Pとの間の間隙dを小さくし、被写体(測色対象パッチCP)に向かう外光が筐体421によって遮られるようにすることが有効である。ただし、筐体421の底面部421aと記録媒体Pとの間の間隙dを小さくしすぎると、記録媒体Pが筐体421の底面部421aに接触してしまい、画像の撮像を適切に行えなくなる虞がある。そこで、筐体421の底面部421aと記録媒体Pとの間の間隙dは、記録媒体Pの平面性を考慮して、記録媒体Pが筐体421の底面部421aに接触しない範囲で小さな値に設定することが望ましい。たとえば、筐体421の底面部421aと記録媒体Pとの間の間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、記録媒体Pが筐体421の底面部421aに接触することなく、記録媒体Pに形成された被写体(測色対象パッチCP)に外光が当たることを有効に防止できる。
なお、照明光源426からの照明光を被写体(測色対象パッチCP)に適切に照射するには、筐体421の底面部421aに設けた開口部425の大きさを被写体(測色対象パッチCP)よりも大きくし、開口部425の端縁で照明光が遮られることで生じる影が被写体(測色対象パッチCP)に映り込まないようにすることが望ましい。
<基準チャートの具体例>
次に、図6を参照しながら、撮像部42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上の基準チャートKCについて詳細に説明する。図6は、基準チャートKCの具体例を示す図である。
図6に示す基準チャートKCは、測色用のパッチを配列した測色用の複数の基準パッチ列Pa〜Pd、ドット径計測用パターン列Pe、距離計測用ラインlkおよびチャート位置特定用マーカmkを有する。
基準パッチ列Pa〜Pdは、YMCの1次色のパッチを階調順に配列したパッチ列Paと、RGBの2次色のパッチを階調順に配列したパッチ列Pbと、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)Pcと、3次色のパッチを配列したパッチ列Pdと、を含む。ドット径計測用パターン列Peは、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ラインlkは、複数の基準パッチ列Pa〜Pdやドット径計測用パターン列Peを囲む矩形の枠線として形成されている。チャート位置特定用マーカmkは、距離計測用ラインlkの四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカである。撮像部42の撮像により得られる基準チャートKCの画像データから、距離計測用ラインlkとその四隅のチャート位置特定用マーカmkを特定することで、基準チャートKCの位置及び各パターンの位置を特定することができる。
測色用の基準パッチ列Pa〜Pdを構成する各パッチは、撮像部42が撮像を行う際の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。
なお、基準チャートKCに配置されている測色用の基準パッチ列Pa〜Pdの構成は、図6に示す配置例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を用いることができる。例えば、可能な限り色範囲を広く特定することのできるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色のパッチ列Paや、グレースケールのパッチ列Pcは、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、基準チャートKCのRGBの2次色のパッチ列Pbは、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、JapanColor等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列Pa〜Pdを有する基準チャートKCを用いているが、基準チャートKCは、必ずしもこのような基準パッチ列Pa〜Pdを有する形態でなくてもよい。基準チャートKCは、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
基準チャートKCは、撮像部42の筐体421の底面部421aに、開口部425と隣り合うように配置されているため、センサユニット430によって測色対象パッチCPなどの被写体と同時に撮像することができる。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図7を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図7は、画像形成装置100の制御機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構は、上位CPU107、ROM118、RAM119、主走査ドライバ109、記録ヘッドドライバ111、測色制御部50、紙搬送部112、副走査ドライバ113、記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および撮像部42を備える。記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および撮像部42は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
上位CPU107は、記録媒体Pに形成する画像のデータや駆動制御信号(パルス信号)を各ドライバに供給し、画像形成装置100の全体の制御を司る。具体的には、上位CPU107は、主走査ドライバ109を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。また、上位CPU107は、記録ヘッドドライバ111を介して、記録ヘッド6によるインクの吐出タイミングを制御する。また、上位CPU107は、副走査ドライバ113を介して、搬送ローラや副走査モータを含む紙搬送部112の駆動を制御する。
エンコーダセンサ41は、エンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値を上位CPU107に出力する。上位CPU107は、エンコーダセンサ41からのエンコーダ値を基に、主走査ドライバ109を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。
撮像部42は、上述したように、記録媒体Pに形成された測色対象パッチCPの測色時に、測色対象パッチCPと筐体421の内部に配置されたチャート板410上の基準チャートKCとをセンサユニット430で同時に撮像し、測色対象パッチCPおよび基準チャートKCを含む画像データを測色制御部50に出力する。
測色制御部50は、撮像部42の動作を制御するとともに、撮像部42から画像データを取得する。画像形成装置100の色調整を行う調整時においては、測色制御部50は、撮像部42から測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データを取得し、取得した画像データに基づいて、測色対象パッチCPの測色値(標準色空間における表色値であり、例えばCIELAB(CIE 1976 L)色空間におけるL値)を算出する。なお、以下では説明の便宜のため、「L」を単に「Lab」と表記する。測色制御部50が算出した測色対象パッチCPの測色値は、上位CPU107に送られ、画像形成装置100の色調整に用いられる。測色制御部50は、撮像部42とともに、測色装置を構成している。
また、測色制御部50は、撮像部42に対して各種設定信号やタイミング信号、光源駆動信号などを供給し、撮像部42による画像の撮像を制御する。各種設定信号は、センサユニット430の動作モードを設定する信号や、シャッタスピード、AGCのゲインなどの撮像条件を設定する信号を含む。これら設定信号は、測色制御部50が上位CPU107から取得して、撮像部42に供給する。また、タイミング信号は、センサユニット430による撮像のタイミングを制御する信号であり、光源駆動信号は、センサユニット430の撮像範囲を照明する照明光源426の駆動を制御する信号である。これらタイミング信号および光源駆動信号は、測色制御部50が生成して、撮像部42に供給する。
なお、本実施形態では、測色制御部50を撮像部42とは別個の構成としているが、測色制御部50を撮像部42と一体の構成としてもよい。例えば、撮像部42の基板423に、測色制御部50として機能する制御回路を実装するようにしてもよい。この構成の場合、上位CPU107による制御のもとで動作する撮像部42自体が、本実施形態に係る測色装置となる。
ROM118は、たとえば、上位CPU107で実行する処理手順等のプログラムや各種制御データなどを格納する。RAM119は、上位CPU107のワーキングメモリとして利用される。
<測色装置の制御機構の構成>
次に、図8を参照しながら、測色装置の制御機構について具体的に説明する。図8は、測色装置の制御機構の一構成例を示すブロック図である。
測色装置は、撮像部42と測色制御部50とを備える。撮像部42は、上述したセンサユニット430と照明光源426とに加え、さらに、画像処理部45と、インターフェース部46と、を備える。なお、撮像部42は、上述したように、キャリッジ昇降モータ30の駆動により、キャリッジ5とともに記録媒体Pに対して近接離間する方向に移動(昇降)する構成であるため、図8では撮像部42を駆動するためのキャリッジ昇降モータ30のブロックも図示している。また、撮像部42が撮像する被写体が形成された記録媒体Pは、上述したように、吸引ファン35の吸引によりプラテン板22上に保持される。図8では、記録媒体Pをプラテン板22上に保持する吸引ファン35のブロックも図示している。
画像処理部45は、センサユニット430により撮像した画像データを処理するものであり、AD変換部451、出力補正部452、シェーディング補正部453、ホワイトバランス補正部454、γ補正部455、および画像フォーマット変換部456を備える。なお、本実施形態では、画像処理部45をセンサユニット430とは別個の構成としているが、センサユニット430の2次元イメージセンサ431に画像処理部45の機能を持たせるようにしてもよい。
AD変換部451は、センサユニット430が出力する画像のアナログ信号をAD変換する。
出力補正部452は、AD変換部451によりAD変換された被写体および基準チャートKCの画像データのうち、測色対象領域である測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を、後述の測色制御部50において算出される補正率で補正する。すなわち、出力補正部452は、撮像部42の筐体421の底面部421aと記録媒体Pとの間の間隙dの変化によって生じる反射光強度の変化分を相殺するように、測色対象領域である測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正する。なお、補正率の算出方法については、詳細を後述する。
シェーディング補正部453は、センサユニット430の撮像範囲に対する照明光源426からの照明の照度ムラに起因する画像データの誤差を補正する。
ホワイトバランス補正部454は、画像データのホワイトバランスを補正する。
γ補正部455は、センサユニット430の感度のリニアリティを補償するように画像データを補正する。
画像フォーマット変換部456は、画像データを任意のフォーマットに変換する。
なお、上記の出力補正部452による測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)の補正は、シェーディング補正部453によるシェーディング補正が行われる前に実施してもよいし、シェーディング補正が行われた後に実施してもよい。また、出力補正部452の機能を後述の測色制御部50の演算部53に持たせ、測色制御部50の演算部53において実施することもできる。
インターフェース部46は、測色制御部50から送られた各種設定信号、タイミング信号および光源駆動信号を撮像部42が取得し、また、撮像部42から測色制御部50へ画像データを送るためのインターフェースである。
測色制御部50は、フレームメモリ51と、間隙調整部52と、演算部53と、タイミング信号発生部54と、光源駆動制御部55と、不揮発性メモリ56と、吸引量調整部57と、を備える。
フレームメモリ51は、撮像部42から送られた画像データを一時的に記憶するメモリである。フレームメモリ51に一時的に記憶された画像データは、演算部53に送られる。なお、測色制御部50には撮像部42から1フレームを構成する画像データが所定のフレーム周期で随時送られる。フレームメモリ51は、撮像部42から測色制御部50に対して新たなフレームの画像データが送られるたびに、記憶するフレームの画像データを更新する。
間隙調整部52は、キャリッジ昇降モータ30を駆動するためのモータ駆動信号を生成して、キャリッジ昇降モータ30に供給する。間隙調整部52が生成したモータ駆動信号に基づいてキャリッジ昇降モータ30が動作することで、キャリッジ5および当該キャリッジ5に固定して設けられた撮像部42が昇降し、記録媒体Pとの間の間隙dが調整される。キャリッジ昇降モータ30は、センサユニット430の光軸方向で、記録媒体Pに対する撮像部42の位置を調整する。
タイミング信号発生部54は、撮像部42のセンサユニット430による撮像のタイミングを制御するタイミング信号を発生して、撮像部42に供給する。
光源駆動制御部55は、撮像部42の照明光源426を駆動するための光源駆動信号を生成して、撮像部42に供給する。
吸引量調整部57は、吸引ファン35を駆動するためのファン駆動信号を生成して、吸引ファン35に供給する。吸引量調整部57は、記録媒体Pをプラテン板22上に保持するための吸引量が所望の値になるようにファン駆動信号を生成し、吸引ファン35の吸引量を調整する。
間隙調整部52、タイミング信号発生部54、光源駆動制御部55、および吸引量調整部57は、たとえば上位CPU107による制御のもとで、上記の動作を実行する。また、間隙調整部52および吸引量調整部57は、目標とするキャリッジ5の昇降量や吸引ファン35の吸引量についての情報が不揮発性メモリ56に格納されている場合、この不揮発性メモリ56に格納されている情報に基づいて、上記の動作を実行することができる。
演算部53は、フレームメモリ51に格納された画像データと不揮発性メモリ56に格納された各種情報を用いて各種の演算を実行する。演算部53は、機能的な構成要素として、測色値算出部531と、検出部532と、補正率算出部533と、判定部534と、決定部535と、を備える。
測色値算出部531は、撮像部42の撮像によって得られた測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データに基づいて、測色対象パッチCPの測色値を算出する。測色値算出部531が算出した測色対象パッチCPの測色値は、上位CPU107へと送られる。なお、測色値算出部531の機能を上位CPU107に持たせ、上位CPU107において測色対象パッチCPの測色値の算出を行うようにしてもよい。なお、測色値算出部531による処理の具体例については、詳細を後述する。
検出部532、補正率算出部533、判定部534、および決定部535は、たとえば、測色対象パッチCを含むパターン画像200(図17参照)を対象とした幾何学的演算により、間隙dの変化や記録媒体Pの変位による測色不良を抑制するための各種処理を実行する。
検出部532は、センサユニット430による撮像により得られた画像データから、所定の2点間の距離を検出する。具体的には、検出部532は、たとえば、記録媒体Pに形成された測色対象パッチCを含むパターン画像200の撮像により得られた画像から、距離計測の対象として予め定められたパターン画像200の2点の位置を求め、これら2点間の距離を、たとえば2点間の画素数をカウントするなどの方法によって検出する処理を行う。
補正率算出部533は、検出部532により検出された2点間の距離と基準距離との割合を求め、その割合に応じて、上述した画像処理部45の出力補正部452において測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正するための補正率を算出する。基準距離は、間隔dが基準値のときに計測される2点間の距離である。この基準距離は、たとえば、予め間隙dが基準値に設定されているときにセンサユニット430により撮像されたパターン画像200の2点間の距離を、検出部532が上記と同様の方法で検出することにより求めることができる。予め求めた基準距離は、たとえば、不揮発性メモリ56に格納される。
判定部534は、パターン画像200の撮像により得られた画像のうち、たとえば測色対象パッチCPの周囲を囲むように形成された外枠F(図17参照)の形状を解析し、パターン画像200に形状歪みが生じているか否か、形状歪みが生じている場合にはその種別を判定する。
決定部535は、判定部534が判定した形状歪みの有無または形状歪みの種別に基づいて、測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を測色値算出部531での演算に使用するか否かを決定する。
検出部532が検出した2点間の距離、判定部534の判定結果、決定部535の決定は、上位CPU107へと送られる。上位CPU107は、これらの情報に基づき、必要に応じて、吸引量調整部57の動作や間隙調整部52の動作、測色値算出部531の動作、主走査ドライバ109や副走査ドライバ113の動作などを制御する。なお、検出部532、補正率算出部533、判定部534、および決定部535の機能を上位CPU107に持たせ、上位CPU107においてこれら各部の処理を実行するようにしてもよい。なお、検出部532、補正率算出部533、判定部534、および決定部535による処理の具体例については、詳細を後述する。
不揮発性メモリ56は、演算部53での処理に用いられる各種データや処理結果の各種データを格納する。たとえば、不揮発性メモリ56は、測色値算出部531での処理に使用する後述するメモリテーブルTb1、基準値線形変換マトリックス、基準RGB間線形変換マトリックスなどを格納する。また、不揮発性メモリ56は、補正率演算部533で画像データの補正率を算出するために用いられる基準距離や補正率算出パラメータ、判定部534で形状歪みの種別を判定するために用いられる歪みパターンなどを格納する。
<測色対象パッチの測色方法>
次に、図9乃至図15を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100による測色対象パッチCPの測色方法の具体例について詳細に説明する。この測色方法は、画像形成装置100が初期状態のとき(製造やオーバーフォールなどによって初期状態となっているとき)に実施される前処理と、画像形成装置100の色調整を行う調整時に実施される測色処理とを含む。なお、以下で説明する測色方法は一例であり、この方法に限定されるものではない。
図9は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。図9に示すこれらの処理は、前処理として実施される。前処理では、複数の基準パッチKPが配列形成された基準シートKSが用いられる。基準シートKSの基準パッチKPは、撮像部42が備える基準チャートKCのパッチと同等のものである。
まず、基準シートKSの複数の基準パッチKPの測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図9の例では、Lab値とXYZ値の双方)が、不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応して格納される。基準パッチKCの測色値は、分光器BSなどを用いた測色により事前に得られる値である。基準パッチKCの測色値が既知であれば、その値を用いればよい。不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に格納された基準パッチKCの測色値を「基準測色値」という。
次に、基準シートKSがプラテン板22上にセットされ、キャリッジ5の移動を制御することで、基準シートKSの複数の基準パッチKCを被写体として、撮像部42による撮像が行われる。そして、撮像部42の撮像により得られた基準パッチKCのRGB値が、不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応して格納される。つまり、不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1には、基準シートKSに配列形成された複数の基準パッチKCそれぞれの測色値とRGB値が、各基準パッチKCのパッチ番号に対応して格納される。不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に格納された基準パッチKCのRGB値を「基準RGB値」という。基準RGB値は、撮像部42の特性を反映した値である。
画像形成装置100の上位CPU107は、基準パッチKCの基準測色値および基準RGB値が不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に格納されると、同じパッチ番号の基準測色値であるXYZ値と基準RGB値との対に対して、これらを相互に変換する基準値線形変換マトリックスを生成し、不揮発性メモリ56に格納する。不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に基準測色値としてLab値のみが格納されている場合は、Lab値をXYZ値に変換する既知の変換式を用いてLab値をXYZ値に変換した後に、基準値線形変換マトリックスを生成すればよい。
また、撮像部42が基準シートKSの複数の基準パッチKCを撮像する際には、撮像部42に設けられた基準チャートKCも同時に撮像される。この撮像により得られた基準チャートKCの各パッチのRGB値も、パッチ番号に対応させて、不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に格納される。この前処理により不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に格納された基準チャートKCのパッチのRGB値を「初期基準RGB値」という。図10は、初期基準RGB値の一例を示す図である。図10(a)は初期基準RGB値(RdGdBd)をメモリテーブルTb1に格納した様子を示し、初期基準RGB値と(RdGdBd)ともに、初期基準RGB値(RdGdBd)をLab値に変換した初期基準Lab値(Ldadbd)やXYZ値に変換した初期基準XYZ値(XdYdZd)も対応付けて格納されることを示している。また、図10(b)は基準チャートKCの各パッチの初期基準RGB値をプロットした散布図である。
以上の初期処理が終了した後、画像形成装置100は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、上位CPU107が、キャリッジ5の主走査移動制御、紙搬送部112による記録媒体Pの搬送制御および記録ヘッド6の駆動制御を行って、記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド6からのインク吐出を制御して、画像を記録媒体Pに出力する。このとき、記録ヘッド6からのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化などによって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。そこで、画像形成装置100は、色調整を行う所定のタイミングで、測色対象パッチCPの測色値を求める測色処理を実施する。そして、測色処理により得られた測色値に基づいて色調整を行うことで、色再現性を高める。
図11は、測色処理の概要を説明する図である。画像形成装置100は、色調整を行う調整時に、まず、プラテン板22上にセットされた記録媒体P上に記録ヘッド6からインクを吐出して、測色対象パッチCPを形成する。以下、測色対象パッチCPが形成された記録媒体Pを「調整シートCS」という。この調整シートCSには、画像形成装置100の調整時における出力特性、特に、記録ヘッド6の出力特性を反映した測色対象パッチCPが形成されている。なお、測色対象パッチCPの色パッチデータは、予め不揮発性メモリ56などに格納されている。
次に、画像形成装置100は、図11に示すように、この調整シートCSがプラテン板22上にセットされるか、調整シートCSを作成した段階で排紙することなくプラテン板22上に保持された状態において、キャリッジ5の移動を制御して、このプラテン板22上の調整シートCSに形成された測色対象パッチCPと対向する位置に撮像部42を移動させる。そして、撮像部42により、測色対象パッチCPを撮像すると同時に、撮像部42に設けられた基準チャートKCのパッチを撮像する。撮像部42により同時に撮像された測色対象パッチCPおよび基準チャートKCのパッチの画像データは、画像処理部45において必要な画像処理が行われた後、測色制御部50に送られて、フレームメモリ51に一時保管される。撮像部42に同時に撮像されてフレームメモリ51に一時保管された画像データのうち、測色対象パッチCPの画像データ(RGB値)を「測色対象RGB値」、基準チャートKCのパッチの画像データ(RGB値)を「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」という。「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」は、不揮発性メモリ56に格納される。
測色制御部50の測色値算出部531は、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、フレームメモリ51に一時保管された測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理を行う(ステップS10)。初期化測色対象RGB値(RsGsBs)は、測色対象RGB値から、前処理を行った初期状態のときから測色処理を行う調整時に至るまでの間に生じる撮像部42の撮像条件の経時変化、たとえば、照明光源426の経時変化や2次元イメージセンサ431の経時変化の影響を排除したものである。
その後、測色値算出部531は、測色対象RGB値から変換された初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、後述する基本測色処理を実行することにより(ステップS20)、測色対象パッチCPの測色値であるLab値を取得する。
図12は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図であり、図13は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。測色値算出部531は、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理(ステップS10)を行う前に、この変換に用いる基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。すなわち、測色値算出部531は、図12に示すように、画像形成装置100が初期状態のときに前処理として得られた初期基準RGB値(RdGdBd)と、調整時において得られる測色時基準RGB値(RdsGdsBds)とを不揮発性メモリ56から読み出し、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。そして、測色値算出部531は、生成した基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ56に格納する。
図13において、図13(a)に白抜き点で示されている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図13(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図13(b)に示すように概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように、同じ基準チャートKCのパッチを撮像してもRGB値が変動する要因としては、照明光源426の経時変化、2次元イメージセンサ431の経時変化などがある。
このように、撮像部42による撮像によって得られるRGB値が変動している状態で、測色対象パッチCPを撮像することで得られる測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生する虞がある。そこで、本実施形態に係る画像形成装置100においては、初期基準RGB値RdGdBdと測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で、最小2乗法などの推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、撮像部42で測色対象パッチCPを撮像することにより得られる測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを対象として、後述する基本測色処理を実行することで、測色対象パッチCPの測色値を精度よく取得できるようにしている。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
測色値算出部531は、上述したように、測色対象パッチCPの撮像により得られる測色対象RGB値を、基準RGB間線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換した後(ステップS10)、この初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、ステップS20の基本測色処理を行う。
図14および図15は、基本測色処理を説明する図である。測色値算出部531は、まず、前処理において生成して不揮発性メモリ56に格納した基準値線形変換マトリックスを読み出し、基準値線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第1XYZ値に変換し、不揮発性メモリ56に格納する(ステップS21)。図14では、初期化測色対象RGB値(3、200、5)が基準値線形変換マトリックスにより第1XYZ値(20、80、10)に変換された例を示している。
次に、測色値算出部531は、ステップS21で初期化測色対象RGB値(RsGsBs)から変換された第1XYZ値を、既知の変換式を用いて第1Lab値に変換し、不揮発性メモリ56に格納する(ステップS22)。図14では、第1XYZ値(20、80、10)が既知の変換式により第1Lab値(75、−60、8)に変換された例を示している。
次に、測色値算出部531は、前処理において不揮発性メモリ56のメモリテーブルTb1に格納された複数の基準測色値(Lab値)を検索し、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準測色値(Lab値)を持つ複数のパッチ(近傍色パッチ)の組を選択する(ステップS23)。距離の近いパッチを選択する方法としては、たとえば、メモリテーブルTb1に格納されたすべての基準測色値(Lab値)に対して、第1Lab値との距離を算出し、第1Lab値に対して距離の近いLab値(図14では、ハッチングの施されているLab値)を持つ複数のパッチを選択するといった方法を用いることができる。
次に、測色値算出部531は、図15に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、ステップS23で選択した近傍色パッチのそれぞれについて、Lab値と対になっているRGB値(基準RGB値)とXYZ値を取り出して、これら複数のRGB値とXYZ値のなかから、RGB値とXYZ値との組み合わせを選択する(ステップS24)。そして、測色値算出部531は、選択した組み合わせ(選択組)のRGB値をXYZ値に変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法などを用いて求め、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ56に格納する(ステップS25)。
次に、測色値算出部531は、ステップS25で生成した選択RGB値線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第2XYZ値に変換する(ステップS26)。さらに、測色値算出部531は、ステップS26で求めた第2XYZ値を、既知の変換式を用いて第2Lab値に変換し(ステップS27)、得られた第2Lab値を、測色対象パッチCPの最終的な測色値とする。画像形成装置100は、以上の測色処理により得られた測色値に基づいて色調整を行うことにより、色再現性が高められる。
<測色対象RGB値の補正方法>
次に、図16乃至図21を参照しながら、間隙dの変化によって生じる反射光強度の変化分を相殺するための測色対象RGB値の補正方法の具体例について説明する。
上述したように、撮像部42は、被写体が形成された記録媒体Pに対して筐体421の底面部421aが間隙dを介して対向する状態で、被写体を撮像する構成である。画像形成装置100が通常の動作モードのとき、間隙dは、予め定めた基準値d1(たとえば1.4mm)となる。しかし、厚手の用紙やコート紙、マットフィルムなどを記録媒体Pとして用いる場合は、間隙dがd1となるようなキャリッジ5の位置では、記録媒体Pが記録ヘッド6に接触して記録ヘッド6の破損に繋がる虞がある。そこで、本実施形態に係る画像形成装置100では、「厚紙モード」あるいは「こすれ回避モード」と呼ばれる動作モードが設けられており、この動作モードが選択された場合には、キャリッジ昇降モータ30の駆動によりキャリッジ5を上昇させるようにしている。この場合、キャリッジ5に固定して設けられた撮像部42も記録媒体Pから離れる方向に移動し、間隔dがd1よりも大きい値d2(たとえば、d1+1mmまたはd1+2mm)となる。なお、キャリッジ5の昇降はキャリッジ昇降モータ30の駆動時間で制御されるため、誤差が±0.2mm程度と比較的大きい。
間隙dがd1からd2に変化すると、センサユニット430および照明光源426から被写体までの距離が大きくなり、被写体の反射光強度が低下するため、センサユニット430から出力される被写体の画像データに影響を与えることになる。そして、この状態で被写体の測色対象領域(測色対象パッチCP)の画像データ(測色対象RGB値)に基づいて測色値の算出を行うと、測色値に誤差が生じる。
そこで、本実施形態に係る画像形成装置1では、測色制御部50に設けられた補正率算出部533で算出した補正率を撮像部42の画像処理部45にフィードバックし、画像処理部45に設けられた出力補正部452により、この補正率で測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正することで、間隙dの変化によって生じる反射光強度の変化の影響を除去するようにしている。そして、測色制御部50の測色値算出部531が、補正後の測色RGB値を用いて測色対象パッチCPの測色値を算出することで、正確な測色値の算出を行えるようにしている。
補正率算出部533は、上述したように、検出部532により検出されたパターン画像200の2点間の距離と、予め不揮発性メモリ56に格納されている基準距離とを用いて補正率を算出する。以下では、検出部532および補正率算出部533による処理の具体例を説明する。
図16は、間隙dの変化に伴う光路長の変化と画像における被写体の位置の変化をモデル化した図である。間隙dがd1からd2に変化すると、センサユニット430の結像レンズ432と被写体との間の光路長が、L1からL2に変化する。ここで、間隙dがd1のときとd2のときとで同じ大きさの被写体を撮像したとすると、間隙dがd2のときに撮像された画像上での被写体の画像の大きさは、間隔dがd1のときに撮像された画像上での被写体の大きさと比較して、光路長がL1からL2に変化した分だけ小さくなる。この性質を利用して、被写体の画像の大きさの変化から間隙dの変化を求めることができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、色調整を行う調整時に、測色対象パッチCPを含むパターン画像200を被写体として記録媒体P上に形成し、このパターン画像200を撮像部42で撮像して得られる画像の幾何学形状を用いて、間隙dの変化に伴う被写体の画像の大きさの変化を求めるようにしている。図17は、画像形成装置1が記録媒体P上に形成するパターン画像200の一例を示す図である。図17に示すパターン画像200は、測色対象パッチCPと、この測色対象パッチCPの周囲を囲むように形成された外枠Fとを備える。測色対象パッチCPは矩形のパッチであり、外枠Fは測色対象パッチCPの形状に倣った矩形の枠である。
図18は、図17に示すパターン画像200を撮像部42で撮像することにより得られる画像を示す図であり、間隙dがd1のときとd2のときとで、センサユニット430の二次元イメージセンサ431上でパターン画像200の結像位置がどのように変化するかを表している。間隙dがd1のときの測色対象パッチCPの画像CP_d、外枠Fの画像F_dに対して、間隙dがd2に広がったときの測色対象パッチCPの画像CP_d‘、外枠Fの画像F_d’は、光路長が延びたことによって縮小され、結像位置もずれている。このときの画像の縮小率は、光路長の変化量に比例する。光路長の変化量は間隙dの変化量に等しい。したがって、画像の縮小率を求めることで、間隙dの変化量を求めることができる。
図19は、図18に示した外枠Fの画像F_dにおける右上角部の点p1および右下角部の点p2と、外枠Fの画像F_d’における右上角部の点p1’および右下角部の点p2’を抜き出したものである。間隙dがd1からd2に広がって光路長が延びたことにより、p1とp2との間の画像上の距離n1と比較して、p1’とp2’との間の画像上の距離n2が小さくなっている。距離n1に対する距離n2の縮小率(割合)が、外枠Fの画像F_dに対する外枠Fの画像F_d’の縮小率に相当する。距離n2と距離n1とから、間隙dがd2のときの光路長L2(図16参照)を、以下のように求めることができる。
L2=L1×n1/n2
ここで、L1は、間隙dが基準値d1のときの光路長であり、既知の値である。したがって、n1とn2との割合(n1/n2)からL2の値が分かり、L2−L1から間隙dの基準値d1からの変化量が分かる。
本実施形態では、事前に、間隙dが基準値d1となる状態でパターン画像200を撮像部42で撮像し、得られた画像から外枠Fの画像F_dにおけるp1とp2との間の画素数をカウントすることで距離n1を求めて、この距離n1を基準距離として不揮発性メモリ56に格納しておく。そして、色調整を行う調整時には、パターン画像200を撮像部42で撮像することで得られた画像から、検出部532が、p1およびp2と同じ点を抽出して、それらの間の画素数をカウントすることで距離を求める。たとえば、間隙dがd2であれば、外枠Fの画像F_d’からp1’およびp2’が抽出され、距離n2が検出される。
なお、本実施形態では、測色対象パッチCPとその周囲を囲む外枠Fとを組み合わせたパターン画像200を用いているが、パターン画像200は、測色対象パッチCPを含み、かつ、画像上の2点間の距離を検出できる構成であれば、どのような形態であってもよい。たとえば、測色対象パッチCPに加えて、鍵型、十字型、二重線、破線などの距離計測用のパターンを持つものをパターン画像200として用いることができる。また、測色対象パッチCPのみでパターン画像200を構成し、測色対象パッチCPの輪郭線を用いて2点間の距離を検出することもできる。
補正率算出部533は、検出部532が検出した2点間の距離(間隙dがd2であれば距離n2)と基準距離n1との割合から求まる間隙dの変化量に応じて、上述した画像処理部45の出力補正部452において測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正するための補正率を算出する。
図20は、間隙dの基準値d1からの変化量(間隙変化量)とセンサユニット430の2次元イメージセンサ431からの出力(センサ出力)との関係の一例を表す図である。図20(a)は、間隙変化量に対応するセンサ出力の変化を表し、図20(b)は、間隙dが基準値d1(間隙変化量が0)のときのセンサ出力を基準としたときに、間隙変化量に対してセンサ出力の基準に対する比率がどのように変化するかを表している。この図20に示すような間隙変化量とセンサ出力との関係から、間隙変化量に対応した出力補正部452での補正率を算出するための補正率算出パラメータを求めることができる。
図20に示すような間隙変化量とセンサ出力との関係は、画像形成装置100が備える撮像部42の照明光源426の配置や特性などに応じて変わってくる。そこで、たとえば、画像形成装置100の製造工程などにおいて、実際にキャリッジ昇降モータ30の駆動により間隙dを基準値d1から変化させながら、センサユニット430の2次元イメージセンサ431の出力を求め、図20に示すような間隙変化量とセンサ出力との関係を求めておく。そして、間隙変化量とセンサ出力との関係から補正率算出パラメータを求めて、不揮発性メモリ56に格納する。図20に示す例では、間隙変化量が1mmのときにセンサ出力が3.36%低下している(図20(b)参照)ので、3.36%/mmを補正率算出パラメータとして不揮発性メモリ56に格納する。なお、ここでは、出力補正部452で間隙変化量に対応した線形補正を行う場合を例に説明するが、補正テーブルでの補正や高次元関数の補正を行うようにしてもよい。この場合、間隙変化量とセンサ出力との関係から求めた補正テーブルや高次元関数を、補正率算出パラメータとして不揮発性メモリ56に格納する。
補正率算出部533は、撮像部42がパターン画像200を撮像することで得られる画像から検出部532によって2点間の距離が検出されると、不揮発性メモリ56に格納されている基準距離と補正率算出パラメータを読み出す。そして、補正率算出部533は、検出部532が検出した2点間の距離と基準距離との割合から、間隙変化量を求める。また、補正率算出部533は、求めた間隙変化量と補正率算出パラメータとから、画像処理部45の出力補正部452において測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正するための補正率を求める。たとえば、補正率算出パラメータが3.36%/mmの場合、間隙変化量が1mmであれば補正率は3.36%、間隙変化量が2mmであれば補正率は6.72%となる。
画像処理部45の出力補正部452は、センサユニット430の2次元イメージセンサ431から出力され、AD変換部451によりAD変換された画像データの中で、測色対象領域である測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を、補正率算出部533により算出された補正率で補正する。
図21は、間隙変化量と補正前のセンサ出力と出力補正後の値との関係の一例を示す図である。図21の例は、補正率算出パラメータが3.36%/mmの場合の例であり、出力補正後の値は、センサ出力×(1+間隙変化量×0.0336)で求められる。図21から分かるように、間隙dが基準値d1から変化した場合であっても、出力補正部452での補正によって、測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を概ね均一にすることができる。つまり、出力補正部452での補正によって、間隙dの変化によって生じる反射光強度の変化に応じたセンサ出力の変動をキャンセルすることができ、安定した測色対象RGB値を得ることができる。
<測色対象RGB値の補正方法の変形例>
上記の説明では、測色対象パッチCPを含むパターン画像200をセンサユニット30が撮像することで得られる画像データから、検出部532が2点間の距離を検出するようにしている。しかし、検出部532は、センサユニット30が撮像した測色対象パッチCPを含まない画像データから、2点間の距離を検出するようにしてもよい。すなわち、センサユニット30が記録媒体P上の測色対象パッチCPを撮像することに加えて、記録媒体P上の測色対象パッチCPを含まない所定位置を撮像し、この所定位置に形成されている2点間の距離を検出部532が検出するように構成してもよい。
検出部532が検出する2点間の距離は、上述したように、間隙dの基準値からの変化量に応じて測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正する際の補正率を算出するために用いられる。ここで、間隙dの変化は、主に、測色対象パッチCPを形成する記録媒体Pを異なる厚みのものに変更する場合に生じるため、同じ記録媒体Pであれば、測色対象パッチCPが形成された位置と測色対象パッチCPが形成されていない位置とで、撮像部42との間の間隙dに差が生じることは稀である。したがって、検出部532が測色対象パッチCPを含まない所定位置の2点間の距離を検出し、この2点間の距離と基準距離との割合に応じた補正率で、測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正するようにしても、測色対象パッチCPの画像データを適切に補正することができる。
なお、同じ記録媒体Pの複数の領域ごとに間隙dに差が生じる懸念がある場合には、領域ごとに2点間の距離を検出し、領域ごとに2点間の距離と基準距離との割合に応じて補正率を算出して、領域ごとに算出した補正率で各領域に含まれる測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正するようにすればよい。
また、上記説明では、間隙dが基準値の場合の2点間の距離である基準距離を予め計測して不揮発性メモリ56等に記憶しておくようにしている。しかし、センサユニット30が測色対象パッチCPとともに撮像する基準チャートKPに、基準距離を取得するための部分(たとえば基準となる2点)を設けるようにしておけば、センサユニット30が測色対象パッチCPを撮像するたびに、その測色対象パッチCPとともに撮像される基準チャートKPから基準距離を取得することもできる。
基準チャートKPは、上述したように、撮像部42の筐体421に設けられているため、センサユニット430や照明光源426に対する位置関係は常に一定に保たれている。このため、間隙dが変化しても、センサユニット30が撮像する基準チャートKPの画像に変化は生じない。したがって、センサユニット30が測色対象パッチCPを撮像するたびに、同時に撮像される基準チャートKPの画像から基準距離を取得し、この基準距離と検出部532が検出する2点間の距離との割合に応じた補正率で、測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正するようにしても、測色対象パッチCPの画像データを適切に補正することができる。
<パターン画像の形状歪み>
次に、図22乃至図27を参照しながら、撮像部42がパターン画像200を撮像することで得られる画像に形状歪みがある場合の処理の具体例について説明する。
図22は、記録媒体Pを支持するプラテン板22の表面形状と記録媒体Pに形成されたパターン画像200の外枠Fの形状歪みを説明する図であり、図22(a)は、記録媒体Pを支持するプラテン板22の拡大断面図、図22(b)は、プラテン板22上における外枠Fの位置および形状を示す平面図である。記録媒体Pが支持されたプラテン板22は、たとえば、表面に凹部22aが設けられ、この凹部22aの底面に貫通穴22bが形成されている。そして、プラテン板22の表面に記録媒体Pが支持された状態で、プラテン板22の裏面側から貫通穴22bを通じて、吸引ファン35により記録媒体Pを吸引することによって、記録媒体Pに対する保持力を高めるようにしている。この場合、吸引ファン35の吸引力が過大であると、プラテン板22上に支持された記録媒体Pに、図22(a)の破線で示すような凹部22aに沿った部分沈みが発生し、記録媒体Pに形成されたパターン画像200の外枠Fの画像に、図22(b)の破線で示すような形状歪みが発生する場合がある。また、吸引ファン35の吸引力が不足すると、プラテン板22上に支持された記録媒体Pに、図22(a)の破線で示すような部分浮きが発生し、記録媒体Pに形成されたパターン画像200の外枠Fの画像に、図22(b)の破線で示すような形状歪みが発生する場合がある。
パターン画像200が形成された記録媒体Pに部分沈みや部分浮きが発生すると、センサユニット430との間の光路長に局部的な変動が生じるため、測色対象領域である測色対象パッチCPの画像データに対して上記の出力補正部452による補正を行ったとしても、正しい測色値が得られない懸念がある。また、記録媒体Pのパターン画像200が形成された位置に凸折れや凹折れが生じている場合にも、同様に、センサユニット430との間の光路長に局部的な変動が生じるため、測色対象領域である測色対象パッチCPの画像データに対して上記の出力補正部452による補正を行ったとしても、正しい測色値が得られない懸念がある。そこで、本実施形態に係る画像形成装置100では、測色制御部50の判定部534が、パターン画像200の撮像により得られた画像を解析して外枠Fなどに形状歪みがあるかどうかを判定する。そして、パターン画像200に形状歪みがある場合には、決定部535が、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを測色値の算出に使用しないと決定する。
図23は、外枠Fの形状歪みのパターンを示す図である。図23(a)は記録媒体Pに部分沈みが発生した場合の歪みパターンを示し、図23(b)は記録媒体Pに部分浮きが発生した場合の歪みパターンを示し、図23(c)は記録媒体Pに凸折れが発生した場合の歪みパターンを示し、図23(d)は記録媒体Pに凹折れが発生した場合の歪みパターンを示している。これらの歪みパターンは、たとえば不揮発性メモリ56などに予め登録されている。なお、本実施形態においては、上述したように測色対象パッチCPと外枠Fとを備えたパターン画像200を用いているが、パターン画像200の形態が異なる場合は、そのパターン画像200の形態に対応した歪みパターンを、不揮発性メモリ56などに登録しておけばよい。
判定部534は、パターン画像200の撮像により得られた画像を解析し、外枠Fの形状が図23(a)〜(d)のいずれかの歪みパターンに近似する場合に、パターン画像200に形状歪みが発生していると判定する。そして、判定部534がパターン画像200に形状歪みが発生していると判定した場合、決定部535が、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを無効とし、測色対象パッチCPの画像データを無効とした旨を上位CPU107に伝達する。この場合、上位CPU107は、主走査ドライバ109や副走査ドライバ113の動作などを制御することで、キャリッジ5または記録媒体Pを移動させてこれらの相対位置を変化させる。そして、記録媒体Pの異なる位置に新たにパターン画像200を形成させる。
図24は、パターン画像200の形状歪みの有無に応じて測色対象パッチCPの測色を行うか否かを判定する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、プラテン板22上に記録媒体Pがセットされると、上位CPU107が記録ヘッドドライバ111を駆動して記録ヘッド6からインクを吐出させ、記録媒体P上にパターン画像200を出力させる(ステップS101)。
次に、撮像部42が、記録媒体P上に出力されたパターン画像200を被写体として撮像する(ステップS102)。
次に、測色制御部50の判定部534が、撮像部42がパターン画像200を撮像することで得られた画像を解析し、パターン画像200の形状歪みを判定する処理を行う(ステップS103)。たとえば、判定部534は、画像の解析により認識されるパターン画像200の外枠Fの形状を、不揮発性メモリ56などに予め登録されている歪みパターンと比較する。そして、判定部534は、ステップS103の処理の結果、パターン画像200に形状歪みが発生しているか否かを判定する(ステップS104)。
ステップS104でパターン画像200に形状歪みが発生していると判定された場合(ステップS104:Yes)、決定部535が、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを無効とし、測色対象パッチCPの画像データを無効とした旨を上位CPU107に伝達する。この場合、上位CPU107は、主走査ドライバ109や副走査ドライバ113の動作などを制御することで、キャリッジ5または記録媒体Pを移動させてこれらの相対位置を変化させる(ステップS105)。そして、ステップS101に戻って、記録媒体Pの別の位置にパターン画像200を出力させ、以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS104でパターン画像200に形状歪みが発生していないと判定された場合(ステップS104:No)、決定部535が、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを有効とし、測色対象パッチCPの画像データを有効とした旨を上位CPU107を介して、あるいは直接、測色値算出部531に伝達する。この場合、測色値算出部531は、フレームメモリ51に格納されている測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データに基づいて、上述した方法により、測色対象パッチCPの測色値を算出する処理を実行する(ステップS106)。
以上は、測色対象パッチCPを含むパターン画像200に形状歪みが生じている場合に、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを測色値の算出に使用しない例を説明した。しかし、パターン画像200の形状歪みが、図23(a)に示したような部分沈みの歪みパターンである場合や、図23(b)に示したような部分浮きの歪みパターンである場合には、吸引ファン35の吸引力を調整してプラテン板22上の記録媒体Pをフラットな状態とすることにより、形状歪みが解消される場合もある。
そこで、判定部534がパターン画像200の形状歪みの有無だけでなく、形状歪みが生じている場合にはその種別も判定し、形状歪みの歪みパターンが図23(a)に示すような部分沈みの歪みパターンである場合や、図23(b)に示したような部分浮きの歪みパターンである場合には、上位CPU107による制御のもとで吸引力調整部57が吸引ファン35の吸引力を調整し、形状歪みを解消させるようにしてもよい。
図25は、判定部534がパターン画像200の形状歪みの歪みパターンの判定も行う場合の一連の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、プラテン板22上に記録媒体Pがセットされると、上位CPU107が記録ヘッドドライバ111を駆動して記録ヘッド6からインクを吐出させ、記録媒体P上にパターン画像200を出力させる(ステップS201)。
次に、撮像部42が、記録媒体P上に出力されたパターン画像200を被写体として撮像する(ステップS202)。
次に、測色制御部50の判定部534が、撮像部42がパターン画像200を撮像することで得られた画像を解析し、パターン画像200の形状歪みを判定する処理を行う(ステップS203)。たとえば、判定部534は、画像の解析により認識されるパターン画像200の外枠Fの形状を、不揮発性メモリ56などに予め登録されている歪みパターンと比較する。そして、判定部534は、ステップS103の処理の結果、パターン画像200に形状歪みが発生しているか否かを判定する(ステップS204)。
ステップS204でパターン画像200に形状歪みが発生していると判定した場合(ステップS204:Yes)、判定部534は、さらにパターン画像200に発生している形状歪みが所定パターンであるか否か、すなわち、形状歪みが部分沈みの歪みパターンや部分浮きの歪みパターンであるか否かを判定する(ステップS205)。
ステップS205で形状歪みが部分沈みの歪みパターンや部分浮きの歪みパターンであると判定された場合(ステップS205:Yes)、上位CPU107による制御のもとで吸引量調整部57が吸引ファン35の吸引量を調整する。すなわち、形状歪みが部分沈みの歪みパターンである場合は、吸引ファン35の吸引力が過大となっているので、吸引ファン35の吸引量を低下させる。一方、形状歪みが部分浮きの歪みパターンである場合は、吸引ファン35の吸引力が不足しているので、吸引ファン35の吸引力を増大させる。そして、吸引ファン35の吸引力を調整した後にステップS202に戻って撮像部42によるパターン画像200の撮像を行い、以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS205で形状歪みが部分沈みの歪みパターンや部分浮きの歪みパターンではないと判定された場合は(ステップS205:No)、決定部535が、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを無効とし、測色対象パッチCPの画像データを無効とした旨を上位CPU107に伝達する。この場合、上位CPU107は、主走査ドライバ109や副走査ドライバ113の動作などを制御することで、キャリッジ5または記録媒体Pを移動させてこれらの相対位置を変化させる(ステップS207)。そして、ステップS201に戻って、記録媒体Pの別の位置にパターン画像200を出力させ、以降の処理を繰り返す。
また、ステップS204でパターン画像200に形状歪みが発生していないと判定された場合は(ステップS204:No)、決定部535が、そのパターン画像200に含まれる測色対象パッチCPの画像データを有効とし、測色対象パッチCPの画像データを有効とした旨を上位CPU107を介して、あるいは直接、測色値算出部531に伝達する。この場合、測色値算出部531は、フレームメモリ51に格納されている測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データに基づいて、上述した方法により、測色対象パッチCPの測色値を算出する処理を実行する(ステップS208)。そして、吸引量調整部57が、パターン画像200の撮像時の吸引ファン35の吸引量を、最適吸引量として不揮発性メモリ56などに記憶する(ステップS209)。吸引量調整部57は、その後、不揮発性メモリ56に格納されている最適吸引量に基づいて吸引ファン35を駆動することにより、吸引ファン35の吸引量を最適化することができる。
<2点間の距離を用いた間隙dの調整方法>
撮像部42と記録媒体Pとの間の間隙dは、上述したように、キャリッジ昇降モータ30の駆動時間により制御されるが、誤差が±0.2mm程度と比較的大きい。ここで、本実施形態に係る画像形成装置100では、測色制御部50の検出部532が、撮像部42がパターン画像200を撮像することにより得られた画像からパターン画像200の2点間の距離n2を検出しており、不揮発性メモリ56には、間隙dが基準値d1のときのパターン画像200の2点間の距離n1が基準距離として記憶されている。したがって、検出部532が検出する2点間の距離n2と基準距離n1との差分がゼロに近づくようにキャリッジ昇降モータ30の駆動を制御することにより、間隙dを基準値d1に近づけることができる。
図26は、検出部532が検出する2点間の距離を用いて間隙dを調整する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
まず、プラテン板22上に記録媒体Pがセットされると、上位CPU107が記録ヘッドドライバ111を駆動して記録ヘッド6からインクを吐出させ、記録媒体P上にパターン画像200を出力させる(ステップS301)。
次に、撮像部42が、記録媒体P上に出力されたパターン画像200を被写体として撮像する(ステップS302)。
次に、測色制御部50の検出部532が、撮像部42がパターン画像200を撮像することで得られた画像を解析してパターン画像200の2点間の距離n2を検出し、検出した2点間の距離n2を上位CPU107に伝達する。そして、上位CPU107が、検出部532により検出された2点間の距離n2と不揮発性メモリ56に格納されている基準距離n1との差分を検出し(ステップS303)、検出した差分がほぼゼロになっているか否かを判定する(ステップS304)。
ステップS304で差分がほぼゼロになっていないと判定した場合(ステップS304:No)、上位CPU107は、間隙調整部52に制御指令を出力してキャリッジ昇降モータ30をたとえば予め定めた最小単位時間だけ駆動させ、キャリッジ5を昇降させる。そして、キャリッジ5を昇降させた後にステップS302に戻って撮像部42によるパターン画像200の撮像を行い、以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS304で差分がほぼゼロになっていると判定した場合は(ステップS304:Yes)、上位CPU107は、測色対象パッチCPの画像データが有効である旨を測色値算出部531に伝達する。この場合、測色値算出部531は、フレームメモリ51に格納されている測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データに基づいて、上述した方法により、測色対象パッチCPの測色値を算出する処理を実行する(ステップS306)。そして、間隙調整部52が、パターン画像200のキャリッジ5の昇降量を、間隙dが基準値d1である場合の最適昇降量として不揮発性メモリ56などに記憶する(ステップS307)。間隙調整部52は、その後、間隙dを基準値d1に設定する場合に、不揮発性メモリ56に格納されている最適昇降量に基づいてキャリッジ昇降モータ30を駆動することにより、間隙dを基準値d1に正しく設定することができる。
以上は、間隙dを基準値d1に設定する場合の例であるが、「厚紙モード」あるいは「こすれ回避モード」と呼ばれる動作モードが選択されて間隙dをd2に設定する場合にも、同様の方法によって間隙dを調整することができる。
図27は、検出部532が検出する2点間の距離を用いて間隙dを調整する一連の処理の流れを示すフローチャートであり、間隙dをd2に設定する場合の例である。
まず、プラテン板22上に記録媒体Pがセットされると、上位CPU107が記録ヘッドドライバ111を駆動して記録ヘッド6からインクを吐出させ、記録媒体P上にパターン画像200を出力させる(ステップS401)。
次に、撮像部42が、記録媒体P上に出力されたパターン画像200を被写体として撮像する(ステップS402)。
次に、測色制御部50の検出部532が、撮像部42がパターン画像200を撮像することで得られた画像を解析してパターン画像200の2点間の距離n2を検出し、検出した2点間の距離n2を上位CPU107に伝達する。そして、上位CPU107が、検出部532により検出された2点間の距離n2と不揮発性メモリ56に格納されている基準距離n1との差分を検出し(ステップS403)、検出した差分がほぼ所定値αになっているか否かを判定する(ステップS404)。ここで、所定値αは、間隙dがd2となっている状態で予め計測された基準距離との差分であり、たとえば不揮発性メモリ56などに格納されている。
ステップS404で差分がほぼ所定値αになっていないと判定した場合(ステップS404:No)、上位CPU107は、間隙調整部52に制御指令を出力してキャリッジ昇降モータ30をたとえば予め定めた最小単位時間だけ駆動させ、キャリッジ5を昇降させる。そして、キャリッジ5を昇降させた後にステップS402に戻って撮像部42によるパターン画像200の撮像を行い、以降の処理を繰り返す。
一方、ステップS404で差分がほほ所定値αになっていると判定した場合は(ステップS404:Yes)、上位CPU107は、測色対象パッチCPの画像データが有効である旨を測色値算出部531に伝達する。この場合、測色値算出部531は、フレームメモリ51に格納されている測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データに基づいて、上述した方法により、測色対象パッチCPの測色値を算出する処理を実行する(ステップS406)。そして、間隙調整部52が、パターン画像200のキャリッジ5の昇降量を、間隙dがd2である場合の最適昇降量として不揮発性メモリ56などに記憶する(ステップS407)。間隙調整部52は、その後、間隙dをd2に設定する場合に、不揮発性メモリ56に格納されている最適昇降量に基づいてキャリッジ昇降モータ30を駆動することにより、間隙dをd2に正しく設定することができる。
<撮像部の変形例>
次に、撮像部42の変形例について説明する。以下では、第1変形例の撮像部42を撮像部42Aと表記し、第2変形例の撮像部42を撮像部42Bと表記し、第3変形例の撮像部42を撮像部42Cと表記し、第4変形例の撮像部42を撮像部42Dと表記し、第5変形例の撮像部42を撮像部42Eと表記し、第6変形例の撮像部42を撮像部42Fと表記する。なお、各変形例において、上述した撮像部42と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
<第1変形例>
図28は、第1変形例の撮像部42Aの縦断面図であり、図5−1に示した撮像部42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第1変形例の撮像部42Aでは、筐体421の底面部421aに、測色対象パッチCPを撮像するための開口部425とは別の開口部427が設けられている。そして、この開口部427を筐体421の外側から閉塞するように、チャート板410が配置されている。つまり、上述した撮像部42では、チャート板410が筐体421の底面部421aのセンサユニット430と対向する内面側に配置されていたのに対して、第1変形例の撮像部42Aでは、チャート板410が筐体421の底面部421aの記録媒体Pと対向する外面側に配置されている。
具体的には、たとえば、筐体421の底面部421aの外面側に、チャート板410の厚みに相当する深さの凹部が、開口部427と連通するように形成されている。そして、この凹部内に、チャート板410が、基準チャートKCが形成された面をセンサユニット430側に向けて配置されている。チャート板410は、たとえば、その端部が開口部427の端縁近傍にて接着剤などにより筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されている。
以上のように構成される第1変形例の撮像部42Aでは、基準チャートKCが形成されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側に配置することにより、上述した撮像部42に比べて、センサユニット430から測色対象パッチCPまでの光路長とセンサユニット430から基準チャートKCまでの光路長との差を小さくすることができる。
<第2変形例>
図29は、第2変形例の撮像部42Bの縦断面図であり、図5−1に示した撮像部42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第2変形例の撮像部42Bでは、第1変形例の撮像部42Aと同様に、筐体421の底面部421aの外面側にチャート板410が配置されている。ただし、第1変形例の撮像部42Aでは、チャート板410が接着剤などによって筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されていたのに対して、第2変形例の撮像部42Bでは、チャート板410が筐体421に対して着脱可能に保持されている。
具体的には、たとえば、第1変形例の撮像部42Aと同様に、筐体421の底面部421aの外面側に開口部427と連通する凹部が形成され、この凹部内にチャート板410が配置されている。また、第2変形例の撮像部42Bは、凹部内に配置されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側から押さえ込んで保持する保持部材428を備える。保持部材428は、筐体421の底面部421aに対して取り外し可能に装着されている。したがって、第2変形例の撮像部42Bでは、保持部材428を筐体421の底面部421aから取り外すことにより、チャート板410を取り出すことができる。
以上のように、第2変形例の撮像部42Bでは、チャート板410が筐体421に対して着脱可能に保持され、チャート板410を取り出すことができるので、基準チャートKCの汚れなどによりチャート板410が劣化した場合に、チャート板410を交換する作業を簡単に行うことができる。また、上述したシェーディング補正部453が照明光源426による照度ムラを補正するためのシェーディングデータを得る際に、チャート板410を取り出して代わりに白基準板を配置し、この白基準板をセンサユニット430で撮像すれば、シェーディングデータの取得を簡便に行うことができる。
<第3変形例>
図30は、第3変形例の撮像部42Cの縦断面図であり、図5−1に示した撮像部42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第3変形例の撮像部42Cでは、筐体421の開口部425を塞ぐミスト防止透過部材450が追加されている。本実施形態に係る画像形成装置100は、上述したように、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン板22上の記録媒体P上にインクを吐出して、記録媒体Pに画像を形成する構成である。このため、記録ヘッド6のノズル列からインクを吐出する際に、霧(ミスト)状の微小なインク粒子(以下、このような微小なインク粒子を「ミスト」という。)が発生する。そして、画像形成時に発生したミストが、キャリッジ5に固定して設けられた撮像部42の筐体421の外部から開口部425を介して筐体421の内部に入り込むと、筐体421内部に入り込んだミストがセンサユニット430や照明光源426、光路長変更部材440などに付着して、測色対象パッチCPの測色を行う色調整時などに正確な画像データが得られなくなる懸念がある。そこで、第3変形例の撮像部42Cでは、筐体421の底面部421aに設けられた開口部425を、ミスト防止透過部材450で覆うことにより、画像形成時に発生したミストが筐体421の内部に入り込むことを防止している。
ミスト防止透過部材450は、照明光源426の光に対して十分な透過率を有する透明な光学素子であり、開口部425の全体を覆うことができる大きさの板状に形成されている。ミスト防止透過部材450は、筐体421の底面部421aに沿って形成されたスリットに装着され、筐体421の底面部421aに設けられた開口部425の全面を閉止する。ミスト防止透過部材450が装着されるスリットは、筐体421の側面部にて開口している。ミスト防止透過部材450は、この筐体421の側面部から挿入されてスリットに装着することができる。また、ミスト防止透過部材450は、筐体421の側面部から取り外すこともでき、汚れが付着したときなどに適宜交換が可能である。
<第4変形例>
図31は、第4変形例の撮像部42Dの縦断面図であり、図5−1に示した撮像部42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第4変形例の撮像部42Cでは、筐体421の内部の光路長変更部材440が省略されている。光路長変更部材440は、上述したように、センサユニット430から被写体(測色対象パッチCP)までの光路長を変更し、センサユニット430から基準チャートKCまでの光路長に合わせる機能を持つ。しかし、これらの光路長の差がセンサユニット430の被写界深度の範囲内であれば、光路長に差が生じていても、被写体(測色対象パッチCP)と基準チャートKCとの双方に焦点の合った画像を撮像することができる。
センサユニット430から被写体(測色対象パッチCP)までの光路長とセンサユニット430から基準チャートKCまでの光路長との差は、概ね、筐体421の底面部421aの厚みに間隙dを加えた値となる。したがって、間隙dを十分に小さな値とすれば、センサユニット430から被写体(測色対象パッチCP)までの光路長とセンサユニット430から基準チャートKCまでの光路長との差を、センサユニット430の被写界深度の範囲内とすることができ、光路長変更部材440を省略して部品コストの削減を図ることができる。
なお、センサユニット430の被写界深度は、センサユニット430の絞り値や結像レンズ432の焦点距離、センサユニット430と被写体との間の距離などに応じて定まる、センサユニット430に固有の特性である。本変形例の撮像部42Dにおいては、筐体421の底面部421aと記録媒体Pとの間の間隙dをたとえば1mm〜2mm程度の十分に小さな値としたときに、センサユニット430から被写体(測色対象パッチCP)までの光路長と、センサユニット430から基準チャートKCまでの光路長との差が被写界深度の範囲内となるように、センサユニット430が設計されている。
<第5変形例>
図32−1は、第5変形例の撮像部42Eの縦断面図であり、図5−1に示した撮像部42の縦断面図と同じ位置の断面図である。また、図32−2は、筐体421の底面部421aを図32−1中のX3方向から見た平面図である。なお、図32−2では、筐体421の底面部421aにおける照明光源426の垂直投影位置(底面部421aに対して垂直に見下ろしたときに投影される位置)を破線で示している。
第5変形例の撮像部42Eでは、筐体421の底面部421aにおいて、センサユニット430から該底面部421aに対して垂直に下ろした垂線上(つまり、センサユニット430の光軸中心)に位置して開口部425Eが設けられ、この開口部425Eを介して被写体(測色対象パッチCP)の撮像を行う。すなわち、第5変形例の撮像部42Eでは、筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)を撮像するための開口部425Eが、センサユニット430の撮像範囲において略中心に位置するように設けられている。
また、第5変形例の撮像部42Eでは、基準チャートKCが形成されたチャート板410Eが、開口部425Eの周囲を取り囲むように、筐体421の底面部421aに配置されている。たとえば、チャート板410Eは、開口部425Eを中心とする円環状に形成され、基準チャートKCが形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。
また、第5変形例の撮像部42Eでは、照明光源426として、筐体421の側壁を構成する枠体422の内周側の4隅に配置された4つのLEDを用いる。照明光源426として用いるこれら4つのLEDは、たとえば、センサユニット430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装されている。照明光源426として用いる4つのLEDをこのように配置することにより、被写体(測色対象パッチCP)と基準チャートKCとを、概ね同一の条件にて照明することができる。
以上のように構成される第5変形例の撮像部42Eでは、筐体421の外部の被写体(測色対象パッチCP)を撮像するための開口部425Eを、筐体421の底面部421aにおけるセンサユニット430からの垂線上に設け、さらにその開口部425Eの周囲を取り囲むように、基準チャートKCが形成されたチャート板410Eを配置しているので、被写体(測色対象パッチCP)および基準チャートKCの撮像を適切に行うことができる。
<第6変形例>
図33は、第6変形例の撮像部42Fの縦断面図であり、図5−1に示した撮像部42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第6変形例の撮像部42Fでは、第5変形例の撮像部42Eと同様に、照明光源426として、枠体422の内周側の4隅に配置された4つのLEDを用いる。ただし、第6変形例の撮像部42Fでは、被写体(測色対象パッチCP)や基準チャートKCで正反射される正反射光がセンサユニット430の2次元イメージセンサ431に入射しないようにするために、照明光源426として用いるこれら4つのLEDを、第5変形例の撮像部42Eと比べて、より筐体421の底面部421aに近い位置に配置している。
センサユニット430の2次元イメージセンサ431のセンサ面において、照明光源426の正反射光が入射する位置は、画素値が飽和するために正確な情報が得られない場合がある。このため、被写体(測色対象パッチCP)や基準チャートKCで正反射される正反射光がセンサユニット430の2次元イメージセンサ431に入射する位置に照明光源426が配置されていると、被写体(測色対象パッチCP)の測色に必要な情報が得られなくなることが懸念される。そこで、第6変形例の撮像部42Fでは、図33に示すように、照明光源426として用いるこれら4つのLEDを筐体421の底面部421aに近い位置に配置することで、被写体(測色対象パッチCP)や基準チャートKCで正反射される正反射光がセンサユニット430の2次元イメージセンサ431に入射しないようにしている。なお、図33中の一点鎖線の矢印は、正反射光の光路をイメージしたものである。
以上のように、第6変形例の撮像部42Fでは、被写体(測色対象パッチCP)や基準チャートKCで正反射される正反射光がセンサユニット430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置しているので、2次元イメージセンサ431のセンサ面において被写体(測色対象パッチCP)や基準チャートKCの光学像が結像する位置の画素値が飽和することを有効に抑制し、被写体(測色対象パッチCP)および基準チャートKCの撮像を適切に行うことができる。
<その他の変形例>
上述した撮像部42およびその変形例では、筐体421に基準チャートKCを設けて、センサユニット430によって被写体(測色対象パッチCP)と基準チャートKCとを同時に撮像する構成となっている。しかし、上述したように、基準チャートKCの撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、測色対象パッチCPの撮像により得られる測色対象RGB値に対して、撮像部42の撮像条件の経時変化、たとえば、照明光源426の経時変化や2次元イメージセンサ431の経時変化の影響を排除するために用いられる。つまり、基準チャートKCの撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、上述した基準RGB間線形変換マトリックスを算出し、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換するために用いられる。
したがって、要求される測色の精度に対して撮像部42の撮像条件の経時変化が無視できるレベルであれば、基準チャートKCが省略された構成の撮像部42を用いることもできる。基準チャートKCが省略された構成の撮像部42を用いる場合は、この撮像部42が測色対象パッチCPを撮像することで得られる測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値に変換する処理(図11のステップS10)が省略され、測色対象RGB値を対象として、基本測色処理(図11のステップS20、図14および図15)が行われる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、測色制御部50で測色処理を行うようにしているが、測色処理は、必ずしも画像形成装置100内部で実行する必要はない。例えば、図34に示すように、画像形成装置100と外部装置500とが通信可能に接続された画像形成システム(測色システム)を構築し、少なくとも測色値算出部531の機能を外部装置500に持たせて、外部装置500において測色処理を行うようにしてもよい。つまり、測色システムは、撮像部42を備える画像形成装置100と、少なくとも測色値算出部531の機能を備える外部装置500と、これら画像形成装置100と外部装置500とを接続する通信手段600と、を備えた構成となる。外部装置500は、例えば、DFE(Digital Front End)と呼ばれるコンピュータを用いることができる。また、通信手段600は、有線や無線によるP2P通信のほか、LANやインターネットなどのネットワークを利用した通信などを利用することができる。
この場合、たとえば、画像形成装置100は、撮像部42で撮像した測色対象パッチCPおよび基準チャートKCの画像データを、通信手段600を利用して外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを用いて測色対象パッチCPの測色値を算出し、算出した測色対象パッチCPの測色値に基づいて、画像形成装置100の色再現性を向上させるための色変換パラメータを生成する。そして、外部装置500は、生成した色変換パラメータを、通信手段600を利用して画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信した色変換パラメータを保持し、画像形成を行う際には、この色変換パラメータを用いて画像データを補正し、補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
また、外部装置500が、測色対象パッチCPの測色値に基づいて生成した色変換パラメータを保持し、外部装置500において画像データの補正を行うようにしてもよい。すなわち、画像形成装置100は、画像形成を行う際に、画像データを外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを、自身が保持する色変換パラメータを用いて補正し、補正した画像データを画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信した補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成装置100では、撮像部42が、筐体421内部に設けたセンサユニット430によって、照明光源426により均一に照明された筐体421外部の被写体を、筐体421の開口部425を介して撮像する構成となっている。そして、測色制御部50の検出部532が、センサユニット430の撮像により得られる画像データから所定の2点間の距離を検出し、補正率算出部533が、検出された2点間の距離と基準距離との割合に応じた補正率を算出する。そして、この補正率で、被写体である測色対象パッチCPの画像データ(測色対象RGB値)を補正し、補正後の測色対象RGB値を用いて測色値算出部531で測色対象パッチCPの測色値を算出するようにしている。したがって、撮像部42と測色対象パッチCPが形成される記録媒体Pとの間隙dの変動によって生じる測色対象パッチCPの画像データの誤差を適切に補正して、測色対象CPの測色値を精度よく算出することができる。このように、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、測色対象の被写体から安定した画像データを取得して精度のよい測色を行うことができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、測色制御部50の判定部534により被写体の画像(例えば、測色対象パッチCPを含むパターン画像200)の形状歪みの有無を判定し、被写体の画像に形状歪みがある場合は、決定部535が被写体である測色対象パッチCPの画像データを測色に使用しないようにしているので、部分的に値が変動している画像データを用いることで誤差のある測色値を算出してしまう不都合を抑制して、さらに精度のよい測色を行うことができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、判定部534が被写体の画像の形状歪みの有無だけでなく、その歪みパターンが所定パターン(部分沈みのパターン、または部分浮きのパターン)であるか否かを判定し、被写体の画像の形状歪みが所定パターンである場合には、吸引ファン35の吸引力を調整するようにしているので、測色値の算出に使用できる測色対象パッチCPの画像を無駄に破棄してしまう不都合を有効に抑制することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100によれば、検出部532が検出したパターン画像200の2点間の距離を利用して間隙dをd1またはd2に正しく設定できるので、測色対象パッチCPの測色値の算出をさらに高精度に行うことができる。
なお、上述した本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能をソフトウェアにより実現する場合は、画像形成装置100や測色装置が備えるプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、たとえば、画像形成装置100や測色装置内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えながら具体化することができる。
5 キャリッジ
6 記録ヘッド
30 キャリッジ昇降モータ
35 吸引ファン
42(42A〜42F) 撮像部
421 筐体
421a 底面部
425 開口部
426 照明光源
430 センサユニット
452 出力補正部
50 測色制御部
52 間隙調整部
53 演算部
531 測色値算出部
532 検出部
533 補正率算出部
534 判定部
535 決定部
56 不揮発性メモリ
57 吸引量調整部
100 画像形成装置
107 上位CPU
特許第3129502号公報

Claims (11)

  1. 筐体と、
    前記筐体に保持され、領域を撮像するセンサ部と、
    前記筐体に保持され、前記領域を照明する照明光源と、
    前記センサ部が前記領域を撮像して得た画像データから、所定の2点間の距離を検出する検出部と、
    検出された前記2点間の距離と基準距離との割合に応じて、測色対象の被写体を含む前記画像データを補正する補正部と、
    補正された前記画像データに基づいて、前記被写体の測色値を算出する算出部と、を備えることを特徴とする測色装置。
  2. 前記被写体の画像の形状歪みを判定する判定部と、
    前記形状歪みの有無または前記形状歪みの種別に基づいて、前記画像データを前記被写体の測色値の算出に使用するか否かを決定する決定部と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
  3. 前記形状歪みが所定のパターンの歪みである場合に、前記被写体を保持部材上に保持するための吸引手段の吸引量を調整する吸引量調整部をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の測色装置。
  4. 検出された前記2点間の距離と前記基準距離との差分がゼロに近づくように、前記センサ部の光軸方向における前記筐体の位置を調整する位置調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
  5. 検出された前記2点間の距離と前記基準距離との差分が所定値に近づくように、前記センサ部の光軸方向における前記筐体の位置を調整する位置調整部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
  6. 前記検出部は、前記被写体を含む前記画像データから、前記2点間の距離を検出することを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
  7. 前記検出部は、前記被写体を含まない前記画像データから、前記2点間の距離を検出することを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
  8. 前記筐体に保持され、前記被写体とともに前記センサ部により撮像される基準チャート部をさらに備え、
    前記検出部は、前記画像データに含まれる前記基準チャートの画像から、前記基準距離を検出することを特徴とする請求項1に記載の測色装置。
  9. 記録媒体に画像を出力する画像出力手段と、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の測色装置と、を備え、
    前記測色装置は、前記画像出力手段が出力する画像を前記被写体として該画像の測色値を算出することを特徴とする画像形成装置。
  10. 測色対象の被写体を撮像する撮像部と、前記被写体の測色値を算出する算出部と、を備える測色システムであって、
    前記撮像部は、
    筐体と、
    前記筐体に保持され、領域を撮像するセンサ部と、
    前記筐体に保持され、前記領域を照明する照明光源と、
    前記センサ部が前記領域を撮像して得た画像データから、所定の2点間の距離を検出する検出部と、
    前記検出部が検出した2点間の距離と基準距離との割合に応じて、測色対象の被写体を含む前記画像データを補正する補正部と、を備え、
    前記算出部は、前記撮像部の前記補正部により補正された前記画像データに基づいて、前記被写体の測色値を算出することを特徴とする測色システム。
  11. 筐体と、
    前記筐体に保持され、領域を撮像するセンサ部と、
    前記筐体に保持され、前記領域を照明する照明光源と、を備える測色装置において実行される測色方法であって、
    前記センサ部が前記領域を撮像して得た画像データから、所定の2点間の距離を検出する工程と、
    検出された前記2点間の距離と基準距離との割合に応じて、測色対象の被写体を含む前記画像データを補正する工程と、
    補正された前記画像データに基づいて、前記被写体の測色値を算出する算出部と、を含むことを特徴とする測色方法。
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