以下に添付図面を参照して、この発明に係る色検出装置、測色装置、画像形成装置および測色システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタを例示するが、本発明は、記録媒体に画像を形成する様々なタイプの画像形成装置に対して広く適用可能である。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動して、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体16に対して画像を形成するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッド6y、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッド6m、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッド6c、およびブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッド6k(以下、記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。)が搭載されている。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体16側)に向くように、キャリッジ5に搭載されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ41がエンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構21を備える。維持機構21は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン22が設けられている。プラテン22は、記録ヘッド6から記録媒体16上にインクを吐出する際に、記録媒体16を支持するためのものである。本実施形態に係る画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン22は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体16は、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン22上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、複数のノズル列を備えており、プラテン22上を搬送される記録媒体16上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体16に画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で記録媒体16に形成できる画像の幅を多く確保するため、図3に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図3に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図3に示す配列に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16を副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体16の副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン22上の記録媒体16上にインクを吐出して、記録媒体16に画像を形成する。
特に、画像形成装置100の色調整を行う調整時などにおいては、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列から実際にプラテン22上の記録媒体16上にインクを吐出して、多数のパッチ200が並ぶテストパターンを形成する。そして、このテストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行う。テストパターンに含まれる各パッチ200は、基準色のパッチを画像形成装置100が出力することで得られる画像であり、画像形成装置100に固有の特性を反映している。したがって、これらのパッチ200の測色値を用いて、画像形成装置100に固有の特性を記述したデバイスプロファイルを生成、あるいは修正することができる。そして、このデバイスプロファイルに基づいて標準色空間と機器依存色との間の色変換を行うことで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16に形成したテストパターンに含まれる各パッチ200に対する測色を行うための測色カメラ(測色装置)42を備える。測色カメラ42は、画像形成装置100により記録媒体16に形成されたパッチ200を被写体とし、このパッチ200と後述する基準チャート部400とを同時に撮像する。そして、測色カメラ42は、撮像によって得られるパッチ200および基準チャート部400の画像データ(パッチ200のRGB値と基準チャート部400のRGB値)に基づいて、パッチ200の測色値を算出する。
測色カメラ42は、図2に示すように、キャリッジ5に対して固定されて設けられ、キャリッジ5と一体となって主走査方向に往復移動する。そして、測色カメラ42は、プラテン22上の記録媒体16に形成されたテストパターンに含まれるパッチ200と対向する位置に移動したときに、パッチ200を基準チャート部400と同時に撮像する。なお、ここでの同時に撮像とは、パッチ200と基準チャート部400とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、1フレーム内にパッチ200と基準チャート部400とを含む画像データを取得すれば、パッチ200と基準チャート部400とを同時に撮像したことになる。
<測色カメラの機械的構成の具体例>
図4−1乃至図4−4は、測色カメラ42の機械的構成の一例を示す図であり、図4−1は、測色カメラ42の縦断面図(図4−2中のX1−X1線断面図)、図4−2は、測色カメラ42の内部を透視して示す上面図、図4−3は、筐体の底面部を図4−1中のX2方向から見た平面図、図4−4は、センサ部の2次元イメージセンサに入射する正反射光の照射位置である正反射領域を説明する図である。
測色カメラ42は、枠体422と基板423とを組み合わせて構成された筐体421を備える。枠体422は、筐体421の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板423は、枠体422の開放端を閉塞して筐体421の上面を構成するように、締結部材424によって枠体422に締結され、枠体422と一体化されている。
筐体421は、その底面部421aが所定の間隙dを介してプラテン22上の記録媒体16と対向するように、キャリッジ5に固定される。記録媒体16と対向する筐体421の底面部421aには、記録媒体16に形成されたパッチ200を筐体421の内部から撮影可能にするための開口部425が設けられている。
筐体421の内部には、画像を撮像するセンサ部430が設けられている。センサ部430は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサ431と、センサ部430の撮像範囲の光学像を2次元イメージセンサ431のセンサ面に結像する結像レンズ432とを備える。2次元イメージセンサ431は、センサ面が筐体421の底面部421a側に向くように、例えば、基板423の内面(部品実装面)に実装されている。結像レンズ432は、その光学特性に応じて定められる位置関係を保つように2次元イメージセンサ431に対して位置決めされた状態で固定されている。
筐体421の底面部421aのセンサ部430と対向する内面側には、底面部421aに設けられた開口部425と隣り合うようにして、基準チャート部400が形成されたチャート板410が配置されている。チャート板410は、例えば、基準チャート部400が形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。なお、基準チャート部400は、チャート板410上ではなく、筐体421の底面部421aの内面側に直接形成されていてもよい。この場合はチャート板410は不要である。基準チャート部400は、例えば、測色対象のパッチ200の比較対象として、センサ部430によりパッチ200とともに撮像されるものである。つまり、センサ部430は、筐体421の底面421aに設けられた開口部425を介して筐体421の外部のパッチ200を撮像すると同時に、筐体421の底面421aの内面側に配置されたチャート板410上の基準チャート部400を撮像する。なお、基準チャート部400の詳細については後述する。
また、筐体421の内部には、センサ部430がパッチ200と基準チャート部400とを同時に撮像する際に、これらパッチ200および基準チャート部400を照明する照明部426が設けられている。本実施形態では、照明部426として、青色LED素子に黄色の蛍光体を塗布して擬似的な白色光を発光する白色LED光源(第1光源)426aと、発光波長が480nm〜540nm程度の青緑LED光源(第2光源)426bと、を組み合わせたものが用いられる。これら白色LED光源426aおよび青緑LED光源426bは、例えば、センサ部430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装される。ただし、白色LED光源426aおよび青緑LED光源426bは、パッチ200と基準チャート部400とを照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板423に直接実装されていなくてもよい。なお、照明部426の詳細については後述する。
本実施形態の測色カメラ42においては、センサ部430の撮像範囲をほぼ均一に照明するために、2つの照明部426が用いられる。これら2つの照明部426は、図4−2に示すように、センサ部430を中心として対象となる位置に配置されている。具体的には、2つの照明部426を基板423側から筐体421の底面部421a側に垂直に見下ろしたときの底面部421a上の投影位置が、開口部425と基準チャート部400との間の領域内となり、且つ、センサ部430の2次元イメージセンサ431の中心部からの距離がほぼ等しくなる位置に、これら2つの照明部426が配置されている。換言すると、2つの照明部426を結ぶ線がセンサ部430の2次元イメージセンサ431の中心部を通り、且つ、この2つの照明部426を結ぶ線に対して線対称となる位置に、筐体421の底面部421aに設けられた開口部425と基準チャート部400とが配置される。2つの照明部426をこのように配置することにより、パッチ200と基準チャート部400とを、概ね同一の条件にて照明することができる。
また、照明部426を構成する白色LED光源426aおよび青緑LED光源426bは、センサ部430の2次元イメージセンサ431に入射する正反射光が、測色対象のパッチ200と基準チャート部400との間の領域に照射される位置に、それぞれ配置されている。すなわち、白色LED光源426aおよび青緑LED光源426bの設置位置は、図4−4に示すように、2次元イメージセンサ431に入射する正反射光の照射位置である正反射領域SAが、筐体421の底面部421aの開口部425(つまり、開口部425を介して撮像されるパッチ200)と基準チャート部400との間の領域(以下、ブランキング領域という。)に位置するように決定されている。
センサ部430が撮像する画像の中で、正反射領域SAに対応する画像領域は、2次元イメージセンサ431の出力が飽和してしまい、色を反映した適切なRGB値が得られない。このため、正反射領域SAが測色対象のパッチ200や基準チャート部400と重なるように白色LED光源426aや青緑LED光源426bが配置されていると、測色対象のパッチ200の測色を適切に行えない虞がある。これに対して、上記のように、正反射領域SAが筐体421の底面部421aのブランキング領域に位置するように白色LED光源426aや青緑LED光源426bを配置することで、パッチ200および基準チャート部400のRGB値を適切に取得して、パッチ200の測色を適切に行うことができる。なお、センサ部430が撮像する画像の中で、ブランキング領域に対応する画像領域はパッチ200の測色には用いられないため、2次元イメージセンサ431の出力が飽和しても問題がない。
ところで、筐体421の内部に配置された基準チャート部400と同一の照明条件により筐体421の外部のパッチ200を照明するには、撮像時に外光がパッチ200に当たらないようにして、照明部426からの照明光のみでパッチ200を照明する必要がある。パッチ200に外光が当たらないようにするには、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくし、パッチ200に向かう外光が筐体421によって遮られるようにすることが有効である。ただし、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくしすぎると、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触してしまい、パッチ200の撮像を適切に行えなくなる虞がある。そこで、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dは、記録媒体16の平面性を考慮して、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触しない範囲で小さな値に設定することが望ましい。例えば、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触することなく、記録媒体16に形成されたパッチ200に外光が当たることを有効に防止できる。
なお、照明部426からの照明光をパッチ200に適切に照射するには、筐体421の底面部421aに設けた開口部425の大きさをパッチ200よりも大きくし、開口部425の端縁で照明光が遮られることで生じる影がパッチ200に映り込まないようにすることが望ましい。
また、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくすれば、センサ部430からパッチ200までの光路長と、センサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内とすることもできる。本実施形態の測色カメラ42は、筐体421の外部のパッチ200と筐体421の内部に設けられた基準チャート部400とをセンサ部430により同時に撮像する構成である。したがって、センサ部430からパッチ200までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差がセンサ部430の被写界深度の範囲を超えていると、パッチ200と基準チャート部400との双方に焦点の合った画像を撮像することができない。
センサ部430からパッチ200までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差は、概ね、筐体421の底面部421aの厚みに間隙dを加えた値となる。したがって、間隙dを十分に小さな値とすれば、センサ部430からパッチ200までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内として、パッチ200と基準チャート部400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。例えば、間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、センサ部430からパッチ200までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内とすることができる。
なお、センサ部430の被写界深度は、センサ部430の絞り値や結像レンズ432の焦点距離、センサ部430と被写体との間の距離などに応じて定まる、センサ部430に固有の特性である。本実施形態の測色カメラ42においては、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを例えば1mm〜2mm程度の十分に小さな値としたときに、センサ部430からパッチ200までの光路長と、センサ部430から基準チャート部400までの光路長との差が被写界深度の範囲内となるように、センサ部430が設計されている。
<基準チャート部の具体例>
次に、図5を参照しながら、測色カメラ42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上の基準チャート部400について詳細に説明する。図5は、基準チャート部400の具体例を示す図である。
図5に示す基準チャート部400は、測色用のパッチを配列した複数の基準パッチ列401〜404、ドット径計測用パターン列406、距離計測用ライン405およびチャート位置特定用マーカ407を有する。
基準パッチ列401〜404は、YMCKの1次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列401と、RGBの2次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列402と、グレースケールのパッチを階調順に配列した基準パッチ列(無彩色の階調パターン)403と、3次色のパッチを配列した基準パッチ列404と、を含む。ドット径計測用パターン列406は、大きさが異なる円形パターンが大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列であり、記録媒体16に記録された画像のドット径の計測に用いることができる。
距離計測用ライン405は、複数の基準パッチ列401〜404やドット径計測用パターン列406を囲む矩形の枠として形成されている。チャート位置特定用マーカ407は、距離計測用ライン405の四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカとして機能する。測色カメラ42の撮像により得られる基準チャート部400の画像データから、距離計測用ライン405とその四隅のチャート位置特定用マーカ407を特定することで、基準チャート部400の位置及び各パターンの位置を特定することができる。
測色用の基準パッチ列401〜404を構成する各パッチは、測色カメラ42が撮像を行う際の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート部400に配置されている測色用の基準パッチ列401〜404の構成は、図5に示す例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の基準パッチ列401や、グレースケールの基準パッチ列403は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の基準パッチ列402は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列401〜404を有する基準チャート部400を用いているが、基準チャート部400は、必ずしもこのような基準パッチ列401〜404を有する形態でなくてもよい。基準チャート部400は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
基準チャート部400は、測色カメラ42の筐体421の底面部421aに、開口部425と隣り合うように配置されているため、センサ部430によってパッチ200と同時に撮像することができる。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図6は、画像形成装置100の制御機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図6に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、制御用FPGA(Field-Programmable Gate Array)110、記録ヘッド6、測色カメラ42、エンコーダセンサ41、主走査モータ8、および副走査モータ12を備える。CPU101、ROM102、RAM103、記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106、および制御用FPGA110は、メイン制御基板120に搭載されている。記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および測色カメラ42は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
CPU101は、画像形成装置100の全体の制御を司る。例えば、CPU101は、RAM103を作業領域として利用して、ROM102に格納された各種の制御プログラムを実行し、画像形成装置100における各種動作を制御するための制御指令を出力する。
記録ヘッドドライバ104、主走査ドライバ105、副走査ドライバ106は、それぞれ、記録ヘッド6、主走査モータ8、副走査モータ12を駆動するためのドライバである。
制御用FPGA110は、CPU101と連携して画像形成装置100における各種動作を制御する。制御用FPGA110は、機能的な構成要素として、例えば、CPU制御部111、メモリ制御部112、インク吐出制御部113、センサ制御部114、およびモータ制御部115を備える。
CPU制御部111は、CPU101と通信を行って、制御用FPGA110が取得した各種情報をCPU101に伝えるとともに、CPU101から出力された制御指令を入力する。
メモリ制御部112は、CPU101がROM102やRAM103にアクセスするためのメモリ制御を行う。
インク吐出制御部113は、CPU101からの制御指令に応じて記録ヘッドドライバ104の動作を制御することにより、記録ヘッドドライバ104により駆動される記録ヘッド6からのインクの吐出タイミングを制御する。
センサ制御部114は、エンコーダセンサ41から出力されるエンコーダ値などのセンサ信号に対する処理を行う。
モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて主走査ドライバ105の動作を制御することにより、主走査ドライバ105により駆動される主走査モータ8を制御して、キャリッジ5の主走査方向への移動を制御する。また、モータ制御部115は、CPU101からの制御指令に応じて副走査ドライバ106の動作を制御することにより、副走査ドライバ106により駆動される副走査モータ12を制御して、プラテン22上の記録媒体16の副走査方向への移動を制御する。
なお、以上の各部は、制御用FPGA110により実現する制御機能の一例であり、これら以外にも様々な制御機能を制御用FPGA110により実現する構成としてもよい。また、上記の制御機能の全部または一部を、CPU101または他の汎用のCPUにより実行されるプログラムにより実現する構成であってもよい。また、上記の制御機能の一部を、制御用FPGA110とは異なる他のFPGAやASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用のハードウェアにより実現する構成であってもよい。
記録ヘッド6は、CPU101および制御用FPGA110により動作制御される記録ヘッドドライバ104により駆動され、プラテン22上の記録媒体16にインクを吐出し、画像の形成を行う。
測色カメラ42は、上述したように、記録媒体16に形成されたテストパターンに含まれるパッチ200の測色を行う際に、パッチ200と筐体421の内部に配置されたチャート板410上の基準チャート部400とをセンサ部430で同時に撮像し、パッチ200および基準チャート部400を含む画像データに基づいて、パッチ200の測色値(標準色空間における表色値であり、例えばL*a*b*色空間におけるL*a*b*値(以下、L*a*b*をLabと表記する。))を算出する。測色カメラ42が算出したパッチ200の測色値は、制御用FPGA110を介してCPU101に送られる。
エンコーダセンサ41は、エンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値を制御用FPGA110に出力する。このエンコーダ値は制御用FPGA110からCPU101へと送られて、例えば、キャリッジ5の位置や速度を計算するために用いられる。CPU101は、このエンコーダ値から計算したキャリッジ5の位置や速度に基づき、主走査モータ8を制御するための制御指令を生成して出力する。
<測色カメラの制御機構の構成>
次に、図7を参照しながら、測色カメラ42の制御機構について具体的に説明する。図7は、測色カメラ42の制御機構の一構成例を示すブロック図である。
測色カメラ42は、図7に示すように、2次元イメージセンサ431、インターフェース部46、フレームメモリ51、測色値演算部52、不揮発性メモリ53、タイミング信号発生部54、光源駆動制御部55、および照明部426を備える。これらの各部は、例えば、測色カメラ42の筐体421の上面部を構成する基板423に実装されている。
2次元イメージセンサ431は、結像レンズ432を介して入射した撮像範囲からの光を電気信号に変換し、撮像範囲の画像データ(対象物の色データ)を出力する。また、この2次元イメージセンサ431は、画像データに対して各種の画像処理を行う機能を持ち、AD変換部451、シェーディング補正部452、ホワイトバランス補正部453、γ補正部454、および画像フォーマット変換部455を備える。なお、画像データに対する各種の画像処理は、2次元イメージセンサ431の外部で行うようにしてもよい。
AD変換部451は、被写体の光学像を光電変換することで得られたアナログ信号をAD変換する。
シェーディング補正部452は、センサ部430の撮像範囲に対する照明部426からの照明の照度ムラに起因する画像データの誤差を補正する。
ホワイトバランス補正部453は、画像データのホワイトバランスを補正する。
γ補正部454は、2次元イメージセンサ431の感度のリニアリティを補償するように画像データを補正する。
画像フォーマット変換部455は、画像データを任意のフォーマットに変換する。
インターフェース部46は、2次元イメージセンサ431から画像データを出力し、また、CPU101から制御用FPGA110を介して送られた各種設定信号やタイミング信号発生部54が生成したタイミング信号を2次元イメージセンサ431に入力するためのインターフェースである。各種設定信号は、2次元イメージセンサ431の動作モードを設定する信号や、シャッタスピード、AGCのゲインなどの撮像条件を設定する信号を含む。
フレームメモリ51は、2次元イメージセンサ431から出力された画像データを一時的に記憶するメモリである。
測色値演算部52は、測色カメラ42が測色対象のパッチ200と基準チャート部400とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られるパッチ200および基準チャート部400の画像データに基づいて、パッチ200の測色値を算出する。測色値演算部52が算出したパッチ200の測色値は、制御用FPGA110を介してCPU101へと送られる。なお、測色値演算部52による処理の具体例については、詳細を後述する。
不揮発性メモリ53は、測色値演算部52がパッチ200の測色値を算出するために必要な各種データを格納する。
タイミング信号発生部54は、測色カメラ42による撮像のタイミングを制御するタイミング信号を生成し、インターフェース部46を介して2次元イメージセンサ431に入力する。
光源駆動制御部55は、照明部426の白色LED光源426aおよび青緑LED光源426bを点灯させるための光源駆動信号を生成し、この光源駆動信号を照明部426に供給して白色LED光源426aおよび青緑LED光源426bの動作を制御する。光源駆動制御部55は、白色LED光源426aと青緑LED光源426bとを交互に点灯させるように制御してもよいし、白色LED光源426aと青緑LED光源426bとを同時に点灯させるように制御してもよい。白色LED光源426aと青緑LED光源426bとを交互に点灯させる場合は、測色値演算部52は、白色LED光源426aが点灯しているときに2次元イメージセンサ431が出力する画像データと、青緑LED光源426bが点灯しているときに2次元イメージセンサ431が出力する画像データとに基づいて、パッチ200の測色値を算出する。また、白色LED光源426aと青緑LED光源426bとを同時に点灯させる場合は、測色値演算部52は、白色LED光源426aと青緑LED光源426bが同時に点灯しているときに2次元イメージセンサ431が出力する画像データに基づいて、パッチ200の測色値を算出する。
<パッチの測色方法の具体例>
次に、図8乃至図14を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100によるパッチ200の測色方法の具体例について詳細に説明する。以下で説明する測色方法は、画像形成装置100が初期状態のとき(製造やオーバーフォールなどによって初期状態となっているとき)に実施される前処理と、画像形成装置100の色調整を行う調整時に実施される測色処理とを含む。
図8は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。図8に示すこれらの処理は、前処理として実施される。前処理では、複数の基準パッチKPが配列形成された基準シートKSが用いられる。基準シートKSの基準パッチKPは、測色カメラ42が備える基準チャート部400のパッチと同等のものである。
まず、基準シートKSの複数の基準パッチKPの測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図8の例では、Lab値とXYZ値の双方)が、それぞれのパッチ番号に対応させて、例えば測色カメラ42の基板423に実装された不揮発性メモリ53などに設けられるメモリテーブルTb1に格納される。基準パッチKPの測色値は、分光器BSなどを用いた測色により事前に得られる値である。基準パッチKPの測色値が既知であれば、その値を用いればよい。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKPの測色値を「基準測色値」という。
次に、基準シートKSがプラテン22上にセットされ、キャリッジ5の移動を制御することで、基準シートKSの複数の基準パッチKPを被写体として、測色カメラ42による撮像が行われる。そして、測色カメラ42の撮像により得られた基準パッチKPのRGB値が、不揮発性メモリ53のメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応して格納される。つまり、メモリテーブルTb1には、基準シートKSに配列形成された複数の基準パッチKPそれぞれの測色値とRGB値が、各基準パッチKPのパッチ番号に対応して格納される。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKPのRGB値を「基準RGB値」という。基準RGB値は、測色カメラ42の特性を反映した値である。
画像形成装置100のCPU101は、基準パッチKPの基準測色値および基準RGB値が不揮発性メモリ53のメモリテーブルTb1に格納されると、同じパッチ番号の基準測色値であるXYZ値と基準RGB値との対に対して、これらを相互に変換する基準値線形変換マトリックスを生成し、不揮発性メモリ53に格納する。メモリテーブルTb1に基準測色値としてLab値のみが格納されている場合は、Lab値をXYZ値に変換する既知の変換式を用いてLab値をXYZ値に変換した後に、基準値線形変換マトリックスを生成すればよい。
また、測色カメラ42が基準シートKSの複数の基準パッチKPを撮像する際には、測色カメラ42に設けられた基準チャート部400も同時に撮像される。この撮像により得られた基準チャート部400の各パッチのRGB値も、パッチ番号に対応させて、不揮発性メモリ53のメモリテーブルTb1に格納される。この前処理によりメモリテーブルTb1に格納された基準チャート部400のパッチのRGB値を「初期基準RGB値」という。図9は、初期基準RGB値の一例を示す図である。図9(a)は初期基準RGB値(RdGdBd)をメモリテーブルTb1に格納した様子を示し、初期基準RGB値と(RdGdBd)ともに、初期基準RGB値(RdGdBd)をLab値に変換した初期基準Lab値(Ldadbd)やXYZ値に変換した初期基準XYZ値(XdYdZd)も対応付けて格納されることを示している。また、図9(b)は基準チャート部400の各パッチの初期基準RGB値をプロットした散布図である。
以上の前処理が終了した後、画像形成装置100は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、CPU101による制御のもとで、主走査モータ8や副走査モータ12、記録ヘッド6を駆動して、記録媒体16を副走査方向に間欠的に搬送させつつ、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、記録ヘッド6からインクを吐出させて、記録媒体16に画像を形成する。このとき、記録ヘッド6からのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化などによって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。そこで、画像形成装置100は、色調整を行う所定のタイミングで、記録媒体16に形成されたパッチ200の測色値を求める測色処理を実施する。そして、測色処理により得られたパッチ200の測色値に基づいてデバイスプロファイルの生成あるいは修正を行って、このデバイスプロファイルに基づいて色調整を行うことにより、出力画像の色再現性を高める。
図10は、測色処理の概要を説明する図である。画像形成装置100は、色調整を行う調整時に、まず、プラテン22上にセットされた記録媒体16上に記録ヘッド6からインクを吐出して、測色対象のパッチ200を形成する。以下、パッチ200が形成された記録媒体16を「調整シートCS」という。この調整シートCSには、画像形成装置100の調整時における出力特性、特に、記録ヘッド6の出力特性を反映したパッチ200が形成されている。なお、測色対象のパッチ200を形成するための画像データは、不揮発性メモリ53などに予め格納されている。
次に、画像形成装置100は、図10に示すように、この調整シートCSがプラテン22上にセットされるか、調整シートCSを作成した段階で排紙することなくプラテン22上に保持された状態において、キャリッジ5の移動を制御して、このプラテン22上の調整シートCSに形成されたパッチ200と対向する位置に測色カメラ42を移動させる。そして、測色カメラ42により、パッチ200と測色カメラ42に設けられた基準チャート部400とを同時に撮像する。測色カメラ42により同時に撮像されたパッチ200および基準チャート部400の画像データは、2次元イメージセンサ431の内部で必要な画像処理が行われた後、フレームメモリ51に一時保管される。以下、測色カメラ42により撮像されてフレームメモリ51に一時保管された画像データのうち、パッチ200の画像データ(RGB値)を「測色対象RGB値」、基準チャート部400のパッチの画像データ(RGB値)を「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」という。「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」は、不揮発性メモリ53などに格納される。
測色カメラ42の測色値演算部52は、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、フレームメモリ51に一時保管された測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理を行う(ステップS10)。初期化測色対象RGB値(RsGsBs)は、測色対象RGB値から、前処理を行った初期状態のときから測色処理を行う調整時に至るまでの間に生じる測色カメラ42の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源426の経時変化や2次元イメージセンサ431の経時変化の影響を排除したものである。
その後、測色値演算部52は、測色対象RGB値から変換された初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、後述する基本測色処理を実行することにより(ステップS20)、測色対象のパッチ200の測色値であるLab値を取得する。
図11は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図であり、図12は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。測色値演算部52は、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理(ステップS10)を行う前に、この変換に用いる基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。すなわち、測色値演算部52は、図11に示すように、画像形成装置100が初期状態のときに前処理として得られた初期基準RGB値(RdGdBd)と、調整時において得られる測色時基準RGB値(RdsGdsBds)とを不揮発性メモリ53から読み出し、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。そして、測色値演算部52は、生成した基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ53に格納する。
図12において、図12(a)で薄く描かれている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図12(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図12(b)に示すように概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように、同じ基準チャート部400のパッチを撮像してもRGB値が変動する要因としては、照明部426の経時変化、2次元イメージセンサ431の経時変化などがある。
このように、測色カメラ42による撮像によって得られるRGB値が変動している状態で、パッチ200を撮像することで得られる測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生する虞がある。そこで、初期基準RGB値RdGdBdと測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で、最小2乗法などの推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色カメラ42でパッチ200を撮像することにより得られる測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを対象として、後述する基本測色処理を実行することで、測色対象のパッチ200の測色値を精度よく取得できるようにしている。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
測色値演算部52は、上述したように、パッチ200の撮像により得られる測色対象RGB値を、基準RGB間線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換した後(ステップS10)、この初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、ステップS20の基本測色処理を行う。
図13および図14は、基本測色処理を説明する図である。測色値演算部52は、まず、前処理において生成して不揮発性メモリ53に格納した基準値線形変換マトリックスを読み出し、基準値線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第1XYZ値に変換し、不揮発性メモリ53に格納する(ステップS21)。図13では、初期化測色対象RGB値(3、200、5)が基準値線形変換マトリックスにより第1XYZ値(20、80、10)に変換された例を示している。
次に、測色値演算部52は、ステップS21で初期化測色対象RGB値(RsGsBs)から変換された第1XYZ値を、既知の変換式を用いて第1Lab値に変換し、不揮発性メモリ53に格納する(ステップS22)。図13では、第1XYZ値(20、80、10)が既知の変換式により第1Lab値(75、−60、8)に変換された例を示している。
次に、測色値演算部52は、前処理において不揮発性メモリ53のメモリテーブルTb1に格納された複数の基準測色値(Lab値)を検索し、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準測色値(Lab値)を持つ複数のパッチ(近傍色パッチ)の組を選択する(ステップS23)。距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、メモリテーブルTb1に格納されたすべての基準測色値(Lab値)に対して、第1Lab値との距離を算出し、第1Lab値に対して距離の近いLab値(図13では、ハッチングの施されているLab値)を持つ複数のパッチを選択するといった方法を用いることができる。
次に、測色値演算部52は、図14に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、ステップS23で選択した近傍色パッチのそれぞれについて、Lab値と対になっているRGB値(基準RGB値)とXYZ値を取り出して、これら複数のRGB値とXYZ値のなかから、RGB値とXYZ値との組み合わせを選択する(ステップS24)。そして、測色値演算部52は、選択した組み合わせ(選択組)のRGB値をXYZ値に変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法などを用いて求め、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ53に格納する(ステップS25)。
次に、測色値演算部52は、ステップS25で生成した選択RGB値線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第2XYZ値に変換する(ステップS26)。さらに、測色値演算部52は、ステップS26で求めた第2XYZ値を、既知の変換式を用いて第2Lab値に変換し(ステップS27)、得られた第2Lab値を、測色対象のパッチ200の最終的な測色値とする。画像形成装置100は、以上の測色処理により得られた測色値に基づいてデバイスプロファイルを生成あるいは修正し、このデバイスプロファイルに基づいて色調整を行うことにより、出力画像の色再現性を高めることができる。
なお、上述した測色カメラ42は、筐体421に基準チャート部400を設けて、センサ部430によって測色対象のパッチ200と基準チャート部400とを同時に撮像する構成となっている。しかし、上述したように、基準チャート部400を撮像することで得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、測色対象のパッチ200を撮像することで得られる測色対象RGB値に対して、測色カメラ42の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源426の経時変化や2次元イメージセンサ431の経時変化の影響を排除するために用いられる。つまり、基準チャート部400の撮像により得られる初期基準RGB値や測色時基準RGB値は、上述した基準RGB間線形変換マトリックスを算出し、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換するために用いられる。
したがって、要求される測色の精度に対して測色カメラ42の撮像条件の経時変化が無視できるレベルであれば、基準チャート部400が省略された構成の測色カメラ42を用いてパッチ200の測色値を算出するようにしてもよい。また、測色カメラ42の代わりに、光源と色別の感度を持った複数の受光素子とを備える単純な構成の反射型測色装置により、パッチ200の測色値を算出することもできる。これらの場合、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値に変換する処理(図10のステップS10)が省略され、測色対象RGB値を対象として、基本測色処理(図10のステップS20、図12および図13)が行われる。
<反射型測色装置の具体例>
図15−1および図15−2は、反射型測色装置30の機械的構成の一例を示す図であり、図15−1は、反射型測色装置30の縦断面図、図15−2は、反射型測色装置30の底面図である。
反射型測色装置30は、図15−1に示すように、キャリッジ5に固定される基板31上に、照明部32と、受光部33と、遮光壁34とが搭載された構成である。照明部32は、図15−2に示すように、白色LED光源32aと青緑LED光源32bとを組み合わせて構成される。また、受光部33は、分光感度(RGBの感度)の異なる複数の受光素子33a,33b,33cを組み合わせて構成される。図15−2の例では、受光部33は、Rの感度が高い受光素子33aと、Gの感度が高い受光素子33bと、Bの感度が高い受光素子33cとの組み合わせで構成されている。なお、これら受光素子33a,33b,33cのほかに、グレー、シアン、オレンジ等の他の色の分光感度を有する受光素子をさらに組み合わせて受光部33を構成してもよい。
反射型測色装置30は、図15−1中の矢印で示すように、記録媒体16に形成されたパッチ200に対して、照明部32からの照明光を照射し、パッチ200で反射された反射光を受光部33に入射させることにより、パッチ200の色データを取得する。遮光壁34は、照明部32と受光部33のそれぞれを囲む状態で基板31上に配設され、外光の影響を遮断するとともに、照明部32からの照明光が直接受光部33に入射するのを防止(迷光を遮断)する機能を持つ。
図16は、反射型測色装置30の制御機構の概略構成を示すブロック図である。反射型測色装置30は、照明部32や受光部33のほかに、アンプ35、AD変換部36、測色値演算部37、不揮発性メモリ38、および光源駆動制御部39を備える。
受光部33の各受光素子33a,33b,33cは、受光光量に応じたRGB信号を出力する。受光素子33a,33b,33cから出録されたRGB信号は、アンプ35により増幅された後、AD変換部36によりデジタル値に変換されて測色値演算部37に入力される。測色値演算部37は、測色カメラ42の測色値演算部52と同様に、不揮発性メモリ38を用いて、パッチ200の測色値を算出する。ただし、上述した測色方法における測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値に変換する処理(図10のステップS10)が省略され、測色対象RGB値を対象として、基本測色処理(図10のステップS20、図12および図13)が行われる。また、光源駆動制御部39は、測色カメラ42の光源駆動制御部55と同様に、照明部32の白色LED光源32aおよび青緑LED光源32bの動作を制御する。
<照明部の詳細>
次に、測色カメラ42の照明部426の詳細について説明する。なお、以下では測色カメラ42の照明部426についての説明であるが、上述した反射型測色装置30の照明部32についても同様に、以下の説明は当てはまる。
照明部426は、上述したように、白色LED光源426aと青緑LED光源426bを組み合わせて構成される。白色LED光源426aと青緑LED光源426bを組み合わせる理由は、白色LED光源426aによる照明だけでは2次元イメージセンサ431の出力が適切に得られない波長範囲の出力を、青緑LED光源426bによる照明によって補うためである。
図17は、白色LED光源426aの一例を示す断面図である。白色LED光源426aは、例えば、500×500μmのGaN系青色LED素子501(発光波長:450nm前後)をプリント基板502上に実装し、GaN系青色LED素子501の周囲に黄色の蛍光体503を塗布した構成であり、青色と黄色により擬似的に白色光が出るように調整されている(擬似白色LEDとも呼ばれる)。GaN系青色LED素子501からの光は、一部が反射板504で反射され、擬似的な白色光として外部に取り出される。なお、白色LED光源426aは略白色が発光できればよく、必ずしもGaN系青色LED素子501を用いた構成でなくてもよい。
図18は、白色LED光源426aの発光強度分布を示す図であり、横軸が波長、縦軸が最も高い発光強度を1としたときの相対発光強度を示している。図18に示すように、白色LED光源426aの発光強度分布は、ベースとなる青色LED素子501の発光波長である450nm前後に発光強度の大きなピークを持つほか、黄色の蛍光体503が塗布されていることにより550nm付近の波長でも発光強度のピークを持つ。このように、白色LED素子426aは、人間の可視光範囲として知られる380nm〜780nmの波長範囲において、複数のピーク波長を有する擬似的な白色光を発光する。しかし、擬似的な白色光は、相対発光強度が低くなる波長範囲があるため(図18の例では波長500nm付近)、白色LED光源426aのみを用いた照明では、照明された対象物の再現性を表す演色性が十分でない。
図19は、2次元イメージセンサ431(ここではCMOSセンサ)の分光感度を示す図であり、横軸が波長、縦軸が最も高い感度を1としたときの相対感度を示している。また、図20は、図18に示した白色LED光源426aの発光強度分布と図19に示した2次元イメージセンサ431の分光感度とを掛け合わせた総合分光感度を示す図であり、横軸が波長、縦軸が総合分光感度を示している。総合分光感度は、光源とセンサの双方の特性を反映しており、2次元イメージセンサ431の出力のS/Nと相関がある。つまり、2次元イメージセンサ431の出力は、総合分光感度が高い波長範囲のS/Nが相対的に高くなり、総合分光感度が低い波長範囲のS/Nが相対的に低くなる。
照明部426として白色LED光源426aのみを用いた場合、白色LED光源426aは波長500nm付近で相対発光強度が低下する特性があるため(図18参照)、図20に示すように、波長500nm付近の波長範囲で総合分光感度が低くなる。つまり、波長500nm付近において、総合分光感度が0.1以下(所定値以下)となっている。したがって、照明部426として白色LED光源426aのみを用いた場合は、波長500nm付近の波長範囲で2次元イメージセンサ431の出力のS/Nが低下することとなり、この波長範囲の色を有するパッチ200の測色精度が低下する虞がある。そこで、本実施形態では、波長500nm付近の波長範囲にピーク波長を持つ青緑LED光源426bを、白色LED光源426aと組み合わせて、照明部426を構成している。なお、440nm以下の波長範囲や640以上の波長範囲においても総合分光感度は0.1以下(所定値以下)となっているが、これらの範囲はパッチ200の測色にほとんど影響を与えないため、無視してよい。
図21は、青緑LED光源426bの発光強度分布を示す図であり、横軸が波長、縦軸が最も高い発光強度を1としたときの相対発光強度を示している。図21に示すように、青緑LED光源426bは500nm付近に発光強度のピークを持つ光源である。つまり、青色LED光源426bは、図20に示した総合分光感度が0.1(所定値)以下となる波長範囲にピーク波長を持つ光源である。したがって、この青緑LED光源426bを白色LED光源426aと組み合わせて照明部426を構成することで、2次元イメージセンサ431の出力のS/Nを改善し、パッチ200の測色精度を高めることができる。
図22は、図21に示した青緑LED光源426bの発光強度分布と図19に示した2次元イメージセンサ431の分光感度とを掛け合わせた総合分光感度を示す図であり、横軸が波長、縦軸が総合分光感度を示している。また、図23は、白色LED光源426aと青緑LED光源426bを組み合わせた照明部426を用いた場合の総合分光感度を示す図であり、図20に示した総合分光感度と図22に示した総合分光感度とを足し合わせたものである。
図23に示すように、白色LED光源426aと青緑LED光源426bを組み合わせた照明部426を用いることで、白色LED光源426aのみを用いた場合(図20参照)と比較して、特に500nm付近の総合分光感度が向上し、パッチ200の測色精度を高められることが分かる。
なお、本実施形態では、図20に示した総合分光感度が得られる白色LED光源426aとの組み合わせで、図21に示した発光強度分布を有する青緑LED光源426bを用いている。しかし、白色LED光源426aの発光強度分布や2次元イメージセンサ431の分光感度が異なれば、上述した総合分光感度の値も異なったものとなる。このため、白色LED光源426aと組み合わせる光源は、組み合わせにより得られる総合分光感度に応じて決定すればよい。つまり、白色LED光源426aの発光強度分布と2次元イメージセンサ431の分光感度とを掛け合わせた総合分光感度が所定値以下となる波長域にピーク波長を持つ光源を、白色LED光源426aと組み合わせて照明部426を構成すればよい。
白色LED光源426aと青緑LED光源426bを組み合わせて照明部426を構成した場合、この照明部426による照明方法としては、以下の2つの方法が考えられる。1つは、白色LED光源426aと青緑LED光源426bとを交互に点灯させる方法(以下、個別点灯と呼ぶ。)である。もう1つは、白色LED光源426aと青緑LED光源426bを同時に点灯させる方法(以下、同時点灯と呼ぶ。)である。
個別点灯の場合は、例えば、まず白色LED光源426aを点灯させて、2次元イメージセンサ431からR,G,Bの3バンドのデータを取得する。次に青緑LED光源426bを点灯させて、2次元イメージセンサ431からBの1バンドのデータ(以下、白色LED光源426aの点灯時のBと区別してB’と表記する。)を取得する。そして、R,G,B,B’の4バンドのデータを用いて、パッチ200の測色値の算出を行う。この場合、上述した測色方法の具体例において、RGB値をR,G,B,B’の4バンドのデータとして扱う。すなわち、上述した基準RGB値、初期基準RGB値、測色対象RGB値、測色時基準RGB値、初期化測色対象RGB値がそれぞれ、R,G,B,B’の4バンドのデータとなる。
個別点灯の場合は、1つのパッチ200の測色値を算出するために2回の照明が必要となるため、処理時間が長くなる。また、RGB値を4バンドのデータとして扱うことにより、パッチ200の測色値を算出する測色値演算部52の計算量が増えることになる。しかし、測色値を算出するための情報量が増えるため、測色精度の向上が期待できる。なお、ここでは、青緑LED光源426bを点灯させたときの2次元イメージセンサ431の出力のうちBのデータB’を用いて4バンドのデータとしたが、青緑LED光源426bを点灯させたときの2次元イメージセンサ431の出力のうちGのデータG’を用いて4バンドのデータとしてもよい。
同時点灯の場合は、白色LED光源426aと青緑LED光源426bとを同時に点灯させて、2次元イメージセンサ431からR,G,Bの3バンドのデータを取得する。そして、R,G,Bの3バンドのデータを用いて、パッチ200の測色値の算出を行う。同時点灯の場合は、個別点灯の場合よりも、処理時間の短縮および測色演算部52の負荷削減が期待できる。
以上のように、本実施形態の測色カメラ42では、測色対象のパッチ200および基準チャート部400の撮像時に、これらパッチ200および基準チャート部400を照明する照明部426として、白色LED光源426aと青緑LED光源426bを組み合わせたものを用いる。青緑LED光源426bは、白色LED光源426aの発光強度分布と2次元イメージセンサ431の分光感度とを掛け合わせた総合分光感度が所定値以下の波長範囲にピーク波長を持つ光源である。したがって、白色LED光源426aのみを用いた場合に2次元イメージセンサ431の出力のS/Nが十分でない波長範囲において、青緑LED光源426bにより出力を補ってS/Nを改善させることができ、パッチ200の測色精度を高めることができる。
カラー入力系の分光特性評価法の1つとしてνファクタが知られている(下記の参考文献を参照)。νファクタは0〜1の間の値をとり、1に近づくほどカラー入力系(本実施形態では測色カメラ42)の分光特性が優れていることを示す。
参考文献:画像電子学会編,河村尚登+小野文孝監修,「カラーマネジメント技術 拡張色空間とカラーアピアランス」,東京電機大学出版局,p.50−52,「3.3.2 カラー入力系の品質評価指数」
図24は、照明部426に白色LED光源426aのみを用いた場合と、白色LED光源426aと青緑LED光源426bの組み合わせを用いた場合のそれぞれでνファクタを計算した結果を示す図である。図中の白抜きの棒グラフが、白色LED光源426aのみを用いた場合のνファクタを示し、ハッチングを施した棒グラフが、白色LED光源426aと青緑LED光源426bの組み合わせを用いた場合のνファクタを示している。νファクタの計算には、上記の参考文献のp.52に記載されている式(3.25)を用いた。なお、ここでは、白色LED光源426aとして製造元が異なる2つの白色LEDを想定し、それぞれの白色LEDについて、白色LEDのみを用いた場合のνファクタ、および、青緑LED光源426bを組み合わせた場合のνファクタの計算結果を、図中の左右に分けて示している。
図24に示すように、製造元が異なる2つの白色LEDの双方とも、白色LEDのみを用いた場合よりも青緑LEDと組み合わせて用いた場合の方がνファクタが高くなっている。この結果から、測色カメラ42の照明部426として、白色LED光源426aのみを用いた場合よりも、白色LED光源426aと青緑LED光源426bの組み合わせを用いた方が、測色カメラ42の分光特性が向上し、パッチ200の測色精度を高められることが確認できた。
<測色カメラの変形例>
次に、測色カメラ42の変形例について説明する。以下では、第1変形例の測色カメラ42を測色カメラ42Aと表記し、第2変形例の測色カメラ42を測色カメラ42Bと表記し、第3変形例の測色カメラ42を測色カメラ42Cと表記し、第4変形例の測色カメラ42を測色カメラ42Dと表記し、第5変形例の測色カメラ42を測色カメラ42Eと表記し、第6変形例の測色カメラ42を測色カメラ42Fと表記する。なお、各変形例において、上述した測色カメラ42と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
<第1変形例>
図25は、第1変形例の測色カメラ42Aの縦断面図であり、図4−1に示した測色カメラ42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第1変形例の測色カメラ42Aでは、筐体421の底面部421aに、測色対象のパッチ200を撮像するための開口部425とは別の開口部427が設けられている。そして、この開口部427を筐体421の外側から閉塞するように、チャート板410が配置されている。つまり、上述した測色カメラ42では、チャート板410が筐体421の底面部421aのセンサ部430と対向する内面側に配置されていたのに対して、第1変形例の測色カメラ42Aでは、チャート板410が筐体421の底面部421aの記録媒体16と対向する外面側に配置されている。
具体的には、例えば、筐体421の底面部421aの外面側に、チャート板410の厚みに相当する深さの凹部が、開口部427と連通するように形成されている。そして、この凹部内に、チャート板410が、基準チャート部400が形成された面をセンサ部430側に向けて配置されている。チャート板410は、例えば、その端部が開口部427の端縁近傍にて接着剤などにより筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されている。
以上のように構成される第1変形例の測色カメラ42Aでは、基準チャート部400が形成されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側に配置することにより、上述した測色カメラ42に比べて、センサ部430からパッチ200までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差が小さくなる。したがって、センサ部430の被写界深度が比較的浅い場合でも、パッチ200と基準チャート部400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。
<第2変形例>
図26は、第2変形例の測色カメラ42Bの縦断面図であり、図4−1に示した測色カメラ42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第2変形例の測色カメラ42Bでは、第1変形例の測色カメラ42Aと同様に、筐体421の底面部421aの外面側にチャート板410が配置されている。ただし、第1変形例の測色カメラ42Aでは、チャート板410が接着剤などによって筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されていたのに対して、第2変形例の測色カメラ42Bでは、チャート板410が筐体421に対して着脱可能に保持されている。
具体的には、例えば、第1変形例の測色カメラ42Aと同様に、筐体421の底面部421aの外面側に開口部427と連通する凹部が形成され、この凹部内にチャート板410が配置されている。また、第2変形例の測色カメラ42Bは、凹部内に配置されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側から押さえ込んで保持する保持部材428を備える。保持部材428は、筐体421の底面部421aに対して取り外し可能に装着されている。したがって、第2変形例の測色カメラ42Bでは、保持部材428を筐体421の底面部421aから取り外すことにより、チャート板410を取り出すことができる。
以上のように、第2変形例の測色カメラ42Bでは、チャート板410が筐体421に対して着脱可能に保持され、チャート板410を取り出すことができるので、基準チャート部400の汚れなどによりチャート板410が劣化した場合に、チャート板410を交換する作業を簡単に行うことができる。また、上述したシェーディング補正部452が照明光源426による照度ムラを補正するためのシェーディングデータを得る際に、チャート板410を取り出して代わりに白基準板を配置し、この白基準板をセンサ部430で撮像すれば、シェーディングデータの取得を簡便に行うことができる。
<第3変形例>
図27は、第3変形例の測色カメラ42Cの縦断面図であり、図4−1に示した測色カメラ42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第3変形例の測色カメラ42Cでは、筐体421に、底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cが設けられており、この開口部425Cを介してパッチ200の撮像を行う。すなわち、上述した測色カメラ42では、測色対象のパッチ200に向かう外光を筐体421により遮断して、パッチ200が照明光源426からの照明光のみによって照明されるようにするために、パッチ200を撮像するための開口部425を、筐体421の底面部421aのみで開口するように設けていた。これに対して、第3変形例の測色カメラ42Cは、外光の入り込まない環境に配置されることを前提として、筐体421の底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cが設けられている。
例えば、図1に示したように、カバー部材2を閉じた状態の外装体1は、その内部を外光の入り込まない環境とすることができる。測色カメラ42Cは、外装体1の内部に配置されたキャリッジ5に搭載されるので、外光の入り込まない環境に配置することができる。したがって、筐体421の底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cを設けた構成であっても、照明光源426からの照明光のみによってパッチ200を照明することができる。
以上のように、第3変形例の測色カメラ42Cは、底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cが設けられているので、筐体421を軽量化することができ、消費電力の削減を図ることができる。
<第4変形例>
図28−1は、第4変形例の測色カメラ42Dの縦断面図であり、図4−1に示した測色カメラ42の縦断面図と同じ位置の断面図である。また、図28−2は、筐体421の底面部421aを図28−1中のX3方向から見た平面図である。なお、図28−2では、筐体421の底面部421aにおける照明光源426の垂直投影位置(底面部421aに対して垂直に見下ろしたときに投影される位置)を破線で示している。
第4変形例の測色カメラ42Dでは、筐体421の底面部421aにおいて、センサ部430から該底面部421aに対して垂直に下ろした垂線上(つまり、センサ部430の光軸中心)に位置して開口部425Dが設けられ、この開口部425Dを介して測色対象のパッチ200の撮像を行う。すなわち、第4変形例の測色カメラ42Dでは、筐体421の外部のパッチ200を撮像するための開口部425Dが、センサ部430の撮像範囲において略中心に位置するように設けられている。
また、第4変形例の測色カメラ42Dでは、基準チャート部400が形成されたチャート板410Dが、開口部425Dの周囲を取り囲むように、筐体421の底面部421aに配置されている。例えば、チャート板410Dは、開口部425Dを中心とする円環状に形成され、基準チャート部400が形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。
また、第4変形例の測色カメラ42Dでは、照明光源426として、筐体421の側壁を構成する枠体422の内周側の4隅に配置された4つのLEDを用いる。照明光源426として用いるこれら4つのLEDは、例えば、センサ部430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装されている。照明光源426として用いる4つのLEDをこのように配置することにより、測色対象のパッチ200と基準チャート部400とを、概ね同一の条件にて照明することができる。
以上のように構成される第4変形例の測色カメラ42Dでは、筐体421の外部の被写体(パッチ200)を撮像するための開口部425Dを、筐体421の底面部421aにおけるセンサ部430からの垂線上に設け、さらにその開口部425Dの周囲を取り囲むように、基準チャート部400が形成されたチャート板410Dを配置しているので、測色対象のパッチ200および基準チャート部400の撮像を適切に行うことができる。
<第5変形例>
図29は、第5変形例の測色カメラ42Eの縦断面図であり、図4−1に示した測色カメラ42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第5変形例の測色カメラ42Eでは、第4変形例の測色カメラ42Dと同様に、照明光源426として、枠体422の内周側の4隅に配置された4つのLEDを用いる。ただし、第5変形例の測色カメラ42Eでは、測色対象のパッチ200や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しないように、照明光源426として用いるこれら4つのLEDを、第4変形例の測色カメラ42Dと比べて、より筐体421の底面部421aに近い位置に配置している。
センサ部430の2次元イメージセンサ431のセンサ面において、照明光源426の正反射光が入射する位置は、画素値が飽和するために正確な情報が得られない場合がある。このため、測色対象のパッチ200や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射する位置に照明光源426が配置されていると、パッチ200の測色に必要な情報が得られなくなることが懸念される。そこで、第5変形例の測色カメラ42Eでは、図29に示すように、照明光源426として用いるこれら4つのLEDを筐体421の底面部421aに近い位置に配置することで、測色対象のパッチ200や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しないようにしている。なお、図29中の一点鎖線の矢印は、正反射光の光路をイメージしたものである。
以上のように、第5変形例の測色カメラ42Eでは、測色対象のパッチ200や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置しているので、2次元イメージセンサ431のセンサ面においてパッチ200や基準チャート部400の光学像が結像する位置の画素値が飽和することを有効に抑制し、パッチ200および基準チャート部400の撮像を適切に行うことができる。
なお、第5変形例の測色カメラ42Eでは、第4変形例の測色カメラ42Dと同様の開口部425Dやチャート板410Dを有する構成において、測色対象のパッチ200や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置する例を説明した。ただし、上述した測色カメラ42、第1変形例の測色カメラ42A、第2変形例の測色カメラ42B、第3変形例の測色カメラ42Cの構成において、測色対象のパッチ200や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置するようにしてもよい。この場合も、第5変形例の測色カメラ42Eと同様の効果を得ることができる。
<第6変形例>
図30は、第6変形例の測色カメラ42Fの縦断面図であり、図4−1に示した測色カメラ42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第6変形例の測色カメラ42Fでは、筐体421の内部に、光路長変更部材440が配置されている。光路長変更部材440は、光を透過する屈折率n(nは任意の数)の光学素子である。光路長変更部材440は、筐体421の外部の被写体(測色対象のパッチ200)とセンサ部430との間の光路中に配置され、パッチ200の光学像の結像面を基準チャート部400の光学像の結像面に近づける機能を持つ。つまり、第6変形例の測色カメラ42Fでは、測色対象のパッチ200とセンサ部430との間の光路中に光路長変更部材440を配置することによって、筐体421の外部のパッチ200の光学像の結像面と、筐体421の内部の基準チャート部400の結像面とを、ともにセンサ部430の2次元イメージセンサ431のセンサ面に合わせるようにしている。なお、図30では、光路長変更部材440を筐体421の底面部421a上に載置した例を図示しているが、光路長変更部材440は必ずしも底面部421a上に載置する必要はなく、筐体421の外部のパッチ200とセンサ部430との間の光路中に配置されていればよい。
光路長変更部材440を光が通過すると、光路長変更部材440の屈折率nに応じて光路長が延び、画像が浮き上がって見える。画像の浮上がり量Cは、光路長変更部材440の光軸方向の長さをLpとすると、以下の式で求めることができる。
C=Lp(1−1/n)
また、センサ部430の結像レンズ432の主点と基準チャート部400との間の距離をLcとすると、結像レンズ432の主点と光路長変更部材440を透過する光学像の前側焦点面(撮像面)との間の距離Lは、以下の式で求めることができる。
L=Lc+Lp(1−1/n)
ここで、光路長変更部材440の屈折率nを1.5とした場合、L=Lc+Lp(1/3)となり、光路長変更部材440を透過する光学像の光路長を光路長変更部材440の光軸方向の長さLpの約1/3だけ長くすることができる。この場合、例えばLp=9[mm]とすれば、L=Lc+3[mm]となるので、センサ部430から基準チャート部400までの距離とパッチ200までの距離との差が3mmとなる状態で撮像すれば、基準チャート部400の光学像の後側焦点面(結像面)と、パッチ200の光学像の後側焦点面(結像面)とを、ともにセンサ部430の2次元イメージセンサ431のセンサ面に合わせることができる。
以上のように構成される第6変形例の測色カメラ42Fでは、測色対象のパッチ200とセンサ部430との間の光路中に光路長変更部材440を配置することで、パッチ200の光学像の結像面を基準チャート部400の光学像の結像面に近づけるようにしているので、パッチ200と基準チャート部400の双方に焦点の合った適切な画像を撮像することができる。
<パッチの測色方法の変形例>
次に、図31乃至図36を参照しながら、パッチ200の測色方法の変形例について説明する。図31は、測色対象のパッチ200と基準チャート部400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図32は、パッチ200の測色方法の変形例を説明する図である。図33は、Lab値とXYZ値との変換を行う変換式を示す図である。図34は、パッチ200の測色の手順を示すフローチャートである。図35は、パッチ200の測色の手順の他の例を示すフローチャートである。図36は、標準の各パッチのLab値に対応するRGB値を特定する方法を説明する図である。
パッチ200の測色を行う場合は、まず、複数のパッチ200を含むテストパターンが形成された記録媒体16がプラテン22上にセットされる。そして、記録媒体16の副走査方向への間欠的な搬送と、キャリッジ5の主走査方向への移動とにより、測色カメラ42を測色対象の各パッチ200と対向する位置に順次移動させる。測色カメラ42のセンサ部430は、測色カメラ42がパッチ200と対向する位置となったときに、当該パッチ200を筐体421内に配置されたチャート板410上の基準チャート部400とともに撮像する。その結果、例えば図31に示すようなパッチ200および基準チャート部400を含む画像データが取得される。センサ部430の撮像範囲は、基準チャート部400を撮像する基準チャート撮像領域と、測色対象の被写体であるパッチ200を撮像する被写体撮像領域とを有している。基準チャート撮像領域に対応する画素から出力される画像データが基準チャート部400の画像データとなり、被写体撮像領域に対応する画素から出力される画像データがパッチ200の画像データとなる。
センサ部430により撮像されたパッチ200および基準チャート部400の画像データは、2次元イメージセンサ431の内部で必要な画像処理が行われた後、フレームメモリ51に格納される。そして、測色値演算部52が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、パッチ200の測色値を算出する。
測色値演算部52は、まず、フレームメモリ51から読み出した画像データから、基準チャート部400の距離計測用ライン(主走査・副走査距離基準線)405の四隅にあるチャート位置特定用マーカ407の位置を、パターンマッチング等により特定する。これにより、画像データにおける基準チャート部400の位置を特定することができる。基準チャート部400の位置を特定した後は、基準チャート部400の各パッチの位置を特定する。
次に、測色値演算部52は、基準チャート部400の各パッチの画像データ(RGB値)を用いて、測色対象となるパッチ200の画像データ(RGB値)を、Lab色空間における表色値であるLab値に変換する。以下、この変換の具体的な手法について詳細に説明する。
図32(c)は、図5に示した基準チャート部400の1次色(YMC)の基準パッチ列401および2次色(RGB)の基準パッチ列402の各パッチのLab値を、Lab色空間上にプロットしたものである。なお、これら各パッチのLab値は、予め計測されており、例えば測色カメラ42の基板423に実装された不揮発性メモリ53などに記憶されている。
図32(a)は、図5に示した基準チャート部400の1次色(YMC)の基準パッチ列401および2次色(RGB)の基準パッチ列402の各パッチのRGB値(撮像によって得られる画像データ)を、RGB色空間上にプロットしたものである。
図32(b)は、図32(c)に示すLab値を、所定の変換式を用いてXYZ値に変換し、その変換したXYZ値を、XYZ色空間上にプロットしたものである。Lab値をXYZ値に変換する場合、図33(b)に示す変換式(Lab⇒XYZ)により変換することができる。また、XYZ値をLab値に変換する場合、図33(a)に示す変換式(XYZ⇒Lab)により変換することができる。つまり、図32(c)に示すLab値と図32(b)に示すXYZ値は、図33(a),(b)に示す変換式を用いて相互に変換することができる。
ここで、図34のフローチャートに沿って、図31に示す被写体撮像領域内から得られた測色対象のパッチ200のRGB値をLab値に変換する手順を説明する。測色対象のパッチ200のRGB値が、図32(a)に示すRGB色空間上のPrgb点にあったとする。この場合、まず、図31に示す基準チャート部400の各パッチのRGB値のうち、Prgb点を含む4面体を作ることができる最近傍の4点を検索する(ステップS1)。図32(a)の例では、p0,p1,p2,p3の4点が選択される。ここで、図32(a)に示すRGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3の各座標値を、p0(x01,x02,x03),p1(x1,x2,x3),p2(x4,x5,x6),p3(x7,x8,x9)とする。
次に、図32(a)に示すRGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3に対応する図32(b)に示すXYZ色空間上の4点q0,q1,q2,q3を検索する(ステップS2)。XYZ色空間上の4点q0,q1,q2,q3の各座標値を、q0(y01,y02,y03),q1(y1,y2,y3),q2(y4,y5,y6),q3(y7,y8,y9)とする。
次に、この4面体内の局所空間を線形変換する線形変換マトリックスを求める(ステップS3)。具体的には、RGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3のうち、任意の対応点の対を決定し(本実施形態では、無彩色に最も近いp0,q0とする)、この対応点(p0,q0)を原点とする(p1〜p3、q1〜q3の座標値は、p0,q0からの相対値となる)。
図32(a)に示すRGB色空間と図32(b)に示すXYZ色空間との空間間の変換式をY=AXと線形変換できると仮定すると、下記式(1)のように表される。
ここで、p1→q1、p2→q2、p3→q3に写像されるとすると、各係数aは、下記式(2)〜(10)のように求めることができる。
次に、この線形変換マトリックス(Y=AX)を使って、図32(a)に示すRGB色空間上の測色対象のパッチ200のRGB値であるPrgb点(座標値は(Pr,Pg,Pb))を図32(b)に示すXYZ色空間上に写像する(ステップS4)。ここで得られたXYZ値は、原点q0からの相対値であるため、測色対象のパッチ200のRGB値Prgbに対応する実際のXYZ値Pxyz(座標値は(Px,Py,Pz))は、原点q0(y01,y02,y03)からのオフセット値として、下記式(11)〜(13)のようになる。
次に、以上のように求めたパッチ200のXYZ値Pxyzを、図33(a)に示した変換式によってLab値に変換し、測色対象のパッチ200のRGB値Prgbに対応するLab値を求める(ステップS5)。これにより、センサ部430の感度が変わったり、照明光源426の波長や強度が変化したりした場合でも、測色対象のパッチ200の測色値を正確に求めることができ、高精度の測色を行うことができる。
なお、上述した処理動作で使用した図32(c)は、図5に示した基準チャート部400の1次色(YMC)の基準パッチ列401および2次色(RGB)の基準パッチ列402の各パッチのLab値を、Lab色空間上にプロットしたものである。図5に示した基準チャート部400は、測色カメラ42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上に形成されるため、基準チャート部400を構成するパッチの数が制限されることになる。このため、標準のパッチの中から選別した一部のパッチを用いて、図5に示した基準チャート部400を構成することになる。例えば、Japan Colorは928色あり、その928色の中から選択した一部(例えば72色)を用いて、図5に示す基準チャート部400を構成することになる。しかし、標準のパッチの中から選択された一部のパッチのみを用いて測色を行う場合、測色の精度の低下が懸念される。そこで、基準チャート部400を構成するパッチのRGB値から標準のパッチのRGB値を類推し、標準のパッチのRGB値を用いて測色対象のパッチ200の測色を行うことが望ましい。
具体的には、標準のパッチのLab値を記憶しておき、図35に示すように、撮像により得られた基準チャート部400の各パッチのRGB値を基に、標準の各パッチに対応するRGB値を特定し(ステップS0)、その特定した標準の各パッチのRGB値を基に、測色対象のパッチ200のRGB値を内包する4点の検索を行う(ステップS1’)。
図36に示すように、基準チャート部400の各パッチのRGB値(a)と、その基準チャート部400の各パッチのLab値(b)とは、変換式αで対応しているため(b=a×α)、基準チャート部400を構成する各パッチのRGB値を基に、変換式αを算出する。また、基準チャート部400の各パッチのLab値は、標準の各パッチのLab値の一部であるため、標準の各パッチのRGB値(A)と、標準の各パッチのLab値(B)とは、上記変換式αで対応することになる(B=A×α)。このため、上記算出した変換式αを基に、標準の各パッチのLab値に対応するRGB値を特定することができる。これにより、基準チャート部400の各パッチのRGB値を基に、標準の各パッチのLab値に対応するRGB値を特定することができる。
次に、標準の各パッチのLab値に対応するXYZ値を基に、測色対象のパッチ200のRGB値を内包する4点のパッチに対応するXYZ値を検索する(ステップS2’)。
次に、ステップS2’で検索した4点のパッチに対応するXYZ値を基に、線形変換マトリックスを算出し(ステップS3’)、その算出した線形変換マトリックスを基に、測色対象のパッチ200のRGB値をXYZ値に変換する(ステップS4’)。次に、ステップS4’で変換したXYZ値を上述した変換式を用いてLab値に変換する(ステップS5’)。これにより、標準の各パッチのRGB値やXYZ値を基に、測色対象のパッチ200のLab値を得ることができ、パッチ200の測色を高精度に行うことができる。なお、標準のパッチとしては、Japan Colorに限定されるものではなく、例えば米国で使用しているSWOPや欧州で使用しているEuro Press等の標準色を使用することも可能である。
<その他の変形例>
上述した実施形態では、パッチ200の測色値を算出する機能を測色カメラ42に持たせるようにしているが、測色カメラ42の外部でパッチ200の測色値を算出するようにしてもよい。例えば、画像形成装置100のメイン制御基板120に実装されたCPU101や制御用FPGA110が、測色対象のパッチ200の測色値を算出するように構成することができる。この場合、測色カメラ42は、パッチ200の測色値の代わりに、パッチ200と基準チャート部400とを同時に撮像することで得られる画像データをCPU101や制御用FPGA110に送る構成となる。
また、上述した実施形態では、測色カメラ42が画像形成装置100の機構を利用してテストパターンに含まれる各パッチ200と対向する位置に移動するようにしているが、測色カメラ42を画像形成装置100から分離して、独自の移動機構によりテストパターンに含まれる各パッチ200と対向する位置に移動する構成としてもよい。つまり、上述した実施形態は、画像形成装置100に測色装置としての機能を持たせた例であるが、測色装置を画像形成装置100とは異なる独立した装置として構成し、この測色装置により、画像形成装置100が形成したテストパターンに含まれるパッチ200の測色値を算出するようにしてもよい。
また、上述した実施形態では、パッチ200の測色値を算出する機能を、測色カメラ42を含む画像形成装置100に持たせるようにしているが、パッチ200の測色値の算出は、必ずしも画像形成装置100内部で実行する必要はない。例えば、図37に示すように、画像形成装置100と外部装置500とが通信可能に接続された画像形成システム(測色システム)を構築し、パッチ200の測色値を算出する測色値演算部52の機能を外部装置500に持たせて、外部装置500において測色値の算出を行うようにしてもよい。つまり、測色システムは、画像形成装置100に設けられた測色カメラ42と、外部装置500に設けられた測色値演算部52と、これら測色カメラ42と測色値演算部52(画像形成装置100と外部装置500)とを接続する通信手段600と、を備えた構成となる。外部装置500は、例えば、DFE(Digital Front End)と呼ばれるコンピュータを用いることができる。また、通信手段600は、有線や無線によるP2P通信のほか、LANやインターネットなどのネットワークを利用した通信などを利用することができる。
上記の構成の場合、例えば、画像形成装置100は、測色カメラ42で撮像したパッチ200などの被写体と基準チャート部400とを含む画像データを、通信手段600を利用して外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを用いてパッチ200の測色値を算出し、算出したパッチ200の測色値に基づいて、画像形成装置100の特性を記述したデバイスプロファイルを生成あるいは修正する。そして、外部装置500は、このデバイスプロファイルを、通信手段600を利用して画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信したデバイスプロファイルを保持し、画像形成を行う際には、このデバイスプロファイルに基づいて画像データを補正し、補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
また、外部装置500が、パッチ200の測色値に基づいて生成した画像形成装置100のデバイスプロファイルを保持し、外部装置500において画像データの補正を行うようにしてもよい。すなわち、画像形成装置100は、画像形成を行う際に、画像データを外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを、自身が保持する画像形成装置100のデバイスプロファイルに基づいて補正し、補正した画像データを画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信した補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
なお、上述した本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能をソフトウェアにより実現する場合は、画像形成装置100や測色装置が備えるプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、例えば、画像形成装置100や測色装置内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。