以下に添付図面を参照して、この発明に係る撮像装置、測色装置および画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタを例示するが、本発明は、記録媒体に画像を出力する様々なタイプの画像形成装置に対して広く適用可能である。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動して、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体16に対して画像を形成するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッド6y、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッド6m、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッド6c、およびブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッド6k(以下、記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。)が搭載されている。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体16側)に向くように、キャリッジ5に搭載されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ41がエンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構21を備える。維持機構21は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン板22が設けられている。プラテン板22は、記録ヘッド6から記録媒体16上にインクを吐出する際に、記録媒体16を支持するためのものである。本実施形態に係る画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン板22は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体16は、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン板22上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、複数のノズル列を備えており、プラテン板22上を搬送される記録媒体16上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体16に画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で記録媒体16に形成できる画像の幅を多く確保するため、図3に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図3に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図3に示す配列に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16を副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体16の副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン板22上の記録媒体16上にインクを吐出して、記録媒体16に画像を形成する。
特に、画像形成装置100の出力特性を調整するためのキャリブレーションを実施する場合には、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン板22上の記録媒体16上にインクを吐出して、記録媒体16に測色対象となるパッチ画像200を形成する。パッチ画像200は、基準色のパッチを画像形成装置100が出力することで得られる画像であり、画像形成装置100の出力特性を反映している。したがって、パッチ画像200の測色値とそれに対応する基準色の標準色空間における表色値との差分に基づいて色変換パラメータを生成し、この色変換パラメータを用いて色変換を行った後の画像データに基づいて画像を出力することで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16に出力したパッチ画像200を測色するための測色装置を備える。測色装置は、画像形成装置100により記録媒体16に形成された測色対象のパッチ画像200を被写体とし、このパッチ画像200と後述する基準チャート400とを同時に撮像する撮像部(撮像装置)42を備える。測色装置は、撮像部42の撮像によって得られるパッチ画像200および基準チャート400の画像データに基づいて、パッチ画像200の測色値を算出する。なお、この測色装置は、パッチ画像200の測色値を算出する機能だけでなく、撮像部42の撮像によって得られる画像データを用いて、画像形成装置100が出力する画像の位置ずれ量を算出する機能や、撮像部42の撮像によって得られる画像データを用いて、画像形成装置100が出力する画像のドット径を算出する機能も備える。
撮像部42は、図2に示すように、キャリッジ5に対して固定されて設けられ、キャリッジ5と一体となって主走査方向に往復移動する。そして、撮像部42は、記録媒体16に形成された画像(パッチ画像200の測色時は測色対象となるパッチ画像200)を被写体とし、この被写体と対向する位置に移動したときに、被写体とその比較対象となる基準チャート400とを同時に撮像する。なお、ここでの同時に撮像とは、被写体と基準チャート400とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、1フレーム内に被写体と基準チャート400とを含む画像データを取得すれば、被写体と基準チャート400とを同時に撮像したことになる。
<撮像部の具体例>
図4−1乃至図4−3は、撮像部42の具体例を示す図であり、図4−1は、撮像部42の縦断面図(図4−2中のX1−X1線断面図)、図4−2は、撮像部42の内部を透視して示す上面図、図4−3は、筐体の底面部を図4−1中のX2方向から見た平面図である。
撮像部42は、枠体422と基板423とを組み合わせて構成された筐体421を備える。枠体422は、筐体421の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板423は、枠体422の開放端を閉塞して筐体421の上面を構成するように、締結部材424によって枠体422に締結され、枠体422と一体化されている。
筐体421は、その底面部421aが所定の間隙dを介してプラテン板22上の記録媒体16と対向するように、キャリッジ5に固定される。記録媒体16と対向する筐体421の底面部421aには、記録媒体16に形成された被写体(パッチ画像200)を筐体421の内部から撮影可能にするための開口部425が設けられている。なお、筐体421の底面部421aは、特許請求の範囲に記載の「第一の面」に相当する。
筐体421の内部には、画像を撮像するセンサユニット430が設けられている。センサユニット430は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサ431と、センサユニット430の撮像範囲の光学像を2次元イメージセンサ431のセンサ面に結像する結像レンズ432とを備える。2次元イメージセンサ431は、センサ面が筐体421の底面部421a側に向くように、例えば、基板423の内面(部品実装面)に実装されている。結像レンズ432は、その光学特性に応じて定められる位置関係を保つように2次元イメージセンサ431に対して位置決めされた状態で固定されている。センサユニット430は、筐体421の上面を構成する基板423の略中心位置において、筐体421の底面部421aと正対するように、つまり、結像レンズ432の光軸が底面部421aの略中心位置にくるように配置されている。
筐体421の底面部421aのセンサユニット430と対向する内面側には、底面部421aに設けられた開口部425と隣り合うようにして、基準チャート400が形成されたチャート板410が配置されている。チャート板410は、例えば、基準チャート400が形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。基準チャート400は、被写体(パッチ画像200)の比較対象として、センサユニット430により被写体(パッチ画像200)とともに撮像されるものである。つまり、センサユニット430は、筐体421の底面421aに設けられた開口部425を介して筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)を撮像すると同時に、筐体421の底面421aの内面側に配置されたチャート板410上の基準チャート400を、被写体(パッチ画像200)の比較対象として撮像する。なお、基準チャート400の詳細については後述する。
また、筐体421の内部には、センサユニット430が被写体(パッチ画像200)と基準チャート400とを同時に撮像する際に、これら被写体(パッチ画像200)および基準チャート400を照明する照明光源426が設けられている。照明光源426としては、例えばLEDが用いられる。本実施形態において、照明光源426は、その光軸が筐体421の底面部421aに対して略垂直となるように底面部421aに照射方向を向けた状態で、センサユニット430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装される。ただし、照明光源426は、被写体(パッチ画像200)と基準チャート400とを照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板423に直接実装されていなくてもよい。
図5は、LEDを用いた照明光源426の一例を示す断面図である。照明光源426は、例えば、500×500μmのGaN系青色LED素子501をプリント基板502上に実装し、青色LED素子501の周囲に黄色の蛍光体503を塗布した構成であり、青色と黄色により白色光が出るように調整されている。青色LED素子501からの光は、一部が反射板504で反射され、白色光として外部に取り出される。なお、照明光源426は略白色が発光できればよく、必ずしも青色LED素子501を用いた構成でなくてもよい。
照明光源426として用いるLEDは、光を放射状に発光して放射光束を形成するが、光軸上の光の強さが最も強くなる特性(指向特性)を持っている。つまり、LEDからの光は、光軸中心に対する放射角度に応じてその強度が異なり、光軸中心に対する放射角度が深くなるほど光の強度が低下していく。したがって、LEDを用いた照明光源426により照明される領域の照度は、照明光源426の光軸中心に対応する位置の照度が最も高く、光軸中心に対応する位置から離れると低くなる。なお、照明光源426の光軸中心に対応する位置からある程度離れると、照明光源426からの直接光よりも拡散光(反射光)の影響が支配的となり、照度が均一化される。
図6は、LEDの配光分布の代表的な例を示す特性図である。図6に示すように、LEDからの光の照度は、LEDの光軸中心(放射角度=0°)の位置で最も大きくなる。そして、この光軸中心の光の強度を1としたときの相対照度は、放射角度が深くなるほど、つまり光軸中心から離れるほど小さくなる。なお、図6の特性図は、環境温度Ta=25℃、LEDの駆動電流IFP=50mAの条件で配光分布を測定した結果を表している。
図7は、7つのLEDを横一列に並べて発光させた場合の照度分布の一例を示す図である。図7の例は、LEDから50mm離れた位置での照度分布を示している。図7に示すように、各LEDの光軸中心の近傍の領域は、照度が極端に高くなっていることが分かる。
以上のような指向特性を持つ照明光源426によってセンサユニット430の撮像範囲を照明する場合、センサユニット430により撮像された画像の中で、照明光源426の光軸中心近傍の照度が極端に高くなっている領域では、画素値が飽和して正確な情報が得られなくなる。そこで、本実施形態の撮像部42では、照明光源426により照明される領域のうち、照度が極端に高くなっている領域、具体的には、照明光源426の光軸中心の照度を基準とした比率で表される相対照度が基準値を超える領域である高照度領域が、センサユニット430の撮像範囲に含まれる被写体の撮像領域(以下、被写体撮像領域という。)および基準チャート400の撮像領域(以下、基準チャート撮像領域という。)と重ならないように、照明光源426を配置するようにしている。ここで、上記の基準値は、センサユニット430の画素値が飽和もしくは飽和に近い状態となる値であり、センサユニット430の特性や、センサユニット430の撮像範囲に対する照明光源426の位置などに応じて定められる。なお、照明光源426により照明される領域のうち、高照度領域以外の領域は、上記のように照明光源426からの直接光よりも拡散光(反射光)の影響が支配的となり、照度が均一化される。
図8は、センサユニット430の撮像範囲における高照度領域の望ましい位置の具体例を説明する図である。本実施形態の撮像部42では、センサユニット430の撮像範囲Rに、被写体(パッチ画像200)を撮像する領域である被写体撮像領域R1と、基準チャート400を撮像する領域である基準チャート撮像領域R2とが含まれる。センサユニット430の撮像範囲Rは、センサユニット430の画角やセンサユニット430と筐体421の底面部421aとの間の距離などにより定まる。センサユニット430の撮像範囲R内における被写体撮像領域R1の位置は、筐体421の底面部421aにおける開口部425の位置により定まる。また、センサユニット430の撮像範囲R内における基準チャート撮像領域R2の位置は、筐体421の底面部421aにおけるチャート板410が配置された位置により定まる。
本実施形態では、図8に示すように、センサユニット430の撮像範囲Rの中で、被写体撮像領域R1と基準チャート撮像領域R2とが、ブランキング領域R3を間に挟んで並ぶ構成となっている。ブランキング領域R3は、センサユニット430の撮像範囲Rに含まれるが、センサユニット430により撮像された画像データが後段の測色制御部50において使用されずに破棄されることになる領域である。そして、本実施形態では、照明光源426の高照度領域Rxが、このブランキング領域R3と重なるように、照明光源426の配置が定められている。
具体的には、本実施形態の撮像部42は、照明光源426として2つのLEDを用いる。そして、図8に示すように、これら2つのLEDの高照度領域Rxが、被写体撮像領域R1と基準チャート撮像領域R2との間のブランキング領域R3と重なり、且つ、一方のLEDの高照度領域Rxと他方のLEDの高照度領域Rxとが、ブランキング領域R3の中心位置R3cを挟んで被写体撮像領域R1と基準チャート撮像領域R2とが並ぶ方向と直交する方向において対称となる位置となるように、2つのLEDの配置を定めている。
すなわち、本実施形態の撮像部42では、照明光源426として用いる2つのLEDを基板423側から筐体421の底面部421a側に垂直に見下ろしたときの底面部421a上の投影位置が、開口部425と基準チャート400との間の領域内となり、且つ、センサユニット430を中心として対称となる位置となるように、これら2つのLEDが配置されている。換言すると、照明光源426として用いる2つのLEDを結ぶ線がセンサユニット430の結像レンズ432の中心を通り、且つ、この2つのLEDを結ぶ線に対して線対称となる位置に、筐体421の底面部421aに設けられた開口部425と基準チャート400とが配置される。照明光源426として用いる2つのLEDをこのように配置することにより、被写体(パッチ画像200)と基準チャート400とを概ね同一の条件にて照明することができるとともに、画像データが破棄されるブランキング領域R3を有効利用して、高照度領域Rxが被写体撮像領域R1や基準チャート撮像領域R2に重ならないようにすることができ、測色のための画像データを適切に得ることができる。
なお、照明光源426として用いるLEDは、高照度領域Rxが被写体領域R1および基準チャート領域R2に重ならないように配置されていればよく、必ずしも、被写体領域R1と基準チャート領域R2との間のブランキング領域R3に高照度領域Rxが重なるように配置されていなくてもよい。例えば、照明光源426として6つのLEDを用いる場合、図9に示すように、6つのLEDの高照度領域Rxが、被写体撮像領域R1および基準チャート撮像領域R2の周囲を略均等な間隔で取り囲む位置となるように、6つのLEDの配置を定めるようにしてもよい。この図9の例は、図8の例と比較して画像の撮像に必要な照度の確保が容易となる。ただし、図9の例は、被写体撮像領域R1や基準チャート撮像領域R2の周囲に高照度領域Rxを設けるためのスペースが必要となるため、図8の例よりもスペース効率が悪化する。
なお、上記のような高照度領域Rxを発生させずにセンサユニット430の撮像範囲Rを均一に照明する方法としては、照明光源426を被写体(パッチ画像200)や基準チャート400から十分に離れた位置に設置することが考えられる。つまり、照明光源426の照度は照射距離が2倍になると1/4となるので(照度の逆二乗の法則)、照明光源426の光軸中心の照度が画像データの画素値を飽和させない程度に弱まる位置に照明光源426を設置すれば、高照度領域Rxは発生しない。しかし、本実施形態の撮像部42は、画像形成装置100のキャリッジ5に搭載される小型の撮像装置であるため、被写体(パッチ画像200)や基準チャート400と照明光源426との間の距離を大きくすることはできない。
また、被写体(パッチ画像200)や基準チャート400と照明光源426との間に拡散シートを設け、照明光源426からの光をこの拡散シートにより拡散することで高照度領域Rxを発生させないようにすることも考えられる。しかし、この方法で高照度領域Rxを発生させないようにするには、高ベイズ値の拡散シートを使用する必要があり、画像を撮像するのに十分な照度を確保することが難しくなる。
また、例えば特開2007−87792号公報に記載されているようなフレネルレンズを用いて照明光源426からの光を拡散/集光すれば、画像を撮像するのに十分な照度を確保しながら高照度領域Rxの発生を抑制することも可能になると考えられる。しかし、フレネルレンズのような特殊な光学素子を用いる構成では、装置の大幅なコストアップが避けられない。
これに対して、本実施形態の撮像部42は、高照度領域Rxを発生させないようにするのではなく、高照度領域Rxが測色のための画像データを得る上で悪影響を与えないように照明光源426の配置を定めるようにしているので、装置の大型化やコストアップを招くことなく、測色のための画像データを適切に得ることができる。
ところで、筐体421の内部に配置された基準チャート400と同一の照明条件により筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)を照明するには、センサユニット430による撮像時に外光が被写体(パッチ画像200)に当たらないようにして、照明光源426からの照明光のみで被写体(パッチ画像200)を照明する必要がある。被写体(パッチ画像200)に外光が当たらないようにするには、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくし、被写体(パッチ画像200)に向かう外光が筐体421によって遮られるようにすることが有効である。ただし、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくしすぎると、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触してしまい、画像の撮像を適切に行えなくなる虞がある。そこで、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dは、記録媒体16の平面性を考慮して、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触しない範囲で小さな値に設定することが望ましい。例えば、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触することなく、記録媒体16に形成された被写体(パッチ画像200)に外光が当たることを有効に防止できる。
なお、照明光源426からの照明光を被写体(パッチ画像200)に適切に照射するには、筐体421の底面部421aに設けた開口部425の大きさを被写体(パッチ画像200)よりも大きくし、開口部425の端縁で照明光が遮られることで生じる影が被写体(パッチ画像200)に映り込まないようにすることが望ましい。
また、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくすれば、センサユニット430から被写体(パッチ画像200)までの光路長と、センサユニット430から基準チャート400までの光路長との差を、センサユニット430の被写界深度の範囲内とすることもできる。本実施形態の撮像部42は、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)と筐体421の内部に設けられた基準チャート400とをセンサユニット430により同時に撮像する構成である。したがって、センサユニット430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサユニット430から基準チャート400までの光路長との差がセンサユニット430の被写界深度の範囲を超えていると、被写体(パッチ画像200)と基準チャート400との双方に焦点の合った画像を撮像することができない。
センサユニット430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサユニット430から基準チャート400までの光路長との差は、概ね、筐体421の底面部421aの厚みに間隙dを加えた値となる。したがって、間隙dを十分に小さな値とすれば、センサユニット430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサユニット430から基準チャート400までの光路長との差を、センサユニット430の被写界深度の範囲内として、被写体(パッチ画像200)と基準チャート400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。例えば、間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、センサユニット430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサユニット430から基準チャート400までの光路長との差を、センサユニット430の被写界深度の範囲内とすることができる。
なお、センサユニット430の被写界深度は、センサユニット430の絞り値や結像レンズ432の焦点距離、センサユニット430と被写体との間の距離などに応じて定まる、センサユニット430に固有の特性である。本実施形態の撮像部42においては、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを例えば1mm〜2mm程度の十分に小さな値としたときに、センサユニット430から被写体(パッチ画像200)までの光路長と、センサユニット430から基準チャート400までの光路長との差が被写界深度の範囲内となるように、センサユニット430が設計されている。
<基準チャートの具体例>
次に、図10を参照しながら、撮像部42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上の基準チャート400について詳細に説明する。図10は、基準チャート400の具体例を示す図である。
図10に示す基準チャート400は、測色用のパッチを配列した測色用のパッチ列401〜404と、ドット径計測用パターンを配列したパターン列406と、距離計測用パターン405とを有する。
測色用のパッチ列は、YMCの1次色のパッチを階調順に配列したパッチ列401と、RGBの2次色のパッチを階調順に配列したパッチ列402と、グレースケールのパッチを階調順に配列したパッチ列(無彩色の階調パターン)403と、3次色のパッチを配列したパッチ列404とを含む。
ドット径計測用のパターン列406は、大きさが異なる円形パターンを大きさ順に配列したパターン列である。
距離計測用パターン405は、測色用のパッチ列401〜404やドット径計測用のパターン列406を囲む矩形の枠として形成されている。距離計測用パターン405の四隅407は、基準チャート400の位置を特定するためのマーカである。後述の上位CPU107は、撮像部42から取得した基準チャート400の画像データから距離計測用パターン405の四隅407を特定することで、基準チャート400の位置を特定することができる。
測色用のパッチ列401〜404を構成する各パッチは、標準色空間であるL*a*b*色空間における表色値(L*a*b*値)が予め計測されており、パッチ画像200を測色する際の基準値となる。なお、基準チャート400に設ける測色用のパッチ列401〜404の構成は図5に示す例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できるパッチを用いることも可能である。また、YMCKの1次色のパッチ列401や、グレースケールのパッチ列403は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成することも可能である。また、RGBの2次色のパッチ列402は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成することも可能である。あるいは、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いることも可能である。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図11を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図11は、画像形成装置100の制御機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構は、上位CPU107、ROM118、RAM119、主走査ドライバ109、記録ヘッドドライバ111、測色制御部50、紙搬送部112、副走査ドライバ113、記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および撮像部42を備える。記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および撮像部42は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
上位CPU107は、記録媒体16に形成する画像のデータや駆動制御信号(パルス信号)を各ドライバに供給し、画像形成装置100の全体の制御を司る。具体的には、上位CPU107は、主走査ドライバ109を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。また、上位CPU107は、記録ヘッドドライバ111を介して、記録ヘッド6によるインクの吐出タイミングを制御する。また、上位CPU107は、副走査ドライバ113を介して、搬送ローラや副走査モータを含む紙搬送部112の駆動を制御する。
エンコーダセンサ41は、エンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値を上位CPU107に出力する。上位CPU107は、エンコーダセンサ41からのエンコーダ値を基に、主走査ドライバ109を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。
撮像部42は、上述したように、記録媒体16に形成されたパッチ画像200の測色時に、パッチ画像200と筐体421の内部に配置されたチャート板410上の基準チャート400とをセンサユニット430で同時に撮像し、パッチ画像200および基準チャート400を含む画像データを測色制御部50に出力する。
測色制御部50は、撮像部42から取得したパッチ画像200および基準チャート400の画像データに基づいて、パッチ画像200の測色値(標準色空間における表色値)を算出する。測色制御部50が算出したパッチ画像200の測色値は、上位CPU107に送られる。測色制御部50は、撮像部42とともに、測色装置を構成している。
また、測色制御部50は、撮像部42に対して各種設定信号やタイミング信号、光源駆動信号などを供給し、撮像部42による画像の撮像を制御する。各種設定信号は、センサユニット430の動作モードを設定する信号や、シャッタスピード、AGCのゲインなどの撮像条件を設定する信号を含む。これら設定信号は、測色制御部50が上位CPU107から取得して、撮像部42に供給する。また、タイミング信号は、センサユニット430による撮像のタイミングを制御する信号であり、光源駆動信号は、センサユニット430の撮像範囲を照明する照明光源426の駆動を制御する信号である。これらタイミング信号および光源駆動信号は、測色制御部50が生成して、撮像部42に供給する。
ROM118は、例えば、上位CPU107で実行する処理手順等のプログラムや各種制御データなどを格納する。RAM119は、上位CPU107のワーキングメモリとして利用される。
<測色装置の制御機構の構成>
次に、図12を参照しながら、測色装置の制御機構について具体的に説明する。図12は、測色装置の制御機構の一構成例を示すブロック図である。
測色装置は、撮像部42と測色制御部50とを備える。撮像部42は、上述したセンサユニット430と照明光源426とに加え、さらに、画像処理部45と、インターフェース部46と、を備える。
画像処理部45は、センサユニット430により撮像した画像データを処理するものであり、AD変換部451、シェーディング補正部452、ホワイトバランス補正部453、γ補正部454、および画像フォーマット変換部455を備える。
AD変換部451は、センサユニット430が出力するアナログ信号をAD変換する。
シェーディング補正部452は、センサユニット430の撮像範囲に対する照明光源426からの照明の照度ムラに起因する画像データの誤差を補正する。
ホワイトバランス補正部453は、画像データのホワイトバランスを補正する。
γ補正部454は、センサユニット430の感度のリニアリティを補償するように画像データを補正する。
画像フォーマット変換部455は、画像データを任意のフォーマットに変換する。
インターフェース部46は、測色制御部50から送られた各種設定信号、タイミング信号および光源駆動信号を撮像部42が取得し、また、撮像部42から測色制御部50へ画像データを送るためのインターフェースである。
測色制御部50は、フレームメモリ51と、演算部53と、タイミング信号発生部54と、光源駆動制御部55と、を備える。
フレームメモリ51は、撮像部42から送られた画像データを一時的に記憶するメモリである。
演算部53は、測色値算出部(算出手段)531と、位置ずれ量算出部532と、ドット径算出部533と、を備える。
測色値算出部531は、撮像部42のセンサユニット430が、測色対象のパッチ画像200と基準チャート400とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られるパッチ画像200および基準チャート400の画像データとに基づいて、パッチ画像200の測色値を算出する。測色値演算部531が算出したパッチ画像200の測色値は、上位CPU107へと送られる。なお、測色値算出部531による処理の具体例については、詳細を後述する。
位置ずれ量算出部532は、画像形成装置100により記録媒体16に所定の位置ずれ計測用の画像が出力され、撮像部42のセンサユニット430が、筐体421の内部に配置された基準チャート400と画像形成装置100が出力した位置ずれ計測用の画像とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られる位置ずれ計測用の画像の画像データと、基準チャート400の画像データとに基づいて、画像形成装置100が出力する画像の位置ずれ量を算出する。位置ずれ量算出部532が算出した画像の位置ずれ量は、上位CPU107へと送られる。なお、位置ずれ量算出部532による処理の具体例については、詳細を後述する。
ドット径算出部533は、画像形成装置100により記録媒体16に所定のドット径計測用の画像が出力され、撮像部42のセンサユニット430が、筐体421の内部に配置された基準チャート400と画像形成装置100が出力したドット径計測用の画像とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られるドット径計測用の画像の画像データと、基準チャート400の画像データとに基づいて、画像形成装置100が出力する画像のドット径を算出する。ドット径算出部533が算出した画像のドット径は、上位CPU107へと送られる。なお、ドット径算出部533による処理の具体例については、詳細を後述する。
タイミング信号発生部54は、撮像部42のセンサユニット430による撮像のタイミングを制御するタイミング信号を発生して、撮像部42に供給する。
光源駆動制御部55は、撮像部42の照明光源426を駆動するための光源駆動信号を生成して、撮像部42に供給する。
<パッチ画像の測色方法>
次に、図13乃至図18を参照しながら、測色装置を用いたパッチ画像200の測色方法の具体例について詳細に説明する。図13は、センサユニット430が測色対象のパッチ画像200と基準チャート400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図14は、パッチ画像200の測色方法の具体例を説明する図である。図15は、L*a*b*値とXYZ値との変換を行う変換式を示す図である。図16は、パッチ画像200の測色の手順を示すフローチャートである。図17は、パッチ画像200の測色の手順の変形例を示すフローチャートである。図18は、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するRGB値を特定する方法を説明する図である。
パッチ画像200の測色を行う場合は、まず、画像形成装置100が任意のパッチを記録媒体16に出力してパッチ画像200を形成する。そして、測色装置の撮像部42が備えるセンサユニット430により、測色対象のパッチ画像200を撮像部42の筐体421内に配置されたチャート板410上の基準チャート400とともに撮像する。その結果、例えば図13に示すようなパッチ画像200および基準チャート400を含む画像データが取得される。センサユニット430の撮像範囲Rは、測色対象の被写体であるパッチ画像200を撮像する被写体撮像領域R1と、基準チャート400を撮像する基準チャート撮像領域R2とを含む。基準チャート撮像領域R2に対応する画素から出力される画像データが基準チャート400の画像データとなり、被写体撮像領域R1に対応する画素から出力される画像データがパッチ画像200の画像データとなる。なお、ここでは、測色対象の被写体として1つのパッチ画像200のみを撮像するようにしているが、複数のパッチ画像200を同時に撮像するようにしてもよい。
センサユニット430により撮像されたパッチ画像200および基準チャート400の画像データは、画像処理部45での処理が行われた後、撮像部42からインターフェース部46を介して測色制御部50へと送られ、測色制御部50のフレームメモリ51に格納される。そして、演算部53の測色値算出部531が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、パッチ画像200の測色を行う。
測色値算出部531は、まず、フレームメモリ51から読み出した画像データから、基準チャート400の距離計測用パターン(主走査・副走査距離基準線)405の四隅407の位置を、パターンマッチング等により特定する。これにより、画像データにおける基準チャート400の位置を特定することができる。基準チャート400の位置を特定した後は、基準チャート400の各パッチの位置を特定する。
次に、測色値算出部531は、基準チャート400の各パッチの画像データ(RGB値)を用いて、測色対象となるパッチ画像200の画像データ(RGB値)を、L*a*b*色空間における表色値であるL*a*b*値に変換する。以下、この変換の具体的な手法について詳細に説明する。
図14(c)は、図10に示した基準チャート400の1次色(YMC)のパッチ列401および2次色(RGB)のパッチ列402の各パッチのL*a*b*値を、L*a*b*色空間上にプロットしたものである。なお、これら各パッチのL*a*b*値は、上述したように予め計測されており、例えば演算部53内部のメモリなどに記憶されている。
図14(a)は、図10に示した基準チャート400の1次色(YMC)のパッチ列401および2次色(RGB)のパッチ列402の各パッチのRGB値(センサユニット430による撮像によって得られる画像データ)を、RGB色空間上にプロットしたものである。
図14(b)は、図14(c)に示すL*a*b*値を、所定の変換式を用いてXYZ値に変換し、その変換したXYZ値を、XYZ色空間上にプロットしたものである。L*a*b*値をXYZ値に変換する場合、図15(b)に示す変換式(Lab⇒XYZ)により変換することができる。また、XYZ値をL*a*b*値に変換する場合、図15(a)に示す変換式(XYZ⇒Lab)により変換することができる。つまり、図14(c)に示すL*a*b*値と図14(b)に示すXYZ値は、図15(a),(b)に示す変換式を用いて相互に変換することができる。
ここで、図16のフローチャートに沿って、図13に示す被写体撮像領域R1内から得られた側色対象のパッチ画像200のRGB値をL*a*b*値に変換する手順を説明する。測色対象のパッチ画像200のRGB値が、図14(a)に示すRGB色空間上のPrgb点にあったとする。この場合、まず、図10に示す基準チャート400の各パッチのRGB値のうち、Prgb点を含む4面体を作ることができる最近傍の4点を検索する(ステップS1)。図14(a)の例では、p0,p1,p2,p3の4点が選択される。ここで、図14(a)に示すRGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3の各座標値を、p0(x01,x02,x03),p1(x1,x2,x3),p2(x4,x5,x6),p3(x7,x8,x9)とする。
次に、図14(a)に示すRGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3に対応する図14(b)に示すXYZ色空間上の4点q0,q1,q2,q3を検索する(ステップS2)。XYZ色空間上の4点q0,q1,q2,q3の各座標値を、q0(y01,y02,y03),q1(y1,y2,y3),q2(y4,y5,y6),q3(y7,y8,y9)とする。
次に、この4面体内の局所空間を線形変換する線形変換マトリックスを求める(ステップS3)。具体的には、RGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3のうち、任意の対応点の対を決定し(本実施形態では、無彩色に最も近いp0,q0とする)、この対応点(p0,q0)を原点とする(p1〜p3、q1〜q3の座標値は、p0,q0からの相対値となる)。
図14(a)に示すRGB色空間と図14(b)に示すXYZ色空間との空間間の変換式をY=AXと線形変換できると仮定すると、下記式(1)のように表される。
ここで、p1→q1、p2→q2、p3→q3に写像されるとすると、各係数aは、下記式(2)〜(10)のように求めることができる。
次に、この線形変換マトリックス(Y=AX)を使って、図14(a)に示すRGB色空間上の測色対象のパッチ画像200のRGB値であるPrgb点(座標値は(Pr,Pg,Pb))を図14(b)に示すXYZ色空間上に写像する(ステップS4)。ここで得られたXYZ値は、原点q0からの相対値であるため、測色対象のパッチ画像200のRGB値Prgbに対応する実際のXYZ値Pxyz(座標値は(Px,Py,Pz))は、原点q0(y01,y02,y03)からのオフセット値として、下記式(11)〜(13)のようになる。
次に、以上のように求めたパッチ画像200のXYZ値Pxyzを、図15(a)に示した変換式によってL*a*b*値に変換し、測色対象のパッチ画像200のRGB値Prgbに対応するL*a*b*値を求める(ステップS5)。これにより、センサユニット430の感度が変わったり、照明光源426の波長や強度が変化したりした場合でも、測色対象のパッチ画像200の測色値を正確に求めることができ、高精度の測色を行うことができる。なお、本実施形態では、画像形成装置100が形成したパッチ画像200を測色対象としているが、画像形成装置100が出力した任意の画像を測色対象とすることもできる。例えば、画像形成装置100が画像を出力しながらその画像の一部を測色し、リアルタイムで画像形成装置の出力特性を調整するといった利用が可能である。
なお、上述した処理動作で使用した図14(c)は、図10に示した基準チャート400の1次色(YMC)のパッチ列401および2次色(RGB)のパッチ列402の各パッチのL*a*b*値を、L*a*b*色空間上にプロットしたものである。図10に示した基準チャート400は、撮像部42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上に形成されるため、基準チャート400を構成するパッチの数が制限されることになる。このため、標準のパッチの中から選別した一部のパッチを用いて、図10に示した基準チャート400を構成することになる。例えば、Japan Colorは928色あり、その928色の中から選択した一部(例えば72色)を用いて、図10に示す基準チャート400を構成することになる。しかし、標準のパッチの中から選択された一部のパッチのみを用いて測色を行う場合、測色の精度の低下が懸念される。そこで、基準チャート400を構成するパッチのRGB値から標準のパッチのRGB値を類推し、標準のパッチのRGB値を用いて測色対象のパッチ画像200の測色を行うことが望ましい。
具体的には、標準のパッチのL*a*b*値を記憶しておき、図17に示すように、センサユニット430の撮像により得られた基準チャート400の各パッチのRGB値を基に、標準の各パッチに対応するRGB値を特定し(ステップS’0)、その特定した標準の各パッチのRGB値を基に、測色対象のパッチ画像200のRGB値を内包する4点の検索を行う(ステップS’1)。
図18に示すように、基準チャート400の各パッチのRGB値(a)と、その基準チャート400の各パッチのL*a*b*値(b)とは、変換式αで対応しているため(b=a×α)、基準チャート400を構成する各パッチのRGB値を基に、変換式αを算出する。また、基準チャート400の各パッチのL*a*b*値は、標準の各パッチのL*a*b*値の一部であるため、標準の各パッチのRGB値(A)と、標準の各パッチのL*a*b*値(B)とは、上記変換式αで対応することになる(B=A×α)。このため、上記算出した変換式αを基に、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するRGB値を特定することができる。これにより、基準チャート400の各パッチのRGB値を基に、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するRGB値を特定することができる。
次に、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するXYZ値を基に、測定対象のパッチ画像200のRGB値を内包する4点のパッチに対応するXYZ値を検索する(ステップS’2)。
次に、ステップS’2で検索した4点のパッチに対応するXYZ値を基に、線形変換マトリックスを算出し(ステップS’3)、その算出した線形変換マトリックスを基に、測定対象のパッチ画像200のRGB値をXYZ値に変換する(ステップS’4)。次に、ステップS’4で変換したXYZ値を上述した変換式を用いてL*a*b*値に変換する(ステップS’5)。これにより、標準の各パッチのRGB値やXYZ値を基に、測定対象のパッチ画像200のL*a*b*値を得ることができ、パッチ画像200の測色を高精度に行うことができる。なお、標準のパッチとしては、Japan Colorに限定されるものではなく、例えば米国で使用しているSWOPや欧州で使用しているEuro Press等の標準色を使用することも可能である。
ところで、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16上にドットマトリクスで画像を形成しており、YMCKなどのインクの重ね合わせにより所望の色を再現している。しかし、画像の位置ずれが存在すると、画像劣化が起こるとともに、上述したパッチ画像200から得られる測色値自体も変化してしまう。
記録媒体16上に形成した画像の位置ずれが原因で画像の色が変わっている場合に、インクの吐出量だけで画像の色を補正しようとすると、各インクの吐出量のバランスが崩れてしまい、良好な画像が得られなくなる。このため、パッチ画像200の測色を行う前に、画像の位置ずれを計測して補正することが望ましい。
<画像の位置ずれ計測方法>
次に、図19乃至図23を参照しながら、測色装置を用いた画像の位置ずれ計測方法の具体例について詳細に説明する。図19は、センサユニット430が位置ずれ計測用の画像の一例であるテストパターン110と基準チャート400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図20および図21は、画像の主走査位置ずれを計測する方法を説明する図である。図22は、画像の副走査位置ずれを計測する方法を説明する図である。図23は、センサユニット430が位置ずれ計測用の画像の他の例であるテストパターン120と基準チャート400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。
画像の位置ずれ計測を行う場合は、まず、画像形成装置100が予め定められた位置ずれ計測用の画像であるテストパターン110を記録媒体16に形成する。そして、測色装置の撮像部42が備えるセンサユニット430により、記録媒体16に形成されたテストパターン110と基準チャート400とを同時に撮像する。その結果、例えば図19に示すようなテストパターン110と基準チャート400とを含む画像データが取得される。
センサユニット430により撮像されたテストパターン110および基準チャート400の画像データは、画像処理部45での処理が行われた後、撮像部42からインターフェース部46を介して測色制御部50へと送られ、測色制御部50のフレームメモリ51に格納される。そして、演算部53の位置ずれ量算出部532が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、画像の位置ずれ計測を行う。
図19に示すテストパターン110の下側の領域の縦線(実線)は、上流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測するためのパターンである。また、テストパターン110の上側の領域の縦線(実線)は、下流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測するためのパターンである。また、テストパターン110の中間の横線(実線)は、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向の相対的な位置ずれを計測するためのパターンである。なお、図19に示す点線の縦線は、主走査方向の位置ずれがない場合に記録媒体16上に記録される理想的な縦線の位置を示し、実際には記録媒体16上に記録されない縦線である。
上流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測する場合は、まず、センサユニット430により撮像されたテストパターン110の画像データを用いて、記録ヘッド6から所定間隔αずつずらして記録媒体16上に実際に形成した縦線(実線)の間隔を計測し、その記録媒体16上に形成した実際の縦線の位置(実線)と、主走査方向の位置ずれがない場合に記録媒体16上に形成される理想的な縦線の位置(点線)との差分を主走査方向の位置ずれ量として算出する。なお、記録媒体16上に実際に形成した縦線(実線)の間隔は、最も左側に形成した黒の縦線を主走査位置ずれ計測用の基準線として計測する。
具体的には、図20に示すように、最も左側に形成した黒の1つ目の縦線を主走査位置ずれ計測用基準線とし、その基準線と、実際に形成した縦線との間隔(x1、x2、x3)を計測する。これにより、実際の縦線の位置を把握することができる。次に、実際の縦線の位置(実線)と、理想的な縦線の位置(点線)との差分(Δx1、Δx2、Δx3)を計測する。2つ目の実際の縦線の位置と理想的な縦線の位置との差分(Δx1)は、Δx1=x1−αで求めることができる。また、3つ目の実際の縦線の位置と理想的な縦線の位置との差分(Δx2)は、Δx2=x2−2αで求めることができる。また、3つ目の実際の縦線の位置と理想的な縦線の位置との差分(Δx3)は、Δx3=x3−3αで求めることができる。この差分(Δx1、Δx2、Δx3)が上流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれである。したがって、この差分(Δx1、Δx2、Δx3)を基に上流側の記録ヘッド6の主走査方向の位置ずれを補正すれば、記録媒体16上に実際に記録される縦線(実線)の位置が理想的な縦線(点線)の位置となる。
また、下流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測する場合は、上述した図20に示す方法を用いて行う。ただし、最も左側に形成した黒の1つ目の縦線の位置は、図21に示すように、主走査位置ずれ計測用基準線の位置とずれている場合がある。このため、最も左側に記録した黒の1つ目の縦線の位置と、主走査位置ずれ計測用基準線の位置との差分(Δx0)を求め、その差分(Δx0)で最も左側に形成した黒の1つ目の縦線の位置を、主走査位置ずれ計測用基準線の位置(理想位置)に補正した後で、図20に示す方法を用いて下流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測し、主走査方向の位置ずれを補正する。
また、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向のずれを計測する場合は、図19に示す中央の4本の横線を使用する。これら4本の横線のうち、下側の2本の横線は上流側の記録ヘッド6を用いて記録媒体16上に形成された線であり、上側の2本の横線は下流側の記録ヘッド6を用いて記録媒体16上に形成された線である。そして、図22に示すように、それぞれの横線の間の距離(β1、β2)を計測し、その差分(Δβ=β1−β2)を、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向の位置ずれ量として算出する。この差分(Δβ)を基に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向の位置ずれを補正すれば、それぞれの横線の間の距離(β1、β2)が同じになる。
なお、基準チャート400の副走査距離基準線と主走査距離基準線とは絶対的な距離であるため、その副走査距離基準線と主走査距離基準線との絶対距離を予め計測して記憶しておき、基準チャート400を撮像して得られる図19に示す副走査距離基準線と主走査距離基準線の画像上の距離と、記憶している副走査距離基準線と主走査距離基準線との絶対距離とを比較し、画像上の距離と絶対距離との相対比を算出し、上述した被写体撮像領域のテストパターン110から得られた位置ずれ量に相対比を乗算することで、実際の位置ずれ量を算出することができる。この実際の位置ずれ量を基に、位置ずれ補正を行うことで、高精度な位置ずれ補正を行うことができる。
なお、上述した位置ずれ計測方法は、図19に示すようなラインパターンのテストパターン110を用いて画像の位置ずれ計測する方法である。しかし、画像の位置ずれを計測する方法は、上述した方法に限らず、様々な方法が考えられる。例えば、図23に示すようなドットパターンのテストパターン120を用いて、各記録ヘッド6間の幾何学的な位置ずれを計測することも可能である。
図23に示すテストパターン120の場合は、第1の枠301内のドットを用いて、上流側の記録ヘッド6の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。また、第2の枠302内のドットを用いて、下流側の記録ヘッド6の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。また、第3の枠303内のドットを用いて、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。また、第4の枠304内のドットを用いて、キャリッジ5の往復動作による記録ヘッド6の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。
<画像のドット径計測方法>
次に、図24および図25を参照しながら、測色装置を用いた画像のドット径計測方法の具体例について詳細に説明する。図24は、センサユニット430がドット径計測用の画像であるテストパターン130と基準チャート400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図25は、テストパターン130に含まれるドット近傍の画像データからドット径を計測する方法を説明する図である。
画像のドット径の計測を行う場合は、まず、画像形成装置100が予め定められたドット径計測用の画像であるテストパターン130を記録媒体16に形成する。テストパターン130は、少なくとも1つのドット131を含む。そして、測色装置の撮像部42が備えるセンサユニット430により、記録媒体16に形成されたテストパターン130と基準チャート400とを同時に撮像する。その結果、例えば図24に示すようなテストパターン130と基準チャート400とを含む画像データが取得される。
センサユニット430により撮像されたテストパターン130および基準チャート400の画像データは、画像処理部45での処理が行われた後、撮像部42からインターフェース部46を介して測色制御部50へと送られ、測色制御部50のフレームメモリ51に格納される。そして、演算部53のドット径算出部533が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、画像のドット径の計測を行う。
ドット径算出部533は、まず、フレームメモリ51から読み出した画像データから、基準チャート400の距離計測用パターン(主走査・副走査距離基準線)405の四隅407の位置を、パターンマッチング等により特定する。これにより、画像データにおける基準チャート400の位置を特定することができる。基準チャート400の位置を特定した後は、パターン列406を構成するドット径計測用パターンの位置を特定する。
次に、ドット径算出部533は、画像データに対する処理によって、テストパターン130に含まれるドット131と、基準チャート400のパターン列406を構成する各ドット径計測用パターンとを比較し、パターン列406を構成するドット径計測用パターンの中から、テストパターン130に含まれるドット131と同じ大きさのドット径計測用パターンを特定して、画像形成装置100が記録媒体16に出力したドット131の大きさであるドット径を算出する。
図25(a)は、テストパターン130に含まれるドット131近傍の画素を表し、図25(b)は、ドット131近傍の画素の値を表している。例えば、図25(a)に示すX軸方向のある一列のラインAを抜き出し、その一列のラインAを構成する各画素の値を直線で結んでいくと、図25(c)に示すセンサ出力値のグラフを得ることができる。ここで、予め定めた閾値を用いて、その閾値を越えるセンサ出力値を検出すると、2つの交点a,bを得ることができる。この2点a,b間の距離を算出することで、ラインAにおけるドット131の大きさを特定することができる。ドット131は、被写体撮像領域のどの領域で検出されるか分からないため、上記のX軸方向におけるドット131の大きさの特定処理をY軸方向に対して全て行う。そして、上記の処理により得られた2点間の距離の中で最も大きな2点間の距離を、X軸方向におけるドット131の大きさとする。
同様に、例えば、図25(a)に示すY軸方向のある一列のラインBを抜き出し、その一列のラインBを構成する各画素の値を直線で結んでいくと、図25(d)に示すセンサ出力値のグラフを得ることができる。ここで、上記と同様の予め定めた閾値を用いて、その閾値を越えるセンサ出力値を検出すると、2つの交点c,dを得ることができる。この2点c,d間の距離を算出することで、ラインBにおけるドット131の大きさを特定することができる。ドット131は、被写体撮像領域のどの領域で検出されるか分からないため、上記のY軸方向のドット131の大きさの特定処理をX軸方向に対して全て行う。そして、上記の処理により得られた2点間の距離の中で最も大きな2点間の距離を、Y軸方向におけるドット131の大きさとする。
以上により、テストパターン130に含まれるドット131のX軸方向における大きさおよびY軸方向における大きさを特定でき、センサユニット430が撮像した画像におけるドット131の相対的な大きさを特定することができる。なお、図25に示した例では、センサ出力値に対する閾値を180としているが、この値はあくまで一例であり、ドット131のエッジ部分を精度良く抽出できる最適な閾値を用いればよい。
以上の処理により得られたドット131の大きさは、センサユニット430が撮像した画像におけるドット131の相対的な大きさである。このドット131の相対的な大きさを、画像形成装置100が記録媒体16に出力したドット131の絶対的な大きさであるドット径に置き換えるために、テストパターン130と同時に撮像された基準パターン400に含まれるパターン列406を用いる。すなわち、パターン列406を構成する各ドット径計測用パターンのうち、上述した処理により得られたドット131の相対的な大きさに最も近い大きさを持つドット径計測用パターンを特定する。ここで、パターン列406を構成する各ドット径計測用パターンに対応するドット径は予め測定され、記憶されている。したがって、上述した処理により得られたドット131の相対的な大きさに最も近い大きさを持つドット径計測用パターンを特定することで、画像形成装置100が記録媒体16に出力したドット131の絶対的な大きさであるドット径を算出することができる。
<実施形態の効果>
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の撮像部42(撮像部42A)は、被写体の比較対象として被写体とともにセンサユニット430により撮像される基準チャート400が、センサユニット430とともに筐体421に保持されたチャート板410上に形成されている。このため、センサユニット430と基準チャート400との位置関係は常に一定となり、常に同じ条件で基準チャート400を含む画像を安定的に撮像することができる。したがって、本実施形態に係る測色装置は、センサユニット430が撮像した被写体であるパッチ画像200と基準チャート400とを含む画像データに基づいて、パッチ画像200の測色を適切に行うことができる。
また、本実施形態の撮像部42では、照明光源426が、センサユニット430の撮像範囲Rに含まれる被写体撮像領域R1および基準チャート撮像領域R2に対して高照度領域Rxが重ならないように配置されているので、測色のための画像データを適切に得ることができる。
また、本実施形態の撮像部42では、照明光源426として用いる2つのLEDを、それらの高照度領域Rxが、被写体撮像領域R1と基準チャート撮像領域R2との間のブランキング領域R3と重なり、且つ、一方のLEDの高照度領域Rxと他方のLEDの高照度領域Rxとが、ブランキング領域R3の中心位置R3cを挟んで被写体撮像領域R1と基準チャート撮像領域R2とが並ぶ方向と直交する方向において対称となる位置となるように配置しているので、被写体(パッチ画像200)と基準チャート400とを概ね同一の条件にて照明することができるとともに、画像データが破棄されるブランキング領域R3を有効利用して、高照度領域Rxが被写体撮像領域R1や基準チャート撮像領域R2に重ならないようにすることができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、本実施形態に係る測色装置を備えているため、測色対象のパッチ画像200を出力しながらパッチ画像200の測色を精度よく行って、出力特性を適切に調整して高品位な画像の出力を行うことができる。
<撮像部の変形例>
次に、撮像部42の変形例について説明する。以下では、変形例の撮像部42を撮像部42Aと表記する。なお、変形例の撮像部42Aにおいて、上述した撮像部42と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図26−1乃至図26−3は、撮像部42Aを示す図であり、図26−1は、撮像部42Aの縦断面図(図26−2中のX11−X11線断面図)、図26−2は、撮像部42Aの内部を透視して示す上面図、図26−3は、筐体421の底面部421aを図26−1中のX12方向から見た平面図である。
撮像部42Aでは、照明光源426として1つのLEDを用い、この照明光源426を、センサユニット430の真下、すなわち、センサユニット430(詳しくはセンサユニット430の結像レンズ432の中心)から筐体421の底面部421aに対して垂直に下ろした垂線上(結像レンズ432の光軸上)の位置に、照射方向が筐体421の底面部421a側に向くように配置している。センサユニット430は、上述したように、筐体421の上面を構成する基板423の略中心位置において、筐体421の底面部421aと正対するように配置されている。したがって、撮像部42Aにおいても、照明光源426の高照度領域Rxは、センサユニット430の撮像範囲Rの中で、被写体撮像領域R1と基準チャート撮像領域R2との間のブランキング領域R3に重なることになる。
上記の垂線上(結像レンズ432の光軸上)のセンサユニット430と照明光源426との間には、照明光源426の正反射光を遮断する遮光部材440が設けられている。
撮像部42Aでは、照明光源426がセンサユニット430の真下に設けられているため、放射角度0°の強い光がブランキング領域R3にて正反射する。そして、この強い正反射光がセンサユニット430の結像レンズ432に入ると、フレアが発生し、被写体撮像領域R1の画像データや基準チャート撮像領域R2の画像データに悪影響を及ぼす。そこで、センサユニット430と照明光源426との間に遮光部材440を配置し、照明光源426の強い正反射光をこの遮光部材440により遮断することによって、フレア発生の要因となる強い正反射光がセンサユニット430の結像レンズ432に入射しないようにしている。
また、遮光部材440は、照明光源426を、センサユニット430の真下に位置決めした状態で支持する機能も有している。遮光部材440は、例えば、図26−2および図26−3に示すように長尺の板状部材として構成され、筐体421の相対向する一つの側壁間に架設される。そして、この遮光部材440の裏面(筐体421の底面部421aと対向する面)側に、照明光源426が接合される。遮光部材440には、基板423と繋がる配線が設けられている。照明光源426は、この遮光部材440に設けられた配線を介して基板423に接続される。
なお、遮光部材440の形状は、図26−2および図26−3に示したような長尺の板状に限定されるものではない。例えば、長尺板状の遮光部材440に代えて、図27に示すように、筐体421の側壁内周側に嵌合する大きさの矩形の板状部材に、被写体撮像領域R1の光学像を透過させる開口部441と、基準チャート撮像領域R2の光学像を透過させる開口部442とを設けた構成の遮光部材440Aを用いるようにしてもよい。
また、撮像部42Aでは、筐体421の底面部421aに、パッチ画像200を撮像するための開口部425とは別の開口部427が設けられている。そして、この開口部427を筐体421の外側から閉塞するように、チャート板410が配置されている。つまり、上述した撮像部42では、チャート板410が筐体421の底面部421aのセンサユニット430と対向する内面側に配置されていたのに対して、撮像部42Aでは、チャート板410が筐体421の底面部421aの記録媒体16と対向する外面側に配置されている。
具体的には、例えば、筐体421の底面部421aの外面側に、チャート板410の厚みに相当する深さの凹部が、開口部427と連通するように形成されている。そして、この凹部内に、チャート板410が、基準チャート400が形成された面をセンサユニット430側に向けて配置されている。チャート板410は、例えば、その端部が開口部427の端縁近傍にて接着剤などにより筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されている。
以上のように構成される撮像部42Aでは、照明光源426がセンサユニット430の真下に照射方向を筐体421の底面部421aに向けて配置されているので、1つのLEDにより被写体(パッチ画像200)と基準チャート400とを概ね同一の条件にて照明することができる。特に、照明光源426として1つのLEDを用いる構成であるため、照明光源426として複数のLEDを用いる場合のように、個々のLEDの照度のばらつきを考慮する必要がなく、均一な照明を容易に実現することができる。
また、撮像部42Aでは、基準チャート400が形成されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側に配置する構成であるため、上述した撮像部42に比べて、センサユニット430からパッチ画像200までの光路長とセンサユニット430から基準チャート400までの光路長との差が小さくなる。したがって、センサユニット430の被写界深度が比較的浅い場合でも、パッチ画像200と基準チャート400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えながら具体化することができる。
例えば、上述した実施形態では、基準チャート400が、測色用のパッチ列401〜404と、距離計測用パターン405と、ドット径計測用パターンを配列したパターン列406とを有する構成である。しかし、基準チャート400を、測色用のパッチ列401〜404、または、距離計測用パターン405、または、ドット径計測用パターンを配列したパターン列406のいずれかを有する構成とすることもできる。また、基準チャート400を、測色用のパッチ列401〜404のうち、無彩色の階調パターンであるパッチ列403のみを有する構成や、有彩色のパッチ列401,402,404のみを有する構成とすることもできる。
基準チャート400が測色用のパッチ列401〜404のみを有する構成の場合、図12に示した測色制御部50の演算部53は、測色値算出部531の機能のみを有する。また、基準チャート400が距離計測用パターン405のみを有する構成の場合、図12に示した測色制御部50の演算部53は、位置ずれ量算出部532の機能のみを有する。また、基準チャート400が距離計測用パターン405のみを有する場合、図12に示した測色制御部50の演算部53は、ドット径算出部533の機能のみを有する。
なお、上述した本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能をソフトウェアにより実現する場合は、画像形成装置100や測色装置が備えるプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、例えば、画像形成装置100や測色装置内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。