以下に添付図面を参照して、この発明に係る撮像ユニット、測色装置、画像形成装置および測色システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明を適用した画像形成装置の一例としてインクジェットプリンタを例示するが、本発明は、記録媒体に画像を出力する様々なタイプの画像形成装置に対して広く適用可能である。
<画像形成装置の機械的構成>
まず、図1乃至図3を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の機械的構成について説明する。図1は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部を透視して示す斜視図、図2は、本実施形態に係る画像形成装置100の内部の機械的構成を示す上面図、図3は、キャリッジ5に搭載される記録ヘッド6の配置例を説明する図である。
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、主走査方向(図中矢印A方向)に往復移動して、副走査方向(図中矢印B方向)に間欠的に搬送される記録媒体16に対して画像を形成するキャリッジ5を備える。キャリッジ5は、主走査方向に沿って延設された主ガイドロッド3により支持されている。また、キャリッジ5には連結片5aが設けられている。連結片5aは、主ガイドロッド3と平行に設けられた副ガイド部材4に係合し、キャリッジ5の姿勢を安定化させる。
キャリッジ5には、図2に示すように、イエロー(Y)インクを吐出する記録ヘッド6y、マゼンタ(M)インクを吐出する記録ヘッド6m、シアン(C)インクを吐出する記録ヘッド6c、およびブラック(Bk)インクを吐出する複数の記録ヘッド6k(以下、記録ヘッド6y,6m,6c,6kを総称する場合は、記録ヘッド6という。)が搭載されている。記録ヘッド6は、その吐出面(ノズル面)が下方(記録媒体16側)に向くように、キャリッジ5に搭載されている。
記録ヘッド6にインクを供給するためのインク供給体であるカートリッジ7は、キャリッジ5には搭載されず、画像形成装置100内の所定の位置に配置されている。カートリッジ7と記録ヘッド6とは図示しないパイプで連結されており、このパイプを介して、カートリッジ7から記録ヘッド6に対してインクが供給される。
キャリッジ5は、駆動プーリ9と従動プーリ10との間に張架されたタイミングベルト11に連結されている。駆動プーリ9は、主走査モータ8の駆動により回転する。従動プーリ10は、駆動プーリ9との間の距離を調整する機構を有し、タイミングベルト11に対して所定のテンションを与える役割を持つ。キャリッジ5は、主走査モータ8の駆動によりタイミングベルト11が送り動作されることにより、主走査方向に往復移動する。キャリッジ5の主走査方向の移動は、例えば図2に示すように、キャリッジ5に設けられたエンコーダセンサ41がエンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値に基づいて制御される。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録ヘッド6の信頼性を維持するための維持機構21を備える。維持機構21は、記録ヘッド6の吐出面の清掃やキャッピング、記録ヘッド6からの不要なインクの排出などを行う。
記録ヘッド6の吐出面と対向する位置には、図2に示すように、プラテン板22が設けられている。プラテン板22は、記録ヘッド6から記録媒体16上にインクを吐出する際に、記録媒体16を支持するためのものである。本実施形態に係る画像形成装置100は、キャリッジ5の主走査方向の移動距離が長い広幅機である。このため、プラテン板22は、複数の板状部材を主走査方向(キャリッジ5の移動方向)に繋いで構成している。記録媒体16は、図示しない副走査モータによって駆動される搬送ローラにより挟持され、プラテン板22上を、副走査方向に間欠的に搬送される。
記録ヘッド6は、複数のノズル列を備えており、プラテン板22上を搬送される記録媒体16上にノズル列からインクを吐出することで、記録媒体16に画像を形成する。本実施形態では、キャリッジ5の1回の走査で記録媒体16に形成できる画像の幅を多く確保するため、図3に示すように、キャリッジ5に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6とを搭載している。また、ブラックのインクを吐出する記録ヘッド6kは、カラーのインクを吐出する記録ヘッド6y,6m,6cの2倍の数だけキャリッジ5に搭載している。また、記録ヘッド6y,6mは左右に分離して配置されている。これは、キャリッジ5の往復動作で色の重ね順を合わせ、往路と復路とで色が変わらないようにするためである。なお、図3に示す記録ヘッド6の配列は一例であり、図3に示す配列に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像形成装置100を構成する上記の各構成要素は、外装体1の内部に配置されている。外装体1にはカバー部材2が開閉可能に設けられている。画像形成装置100のメンテナンス時やジャム発生時には、カバー部材2を開けることにより、外装体1の内部に設けられた各構成要素に対して作業を行うことができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16を副走査方向に間欠的に搬送し、記録媒体16の副走査方向の搬送が停止している間に、キャリッジ5を主走査方向に移動させながら、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン板22上の記録媒体16上にインクを吐出して、記録媒体16に画像を形成する。
特に、画像形成装置100の出力特性を調整するためのキャリブレーションを実施する場合には、キャリッジ5に搭載された記録ヘッド6のノズル列からプラテン板22上の記録媒体16上にインクを吐出して、記録媒体16に測色対象となるパッチ画像200を形成する。パッチ画像200は、基準色のパッチを画像形成装置100が出力することで得られる画像であり、画像形成装置100の出力特性を反映している。したがって、パッチ画像200の測色値とそれに対応する基準色の標準色空間における表色値との差分に基づいて色変換パラメータを生成し、この色変換パラメータを用いて色変換を行った後の画像データに基づいて画像を出力することで、画像形成装置100は再現性の高い画像を出力することができる。
本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16に出力したパッチ画像200を測色するための測色装置を備える。測色装置は、画像形成装置100により記録媒体16に形成された測色対象のパッチ画像200を被写体とし、このパッチ画像200と後述する基準チャート部400とを同時に撮像する撮像ユニット42を備える。測色装置は、撮像ユニット42の撮像によって得られるパッチ画像200および基準チャート部400の画像データに基づいて、パッチ画像200の測色値を算出する。なお、この測色装置は、パッチ画像200の測色値を算出する機能だけでなく、撮像ユニット42の撮像によって得られる画像データを用いて、画像形成装置100が出力する画像の位置ずれ量を算出する機能や、撮像ユニット42の撮像によって得られる画像データを用いて、画像形成装置100が出力する画像のドット径を算出する機能も備える。
撮像ユニット42は、図2に示すように、キャリッジ5に対して固定されて設けられ、キャリッジ5と一体となって主走査方向に往復移動する。そして、撮像ユニット42は、記録媒体16に形成された画像(パッチ画像200の測色時は測色対象となるパッチ画像200)を被写体とし、この被写体と対向する位置に移動したときに、被写体と基準チャート部400とを同時に撮像する。なお、ここでの同時に撮像とは、被写体と基準チャート部400とを含む1フレームの画像データを取得することを意味する。つまり、画素ごとのデータ取得に時間差があっても、1フレーム内に被写体と基準チャート部400とを含む画像データを取得すれば、被写体と基準チャート部400とを同時に撮像したことになる。
<撮像ユニットの具体例>
図4−1乃至図4−3は、撮像ユニット42の具体例を示す図であり、図4−1は、撮像ユニット42の縦断面図(図4−2中のX1−X1線断面図)、図4−2は、撮像ユニット42の内部を透視して示す上面図、図4−3は、筐体の底面部を図4−1中のX2方向から見た平面図である。
撮像ユニット42は、枠体422と基板423とを組み合わせて構成された筐体421を備える。枠体422は、筐体421の上面となる一端側が開放された有底筒状に形成されている。基板423は、枠体422の開放端を閉塞して筐体421の上面を構成するように、締結部材424によって枠体422に締結され、枠体422と一体化されている。
筐体421は、その底面部421aが所定の間隙dを介してプラテン板22上の記録媒体16と対向するように、キャリッジ5に固定される。記録媒体16と対向する筐体421の底面部(第一の面)421aには、記録媒体16に形成された被写体(パッチ画像200)を筐体421の内部から撮影可能にするための開口部425が設けられている。
筐体421の内部には、画像を撮像するセンサ部430が設けられている。センサ部430は、CCDセンサまたはCMOSセンサなどの2次元イメージセンサ431と、センサ部430の撮像範囲の光学像を2次元イメージセンサ431のセンサ面に結像する結像レンズ432とを備える。2次元イメージセンサ431は、センサ面が筐体421の底面部421a側に向くように、例えば、基板423の内面(部品実装面)に実装されている。結像レンズ432は、その光学特性に応じて定められる位置関係を保つように2次元イメージセンサ431に対して位置決めされた状態で固定されている。
筐体421の底面部421aのセンサ部430と対向する内面側には、底面部421aに設けられた開口部425と隣り合うようにして、基準チャート部400が形成されたチャート板410が配置されている。チャート板410は、例えば、基準チャート部400が形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。なお、基準チャート部400は、チャート板410上ではなく、筐体421の底面部421aの内面側に直接形成されていてもよい。この場合はチャート板410は不要である。基準チャート部400は、例えば被写体(パッチ画像200)の比較対象として、センサ部430により被写体(パッチ画像200)とともに撮像されるものである。つまり、センサ部430は、筐体421の底面421aに設けられた開口部425を介して筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)を撮像すると同時に、筐体421の底面421aの内面側に配置されたチャート板410上の基準チャート部400を撮像する。なお、基準チャート部400の詳細については後述する。
また、筐体421の内部には、センサ部430が被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400とを同時に撮像する際に、これら被写体(パッチ画像200)および基準チャート部400を照明する照明光源426が設けられている。照明光源426としては、例えばLEDが用いられる。本実施形態においては、照明光源426として2つのLEDを用いる。照明光源426として用いるこれら2つのLEDは、例えば、センサ部430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装される。ただし、照明光源426は、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400とを照明できる位置に配置されていればよく、必ずしも基板423に直接実装されていなくてもよい。また、本実施形態では、照明光源426としてLEDを用いているが、光源の種類はLEDに限定されるものではない。例えば、有機ELなどを照明光源426として用いるようにしてもよい。有機ELを照明光源426として用いた場合は、太陽光の分光分布に近い照明光が得られるため、測色精度の向上が期待できる。
また、本実施形態では、図4−2に示すように、照明光源426として用いる2つのLEDを基板423側から筐体421の底面部421a側に垂直に見下ろしたときの底面部421a上の投影位置が、開口部425と基準チャート部400との間の領域内となり、且つ、センサ部430を中心として対称となる位置となるように、これら2つのLEDが配置されている。換言すると、照明光源426として用いる2つのLEDを結ぶ線がセンサ部430の結像レンズ432の中心を通り、且つ、この2つのLEDを結ぶ線に対して線対称となる位置に、筐体421の底面部421aに設けられた開口部425と基準チャート部400とが配置される。照明光源426として用いる2つのLEDをこのように配置することにより、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400とを、概ね同一の条件にて照明することができる。
ところで、筐体421の内部に配置された基準チャート部400と同一の照明条件により筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)を照明するには、センサ部430による撮像時に外光が被写体(パッチ画像200)に当たらないようにして、照明光源426からの照明光のみで被写体(パッチ画像200)を照明する必要がある。被写体(パッチ画像200)に外光が当たらないようにするには、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくし、被写体(パッチ画像200)に向かう外光が筐体421によって遮られるようにすることが有効である。ただし、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくしすぎると、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触してしまい、画像の撮像を適切に行えなくなる虞がある。そこで、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dは、記録媒体16の平面性を考慮して、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触しない範囲で小さな値に設定することが望ましい。例えば、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、記録媒体16が筐体421の底面部421aに接触することなく、記録媒体16に形成された被写体(パッチ画像200)に外光が当たることを有効に防止できる。
なお、照明光源426からの照明光を被写体(パッチ画像200)に適切に照射するには、筐体421の底面部421aに設けた開口部425の大きさを被写体(パッチ画像200)よりも大きくし、開口部425の端縁で照明光が遮られることで生じる影が被写体(パッチ画像200)に映り込まないようにすることが望ましい。
また、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを小さくすれば、センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長と、センサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内とすることもできる。本実施形態の撮像ユニット42は、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)と筐体421の内部に設けられた基準チャート部400とをセンサ部430により同時に撮像する構成である。したがって、センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差がセンサ部430の被写界深度の範囲を超えていると、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400との双方に焦点の合った画像を撮像することができない。
センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差は、概ね、筐体421の底面部421aの厚みに間隙dを加えた値となる。したがって、間隙dを十分に小さな値とすれば、センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内として、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。例えば、間隙dを1mm〜2mm程度に設定すれば、センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内とすることができる。
なお、センサ部430の被写界深度は、センサ部430の絞り値や結像レンズ432の焦点距離、センサ部430と被写体との間の距離などに応じて定まる、センサ部430に固有の特性である。本実施形態の撮像ユニット42においては、筐体421の底面部421aと記録媒体16との間の間隙dを例えば1mm〜2mm程度の十分に小さな値としたときに、センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長と、センサ部430から基準チャート部400までの光路長との差が被写界深度の範囲内となるように、センサ部430が設計されている。
<基準チャート部の具体例>
次に、図5を参照しながら、撮像ユニット42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上の基準チャート部400について詳細に説明する。図5は、基準チャート部400の具体例を示す図である。
図5に示す基準チャート部400は、測色用のパッチを配列した複数の基準パッチ列401〜404、ドット計測用パターン列406、距離計測用ライン405およびチャート位置特定用マーカ407を有する。
基準パッチ列401〜404は、YMCの1次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列401と、RGBの2次色のパッチを階調順に配列した基準パッチ列402と、グレースケールのパッチを階調順に配列した基準パッチ列(無彩色の階調パターン)403と、3次色のパッチを配列したパッチ列404と、を含む。ドット計測用パターン列406は、大きさが異なる円形パターンが大きさ順に配列された幾何学形状測定用のパターン列である。
距離計測用ライン405は、複数の基準パッチ列401〜404やドット径計測用パターン列406を囲む矩形の枠(一対の主走査距離基準線と一対の副走査距離基準線との組み合わせ)として形成されている。チャート位置特定用マーカ407は、距離計測用ライン405の四隅の位置に設けられていて、各パッチ位置を特定するためのマーカとして機能する。撮像ユニット42の撮像により得られる基準チャート部400の画像データから、距離計測用ライン405とその四隅のチャート位置特定用マーカ407を特定することで、基準チャート部400の位置及び各パターンの位置を特定することができる。
測色用の基準パッチ列401〜404を構成する各パッチは、撮像ユニット42が撮像を行う際の撮像条件を反映した色味の基準として用いられる。なお、基準チャート部400に配置されている測色用の基準パッチ列401〜404の構成は、図5に示す例に限定されるものではなく、任意のパッチ列を適用することが可能である。例えば、可能な限り色範囲が広く特定できるパッチを用いてもよいし、また、YMCKの1次色の基準パッチ列401や、グレースケールの基準パッチ列403は、画像形成装置100に使用されるインクの測色値のパッチで構成されていてもよい。また、RGBの2次色の基準パッチ列402は、画像形成装置100で使用されるインクで発色可能な測色値のパッチで構成されていてもよく、さらに、Japan Color等の測色値が定められた基準色票を用いてもよい。
なお、本実施形態では、一般的なパッチ(色票)の形状の基準パッチ列401〜404を有する基準チャート部400を用いているが、基準チャート部400は、必ずしもこのような基準パッチ列401〜404を有する形態でなくてもよい。基準チャート部400は、測色に利用可能な複数の色が、それぞれの位置を特定できるように配置された構成であればよい。
基準チャート部400は、撮像ユニット42の筐体421の底面部421aに、開口部425と隣り合うように配置されているため、センサ部430によってパッチ画像200などの被写体と同時に撮像することができる。
<画像形成装置の制御機構の概略構成>
次に、図6を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構の概略構成について説明する。図6は、画像形成装置100の制御機構の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る画像形成装置100の制御機構は、上位CPU107、ROM118、RAM119、主走査ドライバ109、記録ヘッドドライバ111、測色制御部50、紙搬送部112、副走査ドライバ113、記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および撮像ユニット42を備える。記録ヘッド6、エンコーダセンサ41、および撮像ユニット42は、上述したようにキャリッジ5に搭載されている。
上位CPU107は、記録媒体16に形成する画像のデータや駆動制御信号(パルス信号)を各ドライバに供給し、画像形成装置100の全体の制御を司る。具体的には、上位CPU107は、主走査ドライバ109を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。また、上位CPU107は、記録ヘッドドライバ111を介して、記録ヘッド6によるインクの吐出タイミングを制御する。また、上位CPU107は、副走査ドライバ113を介して、搬送ローラや副走査モータを含む紙搬送部112の駆動を制御する。
エンコーダセンサ41は、エンコーダシート40のマークを検知して得られるエンコーダ値を上位CPU107に出力する。上位CPU107は、エンコーダセンサ41からのエンコーダ値を基に、主走査ドライバ109を介して、キャリッジ5の主走査方向の駆動を制御する。
撮像ユニット42は、上述したように、記録媒体16に形成されたパッチ画像200の測色時に、パッチ画像200と筐体421の内部に配置されたチャート板410上の基準チャート部400とをセンサ部430で同時に撮像し、パッチ画像200および基準チャート部400を含む画像データを測色制御部50に出力する。
測色制御部50は、撮像ユニット42から取得したパッチ画像200および基準チャート部400の画像データに基づいて、パッチ画像200の測色値(標準色空間における表色値)を算出する。測色制御部50が算出したパッチ画像200の測色値は、上位CPU107に送られる。測色制御部50は、撮像ユニット42とともに、測色装置を構成している。なお、本実施形態では、測色制御部50を撮像ユニット42とは別個の構成としているが、測色制御部50を撮像ユニット42と一体の構成としてもよい。例えば、撮像ユニット42の基板423に、測色制御部50として機能する制御回路を実装するようにしてもよい。
また、測色制御部50は、撮像ユニット42に対して各種設定信号やタイミング信号、光源駆動信号などを供給し、撮像ユニット42による画像の撮像を制御する。各種設定信号は、センサ部430の動作モードを設定する信号や、シャッタスピード、AGCのゲインなどの撮像条件を設定する信号を含む。これら設定信号は、測色制御部50が上位CPU107から取得して、撮像ユニット42に供給する。また、タイミング信号は、センサ部430による撮像のタイミングを制御する信号であり、光源駆動信号は、センサ部430の撮像範囲を照明する照明光源426の駆動を制御する信号である。これらタイミング信号および光源駆動信号は、測色制御部50が生成して、撮像ユニット42に供給する。
ROM118は、例えば、上位CPU107で実行する処理手順等のプログラムや各種制御データなどを格納する。RAM119は、上位CPU107のワーキングメモリとして利用される。
<測色装置の制御機構の構成>
次に、図7を参照しながら、測色装置の制御機構について具体的に説明する。図7は、測色装置の制御機構の一構成例を示すブロック図である。
測色装置は、撮像ユニット42と測色制御部50とを備える。撮像ユニット42は、上述したセンサ部430と照明光源426とに加え、さらに、画像処理部45と、インターフェース部46と、を備える。なお、本実施形態では、画像処理部45をセンサ部430とは別個の構成としているが、センサ部430の2次元イメージセンサ431に画像処理部45の機能を持たせるようにしてもよい。
画像処理部45は、センサ部430により撮像した画像データを処理するものであり、AD変換部451、シェーディング補正部452、ホワイトバランス補正部453、γ補正部454、および画像フォーマット変換部455を備える。
AD変換部451は、センサ部430が出力するアナログ信号をAD変換する。
シェーディング補正部452は、センサ部430の撮像範囲に対する照明光源426からの照明の照度ムラに起因する画像データの誤差を補正する。
ホワイトバランス補正部453は、画像データのホワイトバランスを補正する。
γ補正部454は、センサ部430の感度のリニアリティを補償するように画像データを補正する。
画像フォーマット変換部455は、画像データを任意のフォーマットに変換する。
インターフェース部46は、測色制御部50から送られた各種設定信号、タイミング信号および光源駆動信号を撮像ユニット42が取得し、また、撮像ユニット42から測色制御部50へ画像データを送るためのインターフェースである。
測色制御部50は、フレームメモリ51と、演算部53と、タイミング信号発生部54と、光源駆動制御部55と、を備える。
フレームメモリ51は、撮像ユニット42から送られた画像データを一時的に記憶するメモリである。
演算部53は、測色値算出部(算出部)531と、位置ずれ量算出部532と、ドット径算出部533と、を備える。演算部53は、例えばCPUなどのプロセッサを備え、このプロセッサにより所定のプログラムを実行することによって、測色値算出部531、位置ずれ量算出部532、およびドット径算出部533の各機能を実現する。なお、本実施形態では演算部53の測色値算出部531、位置ずれ量算出部532、およびドット径算出部533をソフトウェアにより実現しているが、これらの一部または全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
測色値算出部531は、撮像ユニット42のセンサ部430が、測色対象のパッチ画像200と基準チャート部400とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られるパッチ画像200および基準チャート部400の画像データとに基づいて、パッチ画像200の測色値を算出する。測色値演算部531が算出したパッチ画像200の測色値は、上位CPU107へと送られる。なお、測色値算出部531による処理の具体例については、詳細を後述する。
位置ずれ量算出部532は、画像形成装置100により記録媒体16に所定の位置ずれ計測用の画像が出力され、撮像ユニット42のセンサ部430が、筐体421の内部に配置された基準チャート部400と画像形成装置100が出力した位置ずれ計測用の画像とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られる位置ずれ計測用の画像の画像データと、基準チャート部400の画像データとに基づいて、画像形成装置100が出力する画像の位置ずれ量を算出する。位置ずれ量算出部532が算出した画像の位置ずれ量は、上位CPU107へと送られる。なお、位置ずれ量算出部532による処理の具体例については、詳細を後述する。
ドット径算出部533は、画像形成装置100により記録媒体16に所定のドット径計測用の画像が出力され、撮像ユニット42のセンサ部430が、筐体421の内部に配置された基準チャート部400と画像形成装置100が出力したドット径計測用の画像とを同時に撮像したときに、この撮像によって得られるドット径計測用の画像の画像データと、基準チャート部400の画像データとに基づいて、画像形成装置100が出力する画像のドット径を算出する。ドット径算出部533が算出した画像のドット径は、上位CPU107へと送られる。なお、ドット径算出部533による処理の具体例については、詳細を後述する。
タイミング信号発生部54は、撮像ユニット42のセンサ部430による撮像のタイミングを制御するタイミング信号を発生して、撮像ユニット42に供給する。
光源駆動制御部55は、撮像ユニット42の照明光源426を駆動するための光源駆動信号を生成して、撮像ユニット42に供給する。
<パッチ画像の測色方法>
次に、図8乃至図13を参照しながら、測色装置を用いたパッチ画像200の測色方法の具体例について詳細に説明する。図8は、センサ部430が測色対象のパッチ画像200と基準チャート部400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図9は、パッチ画像200の測色方法の具体例を説明する図である。図10は、L*a*b*値とXYZ値との変換を行う変換式を示す図である。図11は、パッチ画像200の測色の手順を示すフローチャートである。図12は、パッチ画像200の測色の手順の変形例を示すフローチャートである。図13は、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するRGB値を特定する方法を説明する図である。
パッチ画像200の測色を行う場合は、まず、画像形成装置100が任意のパッチを記録媒体16に出力してパッチ画像200を形成する。そして、測色装置の撮像ユニット42が備えるセンサ部430により、測色対象のパッチ画像200を撮像ユニット42の筐体421内に配置されたチャート板410上の基準チャート部400とともに撮像する。その結果、例えば図8に示すようなパッチ画像200および基準チャート部400を含む画像データが取得される。センサ部430の撮像範囲は、基準チャート部400を撮像する基準チャート撮像領域と、測色対象の被写体であるパッチ画像200を撮像する被写体撮像領域とを有している。基準チャート撮像領域に対応する画素から出力される画像データが基準チャート部400の画像データとなり、被写体撮像領域に対応する画素から出力される画像データがパッチ画像200の画像データとなる。なお、ここでは、測色対象の被写体として1つのパッチ画像200のみを撮像するようにしているが、複数のパッチ画像200を同時に撮像するようにしてもよい。
センサ部430により撮像されたパッチ画像200および基準チャート部400の画像データは、画像処理部45での処理が行われた後、撮像ユニット42からインターフェース部46を介して測色制御部50へと送られ、測色制御部50のフレームメモリ51に格納される。そして、演算部53の測色値算出部531が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、パッチ画像200の測色を行う。
測色値算出部531は、まず、フレームメモリ51から読み出した画像データから、基準チャート部400の距離計測用ライン(主走査・副走査距離基準線)405の四隅にあるチャート位置特定用マーカ407の位置を、パターンマッチング等により特定する。これにより、画像データにおける基準チャート部400の位置を特定することができる。基準チャート部400の位置を特定した後は、基準チャート部400の各パッチの位置を特定する。
次に、測色値算出部531は、基準チャート部400の各パッチの画像データ(RGB値)を用いて、測色対象となるパッチ画像200の画像データ(RGB値)を、L*a*b*色空間における表色値であるL*a*b*値に変換する。以下、この変換の具体的な手法について詳細に説明する。
図9(c)は、図5に示した基準チャート部400の1次色(YMC)の基準パッチ列401および2次色(RGB)の基準パッチ列402の各パッチのL*a*b*値を、L*a*b*色空間上にプロットしたものである。なお、これら各パッチのL*a*b*値は、予め計測されており、例えば測色制御部50の内部の不揮発性メモリなどに記憶されている。
図9(a)は、図5に示した基準チャート部400の1次色(YMC)の基準パッチ列401および2次色(RGB)の基準パッチ列402の各パッチのRGB値(センサ部430による撮像によって得られる画像データ)を、RGB色空間上にプロットしたものである。
図9(b)は、図9(c)に示すL*a*b*値を、所定の変換式を用いてXYZ値に変換し、その変換したXYZ値を、XYZ色空間上にプロットしたものである。L*a*b*値をXYZ値に変換する場合、図10(b)に示す変換式(Lab⇒XYZ)により変換することができる。また、XYZ値をL*a*b*値に変換する場合、図10(a)に示す変換式(XYZ⇒Lab)により変換することができる。つまり、図9(c)に示すL*a*b*値と図9(b)に示すXYZ値は、図10(a),(b)に示す変換式を用いて相互に変換することができる。
ここで、図11のフローチャートに沿って、図8に示す被写体撮像領域内から得られた側色対象のパッチ画像200のRGB値をL*a*b*値に変換する手順を説明する。測色対象のパッチ画像200のRGB値が、図9(a)に示すRGB色空間上のPrgb点にあったとする。この場合、まず、図8に示す基準チャート部400の各パッチのRGB値のうち、Prgb点を含む4面体を作ることができる最近傍の4点を検索する(ステップS1)。図9(a)の例では、p0,p1,p2,p3の4点が選択される。ここで、図9(a)に示すRGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3の各座標値を、p0(x01,x02,x03),p1(x1,x2,x3),p2(x4,x5,x6),p3(x7,x8,x9)とする。
次に、図9(a)に示すRGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3に対応する図9(b)に示すXYZ色空間上の4点q0,q1,q2,q3を検索する(ステップS2)。XYZ色空間上の4点q0,q1,q2,q3の各座標値を、q0(y01,y02,y03),q1(y1,y2,y3),q2(y4,y5,y6),q3(y7,y8,y9)とする。
次に、この4面体内の局所空間を線形変換する線形変換マトリックスを求める(ステップS3)。具体的には、RGB色空間上の4点p0,p1,p2,p3のうち、任意の対応点の対を決定し(本実施形態では、無彩色に最も近いp0,q0とする)、この対応点(p0,q0)を原点とする(p1〜p3、q1〜q3の座標値は、p0,q0からの相対値となる)。
図9(a)に示すRGB色空間と図9(b)に示すXYZ色空間との空間間の変換式をY=AXと線形変換できると仮定すると、下記式(1)のように表される。
ここで、p1→q1、p2→q2、p3→q3に写像されるとすると、各係数aは、下記式(2)〜(10)のように求めることができる。
次に、この線形変換マトリックス(Y=AX)を使って、図9(a)に示すRGB色空間上の測色対象のパッチ画像200のRGB値であるPrgb点(座標値は(Pr,Pg,Pb))を図9(b)に示すXYZ色空間上に写像する(ステップS4)。ここで得られたXYZ値は、原点q0からの相対値であるため、測色対象のパッチ画像200のRGB値Prgbに対応する実際のXYZ値Pxyz(座標値は(Px,Py,Pz))は、原点q0(y01,y02,y03)からのオフセット値として、下記式(11)〜(13)のようになる。
次に、以上のように求めたパッチ画像200のXYZ値Pxyzを、図10(a)に示した変換式によってL*a*b*値に変換し、測色対象のパッチ画像200のRGB値Prgbに対応するL*a*b*値を求める(ステップS5)。これにより、センサ部430の感度が変わったり、照明光源426の波長や強度が変化したりした場合でも、測色対象のパッチ画像200の測色値を正確に求めることができ、高精度の測色を行うことができる。なお、本実施形態では、画像形成装置100が形成したパッチ画像200を測色対象としているが、画像形成装置100が出力した任意の画像を測色対象とすることもできる。例えば、画像形成装置100が画像を出力しながらその画像の一部を測色し、リアルタイムで画像形成装置の出力特性を調整するといった利用が可能である。
なお、上述した処理動作で使用した図9(c)は、図5に示した基準チャート部400の1次色(YMC)の基準パッチ列401および2次色(RGB)の基準パッチ列402の各パッチのL*a*b*値を、L*a*b*色空間上にプロットしたものである。図5に示した基準チャート部400は、撮像ユニット42の筐体421の内部に配置されるチャート板410上に形成されるため、基準チャート部400を構成するパッチの数が制限されることになる。このため、標準のパッチの中から選別した一部のパッチを用いて、図5に示した基準チャート部400を構成することになる。例えば、Japan Colorは928色あり、その928色の中から選択した一部(例えば72色)を用いて、図5に示す基準チャート部400を構成することになる。しかし、標準のパッチの中から選択された一部のパッチのみを用いて測色を行う場合、測色の精度の低下が懸念される。そこで、基準チャート部400を構成するパッチのRGB値から標準のパッチのRGB値を類推し、標準のパッチのRGB値を用いて測色対象のパッチ画像200の測色を行うことが望ましい。
具体的には、標準のパッチのL*a*b*値を記憶しておき、図12に示すように、センサ部430の撮像により得られた基準チャート部400の各パッチのRGB値を基に、標準の各パッチに対応するRGB値を特定し(ステップS0)、その特定した標準の各パッチのRGB値を基に、測色対象のパッチ画像200のRGB値を内包する4点の検索を行う(ステップS1’)。
図13に示すように、基準チャート部400の各パッチのRGB値(a)と、その基準チャート部400の各パッチのL*a*b*値(b)とは、変換式αで対応しているため(b=a×α)、基準チャート部400を構成する各パッチのRGB値を基に、変換式αを算出する。また、基準チャート部400の各パッチのL*a*b*値は、標準の各パッチのL*a*b*値の一部であるため、標準の各パッチのRGB値(A)と、標準の各パッチのL*a*b*値(B)とは、上記変換式αで対応することになる(B=A×α)。このため、上記算出した変換式αを基に、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するRGB値を特定することができる。これにより、基準チャート部400の各パッチのRGB値を基に、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するRGB値を特定することができる。
次に、標準の各パッチのL*a*b*値に対応するXYZ値を基に、測定対象のパッチ画像200のRGB値を内包する4点のパッチに対応するXYZ値を検索する(ステップS2’)。
次に、ステップS2’で検索した4点のパッチに対応するXYZ値を基に、線形変換マトリックスを算出し(ステップS3’)、その算出した線形変換マトリックスを基に、測定対象のパッチ画像200のRGB値をXYZ値に変換する(ステップS4’)。次に、ステップS4’で変換したXYZ値を上述した変換式を用いてL*a*b*値に変換する(ステップS5’)。これにより、標準の各パッチのRGB値やXYZ値を基に、測定対象のパッチ画像200のL*a*b*値を得ることができ、パッチ画像200の測色を高精度に行うことができる。なお、標準のパッチとしては、Japan Colorに限定されるものではなく、例えば米国で使用しているSWOPや欧州で使用しているEuro Press等の標準色を使用することも可能である。
ところで、本実施形態に係る画像形成装置100は、記録媒体16上にドットマトリクスで画像を形成しており、YMCKなどのインクの重ね合わせにより所望の色を再現している。しかし、画像の位置ずれが存在すると、画像劣化が起こるとともに、上述したパッチ画像200から得られる測色値自体も変化してしまう。
記録媒体16上に形成した画像の位置ずれが原因で画像の色が変わっている場合に、インクの吐出量だけで画像の色を補正しようとすると、各インクの吐出量のバランスが崩れてしまい、良好な画像が得られなくなる。このため、パッチ画像200の測色を行う前に、画像の位置ずれを計測して補正することが望ましい。
<画像の位置ずれ計測方法>
次に、図14乃至図18を参照しながら、本実施形態に係る測色装置を用いた画像の位置ずれ計測方法の具体例について詳細に説明する。図14は、センサ部430が位置ずれ計測用の画像の一例であるテストパターン110と基準チャート部400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図15および図16は、画像の主走査位置ずれを計測する方法を説明する図である。図17は、画像の副走査位置ずれを計測する方法を説明する図である。図18は、センサ部430が位置ずれ計測用の画像の他の例であるテストパターン120と基準チャート部400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。
画像の位置ずれ計測を行う場合は、まず、画像形成装置100が予め定められた位置ずれ計測用の画像であるテストパターン110を記録媒体16に形成する。そして、測色装置の撮像ユニット42が備えるセンサ部430により、記録媒体16に形成されたテストパターン110と基準チャート部400とを同時に撮像する。その結果、例えば図14に示すようなテストパターン110と基準チャート部400とを含む画像データが取得される。
センサ部430により撮像されたテストパターン110および基準チャート部400の画像データは、画像処理部45での処理が行われた後、撮像ユニット42からインターフェース部46を介して測色制御部50へと送られ、測色制御部50のフレームメモリ51に格納される。そして、演算部53の位置ずれ量算出部532が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、画像の位置ずれ計測を行う。
図14に示すテストパターン110の下側の領域の縦線(実線)は、上流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測するためのパターンである。また、テストパターン110の上側の領域の縦線(実線)は、下流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測するためのパターンである。また、テストパターン110の中間の横線(実線)は、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向の相対的な位置ずれを計測するためのパターンである。なお、図14に示す点線の縦線は、主走査方向の位置ずれがない場合に記録媒体16上に記録される理想的な縦線の位置を示し、実際には記録媒体16上に記録されない縦線である。
上流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測する場合は、まず、センサ部430により撮像されたテストパターン110の画像データを用いて、記録ヘッド6から所定間隔αずつずらして記録媒体16上に実際に形成した縦線(実線)の間隔を計測し、その記録媒体16上に形成した実際の縦線の位置(実線)と、主走査方向の位置ずれがない場合に記録媒体16上に形成される理想的な縦線の位置(点線)との差分を主走査方向の位置ずれ量として算出する。なお、記録媒体16上に実際に形成した縦線(実線)の間隔は、最も左側に形成した黒の縦線を主走査位置ずれ計測用の基準線として計測する。
具体的には、図15に示すように、最も左側に形成した黒の1つ目の縦線を主走査位置ずれ計測用基準線とし、その基準線と、実際に形成した縦線との間隔(x1、x2、x3)を計測する。これにより、実際の縦線の位置を把握することができる。次に、実際の縦線の位置(実線)と、理想的な縦線の位置(点線)との差分(Δx1、Δx2、Δx3)を計測する。2つ目の実際の縦線の位置と理想的な縦線の位置との差分(Δx1)は、Δx1=x1−αで求めることができる。また、3つ目の実際の縦線の位置と理想的な縦線の位置との差分(Δx2)は、Δx2=x2−2αで求めることができる。また、3つ目の実際の縦線の位置と理想的な縦線の位置との差分(Δx3)は、Δx3=x3−3αで求めることができる。この差分(Δx1、Δx2、Δx3)が上流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれである。したがって、この差分(Δx1、Δx2、Δx3)を基に上流側の記録ヘッド6の主走査方向の位置ずれを補正すれば、記録媒体16上に実際に記録される縦線(実線)の位置が理想的な縦線(点線)の位置となる。
また、下流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測する場合は、上述した図15に示す方法を用いて行う。ただし、最も左側に形成した黒の1つ目の縦線の位置は、図16に示すように、主走査位置ずれ計測用基準線の位置とずれている場合がある。このため、最も左側に記録した黒の1つ目の縦線の位置と、主走査位置ずれ計測用基準線の位置との差分(Δx0)を求め、その差分(Δx0)で最も左側に形成した黒の1つ目の縦線の位置を、主走査位置ずれ計測用基準線の位置(理想位置)に補正した後で、図15に示す方法を用いて下流側の記録ヘッド6の主走査方向の相対的な位置ずれを計測し、主走査方向の位置ずれを補正する。
また、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向のずれを計測する場合は、図14に示す中央の4本の横線を使用する。これら4本の横線のうち、下側の2本の横線は上流側の記録ヘッド6を用いて記録媒体16上に形成された線であり、上側の2本の横線は下流側の記録ヘッド6を用いて記録媒体16上に形成された線である。そして、図17に示すように、それぞれの横線の間の距離(β1、β2)を計測し、その差分(Δβ=β1−β2)を、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向の位置ずれ量として算出する。この差分(Δβ)を基に、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の副走査方向の位置ずれを補正すれば、それぞれの横線の間の距離(β1、β2)が同じになる。
なお、基準チャート部400の距離計測用ライン405による副走査距離基準線と主走査距離基準線とは絶対的な距離であるため、その副走査距離基準線と主走査距離基準線との絶対距離を予め計測して記憶しておき、基準チャート部400を撮像して得られる図14に示す副走査距離基準線と主走査距離基準線の画像上の距離と、記憶している副走査距離基準線と主走査距離基準線との絶対距離とを比較し、画像上の距離と絶対距離との相対比を算出し、上述した被写体撮像領域のテストパターン110から得られた位置ずれ量に相対比を乗算することで、実際の位置ずれ量を算出することができる。この実際の位置ずれ量を基に、位置ずれ補正を行うことで、高精度な位置ずれ補正を行うことができる。
なお、上述した位置ずれ計測方法は、図14に示すようなラインパターンのテストパターン110を用いて画像の位置ずれ計測する方法である。しかし、画像の位置ずれを計測する方法は、上述した方法に限らず、様々な方法が考えられる。例えば、図18に示すようなドットパターンのテストパターン120を用いて、各記録ヘッド6間の幾何学的な位置ずれを計測することも可能である。
図18に示すテストパターン120の場合は、第1の枠301内のドットを用いて、上流側の記録ヘッド6の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。また、第2の枠302内のドットを用いて、下流側の記録ヘッド6の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。また、第3の枠303内のドットを用いて、上流側の記録ヘッド6と下流側の記録ヘッド6との間の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。また、第4の枠304内のドットを用いて、キャリッジ5の往復動作による記録ヘッド6の主走査・副走査方向の位置ずれ量を算出することができる。
<画像のドット径計測方法>
次に、図19および図20を参照しながら、測色装置を用いた画像のドット径計測方法の具体例について詳細に説明する。図19は、センサ部430がドット径計測用の画像であるテストパターン130と基準チャート部400とを同時に撮像することで得られる画像データの一例を示す図である。図20は、テストパターン130に含まれるドット近傍の画像データからドット径を計測する方法を説明する図である。
画像のドット径の計測を行う場合は、まず、画像形成装置100が予め定められたドット径計測用の画像であるテストパターン130を記録媒体16に形成する。テストパターン130は、少なくとも1つのドット131を含む。そして、測色装置の撮像ユニット42が備えるセンサ部430により、記録媒体16に形成されたテストパターン130と基準チャート部400とを同時に撮像する。その結果、例えば図19に示すようなテストパターン130と基準チャート部400とを含む画像データが取得される。
センサ部430により撮像されたテストパターン130および基準チャート部400の画像データは、画像処理部45での処理が行われた後、撮像ユニット42からインターフェース部46を介して測色制御部50へと送られ、測色制御部50のフレームメモリ51に格納される。そして、演算部53のドット径算出部533が、フレームメモリ51に格納された画像データを読み出して、画像のドット径の計測を行う。
ドット径算出部533は、まず、フレームメモリ51から読み出した画像データから、基準チャート部400の距離計測用ライン(主走査・副走査距離基準線)405の四隅にあるチャート位置特定用マーカ407の位置を、パターンマッチング等により特定する。これにより、画像データにおける基準チャート部400の位置を特定することができる。基準チャート部400の位置を特定した後は、パターン列406を構成するドット径計測用パターンの位置を特定する。
次に、ドット径算出部533は、画像データに対する処理によって、テストパターン130に含まれるドット131と、基準チャート部400のパターン列406を構成する各ドット径計測用パターンとを比較し、パターン列406を構成するドット径計測用パターンの中から、テストパターン130に含まれるドット131と同じ大きさのドット径計測用パターンを特定して、画像形成装置100が記録媒体16に出力したドット131の大きさであるドット径を算出する。
図20(a)は、テストパターン130に含まれるドット131近傍の画素を表し、図20(b)は、ドット131近傍の画素の値を表している。例えば、図20(a)に示すX軸方向のある一列のラインAを抜き出し、その一列のラインAを構成する各画素の値を直線で結んでいくと、図20(c)に示すセンサ出力値のグラフを得ることができる。ここで、予め定めた閾値を用いて、その閾値を超えるセンサ出力値を検出すると、2つの交点a,bを得ることができる。この2点a,b間の距離を算出することで、ラインAにおけるドット131の大きさを特定することができる。ドット131は、被写体撮像領域のどの領域で検出されるか分からないため、上記のX軸方向におけるドット131の大きさの特定処理をY軸方向に対して全て行う。そして、上記の処理により得られた2点間の距離の中で最も大きな2点間の距離を、X軸方向におけるドット131の大きさとする。
同様に、例えば、図20(a)に示すY軸方向のある一列のラインBを抜き出し、その一列のラインBを構成する各画素の値を直線で結んでいくと、図20(d)に示すセンサ出力値のグラフを得ることができる。ここで、上記と同様の予め定めた閾値を用いて、その閾値を超えるセンサ出力値を検出すると、2つの交点c,dを得ることができる。この2点c,d間の距離を算出することで、ラインBにおけるドット131の大きさを特定することができる。ドット131は、被写体撮像領域のどの領域で検出されるか分からないため、上記のY軸方向のドット131の大きさの特定処理をX軸方向に対して全て行う。そして、上記の処理により得られた2点間の距離の中で最も大きな2点間の距離を、Y軸方向におけるドット131の大きさとする。
以上により、テストパターン130に含まれるドット131のX軸方向における大きさおよびY軸方向における大きさを特定でき、センサ部430が撮像した画像におけるドット131の相対的な大きさを特定することができる。なお、図20に示した例では、センサ出力値に対する閾値を180としているが、この値はあくまで一例であり、ドット131のエッジ部分を精度良く抽出できる最適な閾値を用いればよい。
以上の処理により得られたドット131の大きさは、センサ部430が撮像した画像におけるドット131の相対的な大きさである。このドット131の相対的な大きさを、画像形成装置100が記録媒体16に出力したドット131の絶対的な大きさであるドット径に置き換えるために、テストパターン130と同時に撮像された基準パターン400に含まれるドット計測用パターン列406を用いる。すなわち、ドット計測用パターン列406を構成する各ドット径計測用パターンのうち、上述した処理により得られたドット131の相対的な大きさに最も近い大きさを持つドット径計測用パターンを特定する。ここで、ドット計測用パターン列406を構成する各ドット径計測用パターンに対応するドット径は予め測定され、記憶されている。したがって、上述した処理により得られたドット131の相対的な大きさに最も近い大きさを持つドット径計測用パターンを特定することで、画像形成装置100が記録媒体16に出力したドット131の絶対的な大きさであるドット径を算出することができる。
<撮像ユニットの変形例>
次に、撮像ユニット42の変形例について説明する。以下では、第1変形例の撮像ユニット42を撮像ユニット42Aと表記し、第2変形例の撮像ユニット42を撮像ユニット42Bと表記し、第3変形例の撮像ユニット42を撮像ユニット42Cと表記し、第4変形例の撮像ユニット42を撮像ユニット42Dと表記し、第5変形例の撮像ユニット42を撮像ユニット42Eと表記し、第6変形例の撮像ユニット42を撮像ユニット42Fと表記する。なお、各変形例において、上述した撮像ユニット42と共通の構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
<第1変形例>
図21は、第1変形例の撮像ユニット42Aの縦断面図であり、図4−1に示した撮像ユニット42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第1変形例の撮像ユニット42Aでは、筐体421の底面部421aに、パッチ画像200を撮像するための開口部425とは別の開口部427が設けられている。そして、この開口部427を筐体421の外側から閉塞するように、チャート板410が配置されている。つまり、上述した撮像ユニット42では、チャート板410が筐体421の底面部421aのセンサ部430と対向する内面側に配置されていたのに対して、第1変形例の撮像ユニット42Aでは、チャート板410が筐体421の底面部421aの記録媒体16と対向する外面側に配置されている。
具体的には、例えば、筐体421の底面部421aの外面側に、チャート板410の厚みに相当する深さの凹部が、開口部427と連通するように形成されている。そして、この凹部内に、チャート板410が、基準チャート部400が形成された面をセンサ部430側に向けて配置されている。チャート板410は、例えば、その端部が開口部427の端縁近傍にて接着剤などにより筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されている。
以上のように構成される第1変形例の撮像ユニット42Aでは、基準チャート部400が形成されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側に配置することにより、上述した撮像ユニット42に比べて、センサ部430からパッチ画像200までの光路長とセンサ部430から基準チャート部400までの光路長との差が小さくなる。したがって、センサ部430の被写界深度が比較的浅い場合でも、パッチ画像200と基準チャート部400との双方に焦点の合った画像を撮像することができる。
<第2変形例>
図22は、第2変形例の撮像ユニット42Bの縦断面図であり、図4−1に示した撮像ユニット42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第2変形例の撮像ユニット42Bでは、第1変形例の撮像ユニット42Aと同様に、筐体421の底面部421aの外面側にチャート板410が配置されている。ただし、第1変形例の撮像ユニット42Aでは、チャート板410が接着剤などによって筐体421の底面部421aに接合され、筐体421と一体化されていたのに対して、第2変形例の撮像ユニット42Bでは、チャート板410が筐体421に対して着脱可能に保持されている。
具体的には、例えば、第1変形例の撮像ユニット42Aと同様に、筐体421の底面部421aの外面側に開口部427と連通する凹部が形成され、この凹部内にチャート板410が配置されている。また、第2変形例の撮像ユニット42Bは、凹部内に配置されたチャート板410を筐体421の底面部421aの外面側から押さえ込んで保持する保持部材428を備える。保持部材428は、筐体421の底面部421aに対して取り外し可能に装着されている。したがって、第2変形例の撮像ユニット42Bでは、保持部材428を筐体421の底面部421aから取り外すことにより、チャート板410を取り出すことができる。
以上のように、第2変形例の撮像ユニット42Bでは、チャート板410が筐体421に対して着脱可能に保持され、チャート板410を取り出すことができるので、基準チャート部400の汚れなどによりチャート板410が劣化した場合に、チャート板410を交換する作業を簡単に行うことができる。また、上述したシェーディング補正部452が照明光源426による照度ムラを補正するためのシェーディングデータを得る際に、チャート板410を取り出して代わりに白基準板を配置し、この白基準板をセンサ部430で撮像すれば、シェーディングデータの取得を簡便に行うことができる。
<第3変形例>
図23は、第3変形例の撮像ユニット42Cの縦断面図であり、図4−1に示した撮像ユニット42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第3変形例の撮像ユニット42Cでは、筐体421に、底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cが設けられており、この開口部425Cを介してパッチ画像200の撮像を行う。すなわち、上述した撮像ユニット42では、測色対象のパッチ画像200に向かう外光を筐体421により遮断して、パッチ画像200が照明光源426からの照明光のみによって照明されるようにするために、パッチ画像200を撮像するための開口部425を、筐体421の底面部421aのみで開口するように設けていた。これに対して、第3変形例の撮像ユニット42Cは、外光の入り込まない環境に配置されることを前提として、筐体421の底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cが設けられている。
例えば、図1に示したように、カバー部材2を閉じた状態の外装体1は、その内部を外光の入り込まない環境とすることができる。撮像ユニット42Cは、外装体1の内部に配置されたキャリッジ5に搭載されるので、外光の入り込まない環境に配置することができる。したがって、筐体421の底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cを設けた構成であっても、照明光源426からの照明光のみによってパッチ画像200を照明することができる。
以上のように、第3変形例の撮像ユニット42Cは、底面部421aから側壁に亘って大きく開口する開口部425Cが設けられているので、筐体421を軽量化することができ、消費電力の削減を図ることができる。
<第4変形例>
図24−1は、第4変形例の撮像ユニット42Dの縦断面図であり、図4−1に示した撮像ユニット42の縦断面図と同じ位置の断面図である。また、図24−2は、筐体421の底面部421aを図24−1中のX3方向から見た平面図である。なお、図24−2では、筐体421の底面部421aにおける照明光源426の垂直投影位置(底面部421aに対して垂直に見下ろしたときに投影される位置)を破線で示している。
第4変形例の撮像ユニット42Dでは、筐体421の底面部421aにおいて、センサ部430から該底面部421aに対して垂直に下ろした垂線上(つまり、センサ部430の光軸中心)に位置して開口部425Dが設けられ、この開口部425Dを介して被写体(パッチ画像200)の撮像を行う。すなわち、第4変形例の撮像ユニット42Dでは、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)を撮像するための開口部425Dが、センサ部430の撮像範囲において略中心に位置するように設けられている。
また、第4変形例の撮像ユニット42Dでは、基準チャート部400が形成されたチャート板410Dが、開口部425Dの周囲を取り囲むように、筐体421の底面部421aに配置されている。例えば、チャート板410Dは、開口部425Dを中心とする円環状に形成され、基準チャート部400が形成された面とは逆側の面を接着面として、筐体421の底面部421aの内面側に接着材などにより接着され、筐体421に対して固定された状態で保持されている。
また、第4変形例の撮像ユニット42Dでは、照明光源426として、筐体421の側壁を構成する枠体422の内周側の4隅に配置された4つのLEDを用いる。照明光源426として用いるこれら4つのLEDは、例えば、センサ部430の2次元イメージセンサ431とともに、基板423の内面に実装されている。照明光源426として用いる4つのLEDをこのように配置することにより、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400とを、概ね同一の条件にて照明することができる。
以上のように構成される第4変形例の撮像ユニット42Dでは、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)を撮像するための開口部425Dを、筐体421の底面部421aにおけるセンサ部430からの垂線上に設け、さらにその開口部425Dの周囲を取り囲むように、基準チャート部400が形成されたチャート板410Dを配置しているので、被写体(パッチ画像200)および基準チャート部400の撮像を適切に行うことができる。
<第5変形例>
図25は、第5変形例の撮像ユニット42Eの縦断面図であり、図4−1に示した撮像ユニット42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第5変形例の撮像ユニット42Eでは、第4変形例の撮像ユニット42Dと同様に、照明光源426として、枠体422の内周側の4隅に配置された4つのLEDを用いる。ただし、第5変形例の撮像ユニット42Eでは、被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しないように、照明光源426として用いるこれら4つのLEDを、第4変形例の撮像ユニット42Dと比べて、より筐体421の底面部421aに近い位置に配置している。
センサ部430の2次元イメージセンサ431のセンサ面において、照明光源426の正反射光が入射する位置は、画素値が飽和するために正確な情報が得られない場合がある。このため、被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射する位置に照明光源426が配置されていると、被写体(パッチ画像200)の測色に必要な情報が得られなくなることが懸念される。そこで、第5変形例の撮像ユニット42Eでは、図25に示すように、照明光源426として用いるこれら4つのLEDを筐体421の底面部421aに近い位置に配置することで、被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しないようにしている。なお、図25中の一点鎖線の矢印は、正反射光の光路をイメージしたものである。
以上のように、第5変形例の撮像ユニット42Eでは、被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置しているので、2次元イメージセンサ431のセンサ面において被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400の光学像が結像する位置の画素値が飽和することを有効に抑制し、基準チャート部400が形成されたチャート板410Dを配置しているので、被写体(パッチ画像200)および基準チャート部400の撮像を適切に行うことができる。
なお、第5変形例の撮像ユニット42Eでは、第4変形例の撮像ユニット42Dと同様の開口部425Dやチャート板410Dを有する構成において、被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置する例を説明した。ただし、上述した撮像ユニット42、第1変形例の撮像ユニット42A、第2変形例の撮像ユニット42B、第3変形例の撮像ユニット42Cの構成において、被写体(パッチ画像200)や基準チャート部400で正反射される正反射光がセンサ部430の2次元イメージセンサ431に入射しない位置に照明光源426を配置するようにしてもよい。この場合も、第5変形例の撮像ユニット42Eと同様の効果を得ることができる。
<第6変形例>
図26は、第6変形例の撮像ユニット42Fの縦断面図であり、図4−1に示した撮像ユニット42の縦断面図と同じ位置の断面図である。
第6変形例の撮像ユニット42Fでは、筐体421の内部に、光路長変更部材440が配置されている。光路長変更部材440は、光を透過する屈折率n(nは任意の数)の光学素子である。光路長変更部材440は、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)とセンサ部430との間の光路中に配置され、被写体(パッチ画像200)の光学像の結像面を基準チャート部400の光学像の結像面に近づける機能を持つ。つまり、第6変形例の撮像ユニット42Fでは、被写体(パッチ画像200)とセンサ部430との間の光路中に光路長変更部材440を配置することによって、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)の光学像の結像面と、筐体421の内部の基準チャート部400の結像面とを、ともにセンサ部430の2次元イメージセンサ431のセンサ面に合わせるようにしている。なお、図26では、光路長変更部材440を筐体421の底面部421a上に載置した例を図示しているが、光路長変更部材440は必ずしも底面部421a上に載置する必要はなく、筐体421の外部の被写体(パッチ画像200)とセンサ部430との間の光路中に配置されていればよい。
光路長変更部材440を光が通過すると、光路長変更部材440の屈折率nに応じて光路長が延び、画像が浮き上がって見える。画像の浮上がり量Cは、光路長変更部材440の光軸方向の長さをLpとすると、以下の式で求めることができる。
C=Lp(1−1/n)
また、センサ部430の結像レンズ432の主点と基準チャート部400との間の距離をLcとすると、結像レンズ432の主点と光路長変更部材440を透過する光学像の前側焦点面(撮像面)との間の距離Lは、以下の式で求めることができる。
L=Lc+Lp(1−1/n)
ここで、光路長変更部材440の屈折率nを1.5とした場合、L=Lc+Lp(1/3)となり、光路長変更部材440を透過する光学像の光路長を光路長変更部材440の光軸方向の長さLpの約1/3だけ長くすることができる。この場合、例えばLp=9[mm]とすれば、L=Lc+3[mm]となるので、センサ部430から基準チャート部400までの距離と被写体(パッチ画像200)までの距離との差が3mmとなる状態で撮像すれば、基準チャート部400の光学像の後側焦点面(結像面)と、被写体(パッチ画像200)の光学像の後側焦点面(結像面)とを、ともにセンサ部430の2次元イメージセンサ431のセンサ面に合わせることができる。
以上のように構成される第6変形例の撮像ユニット42Fでは、被写体(パッチ画像200)とセンサ部430との間の光路中に光路長変更部材440を配置することで、被写体(パッチ画像200)の光学像の結像面を基準チャート部400の光学像の結像面に近づけるようにしているので、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400の双方に焦点の合った適切な画像を撮像することができる。
<パッチ画像の測色方法の変形例>
次に、図27乃至図33を参照しながら、本実施形態に係る画像形成装置100によるパッチ画像200の測色方法の変形例について詳細に説明する。この変形例の測色方法は、画像形成装置100が初期状態のとき(製造やオーバーフォールなどによって初期状態となっているとき)に実施される前処理と、画像形成装置100の色調整を行う調整時に実施される測色処理とを含む。
図27は、基準測色値および基準RGB値を取得する処理と基準値線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図である。図27に示すこれらの処理は、前処理として実施される。前処理では、複数の基準パッチKPが配列形成された基準シートKSが用いられる。基準シートKSの基準パッチKPは、撮像ユニット42が備える基準チャート部400のパッチと同等のものである。
まず、基準シートKSの複数の基準パッチKPの測色値であるLab値とXYZ値のうち、少なくともいずれか(図27の例では、Lab値とXYZ値の双方)が、それぞれのパッチ番号に対応させて、例えば測色制御部50の内部の不揮発性メモリ60などに設けられるメモリテーブルTb1に格納される。基準パッチKCの測色値は、分光器BSなどを用いた測色により事前に得られる値である。基準パッチKCの測色値が既知であれば、その値を用いればよい。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKCの測色値を「基準測色値」という。
次に、基準シートKSがプラテン板22上にセットされ、キャリッジ5の移動を制御することで、基準シートKSの複数の基準パッチKCを被写体として、撮像ユニット42による撮像が行われる。そして、撮像ユニット42の撮像により得られた基準パッチKCのRGB値が、不揮発性メモリのメモリテーブルTb1に、パッチ番号に対応して格納される。つまり、メモリテーブルTb1には、基準シートKSに配列形成された複数の基準パッチKCそれぞれの測色値とRGB値が、各基準パッチKCのパッチ番号に対応して格納される。以下、メモリテーブルTb1に格納された基準パッチKCのRGB値を「基準RGB値」という。基準RGB値は、撮像ユニット42の特性を反映した値である。
画像形成装置100の上位CPU107は、基準パッチKCの基準測色値および基準RGB値が不揮発性メモリ60のメモリテーブルTb1に格納されると、同じパッチ番号の基準測色値であるXYZ値と基準RGB値との対に対して、これらを相互に変換する基準値線形変換マトリックスを生成し、不揮発性メモリ60に格納する。メモリテーブルTb1に基準測色値としてLab値のみが格納されている場合は、Lab値をXYZ値に変換する既知の変換式を用いてLab値をXYZ値に変換した後に、基準値線形変換マトリックスを生成すればよい。
また、撮像ユニット42が基準シートKSの複数の基準パッチKCを撮像する際には、撮像ユニット42に設けられた基準チャート部400も同時に撮像される。この撮像により得られた基準チャート部400の各パッチのRGB値も、パッチ番号に対応させて、不揮発性メモリ60のメモリテーブルTb1に格納される。この前処理によりメモリテーブルTb1に格納された基準チャート部400のパッチのRGB値を「初期基準RGB値」という。図31は、初期基準RGB値の一例を示す図である。図28(a)は初期基準RGB値(RdGdBd)をメモリテーブルTb1に格納した様子を示し、初期基準RGB値と(RdGdBd)ともに、初期基準RGB値(RdGdBd)をLab値に変換した初期基準Lab値(Ldadbd)やXYZ値に変換した初期基準XYZ値(XdYdZd)も対応付けて格納されることを示している。また、図28(b)は基準チャート部400の各パッチの初期基準RGB値をプロットした散布図である。
以上の前処理が終了した後、画像形成装置100は、外部から入力される画像データや印刷設定等に基づいて、上位CPU107が、キャリッジ5の主走査移動制御、紙搬送部112による記録媒体Pの搬送制御および記録ヘッド6の駆動制御を行って、記録媒体Pを間欠的に搬送させつつ、記録ヘッド6からのインク吐出を制御して、画像を記録媒体Pに出力する。このとき、記録ヘッド6からのインクの吐出量が、機器固有の特性や経時変化などによって変化することがあり、このインクの吐出量が変化すると、ユーザが意図する画像の色とは異なった色で画像形成されることとなって、色再現性が劣化する。そこで、画像形成装置100は、色調整を行う所定のタイミングで、パッチ画像200の測色値を求める測色処理を実施する。そして、測色処理により得られた測色値に基づいて色調整を行うことで、色再現性を高める。
図29は、測色処理の概要を説明する図である。画像形成装置100は、色調整を行う調整時に、まず、プラテン板22上にセットされた記録媒体P上に記録ヘッド6からインクを吐出して、測色対象のパッチ画像200を形成する。以下、パッチ画像200が形成された記録媒体Pを「調整シートCS」という。この調整シートCSには、画像形成装置100の調整時における出力特性、特に、記録ヘッド6の出力特性を反映したパッチ画像200が形成されている。なお、測色対象のパッチ画像200を形成するための画像データは、不揮発性メモリ60などに予め格納されている。
次に、画像形成装置100は、図29に示すように、この調整シートCSがプラテン板22上にセットされるか、調整シートCSを作成した段階で排紙することなくプラテン板22上に保持された状態において、キャリッジ5の移動を制御して、このプラテン板22上の調整シートCSに形成されたパッチ画像200と対向する位置に撮像ユニット42を移動させる。そして、撮像ユニット42により、パッチ画像200と撮像ユニット42に設けられた基準チャート部400とを同時に撮像する。撮像ユニット42により同時に撮像されたパッチ画像200および基準チャート部400の画像データは、画像処理部45において必要な画像処理が行われた後、測色制御部50に送られて、フレームメモリ51に一時保管される。撮像ユニット42に同時に撮像されてフレームメモリ51に一時保管された画像データのうち、パッチ画像200の画像データ(RGB値)を「測色対象RGB値」、基準チャート部400のパッチの画像データ(RGB値)を「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」という。「測色時基準RGB値(RdsGdsBds)」は、不揮発性メモリ60などに格納される。
測色制御部50の測色値算出部531は、後述する基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、フレームメモリ51に一時保管された測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理を行う(ステップS10)。初期化測色対象RGB値(RsGsBs)は、測色対象RGB値から、前処理を行った初期状態のときから測色処理を行う調整時に至るまでの間に生じる撮像ユニット42の撮像条件の経時変化、例えば、照明光源426の経時変化や2次元イメージセンサ431の経時変化の影響を排除したものである。
その後、測色値算出部531は、測色対象RGB値から変換された初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、後述する基本測色処理を実行することにより(ステップS20)、測色対象のパッチ画像200の測色値であるLab値を取得する。
図30は、基準RGB間線形変換マトリックスを生成する処理を説明する図であり、図31は、初期基準RGB値と測色時基準RGB値との関係を示す図である。測色値算出部531は、測色対象RGB値を初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換する処理(ステップS10)を行う前に、この変換に用いる基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。すなわち、測色値算出部531は、図30に示すように、画像形成装置100が初期状態のときに前処理として得られた初期基準RGB値(RdGdBd)と、調整時において得られる測色時基準RGB値(RdsGdsBds)とを不揮発性メモリ60から読み出し、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを生成する。そして、測色値算出部531は、生成した基準RGB間線形変換マトリックスを不揮発性メモリ60に格納する。
図31において、図31(a)に白抜き点で示されている点が初期基準RGB値RdGdBdをrgb空間でプロットした点であり、塗りつぶし点が、測色時基準RGB値RdsGdsBdsをrgb空間でプロットした点である。図31(a)から分かるように、測色時基準RGB値RdsGdsBdsの値が初期基準RGB値RdGdBdの値から変動しており、これらのrgb空間上での変動方向は、図31(b)に示すように概ね同じであるが、色相によってずれの方向が異なる。このように、同じ基準チャート部400のパッチを撮像してもRGB値が変動する要因としては、照明光源426の経時変化、2次元イメージセンサ431の経時変化などがある。
このように、撮像ユニット42による撮像によって得られるRGB値が変動している状態で、パッチ画像200を撮像することで得られる測色対象RGB値を用いて測色値を求めると、変動分だけ測色値に誤差が発生する虞がある。そこで、初期基準RGB値RdGdBdと測色時基準RGB値RdsGdsBdsとの間で、最小2乗法などの推定法を用いて、測色時基準RGB値RdsGdsBdsを初期基準RGB値RdGdBdに変換する基準RGB間線形変換マトリックスを求め、この基準RGB間線形変換マトリックスを用いて、撮像ユニット42でパッチ画像200を撮像することにより得られる測色対象RGB値を、初期化測色対象RGB値RsGsBsに変換し、変換した初期化測色対象RGB値RsGsBsを対象として、後述する基本測色処理を実行することで、測色対象のパッチ画像200の測色値を精度よく取得できるようにしている。
この基準RGB間線形変換マトリックスは、1次だけでなく、さらに高次の非線形マトリックスであってもよく、rgb空間とXYZ空間間で非線形性が高い場合には、高次のマトリックスとすることで、変換精度を向上させることができる。
測色値算出部531は、上述したように、パッチ画像200の撮像により得られる測色対象RGB値を、基準RGB間線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)に変換した後(ステップS10)、この初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を対象として、ステップS20の基本測色処理を行う。
図32および図33は、基本測色処理を説明する図である。測色値算出部531は、まず、前処理において生成して不揮発性メモリ60に格納した基準値線形変換マトリックスを読み出し、基準値線形変換マトリックスを用いて初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第1XYZ値に変換し、不揮発性メモリ60に格納する(ステップS21)。図32では、初期化測色対象RGB値(3、200、5)が基準値線形変換マトリックスにより第1XYZ値(20、80、10)に変換された例を示している。
次に、測色値算出部531は、ステップS21で初期化測色対象RGB値(RsGsBs)から変換された第1XYZ値を、既知の変換式を用いて第1Lab値に変換し、不揮発性メモリ60に格納する(ステップS22)。図32では、第1XYZ値(20、80、10)が既知の変換式により第1Lab値(75、−60、8)に変換された例を示している。
次に、測色値算出部531は、前処理において不揮発性メモリ60のメモリテーブルTb1に格納された複数の基準測色値(Lab値)を検索し、該基準測色値(Lab値)のうち、Lab空間上において第1Lab値に対して距離の近い基準測色値(Lab値)を持つ複数のパッチ(近傍色パッチ)の組を選択する(ステップS23)。距離の近いパッチを選択する方法としては、例えば、メモリテーブルTb1に格納されたすべての基準測色値(Lab値)に対して、第1Lab値との距離を算出し、第1Lab値に対して距離の近いLab値(図32では、ハッチングの施されているLab値)を持つ複数のパッチを選択するといった方法を用いることができる。
次に、測色値算出部531は、図33に示すように、メモリテーブルTb1を参照して、ステップS23で選択した近傍色パッチのそれぞれについて、Lab値と対になっているRGB値(基準RGB値)とXYZ値を取り出して、これら複数のRGB値とXYZ値のなかから、RGB値とXYZ値との組み合わせを選択する(ステップS24)。そして、測色値算出部531は、選択した組み合わせ(選択組)のRGB値をXYZ値に変換するための選択RGB値線形変換マトリックスを、最小二乗法などを用いて求め、求めた選択RGB値線形変換マトリックスを不揮発性メモリ60に格納する(ステップS25)。
次に、測色値算出部531は、ステップS25で生成した選択RGB値線形変換マトリックスを用いて、初期化測色対象RGB値(RsGsBs)を第2XYZ値に変換する(ステップS26)。さらに、測色値算出部531は、ステップS26で求めた第2XYZ値を、既知の変換式を用いて第2Lab値に変換し(ステップS27)、得られた第2Lab値を、測色対象のパッチ画像200の最終的な測色値とする。画像形成装置100は、以上の測色処理により得られた測色値に基づいて色調整を行うことにより、色再現性が高められる。
<その他の変形例>
上述した実施形態では、画像形成装置100に設けられた測色制御部50で測色処理を行うようにしているが、測色処理は、必ずしも画像形成装置100内部で実行する必要はない。例えば、図34に示すように、画像形成装置100と外部装置500とが通信可能に接続された画像形成システム(測色システム)を構築し、測色制御部50の機能を外部装置500に持たせて、外部装置500において測色処理を行うようにしてもよい。つまり、測色システムは、画像形成装置100に設けられた撮像ユニット42と、外部装置500に設けられた測色制御部50と、これら撮像ユニット42と測色制御部50(画像形成装置100と外部装置500)とを接続する通信手段600と、を備えた構成となる。外部装置500は、例えば、DFE(Digital Front End)と呼ばれるコンピュータを用いることができる。また、通信手段600は、有線や無線によるP2P通信のほか、LANやインターネットなどのネットワークを利用した通信などを利用することができる。
上記の構成の場合、たとえば、画像形成装置100は、撮像ユニット42で撮像したパッチ画像200などの被写体と基準チャート部400とを含む画像データを、通信手段600を利用して外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを用いてパッチ画像200の測色値を算出し、算出したパッチ画像200の測色値に基づいて、画像形成装置100の色再現性を向上させるための色変換パラメータを生成する。そして、外部装置500は、生成した色変換パラメータを、通信手段600を利用して画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信した色変換パラメータを保持し、画像形成を行う際には、この色変換パラメータを用いて画像データを補正し、補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
また、外部装置500が、パッチ画像200の測色値に基づいて生成した色変換パラメータを保持し、外部装置500において画像データの補正を行うようにしてもよい。すなわち、画像形成装置100は、画像形成を行う際に、画像データを外部装置500に送信する。外部装置500は、画像形成装置100から受信した画像データを、自身が保持する色変換パラメータを用いて補正し、補正した画像データを画像形成装置100に送信する。画像形成装置100は、外部装置500から受信した補正後の画像データに基づいて画像形成を行う。これにより、画像形成装置100は色再現性の高い画像形成を行うことができる。
<実施形態の効果>
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の撮像ユニット42は、パッチ画像200などの被写体を含む撮像領域を撮像するセンサ部430と、センサ部430の撮像領域に配置され、被写体とともにセンサ部430により撮像される基準チャート部400とを備える。このため、常に同じ条件で基準チャート部400を含む被写体の画像を安定的に撮像することができる。また、本実施形態に係る測色装置は、センサ部430が撮像したパッチ画像200などの被写体と基準チャート部400とを含む画像データに基づいて、パッチ画像200などの被写体の測色を適切に行うことができる。
また、本実施形態の撮像ユニット42は、被写体(パッチ画像200)が形成された記録媒体16に対して、筐体421の底面部421aを十分に近づけた状態でセンサ部430による画像の撮像を行うことにより、センサ部430から被写体(パッチ画像200)までの光路長と、センサ部430から基準チャート部400までの光路長との差を、センサ部430の被写界深度の範囲内とすることができ、被写体(パッチ画像200)と基準チャート部400の双方に焦点の合った適切な画像を撮像することができる。
また、本実施形態に係る画像形成装置100は、本実施形態に係る測色装置を備えているため、測色対象のパッチ画像200を出力しながらパッチ画像200の測色を精度よく行って、出力特性を適切に調整して高品位な画像の出力を行うことができる。
以上、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えながら具体化することができる。
例えば、上述した実施形態では、基準チャート部400が、測色用の基準パッチ列401〜404と、ドット計測用パターン列406と、距離計測用ライン405およびチャート位置特定用マーカ407とを有する構成である。しかし、基準チャート部400を、測色用の基準パッチ列401〜404と、ドット計測用パターン列406と、距離計測用ライン405およびチャート位置特定用マーカ407のうち、一部のみを有する構成であってもよい。また、基準チャート部400を、測色用のパッチ列401〜404のうち、無彩色の階調パターンであるパッチ列403のみを有する構成や、有彩色のパッチ列401,402,404のみを有する構成とすることもできる。
基準チャート部400が測色用の基準パッチ列401〜404を備えない構成の場合、図7に示した測色制御部50の演算部53は、測色値算出部531の機能が不要となる。また、基準チャート部400が距離計測用ライン405を備えない構成の場合、図7に示した測色制御部50の演算部53は、位置ずれ量算出部532の機能が不要となる。また、基準チャート部400がドット計測用パターン列406を備えない構成の場合、図7に示した測色制御部50の演算部53は、ドット径算出部533の機能が不要となる。
なお、上述した本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能は、ハードウェア、または、ソフトウェア、あるいは、両者の複合構成を用いて実現することができる。本実施形態に係る画像形成装置100や測色装置を構成する各部の制御機能をソフトウェアにより実現する場合は、画像形成装置100や測色装置が備えるプロセッサが処理シーケンスを記述したプログラムを実行する。プロセッサにより実行されるプログラムは、例えば、画像形成装置100や測色装置内部のROMなどに予め組み込まれて提供される。また、プロセッサが実行するプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するようにしてもよい。
また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、プロセッサにより実行されるプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。