JP2010083007A - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】濃度測定用テストチャートの読み取りに使用するスキャナの解像度によらず、正確な濃度補正を行うことが可能な画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び画像記録装置を提供する。
【解決手段】まず、不吐出ノズルが検出された場合に、不吐出ノズルに隣り合うノズル対して不吐出濃度補正値(m1)を設定する。そして、ローパスフィルタ又は移動平均演算により不吐出濃度補正値(m1)の値が平滑化される。次に、ノズル位置に対応する不吐出ノズル補正値が印字検出部の画素位置ごとの測定濃度修正値に変換される。記録ヘッドのノズル密度1200npi、印字検出部の読み取り解像度400dpiとした場合、不吐出ノズル補正値(m1)を3ノズル単位で平均化することにより、測定濃度修正値が得られる。次に、求めた測定濃度修正値により、濃度データ(測定濃度値)を修正する。
【選択図】図10
【解決手段】まず、不吐出ノズルが検出された場合に、不吐出ノズルに隣り合うノズル対して不吐出濃度補正値(m1)を設定する。そして、ローパスフィルタ又は移動平均演算により不吐出濃度補正値(m1)の値が平滑化される。次に、ノズル位置に対応する不吐出ノズル補正値が印字検出部の画素位置ごとの測定濃度修正値に変換される。記録ヘッドのノズル密度1200npi、印字検出部の読み取り解像度400dpiとした場合、不吐出ノズル補正値(m1)を3ノズル単位で平均化することにより、測定濃度修正値が得られる。次に、求めた測定濃度修正値により、濃度データ(測定濃度値)を修正する。
【選択図】図10
Description
本発明は画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び画像記録装置に係り、特に複数の記録素子を備えた記録ヘッドを用いて記録媒体(記録紙)上に画像を記録するときに記録素子ごとの特性のばらつきによって生じる濃度ムラを補正する画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び画像記録装置に関する。
特許文献1には、インクを吐出する複数のノズルを配列した記録ヘッドを用いて記録媒体上にインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置において、記録ヘッドの記録特性を測定するためのパターンを出力して、当該パターンの濃度を測定した結果に基づいて、前記複数のノズルのうち不吐出の状態にある不吐出ノズルの判別を行うとともに、各ノズルに対応した濃度分布を求めて、この濃度分布に対してVTF(Visual Transfer Function)又はPSF(Point Spread Function)を利用したコンボリューション積分を行った後、前記濃度分布の不吐出ノズルに対応する部分の結果と予め設定してある基準設定値とを比較し、不吐出ノズルとは異なる色で補完を行う際の補完テーブルをノズル毎に決定し、前記補完テーブルを用いて不吐出ノズルに対応する画像データを、他のヘッドから吐出する異色のデータに変換する画像補正方法が開示されている。
特開2003−136764号公報
従来、画像記録装置(インクジェット記録装置)において、ノズルの吐出不良(例えば、位置ズレ、滴量ムラ及び不吐出)に起因する濃度ムラを補正する方法として下記のような方法が提案されている。即ち、インクジェット記録装置により記録媒体上に所定の画像(濃度測定用テストチャート)を形成し、この濃度測定用テストチャートをスキャナで読み取って、ノズルの打滴の状態(例えば、位置ズレ、滴量ムラ及び不吐出)を検出する。そして、吐出不良が検出された画素及びその周辺の画像データ(濃度データ)を補正することにより、吐出不良の補正(シェーディング補正、濃度補正)を行う。
しかしながら、上記の方法では、画像形成装置とスキャナの解像度によって、ノズルの打滴の状態の検出精度が左右されるため、吐出不良、特に不吐出ノズル周辺ノズルでの補正が正確に行えないという問題があった。例えば、インクジェット記録装置よりも解像度が低いスキャナ(例えば、比較的安価な汎用スキャナ)を用いて濃度測定用テストチャートを読み取った場合、不吐出のノズルに対応する位置の画素だけでなく、不吐出ノズルの周辺の正常なノズルにより形成されたパターンを含む広い領域の濃度が低く評価されてしまう。即ち、不吐出ノズルの周辺ノズルに対応する画素の測定濃度に影響を及ぼすため、不吐出補正やシェーディング補正(濃度補正)が正しく行えないという問題があった。
特許文献1は、異色インクによる不吐出補正を行うものであるが、上記のようなスキャナの解像度に着目してなされたものではなかった。また、特許文献1では、異色インク種類が限られることにより(Kに対しCMY等)、補正後に色調が変化してしまうおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、濃度測定用テストチャートの読み取りに使用するスキャナの解像度によらず、正確な濃度補正を行うことが可能な画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び画像記録装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る画像処理装置は、所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドによって記録された濃度測定用テストチャートの画像を読み取って、各記録素子の記録濃度を示す濃度情報を取得する手段であって、前記記録素子の配列に沿う方向の読み取り解像度が前記記録素子の記録解像度よりも小さい濃度情報取得手段と、前記記録素子の不吐出の有無を示す不吐出情報を取得する不吐出情報取得手段と、前記不吐出取得手段によって取得した不吐出情報に基づいて、前記濃度情報取得手段によって取得した濃度情報を修正する濃度情報修正手段と、前記修正された濃度情報から濃度ムラ補正情報を算出する濃度ムラ補正情報算出手段と、前記不吐出情報に基づいて不吐出を補正する不吐出補正情報を算出する不吐出補正情報算出手段と、前記濃度ムラ補正情報と前記不吐出補正情報とを合算し画像データ補正情報を算出する画像データ補正情報算出手段とを備える。
本発明の第2の態様に係る画像処理装置は、上記第1の態様において、前記濃度情報修正手段が、前記不吐出情報に基づいて不吐出の記録素子を特定し、該不吐出の記録素子に対応する濃度情報を修正前の濃度情報よりも高く修正するようにしたものである。
本発明の第3の態様に係る画像記録装置は、所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドと、前記記録ヘッドにより記録された濃度測定用テストチャートの画像に基づいて画像データ補正情報を算出する第1又は第2の態様に係る画像処理装置とを備える。
本発明の第4の態様に係る画像処理方法は、所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドによって記録された濃度測定用テストチャートの画像を、前記記録素子の配列に沿う方向の読み取り解像度が前記記録素子の記録解像度よりも小さい濃度情報取得手段を用いて読み取って、各記録素子の記録濃度を示す濃度情報を取得する濃度情報取得工程と、前記記録素子の不吐出の有無を示す不吐出情報を取得する不吐出情報取得工程と、前記不吐出取得手段によって取得した不吐出情報に基づいて、前記濃度情報取得手段によって取得した濃度情報を修正する濃度情報修正工程と、前記修正された濃度情報から濃度ムラ補正情報を算出する濃度ムラ補正情報算出工程と、前記不吐出情報に基づいて不吐出を補正する不吐出補正情報を算出する不吐出補正情報算出工程と、前記濃度ムラ補正情報と前記不吐出補正情報とを合算し画像データ補正情報を算出する画像データ補正情報算出工程とを備える。
本発明の第5の態様に係る画像処理方法は、上記第4の態様の濃度情報修正工程において、前記不吐出情報に基づいて不吐出の記録素子を特定し、該不吐出の記録素子に対応する濃度情報を修正前の濃度情報よりも高く修正するようにしたものである。
本発明の第6の態様に係る画像処理プログラムは、所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドによって記録された濃度測定用テストチャートの画像を、前記記録素子の配列に沿う方向の読み取り解像度が前記記録素子の記録解像度よりも小さい濃度情報取得手段を用いて読み取って、各記録素子の記録濃度を示す濃度情報を取得する濃度情報取得機能と、前記記録素子の不吐出の有無を示す不吐出情報を取得する不吐出情報取得機能と、前記不吐出取得手段によって取得した不吐出情報に基づいて、前記濃度情報取得手段によって取得した濃度情報を修正する濃度情報修正機能と、前記修正された濃度情報から濃度ムラ補正情報を算出する濃度ムラ補正情報算出機能と、前記不吐出情報に基づいて不吐出を補正する不吐出補正情報を算出する不吐出補正情報算出機能と、前記濃度ムラ補正情報と前記不吐出補正情報とを合算し画像データ補正情報を算出する画像データ補正情報算出機能とをコンピュータに実現させるものである。
本発明の第7の態様に係る画像処理プログラムは、上記第6の態様において、前記濃度情報修正機能が、前記不吐出情報に基づいて不吐出の記録素子を特定し、該不吐出の記録素子に対応する濃度情報を修正前の濃度情報よりも高く修正するようにしたものである。
本発明によれば、不吐出ノズルの存在に起因する濃度ムラの補正を行う際に、濃度測定用テストチャートの読み取りに使用する印字検出部の解像度によらず、正確な濃度補正を行うことができる。また、本発明によれば、印字検出部の解像度を低くすることができるので、濃度ムラ補正に関するデータ量を減らして処理を軽くすることができる。また、印字検出部として低解像度で安価なものを用いることができるので、装置のコストを下げることができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム及び画像記録装置の好ましい実施の形態について説明する。
[インクジェット記録装置の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を適用したインクジェット記録装置の全体構成図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像処理装置を適用したインクジェット記録装置の全体構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する記録ヘッド112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記記録ヘッド112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、記録ヘッド112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図1では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図9のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも記録ヘッド112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において記録ヘッド112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって記録紙116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図6の符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図1の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において記録ヘッド112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
記録ヘッド112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と記録ヘッド112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図1に示した印字検出部124は、記録ヘッド112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字された濃度測定用テストチャート又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図1には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
[ヘッドの構造]
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
図3(a)は、ヘッド150の構造例を示す平面透視図であり、図3(b)は、図3(a)の一部の拡大図である。また、図3(c)はヘッド150の他の構造例を示す平面透視図であり、図4は1つの液滴吐出素子(1つのノズル151に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図3(a)の4−4線に沿う断面図)である。
記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図3(a)及び図3(b)に示したように、インク吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応する圧力室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図3(a)の構成に代えて、図3(c)に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル151に対応して設けられている圧力室152は、その平面形状が概略正方形となっており(図3(a)、図3(b)参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル151への流出口が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)154が設けられている。なお、圧力室152の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図4に示したように、各圧力室152は供給口154を介して共通流路155と連通されている。共通流路155はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路155を介して各圧力室152に分配供給される。
圧力室152の一部の面(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)156には個別電極157を備えたアクチュエータ158が接合されている。個別電極157と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ158が変形して圧力室152の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル151からインクが吐出される。なお、アクチュエータ158には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ158の変位が元に戻る際に、共通流路155から供給口154を通って新しいインクが圧力室152に再充填される。
上述した構造を有するインク室ユニット153を図5に示すように主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が一例で1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151−11、151−12、151−13、151−14、151−15、151−16を1つのブロックとし(他にはノズル151−21、…、151−26を1つのブロック、ノズル151−31、…、151−36を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151−11、151−12、…、151−16を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(あるいは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ158の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
[制御系の説明]
図6は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。
図6は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。
図6に示すように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
また、システムコントローラ172は、印字検出部124から読み込んだ濃度測定用テストチャートの読取データから着弾位置誤差のデータを生成する演算処理を行う着弾誤差測定演算部172Aと、測定された着弾位置誤差の情報から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部172Bとを含んで構成される。なお、着弾誤差測定演算部172A及び濃度補正係数算出部172Bの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度補正係数算出部172Bにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部190に記憶される。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(濃度測定用テストチャートのデータを含む)などが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM175の記憶領域を活用することで、ROM175を濃度補正係数記憶部190として兼用する構成も可能である。
画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成したインク吐出データをヘッドドライバ184に供給してヘッド150の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
すなわち、プリント制御部180は、濃度データ生成部180Aと、補正処理部180Bと、インク吐出データ生成部180Cと、駆動波形生成部180Dとを含んで構成される。これら各機能ブロック(180A〜180D)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
濃度データ生成部180Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
補正処理部180Bは、濃度補正係数記憶部190に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、ムラ補正処理を行う。
インク吐出データ生成部180Cは、補正処理部180Bで生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、2値(多値)化処理を行う。インク吐出データ生成部180Cで生成されたインク吐出データはヘッドドライバ184に与えられ、ヘッド150のインク吐出動作が制御される。
駆動波形生成部180Dは、ヘッド150の各ノズル151に対応したアクチュエータ158(図4参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部180Dで生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ184に供給される。なお、駆動波形生成部180Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図6において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ174に記憶される。
インクジェット記録装置110では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180の濃度データ生成部180A、補正処理部180B、インク吐出データ生成部180Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド150のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド150の各ノズル151に対応するアクチュエータ158を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
こうして、ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図1で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180及びシステムコントローラ172に提供する。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124から得られる情報に基づいてヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
なお、図6で説明した着弾誤差測定演算部172A、濃度補正係数算出部172B、濃度データ生成部180A、補正処理部180Bが担う処理機能の全て又は一部をホストコンピュータ186側に搭載する態様も可能である。
[吐出不良の補正処理]
図7は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置における吐出不良の補正処理を示すフローチャートである。
図7は、本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置における吐出不良の補正処理を示すフローチャートである。
まず、不吐出検出用テストチャートを出力する(ステップS10)。そして、印字検出部124により不吐出検出用テストチャートの画像を読み取って、記録ヘッド112のノズルのうちの不吐出のノズルを特定し、不吐出ノズルを示す不吐出ノズルデータを作成する(ステップS12)。
図8は、不吐出検出用テストチャートの例を示す平面図である。
図8に示すように、不吐出検出用テストチャートC1は、記録ヘッド112を用いてy方向に略平行な線状のパターン200をx方向に所定の間隔で印字したものである。ここで、パターン200のx方向の間隔dは、印字検出部124の解像度に応じて設定される。例えば、記録ヘッド112のx方向のノズル密度Nを1200npi、印字検出部124のx方向の読み取り解像度Rを400dpiとした場合、パターン200のx方向の間隔dは、d≧1/N=1/400[インチ]となる。
不吐出検出用テストチャートC1を作成する場合、具体的には、x方向にn(≧3(=N÷R=1200÷400))ノズルおきに液体を吐出させて1行分のパターン200Lを印字する。次に、液体を吐出させるノズルをx方向に1つずらしてnノズルおきに印字する。これをn回繰り返すことにより、すべてのノズルからの液体吐出によるパターン200が印字される。これにより、すべてのノズルに対して、印字検出部124の解像度で不吐出ノズルであるかどうかを判定することが可能な不吐出検出用テストチャートC1を作成することができる。
次に、濃度測定用テストチャートを出力する(ステップS14)。そして、印字検出部124により濃度測定用テストチャートの画像を読み取って濃度を測定し、ノズル列方向濃度データを得る(ステップS16)
図9は、濃度測定用テストチャートを示す平面図である。
図9は、濃度測定用テストチャートを示す平面図である。
図9に示すように、濃度測定用テストチャートC2は、x方向に濃度が一定で、y方向に濃度が段階的に変化する濃度パターンを印字したものである。この濃度測定用テストチャートC2の画像を読み取ることにより、印字検出部124のノズル列方向の画素位置(測定濃度位置)に対応する濃度データを得ることができる。
次に、記録ヘッド112の各ノズルに対応する濃度データを修正する(ステップS18)。
図10は、図7のステップS18の濃度データの修正処理の詳細を説明するための図である。
まず、不吐出ノズルが検出された場合に、不吐出ノズルに対してx方向に隣り合うノズル対して不吐出濃度補正値(m1)を設定する(ステップS180)。ここで、不吐出濃度補正値(m1)は、予め実験的に定められてインクジェット記録装置110に保持された値であり、m1≧1(一例でm1=1.4〜1.6)である。なお、不吐出ノズルの両隣のノズル以外のノズルに対するm1の値は1.0である。そして、図10のm1’に示すように、ローパスフィルタ(LPF)又は移動平均演算により不吐出濃度補正値の値がx方向に平滑化(スムージング)される(ステップS182)。
次に、ノズル位置(ノズル番号)に対応する不吐出濃度補正値m1’が印字検出部124の画素位置(測定濃度位置)ごとの測定濃度修正値m1''に変換される(ステップS184)。図10に示す例では、記録ヘッド112のx方向のノズル密度1200npi、印字検出部124のx方向の読み取り解像度400dpiであるため、不吐出濃度補正値(m1’)を3(=1200÷400)ノズル単位で平均化することにより、測定濃度修正値が得られる。
次に、ステップS206において求めた測定濃度修正値m1''により、下記の式(1)に従って、濃度データ(測定濃度値)を修正する(ステップS186)。
(修正された測定濃度値)=(測定濃度値)×(測定濃度修正値) …(1)
図10に示す例では、測定濃度修正値は、不吐出ノズルを含む測定濃度位置及びその近傍の測定濃度位置では1.0より大きい値に設定され、当該測定濃度位置における測定濃度値は修正により高くなるようになっている。
図10に示す例では、測定濃度修正値は、不吐出ノズルを含む測定濃度位置及びその近傍の測定濃度位置では1.0より大きい値に設定され、当該測定濃度位置における測定濃度値は修正により高くなるようになっている。
次に、図7のステップS20に進み、ステップS18において修正された、印字検出部124の測定濃度位置ごとの濃度データに基づいて、濃度ムラ補正値(シェーディングムラ補正値)を算出する(ステップS20)。
図11は、図7のステップS20の濃度ムラ補正値の算出処理の詳細を説明するための図である。
まず、印字検出部124の画素位置(測定濃度位置)とノズル位置との対応関係を示す解像度変換曲線に従って、ステップS18において修正された測定濃度位置ごとの測定濃度値がノズル位置ごとの濃度データに変換される(ステップS200)。
次に、ステップS200により得られたノズル位置ごとの濃度データD1と目標濃度値D0との差分が算出される(ステップS202)。
次に、画素値と濃度値との対応関係を示す画素値−濃度値曲線に従って、ステップS202において算出された濃度値の差分が画素値の差分に変換される(ステップS204)。この画素値の差分は、ノズル位置ごとの濃度ムラ補正値として画像バッファメモリ182に記憶される(ステップS206)。
次に、図7のステップS22に進み、不吐出ノズルデータを用いて、濃度ムラ補正値を不吐出補正値で補正する(ステップS22)。即ち、図12に示すように、不吐出ノズルの両隣のノズルに不吐出補正値(m2)が設定される。ここで、不吐出補正値(m2)は、予め実験的に定められてインクジェット記録装置110に保持された値であり、m2≧1.0(一例でm2=1.4〜1.6)である。なお、不吐出ノズルの両隣のノズル以外のノズルに対するm2の値は1.0である。そして、下記の式(2)により濃度ムラ補正値が補正される。なお、下記の式(2)では、濃度ムラ補正値に不吐出補正値を乗算しているが、加算するようにしてもよい。
(修正された濃度ムラ補正値)=(濃度ムラ補正値)×(不吐出補正値)…(2)
次に、濃度ムラ補正値を用いて、入力された画像データを補正して出力用画像データを生成する(ステップS28)。そして、出力画像データに基づいて記録媒体上に画像を印字する(ステップS30)。
次に、濃度ムラ補正値を用いて、入力された画像データを補正して出力用画像データを生成する(ステップS28)。そして、出力画像データに基づいて記録媒体上に画像を印字する(ステップS30)。
本実施形態によれば、不吐出ノズルの存在に起因する濃度ムラの補正を行う際に、濃度測定用テストチャートの読み取りに使用する印字検出部124の解像度によらず、正確な濃度補正を行うことができる。また、印字検出部124の解像度を低くすることができるので、濃度ムラ補正に関するデータ量を減らして処理を軽くすることができる。また、印字検出部124として低解像度で安価なものを用いることができるので、装置のコストを下げることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図13は、本実施形態に係る図7のステップS18の濃度データの補正処理の詳細を示す図である。
図13に示すように、本実施形態では、濃度データの補正を行う際に、まず、解像度変換曲線に基づいて、不吐出ノズルデータの不吐出ノズルの位置を、印字検出部124の測定濃度位置に変換する(ステップS180)。
次に、図7のステップS12において取得した不吐出ノズルデータに基づいて、印字検出部124の測定濃度位置における不吐出ノズルの本数が求められ、不吐出発生本数テーブルT1に格納される(ステップS182)。図13に示す例では、記録ヘッド112のx方向のノズル密度1200npi、印字検出部124のx方向の読み取り解像度400dpiであるため、不吐出発生本数テーブルT1の各測定濃度位置における不吐出発生本数データとして0から3の値が保存される。
次に、不吐出発生本数データに基づいて、ノズル列方向の濃度データが下記の式(3)により修正される(ステップS184、S186)。
(修正された測定濃度値)=(測定濃度値)×(測定濃度修正値) …(3)
ここで、測定濃度修正値は、実験的に決められたパラメータであり、インクジェット記録装置110のROM175に予め格納されている。図13に示す例では、測定濃度位置における不吐出ノズル数が多いほど、また、測定濃度値が大きいほど、測定濃度修正値が大きくなっている。即ち、ステップS186では、当該位置における不吐出ノズル数が多いほど、また、測定濃度値が大きいほど、当該位置における修正後の測定濃度値(濃度データ)が大きくなるように修正される。
ここで、測定濃度修正値は、実験的に決められたパラメータであり、インクジェット記録装置110のROM175に予め格納されている。図13に示す例では、測定濃度位置における不吐出ノズル数が多いほど、また、測定濃度値が大きいほど、測定濃度修正値が大きくなっている。即ち、ステップS186では、当該位置における不吐出ノズル数が多いほど、また、測定濃度値が大きいほど、当該位置における修正後の測定濃度値(濃度データ)が大きくなるように修正される。
本実施形態によれば、上記第1の実施形態と同様、不吐出ノズルの存在に起因する濃度ムラの補正を行う際に、濃度測定用テストチャートの読み取りに使用する印字検出部124の解像度によらず、正確な濃度補正を行うことができる。
[実施例]
以下、本発明の作用について説明する。
以下、本発明の作用について説明する。
図14は、記録ヘッド112のノズル密度よりも解像度が低い印字検出部(スキャナ)により読み取られた測定濃度値に基づいて濃度データを補正した例(従来例)を示しており、図15は、記録ヘッド112のノズル密度よりも解像度が低い印字検出部(スキャナ)により読み取られた測定濃度値に基づいて濃度データを補正した例(本発明)を示している。
図14(a)に示すように、印字検出部124により測定された測定濃度値D12において測定濃度値が目標濃度値より低いノズルに対応する濃度データが高くなるように補正し、測定濃度値が目標濃度値よりも高いノズルに対応する濃度データが低くなるように補正する。これにより、ノズル単位の濃度値D10がD10’のように補正され、出力画像の濃度がノズル列方向(x方向)に対して一様になる。
図14(b)に示すように、不吐出ノズルがある場合には、D22に示すように、不吐出ノズルだけでなく、正常に吐出されている部分の画像濃度が低く評価されてしまう。このため、D20’に示すように、不吐出ノズル以外の部分の濃度値も高く補正されてしまい、画像の色調が変化してしまう。
図15に示すように、本実施形態によれば、不吐出ノズルデータを用いて、印字検出部124による測定濃度値D32の不吐出ノズルに対応する部分を、D32’に示すように高く修正する(図7のステップS18)。これにより、D34に示すように、不吐出ノズル以外の部分の濃度値も高く補正されるのを防止することができる。また、上記の修正に加えて、不吐出ノズルの両隣の濃度値が高くなるように修正することにより(図7のステップS22)、不吐出ノズルに起因する濃度ムラを補正することができる。
なお、本実施形態では、インクジェット記録装置110内に印字検出部(スキャナ)124を設けたが、濃度測定用テストチャート読み取り用の印字検出部をインクジェット記録装置110とは別に設けるようにしてもよい。
また、入力濃度データの処理は、インクジェット記録装置110とは別体の画像処理装置により行うようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、本発明をインクジェット記録装置に適用した場合について説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。即ち、本発明は、インクジェット記録装置以外の形式の画像記録装置、例えば、サーマル素子を記録素子とする記録ヘッドを備えた熱転写記録装置、LED素子を記録素子とする記録ヘッドを備えたLED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタについても適用可能である。
10…ラインヘッド、110…インクジェット記録装置、112…記録ヘッド、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙(被記録媒体)、122…ベルト搬送部(搬送手段)、124…印字検出部、150…ヘッド、151…ノズル(記録素子)、152…圧力室、153…インク室ユニット、158…アクチュエータ、172…システムコントローラ、180…プリント制御部、184…ヘッドドライバ
Claims (7)
- 所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドによって記録された濃度測定用テストチャートの画像を読み取って、各記録素子の記録濃度を示す濃度情報を取得する手段であって、前記記録素子の配列に沿う方向の読み取り解像度が前記記録素子の記録解像度よりも小さい濃度情報取得手段と、
前記記録素子の不吐出の有無を示す不吐出情報を取得する不吐出情報取得手段と、
前記不吐出取得手段によって取得した不吐出情報に基づいて、前記濃度情報取得手段によって取得した濃度情報を修正する濃度情報修正手段と、
前記修正された濃度情報から濃度ムラ補正情報を算出する濃度ムラ補正情報算出手段と、
前記不吐出情報に基づいて不吐出を補正する不吐出補正情報を算出する不吐出補正情報算出手段と、
前記濃度ムラ補正情報と前記不吐出補正情報とを合算し画像データ補正情報を算出する画像データ補正情報算出手段と、
を備える画像処理装置。 - 前記濃度情報修正手段は、前記不吐出情報に基づいて不吐出の記録素子を特定し、該不吐出の記録素子に対応する濃度情報を修正前の濃度情報よりも高く修正する、請求項1記載の画像処理装置。
- 所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドと、
前記記録ヘッドにより記録された濃度測定用テストチャートの画像に基づいて画像データ補正情報を算出する請求項1又は2記載の画像処理装置と、
を備えた画像記録装置。 - 所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドによって記録された濃度測定用テストチャートの画像を、前記記録素子の配列に沿う方向の読み取り解像度が前記記録素子の記録解像度よりも小さい濃度情報取得手段を用いて読み取って、各記録素子の記録濃度を示す濃度情報を取得する濃度情報取得工程と、
前記記録素子の不吐出の有無を示す不吐出情報を取得する不吐出情報取得工程と、
前記不吐出取得手段によって取得した不吐出情報に基づいて、前記濃度情報取得手段によって取得した濃度情報を修正する濃度情報修正工程と、
前記修正された濃度情報から濃度ムラ補正情報を算出する濃度ムラ補正情報算出工程と、
前記不吐出情報に基づいて不吐出を補正する不吐出補正情報を算出する不吐出補正情報算出工程と、
前記濃度ムラ補正情報と前記不吐出補正情報とを合算し画像データ補正情報を算出する画像データ補正情報算出工程と、
を備える画像処理方法。 - 前記濃度情報修正工程において、前記不吐出情報に基づいて不吐出の記録素子を特定し、該不吐出の記録素子に対応する濃度情報を修正前の濃度情報よりも高く修正する、請求項4記載の画像処理方法。
- 所定の方向に配置された複数の記録素子を備えた記録ヘッドによって記録された濃度測定用テストチャートの画像を、前記記録素子の配列に沿う方向の読み取り解像度が前記記録素子の記録解像度よりも小さい濃度情報取得手段を用いて読み取って、各記録素子の記録濃度を示す濃度情報を取得する濃度情報取得機能と、
前記記録素子の不吐出の有無を示す不吐出情報を取得する不吐出情報取得機能と、
前記不吐出取得手段によって取得した不吐出情報に基づいて、前記濃度情報取得手段によって取得した濃度情報を修正する濃度情報修正機能と、
前記修正された濃度情報から濃度ムラ補正情報を算出する濃度ムラ補正情報算出機能と、
前記不吐出情報に基づいて不吐出を補正する不吐出補正情報を算出する不吐出補正情報算出機能と、
前記濃度ムラ補正情報と前記不吐出補正情報とを合算し画像データ補正情報を算出する画像データ補正情報算出機能と、
をコンピュータに実現させる画像処理プログラム。 - 前記濃度情報修正機能は、前記不吐出情報に基づいて不吐出の記録素子を特定し、該不吐出の記録素子に対応する濃度情報を修正前の濃度情報よりも高く修正する、請求項6記載の画像処理プログラム。
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