以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の概略構成を示す図であり、図2は、インクジェット式記録装置の要部を示す平面図であり、図3は、インクジェット式記録装置の要部を示す側面図である。
図示するように、インクジェット式記録装置Iは、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド1とも言う)を具備する。記録ヘッド1には、インク供給手段を構成するインクカートリッジ2が着脱可能に設けられている。このような記録ヘッド1は、キャリッジ3に搭載されている。
記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。
一方、装置本体4には、媒体である記録シート100のインク滴が着弾する面、いわゆる印刷面及び被測定面101とは反対面側を支持する支持部材8が設けられている。
また、装置本体4には、支持部材8上に記録シート100を搬送すると共に、支持部材8上で印刷や測色が行われた記録シート100を支持部材8上から搬送する搬送手段が設けられている。本実施形態では、搬送手段として、支持部材8を挟んだ位置に第1搬送手段9aと第2搬送手段9bとを設けるようにした。この第1搬送手段9a及び第2搬送手段9bの離間する方向が記録シート100の搬送される搬送方向であり、第1の方向Xと称し、記録シート100の搬送方向の上流側をX1、下流側をX2と称する。
具体的には、第1搬送手段9aは、記録ヘッド1よりも記録シート100の搬送方向の上流側、すなわち第1の方向XのX1側に設けられている。この第1搬送手段9aによって記録シート100は、記録シート100を記録ヘッド1に相対向する位置、すなわち、支持部材8上に搬送される。また、第2搬送手段9bは、記録ヘッド1よりも記録シート100の搬送方向の下流側、すなわち、第1の方向XのX2側に設けられている。第2搬送手段9bによって支持部材8上の記録シート100は第1の方向XのX2側に向かって搬送される。これら、第1搬送手段9a及び第2搬送手段9bは、本実施形態では、搬送ローラーからなる。なお、第1搬送手段9a及び第2搬送手段9bは、搬送ローラーに限定されず、ベルトやドラム等であってもよい。
なお、本実施形態では、上述のように記録シート100の搬送方向である第1の方向Xに対して、キャリッジ3のキャリッジ軸5に沿った移動方向を第2の方向Yと称し、キャリッジ軸5の一端部側をY1、他端部側をY2と称する。ちなみに、キャリッジ3は、キャリッジ軸5の一端部側であるY2側がホームポジションとなっており、Y2側には特に図示しないが記録ヘッド1のインク滴が吐出される吐出面をクリーニングするクリーニング手段等が設けられている。さらに、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に交差する方向を本実施形態では、第3の方向Zと称し、記録シート100に対して記録ヘッド1側をZ1、記録ヘッド1に対して記録シート100側をZ2と称する。なお、本実施形態では、各方向(X、Y、Z)の関係を直交とするが、各構成の配置関係が必ずしも直交するものに限定されるものではない。
このようなインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1に対して記録シート100を第1の方向Xに搬送し、キャリッジ3を記録シート100に対して第2の方向Yに移動させながら、記録ヘッド1のノズルからインク滴を吐出させることで、記録シート100の被測定面101の略全面に亘ってインクを着弾させる、いわゆる印刷が実行される。
また、インクジェット式記録装置Iには、記録シート100の被測定面101の測色を非接触で行う測色部10が設けられている。本実施形態では、測色部10は、キャリッジ3に記録ヘッド1と共に搭載されている。このため、キャリッジ3に対して記録シート100を第1の方向Xに搬送し、キャリッジ3を記録シート100に対して第2の方向Yに移動させながら、測色部10によって測色することで、記録シート100の被測定面101の略全面に亘って測色を行うことができる。
このような測色部10は、図3に示すように、投光部20と、受光部30と、を具備する。そして、投光部20から照射された光を記録シート100の被測定面101で反射させて、反射された反射光を受光部30で受光し、受光部30から出力される信号に基づいて、被測定面101の色度を分析して測定する。
投光部20は、光を発光する光源21と、複数のレンズで構成される光源用光学系22(図には1つのみ記載)と、を具備する。
光源21は、少なくとも測定の対象となる波長域に亘って分布する光を照射するものであり、特に限定されないが、波長に対する光強度の分布が一様なものが好ましい。このような光源21としては、例えば、白色LED(Light Emitting Diode)が挙げられる。
光源用光学系22には、光源21の光を略平行な光束として出射するコリメートレンズが含まれており、光源21から照射された光は、光源用光学系22によって平行光として照射される。
また、本実施形態では、投光部20は、照射された平行光の光束の中心軸が、第3の方向Zに対して受光部30側に向かって45度傾くように配置されている。なお、投光部20自体又は光源用光学系22の光軸を、第3の方向Zに対して45度に傾けるようにしてもよく、第3の方向Zに沿って照射した平行光をプリズムや反射鏡等によって、第3の方向Zに対して45度に傾けるようにしてもよい。
被測定面101に照射される光束の中心軸が被測定面101の法線に対して45度となっていれば、投光部20の詳細な構成は特に限定されない。光源用光学系22に、レンズ、プリズム、反射面等の光学素子を備えることもできる。
受光部30は、複数のレンズ及びフィルターで構成される受光用光学系31と、受光素子32と、を具備する。
受光用光学系31は、波長可変干渉フィルターが含まれており、波長可変干渉フィルターにより、被測定面101で反射した反射光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を受光素子32に受光させる。
受光用光学系31の光軸は、被測定面101の法線方向に一致する。なお、受光部30自体又は受光用光学系31の光軸を、被測定面101の法線方向に一致するように構成してもよく、被測定面101から法線方向に反射される光を受光素子32に入射させられれば、受光部30の詳細な構成は特に限定されない。受光用光学系31に、レンズ、プリズム、反射面等の光学素子を備えることもできる。
受光素子32は、複数の光電変換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。
このような測色部10は、第2の方向Yに移動可能に設けられている。本実施形態では、測色部10を、記録ヘッド1が搭載されたキャリッジ3に搭載することで、測色部10は第2の方向Yに移動可能となっている。このように、記録ヘッド1を第2の方向Yに移動するキャリッジ3に測色部10を搭載することで、記録ヘッド1用のキャリッジ3とは別に、測色部10を第2の方向Yに移動する測色部10用のキャリッジが不要となる。したがって、測色部10用のキャリッジや測色部10用のキャリッジを駆動する駆動手段等が不要となって、インクジェット式記録装置Iを小型化することができると共にコストを低減することができる。もちろん、測色部10は、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3には設けずに、測色部10用のキャリッジに搭載してもよい。
また、測色部10は、キャリッジ3において記録シート100の搬送方向である第1の方向Xの何れか一方側に設けるのが好ましく、記録シート100の搬送方向の上流側であるX1側に設けるのが好適である。これにより、記録ヘッド1から吐出されたインクによって発生するミストが測色部10に付着し難い。ちなみに、記録ヘッド1は、上述のように第2の方向Yに移動しながらインク滴が吐出されるため、記録ヘッド1から吐出されたインクによって発生したミストは、記録ヘッド1の第2の方向Yの移動方向下流側に流れる。そして、記録ヘッド1は、第2の方向Yに往復移動するため、ミストは記録ヘッドの第2の方向YのY1側及びY2側の両方に多く流れ出る。このため、記録ヘッド1の第2の方向Yの何れか一方側に測色部10を設けると、測色部10にミストが付着し易く、付着したミストによって測色が正常に行われなくなることや、測色部10の清掃が必要になるなど測色不良や測色に時間がかかってしまう。また、記録シート100を第1の方向Xに搬送する際に搬送方向の上流であるX1から下流であるX2に向かって気流が発生する。このため、記録ヘッド1から吐出されたインクによって発生したミストは下流側であるX2側に多く流出するため、測色部10は、記録ヘッド1よりも記録シート100の搬送方向の上流側、すなわち、第1の方向XのX1側に設けるのが好適である。このように、測色部10を記録ヘッド1よりも記録シート100の搬送方向の上流側、すなわち、第1の方向XのX1側に設けることで、測色部10にミストが付着し難く、付着したミストによる測色不良が生じ難く、付着したミストの清掃が不要又は清掃までの間隔を長くして、測色時間の短縮を図ることができる。
さらに、インクジェット式記録装置Iには、記録シート100の被測定面101上において、投光部20から照射された光束の中心軸の反射位置を変更させる変更部40(図4参照)が設けられている。本実施形態では、変更部40は、記録シート100の被測定面101の法線方向である第3の方向Zにおける測色部10と記録シート100との間隔を変更するようにした。具体的には、変更部40は、測色部10が搭載されたキャリッジ3を支持部材8に対して第3の方向Zに移動させることで、支持部材8上で支持された記録シート100上の投光部20から照射され反射した反射光の反射位置を変更させる。すなわち、本実施形態の投光部20の投光角度及び受光部30の受光角度は固定されているため、投光部20及び受光部30を被測定面101に対して近接及び離間させることで、被測定面101における投光部20から照射され反射した反射光の反射位置を変更することができる。
なお、被測定面101上における投光部20から照射され反射した反射光の反射位置とは、投光部20から照射された光束の中心軸に一致する光線が被測定面101上で反射する位置のことである。また、被測定面101上における投光部20から照射され反射した反射光の反射位置の変更とは、投光部20から照射された光束の中心軸に一致する光線が被測定面101上で反射する位置を変えることである。一方、投光部20から照射された光束の中心軸に一致する光線が被測定面101上で反射する位置は変わらず、投光部20からの光束による照射面積が変わることは、被測定面101上における投光部20から照射され反射した反射光の反射位置の変更に含まれない。
以降、「反射光の反射位置」とは、投光部20から照射された光束の中心軸に一致する光線が被測定面101上で反射する位置を意味する。
ここで、本実施形態の変更部40についてさらに図4を参照して説明する。なお、図4は、変更部40を示すインクジェット式記録装置の要部斜視図である。
図4に示すように、変更部40は、昇降駆動モーターの出力軸(図示なし)の回転が伝達歯車列5aによってキャリッジ軸5に伝達されるように構成されている。伝達歯車列5aの途中にはフラグ(図示なし)と呼ばれる検出羽根を有する複合歯車が設けられており、ロータリーエンコーダーなどの回転角度検出手段によりフラグを検出することで、キャリッジ軸5の回転角度が制御される。キャリッジ軸5は、キャリッジ3に設けられた軸受け部(図示なし)と摺接し、キャリッジ3の往復動を案内するものであり、両端には回転軸部5bが設けられている。このキャリッジ軸5の一端側の回転軸部5bには、伝達歯車5cがキャリッジ軸5の中心軸を回転中心としてキャリッジ軸5と一体的に回転可能に設けられている。そして、昇降駆動モーターの回転が、伝達歯車列5aを介して伝達歯車5cに伝達される。また、キャリッジ軸5の両端にはそれぞれ同一形状のシフトカム5dが基準のカム位置が同じとなるようにキャリッジ軸5と一体的に回転可能に設けられている。また、それぞれのシフトカム5dの下方にはカムフォロワ5eが設けられており、キャリッジ軸5の回転によりキャリッジ軸5が第3の方向Zに平行移動して、平行移動するキャリッジ軸5に連動してキャリッジ3が支持部材8と離間、近接するように構成されている。なお、キャリッジ3の支持部材8からの高さは、上述したロータリーエンコーダーによってキャリッジ軸5の回転角度から換算することができる。そして、変更部40は、キャリッジ3の支持部材8に対する第3の方向Zの高さを調整することで、測色部10の記録シート100に対する第3の方向Zの高さを調整することができ、被測定面101における反射光の反射位置を変更することができる。
また、変更部40は、キャリッジ3を支持部材8に対して第3の方向Zに移動することができるため、記録ヘッド1と記録シート100との間隔、所謂ペーパーギャップ(PG)も調整することができる。すなわち、測色部10の記録シート100に対する第3の方向Zの位置を変更する変更部40は、記録ヘッド1と記録シート100との間隔を調整するものと兼用することができる。もちろん、測色部10を記録ヘッド1が搭載されたキャリッジ3に搭載せずに、測色部10用のキャリッジに搭載した場合には、記録ヘッド1の搭載されたキャリッジ3を移動する移動部と、上述した変更部40とを別途設けるようにすればよい。
ここで、このようなインクジェット式記録装置Iの制御装置200についてさらに図5を参照して説明する。なお、図5は、本実施形態のインクジェット式記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、インクジェット式記録装置Iは、本実施形態の制御部210と、印刷機構220と、測色機構230と、を具備する。
制御部210は、インクジェット式記録装置Iの全体の制御をする要素であり、本実施形態では、インクジェット式記録装置Iに設けられた制御装置200内に設けられている(図1参照)。
また、制御部210は、CPU等を含んで構成した制御処理部211と記憶部212と駆動信号生成部213と外部I/F(interface)214と内部I/F215とを有する。記録シート100に印刷される画像を示す印刷データ(画像データとも言う)がホストコンピューターなどの外部装置250から外部I/F214に送信され、内部I/F215には印刷機構220が接続される。
印刷機構220は、制御部210による制御のもとで記録シート100に画像を記録する要素であり、記録ヘッド1と、第1搬送手段9a及び第2搬送手段9bやこれを駆動する図示しないモーター等の紙送り機構221と、駆動モーター6やタイミングベルト7のキャリッジ機構222と、変更部40と、を具備する。
記憶部212は、制御プログラム等を記録するROMと、画像の印刷に必要な各種のデータを一時的に記録するRAMとを含む。制御処理部211は、記憶部212に記録された制御プログラムを実行することによりインクジェット式記録装置Iの各要素を統括的に制御する。また、制御処理部211は、詳しくは後述するが、測色部10に記録シート100の被測定面101に形成された図示しないパッチを測色させて得られた測色値に基づいて、外部装置250から外部I/F214に送信される印刷データを色変換するための色変換情報を生成し、色変換情報に基づいて印刷データを色変換する。
制御処理部211は、色変換情報に基づいて色変換された印刷データを、記録ヘッド1の各ノズルからのインク滴の噴射/非噴射をノズル毎に指示するヘッド制御信号、例えば、クロック信号CLK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、画素データSI、設定データSP等に変換し、内部I/F215を介して記録ヘッド1に送信する。また、駆動信号生成部213は、駆動信号(COM)を生成し内部I/F215を介して記録ヘッド1に送信する。すなわち、ヘッド制御データや駆動信号等の噴射データは、送信部である内部I/F215を介して記録ヘッド1に送信される。
また、制御処理部211は、色変換情報に基づいて色変換された印刷データから紙送り機構221及びキャリッジ機構222の移動制御信号を生成し、内部I/F215を介して紙送り機構221及びキャリッジ機構222に送信し、紙送り機構221及びキャリッジ機構222の制御を行う。
さらに、制御処理部211は、外部装置250から外部I/F214を介して受信したペーパーギャップに関するデータからペーパーギャップ制御信号を生成し、内部I/F215を介して変更部40に送信し、ペーパーギャップを調整するように変更部40を制御する。
測色機構230は、制御処理部211による制御のもとで記録シート100の被測定面101の測色を行う要素であり、測色部10と、第1搬送手段9a及び第2搬送手段9bやこれを駆動する図示しないモーター等の紙送り機構221と、駆動モーター6やタイミングベルト7等のキャリッジ機構222と、変更部40と、を有する。
制御処理部211は、紙送り機構221及びキャリッジ機構222の制御を行い、キャリッジ3に搭載された測色部10を記録シート100の被測定面101において第1の方向X及び第2の方向Yの所望の位置に配置する。
また、制御処理部211は、測色部10を制御して、投光部20から光を照射させると共に受光部30によって被測定面101の所望の位置で反射した光を受光する。
さらに、制御処理部211は、測色部10によって測色を行わせながら、投光部20から照射された光束の中心軸に一致する光の被測定面101上の反射位置を変更させるように変更部40を制御する。
ここで、制御処理部211の測色を行う具体的な機能実現部についてさらに図6を参照して説明する。なお、図6は、制御処理部211の機能実現部を示すブロック図である。
図6に示すように、制御処理部211は、測色部10を制御する測色部制御部300と、測色処理部301と、変更部40を制御する変更部制御部302と、明度判定部303と、測色位置設定部304と、を具備する。
測色部制御部300は、測色部10を制御して、投光部20から光を照射させると共に、受光部30において被測定面101で反射した光を受光させる。
測色処理部301は、測色部10から受信した電気信号から色を表色系で数値化する。本実施形態では、測色処理部301は、例えば、L*a*b*表色系で数値化する。
変更部制御部302は、変更部40を制御して、記録シート100の被測定面101上での反射光の反射位置を変更する。本実施形態では、上述のように変更部40によって測色部10が搭載されたキャリッジ3を支持部材8に対して第3の方向Zに移動させて、支持部材8上で支持された記録シート100上の反射光の反射位置を変更させる。
このような制御処理部211では、測色部制御部300及び変更部制御部302が測色部10及び変更部40を制御することで、被測定面101における反射光の反射位置が異なる位置で複数回測色し、測色毎に測色結果は表色系で数値化された測色データとして生成される。なお、測色データは、変更部40によって変更した被測定面101上での反射光の反射位置を示す反射位置データと関連付けられて、記憶部212に記録される。本実施形態では、基準となる位置からの第3の方向Zにおけるキャリッジ3の高さ(測色部10の高さ)を示す値を反射位置データとし、測色時における反射位置データ(第3の方向Zにおける基準となる位置から測色時のキャリッジ3(測色部10)までの距離)と測色データが関連付けられて記憶部212に記録される。
ちなみに、キャリッジ3の第3の方向Zにおける高さは、変更部40がキャリッジ軸5を移動させることで変更されるため、反射位置データは、前述のキャリッジ3の高さではなく、キャリッジ軸5の高さ(第3の方向Zにおける基準となる位置からキャリッジ軸5までの距離)であってもよい。また、基準となる位置からのキャリッジ3の第3の方向Zにおける高さは、キャリッジ3に搭載された測色部10の受光部30における受光素子32の受光面の高さ(第3の方向Zにおける基準となる位置から受光面までの距離)や、記録ヘッド1の噴射面の高さ(第3の方向Zにおける基準となる位置から噴射面までの距離)等であってもよい。また、第3の方向Zにおける基準となる位置からのキャリッジ3等の高さは、変更部40に設けられた図示しない回転角度検出手段によるキャリッジ軸5の回転角度から換算することができる。もちろん、キャリッジ軸5の回転角度からキャリッジ3等の第3の方向Zの高さを算出せずに、回転角度を直接キャリッジ3等の高さを示す反射位置データとして用いるようにしてもよい。つまり、反射位置データは、記録シート100の被測定面101において変更部40が変更する投光部20から照射された光束の中心軸に一致する反射光の反射位置を特定できるデータであれば特に限定されるものではない。
さらに、反射位置データとなるキャリッジ3の高さを規定する基準とは、キャリッジ軸5が第3の方向Zに移動可能な範囲における1点、例えば、Z2側の最下端、Z1側の最上端、又は、中心としてもよく、キャリッジ軸5の回転可能な範囲における1点、例えば、回転始端、回転終端、回転中心としてもよく、さらに、キャリッジ3及びキャリッジ軸5を移動した際に相対的に移動しない部分、例えば、装置本体4の一部や支持部材8の表面、または被測定面101としてもよい。
また、被測定面101における反射光の反射位置が異なる位置での測色は、例えば、変更部40のキャリッジ軸5の回転角度を検出する回転角度検出手段の分解能を最小単位で行うことができる。
そして、明度判定部303は、測色部10が測色した結果から、拡散反射における反射光の明度が最も高い測色データを判定する。例えば、測色データが、L*a*b*表色系で数値化されている場合には、L*値が最も高い測色データを選定する。これにより、最も明度が高い測色データを選定することができる。
ここで、投光部20から照射された光は、被測定面101で拡散反射し、拡散反射した反射光が受光部30で受光される。
投光部20から照射された光束の被測定面101上での照度分布は、光束の中心軸に対応する部分の照度が高く、光束の外周に対応する部分の照度が低い。このような投光部20からの光束によって照射された被測定面101の測色を行うと、投光部20からの光束の中央部の光が反射される領域では高い明度が測定され、投光部20からの光束の中央部から離れた光が反射される領域ほど低い明度が測定される。
図7〜9で示す例では、反射位置データである測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さを、第3の方向Zにおける被測定面101から記録ヘッド1の噴射面までの距離とした。したがって、図7に示すように、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さh1において、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致すると、受光部30は被測定面101上の照度の高い領域からの反射光を受光するため、図10に示すように高さh1の場合に受光部30で測定される明度が最も高くなる。すなわち、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致するような、投光部20、受光部30及び被測定面101の相対位置関係であれば、受光部30で測定される明度が高くなる。
これに対して、図8に示すように、測色部10の被測定面101からの高さ(距離)h2が、高さh1よりも低い場合、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致せず、受光部30は被測定面101上の照度の低い領域からの反射光を受光するため、図10に示すように高さh1の場合よりも高さh2の場合の方が受光部30で測定される明度が低くなる。すなわち、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致しないような、投光部20、受光部30及び被測定面101の相対位置関係では、受光部30で測定される明度が低くなる。
同様に、図9に示すように、測色部10の被測定面101からの高さ(距離)h3が、高さh1よりも高い(長い)場合、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致せず、受光部30は被測定面101上の照度の低い領域からの反射光を受光するため、図10に示すように受光部30で測定された明度が低くなる。すなわち、投光部20からの光束の中心軸と一致する光線が受光部30に入射しないような、投光部20、受光部30及び被測定面101の相対位置関係であれば、受光部30で測定される明度が低くなる。
つまり、本実施形態では、投光部20から照射される光束の中心軸及び受光部30の受光用光学系31の光軸の被測定面101に対する角度は固定されているため、投光部20及び受光部30を被測定面101に対して近接及び離間させることで、投光部20からの光束の記録シート100における反射光の反射位置を変更することができる。このため、明度判定部303は、測色部10が測色した複数の測色データから最も明度が高い測色データを判定することで、投光部20から照射される光束の中心軸に一致する光が被測定面101上で受光部30の受光用光学系31に一致したかを判定する。本実施形態では、投光部20から照射される光束の被測定面101における反射位置は、キャリッジ3を第3の方向Zに移動して測色部10の被測定面101からの高さh1〜h3を調整することで変更しているため、明度判定部303が明度の最も高い測色データを判定することで、この測色データに関連付けられたキャリッジ3の基準からの高さを示す反射位置データ、すなわち、実質的に測色部10の記録シート100の被測定面101からの高さh1を特定することができる。
測色位置設定部304は、明度判定部303が最も高い明度となる測色データを判定することで特定された反射位置データを測色位置として記憶部212に設定する。そして、測色位置設定部304が設定した測色位置で、記録シート100における測色を行わせる。すなわち、測色位置を設定したら、設定した測色位置を変更することなく、つまり、変更部40を動作させて測色部10が搭載されたキャリッジ3を第3の方向Zに移動させることなく、測色部10によって記録シート100の被測定面101における複数箇所での測色が行われる。
このような測色部10及び変更部40を用いた測色方法について図11を参照して説明する。なお、図11は、測色方法を示すフローチャートである。
測色が開始されると、最初に測色位置設定モードとなる。具体的には、ステップS1で、反射光の反射位置を変更しつつ複数回の測色を行う。すなわち、変更部制御部302が変更部40を制御して、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さを変更しながら、測色部制御部300が測色部10を制御して測色を行う。測色部10の測定結果から測色処理部301によって表色系で数値化して測色データを生成して、測色データは反射位置データと関連付けられて記憶部212に記憶される。次に、ステップS2で、複数の測色データから明度判定部303が最も高い明度となる測色データを判定する。次に、ステップS3で、測色位置設定部304が、明度判定部303が特定した測色データに関連付けられた反射位置データを測色位置として記憶部212に設定する。その後は、ステップS4で、測色位置設定部304が設定した測定位置において、測色部制御部300によって被測定面101の複数箇所で測色を行う。
なお、ステップS1〜ステップS3における測色位置の設定は、記録シート100毎に行えばよいが、例えば、同一規格の記録シート100を用いる場合には、ステップS1〜S3を行わなくてもよい。すなわち、測色位置を設定した記録シート100と同一規格の記録シートを用いた場合には、厚さが同じであるため、反射光の光軸のずれが生じ難く、実質的に測色位置が同じとなる。したがって、同一規格の記録シートを用いる際には、同じ測色位置を用いて測色することで、測色位置を設定する工程が不要となって、測色に必要な時間を短縮することができる。もちろん、測色位置を設定した記録シート100と同一規格の記録シートを用いる場合であっても、ステップS1〜S4を行って測色位置を再設定してもよい。これにより、同一規格の記録シートの厚さに誤差があっても、最適な測色位置を設定することができる。
このように、本実施形態では、投光部20から照射された光の中心軸に一致する光の記録シート100の被測定面101上の反射位置を変更させる変更部40を制御して受光部30が受光した反射光から得られた測色データの明度が最も高い反射位置を測色位置に設定するようにした。このため、明度が最も高い反射位置で被測定面101に印刷された図示しないパッチの測色を行うことができるため、測色精度を向上することができる。ちなみに、明度が低い反射位置でパッチの測色を行うと、測色精度が低く、測色値に基づいた色変換情報によって画像データを色変換した際に、色の再現性が低下する。本実施形態では、測色精度を向上することで、高い精度の測色値に基づいた色変換情報によって画像データを色変換することができ、色の再現性を向上することができる。
また、本実施形態の変更部40は、測色部10と被測定面101との第3の方向Zにおける間隔を変更することで、反射位置を変更するようにした。特に、本実施形態では、測色部10を記録ヘッド1が搭載されたキャリッジ3に搭載して、キャリッジ3を被測定面101に対して第3の方向Zに移動させることで、キャリッジ3に搭載された測色部10を被測定面101に対して第3の方向Zに移動させるようにした。このため、変更部40は、記録ヘッド1と記録シート100との間隔、所謂ペーパーギャップを変更する機構と兼ねることができる。また、記録ヘッド1を搭載したキャリッジ3は、第2の方向Yに移動可能に設けられているため、測色部10をキャリッジ3に搭載することで、測色部10を第2の方向Yに移動する機構が別途不要となる。したがって、測色部10と記録ヘッド1とを第2の方向Y及び第3の方向Zに個別に移動させる機構が不要となって、小型化を図ることができると共にコストを低減することができる。
なお、本実施形態では、記録ヘッド1と測色部10とを同じキャリッジ3に搭載し、キャリッジ3を第3の方向Zに移動する変更部40によって記録ヘッド1の記録シート100との間隔や、測色部10の記録シート100との間隔を変更するようにしたが、特にこれに限定されない。例えば、記録ヘッド1と測色部10とを同じキャリッジ3に搭載し、キャリッジ3に記録ヘッド1を第3の方向Zに移動するヘッド位置変更部と、測色部10を第3の方向Zに移動する変更部とをそれぞれ設けるようにしてもよい。また、記録ヘッド1と測色部10とをそれぞれ異なるキャリッジに搭載するようにしてもよい。
また、本実施形態では、測色部10を、記録シート100の搬送方向である第1の方向Xにおいて、記録ヘッド1よりも上流側であるX1側に設けるようにした。このため、測色部10にミストが付着し難く、付着したミストによる測色不良が生じ難く、付着したミストの清掃が不要又は清掃までの間隔を長くして、測色時間の短縮を図ることができる。
なお、本実施形態では、測色部10をキャリッジ3において記録ヘッド1よりもX1側に設けるようにしたが、測色部10をキャリッジ3に搭載しない場合であっても、測色部10は、記録ヘッド1よりもX1側に配置することで、ミストの付着を抑制することができる。
(実施形態2)
図12は、本発明の実施形態2に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の制御処理部211の機能実現部を示すブロック図であり、図13は、基準位置を説明する側面図であり、図14は、測色位置を説明する側面図である。なお、上述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
本実施形態では、測色部10及び変更部40を用いて記録シート100の厚さを測定するようにした。すなわち、記録シート100がセットされていない状態である支持部材8上で反射させた反射光の明度が最も高くなる反射位置を基準位置に設定し、この基準位置と、記録シート100上で反射させた反射光の明度が最も高くなる測色位置とに基づいて、記録シート100の厚さを算出するようにした。
具体的には、図12に示すように、制御処理部211は、機能実現部としてさらに基準位置取得部305と、媒体厚算出部306と、を具備する。
基準位置取得部305は、測色部制御部300及び変更部制御部302によって測色部10及び変更部40を制御させて、記録シート100が搬送されていない支持部材8の表面における投光部20から照射された光束の反射光から得られた測色データの明度が最も高い反射位置データを基準位置として取得する。
具体的には、基準位置取得部305は、測色部制御部300によって測色部10を制御させて、投光部20から照射した光を支持部材8上で反射させて、反射した光を受光部30で受光させる。このように測色部10によって受光した電気信号から測色処理部301が表色系で数値化して測色データを生成する。
また、基準位置取得部305は、変更部制御部302によって変更部40を制御させて、支持部材8の表面の反射光の反射位置を変更する。本実施形態では、上述のように変更部40によって測色部10が搭載されたキャリッジ3を支持部材8に対して第3の方向Zに移動させて、支持部材8上での反射光の反射位置を変更させる。
また、基準位置取得部305は、測色部制御部300及び変更部制御部302に測色部10及び変更部40を制御させることで、支持部材8における反射光の反射位置が異なる位置で複数回測色させて、測色毎に測色結果は表色系で数値化されて測色データとして生成される。なお、測色データは、変更部40によって変更した支持部材8上の反射光の反射位置、本実施形態では、キャリッジ3の基準となる位置からの第3の方向Zの高さを示す反射位置データと関連付けられて記憶部212に記録される。
ちなみに、キャリッジ3の第3の方向Zにおける高さは、変更部40がキャリッジ軸5を移動することで変更されるため、反射位置データは、前述のキャリッジ3の高さではなく、キャリッジ軸5の高さ(第3の方向Zにおける基準となる位置からキャリッジ軸5までの距離)であってもよい。また、基準となる位置からのキャリッジ3の第3の方向Zにおける高さは、キャリッジ3に搭載された測色部10の受光部30における受光素子32の受光面の高さ(第3の方向Zにおける基準となる位置から受光面までの距離)や、記録ヘッド1の噴射面の高さ(第3の方向Zにおける基準となる位置から噴射面までの距離)等であってもよい。また、第3の方向Zにおける基準となる位置からのキャリッジ3等の高さは、変更部40に設けられた図示しない回転角度検出手段によるキャリッジ軸5の回転角度から換算することができる。もちろん、キャリッジ軸5の回転角度からキャリッジ3等の第3の方向Zの高さを算出せずに、回転角度を直接キャリッジ3等の高さを示す反射位置データとして用いるようにしてもよい。つまり、反射位置データは、記録シート100の被測定面101において変更部40が変更する投光部20から照射された光束の中心軸に一致する反射光の反射位置を特定できるデータであれば特に限定されるものではない。
さらに、反射位置データとなるキャリッジ3の高さを規定する基準とは、キャリッジ軸5が第3の方向Zに移動可能な範囲におけるZ2側の最下端、Z1側の最上端、又は、中心としてもよく、キャリッジ軸5の回転可能な範囲における回転始端、回転終端、回転中心としてもよく、さらに、キャリッジ3及びキャリッジ軸5を移動した際に相対的に移動しない部分、例えば、装置本体4の一部や支持部材8の表面としてもよい。本実施形態では、図13に示すように、反射位置データとして、第3の方向Zにおける測色部10の支持部材8からの高さの指標となる第3の方向Zにおける支持部材8の表面から記録ヘッド1の噴射面までの距離とした。
そして、明度判定部303は、測色部10が測色した結果から、拡散反射における反射光の明度が最も高い測色データを判定する。例えば、測色データが、L*a*b*表色系で数値化されている場合には、L*値が最も高い測色データを選定する。これにより、最も明度が高い測色データを選定することができる。
そして、基準位置取得部305は、明度判定部303が判定した明度が最も高い測色データに関連付けられた反射位置データを基準位置として記憶部212に設定する。本実施形態では、図13に示すように、第3の方向Zにおける支持部材8の表面から測色部10までの高さであるZ0、基準位置Z0とした。
また、上述した実施形態1と同様に、測色部制御部300、変更部制御部302及び測色位置設定部304は、支持部材8上に設置された記録シート100の被測定面101で反射させた反射光による測色データの明度が最も高くなる測定位置を検出し、この測色位置を記憶部212に設定する。本実施形態では、測色位置となる反射位置データは、図14に示すように、第3の方向Zにおいて測色部10の支持部材8の表面からの高さであるZmを、測色位置Zmとした。
媒体厚算出部306は、基準位置取得部305が取得した支持部材8での反射光から得られた測色データの明度が最も高くなる基準位置Z0と、測色位置設定部304が設定した記録シート100の被測定面101において反射光から得られた測色データの明度が最も高くなる測色位置Zmと、に基づいて、記録シート100の第3の方向Zの厚さを算出する。すなわち、基準位置Z0から測色位置Zmを減算することで(Zm−Z0)、支持部材8に載置された記録シート100の厚さを算出することができる。
なお、支持部材8の表面から測色部10までの高さZmを測定位置としたが、支持部材8での反射光から得られた測色データの明度が最も高くなる基準位置での支持部材8から測色部10までの高さZ0は変化しないため、記録シート100の被測定面101で反射させて測色した測色データに関連付ける反射位置データとして、基準位置Z0(支持部材8からの高さZoでの位置)からの測色部10の変位量としてもよい。これにより、記録シート100の明度が最も高くなる測色データに関連付けられた反射位置データを直接記録シート100の厚さとして取得することができる。
このように本実施形態では、制御部210は、変更部40を制御して記録シート100の被測定面101とは反対面側を支持する支持部材8の表面で反射した光を受光部30が受光した際の明度が最も高くなる測色部10の位置から支持部材8の表面までの距離を基準位置に設定し、基準位置と記録シート100の被測定面101の測色位置とに基づいて、記録シート100の厚さを取得するようにした。このため、記録シート100の厚さを測定するセンサー等が別途不要となって、コストを低減することができると共に、センサーを配置するスペースも不要となって小型化を図ることができる。また、記録シート100の厚さを取得することで、変更部40によって記録シート100と記録ヘッド1との間隔であるペーパーギャップを高精度に制御することができる。したがって、高精度な印刷を実現することができる。
また、本実施形態では、さらに、記録シート100のインク滴が着弾されていない非着弾領域、すなわち、非印刷領域を測色して紙白値を特定し、この紙白値と上述した記録シート100の厚さとから、記録シート100を特定するようにしてもよい。
ちなみに、記録シートは、製造するメーカーや用途によって材料、厚さが異なる複数種類が存在する。このため記録シートの厚さと、測色部10が測色した紙白値とに基づいて、記録シートを特定することができる。そして、記録シートを特定することによって、特定した記録シートに最適な印刷設定を行うことができる。例えば、複数種類の記録シートの厚さ及び紙白値と、各記録シートに最適な印刷設定とをデータとして予め蓄積しておき、記録シートの厚さと紙白値から記録シートを特定することで、特定した記録シートに最適な印刷設定を呼び出すことができる。また、例えば、過去に測色部10によって測色した紙白値及び厚さと、その記録シートに印刷する際にユーザーが設定した印刷設定とを記憶しておき、紙白値及び厚さから過去に測色及び印刷した記録シートと同じ記録シートが検出された際に、過去に設定した印刷設定を呼び出すようにしてもよい。
なお、記録シートは、材料や厚さなどの種類によって、色再現性、インクの吸収性、インクの着弾によるよれの生じ易さ、乾燥時間などが異なる。したがって、記録シートを特定することで、インクジェット式記録装置Iが使用する複数の要素色、例えば、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の比率に基づく色再現性や、インク滴の重量(打ち込み量)や、ペーパーギャップ(PG)、キャリッジ3の移動速度、紙送り速度などを記録シートに最適なものに設定することができる。ちなみに、色再現性については、印刷設定によって呼び出した後、測色部10によって測色した結果に基づいて補正するようにしてもよい。
なお、記録シート100を特定した後は、特定した記録シート100に最適な印刷設定を自動的に行わなくてもよい。例えば、厚さと紙白値から特定した記録シートが、前回使用した記録シートとは異なることを検出したら、印刷設定を再設定するようにユーザーに警告を発するようにしてもよい。これによっても、種類の異なる記録シートに同じ印刷設定で印刷するのを抑制して、印刷不良が生じるのを抑制することができる。
このように、制御部210は、測色部10によって取得した記録シート100の厚さと、測色部10が測色した記録シート100のインクが着弾されていない非着弾領域の測色結果である紙白値と、に基づいて、記録シート100を特定することで、記録シート100に最適な印刷設定を行うことができると共に、印刷不良が発生するのを抑制することができる。
(実施形態3)
図15〜図17は、本発明の実施形態3に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の要部側面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態の変更部40は、被測定面101の面方向における投光部20と受光部30との間隔を変更する。本実施形態では、変更部40は、投光部20を受光部30に対して第2の方向Yに移動する。
具体的には、変更部40は、キャリッジ3に固定されて投光部20を第2の方向Yに移動可能に保持する投光部保持部41と、投光部保持部41を移動させる投光部駆動部42と、を具備する。
投光部駆動部42は、投光部保持部41をキャリッジ3に対して第2の方向Yに移動することができれば特に限定されず、例えば、モーターや電磁石等を用いることができる。本実施形態では、投光部駆動部42として、投光部保持部41にプランジャの先端を当接させて、プランジャを第2の方向Yに移動可能なソレノイドを用いるようにした。また、変更部40には、特に図示していないが、投光部保持部41の移動距離を検出することができるリニアエンコーダー等の移動距離検出手段が設けられている。
このような変更部40によって、図15〜図17に示すように、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔を変更することで、記録シート100上の被測定面101上における反射光の反射位置を変更することができる。
図15に示すように、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さ(被測定面101から記録ヘッド1の噴射面までの距離)が基準の値である場合に、投光部20と受光部30との間隔w1において、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も高い明度の測色データを測定することができる。すなわち、図15に示されるような投光部20、受光部30及び被測定面101の相対位置関係が、被測定面101を精度よく測色できる基準の相対位置である。
これに対して、図16に示すように、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さ(距離)が図15に示す例より低い(短い)場合、投光部20と受光部30との間隔w1では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致せず、受光部30は被測定面101上の照度の低い領域からの反射光を受光するため、図15に示す例より図16に示す例の方が受光部30で測定される明度が低くなる。本実施形態では、変更部制御部302が変更部40を制御して、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔を変更しながら、測色部制御部300が測色部10を制御して被測定面101の測色し、測色処理部301によって表色系で数値化して測色データを生成して、測色データは反射位置データと関連付けられて記憶部212に記憶される。本実施形態では、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔が反射位置データである。次に、複数の測色データから明度判定部303が最も高い明度となる測色データを判定する。図16に示される記録シート100の場合、投光部20と受光部30との間隔が間隔w1よりも狭い間隔w2で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も高い明度の測色データを測定することができる。
同様に、図17に示すように、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さ(距離)が図15に示す例より高い(長い)場合、投光部20と受光部30との間隔w1では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致せず、受光部30は被測定面101上の照度の低い領域からの反射光を受光するため、図15に示す例より図17に示す例の方が受光部30で測定される明度が低くなる。このような場合も、前述のように投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔を変更しながら測色した複数の測色データから最も高い明度となる測色データを判定する。図17に示される記録シート100の場合、投光部20と受光部30との間隔が間隔w1よりも広い間隔w3で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も高い明度の測色データを測定することができる。
図15に示すように基準の間隔w1での測色データの明度が高いと判定された場合は、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さは基準の高さであるから、さらに測色部10を移動させる必要が無くその位置が測色位置となる。しかし上述したように、基準の間隔w1とは異なる間隔での測色データの明度が高いと判定された場合は、基準の間隔w1から測色データの明度が高いと判定された測色データに関連づけられた反射位置データである間隔w2、w3までの変位量から、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの現在の高さと基準の高さとの差を算出することで、図16及び図17において測色部10を被測定面101からの現在の高さから基準高さに移動することができる。色変換情報を生成するため測色を行う前に、被測定面101からの測色部10の高さを基準高さにするとともに、投光部20と受光部30との間隔を基準の間隔である間隔w1に変更することで、図16及び図17に示される記録シート100においても、測色部10を被測定面101から基準高さで、投光部20と受光部30との間隔を基準の位置である間隔w1にして、投光部20から照射される光束の中心軸を、被測定面101上で受光部30の受光用光学系31の光軸と一致させることができる。
すなわち、図15〜図17に示すように記録シート100の厚さにばらつきがあっても、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さを常に同じ基準高さで、投光部20と受光部30との間隔を常に同じ基準の間隔w1で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを記録シート100上で合わせて最も高い明度で測色することができるため、測定条件にばらつきが生じるのを抑制して明度にばらつきが生じるのを抑制することができ、高精度な測色を行うことができる。すなわち、図16に示す測色部10の被測定面101からの高さは、図15の基準高さよりも低いため、投光部20と受光部30との間隔を変更して被測定面101上で投光部20から照射される光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを一致させても、測色部10の被測定面101からの高さが低いままで測色を行うと、基準高さで測色を行った場合に比べて測色される明度が高くなる。同様に、図17に示す測色部10の被測定面101からの高さは、図15に示す基準高さよりも高いため、投光部20と受光部30との間隔を変更して被測定面101上で投光部20から照射される光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを一致させても、測色部10の被測定面101からの高さが高いままで測色を行うと、基準高さで測色を行った場合に比べて測色される明度は低くなる。したがって、間隔w1から間隔w2、w3への変位量に基づいて測色部10の被測定面101からの現在の高さと基準の高さとの差を算出して、測色部10を基準高さに移動し投光部20と受光部30との間隔を基準の間隔w1にすることで、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができ、測色する明度のばらつきを抑制することができる。
なお、反射位置データである投光部20と受光部30との間隔w1〜w3は、本実施形態では、第2の方向Yにおける投光部20の光源用光学系22の中心位置と、受光部30の受光用光学系31の中心位置との間隔とした。もちろん、これに限定されず、投光部20及び受光部30の外装の間隔であってもよく、基準となる目印の間隔であってもよい。さらに、移動距離検出手段が検出する投光部保持部41の移動可能な範囲の何れか1点を基準として移動している場合には、この基準からの相対的な移動距離であってもよい。
また、上述した実施形態2と同様に、記録シート100の厚さを測定する場合には、投光部20と受光部30との間隔と、測色部10の支持部材8からの第3の方向Zの高さとを関連付けた変換テーブルを用意し、変換テーブルに基づいて、支持部材8の表面と記録シート100の被測定面101とのそれぞれで最も高い明度の測色データを測定した投光部20と受光部30との間隔から測色部10の支持部材8からの高さをそれぞれ参照して、それらの高さの差分から記録シート100の厚さを測定すればよい。
このように本実施形態では、変更部40は、被測定面101の面方向における投光部20と受光部30との間隔、すなわち、第2の方向Yの間隔を変更するようにした。これによっても、記録シート100の被測定面101における反射光の反射位置を変更することができる。
なお、本実施形態では、変更部40は、投光部20の受光部30に対する第2の方向Yの位置を変更するようにしたが、特にこれに限定されず、受光部30の投光部20に対する第2の方向Yの位置を変更するようにしてもよい。
(実施形態4)
図18〜図20は、本発明の実施形態4に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の要部側面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図18に示すように、本実施形態の変更部40は、第3の方向Zと、投光部20から受光部30に向かう方向、本実施形態では、第2の方向Yと、を含む方向において、投光部20の照射角度を変更する。言い換えると、第1の方向Xに平行な軸を回転軸として投光部20の照射角度を変更する。
具体的には、変更部40は、キャリッジ3に固定されて投光部20を第3の方向Zと第2の方向Yとを含む方向において回転可能に保持する投光部保持部41Aと、投光部保持部41を回転させる投光部駆動部42Aと、を具備する。
投光部駆動部42Aは、投光部保持部41Aを回転することができれば特に限定されず、例えば、モーター等を用いることができる。また、変更部40には、特に図示していないが、投光部保持部41Aの回転角度を検出することができるロータリーエンコーダー等の投光部回転角度検出手段が設けられている。
このような変更部40によって、投光部20を回転させることで、投光部20から照射される照射光の角度を変更して、記録シート100の被測定面101上における反射光の反射位置を変更することができる。
図18に示すように、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さ(被測定面101から測色部10までの距離)が基準の値である場合に、投光部20の照射角度θ1(ここでは、投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度)において、投光部20から照射される光束の中心軸が、被測定面101上で受光部30の受光用光学系31の光軸と一致し、受光部30は最も高い明度の測色データを測定することができる。すなわち、図18に示されるような投光部20、受光部30及び被測定面101の相対位置関係が、被測定面101を精度よく測色できる基準の配置である。
これに対して、図19に示すように、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さ(距離)が図18に示す例より短い(低い)場合、投光部20の照射角度θ1では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致せず、受光部30は被測定面101上の照度の低い領域からの反射光を受光するため、受光部30で測定される明度が低くなる。本実施形態では、変更部制御部302が変更部40を制御して、投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度(照射角度)を変更しながら、測色部制御部300が測色部10を制御して被測定面101の測色し、測色処理部301によって表色系で数値化して測色データを生成して、測色データは反射位置データと関連付けられて記憶部212に記憶される。本実施形態では、投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度が反射位置データである。次に、複数の測色データから明度判定部303が最も高い明度となる測色データを判定する。図19に示される記録シート100の場合、投光部20の照射角度が、照射角度θ1よりも大きい照射角度θ2(ここでは、投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度)で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も高い明度の測色データを測定することができる。
同様に、図20に示すように、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さ(距離)が図18に示す例より高い(長い)場合、投光部20の照射角度θ1では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致せず、受光部30は被測定面101上の照度の低い領域からの反射光を受光するため、受光部30で測定される明度が低くなる。このような場合も、前述のように投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度(照射角度)を変更しながら測色した複数の測色データから最も高い明度となる測色データを判定する。図20に示される記録シート100の場合、投光部20の照射角度が、照射角度θ1よりも小さい照射角度θ3で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も高い明度の測色データを測定することができる。
図18に示すように基準の位置である照射角度θ1での測色データの明度が高い場合は、第3の方向Zにおける測色部10の被測定面101からの高さは基準の高さであるから、さらに測色部10を移動させる必要が無くその位置が測色位置となる。しかし上述したように基準の照射角度θ1から照射角度θ2、θ3までの変位量から、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの現在の高さと基準の高さとの差を算出することで、図19及び図20において測色部10を被測定面101からの現在の高さから基準高さに移動することができる。色変換情報を生成するため測色を行う前に、被測定面101からの測色部10の高さを基準高さにするとともに、投光部20の照射角度を基準の照射角度である照射角度θ1に変更することで、図19及び図20に示される記録シート100においても、測色部10を被測定面101から基準高さで、投光部20の照射角度をθ1にして、投光部20から照射される光束の中心軸を、被測定面101上で受光部30の受光用光学系31の光軸と一致させることができる。
すなわち、図18〜図20に示すように記録シート100の厚さにばらつきがあっても、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さを常に同じ基準高さで、投光部20からの照射角度を常に同じ基準の照射角度θ1で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを記録シート100上で合わせて最も高い明度で測色することができるため、測定条件にばらつきが生じるのを抑制して明度にばらつきが生じるのを抑制することができ、高精度な測色を行うことができる。すなわち、図19に示す測色部10の被測定面101からの高さは、図18の基準高さよりも低いため、投光部20の照射角度を変更して被測定面101上で投光部20から照射される光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを一致させても、測色部10の被測定面101からの高さが低いままで測色を行うと、基準高さで測色を行った場合に比べて測色される明度が高くなる。同様に、図20に示す測色部10の被測定面101からの高さは、図18に示す基準高さよりも高いため、投光部20の照射角度を変更して被測定面101上で投光部20から照射される光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを一致させても、測色部10の被測定面101からの高さが高いままで測色を行うと、基準高さで測色を行った場合に比べて測色される明度は低くなる。したがって、投光部20の照射角度θ1から照射角度θ2、θ3への変位量に基づいて測色部10の被測定面101からの現在の高さと基準の高さとの差を算出して、測色部10を基準高さに移動し投光部20の照射角度を基準の照射角度θ1にすることで、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができ、測色する明度のばらつきを抑制することができる。
なお、反射位置データである投光部20の照射角度θ1〜θ3は、本実施形態では、第3の方向Z(被測定面101の法線)に対する照射光の角度(投光部20から照射される光束の中心軸の角度)とした。もちろん、これに限定されず、投光部20からの光束の中心軸が第3の方向Zに対して45度となる照射角度を基準として、これに対する角度としてもよい。また、本実施形態では、投光部20を回転させるようにしたが、投光部20に設けられた光源21及び光源用光学系22のみを回転させるようにしてもよく、光源用光学系22としてプリズムや反射鏡等を設け、これらを回転させるようにしてもよい。
また、上述した実施形態2と同様に、記録シート100の厚さを測定する場合には、投光部20の回転角度と、測色部10の支持部材8からの第3の方向Zの高さとを関連付けた変換テーブルを用意し、変換テーブルに基づいて、支持部材8の表面と記録シート100の被測定面101とのそれぞれで最も高い明度の測色データを測定した投光部20の回転角度から測色部10の支持部材8からの高さをそれぞれ参照して、それらの高さの差分からと記録シート100の厚さを測定すればよい。
このように本実施形態では、変更部40は、被測定面101の法線方向である第3の方向Zと、投光部20から受光部30に向かう第2の方向Yとを含む方向において、投光部20の照射角度を変更するようにした。これによっても、記録シート100の被測定面101における反射光の反射位置を変更することができる。
なお、本実施形態では、変更部40は、投光部20の照射角度を変更するようにしたが、特にこれに限定されず、投光部20からの光束の中心軸に一致する光を受光部30が受光できるように、受光部30の受光角度(被測定面101の法線に対する受光部30の受光用光学系31の角度)を変更するようにしてもよい。
(実施形態5)
図21は、本発明の実施形態5に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の駆動方法を説明するフローチャートであり、図22及び図23は、インクジェット式記録装置の要部側面図であり、図24〜図29は、照度分布を説明する図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図21に示すように、本実施形態の液体噴射装置の駆動方法は、ステップS11で、測色部10の第3の方向Zの位置が異なるn箇所(n≧2、nは自然数)で記録シート100の被測定面101を測色し、生成された測色データを測色位置(測色部10の第3の方向Zの位置)と関連付けて記憶部212に記憶する。本実施形態では、第3の方向Zで測色部10の位置が異なる2箇所(n=2)で測色する。具体的には、図22に示すように、測色部10の被測定面101からの高さが高さh1となる第1測色位置と、図23に示すように、測色部10の被測定面101からの高さが高さh2(h1≠h2)となる第2測色位置とで記録シート100の被測定面101を測色する。つまり、図22に示すように、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置(測色部10の高さをh1とした第1測色位置)に設定し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第1の測色値を測色する。具体的には、第1の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第1の測色値(測色データ)を第1の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。また、図23に示すように、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置とは異なる第2の相対位置(測色部10の高さをh2とした第2測色位置)に設定し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第2の測色値を測色する。具体的には、第2の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第2の測色値(測色データ)を第2の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。なお、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)と第2の相対位置(第2測色位置)とは、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔は基準の間隔であり、被測定面101の法線に対する投光部20から射出される光束の中心軸及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度は基準の角度で同じとしている。なお、基準となる厚さの記録シート100Aを用い、測色部10の被測定面101Aからの高さが基準の高さh0であり、被測定面101Aの法線に対する投光部20からの照射角度及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度が基準の角度であり、第2の方向Yにおける受光部30と投光部20との間隔が基準の間隔であり、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが基準となる記録シート100Aの被測定面101A上で一致する、基準の相対位置の情報は、記憶部212に記憶されている。これにより、後述する色変換情報を生成するための測色位置において、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができ、記録シート100の厚みのばらつきによる測色精度のばらつきを抑制することができる。
ここで、図24〜図26に示すように、投光部20から照射された光束の被測定面101上での照度分布が、光束の中心軸に対応する部分の照度が高く、光束の外周に対応する部分の照度が低い場合の測色について説明する。このような投光部20からの光束によって照射された被測定面101の測色を行うと、投光部20からの光束の中央部の光が反射される領域では高い明度が測定され、投光部20からの光束の中央部から離れた光が反射される領域ほど低い明度が測定される。したがって、図25に示すように、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致している場合に、照明領域と受光領域が概ね重なっているため、最も高い明度が測定される。これに対して、図24及び図26に示すように、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上でずれている場合には、照明領域と受光領域がずれるため、図25に比べて低い明度が測定される。
一方、図27〜図29に示すように、投光部20からコリメート光が照射された場合、投光部20から照射された光束の被測定面101上での照度分布は、光束の中心軸から光束の周囲まで略一様となる。このような投光部20からの光束によって照射された被測定面101の測色を行うと、投光部20からの光束が反射される領域を含む領域を測定した場合には高い明度が測定され、投光部20からの光束が反射される領域の一部のみを含む領域を測定した場合には、照射されていない領域も受光部30が測色するため低い明度が測定される。したがって、図28に示すように、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致している場合に、照明領域と受光領域が概ね重なっているため、最も高い明度が測定される。これに対して、図27及び図29に示すように、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上でずれている場合には、照明領域と受光領域がずれるため、図28に比べて低い明度が測定される。
以上のことから、投光部20から照度分布が存在する光束や、コリメート光に代表される照度分布が一様な光束の何れの光が照射された場合であっても、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致している場合に最も高い明度が測定される。
なお、本実施形態では、投光部20から照射された光束による記録シート100の被測定面101における照射範囲に対して、受光部30による被測定面101における受光範囲は半分以上であるのが好ましい。例えば、投光部20からの光束の中心軸が被測定面101の法線に対して傾いている場合、被測定面101上の照明範囲の照度分布は投光部20から被測定面101までの距離が短いと高く、長いと低くなるため、受光部30の受光範囲が投光部20の照射範囲の半分よりも小さいと、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致していない相対位置で測定された明度判定値が、一致している相対位置で測定された明度判定位置よりも高くなり、正確に色変換情報を生成するための測色位置を設定することができなくなるからである。ちなみに、投光部20から照射された光束による被測定面101の照射範囲とは、例えば、投光部20の光源用光学系22から仮定される光束の範囲、すなわち、光源用光学系22の外径に基づく仮想円中により得られる範囲とすることができる。同様に、受光部30による被測定面101の受光範囲とは、受光部30の受光用光学系31から仮定される光学系の受光範囲、すなわち、受光用光学系31の外径に基づく仮想円中により得られる範囲とすることができる。
また、第1測色位置及び第2測色位置での測色は、例えば、記録シート100の被測定面101の色、すなわち、記録シート100自体を測色してもよく、記録ヘッドから吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行ったパッチを測色してもよい。
次に、ステップS12で、測色値の明度が最も高い位置を、色変換情報を生成するための測色位置に設定する。すなわち、本実施形態では、第1の相対位置である第1測色位置で測色した明度を判定する明度判定値L1が、第2の相対位置である第2測色位置で測色した明度を判定する明度判定値L2よりも高いため(L1>L2)、第1測色位置(第1の相対位置)を、色変換情報を生成するための測色位置に設定する。具体的には、より高い明度判定値L1(第1の測色値)に関連付けられた第1測色位置を、色変換情報を生成するための測色位置として記憶部212に設定する。
次に、ステップS13で、測色位置でパッチの測色を実行する。そして、ステップS14で、パッチの測色結果から色変換情報を生成する。その後は、色変換情報に基づいて色変換された印刷データ(画像データ)で印刷を実行する。なお、パッチは、記録ヘッド1から吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行うことで形成することができる。
このように、第1測色位置と第2測色位置とで測色を行い、明度が高い第1測色位置を測色位置としてパッチの測色を行うことで、測色精度を向上することができる。ちなみに、明度が低い第2測色位置でパッチの測色を行うと、明度が低いことから測色精度が低く、測色値に基づいた色変換情報によって画像データを色変換した際に、色の再現性が低下する。本実施携帯では、測色精度を向上することで、高い精度の測色値に基づいた色変換情報によって画像データを色変換することができ、色の再現性を向上することができる。
なお、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)では、図22に示すように、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致した場合を例示したが、特にこれに限定されず、第1の相対位置(第1測色位置)において、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致していない場合も本実施形態に含まれる。すなわち、第1の相対位置(第1測色位置)における被測定面101上での投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離が、第2の相対位置(第2測色位置)での距離に比べて短ければよい。つまり、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離が近づくほど、測色データの明度がより高くなるため、第2測色位置に比べて明度判定値が高い第1測色位置を、色変換情報を生成するための測色位置に設定して測色を行うことで、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置により近づけて、第2測色位置で測色を行う場合に比べて高精度に測色を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)と第2の相対位置(第2測色位置)との2箇所(n=2)で測色するようにしたが、特にこれに限定されず、3箇所以上の異なる相対位置で測色を行うようにしてもよい。すなわち、第3の方向Zの測色部10の被測定面101からの高さの異なる複数の相対位置で測色を行い、最も高い明度を測定した相対位置を、色変換情報を生成するための測色位置(第1の相対位置)としてもよい。なお、測色部10の被測定面101からの高さの異なる複数の相対位置で測色を行った場合は、最も高い明度を測定した相対位置を、色変換情報を生成するための測色位置に設定することが望ましいが、色変換情報を生成するための測色位置に、最も高い明度ではなくてもより高い明度を測定した相対位置を設定することもできる。この場合も、より低い明度を測定した相対位置を、色変換情報を生成するための測色位置に設定した場合よりは、精度よく測色することができる。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離をできるだけ短くして、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置により近づけることで、測色精度を高めることができる。
また、3箇所以上の測色部10の被測定面101からの高さの異なる相対位置で測色した明度判定値に基づいて色変換情報を生成するための測色位置の設定を行うことによって、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを被測定面101上でできるだけ近づけてより高い精度で被測定面101を測色することができる。従って、より高い明度で高精度な測色を行うには、測色部10の被測定面101からの高さがの異なるできるだけ多くの相対位置で測色を行うのが好ましい。ただし、測色部10の被測定面101からの高さの異なる相対位置の測色を増やすことで、測色回数が増え、測色に時間がかかってしまう。したがって、事前に実験結果等に基づいて精度よく測色した場合の明度が分かっている場合には、それに基づいて閾値を設定し、第3の方向Zの測色部10の被測定面101からの高さの異なる複数の相対位置で測色を行い、所定の明度(閾値)よりも高い明度を測定した相対位置(第1の相対位置)を、色変換情報を生成するための測色位置としてもよい。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを被測定面101上で所定の距離の範囲内に配置して、測色精度を高めることができると共に投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致するまで測色する必要がなく、測色回数を減らすことができ、測色に必要な時間を短縮することができる。
以上説明したように、媒体である記録シート100に液体であるインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドと、記録シート100の被測定面101に光を照射する投光部20と、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射された光を受光する受光部30とを備え、記録シート100の被測定面101を測色する測色部10と、を備える液体噴射装置の駆動方法であって、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置である第1測色位置に設定し、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第1の測色値を測色し、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置とは異なる第2の相対位置である第2測色位置に設定し、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す第2の測色値を測色し、第1の測色値の明度が第2の測色値の明度よりも高い場合には、第1の相対位置である第1測色位置を測色位置に設定し、測色位置で測色した記録シート100の色又は記録シート100上に印刷されたパッチの測色値に基づいた色変換情報によって印刷データを色変換する。
このように第1の相対位置と第2の相対位置とで測色を行い、明度が高い第1の相対位置を測色位置として設定して、測色位置で記録シート100の色又は記録シート100上に印刷されたパッチを測色することで、高精度な測色を行うことができる。また、測色値に基づいた色変換情報によって印刷データを色変換することで、色再現性に優れた印刷を実現することができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置と第2の相対位置との少なくとも2つの相対位置で測色を行えば良いため、測色時間を短縮することができる。
さらに、記録シート100は、種類によって厚みが異なるため、測色部10の支持部材8の支持面8aからの高さを固定したままでは、記録シート100の厚さによって測色部10の記録シート100の被測定面101からの第3の方向Zの高さが異なってしまう。しかし本実施形態では、測色部10の記録シート100からの第3の方向Zの高さが異なる第1の相対位置と第2の相対位置とで測色を行い、より高い明度を測定した相対位置を、色変換情報を生成するための測色位置に設定できるから、記録シート100の厚さのばらつきによって、色変換情報を生成するために測色する測色位置での測色部10の被測定面101からの高さがばらつくことを抑制して、測色精度を向上することができる。
また、投光部20と受光部30と媒体である記録シート100とを、第1の相対位置と第2の相対位置とを含み投光部20と受光部30と記録シート100との相対位置がそれぞれ異なる3箇所以上の複数の相対位置に設定し、複数の相対位置のそれぞれにおいて、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す測色値を測色することが好ましい。これによれば、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離をできるだけ短くして、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置により近づけることで、測色精度を高めることができる。
また、第1の測色値の明度が、複数の相対位置で測色された測色値の明度のうち、最高明度であることが好ましい。これによれば、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離をできるだけ短くして、高い明度で測色することができ、測色精度を高めることができる。
(実施形態6)
図30は、本発明の実施形態6に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の駆動方法を示すフローチャートであり、図31及び図32は、インクジェット式記録装置の要部側面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。本実施形態では、測色部10及び変更部40を用いて記録シート100の厚さを測定するとともに、前記実施形態5と同様に色変換情報を生成するための測色位置を設定する。
図30に示すように、本実施形態の液体噴射装置の駆動方法は、ステップS21で、測色部10の第3の方向Zの位置が異なるm箇所(m≧2、mは自然数)で記録媒体である記録シート100を支持する支持部材8の支持面8aを測色し、生成された測色データを測色位置(測色部10の第3の方向Zの位置)と関連付けて記憶部212に記憶する。本実施形態では、第3の方向Zで測色部10の位置が異なる2箇所(m=2)で測色する。具体的には、図31に示すように、測色部10の高さh3となる第3測色位置と、図32に示すように、測色部10の高さh4(h3≠h4)となる第4測色位置とで支持部材8の支持面8aを測色する。つまり、図31に示すように、投光部20と受光部30と記録シート100とを第3の相対位置(測色部10の高さをh3とした第3測色位置)に設定し、支持部材8の支持面8aの明度を示す値を含む第3の測色値を測色する。具体的には、第3の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第3の測色値(測色データ)を第3の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。また、図32に示すように、投光部20と受光部30と記録シート100とを第3の相対位置とは異なる第4の相対位置(測色部10の高さをh4とした第4測色位置)に設定し、支持部材8の支持面8aの明度を示す値を含む第4の測色値を測色する。具体的には、第4の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第4の測色値(測色データ)を第4の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。なお、本実施形態では、第3の相対位置(第3測色位置)と第4の相対位置(第4測色位置)とは、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔は基準の間隔であり、被測定面101の法線に対する投光部20から射出される光束の中心軸及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度は基準の角度で同じとしている。なお、測色部10の支持面8aからの高さが基準の高さh0であり、支持面8aの法線に対する投光部20からの照射角度及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度が基準の角度であり、第2の方向Yにおける受光部30と投光部20との間隔が基準の間隔であり、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが支持面8a上で一致する、基準の相対位置の情報は、記憶部212に記憶されている。これにより、後述する色変換情報を生成するための測色位置において、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができ、記録シート100の厚みのばらつきによる測色精度のばらつきを抑制するとともに、記録シート100の厚みを精度よく測定することができる。
次に、ステップS22で、第3測色位置と第4測色位置とで測色した第3の測色値及び第4の測色値から明度が最も高い位置を基準位置に設定する。本実施形態では、第3測色位置で測色した第3の測色値の明度を判定する明度判定値LA1が、第4測色位置で測色した第4の測色値の明度を判定する明度判定値LA2よりも高いため(LA1>LA2)、第3測色位置を基準位置に設定した。具体的には、より高い明度判定値LA1(第3の測色値)に関連付けられた第3測色位置を、記録シート100の厚みの測定するための基準位置として記憶部212に設定する。
なお、本実施形態では、第3の相対位置(第3測色位置)では、図31に示すように、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが支持面8a上で一致した場合を例示したが、特にこれに限定されず、第3の相対位置(第3測色位置)において、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが支持面8a上で一致していない場合も本実施形態に含まれる。すなわち、第3の相対位置(第3測色位置)における投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との支持面8a上での距離が、第4の相対位置(第4測色位置)での距離に比べて短ければよい。つまり、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との支持面8a上での距離が近づくほど測色データの明度がより高くなるため、第4測色位置に比べて明度判定値が高い第3測色位置を基準位置に設定して記録シート100の厚みの測定を行うことで、投光部20と受光部30と支持面8aとの相対位置を基準の位置により近づけて、第4測色位置を基準位置に設定して記録シート100の厚みの測定を行う場合に比べて高精度に記録シート100の厚みの測定を行うことができる。つまり、投光部20と受光部30と支持面8aとの相対位置と、基準位置での投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置とをより近づけることで、基準位置での測色部10の支持面8aからの高さと、測色位置での測色部10の支持面8aからの高さとの差から、精度よく記録シート100の厚みを測定することができる。
また、本実施形態では、第3の相対位置(第3測色位置)と第4の相対位置(第4測色位置)との2箇所(m=2)で測色するようにしたが、特にこれに限定されず、3箇所以上の異なる相対位置で測色を行うようにしてもよい。すなわち、第3の方向Zの測色部10の支持面8aからの高さの異なる複数の相対位置で測色を行い、最も高い明度を測定した相対位置を記録シート100の厚みの測定するための基準位置(第3の相対位置)としてもよい。なお、測色部10の支持面8aからの高さの異なる複数の相対位置で測色を行った場合は、最も高い明度を測定した相対位置を、記録シート100の厚みの測定するための基準位置に設定することが望ましい。これは、記録シート100に対応した色変換情報を生成するための測色位置での測色部10の被測定面101からの高さと、基準位置での測色部10の支持面8aからの高さとがより等しい方が、記録シート100の厚みをより精度よく測定できるためである。しかし、最も高い明度ではなくてもより高い明度を測定した相対位置を、記録シート100の厚みの測定するための基準位置に設定できれば、より低い明度を測定した相対位置を基準位置に設定した場合よりは精度よく記録シート100の厚みの測定することができる。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との支持面8a上での距離をできるだけ短くして、投光部20と受光部30と支持面8aとの相対位置を基準の位置により近づけることで、記録シート100の厚みの測定精度を高めることができる。
また、3箇所以上の測色部10の支持面8aからの高さの異なる相対位置で測色した明度判定値に基づいて記録シート100の厚みを測定するための基準位置の設定を行うことによって、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを支持面8a上でできるだけ近づけた位置を基準位置に設定することができる。従って、より高い精度で記録シート100の厚みの測定を行うには、測色部10の支持面8aからの高さが異なるできるだけ多くの相対位置で測色を行うのが好ましい。ただし、測色部10の支持面8aからの高さの異なる相対位置の測色を増やすことで、測色回数が増え、測色に時間がかかってしまう。したがって、事前に実験結果等に基づいて精度よく測色した場合の明度が分かっている場合には、それに基づいて閾値を設定し、第3の方向Zの測色部10の支持面8aからの高さの異なる複数の相対位置で測色を行い、所定の明度(閾値)よりも高い明度を測定した相対位置(第3の相対位置)を、記録シート100の厚みを測定するための基準位置としてもよい。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを支持面8a上で所定の距離の範囲内に配置される位置を基準位置として、記録シート100の厚みの測定精度を高めることができると共に投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致するまで測色する必要がなく、測色回数を減らすことができ、測色に必要な時間を短縮することができる。
次に、ステップS23で、支持部材8の支持面8a上に媒体である記録シート100を設置する。
次に、ステップS24〜ステップS25で、最も明度の高い測色データを測色した個所を測色位置に設定する。なお、ステップS24〜ステップS25は、実施形態5のステップS11〜ステップS12と同様であるため詳細な説明は省略する。
次に、ステップS26で、ステップS22で設定された基準位置とステップS25で設定された測色位置との差から記録シート100の厚さを算出する。すなわち、支持部材8の支持面8aの測色データのうちより高い明度を測定した第3測色位置と、記録シート100の被測定面101の測色データのうちより高い明度を測定した第1測色位置とは、測色対象となる支持部材8や記録シート100と測色部10との第3の方向Zの高さは同じことから、基準位置である第3測色位置での測色部10の支持面8aからの高さと測色位置である第1測色位置での測色部10の支持面8aからの高さとの差から記録シート100の厚みを算出することができる。
次に、ステップS27で、算出した記録シート100の厚さと、ステップS24で記憶部212に記憶された測色位置である第1測色位置に対応する第1の測色値(記録シート100の紙白値)とから記録シート100の種類を判定し、記録シート100の種類に基づいて色変換情報を生成する。その後は、色変換情報に基づいて色変換された印刷データ(画像データ)で印刷を実行する。
なお、記録ヘッドから吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行ったパッチを、色変換情報を生成するための測色位置(ステップS25で設定された測色位置)で測色し、当該測色値に基づいて生成した色変換情報に基づいて印刷を実行することもできる。
ちなみに、記録シートは、製造するメーカーや用途によって材料、厚さが異なる複数種類が存在する。このため記録シート100の厚さと、測色部10が測色した紙白値とに基づいて、記録シート100を特定することができる。そして、記録シート100を特定することによって、特定した記録シート100に最適な印刷設定を行うことができる。例えば、複数種類の記録シートの厚さ及び紙白値と、各記録シートに最適な印刷設定とをデータとして予め蓄積しておき、記録シート100の厚さと紙白値から記録シート100の種類を特定することで、特定した記録シート100に最適な印刷設定を呼び出すことができる。また、例えば、過去に測色部10によって測色した紙白値及び厚さと、その記録シート100に印刷する際にユーザーが設定した印刷設定とを記憶しておき、紙白値及び厚さから過去に測色及び印刷した記録シート100と同じ記録シート100が検出された際に、過去に設定した印刷設定を呼び出すようにしてもよい。
なお、記録シート100は、材料や厚さなどの種類によって、色再現性、インクの吸収性、インクの着弾によるよれの生じ易さ、乾燥時間などが異なる。したがって、記録シート100を特定することで、インクジェット式記録装置Iが使用する複数の要素色、例えば、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の比率に基づく色再現性や、インク滴の重量(打ち込み量)や、ペーパーギャップ(PG)、キャリッジ3の移動速度、紙送り速度などを記録シート100に最適なものに設定することができる。ちなみに、色再現性については、印刷設定によって呼び出した後、測色部10によって測色した結果に基づいて補正するようにしてもよい。
このように本実施形態では、投光部20と受光部30と媒体である記録シート100の被測定面101とは反対面側を支持する支持部材8とを第3の相対位置である第3測色位置に設定し、投光部20から照射され支持部材8の記録シート100を支持する支持面8aで反射した光を受光部30で受光し、支持部材8の支持面の明度を示す値を含む第3の測色値を測色し、投光部20と受光部30と支持部材8とを第3の相対位置とは異なる第4の相対位置に設定し、投光部20から照射され支持部材8の支持面で反射した光を受光部30で受光し、支持部材8の支持面の明度を示す第4の測色値を測色し、第3の測色値の明度が第4の測色値の明度よりも高い場合には、第3の相対位置を基準位置に設定し、測色位置と基準位置との差から記録シート100の厚さを検出する。このように、測色部10によって記録シート100の厚さを検出することで、記録シート100の厚さを測定する他のセンサー等が別途不要となって、コストを低減することができると共に、センサーを配置するスペースも不要となって小型化を図ることができる。また、記録シート100の厚さを取得することで、変更部40によって記録シート100と記録ヘッド1との間隔であるペーパーギャップを高精度に制御することができる。したがって、高精度な印刷を実現することができる。
また、本実施形態では、第3測色位置と第4測色位置とで、支持部材8の支持面8aを測色することで、記録シート100の厚みを測定するための基準位置を設定したが、基準位置を例えば、記憶部212に記憶させておくことで、基準位置を繰り返し取得する必要がなく、測色時間を短縮することができる。つまり、基準位置は、測色の度に可変するものではなく常に一定であるため、最初に基準位置を取得して記憶部212に記憶させておくことで、測色時にステップS21及びS22を省略することができ、測色時間を短縮することができる。
(実施形態7)
図33は、本発明の実施形態7に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の駆動方法を示すフローチャートであり、図34〜図37は、インクジェット式記録装置の要部側面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図33に示すように、本発明の実施形態7に係る液体噴射装置の駆動方法は、ステップS31で、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔(距離)が異なるn箇所(n≧2、nは自然数)で記録シート100の被測定面101を測色し、生成された測色データを測色位置(測色部10の第3の方向Zの位置)と関連付けて記憶部212に記憶する。本実施形態では、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔が異なる2箇所(n=2)で測色する。具体的には、図37に示すように、投光部20と受光部30との間隔が間隔w1となる第1測色位置と、投光部20と受光部30との間隔が間隔w2(w1≠w2)となる第2測色位置とで記録シート100の被測定面101を測色する。つまり、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置(投光部20と受光部30との間隔をw1とした第1測色位置)に設定し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第1の測色値を測色する。具体的には、第1の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第1の測色値(測色データ)を第1の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。また、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置とは異なる第2の相対位置(投光部20と受光部30との間隔をw2とした第2測色位置)に設定し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第2の測色値を測色する。具体的には、第2の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第2の測色値(測色データ)を第2の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。なお、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)と第2の相対位置(第2測色位置)とは、測色部10の被測定面101からの高さ(測色部10と記録シート100との間隔)は基準の高さh0または所定の高さであり、被測定面101の法線に対する投光部20から射出される光束の中心軸及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度は基準の角度で同じとしている。これにより、後述する色変換情報を生成するための測色位置において、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができ、記録シート100の厚みのばらつきによる測色精度のばらつきを抑制することができる。
また、第1測色位置及び第2測色位置での測色は、例えば、記録シート100の被測定面101の色、すなわち、記録シート100自体を測色してもよく、記録ヘッドから吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行ったパッチを測色してもよい。
本実施形態では、図34に示すように、基準となる厚さの記録シート100Aを用いた場合に、基準となる記録シート100Aの色を適切に測色できる投光部20、受光部30、および被測定面101Aの相対位置を、基準の相対位置とする。基準の相対位置では、測色部10の被測定面101Aからの高さが基準の高さh0であり、被測定面101Aの法線に対する投光部20からの照射角度及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度が基準の角度であり、第2の方向Yにおける受光部30と投光部20との間隔が基準の間隔w0である。このような基準の相対位置では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが基準となる記録シート100Aの被測定面101A上で一致する。すなわち、投光部20、受光部30、および基準となる記録シート100Aの被測定面101Aを基準の相対位置に配置させた場合、測色データの明度が最も高くなる。このような投光部20と受光部30と被測定面101Aとが基準の位置に配置された基準の相対位置の情報は、記憶部212に記憶されている。
本実施形態では、基準相対位置(以下、単に基準位置とも言う)を第2測色位置(第2の相対位置)として設定している。つまり、第2の相対位置での第2の方向Yにおける受光部30と投光部20との間隔(距離)w2が、基準の間隔(距離)w0と等しい場合について説明する。このような第2の相対位置(基準位置)で基準となる記録シート100Aとは厚さの異なる記録シート100の被測定面101を測色すると、基準となる記録シート100Aの厚みに対する記録シート100の厚さの差の分だけ、基準の高さh0に対して測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さに差が生じてしまい、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上でずれてしまう。
例えば、図35に示すように、記録シート100の厚さが基準となる記録シート100Aの厚さよりも厚い場合、第2測色位置(基準位置)では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で異なる位置となってしまう。また、図36に示すように、記録シート100の厚さが基準となる記録シート100Aの厚さよりも薄い場合も同様に、第2測色位置(基準位置)では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で異なる位置となってしまう。
本実施形態では、図12に示すように、変更部制御部302が変更部40を制御して、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔を変更しながら、測色部制御部300が測色部10を制御して測色を行う。測色部10の測定結果から測色処理部301によって表色系で数値化して測色データを生成して、測色データは反射位置データと関連付けられて記憶部212に記憶される。本実施形態では、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔が反射位置データである。次に、複数の測色データから明度判定部303が最も高い明度と判定された測色データに関連付けた反射位置データを特定する。例えば、図35に示す記録シート100の厚さが基準となる記録シート100Aの厚さよりも厚い場合には、図37に示すように、投光部20と受光部30との間隔w2よりも狭い間隔w1で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も強い光を受光することができる。従って、第1測色位置である投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔w1を最も高い明度となる反射位置データとして特定する。
次に、ステップS32では、基準位置である投光部20と受光部30との間隔w2と、ステップS31で最も高い明度と判定された測色データに関連づけられた反射位置データである第1測色位置における投光部20と受光部30との間隔w1との差α(w2−w1)から、測色部10の被測定面101Aからの第3の方向Zの基準高さh0と、第1測色位置における測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さh5との差α′を算出する。例えば、基準位置における投光部20と受光部30との間隔w2と第1測色位置における投光部20と受光部30との間隔w1との差αと、測色部10の被測定面101Aからの基準高さh0と第1測色位置における測色部10の被測定面101からの高さh5との差α′と、を関連付けた変換テーブルを用意し、変換テーブルに基づいて投光部20と受光部30との間隔w1、w2の差αから、第3の方向Zにおける測色部10の基準高さh0と第1測色位置の高さh5との差α′を取得する。
次に、ステップS33では、測色部10を第1測色位置の被測定面101からの高さh5から、差α′だけ第3の方向Zに移動して、測色部10の被測定面101からの高さを基準高さh0と同じ高さとする。また同時に、投光部20と受光部30との間隔を基準位置と同じ間隔w2に移動させて色変換情報を生成するための測色位置として設定する。これにより、色変換情報を生成するための測色位置では、測色部10の記録シート100からの高さを基準高さh0と同じ高さとして、且つ投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを被測定面101上で一致させ、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができる。
次に、ステップS34で、色変換情報を生成するための測色位置でパッチの測色を実行する。このとき、色変換情報を生成するための測色位置では、測色部10の記録シート100からの高さを基準高さh0と同じ高さとして、且つ投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを被測定面101上で一致させることができるため、測色を実行する際に、測色部10の記録シート100からの第3の方向Zの高さにばらつきが生じるのを抑制して、明度にばらつきが生じるのを抑制することができる。したがって、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて、記録シート100の高精度な測色を行うことができる。なお、パッチは、記録ヘッドから吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行うことで形成することができる。
そして、ステップS35で、パッチの測色結果から色変換情報を生成する。その後は、色変換情報に基づいて印刷を実行する。
なお、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)では、図37に示すように、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致した場合を例示したが、特にこれに限定されず、第1の相対位置(第1測色位置)において、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致していない場合も本実施形態に含まれる。すなわち、第1の相対位置(第1測色位置)における投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離が、第2の相対位置(第2測色位置)での距離に比べて短ければよい。つまり、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離が近づくほど明度がより高くなるため、第2測色位置に比べて明度判定値が高い第1測色位置と基準位置との差αに基づいて上述のように設定された測色位置で測色を行うことで、第2測色位置と基準位置との差αに基づいて上述のように設定された測色位置で測色を行う場合に比べて、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置をより基準の位置に近づけて、高精度に測色を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)と第2の相対位置(第2測色位置)との2箇所(n=2)で測色するようにしたが、特にこれに限定されず、3箇所以上の異なる相対位置で測色を行うようにしてもよい。すなわち、投光部20と受光部30との間隔の異なる複数の相対位置で測色を行い、最も高い明度を測定した相対位置を第1の相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定してもよい。なお、投光部20と受光部30との間隔の異なる複数の相対位置で測色を行った場合は、最も高い明度を測定した相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定することが望ましいが、最も高い明度ではなくてもより高い明度を測定した相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定することもできる。この場合も、より低い明度を測定した相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定した場合よりは、精度よく測色することができる。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離ができるだけ短い相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、高い明度で測色することができ、測色精度を高めることができる。
また、3箇所以上の投光部20と受光部30との間隔の異なる相対位置で測色した明度判定値に基づいて色変換情報を生成するための測色位置の設定を行うことによって、色変換情報を生成するための測色位置において投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近づけることができるため、より高い明度で高精度な測色を行うことができる。従って、より高い精度で被測定面101の測色を行うには、投光部20と受光部30との間隔が異なるできるだけ多くの相対位置で測色を行うのが好ましい。ただし、投光部20と受光部30との間隔の異なる相対位置の測色を増やすことで、測色回数が増え、測色に時間がかかってしまう。したがって、事前に実験結果等に基づいて精度よく測色した場合の明度が分かっている場合には、それに基づいて閾値を設定し、投光部20と受光部30との間隔の異なる複数の相対位置で測色を行い、所定の明度(閾値)よりも高い明度を測定した相対位置(第1の相対位置)に基づいて、上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定してもよい。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離が所定の範囲内ある相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、測色精度を高めることができると共に投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致するまで測色する必要がなく、測色回数を減らすことができ、測色に必要な時間を短縮することができる。
なお、上述した例では、基準位置は投写部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが基準となる記録シート100Aの被測定面101Aにおいて一致した位置としたため、基準となる投光部20と受光部30との間隔に対する投光部20と受光部30との間隔の差α、又は、間隔の差αから算出した第3の方向Zにおける基準高さh0と第1測色位置の高さh5との差α′から、測色した記録シート100の厚さ(例えば、基準となる記録シート100Aの厚み+高さの差α′)を算出することもできる。このように測色する記録シート100の厚さを把握することで、記録シート100の厚さを測定するセンサー等が別途不要となって、コストを低減することができると共に、センサーを配置するスペースも不要となって小型化を図ることができる。また、記録シート100の厚さを取得することで、変更部40によって記録シート100と記録ヘッド1との間隔であるペーパーギャップを高精度に制御することができる。したがって、高精度な印刷を実現することができる。
また、本実施形態では、基準位置は、基準となる厚さの記録シート100Aの被測定面101Aにおいて投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致した位置としたため、基準となる厚さの記録シート100Aと同じ厚さの記録シート100を用いた場合には、高さ調整を行うことなく測色することが可能となる。したがって、測色時間を短縮することができる。
さらに、上述した例では、基準位置は、基準となる記録シート100Aの被測定面101Aにおいて、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致した位置としたが、特にこれに限定されない。
例えば、基準位置は、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが支持部材8の支持面8a上において一致した位置としてもよい。これによっても、第3の方向Zにおける基準高さh0と第1測色位置の高さh5との差α′から、色変換情報を生成するための測色位置を設定することも、記録シート100の厚さを算出することも可能である。
また、例えば、基準位置は、任意の位置であってもよい。上述したように任意の基準位置における投光部20と受光部30との間隔と最も高い明度を測定した相対位置(第1相対位置)における投光部20と受光部30との間隔との差αを求め、この間隔の差αから第3の方向Zにおける任意の基準位置における測色部10の高さと最も高い明度を測定した相対位置での測色部10の被測定面101からの高さとの差α′を算出して、測色部10を差α′に任意の基準位置における測色部10の高さと基準高さh0との差を加算した距離だけ第3の方向Zに移動し、移動した状態で測色を行うようにすれば、基準高さh0と常に同じ高さh0で測色を行うことができる。したがって、記録シート100の厚さのばらつきによって色変換情報を生成するための測色位置での測色部10の被測定面101からの高さにばらつきが生じるのを抑制することができ、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて高精度な測色を行うことができる。
さらに、上述した例では、基準位置として、第2の相対位置である第2測色位置としたが、特にこれに限定されず、基準位置と第2の相対位置とは異なる位置であってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、媒体である記録シート100に液体であるインクを噴射する液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド1と、記録シート100の被測定面101に光を照射する投光部20と、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射された光を受光する受光部30とを備え、記録シート100の被測定面101を測色する測色部10と、を備える液体噴射装置の駆動方法であって、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置に設定し、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第1の測色値を測色し、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置とは異なる第2の相対位置に設定し、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す第2の測色値を測色し、第1の測色値の明度が第2の測色値の明度よりも高い場合には、第1の相対位置と予め設定された基準相対位置との差に基づいて投光部20と受光部30と記録シート100との相対位置を測色位置に設定し、測色位置で測色した記録シート100の色又は記録シート100上に印刷されたパッチの測色値に基づいた色変換情報によって印刷データを色変換する。このように、第1の相対位置における第1の測色値が第2の相対位置における第2の測色値よりも明度が高い場合に、第1の相対位置と基準相対位置との差に基づいて、投光部20と受光部30と記録シート(媒体)100の被測定面101とを基準相対位置と同じ測色条件となる測色位置に設定して測色を行う。このため、記録シート100の厚さにばらつきが生じても、測色位置では測色条件、特に、測色部10の被測定面101からの高さを常に同じ条件として測色することができるため、高精度な測色を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置と第2の相対位置との少なくとも2つの相対位置で測色を行えば良いため、測色時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置と第2の相対位置とは、媒体である記録シート100の被測定面101の法線方向である第3の方向Zに交差する方向における投光部20と受光部30との間隔が異なることが好ましい。これにより、記録シート100の被測定面101における反射光の反射位置を変更して、高精度な測色を行うことができる。
なお、本実施形態では、変更部40は、投光部20の受光部30に対する第2の方向Yの位置を変更するようにしたが、特にこれに限定されず、受光部30の投光部20に対する第2の方向Yの位置を変更するようにしてもよい。
また、本実施形態では、第1の測色値の明度が第2の測色値の明度よりも高い場合には、第1の相対位置での投光部20と受光部30との間隔と予め設定される基準相対位置での投光部20と受光部30との間隔との差から算出された距離だけ、測色部10を被測定面101の法線方向である第3の方向Zに移動させることが好ましい。これによれば、記録シート100の厚さにばらつきが生じても、測色部10の被測定面101からの高さを常に同じ条件として測色することができるため、高精度な測色を行うことができる。
また、第1の相対位置は、投光部20と受光部30と記録シート100との複数の相対位置のうち、より高い明度を測定した相対位置であることが好ましい。これによれば、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離ができるだけ短い相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、測色精度を高めることができる。
また、第1の相対位置は、投光部20と受光部30と記録シート100との複数の相対位置のうち、最高明度を測定した相対位置であることが好ましい。これによれば、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離ができるだけ短い相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、高い明度で測色することができ、測色精度を高めることができる。
(実施形態8)
図38は、本発明の実施形態8に係る液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の駆動方法を示すフローチャートであり、図39〜図42は、インクジェット式記録装置の要部側面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図38に示すように、本発明の実施形態8に係る液体噴射装置の駆動方法は、ステップS41で、投光部20の照射角度が異なるn箇所(n≧2、nは自然数)で記録シート100の被測定面101を測色し、生成された測色データを測色位置(測色部10の第3の方向Zの位置)と関連付けて記憶部212に記憶する。本実施形態では、投光部20の照射角度が異なる2箇所(n=2)で測色する。具体的には、図42に示すように、投光部20の照射角度が照射角度θ1(ここでは、投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度)となる第1測色位置と、投光部20の照射角度が照射角度θ2(ここでは、投光部20から照射される光束の中心軸と被測定面101の法線との角度であって、θ1≠θ2)となる第2測色位置とで記録シート100の被測定面101を測色する。つまり、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置(投光部20の照射角度をθ1とした第1測色位置)に設定し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第1の測色値を測色する。具体的には、第1の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第1の測色値(測色データ)を第1の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。また、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置とは異なる第2の相対位置(投光部20の照射角度をθ2とした第2測色位置)に設定し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第2の測色値を測色する。具体的には、第2の測色位置で測色部10が測定した結果から表色系で数値化された第2の測色値(測色データ)を第2の測色位置と関連づけて記憶部212に記憶する。なお、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)と第2の相対位置(第2測色位置)とは、測色部10の記録シート100からの第3の方向Zの高さは基準の高さh0または所定の高さであり、被測定面101の法線に対する受光部30の受光用光学系31の光軸の角度は基準の角度であり、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔は基準の間隔w0で同じとしている。これにより、後述する色変換情報を生成するための測色位置において、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができ、記録シート100の厚みのばらつきによる測色精度のばらつきを抑制することができる。
また、第1測色位置及び第2測色位置での測色は、例えば、記録シート100の被測定面101の色、すなわち、記録シート100自体を測色してもよく、記録ヘッドから吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行ったパッチを測色してもよい。
本実施形態では、図39に示すように、基準となる厚さの記録シート100Aを用いた場合に、基準となる記録シート100Aの色を適切に測色できる投光部20、受光部30、および被測定面101Aの相対位置を、基準の相対位置とする。基準の相対位置では、測色部10の被測定面101Aからの高さが基準の高さh0であり、投光部20と受光部30との第2の方向Yの間隔は基準の間隔w0であり、被測定面101Aの法線に対する受光部30の受光用光学系31の光軸の角度が基準の角度であり、被測定面101Aの法線に対する投光部20の照射角度(光束の中心軸の角度)が基準の角度θ0である。このような基準の相対位置では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが基準となる記録シート100Aの被測定面101A上で一致する。すなわち、投光部20、受光部30、および基準となる記録シート100Aの被測定面101Aを基準の相対位置に配置させた場合、測色データの明度が最も高くなる。このような投光部20と受光部30と被測定面101とが基準の位置に配置された基準の相対位置の情報は、記憶部212に記憶されている。
本実施形態では、基準相対位置(以下、単に基準位置とも言う)を第2測色位置(第2の相対位置)として設定している。つまり、第2の相対位置での被測定面101Aの法線に対する投光部20の照射角度(光束の中心軸の角度)θ2が、基準の角度θ0と等しい場合について説明する。このような第2の相対位置(基準位置)で基準となる記録シート100Aとは厚さの異なる記録シート100の被測定面101を測色すると、基準となる記録シート100Aの厚みに対する記録シート100の厚さの差の分だけ、基準の高さh0に対して測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さに差が生じてしまい、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上でずれてしまう。
例えば、図40に示すように、記録シート100の厚さが基準となる記録シート100Aの厚さよりも厚い場合、第2測色位置(基準位置)では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で異なる位置となってしまう。また、図41に示すように、記録シート100の厚さが基準となる記録シート100Aの厚さよりも薄い場合も同様に、第2測色位置(基準位置)では、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で異なる位置となってしまう。
本実施形態では、変更部制御部302が変更部40を制御して、被測定面101の法線に対する投光部20から照射される光束の中心軸(投光部20の照射角度)を変更しながら、測色部制御部300が測色部10を制御して測色を行う。測色部10の測定結果から測色処理部301によって表色系で数値化して測色データを生成して、測色データは反射位置データと関連付けられて記憶部212に記憶される。本実施形態では、被測定面101の法線に対する投光部20から照射される光束の中心軸の角度(投光部20の照射角度)が反射位置データである。次に、複数の測色データから明度判定部303が最も高い明度と判定された測色データに関連付けた反射位置データを特定する。例えば、図40に示す記録シート100の厚さが基準となる記録シート100Aの厚さよりも厚い場合には、図42に示すように、投光部20の照射角度θ2より大きい照射角度θ1で、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが、被測定面101上で一致し、受光部30は最も強い光を受光することができる。従って、第1測色位置である投光部20の照射角度θ1を最も高い明度となる反射位置データとして特定する。
次に、ステップS42では、基準位置である投光部20の照射角度θ2と、ステップS41で最も高い明度と判定された測色データに関連づけられた反射位置データである第1測色位置における投光部20の照射角度θ1との差α(θ2−θ1)から、測色部10の被測定面101Aからの第3の方向Zの基準高さh0と、第1測色位置における測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さh5との差α′を算出する。例えば、基準位置における投光部20の照射角度θ2と第1測色位置における投光部20の照射角度θ1との差αと、測色部10の被測定面101Aからの基準高さh0と第1測色位置における測色部10の被測定面101からの高さh5との差α′と、を関連付けた変換テーブルを用意し、変換テーブルに基づいて投光部20の照射角度θ1、θ2の差αから、第3の方向Zにおける測色部10の基準高さh0と第1測色位置の高さh5との差α′を取得する。
次に、ステップS43では、測色部10を第1測色位置の被測定面101からの高さh5から、差α′だけ第3の方向Zに移動して、測色部10の被測定面101からの高さを基準高さh0と同じ高さとする。また同時に、投光部20の照射角度をθ1から基準位置と同じ照射角度θ2に移動させて色変換情報を生成するための測色位置として設定する。これにより、色変換情報を生成するための測色位置では、測色部10の記録シート100からの高さを基準高さh0と同じ高さとして、且つ投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを被測定面101上で一致させ、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて記録シート100を精度よく測色することができる。
次に、ステップS44で、色変換情報を生成するための測色位置でパッチの測色を実行する。このとき、色変換情報を生成するための測色位置では、測色部10の記録シート100からの高さを基準高さh0と同じ高さとして、且つ投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とを被測定面101上で一致させることができるため、測色を実行する際に、測色部10の記録シート100からの第3の方向Zの高さにばらつきが生じるのを抑制して、明度にばらつきが生じるのを抑制することができる。したがって、常に投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて、記録シート100の高精度な測色を行うことができる。なお、パッチは、記録ヘッド1から吐出されたインク滴を被測定面101上に着弾させる、いわゆる印刷を行うことで形成することができる。
そして、ステップS45で、パッチの測色結果から色変換情報を生成する。その後は、色変換情報に基づいて印刷を実行する。
なお、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)では、図42に示すように、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101上で一致した場合を例示したが、特にこれに限定されず、第1の相対位置(第1測色位置)において、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致していない場合も本実施形態に含まれる。すなわち、第1の相対位置(第1測色位置)における投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離が、第2の相対位置(第2測色位置)での距離に比べて短ければよい。つまり、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離が近づくほど明度がより高くなるため、第2測色位置に比べて明度判定値が高い第1測色位置と基準位置との差αに基づいて上述のように設定された測色位置で測色を行うことで、第2測色位置と基準位置との差αに基づいて上述のように設定された測色位置で測色を行う場合に比べて、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置をより基準の位置に近づけて、高精度に測色を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置(第1測色位置)と第2の相対位置(第2測色位置)との2箇所(n=2)で測色するようにしたが、特にこれに限定されず、3箇所以上の異なる相対位置で測色を行うようにしてもよい。すなわち、投光部20の照射角度の異なる複数の相対位置で測色を行い、最も高い明度を測定した相対位置を第1の相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定してもよい。なお、投光部20の照射角度の異なる複数の相対位置で測色を行った場合は、最も高い明度を測定した相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定することが望ましいが、最も高い明度ではなくてもより高い明度を測定した相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定することもできる。この場合も、より低い明度を測定した相対位置と基準位置との差αに基づいて上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定した場合よりは、精度よく測色することができる。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離ができるだけ短い相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、高い明度で測色することができ、測色精度を高めることができる。
また、3箇所以上の投光部20の照射角度の異なる相対位置で測色した明度判定値に基づいて色変換情報を生成するための測色位置の設定を行うことによって、色変換情報を生成するための測色位置において投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近づけることができるため、より高い明度で高精度な測色を行うことができる。従って、より高い精度で被測定面101の測色を行うには、投光部20の照射角度が異なるできるだけ多くの相対位置で測色を行うのが好ましい。ただし、投光部20の照射角度の異なる相対位置での測色を増やすことで、測色回数が増え、測色に時間がかかってしまう。したがって、事前に実験結果等に基づいて精度よく測色した場合の明度が分かっている場合には、それに基づいて閾値を設定し、投光部20の照射角度の異なる複数の相対位置で測色を行い、所定の明度(閾値)よりも高い明度を測定した相対位置(第1の相対位置に基づいて、上述のように色変換情報を生成するための測色位置を設定してもよい。これにより、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との被測定面101上での距離が所定の範囲内である相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、測色精度を高めることができると共に投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致するまで測色する必要がなく、測色回数を減らすことができ、測色に必要な時間を短縮することができる。
なお、上述した例では、基準位置は投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが基準となる記録シート100Aの被測定面101Aにおいて一致した位置としたため、基準となる投光部20の照射角度に対する最も高い明度を測定した第1相対位置での投光部20の照射角度の差α、又は、照射角度の差αから算出した第3の方向Zにおける基準高さh0と第1測色位置の高さh5との差α′から、測色した記録シート100の厚さ(例えば、基準となる記録シート100Aの厚み+高さの差α′)を算出することもできる。このように測色する記録シート100の厚さを把握することで、記録シート100の厚さを測定するセンサー等が別途不要となって、コストを低減することができると共に、センサーを配置するスペースも不要となって小型化を図ることができる。また、記録シート100の厚さを取得することで、変更部40によって記録シート100と記録ヘッド1との間隔であるペーパーギャップを高精度に制御することができる。したがって、高精度な印刷を実現することができる。
また、本実施形態では、基準位置は、基準となる厚さの記録シート100Aの被測定面101Aにおいて投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致した位置としたため、基準となる厚さの記録シート100Aと同じ厚さの記録シート100を用いた場合には、高さ調整を行うことなく測色することが可能となる。したがって、測色時間を短縮することができる。
さらに、上述した例では、基準位置は、基準となる記録シート100Aの被測定面101Aにおいて、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが一致した位置としたが、特にこれに限定されない。
例えば、基準位置は、投光部20からの光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが支持部材8の支持面8a上において一致した位置としてもよい。これによっても、第3の方向Zにおける基準高さh0と第1測色位置の高さh5との差α′から記録シート100の厚さを算出することも可能である。
また、例えば、基準位置は、任意の位置であってもよい。上述したように任意の基準位置における投光部20の照射角度と最も高い明度を測定した相対位置(第1相対位置)における投光部20の照射角度との差αを求め、この照射角度の差αから第3の方向Zにおける任意の基準位置における測色部10の被測定面101からの高さと最も高い明度を測定した相対位置での測色部10の被測定面101からの高さh5との差α′を算出して、測色部10を差α′に任意の基準位置における測色部10の高さと基準高さh0との差を加算した距離だけ第3の方向Zに移動し、移動した状態で測色を行うようにすれば、基準高さh0と常に同じ高さh0で測色を行うことができる。したがって、記録シート100の厚さのばらつきによって色変換情報を生成するための測色位置での測色部10の被測定面101からの高さにばらつきが生じるのを抑制することができ、投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置に配置させて高精度な測色を行うことができる。
さらに、上述した例では、基準位置として、第2の相対位置である第2測色位置としたが、特にこれに限定されず、基準位置と第2の相対位置とは異なる位置であってもよい。
以上説明したように、本実施形態では、媒体である記録シート100に液体であるインクを噴射する液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド1と、記録シート100の被測定面101に光を照射する投光部20と、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射された光を受光する受光部30とを備え、記録シート100の被測定面101を測色する測色部10と、を備える液体噴射装置の駆動方法であって、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置に設定し、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す値を含む第1の測色値を測色し、投光部20と受光部30と記録シート100とを第1の相対位置とは異なる第2の相対位置に設定し、投光部20から照射され記録シート100の被測定面101で反射した光を受光部30で受光し、記録シート100の被測定面101の明度を示す第2の測色値を測色し、第1の測色値の明度が第2の測色値の明度よりも高い場合には、第1の相対位置と予め設定された基準相対位置との差に基づいて投光部20と受光部30と記録シート100との相対位置を測色位置に設定し、測色位置で測色した記録シート100の色又は記録シート100上に印刷されたパッチの測色値に基づいた色変換情報によって印刷データを色変換する。このように、第1の相対位置における第1の測色値が第2の相対位置における第2の測色値よりも明度が高い場合に、第1の相対位置と基準相対位置との差に基づいて、投光部20と受光部30と記録シート(媒体)100の被測定面101とを基準相対位置と同じ測色条件となる測色位置に設定して測色を行う。このため、記録シート100の厚さにばらつきが生じても、測色位置では測色条件、特に、測色部10の被測定面101からの高さを常に同じ条件として測色することができるため、高精度な測色を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置と第2の相対位置との少なくとも2つの相対位置で測色を行えば良いため、測色時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、第1の相対位置と第2の相対位置とは、被測定面101の法線である第3の方向Zに対する投光部20から照射される光束の中心軸の角度が異なることが好ましい。これにより、記録シート100の被測定面101における反射光の反射位置を変更して、高精度な測色を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の測色値の明度が第2の測色値の明度よりも高い場合には、第1の相対位置での被測定面101の法線に対する投光部20から照射される光束の中心軸の角度と予め設定される基準相対位置での被測定面101の法線に対する投光部20から照射される光束の中心軸の角度との差から算出された距離だけ、測色部10を被測定面101の法線方向である第3の方向Zに移動させることが好ましい。これによれば、記録シート100の厚さにばらつきが生じても、測色部10の被測定面101からの高さを常に同じ条件として測色することができるため、高精度な測色を行うことができる。
また、第1の相対位置は、投光部20と受光部30と記録シート100との複数の相対位置のうち、より高い明度を測定した相対位置であることが好ましい。これによれば、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離ができるだけ短い相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、高い明度で測色することができ、測色精度を高めることができる。
また、第1の相対位置は、投光部20と受光部30と記録シート100との複数の相対位置のうち、最高明度を測定した相対位置であることが好ましい。これによれば、投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸との距離ができるだけ短い相対位置と基準位置との差に基づいて色変換情報を生成するための測色位置を設定することできるため、色変換情報を生成するための測色位置における投光部20と受光部30と被測定面101との相対位置を基準の位置にできるだけ近くして、高い明度で測色することができ、測色精度を高めることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
例えば、上述した各実施形態では、投光部20から照射される光束の中心軸を第3の方向Z(被測定面101の法線方向)に対して45度に傾けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、投光部20から照射される光束の中心軸を第3の方向Z(被測定面101の法線方向)に沿った方向とし、受光部30の受光角度(受光用光学系31の光軸)を第3の方向Z(被測定面101の法線方向)に対して投光部20に向かって45度に傾斜させてもよい。この場合であっても、投光部20から照射された光束の中心軸に一致する光が被測定面101で拡散反射した反射光を受光部30の受光用光学系31の光軸に一致させることで明度を高くして、測定精度を向上することができる。
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、記録ヘッド1がキャリッジ3に搭載されて第2の方向Yに移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、記録ヘッド1が装置本体4に固定されて、紙等の記録シート100を第1の方向Xに移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。ただし、ライン式記録装置に測色部10を設ける際には、測色部10を第2の方向Yに移動可能に設けられた測色部用のキャリッジに搭載すればよい。
また、上述した各実施形態では、測色部10をキャリッジ3に搭載して第2の方向Yに移動するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、複数の測色部10を測色するパッチ毎に第2の方向Yに並設すれば、測色部10が第2の方向Yに移動しなくてもよい。また、受光部30の受光素子32を第2の方向Yに並設してもよい。
また、例えば、記録シート100として、透明な材料を用いた場合には、被測定面101には、インク滴を着弾させた部分を用いて反射させればよい。すなわち、透明な材料は光を透過してしまうため、インク滴を着弾させた部分で反射させないと、支持部材8の表面で反射してしまうからである。なお、本発明において、被測定面101を測色するとは記録シート100の表面を直接測色する場合と、被測定面101上に印刷されたインク滴(パッチ)を測色する場合とが含まれる。
また、上述した実施形態5及び6のように、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さを変更して測色すると、測色部10の被測定面101からの高さの変動に伴って投光部20から照射された光の記録シート100上の照度が変動するため、記録シート100上で投光部20から照射された光束の中心軸の位置が受光部30の受光用光学系31の光軸の位置から離れている相対位置で測定される明度の値が、記録シート100上で投光部20から照射された光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが略一致している相対位置で測定される明度の値以上となる場合がある。しかしながら、実施形態7及び実施形態8では、測色部10の記録シート100からの第3の方向Zの高さを変えることなく第1測色位置と第2測色位置とで測色を行うため、第1測色位置と第2測色位置とで測色部10の被測定面101からの高さが変動することにより投光部20から照射された光束の記録シート100(支持面8a)上での照度が変動するのを抑制することができる。したがって、実施形態7及び実施形態8においては、実施形態5及び6に比べて高い精度で測色位置や基準位置となる相対位置を特定でき、色変換情報を生成するための測色位置の設定や記録シート100の厚さを検出することができる。
また、上述した実施形態5及び6では、測色部10の被測定面101からの第3の方向Zの高さを変更して明度の高い測色データを測定した相対位置をそのまま色変換情報を生成するための測色位置としたり基準位置と当該相対値との差をそのまま記録シート100の厚さとして検出したりするだけであるため、実施形態7及び8のように、明度の高い測色データを測定した相対位置と基準位置との差に基づいて、投光部20と受光部30と被測定面101とを色変換情報を生成するための測色位置に移動させたり、当該相対位置と基準位置との差から記録シート100の厚さを換算するのに比べて簡易な構造及び簡便な手法で測色や記録シート100の厚さを検出し、測色部10の被測定面101からの高さばらつきによる色変換情報を生成するための測色の精度低下を抑制して、測色精度を向上することができる。
また、上記実施形態において、被測定面101上で測色部10の被測定面101(支持面8a)からの高さが基準の高さであり、投光部20と受光部30との間隔が基準の間隔であり、被測定面101(支持面8a)の法線に対する投光部20から照射される光束の中心軸及び受光部30の受光用光学系31の光軸の角度が基準の角度であり、投光部20から照射される光束の中心軸と受光部30の受光用光学系31の光軸とが被測定面101(支持面8a)上で一致する基準の相対位置は、JIS,ASTM,ISO及びCIEでの測色に関する規定を満たす配置位置とすることが出来る。
さらに、本発明は、広く液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置を対象としたものであり、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種のインクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を用いた液体噴射装置にも用いることが可能である。