JP2019142031A - 記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャリッジの移動中にキャリッジに傾きが生じる場合でも、キャリッジに設けられた光学センサにより取得されるシート情報の信頼性を高めることができる記録装置を提供する。【解決手段】シートに記録を行う記録ヘッドと、記録ヘッドを搭載して第1方向に移動するキャリッジと、キャリッジに設けられ、シートに光を発する発光素子とシートから反射した光を受ける受光素子とを有する光学センサと、を備える記録装置であって、第1方向における複数の位置において、光学センサの傾き量を検出する検出手段をさらに備える。【選択図】図6
Description
本発明は、記録装置に関する。
インクジェット方式の記録装置において、記録ヘッドが搭載されるキャリッジに光学センサを設けて、光学センサによりシートの情報(シート情報)を取得することが知られている。取得する情報の例としては、センサからシートまでの距離、シートに記録されているパターンの色濃度、シートの端部の位置、シートの種類や表面特性などが挙げられる。
光学センサは通常、発光素子と受光素子とを備え、発光素子から照射された光の反射光を受光素子が受光する。例えば距離測定であれば、三角測量法を用いて測定対象であるシート表面までの距離を求めることができる。
特許文献1では、距離検出センサに配設された複数の受光素子へ照射された反射光の強度および出力の比率値を計測する。そして、その計測結果と記録装置に搭載した校正用基準板で検出した距離を演算した距離情報テーブルとの参照結果に基づき、シートまでの距離を算出している。
しかしながら、キャリッジを支持するメインレールの真直度のずれや移動時の振動影響により、キャリッジの移動領域の所定位置ごとに異なる傾きが発生し得る。特許文献1の方法では、キャリッジの移動領域の所定位置ごとにキャリッジと距離検出センサに傾きが生じる場合、受光素子へ照射された光の出力が変動する。その結果、距離情報テーブルとの参照結果が異なり、距離の検出精度が低下するおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑み、キャリッジの移動中にキャリッジに傾きが生じる場合でも、キャリッジに設けられた光学センサにより取得されるシート情報の信頼性を高めることができる技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る記録装置は、シートに記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドを搭載して第1方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられ、前記シートに光を発する発光素子と前記シートから反射した光を受ける受光素子とを有する光学センサと、を備える記録装置であって、前記第1方向における複数の位置において、前記光学センサの傾き量を検出する検出手段をさらに備えることを特徴とする。
本発明によれば、キャリッジの移動中にキャリッジに傾きが生じる場合でも、キャリッジに設けられた光学センサにより取得されるシート情報の信頼性を高めることができる技術が提供される。
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置(記録装置)Pの内部構成を示す斜視図である。記録ヘッド101は、キャリッジ102に着脱自在に搭載される。記録ヘッド101は、記録媒体であるシート(用紙)103に対してインクを吐出して画像を記録すための複数のノズルを有する。キャリッジ102の記録ヘッドとは異なる位置(キャリッジの側面)には、シート103の情報(シート情報)を光学的に検出するための光学センサ104(マルチセンサ)が設けられている。シート情報は、記録ヘッド101とシートの間の距離(センサからシート表面までの距離)、シート表面に記録されているパターンの濃度、パターンの位置、シートの端部の位置、シートの種類や表面状態などである。また、キャリッジ102には、加速度センサ204が設けられている。加速度センサ204は、キャリッジ102やキャリッジ102に設けられた光学センサ104の傾き量や傾き方向を検出することができる。メインレール105は、キャリッジ102を支持すると共に、キャリッジ102をシートの搬送方向と交差する交差方向に往復移動させる。
キャリッジ102は、キャリッジ搬送ベルト106を介してキャリッジモータ107により駆動される。キャリッジ102は、移動方向に配設したリニアスケール108をキャリッジ102に搭載したエンコーダセンサ109が検出することで位置情報が取得されつつ、交差方向に往復移動する。シート103は、下方をプラテン110により支持され、搬送ローラ111により搬送方向に搬送される。ここでシート103として、ロールシート(ロール紙)を例に挙げて説明するが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、カットシート(カット紙)が用いられても良い。また、シート103の幅についても、複数の種類のシート幅(用紙幅)に対応できるように構成されても良い。
図2は、本実施形態に係る記録装置のブロック構成図である。記録装置は、装置全体を制御するCPU201、センサ・モータ制御部202、および各種情報を記憶するメモリ203を備える。CPU201、センサ・モータ制御部202、メモリ203は、外部装置と通信可能に接続される。センサ・モータ制御部202は、光学センサ104や加速度センサ204により検出された結果を取得する。加速度センサ204は、キャリッジ102や光学センサ104の傾き情報(傾き量および傾き方向)を検出する。また、センサ・モータ制御部202は、キャリッジ102を移動させるキャリッジモータ107を制御する。さらに、センサ・モータ制御部202は、エンコーダセンサ109で検出した位置情報に基づきヘッド制御回路205を駆動する。上記構成において、ホスト装置からの記録データは、ヘッド制御信号に変換され、記録ヘッド101によるシート103への記録が行われる。
CPU201は、ドライバ部206、シーケンス制御部207、画像処理部208、タイミング制御部209、およびヘッド制御部210を有する。シーケンス制御部207は、記録制御全般、具体的には、各機能ブロックの起動および停止、シートの搬送制御、キャリッジ102の移動制御等を行う。各機能ブロックは、例えば、CPU201が各種プログラムを読み出して実行する。
ドライバ部206は、シーケンス制御部207からの指令に基づき各制御信号を駆動し、各ユニットからの入力信号をシーケンス制御部207へ伝達する。画像処理部208は、ホスト装置300からの入力画像データを色分解・変換する画像処理を行う。タイミング制御部209は、キャリッジ102の位置と連動して、画像処理部208で変換・生成された記録データをヘッド制御部210へ転送する。また、タイミング制御部209は、光学センサ104で検出した記録ヘッド101とシート103の間の距離に基づいて、記録データの吐出タイミングの制御を行う。ヘッド制御部210は、タイミング制御部209から入力された記録データをヘッド制御信号に変換して出力する他、シーケンス制御部207の指令に基づいて記録ヘッド101の温度制御を行う。
図3は、本実施形態に係る光学センサの内部構成を示す図である。図3は、光学センサ104をキャリッジ102の移動方向に見た場合を示している。光学センサ104は、LEDなどから構成される第1の発光部(発光素子)301および第2の発光部303と、フォトダイオードなどから構成される第1の受光部(受光素子)302および第2の受光部304とを有する。第1の発光部301および第2の発光部303は、照射対象(シート)に対して光を発し、第1の受光部302および第2の受光部304は、照射対象からの反射光を受ける。
第1の発光部301から照射された光は、シート103の表面で反射する。このとき、反射光として鏡面反射(正反射)成分と拡散反射(乱反射)成分が存在しているが、シート103上に形成された画像の濃度をより正確に検出するためには拡散反射成分の出力を検出することが望ましい。そのため、第1の受光部302は、第1の発光部301からの光の入射角とは異なる角度で反射光を検出できるように配置される。例えば、より検出感度を高めるために、第1の発光部301からはシートの搬送方向に対して45度の角度で光が照射され、シート103上で反射した光が90度の角度で第1の受光部302に受光される構成としている。また反対に、第2の発光部303からは0度の角度で光が照射され、シート103上で反射した光が45度の角度で第2の受光部304に受光される構成としている。
本実施形態では、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(Bk)のインクを含む記録ヘッドからの吐出のレジスト調整を行なうために、各色で記録された調整用のパターンの検出を行う。そのため、受光部で受光する反射光の利得をより得るために白色LED、または検出感度の高い色を選択可能な3色LEDを備えた構成が望ましい。
さらに、シート103上に形成された画像の濃度の影響により、受光部で受光される光量が低下することを防ぐために、レンズなどの光増幅部305を備えた構成であっても良い。また、光学センサは、シート上の反射光とシート外の反射光とを検出し、その出力値の変化量から、シートの端部の位置や幅の長さを判定することもできる。ここで、基準となる照射領域と受光領域の位置、領域間の位置関係、および各領域の大きさ(強度)は、予め求めていて良い。例えば、キャリッジ102が傾き無く装着されている場合において、所定の厚さのシートに対して検出される値(基準値)を保持する構成でも良い。
図4は、本実施形態に係る光学センサの傾き量と出力の関係を示す図である。図4は、光学センサのシート103の照射面に対する傾き量に応じた正規化出力の変化量を示しており、光学センサの傾き量0における出力を基準としている。図4のグラフにおいて、横軸は光学センサの傾き量を示し、縦軸は正規化出力の変化量を示している。本実施形態では、照射対象(シート)の歪み等は考慮しないものとする。
図4(a)は、キャリッジ102の移動方向に平行となる向き(X軸)で光学センサ104が傾斜した場合を示す。光学センサ104内部の2つの受光部における正規化出力は、傾き量−1.5度〜+1.5度の間で約−20%〜+20%前後で出力が変化している。図4(b)は、キャリッジ102の移動方向に垂直となる(交差する)向き(Y軸)で光学センサ104が傾斜した場合を示す。光学センサ104内部の2つの受光部における正規化出力は、傾き量−1.5度〜+1.5度の間で約−40%〜+20%前後で出力が変化している。このことからも光学センサ104の内部構成、特に発光部と受光部の配置構成に依存して、傾き量に応じた出力の変化量への寄与度が変わることが分かる。なお、記録ヘッド101またはキャリッジ102における光学センサ104の配置位置によっても、傾きによる変化量は異なる。
図5は、キャリッジ102の移動領域上の所定位置ごとの光学センサの傾き量を示す図である。加速度センサ204は、キャリッジ102の移動領域上の所定位置ごとの光学センサの傾き量を検出することができる。キャリッジ102の位置は、エンコーダセンサ109により検出される。加速度センサ204は、単一のセンサでキャリッジ102の姿勢や振動の変化成分をキャリッジ102の移動方向と直交(交差)する直交方向(交差方向)にそれぞれ分解し検出する。移動方向および直交方向の各成分に分解した加速度の変化より、光学センサの傾き量が算出される。
図5は、キャリッジ102を支持するメインレール105の真直度のずれやキャリッジ102の搬送速度により、光学センサの傾き量がキャリッジ102の所定位置ごとに変化することを表している。図5(a)は、キャリッジ102が移動方向に対して傾いた状態を示した図であり、図4(a)に対応している。図5(b)は、シート103の搬送方向に対して傾いた状態を示した図であり、図4(b)に対応している。図5(c)は、キャリッジ102の移動領域における光学センサの傾き量を示すグラフであり、横軸はキャリッジ102の位置を示し、縦軸は光学センサの基準に対する傾き量を示している。また、黒丸はX軸における傾き量を示し、白丸はY軸における傾き量を示している。各軸における所定位置ごとの光学センサの傾き量は、加速度センサ204で検出された傾き量を示す出力からX軸およびY軸の向きでそれぞれの傾き量に分解して取得される。ある位置でキャリッジ102が傾いていなかったとしても、キャリッジ102が移動するに従って、X軸またはY軸に対して傾きが生じうる。なお、図5のグラフに示す傾き量の検出結果は一例である。
図6は、本実施形態に係る光学センサ104の傾き量を検出する処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば、装置本体の電源がONにされたときに開始される。
ステップS601では、センサ・モータ制御部202は、加速度センサ204による検出処理を開始する。ステップS602では、センサ・モータ制御部202は、加速度センサ204による検出処理を実行しつつ、キャリッジ102を移動領域の全範囲に亘って移動させる。ここでの移動は、ホームポジションからバックポジションに向けての移動でも良いし、その逆の向きの移動でも良い。ステップS603では、センサ・モータ制御部202は、移動領域上のすべての領域で加速度センサ204による傾き量の測定が完了したか否かを判定する。加速度センサ204による傾き量の測定が完了していない場合は(ステップS603でNO)、ステップS602へ戻り、センサ・モータ制御部202は、引き続き、キャリッジ102の移動制御を行う。加速度センサ204による傾き量の測定が完了した場合は(ステップS603でYES)、ステップS604へ進む。ステップS604では、センサ・モータ制御部202は、光学センサ104の傾き量の測定データとして検出処理結果を取得し、メモリ203にその結果を保存する。ここでの結果は、例えば、図5(c)のグラフに示すような値が取得される。そして、本処理を終了する。
以上、本実施形態によれば、シート103と記録ヘッド101の間の距離を検出する光学センサ104と、キャリッジ102の往復移動方向の各位置におけるキャリッジ102および光学センサ104の傾き量を検出する加速度センサ204を備える。この構成により、光学センサの傾き量を測定することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、光学センサ104の傾斜による影響を含むシート103上に記録された記録ヘッド101からの吐出位置を調整するための調整パターンを光学センサにより読み取ったときの測定データと、理想的に測定される測定データとの比較を示す図である。
ここでは、キャリッジの双方向移動における吐出位置合わせ(双方向のレジスト調整)を実施する方法を説明する。まず、吐出位置合わせを行なう対象のノズルを選択する。そして、キャリッジの往方向の移動時にそのノズルより第1の調整パターンを記録する。次に、キャリッジの復方向の移動時にそのノズルより第2の調整パターンを、第1の調整パターンに重ねるように記録する。第1の調整パターン、第2の調整パターンは、例えば図7に示すような、10mm四方のパッチ群が移動方向に複数個並んで配置され、各パッチにおいて第1のパターンと第2のパターンの間の位置が移動方向に1ドットずつ異なるように構成されている。記録された調整パターンを光学センサ104で読み取ったとき、理想的には吐出位置が合っているパターン上では高い出力が測定され、吐出位置がずれているパターン上では低い出力が測定される。しかしながら、実際は、光学センサ104による測定時において、キャリッジ102の移動領域の所定位置ごとに、キャリッジ102の傾斜により光学センサ104の出力変動が発生している。そのため、本来であれば吐出位置がずれているパターン上で高い出力が測定され、吐出位置が合っているパターン上で低い出力が測定される。
本実施形態では、上記状況を考慮した構成について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成についてはその説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る加速度センサ204により検出した光学センサ104の傾き量に基づいて、シート103上に記録した調整パターンの出力結果を補正する処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば、装置本体の電源がONにされたときに開始される。
ステップS801では、センサ・モータ制御部202は、加速度センサ204による検出処理を開始する。ステップS802では、センサ・モータ制御部202は、加速度センサ204による検出処理を実行しつつ、キャリッジ102を移動領域の全範囲に亘って移動させる。ここでの移動は、ホームポジションからバックポジションに向けての移動でも良いし、その逆の向きの移動でも良い。また、調整パターンを光学センサ104で読み取る際のキャリッジ102の移動速度に合わせて複数の速度ごとに行っても良い。さらに、調整パターンの記録範囲が規定されている場合は、その範囲のみを移動するようにしても良い。
ステップS803では、センサ・モータ制御部202は、移動領域上のすべての領域で加速度センサ204による傾き量の測定が完了したか否かを判定する。加速度センサ204による傾き量の測定が完了していない場合は(ステップS803でNO)、ステップS803へ戻り、センサ・モータ制御部202は、引き続き、キャリッジ102の移動制御を行う。加速度センサ204による傾き量の測定が完了した場合は(ステップS803でYES)、ステップS804へ進む。ステップS804では、センサ・モータ制御部202は、光学センサ104の傾き量の測定データとして検出処理結果を取得する。ここでの結果は、例えば、図5(c)のグラフに示すような値が記録される。
ステップS805では、センサ・モータ制御部202は、キャリッジ102の移動領域の所定位置ごとに取得した傾き量に基づいて、光学センサ104の傾き補正係数を取得する。傾き補正係数は、例えば、図4に示したような相関関係に基づき、傾き量ごとに予め定義されているものとする。なお、本発明はこの構成に限定せず、例えば、ステップS801〜ステップS804の処理の際に、併せて光学センサ104による検出動作を行い各所定位置における出力値を得ておき、その値から傾き補正係数を求めるようにしても良い。この場合、傾きが無い状態での出力値と傾きがある状態での出力値との比から傾き補正係数を求めることが可能である。ステップS806では、センサ・モータ制御部202は、取得した傾き補正係数をメモリ203に保存する。
ステップS808では、センサ・モータ制御部202は、測定された光学センサ104の出力データに、ステップS806でメモリ203に保存された傾き補正係数を掛け合わせる。これにより、図7を用いて説明した、実際に測定される測定データと理想的に測定される測定データとの差異を補正する。ステップS809では、センサ・モータ制御部202は、補正されたデータを最終的な測定データとして、メモリ203に保存する。そして、本処理を終了する。
以上、本実施形態によれば、光学センサ104で検出された吐出位置の調整パターンの出力結果について、加速度センサ204で検出された傾き量に基づいて、調整パターンの測定値を補正することが可能となる。
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上記実施形態では、光学センサ104と加速度センサ204は別構成として設けられていた。本実施形態では、これらを一体とした構成を示す。
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上記実施形態では、光学センサ104と加速度センサ204は別構成として設けられていた。本実施形態では、これらを一体とした構成を示す。
図9は、本実施形態に係るキャリッジ102の傾き量を測定する加速度センサが光学センサ104のユニット内部に設けられた構成を示す図である。図9において、光学センサ104の内部に傾き量を測定する加速度センサ204が設けられている。
本実施形態によれば、シート103の全幅およびキャリッジ102の移動領域の所定位置ごとに光学センサ104自身の傾き量を測定することが可能である。さらには測定した光学センサ104の傾き量に基づいて、シート103上に記録した調整パターンを読み取る際に調整パターンの出力を補正することが可能となる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
図10は、本実施形態に係る記録装置に装着されたシートの種類を判定する機能を有した光学センサの内部構成を示す図である。光学センサ104は、LEDなどから構成される第1の発光部301、第2の発光部303、および第3の発光部1001と、フォトダイオードなどから構成される第1の受光部302、第2の受光部304、および第3の受光部1002とを有する。第1の発光部301、第2の発光部303、および第3の発光部1001は、照射対象(シート)に対して光を発し、第1の受光部302、第2の受光部304、および第3の発光部1001は、照射対象からの反射光を受ける。
第1の発光部301と第1の受光部302、および第2の発光部303と第2の受光部304は、それぞれシート103からの反射光のうち拡散反射(乱反射)成分を検出できるよう、入射角と反射角が異なる角度になるように配置されている。また、第3の発光部1001と第3の受光部1002は、シート103からの反射光のうち鏡面反射(正反射)成分を検出できるよう、入射角と反射角がほぼ同じ角度になるように配置されている。ここで、第1実施形態と同様、基準となる照射領域と受光領域の位置、領域間の位置関係、および各領域の大きさ(強度)は、予め求めていても良い。例えば、キャリッジ102が傾き無く装着されている場合において、所定の厚さのシートに対して各反射成分で検出される値(基準値)を保持する構成でも良い。
図11は、本実施形態に係るシートの種類と光学センサの各反射出力比率の特性分布を示す図である。図11(a)は、シートの特性(メディア特性)と、拡散反射成分(乱反射出力/比率)と鏡面反射成分(正反射出力/比率)との関係を示したグラフである。データは所定のシートを基準に正規化している。例えば、光沢紙やコート紙、さらには上質紙といったシート(メディア特性‐A群)では、拡散反射成分として約75%〜125%程度の反射光出力を示す。さらに、鏡面反射成分として約70%〜135%程度の反射光出力を示す。シートを光学センサで検知した際に、出力値がこの出力範囲内であった場合には、記録装置に装着されたシートはメディア特性−A群のシートであると判定することができる。また、トレーシングペーパーやマットフィルム、新聞プルーフ紙といったシート(メディア特性‐B群)では、各反射光出力がそれぞれ約30%程度まで低下する。シートを光学センサで検知した際に、出力値がこの出力範囲内であった場合には、記録装置に装着されたシートはメディア特性−B群のシートであると判定することができる。さらに、クリアフィルムやOHP紙といったシート(メディア特性‐C群)では、拡散反射成分としては約10%程度の反射光出力しか検出されないが、鏡面反射成分としては約2倍程度の反射光出力が検出される。シートを光学センサで検知した際に、出力値がこの出力範囲内であった場合には、記録装置に装着されたシートはメディア特性−C群のシートであると判定することができる。また、図11(b)に示すように、例えば、メディア特性−A群のシートでも、さらに詳細に分類してシートの種類を判定することも可能である。
図12は、本実施形態に係る光学センサの傾き量と出力の関係を示す図である。図12は、光学センサのシート103の照射面に対する傾き量に応じた正規化出力の変化量を示しており、光学センサの傾き量0における出力を基準としている。第1実施形態で説明した図4と同様に、横軸は光学センサの傾き量を示し、縦軸は正規化出力の変化量を示している。本実施形態では、照射対象(シート)の歪み等は考慮しないものとする。
図12(a)は、キャリッジ102の移動方向に平行となる向き(X軸)で光学センサ104が傾斜した場合を示す。光学センサ104内部の第1の受光部302および第2の受光部304における正規化出力(拡散反射成分)は、傾き量−1.5度〜+1.5度の間で約−10%〜−5%前後で出力が変化している。また、光学センサ104内部の第3の受光部1002における正規化出力(鏡面反射成分)は、傾き量−1.5度〜+1.5度の間で約−20%〜−20%前後で出力が変化している。
さらに、図12(b)は、キャリッジ102の移動方向に垂直となる(交差する)向き(Y軸)で光学センサ104が傾斜した場合を示す。光学センサ104内部の第1の受光部302および第2の受光部304における正規化出力(拡散反射成分)は、傾き量−1.5度〜+1.5度の間で約−10%〜+10%前後で出力が変化している。また同様に、光学センサ104内部の第3の受光部1002における正規化出力(鏡面反射成分)は、傾き量−1.5度〜+1.5度の間で約−35%〜−15%前後で出力が変化している。
このことからも光学センサ104の内部構成、特に発光部と受光部の配置構成に依存して、傾き量に応じた出力の変化量への寄与度が変わることが分かる。なお、記録ヘッド101またはキャリッジ102における光学センサ104の配置位置によっても、傾きによる変化量は異なる。
図13は、加速度センサ204により検出した光学センサ104の傾き量に基づいて、記録装置に装着されたシート103の種類を判定する処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば、装置本体の電源がONにされたときに開始される。
ステップS1301では、センサ・モータ制御部202は、加速度センサ204による検出処理を開始する。ステップS1302では、センサ・モータ制御部202は、シート103が装着されたときに光学センサ104でシート103を測定する位置(所定位置)へキャリッジ102を移動させる。光学センサ104でシート103上の複数箇所を測定する場合やキャリッジ102を移動させながらシート103を測定する場合、その複数箇所における傾き量を取得するために、その複数箇所のそれぞれの位置へキャリッジ102を移動させる。ステップS1303では、センサ・モータ制御部202は、すべての測定位置で加速度センサ204による傾き量の測定が完了したか否かを判定する。加速度センサ204による傾き量の測定が完了していない場合は(ステップS1303でNO)、ステップS1302へ戻り、センサ・モータ制御部202は、引き続き、キャリッジ102の移動制御を行う。加速度センサ204による傾き量の測定が完了した場合は(ステップS1303でYES)、ステップS1304へ進む。ステップS1304では、センサ・モータ制御部202は、光学センサ104の傾き量の測定データとして検出処理結果を取得する。ここでの結果は、例えば、キャリッジ102の移動位置ごとに、第1実施形態と同様の図5(c)のグラフに示すような値が取得される。
ステップS1305では、センサ・モータ制御部202は、キャリッジ102の所定位置で取得した光学センサ104の傾き量に基づいて、光学センサ104の傾き補正係数を取得する。ここでは、光学センサ104の内部構成に応じて、拡散反射(乱反射)成分および鏡面反射(正反射)成分のそれぞれについての傾き補正係数を取得する。傾き補正係数は、例えば、図12に示したような相関関係に基づき、傾き量ごとに予め定義されているものとする。ステップS1306では、センサ・モータ制御部202は、取得した傾き補正係数をメモリ203に保存する。
ステップS1307では、センサ・モータ制御部202は、光学センサ104によりシート103上の所定位置で、拡散反射(乱反射)成分および鏡面反射(正反射)成分をそれぞれ検出する。ステップS1308では、センサ・モータ制御部202は、測定された光学センサ104の各出力データに、ステップS1306でメモリ203に保存されたそれぞれの傾き補正係数を掛け合わせる。さらに、ステップS1309では、センサ・モータ制御部202は、光学センサ104の拡散反射(乱反射)成分と鏡面反射(正反射)成分の補正後の比率値を算出する。ステップS1310では、センサ・モータ制御部202は、ステップS1309で算出した比率値に基づいて、装着されたシートの種類(メディア特性)を判定する判定処理を行う。そして、本処理フローを終了する。
以上、本実施形態によれば、光学センサ104により装着されたシート103を読み取る際、加速度センサ204で検出された傾き量に基づいて、そのシート103の種類(メディア特性)を判定することが可能となる。
<その他の実施形態>
上記実施形態で説明した構成は一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、光学センサ104の傾き量の検出手段として、加速度センサを例に挙げて説明した。しかしながら、傾き量を検出することが可能な構成であれば、加速度センサでなくても良い。例えば、傾き量を検出する手段として、角度センサや角速度センサ、2軸傾斜センサ、ジャイロセンサ等を採用することができる。
上記実施形態で説明した構成は一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、光学センサ104の傾き量の検出手段として、加速度センサを例に挙げて説明した。しかしながら、傾き量を検出することが可能な構成であれば、加速度センサでなくても良い。例えば、傾き量を検出する手段として、角度センサや角速度センサ、2軸傾斜センサ、ジャイロセンサ等を採用することができる。
また、上記実施形態では、傾き量の検出方法として、キャリッジ102の移動方向とそれと直交する直交方向の各成分に分解して検出する例を示した。しかしながら、加速度センサ204による傾き量の検出結果を各成分の出力に分解せず、複合的な二次元のパラメータ量として傾き量を算出する方法を採用しても良い。
さらに、キャリッジ102の移動方向において、往方向の移動時の傾き量と復方向の移動時の傾き量とをそれぞれ個別に検出して、記録装置に記憶する構成にしても良い。その場合、光学センサ104による検出を行う際のキャリッジ102の移動方向に応じて、補正する傾き量を選択して補正係数を掛け合わせる構成としても良い。
また、上記実施形態では、傾き量の検出処理は、記録装置の電源がONにされたときに実行される例を示した。しかしながら、シート103の給送動作を行うときに光学センサ104によりシート103を検出すると同時に傾き量を検出する処理を実行する構成としても良い。また、記録装置に備えられた経時計数手段(タイマー)により計時される時間が所定時間経過するごとに自動的に傾き量を検出する処理を実行する構成としても良い。さらに、シートのジャムエラー後の処理の実行時に同時に傾き量を検出する処理を実行する構成としても良い。
101 記録ヘッド
102 キャリッジ
104 光学センサ
204 加速度センサ(検出手段)
102 キャリッジ
104 光学センサ
204 加速度センサ(検出手段)
Claims (10)
- シートに記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを搭載して第1方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられ、前記シートに光を発する発光素子と前記シートから反射した光を受ける受光素子とを有する光学センサと、を備える記録装置であって、
前記第1方向における複数の位置において、前記光学センサの傾き量を検出する検出手段をさらに備えることを特徴とする記録装置。 - 前記検出手段は、前記複数の位置において、前記第1方向または前記第1方向と交差する第2方向に対する前記光学センサの傾き量を検出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
- 前記検出手段により検出された前記光学センサの傾き量に基づいて、前記光学センサにより検出された出力値を補正する補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
- 前記光学センサの出力値を記憶する記憶手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記記憶手段に記憶された出力値と前記検出手段により検出された前記光学センサの傾き量とに基づいて、前記光学センサにより検出された出力値を補正することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。 - 前記光学センサは、前記第1方向または前記第1方向と交差する第2方向におけるシートの端部における出力値を測定し、該出力値の変化量に基づいて前記シートの端部の位置を判定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の記録装置。
- 前記光学センサは、前記シートから反射した光の拡散反射成分と鏡面反射成分とを検出し、
前記拡散反射成分と前記鏡面反射成分とに基づいて、前記シートの種類を判定する判定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の記録装置。 - 前記検出手段は、前記記録装置の電源がONにされたときに、前記光学センサの傾き量を検出することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の記録装置。
- 前記検出手段は、前記光学センサに設けられていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載の記録装置。
- 前記検出手段は、前記キャリッジに設けられていることを特徴する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の記録装置。
- 前記検出手段は、加速度センサであることを特徴する請求項1ないし9のいずれか1項に記載の記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018026329A JP2019142031A (ja) | 2018-02-16 | 2018-02-16 | 記録装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP7468059B2 (ja) | 2020-03-27 | 2024-04-16 | ブラザー工業株式会社 | 画像記録装置 |
-
2018
- 2018-02-16 JP JP2018026329A patent/JP2019142031A/ja active Pending
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