JP6007514B2 - 液体噴射装置及び液体噴射装置における媒体端部位置検出方法 - Google Patents

液体噴射装置及び液体噴射装置における媒体端部位置検出方法 Download PDF

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Description

本発明は、用紙等の媒体に液体を噴射する液体噴射ヘッドと、媒体の端部位置を検出する光反射式の光学式センサーとを備えた液体噴射装置及び液体噴射装置における媒体端部位置検出方法に関する。
従来、この種の液体噴射装置の一例としてインクジェット式のプリンターが知られている。プリンターには用紙の搬送方向と交差する移動方向(主走査方向)に移動するとともに液体噴射ヘッド(記録ヘッド)を有するキャリッジが設けられている。印刷時にはキャリッジを移動させつつ液体噴射ヘッドから用紙に向かってインク滴を噴射することで、用紙に画像等が印刷される(例えば特許文献1〜4等)。
例えば特許文献1〜4に記載のプリンターでは、キャリッジに光反射式の光学式センサー(エッジセンサー)が設けられ、キャリッジを移動方向に移動させるときに光学式センサーにより用紙の幅方向の端部位置を検出している。詳しくは、光学式センサーの検出値と閾値とを比較し、検出値が閾値以下あるいは閾値以上に変化すると、現在のセンサー位置が用紙の端部検出位置(エッジ位置)と判断する。
ところで、キャリッジの移動経路の周辺には、液体噴射ヘッドがインク滴を噴射した際に発生したインクミスト、及び用紙から搬送ローラーとの摺動等に起因して発生した紙粉などの浮遊物が存在する。浮遊物が付着して光学式センサーが汚れると、次第にその受光量が減少すると、用紙の端部位置を検出した端部検出位置と実際の用紙の端部位置との間の位置ずれ量、つまりこの位置ずれ量分の補正をするために使用される補正量が変化してしまう。これを解決するため、特許文献1に記載のプリンター装置では、印刷毎に毎回最適な閾値を決定し直すので、光学式センサーの汚れによる経年変化や支持台の表面状態の経年変化にも影響されず、最適な閾値を用いて高い位置精度で端部位置を検出できる。
また、特許文献2、3に記載のプリンターでは、支持台のリブとリブ以外の部分(溝部)とを光学式センサー(記録紙検出センサー)により検出し、それぞれの検出電圧(出力値)の比較(比又は差分)に基づいて光学式センサーの検出感度を判定し、その検出感度に応じた閾値を設定する。このため、光学式センサーの検出値が閾値を横切った際の端部検出位置と実際の端部位置との位置ずれ量が一定になるので、その位置ずれ量に応じた一定の補正量で補正すれば、高い位置精度で端部位置を検出できる。
た、特許文献4には、用紙と載置部を検出してそれぞれ異なる出力値の出力信号を出力する光学式センサーと、印刷ヘッドの移動方向の位置を検出するリニアエンコーダーとを備え、リニアエンコーダーの検出信号のレベルが切り替わるタイミングにおける出力値を取得し、印刷ヘッドの位置と出力値との関係を示す近似関数を算出する。そして、コントローラーは、近似関数が出力値のしきい値と交差する交点を算出し、交点の位置を用紙の端部位置とする。
特開2002−127521号公報(例えば段落[0037]〜[0052]、図4、図5等]) 特開2003−260829号公報(例えば段落[0053]〜[0059]、図5、図6等]) 特開2010−194748号公報(例えば段落[0046]〜[0050]、図5等]) 特開2007−276135号公報(例えば段落[0072]〜[0081]、図5、図8等])
ところで、特許文献2、3では、支持台のリブとリブ以外の部分(溝部)とを光学式センサー(記録紙検出センサー)により検出し、それぞれの検出電圧の比較結果に応じた閾値を設定していた。しかし、支持台のリブとリブ以外の部分(溝部)との検出電圧の比較結果は、検出感度を正確に示すものではなかった。このため、各検出電圧の比較結果に応じて設定された閾値も適切なものではなく、用紙Pの端部位置の検出精度がさほど高くないという問題があった。例えば、このような検出精度がさほど高くない端部位置を基に印刷開始位置が設定されると、印刷時に幅方向に余白の位置がずれたり、用紙以外の箇所(支持台の一部)にインク滴が噴射されたりする虞があった。
また、特許文献4では、リニアエンコーダーの検出解像度より高い解像度で用紙の端部位置を検出できるが、光学式センサーの汚れなどが原因で感度が低下した場合、近似関数と比較する閾値は光学式センサーの感度を反映させたものではないので、用紙の端部位置をさほど精度よく検出できない。仮に、特許文献2、3における支持台のリブとリブ以外の部分(溝部)とをそれぞれ検出した光学式センサーの検出電圧の比較結果に応じた閾値を特許文献4のプリンターに適用しても、特許文献2、3の閾値が感度を精度よく反映させたものではないことから、用紙の端部位置の高い検出精度は期待できない。なお、上記の問題は、プリンターに限らず、用紙等の媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動するキャリッジに設けられた光学式センサーの出力値に基づいて媒体の幅方向における端部位置を検出する機能を有する液体噴射装置に広く当てはまる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、光学式センサーの感度が汚れなどの原因で変化しても、媒体の端部位置を比較的精度よく検出できる液体噴射装置及び液体噴射装置における媒体端部位置検出方法を提供することにある。
上記目的の一つを達成するために、本発明の態様の一つは、媒体に向かって液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記媒体の搬送方向と交差する移動方向に往復移動するキャリッジに設けられると共に発光部と受光部とを有し前記受光部の受光量に応じた出力値を出力する光反射型の光学式センサーと、前記発光部が照射した光の反射光を受光する前記受光部の受光量が前記媒体よりも少なくなるよう前記媒体を支持する複数の凸部間に設けられた暗部領域を前記光学式センサーが検出対象とする位置にあるときの前記受光部の受光量に応じた暗部出力値を取得する暗部出力値取得部と、前記光学式センサーによる検出が可能な位置まで前記媒体が搬送された状態で、前記移動方向に移動する前記光学式センサーが媒体の端部を検出対象とする位置範囲にあるときに位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分の位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて近似関数を演算する近似関数取得部と、前記近似関数と前記暗部出力値とに基づいて前記媒体の端部位置を検出する端部位置検出部とを備え、前記近似関数取得部は、前記近似関数として直線近似式を演算し、前記直線近似式を第1直線近似式とした場合に、前記暗部出力値取得部は、前記光学式センサーが前記暗部領域を検出対象とする位置にあるときの当該位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて第2直線近似式を演算し、前記端部位置検出部は、前記第1直線近似式と前記第2直線近似式との交点の位置を前記端部位置として演算することを要旨とする。
上記構成によれば、暗部出力値取得部は、光学式センサーが媒体を支持する複数の凸部間に設けられた暗部領域を検出対象とする位置にあるときの受光部の受光量に応じた暗部出力値を取得する。また、近似関数取得部は、光学式センサーによる検出が可能な位置まで媒体が搬送された状態で、移動方向に移動する光学式センサーが媒体の端部を検出対象とする位置範囲にあるときに位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分の位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて近似関数を演算する。そして、端部位置検出部は、近似関数と暗部出力値とに基づいて媒体の端部位置を検出する。よって、光学式センサーの汚れなどが原因でその感度が変化しても、媒体の端部位置を比較的精度よく検出できる。
記構成によれば、近似関数取得部は、光学式センサーの位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分の直線近似式を演算する。直線近似式なので、端部位置検出部は、媒体の実際の端部位置とのずれ量の少ない端部位置を検出できる。また、近似関数取得部が近似関数を取得するときの演算、及び端部位置検出部が媒体の端部位置を検出するときの演算が比較的簡単で済む。
上記構成によれば、暗部出力値取得部は、光学式センサーが暗部領域を検出対象とする位置にあるときに取得した複数の座標点に基づき第2直線近似式を演算する。そして、端部位置検出部は、第1直線近似式と第2直線近似式との交点の位置を端部位置として演算する。例えば暗部出力値が位置の変化に対して僅かに変動(例えば緩やかに上昇、緩やかに下降、あるいは上下変動)する場合であっても、暗部領域を検出対象とする位置にあるときの複数の座標点に基づく第2直線近似式を用いて、第1及び第2直線近似式の交点の位置を取得するため、端部位置を比較的精度よく検出できる。
本発明の態様の一つである液体噴射装置では、前記近似関数取得部は、前記位置の変化に対して前記出力値が増加又は減少する部分における座標点のうち直線状に並ぶ前記複数の座標点を選択して、当該複数の座標点に基づいて前記直線近似式を演算することが好ましい。
上記構成によれば、近似関数取得部は、位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分における座標点のうち直線状に並ぶ複数の座標点を選択し、これら複数の座標点に基づいて直線近似式を演算する。このため、端部位置の検出誤差の原因となる曲線状に並ぶ部分の座標点を避けて、直線状に並ぶ部分の複数の座標点を用いて直線近似式を取得できる。よって、光学式センサーの感度を比較的正確に反映する直線近似式を取得し易い。従って、直線近似式と暗部出力値とに基づいて比較的精度のよい端部位置を検出できる。
本発明の態様の一つである液体噴射装置では、前記暗部出力値取得部は、前記媒体の端部位置を検出するために前記キャリッジを前記移動方向に移動させる過程で、前記光学式センサーが前記媒体を検出対象としない位置で前記暗部領域を検出し、当該暗部領域を検出対象とする位置にあるときの前記受光部の出力値に基づいて前記暗部出力値を取得することが好ましい。
上記構成によれば、暗部出力値取得部は、媒体の端部位置を検出するためにキャリッジを移動方向に移動させる過程で、光学式センサーが媒体を検出対象としない位置で暗部領域を検出し、その暗部領域を検出したときの出力値に基づいて暗部出力値を取得する。媒体の端部を検出するためにキャリッジを移動させる過程で暗部領域の検出も行って暗部出力値を取得する。このため、暗部出力値を取得する目的で媒体の端部位置検出とは別にキャリッジを移動させる必要がない。この結果、キャリッジの液体噴射処理と関係のない移動の回数を低減でき、例えば液体噴射装置のスループット向上に繋がる。
本発明の態様の一つである液体噴射装置では、液体噴射装置の電源投入時と前記液体噴射ヘッドが液体噴射処理を施した媒体の累積数が設定値に達した時とのうち少なくとも一方の時期に、前記キャリッジを前記移動方向に移動させる制御部を備え、前記暗部出力値取得部は、前記キャリッジの前記移動方向への移動過程で前記光学式センサーが前記暗部領域を検出対象とする位置にあるときの出力値に基づき前記暗部出力値を取得することが好ましい。
上記構成によれば、液体噴射装置の電源投入時と液体噴射ヘッドが液体噴射処理を施した媒体の累積数が設定値に達した時とのうち少なくとも一方の時期に、制御部はキャリッジを移動方向に移動させる。暗部出力値取得部は、光学式センサーが暗部領域を検出対象とする位置にあるときの出力値に基づき暗部出力値を取得する。暗部出力値取得部が暗部出力値を取得するためのキャリッジの移動は、液体噴射装置の電源投入時と液体噴射処理を施した媒体の累積数が設定値に達した時とのうち少なくとも一方の時期に行われるので、暗部出力値を取得するためのキャリッジの移動頻度を相対的に低減でき、例えば液体噴射装置のスループット向上に繋がる。
本発明の態様の一つである液体噴射装置では、前記凸部を有する支持部と、前記光学式センサーによる検出が可能な位置まで前記媒体が搬送された状態で、前記移動方向に移動する前記光学式センサーの出力値と、前記媒体を検出可能かつ前記凸部を検出不能な閾値とを比較して前記媒体の端部を検出する第1検出部を更に備え、前記第1検出部により前記媒体の端部が検出されると、次に前記近似関数取得部、前記暗部出力値取得部及び前記端部位置検出部を含む第2検出部が前記端部位置を検出することが好ましい。
上記構成によれば、第1検出部は、光学式センサーによる検出が可能な位置まで媒体が搬送された状態で移動方向に移動する光学式センサーの出力値と、媒体を検出可能かつ凸部を検出不能な閾値とを比較して媒体の端部を検出する。第1検出部により媒体の端部が検出されると、次に第2検出部が、近似関数取得部、暗部出力値取得部及び端部位置検出部により、第1検出部が検出した端部の端部位置を検出する。例えば第2検出部のみで媒体を検出しようとした場合、凸部の端部を媒体の端部と誤検出する虞があるが、第1検出部が凸部を検出不能な閾値を用いてまず媒体の端部を検出し、当該媒体端部検出後、その検出した端部の端部位置を第2検出部が検出する手順を踏むので、凸部の端部を媒体の端部とする誤検出を回避しつつ媒体の端部位置を検出できる。
本発明の態様の一つは、媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動するキャリッジに設けられると共に、発光部及び受光部を有する光反射型の光学式センサーの位置及び出力値に基づいて、媒体の前記移動方向における端部位置を検出する液体噴射装置における媒体端部位置検出方法であって、前記発光部が照射した光の反射光を受光する前記受光部の受光量が前記媒体よりも少なくなるよう前記媒体を支持する複数の凸部間に設けられた暗部領域を、前記光学式センサーが検出対象とする位置にあるときの前記受光部の受光量に応じた暗部出力値を取得する暗部出力値取得ステップと、前記光学式センサーによる検出が可能な位置まで前記媒体が搬送された状態で、前記移動方向に移動する前記光学式センサーが媒体の端部を検出対象とする位置範囲で位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分における座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて近似関数を演算する近似関数取得ステップと、前記近似関数と前記暗部出力値とに基づいて前記媒体の端部位置を検出する端部位置検出ステップとを備え、前記近似関数取得ステップでは、前記近似関数として直線近似式を演算し、前記直線近似式を第1直線近似式とした場合に、前記暗部出力値取得ステップでは、前記光学式センサーが前記暗部領域を検出対象とする位置にあるときの当該位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて第2直線近似式を演算し、前記端部位置検出ステップでは、前記第1直線近似式と前記第2直線近似式との交点の位置を前記端部位置として演算することを要旨とする。上記方法によれば、液体噴射装置に係る発明と同様の作用効果を得ることができる。
第1実施形態におけるプリンターの斜視図。 プリンターの構成を示す斜視図。 (a)はプリンターの電気的構成を示し、(b)は制御部の機能構成を示すそれぞれブロック図。 キャリッジ及び支持台などを示す模式平面図。 液体噴射ヘッドの底面図。 支持台の一部を示す模式正面図。 紙幅センサーを示す模式正面図。 (a)は紙幅センサーの移動方向における位置と出力電圧との関係を示すグラフ、(b)は用紙と反射光との関係を示す模式平面図。 補正データを示す模式図。 第1検出処理を説明するための位置と出力電圧との関係を示すグラフ。 第2検出処理を説明するための位置と出力電圧との関係を示すグラフ。 端部検出処理ルーチンを示すフローチャート。 第2実施形態における第2検出処理を説明するための位置と出力電圧との関係を示すグラフ。 同じく端部検出処理ルーチンを示すフローチャート。
(第1実施形態)
以下、本発明の液体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した第1実施形態を、図1〜図12を用いて説明する。
図1に示すように、液体噴射装置の一例であるインクジェット式プリンター(以下、単に「プリンター11」と称す。)には、本体12の背面側に媒体の一例としての用紙P(シート)を給送する自動給紙装置13(Auto Sheet Feeder)が装備されている。自動給紙装置13は、給紙トレイ14、ホッパー15及びエッジガイド16を有する用紙ガイド17を備え、用紙ガイド17にセットされた用紙を1枚ずつ本体12内に給送する。左右一対のエッジガイド16は、給紙トレイ14の幅方向中央位置を中心として用紙Pを幅方向にガイドする。
また、本体12内にはキャリッジ18がその移動経路に沿った移動方向X(主走査方向)に往復動可能な状態に設けられ、このキャリッジ18の下部には液体噴射ヘッド19が取着されている。プリンター11は、キャリッジ18を移動方向Xに移動させる過程で液体噴射ヘッド19から用紙Pの表面にインク滴を噴射する記録動作と、用紙Pを移動方向Xと交差する搬送方向Y(副走査方向)に要求された搬送量で搬送する紙送り動作とを略交互に繰り返し、与えられた印刷データに基づく画像や文書などを用紙Pに印刷する。印刷後の用紙Pは本体12の前側下部に開口する排紙口12Aから排出される。
また、本体12の上面端部には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20は、液晶表示パネル等からなる表示部21と、操作スイッチ22が設けられている。操作スイッチ22には、電源スイッチ23、印刷開始スイッチ24、キャンセルスイッチ25等が設けられている。なお、表示部21をタッチパネルとしてもよい。
次にプリンター11の内部構成について説明する。図2に示すように、プリンター11は、上側と前側が開口する略四角箱状の本体フレーム30を有し、この本体フレーム30の図2における左右の側壁間に架設されたガイド軸31には、キャリッジ18が移動方向Xに往復移動可能な状態で取り付けられている。本体フレーム30の背板内面に取着された一対のプーリー33には無端状のタイミングベルト34が巻き掛けられており、キャリッジ18はタイミングベルト34の一部に固定されている。図2における右側のプーリー33にはキャリッジモーター35の駆動軸(出力軸)が連結されており、キャリッジモーター35が正逆転駆動されてタイミングベルト34が正転・逆転することにより、キャリッジ18は移動方向Xに往復移動する。
キャリッジ18の上部には、各色のインク(例えば黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色)がそれぞれ収容された複数個(例えば4個)のインクカートリッジ37が装填されている。各インクカートリッジ37から供給されたインクは、液体噴射ヘッド19にインク色と同数列(本例では4列)形成された対応するノズル列NA(図5参照)の各ノズルからそれぞれ噴射される。また、キャリッジ18の移動経路の下方位置には、液体噴射ヘッド19と用紙Pとの間隔(ギャップ)を規定する支持部の一例としての支持台38が移動方向Xに延びるように設けられている。なお、液体噴射ヘッド19が噴射可能なインク色は4色に限らず、1色、3色、5〜8色でもよい。
また、キャリッジ18の背面側には、キャリッジ18の移動量に比例する数のパルスを出力するリニアエンコーダー39がガイド軸31に沿って延びるように設けられている。プリンター11ではリニアエンコーダー39から出力されるパルス信号に基づいてキャリッジ18の位置制御及び速度制御が行われる。
また、本体フレーム30の図2における右側下部には、搬送モーター41が配設されている。搬送モーター41の動力により不図示の給紙ローラーが駆動されることにより給紙トレイ14(図1参照)にセットされた用紙Pが1枚ずつ給送される。搬送方向Yに支持台38を挟んだその上流側と下流側には、それぞれ搬送ローラー対43と排出ローラー対44とが配置されている。各ローラー対43,44は、搬送モーター41の動力で回転する駆動ローラー43a,44aと、駆動ローラー43aの回転に連れ回りする従動ローラー43b,44bとからなる。搬送モーター41が駆動されることで、用紙Pは両ローラー対43,44に挟持(ニップ)された状態で搬送方向Y(副走査方向)に搬送される。
図2においてキャリッジ18の移動経路上の一端位置(図2では右端位置)が、キャリッジ18が非印刷時に待機するホーム位置となっている。ホーム位置に配置されたキャリッジ18の直下には、液体噴射ヘッド19に対してクリーニング等のメンテナンスを行うメンテナンス装置45が配設されている。本実施形態では、搬送モーター41がメンテナンス装置45の動力源ともなっている。また、キャリッジ18には、用紙Pの幅方向(移動方向X)における両側の端部(エッジ)を検出する光学式センサーの一例としての紙幅センサー48が設けられている。
図5はキャリッジの底面を示す。キャリッジ18の底面略中央位置に取り付けられた液体噴射ヘッド19のノズル形成面19aには、キャリッジ18がプリンター11に組み付けられた状態における搬送方向Yに多数個のノズルNzが一定ピッチで配列されてなるノズル列NAが移動方向Xに所定の間隔をおいて複数列配列されている。ノズル列NAを構成する各ノズルNzからは、対応するインクカートリッジ37から供給されるインクが噴射される。また、紙幅センサー48は、キャリッジ18の底面において液体噴射ヘッド19よりも搬送方向Y上流側の位置に取り付けられている。
次にプリンター11の電気的構成を図3に基づいて説明する。図3に示すプリンター11は、その全体的な制御を司る制御部50を備える。制御部50は、例えばコンピューター(マイクロコンピューター)により構成され、CPU51(中央処理装置)、ROM52、RAM53及び不揮発性メモリー54を備える。ROM52には、各種のプログラムが記憶されている。不揮発性メモリー54には、一部のプログラム及び各種のプログラムを実行する際の設定データなどが記憶され、電源をオフしても記憶内容が保持される。CPU51は、ROM52及び不揮発性メモリー54に記憶されたプログラムを実行することで、プリンター11の印刷動作などを制御する。なお、ASIC(Application Specific IC(特定用途向けIC))を追加し、液体噴射ヘッド19の駆動制御に必要なデータ処理などをASICに行わせてもよい。
制御部50は、印刷データに基づいて駆動回路55を介して液体噴射ヘッド19を駆動制御し、液体噴射ヘッド19からインクを噴射させる。また、制御部50は、駆動回路56を介してキャリッジモーター35を駆動制御し、キャリッジ18を移動方向Xに往復移動させる。さらに制御部50は、駆動回路57を介して搬送モーター41を駆動制御し、用紙Pを搬送方向Yに搬送させる。また、制御部50は、リニアエンコーダー39から入力するパルス信号に基づいてホーム位置を原点とするキャリッジ18の移動方向Xにおける位置(キャリッジ位置)を検出する。詳しくは、制御部50は、キャリッジ18がホーム位置にあるときを原点として、リニアエンコーダー39から入力するパルス信号のパルスエッジの数を計数するカウンターを備え、キャリッジ18の往動時にカウンターの計数値をインクリメント、キャリッジ18の復動時に計数値をデクリメントする。このため、カウンターの計数値は、キャリッジ18の移動方向Xにおける位置(キャリッジ位置)を示すものとなる。
また、制御部50に接続された紙幅センサー48は、光を支持台38側(本例では鉛直方向下側)へ向けて照射する発光部58と、発光部58から照射された光の反射光を受光する受光部59とを備える。制御部50は、発光部58の発光を制御するとともに、受光部59からその受光量に応じた出力電圧を入力する。
図3(b)は、CPU51がROM52又は不揮発性メモリー54から読み出したプログラムを実行することによって機能する機能構成を示す。制御部50は、CPU51がプログラムを実行することによって機能する機能部として、用紙Pの端部位置を検出する端部検出部61と、端部検出部61が検出して取得した端部検出位置を補正する端部位置補正部62とを備える。端部検出部61は、端部検出位置を取得するために、用紙Pの幅方向の端部を検出する第1検出部63と、次にその検出された端部の位置(端部位置)を検出する第2検出部64とを備える。さらに第2検出部64は、紙幅センサー48が溝部71a(図4、図6参照)を検出したときの出力電圧Voを用いて暗部電圧Vdを演算する第1演算部65と、紙幅センサー48が用紙Pの端部を検出したときの位置xと出力電圧Voのうち両者の関係が比例関係(一定の傾きの直線状)になる部分の直線近似式を演算する第2演算部66を備える。さらに第2検出部64は、第1及び第2演算部65,66が演算した直線近似式と暗部電圧Vdとに基づいて、端部検出位置を演算する端部位置演算部67を備える。これら各部61〜67の詳細は後述する。なお、本実施形態では、暗部領域の一例である溝部71aを検出したときの紙検出センサー38の出力値である暗部電圧Vd(暗部出力値の一例に相当)を演算する第1演算部65が暗部出力値取得部の一例に相当する。また、直線近似式(近似関数の一例に相当)を演算する第2演算部66が近似関数取得部の一例に相当する。さらに端部位置演算部67が端部位置検出部の一例に相当する。
次に、支持台38及び紙幅センサー48の詳細を図4、図6及び図7を用いて説明する。図4に示すように、支持台38には、搬送方向Yの上流側に位置する上流側支持面71と、上流側支持面71に対して搬送方向Yの下流側に位置する下流側支持面72とが形成されている。上流側支持面71には、鉛直方向上側(図4の紙面手前側)に突出し、かつ搬送方向Yに延びる凸部の一例としての上流側リブ73が形成されている。また、下流側支持面72には、鉛直方向上側に突出し、かつ搬送方向Yに延びる下流側リブ74が形成されている。上流側リブ73と下流側リブ74とは、搬送される用紙Pを鉛直方向下側から支持し、図2に示す用紙Pは、上流側リブ73と下流側リブ74に沿って搬送される。
図4に示すように、上流側支持面71において上流側リブ73以外の部分には、上流側リブ73の上端面よりも低い底面を有する溝部71a(図6参照)が形成されている。また、下流側支持面72において下流側リブ74以外の部分には、下流側リブ74の上端面よりも低い底面を有する溝部72aが形成されている。
図4では、キャリッジ18が位置する右端位置がホーム位置となっている。また、キャリッジ18の移動方向Xにおいて液体噴射ヘッド19が印刷のためインク滴を噴射可能な最大エリアである液体噴射領域PA(印刷領域)は、図4に二点鎖線で示すように下流側支持面72上に位置する。紙幅センサー48の検出対象領域は、液体噴射領域PAが位置する下流側支持面72より搬送方向Y上流側に位置する上流側支持面71であることから、液体噴射領域PAの外側に位置する。下流側支持面72には、縁なし印刷時に液体噴射ヘッド19から用紙Pの外側近傍に噴射されたインク滴が付着したり、紙ジャム時に液体噴射ヘッド19から噴射されたインク滴が付着したりする。これに対して、上流側支持面71には、液体噴射領域PAが位置する下流側支持面72に比べインクミスト等が比較的付着しにくい。
図1に示す一対のエッジガイド16により幅方向に位置決めされた用紙Pは、その幅中心が搬送経路の幅方向中央位置を通るように給送される。そのため、図4の支持台38上に搬送されたときの用紙Pの幅方向における両側の端部の位置(エッジ位置)は、用紙Pの幅ごとに定まる。本実施形態では、規定サイズの用紙Pについてはその幅方向両端位置が、溝部71aに対向して位置するように、各上流側リブ73の移動方向Xにおける位置が設定されている。このため、支持台38上に搬送された用紙Pの幅方向両端部は、常に溝部71aに対向して位置する(図6参照)。
図7に示すように、キャリッジ18において支持台38との対向面側(下面側)に固定された紙幅センサー48は、発光部58と受光部59とが隣合う状態で比較的接近した位置に取り付けられている。発光部58と受光部59の各光軸間の距離は非常に短く、発光部58から鉛直下方向に照射された光はその光照射対象物の反射面RPでほぼ鉛直上方向へ反射しその反射光は受光部59によって受光される。但し、図7では照射光と反射光との各光路を、模式的に斜めに延びる一点鎖線で示している。なお、光照射対象物の反射面RPには、用紙Pの表面及び溝部71aなどがある。
図6に示すように、支持台38における溝部71aの底面は、比較的細かな波状の面に形成されており、発光部58から溝部71aへ略垂直に照射された光が乱反射し易くなっている。このため、溝部71aは暗部領域となり、溝部71aで反射した光の受光部59による受光量が非常に少なくなり、受光部59の出力電圧(暗部電圧Vd)は極めて小さくなる。また、光反射率の高い用紙Pは明部領域となり、用紙Pからの反射光を受光した受光部59の受光量は相対的に多く、受光部59の出力電圧は相対的に大きくなる。
また、上流側リブ73の支持面73aは用紙Pが摺動することにより研磨されて次第にて鏡面状になる。このため、支持面73aの反射率は時間の経過と共に変化し、最終的に鏡面状になるまで徐々に上昇する。よって、用紙Pの端部位置検出時に、紙幅センサー48が例えば図6における左端側から右方向へ移動するときは、用紙Pを検出対象とする位置に移動するまでの間、溝部71aと上流側リブ73とを交互に検出対象とし、このとき上流側リブ73を検出対象としているときの出力電圧が比較的高くなる。
次に、紙幅センサー48による用紙Pの端部位置検出方法について図8を用いて説明する。図8は、用紙Pが支持台38(詳しくは上流側支持面71)を覆う位置まで搬送された状態で、キャリッジ18が移動方向Xに移動して紙幅センサー48によって用紙Pの端部を検出する場合の例を示す。図8(a)に示すグラフは、紙幅センサー48の移動方向Xにおける位置x(以下、「センサー位置x」ともいう。)と、受光部59の出力電圧Voとの関係を示す。このグラフにおいて、実線で示すグラフ線は、紙幅センサー48が汚れる前の初期段階におけるセンサー位置xと出力電圧Voとの関係を示し、破線で示すグラフ線は、紙幅センサー48が例えばその感度が許容限界に達するほど汚れた時点におけるセンサー位置xと出力電圧Voとの関係を示す。
また、図8(b)は、用紙Pの端部位置検出を行う際に溝部71a又は用紙Pで反射した円柱状の反射光RLの様子を示したものである。暗部領域である溝部71aで反射した光量の少ない領域を濃灰色で示し、明部領域である用紙Pの表面で反射した光量の多い領域を白色で示している。なお、図8(b)では、用紙Pの端部は端部検出位置を示し、図8(a)に示す用紙Pの実際の端部位置より少し内側へずれた位置に描いている。
図8(b)において用紙Pの幅方向外側の溝部71aを検出対象としているとき(反射光RLが濃灰色のとき)、溝部71aによって反射された光量の少ない反射光RLを受光した受光部59からは極めて低い暗部電圧Vd1(又はVd2)が出力される。そして、反射光RLのうち用紙Pの表面で反射した用紙反射光の占有率(以下、「用紙占有率」ともいう。)が半分になると、受光部59からは用紙占有率「0.5」の受光量に応じた出力電圧Vo(図8(a)における黒点)が出力される。また、用紙Pを検出対象としている区間では、用紙Pの表面で反射した光量の多い反射光RLを受光した受光部59から閾値VSよりも大きな出力電圧(以下、「用紙電圧Vp」ともいう。)が出力される。
紙幅センサー48が初期状態から汚れてその感度が低下するに連れて反射光RLの光量が徐々に少なくなり、位置xと出力電圧Voとの関係は、図8(a)に実線で示される初期状態のグラフ線から、暗部電圧Vdが徐々に低下すると共に、暗部電圧Vdが低下すると共に、用紙Pの端部を検出する過程(用紙占有率が変化する過程)における立ち上がり及び立ち下がりのラインの傾きが小さくなって、グラフ線が実線から破線のように用紙Pの幅方向内側へシフトする。ここで、図8(a)に破線で示すグラフ線は、例えば紙幅センサー48が汚れにより感度限界に達したときの位置xと出力電圧Voとの関係を示すものである。本実施形態では、紙検出センサー38の感度に応じて傾きなどが変化する傾斜部分を直線近似した直線近似式を求め、直線近似式とその感度における暗部電圧Vdとを用いて、端部検出位置Xd1,Xd2を求める。そして、端部検出位置Xd1,Xd2に用紙Pの実際の端部位置までの既知の位置ずれ量を補正量として補正を行うことで、用紙Pの幅方向の端部位置を検出する。
ところで、用紙Pの幅方向両端部よりも幅方向外側となる位置にはそれぞれ上流側リブ73が存在する。キャリッジ18が図8(a)に矢印で示す方向へ移動する場合、紙幅センサー48は用紙Pの第1端部を検出する前にそれよりホーム位置側に位置する上流側リブ73の上方位置を通過し、また紙幅センサー48は用紙Pの第2端部を検出した後にそれより反ホーム位置側にある上流側リブ73の上方位置を通過する。図8(a)に示すグラフから分かるように、紙幅センサー48が上流側リブ73を検出対象とする位置xにあるときには、上流側リブ73を検出したときの出力電圧の波形(以下「リブ波形VR」ともいう。)が現れる。例えば上流側リブ73の支持面が用紙Pの摺動により鏡面状に研磨されて高反射率になっていると、リブ波形VRの最大電圧VRmaxが用紙電圧Vpにかなり近づく。このような場合、上流側リブ73を検出したときのリブ波形VRの立ち上がり又は立ち下がりの傾斜部分の直線近似式を求めてしまい、これが原因で上流側リブ73のエッジを用紙Pの端部と誤検出する虞がある。
本実施形態では、上流側リブ73の誤検出を回避するため、上流側リブ73を検出不能かつ用紙Pを検出可能な閾値VSを設定している。閾値VSは、想定されるリブ波形VRの最大電圧VRmaxより大きく、かつ用紙電圧Vp(本例では飽和電圧)よりも小さな値に設定されている(VRmax<VS<Vp)。そして、本実施形態では、まず第1検出部63が閾値VSを用いて上流側リブ73のエッジの誤検出を回避しつつ用紙Pの端部を検出し、用紙Pの端部であることを検出により確認した後、次に第2検出部64がその検出された端部の端部位置を検出する手順をとる。
次に図3(b)における各部61〜67の詳細を説明する。
端部検出部61は、受光部59から入力した出力電圧Voに基づいて用紙Pの幅方向における端部の位置を検出する。端部検出部61は、用紙Pの端部位置を検出するために、第1検出部63及び第2検出部64を備える。
第1検出部63は、用紙Pが搬送方向Yに上流側支持面71を覆う位置まで搬送された状態で、キャリッジ18が移動方向Xに用紙Pの一方の幅方向外側位置から他方の幅方向外側位置まで移動する過程で、紙幅センサー48の出力電圧Voと閾値VSとを比較し、出力電圧Voが閾値VSを横切ったことをもって用紙Pの端部を検出する。閾値VSは、前述のとおり、VRmax<VS<Vpを満たす値に設定されている。本例では、閾値VSを、特に、VRmax+m1<VS<Vp−m2としている。ここで、m1,m2はマージンである。
第2検出部64は、第1検出部63が用紙Pの端部を検出すると、次に紙幅センサー48の出力電圧Voを用いて、第1検出部63が検出した端部の端部位置(端部検出位置Xd)を検出する。第2検出部64は、前述した第1演算部65、第2演算部66及び端部位置演算部67を備える。第2検出部64は、端部検出処理のためにキャリッジ18が移動方向Xに移動する過程で、第2検出処理で使用するためのデータを確保するため、紙幅センサー48の位置xと出力電圧Voとを所定サイクルタイム(例えば数10マイクロ秒〜100ミリ秒の範囲内の所定値)毎に逐次取得してRAM53の所定記憶領域に記憶する。このとき、第2検出部64は、位置xと出力電圧Voとに基づき電圧微分値dVoを算出し、その算出した電圧微分値dVoを位置x及び出力電圧Voと対応付けてRAM53の所定記憶領域に逐次記憶する。こうしてRAM53の所定記憶領域に、位置x、出力電圧Vo及び電圧微分値dVoで示される座標点が複数個保存されたデータ群は、第1演算部65及び第2演算部66が演算するときに使用される。
第1演算部65は、紙幅センサー48の検出対象が溝部71a(暗部領域)であるときの出力電圧Voを複数個取得し、その複数個の出力電圧Voの平均値を計算して暗部電圧Vdを取得する。第2演算部66は、用紙Pの端部が検出されて反射光RL中の用紙占有率が変化する過程において、出力電圧Voがほぼ一定の傾きで変化する区間における複数個の座標点(x,Vo)を用いて、公知の直線近似法に基づく演算を行って直線近似式を求める。端部位置演算部67は、直線近似式と暗部電圧Vdとに基づいて、出力電圧Voが暗部電圧Vdであるときのセンサー位置xを演算し、この位置xを端部検出位置Xdとして取得する。これら各演算部65〜67の詳細は後述する。
本例では、リニアエンコーダー39のパルス信号に基づき把握されるキャリッジ18の移動方向Xにおける位置(キャリッジ位置)を計数するカウンター(図示せず)の他に、そのキャリッジ位置と紙幅センサー48の位置との移動方向Xにおける既知の距離とに基づいてそのときの紙幅センサー48の位置xを計数するカウンター(図示せず)が設けられている。第1検出部63及び第2検出部64は、カウンターの計数値に基づきセンサー位置xを取得し、センサー位置xとそのセンサー位置xにおける紙幅センサー48の出力電圧Voとから、座標点(x,Vo)を取得する。もちろん、センサー位置xは、キャリッジ用カウンターの計数値(キャリッジ位置)に、前記距離分の値を加算又は減算する演算を行って取得されてもよい。
端部位置補正部62は、端部検出位置Xdを補正量dxで補正して端部位置Xe(エッジ位置)を取得する(Xe=Xd+dx)。不揮発性メモリー54には、図9に示す補正データCDが記憶されている。図9に示すように、補正データCDには、用紙Pの第1端部側の補正に使用する補正量dx1と、用紙Pの第2端部側の補正に使用する補正量dx2とがある。本例では、紙幅センサー48の移動方向Xの位置xは、ホーム位置から反ホーム位置へ向かう方向がプラス方向になるようにその位置座標が設定されている。このため、用紙Pのホーム位置側の端部である第1端部側の端部検出位置Xd1を補正する場合に用いられる補正量dx1は負の値(図9の例では「-0.3mm」)をとり、反ホーム位置側の端部である第2端部側の端部検出位置Xd1を補正する場合に用いられる補正量dx2は正の値(図9の例では「0.5mm」)をとる。なお、その他の補正量として、プリンター11の例えば出荷検査時のテスト印刷を行い、用紙に対する印刷領域の幅方向の位置ずれ量を、異なる印刷方向(キャリッジ移動方向)毎に測定し、その位置ずれ量を補正しうる補正量がプリンター個別に設定されている。
図10に示すグラフは、第1検出部63による第1検出処理を説明するためのものであり、紙幅センサー48の移動方向Xにおける位置xと出力電圧Voとの関係を示す。位置xは、リニアエンコーダー39のパルス信号のパルスエッジ数を計数するカウンターの計数値で示されており、その単位は1/600インチ(但し、1インチ=25.4mm)である。図10のグラフにおいて、実線で示すグラフ線VL1が紙幅センサー48の汚れのない初期状態のものであり、一点鎖線で示すグラフ線VL2、二点鎖線で示すグラフ線VL3、破線で示すグラフ線VL4の順で汚れが進んでいる。グラフ線VL4は紙幅センサー48の感度が許容限界に達するほど汚れたときのものを示す。
各グラフ線VL1〜VL4から分かるように、紙幅センサー48が溝部71aを検出対象とする位置xにあるときは、出力電圧Voがそれぞれ暗部電圧Vd=Vd1,Vd2,Vd3,Vd4となり、汚れが進むほど暗部電圧Vdは低下する(Vd1>Vd2>Vd3>Vd4)。そして、紙幅センサー48の検出対象が用紙Pの端部に達し、反射光RL中の用紙占有率が位置xの変化と共に徐々に増えるに連れて、出力電圧Voが徐々に上昇する。そして、受光部59の受光量がある一定値に達すると、出力電圧Voは用紙電圧Vp(飽和電圧)に達し、その後は用紙電圧Vpに保持される。
そして、第1検出部63が第1検出処理で用いる閾値VSは、図10のグラフ中に示した上流側リブ73を検出したときのリブ波形VRの最大電圧VRmaxよりも高い値に設定されている。但し、リブ波形VRが出現する位置は、図8に示したとおり、出力電圧Voが用紙Pの端部を検出して上昇し始める位置よりも、キャリッジ進行方向手前側となるホーム位置側となる。
第1検出部63は、用紙Pが搬送方向Yに上流側支持面71を覆う位置まで搬送された状態で、キャリッジ18が用紙Pの一方の幅方向外側位置から他方の幅方向外側位置まで移動する過程で、紙幅センサー48の出力電圧Voと閾値VSとを比較し、出力電圧Voが閾値VSを横切ったことをもって用紙Pの端部を検出する。いずれのグラフ線VL1〜VL4も、閾値VSよりも小さな値にあった出力電圧Voが閾値VSを超えたことをもって用紙Pの端部(第1端部)を検出する。このため、上流側リブ73のエッジを誤検出することなく、用紙Pの端部が検出される。
図11に示すグラフは、第2検出部64による第2検出処理を説明するためのものであり、紙幅センサー48の移動方向Xにおける位置xと出力電圧Voとの関係を示す。位置xは、図10のグラフと同様に1/600インチ(但し、1インチ=25.4mm)の単位で示されている。各グラフ線VL1〜VL4は、図10のグラフで説明したとおり、それぞれ初期状態、汚れの進んだ各段階における位置xと出力電圧Voとの関係を示す。
各グラフ線VL1〜VL4から分かるように、紙幅センサー48が溝部71aを検出対象とする位置xにあるときの暗部電圧Vd(=Vd1,Vd2,Vd3,Vd4)は、紙幅センサー48の汚れが進んでその感度が低下するほど低下する(Vd1>Vd2>Vd3>Vd4)。第1演算部65は暗部電圧Vd(=Vd1,Vd2,Vd3,Vd4)を演算する。すなわち、第1演算部65は、キャリッジ18の移動過程でRAM53に逐次記憶された位置x、出力電圧Vo及び電圧微分値dVoのデータ群を用いて、溝部71aに対応する位置xの出力電圧Voのうち、電圧微分値dVoが−δ<dVo<δ(但しδは「0」に近い微小値)を満たすN個の出力電圧VoをRAM53の所定記憶領域から読み出す。そして、第1演算部65は、その読み出したN個の出力電圧Voの平均値を計算して暗部電圧Vd(図11の例ではVd1,Vd2,Vd3,Vd4)を取得する。
第2演算部66は、第1検出部63が用紙Pの端部を検出した後、RAM53の所定記憶に記憶された位置xと出力電圧Voとのデータ群を読み出す。そして、第2演算部66は、反射光RL中の用紙占有率Rpが0<Rp<1の範囲で徐々に増加する過程で、図11に示すように位置xに対する出力電圧Voが増加する部分のうちほぼ一定の傾きで直線状に増加する部分における複数個の座標点(x,Vo)を取得し、その複数の座標点(x,Vo)を用いて、その直線状部分の直線近似式を演算する。図11に示すように、例えば位置xが「20〜45」の範囲では、位置xに対して出力電圧Voは曲線状に増加している。そして、位置xが「45」以上の領域で、出力電圧Voが用紙電圧Vp近傍の値に達するまでの位置範囲で、位置xと出力電圧Voとの関係を示すグラフ線は、ほぼ一定の傾きで直線状に増加している。
ここで、反射光RLは円柱状に近いので、用紙占有率Rpが0<Rp<1の範囲で徐々に変化する過程で、用紙占有率Rpの値が小さいうちは位置xの変化の割に出力電圧Voの変化は小さく、図11に示すように暗部電圧Vd1,Vd2,Vd3,Vd4から緩やかに上昇し始める。そして、用紙占有率Rpがある程度の大きさ(一例としてRp=0.3)になると、それ以降において位置xと出力電圧Voとがほぼ比例する関係となり、この比例関係が成立する領域では、位置xと出力電圧Voで示される座標点(x,Vo)がほぼ直線状に並ぶ。
また、本実施形態では、用紙占有率Rpが「1」に至る手前(例えばRp=0.8)で飽和電圧に達し、その飽和電圧が用紙電圧Vpになっている。しかし、用紙電圧Vpに至る手前でも、位置xと出力電圧Voとの関係が直線状から外れる小さな曲線部分が存在する。このため、用紙電圧Vpから下側へ一定のマージン電圧ΔMの範囲内にある座標点(x,Vo)は直線近似式の演算に使用せず除外することにしている。このように出力電圧Voが暗部電圧Vdから用紙電圧Vpまで増加する範囲で、暗部電圧Vd側の比較的大きな曲線部分と、用紙電圧Vp側の比較的小さな曲線部分とを除いたその間の部分で直線状に並ぶ連続するN個の座標点(x,Vo)を用いて、公知の直線近似法に基づき直線近似式を演算する。本例では、直線近似法として、例えば最小二乗法を採用する。なお、本例では、直線状に並ぶN個の座標点(x,Vo)からなるデータ群を、「傾斜データ」と呼ぶ。
第2演算部66は、暗部電圧Vdをt倍したt・Vdを計算し、出力電圧Voがt・Vd未満となる座標点(x,Vo)は、暗部電圧Vd側の曲線部分にあるものとして採用しない。すなわち、第2演算部66は、出力電圧Voがt・Vd以上の値となる連続するN個の座標点(x,Vo)を取得する。さらに、グラフ線VL1〜VL4において用紙電圧Vpに至る手前にできる小さな曲線部分を避けるため、N個の座標点(x,Vo)のうち、出力電圧Voが設定電圧Va(=Vp−ΔM)以上となる座標点(x,Vo)は除外する。こうして得られたN個以下の複数個の座標点(x,Vo)からなる傾斜データは、ほぼ直線状に並ぶ。
ここで、t・Vdは、紙幅センサー48がどの感度にあっても、反射光RL中の用紙占有率Rpが同じになる位置(一例としてRp=0.3の位置)にあるときの出力電圧Voを指し、位置xに対する出力電圧Voの変化が曲線状から直線状に切り換わる境界の出力電圧Voに相当する。また、値tは、t>1であり、かつ紙幅センサー48が高感度状態にあるときのグラフ線VL1においても、傾斜データとして2個以上の座標点(x,Vo)を確保しうる値に設定されている。本実施形態では、値tの一例として、1<t<3の範囲内の値を採用している。なお、設定電圧Vaは、マージン電圧ΔMを用いたVa=Vp−ΔMに替え、下側の曲線部分を除外する方法と同様の考え方で、Va=Vcc−s・(Vcc−Vp)(但し、sは、t・Vd<Va<Vpを満たす値)を採用してもよい。
図11のグラフの例では、グラフ線VL1に6個の座標点(x,Vo)(図11における○印)、グラフ線VL2に9個の座標点(x,Vo)(図11における△印)、グラフ線VL3に11個の座標点(x,Vo)(図11における□印)、グラフ線VL4に11個の座標点(x,Vo)(図11における◇印)が取得される。
そして、第2演算部66は、上記の条件で取得したN個以下の複数個の座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法に基づく演算を行って、直線近似式 Vo=Ax+Bを算出する。図11の例では、紙幅センサー48の感度の異なる各グラフ線VL1〜VL4において、近似直線Lv1〜Lv4が決まる。なお、直線近似法は最小二乗法に限定されず、他の公知の直線近似法を採用することもできる。
端部位置演算部67は、第2演算部66が求めた直線近似式 Vo=Ax+Bを用いて、近似直線Lv1〜Lv4上で出力電圧Voが暗部電圧Vd(Vo=Vd)のときの位置xを計算し、これを端部検出位置Xd(図11の例ではXd1)として取得する。端部検出位置Xdは、Xd=(Vd−B)/Aにより算出される。
図11の例では、初期状態でも、汚れが段階的に進んだ各段階でも、近似直線Lv1〜Lv4と、Vo=Vd(Vo=Vd1,Vo=Vd2,Vo=Vd3,Vo=Vd4)の水平線との交点(図11中の黒点)の位置xが端部検出位置Xd(図11では第1端部の端部検出位置Xd1)になる。ここで、用紙占有率Rpの変化に応じた位置xと出力電圧Voとの関係を示す直線近似式は、そのときの紙幅センサー48の感度を比較的正確に反映している。このため、紙幅センサー48の感度が異なっても、各交点の位置xで示される端部検出位置Xd1は、用紙占有率Rpがほぼ同じ値(一例としてRp=0.2)をとることになるほぼ同じ位置になる。
次に本実施形態のプリンター11の作用を図12に示すフローチャートに従って説明する。制御部50は、図12にフローチャートで示す端部検出処理ルーチンのプログラムを実行する。端部検出処理が行われるときには、制御部50は搬送モーター41を駆動させて、上流側支持面71を覆う位置まで用紙Pを搬送させる。用紙Pが上流側支持面71を覆う位置まで搬送されると、あるいは用紙Pがその搬送途中に所定位置を通過して紙幅センサー48による用紙Pの第1端部の検出が可能な所定タイミングになると、制御部50は端部検出処理を開始する。
まずステップS1では、キャリッジ18を駆動し、用紙Pを幅方向に横断するように移動させる。制御部50は、キャリッジモーター35を駆動し、例えばホーム位置側に位置するキャリッジ18を、反ホーム位置側へ向かって一定速度で移動させる。このとき、紙幅センサー48は発光部58から支持台38側へ向けて照射した光の反射光を受光部59で受光し、その受光量に応じた出力電圧Voを制御部50へ出力する。
次のステップS2では、紙幅センサー48の位置xと出力電圧Voと電圧微分値dVoとを記憶する。すなわち、制御部50は、キャリッジ18と共に移動方向Xに移動中の紙幅センサー48の位置xと出力電圧Voとを逐次取得し、RAM53の所定記憶領域に記憶する。このとき、第1演算部65が位置xと出力電圧Voとを用いて演算した電圧微分値dVoを、制御部50は位置x及び出力電圧Voと対応付けてRAM53の所定記憶領域に記憶する。こうしてRAM53の所定記憶領域には、位置xと出力電圧Voで示される座標点(x,Vo)と各位置xにおける電圧微分値dVoとがそれぞれ対応付けて逐次記憶される。これらステップS1及びS2の各処理は以降の処理が終わるまで、継続的に実行される。
ステップS3では、暗部電圧Vdを取得する。すなわち、第1演算部65は、RAM53の所定記憶領域から、溝部71aに対応する位置xで、かつ−δ<dVo<δを満たすN個の出力電圧Voを読み出し、それらの平均値を計算し暗部電圧Vdとして取得する。
ステップS4では、出力電圧Voが閾値VSを横切ったか否かを判断する。すなわち、第1検出部63は、出力電圧Voと閾値VSとを比較し、出力電圧Voが閾値VSより小さな値から大きな値に変化したか、あるいは閾値VSより大きな値から小さな値に変化したか否かを判断する。出力電圧Voが閾値VSを横切っていない場合は、出力電圧Voが閾値VSを横切ったと判断されるまで、この処理を繰り返す。この例では用紙Pの第1端部が第2端部よりも先に検出され、その第1端部の検出時に出力電圧Voが閾値VSをその下側の値から上側へ超える。そして、出力電圧Voが閾値VSを横切ったと判断すると、ステップS5に進む。
次のステップS5では、傾斜データを取得する。すなわち、第2演算部66は、暗部電圧Vdのt倍を計算し、出力電圧Voがt・Vd以上となる連続するN個の座標点(x,Vo)を、RAM53の所定記憶領域から読み出す。例えば図9における高感度時のグラフ線VL1において出力電圧Voがt・Vd1以上の値となるN個の座標点(x,Vo)(同図では○印の点)を取得し、同図における低感度時のグラフ線VL4においては出力電圧Voがt・Vd4以上の値となるN個の座標点(x,Vo)(同図では◇印の点)を取得する。
ステップS6では、傾斜データの直線近似式を求める。すなわち、第2演算部66は、N個の座標点(x,Vo)のうち、出力電圧Voが用紙電圧Vpからマージン電圧ΔMを引いた設定電圧値Va未満となる複数個(N個以下)の座標点(x,Vo)を選択し、その複数個の座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法で、直線近似式 Vo=Ax+Bを求める。例えば図9のグラフ線VL1では、S5で取得したN個の座標点(x,Vo)のうち出力電圧Voが設定電圧値Va未満の値をとる同図に示された複数個(例えば6個)の座標点(x,Vo)を選択し、複数個の座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法で近似直線Lv1の直線近似式 Vo=Ax+Bを求める。
図12における次のステップS7では、用紙Pの端部検出位置Xdを計算する。すなわち、端部位置演算部67は、直線近似式Vo=Ax+Bを用いて、出力電圧Voが暗部電圧Vd(Vo=Vd)のときの位置xを端部検出位置Xdとして計算する。例えば図9のグラフ線VL1では、近似直線Lv1がVo=Vd1のときにとる点(図11における黒点)のx座標値が端部検出位置Xdとして算出される。このとき、図11から分かるように、紙幅センサー48の感度が違っても、反射光RL中の用紙占有率Rpが一例として「0.2」になるときの端部検出位置Xdが算出される。
図12における次のステップS8では、端部検出位置Xdを補正量dxで補正して端部位置Xeを取得する。すなわち、端部位置補正部62は、端部検出位置Xdの値から位置検出対象の端部が第1端部か第2端部かを判断し、補正データCD(図9)を参照して、その判断した側の端部に応じた補正量dxを取得する。端部位置補正部62は、例えば端部検出位置Xdが用紙搬送路の幅方向中心位置よりもホーム位置側(小さな値)であれば第1端部、反ホーム位置側(大きな値)であれば第2端部と判断する。この例では、端部位置補正部62はまず第1端部と判断するので、補正データCDを参照して第1端部に対応する補正量dx1を取得する。そして、端部位置補正部62は、端部検出位置Xd1に補正量dx1を加えて第1端部の端部位置Xe1を算出する(Xe1=Xd1+dx1)。
こうして第1端部の端部位置Xe1の検出が終わると、制御部50は、引き続きステップS4〜S8の各処理を行って、第2端部の位置検出処理を行う。まず第1検出部63が、出力電圧Voが閾値VSをその上側の値から下側へ変化したことをもって第2端部を検出する(S4)。そして、第2端部を検出すると、第2検出部64の第2演算部66は、暗部電圧Vdのt倍(但しt>1)を計算し、出力電圧Voがt・Vd以上の値となる連続するN個の座標点(x,Vo)を、RAM53の所定記憶領域から読み出し、第2端部側の傾斜データを取得する(S5)。さらに、端部位置演算部67は、N個の座標点(x,Vo)のうち出力電圧Voが設定電圧値Va(=Vp−ΔM)未満となる複数個(N個以下)の座標点(x,Vo)を選択し、その複数個の座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法で、傾斜データの直線近似式 Vo=Ax+Bを求める(S6)。次に端部位置演算部67は、直線近似式Vo=Ax+Bを用いて、Vo=Vdのときの位置xを端部検出位置Xd2として算出する(S7)。そして、端部位置補正部62は、端部検出位置Xd2を、補正データCDを参照して取得した第2端部に対応する補正量dx2で補正して、端部位置Xe2(=Xd2+dx2)を取得する(S8)。
以上詳述したように、第1実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)暗部電圧Vdを取得すると共に、複数個の座標点(x,Vo)からなる傾斜データを用いて最小二乗法で直線近似式 Vo=Ax+Bを演算する。そして、直線近似式 Vo=Ax+Bを用いてVo=Vdのときの位置xを端部検出位置Xdとして算出する。よって、紙幅センサー48の汚れ等が原因でその感度が変化しても、用紙Pの端部検出位置Xdを比較的精度よく検出できる。
(2)近似関数として直線近似式 Vo=Ax+Bを採用したので、第2演算部66及び端部位置演算部67の各演算処理を比較的簡単に済ませることができる。例えば近似関数を曲線関数とすると、複数の座標点(x,Vo)が近似曲線に巧く載る曲線近似式が求められず、紙幅センサー48の感度をさほど正確に反映していないその曲線近似式を用いて求めた端部検出位置が検出精度の低いものとなる虞がある。しかし、本実施形態では、位置xに対する出力電圧Voの変化が直線状になる部分を選択し、直線状部分における複数の座標点(x,Vo)を用いて直線近似式を求めるので、複数の座標点(x,Vo)が巧く載る近似式を取得し易い。また、直線部分の傾きは紙幅センサー48の感度を比較的正確に反映する。この結果、直線近似式を用いることで比較的精度の高い端部検出位置Xdを取得できる。
(3)第2演算部66が、出力電圧Voが値t・Vd以上となる連続するN個の座標点(x,Vo)を取得することで、直線近似式の演算に使用する座標点(x,Vo)から暗部電圧Vd側のカーブ領域の座標点を除外する。さらに第2演算部66は、複数個の座標点(x,Vo)のうち出力電圧Voが設定電圧Va(=Vp−ΔM)未満の値となる複数個(N個以下)の座標点(x,Vo)を採用することで、用紙電圧Vp側の小さなカーブ領域の座標点を除外する。よって、位置xに対する出力電圧Voがほぼ一定の傾きで増加又は減少するように直線状に並ぶ複数個の座標点(x,Vo)を傾斜データとして取得できる。そして、第2演算部66は、複数個の座標点(x,Vo)に基づいて直線近似式 Vo=Ax+Bを演算する。直線近似式 Vo=Ax+Bは、紙幅センサー48のその時々の感度を比較的正確に反映しており、その直線近似式 Vo=Ax+Bと暗部電圧Vd(暗部出力値)とに基づいて端部検出位置Xdを比較的精度よく検出できる。
(4)直線近似式Vo=Ax+Bを用いて端部検出位置Xdを算出する際に、Vo=Vdのときの位置xを端部検出位置Xdとして算出する方法を採用した。よって、端部検出位置Xdを比較的簡単な演算で求めることができる。
(5)溝部71aを検出対象とする位置にあるときの紙幅センサー48の位置xと出力電圧Voとを取得すると共に電圧微分値dVoを算出する。そして、電圧微分値dVoが、設定範囲内(−δ<dVo<δ)にあるときの位置xに対応する出力電圧Voを複数(N個)取得し、複数の出力電圧Voの平均値を暗部電圧Vdとする。よって、暗部電圧Vdを比較的正確な値として取得できる。
(6)端部検出処理時にキャリッジ18を移動させる過程で暗部電圧Vdを取得するので、端部検出処理とは別に暗部電圧Vdの取得を目的とするキャリッジ移動動作を行う必要がない。キャリッジ18の印刷とは関係のない移動の頻度を低減できるので、例えばプリンター11の印刷スループットの向上に繋がる。
(7)紙幅センサー48の汚れ等に起因する感度の違いによらず、用紙Pの実際の端部位置からのずれ量がほぼ一定かつ少ない端部検出位置Xdを取得できる。よって、端部検出位置Xdから端部位置Xeを算出する際に使用する補正量dxを一定値にできるので、端部位置Xeの算出処理を比較的簡単にすることができる。例えば紙幅センサー48の汚れによって変化する感度に応じて補正量dxを変更する構成を採用した場合、紙幅センサーの感度を測定する感度測定部及び感度に応じた補正量を求める補正量取得部などの構成が必要になる。しかし、本実施形態では、補正量dxを一定値にできるので、端部検出位置Xdから端部位置Xeを比較的簡単に算出できる。
(8)第1検出部63が出力電圧Voと閾値VSとの比較により上流側リブ73(凸部)の誤検出を回避しつつ用紙Pの端部を検出し、第1検出部63により用紙Pの端部が検出されると、次に第2検出部64により、その端部の端部検出位置Xdを検出する。このため、紙幅センサー48の出力電圧Voにリブ波形VRが現れても、上流側リブ73のエッジを用紙Pの端部と誤検出することなく、用紙Pの端部検出位置Xdを取得できる。このとき、閾値VSを、リブ波形VRの最大電圧VRmaxよりも大きく、かつ用紙電圧Vpよりも小さな値としたので、上流側リブ73のエッジの誤検出を確実に回避できる。
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図13に基づいて説明する。本実施形態は、前記第1実施形態と異なる方法で端部位置Xeを検出する例である。プリンター11の電気的構成及び制御部50の機能構成は前記第1実施形態と同様である。不揮発性メモリー54には、図12のフローチャートで示される端部検出処理用プログラムに替え、図14にフローチャートで示される端部検出処理用プログラムが記憶されている。
以下、本実施形態における端部検出処理を図14に基づいて図13を参照しつつ説明する。端部検出処理が行われるときには、制御部50は搬送モーター41を駆動させて、上流側支持面71を覆う位置まで用紙Pを搬送させる。用紙Pが上流側支持面71を覆う位置まで搬送されると、あるいは用紙Pがその搬送途中の所定位置を通過した所定タイミングになると、制御部50は端部検出処理を開始する。
まずステップS11の処理は、第1実施形態におけるステップS1と同様の処理である。すなわち、制御部50は、キャリッジモーター35を駆動し、キャリッジ18を例えばホーム位置側から反ホーム位置側へ向かって用紙Pを幅方向に横断させるように一定速度で移動させる(S11)。このとき、紙幅センサー48の受光量に応じた出力電圧Voは制御部50へ出力される。
次のステップS12では、紙幅センサー48の位置xと出力電圧Voとを記憶する。すなわち、制御部50は、キャリッジ18の移動中に紙幅センサー48の位置xと出力電圧Voとを逐次取得し、RAM53の所定記憶領域に記憶する。これらステップS11及びS12の各処理は以降の処理が終わるまで、継続的に実行される。
ステップS13では、暗部電圧Vdを取得する。すなわち、第1演算部65は、キャリッジ18の移動過程において、紙幅センサー48の検出対象が紙なし時(用紙Pに覆われていないエリアにあるとき)の上流側支持面71の溝部71aに対応する位置xにおける出力電圧Voを暗部電圧Vdとして取得する。例えば位置xと出力電圧Voとを用いて電圧微分値dVoを計算し、電圧微分値dVoが−δ<dVo<δを満たす座標点(x,Vo)を、−δ<dVo<δを満たさなくなる位置から手前側に最大M個分取得し、RAM53の所定記憶領域に記憶する。なお、本実施形態では、最大M個の座標点(x,Vo)が、暗部出力値に相当する。
ステップS14では、出力電圧Voが閾値VSを横切ったか否かを判断する。すなわち、第1検出部63が、第1実施形態におけるステップS4と同様の処理を行う。例えば用紙Pの第1端部が検出されて、出力電圧Voが閾値VSを横切ったと判断すると、ステップS15に進む。
次のステップS15では、傾斜データを取得する。すなわち、第2演算部66は、暗部電圧Vdの端点から曲線部分(カーブ領域)を避けるための距離ΔQだけ離れた位置から連続してN個の座標点(x,Vo)をRAM53の所定記憶領域から読み出す。図13に示すように、出力電圧Voが暗部電圧Vdの値をとる複数個(M個以下)の座標点(x,Vo)のうち一番用紙P側に位置する端点(同図では右端点)から、移動方向Xに距離ΔQの部分を曲線部分として傾斜データから除外するようにしている。このため、暗部電圧Vdの端点から移動方向Xに距離ΔQだけ離れた位置xから連続してN個の座標点(x,Vo)を取得する。
図14における次のステップS16では、傾斜データの直線近似式を求める。すなわち、第2演算部66は、第1実施形態におけるステップS16と同様の処理を行い、N個の座標点(x,Vo)のうち出力電圧Voが設定電圧値Va(=Vp−ΔM)未満の値となる複数個(N個以下)の座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法で、直線近似式 Vo=Ax+Bを求める。よって、紙幅センサー48のそのときの感度に応じて、図13における近似直線Lv1〜Lv4を示す直線近似式が求められる。
次のステップS17では、暗部電圧の直線近似式を求める。すなわち、第1演算部65は、上流側支持面71の溝部71aに対応する位置にあり、かつ−δ<dVo<δを満たさなくなる位置から手前側に最大M個取得した座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法で直線近似式Vo=Cx+Dを求める。よって、紙幅センサー48のそのときの感度に応じて、図13における暗部電圧Vdの近似直線Ld1〜Ld4を示す直線近似式が求められる。なお、本実施形態では、傾斜データの直線近似式 Vo=Ax+Bが第1直線近似式の一例に相当し、暗部電圧Vdの直線近似式 Vo=Cx+Dが第2直線近似式の一例に相当する。
次のステップS18では、用紙Pの端部検出位置Xdを計算する。すなわち、端部位置演算部67は、直線近似式Vo=Ax+Bと直線近似式Vo=Cx+Dとの交点のx座標の値を計算し、これを端部検出位置Xdとする。このとき、図13のグラフに示すように、紙幅センサー48のそのときの感度の違いによらず、交点P1〜P4はx座標の値がほぼ同じになっており、移動方向Xにほぼ同じ位置の端部検出位置Xdが算出される。
次のステップS19では、端部検出位置Xdを補正量dxで補正して端部位置Xeを取得する。すなわち、端部位置補正部62は、端部検出位置Xdの値から位置検出対象の端部が第1端部か第2端部かを判断し、補正データCD(図9)を参照して、その判断した側の端部に応じた補正量dxを取得する。この例では、端部位置補正部62は、まず第1端部と判断し、補正データCDを参照して第1端部に対応する補正量dx1を取得する。そして、端部位置補正部62は、端部検出位置Xd1に補正量dx1を加えて第1端部の端部位置Xe1を算出する(Xe1=Xd1+dx1)。
こうして第1端部の端部位置Xe1の検出が終わると、制御部50は、引き続きステップS14〜S19の各処理を行って、第2端部の位置検出処理を行う。まず第1検出部63が、出力電圧Voが閾値VSをその上側の値から下側へ変化したことをもって第2端部を検出する(S14)。そして、第2端部が検出されると、第2検出部64の第2演算部66は、暗部電圧Vdの端点から曲線部分を避けるための距離ΔQだけ用紙P側に離れた位置から連続してN個の座標点(x,Vo)をRAM53の所定記憶領域から読み出し、第2端部側の傾斜データを取得する(S15)。さらに、第2演算部66は、N個の座標点(x,Vo)のうち出力電圧Voが設定電圧Va(=Vp−ΔM)未満となる複数個(N個以下)の座標点(x,Vo)を選択し、その複数個の座標点(x,Vo)を用いて、最小二乗法で、傾斜データの直線近似式 Vo=Ax+Bを求める(S16)。また、第1演算部65は、上流側支持面71の溝部71aに対応する位置にあり、かつ−δ<dVo<δを満たさなくなる位置から手前側(反用紙側)に連続して最大M個取得した出力電圧Voを用いて、最小二乗法で、暗部電圧の直線近似式Vo=Cx+Dを求める(S17)。
さらに端部位置演算部67は、傾斜データの直線近似式Vo=Ax+Bと、暗部電圧Vdの直線近似式Vo=Cx+Dとの交点の位置xを第2端部の端部検出位置Xd2として計算する(S18)。そして、端部位置補正部62が端部検出位置Xd2を、補正データCDを参照して取得した第2端部側の補正量dx2で補正し、端部位置Xe2(=Xd2+dx2)を取得する(S19)。
この第2実施形態によれば、第1実施形態における効果(2),(6)〜(8)と同種の効果の他、以下に示す効果が得られる。
(9)傾斜データの直線近似式Vo=Ax+Bと、暗部電圧Vdの直線近似式Vo=Cx+Dとの交点の位置xを用紙Pの端部検出位置Xdとして計算する。このとき、直線近似式Vo=Ax+Bは、紙幅センサー48の感度を比較的正確に反映しているので、紙幅センサー48の汚れ等に起因する感度の違いによらず、端部位置Xeを比較的精度よく検出できる。また、暗部電圧Vdがある緩やかな傾きで変化するときには、暗部電圧Vdの直線近似式を用いることで、より精度高い端部検出位置Xdが検出され易くなる。さらに、暗部電圧Vdの端点から距離ΔQだけ離れた位置から連続するN個の座標点(x,Vo)を取得する構成なので、第1実施形態で実行していたt・Vdの演算などが不要になり、第1実施形態に比べ簡単な処理で傾斜データを取得できる。
なお、上記実施形態は以下のような形態に変更することもできる。
・第1実施形態の方法と、第2実施形態の方法を組み合わせて端部検出位置Xdを取得してもよい。例えば、各方法において端部検出位置Xdのエラー条件を設定しておき、各方法で算出した各端部検出位置Xdのうち、それぞれのエラー条件に基づくエラー判定を行い、一方がエラーと判定された場合は、他方の端部検出位置Xdを採用する。また、エラー判定に替え、より精度の高い一方を判定する判定条件を設定し、精度の高いと判定された一方を端部検出位置Xdを採用する方法でもよい。さらに、各方法で算出された端部検出位置の平均値を計算し、これを端部検出位置Xdとする方法も採用できる。
・第1実施形態において傾斜データを取得してその直線近似式を求める処理(S5,S6)と、第2実施形態において傾斜データを取得してその直線近似式を求める処理(S15,S16)とを入れ替えて実施してもよい。
・前記各実施形態において、暗部電圧Vdの取得(S3,S13)のための処理を、端部検出処理ルーチン内で行うのではなく、端部検出処理ルーチンとは別の処理として事前に行ってもよい。例えばプリンター11の電源投入時(起動時)に実施される初期処理の一部として、暗部電圧取得処理を実行する構成を採用できる。また、制御部50が計数する累積印刷枚数が設定枚数(設定値)に達する度に、暗部電圧取得処理を実行する構成も採用できる。さらに、これら両方の実行タイミングで暗部電圧取得処理を実行してもよい。この暗部電圧取得処理では、キャリッジ18を移動させて紙幅センサー48が溝部71aを検出対象とする位置にあるときの位置x及び出力電圧Vo等を取得し、位置x及び出力電圧Vo等を基に、ステップS3又はS13の処理を行って暗部電圧Vdを取得する。よって、暗部電圧Vdの取得を目的とするキャリッジ18の移動頻度を相対的に少なくし、例えばプリンター11のスループットを向上できる。
・前記各実施形態では、近似関数として、傾斜データ又は暗部電圧の座標点(x,Vo)の点群を直線近似した1次近似式を採用したが、2次近似式や3次近似式などの曲線近似式を採用してもよい。曲線近似式の場合は、近似関数と暗部電圧Vdとの交点の位置xを求める。このときの交点の位置xは、反射光RL中の用紙占有率Rpが「0」から正の値に切り換わるときの位置である。この位置から例えば紙幅センサー48の光軸が、移動方向Xにおいて用紙Pの端部(エッジ位置)に位置し、用紙占有率Rp=0.5になるまでの幅方向の距離を補正量dxとして端部検出位置Xdを補正すればよい。
・発光部58から発光される光の断面形状は円形に限定されない。例えば光の断面形状を矩形(四角形)とし、位置xの変化率に対する用紙占有率Rpの変化率が一定となるようにしてもよい。この構成の場合、図11、図13等における曲線部分(カーブ領域)が発生しにくくなり、曲線部分を避けるための条件(例えばVo≧t・Vd(第1実施形態)、距離ΔQの条件(第2実施形態))を不要にすることができ、近似関数を比較的簡単に演算できる。
・端部位置補正部62による補正処理を無くしてもよい。例えばプリンター11におけるキャリッジ18及び支持台38等の組み付け誤差に起因する位置ずれ量が許容誤差範囲内で、端部検出位置Xdをそのまま使用しても位置精度が保証される場合は、端部位置補正部62による補正処理を省略し、端部検出位置Xdを端部位置Xeとして採用してもよい。
・端部検出処理時のキャリッジ移動方向において用紙の端部よりも手前にリブが位置する側の端部(前記各実施形態では第1端部)を検出するときのみ端部検出処理を実施し、キャリッジ移動方向においてリブ(凸部)よりも用紙の端部が手前に位置する側の端部を検出するときには閾値による検出処理は行わず、用紙の端部位置の検出を行う構成でもよい。
・リブ(凸部)のない支持台を採用し、第1検出部63を無くしてもよい。例えば平板状の支持台を採用した場合、用紙Pで覆われていない支持台の表面を暗部領域とする。
・端部検出処理時のキャリッジ移動方向は、反ホーム位置側からホーム位置側へ向かう方向でもよい。また、用紙の上方に配置したキャリッジ18を、移動方向X(幅方向)の一方側へ移動させて用紙の一端部を検出し、次にキャリッジ18を反対方向に移動させて用紙の他端部を検出するキャリッジ18の移動方法でもよい。
・暗部電圧を取得するための反射面は溝部71aに限定されず、適宜変更できる。例えば溝部よりも深い凹部の底面でもよい。また、支持台の上流側支持面71における所定位置に設けた光吸収層が表面に形成された光吸収面でもよい。また、暗部領域となる反射面は印刷中にキャリッジ18が通る位置の下方ではなく、移動方向Xにおいて液体噴射領域PAの外側となる位置に配置してもよい。
・媒体の幅方向の端部位置を検出する光学式センサーは、紙幅の取得や、液体噴射ヘッド19の移動方向X(主走査方向)における噴射開始位置(印刷開始位置)の決定を目的とする紙幅センサーに限定されない。例えば、単に媒体の幅方向における端部位置の取得を目的としてもよい。また、媒体のスキュー(斜行)の検出を目的としてもよい。
・紙幅センサー48の検出回路は、受光部59の受光量が多いときに出力電圧Voが高くなり、受光量が少ないときに出力電圧Voが低くなる回路構成であったが、これとは逆に、受光部59の受光量が多いときに出力電圧Voが低くなり、受光量が少ないときに出力電圧Voが高くなる回路構成も採用できる。この場合、受光部59の受光量が多いときに出力電圧Voが低くなる回路構成であっても、図11、図13等のグラフが上下反転するのみで、基本的に同様の処理を行って、傾斜データの直線近似式及び暗部電圧Vdを用いて、端部検出位置Xdを検出できる。
・図3における制御部50(コンピューター)内の各機能部を、プログラムを実行するCPUにより主にソフトウェアで実現したが、例えば集積回路により各機能部をハードウェアで実現したり、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現したりしてもよい。
・液体噴射装置はプリンターに限定されず、プリンター機能の他にスキャナー機能及びコピー機能などを含む複数機能を備えた複合機でもよい。
・プリンター(印刷装置)は、シリアルプリンターに限定されず、ラテラル式プリンター、ラインプリンター、ページプリンターでもよい。例えばラインプリンター及びページプリンターなど液体噴射ヘッドが基本的に移動しない固定式の構成の場合、キャリッジは光学式センサー移動用の小型なものとし、この小型なキャリッジに光学式センサーが設けられた構成とする。つまり、液体噴射ヘッドはキャリッジに設けられておらず、光学式センサーがキャリッジに設けられている。このようなラインプリンターページプリンターの場合も、適切な端部検出位置を検出できる。
・媒体は用紙に限定されず、樹脂製のフィルム、金属箔、金属フィルム、樹脂と金属の複合体フィルム(ラミネートフィルム)、織物、不織布、セラミックシートなどであってもよい。さらに媒体の形状はシート状に限定されず立体形状でもよい。
・前記実施形態では、液体噴射装置の1つであるインクジェット式プリンターに具体化したが、液体噴射装置に適用する場合、プリンターに限定されない。例えばインク以外の他の液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液体噴射装置でもよい。また、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために熱硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。このように媒体(記録媒体)は、素子や配線等がインクジェットで形成される基板でもよい。液体噴射装置が噴射する「液体」には、液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
11…液体噴射装置の一例であるプリンター、18…キャリッジ、19…液体噴射ヘッド、35…キャリッジモーター、38…支持部の一例としての支持台、39…リニアエンコーダー、41…搬送モーター、48…光反射型の光学式センサーの一例としての紙幅センサー、50…制御部、51…CPU、52…ROM、53…RAM、54…不揮発性メモリー、58…発光部、59…受光部、61…端部検出部、62…端部位置補正部、63…第1検出部、64…第2検出部、65…暗部出力値取得部の一例としての第1演算部、66…近似関数取得部の一例としての第2演算部、67…端部位置検出部の一例としての端部位置演算部、71…上流側支持面、71a…暗部領域の一例である溝部、73…凸部の一例としての上流側リブ、X…移動方向、Y…搬送方向、RL…反射光、Vo…出力値の一例としての出力電圧、Vd,Vd1,Vd2,Vd3,Vd4…暗部出力値の一例である暗部電圧、K…定数、VS…閾値、x…位置(センサー位置)、Lv1〜Lv4・゜似直線、Xd…端部位置の一例としての端部検出位置、dx,dx1,dx2…補正量、Xe,Xe1,Xe2…端部位置、Ld1〜Ld4…暗部電圧の近似直線、P1〜P4…交点、P…媒体の一例である用紙。

Claims (6)

  1. 媒体に向かって液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
    前記媒体の搬送方向と交差する移動方向に往復移動するキャリッジに設けられると共に発光部と受光部とを有し前記受光部の受光量に応じた出力値を出力する光反射型の光学式センサーと、
    前記発光部が照射した光の反射光を受光する前記受光部の受光量が前記媒体よりも少なくなるよう前記媒体を支持する複数の凸部間に設けられた暗部領域を前記光学式センサーが検出対象とする位置にあるときの前記受光部の受光量に応じた暗部出力値を取得する暗部出力値取得部と、
    前記光学式センサーによる検出が可能な位置まで前記媒体が搬送された状態で、前記移動方向に移動する前記光学式センサーが媒体の端部を検出対象とする位置範囲にあるときに位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分の位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて近似関数を演算する近似関数取得部と、
    前記近似関数と前記暗部出力値とに基づいて前記媒体の端部位置を検出する端部位置検出部と
    を備え
    前記近似関数取得部は、前記近似関数として直線近似式を演算し、
    前記直線近似式を第1直線近似式とした場合に、前記暗部出力値取得部は、前記光学式センサーが前記暗部領域を検出対象とする位置にあるときの当該位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて第2直線近似式を演算し、
    前記端部位置検出部は、前記第1直線近似式と前記第2直線近似式との交点の位置を前記端部位置として演算することを特徴とする液体噴射装置。
  2. 前記近似関数取得部は、前記位置の変化に対して前記出力値が増加又は減少する部分における座標点のうち直線状に並ぶ前記複数の座標点を選択して、当該複数の座標点に基づいて前記直線近似式を演算することを特徴とする請求項に記載の液体噴射装置。
  3. 前記暗部出力値取得部は、前記媒体の端部位置を検出するために前記キャリッジを前記移動方向に移動させる過程で、前記光学式センサーが前記媒体を検出対象としない位置で前記暗部領域を検出し、当該暗部領域を検出対象とする位置にあるときの前記受光部の出力値に基づいて前記暗部出力値を取得することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
  4. 液体噴射装置の電源投入時と前記液体噴射ヘッドが液体噴射処理を施した媒体の累積数が設定値に達した時とのうち少なくとも一方の時期に、前記キャリッジを前記移動方向に移動させる制御部を備え、
    前記暗部出力値取得部は、前記キャリッジの前記移動方向への移動過程で前記光学式センサーが前記暗部領域を検出対象とする位置にあるときの出力値に基づき前記暗部出力値を取得することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  5. 前記凸部を有する支持部と、
    前記光学式センサーによる検出が可能な位置まで前記媒体が搬送された状態で、前記移動方向に移動する前記光学式センサーの出力値と、前記媒体を検出可能かつ前記凸部を検出不能な閾値とを比較して前記媒体の端部を検出する第1検出部を更に備え、
    前記第1検出部により前記媒体の端部が検出されると、次に前記近似関数取得部、前記暗部出力値取得部及び前記端部位置検出部を含む第2検出部が前記端部位置を検出することを特徴とする請求項1乃至のいずれか一項に記載の液体噴射装置。
  6. 媒体の搬送方向と交差する移動方向に移動するキャリッジに設けられると共に、発光部及び受光部を有する光反射型の光学式センサーの位置及び出力値に基づいて、媒体の前記移動方向における端部位置を検出する液体噴射装置における媒体端部位置検出方法であって、
    前記発光部が照射した光の反射光を受光する前記受光部の受光量が前記媒体よりも少なくなるよう前記媒体を支持する複数の凸部間に設けられた暗部領域を、前記光学式センサーが検出対象とする位置にあるときの前記受光部の受光量に応じた暗部出力値を取得する暗部出力値取得ステップと、
    前記光学式センサーによる検出が可能な位置まで前記媒体が搬送された状態で、前記移動方向に移動する前記光学式センサーが媒体の端部を検出対象とする位置範囲で位置の変化に対して出力値が増加又は減少する部分における座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて近似関数を演算する近似関数取得ステップと、
    前記近似関数と前記暗部出力値とに基づいて前記媒体の端部位置を検出する端部位置検出ステップと
    を備え
    前記近似関数取得ステップでは、前記近似関数として直線近似式を演算し、
    前記直線近似式を第1直線近似式とした場合に、前記暗部出力値取得ステップでは、前記光学式センサーが前記暗部領域を検出対象とする位置にあるときの当該位置と出力値とで示される座標点を複数取得し、当該複数の座標点に基づいて第2直線近似式を演算し、
    前記端部位置検出ステップでは、前記第1直線近似式と前記第2直線近似式との交点の位置を前記端部位置として演算することを特徴とする液体噴射装置における媒体端部位置検出方法。
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