JP4306312B2 - 液体吐出装置、プログラム、液体吐出方法、印刷システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出方法、プログラム、印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
代表的な液体吐出装置であるカラーインクジェットプリンタは既によく知られている。このカラーインクジェットプリンタは、ノズルから液体の一例としてのインクを吐出するインクジェット式の吐出ヘッドの一例としての印刷ヘッドを備えており、媒体の一例としての印刷用紙にインクを吐出させることによって画像や文字等を記録する構成となっている。
そして、印刷ヘッドは、ノズルが形成されたノズル面を印刷用紙に対向させた状態でキャリッジに支持されており、ガイド部材に沿って印刷用紙の幅方向に移動(主走査)し、この主走査に同期してインクを吐出する。
また、近年、写真と同じイメージの出力結果が得られる等の理由から、印刷用紙の全表面を対象として印刷を行ういわゆる縁なし印刷が可能なカラーインクジェットプリンタが人気を集めている。縁なし印刷により、例えば、印刷用紙の四辺の縁にも余白なくインクを吐出して印刷することが可能である。
ところで、縁なし印刷の場合には、印刷用紙の全表面を対象として印刷を行うため、印刷された印刷用紙の端部に余白部分ができないようにすることが重要である。これを実現するためには、印刷用紙が曲がって(斜めに)給紙されることも考慮に入れて、印刷用紙よりやや大きめの、換言すれば、印刷用紙の大きさと比べてある程度マージンを持たせた印刷データを用意し、本印刷データに基づき印刷用紙に印刷を行う手法が有効である。
また、印刷用紙以外の領域に印刷が行われることにより無駄にインクを消費してしまうという本手法が有する問題を軽減させるために、検知手段により印刷用紙の端の位置を検知し、検知された端の位置に応じてインクを吐出させる開始位置や終了位置を変化させる方策も有効である。
そこで、以下のようなカラーインクジェットプリンタが考えられた。
このカラーインクジェットプリンタは、移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有している。そして、前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込み、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出している。これにより、縁無し印刷を実現しようとしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−103721号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようなカラーインクジェットプリンタによれば、所定量のマージンが多ければ、縁無し印刷を実現可能である。しかし、マージンが多いほど、余分なインクの消費を行うことになる。これは、カラーインクジェットプリンタ内にインクをまき散らし、その後に用紙等が汚れることになり、印刷品質を落とす事となる。
また、上記のカラーインクジェットプリンタでは、センサ等で検出した媒体の一端位置と他端位置に同じ大きさの所定量のマージンを見込む。しかし、センサが媒体の一端位置と他端位置を検出しても、それを基にカラーインクジェットプリンタが実際に認識する位置とは、ズレが生じる。これは、センサが検出してから、カラーインクジェットプリンタの制御回路に所定のサンプリング周期で検出結果が送られるためである。そのため、一端位置と他端位置では、実際に打ち漏らされるインク量が異なっている。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクを打ち漏らす量を最小限に抑えて、完全な縁無し印刷を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための主たる発明は、移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の側端のうちの一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置において、前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれ、前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれない、ことを特徴とする液体吐出装置。
【0006】
【発明の実施の形態】
『開示の概要』
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0007】
移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置において、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なることを特徴とする液体吐出装置。
【0008】
このような液体吐出装置によれば、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なるから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な液体吐出装置を実現できる。
【0009】
また、かかる液体吐出装置において、前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンが含まれ、前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンが含まれない、としてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンが含まれ、前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンが含まれないから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な液体吐出装置を実現できる。
【0010】
また、かかる液体吐出装置において、前記一端位置は、前記センサが前記記録媒体の外側から前記記録媒体上に移動する際に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記検出手段が検出する位置であり、前記他端位置は、前記センサが前記記録媒体上から前記記録媒体の外側に移動する際に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記検出手段が検出する位置である、としてもよい。
このような液体吐出装置によれば、かかる液体吐出装置において、前記一端位置は、前記センサが前記記録媒体の外側から前記記録媒体上に移動する際に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記検出手段が検出する位置であり、前記他端位置は、前記センサが前記記録媒体上から前記記録媒体の外側に移動する際に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記検出手段が検出する位置であるから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑えられる。
【0011】
また、かかる液体吐出装置において、前記センサは往路と復路とで移動し、前記検出手段は、前記センサが前記往路と前記復路とを移動する毎に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記一端位置と前記他端位置とを検出するとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記センサは往路と復路とで移動し、前記検出手段は、前記センサが前記往路と前記復路とを移動する毎に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記一端位置と前記他端位置とを検出するから、センサの移動毎に液体を打ち漏らす量を調整でき、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑えられる。
【0012】
また、かかる液体吐出装置において、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンは、前記移動の速度が増減すると、それに比例して増減するとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンは、前記移動の速度が増減すると、それに比例して増減するから、センサの移動速度の増減に対応した適切なマージン量を見込め、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑えられる。
【0013】
また、かかる液体吐出装置において、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンは、前記移動の速度が前記センサの前記往路又は前記復路での移動毎に増減すると、それに比例して増減するとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンは、前記移動の速度が前記センサの前記往路又は前記復路での移動毎に増減すると、それに比例して増減するから、センサが往路と復路で移動速度が増減しても、それに対応した適切なマージン量を見込め、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑えられる。
【0014】
また、かかる液体吐出装置において、前記記録媒体を搬送するための媒体搬送手段を有し、前記媒体搬送手段により前記記録媒体を搬送する動作と、前記吐出ヘッドから前記記録媒体に液体を吐出する動作と、前記検出手段により前記記憶媒体の前記一端位置及び前記他端位置を検出する動作と、を繰り返すとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記記録媒体を搬送するための媒体搬送手段を有し、前記媒体搬送手段により前記記録媒体を搬送する動作と、前記吐出ヘッドから前記記録媒体に液体を吐出する動作と、前記検出手段により前記記憶媒体の前記一端位置及び前記他端位置を検出する動作と、を繰り返すから、記憶媒体の搬送に対応した適切なマージン量を見込め、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑えられる。
【0015】
また、かかる液体吐出装置において、前記センサは、光を発する発光素子と、前記光を受ける受光素子と、を備えたこととしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記センサは、光を発する発光素子と、前記光を受ける受光素子と、を備えているから、記憶媒体の一端位置と他端位置を精度よく検知できる。
【0016】
また、かかる液体吐出装置において、前記液体はインクであり、前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドから前記インクを吐出することにより前記記録媒体に印刷を行う印刷装置である、こととしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、前記液体はインクであり、前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドから前記インクを吐出することにより前記記録媒体に印刷を行う印刷装置であるから、記憶媒体に吐出するインクの打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な印刷装置を実現できる。
【0017】
さらに、移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、
前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出方法において、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なることを特徴とする液体吐出方法。
このような液体吐出方法によれば、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なるから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な液体吐出方法を実現できる。
【0018】
さらに、移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置に、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とを異ならせるためのプログラム。
このようなプログラムによれば、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とを異ならから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能なプログラムを実現できる。
【0019】
さらに、コンピュータ、並びに、このコンピュータに接続可能な液体吐出装置であって、移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置、を有する印刷システムにおいて、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なることを特徴とする印刷システム。
このような印刷システムによれば、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なるから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な印刷システムを実現できる。
【0020】
『本発明の実施例』
以下、本発明の実施の形態を、以下の順序で説明する。
A.第1の実施形態
A1.カラーインクジェットプリンタの概略
A2.給紙・搬送・排紙部
A3.キャリッジ周辺部
A4.印刷ヘッドの構成
A5.印刷ヘッドの駆動
A6.反射型光学センサ
A7.制御回路
A8.紙の端部検知
A9.カラーインクジェットプリンタの印刷方法
B.印刷システム
C.その他の実施形態
【0021】
===A.第1の実施形態===
『A1.カラーインクジェットプリンタの概略』
続いて、「液体吐出装置」と「印刷装置」の一例としてのカラーインクジェットプリンタについて図1を参照しつつ説明する。図1は、カラーインクジェットプリンタの外観を示した図である。
【0022】
このカラーインクジェットプリンタ1は、カラー画像の出力が可能なインクジェットプリンタであり、例えば、「液体」の一例であるシアン(C)、ライトシアン(薄いシアン、LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンダ(薄いマゼンタ、LM)、イエロ(Y)、ブラック(K)の6色の色インクを「記録媒体」の一例としてのカット紙などの印刷用紙(以下、単に用紙という)上に吐出してドットを形成することによって画像を形成するインクジェット方式のプリンタである。なお、色インクとして、上記6色に加えて、ダークイエロ(暗いイエロ、DY)を用いても良い。
【0023】
図1に示すように、カラーインクジェットプリンタ1は、背面側上方から供給された用紙を前面から排出する給紙構造を備えている。プリンタ本体1の前面には操作パネル2、排紙部3が備えられ、背面には給紙部4が備えられている。操作パネル2には、各種操作ボタン2A、表示ランプ2Bが設けられている。排紙部3は、不使用時に排紙口を塞ぐ排紙トレー3Aが備えられている。給紙部4には、図示していない用紙を保持する給紙トレー13が備えられている。
【0024】
また、カラー(シアン、ライトシアン、マゼンダ、ライトマゼンダ、イエロ)用のインク・カートリッジINC1とブラック用のインク・カートリッジINC2を取り付け可能なインク・カートリッジ着脱部8が備えられている。そして、2つのインク・カートリッジINC1とINC2は、それぞれ独立で着脱部8に対して着脱可能である。
【0025】
『A2.給紙・搬送・排紙部』
続いて、カラーインクジェットプリンタ1の給紙・搬送・排紙部について図2を参照しつつ説明する。図2は、カラーインクジェットプリンタ1の要部断面図である。本実施形態のカラーインクジェットプリンタ1は、特に、ストレートパスと呼ばれるもう1つの給紙経路(図1には示していない)を有する構成のものである。これは、厚紙などの一定の厚さや硬さを有する用紙を手差しにより供給する給紙機構である。このストレートパス機構では、CD−Rなどの変則的な寸法、形状の用紙に対しても、用紙搬送用トレーに載置して供給することにより、印刷を行うことが可能である。
【0026】
カラーインクジェットプリンタ1には、用紙に印刷を行う手段として、摺動軸54に軸支され、摺動軸方向(主走査方向)に移動するキャリッジ51が設けられており、このキャリッジ51には、用紙にインクを吐出して印刷を行う「吐出ヘッド」の一例としての印刷ヘッドIH1〜IH6が搭載されている。印刷ヘッドIH1〜IH6と対向して、印刷ヘッドIH1〜IH6のヘッド面と用紙とのギャップを規定するプラテン21が設けられている。そして、キャリッジ51を主走査方向に搬送し、用紙をキャリッジ51とプラテン21との間で副走査方向Yに間欠的に搬送しながら、印刷ヘッドIH1〜IH6が用紙にインクを吐出することによって、用紙に印刷が行われる。
【0027】
給紙トレー13は、用紙を供給することが可能な構成であり、用紙を自動供給するためのASF(オート・シート・フィーダー)が設けられている。ASFは、給紙トレー13に設けられた給紙ローラ11、及び図示していない分離パッドを有する自動給紙機構である。給紙ローラ11は、略D形の横断面形状を有しており、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御される。そして、給紙ローラ11の回転駆動力と分離パッドの摩擦抵抗によって、複数の用紙が一度に給紙されることを防ぐ。
【0028】
そして、矢印Aで示した経路に沿ってASFにより自動給紙された用紙は、給紙ローラ11より副走査方向Yの下流側に配設された「媒体搬送手段」により、印刷実行領域に向けて、所定の紙送り量で間欠的に搬送される。
【0029】
用紙Pを副走査方向Yに間欠的に搬送し、位置決めする「媒体搬送手段」の一例として、搬送駆動ローラ24Aと搬送従動ローラ25Aが設けられている。搬送駆動ローラ24Aは、ステッピング・モータ等の紙送りモータにより回転制御され、用紙は搬送駆動ローラ24Aの回転により副走査方向Yに搬送される。搬送従動ローラ25Aは、複数の搬送従動ローラホルダ26に軸支されている。用紙が搬送駆動ローラ24Aの回転により搬送される際に、搬送従動ローラ25Aは、従動して回転する。
【0030】
また、給紙ローラ11と搬送駆動ローラ24Aとの間には、紙検出センサ63が設けられている。紙検出センサ63は、立位姿勢への自己復帰習性が付与され、かつ記録紙搬送方向にのみ回動し得るよう用紙の搬送経路内に突出する状態で枢支されたレバー63Aを有する。このレバー63Aの先端が用紙に押されることにより、レバー63Aが回動し、それによって用紙が検出される構成である。紙検出センサ63は、給紙ローラ11より給紙された用紙の始端位置、及び終端位置を検出し、その検出位置に合わせて印刷領域が決定され、印刷が実行される。
【0031】
一方、印刷された用紙を排紙する手段として、排紙駆動ローラ24Bと排紙従動ローラ25Bが設けられている。排紙駆動ローラ24Bは、ステッピング・モータ等の回転駆動力により回転制御され、排紙駆動ローラ24Bの回転により、媒体は副走査方向Yに排紙される。排紙従動ローラ25Bは、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が媒体の記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラであり、それぞれ、媒体が排紙駆動ローラ24Bの回転により排紙される際に従動して回転する。
【0032】
さらに、カラーインクジェットプリンタ1には、上述したASFによる給紙経路(符号Aの矢印で示した経路)とは別に、例えばCD−R(Compact Disk Recordable)など、柔軟性の少ない被印刷体などを供給するための給紙路が設けられている。図中、この給紙路を符号Bの矢印で示している。そして、カラーインクジェットプリンタ1は、この矢印Bの給紙路から給紙された用紙に対しても、前記ASFから給紙された用紙と同様に印刷を実行することができる。
【0033】
さらに、カラーインクジェットプリンタ1は、図示していないが、搬送従動ローラレリース機構を備えている。用紙をセット位置にセットする際に、搬送従動ローラ25Aを搬送駆動ローラ24Aから離間させた状態(レリース状態)に保持し、媒体を給紙路に挿入して印刷セット位置にセットし、印刷セット位置への位置合わせ完了後に、そのレリース状態を解除し、搬送従動ローラ25Aが搬送駆動ローラ24Aによって付勢される状態に復帰する。
【0034】
『A3.キャリッジ周辺部』
続いて、カラーインクジェットプリンタ1内部のキャリッジ51及びその周辺の構成について、図3を参照しつつ説明する。図3は、カラーインクジェットプリンタのキャリッジ51周辺の構成を示した図である。
【0035】
図3に示すように、キャリッジ51は、駆動ベルト55によりプーリ56を介してキャリッジモータ81に接続され、摺動軸54に案内されてプラテン21に平行に移動するように駆動される。キャリッジ51の媒体に対向する面には、ブラックインクを吐出するノズル列及びカラーインクを吐出するノズル列を有する「吐出ヘッド」の一例である印刷ヘッドIH1〜IH6が設けられ、各ノズルはインク・カートリッジINC1、INC2からインクの供給を受けて媒体にインク滴を吐出し、文字や画像を印刷する。
【0036】
また、キャリッジ51の非印字領域には、非印字時に印刷ヘッドIH1〜IH6のノズル開口を封止するためのキャッピング装置45と、図示しないポンプモータを有するポンプユニット46とが設けられている。キャリッジ51が印字領域から非印字領域に移動すると、図示しないレバーにキャリッジ51が当接して、キャッピング装置45が上方に移動し、印刷ヘッドIH1〜IH6を封止する。
【0037】
印刷ヘッドIH1〜IH6のノズル開口列に目詰まりが生じた場合や、インク・カートリッジINC1、INC2の交換等を行って印刷ヘッドIH1〜IH6から強制的にインクを吐出する場合は、印刷ヘッドIH1〜IH6を封止した状態でポンプユニット46を作動させ、ポンプユニット46からの負圧により、ノズル開口列からインクを吸い出す。これにより、ノズル開口列の近傍に付着している塵埃や紙粉が洗浄され、さらには印刷ヘッドIH1〜IH6内の気泡がインクとともにキャップ47に排出される。
【0038】
『A4.印刷ヘッドの構成』
次に、印刷ヘッドの構成について、図4A〜図6をも参照しつつ説明する。図4Aは、印刷ヘッドの内部の断面図を示した図である。図4Bは、印刷ヘッドの内部概略構成を示した図である。図5Aは、ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を示した説明図である。図5Bは、ピエゾに電圧が印可された時に、インクがノズルから吐出する様子を示した図である。図6は、印刷ヘッドIH1〜IH6におけるインクジェットノズルNzの配列を示した図である。
【0039】
キャリッジ51(図3参照)には、黒インク(K)用のカートリッジINC2とシアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロ(Y)の5色のインクを収納したカラーインク用カートリッジINC1が搭載可能である。
【0040】
キャリッジ51の下部には計6個の印刷ヘッドIH1〜IH6が設けられており、キャリッジ51の底部には、この各色用印刷ヘッドにインクタンクからのインクを導く導入管97(図4A参照)が設けられている。キャリッジ51に黒(K)インク用のカートリッジINC2およびカラーインク用カートリッジINC1を上方から装着すると、各カートリッジに設けられた接続孔に導入管97が挿入され、各インクカートリッジから印刷ヘッドIH1〜IH6へのインクの供給が可能となる。
【0041】
インク用カートリッジINC1、INC2がキャリッジ51に装着されると、図4Aに示すようにインク用カートリッジ内のインクが導入管97を介して吸い出され、キャリッジ51下部に設けられた印刷ヘッドIH1〜IH6に導かれる。
【0042】
キャリッジ51下部に設けられた各色の印刷ヘッドIH1〜IH6には、ノズル毎に、電歪素子の一つであって応答性に優れたピエゾ素子PEが配置されている。そして、図5Aに図示するように、ピエゾ素子PEは、ノズルNzまでインクを導くインク通路98に接する位置に設置されている。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。本実施例では、ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加することにより、図5Bに示すように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路98の一側壁を変形させる。この結果、インク通路98の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴Ipとなって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク滴Ipがプラテン21に装着された用紙Pに染み込むことにより、ドットが形成されて印刷が行われる。
【0043】
図6に示すように、印刷ヘッドIH1〜IH6におけるインクジェットノズルNzの配置は、ブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンダ(LM)、イエロ(Y)各色ごとにインクを吐出する6組のノズルアレイから成っており、それぞれ48個のノズルNzが一定のノズルピッチkで一列に配列されている。
【0044】
以上説明したハードウェア構成を有するカラーインクジェットプリンタ1は、紙送りモータ83により用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ51をキャリッジモータ81により往復動させ、同時に印刷ヘッドIH1〜IH6のピエゾ素子PEを駆動して、各色インクの吐出を行い、ドットを形成して用紙P上に多色の画像を形成する。
【0045】
なお、ここでは、既に述べた通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンタ22を用いているが、吐出駆動素子としては、ピエゾ素子以外の種々のものを利用することが可能である。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプの吐出駆動素子を備えたプリンタに適用することも可能である。
【0046】
『A5.印刷ヘッドの駆動』
次に、印刷ヘッドIH1〜IH6の駆動について、図7を参照しつつ説明する。図7は、ヘッド駆動回路(図9参照)内に設けられた駆動信号発生部の構成を示したブロック図である。
【0047】
図7において、駆動信号発生部は、複数のマスク回路204と、原駆動信号発生部206と、駆動信号補正部230とを備えている。マスク回路204は、印刷ヘッドIH1のノズルn1〜n48をそれぞれ駆動するための複数のピエゾ素子に対応して設けられている。なお、図7において、各信号名の最後に付されたかっこ内の数字は、その信号が供給されるノズルの番号を示している。原駆動信号発生部206は、ノズルn1〜n48に共通に用いられる原駆動信号ODRVを生成する。この原駆動信号ODRVは、一画素分の主走査期間内に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。駆動信号補正部230は、マスク回路204が整形した駆動信号波形のタイミングを復路全体で前後にずらし、補正を行う。この駆動信号波形のタイミングの補正によって、往路と復路におけるインク滴の着弾位置のズレが補正される、すなわち、往路と復路におけるドットの形成位置のズレが補正される。
【0048】
『A6.反射型光学センサ』
次に、「検出手段」の一例として、反射型光学センサについて説明する。図8は、反射型光学センサ64を説明するための模式図である。
【0049】
反射型光学センサ64は、発光ダイオードから構成される発光手段の一例としての発光素子64Aと、例えばフォトトランジスタから構成される受光センサの一例としての受光素子64Bを有している。発光素子64Aから発した光、すなわち入射光は、用紙Pや発せられた光の進行方向に用紙Pがない場合にはプラテン21により反射され、その反射光は受光素子64Bで受光され、電気信号に変換される。そして、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値として、電気信号の大きさが測定される。
【0050】
また、上記においては、受光した反射光の強さを得るために、反射光を電気信号に変換した後に電気信号の大きさを測定することとしたが、これに限定されるものではなく、受光した反射光の強さに応じた受光センサの出力値を測定することができればよい。
【0051】
『A7.制御回路』
続いて、カラーインクジェットプリンタ1の制御回路70の内部構成について図9を参照しつつ説明する。図9は、カラーインクジェットプリンタ1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【0052】
このカラーインクジェットプリンタ1は、コンピュータ1102から供給された信号を受信するバッファメモリ79と、印刷データを格納するイメージバッファ72と、カラーインクジェットプリンタ1全体の動作を制御するシステムコントローラ71と、メモリ73とを備えている。システムコントローラ71には、さらに、キャリッジモータ81を駆動する主走査駆動回路77と、紙送りモータ83を駆動する副走査駆動回路78と、印刷ヘッドIH1〜6を駆動するヘッド駆動回路74と、反射型光学センサ64の発光部64A、受光部64Bを制御する反射型光学センサ制御回路75と、リニア式エンコーダ61と、が接続されている。また、反射型光学センサ制御回路75は、受光部64Bにより受光される反射光から変換される電気信号を測定するための電気信号測定部76を備えている。
【0053】
コンピュータ1102から転送された印刷データは、一旦、バッファメモリ79に蓄えられる。カラーインクジェットプリンタ1内では、システムコントローラ71が、バッファメモリ79から印刷データの中から必要な情報を読み取り、これに基づいて、主走査駆動回路77、副走査駆動回路78、ヘッド駆動回路74等に対して制御信号を送る。
【0054】
イメージバッファ72には、バッファメモリ79で受信された複数の色成分の印刷データが格納される。ヘッド駆動回路74は、システムコントローラ71からの制御信号に従って、イメージバッファ72から各色成分の印刷データを読出し、これに応じて印刷ヘッドIH1〜6に設けられた各色のノズルアレイを駆動する。
【0055】
なお、この際、反射型光学センサ制御回路75内の電気信号測定部76は、反射型光学センサ64の受光部64Bにより検出した用紙Pの左端位置と右端位置の検出結果を、所定のサンプリング周期で得ている。そして、この用紙Pの左端位置と右端位置の検出結果と、システムコントローラ71を経由して、前述したコンピュータ1102から転送された印刷データとに基づいて、所定量のマージンが含まれた印刷データが作成される。この所定量のマージンが含まれた印刷データを基に、印刷ヘッドIH1〜6は、用紙Pにインクを吐出する。
【0056】
『A8.縁無し印刷時の紙の端部処理』
続いて、縁無し印刷時の紙の端部処理について説明する。以下では、▲1▼従来の縁無し印刷時の用紙の端部処理の仕方とその問題点、▲2▼本発明の縁無し印刷時の用紙の端部処理、に分けて説明する。特に、▲2▼本発明の縁無し印刷時の紙の端部処理、が本発明の特徴部分の説明に該当する。
【0057】
<従来の縁無し印刷時の用紙の端部処理の仕方とその問題点>
まず、従来の縁無し印刷時の用紙Pの端部処理について、図10A〜図12Bを参照しつつ説明する。図10Aは、反射型光学センサ64が用紙P上を移動する様子を示す図である。図10Bは、従来の縁無し印刷時の用紙Pの端部処理を示す図である。図11は、用紙Pに対する反射型光学センサ64の位置と、その位置で反射型光学センサ64が検出する電気信号の大きさを示した図である。図12Aは、従来の端部処理により、カラーインクジェットプリンタ1が認識する用紙Pの左端と右端の位置を示す図である。図12Bは、実際の用紙Pに対する印刷領域を示した図である。
【0058】
図10Aに示すように移動可能な反射型光学センサ64は、移動することにより用紙Pの左端Lと右端Rを検出する。そして、プリンタ内の制御回路70は、反射型光学センサ64によって検出された情報を基に、図10Bに示すように、用紙Pの左端LLと紙の右端RRを認識する。この場合、反射型光学センサ64が用紙Pの送り方向(図中の副走査方向)に対して、左から右へ移動している。ここで、左端LLと右端RRとは、後述するが、用紙Pの実際の左端Lと右端Rと異なる位置を示す。そして、この認識された用紙Pの左端LLと右端RRに対して、所定量のマージンであるΔxだけ印刷領域を広くして印刷を行う。これにより、縁無し印刷を実現している。ここで、Δxは、例えば、用紙Pの曲がりや反射型光学センサ64の検知時の誤差等を見込んだ値である。そして、Δxは、かなり余裕をもった値である。確実に縁無し印刷を実現しようとするからである。
【0059】
しかし、上記のような用紙の端部処理の仕方だと、以下のような問題点がある。図11を参照しつつ説明する。ここで、電気信号の大きさとは、反射型光学センサ64の受光部64Bの出力値をいう。そして、この電気信号の大きさは電気信号測定部76により測定される。電気信号の大きさがH(図11参照)の時が、反射型光学センサ64が用紙P上にあることを意味する。なお、反射型光学センサ64は用紙Pの送り方向(図10の副走査方向)に対して、左から右へ移動している。そして、図11に示すように、反射型光学センサ64が用紙Pの左端Lと右端Rを検出した結果は、ある定まったサンプリング周期(図11において、2つの1点斜線で囲んだ範囲)毎に、制御回路70に送られる。
【0060】
この時、反射型光学センサ64が用紙Pの実際の左端Lと右端Rを検知してから、その検出結果が制御回路70に転送される際に遅れ(図11中の、ΔT1とΔT2分)が生じ、位置のズレが生じる。なお、ΔT1とΔT2は、それぞれ時間を意味する。そのため、用紙Pの実際の左端L又は右端Rは、反射型光学センサ64が検出し制御回路70が認識した位置である左端LLと右端RRと、異なるものとなる。
【0061】
そして、このズレ量は、反射型光学センサ64が取り付けられているキャリッジ51の移動速度に依存する。つまり、キャリッジ51の移動速度が大きいほど、ズレ量は大きくなる。具体的には、キャリッジの移動速度をVとすると、制御回路70は、左端Lは(V×ΔT1)だけ位置がずれた左端LLと認識し、右端Rは(V×ΔT2)だけ位置がずれた右端RRと認識する。
【0062】
図12Aに示すように、反射型光学センサ64が用紙Pの送り方向に対して、左から右へ移動する際、制御回路70による用紙Pの左端Lと右端Rの認識に違いが生じる。制御回路70が認識する用紙Pの左端LLの位置は、実際の用紙Pの左端Lに対して、最大αだけ用紙Pの内側に移動した位置となる。一方、制御回路70が認識する用紙Pの右端RRの位置は、実際の用紙Pの右端Rに対して、最大αだけ用紙Pの外側に移動した位置となる。ここで、αとは、キャリッジ51の移動速度をVと、図11に示すサンプリング周期Tと用いて、V×Tと表せる。ここで、ΔT1やΔT2を用いず、サンプリング周期Tを用いているのは、例えば、図11で左端Lの位置が左隣の一点斜線側に位置すれば、ΔT1の値はサンプリング周期Tの値に近づくので、一番位置のズレが大きい時を見込んだためである。
【0063】
制御回路70が認識した位置である左端LLと右端RRが、左端Lと右端Rに対してαだけ移動した場合の実際の印刷領域について説明する。図12Bで斜線の部分が、実際の印刷領域を示している。ここで、αとΔxとの関係は、α>Δxである。その場合、用紙Pの左端Lの部分では、(α―Δx)の分だけ、印刷されない領域が生じる。つまり、縁無し印刷が実現されない。一方、用紙Pの右端Rの部分では、(α+Δx)の分だけ、余計に印刷される領域が生じる。つまり、この領域の分だけインクを無駄にしてしまう。
【0064】
なお、上記では、反射型光学センサ64が用紙Pの送り方向に対して、左から右へ移動する際について説明したが、反射型光学センサ64が用紙Pの送り方向に対して、右から左へ移動する場合においても同じような問題点が生じる。つまり、用紙Pの右端Rの部分で、(α―Δx)の分だけ、印刷されない領域が生じる。一方、用紙Pの左端Rの部分で、(α+Δx)の分だけ、余計に印刷されてしまう。
【0065】
一方で、αとΔxの関係が、α<Δxの場合について、説明する。この場合、図12Bに示すような、左端Lにおいて印刷されないという事は防ぐことはできる。しかし、右端では、Δxが大きくなる分、α>Δxの場合の時よりも余計にインクを打つことになってしまう。これは、無駄にインクが消費されると共に、カラーインクジェットプリンタ1の装置内が、インクで汚れてしまう。
【0066】
<本発明の縁無し印刷時の紙の端部処理>
続いて、本発明の縁無し印刷時の紙の端部処理について、図13A〜図14Bを参照しつつ説明する。図13Aは、反射型光学センサが紙送り方向に対して、左から右へ移動する際に、用紙Pの一端位置と他端位置を検出する様子を示す図である。図13Bは、反射型光学センサが紙送り方向に対して、右から左へ移動する際に、用紙Pの一端位置と他端位置を検出する様子を示す図である。図14Aは、本発明に係る端部処理により、用紙Pの左端LLと右端RRに所定量のマージンを見込む様子を示す図である。図14Bは、本発明に係る端部処理による、実際の用紙Pに対する印刷領域を示した図である。
【0067】
本発明は、上記の従来の縁無し印刷時の用紙の端部処理における、一端では印刷されない部分が生じ、他端では余計に印刷される部分が生じるという問題を解決しようとするものである。そして解決策とは、用紙Pに対する反射型光学センサ64の移動方向によって、用紙の左端Lと右端Rに対するマージンの量を異なるようにすることである。以下、その解決策について詳細に説明する。
【0068】
図13Aは、反射型光学センサ64が紙送り方向に対して、左から右へ移動する際に、用紙Pの一端位置と他端位置を検出する様子を示している。ここで、用紙Pの「一端位置」は、反射型光学センサ64から発せられた光の照射対象がプラテン21から用紙Pの紙面に変化する際の、用紙Pの左端L又は右端Rのいずれかである。一方、用紙Pの「他端位置」は、反射型光学センサ64から発せられた光の照射対象が用紙Pの紙面からプラテン21に変化する際の、用紙Pの左端L又は右端Rのいずれかである。図13Aでは、反射型光学センサ64から発せられた光の照射対象がプラテン21から用紙Pの紙面に変化するので、左端L側(この場合、左端LL)が一端位置(図中の▲1▼)となる。一方、反射型光学センサ64から発せられた光の照射対象が用紙Pの紙面からプラテン21に変化するので、右端R側(この場合、右端RR)が他端位置(図中の▲2▼)となる。
【0069】
図13Bは、反射型光学センサ64が紙送り方向に対して、右から左へ移動する際に、用紙Pの一端位置と他端位置を検出する様子を示している。図13Bでは、反射型光学センサ64から発せられた光の照射対象がプラテン21から用紙Pの紙面に変化するので、右端R側(この場合、右端RR)が一端位置(図中の▲3▼)となる。一方、反射型光学センサ64から発せられた光の照射対象が用紙Pの紙面からプラテン21に変化するので、左端L側(この場合、左端LL)が他端位置(図中の▲4▼)となる。
【0070】
続いて、反射型光学センサ64が紙送り方向に対して、左から右へ移動する際に、制御回路70が認識した用紙Pの左端LLと右端RRに対する、マージンを見込む量の違いについて、図14Aを参照しながら説明する。なお、本発明の特徴は、用紙Pの「一端位置」と「他端位置」に見込むマージン量が異なることにある。つまり、用紙Pの「一端位置」に対しては、キャリッジ51の移動速度及びサンプリング周期に応じたマージンが見込まれ、用紙Pの「他端位置」に対しては、キャリッジ51の移動速度及びサンプリング周期に応じたマージンが見込まれない。
【0071】
前述したように、左端LLが一端位置と検出されたので、この左端LLに対しては、所定量のマージンΔzを見込む。一方、右端RRが他端位置と検出されたので、この右端RRに対しては、所定量のマージンΔzを見込まない。
【0072】
図11を用いて、所定量のマージンΔzについて、さらに説明する。用紙Pの左端LLと右端RRに対して見込む所定量のマージンΔzは、キャリッジ51の移動速度をVと、図11に示すサンプリング周期Tと用いて、V×Tと表せる。ここで、ΔT1やΔT2を用いず、サンプリング周期Tを用いているのは、例えば、図11で左端Lの位置が左隣の一点斜線側に位置すれば、ΔT1の値はサンプリング周期Tの値に近づくので、それを見込んだためである。この時、Δzと前述したαとは同じ値になる。これにより、用紙Pに印刷した時に、余白が出来ることを抑える事ができる。
【0073】
そして、左端LLと右端RRの両方に対して、同じ量である他の所定量のマージンΔyを見込む。ここで、Δyとは、例えば、用紙Pの曲がりや反射型光学センサ64の検知時の誤差等を見込んだ値である。なお、ΔxとΔyの大小関係は、Δx>Δyである。なぜなら、Δyには、所定量のマージンΔzを含んでいないので、これを含む従来のマージン量であるΔxよりも小さい。
【0074】
上述したマージンであるΔz、Δyを見込んだ場合の実際の印刷領域について、図14Bを参照しつつ説明する。まず、用紙Pの左端L側について説明する。前述したように用紙Pの左端LLには、ΔzとΔyのマージンが見込まれる。そして、制御回路70は、用紙Pの左端Lを反射型光学センサ64で検出した場合、最大でαだけ用紙Pの内側に左端LLを認識してしまう。そのため、実際に印刷ヘッドIH1〜6によって印刷される印刷領域の左端は、実際の用紙Pの左端Lに対して{(Δz+Δy)−α}、すなわちΔyだけ外側に位置する。Δz=αの関係が成立するからである。これにより、従来の縁無し印刷では、印刷されないという問題を解決することができる。
【0075】
次に、用紙Pの右端R側について説明する。前述したように用紙Pの右端RRには、Δyのマージンだけが見込まれる。そして、制御回路70は、用紙Pの右端Rを反射型センサ64検出した場合、最大でαだけ用紙Pの外側に左端RRを認識してしまう。そのため、実際に印刷ヘッドIH1〜6によって印刷される印刷領域の右端は、実際の用紙Pの右端Rに対して(α+Δy)だけ外側に位置する。従来の縁無し印刷では、実際の用紙Pの右端Rに対して(α+Δx)だけ外側に位置していた。前述したように、ΔyとΔxの関係は、Δy<Δxなので、本発明の縁無し印刷時の用紙の端部処理では、従来より用紙Pの紙面上側に位置している。このため、余計なインクの消費を抑えられる。
【0076】
なお、上記では、反射型光学センサ64が紙送り方向に対して、左から右へ移動する場合の、実際の印刷領域を説明したが、反射型光学センサ64が紙送り方向に対して、右から左で移動する場合において、実際の印刷領域も同様な効果を得られる。つまり、実際の用紙Pの左端Lに対して、実際の印刷領域の左端は、用紙Pの左端Lに対して(α+Δy)だけ外側に位置している。一方、実際の用紙Pの右端Rに対して、実際の印刷領域の右端は、用紙Pの右端Rに対して{(Δz+Δy)−α}、すなわちΔyだけ外側に位置する。
【0077】
『A9.カラーインクジェットプリンタの印刷方法』
続いて、カラーインクジェットプリンタ1の「液体吐出方法」の一例としての印刷方法について、図15を参照しつつ、説明する。図15は、カラーインクジェットプリンタ1の印刷方法を説明するためのフロー図である。
【0078】
以下に説明されるカラーインクジェットプリンタ1の各種の動作は、プリンタ内の制御回路70によって実現される。本実施の形態では、メモリ73に格納されたプログラムをシステムコントローラ71が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0079】
先ず、最初に、ユーザが印刷を行う旨を指示する(ステップS100)。それにより、コンピュータ1102にある図示しないプリンタドライバは、印刷データを各種コマンドとともに、カラーインクジェットプリンタ1に供給する。カラーインクジェットプリンタ1は、これらを、バッファメモリ79により受信した後に、イメージバッファ72又はシステムコントローラ71へ送信する。また、この場合、ユーザは用紙Pのサイズや縁無し印刷を行う旨を指示することが可能である。
【0080】
カラーインクジェットプリンタ1は、システムコントローラ71に送信された命令に基づいて、副走査駆動回路78により紙送りモータ83を駆動させる等して、印刷用紙Pの給紙を行う(ステップs102)。
【0081】
そして、システムコントローラ71は、印刷用紙Pを紙送り方向へ送りつつ、キャリッジ51を主走査方向に移動させて、キャリッジ51に備えられた印刷ヘッドIH1〜6からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップs104、ステップs106)。なお、印刷用紙Pの紙送り方向への送りは、副走査駆動回路78により紙送りモータ83を駆動させて、キャリッジ51の主走査方向への移動は、主走査駆動回路77によりキャリッジモータ81を駆動させて、印刷ヘッドIH1〜6からのインクの吐出は、ヘッド駆動回路74により印刷ヘッドIH1〜6を駆動させて、それぞれ行われる。
【0082】
カラーインクジェットプリンタ1は、ステップs104及びステップs106の動作を継続して行うが、例えば、主走査方向へのキャリッジ51の移動回数が所定回数に達した場合(ステップs108)には、次の主走査方向へのキャリッジ51の移動からは以下の動作を行う。
【0083】
次に、システムコントローラ71は、反射型光学センサ制御回路75により、キャリッジ51に備えられた反射型光学センサ64を制御し、当該反射型光学センサ64の発光部64Aからプラテン21に向けて光を発する(ステップs110)。
【0084】
次に、システムコントローラ71は、キャリッジ51の移動方向を記憶する(ステップs112)。一端位置と他端位置は、キャリッジ51の移動方向によって変わるからである。これによって、用紙Pの左端Lと右端Rが、一端位置と他端位置のいずれに該当するかがわかる。
【0085】
次に、システムコントローラ71は、キャリッジ51に備えられた印刷ヘッドIH1〜6からインクを吐出して縁なし印刷を行うために、主走査駆動回路77によりキャリッジモータ81を駆動させてキャリッジ51を移動させる(ステップs114)。そして、印刷ヘッドIH1〜6は、吐出開始位置にて、インクの吐出を開始する(ステップs116)。なお、次のパス以降では、この吐出開始位置は、後述するステップs136で求められた吐出開始位置となる。
【0086】
次に、システムコントローラ71は、ステップs112で記憶したキャリッジ51の移動方向を判定する(ステップs118)。一端位置と他端位置を求める際の、前提条件だからである。
【0087】
ここで、キャリッジ51の移動方向が紙送り方向(副走査方向)に対して左から右への場合(ステップs116)、上記発光部64Aから発光された光が印刷用紙Pの側端を遮ることとなる(ステップs120)。このときに、発光部64Aから発せられた光の入射先は、プラテン21から印刷用紙Pに変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ64の受光部64Bの出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部76により測定し、前記光が印刷用紙Pの側端を通過したことを検知する。
【0088】
そして、リニア式エンコーダ61の出力パルスに基づいてキャリッジモータ81の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ51の位置を記憶する(ステップs160)。そして、ステップs116で判定した移動方向とステップs160で求めた位置より、その位置が一端位置であると記憶する(ステップs162)。そして、一端位置に見込むマージンの量を決定する(ステップs164)。
【0089】
次に、前述したステップs160、s162及びステップs164の後においても、システムコントローラ71は、キャリッジ51を移動させて、当該キャリッジ51に備えられた印刷ヘッドIH1〜6からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップs122)。
【0090】
次に、キャリッジ51の移動により、上記発光部64Aから発光された光が印刷用紙Pの側端を遮ることとなる(ステップs124)。このときに、発光部64Aから発せられた光の入射先は、印刷用紙Pからプラテン21に変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ64の受光部64Bの出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部76により測定し、前記光が印刷用紙Pの側端を通過したことを検知する。
【0091】
そして、リニア式エンコーダ61の出力パルスに基づいてキャリッジモータ81の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ51の位置を記憶する(ステップs170)。そして、ステップs116で判定した移動方向とステップs170で求めた位置より、その位置が他端位置であると記憶する(ステップs172)。そして、他端位置に見込むマージンの量を決定する(ステップs174)。
【0092】
次に、前述したステップs170、s172及びステップs174の後においても、システムコントローラ71は、キャリッジ51を移動させて、当該キャリッジ51に備えられた印刷ヘッドIH1〜6からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップs126)。そして、吐出終了位置にて、印刷ヘッドIH1〜6は、インクの吐出を終了する(ステップs128)。なお、次のパス以降では、この吐出終了位置は、後述するステップs136で求められた吐出終了位置となる。
【0093】
次に、システムコントローラ71は、キャリッジモータ81を駆動させて、キャリッジ51を移動させ、また、紙送りモータ83を駆動させて、印刷用紙Pを所定量紙送りする(ステップs130)。
【0094】
一方で、キャリッジ51の移動方向が紙送り方向に対して右から左への場合(ステップs116)、上記発光部64Aから発光された光が印刷用紙Pの側端を遮ることとなる(ステップs220)。このときに、発光部64Aから発せられた光の入射先は、プラテン21から印刷用紙Pに変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ64の受光部64Bの出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部76により測定し、前記光が印刷用紙Pの側端を通過したことを検知する。
【0095】
そして、リニア式エンコーダ61の出力パルスに基づいてキャリッジモータ81の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ51の位置を記憶する(ステップs260)。そして、ステップs116で判定した移動方向とステップs260で求めた位置より、その位置が一端位置であると記憶する(ステップs262)。そして、一端位置に見込むマージンの量を決定する(ステップs264)。
【0096】
次に、前述したステップs260、s262及びステップs264の後においても、システムコントローラ71は、キャリッジ51を移動させて、当該キャリッジ51に備えられた印刷ヘッドIH1〜6からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップs222)。
【0097】
次に、キャリッジ51の移動により、上記発光部64Aから発光された光が印刷用紙Pの側端を遮ることとなる(ステップs224)。このときに、発光部64Aから発せられた光の入射先は、印刷用紙Pからプラテン21に変わるから、その反射光を受光した反射型光学センサ64の受光部64Bの出力値である電気信号の大きさは変化する。そして、この電気信号の大きさを電気信号測定部76により測定し、前記光が印刷用紙Pの側端を通過したことを検知する。
【0098】
そして、リニア式エンコーダ61の出力パルスに基づいてキャリッジモータ81の基準位置からの移動量を求め、当該移動量を、換言すればキャリッジ51の位置を記憶する(ステップs270)。そして、ステップs116で判定した移動方向とステップs270で求めた位置より、その位置が他端位置であると記憶する(ステップs272)。そして、他端位置に見込むマージンの量を決定する(ステップs274)。
【0099】
次に、前述したステップs270、s272及びステップs274の後においても、システムコントローラ71は、キャリッジ51を移動させて、当該キャリッジ51に備えられた印刷ヘッドIH1〜6からインクを吐出して縁なし印刷を行う(ステップs226)。そして、吐出終了位置にて、印刷ヘッドIH1〜6は、インクの吐出を終了する(ステップs228)。なお、次のパス以降では、この吐出終了位置は、後述するステップs136で求められた吐出終了位置となる。
【0100】
次に、システムコントローラ71は、キャリッジモータ81を駆動させて、キャリッジ51を移動させ、また、紙送りモータ83を駆動させて、印刷用紙Pを所定量紙送りする(ステップs230)。
【0101】
次に、印刷を継続する場合(ステップs132:Yes)は、求めたマージンの量(ステップs164、ステップs174、ステップs264、ステップs274)を用いて、次のパスで印刷ヘッドIH1〜6が印刷する印刷領域を決定する(ステップs134)。具体的には、用紙Pの一端位置には所定量のマージンであるΔzとΔyを見込み、用紙Pの他端位置にはΔyを見込んだ印刷領域を決定する。これにより、次のパスの印刷は、一端位置に対して見込むマージンの量と、他端位置に対して見込むマージンの量と、が異なるから、用紙Pに吐出するインクの打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能となる。
【0102】
そして、決定された印刷領域を基に、印刷ヘッドIH1〜6のノズル毎のインク吐出開始位置及びインク吐出終了位置を求める(ステップs136)。この吐出開始位置と吐出終了位置は、次パスにおいて、ステップs134で求めた印刷領域の内側に位置する。これにより、印刷ヘッドIH1〜6が、印刷領域外にインクを打ち漏らすことは無い。また、次パスにおいて、ステップs116での吐出開始位置と、ステップs128又はステップs228での吐出終了位置は、ステップs136で決定された吐出開始位置と吐出終了位置とになる。つまり、前のパスでの求められた吐出開始位置と吐出終了位置に基づいて、次のパスで、印刷ヘッドIH1〜6は、インクを吐出することになる。
【0103】
そして、システムコントローラ71は、キャリッジ51の移動方向を記憶して(ステップs112)、上記の一連の流れを繰り返すことになる。
【0104】
一方、印刷を継続しない場合(ステップs132:No)は、印刷を終了する(ステップs140)。
【0105】
以上の印刷方法によれば、移動可能であってインクを用紙Pに吐出するための印刷ヘッドIH1〜6と、印刷ヘッドIH1〜6とともに移動可能であって、用紙Pの一端位置及び他端位置を検出するための反射型光学センサ64と、を有し、反射型光学センサ64により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、用紙Pの全表面を対象として印刷ヘッドIH1〜6から液体を吐出可能とした印刷方法において、前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量と、が異なるから、用紙Pに吐出するインクの打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な印刷方法を実現できる。
【0106】
===B.印刷システム===
次に、図16、図17を参照して、本実施の形態に係る印刷装置を含む印刷システムの構成について説明する。図16は、印刷システムの外観を示した図である。図17は、図16に示す印刷システムの構成を示した図である。
【0107】
印刷システム1000は、コンピュータ本体1102と、表示装置1104と、印刷装置であるプリンタ1106と、入力装置1108と、読取装置1110とを備えている。コンピュータ本体1102は、本実施形態ではミニタワー型の筐体に収納されているが、これに限られるものではない。表示装置1104は、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマディスプレイや液晶表示装置等が用いられるのが一般的であるが、これに限られるものではない。プリンタ1106は、本実施形態ではカラーインクジェットプリンタが用いられているが、これに限られるものではない。入力装置1108は、本実施形態ではキーボード1108Aとマウス1108Bが用いられているが、これに限られるものではない。読取装置1110は、本実施形態ではフレキシブルディスクドライブ装置1110AとCD−ROMドライブ装置1110Bが用いられているが、これに限られるものではなく、例えばMO(Magnet Optical)ディスクドライブ装置やDVD(Digital Versatile Disk)等の他のものであっても良い。
【0108】
なお、以上の説明においては、プリンタ1106が、コンピュータ本体1102、表示装置1104、入力装置1108、及び、読取装置1110と接続されて印刷システムを構成した例について説明したが、これに限られるものではない。例えば、印刷システムが、コンピュータ本体1102とプリンタ1106から構成されても良く、印刷システムが表示装置1104、入力装置1108及び読取装置1110のいずれかを備えていなくても良い。さらに、コンピュータ本体1102が収納された筐体内に、RAM等の内部メモリ1202と、ハードディスクドライブユニット1204等の外部メモリが設けられている。
【0109】
上述したプリンタの動作を制御するコンピュータプログラムは、例えばインターネット等の通信回線を経由して、プリンタ1106に接続されたコンピュータ1000等にダウンロードさせることができるほか、コンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録して配布等することもできる。記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスクFD、CD−ROM、DVD−ROM、光磁気ディスクMO、ハードディスク、メモリ等の各種記録媒体を用いることができる。なお、このような記憶媒体に記憶された情報は、各種の読取装置1110によって、読み取り可能である。
【0110】
このようにして実現された印刷システムは、システム全体として従来システムよりも優れたシステムとなる。
【0111】
===C.その他の実施形態===
以上、いくつかの実施の形態に基づき本発明に係る印刷装置等を説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0112】
<液体吐出装置について>
上記実施の形態においては、液体吐出装置の一例として印刷装置について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などに、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。このような分野に本技術を適用しても、液体を媒体に向かって吐出することができるという特徴があるので、前述した効果を維持することができる。
【0113】
<印刷装置について>
上記各実施の形態では、印刷装置としてカラーインクジェットプリンタを用いたが、媒体に印刷処理できる印刷装置であれば、これに限られることなく、例えば、モノクロプリンタ、レーザプリンタ、ファクシミリ等に適用しても良い。
【0114】
<媒体について>
また、媒体として印刷用紙を例にとって説明したが、これに限定されるのでなく、例えば、フィルム、布、金属薄板等を用いてもよい。
【0115】
<液体について>
上記実施の形態においては、液体の一例としてインクについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出してもよい。
【0116】
<反射型光学センサについて>
上記実施の形態においては、前記反射型光学センサは、光を発するための発光部と、前記発光手段の主走査方向への移動に応じて主走査方向に移動する前記光を受光するための受光部と、を備え、前記主走査方向へ移動する前記発光部により発せられた光が、前記端を遮ることによる前記受光部の出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知することとしたが、これに限定されるものではない。
ただし、このようにすることにより、より簡易に、前記端の位置を検知することができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0117】
また、上記実施の形態においては、印刷ヘッドを備え移動可能なキャリッジに、反射型光学センサが設けられていることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、キャリッジと反射型光学センサを、別個に移動可能とする構成としてもよい。
ただし、このようにすることにより、キャリッジと反射型光学センサの移動機構を共通化することができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
【0118】
また、上記実施の形態においては、キャリッジを主走査方向に移動させながら、前記主走査方向へ移動する前記発光部により発せられた光が、印刷用紙の端を遮ることによる前記受光部の出力値の変化に基づいて、前記端の位置を検知すると共に、印刷用紙に印刷ヘッドからインクを吐出することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、前記検知の動作と前記吐出の動作を別個に行ってもよい。
ただし、このようにすることにより、効率的な動作を実現することができる点で上記実施の形態の方がより望ましい。
【0119】
【発明の効果】
前記一端位置に対して見込むマージンの量と、前記他端位置に対して見込むマージンの量とが異なるから、記憶媒体に吐出する液体の打ち漏らす量を最小限に抑え、完全な縁無し印刷が可能な液体吐出装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラーインクジェットプリンタの外観を示した図である。
【図2】カラーインクジェットプリンタの要部断面図である。
【図3】カラーインクジェットプリンタのキャリッジ周辺の構成を示した図である。
【図4】図4Aは、印刷ヘッドの内部の断面図を示した図である。図4Bは、印刷ヘッドの内部概略構成を示した図である。
【図5】図5Aは、ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を示した説明図である。図5Bは、ピエゾに電圧が印可された時に、インクがノズルから吐出する様子を示した図である。
【図6】印刷ヘッドIH1〜IH6におけるインクジェットノズルNzの配列を示した図である。
【図7】ヘッド駆動回路内に設けられた駆動信号発生部の構成を示したブロック図である。
【図8】反射型光学センサを説明するための模式図である。
【図9】カラーインクジェットプリンタ1の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【図10】図10Aは、反射型光学センサ64が用紙P上を移動する様子を示した図である。図10Bは、従来の縁無し印刷時の用紙Pの端部処理を示した図である。
【図11】用紙Pに対する反射型光学センサ64の位置と、その位置で反射型光学センサ64が検出する電気信号の大きさを示した図である。
【図12】図12Aは、従来の端部処理により、カラーインクジェットプリンタが認識する用紙Pの左端と右端の位置を示す図である。図12Bは、従来に端部処理による、実際の用紙Pに対する印刷領域を示した図である。
【図13】図13Aは、反射型光学センサが紙送り方向に対して、左から右へ移動する際に、用紙Pの一端位置と他端位置を検出する様子を示す図である。図13Bは、反射型光学センサが紙送り方向に対して、右から左へ移動する際に、用紙Pの一端位置と他端位置を検出する様子を示す図である。
【図14】図14Aは、本発明に係る端部処理により、用紙Pの左端LLと右端RRに所定量のマージンを見込む様子を示す図である。図14Bは、本発明に係る端部処理による、実際の用紙Pに対する印刷領域を示した図である。
【図15】カラーインクジェットプリンタの印刷方法を説明するためのフロー図である。
【図16】印刷システムの外観を示した図である。
【図17】図16に示す印刷システムの構成を示した図である。
【符号の説明】
1 カラーインクジェットプリンタ 2 操作パネル
2A 操作ボタン 2B 表示ランプ
3 排紙部 3A 排紙トレー
4 給紙部 8 インク・カートリッジ着脱部
11 給紙ローラ 13 給紙トレー
21 プラテン 24A 搬送駆動ローラ
24B 排紙駆動ローラ 25A 搬送従動ローラ
25B 排紙従動ローラ 45 キャッピング装置
46 ポンプユニット 47 キャップ
51 キャリッジ 54 摺動軸
55 駆動ベルト 56 プーリ
61 リニア式エンコーダ 63 紙検出センサ
64 反射型光学センサ 64A 発光部
64B 受光部 70 制御回路
71 システムコントローラ 72 イメージバッファ
73 メモリ 74 ヘッド駆動回路
75 反射型光学センサ回路 76 電気信号測定部
77 主走査駆動回路 78 副走査駆動回路
79 バッファメモリ 81 キャリッジモータ
83 紙送りモータ 97 導入管
98 インク通路 204 マスク回路
206 原駆動信号発生部 230 駆動信号補正部
1000 印刷システム 1102 コンピュータ本体
1104 表示装置 1106 プリンタ
1108 入力装置 1108A キーボード
1108B マウス 1110 読取装置
1110A フレキシブルディスクドライブ装置
1110B CD−ROMドライブ装置
1202 内部メモリ
1204 ハードディスクドライブユニット
INC1、INC2 インク・カートリッジ
IH1、IH2、IH3、IH4、IH5、IH6 印字ヘッド
P 用紙
Claims (11)
- 移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の側端のうちの一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、
前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置において、
前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、
前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、
前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれ、
前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれない、
ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記一端位置は、前記センサが前記記録媒体の外側から前記記録媒体上に移動する際に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記検出手段が検出する位置であり、
前記他端位置は、前記センサが前記記録媒体上から前記記録媒体の外側に移動する際に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記検出手段が検出する位置である、ことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記センサは往路と復路とで移動し、
前記検出手段は、前記センサが前記往路と前記復路とを移動する毎に、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより、前記一端位置と前記他端位置とを検出することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンは、前記移動の速度が増減すると、それに比例して増減することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項3に記載の液体吐出装置において、
前記移動の速度及び前記サンプリング周期に応じた量のマージンは、前記移動の速度が前記センサの前記往路又は前記復路での移動毎に増減すると、それに比例して増減することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記記録媒体を搬送するための媒体搬送手段を有し、
前記媒体搬送手段により前記記録媒体を搬送する動作と、前記吐出ヘッドから前記記録媒体に液体を吐出する動作と、前記検出手段により前記記憶媒体の前記一端位置及び前記他端位置を検出する動作と、を繰り返す液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記センサは、光を発する発光素子と、前記光を受ける受光素子と、を備えたことを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記液体はインクであり、
前記液体吐出装置は、前記吐出ヘッドから前記インクを吐出することにより前記記録媒体に印刷を行う印刷装置である、ことを特徴とする液体吐出装置。 - 移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の側端のうちの一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、
前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出方法において、
前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、
前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、
前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれ、
前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれない、
ことを特徴とする液体吐出方法。 - 移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の側端のうちの一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、
前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置に、
前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、
前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、
前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれ、
前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれない、
ようにするプログラム。 - コンピュータ、並びに、
このコンピュータに接続可能な液体吐出装置であって、
移動可能であって液体を記録媒体に吐出するための吐出ヘッドと、
前記吐出ヘッドとともに移動可能であって、記録媒体の側端のうちの一端位置及び他端位置を検出するための検出手段と、を有し、
前記検出手段により検出された前記一端位置及び前記他端位置に対して所定量のマージンを見込むことにより、記録媒体の全表面を対象として前記吐出ヘッドから液体を吐出可能とした液体吐出装置、
を有する印刷システムにおいて、
前記検出手段は、記録媒体を検知するためのセンサを有し、前記センサの出力値を所定のサンプリング周期にて取り込むことにより前記一端位置及び前記他端位置を検出し、
前記センサが、移動の過程において、前記一端位置を検知し、その後、前記他端位置を検知する場合に、
前記一端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれ、
前記他端位置に対して見込むマージンには、前記移動の速度と前記サンプリング周期との積に応じた量のマージンが含まれない、
印刷システム。
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