JP3982455B2 - 液体吐出装置、印刷装置、調整方法および印刷システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体吐出装置、印刷装置、調整方法および印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノズルから液体(インクなど)を吐出して媒体(紙、布、OHPシートなど)にドットを形成し、媒体に印刷を行うインクジェットプリンタが知られている。このようなインクジェットプリンタには、紙の有無を検出するためのセンサを備えているものがある。そして、このようなセンサを備えたインクジェットプリンタでは、センサの検出結果に基づいて、印刷処理が行われる。
【0003】
【特許文献】
特開2002−103721号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
媒体の有無を検出するセンサが劣化すると、そのセンサの出力信号が変化する。そのため、センサの劣化に応じて、センサの調整を行う必要が生じる。しかし、センサの調整が的確に行われなければ、調整後のセンサの検出結果に基づく処理が、正確に行われない。
本発明は、センサの出力が変化したときに、センサの調整を的確に行うことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための主たる発明は、媒体の有無を検出するためのセンサと、少なくとも所定の幅を有する前記媒体に液体を吐出するヘッドと、前記媒体を支持するための凸部と凹部とを有する支持部材と、を備え、前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行い、調整されたセンサを用いて前記媒体の有無を検出する液体吐出装置に関する。そして、この液体吐出装置では、前記凹部の幅は前記凸部の幅よりも大きく、前記センサを調整する際に、前記センサは、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体の液体が吐出される側の反対側に位置する前記凹部を検出する。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【0006】
【発明の実施の形態】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0007】
媒体の有無を検出するためのセンサと、少なくとも所定の幅を有する前記媒体に液体を吐出するヘッドと、を備え、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行い、
調整されたセンサを用いて前記媒体の有無を検出する液体吐出装置であって、前記センサを調整する際に、前記センサは、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体の液体が吐出される側の反対側に位置する部材を検出することを特徴とする液体吐出装置。
【0008】
このような液体吐出装置によれば、センサの出力が変化したときに、センサの調整を的確に行うことができる。すなわち、前記所定の幅の媒体の下に位置する部材をセンサが検出すれば、センサは液体により汚れていない部分を検出することができるので、このような液体吐出装置によれば、センサの調整を的確に行うことができる。
【0009】
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置は、前記媒体を支持する支持部材を更に備え、前記調整を行う際に、前記センサは、前記支持部材を検出することが望ましい。このような液体吐出装置によれば、支持部材が液体により汚れていない部分を有し、センサは液体により汚れていない支持部材を検出することができるので、このような液体吐出装置によれば、センサの調整を的確に行うことができる。前記支持部材は、前記媒体を支持するための凸部と、凹部とを有することが望ましい。このような液体吐出装置によれば、媒体の裏面の汚れを抑えることができる。前記凹部の幅は前記凸部の幅よりも大きく、前記調整を行う際に、前記センサは、前記凹部を検出することが望ましい。このような液体吐出装置によれば、センサは平らな部分を検出することができるので、センサの調整を的確に行うことができる。
【0010】
かかる液体吐出装置であって、前記ヘッドから吐出された液体のうち、前記媒体に着弾しない液体があっても良い。このような液体吐出装置によれば、媒体に着弾しない液体があっても、センサは、その液体によって汚れた部分を検出しないので、センサの調整を的確に行うことができる。前記媒体に着弾しない液体を吸収するための吸収部材を更に有することが望ましい。このような液体吐出装置によれば、吸収部材が液体を吸収するため、媒体の裏面の汚れを抑えることができる。前記調整を行う際に、前記センサは、前記吸収部材が設けられていない部分を検出することが好ましい。液体を吸収する吸収部材の表面には凹凸があるため光を乱反射しやすいが、このような液体吐出装置によれば、センサの調整を的確に行うことができる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記媒体が搬送される方向に沿った面を有するガイドを更に備え、前記ガイドは、前記媒体の一端と接触し、前記媒体を案内することが望ましい。このような液体吐出装置によれば、液体によって汚れていない部分の位置を確定することができる。
【0012】
かかる液体吐出装置であって、前記センサは、幅方向に沿って、移動可能であることが望ましい。このような液体吐出装置によれば、センサは、液体により汚れていない部分を検出できる位置まで移動できる。また、前記センサを調整する際に、前記センサは、複数の位置において前記部材を検出することが好ましい。このような液体吐出装置によれば、複数の出力信号に基づいてセンサの調整を行うことができるので、センサの調整を的確に行うことができる。
【0013】
かかる液体吐出装置であって、前記幅の異なる複数の媒体に前記液体を吐出可能であることが望ましい。最小の幅の媒体の下になる部分は、どの媒体を搬送した場合にもその媒体の下に位置する。つまり、センサが前記最小の幅の媒体の下に位置する部材を検出すれば、センサは液体により汚れていない部分を検出することができるので、このような液体吐出装置によれば、センサの調整を的確に行うことができる。
【0014】
かかる液体吐出装置であって、前記センサは、光学センサであることが望ましい。また、前記センサは、反射型の光学センサであることが好ましい。このような液体吐出装置によれば、センサは液体により汚れていない部分を検出することができるので、センサの調整を的確に行うことができる。
【0015】
かかる液体吐出装置であって、前記液体吐出装置は、前記センサの検出結果と閾値とに基づいて、前記媒体の有無を検出するものであり、前記センサの調整は、前記媒体が無い状態における前記センサの出力する信号に基づいて、前記閾値を設定することにより行われることが望ましい。このような液体吐出装置によれば、媒体の有無の判断の分岐点となる閾値を調整することにより、前記センサの調整を行うことができる。
【0016】
かかる液体吐出装置であって、前記センサの調整は、前記媒体が無い状態における前記センサの出力する信号に基づいて、前記媒体の有無を検出する際に前記センサが出力する信号を調整することにより行われることが望ましい。このような液体吐出装置によれば、センサの出力信号を調整することにより、前記センサの調整を行うことができる。
【0017】
かかる液体吐出装置は、前記媒体にインクを吐出して、媒体に印刷を行う印刷装置であることが望ましい。前記所定の幅の媒体の下に位置する部材をセンサが検出すれば、センサはインクにより汚れていない部分を検出することができるので、このような印刷装置によれば、印刷装置のセンサの調整を的確に行うことができる。かかる前記印刷装置は、前記媒体に縁なし印刷を行うことが望ましい。縁なし印刷を行うと、打ち漏らしたインクにより印刷装置内に汚れた部分が生じるが、前記所定の幅の媒体の下に位置する部材をセンサが検出すれば、センサはインクにより汚れていない部分を検出することができるので、このような印刷装置によれば、印刷装置のセンサの調整を的確に行うことができる。
【0018】
液体が吐出される媒体であって少なくとも所定の幅を有する媒体、の有無を検出するセンサの調整方法において、
前記センサが、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体のインクが吐出される側の反対側に位置する部材を、前記媒体が無い状態において検出するステップと、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行うステップと、
を有することを特徴とする調整方法。
このような調整方法によれば、センサの調整を的確に行うことができる。
【0019】
コンピュータと印刷装置とを備えた印刷システムであって、
前記印刷装置は、
媒体の有無を検出するためのセンサと、少なくとも所定の幅を有する前記媒体に液体を吐出するヘッドと、を備え、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行い、
調整されたセンサを用いて前記媒体の有無を検出する
印刷装置であって、
前記センサを調整する際に、前記センサは、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体の液体が吐出される側の反対側に位置する部材を検出することを特徴とする印刷システム。
このような印刷システムによれば、センサの調整を的確に行うことができる。
【0020】
===印刷システムの構成===
次に、印刷システム(コンピュータシステム)の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態の記載には、コンピュータプログラム、及び、コンピュータプログラムを記録した記録媒体等に関する実施形態も含まれている。
【0021】
図1は、印刷システムの外観構成を示した説明図である。この印刷システム100は、プリンタ1と、コンピュータ110と、表示装置120と、入力装置130と、記録再生装置140とを備えている。プリンタ1は、紙、布、フィルム等の媒体に画像を印刷する印刷装置である。コンピュータ110は、プリンタ1と電気的に接続されており、プリンタ1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンタ1に出力する。表示装置120は、ディスプレイを有し、アプリケーションプログラムやプリンタドライバ等のユーザインタフェースを表示する。入力装置130は、例えばキーボード130Aやマウス130Bであり、表示装置120に表示されたユーザインタフェースに沿って、アプリケーションプログラムの操作やプリンタドライバの設定等に用いられる。記録再生装置140は、例えばフレキシブルディスクドライブ装置140AやCD−ROMドライブ装置140Bが用いられる。
【0022】
コンピュータ110にはプリンタドライバがインストールされている。プリンタドライバは、表示装置120にユーザインタフェースを表示させる機能を実現させるほか、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換する機能を実現させるためのプログラムである。このプリンタドライバは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピュータ読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、このプリンタドライバは、インターネットを介してコンピュータ110にダウンロードすることも可能である。なお、このプログラムは、各種の機能を実現するためのコードから構成されている。
【0023】
なお、「印刷装置」とは、狭義にはプリンタ1を意味するが、広義にはプリンタ1とコンピュータ110とのシステムを意味する。
【0024】
===プリンタドライバ===
<プリンタドライバについて>
図2は、プリンタドライバが行う基本的な処理の概略的な説明図である。既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。
コンピュータ110では、コンピュータに搭載されたオペレーティングシステムの下、ビデオドライバ112やアプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116などのコンピュータプログラムが動作している。ビデオドライバ112は、アプリケーションプログラム114やプリンタドライバ116からの表示命令に従って、例えばユーザインターフェース等を表示装置120に表示する機能を有する。アプリケーションプログラム114は、例えば、画像編集などを行う機能を有し、画像に関するデータ(画像データ)を作成する。ユーザは、アプリケーションプログラム114のユーザインターフェースを介して、アプリケーションプログラム114により編集した画像を印刷する指示を与えることができる。アプリケーションプログラム114は、印刷の指示を受けると、プリンタドライバ116に画像データを出力する。
【0025】
プリンタドライバ116は、アプリケーションプログラム114から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタに出力する。ここで、印刷データとは、プリンタ1が解釈できる形式のデータであって、各種のコマンドデータと画素データとを有するデータである。ここで、コマンドデータとは、プリンタに特定の動作の実行を指示するためのデータ(例えば、給紙動作や搬送動作の実行コマンドなどのデータ)である。また、画素データとは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータであり、例えば、ある画素に対応する紙上の位置に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
【0026】
<プリンタドライバの設定について>
図3は、プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。このプリンタドライバのユーザインターフェースは、ビデオドライバ112を介して、表示装置に表示される。ユーザーは、入力装置130を用いて、プリンタドライバの各種の設定を行うことができる。
【0027】
ユーザーは、この画面上から、用紙サイズを選択することができる。例えば、ユーザーは、用紙サイズとしてA4サイズの用紙を選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された用紙のサイズに合わせて、画像データを印刷データに変換する。
また、ユーザーは、この画面上から、印刷方向を選択することができる。例えば、ユーザーは、用紙の縦方向に印刷するか、若しくは、用紙の横方向に印刷するかを選択することができる。そして、プリンタドライバは、選択された印刷方向に合わせて、画像データを印刷データに変換する。
プリンタドライバにおいて、ユーザーが用紙サイズと印刷方向とを設定すれば、印刷される紙の幅が定まる。例えば、用紙サイズが「A4」の場合に、印刷方向が「縦」であれば、紙の幅は「210mm」である。本実施形態では、用紙サイズが「ハガキ」であって、印刷方向が「縦」であれば、紙の幅が最小の「100mm」になる。そして、プリンタが印刷可能な紙の幅の最小も100mmである。
【0028】
===プリンタの構成===
<インクジェットプリンタの構成について>
図4は、本実施形態のプリンタの全体構成のブロック図である。また、図5は、本実施形態のプリンタの全体構成の概略図である。また、図6は、本実施形態のプリンタの全体構成の横断面図である。以下、本実施形態のプリンタの基本的な構成について説明する。なお、本実施形態のインクジェットプリンタは、液体を媒体に吐出するので、液体吐出装置の一種でもある。
【0029】
本実施形態のプリンタは、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、センサ50(センサ群)、およびコントローラ60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、コントローラ60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラ60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を形成する。プリンタ1内の状況はセンサ50によって監視されており、センサ50は、検出結果をコントローラ60に出力する。センサから検出結果を受けたコントローラは、その検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0030】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を印刷可能な位置に送り込み、印刷時に所定の方向(以下、搬送方向という)に所定の搬送量で紙を搬送させるためのものである。すなわち、搬送ユニット20は、紙を搬送する搬送機構(搬送手段)として機能する。搬送ユニット20は、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。ただし、搬送ユニット20が搬送機構として機能するためには、必ずしもこれらの構成要素を全て必要とするわけではない。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンタ内に自動的に給紙するためのローラである。給紙ローラ21は、D形の断面形状をしており、円周部分の長さは搬送ローラ23までの搬送距離よりも長く設定されているので、この円周部分を用いて紙を搬送ローラ23まで搬送できる。搬送モータ22は、紙を搬送方向に搬送するためのモータであり、DCモータにより構成される。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する支持部材である。排紙ローラ25は、印刷が終了した紙Sをプリンタの外部に排出するローラである。この排紙ローラ25は、搬送ローラ23と同期して回転する。
【0031】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、走査方向という)に移動(走査移動)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、走査方向に往復移動可能である。(これにより、ヘッドが走査方向に沿って移動する。)また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。キャリッジモータ32は、キャリッジ31を走査方向に移動させるためのモータであり、DCモータにより構成される。
【0032】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、ヘッド41を有する。ヘッド41は、インク吐出部であるノズルを複数有し、各ノズルから断続的にインクを吐出する。このヘッド41は、キャリッジ31に設けられている。そのため、キャリッジ31が走査方向に移動すると、ヘッド41も走査方向に移動する。そして、ヘッド41が走査方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、走査方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0033】
センサ50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の走査方向の位置を検出するためのものである。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出するためのものである。紙検出センサ53は、印刷される紙の先端の位置を検出するためのものである。この紙検出センサ53は、給紙ローラ21が搬送ローラ23に向かって紙を給紙する途中で、紙の先端の位置を検出できる位置に設けられている。なお、紙検出センサ53は、機械的な機構によって紙の先端を検出するメカニカルセンサである。詳しく言うと、紙検出センサ53は搬送方向に回転可能なレバーを有し、このレバーは紙の搬送経路内に突出するように配置されている。そのため、紙の先端がレバーに接触し、レバーが回転させられるので、紙検出センサ53は、このレバーの動きを検出することによって、紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている。光学センサ54は、発光部から紙に照射された光の反射光を受光部が検出することにより、紙の有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ41によって移動しながら紙の端部の位置を検出する。光学センサ54は、光学的に紙の端部を検出するため、機械的な紙検出センサ53よりも、検出精度が高い。
【0034】
コントローラ60は、プリンタの制御を行うための制御ユニット(制御手段)である。コントローラ60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110とプリンタ1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM等の記憶手段を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0035】
<印刷動作について>
図7は、印刷時の処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。
【0036】
コントローラ60は、コンピュータ110からインターフェース部61を介して、印刷命令を受信する(S001)。この印刷命令は、コンピュータ110から送信される印刷データのヘッダに含まれている。そして、コントローラ60は、受信した印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・インク吐出処理等を行う。
【0037】
まず、コントローラ60は、給紙処理を行う(S002)。給紙処理とは、印刷すべき紙をプリンタ内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙を位置決めする処理である。コントローラ60は、給紙ローラ21を回転させ、印刷すべき紙を搬送ローラ23まで送る。コントローラ60は、搬送ローラ23を回転させ、給紙ローラ21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙が印刷開始位置に位置決めされたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙と対向している。
【0038】
次に、コントローラ60は、ドット形成処理を行う(S003)。ドット形成処理とは、走査方向に沿って移動するヘッドからインクを断続的に吐出させ、紙上にドットを形成する処理である。コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動し、キャリッジ31を走査方向に移動させる。そして、コントローラ60は、キャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッドからインクを吐出させる。ヘッドから吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成される。
【0039】
次に、コントローラ60は、搬送処理を行う(S004)。搬送処理とは、紙をヘッドに対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラ60は、搬送モータを駆動し、搬送ローラを回転させて紙を搬送方向に搬送する。この搬送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0040】
次に、コントローラ60は、印刷中の紙の排紙の判断を行う(S005)。印刷中の紙に印刷するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラ60は、印刷するためのデータがなくなるまでドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ドットから構成される画像を徐々に紙に印刷する。印刷中の紙に印刷するためのデータがなくなれば、コントローラ60は、その紙を排紙する。コントローラ60は、排紙ローラを回転させることにより、印刷した紙を外部に排出する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
【0041】
次に、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う(S006)。次の紙に印刷を行うのであれば、印刷を続行し、次の紙の給紙処理を開始する。次の紙に印刷を行わないのであれば、印刷動作を終了する。
【0042】
<ノズルについて>
図8は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列を示す説明図である。ヘッド41の下面には、ブラックインクノズル群Kと、シアンインクノズル群Cと、マゼンタインクノズル群Mと、イエローインクノズル群Yが形成されている。各ノズル群は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数個(本実施形態では180個)備えている。
各ノズル群の複数のノズルは、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが180dpi(1/180インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720)である場合、k=4である。
【0043】
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど若い番号が付されている(♯1〜♯180)。つまり、ノズル♯1は、ノズル♯180よりも搬送方向の下流側に位置している。各ノズルには、各ノズルを駆動してインク滴を吐出させるための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。また、光学センサ54は、紙搬送方向の位置に関して、一番上流側にあるノズル♯180とほぼ同じ位置にある。
【0044】
<案内ユニット>
図9は、紙案内ユニットの斜視図である。図10は、紙案内ユニットの構成要素と他の構成要素との位置関係の説明図である。同図において、すでに説明されている構成要素には同じ符号を付しているので、説明を省略する。以下、紙案内ユニットの構成および他の構成要素との位置関係について説明する。
【0045】
紙案内ユニット80は、紙を給紙する際に紙が傾かないようにするため、搬送方向に沿って紙を案内する機構である。この紙案内ユニット80は、固定ガイド82と、可動ガイド84とを有する。固定ガイド82は、搬送方向に平行なガイド面を有し、装置本体に固定されている部材である。可動ガイド84は、搬送方向に平行なガイド面を有し、このガイド面と垂直な走査方向に沿って移動可能な部材である。紙Sをプリンタにセットする場合、ユーザーは、プリンタの給紙口に紙Sを挿入し、可動ガイド84を動かして、可動ガイド84と紙Sの一端とを接触させ、可動ガイド84によって紙Sを固定ガイド82側に押しつけ、紙の他端側を固定ガイド82に接触させる。固定ガイド82に押し付けられた紙の側端は、固定ガイド82のガイド面に沿って平行に位置決めされる。これにより、ユーザーが給紙口に紙を挿入したときに紙が傾いていても、固定ガイド82と可動ガイド84とによって紙Sの傾きが修正される。また、紙Sが搬送ユニットによって搬送されているときも、固定ガイド82及び可動ガイド84は紙Sを搬送方向に沿って案内しているので、紙の傾きが抑えられる。プリンタには様々な幅の紙が挿入されるので、紙の幅に応じて可動ガイドの走査方向の位置が異なることになる。ただし、どのような幅の紙がプリンタに挿入されても、その紙の側端の一方は、固定ガイド82に接触し、固定ガイド82のガイド面に沿って平行に位置決めされる。
【0046】
なお、本実施形態では、固定ガイド82は、キャリッジ31の待機位置に近い方の紙の側端(図中の右側の側端)を案内している。また、本実施形態では、可動ガイド84は、キャリッジ31の待機位置から遠い方の紙の側端(図中の左側の側端)を案内している。ここで、キャリッジ31の待機位置とは、プリンタの電源がOFF状態のときのキャリッジ31の位置である。通常、キャリッジ31の待機位置には、ノズル内のインクの乾燥を抑えるためのキャップが設けられている。
【0047】
===縁なし印刷===
<縁なし印刷時の印刷データ>
図11は、縁なし印刷時の印刷データの説明図である。「縁なし印刷」では、紙の全表面を対象として印刷を行う。この「縁なし印刷」により、紙の4辺の縁にも余白なくインクを吐出して印刷することができるので、写真と同じイメージの出力結果が得られる。このため、「縁なし印刷」が可能なインクジェットプリンタが、近年人気を集めている。
同図において、内側の実線の四角形は、紙の大きさを示している。同図において、外側の実線の四角形は、印刷データの大きさを示している。縁なし印刷では、紙よりも大きい領域にインクを吐出して、紙の全面に印刷を行っている。そのため、印刷データの大きさは紙の大きさよりも大きい。そのため、プリンタは、紙の範囲外にもインクを吐出することになる。
しかし、紙に着弾しないインクの量が多いと、インクの消費量が多くなり、望ましくない。そのため、印刷データの一部をNULLデータに置き換えて、インクを吐出する範囲を少なくし、インクの無駄を防いでいる(なお、印刷データがNULLデータの場合、ヘッドからはインクが吐出されない)。図中の点線の四角形は、周囲をNULLデータに置き換えられた印刷データに基づいてプリンタがインクを吐出する範囲を示すものである。インクを吐出する範囲は、光学センサ54の出力に基づいてコントローラが決定している(つまり、NULLデータに置き換えられる印刷データの範囲は、光学センサの出力に基づいて、コントローラが決定している)。
【0048】
本来ならば、検出された紙の内側に対応する印刷データだけを用いてインクを吐出すれば、紙の全面に印刷ができるので、縁なし印刷が完成するはずである。しかし、紙が斜めに搬送されていると、紙の側端に余白ができてしまい、きれいな縁なし印刷ができない。そのため、紙が斜めに搬送された分を見込んで所定のマージンを持たせて印刷データをNULLデータに置き換え、インクを吐出する範囲を紙の側端よりも若干広めにしている。図中の点線の四角形(周囲をNULLデータに置き換えられた印刷データ)が、内側の実線の四角形(紙の大きさ)よりも大きいのは、このためである。後述するように、インクを吐出する範囲(図中の点線の四角形)が紙の大きさ(図中の内側の実線の四角形)よりも大きいため、紙に着弾しないインクがある。
【0049】
<突起・溝部について>
図12Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図12Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。
ヘッド41のノズルからインク滴Ipが吐出され、吐出されたIpが紙Sに着弾し、紙Sに印刷されるべき画像を構成するドットDが形成される。縁なし印刷の場合、前述の通り、印刷データは紙の大きさよりも大きい範囲に対応している。そのため、この印刷データに基づいてノズルからインクを吐出すれば、吐出されたインクの一部は、紙Sに着弾せずに、プラテン14に着弾する。プラテン14に着弾したインクが紙の裏側に付着すると、紙が汚れてしまうため望ましくない。そこで、紙の裏側の汚れを防ぐため、縁なし印刷を行うプリンタのプラテン24は、突起242(凸部やリブともいう)と、溝部244(凹部ともいう)と、吸収部材246とを備えている。
【0050】
突起242は、プラテン24が紙Sを支持する際に、紙と接触する部材である。この突起242は、紙が溝部244に接しないように、構成される。また、この突起242は、縁なし印刷時にインク滴が着弾しないような位置に、設けられている。なぜなら、突起242がインクによって汚れると、紙の裏面を汚すからである。そのため、例えば、突起242は、図中の紙の右側端から出るような位置には設けられていない。仮に、突起242の中央部分が紙の右端を支持したり、突起242がインクの打ち漏らし領域に設けられていたりすると、縁なし印刷時に、突起242がインクによって汚れるおそれがある。ところで、紙の右側端は固定ガイド82によって案内されているため、印刷時の紙の右側端の走査方向の位置(図中の紙Sの右側端の位置)は、どのような幅の紙であっても、同様に決まっている。このため、突起242の位置は、固定ガイド82の位置を基準に定まっている。また、印刷する紙の幅(紙の走査方向の長さ)は、規定のサイズに決まっている。例えば、A4サイズの紙ならば紙の幅は210mmであり、ハガキならば、紙の幅は100mmである。そのため、紙の左側端の方のインクの打ち漏らし領域も想定することが可能である。そこで、突起242は、どのような規定サイズの紙であっても、縁なし印刷時のインクの打ち漏らし領域に位置しないように、設けられている。
【0051】
図中に示された紙Sは、搬送ユニットが搬送する紙(プリンタ1が印刷可能な紙)の中で最も幅の小さい紙であるハガキである。そして、搬送ユニットは、このハガキよりも大きい幅の紙も搬送する(プリンタは、ハガキよりも大きい幅の紙を搬送する)。そのため、図中の紙Sを支持する突起242よりも左側に、この紙Sよりも大きい紙を支持するための突起242も存在している。
【0052】
溝部244は、プラテン14に設けられた窪みである。溝部244は、突起244に対して凹んでいるため、仮に溝部244がインクによって汚れても、紙の裏面を汚さないように構成されている。このため、紙に着弾しなかった縁なし印刷時のインクが溝部244に着弾するように、溝部244が構成されている。すなわち、縁なし印刷時のインクを打ち漏らす領域(打ち漏らし領域)は、溝部244に位置するようになっている。なお、後述するように、この溝部は、平らな面を有している。
【0053】
吸収部材246は、インクを吸収するための部材であり、例えば吸水性のスポンジ等から構成される。この吸収部材246は、溝部244に設けられている。そして、縁なし印刷時に溝部244に着弾するインクを吸収する。吸収部材246がインクを吸収することにより、打ち漏らしたインクの離散を防いでいる。既に説明したとおり、プリンタは幅の異なる複数の紙に印刷可能なので、印刷可能な規定サイズの紙に合わせて、その紙に対応する打ち漏らし領域に吸収部材246が設けられている(図中左側においても、ハガキ以外の紙(例えばA4サイズの紙など)のための吸収部材が、設けられていることが示されている)。なお、後述するように、搬送ユニットがハガキを搬送したときに、そのハガキの下に位置する溝部には、吸収部材246は設けられていない。吸収部材246は、スポンジ等の吸水性の部材から構成されているので、表面に凹凸がある。そのため、仮に吸収部材246の表面に光が照射されると、その光を乱反射させる。
【0054】
図中からも分かるとおり、縁なし印刷の際に紙よりも広い範囲にインクが吐出されるが、紙の下(紙のドットが形成される面(図中の上側の面)の反対側)には、インクは着弾しない。そして、最も幅の小さい紙であるハガキの下には、どのような幅の紙を縁なし印刷しようとも、インクは着弾しない。そのため、ハガキの下側になる部分は、インクによる汚れが生じない。
【0055】
===光学センサ===
<光学センサの構成について>
図13は、光学センサ54の構成の説明図である。光学センサ54は、発光部541と受光部542とを有する反射型光学センサである。発光部541は、例えば発光ダイオードを有し、光を紙に照射する。受光部542は、例えばフォトトランジスタを有し、発光部から紙に照射された光の反射光を検出する。つまり、光学センサ54は、光学センサ54と対向する部材(例えば紙やプラテン)に光を照射し、その反射光を検出する。発光部541が光を照射する領域に紙Sがない場合、受光部542が受光する反射光の光量が少なくなる。発光部541が光を照射する領域に紙Sがある場合、受光部542が受光する反射光の光量が多くなる。受光部542は、受光した反射光の光量に応じて、信号を出力する。なお、本実施形態の光学センサ54は、受光部542が受光した光量が少ないときに大きい電圧を出力し、受光部542が受光した光量が多いときに小さい電圧を出力する。
【0056】
<光学センサの出力信号について>
図14は、光学センサ54の出力信号の説明図である。同図の上側に示されるグラフは、紙Sの端部の位置と光学センサ54の出力信号との関係を示すグラフである。同図の下側の図は、紙Sの端部の位置と光学センサの検出スポットとの関係を示す図である。同図において、丸い印は、光学センサの検出スポットを示すものである。ここで、検出スポットとは、具体的には光学センサ54の発光部の光が照射される領域である。丸い印の内部の黒く塗りつぶされている領域は、光学センサ54の発光部の光が紙Sに照射されていることを示すものである。また、丸い印の内部の白い領域は、光学センサ54の発光部の光がプラテンに照射されていることを示すものである。
【0057】
状態A(紙Sの端部が光学センサの検出スポットの外側にあり、検出スポットに紙Sがない状態)では、光学センサ54の発光部からの光は、紙Sに照射されない。そのため、光学センサ54の受光部は反射光を検出することができない。このときの光学センサの出力電圧はVaになる。状態B(紙Sの端部が光学センサの検出スポットの内側にあり、検出スポットの一部に紙Sが入っている状態)では、光学センサ54の発光部からの光の一部は、紙Sに照射される。このときの光学センサ54の出力電圧はVbになる。状態C(紙Sの端部が光学センサの検出スポットの内側にあり、検出スポットのほとんどの領域に紙Sが入っている状態)では、光学センサ54の発光部からの光のほとんどが紙Sに照射される。このときの光学センサ54の出力電圧はVcになる。状態D(紙Sの端部が光学センサの検出スポットの外側にあり、検出スポットの全てに紙Sがある状態)では、光学センサ54の発光部からの光は、全て紙Sに照射される。このときの光学センサの出力電圧はVdになる。同図から分かる通り、光学センサ54の検出スポット(図中の丸い印)において、紙Sの占める領域が大きいほど、受光部542が受光する光量が多くなるので、光学センサ54の出力信号は小さくなる。
【0058】
出力電圧Vtを閾値とした場合、コントローラは、状態Aと状態Bを「紙なし状態」と判断する。コントローラが「紙なし状態」と判断した場合、プリンタは、光学センサの位置に紙がないものとして各種の動作を行う。また、出力電圧Vtを閾値とした場合、コントローラは、状態Cと状態Dを「紙あり状態」と判断する。コントローラが「紙あり状態」と判断した場合、光学センサの位置に紙があるものとして各種の動作を行う。図中の出力電圧Vtは、検出スポットの半分を紙Sが占める場合の光学センサ54の出力電圧に等しい。
【0059】
なお、光学センサ54は、紙の有無を検出するためのセンサである。一方、コントローラ60が光学センサ54の出力に基づいて紙の有無を判断しているので、コントローラ60及び光学センサ54が、「紙の有無の判断をするための判断部」を構成しているとも言うこともできる。
【0060】
<光学センサの劣化について>
図15は、光学センサ54が劣化した場合の出力信号の説明図である。図中の太い線にて示されるグラフが、劣化した光学センサ54の出力信号である。同図の細い線にて示されるグラフは、前述のグラフと同様なので、説明を省略する。
【0061】
光学センサ54は、発光部541が経時的に発光量が減少することによって、劣化する。発光部541の発光量が減少すると、受光部542が受光する反射光の光量が減少する。一方、光学センサ54は、受光部542が受光した光量が少ないほど、出力電圧が高い(前述)。このため、光学センサ54が劣化すると、図に示されるように、紙と光学センサ54との位置関係が同じであっても、出力電圧が変化する。
【0062】
仮に、光学センサ54が劣化したにもかかわらず閾値Vt(「紙あり状態」と「紙なし状態」とを識別するための閾値)が同じであるとすると、コントローラの判断が「紙あり状態」から「紙なし状態」に変化したときの(又は「紙なし状態」から「紙あり状態」に変化したときの)紙と光学センサ54との位置関係が、光学センサの劣化前後で異なることになる。例えば、光学センサ54の劣化前においては、光学センサ54の検出スポットの半分を紙Sが占めたときに、光学センサ54の出力電圧がVtに達する。一方、光学センサ54の劣化後においては、光学センサ54の検出スポットのほとんどの領域に紙Sが入った状態になって、光学センサ54の出力電圧がVtに達する。つまり、コントローラが「紙あり状態」と判断する分岐点となる状態が、光学センサ54の劣化前後において異なっている。
【0063】
そのため、コントローラ60は、例えば検出スポットの半分を紙Sが占めたときに「紙あり状態」と判断するように調整するために、光学センサ54の劣化したときに閾値をVt'にしなければならない。
そこで、本実施形態のコントローラ60は、光学センサ54の劣化の状態に応じて、閾値Vtを変化させている。具体的には、コントローラ60は、紙がない状態(状態A)のセンサの出力結果に基づいて、閾値Vt(Vt')を決定している。
【0064】
===光学センサの調整===
<調整処理について>
図16は、光学センサの調整処理のフロー図である。以下に説明される各処理は、コントローラ60が、メモリ63内に格納されたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラムは、各処理を実行するためのコードを有する。この光学センサ54の調整処理は、ユーザーがプリンタのスイッチをONにしたときに開始される。
まず、コントローラ60は、調整位置まで光学センサ54を移動させる(S101)。詳しくは、コントローラ60は、キャリッジモータ32を駆動して、キャリッジ31を所定の位置まで移動させ、光学センサ54を調整位置まで移動させる。このときの光学センサ54の位置については、後で詳述する。
【0065】
次に、コントローラ60は、光学センサ54をON状態にする(S102)。このとき、光学センサ54の発光部541から光が照射される。光学センサの調整処理時にはプラテン24上には紙がないため、発光部541から照射された光は、プラテン上に照射される。つまり、このときの光学センサ54の検出スポットは、プラテン上である。そして、光学センサ54の受光部542は、プラテン上で反射された反射光を受光し、受光した光量に応じた信号を出力する。
次に、コントローラ60は、光学センサ54の出力信号を取得する(S103)。光学センサ54の検出スポットには紙がない状態なので、前述の状態Aに相当する信号が光学センサ54から出力されている。前述の通り、この状態Aに相当する信号は、光学センサ54の劣化に応じて変換する信号である。
本実施形態では、複数の位置(例えば、3カ所)で光学センサの出力を取得するため、コントローラは、S101〜S103の処理を複数回繰り返す(S104でYES)。
【0066】
次に、コントローラ60は、光学センサ54の出力信号に応じて、調整用テーブルを参照する(S105)。この調整用テーブルは、メモリ63に記憶されている参照表であり、光学センサ54の出力信号(紙のない状態の光学センサ54の出力信号Va)と閾値(Vt)とを対応づけている参照表である。つまり、この調整用テーブルは、光学センサ54の劣化度に応じた閾値を決定するための参照表である。光学センサ54の劣化が進むと光学センサ54の出力信号が高くなるので、調整用テーブルでは、高い値のVaに対しては、高い値の閾値Vtが対応づけられている。そして、コントローラ60は、調整用テーブルを参照することにより、光学センサ54の出力信号に対応する閾値(光学センサ54の劣化に応じた閾値)を取得することができる。
【0067】
次に、コントローラ60は、閾値をメモリ63に記憶する(S106)。記憶された閾値は、コントローラ60が光学センサ54の出力に基づいて「紙なし状態」であるか「紙あり状態」であるかを判断する際に、用いられる。すなわち、光学センサ54の出力信号が閾値よりも大きければ、コントローラ60は「紙なし状態」と判断する。一方、光学センサ54の出力信号が閾値よりも小さければ、コントローラ60は「紙あり状態」と判断する。そして、例えば、コントローラは、光学センサ54の出力信号に基づいて紙の大きさを判断し、その判断結果に応じてインクを吐出する範囲を決定する。
【0068】
本実施形態によれば、最初の光学センサ54の出力信号(出力結果)に基づいて閾値が決定され、その後、決定された閾値に基づいて「紙なし状態」であるか「紙あり状態」であるかが決定される。これにより、コントローラが「紙あり状態」と判断する分岐点となる状態が、光学センサ54の劣化前後においても一定になる。
【0069】
また、本実施形態によれば、光学センサ54の検出スポットに紙がない状態(状態Aに相当)の光学センサ54の出力信号(出力結果)に基づいて、閾値を決定している。仮に、紙のある状態の光学センサの出力信号に基づいて閾値を決定すると、紙の種類に応じて紙の材質が異なるため、光学センサ54の出力信号が、光学センサの劣化以外の要因(この場合は、紙の材質)によって変化する。そのため、紙のある状態の光学センサの出力信号に基づいて閾値を決定しても、光学センサ54の劣化に応じた閾値を設定できない。一方、本実施形態によれば、光学センサの調整時(閾値の決定時)の光学センサの出力信号に、光学センサ54の劣化以外の要因が入りにくいので、光学センサの劣化に応じた閾値を設定することができる。
【0070】
<調整時のセンサの位置について>
次に、前述のS101における「調整位置」について説明する。
図17Aは、参考例の調整時のセンサの位置の説明図である。同図において、既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。なお、図中の光学センサ54とプラテン24との間に描かれている点線の矢印は、光学センサ54の発光部541から照射される光と、プラテンから反射される反射光とを示すものである。また、突起242上に描かれている四角い点線は、ハガキの大きさを示すものである。ただし、ハガキは、搬送ユニットが搬送する紙(プリンタ1が印刷可能な紙)の中で最も幅の小さい紙である。
【0071】
参考例では、光学センサ54は、インクにより汚れた吸収部材246上に光を照射し、その反射光を受光する。また、吸収部材246はスポンジにより形成されているため表面に凹凸があり、同じ光量の光を照射しても反射光の光量が安定しない。そのため、光学センサ54の出力信号が、光学センサの劣化以外の要因(この場合は、吸収部材246の汚れ、及び、スポンジによる反射光量の不安定)によって変化する。その結果、紙のない状態の光学センサの出力信号に基づいて閾値を決定しても、光学センサ54の劣化に応じた閾値を設定できない。
仮に、参考例のセンサの位置において光学センサの調整を行うと、吸収部材246上がインクによって汚れているため、又は、吸収部材246の表面に凹凸があるため、光学センサ54が受光する光量が低下する。そのため、光学センサ54が劣化する前であっても、光学センサ54の調整時の出力信号が、光学センサ54の劣化時の出力信号に近似してくる。このような光学センサの出力信号に基づいて閾値が設定されると、コントローラが「紙あり状態」と判断する分岐点となる状態にズレが生じる。
【0072】
図17Bは、本実施形態の調整時のセンサの位置である。同図において、既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので、説明を省略する。 本実施形態では、光学センサ54は、ハガキが搬送されていればハガキと対向する位置から、紙なし状態の信号を出力している。また、光学センサ54は、溝部244に対向する位置から、紙なし状態の信号を出力している。すなわち、光学センサ54は、ハガキが搬送されていればハガキの下(ドットが形成される面の反対側)に位置する溝部244上に光を照射し、その反射光を受光している。
【0073】
ハガキを支持する突起の間の溝部244には、吸収部材246が設けられていない。なぜなら、ハガキに対して縁なし印刷を行ったとしても、ハガキの下にインクが着弾することはないためである。また、他の紙に対して縁なし印刷を行ったとしても、その紙はハガキよりも幅が広いので、ハガキを支持する突起の間の溝部は、その紙の下に位置し、インクが着弾しないからである。なお、ハガキを支持する突起の間の溝部244にインクが着弾するためには、ハガキよりも小さい幅の紙に対して縁なし印刷する必要があるが、搬送ユニットは、そのような小さい幅の紙を搬送できない。以上の理由により、本実施形態では、ハガキを支持する突起の間の溝部244には、吸収部材246が設けられていない。
【0074】
以上の説明の通り、ハガキを支持する突起の間の溝部244にはインクが着弾しないので、縁なし印刷が可能なプリンタであっても、その位置の溝部244は汚れにくい。本実施形態では、ハガキが搬送されていればハガキの下に位置する溝部244(ハガキを支持する突起の間の溝部244)上に光を照射し、その反射光を受光しているので、光学センサの調整時(閾値の決定時)の光学センサの出力信号に、光学センサ54の劣化以外の要因が入りにくい。そのため、本実施形態によれば、光学センサ54の劣化に応じた閾値を設定することができる。
【0075】
また、以上の説明の通り、ハガキを支持する突起の間の溝部244には吸収部材246が設けられていない。そのため、この溝部244の表面は、吸収部材246の表面と比較して、平らになっている。そして、本実施形態では、ハガキが搬送されていればハガキの下に位置する溝部244(ハガキを支持する突起の間の溝部244)上に光を照射し、その反射光を受光しているので、反射光の光量が安定するため、光学センサの調整時(閾値の決定時)の光学センサの出力信号に、光学センサ54の劣化以外の要因が入りにくい。そのため、本実施形態によれば、光学センサ54の劣化に応じた閾値を設定することができる。
【0076】
本実施形態によれば、紙の右側端は、前述の固定ガイド82によって案内されているため、印刷時の紙の右側端の走査方向の位置(図中の紙Sの右側端の位置)は、ほぼ決まっている。このため、ハガキを支持する突起242の位置は、固定ガイドの位置を基準に定まっている。同様に、ハガキを支持する突起の間の溝部の位置も、固定ガイドの位置を基準に定まっている。つまり、吸収部材246を設けなくても良い溝部の位置は、固定ガイドの位置を基準に定まっている。なお、どのような幅の紙であっても、紙の右側端が固定ガイドに案内されるので、どのような幅の紙(ただし、少なくともハガキの幅の紙)が搬送されても、吸収部材246が設けられていない溝部の上を紙が搬送されることになる。つまり、どのような幅の紙に対して縁なし印刷を行っても、ハガキを支持する突起の間の溝部(ハガキを搬送すれば、ハガキの下に位置する溝部)には、インクが着弾しない。
【0077】
<検出位置の複数性について>
図18は、本実施形態の調整時の光学センサ54の検出スポットの位置関係の説明図である。既に説明された構成要素については、同じ符号を付しているので、説明を省略する。図中の丸い印は、光学センサの検出スポットを示すものであり、具体的には光学センサ54の発光部の光が照射される領域を示すものである。既に説明したとおり、いずれの検出スポットとも、調整時の光学センサの検出スポットは、ハガキが搬送されていればハガキの下に位置する(調整時の光学センサは、ハガキが搬送されていれば、ハガキと対向する位置にある)。
【0078】
本実施形態では、光学センサ54の調整時に、コントローラ60は、「紙なし状態」の光学センサ54の出力信号を3カ所で取得する。本実施形態では、ハガキを支持する突起242は4つあるので、その間の溝部は3カ所ある。しかし、コントローラ60は、この3つの溝部のそれぞれにおいて、「紙なし状態」の光学センサ54の出力信号を取得するわけではない。本実施形態では、光学センサの3カ所の検出スポットは、可動ガイド側よりも固定ガイド側に偏って、分布している。これは、キャリッジ31の待機位置が固定ガイド側にあるからである(図10参照)。すなわち、本実施形態では、コントローラ60はプリンタのスイッチがONになったときに光学センサ54の調整処理を行うため、待機位置(プリンタのスイッチがOFFのときのキャリッジ31の位置)に近いところを光学センサが検出すれば、光学センサ54の調整処理に要する時間を短縮できるからである。
【0079】
本実施形態では、コントローラは、3カ所の「紙なし状態」の光学センサ54の出力信号を取得した後、その3カ所の出力信号の平均値に基づいて、前述の調整用テーブルを参照している。ただし、コントローラ60は、必ずしも3カ所の出力信号の平均値に基づいて、調整用テーブルを参照する必要はない。仮に、3カ所の出力信号のうちの1カ所の出力信号が突出した信号であれば、コントローラ60は、その信号を無視し、他の2カ所の信号に基づいて、調整用テーブルを参照しても良い。又は、コントローラ60は、3カ所の出力信号のうちの中間値を有する出力信号に基づいて、調整用テーブルを参照しても良い。
【0080】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0081】
<光学センサの調整について>
前述の実施形態によれば、光学センサの劣化に応じて閾値を変えることにより、光学センサを調整していた。しかし、光学センサの調整方法は、閾値を変えることに限られるものではない。例えば、光学センサの調整は、光学センサの出力結果を調整することによって行われてもよい。
【0082】
図19は、光学センサの回路図である。既に説明された構成要素については同じ符号を付しているので説明を省略する。発光部541は、入力する電気信号を光信号に変換する。受光部542は、紙からの光信号を受光して電気信号に変換して出力する。光学センサ54は、受光部542が受光した光量に応じて、出力信号Voutを変化させる。この光学センサ54は、調整手段として可変抵抗器544を有している。この可変抵抗器544の抵抗値は、コントローラ60によって、制御される。そして、コントローラ60が可変抵抗器544の抵抗値を調節することによって、受光部542に対する負荷抵抗が調整されるので、光学センサ54の出力信号が調整される。例えば、コントローラ60が可変抵抗器544の抵抗値を大きく調節すると、受光部542が同じ光量を受光しても、出力信号Voutが大きくなる。つまり、コントローラ60が可変抵抗器544の抵抗値を大きくすると、光学センサ54の感度が高くなる。光学センサ54が劣化したとき、コントローラ60は受光部542の感度が高くなるように調整する。すなわち、コントローラ60が、光学センサ54の劣化に応じて、可変抵抗器544の負荷抵抗を調整する。このように光学センサの出力結果を調整しても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、光学センサの出力結果を調整するため、光学センサの出力に対するゲインを、光学センサ54の劣化に応じて調整しても良い。このようにしても、前述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0083】
<調整時の光学センサの検出スポットについて1>
前述の実施形態によれば、コントローラ60は、3カ所の「紙なし状態」の光学センサ54の出力信号を取得していた。しかし、コントローラ60は、必ずしも、複数箇所の光学センサ54の出力信号を取得する必要はない。例えば、1カ所であっても良い。
【0084】
<調整時の光学センサの検出スポットについて2>
前述の実施形態によれば、光学センサの3カ所の検出スポットは、可動ガイド側よりも固定ガイド側に偏って、分布していた。しかし、必ずしも、光学センサの検出スポットの位置の分布が固定ガイド側に偏っている必要はない。
例えば、前述の実施形態ではハガキを支持する突起242が4つあるので、その間の3つのそれぞれの溝部上に光学センサの検出スポットを位置させて、光学センサの出力信号を取得しても良い。または、前述の実施形態ではハガキを支持する突起242が4つあるので、その間の3つの溝部のうちの真ん中の溝部上に光学センサの検出スポットを位置させても良い。
【0085】
<調整時の光学センサの検出スポットについて3>
前述の実施形態によれば、光学センサの調整時に、光学センサの検出スポットはプラテン24の溝部の上に位置していた。しかし、光学センサの検出スポットは、必ずしも溝部の上である必要はない。
例えば、ハガキを支持する突起242の上であっても良い。ただし、この場合、突起244の走査方向の幅は、光学センサの検出スポットよりも大きいことが望ましい。仮に突起242の走査方向の幅が光学センサの検出スポットよりも小さいと、発光部541により照射される光の面積が安定しないからである。
このため、プラテン24の突起242の走査方向の幅と、プラテンの溝部244の走査方向の幅とを比較して、幅の広い方の構成部材に光学センサの検出スポットが位置していることが望ましい。
【0086】
<光学センサについて>
前述の実施形態によれば、光学センサは、反射型の光学センサであった。しかし、透過型の光学センサであっても良い。要するに、インクに汚されないような位置をセンサが検出するのであればよいのである。
前述の実施形態によれば、光学センサは、キャリッジに設けられ、移動可能であった。しかし、センサは、必ずしも移動可能である必要はない。要するに、インクに汚されないような位置をセンサが検出するのであればよいのである。
【0087】
<調整用テーブルについて>
前述の実施形態によれば、コントローラは、光学センサの出力信号に基づいて、調整用テーブルを参照していた。しかし、調整用テーブルは、必ずしも必要ではない。例えば、出力信号を変数とする関数が、メモリ63に記憶されていても良い。そして、コントローラが光学センサの出力信号を関数に代入し、閾値が求められるように構成されていても良い。
【0088】
<吸収部材について>
前述の実施形態では、溝部に吸収部材が設けられていたが、必ずしも必要ではない。仮に吸収部材が設けられていなくても、紙に着弾しなかったインクは溝部に着弾し、この溝部は紙には接触しないため、紙の裏面を汚さないからである。ただし、溝部にインクが溜まることは望ましくないので、溝部に吸収部材を設けることは望ましい。
【0089】
<プリンタについて>
前述の実施形態では、液体吐出装置としてプリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0090】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0091】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、センサの出力が変化したときに、センサの調整を的確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 印刷システムの全体構成の説明図である。
【図2】 プリンタドライバが行う基本的処理の説明図である。
【図3】 プリンタドライバのユーザインターフェースの説明図である。
【図4】 プリンタの全体構成のブロック図である。
【図5】 プリンタの全体構成の概略図である。
【図6】 プリンタの全体構成の横断面図である。
【図7】 印刷時の処理のフロー図である。
【図8】 ノズルの配列を示す説明図である。
【図9】 紙案内ユニットの斜視図である。
【図10】 紙案内ユニットの構成要素等の位置関係の説明図である。
【図11】 紙なし印刷時の印刷データの説明図である。
【図12】 図12Aは、縁なし印刷時のインクの吐出の説明図である。図12Bは、縁なし印刷時のインクの着弾の説明図である。
【図13】 光学センサの構成の説明図である。
【図14】 光学センサ54の出力信号の説明図である。
【図15】 光学センサが劣化した場合の出力信号の説明図である。
【図16】 光学センサの調整処理のフロー図である。
【図17】 図17Aは、参考例の調整時のセンサの位置の説明図である。図17Bは、本実施形態の調整時のセンサの位置である。
【図18】 本実施形態の検出スポットの位置関係の説明図である。
【図19】 他の実施形態の光学センサの回路図である。
【符号の説明】
1 プリンタ、
20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、22 搬送モータ(PFモータ)、
23 搬送ローラ、24 プラテン、25 排紙ローラ、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 センサ、51 リニア式エンコーダ、52 ロータリー式エンコーダ、
53 紙検出センサ、54 光学センサ、541 発光部、542 受光部、
60 コントローラ、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路
100 印刷システム
110 コンピュータ、
120 表示装置、
130 入力装置、130A キーボード、130B マウス、
140 記録再生装置、140A フレキシブルディスクドライブ装置、
140B CD−ROMドライブ装置
Claims (17)
- 媒体の有無を検出するためのセンサと、少なくとも所定の幅を有する前記媒体に液体を吐出するヘッドと、前記媒体を支持するための凸部と凹部とを有する支持部材と、を備え、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行い、
調整されたセンサを用いて前記媒体の有無を検出する液体吐出装置であって、
前記凹部の幅は前記凸部の幅よりも大きく、
前記センサを調整する際に、前記センサは、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体の液体が吐出される側の反対側に位置する前記凹部を検出することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記ヘッドから吐出された液体のうち、前記媒体に着弾しない液体があることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記媒体に着弾しない液体を吸収するための吸収部材を更に有することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項3に記載の液体吐出装置であって、
前記調整を行う際に、前記センサは、前記吸収部材が設けられていない部分を検出することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記媒体が搬送される方向に沿った面を有するガイドを更に備え、
前記ガイドは、前記媒体の一端と接触し、前記媒体を案内することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記センサは、幅方向に沿って、移動可能であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項6に記載の液体吐出装置であって、
前記センサを調整する際に、前記センサは、複数の位置において前記凹部を検出することを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記幅の異なる複数の媒体に前記液体を吐出可能であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜8のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記センサは、光学センサであることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項9に記載の液体吐出装置であって、
前記センサは、反射型の光学センサであることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜10のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、前記センサの検出結果と閾値とに基づいて、前記媒体の有無を検出するものであり、
前記センサの調整は、前記媒体が無い状態における前記センサの出力する信号に基づいて、前記閾値を設定することにより行われることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜11のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記センサの調整は、前記媒体が無い状態における前記センサの出力する信号に基づいて、前記媒体の有無を検出する際に前記センサが出力する信号を調整することにより行われることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項1〜12のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、前記媒体にインクを吐出して、媒体に印刷を行う印刷装置であることを特徴とする液体吐出装置。 - 請求項13に記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、前記媒体に縁なし印刷を行うことを特徴とする液体吐出装置。 - 媒体の有無を検出するためのセンサと、少なくとも所定の幅を有する前記媒体に液体を吐出するヘッドと、を備え、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行い、
調整されたセンサを用いて前記媒体の有無を検出する印刷装置であって、
前記センサを調整する際に、前記センサは、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体の液体が吐出される側の反対側に位置する部材を検出し、
前記印刷装置は、前記媒体を支持する支持部材を更に備え、前記調整を行う際に、前記センサは、前記支持部材を検出し、
前記支持部材は、前記媒体を支持するための凸部と、凹部とを有し、
前記凹部の幅は前記凸部の幅よりも大きく、前記調整を行う際に、前記センサは、前記凹部を検出し、
前記ヘッドから吐出された液体のうち、前記媒体に着弾しない液体があり、
前記媒体に着弾しない液体を吸収するための吸収部材を更に有し、
前記調整を行う際に、前記センサは、前記吸収部材が設けられていない部分を検出し、
前記媒体が搬送される方向に沿った面を有するガイドを更に備え、前記ガイドは、前記媒体の一端と接触し、前記媒体を案内し、
前記センサを調整する際に、前記センサは、複数の位置において前記部材を検出し、
前記幅の異なる複数の媒体に前記液体を吐出可能であり、
前記センサは、反射型の光学センサであり、
前記印刷装置は、前記センサの検出結果と閾値とに基づいて、前記媒体の有無を検出するものであり、前記センサの調整は、前記媒体が無い状態における前記センサの出力する信号に基づいて、前記閾値を設定することにより行われ、
前記印刷装置は、前記媒体に縁なし印刷を行う
ことを特徴とする印刷装置。 - 凸部と、前記凸部よりも幅が大きい凹部とを有する支持部材に支持され、液体が吐出される媒体であって、少なくとも所定の幅を有する媒体、の有無を検出するセンサの調整方法において、
前記センサが、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体のインクが吐出される側の反対側に位置する前記凹部を、前記媒体が無い状態において検出するステップと、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行うステップと、
を有することを特徴とする調整方法。 - コンピュータと印刷装置とを備えた印刷システムであって、
前記印刷装置は、
媒体の有無を検出するためのセンサと、少なくとも所定の幅を有する前記媒体に液体を吐出するヘッドと、前記媒体を支持するための凸部と凹部とを有する支持部材と、を備え、
前記媒体が無い状態における前記センサが出力する信号に基づいて、前記センサの調整を行い、
調整されたセンサを用いて前記媒体の有無を検出する印刷装置であって、
前記凹部の幅は前記凸部の幅よりも大きく、
前記センサを調整する際に、前記センサは、前記所定の幅の媒体が有る状態のときに前記媒体の液体が吐出される側の反対側に位置する前記凹部を検出することを特徴とする印刷システム。
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