JP2007276135A - プリンタおよび印刷方法 - Google Patents

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JP2007276135A
JP2007276135A JP2006101679A JP2006101679A JP2007276135A JP 2007276135 A JP2007276135 A JP 2007276135A JP 2006101679 A JP2006101679 A JP 2006101679A JP 2006101679 A JP2006101679 A JP 2006101679A JP 2007276135 A JP2007276135 A JP 2007276135A
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Norifumi Hatada
憲史 畑田
Toru Hayashi
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Abstract

【課題】印刷対象物の端部の位置の検出精度を向上させると共に、インクミストを低減させることが可能なプリンタおよび印刷方法を提供すること。
【解決手段】プリンタにおいて、印刷対象物Pおよび載置部を検出し、この検出の際に、それぞれ異なる出力値の出力信号を送信して、印刷対象物Pの端部を検出する端部検出手段70と、印刷ヘッド38の移動に伴って、レベルの異なる検出信号を出力し、印刷ヘッド38の位置を検出する位置検出手段50と、検出信号のレベルが切り替わるタイミングにおける出力値を取得する出力値取得手段110と、印刷ヘッド38の位置と出力値との関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段100と、近似関数が、出力値のしきい値と交差する交点を算出する交点算出手段100と、算出された交点に基づいて、印刷ヘッド38の駆動を制御するヘッド駆動制御手段100と、を具備している。
【選択図】図7

Description

本発明は、プリンタおよび印刷方法に関する。
紙等の印刷対象物に対して、印刷を実行するインクジェットプリンタには、通常、キャ
リッジが設けられていて、このキャリッジには、印刷対象物にインク滴を吐出する印刷ヘ
ッドが設けられている。また、現状のインクジェットプリンタでは、キャリッジに、印刷
対象物の有無等を検出するための検出センサ(PWセンサ)が取り付けられているタイプ
がある。この検出センサは、主として、印刷対象物に対して縁無し印刷を実行したり、C
D−Rのレーベル面に印刷する際に用いられている。
この検出センサは、キャリッジからプラテン側に向けて光を照射する発光素子と、当該
プラテン側から反射される光を受光する受光素子とを備える反射型のセンサである。この
検出センサは、キャリッジと共に、例えば主走査方向に移動するが、その移動に際して、
白色の紙等に差し掛かると、ローレベルの検出信号(出力値)を出力する。また、印刷対
象物に差し掛からずに、黒色のプラテン上に位置しているときは、ハイレベルの検出信号
(出力値)を出力する。
ここで、検出センサが出力する出力値は、所定の周期(所定の時間間隔)ごとに、CP
U等の処理部位に取り込まれる。そして、CPUでは、取り込まれた出力値が、所定のし
きい値を超えているか否かにより、印刷対象物の有無を検出するようにしている。なお、
かかる検出に関する内容を示すものとしては、特許文献1および特許文献2がある。
特開2005−81750号公報(段落番号0031、図4〜図9等参照) 特開2005−313603号公報(要約、図25等参照)
ところで、特許文献1および特許文献2に開示されているように、現状では、検出セン
サから出力される出力値は、所定の周期(時間間隔)毎に、CPU等の処理部位に取り込
まれている。そして、処理部位での演算により、出力値が、しきい値を超えているか否か
を判断する。そして、この判断を、印刷対象物の境界に対応させている。
ここで、キャリッジの位置は、当該キャリッジの位置を検出するエンコーダセンサから
のパルス電圧の出力(以下、この出力をENC信号とする。)により判断される。このと
き、エンコーダセンサから出力されるENC信号の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエ
ッジをカウントするか否かによって、位置検出を行っている。
ところが、検出センサからの出力値が取り込まれるタイミングは、上述のENC信号の
立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジをカウントするタイミングと一致していない。
しかしながら、キャリッジの位置は、このエッジのカウントに基づいて判断される。この
ため、検出センサからの出力値が、しきい値を超えている場合、その出力値を得た実際の
位置と、ENC信号の検出(カウント)に基づいて判断される検出位置との間には、ずれ
が生じている。
なお、プリンタにおいては、印刷速度の一層の向上が求められているため、キャリッジ
が移動する速度も、増大する傾向にある。そのため、上述のずれ(出力値を得た実際の位
置と、ENC信号の検出に基づいて判断される検出位置との間の距離)も、大きくなる傾
向にある。
ここで、上述の問題を解決するために、出力値を読み込む所定の周期を短くする、とい
う手法を取ることが考えられる。しかしながら、この場合には、CPU等の処理部位での
処理負荷が大きくなるため、現状用いられているCPUよりも、処理能力の高いCPUを
搭載する必要がある。その場合、処理能力の高いCPUを搭載する分だけ、コストの増大
を招くという問題点がある。そこで、現状用いているCPU等の、限られたハードウエア
資源を有効活用する手法を用いることが好ましい。
また、上述のように、印刷対象物の端部の検出精度が良好でない状況下において、印刷
対象物に対して縁無し印刷を実行する場合、プラテン側に余分にインク滴が吐出される状
態となる。そのため、印刷対象物のうち、プラテンと接触する裏面側を汚したり、プリン
タの筐体内部にインクミストを余分に飛散させる等の不具合が発生する。そのため、縁無
し印刷を行う場合においては、インク滴を余分に吐出しないようにすることが望まれてい
る。
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、印刷対象物
の端部の位置の検出精度を向上させると共に、インクミストを低減させることが可能なプ
リンタおよび印刷方法を提供しよう、とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、印刷対象物に対して、印刷ヘッドからインク滴
を吐出することにより、印刷を実行するプリンタにおいて、印刷対象物およびこの印刷対
象物が載置される載置部とを検出し、これら印刷対象物と載置部とを検出する際に、それ
ぞれ異なる出力値の出力信号を送信すると共に、当該出力信号に応じて、該印刷対象物の
端部を検出するための端部検出手段と、印刷ヘッドの移動に伴って、レベルの異なる検出
信号を出力すると共に、この検出信号に基づいて印刷ヘッドの位置を検出するための位置
検出手段と、検出信号のレベルが切り替わるタイミングにおける出力値を取得する出力値
取得手段と、出力値取得手段でのタイミングにおける出力値の取得に基づいて、印刷ヘッ
ドの位置と出力値との関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、近似関数算出
手段で算出される近似関数が、予め規定されていると共に印刷対象物の端部に対応する出
力値のしきい値と交差する交点を算出する交点算出手段と、交点算出手段で算出された交
点に基づいて、印刷ヘッドの駆動を制御するヘッド駆動制御手段と、を具備するものであ
る。
このように構成した場合には、出力値取得手段では、位置検出手段から出力される検出
信号のレベルが切り替わるタイミングにおいて、端部検出手段から出力される出力信号の
出力値が取得される。そして、この出力値に基づいて、近似関数算出手段では、印刷ヘッ
ドの位置と出力値との関係を示す近似関数が算出される。また、交点算出手段では、近似
関数算出手段で算出される近似関数が、予め規定されている出力値のしきい値と交差する
交点が算出される。そして、ヘッド駆動制御手段は、交点算出手段で算出された交点に基
づいて、印刷ヘッドの駆動を制御する。
このようにすれば、出力値の取得のタイミングは、検出信号のレベルの切り替わるタイ
ミングとずれがなくなる。そして、かかるタイミングで取得された出力値と、検出信号に
基づいて検出される印刷ヘッドの位置とに基づいて、近似関数を算出することにより、い
ずれの位置で、出力値がしきい値と交差する(超える)のかを、求めることが可能となる
。そのため、印刷対象物の端部を高精度に検出することが可能となる。
そのため、例えば縁無し印刷を実行する場合、印刷対象物の端部の高精度の検出により
、精度の良い縁無し印刷を実行可能となる。また、印刷対象物の端部を高精度に検出する
ことにより、縁無し印刷時に、印刷以外に打ち捨てられるインク滴の分量を減らすことが
可能となる。それにより、載置部等にインク滴が付着するのを少なくすることが可能とな
り、当該載置部に接触する印刷対象物に汚れが生じるのを抑えることが可能となる。また
、打ち捨てられるインク滴の分量を減らすことができるので、印刷対象物によって吸収さ
れない等によって生じる、インクミストの発生も減少させることが可能となる。
さらに、印刷対象物の端部を高精度に検出可能なため、印刷速度を向上させても、縁無
し印刷等を良好に実行可能となる。また、出力値取得手段では、検出信号の切り替わりの
タイミングで出力値を取り込む処理を行うため、CPUにおいて出力値を短い周期で読み
込む場合と比較して、CPUの処理負荷を軽減することが可能となる。そのため、処理能
力の高いCPU等を搭載する必要がなくなり、限られたハードウエア資源の有効活用が可
能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、端部検出手段は、印刷対象物に向けた光
を照射するための発光手段と、印刷対象物から反射される光を受光すると共に、当該印刷
対象物から反射される光量に応じた出力値の出力信号を出力する受光手段と、を具備する
ものである。
このように構成した場合には、発光手段から出射される光は、印刷対象物に照射される
と共に、当該印刷対象物からの反射光が、受光手段で受光される。そして、受光手段では
、印刷対象物から反射される光量に応じた出力値の出力信号が出力される。このようにす
れば、反射型の光センサを用いて、印刷対象物の端部に対応する出力値を良好に取得する
ことが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、近似直線算出手段は、少なくとも2
つの位置と、それぞれの位置における出力値とに基づいて、出力値と位置との関係を近似
的に示す近似直線を算出するものである。
このように構成した場合には、印刷対象物の端部においては、出力値と位置との関係を
示す近似直線が算出される。そのため、近似直線が、しきい値と交差する交点を容易に算
出することが可能となり、交点算出手段において、印刷対象物の端部を容易に算出するこ
とが可能となる。
また、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、位置検出手段は、検出信号のレベルが
切り替わる際の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのうち、少なくとも一方をカウ
ントしてカウント値を算出するカウント手段を具備すると共に、出力値取得手段は、カウ
ント手段でカウントされるカウント値と、当該カウント値をカウントするタイミングにお
ける出力値とを対応させた対応データを作成するものである。
このように構成した場合には、カウント手段で、検出信号の立ち上がりエッジまたは立
ち下がりエッジのうち、少なくとも一方をカウントしてカウント値を算出することにより
、印刷ヘッド等の位置を検出可能となる。また、出力値取得手段では、カウント値をカウ
ントするタイミングにおける出力値とを対応させた、対応データが作成される。このため
、対応データに基づけば、近似関数を容易に算出することが可能となり、近似関数がしき
い値と交差する交点を用意に算出することが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置検出手段は、位相が異なる2つの
検出信号を出力すると共に、カウント手段は、2つの検出信号のそれぞれにおいて、立ち
上がりエッジと、立ち下がりエッジの両方をカウントするものである。
このように構成した場合には、2つの検出信号のそれぞれで、立ち上がりエッジおよび
立ち下がりエッジが検出されるため、高分解能の位置検出手段とすることが可能となる。
そのため、算出される近似関数は、より正確なものとなり、近似関数としきい値との交点
を一層正確に算出することが可能となる。
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、位置検出手段は、位相が異なる2つの検
出信号を出力すると共に、カウント手段は、2つの検出信号のうち、いずれかの検出信号
における立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジをカウントするものである。
このように構成した場合には、2つの検出信号のうち、いずれかの検出信号における立
ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジをカウントだけであるため、出力値取得手段での
処理負荷を軽減させることが可能となる。
さらに、他の発明は、上述の各発明に加えて更に、ヘッド駆動制御手段は、印刷ヘッド
を制御駆動するための周期的な駆動信号を生成すると共に、載置部から印刷対象物に差し
掛かる際には、駆動信号は、印刷対象物に差し掛かる直前の周期から印刷ヘッドに向けて
出力され、印刷対象物から載置部に差し掛かる際には、載置部に差し掛かった直後から印
刷ヘッドに対する駆動信号の出力を停止させるものである。
このように構成した場合には、載置部から印刷対象物に差し掛かる場合、駆動信号は、
差し掛かる直前の周期から印刷ヘッドに向けて出力される。ここで、従前の例では、印刷
対象物に差し掛かる、相当手前の周期から、印刷ヘッドに駆動信号を出力している。しか
しながら、本発明では、縁無し印刷に際して、載置部から印刷対象物に差し掛かる直前の
周期から印刷ヘッドに駆動信号を出力するため、打ち捨てられるインク滴の分量を、極力
少なくすることが可能となる。また、印刷対象物から載置部に差し掛かる際には、載置部
に差し掛かった直後から、印刷ヘッドに対する駆動信号の出力を停止している。ここで、
従前の例では、載置部に差し掛かってから相当後の周期になってから、駆動信号の出力を
停止している。しかしながら、本発明では、印刷対象物から載置部に差し掛かった直後の
周期から駆動信号の出力を停止させるため、打ち捨てられるインク滴の分量を、極力少な
くすることが可能となる。
また、他の発明は、印刷対象物に対して、印刷ヘッドからインク滴を吐出することによ
り、印刷を実行する印刷方法において、印刷対象物およびこの印刷対象物が載置される載
置部とを検出し、これら印刷対象物と載置部とを検出する際に、それぞれ異なる出力値の
出力信号を送信すると共に、当該出力信号に応じて、該印刷対象物の端部を検出するため
の端部検出工程と、印刷ヘッドの移動に伴って、レベルの異なる検出信号の出力に基づい
て、印刷ヘッドの位置を検出する位置検出工程と、検出信号のレベルが切り替わるタイミ
ングにおける出力値を取得する出力値取得工程と、出力値取得工程でのタイミングにおけ
る出力値の取得に基づいて、印刷ヘッドの位置と出力値との関係を示す近似関数を算出す
る近似関数算出工程と、近似関数算出工程で算出される近似関数が、予め規定されている
出力値のしきい値と交差する交点を算出する交点算出工程と、交点算出工程で算出される
交点に基づいて、印刷ヘッドの駆動を制御するヘッド駆動制御工程と、を具備するもので
ある。
このように構成した場合には、出力値取得工程では、位置検出工程で出力される検出信
号のレベルが切り替わるタイミングにおいて、端部検出工程で出力される出力信号の出力
値が取得される。そして、近似関数算出工程では、印刷ヘッドの位置と出力値との関係を
示す近似関数を算出する。また、交点算出工程では、近似関数算出手段で算出される近似
関数が、予め規定されている出力値のしきい値と交差する交点を算出する。そして、ヘッ
ド駆動制御工程では、交点算出手段で算出された交点に基づいて、印刷ヘッドの駆動を制
御する。
このようにすれば、出力値の取得のタイミングは、検出信号のレベルの切り替わるタイ
ミングとずれがなくなる。そして、かかるタイミングで取得された出力値と、検出信号に
基づいて検出される印刷ヘッドの位置とに基づいて、近似関数を算出することにより、い
ずれの位置で、出力値がしきい値と交差する(超える)のかを、求めることが可能となる
。そのため、印刷対象物の端部を高精度に検出することが可能となる。
そのため、例えば縁無し印刷を実行する場合、印刷対象物の端部の高精度の検出により
、精度の良い縁無し印刷を実行可能となる。また、印刷対象物の端部を高精度に検出する
ことにより、縁無し印刷時に、印刷以外に打ち捨てられるインク滴の分量を減らすことが
可能となる。それにより、載置部等にインク滴が付着するのを減らすことが可能となり、
当該載置部に接触する印刷対象物に汚れが生じるのを抑えることが可能となる。また、打
ち捨てられるインク滴の分量を減らすことができるので、印刷対象物によって吸収されな
い等によって生じる、インクミストの発生も減少させることが可能となる。
さらに、印刷対象物の端部を高精度に検出可能なため、印刷速度を向上させても、縁無
し印刷等を良好に実行可能となる。また、出力値取得工程では、検出信号の切り替わりの
タイミングで出力値を取り込む処理を行うため、CPUにおいて出力値を短い周期で読み
込む場合と比較して、CPUの処理負荷を軽減することが可能となる。そのため、処理能
力の高いCPU等を搭載する必要がなくなり、限られたハードウエア資源の有効活用が可
能となる。
以下、本発明の一実施の形態に係るプリンタ10および印刷方法について、図1から図
10に基づいて説明する。なお、本実施の形態のプリンタ10は、インクジェット式のプ
リンタであるが、かかるインクジェット式プリンタは、インクを吐出して印刷可能な装置
であれば、いかなる吐出方法を採用した装置でも良い。
また、以下の説明においては、下方側とは、プリンタ10が設置される側を指し、上方
側とは、設置される側から離間する側を指す。また、後述するキャリッジ31が移動する
方向を主走査方向(X座標方向)、主走査方向に直交する方向であって印刷対象物Pが搬
送される方向を副走査方向とする。また、印刷対象物Pが供給される側を給紙側(後端側
)、印刷対象物Pが排出される側を排紙側(手前側)として説明する。
<プリンタ10の構成>
図1に示すように、プリンタ10は、筐体部20と、キャリッジ駆動機構30と、用紙
搬送機構40と、リニアエンコーダ50と、ロータリエンコーダ60と、PWセンサ70
と、コントローラ100と、を主要な構成要素としている。
これらのうち、筐体部20は、設置面に設置されるシャーシ21、このシャーシ21か
ら上方に向かい立設されている支持フレーム22を具備している。また、キャリッジ駆動
機構30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ(CRモータ32)と、ベルト33と
、歯車プーリ34、従動プーリ35およびキャリッジ軸36を備えている。これらのうち
、キャリッジ31は、各色のインクカートリッジ37を搭載可能としている。また、図2
に示すように、キャリッジ31の下面には、インク滴を吐出可能な印刷ヘッド38が設け
られている。また、ベルト33は、無端ベルトであり、その一部がキャリッジ31の背面
に固定されている。このベルト33は、歯車プーリ34と従動プーリ35とによって張設
されている。
上述の印刷ヘッド38には、各インクに対応づけられた不図示のノズル列が設けられて
いて、このノズル列を構成するノズルには、不図示のピエゾ素子が配置されている。この
ピエゾ素子の作動により、インク通路の端部にあるノズルからインク滴を吐出することが
可能となっている。なお、印刷ヘッド38は、ピエゾ素子を用いたピエゾ駆動方式に限ら
れず、例えばインクをヒータで加熱し、発生する泡の力を利用するヒータ方式、磁歪素子
を用いる磁歪方式、ミストを電界で制御するミスト方式等を採用しても良い。また、カー
トリッジ37に充填されるインクは、染料系インク/顔料系インク等、いずれの種類のイ
ンクを搭載しても良い。
図3等に示すように、用紙搬送機構40は、印刷対象物P等を搬送するためのPFモー
タ41(図2参照)、および普通紙等の給紙に対応する給紙ローラ42を具備している。
また、給紙ローラ42よりも排紙側には、印刷対象物Pを搬送/挟持するためのPFロー
ラ対43が設けられている。また、PFローラ対43の排紙側には、プラテン44および
上述の印刷ヘッド38が上下に対向する様に配設されている。プラテン44は、載置部に
対応すると共に、PFローラ対43によって印刷ヘッド38の下へ搬送されてくる印刷対
象物Pを、下方側から支持する。また、プラテン44よりも排紙側には、上述のPFロー
ラ対43と同様の、排紙ローラ対45が設けられている。この排紙ローラ対45のうち、
排紙駆動ローラ45aには、PF駆動ローラ43aと共に、PFモータ41からの駆動力
が伝達される。
また、図2、図4等に示すように、リニアエンコーダ50は、リニアスケール51と、
リニアセンサ52と、を具備している。このリニアエンコーダ50は、位置検出手段の一
部に対応する。また、リニアスケール51は、一定の間隔毎に、光を透過させる透光部5
1aと、光の透過を遮断する遮光部51bとを有している。
また、リニアセンサ52は、発光素子521と、受光素子522とを主要な構成要素と
している。これらのうち、発光素子521は、例えば発光ダイオードといった光を出射さ
せることが可能な部材から構成されている。また、発光素子521と、受光素子522と
の間には、コリメータレンズ523が介在している。そして、発光素子521から出射さ
れる光は、コリメータレンズ523の通過により平行光に整形された後に、リニアスケー
ル51に入射される。
また、複数(本実施の形態では、4つで1ユニット)の受光素子522は、例えばフォ
トダイオード、フォトトランジスタ等のような光電変換を行うことが可能な素子から構成
されている。本実施の形態では、4つの受光素子522は、信号処理回路524に接続さ
れている。そのため、4つの受光素子522から出力される電気信号は、それぞれ信号処
理回路524において処理され、コンパレータ525に処理後の信号を出力する。また、
コンパレータ525では、入力されるそれぞれの信号を比較し、その比較によって、図5
に示すようなパルス信号(A相のENC信号,B相のENC信号;検出信号に対応)を出
力する。ここで、出力されるA相のENC信号、B相のENC信号は、互いに位相が90
度だけ異なっている。そのため、CRモータ32が正転状態にあるとき(キャリッジ31
がホームポジションから離れる向きに移動しているとき)、A相のENC信号は、B相の
ENC信号よりも90度だけ位相が進行する。また、CRモータ32が逆転状態にあると
き、A相のENC信号は、B相のENC信号よりも90度だけ位相が遅れる。
また、ロータリエンコーダ60は、図2に示すように、PFモータ41によって回転さ
せられる円盤状のスケール61を具備すると共に、上述のリニアエンコーダ50と同様の
フォトセンサ(ロータリセンサ)62を具備している。このロータリエンコーダ60にお
いては、スケール61が円盤状である以外は、リニアエンコーダ50と同様の構成となっ
ているため、その詳細についての説明は省略する。
また、プリンタ10は、図6に示すようなPWセンサ70を具備している。PWセンサ
70は、端部検出手段に対応すると共に、印刷対象物Pの端部を検出するためのセンサで
あり、主走査方向および副走査方向における印刷対象物の有無を検出する。このPWセン
サ70は、光学式のセンサであり、検出対象の光反射率に応じて出力が得られる。しかし
ながら、このPWセンサ70は、上述のリニアエンコーダ50、ロータリエンコーダ60
等の透過型の光学式センサとは異なる、反射型の光学式センサとなっている。
このPWセンサ70においては、検出対象の光反射率が高いほど(白に近いほど)出力
値(本実施の形態では、電圧)が小さくなると共に、検出対象の光反射率が低いほど(黒
に近いほど)、出力値が大きくなる。このため、印刷対象物P等のような、白色の部分を
検出するときの出力値は、小さくなると共に、プラテン44のような、黒色の部分を検出
するときの出力値は、大きくなる。
このPWセンサ70は、検出対象に向けて光を出射すると共に発光手段に対応する発光
素子71と、検出対象から反射される光を受光すると共に受光手段に対応する受光素子7
2と、を具備する。このPWセンサ70は、キャリッジ31のうち、プラテン44等と対
向する底面側に取り付けられている。そして、PWセンサ70のうち、発光素子71から
光が出射されると、プラテン44や印刷対象物P等の検出対象に照射される。そして、こ
の検出対象によって光が反射され、その反射による反射光が受光素子72で受光される。
次に、コントローラ100について、図7に基づいて説明する。コントローラ100は
、CPU101と、ROM102と、RAM103と、PROM104と、モータ制御部
105と、エンコーダカウンタ106と、センサ制御部107と、D/Aコンバータ10
8と、A/Dコンバータ109と、DMAコントローラ110と、PTS生成部111と
、駆動波形生成部112と、ドライバ113と、を具備している。
なお、このコントローラ100は、近似関数算出手段、交点算出手段およびヘッド駆動
制御手段に対応している。また、このコントローラ100は、後述する動作説明における
動作を行うものであるが、このコントローラ100以外に、画像処理等を始めとするその
他の制御を行うための、別途の制御部を有する構成を採用しても良く、かかる別途の制御
部を有しない構成を採用しても良い。
これらのうち、CPU101は、ROM102やRAM103等に記憶されているプリ
ンタ10の制御プログラムを実行するための演算処理や、その他の必要な演算処理を行う
。また、ROM102には、プリンタ10を制御するための制御プログラムおよび処理に
必要なデータ等が記憶されている。また、本実施の形態では、このROM102には、後
述する直線近似を行うためのプログラムが記憶されている。また、RAM103は、CP
U101が実行途中のプログラムあるいは、演算途中のデータ等を一時的に格納するメモ
リである。また、PROM104は、プリンタ10の電源を切った後も、保持しておくこ
とが必要な各種データを記憶するためのメモリである。
また、モータ制御部105は、CRモータ32等のモータの駆動を制御する部分であり
、リニアエンコーダ50(リニアセンサ52)からの検出信号(ENC信号)が、エンコ
ーダカウンタ106を介して入力されると共に、この検出信号およびCPU101からの
指令に基づいて、ドライバ113を介してCRモータ32等の駆動を制御する。
なお、図7においては、モータ制御部105は、CRモータ32の駆動を制御している
が、このモータ制御部105は、CRモータ32のみならず、PFモータ41等、CRモ
ータ32以外の他のモータの駆動を制御するように構成しても良い。
また、エンコーダカウンタ106は、位置検出手段の一部およびカウント手段に対応す
る。このエンコーダカウンタ106は、リニアセンサ52から出力される、ハイレベルの
信号および/またはローレベルの信号をカウントする部分である。このカウントにより、
キャリッジ31の現在位置が判明する。また、エンコーダカウンタ106で、単位時間当
たりにハイレベルの信号および/またはハイレベルの信号とはレベルの異なるローレベル
の信号が通過するのをカウントすることにより、キャリッジ31の速度が判明する。なお
、このエンコーダカウンタ106は、DMAコントローラ110に、カウント値に対応す
る信号(カウント信号)を出力する。また、エンコーダカウンタ106は、別途、CPU
101にも、カウント値に対応するカウント信号を出力する。
また、センサ制御部107は、CPU101からの指令に基づいて、D/Aコンバータ
108を介してPWセンサ70の発光素子71の作動を制御する。なお、センサ制御部1
07は、受光素子72からの出力を、A/Dコンバータ109を介して受信するように構
成しても良い。また、D/Aコンバータ108は、センサ制御部107からデジタル信号
が入力されると共に、発光素子71にアナログ信号(アナログ電圧)を出力する。また、
A/Dコンバータ109は、受光素子72からアナログ電圧が入力されると共に、当該ア
ナログ電圧に対応する電圧値を、デジタル信号(出力信号)として出力する。また、A/
Dコンバータ109から出力されるデジタル信号(出力信号)は、DMAコントローラ1
10に入力される。
なお、本実施の形態では、図7において、リニアセンサ52から出力されるA相のEN
C信号、B相のENC信号のうち、例えばB相のENC信号の立ち上がりエッジのみをカ
ウントしている。以下、このB相のENC信号の立ち上がりエッジを、基準エッジとする
また、DMAコントローラ110は、出力値取得手段に対応し、A/Dコンバータ10
9からデジタル信号(出力信号)が入力されると共に、エンコーダカウンタ106からカ
ウント信号が入力される。そして、別途入力されるクロック信号のタイミングに基づき、
カウント信号が入力されたときの出力信号を、当該カウント信号と対応付けて、RAM1
03に記憶させる。なお、DMAコントローラ110は、RAM103ではなく、PRO
M104に記憶させるように構成しても良い。
また、PTS生成部111は、ENC信号に対して、逓倍処理を行い、パルス波形のタ
イミング信号PTS(Print Timing Signal)を生成する。また、駆動波形生成部112
では、かかるタイミング信号PTSを発生開始タイミングとして、印刷ヘッド38が備え
るピエゾ素子を駆動させるための駆動信号(駆動波形)を生成する。また、ドライバ11
3では、モータ制御部105での制御信号に基づいて、CRモータ32へ電力を供給する
。それによって、CRモータ32は、制御駆動される。
<プリンタ10の作用(動作)>
以上のような構成を有するプリンタ10における作用について、図5、図8〜図10等
に基づいて説明する。
図8に示すように、まず、CPU101では、プリンタ10のRAM103等に、印刷
すべき印刷データが存在するか否かを判断する(S01)。この判断により、印刷データ
が存在すると判断される場合(Yesの場合)には、次のS02に進行する。また、印刷
データが存在しないと判断される場合(Noの場合;印刷が終了する場合等)には、印刷
を行えないため、以後の処理を終了する。
上述のS01において、Yesの場合、続いて、CPU101の指令により、モータ制
御部105を介してCRモータ32が制御駆動されると、キャリッジ31は、主走査方向
に沿う移動を開始する(S02)。
すると、この移動に伴って、リニアセンサ52は、リニアスケール51のパターンに応
じたENC信号を、エンコーダカウンタ106に向けて出力する(位置検出工程に対応)
。そして、エンコーダカウンタ106では、B相のENC信号の立ち上がりエッジ(基準
エッジ)をカウントする。そして、エンコーダカウンタ106からは、カウント信号(カ
ウント値)がDMAコントローラ110に向けて出力される(S03)。
また、キャリッジ31が主走査方向に沿う移動を開始すると、PWセンサ70も作動を
開始され、発光素子71は、プラテン44側に向けて光を出射させる。このとき、受光素
子72は、プラテン44側から反射される光を受光し、受光される光量に応じた電圧を出
力する(端部検出工程に対応)。ここで、プラテン44と対向する部位のように、光の反
射率が低い部位では、受光素子72は、ハイレベルの信号(電圧)を出力する。また、白
色の印刷対象物Pと対向する部位では、光の反射率が高いため、受光素子72は、ローレ
ベルの信号(電圧)を出力する。
そして、受光素子72では、アナログ電圧をA/Dコンバータ109に向けて出力し、
当該A/Dコンバータ109では、そのアナログ電圧に対応するデジタルの電圧値(出力
信号)を、DMAコントローラ110に出力する(S04;出力値取得工程に対応)。
ところで、プラテン44から印刷対象物Pに差し掛かった状態において、受光素子72
から出力される出力信号を、ハイレベルからローレベルに遷移する部分を拡大すると、図
5に示すようになる。なお、このときを、印刷対象物Pの一端側とする。この印刷対象物
Pの一端側の近傍において、出力信号が、ハイレベル側にある状態から、しきい値Vs1を
超えて低くなると、印刷対象物Pが存在する、と判断される。
しかしながら、従来例では、図9に示すように、出力信号の出力値を取り込むタイミン
グ(取り込み周期)は、決められたタイミング毎に行われている。例えば、図9において
は、取り込み周期は、ENC信号のエッジとは関係なく、出力値を取り込む周期である、
200msec毎に、出力信号の出力値が取り込まれている。ところが、キャリッジ31
の現在位置の判断は、エンコーダカウンタ106において、ENC信号のエッジをカウン
トすることに基づいている。つまり、キャリッジ31の位置は、ENC信号のエッジをカ
ウントすることにより、段階的に変化する。
そのため、従来例では、図9に示すように、ENC信号のエッジとエッジの間の中途部
位で、出力信号の出力値が取り込まれると、出力信号を取り込んでから、最初にENC信
号のエッジがカウントされる部位が、出力信号を取り込んだ位置である、と判断される。
この場合、実際に出力信号を取り込んだ(読み取った)位置と、出力信号を取り込んだ(
読み取った)と判断される位置との間には、ΔLだけのずれがある。
特に、出力信号がしきい値Vs1を超えている部位で、ΔLのずれが生じると、紙有りか
ら紙無しの判断の切り替わりが、ΔLだけずれていることになる。このとき、ENC信号
のエッジ検出と、取り込んだ出力値との関係を図示すると、ΔLのずれの分だけ、ノイズ
的に変動する近似曲線が得られる(図9参照)。
また、この場合には、ΔLの分だけ、誤差が生じている状態で、印刷対象物Pの端部を
検出している結果となる。そのため、いわゆる縁無し印刷を実行する場合、ΔLの検出誤
差の分だけ、余分にインク滴をプラテン44に吐出する状態となり、プラテン44の表面
に、その吐出の分だけインク滴を付着させる結果となる。
また、余分にインク滴を吐出し、そのインク滴が印刷対象物Pに着弾せず、当該印刷対
象物Pによって吸着されない状態となるため、プリンタ10の内部には、その吐出の分だ
け、インクミストが発生する。
しかしながら、本実施の形態では、DMAコントローラ110においては、例えばクロ
ック信号等を基準として、出力信号の出力値を得るタイミングは、ENC信号のエッジを
検出するタイミングと一致させている(図5参照;なお、図5では、VaとVbのタイミ
ングで、出力値を取り込んでいる。)。このため、上述のΔLのずれが解消され、実際に
出力信号を読み取った位置と、出力信号を読み取ったと判断される位置(ENC信号の基
準エッジがカウントされる位置)とが一致する。
そのため、DMAコントローラ110では、カウント信号が入力されるタイミングと、
そのタイミングにおける出力信号の値とに基づいて、ログファイルデータ(対応データに
対応)を生成し、そのログファイルデータを、RAM103に記憶させる(S05)。な
お、ここでいうログファイルとは、図10に示すように、カウント値に対応する電圧値を
記録したファイルである。このファイルに関するデータが、DMAコントローラ110か
ら、RAM103に出力される。このログファイルにおいては、カウント値は、距離に対
応している。
また、CPU101では、RAM103に記憶されているログファイルデータに基づい
て、近似直線を算出する(S06;近似関数算出工程に対応)。この近似直線は、図5に
示すような直線である。この図5においては、縦軸は電圧値、横軸は距離を示している。
この近似直線を算出する場合、少なくとも2つの地点(2つの異なるカウント値)におけ
る、電圧値が判明していれば、算出可能である。しかしながら、近似直線の信頼性を高め
るためには、2地点よりも、より多くの地点における電圧値に基づいて、近似直線を算出
するようにするのが好ましい。
なお、複数の地点の電圧値に基づいて、近似直線を算出する手法としては、種々のもの
が適用可能である。例えば、カウント値がPaとなるPa地点と、カウント値がPa+1とな
るPa+1地点では、Pa地点とPa+1地点とにおける出力値(電圧)を、それぞれVa、Vb
とし、しきい値をVs1とすると、
A=(Va−Vb)/4
B=(Va−Vs1)/A=4・(Va−Vs1)/(Va−Vb)
とした場合に、印刷対象物Pの端部は、
紙ありと判断される位置=Pa+B/4=Pa+(Va−Vs1)/(Va−Vb)
と求められる。
なお、かかる算出方法以外の算出方法を採用することも勿論可能であり、例えば、隣り
合う地点間において、それぞれの傾きを算出すると共に、それぞれの傾きの平均を算出し
て、その平均の傾きを備える近似直線を算出するようにしても良い。
また、上述のように近似直線を算出した後に、近似直線と、しきい値Vs1との交点のX
座標を算出する(S07;交点算出工程に対応)。このときのX座標が、所定のしきい値
Vs1を超えたと判断される位置であり、印刷対象物Pの有無が切り替わる地点である。
なお、図5では、交点のX座標は、印刷対象物Pが存在していないと判断される状態か
ら、印刷対象物Pが存在していると判断される境界を示している。しかしながら、プリン
タ10における位置検出は、ENC信号のエッジのカウントに基づいてしか為されない。
そのため、プリンタ10側で紙有りと判断される位置は、本実施の形態では、上述の式よ
り算出される位置(Pa+B/4)となっている。
ここで、しきい値には、出力信号がハイレベルからローレベルに遷移する際のVs1(こ
のとき、印刷対象物Pの一端側に対応)と、ローレベルからハイレベルに遷移する際のV
s2(このとき、印刷対象物Pの他端側に対応)の2種類がある。これらのうち、図5にお
いては、出力信号がハイレベルからローレベルに遷移する場合について説明している。し
かしながら、ローレベルからハイレベルに遷移する場合も、同様であるため、その説明は
省略する。なお、Vs1とVs2とを比較すると、通常は、Vs2>Vs1となる。
上述のように交点のX座標を算出した場合、その交点の検出に基づいて印刷を開始する
(S08;ヘッド駆動制御工程に対応)。このとき、交点の検出精度が高まり、紙有りと
判断される位置の精度も高まっているため、縁無し印刷を行う際、印刷対象物Pの境界に
差し掛かる寸前の地点まで、インク滴を吐出させないようにすることができる。
すなわち、従来例では、交点の検出精度が、さほど良好ではないため、縁無し印刷を行
うのに際して、上述のΔLのずれを加味して、印刷対象物Pの境界よりも若干手前の位置
から、インク滴を吐出させている。しかしながら、本実施の形態では、交点を算出後、そ
の交点の直後にエッジを検出する地点を、紙有りの判定基準としている(図5参照)。そ
のため、ΔLのずれを考慮せずに済むため、印刷対象物Pの境界に差し掛かる位置から、
インク滴の吐出を開始することが可能となる。
また、印刷対象物Pへのインク滴の吐出を開始後、所定の距離だけ進行すると、印刷対
象物Pからプラテン44へと切り替わる、境界に到達する(印刷対象物Pの他端側に到達
する。)。このときも、上述のS06と同様に、近似直線を算出する(S09;近似関数
算出工程に対応))。なお、この場合、しきい値は、上述のVs1ではなく、紙有りから紙
無しへと切り替わる際のしきい値であるVs2を用いる。また、近似直線の算出後、上述の
S07と同様に、近似直線としきい値Vs2との交点のX座標を算出する(S10;交点算
出工程に対応)。
そして、この交点のX座標を算出後、その交点の検出に基づいて、1走査分の印刷を停
止する(S11)。このとき、交点を通過した直後に、印刷ヘッド38の駆動を停止させ
る。以上のようにして、近似直線の算出に基づく、縁無し印刷の1走査分が終了する。ま
た、S10の後には、印刷対象物Pを1走査分だけ搬送する(S12)。なお、この1走
査分の搬送処理が終了した後に、再びS01に戻り、以後、同様の処理が繰り返される。
<本発明による効果>
上述のような構成のプリンタ10によると、出力値の取得のタイミングは、ENC信号
のエッジを取得するタイミングと一致している。このため、従来例のように、出力値を取
得するタイミングと、ENC信号のエッジを取得するタイミングとの間にずれがなくなる
。そのため、かかる出力値の取得と、ENC信号のカウントによる位置情報とに基づけば
、精度の良い近似直線を算出することが可能となる。それにより、いずれの位置で、出力
値がしきい値と交差する(超える)のかを、求めることが可能となり、印刷対象物Pの端
部を高精度に検出することが可能となる。
また、上述のように、印刷対象物Pの端部の高精度の検出により、精度の良い縁無し印
刷を実行可能となる。また、印刷対象物Pの端部を高精度に検出することにより、縁無し
印刷時に、印刷以外に打ち捨てられるインク滴の分量を減らすことが可能となる。それに
より、プラテン44にインク滴が付着するのを減らすことが可能となり、プラテン44に
接触する印刷対象物Pに汚れが生じるのを抑えることが可能となる。また、打ち捨てられ
るインク滴の分量を減らすことができるので、印刷対象物Pによって吸収されない等によ
って生じる、インクミストの発生も減少させることが可能となる。また、プラテン44が
インク滴の付着によって汚れるのを防止することができるため、印刷対象物Pの端部の誤
検出を防ぐことも可能となる。
さらに、印刷対象物Pの端部を高精度に検出可能なため、印刷速度を向上させても、縁
無し印刷等を良好に実行可能となる。すなわち、印刷速度を向上させることが可能となる
。また、DMAコントローラ110では、ENC信号のエッジの切り替わりのタイミング
で出力値を取り込む処理を行うため、CPU101において出力値を短い周期で読み込む
場合と比較して、CPU101の処理負荷を軽減可能となる。そのため、処理能力の高い
CPU等を搭載する必要がなくなり、限られたハードウエア資源の有効活用が可能となる
また、本実施の形態では、PWセンサ70として、反射型の光センサを用いているため
、プラテン44と印刷対象物Pとが切り替わる部分(印刷対象物Pの端部)に対応する出
力値を良好に取得可能となる。
さらに、本実施の形態では、CPU101で近似直線を算出するため、しきい値Vsと
の交点を容易に算出することが可能となる。それにより、印刷対象物Pの端部を、高精度
かつ容易に算出することが可能となる。
また、本実施の形態では、エンコーダカウンタ106でカウント値を算出することによ
り、印刷ヘッド38等の位置が検出可能となっている。また、DMAコントローラ110
では、カウント値をカウントするタイミングで出力値を取得し、ログファイルデータを作
成している。このため、ログファイルデータに基づけば、近似関数を容易に算出すること
が可能となり、近似直線がしきい値と交差する交点を容易に算出可能となる。
さらに、本実施の形態では、エンコーダカウンタ106では、基準エッジをカウントし
ている。このため、近似関数の算出が容易となり、近似関数を用いてしきい値との交点を
容易かつ正確に算出可能となる。
さらに、印刷対象物Pに差し掛かる、相当手前の周期から、印刷ヘッド38に駆動信号
を出力している従来例に対して、本発明では、縁無し印刷に際して、プラテン44から印
刷対象物Pに差し掛かる直前の周期から印刷ヘッド38に駆動信号を出力している。また
、プラテン44に差し掛かってから相当後の周期になってから、駆動信号の出力を停止し
ている従来例に対して、本発明では、印刷対象物Pからプラテン44に差し掛かる際には
、プラテン44に差し掛かった直後から、印刷ヘッド38に対する駆動信号の出力を停止
している。このため、打ち捨てられるインク滴の分量を、極力少なくすることが可能とな
る。それにより、プラテン44にインク滴が付着するのを一層減らすことが可能となり、
プラテン44に接触する印刷対象物Pに汚れが生じるのを抑えることが可能となる。また
、打ち捨てられるインク滴の分量を減らすことができるので、印刷対象物Pによって吸収
されない等によって生じる、インクミストの発生も一層減少させることが可能となる。
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下
、それについて述べる。
上述の実施の形態においては、コントローラ100においては、近似関数として近似直
線を算出している。しかしながら、近似関数は、近似直線には限られず、例えば2次曲線
を始めとする種々の関数を用いるようにしても良い。
また、上述の実施の形態では、エンコーダカウンタ106は、B相のENC信号の立ち
上がりエッジをカウントしている。しかしながら、エンコーダカウンタ106は、A相お
よびB相の2つのENC信号の、立ち上がりエッジおよび立ち上がりエッジの全てをカウ
ントするようにしても良い。また、A相とB相のENC信号の両方のうち、立ち上がりエ
ッジまたは立ち下がりエッジをカウントするようにしても良く、さらには、A相とB相の
ENC信号のいずれかのうち、立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方をカウントす
るようにしても良い。これらの場合には、リニアセンサ52で検出される位置情報は、よ
り高分解能となるため、算出される近似直線は、より正確なものとなる。そのため、近似
直線としきい値との交点を一層正確に算出することが可能となる。
また、上述の実施の形態では、端部検出手段としては、PWセンサ70について説明し
ている。しかしながら、端部検出手段としては、PWセンサ70には限られず、例えば接
触式のセンサ等を、端部検出手段としても良い。また、上述の実施の形態では、位置検出
手段としては、リニアエンコーダ50を用いる場合について説明しているが、ロータリエ
ンコーダ60を位置検出手段として用いるようにしても良い。なお、ロータリエンコーダ
60を位置検出手段として用いて近似直線を算出する場合、印刷を停止した状態でPFモ
ータ41を駆動させて、印刷対象物Pを一度排紙する向きに送った後に、再び排紙とは逆
向きに戻す等の動作が必要となる。
また、しきい値は、出力信号の変動等に応じて、調整可能とする構成を採用しても良い
。その場合、例えば発光素子71の輝度の調整や、受光素子72の受光感度を調整する構
成を採用することが可能である。
また、印刷対象物Pとしては、紙以外に、CD−Rのレーベル面等を対象としても良い
。この場合、CD−Rは、トレイ等に載置されるため、載置部は、CD−Rを載置するト
レイ等となる。
本発明の一実施の形態に係るプリンタの全体構成を示す斜視図である。 図1のプリンタの概略的な構成を示す図である。 プリンタの紙送りに関する部分の一側断面図である。 リニアエンコーダの概略的な構成を示す図である。 ENC信号と近似直線との関係を示す図である。 PWセンサの概略的な構成を示す図である。 コントローラ付近の構成を示すブロック図である。 交点算出を主とするプリンタの動作フローを示す図である。 従来例における出力値の取り込みの一例を示す図である。 ログファイルデータの一例を示す図である。
符号の説明
10…プリンタ、20…筐体部、30…キャリッジ駆動機構、32…CRモータ、38
…印刷ヘッド、40…用紙搬送機構、44…プラテン(載置部に対応)、50…リニアエ
ンコーダ(位置検出手段の一部に対応)、52…リニアセンサ、70…PWセンサ(端部
検出手段に対応)、71…発光素子(発光手段に対応)、72…受光素子(受光手段に対
応)、100…コントローラ(近似関数算出手段、交点算出手段、ヘッド駆動制御手段に
対応)、105…モータ制御部、106…エンコーダカウンタ(位置検出手段の一部およ
びカウント手段に対応)、107…センサ制御部、110…DMAコントローラ(出力値
取得手段に対応)、111…PTS生成部、112…駆動波形生成部、P…印刷対象物

Claims (8)

  1. 印刷対象物に対して、印刷ヘッドからインク滴を吐出することにより、印刷を実行する
    プリンタにおいて、
    上記印刷対象物およびこの印刷対象物が載置される載置部とを検出し、これら印刷対象
    物と載置部とを検出する際に、それぞれ異なる出力値の出力信号を送信すると共に、当該
    出力信号に応じて、該印刷対象物の端部を検出するための端部検出手段と、
    上記印刷ヘッドの移動に伴って、レベルの異なる検出信号を出力すると共に、この検出
    信号に基づいて上記印刷ヘッドの位置を検出するための位置検出手段と、
    上記検出信号のレベルが切り替わるタイミングにおける上記出力値を取得する出力値取
    得手段と、
    上記出力値取得手段での上記タイミングにおける出力値の取得に基づいて、上記印刷ヘ
    ッドの位置と上記出力値との関係を示す近似関数を算出する近似関数算出手段と、
    上記近似関数算出手段で算出される上記近似関数が、予め規定されていると共に上記印
    刷対象物の端部に対応する上記出力値のしきい値と交差する交点を算出する交点算出手段
    と、
    上記交点算出手段で算出された交点に基づいて、上記印刷ヘッドの駆動を制御するヘッ
    ド駆動制御手段と、
    を具備することを特徴とするプリンタ。
  2. 前記端部検出手段は、
    前記印刷対象物に向けた光を照射するための発光手段と、
    前記印刷対象物から反射される光を受光すると共に、当該印刷対象物から反射される光
    量に応じた出力値の出力信号を出力する受光手段と、
    を具備することを特徴とする請求項1記載のプリンタ。
  3. 前記近似直線算出手段は、少なくとも2つの前記位置と、それぞれの前記位置における
    前記出力値とに基づいて、前記出力値と前記位置との関係を近似的に示す近似直線を算出
    する、
    ことを特徴とする請求項1または2記載のプリンタ。
  4. 前記位置検出手段は、
    前記検出信号のレベルが切り替わる際の立ち上がりエッジまたは立ち下がりエッジのう
    ち、少なくとも一方をカウントしてカウント値を算出するカウント手段を具備すると共に

    前記出力値取得手段は、上記カウント手段でカウントされるカウント値と、当該カウン
    ト値をカウントするタイミングにおける前記出力値とを対応させた対応データを作成する

    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のプリンタ。
  5. 前記位置検出手段は、位相が異なる2つの前記検出信号を出力すると共に、
    前記カウント手段は、2つの前記検出信号のそれぞれにおいて、前記立ち上がりエッジ
    と、前記立ち下がりエッジの両方をカウントすることを特徴とする請求項4記載のプリン
    タ。
  6. 前記位置検出手段は、位相が異なる2つの前記検出信号を出力すると共に、
    前記カウント手段は、2つの前記検出信号のうち、いずれかの検出信号における前記立
    ち上がりエッジまたは前記立ち下がりエッジをカウントすることを特徴とする請求項4記
    載のプリンタ。
  7. 前記ヘッド駆動制御手段は、前記印刷ヘッドを制御駆動するための周期的な駆動信号を
    生成すると共に、
    前記載置部から前記印刷対象物に差し掛かる際には、上記駆動信号は、前記印刷対象物
    に差し掛かる直前の周期から前記印刷ヘッドに向けて出力され、
    前記印刷対象物から前記載置部に差し掛かる際には、前記載置部に差し掛かった直後か
    ら前記印刷ヘッドに対する上記駆動信号の出力を停止させる、
    ことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のプリンタ。
  8. 印刷対象物に対して、印刷ヘッドからインク滴を吐出することにより、印刷を実行する
    印刷方法において、
    上記印刷対象物およびこの印刷対象物が載置される載置部とを検出し、これら印刷対象
    物と載置部とを検出する際に、それぞれ異なる出力値の出力信号を送信すると共に、当該
    出力信号に応じて、該印刷対象物の端部を検出するための端部検出工程と、
    上記印刷ヘッドの移動に伴って、レベルの異なる検出信号の出力に基づいて、上記印刷
    ヘッドの位置を検出する位置検出工程と、
    上記検出信号のレベルが切り替わるタイミングにおける上記出力値を取得する出力値取
    得工程と、
    上記出力値取得工程での上記タイミングにおける出力値の取得に基づいて、上記印刷ヘ
    ッドの位置と上記出力値との関係を示す近似関数を算出する近似関数算出工程と、
    上記近似関数算出工程で算出される上記近似関数が、予め規定されている上記出力値の
    しきい値と交差する交点を算出する交点算出工程と、
    上記交点算出工程で算出される交点に基づいて、上記印刷ヘッドの駆動を制御するヘッ
    ド駆動制御工程と、
    を具備することを特徴とする印刷方法。
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