図1は、印刷装置1の概略を示す図である。
印刷装置1は、印刷媒体3が装着され、図示せぬホストコンピューター等の外部装置から受信した印刷データや、自身が記憶する印刷データ等に基づいて、装着された印刷媒体3に印刷する機能を有する装置である。
図1に示すように、印刷装置1は、プラテン2を備える。プラテン2の上面には、所定の印刷媒体3が、搬送部106(図4)により搬送方向HY1に搬送される。
印刷媒体3としては、紙媒体の用紙に限らず、フィルムや繊維等の印刷装置1に装着可能であり、印刷装置1が印刷を行うことが可能な媒体を意味する。本実施形態の印刷装置1は、装着された印刷媒体3に、インクジェットヘッド8(印刷ヘッド)によりインクを吐出してドットを形成し、文字や画像等を印刷するインクジェットプリンターである。特に、本実施形態に係る印刷装置1は、いわゆるLFP(Large Format Printer)であり、印刷媒体3として、大型の媒体を装着可能である。一例として、印刷装置1には、印刷媒体3として、単票紙の場合は「A0」サイズの用紙を装着可能であり、また、ロール紙の場合は用紙幅が「900ミリ」を超える用紙を装着可能である。
プラテン2の上方には、印刷媒体3の搬送方向HY1に対して直交する直交方向TY1に延在するガイドシャフト5が設けられる。ガイドシャフト5には、キャリッジ6が、図示しない駆動機構を介してガイドシャフト5に沿って往復移動自在に設けられる。すなわち、キャリッジ6は、ガイドシャフト5に沿って直交方向TY1に往復移動する。この直交方向TY1は、キャリッジ6の移動方向に相当する。
キャリッジ6には、カメラユニット7と、インクジェットヘッド8とが直交方向TY1において並んで搭載される。図1では、カメラユニット7が、キャリッジ6においてインクジェットヘッド8より方向TY11に配置される。また、インクジェットヘッド8は、キャリッジ6においてカメラユニット7より方向TY12に配置される。カメラユニット7については、後述する。
図2は、インクジェットヘッド8を説明するための図である。
インクジェットヘッド8は、印刷媒体3の印刷面3aと対向するインク吐出面8aに、インクを吐出するノズル81が搬送方向HY1に複数並んで形成されるノズル列82を複数有する。図2に示すように、インクジェットヘッド8は、ノズル列82を直交方向TY1に並んで複数有する。ノズル列82が有する各ノズル81は、搬送方向HY1に沿って、一定の間隔でそれぞれ配置される。インクジェットヘッド8は、印刷媒体3に吐出するインクの色毎にノズル列82を有しており、例えば、吐出するインクの色が、シアン、マゼンタ、イエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、グレー、ライトグレー、マットブラック、及び、フォトブラックである場合、10のノズル列82を有する。
図1の説明に戻り、本実施形態では、印刷装置1において方向TY12の側を、ノズル81の開口からインクを吸引するクリーニング等のメンテナンスを実行するメンテナンスユニット(不図示)が配置される側(以下、「ホームポジション側」と表現する)であるとする。一方、本実施形態では、印刷装置1において方向TY11の側が、ホームポジション側と逆の側(以下、「フル側」と表現する)であるとする。
なお、メンテナンスユニットが方向TY11に位置し、方向TY11の側がホームポジション側であり、方向TY12の側がフル側である場合、カメラユニット7は、キャリッジ6において、インクジェットヘッド8より方向TY12に配置される。
このように、キャリッジ6において、カメラユニット7がインクジェットヘッド8よりホームポジション側でない側に配置される。これにより、カメラユニット7がメンテナンスユニットと干渉することがないため、インクのミストがカメラユニット7に付着することを防止でき、カメラユニット7の機能が低下することを防止できる。
次に、カメラユニット7について、説明する。
図3は、カメラユニット7の要部の構成を示す図である。
図3の説明では、矢印に示すように、図中で左へ向かう方向を「左方」とする。また、図中で右へ向かう方向を「右方」とする。また、図中で上へ向かう方向を「上方」とする。また、図中で下へ向かう方向を「下方」とする。なお、左方は、搬送方向HY1に相当する。
図3に示すように、カメラユニット7は、筐体71と、カメラ72と、LED光源73a(光源)と、LED光源73b(光源)とを含んで構成される。
筐体71は、カメラ72と、LED光源73aと、LED光源73bとを収容する。筐体71は、例えばアルミ等の軽量、且つ、熱伝導率が高い素材により構成され、下面に開口KA1が形成される。
筐体71の内部の上方には、カメラ72が配置される。カメラ72は、レンズユニット721と、センサー722とを備える。また、カメラ72は、下端に開口KA2が形成される。センサー722は、複数画素を有するRGBイメージセンサーにより構成され、印刷媒体3の印刷面3a上の撮影領域SAにおいて照射された光の反射光を、開口KA1、開口KA2、及び、レンズユニット721を介して受光する。そして、センサー722は、各画素から、反射した光の受光量に応じた電気信号を出力する。また、センサー722は、印刷媒体3の印刷面3a上の撮影領域SAの画像を撮影する。本実施形態では、撮影領域SAは、直交方向TY1における長さより、搬送方向HY1における長さが長くなる矩形の領域である。センサー722は、受光する反射光の光軸KJが、開口KA2、及び、開口KA1の中心点を通るように、配置される。
レンズユニット721は、印刷媒体3の印刷面3a上の撮影領域SAにおいて反射された反射光を、センサー722に結像させるユニットであり、例えば複数のレンズの組み合わせにより構成される。レンズユニット721は、光軸KJに対して、レンズユニット721の光軸が一致するように、配置される。
カメラユニット7は、筐体71内の右方に配置される光源固定部材74aと、筐体71の左方に配置される光源固定部材74bとを備える。光源固定部材74aの右端は、筐体71の右方の壁部75aに固定され、左端は光軸KJに対して傾斜する傾斜部76aが形成される。一方、光源固定部材74bの左端は筐体71の左方の壁部75bに固定され、右端は光軸KJに対して傾斜する傾斜部76bが形成される。
光源固定部材74aの傾斜部76aには、LED光源73aが配置される。光源固定部材74aの傾斜部76aは、図3に示すように、LED光源73aが照射する光の光軸が、光軸KJと印刷媒体3との交点P0より、所定距離L1だけ右方に位置する位置P1となる傾斜を有する。一方、光源固定部材74bの傾斜部76bには、LED光源73bが配置される。光源固定部材74bは、図3に示すように、LED光源73bが照射する光の光軸が、交点P0より、所定距離L2だけ左方に位置する位置P2となる傾斜を有する。この光源固定部材74aの傾斜と、光源固定部材74bの傾斜とは、角度が固定された傾斜でもよく、所定の機構により角度が変更可能な傾斜でもよい。このように光源固定部材74aと光源固定部材74bとが傾斜を有することで、LED光源73aとLED光源73bとは、印刷媒体3の印刷面3aに対して所定の角度(例えば、45°)で光を照射する。
上述したように、LED光源73aは、交点P0から所定距離L1だけ右方に位置する位置P1に向かって印刷面3aに対して所定の角度で光を照射する。したがって、印刷媒体3の印刷面3aでは、位置P1を中心として、位置P1から離れるに従って光量が小さくなる光が照射される。一方で、LED光源73bは、交点P0から所定距離L2だけ左方に位置する位置P2に向かって光を照射する。したがって、印刷媒体3では、位置P2を中心として、位置P2から離れるに従って光量が小さくなる光が照射される。したがって、所定距離L1及び所定距離L2は、撮影領域SA内において均一な光が照射されるように適宜設定される。位置P1と位置P2とが交点P0に近ければ近いほど、撮影領域SAの搬送方向HY1における上流側と下流側では、照射される光の量が低下するため、輝度むらが発生する。一方で、位置P1と位置P2とが交点P0から遠ければ遠いほど、撮影領域SAの搬送方向HY1における上流側と下流側では、照射される光の量が低下するため、輝度むらが発生する。したがって、所定距離L1と所定距離L2とは、適宜設定される。
次に、印刷装置1の機能的構成について説明する。
図4は、印刷装置1の機能的構成を示す図である。
図4に示すように、印刷装置1は、制御部100と、記憶部101と、入力部102と、表示部103と、通信部104と、カメラユニット7と、印刷部105と、搬送部106とを備える。
制御部100は、CPUや、ROM、RAM、ASIC、信号処理回路等を備え、印刷装置1の各部を制御する。制御部100は、例えばCPUが、ROMや後述する記憶部101等に記憶されたファームウェアなどのプログラムをRAMに読み出して処理を実行し、また、例えばASICに実装された機能により処理を実行し、また、例えば信号処理回路で信号処理を行って処理を実行する等、ハードウェア及びソフトウェアの協業により処理を実行する。
記憶部101は、ハードディスクや、EEPROM等の不揮発性メモリーを備え、各種データを書き換え可能に記憶する。また、記憶部101は、テストパターン50(図13A等)を印刷するためのデータであるテストパターンデータ101aと、分布測定パターン40(図9)を印刷するためのデータである分布測定パターンデータ101bとを記憶する。テストパターン50、及び、分布測定パターン40については、後述する。
入力部102は、印刷装置1に設けられた操作パネルやタッチパネル等の入力手段を備え、ユーザーの入力手段に対する操作を検出し、制御部100に出力する。制御部100は、入力部102からの入力に基づいて、入力手段に対する操作に対応する処理を実行する。
表示部103は、複数のLEDや、表示パネル等を備え、制御部100の制御で、LEDを所定の態様で点灯/消灯や、表示パネルへの情報の表示等を実行する。
通信部104は、制御部100の制御で、所定の通信規格に従って、ホストコンピューター等の外部装置と通信する。
カメラユニット7は、カメラ72と、LED光源73aと、LED光源73bとを備える。カメラ72は、上述したように、レンズユニット721とセンサー722とを備え、印刷媒体3の印刷面3aにおける撮影領域SAを撮影し、撮影した撮影画像の撮影データを制御部100に出力する。LED光源73aとLED光源73bとは、制御部100の制御に従って、電力が供給され、印刷媒体3の印刷面3aに光を照射する。
印刷部105は、印刷装置1に装着された印刷媒体3にインクを吐出してドットを形成するインクジェットヘッド8や、インクジェットヘッド8を走査方向に走査させるキャリッジ6、キャリッジ6を駆動させるキャリッジ駆動モーター(不図示)、インクが付着した印刷媒体3を乾燥するヒーター、その他の印刷媒体3への印刷に関する構成を備える。制御部100は、印刷部105を制御して、印刷装置1に装着された印刷媒体3にインクを吐出してドットを形成し、文字や画像等を印刷する。
搬送部106は、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送するための搬送ローラー(不図示)や、搬送ローラーを回転させる搬送モーター、搬送モーターを駆動するモータードライバー、その他の印刷媒体3の搬送に関する構成を備える。搬送部106は、制御部100の制御で、印刷媒体3を搬送する。
次に、印刷装置1の基本的な動作について説明する。
図5は、印刷装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。
印刷装置1の制御部100は、印刷を実行するか否かを判別する(ステップSA1)。例えば、制御部100は、図示せぬホストコンピューターから印刷データを受信した場合、印刷データの受信をトリガーとして、印刷を実行すると判別する(ステップSA1:YES)。また、例えば、制御部100は、入力部102が印刷の実行を指示する操作を検出した場合、入力部102からの入力に基づいて、印刷を実行すると判別する(ステップSA1:YES)。
制御部100は、印刷を実行すると判別すると(ステップSA1:YES)、搬送部106を制御して、印刷を開始する位置まで印刷媒体3を搬送する頭出しを実行する(ステップSA2)。
次いで、制御部100は、印刷部105のインクジェットヘッド8からインクを吐出して印刷媒体3の印刷面3aにドットを形成する(ステップSA3)。ステップSA3を実行する際、制御部100は、図示せぬキャリッジ搬送モーターを制御してキャリッジ6を直交方向TY1に移動させ、キャリッジ6の移動中に、インクジェットヘッド8からインクを断続的に吐出させる。インクが印刷媒体3の印刷面3aに着弾することで、印刷媒体3の印刷面3aには、ドットが形成される。ここで、キャリッジ6を直交方向TY1に移動させつつ、ノズルからインクを吐出させるため、印刷媒体3の印刷面3aには、直交方向TY1に沿った複数のドットから構成されるドット列(以下、「ラスタライン」と表現する)が形成される。
次いで、制御部100は、ステップSA3においてインクを吐出してラスタラインを形成すると、搬送部106により印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する(ステップSA4)。このように、制御部100は、ステップSA3の後に搬送部106により印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送することで、ステップSA3において形成されたドットの位置と異なる位置にドットを形成することが可能となる。
次いで、制御部100は、印刷媒体3に対して印刷を終了するか否かを判別する(ステップSA5)。例えば、制御部100は、印刷データに基づいて、印刷媒体3に対して印刷すべきデータの全てについて印刷を実行したと判別した場合、印刷を終了すると判別する(ステップSA5:YES)。一方、例えば、制御部100は、印刷データに基づいて、印刷媒体3に対して印刷すべきデータの全てについて印刷を実行していないと判別した場合、印刷を終了しないと判別する(ステップSA5:NO)。
制御部100は、印刷媒体3に対して印刷を終了しないと判別した場合(ステップSA5:NO)、処理をステップSA3に戻し、印刷すべきデータの全てについて印刷を終了するまで、ドットの形成、及び、印刷媒体3の搬送を繰り返す。
一方、制御部100は、印刷媒体3に対して印刷を終了すると判別した場合(ステップSA5:YES)、印刷媒体3に対する印刷を終了する(ステップSA6)。
このように、印刷装置1の制御部100は、ステップSA3の処理により、直交方向TY1に沿ったラスタラインを形成する。以下の説明では、1回のキャリッジ6の直交方向TY1における移動に伴うドットの形成について、「パス」と表現する。また、以下の説明では、搬送方向HY1において、1回のパスにより印刷されるラスタライン間に、印刷されないラスタラインが挟まれる印刷態様を、インターレース印刷と表現する。
図6は、インターレース印刷を説明するための図である。
図6では、インターレース印刷において、4パスでヘッドの長さであるヘッド長をラスタラインで埋める場合を説明するための図である。図6では、パスn〜パスn+3におけるキャリッジ6の位置とドットの形成の様子を示している。なお、パスnとは、n回目のパスを示す。本実施形態では、ヘッド長とは、ノズル列82において、搬送方向HY1の最上流に位置するノズル81から、最下流に位置するノズル81までの離間距離である。
説明便宜のため、図6では、複数あるノズル列82のうち1のノズル列82を示す。また、説明便宜のため、図6では、当該ノズル列82が、ノズル811、ノズル812、ノズル813、ノズル814、ノズル815、ノズル816、ノズル817、及び、ノズル818を有するものとする。なお、ノズル811〜ノズル818を区別することなく、1のノズル81を示す場合、ノズル81と称する。
図6では、ノズル列82が印刷媒体3に対して移動しているように図示されているが、キャリッジ6と印刷媒体3との相対的な位置を示す図であって、実際には印刷媒体3が搬送方向HY1に移動している。また、図6では、数ドットしか形成されていないように示されているが、実際には、直交方向TY1に移動するノズル81から間欠的にインクが吐出されるため、直交方向TY1に多数のドットが形成される。また、図6では、黒色のドットを、最後のパスにより形成されたドットを示し、白色のドットを、最後のパス以外のパスにより形成されたドットを示す。
インターレース印刷では、印刷媒体3が搬送方向HY1に一定の搬送量Fで搬送される度に、各ノズル81が、その直前のパスで印刷されたラスタラインのすぐ上に、すなわち、搬送方向HY1の下流側にラスタラインを印刷する。例えば、インターレース印刷では、パスnにおいて、ノズル818及びノズル817からインクを吐出してラスタラインを印刷し、パスn+1において、ノズル818及びノズル817により印刷されたラスタラインの搬送方向HY1の下流側に、ノズル816及びノズル815からインクを吐出してラスタラインを印刷し、パスn+2において、ノズル816及びノズル815により印刷されたラスタラインの搬送方向HY1の下流側に、ノズル814及びノズル813からインクを吐出してラスタラインを印刷し、パスn+3において、ノズル814及びノズル813により印刷されたラスタラインの搬送方向HY1の下流側に、ノズル812及びノズル811からインクを吐出してラスタラインを印刷する。これにより、印刷媒体3には、搬送方向HY1において、ノズル長の4分の1の長さlを有する画像が印刷される。
搬送量Fは、印刷媒体3に対して印刷する画像の解像度により変更される。一般に、印刷装置1が解像度を落として高速で印刷を実行する場合、印刷の速度に応じて搬送量Fが大きくなる。また、印刷装置1が解像度を上げて低速で印刷を実行する場合、高速で印刷を実行する場合と比較して、小さい搬送量Fとなる。つまり、ヘッド長に相当する搬送方向HY1の領域をパス数で埋める場合の搬送量Fは、ヘッド長をパス数で割った値となる。したがって、高解像度で印刷を実行する場合、パス数は大きくなる。
このようなインターレース印刷では、濃度むらが発生する場合がある。
以下の説明において、「単位領域」とは、印刷媒体3の印刷面3aにおいて仮想的に定められた矩形の領域を示し、印刷解像度に応じて大きさや形が定められる。例えば、印刷解像度が720dpi(直交方向TY1)×720dpi(搬送方向HY1)の場合、単位領域は、約35.28μm×35.28μm(≒1/720インチ×1/720インチ)の大きさの正方形状の領域である。また、印刷解像度が360dpi(直交方向TY1)×720dpi(搬送方向HY1)の場合、単位領域は、約70.56μm×35.28μm(≒1/360インチ×1/720インチ)の大きさの長方形状の領域である。理想的にインクが吐出されると、この単位領域の中心位置にインクが着弾し、その後インクが印刷媒体3上で広がって、単位領域内にドットが形成される。なお、一つの単位領域は、印刷データを構成する一つの画素に対応している。また、各単位領域に画素が対応しているため、各画素を示す画素データも、各単位領域に対応している。
また、以下の説明において、「列領域」とは、直交方向TY1に並ぶ複数の単位領域によって構成される領域を示す。例えば、印刷解像度が720dpi×720dpiの場合、列領域は、搬送方向HY1に35.28μm(≒1/720インチ)の幅を有する帯状の領域である。直交方向TY1に移動するノズル81から理想的にインクが断続的に吐出されると、この列領域にラスタラインが形成される。なお、列領域には、直交方向TY1に並ぶ複数の画素が対応付けられる。
図7Aは、理想的な濃度で形成される場合のドットの一例を示す図である。図7Aでは、理想的にドットが形成されているので、各ドットは単位領域において適切に形成され、ラスタラインは列領域において適切に形成される。図7Aにおいて、列領域は、点線に挟まれる領域として示されており、ここでは720dpiの幅の領域である。各列領域には、その領域の着色に応じた濃度の画像片が形成されている。ここでは、説明の簡略化のため、ドット生成率が50%となるような濃度の画像を印刷するものとする。
図7Bは、濃度むらが発生している場合に形成されるドットの一例を示す図である。ここでは、ノズル81から吐出されたインクの飛行方向のばらつきにより、2番目の列領域に形成されたラスタラインが、3番目の列領域側(搬送方向HY1の上流側)に寄って形成されている。また、5番目の列領域に向かって吐出されたインクのインク量が少なく、5番目の列領域に形成されるドットが他の列領域に形成されるドットより小さくなっている。このような場合、2番目の列領域、及び、5番目の列領域が、本来の濃度よりも薄い濃度となり、いわゆる白スジという濃度むらが生じる。また、3番目の列領域では、本来の濃度よりも濃い濃度となり、いわゆる黒スジという濃度むらが生じる。
図7Cは、濃度むらが抑制するように形成されるドットの一例を示す図である。本実施形態では、濃く視認されやすい列領域に対しては、淡く画像片が形成されるように、その列領域のドット生成率を補正する。また、淡く視認されやすい列領域に対しては、濃く画像片が形成されるように、その列領域のドット生成率を補正する。例えば、図7Cにおいて2番目の列領域のドットの生成率が高くなり、3番目の列領域のドットの生成率が低くなり、5番目の列領域のドットの生成率が高くなるように、各列領域に対応する画素の階調値が補正される。これにより、各列領域のラスタラインのドット生成率が変更され、列領域の画像片の濃度が補正されて、印刷画像全体の濃度むらが抑制される。
図7Bにおいて、3番目の列領域に形成される画像片の濃度が濃くなるのは、3番目の列領域にラスタラインを形成するノズル81の影響によるものではなく、隣接する2番目の列領域にラスタラインを形成するノズル81の影響によるものである。このため、3番目の列領域にラスタラインを形成するノズル81が別の列領域にラスタラインを形成する場合、その列領域に形成される画像片が濃くなるとは限らない。つまり、同じノズル81により形成された画像片であっても、隣接する画像片を形成するノズル81が異なれば、濃度が異なる場合がある。このような場合、単にノズル81に対応付けた補正値では、濃度むらを抑制することができない。そこで、本実施形態では、列領域毎に設定される補正値に基づいて、画素データの階調値を補正している。
このように、印刷装置1は、濃度むらを補正する補正値を列領域ごとに算出し、算出した列領域ごとに設定することで、濃度むらを抑制できる。ここで、印刷装置1は、濃度むらを補正する補正値を算出する際、キャリッジ6に搭載されるカメラユニット7のカメラ72により、印刷媒体3に印刷されたテストパターン50を撮影し、撮影した撮影画像を示す撮影画像データに基づいて、濃度むらの特性を取得し、当該特性を反映した補正値を算出する。そして、印刷装置1は、算出した補正値を記憶部101等により記憶し、記憶した補正値に基づいて列領域ごとにドット生成率を補正しながら印刷データを生成して印刷を実行する。
前述した通り、本実施形態では、カメラユニット7は、LED光源73aとLED光源73bとを備え、印刷媒体3の印刷面3aに対して所定の角度から光を照射する。そのため、撮影領域SAにおいてLED光源73a及びLED光源73bに近いところでは、照射及び反射する光量が多くなる傾向にあり、カメラ72が撮影する撮影領域SAには、輝度むらが発生する可能性がある。輝度むらが発生すると、撮影画像を示す撮影画像データは、輝度むらを含む撮影画像データとなり、印刷装置1は、濃度むらの特性を精度よく取得できない。
そこで、従来から、撮影画像データが含む輝度むらを低減する方法として、シェーディング補正が知られている。シェーディング補正とは、撮影画像データが含む輝度むらを低減する方法であり、例えば、白基準データの各画素の画素データにより、対応する撮影画像データの各画素の画素データを除算して、撮影画像データの各画素の階調値を補正する方法である。白基準データとは、濃度が均一な白板に対して光を照射した状態で、当該白板を撮影した撮影画像を示す撮影画像データである。
ところで、一般に、反射される光の指向の特性は、印刷媒体3の種類や印刷媒体3に吐出されたインクの種類等によって異なる。つまり、印刷媒体3の印刷面3aにおける照射された光の反射率は、印刷媒体3の種類や印刷媒体3に印刷されるインクの種類等によって異なる。そのため、印刷媒体3の印刷面3aにおいては、光の照射により、この種類に起因した輝度むらが発生する可能性がある。しかしながら、この輝度むらは、シェーディング補正によって一概に撮影画像データから低減できるとは言えない。これは、シェーディング補正が白基準データと撮影画像データとに基づくためであり、白基準データが含む輝度むらと、撮影画像データが含む輝度むらとが異なる輝度むらである可能性があるためである。したがって、テストパターン50の撮影画像データに基づいて、精度よく濃度むらを補正するためには、印刷媒体3の種類や印刷媒体3に吐出されたインクの種類等に依ることなく、輝度むらを低減したテストパターン50の撮影画像データを取得することが望まれる。
そこで、本実施形態の印刷装置1は、以下に示す動作を実行する。
図8は、印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
図8に示す印刷装置1の動作は、濃度むらを補正する補正値を取得する補正値取得処理までの動作を示す。
印刷装置1の制御部100は、濃度むらを補正する補正値(以下、「濃度むら補正値」と表現する)を取得する補正値取得処理の実行を開始するか否かを判別する(ステップSB1)。例えば、制御部100は、入力部102が補正値取得処理の実行を指示する操作を検出した場合、入力部102からの入力に基づいて、補正値取得処理の実行を開始すると判別する(ステップSB1:YES)。また、例えば、制御部100は、前回、補正値取得処理を実行してから、所定の期間が経過した場合、当該期間の経過をトリガーとして、補正値取得処理の実行を開始すると判別する(ステップSB1:YES)。また、例えば、制御部100は、初めて印刷装置1に電源が投入された場合、当該電源の投入をトリガーとして、補正値取得処理の実行を開始すると判別する(ステップSB1:YES)。
制御部100は、補正値取得処理の実行を開始すると判別すると(ステップSB1:YES)、記憶部101が記憶する分布測定パターンデータ101bに基づいて、印刷媒体3の印刷面3aに分布測定パターン40を印刷する(ステップSB2)。
図9は、分布測定パターン40の一例を示す図である。
図9に示すように、分布測定パターン40は、搬送方向HY1に長手となる帯状の帯状領域41が直交方向TY1に複数並ぶパターン画像であり、後述するテストパターン50に似たパターン画像である。制御部100は、印刷部105により、1の帯状領域41内の濃度が同一の濃度となり、且つ、隣り合う帯状領域41がそれぞれ異なる濃度となるように、分布測定パターン40を印刷する。なお、濃度とは、上述したドット生成率に相当する。本実施形態では、分布測定パターン40は、直交方向TY1に沿って、方向TY11側(すなわち、フル側)から順に、濃度70%の帯状領域41、濃度80%の帯状領域41、及び、濃度90%の帯状領域41の3つの帯状領域41を有する。
この分布測定パターン40は、各色のインクに対応してそれぞれ形成される。例えば、10色に対応して10のノズル列82がインクジェットヘッド8に設けられる場合、制御部100は、印刷部105により、10の分布測定パターン40を印刷媒体3に印刷する。なお、図9では、1つの分布測定パターン40に3つの帯状領域41が設けられる例を示すが、より多くの濃度の異なる帯状領域41が設けられてもよいし、少なくてもよい。また、1つ分布測定パターン40に帯状領域41が入りきらない場合は、分布測定パターン40を複数設けてもよい。例えば、濃度が10%、20%、30%となる3つの帯状領域41を有する分布測定パターン40と、濃度が70%、80%、90%となる3つの帯状領域41とを有する分布測定パターン40とをそれぞれ設けてもよい。
分布測定パターン40の直交方向TY1における長さは、寸法Lpxである。寸法Lpxは、濃度70%の帯状領域41の直交方向TY1における長さを示す寸法Lpaと、濃度80%の帯状領域41の直交方向TY1における長さを示す寸法Lpbと、濃度90%の帯状領域41の直交方向TY1における長さを示す寸法Lpcとにより決定される。寸法Lpxは、カメラ72の撮影領域SAの直交方向TY1における長さを示す寸法Lsxより短いことが好ましい。これは、寸法Lpxが寸法Lsxより長いと、帯状領域41のそれぞれから取得する反射率特性データ(後述)に含まれる所定のノイズを低減できなかったり、3つの帯状領域41のそれぞれから反射率特性データ(後述)を確実に取得できなかったりするためである。
また、分布測定パターン40における搬送方向HY1における長さは、寸法Lpyである。寸法Lpyは、少なくとも、カメラ72の撮影領域SAの搬送方向HY1における長さを示す寸法Lsy以上にすることが好ましい。これは、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域を、分布測定パターン40で満たすためであり、また、分布測定パターン40で満たすことで印刷媒体3における分布測定パターン以外の余白の反射率データを取得しないためである。
図8のフローチャートの説明に戻り、印刷装置1の制御部100は、分布測定パターン40を印刷媒体3の印刷面3aに印刷すると、印刷した分布測定パターン40をカメラ72により撮影する(ステップSB3)。制御部100は、ステップSB3における分布測定パターン40の撮影に際し、図9に示すようなカメラ72の撮影領域SAの位置と分布測定パターン40の位置との関係になるように、印刷部105、及び、搬送部106を制御して、キャリッジ6の直交方向TY1における位置、及び、印刷媒体3の位置を調整する。すなわち、制御部100は、撮影領域SAの直交方向TY1における領域が、分布測定パターン40の直交方向TY1の領域を含み、且つ、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域が、分布測定パターン40で満たすように、キャリッジ6の直交方向TY1における位置、及び、印刷媒体3の位置を調整する。なお、撮影領域SAの寸法Lsx及び寸法Lsy、分布測定パターンの寸法Lpx及び寸法Lpy、及び、分布測定パターン40が印刷面3aにおいて印刷された位置が取得可能である場合、制御部100は、一意に、キャリッジ6の直交方向TY1における位置、及び、印刷媒体3の位置を調整可能である。
なお、カメラ72による撮影に際し、制御部100は、LED光源73aとLED光源73bとに電力を供給し、LED光源73aとLED光源73bとにより印刷媒体3の印刷面3aに対して光を照射する。
次いで、制御部100は、印刷された全ての分布測定パターン40を撮影したか否かを判別する(ステップSB5)。前述した通り、制御部100は、印刷部105により、各色のインクに対応してそれぞれ分布測定パターンを印刷する。したがって、制御部100は、インクジェットヘッド8が吐出するインクに対応する各色の分布測定パターン40の全てについてカメラ72により撮影したか否かを判別する。
制御部100は、印刷された全ての分布測定パターン40を撮影していないと判別した場合(ステップSB4:NO)、処理をステップSB3に戻し、撮影を実行していない分布測定パターン40を対象としてカメラ72による撮影を実行する。
一方、制御部100は、印刷された全ての分布測定パターン40を撮影したと判別した場合(ステップSB4:YES)、分布測定パターン40の撮影画像を示す撮影画像データに基づいて、分布測定パターン40ごとに、分布測定パターンが有する帯状領域41のそれぞれについて反射率特性データを取得する(ステップSB5)。
ここで、ステップSB5について、詳述する。
図10Aは、分布測定パターン40の撮影画像G1の一例を示す図である。
図10Aに示す撮影画像G1は、図9に示す撮影領域SAを撮影した撮影画像であるため、カメラ72の撮影領域SAに対応した領域の撮影画像である。図10Aに示すように、撮影画像G1は、直交方向TY1(キャリッジ6の一方の移動方向に相当する方向)における長さが寸法Lsxであり、且つ、搬送方向HY1(搬送部106により印刷媒体3が搬送される方向に相当する方向)における長さが寸法Lsyである、矩形の撮影画像である。
図10Aに示すように、撮影画像G1は、分布測定パターン40の3つの帯状領域41を含む撮影画像である。撮影画像G1が含む3つの帯状領域41のそれぞれは、方向TY11側から方向TY12(キャリッジ6の他方の移動方向に相当する方向)に向かって順に、濃度70%の帯状領域41、濃度80%の帯状領域41、濃度90%の帯状領域41である。撮影画像G1における濃度70%の帯状領域41は、直交方向TY1の長さが寸法Lpaであり、搬送方向HY1の長さが寸法Lsyである。また、撮影画像G1における濃度80%の帯状領域41は、直交方向TY1の長さが寸法Lpbであり、搬送方向HY1の長さが寸法Lsyである。また、撮影画像G1における濃度90%の帯状領域41は、直交方向TY1の長さが寸法Lpcであり、搬送方向HY1の長さが寸法Lsyである。
制御部100は、撮影画像G1を示す撮影画像データに基づいて、濃度70%の帯状領域41、濃度80%の帯状領域41、及び、濃度80%の帯状領域41のそれぞれについて、照射された光の反射率の特性である反射率特性を示す反射率特性データを取得する。
反射率特性データの取得に際し、制御部100は、撮影領域SAにおける、濃度70%の帯状領域41と、濃度80%の帯状領域41と、濃度90%の帯状領域41とを特定する。ここで、撮影領域SAにおける濃度70%の帯状領域41の特定を例として説明する。まず、制御部100は、撮影領域SAの搬送方向HY1における長さである寸法Lsyを、濃度70%の帯状領域41の搬送方向HY1の長さとして特定する。次いで、制御部100は、直交方向TY1における画素の階調値に基づいて、方向TY11から方向TY12に向かって、余白の画素の階調値から他の階調値に変わった画素の位置から、寸法Lpa分、方向TY12に離れた画素の位置までを、濃度70%の帯状領域41の直交方向TY1の長さとして特定する。そして、制御部100は、特定したこれら長さに基づく撮影領域SAにおける領域を、撮影領域SAにおける濃度70%の帯状領域41として特定する。
制御部100は、撮影領域SAにおける、濃度70%の帯状領域41、濃度80%の帯状領域41、及び、濃度90%の帯状領域41を特定すると、特定した帯状領域41のそれぞれについて、搬送方向HY1に対する照射された光の反射率特性を示す反射率特性データとして取得する。ここで、制御部100は、列領域ごとに、直交方向TY1の領域が含む画素を平均した平均階調値を算出し、白色の階調値に対する平均階調値の割合を百分率で示した値を反射率として、反射率特性データを取得する。
図10Bは、各帯状領域41における反射率特性の一例を示す図表である。
図10Bにおいて、縦軸は、白色の階調値に対する平均階調値の割合を百分率で示された、照射された光の反射率を示している。また、図10Bにおいて、横軸は、帯状領域41の搬送方向HY1における位置を示し、単位はミリメートル(mm)である。図10Bでは、帯状領域41において最も搬送方向HY1の上流側に位置する画素の位置を、横軸の原点としている。また、図10Bにおいて、原点に向かう方向が搬送方向HY1に相当する方向である。
図10Bに示す特性TS1は、図10Aに示す撮影画像G1における濃度70%の帯状領域41の反射率特性である。また、図10Bに示す特性TS2は、図10Aに示す撮影画像G1における濃度80%の帯状領域41の反射率特性である。また、図10Bに示す特性TS3は、図10Aに示す撮影画像G1における濃度90%の帯状領域41の反射率特性である。
図10Bに示すように、各反射率特性は、特性TS1、特性TS2、特性TS3の順に、反射率が低くなる。これは、特性TS1が濃度70%の帯状領域41の反射率特性を示しており、特性TS2が濃度80%の帯状領域41の反射率特性を示しており、特性TS3が濃度90%の帯状領域41の反射率特性を示しているためである。また、図10Bに示すように、特性TS3は、特性TS1、及び、特性TS2と比較して、撮影画像G1の搬送方向HY1において、中央付近であればあるほど反射率が下がるU字状の特性が、最も顕著な反射率特性である。つまり、特性TS3は、帯状領域41における輝度むらに起因した反射率の変化が、3つの帯状領域41のうち濃度90%の帯状領域41が最も大きいことを示している。
図8のフローチャートの説明に戻り、制御部100は、分布測定パターン40が有する帯状領域41のそれぞれについて反射率特性データを取得すると、取得した反射率特性データに基づいて、初回最終有効範囲(有効範囲)を特定し、特定した初回最終有効範囲を示す情報を記憶部101等に記憶する(ステップSB6)。初回最終有効範囲とは、テストパターン50に対する初回、及び、最終の撮影において、撮影領域SAのうち、補正値取得処理に使用する際に有効とする撮影画像データの範囲を示す。
ここで、図10Bを参照して、ステップSB6について詳述する。
まず、制御部100は、初回最終有効範囲の取得に際し、ステップSB5で取得した反射率特性データが示す反射率特性のそれぞれが、反射率有効範囲(所定範囲)に収まる反射率特性であるか否かを判別する。反射率有効範囲とは、濃度に対応した反射率の範囲であり、濃度むら補正値を算出する際に、例えば、過補正とならない濃度むら補正値を算出可能な反射率の範囲である。過補正とは、例えば、白スジを抑制するためにドット生成率を高めたにも関わらず、ドット生成率が高すぎることで黒スジが発生してしまうような補正を示す。この反射率有効範囲は、帯状領域41の濃度ごとに、事前のテストやシミュレーション等により算出され、予め記憶部101等に情報として記憶される。
例えば、図10Bの場合、制御部100は、濃度70%に対応する反射率有効範囲HYH1を示す情報を記憶部101から取得し、特性TS1が示す反射率が、反射率有効範囲HYH1に収まるか否かを判別する。同様に、図10Bの場合、制御部100は、濃度80%に対応する反射率有効範囲HYH2を示す情報を記憶部101から取得し、特性TS2が示す反射率が、反射率有効範囲HYH2に収まるか否かを判別する。同様に、図10Bの場合、制御部100は、濃度90%に対応する反射率有効範囲HYH3を示す情報を記憶部101から取得し、特性TS3が示す反射率が、反射率有効範囲HYH3に収まるか否かを判別する。
図10Bに示すように、特性TS1の反射率は、反射率有効範囲HYH1内であるため、制御部100は、特性TS1が示す反射率が反射率有効範囲HYH1に収まっていると判別する。また、図10Bに示すように、特性TS2は、原点から横軸y1の範囲、及び、横軸y4以降の範囲において、反射率が反射率有効範囲HYH2外を示す反射率特性である。したがって、制御部100は、特性TS2が示す反射率が反射率有効範囲HYH2に収まっていないと判別する。また、図10Bに示すように、特性TS3は、原点から横軸y2までの範囲、及び、横軸y3以降の範囲において、反射率が反射率有効範囲HYH3外を示す反射率特性である。したがって、制御部100は、特性TS3が示す反射率が反射率有効範囲HYH3に収まっていないと判別する。
次いで、制御部100は、反射率有効範囲に収まらないと判別した反射率特性に基づいて、当該反射率特性が示す反射率が、反射率有効範囲内となる範囲を特定する。図10Bの場合、制御部100が反射率有効範囲に収まらないと判別した反射率特性は、特性TS2と特性TS3である。したがって、制御部100は、特性TS2が示す反射率が反射率有効範囲HYH2内となる、横軸y1から横軸y4までの範囲を特定する。また、制御部100は、特性TS3が示す反射率が反射率有効範囲HYH3内となる、横軸y2から横軸y3までの範囲を特定する。
次いで、制御部100は、反射率有効範囲に収まらないと判別した反射率特性が示す反射率が反射率有効範囲内となる範囲が複数ある場合、最も狭い範囲を、初回最終有効範囲として特定する。図10Bの場合、制御部100は、特性TS2から特定した横軸y1から横軸y4までの範囲より、特性TS3から特定した横軸y2から横軸y3までの範囲のほうが狭い範囲であるため、横軸y2から横軸y3までの範囲を初回最終有効範囲として特定する。この初回最終有効範囲は、図10Bからも明らかな通り、特性TS3が示す反射率が反射率有効範囲HYH3内であって、且つ、搬送方向HY1の範囲が最大となる範囲である。
制御部100は、横軸y2から横軸y3までの範囲を初回最終有効範囲として特定すると、特定した初回最終有効範囲を示す情報を記憶部101等に記憶する。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、初回最終有効範囲の特定、及び、記憶を実行すると、全ての分布測定パターン40の撮影画像データに基づいて、初回最終有効範囲を特定したか否かを判別する(ステップSB7)。
制御部100は、全ての分布測定パターン40の撮影画像データに基づいて、初回最終有効範囲を特定していないと判別した場合(ステップSB7:NO)、処理をステップSB5に戻し、初回最終有効範囲を特定していない分布測定パターン40の撮影画像データに基づいて初回最終有効範囲を特定する。
一方、制御部100は、全ての分布測定パターン40の撮影画像データに基づいて、初回最終有効範囲を特定したと判別した場合(ステップSB7:YES)、搬送部106により印刷媒体3を、所定量、搬送方向HY1に搬送する(ステップSB8)。
次いで、制御部100は、印刷部105により、記憶部101が記憶するテストパターンデータ101aに基づいてテストパターン50を印刷媒体3の印刷面3aに印刷する(ステップSB9)。
図11は、テストパターン50の一例を示す図である。
図11に示すように、テストパターン50は、搬送方向HY1に長手となる帯状の帯状領域51が直交方向TY1に複数並ぶパターン画像である。制御部100は、印刷部105により、1の帯状領域51内の濃度が同一の濃度となり、且つ、隣り合う帯状領域51がそれぞれ異なる濃度となるように、テストパターン50を印刷する。例えば、図11に示すテストパターン50は、直交方向TY1に沿って、方向TY11(すなわち、フル側)から順に、濃度70%、濃度80%、及び、濃度90%となる3つの帯状領域51を有する。
このテストパターン50は、分布測定パターン40と同様に、各色インクに対してそれぞれ形成される。なお、図11では、1つのテストパターン50に3つの帯状領域51が設けられる例を示すが、より多くの濃度の異なる帯状領域51が設けられてもよいし、少なくてもよい。また、1つテストパターン50に帯状領域51が入りきらない場合は、テストパターン50を複数設けてもよい。例えば、濃度が10%、20%、30%となる3つの帯状領域51を有するテストパターン50と、濃度が70%、80%、90%となる3つの帯状領域51とを有するテストパターン50とをそれぞれ設けてもよい。
テストパターン50の直交方向TY1における長さは、寸法Ltxである。寸法Ltxは、濃度70%の帯状領域51の直交方向TY1における長さを示す寸法Ltaと、濃度80%の帯状領域51の直交方向TY1における長さを示す寸法Ltbと、濃度90%の帯状領域51の直交方向TY1における長さを示す寸法Ltcとにより構成される。寸法Ltxは、カメラ72の撮影領域SAの直交方向TY1における長さを示す寸法Lsxより短いことが好ましい。これは、寸法Ltxが寸法Lsxより長いと、帯状領域51のそれぞれから取得する反射率特性データに含まれる所定のノイズを低減でなかったり、3つの帯状領域51のそれぞれから反射率特性データを確実に取得できなかったりするためである。
また、テストパターン50の搬送方向HY1における長さは、寸法Ltyである。図11に示すように、テストパターン50は、搬送方向HY1において、補正値取得処理に使用される算出用領域SSAと、搬送方向HY1の上流側において算出用領域SSAに対して余分に印刷されるマージン領域MJAと、搬送方向HY1の下流側において算出用領域SSAに対して余分に印刷されるマージン領域MKAとを有する。そのため、テストパターン50の搬送方向HY1の長さを示す寸法Ltyは、マージン領域MKAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Ltaと、算出用領域SSAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Ltbと、マージン領域MJAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Ltcとにより構成される。
寸法Ltbは、ヘッド長とパス数とに基づいて、「寸法Ltb=ヘッド長/パス数」により決定される。なお、前述した通り、本実施形態では、ヘッド長は、搬送方向HY1に並ぶ複数のノズル81のうち最上流に位置するノズル81と最下流に位置するノズル81との離間距離である。つまり、寸法Ltbは、搬送量Fと同値である。例えば、ヘッド長が5インチであり、パス数が2である場合、算出用領域SSAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Ltbは、2.5インチである。
寸法Ltaは、ステップSB6で特定した初回最終有効範囲における搬送方向HY1の下流側の端部の位置と、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の下流側の端部の位置とを合わせた場合に、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域がテストパターン50で満たされるような長さに設定される。同様に、寸法Ltbは、ステップSB6で特定した初回最終有効範囲における搬送方向HY1の上流側の端部の位置と、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の下流側の端部の位置とを合わせた場合に、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域がテストパターン50で満たされるような長さに設定される。この寸法Lta、及び、寸法Ltcは、事前のテストやシミュレーション等によって設定される。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、テストパターン50を印刷すると、印刷された複数のテストパターン50の内、1のテストパターン50を対象として、初回撮影処理を実行する(ステップSB10)。初回撮影処理とは、テストパターン50に対する初回の撮影において実行する処理である。
図12は、初回撮影処理における印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
印刷装置1の制御部100は、記憶部101から、カメラ72の撮影領域SAにおける初回最終有効範囲を示す情報を取得する(ステップSC1)。
次いで、制御部100は、ステップSC1で取得した初回最終有効範囲を示す情報に基づいて、キャリッジ駆動モーター、及び、搬送ローラーを制御して、初回最終有効範囲における搬送方向HY1の下流側の端部を、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の下流側の端部の位置に合わせる(ステップSC2)。
図13Aは、初回最終有効範囲SYAの位置を説明するための図である。
図13Aに示す初回最終有効範囲SYAは、搬送方向HY1の長さが寸法Lyyであり、直交方向TY1の長さが寸法Lsxである矩形の領域である。
図13Aに示すように、制御部100は、撮影の対象となるテストパターン50の算出用領域SSAの端部STB1の位置と、撮影領域SAの初回最終有効範囲SYAの端部YTB1の位置とを合わせる。なお、端部SJB1とは、算出用領域SSAの搬送方向HY1の下流側の端部である。また、端部YTB1は、初回最終有効範囲SYAにおける搬送方向HY1の下流側の端部である。
制御部100は、撮影の対象となるテストパターン50が印刷面3aにおいて印刷された位置、テストパターン50の搬送方向HY1の長さを示す寸法Lty、算出用領域SSAの搬送方向HY1における長さを示す寸法Ltb、撮影領域SAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Lsy、及び、初回最終有効範囲SYAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Lyyに基づいて、端部STB1の位置と、端部YTB1の位置とを合わせる。
前述した通り、マージン領域MKAは、初回最終有効範囲SYAの端部YTB1の位置と、算出用領域SSAの端部SJB1の位置とを合わせた場合に、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域がテストパターン50で満たされるような長さに設定される。そのため、図13Aに示すように、端部YTB1の位置と、端部STB1の位置とが合わせた場合でも、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域がテストパターン50で満たされる。
図12に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、初回最終有効範囲SYAにおける搬送方向HY1の下流側の端部の位置と、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の下流側の端部の位置とを合わせると、カメラ72によりテストパターン50を撮影する(ステップSC3)。
次いで、制御部100は、テストパターン50を撮影した撮影画像を示す撮影画像データから、初回最終有効範囲SYAに対応する撮影画像データを取得する(ステップSC4)。図13Aの場合、制御部100は、算出用領域SSAの端部STB1から、搬送方向HY1の上流側に寸法Lyyだけの撮影画像データを、初回最終有効範囲SYAに対応する撮影画像データとして取得する。
このように、制御部100は、テストパターン50に対する初回の撮影において、算出用領域SSAの搬送方向HY1の端部STB1の位置と、初回最終有効範囲SYAの端部YTB1の位置とを合わせる。そして、制御部100は、撮影領域SAが示す撮影画像データのうち、初回最終有効範囲SYAに対応する撮影画像データを取得する。前述した通り、初回最終有効範囲SYAは、撮影画像データの反射率が反射率有効範囲内となる範囲である。したがって、制御部100は、算出用領域SSAの端部STB1付近について、濃度むら補正値を算出する際に、輝度むらに依らず、適切に補正値が算出可能な撮影画像データを取得できる。つまり、制御部100は、算出用領域SSAの端部STB1付近について、印刷媒体3の種類や印刷媒体3に吐出するインクの種類等によって発生する輝度むらが低減された撮影画像データを取得できる。
次いで、制御部100は、ステップSB5において説明した処理と同様に処理を実行して、テストパターン50の撮影画像を示す撮影画像データに基づいて、テストパターン50ごとに、テストパターン50が有する帯状領域51のそれぞれについて反射率特性データを取得する(ステップSC5)。なお、ステップSC5において対象とする撮影画像データは、撮影領域SAに対応する撮影画像データであって、初回最終有効範囲SYAに対応する撮影画像データではない。
制御部100は、撮影領域SAにおけるテストパターン50が有する帯状領域51のそれぞれについて反射率特性データを取得すると、取得した反射率特性データに基づいて、次回のカメラ72による撮影を実行する際に印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する搬送範囲を特定する(ステップSC6)。なお、特定した搬送範囲は、情報として記憶部101に記憶される。
ここで、ステップSC6について詳述する。
図13Bは、各帯状領域51における反射率特性の一例を示す図表である。
図13Bに示す各特性は、図10Bに示す各特性と同じである。そのため、詳細な説明を省略する。また、図13Bに示す各軸は、図10Bに示す各軸と同じであるため、これについても詳細な説明を省略する。
前述した通り、初回最終有効範囲SYAは、反射率有効範囲が最も狭いものとしている。したがって、図13Bの場合、初回最終有効範囲SYAは、横軸y2から横軸y3までの範囲である。制御部100は、撮影領域SAの搬送方向HY1の下流側の端部の位置から、初回最終有効範囲SYAの端部YTB1の位置までの範囲をステップSC6で特定する搬送範囲とする。図13Bの場合、制御部100は、撮影領域SAの搬送方向HY1の上流側の端部の位置が原点であり、初回最終有効範囲SYAの端部YTB1の位置が横軸y2であるため、原点から横軸y2までの範囲を搬送範囲として特定する。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、初回撮影処理を実行すると、初回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影した否かを判別する(ステップSB11)。制御部100は、初回撮影処理のステップSC2において、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置が、初回最終有効範囲SYAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置より、搬送方向HY1の下流側に位置すると判別した場合、初回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影したと判別する(ステップSB11:YES)。一方、制御部100は、初回撮影処理のステップSC2において、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置が、初回最終有効範囲SYAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置より、搬送方向HY1の上流側に位置すると判別した場合、初回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影していないと判別する(ステップSB11:NO)。
制御部100は、初回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影したと判別した場合(ステップSB11:YES)、処理をステップSB15に移行し、初回撮影処理で取得した撮影画像データを後述する合成撮影画像データとして取得する(ステップSB15)。
一方、制御部100は、初回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影していないと判別した場合(ステップSB11:NO)、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できるか否かを判別する(ステップSB12)。
制御部100は、初回撮影処理のステップSC6において特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した際、撮影領域SAにおける初回最終有効範囲SYAの搬送方向HY1の上流側の端部が、算出用領域SSAの搬送方向HY1の上流側の端部より、上流側に位置すると判別した場合、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できると判別する(ステップSB12:YES)。一方、制御部100は、初回撮影処理のステップSC6において特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した際、撮影領域SAにおける初回最終有効範囲の搬送方向HY1の上流側の端部が、算出用領域SSAの搬送方向HY1の上流側の端部より、下流側に位置すると判別した場合、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できないと判別する(ステップSB12:NO)。
制御部100は、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できないと判別した場合(ステップSB12:NO)、継続撮影処理を実行する(ステップSB13)。一方、制御部100は、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できると判別した場合(ステップSB12:YES)、最終撮影処理を実行する(ステップSB14)。
まず、継続撮影処理について説明する。
図14は、継続撮影処理における印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
まず、制御部100は、記憶部101が記憶する搬送範囲を示す情報に基づいて、印刷媒体3を搬送方向HY1に、搬送範囲分、搬送する(ステップSD1)。制御部100は、1回も継続撮影処理を実行することなく初回撮影処理の後に、ステップSD1を実行する場合、初回撮影処理において特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する。なお、後に明らかになる通り、制御部100は、継続撮影処理を実行した後にステップSD1を実行する場合、継続撮影処理において特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する。
図15Aは、搬送後の撮影領域SAの位置の一例を示す図である。
図15Aでは、初回撮影処理において特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した場合の撮影領域SAの位置を示す。
図15Aにおいて、撮影領域SA1は、初回撮影処理において撮影した撮影領域SAを示す。また、図15Aにおいて、撮影領域SA2は、初回撮影処理において特定した搬送範囲HA1分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した場合における撮影領域SAを示す。
図15Aに示すように、搬送範囲HA1分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送することで、撮影領域SAは、撮影領域SA2に示すように、テストパターン50の搬送方向HY1において撮影領域SA1より上流側に位置する。
図14に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、ステップSD1において搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送すると、カメラ72によりテストパターン50を撮影する(ステップSD2)。例えば、ステップSD2の処理に際し、撮影領域SAが図15Aに示す撮影領域SA2である場合、制御部100は、カメラ72によりテストパターン50において撮影領域SA2を撮影する。
次いで、制御部100は、ステップSD2においてカメラ72により撮影を実行すると、ステップSB5において説明した処理と同様に処理を実行して、テストパターン50の撮影画像を示す撮影画像データに基づいて、テストパターン50が有する帯状領域51について反射率特性データを取得する(ステップSD3)。
ステップSD3において、制御部100は、上述したように、テストパターン50が有する帯状領域51のそれぞれについて反射特性データを取得してもよいが、本実施形態では、テストパターン50が有する帯状領域51の内、初回撮影処理において搬送範囲を特定する際に使用した反射率特性データを取得した帯状領域51に基づいて、反射率特性データを取得する。例えば、初回撮影処理において、濃度90%の帯状領域51の反射率特性データを使用して搬送範囲HA1を特定した場合、制御部100は、ステップSD3において、濃度90%の帯状領域51のみの反射率特性データを取得する。これは、3つの帯状領域51の内、濃度90%の帯状領域51が、最も輝度むらに起因した反射率の変化が大きいため、継続撮影処理においても、濃度90%の帯状領域51の反射率特性データに基づいて搬送範囲を特定することになるためである。このように、継続撮影処理において、制御部100は、3つの帯状領域51のそれぞれについて反射率特性データを取得せず、初回撮影領域において搬送範囲を特定した反射率特性データを取得した帯状領域51についてのみ反射率特性データを取得する。これにより、制御部100は、継続撮影処理の処理速度を高めることができる。
次いで、制御部100は、テストパターン50が有する帯状領域51について反射率特性データを取得すると、取得有効範囲(有効範囲)を特定する(ステップSD4)。取得有効範囲とは、継続撮影処理において、撮影領域SAのうち、補正値取得処理に使用する際に有効とする撮影画像データの範囲を示す。
ここで、図15Bを参照して、ステップSD4について詳述する。
図15Bは、帯状領域51における反射率特性の一例を示す図表である。
図15Bにおいて、縦軸は、白色の階調値に対する平均階調値の割合を百分率で示された、照射された光の反射率を示している。また、図15Bにおいて、横軸は、帯状領域41の搬送方向HY1における位置を示し、単位はミリメートル(mm)である。図15Bでは、帯状領域51の算出用領域SSAにおいて最も搬送方向HY1の下流側に位置する画素の位置を、横軸の原点としている。また、図15Bにおいて、原点に向かう方向が搬送方向HY1に相当する方向である。
図15Bに示す特性TS3は、図13Bに示す特性TS3であり、図15Aに示す撮影領域SA1における濃度90%の帯状領域41の反射率特性である。また、図15Bに示す特性TS4は、図15Aに示す撮影領域SA2における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。
図15Bに示すように、特性TS4は、特性TS3と同様に、搬送方向HY1において、中央付近であればあるほど反射率が下がるU字状の特性である。
また、図15Bに示すように、特性TS4は、横軸y2から始まる反射率特性である。これは、撮影領域SA2が、印刷媒体3を搬送範囲HA1だけ搬送方向HY1に搬送した場合の撮影領域SAであるからである。
まず、制御部100は、取得有効範囲の取得に際し、ステップSD3で取得した反射率特性データが示す反射率特性が、反射率有効範囲内となる範囲を取得有効範囲として特定する。図15Bの場合、制御部100は、特性TS4が示す反射率が反射率有効範囲HYH3内となる横軸y5から横軸y6までの範囲を取得有効範囲として特定する。この取得有効範囲は、図15Bからも明らかな通り、特性TS4が示す反射率が反射率有効範囲HYH3内であって、且つ、搬送方向HY1の範囲(搬送方向HY1に相当する方向における範囲)が最大となる範囲である。なお、図15Bにおいて横軸y2から横軸y3までの範囲は、初回最終有効範囲である。
図14に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、取得有効範囲を特定すると、取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得する(ステップSD5)。図15A、及び、図15Bの場合、制御部100は、撮影領域SA2の搬送方向HY1おいて横軸y5から横軸y6までの範囲を取得有効範囲として、当該取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得する。
次いで、制御部100は、取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得すると、取得した反射率特性データに基づいて、次回のカメラ72による撮影を実行する際に印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する搬送範囲を特定する(ステップSD6)。なお、特定した搬送範囲は、情報として記憶部101に記憶される。
制御部100は、ステップSD6において、撮影領域SAの搬送方向HY1の下流側の端部から、取得有効範囲の搬送方向HY1の下流側の端部までの範囲を搬送範囲として特定する。つまり、図15Bの場合、取得有効範囲は、横軸y5から横軸y6までの範囲である。したがって、制御部100は、撮影領域SA2の搬送方向HY1の下流側の端部の位置が横軸y2であり、取得有効範囲の搬送方向HY1の下流側の端部の位置が横軸y5であるため、横軸y2から横軸y5までの範囲を搬送範囲として特定する。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、継続撮影処理を実行すると、処理をステップSB12に移行させる。そして、制御部100は、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できないと判別した場合(ステップSB12:NO)、再度、継続撮影処理を実行する(ステップSB13)。
制御部100は、再度、継続撮影処理を実行する際、前回の継続撮影処理で特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する。
図16Aは、継続撮影処理の実行後に、この継続撮影処理で特定された搬送範囲分、搬送された際の撮影領域SAの位置の一例を示す図である。
図16Aでは、継続撮影処理において特定した搬送範囲HA2分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した場合の撮影領域SA3の位置を示す。
図16Aにおいて、撮影領域SA1は、初回撮影処理において撮影した撮影領域SAを示す。また、図16Aにおいて、撮影領域SA2は、初回撮影処理において特定した搬送範囲HA1分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した場合における撮影領域SAを示す。また、図16Aにおいて、撮影領域SA3は、撮影領域SA2に基づく継続撮影処理において特定した搬送範囲HA2分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送した場合における撮影領域SAを示す。
図16Aに示すように、搬送範囲HA1分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送することで、撮影領域SAは、撮影領域SA2に示すように、テストパターン50の搬送方向HY1において撮影領域SA1より上流側に位置する。また、図16Aに示すように、搬送範囲HA2分、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送することで、撮影領域SAは、撮影領域SA3に示すように、テストパターン50の搬送方向HY1において撮影領域SA2より上流側に位置する。
制御部100は、前回の継続撮影処理で特定した搬送範囲分、印刷媒体3を搬送すると、カメラ72により撮影して反射率特性データを取得する。そして、制御部100は、取得有効範囲を特定し、特定した取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得する。さらに、制御部100は、搬送範囲を特定する。
図16Bは、帯状領域51における反射率特性の一例を示す図表である。
図16Bにおいて、縦軸は、白色の階調値に対する平均階調値の割合を百分率で示された、照射された光の反射率を示している。また、図16Bにおいて、横軸は、帯状領域41の搬送方向HY1における位置を示し、単位はミリメートル(mm)である。図16Bでは、帯状領域51の算出用領域SSAにおいて最も搬送方向HY1の上流側に位置する画素の位置を、横軸の原点としている。なお、図16Bにおいて、横軸は、原点に向かう方向が搬送方向HY1である。
図16Bに示す特性TS3は、図13B及び図15Bに示す特性TS3であり、濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。つまり、図16Bに示す特性TS3は、図16Aに示す撮影領域SA1における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。図16Bに示す特性TS4は、図16Aに示す撮影領域SA2における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。また、図16Bに示す特性TS5は、図16Aに示す撮影領域SA3における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。
図16Bに示すように、特性TS5は、特性TS3及び特性TS4と同様に、搬送方向HY1において、中央付近であればあるほど反射率が下がるU字状の特性である。
図16Bにおいて、原点から横軸y2までの範囲は、図16Aに示す搬送範囲HA1に相当する。また、図16Bにおいて、横軸y2から横軸y5までの範囲は、図16Aに示す搬送範囲HA2に相当する。
また、図16Bに示すように、特性TS5は、横軸y5から始まる反射率特性である。これは、撮影領域SA3が、印刷媒体3を搬送範囲HA2だけ搬送方向HY1に搬送した場合の撮影領域SAであるからである。
まず、制御部100は、図16Bの場合、制御部100は、特性TS5が示す反射率が反射率有効範囲HYH3内となる横軸y7から横軸y8までの範囲を取得有効範囲として特定する。なお、図16Bにおいて横軸y2から横軸y3までの範囲は、初回最終有効範囲である。また、図16Bにおいて横軸y5から横軸y6までの範囲は、前回の継続撮影処理において特定した取得有効範囲である。
制御部100は、取得有効範囲を特定すると、撮影領域SA3の搬送方向HY1において横軸y5から横軸y6にまでの取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得する。そして、制御部100は、撮影領域SA3の搬送方向HY1の下流側の端部から、取得有効範囲の搬送方向HY1の下流側の端部までの範囲を搬送範囲として特定する。つまり、図16Bの場合、取得有効範囲は、横軸y7から横軸y8までの範囲である。したがって、制御部100は、撮影領域SA3の搬送方向HY1の下流側の端部の位置が横軸y5であり、取得有効範囲の搬送方向HY1の下流側の端部の位置が横軸y7であるため、横軸y5から横軸y7までの範囲を搬送範囲として特定する。
図8に示すフローチャートのステップSB12の説明に戻り、前述した通り、制御部100は、次回の撮影において、テストパターン50の算出用領域SSAの全域を撮影できると判別した場合(ステップSB12:YES)、最終撮影処理を実行する(ステップSB14)。
図17は、最終撮影処理における印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
印刷装置1の制御部100は、撮影の対象となるテストパターン50に対応する初回最終有効範囲SYAを示す情報を取得する(ステップSE1)。
次いで、制御部100は、ステップSE1で取得した初回最終有効範囲SYAを示す情報に基づいて、キャリッジ駆動モーター、及び、搬送ローラーを制御して、初回最終有効範囲SYAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置と、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置とを合わせる(ステップSE2)。
図18Aは、最終撮影処理における初回最終有効範囲SYAの位置を説明するための図である。なお、図18Aは、初回撮影処理を実行し、その後に2回継続撮影処理を実行した後に、最終撮影処理を実行した場合における初回最終有効範囲SYAの位置を示す。
図18Aに示す初回最終有効範囲SYAは、図13Aに示す初回最終有効範囲SYAと同様、搬送方向HY1の長さが寸法Lyyであり、直交方向TY1の長さが寸法Lsxである矩形の領域である。
図18Aに示すように、制御部100は、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送範囲HA3分搬送して、撮影の対象となるテストパターン50の算出用領域SSAの端部STB2を、撮影領域SAの初回最終有効範囲SYAの端部YTB2の位置に合わせる。なお、端部STB2とは、算出用領域SSAの搬送方向HY1の上流側の端部である。また、端部YTB2は、初回最終有効範囲SYAにおける搬送方向HY1の上流側の端部である。また、搬送範囲HA3は、最終撮影処理の直前に行った、初回撮影処理、又は、継続撮影処理で特定された搬送範囲ではない。
制御部100は、撮影の対象となるテストパターン50が印刷面3aにおいて印刷された位置、テストパターン50の搬送方向HY1の長さを示す寸法Lty、算出用領域SSAの搬送方向HY1における長さを示す寸法Ltb、撮影領域SAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Lsy、及び、初回最終有効範囲SYAの搬送方向HY1の長さを示す寸法Lyyに基づいて、端部STB2の位置と、端部YTB2の位置とを合わせる。
前述した通り、マージン領域MJAは、初回最終有効範囲SYAの端部YTB2の位置と、算出用領域SSAの端部SJB2の位置とを合わせた場合に、撮影領域SAの搬送方向HY1における領域がテストパターン50で満たされる長さである。そのため、図18Aに示すように、端部YTB2の位置と、端部STB2の位置とが合わせた場合でも、撮影領域SAの搬送方向HY1の領域がテストパターン50で満たされる。
図17に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、初回最終有効範囲における搬送方向HY1の上流側の端部の位置と、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の上流側の端部の位置とを合わせると、カメラ72によりテストパターン50を撮影する(ステップSE3)。
次いで、制御部100は、テストパターン50を撮影した撮影画像を示す撮影画像データから、初回最終有効範囲に対応する撮影画像データを取得する(ステップSE4)。図18Aの場合、制御部100は、算出用領域SSAの端部STB2から、搬送方向HY1の上流側に寸法Lyyだけの撮影画像データを、初回最終有効範囲に対応する撮影画像データとして取得する。
このように、制御部100は、テストパターン50に対する最終の撮影において、算出用領域SSAの端部STB2の位置と、初回最終有効範囲SYAの端部YTB2の位置とを合わせる。そして、制御部100は、撮影領域SAが示す撮影画像データのうち、初回最終有効範囲SYAに対応する撮影画像データを取得する。前述した通り、初回最終有効範囲SYAは、撮影画像データの反射率が反射率有効範囲内となる範囲である。したがって、制御部100は、算出用領域SSAの端部STB2付近について、濃度むら補正値を算出する際に、輝度むらに依らず、適切に補正値が算出可能な撮影画像データを取得できる。つまり、制御部100は、算出用領域SSAの端部STB2付近について、印刷媒体3の種類や印刷媒体3に吐出するインクの種類等によって発生する輝度むらが低減された撮影画像データを取得できる。
図18Bは、帯状領域51における反射率特性の一例を示す図表である。
図18Bにおいて、縦軸は、白色の階調値に対する平均階調値の割合を百分率で示された、照射された光の反射率を示している。また、図18Bにおいて、横軸は、帯状領域51の搬送方向HY1における位置を示し、単位はミリメートル(mm)である。図18Bでは、帯状領域51の算出用領域SSAにおいて最も搬送方向HY1の上流側に位置する画素の位置を、横軸の原点としている。なお、図18Bにおいて、横軸は、原点に向かう方向が搬送方向HY1である。
図18Bに示す特性TS3は、図13B、図15B、及び、図16Bに示す特性TS3であり、撮影領域SA1における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。図18Bに示す特性TS4は、図18Aに示す撮影領域SA2における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。また、図18Bに示す特性TS5は、図18Aに示す撮影領域SA3における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。また、図18Bに示す特性TS6は、図18Aに示す撮影領域SA4における濃度90%の帯状領域51の反射率特性である。
図18Bに示すように、特性TS6は、特性TS3、特性TS4、及び、特性TS5と同様に、搬送方向HY1において、中央付近であればあるほど反射率が下がるU字状の特性である。
図18Bにおいて、原点から横軸y2までの範囲は、図18Aに示す搬送範囲HA1に相当する。また、図18Bにおいて、横軸y2から横軸y5までの範囲は、図18Aに示す搬送範囲HA2に相当する。また、図18Bにおいて、横軸y5から横軸y7までの範囲は、図18Aに示す搬送範囲HA3に相当する。
また、図18Bに示すように、特性TS6は、横軸y9以降、反射率が反射率有効範囲HYH3から外れる反射率特性である。これは、撮影領域SA4が、印刷媒体3を搬送範囲HA3だけ搬送方向HY1に搬送した場合、算出用領域SSAの端部STB2と、初回最終有効範囲SYAの端部YTB2とが合わさるように位置するためである。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、最後撮影処理を実行すると、初回撮影処理、及び、最後撮影処理において撮影した撮影画像を示す撮影画像データ、又は、初回撮影処理、継続撮影処理、及び、最後撮影処理において撮影した撮影画像を示す撮影画像データを合成した合成撮影画像データを取得する(ステップSB15)。
ここで、ステップSB15について説明する。
図19は、合成撮影画像データの取得を説明するための図である。
図19において、縦軸は、白色の階調値に対する平均階調値の割合を百分率で示した、照射された光の反射率を示している。また、図19において、横軸は、帯状領域51の搬送方向HY1における位置を示し、単位はミリメートル(mm)である。図19では、帯状領域51の算出用領域SSAにおいて最も搬送方向HY1の上流側に位置する画素の位置を、横軸の原点としている。なお、図19において、横軸は、原点に向かう方向が搬送方向HY1である。
図19に示す特性TS3、特性TS4、特性TS5、及び、特性TS6のそれぞれは、図18Bに示す特性TS3、特性TS4、特性TS5、及び、特性TS6のそれぞれと同じである。図19に示すように、特性TS3、特性TS4、特性TS5、及び、特性TS6のそれぞれは、搬送方向HY1において、中央付近であればあるほど反射率が下がるU字状の特性である。
図19において、横軸y2から横軸y3までの領域は、初回撮影処理において取得した撮影画像データの搬送方向HY1における領域を示す。つまり、横軸y2から横軸y3までの領域は、初回撮影処理における初回最終有効範囲に相当する。また、図19において、横軸y5から横軸y6までの領域は、初回撮影処理の直後の継続撮影処理において取得した撮影画像データの搬送方向HY1の領域を示す。つまり、横軸y5から横軸y6までの領域は、初回撮影処理の直後の継続撮影処理における取得有効範囲に相当する。また、図19において、横軸y7から横軸y8までの領域は、2回目の継続撮影処理において取得した撮影画像データの搬送方向HY1の領域を示す。つまり、横軸y7から横軸y8までの領域は、2回目の継続撮影処理における取得有効範囲に相当する。また、図19において、横軸y6から横軸y9までの領域は、最終撮影処理において取得した撮影画像データの搬送方向HY1の領域を示す。つまり、横軸y6から横軸y9までの領域は、最終撮影処理における初回最終有効範囲に相当する。
制御部100は、ステップSB15において、撮影画像データを合成して合成撮影画像データを取得する際、撮影画像データの搬送方向HY1の領域において各撮影画像データが重なる領域については、反射率が低いほうの撮影画像データの階調値を採用して合成撮影画像データを取得する。
図19の場合、制御部100は、横軸y2から横軸y3までの領域と、横軸y5から横軸y6までの領域とが重なる領域については、反射率が低いほうの撮影画像データの階調値を採用して合成撮影画像を取得する。同様に、図19の場合、制御部100は、横軸y5から横軸y6までの領域と、横軸y7から横軸y8までの領域とが重なる領域については、反射率が低いほうの撮影画像データの階調値を採用して合成撮影画像を取得する。同様に、図19の場合、制御部100は、横軸y7から横軸y8までの領域と、横軸y6から横軸y9までの領域とが重なる領域については、反射率が低いほうの撮影画像データの階調値を採用して合成撮影画像データを取得する。これにより、図19に示す特性TS7(太線の特性)に示すように、制御部100は、反射率が反射率有効範囲HYH3内となる合成撮影画像データを取得できる。つまり、制御部100は、輝度むらが低減されたテストパターン50の撮影画像データを取得できる。したがって、制御部100は、合成撮影画像データを取得することで、印刷媒体3の種類や、印刷媒体3に吐出されるインクの種類等に依ることなく、適切なテストパターン50の撮影画像データを取得できる。
特に、制御部100は、撮影画像データが重なる領域については、反射率が低いほうの撮影画像データの階調値を合成撮影画像データとしている。これにより、反射率有効範囲HYH3内における輝度むらも低減した合成撮影画像データを取得できるため、制御部100は、より正確で適切なテストパターン50の撮影画像データを取得できる。
また、図19において、横軸y2は、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の下流側の端部の位置を示していて、横軸y8は、算出用領域SSAにおける搬送方向HY1の上流側の端部を示している。つまり、特性TS7は、合成撮影画像データの反射率であって、算出用領域SSAの搬送方向HY1の全域の反射率を示している。上述したように、制御部100は、テストパターン50をカメラ72により撮影し、初回最終有効範囲、又は、取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得する処理を所定回数実行し、所定回数取得した撮影画像データを合成した合成撮影画像データを取得する。これにより、制御部100は、テストパターン50の算出用領域SSAの搬送方向HY1における長さに応じて、適切なテストパターン50の撮影画像データを取得できる。
また、上述した通り、初回最終有効範囲SYA、及び、取得有効範囲は、反射率特性が示す反射率が反射率有効範囲内であって、且つ、搬送方向HY1の範囲が最大となる範囲である。これにより、制御部100は、必要最小限の回数で、適切なテストパターン50の撮影画像データを取得できるため、カメラ72により撮影する回数を抑え、テストパターン50の撮影画像データを取得する処理速度を高めることができる。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、1のテストパターン50に基づいて、合成撮影画像データを取得すると、ステップSB9で印刷した全てのテストパターン50について、合成撮影画像データを取得したか否かを判別する(ステップSB16)。制御部100は、全てのテストパターン50に対して合成撮影画像データを取得していないと判別した場合(ステップSB16:NO)、処理をステップSB10に戻し、撮影の対象としていないテストパターン50に対して合成撮影画像データを取得する。一方、制御部100は、全てのテストパターン50に対して合成撮影画像データを取得したと判別した場合(ステップSB16:YES)、1のテストパターン50から取得した合成撮影画像データに基づいて、補正値取得処理を実行する(ステップSB17)。
図20は、補正値取得処理における印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
制御部100は、合成撮影画像データに基づいてテストパターン50が有する帯状領域51のうち、濃度むら補正値を算出する帯状領域51を特定する(ステップSF1)。
次いで、制御部100は、特定した帯状領域51における列領域ごとに、階調値を平均して平均階調値を算出し、算出した列領域ごとの平均階調値を平均して、特定した帯状領域51における測定階調値として算出する(ステップSF2)。この測定階調値は、列領域ごとに濃度むら補正値を算出する際の基準となる階調値である。
次いで、制御部100は、測定階調値を算出すると、1の列領域について、列領域における平均階調値が、測定階調値を上回るか、測定階調値と同じか、測定階調値を下回るか否かを判別する(ステップSF3)。
制御部100は、ステップSF3において、平均階調値が測定階調値を上回ると判別した場合(ステップSF3:「上回る」)、ステップSF3において処理の対象となる列領域の平均階調値が測定階調値に近づくように、平均階調値が低下するように濃度むら補正値を算出する(ステップSF4)。つまり、制御部100は、処理の対象となる列領域の平均階調値が測定階調値に近づくように、列領域のドット生成率を低下させる濃度むら補正値を算出する。具体的な濃度むら補正値の算出方法は、列領域のドット生成率を低下させる濃度むら補正値を算出方する方法であれば、既存の方法を採用できる。
制御部100は、ステップSF3において、平均階調値が測定階調値と同じであると判別した場合(ステップSF3:「同じ」)、ステップSF3において処理の対象となる列領域における濃度むら補正値を「0」として算出する(ステップSF5)。
制御部100は、ステップSF3において、平均階調値が測定階調値を下回ると判別した場合(ステップSF3:「下回る」)、ステップSF3において処理の対象となる列領域の平均階調値が測定階調値に近づくように、平均階調値が上昇するように濃度むら補正値を算出する(ステップSF6)。つまり、制御部100は、処理の対象となる列領域の平均階調値が測定階調値に近づくように、列領域のドット生成率を上昇させる濃度むら補正値を算出する。具体的な濃度むら補正値の算出方法は、列領域のドット生成率を上昇させる濃度むら補正値を算出方する方法であれば、既存の方法を採用できる。
このように、制御部100は、合成撮影画像データに基づいて、列領域ごとに、平均階調値が測定階調値を上回るか、下回るか、及び、同じであるかで濃度むらを検出する。前述した通り、合成撮影画像データは、輝度むらが低減されたテストパターン50の撮影画像データである。したがって、制御部100は、印刷媒体3の種類や、印刷媒体3に吐出されたインクの種類等に依ることなく、適切に取得できたテストパターン50の撮影画像データに基づいて、濃度むらを検出するため、精度よく濃度むらを検出できる。
また、制御部100は、合成撮影画像データに基づいて、濃度むら補正値を算出する。したがって、制御部100は、印刷媒体3の種類や、吐出されたインクの種類等により発生した輝度むらの影響を受けることが抑制されるため、精度よく濃度むら補正値を算出できる。つまり、制御部100は、精度よく算出した濃度むら補正値に基づいて、列領域ごとに吐出するインク量、すなわちドット生成率を調整することで、精度よく濃度むらを抑制できる。
制御部100は、濃度むら補正値を算出すると、算出した濃度むら補正値と、処理の対象とした列領域を示す情報とを対応付けて記憶部101に記憶する(ステップSF7)。
次いで、制御部100は、算出した濃度むら補正値と、処理の対象とした列領域を示す情報とを対応付けて記憶部101に記憶すると、ステップSF1で特定した帯状領域51が有する全ての列領域に対して濃度むら補正値を算出したか否かを判別する(ステップSF8)。
次いで、制御部100は、特定した帯状領域51が有する全ての列領域に対して濃度むら補正値を算出していないと判別した場合(ステップSF8:NO)、処理をステップSF3に戻し、濃度むら補正値を算出していない列領域を対象として、濃度むら補正値を算出する。一方、制御部100は、特定した帯状領域51が有する全ての列領域に対して濃度むら補正値を算出したと判別した場合(ステップSF8:YES)、テストパターン50が有する全ての帯状領域51を対象として濃度むら補正値を算出した否かを判別する(ステップSF9)。
制御部100は、テストパターン50が有する全ての帯状領域51を対象として濃度むら補正値を算出していないと判別した場合(ステップSF9:NO)、処理をステップSF1に戻し、濃度むら補正値の算出の対象としていない帯状領域51を特定する。一方、制御部100は、テストパターン50が有する全ての帯状領域51を対象として濃度むら補正値を算出したと判別した場合(ステップSF9:YES)、補正値算出処理を終了する。
図8に示すフローチャートの説明に戻り、制御部100は、補正値取得処理を実行すると、印刷媒体3の印刷面3aに対して印刷した全てのテストパターン50に対して補正値取得処理を実行したか否かを判別する(ステップSB18)。制御部100は、全てのテストパターン50に対して補正値取得処理を実行していないと判別した場合(ステップSB18:NO)、処理をステップSB17に戻し、補正値取得処理を実行していないテストパターン50に対して補正値取得処理を実行する。一方、制御部100は、全てのテストパターン50に対して補正値取得処理を実行したと判別した場合(ステップSB18)、本処理を終了する。
以上、説明したように、印刷装置1は、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する搬送部106と、印刷媒体3に印刷を実行するインクジェットヘッド8(印刷ヘッド)と、印刷媒体3を撮影するカメラ72と、カメラ72の撮影領域SAに対し、印刷媒体3の印刷面3aに対して所定の角度から光を照射するLED光源73a(光源)及びLED光源73b(光源)と、インクジェットヘッド8、カメラ72、及び、LED光源73a及びLED光源73bを有するキャリッジ6と、インクジェットヘッド8により印刷媒体3に印刷したテストパターン50をカメラ72により撮影した撮影画像に基づいて、LED光源73a及びLED光源73bが照射した光の反射率の特性を示す反射率特性データを取得し、取得した反射率特性データに基づいて反射率が反射率有効範囲(所定範囲)内となる搬送方向HY1の範囲(搬送方向HY1に相当する方向における範囲)を示す初回最終有効範囲SYA(有効範囲)、又は、取得有効範囲(有効範囲)を特定し、初回最終有効範囲SYA、又は、取得有効範囲に対応する撮影画像を示す撮影画像データを取得する制御部100と、を備える。
この構成によれば、制御部100は、LED光源73a及びLED光源73bが照射した光の反射率が反射率有効範囲内となる、初回最終有効範囲SYA、又は、取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得するため、光の照射による影響を与え得る要素、すなわち、印刷媒体3の種類や吐出するインクの種類等に依ることなく、適切なテストパターン50の撮影画像データを取得できる。
また、制御部100は、特定した初回最終有効範囲SYA、又は、取得有効範囲に基づいて、印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送する搬送範囲を特定し、特定した搬送範囲分、搬送部106により印刷媒体3を搬送方向HY1に搬送してテストパターン50をカメラ72により撮影し、撮影画像に基づいて取得有効範囲を特定して取得有効範囲に対応する撮影画像データを取得する処理を所定回数実行し、所定回数取得した撮影画像データを合成した合成撮影画像データを取得する。
この構成によれば、制御部100は、所定回数取得した撮影画像データを合成した合成撮影画像データを取得するため、テストパターン50の長さに応じて、適切なテストパターン50の撮影画像データを取得できる。
また、制御部100は、反射率が反射率有効範囲内であって、且つ、搬送方向HY1の範囲(搬送方向HY1に相当する方向における範囲)が最大となる範囲を初回最終有効範囲SYA、又は、取得有効範囲として特定する。
この構成によれば、制御部100は、光の反射率が反射率有効範囲内であって、且つ、搬送方向HY1の範囲が最大となる範囲を初回最終有効範囲SYA、又は、取得有効範囲と特定するため、カメラ72により撮影する回数を抑え、テストパターン50の撮影画像データを取得する処理速度を高めることができる。
また、制御部100は、取得した合成撮影画像データに基づいて、濃度むらを検出する。
前述した通り、合成撮影画像データは、輝度むらが低減されたテストパターン50の撮影画像データである。したがって、制御部100は、印刷媒体3の種類や、印刷媒体3に吐出されたインクの種類等に依ることなく、適切に取得できたテストパターン50の撮影画像データに基づいて、濃度むらを検出するため、精度よく濃度むらを検出できる。
また、インクジェットヘッド8は、インクを吐出するノズル81を有する。制御部100は、検出した濃度むらに基づいて、ノズル81から吐出するインク量を調整する。
前述した通り、制御部100は、合成撮影画像データに基づいて、濃度むら補正値を算出する。したがって、制御部100は、印刷媒体3の種類や、吐出されたインクの種類等により発生した輝度むらの影響を受けることが抑制されるため、精度よく濃度むら補正値を算出できる。つまり、制御部100は、精度よく算出した濃度むら補正値に基づいて、列領域ごとに吐出するインク量、すなわちドット生成率を調整することで、精度よく濃度むらを抑制できる。
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、印刷装置1の動作のシーケンスとして、全てのテストパターン50を印刷した後、全てのテストパターン50に対して合成撮影画像データを取得する処理を例示した。しかしながら、印刷装置1の動作のシーケンスは、これに限定されず、1のテストパターン50を印刷した後に、当該1のテストパターン50に基づいて、合成撮影画像データを取得するシーケンスとしてもよい。また、上述した印刷装置1の動作のシーケンスでは、全てのテストパターン50に対して合成撮影画像データを取得した後に、補正値取得処理を実行するシーケンスを例示した。しかしながら、このシーケンスに限定されず、1のテストパターン50に対して合成撮影画像データを取得した後に、補正値取得処理を実行する処理を全てのテストパターン50に対して実行するシーケンスでもよい。
また、例えば、上述した印刷装置1の制御方法が、印刷装置1が備えるコンピューターを用いて実現される場合、本発明を、上記制御方法を実現するためにコンピューターが実行するプログラム、このプログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体、或いは、このプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。上記記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray(登録商標) Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型の、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、印刷装置1が備える内部記憶装置であるROM(Read Only Memory)、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
また、図4を用いて説明した機能ブロックは、本願発明を理解容易にするために、各装置の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図である。各装置の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。
また、図8、図12、図14、図17、及び、図20で示したフローチャートの処理単位は、印刷装置1の処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって、本願発明が制限されることはない。印刷装置1の処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、同様の処理が行えれば、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。