以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成>
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。本発明の第1実施形態として、処理装置である画像形成装置が有するヘッドユニットが記録液(インク滴)を吐出する記録ヘッドユニットである場合を例に説明する。記録液は、例えば、水性又は油性のインク等である。
画像形成装置100で搬送される被搬送物は、例えば、記録媒体等である。図示する例では、画像形成装置100は、ローラR0等によって搬送される記録媒体の例である用紙(ウェブ)Pに対して、液体を吐出して画像形成を行う。
また、用紙Pは、いわゆる連続用紙状の印刷媒体等である。すなわち、被搬送物である用紙Pは、巻き取りが可能な、長尺状の連帳紙(シート、ウェブ)等である。ただし、被搬送物である用紙Pは、長尺状のシートに限られず、被搬送物は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等であってもよい。
また、図1に示す画像形成装置100は、いわゆるプロダクション・プリンタシステムの一部分のプリンタ部であってもよい。以下の説明では、ローラR0が、用紙Pの張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向X」という。)に用紙Pが搬送される例で説明する。さらに、図では、搬送方向をX方向、搬送方向に直交する方向であって、装置の奥行方向をY方向、装置の高さ方向をZ方向として説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置を含む画像形成システム(印刷システム)の一例を示す側面概略図である。
図2に示されるように、画像形成システム10は、表面用画像形成装置80、裏面用画像形成装置100、給紙装置60、処理剤塗布装置70、及び反転装置90を有する。
図2における裏面用画像形成装置100が、図1に示す画像形成装置の一例であり、それぞれインク滴を吐出して用紙Pに画像を形成する。
給紙装置60は、被搬送物としての用紙Pを処理剤塗布装置70に供給する。用紙Pは、連続的な長尺状の連帳紙であり、ロール状に巻き回されて給紙装置60に収納されている。用紙Pは、供給ローラ等によって給紙装置60から処理剤塗布装置70に繰り出される。
処理剤塗布装置70は、用紙Pを第1画像形成装置80に向かって搬送しながら、用紙Pの両面に処理剤を塗布する。
表面用画像形成装置80は、入力された画像データに基づいて記録ヘッドユニット81(図19参照)が備える記録ヘッドからインク滴を吐出し、処理剤塗布装置70において両面に処理剤が塗布された用紙Pの第1面に画像を形成する。
第1面に画像が形成されて表面用画像形成装置80から排出される用紙Pは、反転装置90により表裏が反転されて裏面用画像形成装置100に供給される。
裏面用画像形成装置100は、入力された画像データに基づいて記録ヘッドユニット101(図19参照)が備える記録ヘッド101−1,2,3,4からインク滴を吐出し、第1面に画像が形成されている用紙Pの第2面に画像を形成する。
画像形成システム10は、上記した構成を有し、長尺状の連帳紙である用紙Pの両面に画像を形成する。なお、画像形成システム10は、裏面用画像形成装置100から排出される用紙Pを切断する切断装置や、切断された用紙Pの後処理を行う後処理装置等を備えてもよい。
図3は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す上面概略図である。図4は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置を示す側面図である。
図3及び図4に示されるように、画像形成装置100には、用紙Pの搬送方向において上流側から順に、ブラック用記録ヘッドユニット101K、シアン用記録ヘッドユニット101C、マゼンタ用記録ヘッドユニット101M、及びイエロー用記録ヘッドユニット101Yが用紙Pの搬送経路に沿って設けられている。各符号K、C、M、Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローを表している。なお、以下では、色を表す符号を省略して説明する場合がある。
また、画像形成装置100には、センサデバイス103K,103C,103M,103Y、及びカメラ130が設けられている。センサデバイス103K,103C,103M,103Y、及びカメラ130はコントローラ110と接続されている。センサデバイス103K,103C,103M,103Y、及びカメラ130は被搬送物検出装置として機能する。
コントローラ110は、検出結果に応じてアクチュエータ102K,102C,102M,102Yを駆動制御することで、記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yの幅方向(図3の+Y方向、−Y方向)の位置を調整する。
さらに、図4に示すように、画像形成装置100には、用紙Pに張力(テンション)を与えながら、用紙Wを搬送する搬送機構である支持ローラCR1K,CR2K,CR1C,CR2C,CR1M,CR2M,CR1Y,CR2Yが設けられている。
インク滴を吐出する画像形成ヘッドユニットである記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yは、液体吐出ヘッドユニットの一例であり、ユニット内に備える記録ヘッド101−1,2,3,4のノズルN(図5(b)参照)から液体を吐出・噴射する機能部品である。記録ヘッドユニットが101K,101C,101M,101Yが備えるそれぞれの記録ヘッド101−1,2,3,4は、例えば液体を吐出するエネルギー発生源として圧電アクチュエータを有し、ノズルNから符号で表される色のインク滴を吐出する。詳しくは、記録ヘッド101−1,2,3,4における圧電アクチュエータに、例えば駆動波形を印加することにより、記録ヘッド101−1,2,3,4の底面に設けられたノズルNから液滴が吐出される。
記録ヘッド101−1,2,3,4内おける吐出のためのエネルギー発生源は、上記圧電アクチュエータに限られず、例えば、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極を含む静電アクチュエータ等であってもよい。
記録ヘッド101−1,2,3,4は、用紙Pの搬送方向に直交する幅方向に並ぶように複数のノズルN(図5(b)参照)が形成されており、各ノズルNからインク滴を吐出することで、いわゆる1パスで用紙Pの全幅に画像を形成できる。なお、記録ヘッド101は、複数の記録ヘッドを備える記録ヘッドユニットで構成されてもよい。
記録ヘッド101−1,2,3,4は、移動部の一例としてのアクチュエータ102により用紙Pの搬送方向に直交する幅方向に移動可能に設けられている。アクチュエータ102は、例えば、サーボモータを備え、サーボモータの回転をボールスクリュー機構により直線運動に変換することで記録ヘッドユニット101を幅方向に移動させる。
また、記録ヘッドユニット101と用紙Pを挟んで対向する位置には、センサデバイス103が設けられている。センサデバイス103は、例えば、用紙Pにレーザー光を照射する発光素子と、発光素子により光が照射されている領域を含む画像を撮像する撮像素子とを有する。センサデバイス103の構造については、図9とともに詳述する。
用紙Pは、図4に示すように、支持ローラCR1K〜CR2Yの上流側及び下流側に設けられる、ニップローラ104a,104b、従動ローラ105等により、記録ヘッドユニット101とセンサデバイス103との間を通るように搬送される。
ニップローラ104a,104bは、それぞれ回転駆動する駆動ローラであってもよく、用紙Pに従動して回転する従動ローラであってもよいが、少なくとも1つは駆動搬送部(搬送ローラ104)として機能する。
なお、上記図1では、画像形成装置100において用紙Pの搬送方向Xが水平方向である例を説明したが、画像形成装置では、インク滴を吐出する面に張力を付与するため、図4のように若干上方に凸になるように湾曲してXm方向に用紙Pが搬送されてもよい。
また、用紙Pを構成する記録媒体は、長尺状であると望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、ニップローラ104aと104bとの距離より長いのが望ましい。
ここで、記録ヘッドユニット101とセンサデバイス103との位置関係について説明する。上記構成において、記録ヘッドユニット101及びセンサデバイス103は、記録ヘッドユニット101の画像形成領域と、センサデバイス103の検出領域とが、用紙Pの搬送方向において少なくとも一部が重なるように設けられることが好ましい。画像形成領域は、記録ヘッドユニット101がインク滴を吐出して用紙Pに画像を形成する領域(液体吐出領域)を意味する。また、検出領域は、センサデバイス103の発光素子によるレーザー光の照射範囲を含む撮像素子の撮像領域を意味する。
なお、用紙Pにおいて、検出領域は図4では下側の第1の面に位置し、画像形成領域は図4では上側の第2の面に位置するため、「一部が重なる」とは、用紙Pの対向する異なる面において位置(座標点)が重複していることを意味する。
このような構成により、センサデバイス103の検出結果を用いて算出した用紙Pの相対位置情報(蛇行情報)を、画像形成位置に反映させることが可能になるため、用紙Pの幅方向位置に応じて、精度良く記録ヘッドユニット101を移動させることが可能になる。
さらに、本実施形態における画像形成装置100では、各記録ヘッドユニット101の上流側の搬送ローラCR1と下流側の搬送ローラCR2との間にセンサデバイス103が設けられている。
このような構成により、接近して設けられている搬送ローラCR1、CR2の間では、搬送中の用紙Pの振動等が抑えられるため、センサデバイス103が安定して用紙Pを検出することが可能になる。
画像形成装置100では、センサデバイス103からの出力に基づいて求められる用紙Pの幅方向における位置移動量に応じて、アクチュエータ102が駆動して用紙Pの位置に合わせて記録ヘッドユニット101を移動させる。
このように記録ヘッドユニット101が用紙Pの位置に応じて移動することで、用紙Pの位置と画像形成位置とのずれが低減される。したがって、各色の画像位置のずれ等が低減した高品質画像を形成することが可能になっている。
<記録ヘッドユニット>
図5は、本発明の一実施形態に係る記録ヘッドユニットの外形形状の一例を示す。図示するように、図5(a)は、画像形成装置100が有する4つの記録ヘッドユニット101K〜101Yの一例を示す概略平面図である。
図5(a)に示すように、各記録ヘッドユニットは、この例では、ライン型のヘッドユニットである。すなわち、画像形成装置100は、搬送方向Xにおいて、上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの記録ヘッドユニット101K、101C、101M及び101Yを配置する。
また、ブラック(K)の記録ヘッドユニット101Kは、この例では、直交方向に4つのヘッド101K−1、101K−2、101K−3及び101K−4を千鳥状に配置する。これにより、画像形成装置100は、用紙Pに画像が形成される領域(印刷領域)において、幅方向(直交方向)の全域に、画像を形成することができる。なお、他の記録ヘッドユニット101C、101M及び101Yの構成は、ブラック(K)の記録ヘッドユニット101Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、この例では、千鳥状に配置された4つのヘッドで記録ヘッドユニットを構成する例を説明したが、記録ヘッドユニットは、幅方向を一列でカバーする単一のヘッドや、幅方向に密接して連続的に配置される複数のヘッドで構成されてもよい。
<カメラによる画像データ取得>
図6は、本発明の第1実施形態の、印刷済みの画像情報をもとにセンサの計測精度を補償できるタイミングの情報を生成する仕組みについて説明する図である。
詳しくは、図6では、本発明の第1実施形態において、裏面用画像形成装置100を用いて、用紙Pを搬送しながら、カメラ130で用紙Pの第1面の印刷済みの画像計測している様子と、用紙Pの第2面へ画像を印刷している様子とを示している。
図6に示すように、画像形成装置100は、センサデバイス103K,103C,103M,103Yの上流に印刷済みの画像を撮影するためのカメラ130と、カメラ用の光源131を備えている。カメラ130はセンサデバイス103KよりもXcam_sns[mm]上流で、用紙Pのセンサデバイス103が計測するのと同じ面の画像を撮影する。
各色のセンサデバイス103K,103C,103M,103Yは、夫々、Xhead_head[mm]離れて配置されており、Xhead_head[mm]は記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yの間隔と等しい。
なお、カメラ130での画像の撮影と、センサデバイス103で実現される機能である検出部103での位置検出のための撮像とで光を干渉させないため、センサデバイス103に設けられるレーザー光源31(図9参照)と、カメラ130のための光源131は、異なる波長で発光する光源を用いる。具体的には、カメラ130は印刷済みの画像を撮影するためのものなので、光源131はレーザー光以外が望ましい。さらに、光源131の波長のスペクトルの幅が狭いと、光の干渉により、カメラ130での撮影の際に用紙P表面の凹凸がスペックルパターンとして検出可能なノイズとなるため、光源131は、スペクトル幅が広い光源であると好適である。
図6において、用紙Pの搬送方向に沿って引かれた点線はカメラ130によって撮影される領域を示し、点線内の円は一回の撮影あたりの画像取り込み範囲を示す。
カメラ130の撮影範囲は、センサデバイス103K,103C,103M,103Yの検出範囲(例えばスペックルパターン取り込み範囲)よりも広ければよい。例えば、センサデバイス103K,103C,103M,103Yが主走査方向2[mm]、副走査方向3[mm]の撮影範囲を持つ場合は、カメラ130の視界(直径R132の円とする)は5[mm]×5[mm]等である。
また、センサデバイス103K,103C,103M,103Yの計測範囲は、カメラ130の撮影範囲内に理想的には収まっていることが望ましいため、センサデバイス103K,103C,103M,103Yとカメラ130は搬送方向において、一直線に並んでいる必要がある。即ち、カメラ130は、センサデバイス103K,103C,103M,103Yと搬送方向の直交方向の位置が同一となる位置に配置される。
カメラ130の画像取得周期、センサデバイス103K,103C,103M,103Yのセンシング周期は同期する。例えば、用紙Pが1秒あたり1000[mm]搬送されるとした場合、用紙Pがセンサデバイス103の撮影範囲の副走査方向の幅(例では3mm)搬送されるまでに数回取得する必要があるため、画像取得周期及びセンシング周期は、1[ms]周期のように決定する。
<画像データを基にした信号生成>
次に、カメラ130で取得した画像データを基に生成する信号処理について説明する。
図7は、取得した画像データを基に、作成される2値化データと、2値化データから作成されるセンサ計測精度補償信号を示す図である。図8は、センサ計測精度補償信号を、各色のセンサの相対位置を関連付けた、各センサ用のセンサ計測精度補償信号としたものを示す図である。
図7では、3つのデータとして、画像データ(元データ)、2値化データ、センサ計測精度補償信号を説明する。これらの3つのデータは全て用紙の位置を関連付けされたデータで、カメラ130が、用紙Pが1[mm]搬送されるごとに撮影する場合は、1[mm]搬送ごとに更新されるデータとなる。
「元の画像」はカメラ130で取得する対象である用紙Pの表面の画像を示す画像データである。図7に示した最上段の「元の画像」の点線に挟まれた範囲は、カメラ130の視界(直径R132の円)を繋ぎ合わせたものを示しており、実際に取り込むのは点線に挟まれた範囲から抜き出したものである。
「2値化データ133」は「元のデータ」をもとに図12に示すフローチャートの処理で作られたデータでカメラ130の一回一回の撮影ごとに、その撮影範囲のYMCKのインクの濃度を数値化しそれらの合計を任意の閾値で2値化したものある。2値化データ133において、黒い部分が、インク濃度が閾値以上の部分を示している。詳細な2値化手順については、図12とともに詳述する。
なお、2値化データを作成する際の閾値は調整可能とし、4色分の値を足し合わせる際にインクの色ごとに重みづけすることも可能であるものとする。
「センサ計測精度補償信号140」は、「2値化データ133」を基にして出力される、センサ計測精度を補償するための信号であって、インク濃度が閾値より低ければ信号140がHレベル、閾値より高ければLレベルとなる。この信号140のレベルは2値化データ133と対応している。
センサ計測精度補償信号140は図8に示すように、各センサデバイス103K,103C,103M,103Yの位置に合わせて、140K,140C,140M,140Yの4つが出力される。即ち、それぞれの信号140K,140C,140M,140Yは、センサデバイス103K,103C,103M,103Yに対応した信号である。そのため、センサデバイス103K,103C,103M,103Yが用紙Pの位置変位・速度変位を計測するタイミングで、用紙Pの第1面の画像データと、センサ計測精度補償信号140のH、Lの論理が対応するように出力される。
例えばセンサデバイス103K用のセンサ計測精度補償信号140Kの場合、信号のもとになった2値化データ133がセンサデバイス103KのXcam_sns[mm]上流で取得されたものである。
このときの2値化データ取得周期が1[ms]で、用紙Pの搬送速度が1000[mm/s]であれば、センサ計測精度補償信号140Kは2値化データ取得から(Xcam_sns-1)[ms]遅れて出力される。同様に、センサ計測精度補償信号140C,140M,140Yは上流のセンサ用信号に対して、Xhead_head[ms]分、遅れて出力される。
信号出力のタイミングを合わせるために2値化データ133は、用紙Pの理想の搬送速度[mm/s]と関連付けされたデータとなっていて、2値化データ133の取得周期・更新周期はセンサのサンプリング周期と同じとなっている。
これにより、各センサデバイス103K,103C,103M,103Yにおいて用紙Pの表面の計測時に、そのときにカメラ130によって撮影された用紙Pの表面の状態から出力されるセンサ計測精度補償信号140を参照することが可能となる。そのため、コントローラ110は計測精度が補償されている位置変位、速度変位を、選択的に使用することができるようになる。
例えば、コントローラ110は、計測精度補償信号140がHのときのセンサデバイス103の計測結果はそのまま使用する。一方、精度が保証されていないとき(信号140がLのとき)のセンサデバイス103の計測結果の値を、コントローラ110は、無視することができる。
あるいは、精度が保証されていないとき(信号140がLのとき)の計測結果は、計測結果に何らかの補正を行ってから使用する等も考えられる。例えば、信号が無効となるLを示しても、用紙Pの位置情報(2つの検出結果間の主走査方向の相対位置、副走査方向の相対位置)、速度情報(2つの検出結果間の搬送速度、蛇行速度)を、完全に取得不可能とするのではなく、用紙表面のインクの密度による計測精度の低下を許容レベルに補完し得るような補正値を用いることで、そのデータも使用できるようにしてもよい。
<検出部>
図9は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現する装置の一例を示す外観図である。本発明の検出部は、センサデバイス103によって実現される。図9のセンサデバイス103Kは、図3において画像形成装置100内に配置された状態とは上下逆にして示している。なお、他のセンサデバイス103C、103M及び103Yの構成も、ブラック(K)のセンサデバイス103Kの構成と同様である。
図9に示すように、センサデバイス103Kは、光源部の例であるレーザー光源LD31と、コリメート光学系(CL)32を有する。また、センサデバイス103Kは、スペックルパターン等を示す画像を撮像するため、イメージセンサ34と、イメージセンサ34にスペックルパターンを集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(OL)33とを有する。イメージセンサ34は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の画像データを撮像するセンサであれば種類は問わない。
図9に示すセンサデバイス103Kは、用紙P等の対象物に対してレーザー光を当て、対象物の光が照射された面において識別可能となる、紙繊維で形成される凹凸によって形成されるパターン(下記、スペックルパターンとする)を撮影する構成を有する。
詳しくは、用紙Pは、紙繊維で形成される凹凸によって表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、用紙Pにコヒーレントな性質を持つレーザー光が照射されると、反射光が凹凸によって拡散反射する。この拡散反射光同士の干渉によって、用紙Pには、パターン(紋様、紙紋)が現れる。このパターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンである。
そのため、用紙Pを撮像すると、発光素子から照射されるレーザー光が用紙Pの表面で散乱した散乱波が重なり合って干渉することによりスペックルパターンを示す画像データが得られる。この画像データからスペックルパターンが存在する位置がわかるため、用紙Pの所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、このスペックルパターンは、用紙Pの表面又は内部に形成される凹凸形状(紙紋)によって、照射されるレーザー光が干渉するため、生成される。
また、光源は、レーザー光を用いる装置に限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro−Luminescence)等でもよい。そして、光源の種類によって、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。
しかし、光源がLEDである場合は、光スペクトル幅がレーザー光よりも広いため、スペックルパターンが発生しない場合があり、純粋に2枚の画像データの同一な部分の動いた量だけで位置変化を検出することになる。したがって、センサデバイス103の光源31は、紙の凹凸を照射するため、スペクトル幅が狭い光源が好適である。例えばLEDであっても、よりスペクトル幅が狭い光源が好適である。また、単波長で干渉が起きやすいレーザー光源であると、より好適である。以下、用紙の表面情報であるパターンがスペックルパターンである例で説明する。
ここで、スペックルパターンは照射した物体に固有のものであり、照射された対象がうごくと対象と連動して動く性質がある。本実施形態では、センサデバイス103Kは、この性質を利用して、用紙時間をずらして撮影した「2つのスペックルパターンの画像データ」に含まれる同一な部分がどれくらい動いたかを検出する。この検出により、画像データに用紙Pが有するパターンとして表れるスペックルパターンの位置変化に基づいて、例えば用紙Pの幅方向への移動量を求めることができる。
詳しくは、本実施形態では、第1の位置検出方法として、1つのイメージセンサが、離間した時刻T1と時刻T2の各々においてスペックルパターン等を示す画像データを撮像する。また、時刻T1で撮像したスペックルパターンを示す画像データと、時刻T2で撮像したスペックルパターンを示す画像データとを用いて、図4のコントローラ110により、相関演算等が行われる。例えば、相関演算において算出される相関ピーク位置の移動量に基づいて、センサは、時刻T1から時刻T2における対象物の移動量を出力する。
なお、図9では、センサデバイス103Kのサイズが、幅w×奥行きd×高さhを15[mm]×60[mm]×32[mm]とする例を一例として示している。
図9に示す、イメージセンサ34は、撮像部の一例であり、FPGA回路35は、イメージセンサ34を制御する制御回路の一例である。なお、上記では相関演算をコントローラ110で行う例で説明したが、FPGA回路で行っても良い。
このように、検出部は用紙Pの表面の凹凸が特定の波長の光によって散乱した散乱波から発生するスペックルパターンを表面情報として読み取っているため、白紙の場合は、検出が容易であるが、画像形成によりインクが付着すると、用紙の表面の凹凸に対する光の干渉が変化する。
言い換えると、インクを吐出する前の白紙の位置を検出する場合は用紙の表面粗さの不均一性によりスペックルパターンを識別しやすい。これに対して、印刷済の用紙で、特に、4色のインクをベタ塗印刷した用紙は、用紙の白地(地肌)の部分がインクによって隠れてしまい、スペックルパターンのユニークさが失われる。あるいは、1色であっても用紙表面の質感がインクで均一化されるように画像が形成される場合は、スペックルパターンのユニークさが失われる。これにより、検出部の表面情報の検出精度が低下するおそれがあった。
そのため、本実施形態の制御では、カメラを用いて撮影することにより、画像形成の状態、即ち表面へのインクの付着状態を検出し、画像が形成された用紙Pの表面において、スペックルパターンのユニークさが失われていない部分を選択して使用する。詳しくは、余白部分に対応する位置や、画像密度が閾値以下に対応する位置での、検出された表面情報を選択的に使用する。
これによって、検出精度が低下した情報を位置除外することになり、検出精度を維持することができる。下記、本制御の詳細について説明する。
<画像形成装置の制御構造>
図10は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100のハードウェア構成を例示する図である。
図10に示されるように、画像形成装置100には、コントローラ110が設けられている。コントローラ110には、記録ヘッドユニット101、アクチュエータ102、センサデバイス103、搬送ローラ(ニップローラ)104、カメラ130等が操作可能に接続されている。
記録ヘッドユニット101(101K,101C,101M,101Y)は、画像形成装置100に入力された画像データに基づいて用紙Pの表面にインク滴を吐出して画像を形成する。画像形成装置100は、上述のように、K、C、M、Yの各色の画像を形成する記録ヘッドユニット101を有し、用紙Pに各色の画像を重ねてフルカラー画像を形成する。
アクチュエータ102(102K,102C,102M,102Y)は、コントローラ110に制御されて駆動し、記録ヘッドユニット101を用紙Pの搬送方向に直交する幅方向に移動させる。
センサデバイス103(103K,103C,103M,103Y)は、図9に示したように発光素子及び撮像素子を有し、所定のサンプリング周期で撮像素子により撮像された画像データを検出結果として、コントローラ110に送信する。
カメラ130はセンサデバイス103と同じ周期で撮影して画像データを取得し、撮影した画像データをコントローラ110に送信する。
搬送ローラ104は、例えば一方が回転駆動して他方が従動回転するローラ対であり、用紙Pを搬送経路に沿って搬送する。搬送ローラ104には、一方のローラの回転軸にエンコーダが設けられていてもよい。エンコーダは、搬送ローラ104が用紙Pを所定距離搬送する毎に搬送信号をコントローラ110に送信する。
コントローラ110は、CPU111、RAM112、ROM113、HDD114、及びNVRAM115を有する。
ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記憶されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。
コントローラ110は、画像形成のための画像データに基づいて記録ヘッドユニット101を制御し、記録ヘッドユニット101内のそれぞれの記録ヘッド101−1,2,3,4のノズルNからインク滴を吐出させて用紙Pに画像を形成する。
また、コントローラ110は、センサデバイス103からの複数出力された表面情報の中から、カメラ130の画像データから変換された信号に用いて、2つのタイミングの表面情報を選択する。そして、選択された表面情報に基づいて、用紙Pの幅方向における2つのタイミング間の相対位置及び蛇行速度(幅方向への移動速度)を求め、記録ヘッドユニット101が用紙Pの位置に応じて移動するようにアクチュエータ102を制御する。
図11は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置100の制御部300の機能ブロック図を例示する図である。制御部300は、図3に示すコントローラ110、または、図9で示すFPGA回路35によって実現される。あるいは、制御部300は後述する外部機器によって実現されてもよい。
制御部300は、画像処理部310と、タイミング設定部320と、サンプリング周期設定部330と、用紙蛇行量算出部340と、アクチュエータ駆動指示部350と、を有する。用紙蛇行量算出部340及びアクチュエータ駆動指示部350は、移動制御部として機能する。
画像処理部310は、入力された画像形成用の画像データから駆動波形を作成し、各色の記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yを駆動制御する。
サンプリング周期設定部330は、センサデバイス103や、カメラ130が撮影(検出)を行う際のサンプリング周期を設定する。
タイミング設定部320は、画像データYMCK変換部321と、画像密度算出部322と、画像密度閾値記憶部323と、精度補償判定部324と、精度補償信号出力部325とを有する。
本実施形態のタイミング設定部320は、撮影した画像データを解析し、画像データから抽出した用紙P上の所定の範囲(白紙部分、薄い部分)をメモリに記憶する。そして、用紙Pが搬送され用紙P上の所定の範囲がセンサデバイス103の検出位置に到達して搬送される期間を、検出結果を制御に使用する期間である出力取込期間に設定する。
詳しくは、画像データYMCK変換部321は、カメラ130から入力される画像データを、RGBデータから、各色記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yでの吐出の色に適したYMCKデータに変換する。
画像密度算出部322は、YMCKデータから、ドットあたりのインク密度を、全ドット分足し合わせることで、画像全体の画像密度に変換する。
画像密度閾値記憶部323は、精度補償判定部324で判定される閾値を記憶している。なお、画像密度の閾値は、ユーザーからの設定、または自動計算により、任意に値が変更可能であるとする。
精度補償判定部324は、画像密度算出部322で算出された画像密度と、画像密度閾値記憶部323で記憶されている画像密度閾値を比較して、図7の中段で示すような2値化データを作成する。精度補償判定部324は2値化データ作成部として機能する。
精度補償信号出力部325は、2値化データを基に、図7の下段で示すような、H、Lとデジタル的に変化するセンサ計測精度補償信号140を作成して、用紙蛇行量算出部340に出力する。
用紙蛇行量算出部340は、検出結果一時記憶部341と、検出結果選択部342と、センサ毎検出結果蓄積部343と、センサ毎用紙蛇行量算出部344と、を有する。
検出結果一時記憶部341は、センサデバイス103K,103C,103M,103Yの夫々が取得した検出結果を一時的に記憶する。
検出結果選択部342は、センサデバイス103K,103C,103M,103Yの夫々において、異なるタイミングで取得し、一時的に記憶された複数の検出結果のうち、センサ計測精度補償信号140がHとなっている期間の2つのタイミングの検出結果を選択する。ここで、センサ計測精度補償信号140がHとなっている期間を、検出結果を制御に使用する期間である出力取込期間とする。
センサ毎検出結果蓄積部343は、センサ計測精度補償信号140がHとなっている期間のセンサの検出結果(表面情報)を蓄積して記憶する。
センサ毎用紙蛇行量算出部344は、選択された、異なるタイミングで取得した2つの検出結果に基づいて相関演算を行い、2つの検出結果間での用紙Pの幅方向の相対位置、又は蛇行量を演算する。
アクチュエータ駆動指示部(移動設定部)350は、演算した相対位置、又は蛇行量を補償するように、夫々の記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yを移動させる位置移動量を設定し、その位置移動量の分、アクチュエータ102K,102C,102M,102Yを夫々駆動させる。
<2値化フロー>
図12は、本発明の第1実施形態の制御部300において、2値化データを作成するための詳細フローチャートである。図12のフローチャートを用いて、図7における2値化データ133を生成する際のアルゴリズム及びセンサ計測精度補償信号の生成について説明する。
前提として、2値化データの更新周期は図7で説明したように、センサデバイス103と同期された周期となる。
例えば、用紙搬送線速1000[mm/s]において、1[mm]搬送ごとにデータを更新したい場合、1[ms]ごとに図12のフローが実行されるものとして説明する。
即ち、図12のフローチャートの下記ステップS11〜S16の処理をデータ更新周期ごとに行い、1[mm]刻みの2値化データを作成する。
なお、使用するカメラ130の視界は5[mm]×5[mm]で、カメラ130の解像度は100[ピクセル/mm]程度とする。なお、これらの値は例示であって、カメラの解像度は上記値よりも低くても本処理は成立する。
ステップS11で、カメラ130で用紙Pの表面を撮影し画像データを取得する。カメラ130で撮影する面は図4に示すように印刷済みの第1面である。取得される画像データは、いわゆるビットマップ(Bitmap:BMP)形式で、各ドットの色がRGB色空間で保存されるものとする。
例えば、図13は、図12のステップS11で切り出された、元画像のデータの一例を示す。図13に示すデータは、図7の上段で全領域が例示されていた画像データの中から、カメラ130によって撮影される撮影領域に相当する部分(図中、点線で挟まれた部分)が切り出された画像データに相当する。
ステップS12で、画像データYMCK変換部321は、取得した画像の各ドットのRGBの値を、YMCKに変換する。
変換先のYMCKはプリンタで用いるインクの色と対応している。なお、本例ではYMCKに変換する例を説明するが、記録ヘッドが5色以上含まれる場合等は、そのインクの色に合わせて、画像データの色を適宜変換する。
ここで、色データをYMCKに一度変換するのは、用紙表面がどの程度インクで埋まり、どの程度表面のユニークさが失われているかの尺度とするためにインク量に換算する目的で、単純な画像の色でなく、用紙表面の各色のインクの濃度としてデータを取得するためである。
この際、インクの色によって計測精度への影響度が違う場合は、色ごとに重みづけを行う。したがってインク濃度の算出式は下記のようなものとなる。
ドットあたりのインク濃度(重みづけあり)= Yインク量*Y重み+ Mインク量*M重み+Cインク量*C重み+Kインク量*K重み …(式1)
ステップS13で、画像密度算出部322は、S12で取得したドットあたりのインク密度を全ドット分、足し合わせることで画像全体の画像密度に変換する。なお、画像密度はカメラ130の視界であるカメラ撮影領域全体に対するものであり、ドット単位での密度は考慮しなくてよい。
ステップS14で、精度補償判定部324は、S13で変換した画像密度が閾値以下かどうか判定する。
画像密度が閾値以下(S14でYes)であれば、精度補償信号出力部325は、1(H)を出力し(ステップS15)、閾値以上であれば(S14でNo)、0(L)をセンサ計測精度補償信号140として出力する(ステップS16)。
この際、センサ計測精度補償信号140は、図7の中段と下段で示すように、2値化後データにおいて白い部分が1(H)を示し、黒い部分が0(L)を示すように出力される。
このように判定することで、タイミング設定部320は、ページ内の余白部分や、ページ内の画像密度が閾値以下の部分に対応する位置を所定の範囲として抽出する。
<位置補正フロー>
図14は、本発明の第1実施形態の制御部300においてアクチュエータ102の位置補正量を算出するための詳細フローチャートである。
ステップS201で、センサデバイス103は所定のサンプリング周期で用紙表面を検出する。そして、検出結果一時記憶部341で、その検出結果を一時的に記憶する。
ステップS202で、検出結果選択部342は検出した検出データ(表面情報)が、計測センサ精度補償信号がHのときに取得した検出データかどうか、即ち、センサデバイス103が出力取込期間で検出したかどうか、判定する。
Hのときに取得したデータであれば(S202でYes)、ステップS203でセンサ毎検出結果蓄積部343に、その検出結果を記憶する。
Lのときに取得したデータであれば(S202でNo)、ステップS204でその検出結果を破棄し、次のサンプリング周期を待つ。
そして、ステップS205で、次のサンプリング周期でセンサデバイス103は用紙表面を検出する。
ステップS206において、S202と同様に、検出データが、計測センサ精度補償信号がHのときに取得した検出データかどうか判定する。
Hのときに取得したデータであれば(S206でYes)、ステップS207で、センサ毎検出結果蓄積部343にその検出結果を記憶する。
Lのときに取得したデータであれば(S206でNo)、ステップS208でその検出結果を破棄し、次のサンプリング周期を待つ。
ステップS209で、センサ毎用紙蛇行量算出部344は、各色のセンサデバイス103について蓄積された検出結果のうち、少なくとも同じ検出範囲を含む範囲を検出している2回の検出結果に基づいて相関演算を行い、用紙蛇行量を算出する。
そして、ステップS210で、アクチュエータ駆動指示部350は、用紙蛇行量を補償するように、アクチュエータ102の移動量を算出する。
このように、本実施形態において、カメラによる撮影画像を用いて設定した出力取込期間の、複数のタイミングでの用紙の表面情報(検出結果)を用いて用紙の幅方向の蛇行を算出する。そのため、インク付着部分の影響を最小限にして、その変動量を補償するようにアクチュエータにより、夫々の記録ヘッドを動かすことで、各記録ヘッド間の色合わせを行うことができる。即ち、裏面印刷時に、表面に印刷された画像の影響をほとんど受けずに、各記録ヘッドの各ノズルから吐出される液滴の用紙上の着弾位置を同一に揃えることができる。
なお、本実施形態ではステップS12でYMCKに一度変換して演算したが、RGBのままで閾値以下か同かを判断しても良い。
<第2実施形態>
図15は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置100Aを示す側面図である。
本実施形態では、センサデバイスが上流側に1つ多く設けられている点が、構成面では第1の実施形態とは異なる。詳しくは、上記の実施形態では、制御部300は、1つのセンサデバイスを用いて、2つの異なるタイミングでの検出結果を基に、用紙蛇行量を算出していた。
これに対して、本実施形態では、第2の位置検出方法として、上流側と下流側の2つのセンサデバイスの検出結果を基に、用紙蛇行量を算出する点が異なる。
本実施形態では、第1実施形態のように各記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yに対応づけられたセンサデバイス103K,103C,103M,103Yに加えて、さらに上流側センサデバイス106が設けられている。上流側センサデバイス106も、図9に示したセンサデバイス103Kと同様の構成を有している。
ここで、本実施形態における位置の検出方法(第2の検出方法)について説明する。
本実施形態においても、用紙Pが搬送されると、用紙Pが有するスペックルパターンも一緒に搬送される。そのため、例えば、記録ヘッドユニット101Kを例として、同一のスペックルパターンを2つのセンサデバイス(上流側センサデバイス106とブラック用センサデバイス103K)によって異なる時間でそれぞれ検出すると、2つのセンサデバイスの検出結果間での相対位置、又は移動量が求められる。
すなわち、2つのセンサデバイスとしてセンサデバイス106とブラック用センサデバイス103Kで、同一のスペックルパターンを検出すると、用紙蛇行量算出部360(図16参照)は、用紙Pの2つのセンサデバイスの検出結果を相関演算することで、2つのセンサデバイス間での相対位置移動量(蛇行量)を求めることができる。この求まる移動量をセンサデバイス106からブラック用センサデバイスまでの用紙の理想の搬送時間あたりに換算すると、用紙蛇行量算出部360は、用紙Pが移動した移動速度を求めることができる。これにより、記録ヘッ101Kでのアクチュエータの駆動量を求めることが出来る。
同様に、用紙蛇行量算出部360は、ブラック用センサデバイス103Kとシアン用センサデバイス103Cの2つの検出結果を使用して、ブラック用センサデバイス103Kとシアン用センサデバイス103Cとの間の用紙蛇行量を算出する。用紙蛇行量算出部360は、シアン用センサデバイス103Cとマゼンタ用センサデバイス103Mの2つの検出結果を使用して、シアン用センサデバイス103Cとマゼンタ用センサデバイス103Mとの間の用紙蛇行量を算出する。用紙蛇行量算出部360は、マゼンタ用センサデバイス103Mとイエロー用センサデバイス103Yの2つの検出結果を使用して、マゼンタ用センサデバイス103Mとイエロー用センサデバイス103Yとの間の用紙蛇行量を算出する。
なお、上流側の検出結果を出力するセンサデバイスは、移動させる記録ヘッドより1つ上流側に設置されるセンサデバイスによって検出される検出結果に限られない。すなわち、上流側の検出結果は、移動させる記録ヘッドより上流側に設置されるセンサデバイスによって検出される検出結果であればよい。例えば、イエロー用の記録ヘッドユニット101Y用の変動量は、上流側の検出結果に、上流側センサデバイス106、ブラック用センサデバイス103K又はシアン用センサデバイス103Cの何れかによる検出結果が用いられて算出されてもよい。最上流のセンサデバイスとの間で相関演算を実施すると、センサ間の誤差が累積しないため、より精度よく蛇行量を検出することが出来る。
一方で、下流側の検出結果を出力するセンサデバイスは、移動させる記録ヘッドに最も近い位置に設置されるセンサデバイスによる検出結果であるのが望ましい。例えば、イエロー用の記録ヘッドユニット101Y用の変動量は、下流側の検出結果に、イエロー用センサデバイス103Yによる検出結果が用いられて算出されると好適である。
また、用紙Pの変動量(幅方向の蛇行量)は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
図16は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置100Aの制御部300の機能ブロック図を例示する図である。
図11に示す機能ブロックと概略は同様であるが、接続されるセンサの数が上流側センサの分、1つ多いことと、用紙蛇行算出部での算出方法が異なる。下記、第1実施形態からの相違点のみ説明する。
本実施形態に係る制御部300Aに含まれる用紙蛇行量算出部360は、検出結果一時記憶部361と、検出結果選択部362と、センサ毎検出結果蓄積部363と、2点間用紙蛇行量算出部364と、を有する。
検出結果一時記憶部361は、センサデバイス103K,103C,103M,103Yの夫々が取得した検出結果を一時的に記憶する。
検出結果選択部362は、各センサデバイス106,103K,103C,103M,103Yが夫々サンプリング周期で検出し、一時的に記憶された複数の検出結果のうち、センサ計測精度補償信号140がHとなっている期間の検出結果を、各センサデバイス106,103K,103C,103M,103Yのうち少なくとも2つから選択する。
センサ毎検出結果蓄積部363は、センサ計測精度補償信号140がHとなっている期間のセンサの検出結果(表面情報)を蓄積して記憶する。
2点間用紙蛇行量算出部364は、選択された、少なくとも2つのセンサデバイス106,103K,103C,103M,103Yから1つずつ取得した表面情報に基づいて相関演算を行い、2つのセンサデバイス間での被搬送物の相対位置、又は蛇行量を算出する。即ち、2点間用紙蛇行量算出部364は、検出結果を制御に使用する期間である出力取込期間における、上流側のセンサデバイスの検出位置と下流側のセンサデバイスの検出位置との間の用紙Pの幅方向の蛇行量を演算する。
<位置補正フロー>
図17は、本発明の第2実施形態の制御部300Aにおいてアクチュエータ102の位置補正量を算出するための詳細フローチャートである。本例では、用紙の蛇行量の算出に2つの検出結果を用いる例を説明するが、3つ以上の検出結果を用いてもよい。
なお、上流側センサ、下流側センサは、図15で説明したように、各記録ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yのどの移動量を算出するかに応じて、夫々異なる。
例えば、記録ヘッドユニット101Kのときは、上流側センサはセンサデバイス106、下流側センサはセンサデバイス103Kを用いる。記録ヘッドユニット101Cのときは、上流側センサはセンサデバイス106又は103K、下流側センサはセンサデバイス103Cを用いる。
記録ヘッドユニット101Mのときは、上流側センサはセンサデバイス106、103K、又は103Cのいずれか、下流側センサはセンサデバイス103Mを用いる。記録ヘッドユニット101Yのときは、106、103K、103C、又は103Mのいずれか、下流側センサはセンサデバイス103Yを用いる。
ステップS301で所定のサンプリング周期で、上流側センサで、用紙Pの表面の表面情報を検出する。そして、検出結果一時記憶部361で、その検出結果を一時的に記憶する。
ステップS302で、検出結果選択部362は、センサ計測精度補償信号140がHのときに取得した検出データかどうか判定する。
Hのときに取得したデータであれば(S302でYes)、ステップS303でセンサ毎検出結果蓄積部363にその検出結果を記憶する。
Lのときに取得したデータであれば(S302でNo)、ステップS304でその検出結果を破棄し、次のサンプリング周期を待つ。
その後、ステップS305で、下流側センサで、用紙Pの表面の表面情報を検出する。
そして、その検出結果をセンサ毎検出結果蓄積部363に記憶する(ステップS306)。
ステップS307で、2点間用紙蛇行量算出部364は、上流側、下流側の2つのセンサについて1つずつ蓄積された検出結果を基づいて相関演算を行い、用紙蛇行量を算出する。
そして、ステップS308で、アクチュエータ駆動指示部350は、アクチュエータ102の移動量を算出する。
なお、本実施形態では、用紙上の同じ位置を比較するため、上流側がHであれば、下流側であるため、図14のフローとは異なり、計測センサ精度補償信号がHかどうかの判定は、上流側のときのみに実施すればよい。
このように、本実施形態において、カメラによる撮影画像を用いて設定した出力取込期間の、複数のセンサからの表面情報(検出結果)を用いて用紙の幅方向の蛇行を算出する。そのため、インク付着部分の影響を最小限にして、その変動量を補償するようにアクチュエータにより、夫々の記録ヘッドを動かすことで、各記録ヘッド間の色合わせを行うことができる。即ち、裏面印刷時に、表面に印刷された画像の影響をほとんど受けずに、各記録ヘッドの各ノズルから吐出される液滴の用紙上の着弾位置を同一に揃えることができる。
さらに、上記フローにより、本実施形態では、1つのサンプリング周期で、複数のセンサをデバイス用いて算出するため、本実施形態の画像形成装置100Aでは、より短時間に、高精度に、用紙蛇行量の算出が実現できる。
<第3実施形態>
図18は、本発明の第3実施形態に係る画像形成装置100Bのハードウェア構成を例示する図である。
本実施形態の画像形成装置では、カメラを備えていない点が、第1、第2実施形態とは異なる。本実施形態では、カメラから画像データを取得するのではなく、裏面用画像形成装置100Bの制御部が、表面用画像形成装置80の制御部から画像データを取得する。
図19は、本発明の第3実施形態に係る表面用画像形成装置80及び裏面用画像形成装置100Bの制御部の機能ブロック図を例示する図である。下記、第1の実施形態との相違点のみ説明する。
図19において、表面用画像形成装置80の表面用制御部400と、裏面用画像形成装置100Bの裏面用制御部300Bは、画像処理部410、370、サンプリング周期設定部420、330、用紙蛇行量設定部430、340、アクチュエータ駆動部440、350を夫々有している。
表面用画像処理部410は、画像データYMCK変換部411と、駆動波形生成部412を有している。同様に、裏面用画像処理部370は、画像データYMCK変換部371と、駆動波形生成部372を有している。
画像データYMCK変換部411、371は、入力された画像形成用の画像データを、必要に応じて、各色記録ヘッドユニット81K,81C,81M,81Y、及び101K,101C,101M,101Yでの吐出の色に適したYMCKデータに変換する。
そして、駆動波形生成部412,372は、YMCKデータを基に、各色の記録ヘッドユニット81K,81C,81M,81Y、及び101K,101C,101M,101Yを駆動制御する駆動波形を夫々生成して出力する。
また、裏面用制御部300Bの側のみ、画像形成された位置を検出後の演算から除外するための、タイミング設定部380が設けられている。表面側を印刷する際は、反対の面である裏面は白紙であるため、画像形成部分を前提としたタイミング制御は不要であるため、表面側にはタイミング制御部は設けられていない。
本実施形態では、タイミング設定部380は、表面用画像処理部410の画像データYMCK変換部411から画像データを取得する画像データ取得部381を有している。画像データ取得部381は、用紙Pの第1の面の画像形成終了後に、第1の面とは異なる第2の面に対して画像形成を行う際、第1の面を画像形成した際の画像形成用の画像データを取得する。
なお、画像データ取得部381が取得した画像データは表面用画像処理部410によって印刷用に変化されたYMCKデータであるため、後段の画像密度算出部382では、取得したYMCKデータをそのまま用いて、ドットあたりのインク密度を、全ドット分足し合わせることで、画像全体の画像密度に変換する。
本実施形態における、タイミング設定部380は、画像データから抽出した画像から抽出した用紙P上の所定の範囲(余白や閾値以下の濃度の部分)をメモリに記憶し、用紙Pが搬送され用紙P上のその所定の範囲がセンサデバイス103の検出位置に到達して搬送される期間を、検出結果を制御に使用する期間である出力取込期間に設定する。
図20は、本発明の第3実施形態の裏面用画像形成装置の制御部において、2値化データを作成するため詳細フローチャートである。本実施形態においても、図12と同様に、即ち、図17のフローチャートの下記ステップS41〜S46の処理をデータ更新周期ごとに行い、例えば1[mm]刻みの2値化データを作成する。
ステップS41で、画像データ取得部381は、印刷用画像データから(カメラで撮影する場合と同じ範囲のデータ)を切りだして(抽出して)、取得する。
ステップS42で、画像データ取得部381は、切り出した範囲のYMCK各色のインク塗布量を取得する。この場合、印刷用画像データは印刷用に変化されているため、画像データはYMCKデータである。
ステップS43で、画像密度算出部382は、S42で取得したドットあたりのインク密度を、全ドット分足し合わせることで画像全体の画像密度に変換する。画像密度は切り出した範囲視界全体に対するものであり、ドット単位での密度は考慮しなくてよい。
ステップS44で、精度補償判定部384は、S13で変換した画像密度が閾値以下かどうか判定する。
画像密度が閾値以下(S44でYes)であれば、精度補償信号出力部385は1(H)を出力し(ステップS45)、閾値以上であれば(S44でNo)、0(L)をセンサ計測精度補償信号140として出力する(ステップS46)。
この際、センサ計測精度補償信号140は、図7の中段と下段で示すように、2値化後データにおいて白い部分が1(H)を示し、黒い部分が0(L)を示すように出力される。
このように、本実施形態の裏面用画像形成装置において、表面用画像形成装置からの画像データを用いて設定した出力取込期間の、複数のタイミングでの表面情報(検出結果)を用いて用紙の幅方向の蛇行を算出する。そのため、インク付着部分の影響を最小限にして、その変動量を補償するようにアクチュエータにより、夫々の記録ヘッドを動かすことで、各記録ヘッド間の色合わせを行うことができる。即ち、裏面印刷時に、表面に印刷された画像の影響をほとんど受けずに、各記録ヘッドの各ノズルから吐出される液滴の用紙上の着弾位置を同一に揃えることができる。
本実施形態では、カメラが不要となるためカメラ及びカメラ用の照明のコストが削減できる。
なお、本実施形態では、用紙蛇行の演算処理の部分については、第1実施形態と同様に、1つのセンサを用いた複数のタイミングでの検出結果を用いた処理を適用して説明したが、本実施形態で用いた画像データの取得を、第2の実施形態の用紙蛇行の演算に適用してもよい。
この場合、裏面用画像形成装置において、表面用画像形成装置からの画像データを用いて設定した出力取込期間の、複数のセンサデバイスからの表面情報(検出結果)を用いて用紙の幅方向の蛇行を算出する。この制御においても、上記の効果と、第2実施形態による効果を奏することができる。
<システム>
上記の第1、第2実施形態では、画像形成装置の内部で制御や画像処理を行う例を説明した。しかし、本発明の実施形態は、図2に示すように画像形成装置を画像形成システム10内に配置してもよく、この場合、制御や画像処理を画像形成装置に対する外部機器として、システムの制御部や、システムに接続された上位機器等によって上記の制御や画像処理を行ってもよい。下記、画像形成装置の外部で制御や画像処理を行う例について説明する。
次に、本実施形態の画像形成システム10における制御構成について説明する。図21は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
例えば、図2に示したコントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72によって実行されうる。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。この制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。また、上記図11、図16、図19に示す画像密度閾値記憶部323,383、センサ毎検出結果蓄積部343、363は、例えば、システムの記憶装置72Cm等によって実現されてもよい。さらに、図8に示す画像密度算出部322、382等は、例えば、CPU72Cp等によって実現されてもよい。なお、画像密度閾値記憶部323,383、画像密度算出部322、382等は、他の演算装置及び記憶装置で実現されてもよい。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD−C、70LD−M、70LD−Y及び70LD−K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図22は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD−Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
例えば、データ管理装置72ECが、例えば、図5に示す制御部300の機能を実行し、ヘッドユニット101K,101C,101M,101Yを幅方向の位置移動させるアクチュエータACを動作させてもよい。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(図21)から入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図23は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット101K、シアン液体吐出ヘッドユニット101C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット101M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット101Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72C(図21)から入力される制御信号に基づいて、何れかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザーによる操作等に基づいて、何れかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、図21に示すプリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ec(図21)は、用紙Pを搬送させるモータ等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、用紙Pを搬送させる。
上記例では、検出機構(検出部、カメラ)を備える処理装置の例として、画像形成装置を例に挙げて説明してきたが、処理装置に備える装置は他の装置であってもよい。例えば、処理装置で搭載するヘッドユニットは読み取りユニットであり、処理装置は、画像検査装置であってもよい。
この場合、画像検査装置の読取手段の一例としてスキャナーヘッドユニットは、画像検査として、着弾位置補正のための検査用画像(テストパターン)を撮影して、読み取る。
この画像検査装置では、ヘッドユニットを構成するスキャナーなどの画像の色情報を読み込む機構に加えて、読み取った色情報の演算を行う制御機構(読取結果処理部、記録ヘッド着弾位置設定部等)を備えていてもよい。
例えば、この画像検査装置を、図2に示した画像形成システムにおいて、裏面用画像形成装置100の後段に配置して、用紙上の着弾位置調整のための検査に用いる画像であるテストチャートの読み取りを行ってもよい。
この場合、検出部は、用紙の第1の面(表面)の表面の表面情報を所定の周期で検出し、読み取りヘッドユニットは、被搬送物の第1の面とは異なる第2の面(裏面)に対して読み取り処理を行う。
そして、タイミング設定部は、用紙の第1の面(表面)に形成される画像の画像データに基づいて検出部の検出結果を制御に使用する期間である出力取込期間を設定する。制御部は、検出部で検出された表面情報のうち、設定された出力取込期間での表面情報を選択して読取ヘッドユニットの移動量の演算に使用する。
ヘッド移動制御部は、選択された表面情報を基づいた演算結果、読み取りヘッドユニットを移動させることで、読み取りヘッドユニットの読み取り位置精度を向上させることができる。
なお、上記の画像形成装置や画像読取装置では、蛇行量を算出することでヘッドユニットの移動制御を行ったが、相関演算の結果は搬送方向の相対位置も出力されるため、搬送方向の相対位置から搬送量のずれ量の算出を行い、ヘッドユニットの処理タイミングの制御を行っても良い。
なお、上記の画像形成装置や画像読取装置では、選択された出力取込期間での検出結果(表面情報)を選択して演算していたが、表面情報の検出の後に演算までを行った後に、演算の結果を選択するようにしても良い。
なお、上記の画像形成装置や画像読取装置では、画像形成及び画像読み取りの対象を用紙として説明したが、搬送される被搬送物としての記録媒体は、紙に限定されるものではない。例えば、記録媒体とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、光を照射することで表面の凹凸パターンが検出可能な、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体や粉体が付着するすべてのものが含まれる。例えば、上記「被搬送物」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなどであり、液体が一時的でも付着可能な材質で、且つ、光を照射することで材質の表面の凹凸パターンが検出可能な材質であればよい。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。