以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
以下、検出装置を有する処理装置を例に説明する。この例では、処理装置は、対象物に対して、ヘッドユニットによって処理を行う装置である。処理装置の一例として、対象物の例であるウェブに対して、ヘッドユニットによって液体を吐出する処理を行う「液体を吐出する装置」(以下「液体吐出装置」という場合もある。)がある。この例において、ウェブに液体が吐出される処理が行われると、ウェブに画像が形成されるとする。以下、液体吐出装置の例を画像形成装置とする。さらに、ヘッドユニットを「液体吐出ヘッドユニット」とし、液体がウェブに着弾する位置を「処理位置」の例とする。なお、画像形成を行う処理では、処理位置で液体がウェブに着弾するため、着弾位置は、ほぼ処理位置と同じとなる。
<第1の実施形態>
<全体構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略図である。例えば、画像形成装置によって吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。また、画像形成装置110は、ウェブ120等の対象物を搬送する搬送装置を有する。
対象物は、例えば、記録媒体等である。図示する例では、画像形成装置110は、ローラ130等によって搬送されるウェブ120等の記録媒体に対して、液体を吐出して画像形成を行う。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状の用紙等である。このように、画像形成装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)に、ウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、以下の説明では、図示するように、搬送方向10に直交する方向を直交方向20とする例である。また、この例では、画像形成装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のインクを吐出して、ウェブ120における所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。
図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成例を示す概略図である。図示するように、画像形成装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色の液体を吐出する処理を行う。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120を搬送方向10に搬送するモータ等である。
また、ウェブ120は、長尺であるのが望ましい。具体的には、ウェブの長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、対象物は、ウェブに限られない。すなわち、対象物は、折り畳まれて格納される紙、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。そして、液体吐出ヘッドユニットによる処理によって、液体がウェブ120に着弾する位置(以下「吐出位置」という。)は、液体吐出ヘッドのほぼ直下になる。すなわち、液体吐出ヘッドユニットを用いる画像形成の処理では、処理位置は、吐出位置となる。
この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出位置(以下「ブラック吐出位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出位置(以下「シアン吐出位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの吐出位置(以下「マゼンタ吐出位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの吐出位置(以下「イエロー吐出位置PY」という。)に吐出される。なお、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれの処理タイミングの制御や、各液体吐出ヘッドユニットに設けられたアクチュエータAC1、AC2、AC3及びAC4の制御は、例えば、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520等が行う。なお、制御は、共にコントローラ520が行うのでなく、2つ以上のコントローラ又は回路が行っても良い。アクチュエータについては後述する。
また、図示する例では、液体吐出ヘッドユニットに対して、複数のローラが設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流と、下流とに設置される。
具体的には、ウェブ120の搬送経路において、液体吐出ヘッドユニットごとに、各吐出位置の上流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第1ローラ」という。)が、設置される。また、各吐出位置から下流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第2ローラ」という。)が、設置される。このように、第1ローラ及び第2ローラが設置されると、各吐出位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくできる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等によって回転するローラであってもよい。
なお、第1の支持部材の例である第1ローラと、第2の支持部材の例である第2ローラとは、従動ローラ等の回転体でなくてもよい。すなわち、第1の支持部材及び第2の支持部材は、対象物を支える部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、対象物と接する部位が円弧状となる湾曲板等であってもよい。以下、第1の支持部材が第1ローラであり、かつ、第2の支持部材が第2ローラである例で説明する。
具体的には、ブラック吐出位置PKのウェブ120の搬送方向上流側にブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック吐出位置PKからウェブ120の搬送方向下流側にブラック用第2ローラCR2Kが設置される。
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cが設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mが設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yが設置される。
図2では、例えば、液体吐出ヘッドユニットごとに、搬送方向、直交方向又は両方向におけるウェブの位置等を検出するためのセンサデバイスが1以上設置される。また、センサデバイスは、可視光又は赤外線等の光を利用する光学センサOSを備える。なお、光学センサOSは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。また、センサデバイスは、光学センサOSを有さなくてもよいが、二次元センサであることが好ましい。そして、センサデバイスは、例えば、ウェブの表面を検出する。また、センサデバイスは、後述するように、画像形成中に記録媒体の裏面又は表面を検出することのできるセンサデバイスである。
また、センサデバイスは、後述するようにレーザ光源を備える。光源から照射されるレーザ光がウェブ120の表面で散乱した散乱波が重なり合って干渉すると、スペックルパターン等が生じる。そして、各センサデバイスが有する光学センサOSは、このようなスペックルパターン等を撮像して、画像データを生成する。このように、光学センサOSによって撮像されるパターンの位置変動に基づいて、例えば、画像形成装置は、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる移動量や、各液体吐出ヘッドユニットの吐出タイミング等を求めることができる。
以下、「センサが設置される位置」は、センサデバイスによって、位置等の検出が行われる位置を指す。したがって、「センサが設置される位置」に、検出に用いる装置がすべて設置される必要はない。すなわち、検出装置を構成するハードウェアが、検出が行われる位置に設置されてもよい。一方で、光学センサOSのみが、センサとして検出が行われる位置に設置され、他の装置は、光学センサOSとケーブルで接続されて他の位置に設置されてもよい。さらに、以下の説明では、各センサを総じて単に「センサ」という場合がある。
また、画像形成装置では、センサが配置される位置は、ヘッドユニットに近い位置であるのが望ましい。そして、センサは、まず、ヘッドユニットごとに設置されるとする。
具体的には、図2に示す例では、ブラック用センサデバイスSENKは、ブラック用ローラ間INTK1に設置される。図示するように、ブラック用ローラ間INTK1は、ブラック用第1ローラCR1K及びブラック用第2ローラCR2Kの間である。
同様に、シアン用センサデバイスSENCは、図示するように、シアン用ローラ間INTC1に設置される。図示するように、シアン用ローラ間INTC1は、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cの間である。
さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMは、図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1に設置される。図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1は、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mの間である。
さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYは、図示するように、イエロー用ローラ間INTY1に設置される。図示するように、イエロー用ローラ間INTY1は、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yの間である。
また、センサが設置される位置は、各ローラ間において、吐出位置より第1ローラに近い位置であるのがより望ましい。すなわち、センサが設置される位置は、各吐出位置より上流であるのがより望ましい。
具体的には、ブラック用センサデバイスSENKは、ブラック吐出位置PKから上流に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間(以下「ブラック用上流区間INTK2」という。)に設置されるのが望ましい。
同様に、シアン用センサデバイスSENCは、シアン吐出位置PCから上流に向かってシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置までの間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)に設置されるのが望ましい。
さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMは、マゼンタ吐出位置PMから上流に向かってマゼンタ用第1ローラCR1Mが設置される位置までの間(以下「マゼンタ用上流区間INTM2」という。)に設置されるのが望ましい。
さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYは、イエロー吐出位置PYから上流に向かってイエロー用第1ローラCR1Yが設置される位置までの間(以下「イエロー用上流区間INTY2」という。)に設置されるのが望ましい。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2にセンサデバイスSENが設置されると、画像形成装置110は、ウェブ120の位置等を精度良く検出できる。このような位置にセンサが設置されると、センサが各吐出位置より上流に設置される。そのため、画像形成装置110は、まず、上流でセンサデバイスSENを用いて直交方向、搬送方向又は両方向においてウェブ120の位置等を検出する。ゆえに、画像形成装置110は、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出する処理タイミング、ヘッドユニットを移動させる量又は両方を計算できる。すなわち、上流でウェブ120の位置等が検出された後に、ウェブ120が吐出位置へ搬送されるので、画像形成装置110は、ウェブ120が吐出位置へ搬送される間に、処理タイミングの算出又はヘッドユニットの移動等を行うことができる。そのため、画像形成装置110は、精度良く処理位置を変更することができる。
一方で、センサが設置される位置を各液体吐出ヘッドユニットの直下とすると、制御動作分の遅れ等によって、処理が行われる位置にずれが生じてしまう場合がある。したがって、センサが設置される位置は、各吐出位置より上流であると、画像形成装置110は、ずれを少なくし、精度良く処理を行うことができる。また、各吐出位置の付近は、センサ等を設置する位置とするのに制約される場合がある。ただし、制御動作分等の遅れを無視すれば、センサが設置される位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下等でもよい。センサデバイスSENが直下にあると、直下における正確な移動量が、センサによって検出できるという利点もある。例えば、制御動作等が速く行えるのであれば、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下により近い位置にあるのが望ましい。他にも、誤差が許容できるのであれば、センサの位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、各液体吐出ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
また、画像形成装置110は、図示するように、各液体吐出ヘッドユニット用のセンサより上流に1個以上センサを設置するのが望ましい。具体的には、画像形成装置110は、ヘッドユニットごとに設置されるセンサに加えて、第2センサデバイスSEN2を更に有するのが望ましい。以下、図示するように、第2センサデバイスSEN2が設置される構成を例に説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す上面図である。例えば、各センサデバイスは、ウェブ120の記録面に対して垂直の方向から見たときに、図示するようにウェブ120の幅方向における端付近であり、ウェブ120と重なる位置に配置されるのが望ましい。例えば、各センサデバイスは、配置位置PS20、PS1、PS2、PS3及びPS4等に配置される。また、本構成では、コントローラ520が、アクチュエータAC1、AC2、AC3及びAC4を制御することで、直交方向に、各液体吐出ヘッドユニットを移動させることができる構成例である。
図示するように、各センサデバイスは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットに対して裏側(ウェブ120に対して各液体吐出ヘッドユニットが設置される側と反対側である。)に設けられる。
また、各アクチュエータAC1、AC2、AC3及びAC4には、アクチュエータを制御するアクチュエータコントローラCTL1、CTL2、CTL3及びCTL4が接続される。以下、アクチュエータAC1、AC2、AC3及びAC4を総じて「アクチュエータAC」という場合がある。また、以下、アクチュエータコントローラCTL1、CTL2、CTL3及びCTL4を総じて「アクチュエータコントローラCTL」という場合がある。
アクチュエータACは、例えば、リニアアクチュエータ又はモータである。また、アクチュエータACは、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。
アクチュエータコントローラCTL1、CTL2、CTL3及びCTL4は、例えば、ドライバ回路等である。
図4は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を示す図である。図4(A)は、各液体吐出ヘッドユニットの一例を示す概略平面図である。
図示するように、液体吐出ヘッドユニットは、例えば、ライン型のヘッドユニットである。
例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、直交方向20に、4つのヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4を千鳥状に配置する。例えば、ヘッド210K-1は、図4(B)に示すような形状である。これにより、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kは、ウェブ120に画像が形成される領域(いわゆる印刷領域である。)の幅方向(すなわち、直交方向20である。)に、ブラックのインクによって画像を形成することができる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kと同様の構成とし、説明を省略する。
なお、上記の説明では、4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、液体吐出ヘッドユニットは、単一のヘッドで構成されてもよいし、4つ以上のヘッドで構成されても良い。
<検出装置の例>
図5は、本発明の一実施形態に係る検出装置を実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。例えば、検出装置600は、図示するようなレーザ光源LD、光学センサOS、制御回路52及び記憶装置53等を有するセンサデバイスSENと、コントローラ520等のハードウェアによって実現される。
まず、センサデバイスSENは、例えば、以下のような装置である。
図6は、本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの一例を示す外観図である。図示するセンサデバイスSENは、対象物に対して、光源から光を照射すると対象物に形成されるパターン等を撮像する構成である。具体的には、センサデバイスSENは、まず、光源の例としてレーザ光源LDを有する。また、センサデバイスSENは、コリメート光学系(CL)等の光学系を有する。また、センサデバイスSENは、パターンを撮像するため、光学センサOSとしてのCMOSイメージセンサ及びCMOSイメージセンサに集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(TO)を有する。
例えば、光学センサOSが、パターンを撮像する。そして、コントローラ520は、撮像したパターンと、他のセンサデバイスSENの備える光学センサOSが撮像したパターンとに基づいて、相互相関演算等の処理を行う。次に、相関演算等によって算出される相関ピーク位置の移動に基づいて、コントローラ520は、一方の光学センサOSから、他方の光学センサOSまでの間に、対象物が移動した移動量等を出力する。なお、図示する例は、センサデバイスSENのサイズ 幅W×奥行きD×高さHを15×60×32[mm]とする例である。なお、相関演算の詳細は、後述する。
なお、CMOSイメージセンサは、撮像部を実現するハードウェアの一例である。本例では、相関演算を行うハードウェアをコントローラ520として記載したが、相関演算は、いずれかのセンサデバイスに搭載されたFPGA回路で実行されても良い。
制御回路52は、センサデバイスSEN内部の光学センサOS及びレーザ光源LD等を制御する。具体的には、制御回路52は、例えば、トリガ信号を検出回路50に対して出力して、光学センサがシャッタを切るタイミングを制御する。また、制御回路52は、光学センサOSから、2次元画像データを取得できるように制御する。そして、制御回路52は、光学センサOSが撮像して生成する2次元画像データを記憶装置53等に送る。また、制御回路52は、レーザ光源LD等に対して光量を制御する信号を出力する。制御回路52は、例えばFPGA回路である。
記憶装置53は、いわゆるメモリ等である。なお、記憶装置53は、制御回路52から送られる2次元画像データを分割して、異なる記憶領域に記憶できる構成であるのが望ましい。
コントローラ520は、例えば、記憶装置53に記憶される画像データ等を用いて演算を行う。また、コントローラ520は、記憶装置を持っており、過去に調整した対象物の種類及び対象物の種類と関連付けられた光量等を記憶する。
制御回路52及びコントローラ520は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は電子回路等である。なお、制御回路52、記憶装置53及びコントローラ520は、異なるデバイスでなくともよい。例えば、制御回路52及びコントローラ520は、1つのCPU等であってもよい。
図7は、本発明の一実施形態に係る検出装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとに設置されるセンサデバイスSENのうち、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置されるセンサデバイスSENの組み合わせを利用してウェブの位置等を検出する検出装置を例に説明する。この例では、図示するように、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用のブラック用センサデバイスSENKが備える画像取得機能である画像取得部52Aが「A位置」で撮像する画像データを出力し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用のシアン用センサデバイスSENCが備える画像取得機能である画像取得部52Bが「B位置」で撮像する画像データを出力する例で説明する。
まず、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の画像取得部52Aは、例えば、撮像部16A、撮像制御部14A、画像記憶部15A、光源部51A及び光源制御部56A等で構成される。なお、この例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の画像取得部52Bは、例えば、画像取得部52Aと同様の構成であり、撮像部16B、撮像制御部14B、画像記憶部15B、光源部51B及び光源制御部56B等で構成される。以下、画像取得部52Aを例に説明する。
撮像部16Aは、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。なお、撮像部16Aは、例えば、図5に示す光学センサOS等によって実現される。
撮像制御部14Aは、シャッタ制御部141A及び画像取込部142Aを有する。なお、撮像制御部14Aは、例えば、制御回路52等によって実現される。
画像取込部142Aは、撮像部16Aによって撮像される画像データを取得する。
シャッタ制御部141Aは、撮像部16Aが撮像するタイミングを制御する。
画像記憶部15Aは、撮像制御部14Aが取り込んだ画像データを記憶する。なお、画像記憶部15Aは、例えば、記憶装置53等によって実現される。
光源部51Aは、ウェブに対してレーザ光等の光を照射する。光源部51Aは、例えば図5に示すレーザ光源等LDによって実現される。
光源制御部56Aは、例えば光源部51Aのオンオフや光量を制御する。光源制御部56Aは、例えば、制御回路52等によって実現される。
計算部53Fは、画像記憶部15A及び15Bに記憶されるそれぞれの画像データに基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が移動する移動速度及びウェブ120が移動した移動量が算出できる。
また、計算部53Fは、シャッタ制御部141Aに、シャッタを切るタイミングを示す時差Δtのデータを出力する。すなわち、計算部53Fは、「A位置」を示す画像データと、「B位置」を示す画像データとが時差Δtで、それぞれ撮像されるように、シャッタを切るタイミングをシャッタ制御部141Aに示してもよい。なお、計算部53Fは、例えば、コントローラ520等によって実現される。
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120に、光源部51A及び光源部51Bから、レーザ光等の光が照射されると、反射光が拡散反射する。そして、拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターン等である。そのため、ウェブ120を撮像すると、パターンを示す画像データが得られる。
さらに、光源制御部56Aは、調整部55Fによって制御される。特に、対象物が普通紙の場合とコート紙の場合では、同じ光量が照射されても、対象物で反射し、各撮像部が受光する光量が異なる。そこで、調整部55Fは、光源制御部56Aを制御し、各撮像部が撮像する画像データに基づいて各光源が照射する光量を調整する。なお、調整部55Fは、例えば、コントローラ520等によって実現される。
以上のように、画像データからパターンのある位置がわかるため、画像形成装置110は、ウェブ120の所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、パターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
したがって、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するパターンも一緒に搬送される。そのため、同一のパターンを異なる時間で検出すると、画像形成装置は、検出結果に基づいてウェブ120の移動量を計算できる。すなわち、同一のパターンを上流及び下流で検出してパターンが移動した移動量が算出されると、画像形成装置110は、ウェブ120の移動量を計算できる。このようにして計算される移動量を単位時間あたりに換算すると、画像形成装置110は、ウェブ120が移動する移動速度を計算できる。
図示するように、撮像部16A及び撮像部16Bが、搬送方向10において一定の間隔で設置される。そして、撮像部16A及び撮像部16Bを介して、それぞれの位置でウェブ120が撮像される。
そして、時差Δtの間隔で、シャッタ制御部141A及びシャッタ制御部141Bは、撮像部16A及び撮像部16Bに、ウェブ120を撮像させる。具体的には、理想の搬送速度を「V」とし、撮像部16A及び撮像部16Bが搬送方向10において設置される間隔である相対距離を「L」とすると、時差Δtは、下記(1)式のように示せる。
Δt=L/V (1)
上記(1)式において、相対距離Lは、センサデバイスSENK及びセンサデバイスSENCの間隔であるため、センサデバイスSENK及びセンサデバイスSENCの間隔をあらかじめ測定すると特定できる。
さらに、画像形成装置は、画像取得部52A及び画像取得部52Bによって撮像されるそれぞれの画像を示す画像データ「D1(n)」及び「D2(n)」に対して相互相関演算を行う。以下、相互相関演算によって生成される画像データを「相関画像」という。例えば、画像形成装置は、相関画像に基づいて、ずれ量「ΔD(n)」を計算する。
例えば、相互相関演算は、下記(2)式で示す計算である。
D1★D2=F-1[F[D1]・F[D2]*] (2)
なお、上記(2)式において、画像データ「D1(n)」、すなわち、「A位置」で撮像される画像を示す画像データを「D1」とする。同様に、上記(2)式において、画像データ「D2(n)」、すなわち、「B位置」で撮像される画像を示す画像データを「D2」とする。さらに、上記(2)式において、フーリエ変換を「F[]」で示し、逆フーリエ変換を「F-1[]」で示す。さらにまた、上記(2)式において、複素共役を「*」で示し、相互相関演算を「★」で示す。
上記(2)式に示すように、画像データD1及びD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、相関画像を示す画像データが、得られる。なお、画像データD1及びD2が2次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、2次元画像データとなる。また、画像データD1及びD2が1次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、1次元画像データとなる。
なお、相関画像において、例えば、ブロードな輝度分布が問題となる場合には、位相限定相関法が用いられてもよい。位相限定相関法は、例えば、下記(3)式で示す計算である。
D1★D2=F-1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]] (3)
なお、上記(3)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
このようにすると、画像形成装置は、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算できる。
相関画像は、画像データD1及びD2の相関関係を示す。具体的には、画像データD1及びD2の一致度が高いほど、相関画像の中心に近い位置には、急峻なピーク、いわゆる相関ピークとなる輝度が出力される。そして、画像データD1及びD2が一致すると、相関画像の中心及びピークの位置は、重なる。
相関演算の結果に基づいて、Δtにおける画像データD1と、画像データD2との間での位置の差、移動量及び移動速度等の情報が出力される。例えば、直交方向においては、画像データD1から画像データD2までの間に、画像形成装置は、どの程度ウェブ120が直交方向に移動したかを検出することができる。なお、画像形成装置は、移動量でなく、移動速度等を検出しても良い。また、計算部53Fは、相関演算の計算結果から、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの移動量を算出することができる。
計算部53Fの計算結果に基づいて、移動部57Fは、図3のアクチュエータAC2を制御し、液体の着弾位置を制御する。移動部57Fは、例えば、アクチュエータコントローラCTLによって構成される。なお、移動部57Fの機能は、アクチュエータコントローラCTLだけでなく、コントローラ520とで構成されても良い。また、コントローラ520で構成されても良い。
さらに、計算部53Fは、相関演算の結果に基づき、搬送方向のウェブの移動量がどの程度相対距離Lに対してずれたかを求めることもできる。すなわち、撮像部16A及び16Bセンサが撮像した2次元画像データから、計算部53Fは、搬送方向及び直交方向のそれぞれの位置を算出してもよい。このように兼用されると、それぞれの方向についてコストが少なくできる。また、センサの数が少なくできるので、省スペースとすることもできる。
理想の距離からどの程度ウェブ120の移動量がずれたかの演算に基づいて、計算部53Fは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出タイミングを算出する。この算出結果に基づき、制御部54Fは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cによる吐出を制御する。なお、液体を吐出するタイミングは、制御部54Fによって出力されるシアン液体吐出ヘッドユニット210C用の第2信号SIG2等によって制御される。ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出タイミングが算出された場合は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の第1信号によってブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出タイミングを制御する。なお、制御部54Fは、例えば、コントローラ520等によって実現される。
なお、相関演算は、例えば、以下のように計算されてもよい。
図8は、本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。例えば、画像形成装置110は、図示するような構成によって、相関演算を行うと、2以上の画像データが撮像された位置において、直交方向の相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせを計算することができる。又は、画像形成装置110は、2つの画像データが撮像されたタイミングにおいて、ウェブ120の理想の搬送位置からのずれ量及び移動速度等を計算することができる。
具体的には、画像形成装置110は、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、画像形成装置110は、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図9は、本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画素ごとの輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SRは、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画素毎の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図10は、本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。そして、図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SRによって探索される。なお、図示する相関強度は、赤色レーザ光源、かつ、光量60 mWであって、バックグラウンドノイズ除去処理が行われていない場合における強度の例を示す。
演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を計算できる。
以上のようにして、画像形成装置110は、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、画像形成装置110は、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、画像形成装置110は、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、画像形成装置110は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、画像形成装置110は、相対位置を検出してもよい。
なお、図では、Y方向に変動がある例を説明したが、X方向に変動がある場合には、ピーク位置は、X方向にもずれた位置に発生する。
また、画像形成装置110は、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、画像形成装置110は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
以上のように相関演算を行うと、画像形成装置110は、搬送方向、直交方向又は両方向において、対象物が所定の位置からどれだけずれたかを示すずれ量を把握できる。
<制御部の例>
制御部の例であるコントローラ520は、例えば、以下に説明する構成である。
図11は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71に接続される本体側制御装置72とで構成される。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、本体側制御装置72の制御によって対象物に対して画像を形成させるように制御する。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、本体側制御装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。そして、制御データを受信すると、制御データが示す印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、本体側制御装置72全体の動作を制御する。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD-C、70LD-M、70LD-Y及び70LD-K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図12は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD-Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図13は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、本体側制御装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及び本体側制御装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
搬送制御装置72Ecは、ウェブ120を搬送させるドライバ装置等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
<位置等の検出例>
図14は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置による対象物の位置等の検出例を示すタイミングチャートである。
画像形成装置110は、複数のセンサデータに基づいて、対象物の搬送方向又は直交方向における位置の変動量等を算出する。具体的には、第1センサデータS1及び第2センサデータS2に基づいて、画像形成装置は、変動量を示す算出結果を出力する。なお、図示する検出では、上流にあるセンサが出力するセンサデータが、第1センサデータS1となる。一方で、下流にあるセンサが出力するセンサデータが、第2センサデータS2となる。
変動量は、例えば、液体吐出ヘッドユニットごとに算出される。以下、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の変動量を算出する例で説明する。この例では、第2センサデバイスSEN2が第1センサデータS1を出力し、一方で、ブラック用センサデバイスSENKが第2センサデータS2を出力する。
以下、第2センサデバイスSEN2と、ブラック用センサデバイスSENKとの間隔、すなわち、センサ間の距離が、「L2」であるとする。また、センサデータに基づいて検出される移動速度が、「V」であるとする。さらに、第2センサデバイスSEN2から、ブラック用センサデバイスSENKまで対象物が搬送されるのに経過する移動時間が「T2」であるとする。この場合には、移動時間は、「T2=L2/V」と算出される。
また、光学センサによるサンプリング間隔を「A」とする。さらに、センサ間でのサンプリング回数を「n」とする。この場合には、サンプリング回数は、「n=T2/A」と算出される。
図示する算出結果、すなわち、変動量を「ΔX」とする。例えば、図示するように、検出周期が「0」である場合には、変動量は、移動時間「T2」前の第1センサデータS1と、検出周期「0」の第2センサデータS2とを比較して算出される。具体的には、変動量は、「ΔX=X2(0)-X1(n)」と算出される。
次に、画像形成装置110は、変動量「ΔX」を補償するように、アクチュエータAC1を制御し、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを直交方向において、移動させる。このようにすると、対象物の位置が直交方向に変動しても、画像形成装置110は、ずれ量を補償するため、対象物に対して精度良く処理を行うことができる。また、最上流のセンサデバイスとの2点間のセンサデータによる検出結果に基づいて、変動量を算出すると、各センサデバイスの位置情報を積算せずに、変動量が算出できる。そのため、このようにすると、各センサデバイスによる検出誤差の累積が少なくできる。
また、第1センサデータS1は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより1つ上流側に設置されるセンサによって検出される検出結果に限られない。すなわち、移動させる液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるセンサデバイスによる検出結果であればよい。
なお、第2センサデータS2は、移動させる液体吐出ヘッドユニットに最も近い位置に設置されるセンサデバイスによる検出結果であるのが望ましい。
また、変動量等は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
このように、複数のセンサデータから算出される変動量に基づいて、画像形成装置110は、液体吐出ヘッドユニットを移動させる制御を行い、ウェブ120に対して処理を行う。また、同様に搬送方向の変動量に基づいて液体吐出ヘッドユニットの吐出タイミングを制御し、ウェブに対して液体が吐出されると、搬送方向において精度よく液体を着弾することができる。
<処理タイミングの制御例>
図15は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置による処理タイミングの制御例を示すタイミングチャートである。図示する例では、第1タイミングT1は、ブラック用センサデバイスSENKが検出を行う検出タイミングである。第2タイミングT2をブラックの液体が吐出される処理タイミング、第3タイミングT3を、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの間に設置されるシアン用センサデバイスSENCが検出を行う検出タイミングとする。さらに、第4タイミングT4を、シアンの液体が吐出を行う予定のタイミング、第5タイミングT5がセンサデバイスSENKとセンサデバイスSENCの検出結果に基づいて、補正された後のシアンの液体吐出処理が行われる処理タイミングとする。
なお、この例において、シアン用センサデバイスSENCが検出を行う位置を以下単に「検出位置」という。検出位置は、図示するように、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの着弾位置から「設置距離D」の位置であるとする。また、以下の例では、各センサが設置される間隔は、各液体吐出ヘッドユニットの設置間隔(相対距離L)と同一であるとする。さらに、ウェブ120は理想の移動速度Vで移動しているとする。理想の移動速度Vは、プリンタコントローラ72Cによって記憶されている。
まず、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kが液体を吐出するタイミングに対して、D÷V分早いタイミングである第1タイミングT1において、ブラック用センサデバイスSENKは画像データを取得する。図示する例では、第1タイミングT1で取得される画像は第1画像信号PAで示される。画像データは、図7示す「A位置」における画像データD1(n)に相当する。次に、画像形成装置は、第2タイミングT2でブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに液体を吐出させるように、第1信号SIG1を「ON」にする。
次に、第3タイミングT3において、画像形成装置は、画像データを取得する。図示する例では、第3タイミングT3で取得される画像データは、第2画像信号PBで示し、画像データは、図7に示す「B位置」における画像データD2(n)に相当する。次に、画像形成装置は、画像データD1(n)及びD2(n)に対して相互相関演算を行う。このようにすると、画像形成装置は、ずれ量ΔD(0)を計算できる。そして、ずれ量ΔD(0)に基づいてシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出タイミングである第2信号SIG2のONタイミングを制御する。
ローラに熱膨張がない、かつ、ローラとウェブ120との間にスリップがない等の状態、すなわち、いわゆる理想状態では、画像形成装置は、ウェブ120が有する所定の箇所を、相対距離Lを移動速度Vで搬送するのに、「L÷V」の時間がかかる。
したがって、各撮像部が撮像を行う「撮像周期T」は、例えば、初期設定として「撮像周期T=撮像時差=相対距離L/移動速度V」が設定される。図示する例では、ブラック用センサデバイスSENK及びシアン用センサデバイスSENCのそれぞれの光学センサが、相対距離Lの間隔で設置される。もし、理想状態であれば、ブラック用センサデバイスSENKで検出されたウェブ120が有する所定の箇所は、「L÷V」時間後に、シアン用センサデバイスSENCの検出位置に搬送される。
一方で、実際には、ローラに熱膨張が発生する場合又はローラと、ウェブ120との間に滑りが発生し、理想の移動量で搬送されない場合が多い。なお、相関演算方法において、「撮像周期T=相対距離L/移動速度V」と設定すると、ブラック用センサデバイスSENKで画像データD1(n)が撮像されるタイミングと、シアン用センサデバイスSENCで画像データD2(n)が撮像されるタイミングとの時差は、「L÷V」となる。このように、「L÷V」を「撮像周期T」として、画像形成装置は、ずれ量ΔD(0)を計算してもよい。以下、図示する第3タイミングT3という例で説明する。
第3タイミングT3において、画像形成装置は、第2距離の例であるずれ量ΔD(0)を計算する。そして、画像形成装置は、設置距離D、ずれ量ΔD(0)及び移動速度Vに基づいて、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する処理タイミング、すなわち、第2信号SIG2のONタイミングを変更する。
まず、理想状態、すなわち、「L÷V」に基づいて、第4タイミングT4が決定されている。一方で、実際には、液体を吐出する対象となる位置は、ローラの熱膨張等のため、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する位置からずれ量ΔD(0)の位置にある。そのため、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する位置からシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する位置に搬送されるには、「ΔD(0)÷V」の時間がかかる。そこで、画像形成装置は、理想の位置に対してずれ量ΔD(0)分調整した位置で液体が吐出できるように、第5タイミングT5へ処理タイミングを変更する。
このように、画像形成装置は、第4タイミングT4から第2信号SIG2のONタイミングを「ΔD(0)/V」だけずらすように変更する。このようにすると、ローラに熱膨張等があっても、画像形成装置は、ずれ量ΔD(0)、設置距離D及び移動速度Vに基づいて処理タイミングが変更されるため、搬送方向において、液体の着弾位置の精度を向上できる。
他にも、画像形成装置には、モードごとに、それぞれの理想の移動速度があらかじめ設定されてもよい。なお、理想の移動速度は、熱膨張等がない状態での移動速度である。
以上、処理タイミングを変更して決定する例を記載したが、画像形成装置は、ずれ量、「V」及び「D」に基づいて、液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させる処理タイミングを直接演算して決定しても良い。
<全体処理例>
図16は、本発明の一実施形態に係る検出装置による光量調整処理例を示すフローチャートである。本フローチャートでは、ブラック用センサデバイスSENKとシアン用センサデバイスSENCを用いて光量を調整する例を説明している。
ステップSP01では、画像形成装置の搬送制御装置72Ecは、対象物をブラック用センサデバイスSENKによって検出可能な位置まで搬送する。なお、搬送制御装置72Ecは、検出可能な位置まで対象物を搬送し、検出可能な位置で対象物を停止させたほうが最大差分を取りやすいため好ましいが、停止させずに搬送しながらブラック用センサデバイスSENKによって検出しても良い。なお、最大差分については後述する。
ステップSP02では、コントローラ520の制御により、ブラック用センサデバイスSENKの制御回路52は、ブラック用センサデバイスSENKのレーザ光源LDの光量の初期化を行う。例えば、制御回路52は、光源が照射する光量を初期値に設定する等の処理を行う。なお、初期値は、あらかじめ画像形成装置にユーザによって設定される。なお、初期化では、他の設定値等が初期化されてもよい。以下、初期化によって、光量の初期値が「30 mW(ミリワット)」と設定される場合を例に説明する。
ステップSP03では、コントローラ520の制御により、制御回路52は、レーザ光源LDを制御し、光を対象物に照射する。なお、レーザ光源LDの照射する光量は、初期化又は光量の調整(ステップSP02又はステップSP07)で設定される。したがって、最初にこのステップが行われる場合、レーザ光源は、30 mWの光量で光を対象物に照射する。
ステップSP04では、ブラック用センサデバイスSENKの光学センサOSは、対象物を撮像する。このように、対象物が撮像されると、光学センサOSは、対象物のスペックルパターンを示す画像データを生成できる。また、このように生成される画像データは、ステップSP03で照射された光による撮像条件となる。
ステップSP05では、コントローラ520は、最大画素値と、平均値との差分を計算する。最大画素値は、ステップSP04で生成される画像データの所定領域において、所定領域に分布する画素が示す画素値のうち、最も値が大きい画素値である。一方で、平均値は、所定領域において、最大画素値となる画素を除く他の画素値を平均した値である。例えば、画像形成装置は、まず、所定領域において、最大画素値を検索する。次に、画像形成装置は、最大画素値を除く他の画素値の平均値を計算する。そして、最大画素値と、平均値との差分ΔPwを計算する。また、コントローラ520は、計算した最大画素値と平均値との差分ΔPwを、発光光量と対応付けてコントローラ520内部の記憶装置、例えば記憶装置72Cmに記憶する。なお、所定領域は、あらかじめ画像形成装置にユーザによって設定される。さらに、ステップSP04で生成された画像データも、発光光量と対応付けて記憶装置72Cmに記憶する。
ステップSP06では、コントローラ520は、発光光量が上限値以上かどうかを判断する。具体的には、上限値は、「105 mW」等のように設定される。
光量が上限値以上でない場合(ステップSP06でNO)、画像形成装置は、ステップSP07に進む。
ステップSP07では、コントローラ520は、制御回路52を制御し、レーザ光源LDの発光光量を増加させる。具体的には、あらかじめ「+5 mW」上げるように設定されるとすると、初期値の「30 mW」であった光量は、調整によって「35 mW」となる。
この処理は、ステップSP06で、発光光量が上限値以上となるまで繰り返される。つまり、コントローラ520は、光量が上限値、すなわち、この例では「105 mW」となるまで値を上げ、その都度最大画素値と平均値との差分を、発光光量と対応付けてコントローラ520内の記憶装置72Cmに記憶する。
次に、光量が上限値以上であるとコントローラ520が判断すると(ステップSP06でYES)、画像形成装置は、ステップSP08に進む。
ステップSP08では、コントローラ520は、記憶装置72Cmに記憶された複数の差分ΔPwを比較し、最も値が大きい差分ΔPw(以下「最大差分」という。)を特定する。続いて、コントローラ520は、最大差分と対応付けられた光量にとなるように、光量を調整する。
差分の値が大きいほど、最大値と、平均値とは、値が異なる状態となる。このような状態の画像データは、相関演算が行われると、相関ピークの強度が大きく出やすい画像データである。すなわち、差分が大きい画像データほど、相関演算ではっきりとした相関ピークが得られやすい。ゆえに、最大差分となるように光量が調整されると、画像形成装置は、相関演算で相関ピークを検索しやすい画像データを撮像できる。
次に、ステップSP09では、搬送制御装置72Ecは、シアン用センサデバイスSENCの位置までウェブ120の搬送を行う。
ステップSP10では、コントローラ520は、シアン用センサデバイスSENCの制御回路52を制御して、ブラック用センサデバイスSENKの発光光量と略同一の光量を設定する。
ステップSP11では、シアン用センサデバイスSENCの光学センサOSは、対象物のスペックルパターンを示す画像データを撮像できる。
ステップSP12では、コントローラ520は、相関演算等を行う。具体的には、ステップSP05で光量と対応付けて保存した画像データのうち、設定された光量に対応する画像データと、ステップSP11で撮像された画像データとの相関演算を行う。例えば、図7に示すような相関演算方法等を行い、画像形成装置は、相関演算等を行う。
ステップSP13では、コントローラ520は、相関ピークの強度が規定値以上であるか否かを判断する。なお、規定値は、あらかじめ画像形成装置にユーザによって設定される。すなわち、コントローラ520は、相関ピークが正確に検索できるような相関演算の結果が得られたか否かを判断する。具体的には、相関ピークの強度は、大きい値が出ているほど正確に検索されやすい。したがって、画像形成装置は、ステップSP12による相関演算で得られる相関ピークの強度と、規定値とを比較して、相関ピークの強度が大きな値であるか否かを判断する。
なお、コントローラ520は、相関ピークが所定の範囲内に出ているか否かを判断してもよい。
次に、相関ピークの強度が規定値以上であると画像形成装置が判断すると(ステップSP13でYES)、画像形成装置は、光量調整処理を終了する。一方で、相関ピークの強度が規定値以上でないと画像形成装置が判断すると(ステップSP13でNO)、画像形成装置は、今回の調整が所定回数目の調整か否かを判断する(ステップSP14)。
そして、所定回数目の調整である場合(ステップSP14でYES)、画像形成装置は、ステップSP15に進む。この場合は、光源が劣化している等の不良が発生している場合が多い。そこで、例えば、画像形成装置は、画像形成装置に備えられている操作パネルがエラーを通知する(ステップSP15)。
一方で、所定回数目の調整でない場合(ステップSP14でNO)、画像形成装置は、ステップSP16に進む。この場合には、画像形成装置は、調整回数を1つ増やし(ステップSP16)、ステップSP02に進む。
なお、エラーを通知するか否かを判断する調整回数は、ユーザが任意に設定して良いが、調整回数を3回程度にすると処理速度が遅くならないため好ましい。
以降、次にこのフローが実施されるまでの間、画像形成装置は、調整された光量を用いてウェブ120の相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせの計算と、液体吐出ヘッドユニットの位置又は吐出タイミングの制御を行う。
<比較例>
図17は、比較例に係る装置の全体構成例を示す概略図である。比較例の装置110Aは、図示するように、ウェブ120を搬送するローラ230にエンコーダ240を備える構成である。そして、比較例の装置110Aでは、エンコーダ240が計測した計測量に基づいて、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出する処理を行う。
図18は、比較例の装置による処理位置のずれ量の例を示す図である。図は、比較例の装置110Aによって、各液体吐出ヘッドユニットから吐出された液体が着弾した位置のずれの一例を示す。
第1グラフG1は、実際のウェブの位置を示す。一方で、第2グラフG2は、エンコーダ240からのエンコーダ信号に基づいて算出されるウェブの位置である。つまり、第1グラフG1と、第2グラフG2とに差があると、搬送方向において、実際にウェブがある位置と、算出されるウェブの位置とが異なるため、液体が着弾する位置にずれが発生しやすい。
例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kによる液体の吐出において、ずれ量σが発生した例である。また、ずれ量は、液体吐出ヘッドユニットごとに異なる場合がある。すなわち、ブラック以外の吐出では、各ずれ量は、図示するずれ量σと異なる場合が多い。
ずれ量は、例えば、ローラの偏心、ローラの熱膨張、ウェブとローラとの間に発生する滑り、記録媒体の伸び縮み及びこれらの組み合わせが原因となって発生する。
図19は、ローラの偏心等がずれ量に与える影響の例を示す図である。図示するグラフは、ローラの熱膨張、偏心及びローラとウェブとの間の滑りによる影響の一例を示す。すなわち、各グラフは、エンコーダ240からのエンコーダ信号に基づいて算出されるウェブの位置と、実際の位置との差を縦軸の「ずれ量」で示す。また、図は、ローラが「φ60」の外径、かつ、ローラの材質がアルミである例を示す。
第3グラフG3は、ローラに偏心量「0.01mm」がある場合のずれ量を示す。第3グラフG3で示すように、偏心によるずれ量は、ローラの回転周期と同期する周期となる場合が多い。また、偏心によるずれ量は、偏心量に比例する場合が多いが、累積はしない場合が多い。
第4グラフG4は、ローラに偏心と、熱膨張とがある場合のずれ量を示す。なお、熱膨張は、「-10℃」の温度変化があった場合の例である。
第5グラフG5は、ローラに偏心と、ウェブとローラとの間に発生する滑りとがある場合のズレ量を示す。なお、ウェブとローラとの間に発生する滑りは、「0.1パーセント」であった場合の例である。
また、ウェブの蛇行等を少なくするため、ウェブを搬送方向に引っ張る、いわゆるテンションをかける場合がある。このテンションによっては、ウェブには、伸び縮みが発生する場合がある。また、ウェブの伸び縮みは、ウェブの厚み、幅又は塗布量等によって異なる場合がある。
<処理結果例>
図20は、本発明の一実施形態に係る対象物ごとの実験結果例を示す図である。図は、種類が異なる2種類の対象物に対して、同一の光量となる設定で光を照射し、画像データを生成した場合の実験結果を示す。図では、横軸は、画像データの画素を特定できる番号を示す。なお、図示する例では、画素数は、250 画素であるため、番号は、「1」から「250」までとなる。一方で、縦軸は、各画素が受光した受光量を示す。なお、受光量が大きい値になると、画素値は、受光量に比例して大きな値になるとする。
また、図は、対象物の種類が、普通紙TA2である場合と、オフセットコート紙TA1である場合とを示す。図示するように、受光量は、対象物の種類によって異なる。具体的には、オフセットコート紙TA1のように、平滑度が高い素材等であると、受光量は、普通紙TA2等と比較して大きい値となりやすい。
したがって、同一の光量が照射される撮像条件であっても、対象物の種類が異なると、各対象物を撮像した画像データに基づいて行われる相関演算の結果が、例えば、以下のように異なる。
図21は、本発明の一実施形態に係る対象物が普通紙である場合の実験結果例を示す図である。図では、横軸は、図20と同様に、画像データの画素を特定できる番号を示す。一方で、縦軸は、相関強度を示す。以下、図21、図22及び図24での相関強度は、白色LED光源、かつ、光量30 mWであって、バックグラウンドノイズ除去処理を行った場合の強度を示す。また、図では、直交方向に対する相関演算の結果を実験結果RES11で示す。さらに、図では、搬送方向に対する相関演算の結果を実験結果RES12で示す。
図22は、本発明の一実施形態に係る対象物がコート紙である場合の実験結果例を示す図である。横軸及び縦軸は、図21と同様である。また、図では、直交方向に対する相関演算の結果を実験結果RES21で示す。さらに、図では、搬送方向に対する相関演算の結果を実験結果RES22で示す。
図21及び図22を比較すると、図示するように、同一の撮像条件であっても、相関ピークの強度が異なる結果となる。具体的には、実験結果RES11及び実験結果RES12は、図20に示すように受光量が小さい値であるため、相関演算を行った場合の感度が低くなりやすい。すなわち、実験結果RES11及び実験結果RES12は、ピークとなる相関強度と、ピーク以外の相関強度との差が小さいため、相関ピークの強度も小さくなる。また、図示するように、波形に歪みがあるため、実験結果RES11及び実験結果RES12では、繰り返し検出誤差が大きくなりやすい。
繰り返し検出誤差とは、同じ位置で繰り返し測定した場合の測定値のばらつきである。さらに、最大画素値と、平均画素値との差分が小さくなりやすいので、ピーク位置と背景で相関強度部分布の差分が小さく、ピーク位置が特定できない状態との状態となりやすい。
一方で、実験結果RES21及び実験結果RES22は、図20に示すように受光量が大きい値であるため、相関演算を行った場合の感度が高くなりやすい。すなわち、実験結果RES21及び実験結果RES22は、ピークとなる相関強度と、ピーク以外の相関強度との差が大きいため、相関ピークの強度も大きくなる。また、図示するように、波形が正規分布に近い形状であるため、実験結果RES21及び実験結果RES22では、繰り返し検出誤差が小さくなりやすい。さらに、最大画素値と、平均画素値との差分が大きくなりやすいので、誤検出に対するマージンが十分な状態となりやすい。
なお、実験結果に相当する結果は、図16に示す処理において、ステップSP03乃至ステップSP05等を行うと得られる。
つまり、例えば、図22のように、ピーク値と、それ以外の値との差が大きいと、相関ピークの強度が大きくなり、精度良い検出結果が得られやすい。一方で、図21のような状態であると、相関ピークの強度が小さくなりやすい。そこで、図16に示す処理におけるステップSP07等によって、例えば、検出装置は、以下のように調整する。
図23は、本発明の一実施形態に係る検出装置による調整結果例を示す図(その1)である。横軸及び縦軸は、図20等と同様である。以下、対象物の種類が普通紙であるとする。
まず、図は、初期化等で設定された光量で照射した撮像条件、すなわち、調整前の実験結果ADBを示す。すなわち、実験結果ADBは、図20に示す普通紙TA2と同様の撮像条件下で撮像された場合である。
さらに、図は、図16に示すステップSP08及びステップSP10等のように調整された光量で照射した撮像条件、すなわち、調整後の実験結果ADAを示す。図示するように、調整が行われると、実験結果ADAは、実験結果ADBと比較して、最大画素値PXMと、平均画素値PXAVとの差分DIFが大きくなる。
具体的には、図示するように、画素値のうち、最も大きい値となる点は、ピーク点PMXである。一方で、ピーク点PMX以外の画素が示すそれぞれの画素値を平均した値が平均画素値PXAVとなる。
したがって、検出装置は、撮像条件を変えて、それぞれの撮像条件下で撮像された画像データに基づいて計算される複数の差分DIFのうち、最も大きな差分DIFとなる撮像条件になるように調整するのが望ましい。このようにすると、検出装置は、調整によって、検出装置が設定可能な撮像条件のうち、差分DIFが最も大きくなる撮像条件にすることができる。最も大きな差分が好ましいが、最も大きな差分の約8割以上になるように検出装置が光量を設定しても良い。
以上のように調整すると、例えば、以下のような調整結果が相関演算によって得られる。
図24は、本発明の一実施形態に係る検出装置による調整結果例を示す図(その2)である。横軸及び縦軸は、図21等と同様である。図は、図23に示すように調整した後、撮像された画像データに対して相関演算を行った結果である。
図21等と同様に、図では、直交方向に対する相関演算の結果を実験結果RES31で示す。さらに、図では、搬送方向に対する相関演算の結果を実験結果RES32で示す。
実験結果RES31及び実験結果RES32のような結果であると、検出装置は、相関ピークを検索しやすい。図示するように、波形が正規分布に近い形状であるため、実験結果RES31及び実験結果RES32では、繰り返し検出誤差が小さくなりやすい。さらに、最大画素値と、平均画素値との差分が大きくなりやすいので、誤検出に対するマージンが十分な状態となりやすい。
なお、照射させる光量が多すぎると、受光量が上限値に達する場合がある。このような場合は、差分DIFが小さくなる場合がある。そこで、照射させる光量の上限値が設定されるのが望ましい。
図25は、本発明の一実施形態に係る検出装置が種類ごとに光量調整を実施し、調整した光量に基づいて処理を行う例を示すフローチャートである。本フローチャートにおいて処理とは、液体を吐出する処理である。
コントローラは、調整したことがある対象物か否かを判断する(ステップS01)。具体的には、コントローラは、調整したことがある対象物か否かを判断するには、例えば、過去に調整した対象物の種類をコントローラ内の記憶部にあらかじめ記憶する。そして、コントローラは、記憶した対象物と、ユーザによって入力された対象物の種類とを比較することで判断を行う。次に、過去に調整したことがある対象物である場合(ステップS01でYES)、コントローラは、コントローラ内の記憶部に記憶された対象物の種類と関連付けられた光量のデータを制御回路に送信する。そして、コントローラは、ステップS02に進む。一方で、過去に調整したことがある対象物でない場合(ステップS01でNO)、コントローラは、ステップS03に進む。
制御回路は、コントローラより送信された光量のデータに基づいて光量を設定する(ステップS02)。
過去に調整したことがない対象物である場合、検出装置は、例えば、図16で説明した光量取得フローを行う(ステップS03)。
制御回路は、光量取得フローによって取得した光量を設定する(ステップS04)。
ステップS02又はステップS04で光量が決定した後に、画像形成装置は、対象物を搬送させながら処理を行う(ステップS05)。
対象物を搬送させる処理を行っている最中等に、例えば、図8で説明したように、計算部は、相関演算を行い、搬送方向におけるウェブの移動量を算出する(ステップS06)。そして、算出した移動量に基づいて、コントローラは、アクチュエータの駆動制御や処理タイミングの制御を行う(ステップS07、ステップS08)。なお、図示する例では、ステップS07及びステップS08は、並列で実行されるが、ステップS07及びステップS08は、順に実行されたり、どちらか一方が実行されたり、又は、交互に実行されたりしても良い。
コントローラがアクチュエータの駆動制御や処理タイミングの制御を行った後、コントローラは、画像形成装置の処理が終了したか否かを判断する(ステップS09)。そして、処理が終了していない場合には(ステップS09でNO)、コントローラは、ステップS06に戻る。一方で、コントローラは、処理が終了している場合には、本処理を終了する。
<変形例>
図26は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の全体構成の変形例を示す概略図である。図2と比較すると、図示する構成では、第1の支持部材及び第2の支持部材の配置が異なる。図示するように、第1の支持部材及び第2の支持部材は、例えば、第1部材RL1、第2部材RL2、第3部材RL3、第4部材RL4及び第5部材RL5によって実現されてもよい。すなわち、第1の支持部材と、第2の支持部材とは、兼用されてもよい。なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、ローラで兼ねられてもよく、湾曲板で兼ねられてもよい。
<第2の実施形態>
図16に示すフローでは、検出装置は、ブラック用センサデバイスSENKが有するレーザ光源LDを用いて光量を調整し、その光量に対してシアン用センサデバイスSENCのレーザ光源LDを合わせるように調整を行う。しかしながら、それぞれのセンサデバイスSENが検知する差分ΔPwがそれぞれ最大となるように、検出装置は、レーザ光源LDごとに、それぞれの光量を調整しても良い。
また、光源は、レーザ光を用いるものに限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro-Luminescence)等でもよい。そして、光源によっては、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。
また、光源は、単一の波長を持つ光源でも、ブロードな波長を持つ光源でもよい。
上記の実施形態では、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色の液体吐出ヘッドユニットを用いて画像形成を行う画像形成装置を例として説明を行った。しかしながら、画像形成装置は、例えば、ブラックの液体吐出ヘッドユニットを複数備え、画像形成を行う構成であっても良い。
さらに対象物は、用紙等の記録媒体に限られない。対象物は、例えば、液体が付着可能な材質等である。具体的には、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能である。
また、上記の実施形態では、複数のセンサデバイスSENが出力したパターンの画像データに基づいて相関演算等を行う例を用いて説明を行った。しかしながら、単一のセンサデバイスが異なるタイミングで2つの画像データを出力し、その2つの画像データに対して相関演算等を行っても良い。この場合、異なるタイミングの間での対象物の相対位置、移動量、移動速度又はその組み合わせを検出することが可能となる。
なお、実施形態は、1つの装置で実現されても良いし、2以上の装置で実現されても良い。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが第1の筐体の内部に配置され、かつ、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが、第2の筐体の内部に配置されても良い。この例において、実施形態は、2つの装置を有するシステムによって実現される。
また、各処理は、検出システムが有する複数の情報処理装置によって、並列、冗長又は分散して行われてもよい。
また、本発明に係る実施形態では、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置は、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る処理装置は、画像を形成する処理を行うに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
<第3の実施形態:読み取り装置>
図27は、本発明の第3の実施形態に係る読み取り装置が有する構成例の一例を示す上面概略図である。上記、第1の実施形態及び第2の実施形態では、処理装置が有するヘッドユニットが液体を吐出する液体吐出ヘッドユニットであって、処理装置が液体吐出装置となる構成を例に説明したが、ヘッドユニットは、第3の実施形態のように、読取ユニット(スキャナー(Scanner))であってもよい。この場合、処理装置は、読み取りを行う読取装置となる。
処理装置は、搬送されるウェブ120に対して、搬送される経路上の異なる位置で、各ヘッドユニットによって読み取り処理を行う。以下、本実施形態では、ヘッドユニットHD1及びHD2が、CIS(Contact Image Sensor、密着型イメージセンサ)の集合体を含む読取ヘッドCIS1及びCIS2をそれぞれ備える読取ユニットである例を説明する。本実施形態では、読取ヘッドCIS1及びCIS2によって処理が行われる読み取り位置が、処理位置となる。
ヘッドユニットは、直交方向に1個以上設置された読取ヘッドを含んで構成される。例えば、図示するように、処理装置は、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2の2個のヘッドユニットを有する。なお、本例では、ヘッドユニットが2つ設けられる例を説明するが、処理装置が有するヘッドユニットの数は、2個に限られず、3個以上であってもよい。
また、図示するように、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、それぞれ1つ以上の読取ヘッドを備える。なお、図では、1つのCISヘッドを備えているが、複数備えてもよい。例えば、ヘッドユニットHD1は、読取ヘッドを千鳥状になる位置に備えても良い。
ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、読み取りユニット、いわゆるスキャナーを構成する。したがって、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、ウェブ120の表面に形成される画像等を読み取り、読み取った画像等を示す画像データを出力する。そして、処理装置は、各ヘッドユニットから出力される画像データを繋ぎ合わせると、搬送方向10と直交方向20に繋がった画像を生成することができる。
なお、図27では、処理装置において、支持ローラCR1及びCR2は、各ヘッドユニット間には設けていない例を示して説明したが、ヘッドユニット間には、図28に示すように、支持ローラが更に設けられてもよい。
図28は、図27の読み取り装置の他の例の側面概略図である。図示する例では、まず、ヘッドユニットHD1及びHD2を夫々挟むように、支持ローラCR1乃至CR4が、それぞれ設置される。そして、上流及び下流には、搬送駆動部として、2対のニップローラNR1、NR2及びローラ230等が、それぞれ設けられる。この例では、2対のニップローラのうち、少なくとも1つのニップローラがモータ等のアクチュエータで回転し、ウェブ120が搬送される。具体的には、ニップローラNR1が有する対をなすローラのうち、いずれか一方のローラは駆動ローラであり、モータM1によって駆動力が与えられる。
また、処理装置は、コントローラCT1及びアクチュエータコントローラCT2を有する。なお、コントローラCT1及びアクチュエータコントローラCT2は、情報処理装置である。具体的には、コントローラCT1及びアクチュエータコントローラCT2は、CPU、電子回路又はこれらの組み合わせ等を有する、すなわち、演算装置、制御装置、記憶装置及びインタフェース等を有するハードウェア構成である。なお、コントローラCT1及びアクチュエータコントローラCT2は、複数の装置でもよい。
なお、センサデバイスSN1及びSN2の設置位置は、図27と同様に配置されると好適である。
<ヘッドユニットの処理位置例>
図29は、本発明の一実施形態に係るヘッドユニットによる処理位置を示す概略図である。例えば、ヘッドユニットHD1の読取ヘッドCIS1及びヘッドユニットHD2の読取ヘッドCIS2が図示するような位置関係となるように設置されるとする。また、各読取ヘッドCIS1及びCIS2には、複数のCIS素子が列状に並んで配置され、個々のCIS素子に対応付けられた、複数の読み取り領域Rを有している。
具体的には、ヘッドユニットHD1の読取ヘッドCIS1は、直交方向20において、読取範囲SC1を読み取り、読取画像データを生成する。一方で、ヘッドユニットHD2の読取ヘッドCIS2は、直交方向20において、読取範囲SC2を読み取り、読取画像データを生成する。図示するように、読取範囲SC1と、読取範囲SC2とは、一部が重複する。以下、読取範囲SC1及び読取範囲SC2が重複する範囲を「重複範囲SC3」という。
このように、重複範囲SC3では、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、同一の被写体を読み取ることができる。すなわち、ヘッドユニットHD1が重複範囲SC3で読み取った被写体は、上流側から下流側へ搬送されるため、ヘッドユニットHD2は、所定時間後、同一の被写体を読み取ることができる。なお、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2の間隔は、あらかじめ把握できるため、移動速度に基づいて、処理装置1は、ヘッドユニットHD1で読み取られた被写体をヘッドユニットHD2で読み取るタイミングが計算できる。
そして、処理装置は、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2が生成したそれぞれの読取画像データを記憶装置に記憶する。次に、処理装置は、重複範囲SC3を示す各画像データが有する画素に基づいて、各画像データを繋ぎ合わせる。このようにすると、処理装置は、読取範囲SC1及び読取範囲SC2を示す画像データを繋ぎ合わせによって生成できる。なお、繋ぎ合わせは、搬送方向でも可能である。
以上のようにして、処理装置は、異なる位置に各ヘッドユニットを設置し、かつ、繋ぎ合わせを行うことによって、繋ぎ目のない広い範囲を示す読み取り画像を生成できる。
<機能構成例>
図30は、本発明の一実施形態に係る処理装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。図示するように、処理装置は、図7に示す構成に加えて、制御部1F3を備える。また、図示するように、処理装置は、読取画像データを処理する画像処理部1F5を更に備えるのが望ましい。
制御部1F3は、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2を制御する制御手順を行う。例えば、制御部1F3は、図示するように、移動制御部1F31及び処理タイミング制御部1F32を備える機能構成であるのが望ましい。
移動制御部1F31は、計算部53Fが計算するずれ量に基づいて、アクチュエータAC1及びAC2を制御する。例えば、移動制御部1F31は、アクチュエータコントローラCT2(図28)等によって実現される。
処理タイミング制御部1F32は、計算部53Fが計算するずれ量に基づいて、ヘッドユニットHD1及びHD2が有する読取ヘッドCIS1及びCIS2が読み取り処理を行う読取処理タイミングを制御する。
具体的には、搬送方向10におけるずれ量が「Δx」であり、ウェブ120の移動速度が「V」であるとすると、「Δx」を補償するため、処理装置は、処理タイミングを変更する。この例では、処理装置は、下流の読取ヘッド(この例では、読取ヘッドCIS2である。)による処理タイミングを「ΔT=Δx÷V」と変更する。
すなわち、ウェブ120が「Δx」だけずれて遅れて搬送されている場合には、処理装置は、読取ヘッドCIS2による処理タイミングを「ΔT」だけ遅らせるように変更する。このようにすると、処理装置は、搬送方向10において、精度良く処理を行うことができる。
一方で、直交方向におけるずれ量が「Δy」であるとすると、「Δy」を補償するため、処理装置は、ヘッドユニットを移動させる。処理装置は、アクチュエータAC1及びAC2を駆動制御することで、ヘッドユニットHD1及びHD2に設けられた読取ヘッドCIS1及びCIS2を直交方向に移動させる。これにより、読取ヘッドCIS1及びCIS2による、読み取り位置を移動させることができる。
このようにすると、処理装置は、搬送方向と直交方向において、精度良く画像データ(テストチャート等)を読み取る、画像読み取り処理を行うことができる。特に、ヘッドユニットによって処理中に、ヘッドユニットを移動させてずれ量が補償されると、処理装置は、ヘッドユニットによる処理を精度良く行うことができる。
この実施形態において、検査を行う際、テストチャートの読み取りは、初期調整時にエッジズレを読み取って、画像読み取り位置を補正してもよい。この場合、初期調整時のみ、用紙のエッジズレを算出するため、搬送しながら読み取り画像データを読み取る場合には、蛇行量の算出のみ行えばよく、制御部の負荷を軽くしながら、高品質な画像の読み取りが可能になる。
なお、処理装置は、リアルタイムにエッジズレを検出して、読み取り位置補正に反映してもよい。
リアルタイムにエッジの検出を行う場合、用紙エッジズレ量は、移動平均により直近の取得データの平均を求める又はフィルターを使用してノイズが乗った場合のデータを除外して算出しても良い。このようにエッジの検出を行うことで、処理装置は、画像読み取り中のセンササンプリングのタイミングでの用紙のエッジ欠け及びノイズの影響等を回避し、正確な画像読取位置を把握することができる。
リアルタイムにエッジずれを検出することで、画像読み取り中に、一定の周期でスキャナーの位置を調整するため、搬送途中で用紙にエッジズレが発生しても、より高品質な画像の読み取りが可能になる。
なお、第3の実施形態では、単体で装置を構成する例を説明したが、読み取りを行う装置である検出装置を画像形成システムが有する構成でも良い。
例えば、本実施形態の読取装置を画像形成装置の後段に配置して、用紙上の着弾位置調整のための検査に用いる画像であるテストチャートの読み取りを行ってもよい。
この場合、検出装置が有する読取手段の例であるスキャナーとして機能するヘッドユニットHD1及びHD2は、画像検査における処理として、着弾位置補正のための検査用画像、例えば、濃度を調整した階調パターン等のテストパターンを撮影して、読み取る。
本実施形態の読み取りを行う装置は、ヘッドユニットを構成するスキャナー等の画像の色情報を読み込む機構に加えて、読み取った色情報の演算を行う制御機構(例えば、読取結果処理部及び記録ヘッド着弾位置設定部等である。)を備えてもよい。
また、1つの画像形成システム内に第1の実施形態で説明した画像形成装置と、第3実施形態で説明した読取装置を備えることで、より高精度な着弾位置の検査と、その検査結果を反映した高品質な画像形成が実現できる。
また、本発明に係る実施形態では、検出装置又は検出システム等のコンピュータに調整方法を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。したがって、プログラムに基づいて調整方法が実行されると、コンピュータが有する演算装置及び制御装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて演算及び制御を行う。また、コンピュータが有する記憶装置は、各処理を実行するため、プログラムに基づいて、処理に用いられるデータを記憶する。
また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布することができる。なお、記録媒体は、磁気テープ、フラッシュメモリ、光ディスク、光磁気ディスク又は磁気ディスク等のメディアである。さらに、プログラムは、電気通信回線を通じて頒布することができる。
なお、本発明に係る実施形態は、処理装置が、搬送される対象物に対して、直交方向に移動するライン状のヘッドを有するヘッドユニットを用いて何らかの処理をするのであれば、適用可能である。例えば、レーザで基板をパターニングする処理装置であって、レーザヘッドユニットを直交方向に移動させる装置において、本発明に係る実施形態の装置は、基板の位置を検出し、レーザヘッドユニットを移動させる構成等でもよい。また、装置は、複数のレーザヘッドをライン状に並べる構成等でもよい。
他にも、ヘッドユニットは、対象物に形成されている画像等を読み取り、画像データを生成する読取等の処理を行ってもよい。
さらに、本発明に係る実施形態では、ヘッドは、複数でなくともよい。すなわち、本発明に係る実施形態の装置は、基準とする位置と同じ位置に、ヘッドによる処理をさせ続けたい(レーザ等の場合には、書き込みさせ続けたい場合となる。)仕様の装置であればよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は、上記の実施形態に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。