以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態の用語における、画像形成、印刷等は何れも同義語とする。
[第1の実施形態]
本実施形態では、被搬送物を搬送する搬送装置を有するインクジェット方式の画像形成装置を例に説明する。画像形成装置は、被搬送物の一例であるウェブに、水性又は油性であるインク等の記録液をインクジェット方式で吐出する。
<全体構成>
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す外観図である。
画像形成装置110は、ローラ130等によって搬送されるウェブ120に対して、インクを吐出して画像形成を行う。ウェブ120は、例えば連続用紙印刷媒体であり、巻き取りが可能なロール状のシートである。
図1において、ローラ130等は、ウェブ120の張力を調整し、図1に矢印で示されている搬送方向10にウェブ120を搬送する。画像形成装置110は、ブラック色、シアン色、マゼンタ色及びイエロー色の4色のそれぞれのインクを吐出して、ウェブ120の所定の箇所に画像を形成する。尚、以下では、ブラック色をK、シアン色をC、マゼンタ色をM、イエロー色をYとして表示する場合がある。
また画像形成装置110は、ウェブ120の両面に画像形成することができる。この場合、画像形成装置110は、例えばウェブ120の表面に画像形成し、図示を省略するターンバーによりウェブ120の表裏を入れ換え、その後ウェブ120の裏面に画像形成する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す図である。図示されているように、画像形成装置110は、インク吐出ヘッドユニット210K、210C、210M、及び210Yと、搬送装置111と、画像制御部141とを有する。尚、以下では簡単のため、インク吐出ヘッドユニット210K、210C、210M、及び210Yを、インク吐出ヘッドユニット210として総称する場合がある。
インク吐出ヘッドユニット210は、画像制御部141の制御下で、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所にインクを吐出する。上流側から下流側に向かって、インク吐出ヘッドユニット210K、210C、210M、及び210Yの順に設置される。
搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、インク吐出ヘッドユニット210Kはブラック色のインクを吐出し、インク吐出ヘッドユニット210Cはシアン色のインクを吐出する。同様に、インク吐出ヘッドユニット210Mはマゼンタ色のインクを吐出し、インク吐出ヘッドユニット210Yはイエロー色のインクを吐出する。インク吐出ヘッドユニット210がインクを吐出する位置は、インク吐出ヘッドユニット210から吐出されたインクがウェブ120に着弾する位置にほぼ等しい。着弾位置は、例えばインク吐出ヘッドユニット210のそれぞれの直下である。
本実施形態では、インク吐出ヘッドユニット210Kは、着弾位置PKにブラック色のインクを吐出する。インク吐出ヘッドユニット210Cは、着弾位置PCにシアン色のインクを吐出する。インク吐出ヘッドユニット210Mは、着弾位置PMにマゼンタ色のインクを吐出する。インク吐出ヘッドユニット210Yは、着弾位置PYにイエロー色のインクを吐出する。
画像制御部141は、インク吐出ヘッドユニット210K、210C、210M、及び210Yのそれぞれがインクを吐出するタイミングを制御することができる。
搬送装置111は、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2と、ローラ230と、光学センサSENK、SENC、SENM、及びSENYと、搬送制御部142と、計測制御部60とを有する。また搬送装置111は、第1ローラCR1K、CR1C、CR1M、及びCR1Yと、第2ローラCR2K、CR2C、CR2M、及びCR2Yとを有する。搬送装置111は、搬送制御部142の制御下で、ウェブ120を搬送する。
第1ニップローラNR1は、搬送方向10において、インク吐出ヘッドユニット210の上流側に設置される。また第2ニップローラNR2は、搬送方向10において、インク吐出ヘッドユニット210の下流側に設置される。
第1ニップローラNR1、及び第2ニップローラNR2は、図示されているように、ウェブ120を挟んで回転し、摩擦力によりウェブ120を搬送する。ローラ230は、ウェブ120の張力を調整しながら、ウェブ120を支持する。
ウェブ120の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いことが望ましい。尚、被搬送物は、ウェブ120に限られず、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
インク吐出ヘッドユニット210Kの上流側には、第1ローラCR1Kが設けられ、下流側には第2ローラCR2Kが設けられる。第1ローラCR1Kは着弾位置PKに向けてウェブ120を搬送する。第2ローラCR2Kは、着弾位置PKから下流側に向けてウェブ120を搬送する。
同様に、インク吐出ヘッドユニット210Cの上流側には、第1ローラCR1Cが設けられ、下流側には第2ローラCR2Cが設けられる。第1ローラCR1Cは着弾位置PCに向けてウェブ120を搬送する。第2ローラCR2Cは、着弾位置PCから下流側に向けてウェブ120を搬送する。
インク吐出ヘッドユニット210Mの上流側には、第1ローラCR1Mが設けられ、下流側には第2ローラCR2Mが設けられる。第1ローラCR1Mは着弾位置PMに向けてウェブ120を搬送する。第2ローラCR2Mは、着弾位置PMから下流側に向けてウェブ120を搬送する。
インク吐出ヘッドユニット210Yの上流側には、第1ローラCR1Yが設けられ、下流側には第2ローラCR2Yが設けられる。第1ローラCR1Yは着弾位置PYに向けてウェブ120を搬送する。第2ローラCR2Yは、着弾位置PYから下流側に向けてウェブ120を搬送する。
このように、インク吐出ヘッドユニット毎に第1ローラ及び第2ローラを設けることで、例えば着弾位置において、ウェブ120を平面状にすることができ、またウェブ120のいわゆる「ばたつき」を低減することができる。
尚、第1ローラCR1K、CR1C、CR1M、及びCR1Y、並びに第2ローラCR2K、CR2C、CR2M、及びCR2Yは、それぞれモータ等を有さない従動ローラである。但し、それぞれにモータ等を取り付け、モータ等により回転駆動される駆動ローラとしてもよい。
また第1ローラCR1K、CR1C、CR1M、及びCR1Y、並びに第2ローラCR2K、CR2C、CR2M、及びCR2Yは、それぞれ回転体でなくてもよく、例えば、被搬送物を支える支持部材であってもよい。支持部材は、例えば断面が円形状のパイプ、シャフト、又は被搬送物と接する部位が円弧状をした湾曲板等である。
プリンタコントローラ140は、画像制御部141と、搬送制御部142と、計測制御部60とを含み、画像形成装置110による画像形成を制御する。
光学センサSENK、SENC、SENM、及びSENYと、計測制御部60については、図4を用いて別途詳述する。
次に図3は、本実施形態に係るインク吐出ヘッドユニット210の構成の一例を説明する図である。図3(a)は、インク吐出ヘッドユニット210を吐出方向から視た図である。
インク吐出ヘッドユニット210は、ライン型のヘッドユニットである。ウェブ120の搬送方向10の上流側から順に、インク吐出ヘッドユニット210K、210C、210M及び210Yが配置される。
また、例えばインク吐出ヘッドユニット210Kは、ウェブ120の搬送方向10と直交する方向に、4つのヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4を千鳥状に配置する。これにより、画像形成装置110は、ウェブ120の搬送方向10と直交する方向(ウェブ120の幅方向)の全域に画像を形成することができる。他のインク吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、インク吐出ヘッドユニット210Kと同様であるため、説明を省略する。
上記では、1つの色のインク吐出ヘッドユニットで、ウェブ120の搬送方向10と直交する方向に、4つのヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4を千鳥状に配置する例を示したが、これには限定されない。例えば、1つの色のインク吐出ヘッドユニットを1つのヘッドで構成してもよい。
<計測部>
図2に戻り、ウェブ120を挟んでインク吐出ヘッドユニット210Yの反対側には、光学センサSENYが設けられる。光学センサSENYは、搬送方向10におけるウェブ120の位置、移動量(搬送量)、又は移動速度(搬送速度)の少なくとも1つを計測するために用いられる。尚、以下では、簡単のため、「位置、移動量、又は移動速度の少なくとも1つ」を、「移動速度等」と称する場合がある。
また光学センサSENYは、搬送方向10において、インク吐出ヘッドユニット210Yに対し、上流側に設けられる。搬送方向10におけるインク吐出ヘッドユニット210Yの設置位置は、光学センサSENYに対してより近い方が望ましく、インク吐出ヘッドユニット210Yの真下に設置されてもよい。光学センサSENYをインク吐出ヘッドユニット210Yの近くに設けることで、搬送方向10の各インク吐出ヘッドユニットの位置におけるウェブ120の移動速度等を正確に計測することができる。
同様に、ウェブ120を挟んでインク吐出ヘッドユニット210Mの反対側には、光学センサSENMが設けられ、インク吐出ヘッドユニット210Cの反対側には、光学センサSENCが設けられ、インク吐出ヘッドユニット210Kの反対側には、光学センサSENKが設けられる。光学センサSENM、光学センサSENC、及び光学センサSENKの機能と設置位置は、光学センサSENYと同様である。
インク吐出ヘッドユニット210Cの位置でのウェブ120の移動速度等は、光学センサSENKと光学センサSENCの組み合わせにより計測される。同様に、インク吐出ヘッドユニット210Mの位置でのウェブ120の移動速度等は、光学センサSENCと光学センサSENMの組み合わせにより計測される。またインク吐出ヘッドユニット210Yの位置でのウェブ120の移動速度等は、光学センサSENMと光学センサSENYの組み合わせにより計測される。
光学センサSENY、SENM、SENC、及びSENKを有し、ウェブ120の移動速度等を計測する構成を計測部50と称し、計測部50の構成、及び移動速度等の計測方法について以下に説明する。
図4は、実施形態に係る計測部50の構成の一例を示す図である。尚、以下では、光学センサSENKと光学センサSENCの組み合わせによるインク吐出ヘッドユニット210Cの位置でのウェブ120の移動速度等の計測を例に説明する。また図4において、X、Y、及びZで示す方向は、X方向は搬送方向10と直交する方向、Y方向は搬送方向10、Z方向はXY平面と直交する方向をそれぞれ示すものとする。
図示されているように、計測部50は、光学センサSENKと、光学センサSENCと、計測制御部60とを有する。尚、光学センサSENKは、「第1の取得部」の一例であり、光学センサSENCは、「第2の取得部」の一例である。計測制御部60は、「制御部」の一例である。
光学センサSENKは、コヒーレント光源511aと、インコヒーレント光源512aと、撮像レンズ513aと、撮像素子514aとを有する。
コヒーレント光源511aは、位置Aにおいて、移動速度V(mm/s)で搬送されるウェブ120に、所定のタイミングでコヒーレント光を照射する。尚、コヒーレントは、光波の位相の揃い具合、すなわち、干渉のしやすさ(干渉縞の鮮明さ)を表す。コヒーレント光は可干渉性の光(干渉しやすい光)であり、例えばレーザ光である。
コヒーレント光源511aは、例えば所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ(LD;Laser Diode)である。但し、可干渉性の光であれば、半導体レーザに限らず、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や有機EL(Electro-Luminescence)、固体レーザ等を用いてもよい。
コヒーレント光源511aは、所定のパルス幅で発光するパルス光を照射することが望ましい。パルス光を照射することで、レーザ光がウェブ120に加える熱エネルギーを低減することができ、ウェブ120の表面のダメージやウェブ120に付着されたインクのダメージを抑制することができる。パルス幅は短いほど熱エネルギーを低減できるため、明るさを確保できる範囲で、短いパルス幅のパルス光を照射することが望ましい。
またコヒーレント光源511aは、半導体レーザから出射されたレーザ光を平行化し、ウェブ120に平行光を照射するためのコリメートレンズを備えてもよい。
ウェブ120の表面、又は内部は凹凸形状を有し、光散乱性を有するため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。レーザ光は可干渉性を有するため、拡散反射された光は相互に干渉し、斑点状のスペックルパターンを形成する。
一方、インコヒーレント光源512aは、位置Aにおいて、移動速度V(mm/s)で搬送されるウェブ120に、所定のタイミングでインコヒーレント光を照射する。インコヒーレント光は非可干渉性の光(干渉し難い光)である。インコヒーレント光源512aは、例えば白色の発光ダイオードである。白色の発光ダイオードから出射される光は、出射される光の波長帯域が広いため、光波の位相が揃いにくく、干渉し難い。但し、インコヒーレント光源512aは、白色の発光ダイオードに限定はされない。非可干渉性の光を発する光源として、例えば蛍光灯やハロゲンランプ、スーパールミネッセンスダイオード(SLD;Super Luminescent Diode)等を用いてもよい。
インコヒーレント光源512aは、所定のパルス幅で発光するパルス光を照射することが望ましい。パルス光を照射することで、照射光がウェブ120に加える熱エネルギーを低減することができ、ウェブ120の表面のダメージやウェブ120に付着されたインクのダメージを抑制することができる。パルス幅は短いほど熱エネルギーを低減できるため、明るさを確保できる範囲で、短いパルス幅のパルス光を照射することが望ましい。
またインコヒーレント光源512bは、白色発光ダイオードから出射された光を平行化し、ウェブ120に平行光を照射するためのコリメートレンズを備えてもよい。
白色発光ダイオードによる光は干渉し難いため、ウェブ120に照射され、拡散反射された光は、レーザ光を照射した場合と異なり、明確なスペックルパターンを形成しない。尚、この「明確なスペックルパターン」とは、移動速度等の計測を正確に行うことができる程度に、明確に観察されるスペックルパターンを意味する。
撮像レンズ513aは、ウェブ120からの反射光を撮像素子514aの位置で結像させる。ウェブ120の表面と撮像素子514aとは、撮像レンズ513aにより共役関係にあり、撮像素子514aの位置では、ウェブ120の表面に焦点の合った像が得られる。
撮像素子514aは、撮像レンズ513aによるウェブ120の表面の像を撮像する。撮像素子514aは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、又はフォトダイオードアレイ等である。
また撮像素子514aは、直交する2方向に画素が配列された2次元撮像素子である。2次元撮像素子を用いることで、搬送方向10(Y方向)におけるウェブ120の移動速度等と、搬送方向10と直交する方向(X方向)におけるウェブ120の位置ずれ等を同時に計測することができる。X方向におけるウェブ120の位置ずれから、例えばウェブ120の蛇行を検知することができる。但しY方向に配列された1次元撮像素子を用いてウェブ120の移動速度等のみを計測してもよいし、X方向に配列された1次元撮像素子を用いてウェブ120の蛇行のみを計測してもよい。
撮像素子514aは、グローバルシャッタ(同時露光一括読み出し)方式を用いるものが望ましい。ローリングシャッタ(ライン露光順次読み出し)方式を用いると、ライン、又は複数のラインからなるブロック毎で露光の時間差が生じる場合がある。グローバルシャッタによれば、このような時間差を抑制し、移動量、又は移動速度計測への影響を抑制することができる。
制御信号、または設定により、撮像素子514aの露光タイミングが調整される。コヒーレント光源511aがウェブ120にレーザ光を照射するタイミングで、撮像素子514aが露光すれば、撮像素子514aはウェブ120で反射されたレーザ光による像を撮像できる。ウェブ120で反射されたレーザ光による像には、明確なスペックルパターンが含まれる。
一方で、インコヒーレント光源512aがウェブ120にインコヒーレント光を照射するタイミングで、撮像素子514aが露光すれば、撮像素子514aはウェブ120で反射されたインコヒーレント光による像を撮像できる。ウェブ120で反射されたインコヒーレント光による像には、明確なスペックルパターンが含まれない。
コヒーレント光源511aがレーザ光を照射するタイミングと、インコヒーレント光源512aがインコヒーレント光を照射するタイミングを異ならせることで、撮像素子514aは、明確なスペックルパターンを含む像と含まない像を切り替えて撮像することができる。
光学センサSENCは、Y方向において位置Aから距離Lだけ離れた位置Bにおいて、ウェブ120にコヒーレント光、又はインコヒーレント光を照射し、反射光による像を撮像する。光学センサSENCの構成は、光学センサSENKと同様であるため、説明を省略する。
尚、位置Aは、「第1の位置」の一例であり、位置Bは、「第2の位置」の一例である。コヒーレント光源511aは、「第1の可干渉光源」の一例であり、コヒーレント光源511bは、「第2の可干渉光源」の一例である。コヒーレント光源511a及び511bから出射されるコヒーレント光は、「可干渉光」の一例である。インコヒーレント光源512aは、「第1の非可干渉光源」の一例であり、インコヒーレント光源512bは、「第2の非可干渉光源」の一例である。インコヒーレント光源512a及び512bから発せられるインコヒーレント光は、「非可干渉光」の一例である。
ここで、上記のスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部の凹凸形状により、反射されるレーザ光が相互に干渉して生成されるため、レーザ光が照射されるウェブ120の領域毎の凹凸形状の違いにより、形成されるスペックルパターンが異なる。
例えば、位置Aにおいて、移動速度V(mm/s)で搬送されるウェブ120にコヒーレント光源511aがレーザ光を照射し、撮像素子514aはウェブ120からの反射光によるスペックルパターンを含む画像を取得する。そして、このレーザ光の照射から時間L/Vだけ経過した後に、位置Bにおいて、コヒーレント光源511bがウェブ120にレーザ光を照射し、撮像素子514bはウェブ120からの反射光によるスペックルパターンを含む画像を取得する。
移動速度V等に誤差がなければ、位置Aでコヒーレント光源511aがレーザ光を照射するウェブ120の領域と、位置Bでコヒーレント光源511bがレーザ光を照射すウェブ120の領域は、同じ領域となる。そのため、位置Aと位置Bでそれぞれ得られるスペックルパターンを含む画像は、同じ画像となる。しかし移動速度V等に誤差があると、この誤差に応じて、位置Aで取得される画像と、位置Bで取得される画像ではスペックルパターンがずれる。
従って、位置Aのスペックルパターンに対する位置Bのスペックルパターンのずれ量を相互相関演算等で算出し、このずれ量に基づき移動速度V等を計測することができる。例えば、スペックルパターンのY方向のずれ量をΔY(画素)とし、X方向のずれ量をΔX(画素)とし、撮像素子514a及び514bの画素の大きさをX、及びY方向ともp(mm/画素)とする。Y方向の移動量の誤差はp×ΔYとして算出することができ、Y方向の移動速度の誤差はp×ΔY/Lとして算出することができる。またX方向の位置の誤差はp・ΔXとして算出することができる。
スペックルパターンを用いることで、ウェブ120に計測用のパターン等を予め形成しておかなくても、移動速度等を計測することが可能になる。
一方で、例えば画像形成により、レーザ光が照射されるウェブ120の領域にインクが付着すると、ウェブ120の表面又は内部の凹凸形状がインクにより平滑化される場合がある。平滑な面にレーザ光を照射しても、レーザ光が拡散反射しないため、明確なスペックルパターンが形成されず、スペックルパターンに基づく移動速度等の計測ができない場合がある。
本実施形態では、レーザ光が照射されるウェブ120の領域にインクが付着している場合は、インコヒーレント光源512a及び512bの照射光によるウェブ120の反射光による像から移動速度等を計測する。この場合は、ウェブ120にインクにより形成された画像パターンを利用し、位置Aの画像パターンに対する位置Bの画像パターンのずれ量を検出して、移動速度V等を計測する。
また形成された画像パターンに限られず、ウェブ120の地模様や地紋は領域毎に異なるため、このような地模様や地紋の位置Aでの像に対する位置Bの像のずれ量を検出してもよい。さらに位置ずれ検出用のパターンを予めウェブ120に画像形成しておき、これを用いてずれ量を検出してもよい。
レーザ光と比較して指向性を有さないインコヒーレント光による画像であるため、レーザ光を照射した時の画像と比較して、ぎらつき等のノイズを抑制した画像を取得でき、移動速度等を正確に計測することができる。
図5は、実施形態に係る計測制御部60のハードウェア構成の一例を示す図である。計測制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61と、ROM(Read Only Memory)62と、RAM(Random Access Memory)63と、NVRAM(Non Volatile Memory)64と、コヒーレント光源駆動回路65と、インコヒーレント光源駆動回路66と、撮像素子駆動回路67とを有する。これらはシステムバス68を介して相互に電気的に接続されている。
CPU61は、計測制御部60の動作を統括的に制御する。CPU61は、RAM63をワークエリア(作業領域)として、ROM62に格納されたプログラムを実行することで、計測制御部60全体の動作を制御し、後述する各種機能を実現する。
NVRAM64は、撮像素子514a及び514bが撮像した撮像データを記憶する。
コヒーレント光源駆動回路65は、コヒーレント光源511a及び511bと電気的に接続し、駆動電圧の印加により、コヒーレント光源511a及び511bを駆動させる電気回路である。コヒーレント光源511a及び511bは、コヒーレント光源駆動回路65の出力する駆動電圧により、レーザ光線の照射をON、又はOFFし、或いは照射するレーザ光線の光強度を変化させることができる。尚、コヒーレント光源駆動回路65は、駆動電圧に代えて駆動電流を出力し、コヒーレント光源511a及び511bを駆動させてもよい。
インコヒーレント光源駆動回路66は、インコヒーレント光源512a及び512bと電気的に接続し、駆動電圧の印加により、インコヒーレント光源512a及び512bを駆動させる電気回路である。インコヒーレント光源512a及び512bは、インコヒーレント光源駆動回路66の出力する駆動電圧により、インコヒーレント光の照射をON、又はOFFし、或いは照射するインコヒーレント光の光強度を変化させることができる。尚、インコヒーレント光源駆動回路66は、駆動電圧に代えて駆動電流を出力し、インコヒーレント光源512a及び512bを駆動させてもよい。
撮像素子駆動回路67は、撮像素子514a及び514bと電気的に接続し、例えば撮像素子514a及び514bの露光タイミングを制御する。また撮像素子駆動回路67は、撮像素子514a及び514bが出力する撮像データを示す電気信号を入力する。
計測制御部60は、図5に示されているハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
図6は、本実施形態に係る計測制御部60の構成要素の一例を機能ブロックで示す図である。尚、図6に示される計測制御部60の各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部又は一部を、任意の単位で機能的又は物理的に分散・結合して構成することが可能である。計測制御部60の各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、上述のCPU61にて実行されるプログラムにて実現され、或いはワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
計測制御部60は、判定部71と、光源制御部72と、撮像制御部73と、記憶部74と、演算部75とを有する。
判定部71は、コヒーレント光源511a及び511b、又はインコヒーレント光源512a及び512bから光を照射するウェブ120の領域(被計測領域)に画像が形成されているかを判定する。このような判定は、例えばウェブ120の画像形成される面が表面であるか、裏面であるかを画像形成装置110のプリンタコントローラ140等を通して検知することで、判定することができる。
ウェブ120の画像形成される面が表面である場合には、表面の反対側の面である被計測領域には画像が形成されていないため、判定部71は、画像が形成されていないと判定する。ウェブ120の画像形成される面が裏面である場合には、裏面の反対側の面である被計測領域には、表面の画像形成により画像が形成されている場合があるため、判定部71は、画像が形成されていると判定する。
判定部71は、判定結果を光源制御部72に出力する。
光源制御部72は、被計測領域に画像が形成されていないと判定部71が判定した場合、コヒーレント光源駆動回路65に制御信号を出力し、コヒーレント光源511a及び511bにレーザ光を照射させる。一方で、光源制御部72は、被計測領域に画像が形成されていると判定部71が判定した場合、インコヒーレント光源駆動回路66に制御信号を出力し、インコヒーレント光源512a及び512bにインコヒーレント光を照射させる。
また、光源制御部72は、コヒーレント光源511a及び511bによるレーザ光の照射のタイミング、又はインコヒーレント光源512a及び512bによるインコヒーレント光の照射のタイミングを示す信号を撮像制御部73に出力する。照射のタイミングを示す信号は、例えば、撮像素子に露光させるためのトリガ信号である。
撮像制御部73は、レーザ光、又はインコヒーレント光の照射のタイミングを示す信号を光源制御部72から入力し、照射タイミングに応じて、撮像素子駆動回路67に制御信号を出力し、撮像素子514a及び514bに露光させる。これにより、コヒーレント光源511a及び511bからの照射光のウェブ120による反射光の画像(コヒーレント画像)を撮像することができる。或いはインコヒーレント光源512a及び512bからの照射光のウェブ120による反射光の画像(インコヒーレント画像)を撮像することができる。
コヒーレント光源511aからの照射光のウェブ120による反射光の画像は、「第1の可干渉画像」の一例である。コヒーレント光源511bからの照射光のウェブ120による反射光の画像は、「第2の可干渉画像」の一例である。インコヒーレント光源512aからの照射光のウェブ120による反射光の画像は、「第1の非可干渉画像」の一例である。インコヒーレント光源512bからの照射光のウェブ120による反射光の画像は、「第2の非可干渉画像」の一例である。
撮像制御部73は、撮像素子514a及び514bの撮像した撮像データを入力し、記憶部74に出力する。
撮像素子514aが撮像した撮像データは、位置Aにおけるウェブ120の撮像データである。被計測領域に画像が形成されていない場合は、撮像データには、レーザ光により形成される明確なスペックルパターンが含まれる。被計測領域に画像が形成されている場合は、撮像データには、明確なスペックルパターンが含まれないが、形成された画像パターンが含まれる。
同様に、撮像素子514bが撮像した撮像データは、位置Bにおけるウェブ120の撮像データである。被計測面に画像が形成されていない場合は、撮像データには、レーザ光を照射して取得される明確なスペックルパターンが含まれる。被計測面に画像が形成されている場合は、撮像データには、明確なスペックルパターンが含まれないが、形成された画像パターンが含まれる。
記憶部74は、入力した撮像データを記憶する。記憶部74は、例えばNVRAM64等により実現される。
演算部75は、記憶部74が記憶する撮像データを読み出し、位置Aにおけるウェブ120の撮像データと、位置Bにおけるウェブ120の撮像データとを用いて相互相関演算を行い、スペックルパターン、又は画像パターンの、X方向のずれ量ΔX、及びY方向のずれ量ΔYを算出する。演算部75は、このようなずれ量ΔX及びΔYに基づき、移動速度等を算出する。尚、この演算方法については、別途図8~10を用いて詳述する。
図7は、本実施形態に係る計測制御部60の処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、判定部71は、ウェブ120の被計測領域に画像が形成されているかを判定する(ステップS71)。
判定部71が被計測領域に画像が形成されていないと判定した場合(ステップS71、No)、光源制御部72はコヒーレント光源駆動回路65に制御信号を出力する。そして位置Aにおいて、コヒーレント光源511aにより、所定のタイミングでウェブ120にレーザ光を照射させる(ステップS72)。また光源制御部72はレーザ光を照射したタイミングを示すトリガ信号を撮像制御部73に出力する。
撮像制御部73は、撮像素子514aに、光源制御部72からのトリガ信号に応じたタイミングで露光させ、位置Aにおいてウェブ120の画像を撮像させる(ステップS73)。この場合は、コヒーレント画像が撮像される。撮像制御部73は、撮像素子514aが撮像した撮像データImaを記憶部74に出力する。記憶部74は、入力した撮像データImaを記憶する。
光源制御部72は、コヒーレント光源511aがレーザ光を照射した時から時間L/Vだけ経過した後に、コヒーレント光源駆動回路65に制御信号を出力する。そして位置Bにおいて、コヒーレント光源511bにより、ウェブ120にレーザ光を照射させる(ステップS74)。また光源制御部72はレーザ光を照射したタイミングを示すトリガ信号を撮像制御部73に出力する。
撮像制御部73は、撮像素子514bに、光源制御部72から入力したトリガ信号に応じたタイミングで露光させ、位置Bにおいてウェブ120の画像を撮像させる(ステップS75)。この場合も、コヒーレント画像が撮像される。撮像制御部73は、撮像素子514bが撮像した撮像データImbを記憶部74に出力する。記憶部74は入力した撮像データImbを記憶する。
一方、判定部71が被計測領域に画像が形成されていると判定した場合(ステップS71、Yes)、光源制御部72はインコヒーレント光源駆動回路66に制御信号を出力する。そして位置Aにおいて、インコヒーレント光源512aにより、所定のタイミングでウェブ120にインコヒーレント光を照射させる(ステップS76)。また光源制御部72はインコヒーレント光を照射したタイミングを示すトリガ信号を撮像制御部73に出力する。
撮像制御部73は、撮像素子514aに、光源制御部72から入力したトリガ信号に応じたタイミングで露光させ、位置Aにおいてウェブ120の画像を撮像させる(ステップS77)。この場合は、インコヒーレント画像が撮像される。撮像制御部73は、撮像素子514aが撮像した撮像データImaを記憶部74に出力する。記憶部74は入力した撮像データImbを記憶する。
光源制御部72は、インコヒーレント光源512aがインコヒーレント光を照射した時から時間L/Vだけ経過した後に、インコヒーレント光源駆動回路66に制御信号を出力する。そして位置Bにおいて、インコヒーレント光源512bにより、ウェブ120にレーザ光を照射させる(ステップS78)。また光源制御部72はレーザ光を照射したタイミングを示すトリガ信号を撮像制御部73に出力する。
撮像制御部73は、撮像素子514bに、光源制御部72から入力したトリガ信号に応じたタイミングで露光させ、位置Bにおいてウェブ120の画像を撮像させる(ステップS79)。この場合も、インコヒーレント画像が撮像される。撮像制御部73は、撮像素子514bが撮像した撮像データImbを記憶部74に出力する。記憶部74は入力した撮像データImbを記憶する。
次に、演算部75は、記憶部74を参照し、位置Aで取得され、記憶された撮像データImaを取得し、また位置Bで取得され、記憶された撮像データImbを取得する。演算部75は、撮像データImaと撮像データImbとの間で相互相関演算を実行し、スペックルパターン、又は画像パターンの、X方向のずれ量ΔXと、Y方向のずれ量ΔYを算出する(ステップS80)。
次に、演算部75は、ずれ量ΔX及びΔYに基づき、上述したように移動速度等を算出する。
このようにして、計測部50は、ウェブ120の移動速度等を計測することができる。ウェブ120の移動量、又は移動速度の計測値は、例えば、画像制御部141によるインク吐出ヘッドユニット210それぞれのインクの吐出タイミングの調整に使用される。またウェブ120の位置の計測値は、例えば、インク吐出ヘッドユニット210の位置の調整に用いられる。特にウェブ120の幅方向の位置の計測値は、ウェブ120の蛇行の影響を補正するためのインク吐出ヘッドユニット210の位置制御に用いられる。
尚、上記では、光学センサSENKと光学センサSENCの組み合わせによるインク吐出ヘッドユニット210Cの位置でのウェブ120の移動速度等の計測を例に説明した。このような計測は、光学センサSENCと光学センサSENMの組み合わせによるインク吐出ヘッドユニット210Mの位置でのウェブ120の移動速度等の計測でも同様である。また光学センサSENMと光学センサSENYの組み合わせによるインク吐出ヘッドユニット210Yの位置でのウェブ120の移動速度等の計測でも同様である。
図7に示されているステップS71からステップS81までの処理によりウェブ120の移動速度等の計測を1回実施できる。このような計測を連続して継続実施することで、ウェブ120の移動速度等を継続して計測することができ、計測値に基づくインク吐出ユニットの吐出タイミングの調整を継続して行うことができる。計測を連続して行う場合、計測の時間間隔は、例えば、ウェブ120上の長さ1インチに該当する時間間隔に設定することができる。
尚、上記では、計測制御部60がCPU等のハードウェアを備え、図6に示す機能を実現させる例を示したが、プリンタコントローラ140の備えるCPU等のハードウェアにより図6に示す機能を実現させてもよい。
<相関演算>
図8は、実施形態に係る演算部の構成要素の一例を機能ブロックで示す図である。例えば、演算部75は、図示するような構成によって、相関演算を行うと、光学センサの位置におけるウェブ120の移動速度等を算出することができる。
演算部75は、第1の2次元フーリエ変換部FT1と、第2の2次元フーリエ変換部FT2と、相関画像データ生成部DMKと、ピーク位置探索部SRと、算出部CALと、変換結果記憶部MEMとを有する。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、撮像データImaをフーリエ変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1aと、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bとを有する。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、撮像データImaを1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、撮像データImaを1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、撮像データImbをフーリエ変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2aと、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bと、複素共役部FT2cとを有する。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、撮像データImbを1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、撮像データImbを1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される撮像データImaの変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される撮像データImbの変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKaと、2次元逆フーリエ変換部DMKbとを有する。
積算部DMKaは、撮像データImaの変換結果と、撮像データImbの変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
尚、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、演算部75は、移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図9は、実施形態に係る相関演算によるピーク位置探索方法の一例を説明する図である。図9において、横軸は相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。例えばこの例では、ピーク位置探索部SR(図8)は、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。尚、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図10は、実施形態に係る相関演算の演算結果の一例を示す図である。図10は、相互相関関数の相関強度分布を示している。尚、図10では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SR(図8参照)によって探索される。
尚、図10では、Y方向に変動がある例を説明したが、X方向に変動がある場合には、ピーク位置は、X方向にもずれた位置に発生する。
図8に戻り、算出部CALは、ウェブ120の移動速度等を算出する。例えば、算出部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算することで、位置及び移動量を算出することができる。
また、算出部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を算出できる。
以上のようにして、演算部75は、相関演算によって、移動速度等を算出することができる。尚、移動速度等の演算方法は、これに限定されない。例えば、演算部75は、以下のように、移動速度等を検出してもよい。
まず、演算部75は、撮像データIma及び撮像データImbのそれぞれの輝度を2値化する。例えば演算部75は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された撮像データIma及び撮像データImbを比較して、演算部75は、相対位置を検出してもよい。
また、演算部75は、これ以外の演算方法によって、移動速度等を検出してもよい。例えば、演算部75は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、スペックルパターン、又は画像パターンのずれ量を算出してもよい。
以上説明してきたように、本実施形態では、計測部50はコヒーレント光源511a及び511bとインコヒーレント光源512a及び512bを備える。ウェブ120に画像が形成されていない場合は、コヒーレント光源511a及び511bによりレーザ光を照射し、反射光で形成されるスペックルパターンを利用して、ウェブ120の移動速度等を求める。また、ウェブ120に画像が形成されている場合は、インコヒーレント光源512a及び512bによりインコヒーレント光を照射し、形成された画像パターン等を利用して、ウェブ120の移動速度等を求める。
これにより、ウェブ120の表面又は内部の凹凸形状がインクにより平滑化され、明確なスペックルパターンが形成されない場合であっても、ウェブ120の移動速度等を正確に計測することができる。
尚、上記では、光学センサは、ウェブ120の画像形成面とは反対側の面に、コヒーレント光、又はインコヒーレント光を照射し、ウェブ120の撮像データを取得する例を説明したが、これに限定はされない。光学センサは、ウェブ120の画像形成面に、コヒーレント光、又はインコヒーレント光を照射し、ウェブ120の撮像データを取得してもよい。
ウェブ120の画像形成面とは反対側の面の撮像データを取得する場合は、インク吐出ユニットによるインクの着弾位置のより近くのウェブ120の移動速度等を計測できる。これにより、計測結果に基づくインク吐出ヘッドユニット210による吐出タイミングの調整等を、より正確に行えるという効果が得られる。
また上記では、判定部71は、画像形成面がウェブ120の表面であるか裏面であるかに基づき、画像形成面とは反対側の面に、画像が形成されているか否かを判定する例を説明したが、これに限定はされない。例えば、画像形成の元となる画像データに基づいて、ウェブ120の被計測領域に、画像が形成されているか否かを判定してもよい。画像形成の元となる画像データから、ウェブ120のどこにインクが付着しているかを検知できるためである。
光学センサがウェブ120の画像形成面とは反対側の面にコヒーレント光、又はインコヒーレント光を照射して、撮像データを取得する場合、ウェブ120の表面に形成した画像の画像データに基づき、被計測領域に画像が形成されているか否かを判定してもよい。画像が形成されている場合には、光学センサはインコヒーレント光を照射する。
判定部71が、画像形成の元となる画像データに基づいて、ウェブ120の面に画像が形成されているか否かを判定することで、ウェブ120の面の領域毎で、画像が形成されているか否かを判定することができる。
尚、本実施形態では、インクジェット方式の画像形成装置を例に説明したが、電子写真方式の画像形成装置においても同様である。つまり用紙等の記録媒体の表面又は内部の凹凸形状がトナーにより平滑化され、スペックルパターンが形成されない場合であっても、記録媒体の移動速度等を正確に計測することができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る画像形成装置を説明する。尚、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明を省略する。
第1の実施形態では、判定部71は、画像を形成するウェブ120の面が表面であるか裏面であるかに基づき、画像を形成する面とは反対側の面に、画像が形成されているか否かを判定する例を説明した。また判定部71は、画像形成の元となる画像データに基づき、ウェブ120の所定の領域に画像が形成されているか否かを判定する例を説明した。本実施形態では、光学センサで取得したウェブ120の撮像データに基づき、ウェブ120に画像が形成されているか否かを判定する。
図11は、本実施形態に係る計測制御部60aの構成要素の一例を機能ブロックで示す図である。計測制御部60aは、判定部71aと、光源制御部72aと、撮像制御部73aと、演算部75aと、閾値記憶部76とを有する。
光源制御部72aは、ウェブ120に、コヒーレント光源511a及び511bによるコヒーレント光と、インコヒーレント光源512a及び512bによるインコヒーレント光を交互に照射させる。撮像制御部73aは、コヒーレント光によるコヒーレント画像と、インコヒーレント光によるインコヒーレント画像を交互に撮像させる。
より詳しくは、光源制御部72aは、ウェブ120に対し、所定のタイミングでコヒーレント光源511aによりコヒーレント光を照射させる。撮像制御部73aは、撮像素子514aに、コヒーレント光による撮像データIma1を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる。
次に、光源制御部72aは、ウェブ120に対し、コヒーレント光源511aによる照射とは異なるタイミングで、インコヒーレント光源512aによりインコヒーレント光を照射させる。撮像制御部73aは、撮像素子514aに、インコヒーレント光による撮像データIma2を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる。インコヒーレント光源512aは、コヒーレント光源511aによる照射に対し、少なくとも撮像素子514aのフレーム周期より長い時間の経過後に、インコヒーレント光を照射することが望ましい。
次に、光源制御部72aは、ウェブ120に対し、コヒーレント光源511aによる照射タイミングから時間L/V(s)経過後に、コヒーレント光源511bによりコヒーレント光を照射させる。撮像制御部73aは、撮像素子514bに、コヒーレント光による撮像データImb1を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる。
次に、光源制御部72aは、ウェブ120に対し、インコヒーレント光源512aによる照射タイミングから時間L/V(s)経過後に、インコヒーレント光源512bによりインコヒーレント光を照射させる。撮像制御部73aは、撮像素子514bに、インコヒーレント光による撮像データImb2を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる。
演算部75aは、記憶部74を参照して、撮像データIma1と撮像データImb1に基づき、スペックルパタ-ンのずれ量ΔX1及びΔY1を算出する。また演算部75aは、記憶部74を参照して、撮像データIma2と撮像データImb2に基づき、画像パタ-ンのずれ量ΔX2及びΔY2を算出する。演算部75aは、ずれ量ΔX1、ΔY1、ΔX2、及びΔY2を示す信号を判定部71aに出力する。
閾値記憶部76は、ずれ量の閾値T(画素)を記憶する。閾値Tは、ずれ量が閾値Tを超えた場合に、算出されたずれ量は正確なものではないと判断するための閾値である。閾値Tは、予め実験等により求められ、閾値記憶部76に記憶されている。
判定部71aは、閾値記憶部76を参照してずれ量の閾値Tを取得する。そして、入力したずれ量ΔX1、ΔY1、ΔX2、及びΔY2を、それぞれ閾値Tと比較する。ずれ量ΔX1、又はΔY1の少なくとも一方が閾値Tを超えた場合、判定部71aは、ウェブ120の面に画像が形成されていると判定し、その旨を示す信号を光源制御部72aに出力する。光源制御部72はコヒーレント光源511a及び511bによるコヒーレント光の照射を停止させる。演算部75aは、ΔX2、及びΔY2に基づき、移動速度等を算出する。
一方、ずれ量ΔX2、又はΔY2の少なくとも一方が閾値Tを超えた場合、判定部71aは、ウェブ120の面に画像が形成されていないと判定し、その旨を示す信号を光源制御部72aに出力する。光源制御部72はインコヒーレント光源512a及び512bによるインコヒーレント光の照射を停止させる。演算部75aは、ΔX1、及びΔY1に基づき、移動速度等を算出する。
ずれ量ΔX1、ΔY1、ΔX2、及びΔY2が何れも閾値Tを超えない場合は、コヒーレント光源511a及び511bによるコヒーレント光の照射も、インコヒーレント光源512a及び512bによるインコヒーレント光の照射も停止させない。つまり、光源制御部72aは、ウェブ120へのコヒーレント光とインコヒーレント光の交互照射を継続する。
またずれ量ΔX1、ΔY1、ΔX2、及びΔY2が何れも閾値Tを超えない場合は、例えば、ずれ量ΔX1及びΔY1に基づき移動速度等を計測する。但し、ずれ量ΔX2及びΔY2に基づき移動速度等を計測してもよい。ずれ量ΔX1及びΔY1、又は、ずれ量ΔX2及びΔY2のどちらを用いるかは、予め決めておけばよい。
上記では、ずれ量ΔX1、ΔY1、ΔX2、及びΔY2に対して、共通の閾値Tを適用したが、ずれ量ΔX1及びΔY1に対する閾値と、ずれ量ΔX2及びΔY2に対する閾値とを異ならせてもよい。このようにすることで、コヒーレント光による計測精度と、インコヒーレント光による計測精度との差に応じた閾値の設定ができる。
図12は、本実施形態に係る計測制御部60aの処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、光源制御部72aは、ウェブ120に対し、所定のタイミングでコヒーレント光源511aによりコヒーレント光を照射させる(ステップS121)。
次に、撮像制御部73aは、撮像素子514aにコヒーレント光源511aによる撮像データIma1を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる(ステップS122)。
光源制御部72aは、ウェブ120に対し、所定のタイミングでインコヒーレント光源512aによりインコヒーレント光を照射させる(ステップS123)。
次に、撮像制御部73aは、撮像素子514aにこのインコヒーレント光による撮像データIma2を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる(ステップS124)。
光源制御部72aは、ウェブ120に対し、コヒーレント光源511aによる照射タイミングから時間L/V(s)経過後に、コヒーレント光源511bによりコヒーレント光を照射させる(ステップS125)。
次に、撮像制御部73aは、撮像素子514bにこのコヒーレント光による撮像データImb1を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる(ステップS126)。
光源制御部72aは、ウェブ120に対し、インコヒーレント光源512aによる照射タイミングから時間L/V(s)経過後に、インコヒーレント光源512bによりインコヒーレント光を照射させる(ステップS127)。
次に、撮像制御部73aは、撮像素子514bにこのインコヒーレント光による撮像データImb2を撮像させ、記憶部74に出力して記憶させる(ステップS128)。
演算部75aは、記憶部74を参照して、撮像データIma1と撮像データImb1に基づき、スペックルパタ-ンのずれ量ΔX1及びΔY1を算出する。また演算部75aは、記憶部74を参照して、撮像データIma2と撮像データImb2に基づき、画像パタ-ンのずれ量ΔX2及びΔY2を算出する(ステップS129)。演算部75aは、ずれ量ΔX1、ΔY1、ΔX2、及びΔY2を示す信号を判定部71aに出力する。判定部71aは、閾値記憶部76を参照してずれ量の閾値Tを取得する。
判定部71aは、ずれ量ΔX1、及びΔY1を、それぞれ閾値Tと比較する(ステップS130)。
ずれ量ΔX1、又はΔY1の少なくとも一方が閾値Tを超えた場合(ステップS130、Yes)、判定部71aは、ウェブ120の面に画像が形成されていると判定し、その旨を示す信号を光源制御部72aに出力する。光源制御部72aはコヒーレント光源511a及び511bによるコヒーレント光の照射を停止させる(ステップS131)。
演算部75aは、ずれ量ΔX2、及びΔY2に基づき、移動速度等を算出する(ステップS132)。
一方、ずれ量ΔX1、又はΔY1が何れも閾値Tを超えない場合(ステップS130、No)、判定部71aは、ずれ量ΔX2、及びΔY2を、それぞれ閾値Tと比較する(ステップS133)。
ずれ量ΔX2、又はΔY2の少なくとも一方が閾値Tを超えた場合(ステップS133、Yes)、判定部71aは、ウェブ120の画像が形成されていないと判定し、その旨を示す信号を光源制御部72aに出力する。光源制御部72aはインコヒーレント光源512a及び512bによるインコヒーレント光の照射を停止させる(ステップS134)。
演算部75aは、ずれ量ΔX1、及びΔY1に基づき、移動速度等を算出する(ステップS132)。
ずれ量ΔX2、又はΔY2が何れも閾値Tを超えない場合(ステップS133、No)、演算部75aは、ずれ量ΔX1、及びΔY1に基づき、移動速度等を算出する(ステップS135)。
このようにして、光学センサで取得したウェブ120の面の撮像データに基づき、ウェブ120の面に画像が形成されているか否かを判定することができる。
図12に示されているステップS121からステップS135までの処理により、ウェブ120の移動速度等の計測を1回実施できる。このような計測を連続して継続実施してもよい。
継続実施する場合、始めは、光源制御部72aは、ウェブ120に、コヒーレント光源511a及び511bによるコヒーレント光と、インコヒーレント光源512a及び512bによるインコヒーレント光を交互に照射させる。撮像制御部73aは、コヒーレント光によるコヒーレント画像と、インコヒーレント光によるインコヒーレント画像を交互に撮像させる。
計測を継続実施する中で、ずれ量ΔX1、又はΔY1の少なくとも一方が閾値Tを超えた場合は、それ以降は、コヒーレント光源511a及び511bによる照射は停止し、インコヒーレント光源512a及び512bによる照射のみ行い、移動速度等を継続して計測する。
また計測を継続実施する中で、ずれ量ΔX2、又はΔY2の少なくとも一方が閾値Tを超えた場合は、それ以降は、インコヒーレント光源512a及び512bによる照射は停止し、コヒーレント光源511a及び511bによる照射のみ行い、移動速度等を継続して計測する。
以上説明してきたように、本実施形態では、光学センサで取得したウェブ120の撮像データに基づき、ウェブ120の面に画像が形成されているか否かを判定する。これにより、ウェブ120の位置、移動量、又は移動速度の少なくとも1つを正確に計測することができるかどうかを、より適切に判定することができる。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態に係る画像読取装置を説明する。尚、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明を省略する。
図13は、本実施形態に係る画像読取装置200の構成の一例を示す図である。図13において、矢印12で示されている方向は、搬送方向の一例であり、矢印13で示されている方向は、搬送方向と直交する方向の一例である。
画像読取装置200は、搬送装置201と、ヘッドユニットHD1と、ヘッドユニットHD2と、コントローラCT1と、アクチュエータコントローラCT2とを有する。
搬送装置201は、第1ローラR1と、第2ローラR2と、駆動ローラR3と、光学センサSEN1と、光学センサSEN2とを有する。搬送装置201は、被搬送物の一例であるウェブ120aを、搬送方向の上流側から下流側に搬送する。
駆動ローラR3には、モータM1が取り付けられる。駆動ローラR3は、モータM1の回転により回転し、摩擦力によりウェブ120aを搬送方向に搬送する。第1ローラR1と第2ローラR2は、ウェブ120aを支持し、ウェブ120aの搬送に伴って回転する従動ローラである。第1ローラR1及び第2ローラR2により、ウェブ120aのばたつきを低減できる。
画像読取装置200は、搬送されるウェブ120aに対して、搬送される経路上の異なる位置で、各ヘッドユニットによって処理を行う。以下、図示するように、ヘッドユニットが密着型イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)を備えたヘッドユニットである例で説明する。
ヘッドユニットHD1は、密着型イメージセンサCIS1と、アクチュエータAC1とを有する。密着型イメージセンサCIS1は、ウェブ120aに形成される画像等を読み取り、読み取った画像等を示す撮像データを出力する。アクチュエータAC1は、アクチュエータコントローラCT2の制御信号に基づき、ヘッドユニットHD1を矢印13の方向に進退させる。
ヘッドユニットHD2は、密着型イメージセンサCIS2と、アクチュエータAC2とを有する。密着型イメージセンサCIS2は、ウェブ120aに形成される画像等を読み取り、読み取った画像等を示す撮像データを出力する。アクチュエータAC2は、アクチュエータコントローラCT2の制御信号に基づき、ヘッドユニットHD2を矢印13の方向に進退させる。
ヘッドユニットHD1、及びHD2がウェブ120aに形成される画像を読み取る位置を以下では処理位置という場合がある。
ヘッドユニットHD1、及びHD2は、矢印13の方向において、異なる位置に配置される。ヘッドユニットHD1による撮像データと、ヘッドユニットHD2による撮像データを矢印13の方向に繋ぎ合わせることで、矢印13の方向におけるウェブ120aの全域を読み取った画像を生成することができる。
尚、本実施形態では、ヘッドユニットを2個設ける例を示したが、3個以上設け、それぞれの撮像データを繋ぎ合わせてもよい。
コントローラCT1は、ヘッドユニットHD1、及びHD2による画像の読み取りを制御する。またコントローラCT1は、ヘッドユニットHD1による撮像データと、ヘッドユニットHD2による撮像データを矢印13の方向に繋ぎ合わせる等の画像処理を実行する。
アクチュエータコントローラCT2は、アクチュエータAC1、及びAC2を矢印13の方向に進退させ、ヘッドユニットHD1及びHD2を矢印13の方向における位置を制御する。
コントローラCT1及びアクチュエータコントローラCT2は、複数の装置でもよく、同一の装置で構成されても良い。
光学センサSEN1は、例えば第1の実施形態で示した光学センサSENKと同様である。光学センサSEN2は、例えば、第1の実施形態で示した光学センサSENCと同様である。光学センサSEN1、及びSEN2の組合せを用いて、光学センサSENK、及びSENCの組合せと同様に、ウェブ120aの位置、移動量、又は移動速度の少なくとも1つを計測することができる。尚、簡単のため、位置、移動量、又は移動速度の少なくとも1つを、以下では「移動速度等」を称する場合がある。また光学センサSEN1、及びSEN2を、単に「センサ」と称する場合がある。
センサが設置される位置は、処理位置に近い位置であることが望ましい。処理位置に対して近い位置にセンサが設置されると、処理位置とセンサとの距離が短くなり、計測誤差を低減できる。
処理位置に近い位置は、具体的には、第1ローラR1及び第2ローラR2の間(以下「ローラ間INT」という。)である。図示する例では、センサがローラ間INTに設置される。
ローラ間INTにセンサを設置することで、搬送装置201は、処理位置に近い位置でウェブ120aの移動速度等を計測できる。またローラ間INTでは、移動速度が比較的安定する場合が多い。そのため搬送装置201は、搬送方向、直交方向又は両方向において、移動速度等を精度良く計測できる。
また、センサが設置される位置は、ローラ間INTにおいて処理位置より第1ローラR1に近い位置であるのが望ましい。例えばセンサは、処理位置より上流側で検出を行うのが望ましい。具体的には、図示する例では、光学センサSEN1は、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されることが望ましい。例えば、光学センサSEN1は、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第1上流区間INT1」という。)で検出を行うのが望ましい。
同様に、光学センサSEN2は、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。光学センサSEN2は、例えばヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第2上流区間INT2」という。)で検出を行うのが望ましい。
第1上流区間INT1及び第2上流区間INT2にセンサが設置されると、搬送装置201は、ウェブ120aの移動速度等を精度良く検出できる。このような位置にセンサが設置されると、センサが処理位置より上流側に設置される。そのため、搬送装置201は、まず上流側でセンサによってウェブ120aの撮像データを取得できる。そして、搬送装置201は、取得結果に基づいて、直交方向、搬送方向又は両方向において、ヘッドユニットによる処理タイミング、ヘッドユニットを移動させる量又は両方を計算できる。例えば、上流側でウェブ120aの移動速度等が計測された後、ウェブ120aが処理位置に搬送される間に、処理タイミングの計算又はヘッドユニットの移動等が行われるため、搬送装置は、精度良く処理位置を変更できる。
ヘッドユニットHD1、又はHD2のほぼ直下にセンサが設置されると、処理タイミングの計算又はヘッドユニットHD1、又はHD2を移動させる等の処理時間によって、処理の実行に遅れが生じる場合がある。処理位置より上流側にセンサが設置されると、搬送装置201は、処理における遅れを少なくできる。また、処理位置、例えばヘッドユニットHD1、又はHD2の直下となる付近は、センサ等を設置する位置とするのに制約される場合ある。そのため、センサが設置される位置は、処理位置より第1ローラR1に近い位置、例えば処理位置より上流であることが望ましい。
ヘッドユニットHD1、又はHD2による処理及びセンサによる計測のどちらでも、ウェブ120aへ光源から光を照射する場合がある。そして、特にウェブ120aの透明度が高いと、それぞれの光が外乱となる場合がある。従ってセンサ及びヘッドユニットHD1、又はHD2は、同じ光軸上にない方が望ましい場合がある。
一方で、ウェブ120aの透明度が高くない場合等では、センサが設置される位置は、例えば、ヘッドユニットHD1、又はHD2の直下等でもよい場合がある。例えばヘッドユニットHD1、又はHD2の直下は、処理位置の裏側である。例えば搬送方向において、処理位置と、センサが設置される位置は、ほぼ同一であって、ウェブ120aの一方の面(表側)を処理対象とし、ウェブ120aの他方の面(裏面)をセンサによる計測対象としても良い場合もある。
このように、センサがヘッドユニットHD1、又はHD2の直下にあると、直下における正確な移動速度等をセンサによって計測できる。従って、それぞれの光が外乱とならない場合であって、制御等が速く行える場合であれば、センサは、ヘッドユニットHD1、又はHD2の直下に近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサは、ヘッドユニットHD1、又はHD2のほぼ直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサが設置される位置は、ヘッドユニットHD1、又はHD2のほぼ直下又はローラ間INT間であって、ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
図14は、本実施形態に係る画像読取装置200による処理の一例を説明する図である。例えば、ヘッドユニットHD1の密着型イメージセンサCIS1及びヘッドユニットHD2の密着型イメージセンサCIS2が図示するような位置関係となるように設置される。具体的には、ヘッドユニットHD1は、直交方向11において、読取範囲SC1を読み取り、読取画像データを生成する。一方で、ヘッドユニットHD2は、直交方向11において、読取範囲SC2を読み取り、読取画像データを生成する。図示するように、読取範囲SC1と、読取範囲SC2とは、一部が重複する。以下、読取範囲SC1及び読取範囲SC2が重複する範囲を「重複範囲SC3」という。
このように、重複範囲SC3では、ヘッドユニットHD1及びHD2は、ウェブ120aの同じ領域を読み取ることができる。すなわち、ヘッドユニットHD1が重複範囲SC3で読み取ったウェブ120aの領域は、上流側から下流側へ搬送されるため、ヘッドユニットHD2は、所定時間後、同じウェブ120aの領域を読み取ることができる。尚、ヘッドユニットHD1及びHD2の間隔は、あらかじめ把握できるため、移動速度等に基づいて、画像読取装置200は、ヘッドユニットHD1で読み取られたウェブ120aの領域をヘッドユニットHD2で読み取るタイミングを計算し、調整することができる。
そして、画像読取装置200は、ヘッドユニットHD1及びHD2が生成したそれぞれの読取画像データを記憶装置に記憶する。次に、画像読取装置200は、重複範囲SC3を示す各読取画像データが有する画素に基づいて、各読取画像データを繋ぎ合わせる。これにより画像読取装置200は、読取範囲SC1及び読取範囲SC2を示す読取画像データを繋ぎ合わせによって生成できる。なお、繋ぎ合わせは、搬送方向10でも可能である。
このようにして、画像読取装置200は、異なる位置に各ヘッドユニットを設置し、かつ、繋ぎ合わせを行うことによって、繋ぎ目のない広い範囲を示す合成画像データを生成できる。
また搬送装置201は、光学センサSEN1と、光学センサSEN2とを有し、ウェブ120aの移動速度等を検出することで、ヘッドユニットによる読み取りのタイミングを計算し、調整できる。これにより繋ぎ目のない広い範囲を示す合成画像データを、精度よく生成することができる。
以上、実施形態に係る搬送装置、画像形成装置、画像読取装置、画像形成方法、及びプログラムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。