以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成例>
以下、搬送装置が有するヘッドユニットが、液体を吐出するヘッドユニットであり、液体吐出ヘッドユニットが液体をウェブに吐出する位置を「処理位置」とする場合を例に説明する。また、搬送装置が有するヘッドユニットが液体を吐出する液体吐出ヘッドユニットである場合、搬送装置は、液体を吐出する装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す概略図である。例えば、液体を吐出する装置では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、液体を吐出する装置110が画像形成装置である例で説明する。
液体を吐出する装置110は、ウェブ120等の被搬送物を搬送する。図示する例では、液体を吐出する装置110は、ローラ130等によって搬送されるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。画像が形成される場合、ウェブ120は、記録媒体とも言える。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状のシート等である。例えば、液体を吐出する装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。
以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。
さらに、図では、搬送方向10に直交する方向を直交方向20とする例である。
また、この例では、液体を吐出する装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出してウェブ120の所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。
図2は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の全体構成例を示す概略図である。図示するように、液体を吐出する装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する処理を行う。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、この2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。
なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送する機構等である。
また、ウェブ120の記録媒体は、長尺であるのが望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、記録媒体は、ウェブに限られない。すなわち、記録媒体は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。そして、吐出されたインクがウェブ120に着弾する位置(以下「着弾位置」という。)は、液体吐出ヘッドユニットが吐出を行う位置(以下「吐出位置」という。)のほぼ直下となる。
以下、液体吐出ヘッドユニットによって処理が行われる被搬送物の位置である処理位置を、吐出位置とする例で説明する。
また、上記のように、被搬送物に対する吐出位置は、被搬送物への着弾位置のほぼ直下であるため、処理位置を着弾位置として説明する場合もある。この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの着弾位置(以下「ブラック着弾位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの着弾位置(以下「シアン着弾位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの着弾位置(以下「マゼンタ着弾位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの着弾位置(以下「イエロー着弾位置PY」という。)に吐出される。
以下、各ヘッドユニットが処理を行うタイミングを、「処理タイミング」という。具体的には、各液体吐出ヘッドユニットの処理タイミングは、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するタイミングである。
それぞれの処理タイミングの制御及び各液体吐出ヘッドユニットに設けられたアクチュエータAC1、AC2、AC3、AC4の制御は、例えば各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が行う。
以下、アクチュエータAC1、AC2、AC3、AC4をまとめて単に「アクチュエータAC」という場合がある。処理タイミングの制御とアクチュエータACについては、後述する。
また、図示する例では、液体吐出ヘッドユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。
具体的には、ウェブ120の搬送経路において、液体吐出ヘッドユニットごとに各着弾位置の上流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第1ローラ」という。)がそれぞれ設置される。また、各着弾位置から下流側に、ウェブ120を支持するローラ(以下「第2ローラ」という。)が、それぞれ設置される。
このように、第1ローラ及び第2ローラがそれぞれ設置されると、各着弾位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくできる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、記録媒体の搬送経路に用いられ、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等により回転駆動されるローラであってもよい。
なお、第1の支持部材の例である第1ローラ及び第2の支持部材の例である第2ローラは、従動ローラ等の回転体でなくてもよい。すなわち、第1ローラ及び第2ローラは、被搬送物を支える支持部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。
他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、被搬送物と接する部位が円弧状となる湾曲板等であってもよい。以下、第1の支持部材が第1ローラであり、かつ、第2の支持部材が第2ローラである例で説明する。
具体的には、ブラック着弾位置PKのウェブ120の搬送方向上流側にブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック着弾位置PKからウェブ120の搬送方向下流側にブラック用第2ローラCR2Kが設置される。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置される。
液体を吐出する装置110は、例えば、図2に示すように、液体吐出ヘッドユニットごとに、センサデバイス(以下「第1センサデバイス」という。)を備える。センサデバイスは、被搬送物の直交方向の位置を検知可能な被搬送物検知センサを含むユニットである。被搬送物検知センサは、ウェブ120の情報を取得可能なセンサである。
なお、被搬送物検知センサは、画像形成中に、ウェブ120の直交方向の位置を検知可能である。また、液体を吐出する装置110は、第1センサデバイスとは別に、第1センサデバイスより上流側に、センサデバイス(以下「第2センサデバイスSEN2」という。)を更に備えてもよい。つまり、液体を吐出する装置110は、図2に示す例では、4つの第1センサデバイスと、1つの第2センサデバイスSEN2とを合わせて、合計5つのセンサデバイスを備える。
また、以下の説明では、各第1センサデバイス及び第2センサデバイスを総じて、単に「センサデバイスSEN」という場合がある。なお、被搬送物検知センサは、図示する構成及び図示する位置に設置される構成に限られない。また、第2センサデバイスSEN2は、なくてもよい。
以下の説明は、被搬送物検知センサが合計5つの例で説明する。なお、被搬送物検知センサの数は、5つに限られない。すなわち、被搬送物検知センサの数は、第1センサ及び第2センサの数を合計して液体吐出ヘッドユニットの数以上の数であるのが望ましい。例えば、液体吐出ヘッドユニットごとに2つ以上の被搬送物検知センサが設置されてもよい。同様に、第2センサは、2つ以上設置されてもよい。
この被搬送物検知センサには、レーザ、空気圧、超音波又は赤外線等の光を利用する光学センサ等が用いられる。なお、光学センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOSカメラ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等でもよい。なお、各被搬送物検知センサは、すべて同一の種類でもよいし、異なる種類でもよい。以下の説明では、すべての被搬送物検知センサは、同一の種類とする。
以下の説明では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対して設置されるセンサデバイスを「ブラック用センサデバイスSENK」という。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置されるセンサデバイスを「シアン用センサデバイスSENC」という。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して設置されるセンサデバイスを「マゼンタ用センサデバイスSENM」という。さらにまた、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して設置されるセンサデバイスを「イエロー用センサデバイスSENY」という。
また、以下の説明において、「被搬送物検知センサが設置される位置」は、データの取得等が行われる位置を指す。したがって、「被搬送物検知センサが設置される位置」に、センサデバイスのすべての構成が設置される必要はなく、ウェブ120のデータの取得に必要な機能以外は、ケーブル等で接続されて他の位置に設置されてもよい。
なお、図におけるブラック用センサデバイスSENK、シアン用センサデバイスSENC、マゼンタ用センサデバイスSENM、イエロー用センサデバイスSENY及び第2センサデバイスSEN2は、被搬送物検知センサが設置される位置の例を示す。
例えば、第1センサデバイスに含まれる被搬送物検知センサが設置される位置は、図示するように、ブラック用ローラ間INTK1、シアン用ローラ間INTC1、マゼンタ用ローラ間INTM1及びイエロー用ローラ間INTY1等である。望ましくは、被搬送物検知センサが設置される位置は、図示するように、ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2等である。
図3は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置における第1センサデバイスが設置される位置の一例を示す図である。以下、ブラックを例に説明する。この例では、ブラック用センサデバイスSENKは、ブラック用第1ローラCR1K及びブラック用第2ローラCR2Kの間であって、ブラック着弾位置PKよりブラック用第1ローラCR1Kに近い位置に設置されるのが望ましい。
なお、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、制御動作に必要な時間等に基づいて定める。例えば、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、「20mm」とする。この場合には、ブラック用センサデバイスSENKが設置される位置は、ブラック着弾位置PKより「20mm」上流側とする例である。
なお、図3では、ブラック用センサデバイスSENKの位置がウェブ120のエッジにあるように記載されているが、ブラック用センサデバイスSENKの位置は、ウェブ120のエッジでなく、ウェブ120の面に垂直な方向にみたときに、ウェブ120と完全に重なる位置にあっても良い。
また、液体を吐出する装置110は、エンコーダ等の計測部を更に備えてもよい。以下、計測部がエンコーダによって実現される例で説明する。具体的には、エンコーダは、例えば、ローラ230が有する回転軸に対して設置される。このようにすると、ローラ230の回転量に基づいて搬送方向における移動量を計測できる。この計測結果を被搬送物検知センサによる出力データと併せて利用すると、より精度良く、液体を吐出する装置110は、ウェブ120に対して液体を吐出できる。
また、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット毎に、各ヘッドユニットの搬送方向に直交する直交方向の変位量を求める変位センサPSを有する。具体的には、液体を吐出する装置110は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの変位量を検知する第1変位センサPS1、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの変位量を検知する第2変位センサPS2、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの変位量を検知する第3変位センサPS3、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの変位量を検知する第4変位センサPS4を備える。
第1変位センサPS1、第2変位センサPS2、第3変位センサPS3及び第4変位センサPS4は、各変位量を検出できる位置センサである。例えば、第1変位センサPS1、第2変位センサPS2、第3変位センサPS3及び第4変位センサPS4は、レーザ光による反射方式又はスリット若しくはリニアスケールによるパルス数をカウントする方式等である。
又は、第1変位センサPS1、第2変位センサPS2、第3変位センサPS3及び第4変位センサPS4は、光学センサ、加速度センサ、エンコーダ、ポテンショメータ、CIS(コンタクトイメージセンサ)又はこれらの組み合わせ等でもよい。
このように、変位センサは、搬送方向、直交方向又は両方向において、各液体吐出ヘッドユニットの変位等を検出できるセンサである。したがって、変位センサは、変位等を検出できるセンサであれば、どのような種類のセンサでもよい。
<液体吐出ヘッドユニットの外形形状>
液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を、図4を用いて説明する。図示するように、図4(a)は、本発明の実施形態に係る液体を吐出する装置110の4つの液体吐出ヘッドユニット210K〜210Yの一例を示す概略平面図である。
図4(a)に示すように、液体吐出ヘッドユニットは、本実施形態では、ライン型のヘッドユニットである。すなわち、液体を吐出する装置110は、記録媒体の搬送方向10の上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの液体吐出ヘッドユニット210K、210C、210M及び210Yを配置する。
この例では、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kは、直交方向に、4つのヘッド210K−1、210K−2、210K−3及び210K−4を千鳥状に配置する。これにより、液体を吐出する装置110は、ウェブ120の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(直交方向)の全域に画像を形成することができる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、この例では、4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、単一のヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成しても良い。
図5は、本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの一例を示す外観図である。
図示するセンサデバイスSENは、ウェブ120等の対象物に対して照明を当て、スペックルパターンを形成する構成を有する。具体的には、センサデバイスSENは、半導体レーザ光源(LD)と、コリメート光学系(CL)を有する。
また、センサデバイスSENは、スペックルパターンの画像を撮像するため、被搬送物検知センサWSの例であるCMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサにスペックルパターンを集光結像するため、テレセントリック撮像光学系(TO)とを有する。
スペックルパターンについては後述する。
図示する構成の例では、異なるセンサデバイスSENの備えるCMOSイメージセンサが、例えば、時刻「TM1」と、時刻「TM2」との各々において、それぞれスペックルパターンが写る画像を撮像する。また、同じCMOSイメージセンサが、離間した時刻TM1と時刻TM2のそれぞれにおいて、パターン等を示す画像を撮像しても良い。
なお、図示する例は、センサのサイズ 幅W×奥行きD×高さHを15×60×32[mm]とする例である。
上述したように、CMOSイメージセンサは、被搬送物検知センサWSの一例であり、制御回路52は、後述する撮像制御部14A及び14Bの一例である。例えば、制御回路52は、FPGA(Field−Programable Gate Array)回路である。また、光源は、レーザ光を用いる装置に限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro−Luminescence)等でもよい。そして、光源の種類によっては、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。
図6は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する被搬送物検知センサの配置例を示す模式図である。例えば、ブラック用センサデバイスSENKに備えられた被搬送物検知センサWSを第1被搬送物検知センサWS1とする。また、シアン用センサデバイスSENCに備えられた被搬送物検知センサを第2被搬送物検知センサWS2とする。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMに備えられた被搬送物検知センサを第3被搬送物検知センサとする。さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYに備えられた被搬送物検知センサを第4被搬送物検知センサとする。
そして、第1被搬送物検知センサWS1、第2被搬送物検知センサWS2、第3被搬送物検知センサWS3及び第4被搬送物検知センサWS4は、図示するようなウェブ120が検出できる位置に配置される。
図5に示すセンサデバイスSENの場合、ウェブ120の表面に垂直な方向に透視したときに、ウェブ120と各センサデバイスが備える被搬送物検知センサWSの検出領域とが、少なくとも一部が重なる配置であるのが望ましい。
なお、図6の各液体吐出ヘッドユニット210に設けられたアクチュエータAC1、AC2、AC3、AC4については後述する。
また、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを搬送方向10と直交する方向に移動させない場合、アクチュエータAC1は、省略されても良い。
図7は、本発明の一実施形態に係る検出結果を求める機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
以下、図示するように、液体吐出ヘッドユニット210ごとに設置されるセンサデバイスのうち、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対応するブラック用センサデバイスSENK及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対応するシアン用センサデバイスSENCの組み合わせを例に説明する。
この例では、センサデバイスSENは、図に示す検出部の機能を有するハードウェアである。
また、図示するように、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部110F10が「A位置」に係る出力データを出力し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の検出部110F10が「B位置」に係る出力データを出力する例で説明する。
まず、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部110F10は、例えば、撮像部16A、撮像制御部14A及び画像記憶部15A等で構成される。
なお、この例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の検出部110F10は、例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部110F10と同様の構成であり、撮像部16B、撮像制御部14B及び画像記憶部15B等で構成される。以下、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部110F10(以下単に「検出部110F10」という。)を例に説明する。
撮像部16Aは、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。なお、撮像部16Aは、例えば、図5に示す被搬送物検知センサWS等によって実現される。
撮像制御部14Aは、シャッタ制御部141A、画像取込部142Aを有する。なお、撮像制御部14Aは、例えば、図5に示す制御回路52等によって実現される。
画像取込部142Aは、撮像部16Aによって撮像される画像を取得する。
シャッタ制御部141Aは、撮像部16Aが撮像するタイミングを制御する。
画像記憶部15Aは、撮像制御部14Aが取り込んだ画像を記憶する。なお、画像記憶部15Aは、例えば、記憶装置等によって実現される。
計算部110F60は、画像記憶部15A及び15Bに記憶されるそれぞれの画像に基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が搬送される移動速度及びウェブ120が搬送される移動量を算出可能に構成される。
本実施形態では、計算部110F60は、計算結果に基づいて、各アクチュエータを駆動する指令値COMを算出する。指令値COMについては後述する。また、計算部110F60は、シャッタ制御部141Aに、シャッタを切るタイミングを示す時差Δtのデータを出力する。すなわち、計算部110F60は、「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とが時差Δtで、それぞれ撮像されるように、シャッタを切るタイミングをシャッタ制御部141Aに出力する。なお、計算部110F60は、例えば、図2に示すコントローラ520等によって実現される。
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンである。そのため、ウェブ120を撮像すると、スペックルパターンを示す画像が得られる。この画像からスペックルパターンのある位置がわかるため、ウェブ120の所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、このスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
したがって、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するスペックルパターンも一緒に搬送される。そのため、同一のスペックルパターンを異なる時間でそれぞれ検出すると、移動量が求められる。すなわち、同一のスペックルパターンを検出してパターンの移動量が求まると、計算部110F60は、ウェブ120の移動量を求めることができる。この求まる移動量を単位時間あたりに換算すると、計算部110F60は、ウェブ120が移動した移動速度を求めることができる。
なお、求められる移動量又は移動速度は、ウェブ120の搬送方向に限らない。つまり、撮像部16Aが2次元の画像データを出力しているため、計算部110F60は、2次元における移動量又は移動速度を求めることが可能である。すなわち、センサは、搬送方向及び搬送方向に対して直交する方向のそれぞれの位置を検出するのに兼用されてもよい。このように兼用されると、それぞれの方向についてコストが少なくできる。また、センサの数が少なくできるので、省スペースとすることもできる。
このように、スペックルパターンに基づいて、液体を吐出する装置は、精度良く、直交方向において、ウェブ120の位置を示す検出結果を求めることができる。
計算部110F60は、以下のような相関演算を用いてウェブ120の位置、移動速度、移動量又はその組み合わせである検出結果を演算する。また、計算部110F60は、検出結果から指令値COMを算出する。そして、第1指令値COM1及び第2指令値COM2が入力されるアクチュエータコントローラCTL1、CTL2は、それぞれアクチュエータAC1、AC2を制御するコントローラである。アクチュエータコントローラCTL1、CTL2については後述する。
<相関演算例>
図8は、本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。例えば、計算部110F60は、図示するような構成によって、相関演算を行うと、画像データが撮像された位置におけるウェブ120の直交方向の相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等を演算することができる。また、画像データが撮像されたタイミングにおけるウェブ120の理想の搬送位置からのずれ量、移動速度等を計算することができる。
具体的には、計算部110F60は、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、計算部110F60は、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図9は、本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SR(図8)は、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図10は、本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SR(図8)によって探索される。
また、演算部CAL(図8)は、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を計算できる。
以上のようにして、計算部110F60は、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、図では、Y方向に変動がある例を説明したが、X方向に変動がある場合には、ピーク位置は、X方向にもずれた位置に発生する。また、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、計算部110F60は、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、計算部110F60は、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、計算部110F60は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、計算部110F60は、相対位置を検出してもよい。
また、計算部110F60は、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、計算部110F60は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
図11は、直交方向において記録媒体の位置が変動する例を示す図である。以下、図11(A)に示すようにウェブ120が搬送方向10に搬送される例で説明する。この例で示すように、ウェブ120は、ローラ等によって搬送される。このように、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120は、例えば、図11(B)に示すように、直交方向において位置が変動する場合がある。すなわち、ウェブ120は、図11(B)に示すように、「蛇行」する場合がある。
なお、図示する例は、ローラが斜めに配置されてしまった場合である。図では、「斜め」となっている状態を分かりやすく記載しており、ローラの傾き等は、図示する例より少ない場合等でもよい。
直交方向におけるウェブ120の位置の変動、すなわち、「蛇行」は、例えば、搬送に係るローラの偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。また、ウェブ120が直交方向に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向におけるウェブ120の位置の変動に対して影響する場合もある。
例えば、ローラの偏心又はブレードの切断等によって、振動が発生すると、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。他にも、ブレードによる切断が一様にならず、ウェブ120の物理的特性、すなわち、ウェブ120が切断された後の形状等によって、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。
図12は、色ずれが起こる原因の一例を示す図である。図11で説明するように、直交方向において記録媒体の位置が変動、すなわち、「蛇行」が起こると図12に示す原因等によって、色ずれが起きやすい。
具体的には、複数の色を用いて記録媒体に画像を形成する場合、すなわち、カラー画像が形成される場合には、図示するように、液体を吐出する装置は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出する各色のインクを重ねて、いわゆるカラープレーンによるカラー画像をウェブ120上に形成する。
これに対して、図11で説明するような位置の変動がある。例えば、参照線320を基準に、「蛇行」が起きる場合がある。この場合において、各液体吐出ヘッドユニットが同一の位置に対してインクをそれぞれ吐出すると、液体吐出ヘッドユニットの間で「蛇行」によって、直交方向において、ウェブ120の位置が変動するため、色ずれ330が起きる場合がある。すなわち、色ずれ330は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するインクによって形成される線等が、直交方向において位置がずれるため起こる。このように、色ずれ330が起きると、ウェブ120に形成される画像の画質が劣化することがある。
直交方向の位置ずれに対して、各液体吐出ヘッドユニット210に設けられた、各アクチュエータAC1、AC2、AC3、AC4を用いて各液体吐出ヘッドユニットを移動させる。
図13は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する液体吐出ヘッドユニットを移動させるための移動機構の一例を示すブロック図である。例えば、移動機構は、図示するようなハードウェア等によって実現される。図示する例は、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる移動機構の例である。
まず、図示する例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させるリニアアクチュエータ等のアクチュエータAC2が、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに設置される。そして、アクチュエータAC2には、アクチュエータAC2を制御するアクチュエータコントローラCTL2が接続される。
アクチュエータAC2は、例えば、リニアアクチュエータ又はモータを有する。また、アクチュエータAC2は、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。具体的には、アクチュエータAC2は、サーボモータ等による回転運動をボールスクリュー機構等によって直線運動に変換する装置等である。
アクチュエータコントローラCTL2には、図7に示す計算部110F60による検出結果に基づいて算出される指令値COM又は補正指令値COM´が入力される。そして、アクチュエータコントローラCTL2は、指令値COM又は補正指令値COM´が示す位置に基づいて、すなわち、ウェブ120の変動を補償するように、アクチュエータAC2によって、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる制御を行う。アクチュエータコントローラCTL2の詳細については後述する。
図14は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による被搬送物の変動量を算出する方法の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、計算部110F60(図7)は、複数の検出結果に基づいて、変動量を算出する。具体的には、第1センサデータS1及び第2センサデータS2に基づいて、計算部110F60は、変動量を示す算出結果を出力する。まず、第1センサデータS1及び第2センサデータS2は、図2に示す第1センサデバイスSEN1及び第2センサデバイスSEN2のうち、いずれか2つのセンサから、出力されるセンサデータである。次に、各センサデータに基づいて、計算部110F60は変動量を算出する。
変動量は、液体吐出ヘッドユニット210ごとに算出される。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210C(図2)用の変動量を算出する例で説明する。この例では、変動量は、例えば、シアン用センサデバイスSENC(図2)による検出結果と、シアン用センサデバイスSENCより1つ上流側に設置されるブラック用センサデバイスSENK(図2)によるセンサデータとに基づいて算出される。図14では、第1センサデータS1は、ブラック用センサデバイスSENKによる検出結果である。一方で、第2センサデータS2は、シアン用センサデバイスSENCによる検出結果である。
ブラック用センサデバイスSENKと、シアン用センサデバイスSENCとの間隔、すなわち、センサ間の距離が、「L」であるとする。また、後述する速度検出回路SCRによって検出されるウェブ120の移動速度が、「V」であるとする。さらに、ブラック用センサデバイスSENKの位置からシアン用センサデバイスSENCの位置までウェブ120が搬送されるのにかかる移動時間が「T2」であるとする。この場合には、移動時間は、「T2=L/V」と算出される。
また、センサによるサンプリング間隔を「A」とする。さらに、ブラック用センサデバイスSENKと、シアン用センサデバイスSENCとの間でのサンプリング回数を「n」とする。この場合には、サンプリング回数は、「n=T2/A」と算出される。
図示する算出結果、すなわち、変動量を「ΔX」とする。例えば、図示するように、検出周期が「0」である場合には、変動量は、移動時間「T2」前の第1センサデータS1と、検出周期「0」の第2センサデータS2とを比較して算出される。具体的には、変動量は、「ΔX=X2(0)−X1(n)」と算出される。そして、センサの位置が着弾位置よりも第1ローラに近い位置である場合には、計算部110F60は、センサの位置まで用紙が移動した場合の記録媒体の位置の変動を計算して指令値COMを出力する。すなわち、指令値COMは、変動量「ΔX」を補償するような値である。
次に、アクチュエータコントローラCTL2は、指令値COMに基づいて図13に示す第2アクチュエータAC2を制御し、図2に示すシアン液体吐出ヘッドユニット210Cを直交方向において、移動させる。
このようにすると、被搬送物の位置が変動しても、液体を吐出する装置は、被搬送物に対して、画像を精度良く画像形成することができる。
また、図示するように、2つの検出結果、すなわち、2つのセンサによる検出結果に基づいて、変動量を算出すると、各センサの位置情報を積算せずに、変動量が算出できる。そのため、このようにすると、各センサによる検出誤差の累積が少なくできる。
なお、変動量の算出は、他の液体吐出ヘッドユニットにおいて同様に行われてもよい。例えば、図2に示すブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の変動量は、第2センサデバイスSEN2による第1センサデータS1と、ブラック用センサデバイスSENKによる第2センサデータS2とによって算出される。
同様に、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M用の変動量は、シアン用センサデバイスSENCによる第1センサデータS1と、マゼンタ用センサデバイスSENMによる第2センサデータS2とによって算出される。さらに、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y用の変動量は、マゼンタ用センサデバイスSENMによる第1センサデータS1と、イエロー用センサデバイスSENYによる第2センサデータS2とによって算出される。
また、第1センサデータS1を出力する被搬送物検知センサWSは、移動させる液体吐出ヘッドユニットより1つ上流側に設置されるセンサデバイスに含まれる被搬送物検知センサに限られない。すなわち、第1センサデータS1は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置される被搬送物検知センサWSによって検出されるデータであればよい。例えば、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y用の変動量は、第1センサデータS1に、第2センサデバイスSEN2、ブラック用センサデバイスSENK又はシアン用センサデバイスSENCのいずれかによるセンサデータが用いられて算出されてもよい。
一方で、第2センサデータS2は、移動させる液体吐出ヘッドユニットに最も近い位置に設置されるセンサによる検出結果であるのが望ましい。
また、変動量は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
このように、計算部110F60は、複数のセンサデータから算出される変動量に基づいて指令値COMを算出する。そして、アクチュエータコントローラCTL2は、指令値COMに基づいて液体吐出ヘッドユニットを移動させる制御を行う。その後、ウェブに対して、液体が吐出されると、画像等が、記録媒体に形成される。
図2に示すコントローラ520は、例えば、以下に説明する構成である。
図15は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71に入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。この制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。さらに、図8に示す計算部110F60は、例えば、CPU72Cp等によって実現される。なお、計算部110F60は、他の演算装置及び記憶装置で実現されてもよい。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD−C、70LD−M、70LD−Y及び70LD−K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図16は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD−Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(図11)から入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図17は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicを有し、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yを制御する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72C(図15)から入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、図15に示すプリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ec(図15)は、ウェブ120を搬送させるモータ等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
<処理例>
図18は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による処理の一例を示すフローチャートである。例えば、ウェブ120(図1)に形成する画像を示す画像データが、液体を吐出する装置110にあらかじめ入力されるとする。次に、液体を吐出する装置110は、画像データに基づいて、図18に示す処理を行い、ウェブ120に画像データが示す画像を形成する。
なお、図18は、1つの液体吐出ヘッドユニットに対する処理を示す。以下、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに係る処理を例に説明する。また、他の色の液体吐出ヘッドユニットに対しては、例えば、図18に示す処理が、並列又は前後して別途行われる。
ステップS01では、計算部110F60は、被搬送物の位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせを示す検出結果を計算する。すなわち、液体を吐出する装置110は、複数の被搬送物検知センサWSの出力したデータに基づいて、図11に示すような変動による被搬送物の変動量を算出する。
具体的には、ステップS01では、液体を吐出する装置110は、まず、被搬送物検知センサWSによって、ウェブ120を検知したセンサデータを取得する。次に、液体を吐出する装置110は、各被搬送物検知センサWSから出力されるそれぞれのセンサデータを取得する。続いて、液体を吐出する装置110は、複数のセンサデータに基づいて、記録媒体等の相対位置又は変動量等の検出結果を算出する。例えば、変動量の算出は、図14に示すように行われる。
ステップS02では、計算部110F60は、検出結果に基づいて指令値を算出する。指令値は、各液体吐出ヘッドユニットを移動させるため、各アクチュエータコントローラCTLに入力される命令値となる。
ステップS03では、液体を吐出する装置は、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる移動制御を行う。液体を吐出する装置は、例えば、図13の移動機構を用いて各液体吐出ヘッドユニットを移動させる移動制御を行う。
ステップS04では、液体を吐出する装置は、各液体吐出ヘッドユニットの変位量を取得する。例えば、液体を吐出する装置は、図2に示す各変位センサによって変位量を取得する。
ステップS05では、液体を吐出する装置110は、指令値と、変位量との差に基づいて補正値を計算する。補正値の計算については後述する。まず、図19に示すように、指令値と、変位量との差を示す偏差DIFは、指令値COMと、変位量PDとを比較して計算することができる。
図19は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による移動制御における変位量及び指令値の関係の一例を示す図である。図において、横軸は、時間を示し、一方で、縦軸は、時間に対する指令値COM及び変位量PDの値を示す。
指令値COMは、各液体吐出ヘッドユニットのいずれかに対応する指令値であり、変位量PDは、当該ヘッドユニットの変位を検知する変位センサPSの出力する変位量である。
図示するように、指令値COMと、変位量PDとには、偏差DIF等の差が生じる。また、指令値は、図示するように、理想的に変化する。一方で、変位量PDには、位相遅れと、振動とが生じる。そして、変位量PDは、実行されてからセトリング時間(settling time)経過後、振動が収束し、指令値と偏差DIFがある値に収束する。
具体的には、偏差DIFは、セトリング時間後、すなわち、図19に示す例では、第2時間TM2以降で、変位量を1回又は複数回取得し(ステップS04)、取得した値又は取得した値の平均値等と、指令値との差を計算すると計算できる値である。
他にも、偏差DIFは、例えば、第1時間TM1乃至第2時間TM2等の任意の時間における変位量を複数回取得して計算されてもよい。すなわち、まず、第1時間TM1乃至第2時間TM2において、変位量が1回又は複数回取得される(ステップS04)。次に、取得した値又は取得した値の平均値等と、指令値との差を計算して、液体を吐出する装置は、偏差DIFを計算してもよい。
さらに、図19に示すように、振動がある場合には、振動周期の整数倍となる時間内に、液体を吐出する装置は、変位量を複数回取得し(ステップS04)、取得された変位量を平均化又は近似化して、偏差DIFを計算してもよい。
さらにまた、図19に示すように、振動がある場合には、液体を吐出する装置は、ローパスフィルタ処理等によって、振動を減衰させる。そして、フィルタ処理した後、液体を吐出する装置は、変位量を1回又は複数回取得し(ステップS04)、取得した値又は取得した値の平均値等と、指令値との差を計算して、液体を吐出する装置は、偏差DIFを計算してもよい。
また、指令値と、変位量との差は、例えば、制御周期ごとに、計算されてもよい。
ステップS06では、ステップS01と同様に、液体を吐出する装置110は、検出結果を算出する。そして、検出結果に基づいて、指令値COMが計算される。続いて、図20に示す補正回路CRCOに、指令値COMが入力される。
ステップS07では、補正回路CRCOは、指令値COM及び補正値COに基づいて補正指令値COM´を計算する。つまり、液体を吐出する装置110は、図14のように変動量が算出される。そして、変動量を補償するように、液体吐出ヘッドユニットを移動させるため、指令値COMが計算される。
ステップS08では、液体を吐出する装置は、指令値を補正し、補正された指令値である補正指令値COM´に基づいて液体吐出ヘッドユニットを移動制御させる。ステップS07によって指令値が計算されると、図20に示す補正回路CRCOは、指令値を補正して、補正された補正指令値COM´をアクチュエータコントローラCTLに出力する。このようにすると、補正された指令値に基づいてアクチュエータACの制御が行われる。
図20は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が液体吐出ヘッドユニットを移動させるための移動制御例を示す制御ブロック図である。なお、図20は、一つの液体吐出ヘッドユニットを動作させる制御ブロック図である。例えば、図20の制御ブロック図では、コントローラ520、各アクチュエータのアクチュエータコントローラCTL及びアクチュエータAC等のハードウェアが、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる。
図20では、アクチュエータACは、モータMとエンコーダENCを備える。すなわち、各液体吐出ヘッドユニット210は、モータMの駆動力によって移動する。そして、エンコーダENCによって、モータの回転角度等が検出される。
モータMには、PWM信号生成回路CRPSから、PWM信号が入力される。そして、PWM信号に基づいて、モータMは、回転する。
各液体吐出ヘッドユニットには、変位センサPDが接続される。そして、各変位センサは、各液体吐出ヘッドユニットが移動した変位量を計測する。次に、変位センサによって計測される第1変位量PD1、第2変位量PD2、第3変位量PD3及び第4変位量PD4といった各変位量は、補正値計算回路CRCALに、出力される。
補正回路CRCO及び補正値計算回路CRCALは、コントローラ520に備えられる機能である。補正値計算回路CRCALは、指令値COMと変位量PDに基づいて補正値COを計算する。補正値COは、指令値COMと、変位量PDとの差を補償する値である。
補正回路CRCOは、図14に示すように算出された指令値COMと、補正値計算回路CRCALが計算する補正値COに基づいて、補正指令値COM´を算出する。そして、補正指令値COM´が、PID制御回路CRCTに出力される。なお、補正が行われていない場合、補正回路CRCOは指令値COMをそのまま後段へ出力する。
PID制御回路CRCT及びPWM信号生成回路CRPSは、アクチュエータコントローラCTLの備える機能である。PID制御回路CRCTは、指令値を受信すると、指令値に基づいて台形波形又は三角波形等の速度プロファイルを生成し、PWM信号生成回路CRPSに出力する。また、図示するように、PID制御回路CRCTには、エンコーダENCによる検出値がフィードバックされる。なお、フィードバック周期、すなわち、モータのサーボサイクル時間は、例えば、50μs(マイクロ秒)程度である。
以上のような構成によってPID制御等の移動制御が行われると、例えば、以下のような制御結果となる。なお、補正回路CRCO、補正値計算回路CRCAL、PID制御回路、PWM信号生成回路は、プロセッサが機能として有しても良い。
図21は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による往復運動を行う移動制御における変位量及び指令値の関係の一例を示す図である。図21は、いずれか1つの液体吐出ヘッドユニットにおける例である。例えば、図示するように、液体吐出ヘッドユニットの移動制御における振動が少なく、かつ、制御周期Tcごとに、入力される指令値に、変位量がほぼ追従する場合を例に説明する。
まず、制御周期Tcが液体を吐出する装置にあらかじめ設定される。そして、制御周期Tcごとに、指令値が入力される。また、図示する例では、制御周期信号SIGCYCが制御周期Tcを示す。
制御周期信号SIGCYCは、ハイレベル(図では、制御周期信号SIGCYCが「High」となることを示す。)となるタイミングで指令値が入力されることを示す信号である。具体的には、図示する例は、7回の指令値が入力される例を示す。
また、この例では、7回の指令値のうち、最初の3回となる指令値は、液体吐出ヘッドユニットを一方向へ移動させる指令値である。以下、図示する例における最初の3回となる指令値を「正方向指令値MVPL」という。したがって、正方向指令値MVPLが入力されると、液体吐出ヘッドユニットは、「正方向」に移動する。
一方で、この例では、7回の指令値のうち、最後の3回となる指令値は、液体吐出ヘッドユニットを正方向とは異なる他方向へ移動させる指令値である。以下、図示する例における最後の3回となる指令値を「負方向指令値MVMI」という。したがって、負方向指令値MVMIが入力されると、液体吐出ヘッドユニットは、「負方向」に移動する。
さらに、図示する例では、各指令値による移動量が、ほぼ同じ移動量となるように、ほぼ同じ振幅となる正方向指令値MVPL及び負方向指令値MVMIが入力されるとする。そのため、液体吐出ヘッドユニットは、まず、正方向指令値MVPLに基づいて正方向に移動する(往路)。次に、液体吐出ヘッドユニットは、負方向指令値MVMIに基づいて負方向に移動する(復路)。このようにして、正方向指令値MVPL及び負方向指令値MVMIに基づいて、液体吐出ヘッドユニットは、往復運動を行う。
例えば、図示するような例では、液体を吐出する装置は、制御周期Tcごとに、変位量を取得する(図18に示すステップS04)。具体的には、1回目(「正方向へ1回目」という場合もある。)の指令値が入力されると、液体を吐出する装置は、第1偏差DIF1を取得する。同様に、2回目(「正方向へ2回目」という場合もある。)及び3回目(「正方向へ3回目」という場合もある。)の指令値が入力されると、液体を吐出する装置は、第2偏差DIF2及び第3偏差DIF3を取得する。
最初に、図示するように、液体吐出ヘッドユニットは、初期位置P0に位置する。次に、図示するように、1回目の指令値によって入力される移動先を第1位置P1とする。この場合には、1回目の指令値に基づいて液体吐出ヘッドユニットが実際に移動した変位量と、第1位置P1との差が第1偏差DIF1となる。
同様に、2回目の指令値によって入力される移動先を第2位置P2とする。この場合には、2回目の指令値に基づいて液体吐出ヘッドユニットが実際に移動した変位量と、第2位置P2との差が第2偏差DIF2となる。
さらに、3回目の指令値によって入力される移動先を第3位置P3とする。この場合には、3回目の指令値に基づいて液体吐出ヘッドユニットが実際に移動した変位量と、第3位置P3との差が第3偏差DIF3となる。
また、復路でも同様に、液体を吐出する装置は、制御周期Tcごとに、変位量を取得する。具体的には、1回目乃至3回目の指令値が入力される場合と同様に、5回目(「負方向へ1回目」という場合もある。)の指令値が入力されると、液体を吐出する装置は、第4偏差DIF4を取得する。同様に、6回目(「負方向へ2回目」という場合もある。)及び7回目(「負方向へ3回目」という場合もある。)の指令値が入力されると、液体を吐出する装置は、第5偏差DIF5及び第6偏差DIF6を取得する。
5回目の指令値によって入力される移動先を第2位置P2とする。この場合には、5回目の指令値に基づいて液体吐出ヘッドユニットが実際に移動した変位量と、第2位置P2との差が第4偏差DIF4となる。
6回目の指令値によって入力される移動先を第1位置P1とする。この場合には、6回目の指令値に基づいて液体吐出ヘッドユニットが実際に移動した変位量と、第1位置P1との差が第5偏差DIF5となる。
7回目の指令値によって入力される移動先を初期位置P0とする。この場合には、7回目の指令値に基づいて液体吐出ヘッドユニットが実際に移動した変位量と、初期位置P0との差が第6偏差DIF6となる。
液体吐出ヘッドユニットの質量は、アクチュエータの質量より大きい場合がある。例えば、液体吐出ヘッドユニットの質量は、アクチュエータの質量の数十倍となる場合がある。例えば、アクチュエータの回転軸が正方向へ移動した際に、反作用の影響等が発生する。このような場合には、アクチュエータには、負方向へ押し返される力が発生する場合がある。
また、指令値と、変位量との差は、液体吐出ヘッドユニットのばらつき又は実装方法等によって異なることが多い。具体的には、例えば、液体を吐出する装置におけるレイアウトにより、液体吐出ヘッドユニットは、傾いて実装される場合がある。
さらに、液体吐出ヘッドユニットを移動させる機構の構造等の原因によって、往路と復路では、指令値と、変位量との差は、異なる場合がある。そこで、図示するように、制御周期Tcごとに、変位量を取得すると、液体を吐出する装置は、往路と、復路とで異なる指令値及び変位量のそれぞれの差の特性を吸収することができる。
以上のようにして、液体を吐出する装置は、指令値と、変位量との差を計算する。次に、液体を吐出する装置は、指令値と、変位量との差に基づいて補正値を計算する。具体的には、図19に示すように、入力される指令値より変位量が小さい値となる場合がある。このような特性がある場合には、補正値は、指令値を大きくするような値となる。すなわち、図20に示す補正回路CRCOは、入力される指令値に、補正値COを加算するように補正する。このように補正すると、液体を吐出する装置は、指令値との差が少ない、すなわち、精度良く液体吐出ヘッドユニットを移動させる制御を行うことができる。
なお、変位量の取得又は変動量の算出等といった各処理は、処理が完了するまでの処理時間が長い場合がある。このように、処理時間が長い場合には、制御周期より処理時間が長くなり、制御周期ごとに、図18に示す処理を実行するのが難しい場合がある。
このような場合には、液体を吐出する装置は、制御周期の整数倍となる周期ごとに、図18に示す処理を実行してもよい。
他にも、液体を吐出する装置は、変位量の振動周期を計測して、振動周期又は振動周期を整数倍した周期ごとに、図18に示す処理を実行してもよい。このようなサイクルで変位量を取得する処理を行うと、振動による振幅変動の影響があっても、液体を吐出する装置は、精度良く変位量を取得できる。
図22は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する液体吐出ヘッドユニットを移動させるためのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示する構成は、液体を吐出する装置110は、複数のアクチュエータ、複数の変位センサ及び複数のセンサデバイスSENを有する例である。
この例では、センサデバイスSENは、それぞれ被搬送物検知センサWSを有する。さらに、図示する構成では、液体を吐出する装置110は、コントローラ520を備え、それぞれのアクチュエータACにアクチュエータコントローラCTLが接続される例である。
また、コントローラ520は、CPU221、ROM(Read−Only Memory)222及びRAM(Random Access Memory)223を有する。さらに、図示するように、各装置は、他の装置とデータ等を送受信するため、I/O(Input/Output)となるインタフェースを有してもよい。
なお、構成は、図示する例に限られない。すなわち、図示する各装置は、液体を吐出する装置が有してもよいし、外部装置でもよい。
各アクチュエータは、移動制御の対象となる各液体吐出ヘッドユニットに接続される。具体的には、第1アクチュエータAC1は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに接続される。すなわち、第1アクチュエータAC1は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを移動させる。
同様に、第2アクチュエータAC2は、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに接続される。すなわち、第2アクチュエータAC2は、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cをウェブの搬送方向と直交方向に移動させる。
また、第3アクチュエータAC3は、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに接続される。すなわち、第3アクチュエータAC3は、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mを移動させる。
さらに、第4アクチュエータAC4は、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに接続される。すなわち、第4アクチュエータAC4は、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yを移動させる。なお、上述したように、ブラック液体吐出ヘッドユニットを動作させない場合には、第1アクチュエータAC1は、備えなくともよい。また、その場合、第2センサデバイスSEN2も備えなくともよい。
CPU221は、図7に示す計算部110F60、図20に示す補正回路CRCO及び補正値計算回路CRCAL等を実現するハードウェアの例である。具体的には、CPU221は、各被搬送物検知センサWSの検出結果を取得し、被搬送物の変動量を算出するための演算等を行う。また、CPU221は、各変位センサPSの出力を取得し、各被搬送物検知センサWSの検出結果から算出された変動量と、各変位センサPSの出力に基づいて、各アクチュエータを制御するための補正指令値を算出する。各アクチュエータコントローラCTLは、上述したように、PID制御を行い、各ヘッドユニットを移動させるための制御等を行う。
ROM222及びRAM223は、記憶装置の例である。例えば、ROM222は、CPU221が用いるプログラム及びデータ等を記憶する。また、RAM223は、CPU221が演算を行うのに用いるプログラム等を記憶し、各演算を実現するための記憶領域となる。
速度検出回路SCRは、被搬送物が搬送される移動速度等を検出する電子回路である。例えば、速度検出回路SCRには、「6ppi」信号等が入力される。次に、速度検出回路SCRは、エンコーダからの検出結果等に基づいて、被搬送物が搬送される速度を計算し、CPU221等に送信する。
なお、図示する例では、アクチュエータコントローラCTLをCPU221とは別のハードウェアとして記載したが、アクチュエータコントローラCTLとコントローラ520は同じハードウェアで実現されても良い。
図23は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が液体吐出ヘッドユニットを移動させるための移動機構の全体構成例を示すブロック図である。
図23では、ブラック用センサデバイスSENKに備えられた被搬送物検知センサWSを第1被搬送物検知センサWS1とする。また、シアン用センサデバイスSENCに備えられた被搬送物検知センサを第2被搬送物検知センサWS2とする。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMに備えられた被搬送物検知センサを第3被搬送物検知センサとする。さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYに備えられた被搬送物検知センサを第4被搬送物検知センサとする。
第1乃至第4の被搬送物検知センサは、それぞれの位置でウェブ120の情報であるセンサデータを取得する。そして、コントローラ520は、センサデータに基づいて、指令値COM又は補正指令値COM´を出力する。
図示するように、例えば、液体を吐出する装置110は、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる第1アクチュエータAC1、第2アクチュエータAC2、第3アクチュエータAC3及び第4アクチュエータAC4を有する。
なお、第1アクチュエータAC1、第2アクチュエータAC2、第3アクチュエータAC3及び第4アクチュエータAC4は、図13では、アクチュエータAC2に相当する。
そして、各アクチュエータは、コントローラ520から入力される指令値COM又は補正指令値COM´に基づいて、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる制御を行う。具体的には、第1アクチュエータAC1に接続されたアクチュエータコントローラCTL1には、第1指令値COM1又は第1補正指令値COM1´が入力される。同様に、第2アクチュエータAC2に接続されたアクチュエータコントローラCTL2には、第2指令値COM2又は第2補正指令値COM2´が入力される。さらに、第3アクチュエータAC3に接続されたアクチュエータコントローラCTL3には、第3指令値COM3又は第3補正指令値COM3´が入力される。また、第4アクチュエータAC4に接続されたアクチュエータコントローラCTL4には、第4指令値COM4又は第4補正指令値COM4´が入力される。
アクチュエータコントローラCTL1の制御に基づいて、第1アクチュエータAC1は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを移動させる。そして、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kが移動した変位量(以下「第1変位量PD1」という。)は、第1変位センサPS1によって取得される。
同様に、アクチュエータコントローラCTL2の制御に基づいて、第2アクチュエータAC2は、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。そして、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが移動した変位量(以下「第2変位量PD2」という。)は、第2変位センサPS2によって取得される。
さらに、アクチュエータコントローラCTL3の制御に基づいて、第3アクチュエータAC3は、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mを移動させる。そして、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mが移動した変位量(以下「第3変位量PD3」という。)は、第3変位センサPS3によって取得される。
また、アクチュエータコントローラCTL4の制御に基づいて、第4アクチュエータAC4は、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yを移動させる。そして、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが移動した変位量(以下「第4変位量PD4」という。)は、第4変位センサPS4によって取得される。
そして、コントローラ520は、各変位センサの出力に基づいて補正指令値COM´を算出する。
このように、各指令値COMは、図14に示す方法等によって算出される変動量を補償するように、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる移動先を示す値である。また、各補正指令値COM´は、ヘッドの変位量との差に基づいて、各指令値COMを補正した値である。そして、各アクチュエータは、各アクチュエータコントローラCTLによるPID制御等の位置制御によって、各指令値又は各補正指令値が示す位置に向かって各液体吐出ヘッドユニットを移動させる。
なお、例えば、ブラックを基準とする場合には、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの位置を固定する構成等でもよい。すなわち、ブラックを基準とする場合には、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを所定の位置に固定するため、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kを移動させるための移動機構は、不要でもよい。すなわち、基準とする色の液体吐出ヘッドユニットには、移動機構がない構成でもよい。
入出力装置INOTは、制御用のパラメータ等をユーザが入力するためのインタフェースとなる装置である。他にも、入出力装置INOTは、エラーが生じた場合等には、エラーを示すメッセージ等をユーザに出力する出力装置である。例えば、入出力装置INOTは、操作パネル等である。
電源装置PWRは、各装置に電力を供給する装置である。例えば、電源装置PWRは、アクチュエータコントローラCTL等に、仕様等によって定まる所定電圧(例えば、5V等である。)の電力を供給する。同様に、電源装置PWRは、各アクチュエータ等に、仕様等によって定まる所定電圧(例えば、24V等である。)の電力を供給する。
<別の処理例>
液体を吐出する装置は、例えば、画像形成が行われる前等に、以下の処理を行うでもよい。
図24は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による処理の別の例を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、図18と同様の処理には、同一の符号を付し、説明を省略する。
例えば、制御周期ごとに、補正値を計算するのが間に合わない場合がある。又は、指令値と、変位量との関係において液体吐出ヘッドユニットの位相が180°遅れることによって、液体吐出ヘッドユニットの振動が収束せず、発振する場合がある。このような場合には、制御周期より短い時間内に、液体を吐出する装置は、処理を完了させるのが難しい。
そこで、例えば、画像形成が行われる前又は電源が入力された後等に、液体を吐出する装置は、図示するような処理を行うようにしてもよい。具体的には、まず、画像形成が行われる前には、記録媒体に着弾した液体を乾燥させるためのヒータを予熱する時間等がある。このような時間等に、液体を吐出する装置は、図示する処理を行うのが望ましい。
例えば、画像形成が行われる前に、補正等が行われると、液体吐出ヘッドユニットに経年変化が生じていても、液体を吐出する装置は、補正によって、経年変化の影響を少なくすることができる。
ステップS20では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを往復運動させる移動制御及び差分値を取得する。以下、図21と同様に、まず、正方向へ向かって3回液体吐出ヘッドユニットを移動させ、その後、負方向へ向かって3回移動させる移動制御を行う例で説明する。また、この例では、図25に示すように、指令値と、変位量との複数の差を平均して、「差分値」が取得される例である。図25の説明は、後述する。
ステップS21では、液体を吐出する装置は、差分値に基づいて補正値を計算する。すなわち、ステップS21では、液体を吐出する装置は、移動制御において差分値が補償されるような補正値を計算する。具体的には、液体を吐出する装置は、差分値に、「−1」を乗じた値を計算する。このようにして、液体を吐出する装置は、差分値に基づいて補正値を計算する。
以上のように、補正値が計算できると、図18に示す2回目以降のように、液体を吐出する装置は、補正値に基づいて指令値を補正して、補正された指令値に基づいて移動制御を行うことができる。
すなわち、図示するように、図18と同様に、ステップS06乃至ステップS08が行われると、指令値が、補正値に基づいて補正される。例えば、図20に示す補正回路CRCO等によって、液体を吐出する装置は、指令値を補正する。
なお、液体を吐出する装置は、図示する別の処理で差分値を計算するに限られない。図示する別の処理は、例えば、正方向及び負方向のそれぞれの偏差がほぼ均等である場合等に行われるのが望ましい。一方で、例えば、奇数回と、偶数回とで偏差に違いが発生する場合等がある。このような場合には、差分値は、奇数回と、偶数回とで分けて計算されてもよい。
また、往復運動は、複数回行われてもよい。すなわち、往復運動は、図21に示すように、1回行われるに限られない。したがって、液体を吐出する装置は、複数回の往復運動において差分値を計算してもよい。例えば、図26のように、液体を吐出する装置は、複数回の往復運動において差分値を計算する。図26の説明は、後述する。
図25は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による差分値の取得例を示すフローチャートである。例えば、図21に示すように移動制御を行う場合において、図24に示すステップS20では、図25に示すような処理によって、差分値が取得される。また、差分値は、以下のように、正方向用と、負方向用とに分けて取得されるのが望ましい。
ステップS201では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを正方向へ移動させる1回目の移動制御を行う。具体的には、図21に示す例では、正方向へ1回目の移動制御は、第1位置P1へ移動させる指令値に基づく移動制御である。
ステップS202では、液体を吐出する装置は、第1偏差を取得する。具体的には、図21に示す例では、第1位置P1と、変位量とを比較すると、液体を吐出する装置は、第1偏差DIF1を取得できる。
ステップS203では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを正方向へ移動させる2回目の移動制御を行う。具体的には、図21に示す例では、正方向へ2回目の移動制御は、第2位置P2へ移動させる指令値に基づく移動制御である。
ステップS204では、液体を吐出する装置は、第2偏差を取得する。具体的には、図21に示す例では、第2位置P2と、変位量とを比較すると、液体を吐出する装置は、第2偏差DIF2を取得できる。
ステップS205では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを正方向へ移動させる3回目の移動制御を行う。具体的には、図21に示す例では、正方向へ3回目の移動制御は、第3位置P3へ移動させる指令値に基づく移動制御である。
ステップS206では、液体を吐出する装置は、第3偏差を取得する。具体的には、図21に示す例では、第3位置P3と、変位量とを比較すると、液体を吐出する装置は、第3偏差DIF3を取得できる。
ステップS207では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを負方向へ移動させる1回目の移動制御を行う。具体的には、図21に示す例では、負方向へ1回目の移動制御は、第2位置P2へ移動させる指令値に基づく移動制御である。
ステップS208では、液体を吐出する装置は、第4偏差を取得する。具体的には、図21に示す例では、第2位置P2と、変位量とを比較すると、液体を吐出する装置は、第4偏差DIF4を取得できる。
ステップS209では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを負方向へ移動させる2回目の移動制御を行う。具体的には、図21に示す例では、負方向へ2回目の移動制御は、第1位置P1へ移動させる指令値に基づく移動制御である。
ステップS210では、液体を吐出する装置は、第5偏差を取得する。具体的には、図21に示す例では、第1位置P1と、変位量とを比較すると、液体を吐出する装置は、第5偏差DIF5を取得できる。
ステップS211では、液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを負方向へ移動させる3回目の移動制御を行う。具体的には、図21に示す例では、負方向へ3回目の移動制御は、初期位置P0へ移動させる指令値に基づく移動制御である。
ステップS212では、液体を吐出する装置は、第6偏差を取得する。具体的には、図21に示す例では、初期位置P0と、変位量とを比較すると、液体を吐出する装置は、第6偏差DIF6を取得できる。
ステップS213では、液体を吐出する装置は、第1偏差、第2偏差及び第3偏差の平均値を計算する。このようにして、液体を吐出する装置は、往復運動における往路での偏差の平均値を計算する。すなわち、ステップS213によって、正方向へ移動させる移動制御で発生する偏差の平均値が計算されるため、正方向用の差分値が計算される。
ステップS214では、液体を吐出する装置は、第4偏差、第5偏差及び第6偏差の平均値を計算する。このようにして、液体を吐出する装置は、往復運動における復路での偏差の平均値を計算する。すなわち、ステップS214によって、負方向へ移動させる移動制御で発生する偏差の平均値が計算されるため、負方向用の差分値が計算される。
ステップS215では、液体を吐出する装置は、差分値を保存する。すなわち、液体を吐出する装置は、ステップS213及びステップS214で計算される差分値を保存する。
図26は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による複数回の往復運動において差分値を取得する例を示すフローチャートである。以下、2回の往復運動を行う場合を例に説明する。
ステップS30では、液体を吐出する装置は、1回目の差分値を取得する。例えば、図25に示すような処理、すなわち、図24におけるステップS20と同様の処理を行って、液体を吐出する装置は、1回目の差分値を取得する。
ステップS31では、液体を吐出する装置は、1回目の差分値に基づいて補正値を計算する。例えば、図24に示すステップS21と同様の処理を行って、液体を吐出する装置は、補正値を計算する。
1回目の差分値に基づいて、補正値が計算された後、計算された補正値に基づいて指令値を補正して、液体を吐出する装置は、2回目の往復運動を行う。例えば、2回目の往復運動は、1回目と同様の往復運動とする。
ステップS32は、液体を吐出する装置は、2回目の差分値を取得する。例えば、1回目と同様に、図25に示すような処理、すなわち、図24におけるステップS20と同様の処理を行って、液体を吐出する装置は、2回目の差分値を取得する。なお、2回目では、画像形成装置は、補正された指令値と、補正された指令値に基づいて移動制御され移動した変位量とを比較して、各偏差を取得する。
ステップS33では、液体を吐出する装置は、2回目の差分値に基づいて補正値を計算する。例えば、1回目と同様に、図24に示すステップS21と同様の処理を行って、液体を吐出する装置は、補正値を計算する。
以上のように、1回目の差分値に基づいて、1度目の補正を行い、1度目の補正後、2度目の差分値が計算されるのが望ましい。すなわち、液体を吐出する装置は、複数回補正を行うとし、前回の補正を行った状態下において、液体を吐出する装置は、更に補正値を計算して補正を行うのが望ましい。このようにすると、液体を吐出する装置は、着弾精度を向上させることができる。
なお、往復運動は、3回以上行われてもよい。この場合には、往復運動の回数に応じてステップS32及びステップS33が繰り返される。
このように、複数回の往復運動に基づいて補正値が計算されると、液体を吐出する装置は、補正値を精度良く計算することができる。そのため、液体を吐出する装置は、液体を精度良く着弾させることができる。
さらに、液体を吐出する装置は、画像形成前に、図24に示すステップS20及びステップS21を行い、かつ、制御周期ごとに、図18に示す処理を行うとしてもよい。
<まとめ>
本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、被搬送物検知センサWSの出力から計算部110F60によって求められた被搬送物の位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせを示す検出結果に基づき、液体吐出ヘッドユニット210を移動させる指令値を出力することができる。しかし、移動制御において、指令値に基づいてアクチュエータACが液体吐出ヘッドユニットを移動させると、図21に示すように、偏差DIF等のような差が発生する場合が多い。すなわち、指令値で狙う位置に、液体吐出ヘッドユニットが移動せず、指令値が示す位置と、実際に液体吐出ヘッドユニットが移動制御によって移動した位置には、差が生じる場合が多い。
そこで、液体を吐出する装置110は、液体吐出ヘッドユニット210に配置された変位センサPSによって、実際に液体吐出ヘッドユニットが移動制御によって移動した位置を示す変位量を取得する。このようにすると、液体を吐出する装置110は、指令値と、変位量とを比較して、偏差DIF等の差を計算することができる。
次に、液体を吐出する装置110は、補正値計算回路CRCALによって、偏差DIF等の差に基づいて補正値COを計算する。すなわち、補正値計算回路CRCALは、偏差DIFが少なくなるような補正値COを計算する。具体的には、指令値より大きく移動する液体吐出ヘッドユニットの特性である場合には、補正値計算回路CRCALは、液体吐出ヘッドユニットが小さく移動するような補正値COを計算する。一方で、指令値より小さく移動する液体吐出ヘッドユニットの特性である場合には、補正値計算回路CRCALは、液体吐出ヘッドユニットが大きく移動するような補正値COを計算する。
そして、液体を吐出する装置110は、補正回路CRCO、指令値を補正する。このようにして、補正された指令値によって移動制御が行われると、偏差DIF等のような差が少なくできる。すなわち、補正された指令値が用いられると、指令値と、変位量とが一致しやすくなる。そのため、液体を吐出する装置110は、変動量を精度良く補償し、吐出される液体の着弾位置の精度等の処理制度を向上させることができる。
また、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する場合には、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、吐出される各色の液体の着弾位置が精度良くなると、色ずれが少なくなり、形成される画像の画質を向上させることができる。
また、計測部110F40があると、より確実に記録媒体の位置等が検出できる。例えば、ローラ230の回転軸等に、エンコーダ等の計測装置が設置されるとする。そして、計測部110F40は、エンコーダ等によって、記録媒体の移動量を計測する。このように、計測部110F40によって計測された計測結果が更に入力されると、液体を吐出する装置110は、搬送方向における記録媒体の位置等をより確実に検出できる。
<変形例>
なお、本発明に係る液体を吐出する装置は、1以上の装置を有する液体を吐出するシステムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する液体を吐出するシステムによって実現されても良い。
図27は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する被搬送物検知センサの変形例を示す模式図である。図示するように、被搬送物センサは、ウェブ120の搬送方向に直交する方向のエッジを検知するエッジセンサ等でもよい。例えば、エッジセンサは、CIS等である。
図示する例では、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの上流側に、ウェブ120の端部位置を検出する被搬送物検知センサが設けられる。また、図示する例では、被搬送物検知センサは、ウェブ120の搬送方向に直交する方向の端部が通過する位置に配置される。なお、図示する例でも、図22のように、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kが移動できる構成でもよい。
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、画像を形成するに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
また、本発明は、搬送される被搬送物に対して、搬送方向に直交する方向に並べられたライン状のヘッドユニットを用いて何らかの処理を行う装置に適用可能である。
<第1変形例>
第1の支持部材及び第2の支持部材は、兼ねられてもよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、以下のような構成でもよい。
図28は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の変形例を示す概略図である。図2と比較すると、図示する構成では、第1の支持部材及び第2の支持部材の配置が異なる。図示するように、第1の支持部材及び第2の支持部材は、例えば、第1部材RL1、第2部材RL2、第3部材RL3、第4部材RL4及び第5部材RL5によって実現されてもよい。すなわち、各液体吐出ヘッドユニットの上流側に設けられる第2の支持部材と、各液体吐出ヘッドユニットの下流側に設けられる第1の支持部材とは、兼用されてもよい。なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、ローラで兼ねられてもよく、湾曲板で兼ねられてもよい。
<第2変形例>
例えば、搬送装置は、以下のように、被搬送物に対して読み取り等の処理を行うでもよい。
図29は、本発明の一実施形態に係る搬送装置の第2変形例を示す概略図である。以下、図示するように、ウェブ120を上流側から下流側へ(図では、左から右となる。)搬送する場合を例に説明する。
図示するように、本変形例では、ヘッドユニットがCIS(Contact Image Sensor、密着型イメージセンサ)ヘッドを備える。
ヘッドユニットは、直交方向20に1個以上設置されたCISヘッドによって構成される。例えば、図示するように、搬送装置は、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2のように、2個のヘッドユニットを有する。なお、ヘッドユニットの数は、2個に限られず、3個以上であってもよい。
図示するように、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、それぞれ1つ以上のCISヘッドを備える。以下、ヘッドユニットは、1つのCISヘッドを備えるが、例えば、ヘッドユニットは、2つのCISヘッドが互いに千鳥状になる位置に、複数のCISヘッドを備えても良い。
ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、いわゆるスキャナ(Scanner)を構成する。したがって、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、ウェブ120の表面に形成される画像等を読み取り、読み取った画像等を示す画像データを出力する。そして、搬送装置は、各ヘッドユニットから出力される画像データを繋ぎ合わせると、直交方向20に繋がった画像を生成することができる。
また、この例では、搬送装置は、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCTL1及び第2アクチュエータコントローラCTL2を有する。コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCTL1及び第2アクチュエータコントローラCTL2は、情報処理装置である。具体的には、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、CPU、電子回路又はこれらの組み合わせ等の演算装置、制御装置、記憶装置及びインタフェース等を有するハードウェア構成である。なお、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCTL1及び第2アクチュエータコントローラCTL2は、複数の装置でもよく、同一の装置で構成されても良い。
各ヘッドユニットに対して、センサデバイスSEN1及びSEN2がそれぞれ設置される。そして、搬送装置は、センサデバイスによって、ウェブ120の表面情報を検出し、複数の検出結果の間での相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を検出できる。
この例では、2個のヘッドユニットHD1及びHD2に対して、複数のローラが設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、2個のヘッドユニットHD1及びHD2を挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。
このように、ローラ間INTでセンサデバイスによって検出が行われると、搬送装置は、処理位置に近い位置でウェブ120の位置等を検出できる。また、ローラ間INTは、移動速度が比較的安定する場合が多い。そのため、搬送装置は、搬送方向、直交方向又は両方向において、複数の検出結果の間での相対位置、速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を精度良く検出できる。
また、センサデバイスが設置される位置は、ローラ間INTにおいて処理位置より第1ローラR1に近い位置であるのが望ましい。すなわち、センサデバイスは、処理位置より上流側で検出を行うのが望ましい。具体的には、図示する例では、センサデバイスSEN1は、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。すなわち、センサデバイスSEN1は、図示する例では、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第1上流区間INT1」という。)で検出を行うのが望ましい。
同様に、図示する例では、センサデバイスSEN2は、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。すなわち、センサデバイスSEN2は、図示する例では、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第2上流区間INT2」という。)で検出を行うのが望ましい。
第1上流区間INT1及び第2上流区間INT2にセンサデバイスが設置されると、搬送装置は、被搬送物の位置等を精度良く検出できる。このような位置にセンサデバイスが設置されると、センサデバイスが処理位置より上流側に設置される。そのため、搬送装置は、まず、上流側でセンサデバイスによって被搬送物の表面情報を検出できる。そして、搬送装置は、検出結果に基づいて、直交方向、搬送方向又は両方向において、ヘッドユニットによる処理タイミング、ヘッドユニットを移動させる量又は両方を計算できる。すなわち、上流側で被搬送物の位置等が検出された後、ウェブ120が処理位置に搬送される間に、処理タイミングの計算又はヘッドユニットの移動等が行われるため、搬送装置は、精度良く処理位置を変更できる。
ヘッドユニットのほぼ直下にセンサデバイスが設置されると、処理タイミングの計算又はヘッドユニットを移動させる等の処理時間によって、処理の実行に遅れが生じる場合がある。したがって、センサデバイスが設置される位置は、処理位置より上流側であると、搬送装置は、処理における遅れを少なくできる。また、処理位置、すなわち、ヘッドユニットの直下となる付近は、センサデバイス等を設置する位置とするのに制約される場合ある。そのため、センサデバイスが設置される位置は、処理位置より第1ローラR1に近い位置、すなわち、処理位置より上流であるのが望ましい。
ヘッドユニットによる処理及びセンサデバイスによる検出のどちらでも、ウェブ120へ光源から光を照射する場合がある。そして、特にウェブ120の透明度が高いと、それぞれの光が外乱となる場合がある。したがって、センサデバイス及びヘッドユニットは、同じ光軸上にない方が望ましい場合がある。
一方で、ウェブ120の透明度が高くない場合等では、センサデバイスが設置される位置は、例えば、ヘッドユニットの直下等でもよい場合がある。図示する例では、ヘッドユニットの直下は、処理位置の裏側である。すなわち、搬送方向において、処理位置と、センサデバイスが設置される位置は、ほぼ同一であって、ウェブ120の一方の面(表側)を処理対象とし、ウェブ120の他方の面(裏面)をセンサデバイスによる検出対象としても良い場合もある。
このように、センサデバイスがヘッドユニットの直下にあると、直下における正確な移動量等が、センサデバイスによって検出できる。したがって、それぞれの光が外乱とならない場合であって、制御等が速く行える場合であれば、センサデバイスは、ヘッドユニットの直下に近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサデバイスは、ヘッドユニットのほぼ直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサデバイスが設置される位置は、ヘッドユニットのほぼ直下又はローラ間INT間であって、ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
また、各ヘッドユニットに対して、変位センサPS21及び変位センサPS22がそれぞれ設置される。変位センサPS21及び変位センサPS22は、それぞれヘッドユニットHD1、HD2の変位量を検出し、コントローラ520へ出力する。
そして、変位センサPS21及び変位センサPS22の出力に基づいて、コントローラ520は、アクチュエータコントローラCTL1、CTL2に出力する指令値を補正する。これにより、精度良く読取処理を行う処理位置の調整を行うことができる。
<第3変形例>
例えば、液体を吐出する装置110は、以下のように、被搬送物をベルト等にしてもよい。
図30は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の第3変形例を示す概略図である。本変形例では、ヘッドユニット350C、350M、350Y及び350Kがインク滴を吐出して、転写ベルト328の外周表面上に画像を形成する。以下、ヘッドユニット350C、350M、350Y及び350Kをまとめて「ヘッドユニット群350」という。
次に、乾燥機構370は、転写ベルト328上に形成された画像を乾燥させ、膜化する。
続いて、転写ベルト328が転写ローラ330と対向する転写部において、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上の膜化した画像を用紙に転写する。
また、クリーニングローラ323は、転写後の転写ベルト328の表面をクリーニングする。
このように、本変形例では、液体を吐出する装置において、転写ベルト328の周りには、ヘッドユニット350C、350M、350Y、350K、乾燥機構370、クリーニングローラ323及び転写ローラ330等が設けられる。
本変形例では、転写ベルト328は、駆動ローラ321、対向ローラ322、4つの形状維持ローラ324及び8つの支持ローラ325C1、325C2、325M1、325M2、325Y1、325Y2、325K1及び325K2等に架け渡され、転写ベルト駆動モータ327によって回転する駆動ローラ321に従動して図中矢印方向に移動する。駆動ローラ321の回転によって転写ベルト328が移動する方向を移動方向とする。
また、ヘッドユニット群350に対向して設けられる8つの支持ローラ325C1、325C2、325M1、325M2、325Y1、325Y2、325K1及び325K2は、各ヘッドユニット350からインク滴が吐出される際に、転写ベルト328の引張状態を維持する。そして、転写モータ331は、転写ローラ330を回転駆動する。
さらに、本変形例では、支持ローラ325C1と支持ローラ325C2との間、かつ、ヘッドユニット350Cの吐出位置よりも、転写ベルト328の移動方向において上流側に、センサデバイス332Cが配置される。また、センサデバイス332Cは、スペックルセンサを有する。
スペックルセンサは、転写ベルト328の情報を取得するセンサの例である。また、ヘッドユニット350Cに対する支持ローラ325C1、支持ローラ325C2及びセンサデバイス332Cの位置関係と同様の位置関係で、ヘッドユニット350Mに対してもセンサデバイス332Mが設けられる。
本変形例では、ヘッドユニット350M、ヘッドユニット350Y及びヘッドユニット350Kには、アクチュエータ333M、333Y及び333Kがそれぞれ設けられる。また、アクチュエータ333Mは、ヘッドユニット350Mを、転写ベルト328の移動方向と直交する方向に移動させるアクチュエータである。同様に、アクチュエータ333Y及び333Kは、それぞれヘッドユニット350Y及びヘッドユニット350Kを転写ベルト328の移動方向と直交する方向に移動させるアクチュエータである。
制御基板340は、センサデバイス332C、332M、332Y及び332Kから取得した画像データに基づいて、転写ベルト328の直交方向の移動量及び転写ベルト328の移動方向の移動量等を検出する。また、制御基板340は、転写ベルト328の直交方向の移動量に応じて、アクチュエータ333M、333Y及び333Kを制御し、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kを直交方向に移動させる。さらに、制御基板340は、転写ベルト328の移動方向の移動量に応じて、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kの吐出タイミングを制御する。
さらに、制御基板340は、転写ベルト駆動モータ327、転写モータ331に駆動信号を出力する。
また、各ヘッドユニットに対して、変位センサPS31、変位センサPS32、及び変位センサPS33がそれぞれ設置される。変位センサPS31、変位センサPS32、及び変位センサPS33は、ヘッドユニット350M、ヘッドユニット350Y、ヘッドユニット350Kの変位量をそれぞれ検出し、制御基板340へ出力する。
<第3変形例における効果>
本変形例によれば、転写ベルト328の移動中に、転写ベルト328が駆動ローラ321の駆動による移動方向と直交する直交方向に動いた場合にも、検出した移動量に応じて、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kを直交方向にそれぞれ移動させることができる。また、変位センサPS31、PS32、PS33が、それぞれヘッドユニット350M、350Y、350Kの変位量を制御基板340に出力する。これにより、制御基板340は、各アクチュエータを制御する指令値を補正することができる。このため、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上に品質の高い画像を形成することができる。
また、転写ベルト328が駆動ローラ321の駆動による移動方向に、想定と異なる移動量移動した場合にも、検出した移動量に応じて、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kの吐出タイミングをそれぞれ変更することができる。このため、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上に品質の高い画像を形成することができる。
上記の例では、センサデバイス332C、332M、332Y及び332Kから取得した画像データに基づいて、転写ベルト328の直交方向の移動量と、転写ベルト328の移動方向の移動量とを算出したが、いずれかの移動量しか使用しない場合は、一方のみを算出しても良い。
また、本変形例では、ヘッドユニット350Cは、アクチュエータを備えないが、備えても良い。そして、ヘッドユニット350Cを直交方向に移動させることで、転写ベルト328から用紙に転写される際の、転写の搬送方向に直交する方向の位置を制御することができる。
なお、上記の例では、複数のヘッドユニットを用いて転写ベルト328上に画像を形成する例について記載したが、一つのヘッドユニットで画像を形成する場合にも適用可能である。
さらに、例えば、本発明に係る実施形態は、ヘッドユニットがレーザを発し、レーザによって、被搬送物である基板に、パターンニングの処理を行う搬送装置等でもよい。具体的には、搬送装置は、まず、レーザヘッドを基板が搬送される搬送方向と直交する方向にライン状に並べて有する。そして、搬送装置は、基板の位置等を検出し、検出結果に基づいて、ヘッドユニットを移動させる等を行う。また、この例では、処理位置は、レーザが基板に照射される位置が処理位置となる。
さらに、搬送装置が有するヘッドユニットは、複数でなくともよい。すなわち、被搬送物に対して、基準となる位置に、処理を行い続ける等の場合には、本発明は、適用可能である。
また、本発明に係る実施形態では、搬送装置の制御装置、情報処理装置又はこれらの組み合わせ等のコンピュータに液体を吐出させる方法のうち、一部又は全部を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。