以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
実施形態の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
また実施形態において、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッド又は液体吐出ユニットを備え、液体吐出ヘッドを駆動させて、液体を吐出させる装置である。液体を吐出する装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
例えば、「液体を吐出する装置」として、インク等の液体を吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置がある。
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体である。
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
また、「液体を吐出する装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
「液体吐出ユニット」とは、液体吐出ヘッドに機能部品、機構が一体化したものであり、液体の吐出に関連する部品の集合体である。例えば、「液体吐出ユニット」は、ヘッドタンク、キャリッジ、供給機構、維持回復機構、主走査移動機構の構成の少なくとも一つを液体吐出ヘッドと組み合わせたものなどが含まれる。
ここで、一体化とは、例えば、液体吐出ヘッドと機能部品、機構が、締結、接着、係合などで互いに固定されているもの、一方が他方に対して移動可能に保持されているものを含む。また、液体吐出ヘッドと、機能部品、機構が互いに着脱可能に構成されていても良い。
例えば、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。また、チューブなどで互いに接続されて、液体吐出ヘッドとヘッドタンクが一体化されているものがある。ここで、これらの液体吐出ユニットのヘッドタンクと液体吐出ヘッドとの間にフィルタを含むユニットを追加することもできる。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドとキャリッジが一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドを走査移動機構の一部を構成するガイド部材に移動可能に保持させて、液体吐出ヘッドと走査移動機構が一体化されているものがある。また、液体吐出ヘッドとキャリッジと主走査移動機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、液体吐出ヘッドが取り付けられたキャリッジに、維持回復機構の一部であるキャップ部材を固定させて、液体吐出ヘッドとキャリッジと維持回復機構が一体化されているものがある。
また、液体吐出ユニットとして、ヘッドタンク若しくは流路部品が取付けられた液体吐出ヘッドにチューブが接続されて、液体吐出ヘッドと供給機構が一体化されているものがある。このチューブを介して、液体貯留源の液体が液体吐出ヘッドに供給される。
主走査移動機構は、ガイド部材単体も含むものとする。また、供給機構は、チューブ単体、装填部単体も含むものする。
「液体吐出ヘッド」とは、ノズルから液体を吐出・噴射する機能部品である。
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
[第1の実施形態]
以下、「液体が付着可能なもの」をウェブと称し、ウェブが用紙である場合を例に、第1の実施形態を説明する。
また、以下で示す図面において、白抜きの矢印でX、Y、及びZ方向を示す場合があるが、X方向はウェブの幅方向、Y方向はウェブの搬送方向、Z方向は液体吐出ユニットによる液体の吐出方向をそれぞれ示している。
なお、ウェブは「記録媒体」の一例であり、ウェブの搬送方向は「所定の搬送方向」の一例である。また、液体吐出ユニットによる液体の吐出方向は「記録媒体の面と交差する吐出方向」の一例であり、ウェブの幅方向は「記録媒体の面内で搬送方向と交差する幅方向」の一例である。
<装置全体構成>
図1は、本実施形態の液体を吐出する装置の一例を示す概略図である。例えば、液体を吐出する装置は、図示するような画像形成装置である。このような画像形成装置では、吐出される液体は、水性又は油性であるインク等の記録液である。以下、液体を吐出する装置が画像形成装置110である例で説明する。
画像形成装置110は、ローラ130等によって搬送されるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。言い換えるとウェブ120は、巻き取りが可能なロール状のシート等である。
画像形成装置110は、所謂プロダクションプリンタである。また画像形成装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインク等の液体を吐出してウェブ120の所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。
以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、ウェブ120がY方向に搬送される例で説明する。
なお、記録媒体の両面に画像形成を行う場合は、例えば、画像形成装置110を2台使用し、2台の間にターンバーを設けて、記録媒体の表裏を入れ換えて画像形成が行われる。本実施形態においても、オモテ面は1号機で、また裏面は2号機で画像形成するシステムを想定する。但し、これに限定はされず、1台の画像形成装置でオモテ面と裏面の両面に画像形成してもよい。
なお、上記のターンバー、及びローラ130等は、「記録媒体の両面に液体を吐出するために、液体吐出手段に向けて記録媒体を搬送する両面吐出用搬送手段」の一例である。
本実施形態では、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色の液体吐出ヘッドを有する画像形成装置を説明するが、本実施形態を適用できる画像形成装置はこれらの液体吐出ヘッドを有するものに限定されない。すなわち、本実施形態を用いることができる画像形成装置は、グリーン(G)、レッド(R)、ライトシアン(LC)及び/又はその他の色に対応する液体吐出ヘッドを更に有するもの、又は、ブラック(K)のみの液体吐出ヘッドを有するものなどを含む。ここで、以後の説明において、添え字K、C、M及びYを付与された記号は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの夫々に対応するものとする。
図2は、本実施形態の画像形成装置の作像部の構成の一例を示す概略図である。図示するように、画像形成装置110は、4色のそれぞれの液体を吐出するため、4つの液体吐出ユニットを有している。これらの液体吐出ユニットは、それぞれ「液体を吐出する液体吐出手段」の一例である。
各液体吐出ユニットは、搬送方向に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(Nip Roller)及びローラ250等で搬送されている。以下、この2対のニップローラのうち、各液体吐出ユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」と呼ぶ。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」と呼ぶ。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ250は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送する機構等である。なお、各ニップローラ及びローラ250は、「所定の張力を付した状態で、記録媒体を搬送する搬送手段」の一例である。
なお、ウェブ120は長尺であることが望ましい。具体的には、ウェブ120の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いことが望ましい。但し、ウェブ120は、単なる長尺の用紙に限られない。すなわち、ウェブ120体は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
張力検出手段240は、ウェブ120の張力を検出可能な部材である。張力検出手段240は、例えばテンションメータを有し、ウェブ120の張力を検出する。
各液体吐出ユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されている。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ユニットをブラック(K)用とし、以下では「ブラック液体吐出ユニット210K」と呼ぶ。このブラック液体吐出ユニット210Kの次に設置される液体吐出ユニットをシアン(C)用とし、以下では「シアン液体吐出ユニット210C」と呼ぶ。さらに、シアン液体吐出ユニット210Cの次に設置される液体吐出ユニットをマゼンタ(M)用とし、以下では「マゼンタ液体吐出ユニット210M」と呼ぶ。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ユニットをイエロー(Y)用とし、以下では「イエロー液体吐出ユニット210Y」と呼ぶ。
各液体吐出ユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色の液体をそれぞれ吐出する。液体を吐出する位置は、液体吐出ユニットから吐出される液体が記録媒体に着弾する位置にほぼ等しい。すなわち、着弾位置は、液体吐出ユニットの直下等である。以下、液体吐出ユニットによって処理が行われる処理位置を着弾位置とする例で説明する。
この例では、ブラックの液体は、ブラック液体吐出ユニット210Kの着弾位置、すなわち「ブラック着弾位置PK」に吐出される。同様に、シアンの液体は、シアン液体吐出ユニット210Cの着弾位置、すなわち「シアン着弾位置PC」に吐出される。さらに、マゼンタの液体は、マゼンタ液体吐出ユニット210Mの着弾位置、すなわち「マゼンタ着弾位置PM」に吐出される。また、イエローの液体は、イエロー液体吐出ユニット210Yの着弾位置、すなわち「イエロー着弾位置PY」に吐出される。
なお、各液体吐出ユニットが液体を吐出するそれぞれのタイミングは、各液体吐出ユニットに接続されるコントローラ520が制御する。また、コントローラ520は、検出結果等に基づいて、タイミングを制御する。このようなタイミングは、「所定のタイミング」の一例である。
また、液体吐出ユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置されている。複数のローラは、例えば、各液体吐出ユニットを挟んで、上流側と下流側にそれぞれ設置されている。図示する例では、液体吐出ユニットごとに、ローラが各液体吐出ユニットより上流側にそれぞれ設置されている。以下ではこのローラを「第1ローラ」と呼ぶ。また、第1ローラとは別にローラが、各液体吐出ユニットより下流側にそれぞれ設置されている。以下ではこれを「第2ローラ」と呼ぶ。
「第1ローラ」、及び「第2ローラ」によりウェブ120が張架されることで、各液体吐出ユニット210の直下には、ウェブ120が平面状になる部分が形成されている。各液体吐出ユニット210は、このようなウェブ120の平面部に向け、液体の吐出方向に沿って液体を吐出する。このようなウェブ120の平面部は、「記録媒体の面」の一例である。
ウェブ120が搬送される経路は緩やかな円弧状であり、また各液体吐出ユニット210は、平面部の法線方向から液体を吐出するため、液体の吐出方向は、液体吐出ヘッド毎で少しずつ異なる方向となる。
「第1ローラ」、及び「第2ローラ」によるウェブ120の張架により、搬送に伴うウェブ120のばたつきが抑制されている。なお、ばたつきとは、ウェブ120が、搬送に伴って液体の吐出方向に変位、又は振動することをいう。
第1ローラ及び第2ローラは、それぞれ従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等により回転駆動されるローラであってもよい。
但し、第1ローラ及び第2ローラは、従動ローラ等の回転体に限られない。すなわち、第1ローラ及び第2ローラは、被搬送物を支える支持部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、被搬送物と接する部位が円弧状をした湾曲板等であってもよい。
ウェブ120の所定の箇所に、ブラックの液体を吐出させるため、ブラック着弾位置PKへウェブ120を搬送させるブラック用第1ローラCR1Kが設置されている。これに対して、ブラック着弾位置PKから下流側へウェブ120を搬送させるブラック用第2ローラCR2Kが設置されている。同様に、シアン液体吐出ユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置されている。さらに、マゼンタ液体吐出ユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置されている。また、イエロー液体吐出ユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置されている。
次に、液体吐出ユニットの外形形状の一例を、図3を用いて説明する。まず、(a)は、本実施形態の画像形成装置110の4つの液体吐出ユニット210K~210Yの一例を示す概略平面図である。
図3(a)に示すように、本実施形態の液体吐出ユニットは、ライン型の液体吐出ユニットである。すなわち、液体吐出ユニット210は、記録媒体の搬送方向の上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの液体吐出ユニット210K、210C、210M及び210Yを配置している。液体吐出ユニット210K、210C、210M及び210Yを、以下では、液体吐出ユニット210と総称する場合がある。
また、ブラック(K)の液体吐出ユニット210Kは、本実施形態では、ウェブ120の搬送方向と交差する方向に4つの液体吐出ヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4が千鳥状に配置されている。これにより、画像形成装置110は、ウェブ120の幅方向、すなわち搬送方向と交差する方向の全域に画像を形成することができる。このような液体吐出ユニット210Kは、「記録媒体の面内で搬送方向と交差する幅方向における複数の位置で吐出を行う液体吐出手段」の一例である。なお、他の液体吐出ユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、この例では、4つの液体吐出ヘッドで液体吐出ユニットを構成する例を説明したが、単一の液体吐出ヘッドで、液体吐出ユニットが構成されても良い。
(b)は、液体吐出ユニット210Kのうち、1つの液体吐出ヘッド210K-1の有するノズル210nを示している。(b)に示されているように、ノズル210nは幅方向に配列するように設けられている。
図2に戻り、液体吐出ユニット210毎に、それぞれ搬送方向において上流側に、記録媒体の位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせを検出するパターンセンサ220Y、220M、220C、及び220Kがそれぞれ設置されている。以下では、パターンセンサ220Y、220M、220C、及び220Kを総称してパターンセンサ220と呼ぶ場合がある。このパターンセンサ220には、レーザ又は赤外線等の光を利用する光学センサ等が用いられるのが望ましい。なお、光学センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。さらに、光学センサは、グローバルシャッタであるのが望ましい。グローバルシャッタであると、移動速度が速くても、光学センサは、ローリングシャッタ等と比較して、シャッタタイミングのズレによって発生する、いわゆる画像ズレを少なくできる。
ここで、ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。このようなウェブ120からの拡散反射光により、パターンが形成される。パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点状のパターンである。ウェブ120からの拡散反射光をパターンセンサ220により撮像すると、スペックルパターンを示す画像が得られる。
このようなスペックルパターンは、レーザ光が照射されるウェブ120の領域毎に異なる。従ってスペックルパターンに基づいて、ウェブ120の搬送方向の位置を検出することが可能となる。また所定時間におけるウェブ120の搬送方向の位置の変化を検出し、ウェブ120の搬送方向への移動量、又は搬送速度を検出することができる。
なお、このスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、反射されるレーザ光が相互に干渉して、生成されるものである。
ウェブ120に光を照射する光源は、レーザ光を用いる装置に限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro-Luminescence)等でもよい。そして、光源の種類によって、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。例えばコヒーレンスが低い光源を用いると、ウェブ120による反射光が干渉せず、スペックルパターンが生じない場合があるが、その場合はウェブ120の地模様、或いは地紋を撮像したり、予めウェブ120に印字したマークを用いたりしてもよい。以下、本実施形態では、パターンがスペックルパターンである例で説明する。
一方で、液体吐出ユニット210毎に、それぞれ搬送方向において上流側に、吐出方向における各液体吐出ユニットとウェブ120の距離を検出するための距離センサ230Y、230M、230C、及び230Kが配置されている。以下では、距離センサ230Y、230M、230C、及び230Kを総称して距離センサ230と呼ぶ場合がある。
本実施形態では、パターンセンサ220により、ウェブ120の搬送方向の移動量等を検出し、また距離センサ230により、吐出方向におけるウェブ120と液体吐出ユニット210の距離を検出している。そして、これらの検出結果に基づき、液体吐出ユニット210により液体を吐出するタイミングを調整している。なお以下では、「吐出方向におけるウェブ120と液体吐出ユニット210の距離」を、単に「距離」と呼ぶ場合がある。
パターンセンサ220と距離センサ230とを有する装置を、検出装置300と呼ぶ。以下に、検出装置300のハードウェア構成、機能構成等を説明する。
<検出装置の構成>
図4は、本実施形態の検出装置300を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。検出装置300は、処理部300Aと、I/F(Interface)301と、シャッタ駆動回路302と、移動量取込回路303と、光源駆動回路304と、距離信号取込回路305と、I/O(Input / Output)309とを有している。また検出装置300は、パターンセンサ220と、距離センサ230と、コントローラ520と、張力検出手段240と、外部記憶装置241とに接続されている。
処理部300Aは、CPU(Central Processing Unit)306と、ROM(Read Only Memory)307と、RAM(Random Access Memory)308とを有している。
CPU306は、検出装置300の全体の制御を統括する。ROM307は、CPU306に、本実施形態に係わる処理を実行させるためのプログラムと、その他の固定データを格納している。RAM308は、移動量データや距離信号データ等を一時格納する。I/F301は、画像形成装置110のコントローラ520に対し、データ及び信号の送受を行う。
I/O309は、張力検出手段240の出力を入力する。またI/O309は、USB(Universal Serial Bus)等の外部記憶装置241に接続され、外部記憶装置241に対し、データの入出力が可能となっている。
シャッタ駆動回路302は、例えば、入力された制御信号に従って、パターンセンサ220の有する光学センサのシャッタを開閉するために、駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。シャッタ駆動回路302は、パターンセンサ220Y~Kのそれぞれが有するシャッタを駆動する。
移動量取込回路303は、例えば、入力された制御信号に従って、パターンセンサ220が取得した移動量データを取り込むために、駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。移動量取込回路303は、パターンセンサ220Y~Kのそれぞれが取得する移動量データを取り込む。
光源駆動回路304は、例えば、入力された制御信号に従って、距離センサ230における光源の点灯/消灯を行うために、駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。光源駆動回路304は、距離センサ230Y~Kのそれぞれが有する光源を点灯/消灯させる。
距離信号取込回路305は、例えば、入力された制御信号に従って、距離センサ230により取得される距離信号を取り込むために、駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。距離信号取込回路305は、距離センサ230Y~Kのそれぞれにより取得される距離信号を取り込む。
処理部300Aは、シャッタ駆動回路302を通じてトリガ信号をパターンセンサ220に出力し、撮像素子504がシャッタを切るタイミングを制御する。また処理部300Aは、光源駆動回路304を通じてトリガ信号を距離センサ230に出力し、光源231による光の照射を制御する。さらに、処理部300Aは、パターンセンサ220から移動量データを、また距離センサ230から距離信号を、それぞれ取得するように、移動量取込回路303、及び距離信号取込回路305を制御する。移動量データと距離信号は、それぞれRAM308に入力される。
なお、本実施形態では、検出装置300を、画像形成装置110のコントローラ520とは別に構成した例を示したが、これに限定されない。検出装置300の機能の一部、又は全部を画像形成装置110のコントローラ520が備える構成にしてもよい。
またCPU306で行う処理の一部、又は全部を、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の電子回路で実現してもよい。
次に、本実施形態のパターンセンサ220について、図5を参照して説明する。図5は、本実施形態のパターンセンサ220の構成の一例を説明する図である。
パターンセンサ220は、ウェブ120に対して光源から光を照射した場合に形成されるスペックルパターンを撮像する。また撮像したスペックルパターンに基づく相互相関演算処理によりウェブ120の移動量を算出し、出力する。
具体的には、パターンセンサ220は、半導体レーザ501と、コリメート光学系502と、テレセントリック光学系503と、撮像素子504とを有している。また、パターンセンサ220は、FPGA505と、メモリ506とを有している。
半導体レーザ501は、ウェブ120における検出領域120aに、コリメート光学系502を介して、コリメートされたレーザ光を照射する。テレセントリック光学系503は、検出領域120aで拡散反射されたレーザ光で形成されるスペックルパターンを、撮像素子504の撮像面に結像させる。
撮像素子504は、2次元配列された画素を有し、各画素は受光量に応じた電圧信号を出力する。撮像素子504は、撮像面に結像されたスペックルパターンを撮像する。
例えば撮像素子は、時刻「TM1」と、時刻「TM2」との各々において、スペックルパターンを撮像する。そして、時刻「TM1」で撮像されたスペックルパターンと、時刻「TM2」で撮像されたスペックルパターンは、メモリ506に記憶される。FPGA505は、メモリ506にアクセスし、相互相関演算を実行し、相関ピーク位置の移動に基づいて、時刻「TM1」から時刻「TM2」までに、ウェブ120が移動した移動量を算出し、出力する。なお、相関演算の詳細は、後述する。
図5の例では、パターンセンサ220のサイズは、幅W×奥行きD×高さHは、15×60×32[mm]とする例である。
次に、本実施形態の距離センサ230について説明する。
はじめに、ウェブ120の波打ちについて説明する。ウェブ120は、液体等の水分を吸収することで膨潤し、表面が波打ったような形状になる場合がある。このように波打った形状を、波打ちと称する。
波打ちは、水分が吸収される箇所に応じ、ウェブ120の任意の箇所に局所的に発生する。「局所的に発生する」とは、ウェブ120の搬送方向、及び幅方向における一部の箇所に発生することを示す。波打ちにより、ウェブ120と液体吐出ユニット210の吐出方向における距離が変化する、すなわち距離に誤差が生じる。そのため波打ちは、液体吐出ユニット210から吐出された液体のウェブ120上での着弾位置ずれの原因となる。
波打ちは、例えばウェブ120の両面に画像形成する場合に、オモテ面の画像形成で印字濃度が高い、すなわちウェブ120に吐出した液体の量が多い場合等に発生する。吐出した液体の量に応じ、ウェブ120が吸収する水分の量が増えるからである。そして、裏面において、オモテ面で波打ちが発生した箇所に画像形成する場合に、波打ちによるウェブ120と液体吐出ユニット210の吐出方向における距離の誤差が問題となる場合がある。
なお、水分が吸収される箇所に応じ、ウェブ120の任意の箇所に局所的に発生する波打ちは、「記録媒体の波打ち」の一例である。
本実施形態では、このような波打ちに伴うウェブ120と液体吐出ユニット210の吐出方向における距離を、距離センサ230により検出している。
図6は、本実施形態の距離センサ230の構成と出力信号の一例を説明する図である。(a)は、距離センサ230の構成の一例を示している。(a)において、距離センサ230は、光源231と、投光レンズ232と、受光レンズ233と、撮像素子234とを有している。光源231は、例えば赤外光を照射する半導体レーザがX方向、すなわちウェブ120の幅方向に配列された半導体レーザアレイである。
投光レンズ232は、幅方向にはレンズパワーを有さず、Y方向、すなわちウェブ120の搬送方向にのみレンズパワーを有するシリンドリカルレンズである。受光レンズ233も同様に、幅方向にはレンズパワーを有さず、搬送方向にのみレンズパワーを有するシリンドリカルレンズである。
撮像素子234は、X、及びY方向に2次元配列された画素を有し、各画素は受光量に応じた電圧信号を出力する。撮像素子は、例えばCCD、CMOSが用いられる。但し2次元PSD(Position Sensing Device)等を用いても構わない。
光源231から出射された光は、投光レンズ232により、搬送方向にのみ収束され、ウェブ120の表面に、幅方向と平行なライン状の光として照射される。収束光のウェブ120の表面での拡散反射光は、受光レンズ233により搬送方向にのみ収束され、撮像素子234の撮像面でライン状の像になる。ライン状の像は、撮像素子234により撮像され、出力される。このようなライン状の像が、距離を検出するための距離信号となる。
(b)は、使用状態における距離センサ230の外観の斜視図である。(a)に示した構成は、距離センサ230の筐体内に設置されている。距離センサ230は、長手方向がウェブ120の幅方向に対して平行になるように配置され、幅方向に伸びるライン状の光が、距離の検出領域120bに照射されている。
光源231は、ウェブ120の幅方向において、画像形成の有効領域全体にライン状の光を照射可能な半導体レーザアレイである。すなわち、半導体レーザが、画像形成の有効領域全体にライン状の光を照射可能な長さに配列されている。
撮像素子234でも同様に、幅方向において画像形成の有効領域全体のライン状の像を撮像可能な長さに、画素が配列されている。ウェブ120の幅が広い場合は、複数の2次元撮像素子を、幅方向に配列させて距離センサ230を構成してもよい。なお、投光レンズ232、及び受光レンズ233も同様に、複数のシリンドリカルレンズを幅方向に配列させて構成してもよい。
上記のような距離センサ230は、幅方向に配列された画素毎で、Z方向、すなわち吐出方向におけるウェブ120と液体吐出ユニット210の距離を検出可能である。つまり距離センサ230は、幅方向の所定の位置で、このような距離を検出することができる。従って、ウェブ120の幅方向の任意の箇所に局所的に発生する波打ちに伴うウェブ120と液体吐出ユニット210の吐出方向における距離を、距離センサ230は検出することができる。距離センサ230が有する画素は、「幅方向に配列された複数の画素」の一例であり、距離センサ230は、「各画素の出力に基づき、幅方向における所定の位置で距離を検出する距離検出手段」の一例である。
なお、図では距離センサ230はウェブ120の上側に配置されているが、実際にはウェブ120の上側には、液体吐出ユニット210が配置され、距離センサ230は、ウェブ120の下側、すなわち裏面側に配置される。ウェブ120のオモテ面は、液体が吐出される面の一例であり、裏面は「記録媒体の液体が吐出される面の裏面」の一例である。
液体の吐出方向における裏面側でのウェブ120の位置の変化と、オモテ面側でのウェブ120の位置の変化が等価である場合、距離センサ230により、距離センサ230とウェブ120の距離を検出することで、吐出方向における液体吐出ユニット210とウェブ120の距離を検出することができる。つまり、記録媒体の液体が吐出される面の裏面と、距離センサ230の吐出方向における距離に基づき、吐出方向における液体吐出ユニット210とウェブ120の距離を検出することができる。
例えば、投光レンズ232の主平面からウェブ120の表面までの距離がLからLaに変化した場合、ウェブ120の表面での拡散反射光によるライン状の像の撮像素子234での位置は、搬送方向にdだけずれる。投光レンズ232からウェブ120の表面までの吐出方向の距離の変化L-Laは、受光レンズ233の主平面から撮像素子234までの距離Bと、投光レンズ232と受光レンズ233の間隔Uと、ライン状の拡散反射光の結像位置ずれdから次の(1)式を用いて算出することができる。
(1)
液体吐出ユニット210とウェブ120の吐出方向の距離において、基準となる距離L0の長さを予め把握しておけば、撮像素子234の出力から、距離センサ230とウェブ120の吐出方向の距離を検出することができる。
(c)は、距離センサ230から出力される距離信号の一例を説明する図である。横軸は2次元撮像素子のX座標を示し、ウェブ120の幅方向の位置を表している。縦軸は2次元撮像素子のY座標を示し、ウェブ120の反射光の搬送方向における位置を表している。(c)に例示する距離信号のデータが、所定の時間間隔で、距離センサ230により取得される。距離センサ230によるデータ取得の時間間隔は、波打ち箇所の搬送方向における大きさを検出可能なものであることが望ましい。つまり距離センサ230によるデータ取得の時間間隔は、波打ち箇所の搬送方向における大きさをウェブ120の搬送速度で除して算出される時間より、短い時間間隔であることが望ましい。
(c)において、位置X1では、ウェブ120の表面が吐出方向に局所的にへこんでいることで、反射光による像の位置が、搬送方向の基準位置370から-d1だけずれている。また位置X2ではウェブ120の表面が吐出方向に局所的に突出していることで、反射光による像の位置が、搬送方向の基準位置370から+d2だけずれている。このような信号が距離センサ230から出力され、距離信号として距離信号取込回路305により取り込まれる。CPU306は、取り込まれた距離信号を受け取り、上記の(1)式に基づき、幅方向の位置毎で、液体吐出ユニット210とウェブ120の吐出方向の距離を算出する。
なお、吐出方向の距離の算出においては、搬送方向の基準位置370からのずれ量に対し、予め閾値を設けておき、閾値を超えた幅方向の位置においてのみ、吐出方向の距離の算出を行うことにしてもよい。このようにすることで、幅方向の全ての位置で吐出方向の距離の算出を行う場合と比較して、演算の負荷を抑制できる。
なお図6の(a)では、ウェブ120の法線方向から光を照射し、法線方向に対し傾いた方向から拡散反射光を受光する構成を示したが、これに限定されない。例えば、ウェブ120の法線方向に対して、光源231による光の照射方向を-45度傾け、ウェブ120での正反射光を+45度方向から受光する構成としてもよい。
以上説明したハードウェア構成によって、検出装置300は、次に説明する機能構成を実現することができる。
本実施形態の検出装置300の機能構成の一例を、図7のブロック図を参照して説明する。なお、各色の液体吐出ユニットのうち、ブラック液体吐出ユニット210K及びシアン液体吐出ユニット210Cの組み合わせを例に説明する。また、搬送方向の移動量の検出では、ブラック液体吐出ユニット210K用の検出部351Aが「A位置」に係る検出結果を出力し、シアン液体吐出ユニット210C用の検出部351Bが「B位置」に係る検出結果を出力する例で説明する。
図7において、検出装置300は、搬送方向移動量検出部351と、吐出方向距離検出部361と、タイミング調整部380とを有している。
搬送方向移動量検出部351は、ブラック液体吐出ユニット210K用の検出部351Aと、シアン液体吐出ユニット210C用の検出部351Bと、計算部357とを有している。搬送方向移動量検出部351は、検出部351Aと検出部351Bの出力からウェブ120の搬送方向の移動量を検出する。
ブラック液体吐出ユニット210K用の検出部351Aは、撮像部352Aと、撮像制御部353Aと、データ記憶部356Aとを有している。シアン液体吐出ユニット210C用の検出部351Bは、検出部351Aと同様の構成であり、撮像部352Bと、撮像制御部353Bと、データ記憶部356Bとを有している。以下、検出部351Aを例に説明する。
撮像部352Aは、搬送方向に搬送されるウェブ120からの拡散反射光により形成されるスペックルパターンを撮像する。なお、撮像部352Aは、例えば、パターンセンサ220Kの有する撮像素子504等によって実現される。
撮像制御部353Aは、シャッタ制御部354A、データ取込部355Aを有する。シャッタ制御部354Aは、撮像部352Aが撮像するタイミングを制御する。データ取込部355Aは、撮像部352Aによって撮像される画像データを取り込む。なお、シャッタ制御部354Aは、例えば、CPU306とシャッタ駆動回路302等によって実現される。またデータ取込部355Aは、例えば、パターンセンサ220Kの有するFPGA等によって実現される。
データ記憶部356Aは、撮像部352Aが取り込んだ画像データを記憶する。データ記憶部356Aは、例えば、メモリ506等により実現される。
計算部357は、データ記憶部356A、及び356Bに記憶される第1画像データD1、及び第2画像データD2に基づいて、搬送方向におけるウェブ120の移動量誤差ΔS、又は移動速度誤差、或いはウェブ120が有するパターンの位置誤差の何れか少なくとも1つを算出し、タイミング調整部380に出力する。計算部357のこのような算出機能は、FPGA505等により実現される。移動量等の算出処理については、別途詳述する。
また、計算部357は、シャッタ制御部354Aに、シャッタタイミングを示す時差tのデータを出力する。すなわち、計算部357は、「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とが時差tで、それぞれ撮像されるように、シャッタタイミングをシャッタ制御部354Aに与える。また、計算部357は、算出される移動速度となるようにウェブ120を搬送させるモータ等を制御してもよい。計算部357のこのような制御機能は、例えば、CPU306等により実現される。
一方、吐出方向距離検出部361は、撮像部362と、光源制御部364と、データ取込部365と、計算部366とを有している。吐出方向距離検出部361は、各色の液体吐出ユニットとウェブ120との吐出方向における距離を算出し、出力する。以下、ブラック液体吐出ユニット210Kとウェブ120の吐出方向における距離の検出を例に説明する。なお、各色の液体吐出ユニット210とウェブ120の吐出方向における距離の検出においても同様である。
光源制御部364は、搬送方向に搬送されるウェブ120に照射するライン状の光の点灯、及び消灯を制御する。光源制御部364は、例えば、CPU306と、光源駆動回路304等により実現される。
撮像部362は、搬送方向に搬送されるウェブ120からの反射光によるライン状の像を撮像する。撮像部362は、例えば、距離センサ230の有する撮像素子234等により実現される。
データ取込部365は、撮像部362により撮像される画像データを、距離信号として取り込む。データ取込部365は、例えば、CPU306等により実現される。
計算部366は、データ取込部365により取り込まれた距離信号Imに基づき、液体吐出ユニットとウェブ120との吐出方向における距離の基準からのずれが大きい箇所の位置Xiと、位置Xiでの距離Liを算出する。計算部366は、位置Xiと距離Liを、タイミング調整部380に出力する。計算部366は、例えばCPU306等により実現される。距離Liの算出等については、別途詳述する。なお、吐出方向距離検出部361は、「吐出方向における記録媒体と液体吐出手段の距離を検出する距離検出手段」の一例である。
タイミング調整部380は、搬送方向移動量検出部351、及び吐出方向距離検出部361それぞれの出力に基づき、液体吐出ユニット210K、及び210Cにおける液体の吐出タイミングを調整する。タイミング調整部380は、以下で詳述するコントローラ520の有するCPU72Cp等により実現される。なお、タイミング調整部380は、「液体を吐出するタイミングを調整するタイミング調整手段」の一例である。
<制御装置の構成>
次に、本実施形態の制御装置であるコントローラ520の構成の一例を、図8~10を参照して説明する。
図8は、本実施形態のコントローラ520のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。この制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、画像データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御する。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD-C、70LD-M、70LD-Y及び70LD-K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図9は、本実施形態のコントローラ520が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である場合において、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD-Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図10は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ユニットであるブラック液体吐出ユニット210K、シアン液体吐出ユニット210C、マゼンタ液体吐出ユニット210M及びイエロー液体吐出ユニット210Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ユニットを制御してもよい。
なお、図8に示すプリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ユニットによって、それぞれブラック用の液体が吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ecは、ウェブ120を搬送させるモータ、機構及びドライバ装置等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
なお、コントローラ520は、画像形成装置110の1号機と2号機の両者を制御する。
<搬送方向移動量等の検出処理>
次に、搬送方向移動量検出部351による搬送方向移動量の検出処理の一例を、図7、及び図11~13を参照して説明する。
図7において、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120の反射光によるスペックルパターンも一緒に搬送方向に移動する。そのため、同一のスペックルパターンを異なる場所で異なる時間に検出すると、スペックルパターンの搬送方向への移動量が求められる。スペックルパターンの移動量から、計算部357は、ウェブ120の搬送方向における移動量を算出することができる。また、単位時間当たりの移動量に換算することで、計算部357は、搬送方向におけるウェブ120の移動速度を算出することができる。
具体的には、図7に示すように、撮像部352Aと撮像部352BがY方向、すなわち搬送方向において一定の距離Sをおいて設置されている。つまり搬送方向における[A位置]と[B位置]との間の距離は、距離Sと等しい。またウェブ120は、所定の搬送速度Vで搬送されているとする。
まず、任意のタイミングで、シャッタ制御部354Aは、ウェブ120の反射光によるスペックルパターンを、撮像部352Aに撮像させる。次に、撮像部352Aによる撮像から時間T=S/Vが経過した後で、シャッタ制御部354Bは、ウェブ120の反射光によるスペックルパターンを、撮像部352Bに撮像させる。
移動量に誤差がなければ、撮像部352Aによるスペックルパターンと、撮像部352Bによるスペックルパターンとは全く同じになり、時間Tにおけるウェブ120の移動量は、距離Sと一致する。しかし、搬送速度の誤差等で移動量に誤差が生じると、誤差に応じて撮像部352Bによるスペックルパターンが、撮像部352Aによるスペックルパターンに対して搬送方向にずれる。このずれが移動量誤差に該当する。
計算部357は、移動量誤差ΔSを、撮像部352Aによるスペックルパターンと撮像部352Bによるスペックルパターンの相互相関演算により算出し、タイミング調整部380に出力する。タイミング調整部380は、ΔS/Vにより算出されるタイミングΔtSだけ液体吐出ユニット210Cによる吐出のタイミングをずらすように調整する。これにより、液体吐出ユニット210Cによる液体の着弾位置ずれに対する移動量誤差ΔSの影響が補正される。
また移動量誤差ΔSを単位時間当たりの距離に換算すれば、ウェブ120の搬送速度誤差を求めることが可能である。また基準位置を決めておけば、移動量誤差ΔSから基準位置に対する位置誤差を求めることができる。例えば[B位置]を基準位置とした時、上記の場合、ウェブ120はΔSだけの位置誤差を有することになる。
このように、スペックルパターンに基づいて、画像形成装置110は、精度良く、搬送方向における位置、移動量及び移動速度又はこれらの組み合わせを求めることができる。なお、検出装置300は、搬送方向における位置、移動量及び移動速度のうち、いずれか複数を組み合わせて出力してもよい。
なお、パターンセンサ220は、ウェブ120の幅方向の位置等を検出してもよい。言い換えると、パターンセンサ220は、搬送方向及び幅方向のそれぞれの位置を検出するのに兼用されてもよい。兼用することで、各方向の位置検出のためにそれぞれパターンセンサを設けた場合と比較してコストを低減できる。また、パターンセンサの数の減少により、省スペース化を図ることもできる。
次に、検出部351A及び351Bによって撮像される第1画像データD1及び第2画像データD2に基づき、計算部357が実行する相互相関演算処理の詳細を説明する。以下、相互相関演算によって生成される画像を「相関画像」という。例えば、計算部357は、相関画像に基づいて、ずれ量ΔDを計算する。
例えば、相互相関演算は、下記(2)式で示す計算である。
D1★D2*=F-1[F[D1]・F[D2]*] (2)
なお、上記(2)式において、第1画像データD1、すなわち、「A位置」で撮像される画像を示す画像データを「D1」とする。同様に、上記(2)式において、第2画像データD2、すなわち、「B位置」で撮像される画像を示す画像データを「D2」とする。さらに、上記(2)式において、フーリエ変換を「F[]」で示し、逆フーリエ変換を「F-1[]」で示す。さらにまた、上記(2)式において、複素共役を「*」で示し、相互相関演算を「★」で示す。
上記(2)式に示すように、第1画像データD1及び第2画像データD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、相関画像を示す画像データが、得られる。なお、第1画像データD1及び第2画像データD2が2次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、2次元画像データとなる。また、第1画像データD1及び第2画像データD2が1次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、1次元画像データとなる。
なお、相関画像において、例えば、ブロードな輝度分布が問題となる場合には、位相限定相関法が用いられてもよい。位相限定相関法は、例えば、下記(3)式で示す計算である。
D1★D2*=F-1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]] (3)
なお、上記(3)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
このようにすると、計算部357は、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づいて、ずれ量ΔDを計算できる。
なお、ずれ量ΔDの単位は画素数であるため、ずれ量ΔDに、撮像素子504の搬送方向の1画素あたりの画素サイズを乗じ、テレセントリック光学系503の光学倍率で除すことで、移動量誤差ΔSに換算できる。
図11は、本実施形態の相互相関演算処理の機能構成の一例を示すブロック図である。例えば、計算部357は、図示するような機能構成によって、相互相関演算を行うと、パターンセンサ220の位置におけるウェブの移動量、移動速度、相対位置、又はこれらの組み合わせ等を演算することができる。
具体的には、計算部357は、第1の2次元フーリエ変換部FT1と、第2の2次元フーリエ変換部FT2と、相関画像データ生成部DMKと、ピーク位置探索部SRと、演算部CALと、変換結果記憶部MEMとを有している。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1aと、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bとを有している。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2aと、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bと、複素共役部FT2cとを有している。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKaと、2次元逆フーリエ変換部DMKbとを有している。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、検出部は、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図12は、本実施形態の相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SRは、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図13は、本実施形態の相互相関演算の演算結果の一例を説明する図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SRによって探索される。
なお、図では、搬送方向に変動がある例を説明したが、幅方向に変動がある場合には、ピーク位置は、幅方向にもずれた位置に発生する。
図11に戻り、演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を計算できる。
以上のようにして、検出部は、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、検出部は、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、計算部357は、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、検出部は、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、検出部は、相対位置を検出してもよい。
また、計算部357は、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、検出部は、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
<吐出方向の距離検出処理>
次に、吐出方向距離検出部361による吐出方向の距離検出処理を、図14を参照して説明する。(a)は、検出処理の機能構成の一例を示し、(b)は、距離センサ230から出力される距離信号Imの一例を示している。(b)は、図6(c)と同様に、横軸は2次元撮像素子のX座標を示し、ウェブ120の幅方向の位置を表している。縦軸は2次元撮像素子のY座標を示し、ウェブ120からの反射光の搬送方向の位置を表している。
(a)において、計算部366は、二値化処理部367と、搬送方向ずれ閾値判定部368と、搬送方向ずれ量算出部369とを有している。距離信号Imは、二値化処理部367に入力される。距離信号Imは、(b)に示すようなウェブ120による反射光によるライン状の像である。画素輝度の値に対する二値化処理により、距離信号Imにおいて、ライン状の像の部分のみを抽出できる。つまりライン状の像の部分のみが有効データとされ、他は無効データとされる。
二値化処理された距離信号は、搬送方向ずれ閾値判定部368に入力される。搬送方向ずれ閾値判定部368は、搬送方向のずれ量が閾値を超える部分を抽出する。例えば(b)において、破線は搬送方向のずれの閾値371である。例えば、搬送方向の基準位置370の座標をY0とした場合、上側の破線の座標は、正方向の閾値Y0+ΔYで、下側の破線の座標は、負方向の閾値Y0-ΔYとなる。(b)の例では、位置X3での出力が閾値を超えているため、閾値を超える出力のみが有効データとされ、他は無効データとされる。
搬送方向ずれ閾値判定部368で処理された距離信号は、搬送方向ずれ量算出部369に出力される。搬送方向ずれ量算出部369は、有効データのうち、Y座標が最大の座標値から、搬送方向ずれ量d3を取得する。ずれ量d3の単位は画素数であるため、ずれ量d3に、撮像素子234の搬送方向の1画素あたりの画素サイズを乗じ、受光レンズ233の光学倍率で除すと、長さの単位に換算される。これを(1)式に代入することで距離L3が算出される。
(b)の例によれば、計算部366から出力される位置Xi、及び距離Liは、それぞれ位置X3、及び距離L3となる。なお、(b)は、搬送方向ずれの閾値を超える部分が1箇所のみの例を示したが、閾値を超える部分が複数あれば、複数のXi、及びLiが出力される。
計算部366による処理は、上記に限定されず、例えば移動平均化処理や細線化処理といった前処理を実行する等してもよい。
タイミング調整部380は、計算部366の出力である位置X3、及び距離L3が入力されると、幅方向の位置X3での吐出において、距離L3に応じて液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを調整する。例えば、ウェブ120から液体吐出ユニット210までの距離の基準を距離L0とすると、距離誤差ΔLはL3―L0となる。また液体の飛翔速度をv0とすると、距離誤差ΔLに伴う飛翔時間変化ΔtLは、ΔL/v0となる。この飛翔時間変化ΔtLの分だけ液体のウェブ120における着弾位置がずれる。ウェブ120の搬送速度がVの場合、着弾位置ずれは、V・ΔtLとなる。
従って、タイミング調整部380は、位置X3での液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを飛翔時間変化ΔtLだけずらすように調整する。例えば、飛翔時間変化ΔtLが正の値、つまり飛翔時間が長くなる場合は、液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを飛翔時間変化ΔtLだけ早める。これにより、飛翔時間変化がない場合に対し、同じ位置に液体を着弾させることができる。つまり液体吐出ユニット210Cによる液体の着弾位置ずれに対する距離誤差ΔLの影響が補正される。
ここで、「センサが設置される位置」は、検出等が行われる位置を指す。したがって、「センサが設置される位置」に、検出装置等の装置がすべて設置される必要はなく、ケーブル等で接続されたり、センサ以外の装置が、他の位置に設置されたりしてもよい。
距離センサ230が設置される位置は、液体吐出ユニット210により吐出された液体の着弾位置に近い位置であることが望ましい。着弾位置と距離センサ230との距離が短くなることで、距離の検出誤差を低減できるためである。
液体吐出ユニット210により吐出された液体の着弾位置に近い位置は、具体的には、各第1ローラ及び各第2ローラの間である。例えば図2の例では、距離センサ230Kは、ブラック用ローラ間距離INTK1に設置されることが望ましい。他の距離センサ230C、230M、及び230Yについても同様である。
さらに、距離センサ230が設置される位置は、各ローラ間において、着弾位置より第1ローラに近い位置、つまり着弾位置より上流側であることが望ましい。検出後に吐出タイミングを調整する時間を確保できるためである。
具体的には、距離センサ230Kが設置される位置は、ブラック着弾位置PKから上流側に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間であることが望ましい。なお、ブラック着弾位置PKから上流側に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間を、以下では「ブラック用上流区間INTK2」と呼ぶ。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2に、距離センサ230が設置されると、調整のための時間が確保される。そのため、タイミング調整部380は、ウェブ120と液体吐出ユニット210との距離を検出後、検出結果に応じて確実に吐出タイミングを調整することができる。
距離センサ230の位置は、例えば、液体吐出ユニット210のそれぞれの直下等でもよい。距離センサ230が直下に近いほど、距離センサ230による距離の検出の精度が上がるため、検出後に吐出タイミングの調整ができる範囲内で、距離センサ230は、液体吐出ユニット210の直下に近い位置にあることが望ましい。
但し、距離センサ230は、必ずしも液体吐出ユニット210の直下に限定されない。直下にない場合でも、同様の計算が行われるが、吐出タイミングについては、液体吐出ユニット210の直下に対する距離センサ230の離間距離が考慮されて算出される。
また、誤差が許容できるのであれば、距離センサ230の位置は、液体吐出ユニットのそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、液体吐出ユニット210の直下より下流となる位置等でもよい。
<全体処理例>
次に、本実施形態の画像形成装置による処理の一例を、図15のフローチャートを参照して説明する。
図15は、ブラック液体吐出ユニット210K、及びシアン液体吐出ユニット210Cそれぞれによる吐出において、吐出方向の距離誤差ΔLK、及びΔLCの影響を除去するための処理を示している。つまり、吐出方向の距離誤差ΔLK、及びΔLCに起因する液体のウェブ120への着弾位置ずれを補正するために、ブラック液体吐出ユニット210K、及びシアン液体吐出ユニット210Cそれぞれの液体吐出のタイミングΔtLK、及びΔtLCを算出し、調整する処理が示されている。
また図15は、ウェブ120がブラック液体吐出ユニット210Kを通過するタイミングを搬送方向の移動量の基準とし、シアン液体吐出ユニット210Cによる吐出において、搬送方向の移動量誤差ΔSCの影響を除去するための処理を示している。つまり、搬送方向の移動量誤差ΔSCに起因する液体のウェブ120への着弾位置ずれを補正するために、シアン液体吐出ユニット210Cの液体吐出のタイミングΔtSCを算出し、調整する処理が示されている。
さらに図15の処理においては、距離センサ230Kの設置位置は、一例として、ブラック液体吐出ユニット210Kの直下から上流側に(INTK2)/5だけずれた位置としている。また距離センサ230Cの設置位置は、一例として、シアン液体吐出ユニット210Cの直下から上流側に(INTC2)/5だけずれた位置としている。
さらに、パターンセンサ220Kの設置位置は、一例として、ブラック液体吐出ユニット210Kの直下から上流側に(INTK2)/3だけずれた位置としている。またパターンセンサ220Cの設置位置は、一例として、シアン液体吐出ユニット210Cの直下から上流側に(INTC2)/3だけずれた位置としている。ウェブ120の搬送速度はVとしている。
なお、図15では、ブラックとシアンの液体吐出ユニットに対する例を示すが、他の色の液体吐出ユニットにおいても、図15に示す処理と同様の処理が、並列又は前後して別途行われるものとする。
まずステップS1501において、吐出方向距離検出部361は、距離LKiを検出する。つまり撮像部362で撮像し、取得した距離信号ImKに基づき、計算部366は距離LKiを算出する。算出されたLKiは、幅方向における位置XKiとともに、タイミング調整部380に出力される。なお、iは幅方向における複数の位置で、距離LKiが検出され得ることを想定した添え字である。
続いてステップS1503において、タイミング調整部380は、距離LKiに基づき、距離誤差ΔLKiを算出し、着弾ずれを補正するタイミングΔtLKiを算出する。
続いてステップS1505において、タイミング調整部380は、タイミングΔtLKiに基づき、XKiの位置での液体吐出ユニット210Kの吐出のタイミングを調整する。この場合、距離センサ230Kは、液体吐出ユニット210Kの直下に対し、(INTK2)/5だけずれた位置に設置されているため、タイムラグを考慮してタイミング調整する。つまり、タイミングΔtLKを検出後、(INTK2)/(5・V)で算出される時間の経過後の吐出に対し、吐出のタイミングを調整する。また幅方向における複数の位置で、距離誤差ΔLKが検出された場合は、各位置の吐出において吐出のタイミングを調整する。
続いてステップS1507において、搬送方向移動量検出部351は、移動量誤差ΔSCを検出する。つまり検出部351Aと検出部351Bで取得した第1画像データD1と第2画像データD2に基づき、計算部357が移動量誤差ΔSCを算出する。算出された移動量誤差ΔSCは、タイミング調整部380に出力される。
続いてステップS1509において、吐出方向距離検出部361は、距離LCiを検出する。つまり撮像部362で撮像し、取得した距離信号ImCに基づき、計算部366は距離LCiを算出する。算出されたLCiは、幅方向における位置XCiとともに、タイミング調整部380に出力される。なお、iの意味は上記と同様である。
続いてステップS1511において、タイミング調整部380は、移動量誤差ΔSCに起因する着弾ずれを補正するタイミングΔtSCを算出する。
続いてステップS1513において、タイミング調整部380は、距離LCiに基づき、距離誤差ΔLCiに起因する着弾ずれを補正するタイミングΔtLCiを算出する。
続いてステップS1515において、タイミング調整部380は、タイミングΔtSCに基づき、液体吐出ユニット210Cの吐出のタイミングを調整する。この場合、パターンセンサ220Cは、液体吐出ユニット210Cの直下に対し、(INTC2)/3だけずれた位置に設置されているため、タイムラグを考慮してタイミング調整する。つまり、タイミングΔtSCを検出後、(INTC2)/(3・V)で算出される時間の経過後の吐出に対し、吐出のタイミングを調整する。
続いてステップS1517において、タイミング調整部380は、タイミングΔtLCiに基づき、XCiの位置での液体吐出ユニット210Cの吐出のタイミングを調整する。この場合、距離センサ230Cは、液体吐出ユニット210Cの直下に対し、(INTC2)/5だけずれた位置に設置されているため、タイムラグを考慮してタイミング調整する。つまり、タイミングΔtLCを検出後、(INTC2)/(5・V)で算出される時間の経過後の吐出に対し、吐出のタイミングを調整する。また幅方向における複数の位置で、距離誤差ΔLCが検出された場合は、各位置の吐出において吐出のタイミングを調整する。
以上の処理により、ウェブ120の移動量誤差と、ウェブ120と液体吐出ユニット210までの距離誤差のそれぞれの着弾位置ずれへの影響が補正される。
次に、図16は、本実施形態の画像形成装置による処理の一例を示すタイミングチャートである。
図16において、ウェブ120は、Y方向、すなわち搬送方向に、搬送速度Vで搬送されている。ブラック液体吐出ユニット210Kの直下に対し、搬送方向に、(INTK2)/3だけ離れた位置にパターンセンサ220Kが、また(INTK2)/5だけ離れた位置に距離センサ230Kが、それぞれ設置されている。同様にシアン液体吐出ユニット210Cの直下に対し、搬送方向に、(INTC2)/3だけ離れた位置にパターンセンサ220Cが、また(INTC2)/5だけ離れた位置に距離センサ230Cが、それぞれ設置されている。ブラック液体吐出ユニット210Kとシアン液体吐出ユニット210Cは、搬送方向において、距離Sだけ離れて設置されている。
信号PKは、ブラック液体吐出ユニット210Kの位置でのパターンセンサ220K、及び距離センサ230Kのデータ取込のトリガ信号を示し、信号SIG1は、ブラック液体吐出ユニット210Kによる吐出のトリガ信号を示している。また信号PCは、シアン液体吐出ユニット210Cの位置でのパターンセンサ220C、及び距離センサ230Cのデータ取込のトリガ信号を示し、信号SIG2は、シアン液体吐出ユニット210Cによる吐出のトリガ信号を示している。
まずパターンセンサ220Kが画像データDKを取り込み、次に距離センサ230Kが距離信号ImKを取り込む。距離信号ImKに基づき、距離センサ230Kは距離LKを算出し、タイミング調整部380に出力する。タイミング調整部380は、距離LKから距離誤差ΔLKを算出し、タイミングΔtLKを求める。タイミング調整部380は、信号SIG1を、タイミングΔtLKだけずらしてブラック液体吐出ユニット210Kに出力する。これにより距離誤差ΔLKの着弾位置ずれへの影響が補正される。
パターンセンサ220Kがデータを取り込んでから、時間S/Vが経過した後、パターンセンサ220Cが画像データDCを取り込み、次に距離センサ230Cが距離信号ImCを取り込む。距離信号ImCに基づき、距離センサ230Cは距離LCを算出し、タイミング調整部380に出力する。タイミング調整部380は、距離LCから距離誤差ΔLCを算出し、タイミングΔtLCを求める。
一方、画像データDCに基づき、パターンセンサ220Cは移動量誤差ΔSCを算出し、タイミング調整部380は、移動量誤差ΔSCに基づき、タイミングΔtSCを算出する。
タイミング調整部380は、信号SIG2を、タイミングΔtLC+ΔtSCだけずらしてシアン液体吐出ユニット210Cに出力する。これにより距離誤差ΔLK、及び移動量誤差ΔSCの着弾位置ずれへの影響が補正される。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、印刷濃度が高いこと等に起因する波打ちが激しい箇所でも、ウェブ120と液体吐出ユニット210の吐出方向における距離を正確に検出することができる。検出された距離に基づき、液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを調整することで、ウェブ120への液体の着弾位置ずれが補正され、ウェブの波打ちに伴う画質の低下を防止することができる。例えば、オモテ面への画像形成において、印字濃度が高い箇所でウェブ120に波打ちが発生したような場合でも、ウェブの波打ちに伴う画質の低下を防止することができる。
また、本実施形態によれば、波打ちの発生箇所等の局所的な距離誤差、すなわちXY平面において空間周波数の高い距離誤差であっても検出し、その着弾位置ずれへの影響を補正することが可能である。
さらに、本実施形態では、ウェブの幅方向全体の領域を検出可能なライン状の距離センサを用いている。これにより、液体吐出ユニットが幅方向に走査されないライン型装置においても、ウェブ全面において、局所的な波打ちを検出し、その着弾位置ずれへの影響を補正することができる。
また、本実施形態では、ウェブの液体が吐出される面とは反対側の面、すなわちウェブの裏面側の面と距離センサとの距離を検出し、液体吐出ユニットとウェブ表面との距離を検出する。これにより、液体吐出ユニット等の他の構成による設置スペースの制約を受けることなく距離センサを設置することが可能となる。従って、設置スペースの制約を受けることなく、ウェブの波打ちの着弾位置ずれへの影響を補正することができる。
なお、上記ではオモテ面の画像形成における印字濃度で波打ちが発生する場合を一例として挙げたが、これに限定されない。例えば、プロダクションプリンタでは、画質向上を目的に、ウェブの表面を改質等させるための液体を、画像形成に先立ってウェブの全面に塗布する場合がある。液体を塗布した後の乾燥状況等によっては、ウェブに波打ちが発生する場合がある。このような波打ちにも同様に、本実施形態を適用することができる。
他に、上記の先塗用の液体を、ウェブの全面に塗布せずに、専用の液体吐出ヘッド等を用いて局所的に塗布する、所謂先打ちを行う場合においても、ウェブに波打ちが発生する場合がある。このような先打ちによる波打ちにも同様に、本実施形態を適用することができる。
また、上流側の液体吐出ユニットによる印字濃度が高い場合に、印字濃度が高い箇所で波打ちが発生し、下流側の液体吐出ユニットにより吐出された液体の着弾位置がずれる場合も考えられる。例えば、図2に示した構成において、上流側のブラック液体吐出ユニット210Kによる印字濃度によりウェブ120の一部に波打ちが発生する場合がある。このような波打ち箇所が下流側に搬送され、例えばイエロー液体吐出ユニット210Yにより吐出された液体が、波打ち箇所で着弾位置ずれを起こす場合も考えられる。このような場合においても、本実施形態を適用することができる。
一方で、上記では、パターンセンサ220と距離センサ230を併用する例を示したが、距離センサ230のみを用いることも可能である。その場合は、ウェブの移動量誤差による液体の着弾位置ずれは補正されないが、ウェブの波打ちによる液体の着弾位置ずれは上記と同様に補正される。
なお、「波打ち」と「コックリング」は同義である。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の液体を吐出する装置の構成の一例を、図17~18を参照して説明する。本実施形態においても第1の実施形態と同様に、液体を吐出する装置として画像形成装置を例に説明する。また第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、1号機によるオモテ面への画像形成において、印字濃度が高い箇所でウェブに波打ちが発生し、波打ちが発生した箇所を含むウェブの裏面に、2号機で画像形成する場合を想定する。また本実施形態の装置のハードウェア構成は、第1の実施形態で説明した例と同様である。以下では第1の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
第1の実施形態では、吐出方向距離検出部361が、波打ちの発生箇所での液体吐出ユニット210とウェブ120の距離誤差を検出する例を説明したが、上述したように、ウェブ120は搬送に伴い、「ばたつき」を起こす場合がある。なお「ばたつき」とは、上述のように、ウェブ120が搬送に伴って液体の吐出方向に変位、又は振動することをいう。「ばたつき」によっても液体吐出ユニット210とウェブ120の距離に誤差が生じるため、液体吐出ユニットにより吐出された液体の着弾位置がずれる。
一方、「波打ち」と「ばたつき」の違いとして、例えば液体吐出ユニット210とウェブ120の距離誤差が、「波打ち」ではウェブ120の局所で生じるのに対し、「ばたつき」は、ウェブ120の広い領域で生じる点がある。つまりXY平面において、「波打ち」は、距離誤差の空間周波数が比較的高く、「ばたつき」は、距離誤差の空間周波数が比較的低い。
本実施形態では、「波打ち」による距離誤差とともに、「ばたつき」による距離誤差をも検出し、これらの着弾位置ずれへの影響を除去している。また搬送方向における「波打ち」の発生箇所を検知し、「波打ち」の箇所近傍でのみ、XY平面における空間分解能を上げて距離検出を行うようにしている。以下に、この詳細について説明する。
図17は、本実施形態の画像形成装置110aの有する検出装置300aの機能構成の一例を示すブロック図である。検出装置300aは、搬送方向波打ち箇所検知部372と、検出時間間隔変更部375と、タイミング調整部380aとを有している。
搬送方向波打ち箇所検知部372は、ウェブ120の搬送方向における波打ち箇所を検知する。検出時間間隔変更部375は、搬送方向波打ち箇所検知部372の出力に基づき、距離センサ230による検出の時間間隔を変更する。距離センサ230による検出の時間間隔とは、言い換えると、距離センサ230により距離信号を取得してから、次の距離信号を取得するまでの時間である。時間間隔が短いほど、搬送方向における距離検出の空間分解能が向上する。
従って、波打ちが発生した箇所では、搬送方向波打ち箇所検知部372の出力に基づき、距離センサ230による検出の時間間隔が短くなるように変更される。上述のように、波打ちは空間周波数が高いため、波打ち箇所での距離を検出するには、高い空間分解能が必要になるからである。一方で、波打ちが発生していない箇所では、距離センサ230による時間間隔は長くなるように変更され、すなわち元の時間間隔に戻される。
搬送方向波打ち箇所検知部372は、吐出量検知部373と、データ記憶部374とを有している。吐出量検知部373は、画像形成装置の1号機によるオモテ面への画像形成の際、ウェブ120の領域毎で各液体吐出ユニットから吐出される液体の量を把握するために、領域毎での吐出量を検知する。例えば、領域毎で液体の吐出回数をカウントすることで実現できる。大、中、小の液滴を組み合わせて画像形成する場合は、吐出量検知部373は、大、中、小の吐出回数をカウントし、領域毎でその和を求め、吐出量を検知する。領域の大きさは、予め実験等で調べた「波打ちが発生する吐出量と領域の大きさとの関係」に基づいて決定すればよい。また「波打ち」はウェブ120に吸収される水分量に応じて増加するため、吐出量検知部373は、液滴の大きさで重みづけをして吐出量を算出し、検知してもよい。
搬送方向波打ち箇所検知部372は、吐出量検知部373の出力に基づき、吐出量が所定の閾値を超えた領域を波打ちが発生した箇所として検知し、データ記憶部374に記憶する。この場合は、実際には波打ちが発生していなかったとしても、吐出量が所定の閾値を超えた領域は、波打ちが発生した箇所として検知され、データ記憶部374に記憶される。つまり波打ちが発生した可能性がある箇所が検知され、データ記憶部374に記憶される。データ記憶部374への記憶は、少なくとも搬送方向における領域を記憶すればよいが、幅方向における領域も併せて記憶しても構わない。
また「波打ち箇所」、又は「波打ちが発生した可能性がある箇所」には、ウェブ120における波打ちが発生した箇所の近傍の領域、又は波打ちが発生した可能性がある箇所の近傍の領域も含まれ、これらの領域で距離センサ230による検出が行われる。
搬送方向波打ち箇所検知部372のうち、吐出量検知部373は、例えばCPU306等により実現される。具体的には、例えば画像形成装置の1号機がウェブ120のオモテ面に画像形成する際に、領域毎での吐出量データを、CPU306がコントローラ520aから受け取ることで実現される。データ記憶部374は、例えばROM308等により実現される。
なお、画像形成装置の1号機によるウェブ120のオモテ面の領域毎での吐出量は、「記録媒体の領域毎で付着される液体の量」の一例であり、ウェブ120のオモテ面は、「記録媒体の一の面」の一例である。また、搬送方向波打ち箇所検知部372は、「搬送方向の波打ち箇所を検知する搬送方向波打ち箇所検知手段」の一例である。
検出時間間隔変更部375は、吐出方向距離検出部361による距離検出の時間間隔を変更する。2号機により裏面に画像形成する際、データ記憶部374を参照しながら、波打ちがない箇所では、吐出方向距離検出部361は、長い時間間隔で距離検出を行う。
そして、裏面で画像形成する領域が波打ち箇所に該当する場合は、検出時間間隔変更部375は、吐出方向距離検出部361による距離検出の時間間隔を短縮するように変更する。これにより、搬送方向に高い空間分解能で距離検出ができる。画像形成する領域が波打ち発生箇所に該当しなくなったら、検出時間間隔変更部375は、吐出方向距離検出部361による距離検出の時間間隔を延長、すなわち元に戻すように変更する。
具体的には、検出時間間隔変更部375は、光源制御部364による光源231の発光の時間間隔と、データ取込部365による撮像素子234の撮像の時間間隔を変更する。
例えば短縮する時の時間間隔は、対象とする「波打ち」の搬送方向の最小サイズをJとすると、J/Vで算出される時間間隔以下とすればよい。一方、延長する時の時間間隔は、対象とする「ばたつき」の搬送方向の最小サイズをKとすると、K/Vで算出される時間間隔以下とすればよい。なお、Vはウェブ120の搬送速度である。
「波打ち」の搬送方向の最小サイズと、「ばたつき」の搬送方向の最小サイズは、予め実験、又はシミュレーションにより求めることができる。
検出時間間隔変更部375は、例えばCPU306等により実現される。検出時間間隔変更部375は、「距離検出手段による検出の時間間隔を変更する時間間隔変更手段」の一例である。
なお、検出装置300aのCPU306で行う上記の処理の一部、又は全部を、コントローラ520aにより実行させてもよい。またASICやFPGA等の電子回路により処理させてもよい。
計算部366aは、距離センサ230から出力された距離信号Imに基づき、位置Xiと、距離Liと、距離Mを算出し、タイミング調整部380aに出力する。計算部366aは、例えばCPU306等により実現される。
なお、吐出方向距離検出部361aは、搬送に伴うウェブ120の吐出方向のばたつきに伴うウェブ120と液体吐出ユニット210の距離を検出する。つまり吐出方向距離検出部361aは、「搬送に伴う記録媒体の吐出方向のばたつきに伴う距離」と、「波打ち箇所における記録媒体の吐出方向の距離」の両方を検出する機能を有している。
タイミング調整部380aは、位置Xiと、距離Liと、距離Mに基づき、液体吐出ユニット210K、及び210Cによる液体の吐出タイミングを調整する。タイミング調整部380aは、例えばコントローラ520が有するCPU72Cp等により実現される。
図18は、本実施形態による距離センサ230の出力信号の一例を示す概略図である。なお、距離センサは、第1の実施形態の距離センサ230と同じものを使用できる。
(a)は、「波打ち」の距離信号と、「ばたつき」の距離信号が組み合わされた出力である。「波打ち」の距離信号は、図14(b)と同様である。図14(b)に対し、図18(a)では、搬送方向の基準位置370に対し、出力がずれ量hだけ全体的にオフセットされている。ずれ量hは、「ばたつき」によるものである。
計算部366aは、例えば、距離センサ230から出力される距離信号のうち、閾値371aを超える位置X3でのずれ量d3aを除いたものを平均化処理して、ずれ量hを求める。計算部366aは、ずれ量hを(1)式に代入して「ばたつき」による距離Mを算出し、コントローラ520aに出力する。
なお、上記の距離Mは、液体吐出ユニットの直下から搬送方向に(INTK2)/5だけ上流側にずれた位置における「吐出方向の距離」である。従って液体吐出ユニットの直下における「吐出方向の距離」とは厳密には異なる。しかし距離センサの設置位置は液体吐出ユニットの直下に近く、また「ばたつき」による距離誤差のXY平面内での空間周波数は比較的低い。そのため、本実施形態では、液体吐出ユニットの直下から搬送方向に(INTK2)/5だけ上流側にずれた位置における「吐出方向の距離」である距離Mを、液体吐出ユニットの直下における「吐出方向の距離」と見做している。
一方で、計算部366aは、図14(a)と同様の機能構成で処理し、ずれ量d3aを求める。計算部366aは、ずれ量d3aを(1)式に代入して「波打ち」による距離L3aを算出し、その位置X3と併せてコントローラ520aに出力する。
コントローラ520aは、計算部366aから位置X3、距離L3aが入力されると、幅方向の位置X3での吐出において、距離に応じて液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを調整する。例えば、ウェブ120から液体吐出ユニット210までの距離の基準をL0とすると、距離誤差ΔLaはL3a―L0となる。また液体の飛翔速度をv0とすると、距離誤差ΔLaに伴う飛翔時間変化ΔtLaは、ΔLa/v0となり、この飛翔時間変化ΔtLaの分だけ液体のウェブ120における着弾位置がずれる。
従って、コントローラ520aは、位置X3での液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを飛翔時間変化ΔtLaだけずらすように調整する。これにより、「波打ち」による距離誤差ΔLaの着弾位置ずれへの影響が補正される。
またコントローラ520aは、計算部366aの距離Mが入力されると、位置X3を除き、幅方向全体での吐出において、距離に応じて液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを調整する。例えば、ウェブ120から液体吐出ユニット210までの距離の基準をL0とすると、距離誤差ΔMはM―L0となる。また液体の飛翔速度をv0とすると、距離誤差ΔMに伴う飛翔時間変化ΔtMは、ΔM/v0となり、この飛翔時間変化ΔtMの分だけ液体のウェブ120における着弾位置がずれる。
従って、コントローラ520aは、位置X3を除き、幅方向全体での液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを飛翔時間変化ΔtMだけずらすように調整する。これにより、「ばたつき」による距離誤差ΔMの着弾位置ずれへの影響が補正される。
なお、本実施形態では、幅方向全体での液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを調整する例を示したが、幅方向の一部において距離誤差ΔMを検出し、幅方向の一部での液体吐出ユニット210による吐出のタイミングを調整してもよい。
図18(b)は、「波打ち」の搬送方向のサイズJから算出される時間間隔J/Vより長い時間間隔で、吐出方向距離検出部361でデータ取込を行った場合の出力信号の一例を示している。データ取込の時間間隔が長く、「波打ち」による出力信号が、所定のデータ取込のタイミングと次のデータ取込のタイミングの間の空白期間に埋もれてしまい、「波打ち」による出力信号が得られなかった例である。この場合は、「波打ち」による距離誤差の影響を補正することができない。
本実施形態の検出装置300aによる処理の一例を、図19を用いて説明する。図19は、検出装置300aによる処理の一例を示すフローチャートである。
まずステップS1901において、コントローラ520aは、画像形成装置110aの1号機を制御し、ウェブ120のオモテ面の所定領域の画像形成を行う。
続いてステップS1903において、吐出量検知部373は、所定領域での吐出量を検知する。
続いてステップS1905において、吐出量検知部373は、検知した吐出量が予め設定した閾値を超えたかを判定する。
ステップS1905で閾値を超えたと判定した場合は、ステップS1907において、吐出量検知部373は、搬送方向における所定領域の位置をデータ記憶部374に記憶する。
ステップS1905で閾値を超えていないと判定した場合は、吐出量検知部373は、搬送方向における所定領域の位置を記憶せず、ステップS1909に移る。
続いてステップS1909において、コントローラ520aは、画像形成装置110aの1号機によるウェブ120のオモテ面の全領域の画像形成が終了したかを判定する。なお、全領域とは画像形成のための全有効領域を意味する。
ステップS1909でオモテ面の全領域の画像形成が終了していないと判定した場合は、コントローラ520aは、ステップS1901に戻り、画像形成装置110aを制御し、ウェブ120のオモテ面の次の所定領域の画像形成を行う。
ステップS1909でオモテ面の全領域の画像形成が終了したと判定した場合は、コントローラ520aは、ウェブ120のオモテ面の画像形成を終了する。
続いてステップS1911において、コントローラ520aは、画像形成装置110aの2号機を制御し、ウェブ120の裏面の所定領域の画像形成を行う。
続いてステップS1913において、検出時間間隔変更部375は、データ記憶部374を参照し、所定領域が、オモテ面の画像形成において、吐出量が閾値を超えた領域であるかを判定する。つまり、所定領域が、ウェブ120において、オモテ面で吐出量が閾値を超えた領域の裏側の領域に該当するかを判定する。
ステップS1913で閾値を超えた領域であると判定した場合は、ステップS1915において、検出時間間隔変更部375は、距離検出の時間間隔を短縮する。
ステップS1913で吐出量が閾値を超えた領域でないと判定した場合は、検出時間間隔変更部375は、距離検出の時間間隔を短縮せず、ステップS1917に移る。
続いてステップS1917で、コントローラ520aは、画像形成装置110aの2号機を制御し、距離検出と、検出した距離に基づく吐出のタイミング調整をしながら所定領域の画像形成を行う。
所定領域の画像形成の終了後に、ステップS1919において、検出時間間隔変更部375は距離検出の時間間隔を元に戻す。
続いてステップS1921において、コントローラ520aは、ウェブ120の裏面の全領域の画像形成が終了したかを判定する。
ステップS1921で裏面の全領域の画像形成が終了していないと判定した場合は、コントローラ520aは、ステップS1911に戻り、ウェブ120の裏面の次の所定領域の画像形成を行う。
ステップS1921で裏面の全領域の画像形成が終了したと判定した場合は、コントローラ520aは、ウェブ120の裏面の画像形成を終了する。
以上説明したように、本実施形態では、搬送方向における「波打ち」の発生箇所を検知し、「波打ち」の箇所近傍でのみ、XY平面における空間分解能を上げて距離検出を行う。これにより、常に空間分解能を上げて距離検出を行う場合と比較し、取得する距離信号のデータ量、及び演算処理するデータ量を大幅に削減することができ、処理負荷、及び演算コストを削減することができる。
また本実施形態によれば、「波打ち」による距離誤差とともに、「ばたつき」による距離誤差も検出し、これらの着弾位置ずれへの影響を補正することができる。
なお、これ以外の効果は、第1の実施形態で説明したものと同様である。また本実施形態は、ライン型装置に限定されず、次の第3の実施形態で示すシリアル型装置等にも適用可能である。
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の液体を吐出する装置の構成の一例を、図20~22を参照して説明する。本実施形態においても第1~2の実施形態と同様に、液体を吐出する装置として画像形成装置を例に説明する。また第1~2の実施形態と同様に、本実施形態においても、1号機によるオモテ面への画像形成において、印字濃度が高い箇所でウェブに波打ちが発生し、波打ちが発生した箇所を含むウェブの裏面に、2号機で画像形成する場合を想定する。なお、第1~2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
本実施形態では、第1の実施形態におけるライン状の像を用いる距離センサ230に代えて、点像を用いる距離センサ230bを用いて距離を検出する。また第1の実施形態では、画像形成装置はライン型装置であったのに対し、本実施形態では、シリアル型装置である。
本実施形態のシリアル型の画像形成装置では、主走査移動機構により液体吐出ユニットを、ウェブの幅方向に移動させながら画像形成を行う。図20は、本実施形態の画像形成装置の有する主走査移動機構400の構成の一例を説明する概略図である。
主走査移動機構400は、液体吐出ユニット404と、キャリッジ403と、ガイド部材401と、主走査モータ405とを有している。また主走査移動機構400は、駆動プーリ406と、従動プーリ407と、タイミングベルト408と、側板491A及び491Bと、背板491Cとを有している。
液体吐出ユニット404は、ブラック液体吐出ヘッドと、シアン液体吐出ヘッドと、マゼンタ液体吐出ヘッドと、イエロー液体吐出ヘッドとを有している。各液体吐出ヘッドはそれぞれ搬送方向に配列されたノズルを有している。各液体吐出ヘッドは幅方向に配列されてキャリッジ403に固定されている。
例えば、図20の左から右に、ブラック液体吐出ヘッド、シアン液体吐出ヘッド、マゼンタ液体吐出ヘッド、及びイエロー液体吐出ヘッドが配置されている。液体吐出ユニット404は、吐出方向に向けて液体を吐出し、液体吐出ユニット404の下で搬送されるウェブ120に、液体を着弾させる。
主走査モータ405の回転は、駆動プーリ406と従動プーリ407に伝達され、タイミングベルト408によりキャリッジ403に伝達される。キャリッジ403は、ガイド部材401に沿って、幅方向に走査される。これによりキャリッジ403に固定された液体吐出ユニット404は、幅方向に走査される。
ウェブ120を搬送方向に搬送し、かつ液体吐出ユニット404を幅方向に走査しながら、液体を吐出することで、ウェブ120に2次元画像が形成される。
次に、本実施形態の距離センサ230bについて、図21を参照して説明する。図21は、距離センサ230bの構成の一例を説明する概略図である。図21は、距離センサ230bの光学系構成の一例を示している。
図21において、距離センサ230bは、光源231bと、投光レンズ232bと、受光レンズ233bと、撮像素子234bとを有している。光源231bは、例えば赤外光を照射する半導体レーザである。
撮像素子234bは、X、Y方向に2次元配列された画素を有し、各画素は受光量に応じた電圧信号を出力する。撮像素子は、例えばCCD、CMOSが用いられる。但し2次元PSD等を用いても構わない。
第1の実施形態の距離センサ230とは異なり、本実施形態では、投光レンズ、及び受光レンズに軸対称のレンズを用いている。
光源231bから出射された光は、投光レンズ232bによりウェブ120の表面に収束される。収束光のウェブ120の表面での拡散反射光は、受光レンズ233bにより撮像素子234bの受光面で結像し、点像となる。点像が撮像素子234bにより撮像された像が、撮像素子234bから出力される。
光源231から出射された光は、投光レンズ232によりウェブ120の表面に収束される。収束光のウェブ120の表面での拡散反射光は、受光レンズ233により撮像素子234の受光面で結像する。拡散反射光の撮像素子234での結像位置は、撮像素子234の出力により検出される。撮像素子234の出力は、例えばCCDやCMOSの画素の位置の出力、又はPSDの電流の出力等である。
例えば投光レンズ232bの主平面からウェブ120の表面までの距離がLからLaに変化した場合、ウェブ120の表面での拡散反射光による点像の撮像素子234bでの位置は、搬送方向にdbだけずれる。投光レンズ232bからウェブ120の表面までの距離の変化L-Laは、受光レンズ233bの主平面から撮像素子234bまでの距離Bと、投光レンズ232bと受光レンズ233bの間隔Uと、拡散反射光による点像の結像位置ずれdbから、前述の(1)式を用いて算出することができる。
基準となる距離Lの長さを予め把握しておけば、撮像素子234bの出力に基づき、距離センサ230bからウェブ120の表面までの距離を検出することができる。
図21は、ウェブ120の表面での拡散反射光を受光する構成であるが、例えば光源231による光の照射方向を-45度傾け、ウェブ120の表面での正反射光を+45度方向から受光する構成としてもよい。
Z方向、すなわち吐出方向において、液体吐出ユニット404と距離センサ230bは、ウェブ120を挟んで対向している。液体吐出ユニット404はウェブ120のオモテ面に対し、図の+Z方向に液体を吐出する。一方、距離センサ230bはウェブ120の裏面に対し、図の-Z方向からレーザ光を照射し、反射光を撮像する。
距離センサ230bからウェブ120の裏面までの距離を検出することで、液体吐出ユニット404からウェブ120のオモテ面までの距離を検出する点は、図2の例と同様である。
但し、距離センサ230bは、光の照射位置のみでのウェブ120までの距離を検出するものである。幅方向全体、すなわち画像形成のための全有効領域において、ウェブ120までの距離を検出するには、幅方向における距離センサ230bの位置を変化させる必要がある。つまり、距離センサ230bを幅方向に移動させる移動機構等が必要となる。
図22は、距離センサ230bを幅方向に移動させる移動機構の構成の一例を示している。移動機構500は、ガイド部材306と、キャリッジ307と、駆動プーリ308と、従動プーリ309と、タイミングベルト310と、走査モータ311と、側板312a及び312bと、背板312cとを有している。側板312a及び312bと背板312cは、ガイド部材306と、駆動プーリ308と、従動プーリ309と、走査モータ311とを支持している。
走査モータ311の回転は、駆動プーリ308と従動プーリ309に伝達され、タイミングベルト310によりキャリッジ307に伝達される。キャリッジ307は、ガイド部材306に沿って幅方向に走査される。これによりキャリッジ307に固定された距離センサ230bを幅方向に走査し、ウェブ120の幅方向における距離センサ230bの位置を、変化させることができる。
移動機構500は、「幅方向に距離検出手段を移動させる移動機構」の一例である。また距離センサ230bは、「移動機構により幅方向に移動されながら、幅方向における所定の位置で距離を検出する距離検出手段」の一例である。
距離検出において、距離センサ230bは、液体吐出ユニット404の幅方向への走査に連動して、幅方向に走査される。この場合、距離センサ230bは、液体吐出ユニット404に対し、搬送方向の上流側にずれて配置されている。これにより、距離センサ230bにより検出された距離誤差に応じて、液体吐出ユニット404による吐出のタイミングを調整する時間が確保され、吐出タイミングの調整が可能となる。
各色の液体吐出ユニット404は幅方向に配列されているため、各色の液体吐出ユニット404のウェブ120の搬送方向における位置は等しい。そのため、距離センサ230bにより検出された距離誤差に基づき、各色の液体吐出ユニット404による吐出のタイミングを同様にずらせばよい。距離誤差の検出と、吐出のタイミング調整については、第1~2の実施形態で説明したものと同様である。
以上説明したように、本実施形態によれば、シリアル型の画像形成装置において、ウェブ120に波打ちが発生したような場合でも、距離センサ230bにより、波打ちに伴うウェブ120と液体吐出ユニット404との吐出方向における距離を正確に検出することができる。検出された距離に基づき、液体吐出ユニット404による吐出のタイミングを調整することで、ウェブ120への液体の着弾位置ずれが補正され、ウェブの波打ちに伴う画質の低下を防止することができる。
なお、これ以外の効果は、ライン状の距離センサを用いることで得られる効果を除き、第1~2の実施形態で説明したものと同様である。
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態の液体を吐出する装置の構成の一例を、図23を参照して説明する。本実施形態においても第1~2の実施形態と同様に、液体を吐出する装置として画像形成装置を例に説明する。また本実施形態の装置のハードウェア構成は、第1の実施形態で説明した例と同様である。以下では、第1~2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
上述の第2の実施形態では、液体吐出ユニットの直下から搬送方向に(INTK2)/5だけ上流側にずれた位置における「吐出方向の距離」である距離Mを、液体吐出ユニットの直下における「吐出方向の距離」と見做して、吐出タイミングを調整する一例を説明した。これに対し、本実施形態では、液体吐出ユニットの直下から搬送方向に(INTK2)/5だけ上流側にずれた位置における「吐出方向の距離」である距離Mを検出し、この距離Mから、液体吐出ユニットの直下における距離誤差ΔM0を推定している。そして、推定した距離誤差ΔM0に基づき、吐出タイミングを調整している。
図23は、本実施形態の画像形成装置110bの有する検出装置300bの機能構成の一例を示すブロック図である。検出装置300bは、振動状態推定部381と、計算部366bと、タイミング調整部380bとを有している。
計算部366bは、データ取込部365により取り込まれた距離信号Imに基づき、位置Xiと、距離Liと、距離Mを算出する。そして、計算部366bは、位置Xiと距離Liをタイミング調整部380bに出力する。一方で、計算部366bは、距離Mを振動状態推定部381に出力する。計算部366bは、例えばCPU306等により実現される。
振動状態推定部381は、振動周波数算出部382と、振動方向検知部383とを有している。計算部366bから入力された距離Mと、振動周波数算出部382、及び振動方向検知部383それぞれの出力とに基づき、搬送に伴うウェブ120の吐出方向への振動の状態を推定する。振動の状態から、液体吐出ユニットの直下における距離M0を算出し、タイミング調整部380bに出力する。振動状態推定部381は、「振動状態推定手段」の一例である。
タイミング調整部380bは、振動状態推定部381から入力された距離M0と、計算部366bから入力された位置Xi、及び距離Liとに基づき、液体吐出ユニット210K、及び210Cにおける液体の吐出タイミングを調整する。タイミング調整部380bは、「波打ち箇所における距離と、振動に伴う距離と、に基づいてタイミングを調整するタイミング調整手段」の一例である。
振動状態推定部381、振動周波数算出部382、及び振動方向検知部383の機能について詳細に説明する。
振動周波数算出部382には、ウェブ120の厚みp、及び張力qが入力される。ウェブ120の厚みとして、例えばコントローラ520の有する記憶装置72Cmに予め記憶されたウェブ120の情報が参照され、入力される。また、I/O309を介し、外部記憶装置241に記憶されたウェブ120の情報が参照され、入力されてもよい。ウェブ120の張力として、例えばI/O309を介し、張力検出手段240の出力が入力される。また、ブラック用第1ローラCR1Kとブラック用第2ローラCR2Kとの間のウェブ120の長さrとする。
厚みp、張力q、及び長さrを用い、ブラック用第1ローラCR1Kとブラック用第2ローラCR2Kとの間のウェブ120の振動周波数fは、例えば、次の(4)式により算出される。
(4)
また、距離誤差ΔMは、距離Mと、ウェブ120から液体吐出ユニット210までの距離の基準となる距離L0との差から算出される。そして、振動周波数f、距離誤差ΔM、及び長さrにより、距離誤差ΔM0が、例えば次の(5)式により算出される。
(5)
振動周波数算出部382は、例えばCPU306等により実現される。
一方、振動方向検知部383は、液体吐出ユニットの直下における振動の方向を検知する。すなわちウェブ120の吐出方向における位置が、基準位置に対して上方にあるか下方にあるかを検出する。これは、例えば距離誤差ΔMの符号から検出することができる。具体的には、距離Mが距離L0より長い時は、距離誤差ΔMの符号は正になり、距離Mが距離L0より短い時は、距離誤差ΔMの符号は負になる。このような正負の符号を有する距離誤差ΔMを(5)式に代入し、算出した距離誤差ΔM0の符号から、液体吐出ユニットの直下における振動の方向が検知される。
このように算出された距離誤差ΔM0は、タイミング調整部380に出力され、上述のようにタイミング調整部380bにより吐出タイミングが調整される。
以上説明したように、本実施形態によれば、液体吐出ユニットの直下における「ばたつき」による距離誤差を正確に検出できる。液体吐出ユニットによる液体の吐出タイミングを正確に調整可能となる。
なお、上記振動周波数fを算出し、振動方向を検出することで、ウェブ120の振動状態を推定し、距離誤差ΔM0を求める例を示したが、振動状態の推定はこれに限定されず、種々の推定方法を適用できる。
また上記ではブラック液体吐出ユニットの例を説明したが、他の色の液体吐出ユニットにも同様に適用できる。
上記に示した以外の効果は、第1~2の実施形態で説明したものと同様である。また本実施形態は、ライン型装置に限定されず、第3の実施形態で示したシリアル型装置等にも適用可能である。
以上、実施形態に係る液体を吐出する装置、及び液体を吐出する方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。