以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成例>
図1は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す概略図である。例えば、液体を吐出する装置は、図示するように、プロダクションプリンタ110を2台接続させた印刷システム100である。このような液体を吐出する装置では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、液体を吐出する装置が印刷システム100である例で説明する。また、プロダクションプリンタ110は、例えば、以下のような構成である。
図2は、本発明の一実施形態に係るプロダクションプリンタの例を示す概略図である。
被搬送物は、例えば、記録媒体等である。図示する例では、プロダクションプリンタ110は、ローラ等によって搬送される記録媒体の例であるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状の紙等である。以下の説明では、印刷システム100が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、搬送方向10に直交する方向を「直交方向」という。また、この例では、プロダクションプリンタ110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出してウェブ120の所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。
そして、印刷システム100では、プロダクションプリンタ110の間に、ウェブ120を裏返すターンバー130が設置される。このように、ターンバー130があると、印刷システム100は、いわゆる両面印刷が可能となる。また、この例では、印刷システム100は、上流に、ウェブ120を供給するアンワインダー140を有し、下流に、印刷されたウェブ120を製本する後処理装置150を有する。
また、プロダクションプリンタ110は、乾燥ローラ160を有する。乾燥ローラ160によって、インクが搬送ローラに転写されるのを少なくできる。
さらに、印刷システム100は、ウェブ120の種類を変更する場合又はウェブ120がなくなると、ウェブ120をカットする。したがって、印刷ジョブ中、ウェブ120は、アンワインダー140から後処理装置150までつながっている。なお、印刷ジョブには、インクを吐出して画像形成を行う印刷動作及び印刷動作の前後で印刷が行われないウェブ120(以下「損紙」という。)を搬送する搬送動作等が含まれる。具体的には、印刷前では、乾燥によるコックリングが印刷される画像に影響する、上流側のプロダクションプリンタ110が有する乾燥ローラ160から下流側のプロダクションプリンタ110が有するプリンタヘッド210までの区間に、少なくとも損紙が発生する。また、印刷後では、下流側のプロダクションプリンタ110が有するプリンタヘッド210から後処理装置150までの区間に、少なくとも損紙が発生する。
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する。また、ウェブ120は、2つのニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、この2つのニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送するアクチュエータ又は機構等である。
また、ウェブ120の記録媒体は、長尺であるのが望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、記録媒体は、ウェブに限られない。すなわち、記録媒体は、折り畳まれて格納される紙、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッド210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。このインクを吐出する位置(以下「吐出位置」という。)は、液体吐出ヘッドから吐出される液体が記録媒体に着弾する位置にほぼ等しい、すなわち、液体吐出ヘッドの直下等である。この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出位置(以下「ブラック吐出位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出位置(以下「シアン吐出位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの吐出位置(以下「マゼンタ吐出位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの吐出位置(以下「イエロー吐出位置PY」という。)に吐出される。なお、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれのタイミングは、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が制御する。
また、液体吐出ヘッドユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。図示する例では、液体吐出ヘッドユニットごとに、各吐出位置へウェブ120を搬送するのに用いられるローラ(以下「第1ローラ」という。)が、各液体吐出ヘッドユニットより上流側にそれぞれ設置される。また、各吐出位置から下流へウェブ120を搬送するのに用いられるローラ(以下「第2ローラ」という。)が、各液体吐出ヘッドユニットより下流側にそれぞれ設置される。このように、第1ローラ及び第2ローラがそれぞれ設置されると、各吐出位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくできる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、記録媒体を搬送するのに用いられ、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、駆動するローラであってもよい。
具体的には、ウェブ120の所定の箇所に、ブラックのインクを吐出させるため、ブラック吐出位置PKへウェブ120を搬送させるのに用いられるブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック吐出位置PKから下流側へウェブ120を搬送させるのに用いられるブラック用第2ローラCR2Kが設置される。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置される。
液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を、図3を用いて説明する。ここで、図3(a)は、本発明の実施形態に係るプロダクションプリンタ110の4つの液体吐出ヘッドユニット210K〜210Yの一例を示す概略平面図である。
図3(a)に示すように、液体吐出ヘッドユニットは、本実施形態では、フルライン型のヘッドユニットである。すなわち、プロダクションプリンタ110は、記録媒体の搬送方向10の上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの液体吐出ヘッドユニット210K、210C、210M及び210Yを配置している。
ここで、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kは、本実施形態では、ウェブ120の搬送方向10と直行する方向に4つのヘッド210K−1、210K−2、210K−3及び210K−4を千鳥状に配置している。これにより、プロダクションプリンタ110は、ウェブ120の画像形成領域(印刷領域)の幅方向(搬送方向と直行する方向)の全域に画像を形成することができる。 なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、ここでは4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、単一のヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成しても良い。
<検出部の例>
液体吐出ヘッドユニットごとに、検出部の例である搬送方向又は直交方向における記録媒体の位置を検出するセンサがそれぞれ設置される。このセンサには、レーザ、空気圧、光電、超音波又は赤外線等の光を利用する光学センサ等が用いられる。なお、光学センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ等でもよい。すなわち、検出部を構成するセンサは、例えば、記録媒体のエッジを検出できるセンサ等である。このように、検出部は、ウェブの何らかの状態又は物理量を検出し、検出結果を出力する。また、センサは、例えば、以下に説明する構成でもよい。
センサには、設定装置521(図4)等が接続される。設定装置521は、各センサ又はコントローラ520等が計算する結果に基づいて、センサに係る絞り値又は露光時間等の設定を行ってもよい。
図4は、本発明の一実施形態に係る検出部のハードウェア構成の一例を示す概略図である。例えば、センサは、図示するような検出装置50、第1光源51A、第2光源51B、制御装置52、記憶装置53及び演算装置54等によって実現される。
検出対象の例であるウェブ120には、第1光源51A及び第2光源51Bからレーザ光等がそれぞれ照射される。なお、第1光源51Aが光を照射する位置を「A位置」とし、同様に、第2光源51Bが光を照射する位置を「B位置」とする。
第1光源51A及び第2光源51Bは、レーザ光を発光する発光素子と、発光素子から発光されるレーザ光を略平行光にするコリメートレンズとを有する。また、第1光源51A及び第2光源51Bは、ウェブ120の表面に対して斜め方向からレーザ光を照射させる位置に設置される。
検出装置50は、エリアセンサ11と、「A位置」に対向する位置に第1撮像レンズ12Aと、「B位置」に対向する位置に第2撮像レンズ12Bとを有する。
エリアセンサ11は、例えば、シリコン基板111上に、撮像素子112を形成する構成のセンサである。なお、撮像素子112上は、2次元画像をそれぞれ取得できる「A領域11A」と、「B領域11B」とがあるとする。また、エリアセンサ11は、例えば、CCDセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ又はフォトダイオードアレイ等である。そして、エリアセンサ11は、筐体13に収容される。さらに、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、第1レンズ鏡筒13A及び第2レンズ鏡筒13Bにそれぞれ保持される。
この例では、図示するように、第1撮像レンズ12Aの光軸は、「A領域11A」の中心と一致する。同様に、第2撮像レンズ12Bの光軸は、「B領域11B」の中心と一致する。そして、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、「A領域11A」と、「B領域11B」とに、それぞれ光を結像させ、2次元画像を生成する。
また、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、位置等を変更すると、光学ズーム倍率を変更できるレンズ、いわゆるズームレンズZMである。
なお、検出装置50は、図4に図示する構成に限られない。例えば、検出装置50は、以下に説明する構成等でもよい。
図5は、本発明の一実施形態に係る検出部に用いられる検出装置の第2ハードウェア構成の一例を示す概略図である。図4に示す構成と比較すると、図5に示す検出装置50の構成は、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bが一体となり、レンズ12Cとなる点が異なる。一方で、エリアセンサ11等は、例えば、図4に示す構成と同様である。
また、この例では、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bのそれぞれの像が干渉して結像しないように、アパーチャ121等が用いられるのが望ましい。このように、アパーチャ121等が用いられると、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bのそれぞれの像を結像する領域がそれぞれ制限できる。そのため、それぞれの結像が干渉するのを少なくでき、検出装置50は、図4に示す「A位置」及び「B位置」におけるそれぞれの位置の画像を生成することができる。
図6は、本発明の一実施形態に係る検出部に用いられる検出装置の第3ハードウェア構成の一例を示す概略図である。図5に示す構成と比較すると、図6(A)に示す検出装置50の構成は、エリアセンサ11が第2エリアセンサ11'である点が異なる。一方で、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12B等の構成は、例えば、図5と同様である。
第2エリアセンサ11'は、例えば、図6(B)に示す構成等である。具体的には、図6(B)に図示するように、ウェハaには、複数の撮像素子bが形成される。次に、図6(B)に図示するような撮像素子がウェハaからそれぞれ切り出される。この切り出される複数の撮像素子である第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bがそれぞれシリコン基板111上に形成される。これに対して、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bは、第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bの間隔に合わせて、位置が定められる。
撮像素子は、撮像用に製造されることが多い。そのため、撮像素子のX方向及びY方向の比、すなわち、縦横比は、正方、「4:3」又は「16:9」等のように、画像フォーマットに合わせる比である場合が多い。本実施形態では、一定の間隔に離れる2点以上における画像が撮像される。具体的には、2次元における一方向であるX方向、すなわち、搬送方向10(図4)に一定の間隔に離れる点ごとに、画像が撮像される。これに対して、撮像素子は、画像フォーマットに合わせる縦横比である。そのため、X方向において、一定の間隔に離れる2点について撮像する場合には、Y方向に係る撮像素子が使用されない場合がある。また、画素密度を上げる場合等には、X方向及びY方向のいずれの方向において画素密度の高い撮像素子を用いるため、コストアップ等になる場合がある。
そこで、図6に図示する構成とすると、シリコン基板111上には、一定の間隔に離れる第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bが、形成できる。そのため、Y方向に係る撮像素子が使用されない撮像素子が少なくできる。したがって、撮像素子の無駄が少なくできる。また、第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bは、精度の良い半導体プロセスで形成されるため、第1撮像素子112A及び第2撮像素子112Bの間隔が、精度良くできる。
図7は、本発明の一実施形態に係る検出部に用いられる複数の撮像レンズの一例を示す概略図である。図示するようなレンズアレイが検出部を実現するのに用いられてもよい。
図示するレンズアレイは、2つ以上のレンズが集積される構成である。具体的には、図示するレンズアレイは、例えば、縦及び横方向に、3行3列の計9つの撮像レンズA1乃至C3を有する。このようなレンズアレイが用いられると、9点を示す画像が撮像できる。この場合には、9点の撮像領域を有するエリアセンサが用いられる。
このようにすると、例えば、2つの撮像領域に対する演算は、同時に実行、すなわち、並列で実行されやすい。次に、それぞれの演算結果が平均される又はエラー除去が行われると、1つの演算結果を用いる場合等と比較して、検出装置は、精度良く計算したり、計算の安定性を向上させたりすることができる。また、速度が変動するアプリケーションソフトに基づいて演算が実行される場合がある。この場合であっても、相関演算が行える領域が広がるため、確度の高い速度演算結果が得られやすくなる。
図4に戻り、制御装置52は、検出装置50等を制御する。具体的には、制御装置52は、信号を検出装置50に出力する等して、エリアセンサ11のシャッタタイミングを制御する。また、制御装置52は、検出装置50から2次元画像を取得できるように制御する。次に、制御装置52は、取得される2次元画像を記憶装置53に送る。他にも、制御装置52は、アクチュエータ等を制御する。
記憶装置53は、いわゆるメモリ等である。なお、制御装置52から送られる2次元画像を分割して、異なる記憶領域に記憶できる構成であるのが望ましい。
演算装置54は、マイクロコンピュータ等である。すなわち、演算装置54は、記憶装置53に記憶される画像のデータ等を用いて各種処理を実現するための演算を行う。
制御装置52及び演算装置54は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は電子回路等である。なお、制御装置52、記憶装置53及び演算装置54は、異なる装置でなくともよい。例えば、制御装置52及び演算装置54は、1つのCPU等であってもよい。
以下、図4に示す光学系が2つある例で説明する。なお、本発明に係る実施形態では、光学系は、3つ以上又は1つでもよい。
また、図4に示すように、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bには、アクチュエータACA及びACB等のズーム機構がそれぞれ設置される。例えば、光学ズーム倍率が変更されると、ズーム機構によって、設定される光学ズーム倍率に基づいて、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bのそれぞれの位置等が変更され、光学ズーム倍率となるように制御される。
なお、各光学系には、絞りがあってもよい。例えば、絞りは、電動の虹彩絞り等である。絞りは、アクチュエータ等によって制御される。そして、絞りが制御されると、それぞれの受光量が調整される。
他にも、シャッタ速度等が制御され、露光時間が調整されるのが望ましい。さらに、制御は、例えば制御装置52が行い、シャッタ速度及び絞り値等は、設定装置521等が設定する。なお、制御方法等の詳細は、後述する。
図8は、本発明の一実施形態に係る検出部の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、図示するように、ヘッドユニットごとに設置される検出部のうち、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの組み合わせを例に説明する。また、図示するように、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部52Aが「A位置」に係る検出結果を出力し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の検出部52Bが「B位置」に係る検出結果を出力する例で説明する。まず、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部52Aは、例えば、撮像部16A、撮像制御部14A及び画像記憶部15A等で構成される。なお、この例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の検出部52Bは、例えば、検出部52Aと同様の構成であり、撮像部16B、撮像制御部14B及び画像記憶部15B等で構成される。以下、検出部52Aを例に説明する。
撮像部16Aは、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。なお、撮像部16Aは、例えば、検出装置50等(図4等)によって実現される。
撮像制御部14Aは、ズーム制御部141A及び画像取込部142Aを有する。なお、撮像制御部14Aは、例えば、制御装置52等(図4)によって実現される。
画像取込部142Aは、撮像部16Aによって撮像される画像を取得する。
ズーム制御部141Aは、撮像部16Aが撮像する光学ズーム倍率を制御する。
画像記憶部15Aは、撮像制御部14Aが取り込んだ画像を記憶する。なお、画像記憶部15Aは、例えば、記憶装置53等(図4)によって実現される。
また、撮像制御部14Aは、シャッタ速度を制御するシャッタ制御部を有してもよい。以下、撮像制御部14Aがシャッタ速度を制御する例で説明する。
計算部53Fは、画像記憶部15A及び15Bに記憶されるそれぞれの画像に基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が搬送される搬送速度及びウェブ120が搬送される搬送量が算出できる。
次に、計算部53Fは、搬送速度に基づいて、露光時間及び光学ズーム倍率等を計算してもよい。例えば、搬送速度が高速であると、計算部53Fは、光学ズーム倍率が低倍率、すなわち、撮像される画像が拡大されるように計算する。また、搬送速度が高速であると、計算部53Fは、シャッタ速度を速くして、露光時間が短くなるように計算する。
一方で、搬送速度が低速であると、計算部53Fは、光学ズーム倍率が高倍率、すなわち、撮像される画像が縮小されるように計算する。また、搬送速度が低速であると、計算部53Fは、シャッタ速度を遅くして、露光時間が長くなるように計算する。
このように、計算部53Fは、搬送速度に基づいて、光学ズーム倍率等を設定してもよい。
また、計算部53Fは、シャッタ制御部等に、シャッタタイミングを示す時差Δtのデータを出力する。すなわち、計算部53Fは、「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とが時差Δtで、それぞれ撮像されるように、シャッタタイミングをシャッタ制御部等に示す。また、計算部53Fは、算出される搬送速度となるようにウェブ120を搬送させるモータ等を制御してもよい。なお、計算部53Fは、例えば、コントローラ520等によって実現される。
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンである。そのため、ウェブ120を撮像すると、スペックルパターンを示す画像が得られる。この画像からスペックルパターンのある位置がわかるため、ウェブ120の所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、このスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
したがって、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するスペックルパターンも一緒に搬送される。そのため、同一のスペックルパターンを異なる時間でそれぞれ検出すると、搬送量が求められる。すなわち、同一のスペックルパターンを検出してパターンの搬送量が求まると、計算部53Fは、ウェブ120の搬送量を求めることができる。この求まる搬送量を単位時間あたりに換算すると、計算部53Fは、ウェブ120が搬送される搬送速度を求めることができる。
具体的には、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bが搬送方向10において設置される間隔を相対距離L[mm]とすると、相対距離L[mm]及び搬送速度V[mm/s]の関係は、下記(1)式のように示せる。
Δt=L/V (1)
上記(1)式において、相対距離L[mm]は、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bの間隔であるため、あらかじめ求めることができる。したがって、時差Δtが定まると、上記(1)式に基づいて、計算部53Fは、搬送速度V[mm/s]を求めることができる。このように、スペックルパターンに基づいて、液体を吐出する装置は、精度良く、搬送方向における位置、搬送量及び搬送速度又はこれらの組み合わせを求めることができる。なお、液体を吐出する装置は、搬送方向における位置、搬送量及び搬送速度のうち、いずれか複数を組み合わせて出力してもよい。
図4に示すように、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bが搬送方向10において一定の間隔で設置される。そして、第1撮像レンズ12A及び第2撮像レンズ12Bを介して、それぞれの位置でウェブ120が撮像される。このように、スペックルパターンに基づいて、液体を吐出する装置は、精度良く、搬送方向又は直交方向において、ウェブ120の位置を示す検出結果を求めることができる。
また、検出結果は、相対位置を示してもよい。具体的には、相対位置は、いずれかのセンサで検出された位置と、異なるセンサで検出された位置との差分を示す。他にも、相対位置は、いずれかのセンサが複数回撮像し、複数の画像における位置の差分でもよい。つまり、例えば、相対位置は、前のフレームで検出された位置と、次のフレームで検出された位置との差分でもよい。このように、相対位置は、前のフレーム又は他のセンサによって検出される位置とのずれ量を示す。
なお、センサは、搬送方向の位置等を検出してもよい。すなわち、センサは、搬送方向及び搬送方向に対して直交する方向のそれぞれの位置を検出するのに兼用されてもよい。このように兼用されると、それぞれの方向についてコストが少なくできる。また、センサの数が少なくできるので、省スペースとすることもできる。
さらに、計算部53Fは、検出部52A及び52Bによって撮像されるそれぞれの画像を示す画像データD1(n)及びD2(n)に対して相互相関演算を行う。以下、相互相関演算によって生成される画像を「相関画像」という。例えば、計算部53Fは、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算する。
例えば、相互相関演算は、下記(2)式で示す計算である。
D1★D2*=F−1[F[D1]・F[D2]*] (2)
なお、上記(2)式において、画像データD1(n)、すなわち、「A位置」で撮像される画像を示す画像データを「D1」とする。同様に、上記(2)式において、画像データD2(n)、すなわち、「B位置」で撮像される画像を示す画像データを「D2」とする。さらに、上記(2)式において、フーリエ変換を「F[]」で示し、逆フーリエ変換を「F−1[]」で示す。さらにまた、上記(2)式において、複素共役を「*」で示し、相互相関演算を「★」で示す。
上記(2)式に示すように、画像データD1及びD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、相関画像を示す画像データが、得られる。なお、画像データD1及びD2が2次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、2次元画像データとなる。また、画像データD1及びD2が1次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、1次元画像データとなる。
なお、相関画像において、例えば、ブロードな輝度分布が問題となる場合には、位相限定相関法が用いられてもよい。位相限定相関法は、例えば、下記(3)式で示す計算である。
D1★D2*=F−1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]] (3)
なお、上記(3)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
このようにすると、計算部53Fは、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算できる。
相関画像は、画像データD1及びD2の相関関係を示す。具体的には、画像データD1及びD2の一致度が高いほど、相関画像の中心に近い位置には、急峻なピーク、いわゆる相関ピークとなる輝度が出力される。そして、画像データD1及びD2が一致すると、相関画像の中心及びピークの位置は、重なる。
このような計算によって計算されるタイミングに基づいて、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cは、それぞれ液体を吐出する。なお、液体を吐出するタイミングは、コントローラ520が出力するブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の第1信号SIG1及びシアン液体吐出ヘッドユニット210C用の第2信号SIG2等によって制御される。図示するように、計算部53Fによる計算の結果に基づいて、制御部54Fが、信号を出力してタイミングを制御する。なお、制御部54Fは、例えば、コントローラ520等によって実現される。
また、計算部53Fは、検出結果に基づいて計算される搬送速度Vを設定部55Fに出力してもよい。そして、設定部55Fは、計算部53F等の外部から受信する搬送速度Vに基づいて、光学ズーム倍率、絞り値又は露光時間等を計算してもよい。また、設定部55Fには、液体を吐出する装置の出力画像の解像度等の動作モードに基づいて、搬送速度Vが入力されてもよい。なお、設定部55Fは、例えば、マイクロコンピュータ等の設定装置(図4)等によって実現される。
設定部55Fは、搬送速度Vが高速であると、光学ズーム倍率を下げる等の制御を行ってもよい。具体的には、設定部55Fが設定する光学ズーム倍率となるように、ズーム制御部141A及び141Bは、ズームレンズZMを制御する。なお、ズーム制御部141A及び141Bは、制御装置52、アクチュエータACA及びACB等によって実現される。
また、絞り値等が設定される場合には、設定部55Fが設定する絞り値となるように、絞り制御部等は、絞りを制御する等を行ってもよい。なお、絞り制御部は、例えば、制御装置52(図4)及びアクチュエータ等によって実現される。
同様に、設定部55Fが設定する露光時間又はシャッタ速度となるように、シャッタ制御部は、シャッタ速度等を制御する。
このようにすると、検出部は、搬送速度Vに応じた露光時間及び絞り値に基づいて画像を撮像することができる。なお、計算及び設定は、コントローラ520等が行ってもよい。
具体的には、絞り値は、搬送速度Vによって定まる露光時間に反比例するような受光量となるように計算される。例えば、絞り値は、下記(4)式で計算される。
I=Io×(NA×Mo)2
焦点深度=±k×波長/{2×(開口数)2} (4)
上記(4)式では、「I」は、像の明るさを示す。また、「Io」は、試料面の明るさを示す。さらに、上記(4)式では、「NA」は、絞り値の例である開口数を示す。また、上記(4)式では、「Mo」は、対物レンズの倍率を示す。すなわち、絞りは、開口数が設定される。上記(4)式で示す場合には、受光量は、開口数の二乗に比例するため、露光時間を「1/2」倍とする場合には、開口数は、「√2」倍とされる。
なお、あらかじめ行われる実験又は評価によって、搬送速度に対応する光学ズーム倍率、露光時間及び絞り値をルックアップテーブル等で、液体を吐出する装置は、記憶してもよい。そして、設定部55Fは、ルックアップテーブル等から搬送速度に応じる光学ズーム倍率、露光時間及び絞り値を特定し、光学ズーム倍率、露光時間及び絞り値等を設定する。
また、光学ズーム倍率は、例えば、以下のように計算される。
まず、搬送速度Vに対応して、シャッタ速度が設定される。具体的には、搬送速度Vが高速である場合には、被搬送物が高速に動くため、シャッタ速度は、高速となるように設定される場合が多い。つまり、搬送速度Vに比例するように、シャッタ速度は、設定される。
そして、シャッタ速度が高速となるように設定されると、受光量は、低下する。すなわち、搬送速度Vに合わせてシャッタ速度が設定されるため、受光量は、搬送速度Vに反比例する関係となる。そこで、搬送速度Vが高速とする場合には、光学ズーム倍率は、下げるように設定される。また、光学ズーム倍率を下げると、1画素に対するぶれ量を減らすことができる。
具体的には、光学ズーム倍率は、以下ように計算される。以下、具体例として、搬送速度Vが「1m/s」から「3m/s」となるように変更される、つまり、搬送速度が3倍に高速になる例で説明する。また、撮像されるエリアは、均一な照明条件であり、かつ、同じ開口のレンズであるとする。
まず、搬送速度Vが3倍となるのに合わせて、シャッタ速度は、3倍となるように設定される。そのため、シャッタ速度の変更によって、受光量は、1/3倍となり、暗くなる。一方で、同じ開口であれば、受光面積で受光量が定まる。また、光学ズーム倍率の二乗に、受光量は、反比例する。したがって、受光量を3倍とするには、下記(5)式のような計算となる。
シャッタ速度 3倍 ・・・受光量 1/3
受光量 3倍=1/(1/√3)2=3倍・・・光学ズーム倍率 1/√3≒0.57倍 (5)
このように、搬送速度Vに合わせて、光学ズーム倍率を下げるように設定すると、受光量を維持又は増やすことができる。また、光学ズーム倍率が下げると、相対的なぶれ量を減らすことができる効果を奏する。
図9は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現する装置の一例を示す外観図である。また、検出部は、図示するような構成で実現されてもよい。
図示するセンサは、ウェブ等の対象物に対して照明を当てて、スペックルパターンを形成する構成を有する。具体的には、センサは、半導体レーザ光源(LD)と、コリメート光学系(CL)を有する。また、センサは、スペックルパターンの画像を撮像するため、CMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサにスペックルパターンを集光結像するため、テレセントリック撮像光学系(OL)とを有する。
図示する構成の例では、CMOSイメージセンサが、離間した時刻T1と時刻T2の各々においてスペックルパターンの画像を取得する。また、時刻T1で取得したスペックルパターンの画像と時刻T2で取得したスペックルパターンの画像を用いて、FPGA回路において相互相関演算が行われる。この相関ピーク位置の移動に基づいて、CMOSイメージセンサは、撮像している範囲における時刻T1から時刻T2における対象物の移動量を出力する。なお、図示する例は、センサのサイズは、幅W×奥行きD×高さHは、15×60×32[mm]とする例である。
CMOSイメージセンサは、撮像部の一例であり、FPGA回路は、演算装置の一例である。
以下の説明では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対して設置されるセンサを「ブラック用センサSENK」という。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置されるセンサを「シアン用センサSENC」という。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して設置されるセンサを「マゼンタ用センサSENM」という。さらにまた、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して設置されるセンサを「イエロー用センサSENY」という。また、以下の説明では、ブラック用センサSENK、シアン用センサSENC、マゼンタ用センサSENM及びイエロー用センサSENYを総じて、単に「センサ」という場合がある。
また、以下の説明において、「センサが設置される位置」は、検出等が行われる位置を指す。したがって、「センサが設置される位置」に、検出等に用いる装置がすべて設置される必要はなく、ケーブル等で接続され、センサ以外の装置は、他の位置に設置されてもよい。なお、図20等に図示するブラック用センサSENK、シアン用センサSENC、マゼンタ用センサSENM及びイエロー用センサSENYは、センサが設置される位置の例を示す。
このように、センサが設置される位置は、各吐出位置に近い位置であるのが望ましい。各吐出位置に対して近い位置にセンサが設置されると、各吐出位置と、センサとの距離が短くなる。各吐出位置と、センサとの距離が短くなると、検出における誤差が少なくできる。そのため、液体を吐出する装置は、センサによって、搬送方向又は直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
各吐出位置に近い位置は、具体的には、各第1ローラ及び各第2ローラの間である。すなわち、図示する例では、ブラック用センサSENKが設置される位置は、図示するように、ブラック用ローラ間INTK1であるのが望ましい。同様に、シアン用センサSENCが設置される位置は、図示するように、シアン用ローラ間INTC1であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサSENMが設置される位置は、図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサSENYが設置される位置は、図示するように、イエロー用ローラ間INTY1であるのが望ましい。このように、各ローラ間に、センサが設置されると、センサは、各吐出位置に近い位置で記録媒体の位置等を検出できる。また、ローラ間は、搬送速度が比較的安定している場合が多い。そのため、液体を吐出する装置は、搬送方向又は直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
より望ましくは、センサが設置される位置は、各ローラ間において、吐出位置より第1ローラに近い位置であるのがより望ましい。すなわち、センサが設置される位置は、各吐出位置より上流側であるのがより望ましい。
具体的には、ブラック用センサSENKが設置される位置は、図2に示すように、ブラック吐出位置PKから上流側に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間(以下「ブラック用上流区間INTK2」という。)であるのがより望ましい。同様に、シアン用センサSENCが設置される位置は、シアン吐出位置PCから上流側に向かってシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置までの間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)であるのがより望ましい。さらに、マゼンタ用センサSENMが設置される位置は、マゼンタ吐出位置PMから上流側に向かってマゼンタ用第1ローラCR1Mが設置される位置までの間(以下「マゼンタ用上流区間INTM2」という。)であるのがより望ましい。さらにまた、イエロー用センサSENYが設置される位置は、イエロー吐出位置PYから上流側に向かってイエロー用第1ローラCR1Yが設置される位置までの間(以下「イエロー用上流区間INTY2」という。)であるのがより望ましい。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2にセンサが設置されると、液体を吐出する装置は、搬送方向又は直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。さらに、このような位置にセンサが設置されると、センサが各吐出位置より上流側に設置される。そのため、液体を吐出する装置は、まず、上流側でセンサによって搬送方向又は直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出でき、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するタイミングを計算できる。すなわち、この計算が行われる間等に、ウェブ12が下流側へ搬送されると、計算されたタイミングで各液体吐出ヘッドユニットは、インクを吐出できる。
なお、各液体吐出ヘッドユニットの直下をセンサが設置される位置とすると、制御動作分の遅れ等によって、色ズレが生じてしまう場合がある。したがって、センサが設置される位置は、各吐出位置より上流側であると、液体を吐出する装置は、色ズレを少なくし、画質を向上できる。また、各吐出位置付近等を、センサ等を設置する位置とするのは、制約される場合ある。そのため、センサが設置される位置は、各吐出位置より各第1ローラに近い位置であるのがより望ましい。
また、液体を吐出する装置は、エンコーダ等の計測部を更に備えてもよい。以下、計測部がエンコーダによって実現される例で説明する。具体的には、エンコーダは、例えば、ローラが有する回転軸に対して設置される。このようにすると、ローラの回転量に基づいて搬送方向における搬送量を計測できる。この計測結果をセンサによる検出結果と併せて利用すると、より精度良く、液体を吐出する装置は、ウェブ120に対して液体を吐出できる。
図10は、直交方向において記録媒体の位置が変動する例を示す図である。以下、図10(A)に示すようにウェブ120が搬送方向10に搬送される例で説明する。この例で示すように、ウェブ120は、ローラ等によって搬送される。このように、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120は、例えば、図10(B)に示すように、直交方向において位置が変動する場合がある。すなわち、ウェブ120は、図10(B)に示すように、「蛇行」する場合がある。
直交方向におけるウェブ120の位置の変動、すなわち、「蛇行」は、例えば、搬送に係るローラの偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。また、ウェブ120が直交方向に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向におけるウェブ120の位置の変動に対して影響する場合もある。
図11は、色ずれが起こる原因の一例を示す図である。図10で説明するように、直交方向において記録媒体の位置が変動、すなわち、「蛇行」が起こると図11に示す原因等によって、色ずれが起きやすい。
具体的には、複数の色を用いて記録媒体に画像を形成する場合、すなわち、カラー画像が形成される場合には、図示するように、液体を吐出する装置は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出する各色のインクを重ねて、いわゆるカラープレーンによるカラー画像をウェブ120上に形成する。
これに対して、図10で説明するような位置の変動がある。例えば、参照線320Lを基準に、「蛇行」が起きる場合がある。この場合において、各液体吐出ヘッドユニットが同一の位置に対してインクをそれぞれ吐出すると、液体吐出ヘッドユニットの間で「蛇行」によって、直交方向において、ウェブ120の位置が変動するため、色ずれ330が起きる場合がある。すなわち、色ずれ330は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するインクによって形成される線等が、直交方向において位置がずれるため起こる。このように、色ずれ330が起きると、ウェブ120に形成される画像の画質が劣化することがある。
<制御部の例>
制御部の例であるコントローラ520は、例えば、以下に説明する構成である。
図12は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。この制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。また、記憶部は、例えば、記憶装置72Cm等によって実現される。さらに、速度演算部は、例えば、CPU72Cp等によって実現される。なお、記憶部及び速度演算部は、他の演算装置及び記憶装置で実現されてもよい。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD−C、70LD−M、70LD−Y及び70LD−K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図13は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD−Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(図12)から入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図14は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72C(図12)から入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、図12に示すプリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ec(図12)は、ウェブ120を搬送させるアクチュエータ、機構及びドライバ装置等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。搬送部は、例えば、搬送制御装置72Ec等によって実現される。
<全体処理例>
図15は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による全体処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS01では、液体を吐出する装置は、被搬送物を搬送中であるか否かを判断する。例えば、センサによって搬送速度が検出されたり、被搬送物を搬送させるアクチュエータ等が動作しているのが検出されたりすると、液体を吐出する装置は、搬送中であると判断する。
次に、搬送中と液体を吐出する装置が判断すると(ステップS01でYES)、液体を吐出する装置は、ステップS02に進む。一方で、搬送中ではない液体を吐出する装置が判断すると(ステップS01でNO)、液体を吐出する装置は、全体処理の最初に戻る。
ステップS02では、液体を吐出する装置は、印刷動作中か否か判断する。すなわち、ステップS02では、インク等の液体を吐出して画像形成等が行われている状態であると、液体を吐出する装置は、印刷動作中であると判断する。
次に、印刷動作中であると液体を吐出する装置が判断すると(ステップS02でYES)、液体を吐出する装置は、全体処理の最初に戻る。一方で、印刷動作中でないと液体を吐出する装置が判断すると(ステップS02でNO)、液体を吐出する装置は、ステップS03に進む。
ステップS03では、液体を吐出する装置は、検出部を搬送物に当接させる処理を行う。ステップS03が行われるのは、例えば、損紙が搬送されている場合等である。具体的には、ステップS03では、液体を吐出する装置は、以下のような処理を行う。
図16は、本発明の一実施形態に係る検出部を搬送物に当接させる処理の一例を示す図である。なお、図は、センサが設置される位置の拡大図である。
図示するように、センサの周辺には、例えば、当接部材310が設置される。なお、当接部材310は、軟質な部材であるのが望ましい。具体的には、当接部材310は、例えば、ゴム及びバネの組み合わせ等である。他にも、当接部材310の周辺には、規制部材320が設置されるのが望ましい。規制部材320は、図16(B)に示すように、当接が行われる際に、ウェブ120が浮き上がるのを規制することができる部材である。
まず、図16(A)に示すように、初期状態又は印刷中の場合には、センサ及び当接部材310は、ウェブ120から離れた位置にいる状態である。そして、図15に示すステップS02及びステップS03によって、吐出が制限され(ステップS02でNO)、かつ、ウェブが搬送されていると(ステップS01でYES)液体を吐出する装置が判断すると、図16(B)のように、液体を吐出する装置は、センサをウェブ120に当接させる(ステップS03)。
液体を吐出する装置は、例えば、センサを移動させ、図示するように、ウェブ120に当接させるアクチュエータを有する。なお、アクチュエータは、例えば、制御装置52(図4)等によって制御される。
なお、液体を吐出する装置は、当接部材310等を移動させて、センサをウェブ120に当接させてもよい。
このように、センサ面がウェブ120に押し付けられると、センサ面に付着したインクミスト及び紙粉等を除去する清掃を行うことができる。そして、センサ面から清掃によって、付着物が除去されると、センサは、付着物による誤検出等を少なくすることができるため、検出精度を向上させることができる。なお、センサ及び当接部材310は、例えば、以下のように設置される。
図17は、本発明の一実施形態に係るセンサ及び当接部材の配置例を示す図である。図示するように、各センサは、各液体吐出ヘッドユニットに対して設置される。そして、各センサは、各液体吐出ヘッドユニットに近い位置に設置されるのが望ましい。さらに、当接部材310は、各センサに対してそれぞれ設置される。図示するように、当接部材310は、各センサのほぼ真上等に位置するのが望ましい。
<処理結果例>
図18は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が用いるテストパターンの一例を示す図である。まず、図示するように、液体を吐出する装置は、1色目の例であるブラックで、搬送方向10に直線が形成されるように、テスト印刷を行う。このテスト印刷の結果から、エッジからの距離Lkが求まる。このようにして、直交方向において、手動又は装置によって、エッジからの距離Lkが調整されると、1色目、すなわち、基準となるブラックのインクが吐出される位置が決定される。
図19は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による全体処理の処理結果例を示す図である。例えば、図19(A)に示すように、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの順に画像形成が行われるとする。また、図19(B)は、図19(A)を上面から見た図、いわゆる平面図である。以下、ローラ230に偏心がある例で説明する。具体的には、図19(C)に示すように、偏心ECがあるとする。このように、偏心ECがあると、ウェブ120を搬送する際に、ローラ230には、揺れOSが発生する。このように、揺れOSが発生すると、ウェブ120の位置POSが変動する。すなわち、揺れOSによって、「蛇行」が生じる。
ブラックに対する色ずれが少なくなるようにするには、液体を吐出する装置は、センサが検出する現在の記録媒体の位置と、1周期前の記録媒体の位置とを減算し、記録媒体の位置の変動を算出する。具体的には、まず、ブラック用センサSENKが検出するウェブ120の位置と、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの下でのウェブ120の位置との差を「Pk」とする。同様に、シアン用センサSENCが検出するウェブ120の位置と、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの下でのウェブ120の位置との差を「Pc」とする。さらに、マゼンタ用センサSENMが検出するウェブ120の位置と、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの下でのウェブ120の位置との差を「Pm」とする。さらにまた、イエロー用センサSENYが検出するウェブ120の位置と、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの下でのウェブ120の位置との差を「Py」とする。
続いて、各液体吐出ヘッドユニットによって液体が着弾する位置と、ウェブ120端部、すなわち、ウェブ120が有するエッジからの距離を色ごとに、「Lk3」、「Lc3」、「Lm3」及び「Ly3」とする。このような場合には、センサによって、ウェブ120の位置が検出されるため、「Pk=0」、「Pc=0」、「Pm=0」及び「Py=0」となる。この関係より、下記(6)式のような関係が示せる。
Lc3=Lk3−Pc=Lk3
Lm3=Lk3
Ly3=Lk3−Py=Lk3 (6)
よって、上記(6)式より、「Lk3=Lm3=Lc3=Ly3」となる。このようにして、液体を吐出する装置は、ウェブ120の位置変動を各液体吐出ヘッドユニットを移動させることで、直交方向において、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。また、画像形成を行う場合には、各色の液体が精度良く着弾するため、色ずれが少なくでき、形成される画像の画質を向上させることができる。
また、センサが設置される位置は、吐出位置より第1ローラに近い位置に設置されるのが望ましい。
図20は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置におけるセンサが設置される位置の一例を示す図である。以下、ブラックを例に説明する。この例では、ブラック用センサSENKは、ブラック用第1ローラCR1K及びブラック用第2ローラCR2Kの間であって、ブラック吐出位置PKよりブラック用第1ローラCR1Kに近い位置に設置されるのが望ましい。なお、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、制御動作に必要な時間等に基づいて定める。例えば、ブラック用第1ローラCR1Kに近づける距離は、「20mm」とする。この場合には、ブラック用センサSENKが設置される位置は、ブラック吐出位置PKより「20mm」上流側とする例である。
このように、センサが設置される位置が、吐出位置に近いと、検出誤差E1が小さくなる。さらに、検出誤差E1が小さいと、液体を吐出する装置は、各色の液体を精度良く着弾させることができる。そのため、画像形成を行う場合には、液体を吐出する装置は、各色の液体が精度良く着弾するため、色ずれが少なくでき、形成される画像の画質を向上させることができる。
また、このような構成にすると、例えば、各液体吐出ヘッドユニット間の距離をローラの円長d(図19)の整数倍にしなければならない等の制約がないため、液体吐出ヘッドユニットを設置する位置を自由にできる。すなわち、液体を吐出する装置は、各液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの円長dの非整数倍であっても、各色の液体を精度良く着弾させることができる。
<比較例>
図21は、第1比較例におけるハードウェア構成の一例を示す図である。図示する第1比較例は、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出させる位置に達する前に、ウェブ120の位置を検出する。例えば、この比較例では、センサが設置される位置は、液体吐出ヘッドユニットの直下から上流に「200mm」となる位置である。この場合における検出結果に基づいて、第1比較例に係る液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットを動かして、記録媒体の位置変動を補償する。
図22は、第1比較例に係る液体を吐出する装置による全体処理の処理結果例を示す図である。この比較例では、各液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの円長dの整数倍となるように、液体吐出ヘッドユニットが設置される。この場合には、各センサが検出するウェブの位置と、液体吐出ヘッドユニットの直下におけるウェブの位置との差は、「0」となる。したがって、この比較例では、各色のインクのウェブに対する液体の着弾位置をウェブ端部からの距離「Lk1」、「Lc1」、「Lm1」及び「Ly1」とすると、「Lk1=Lc1=Lm1=Ly1」となる。このようにして、位置ずれを補正する。
図23は、第2比較例に係る液体を吐出する装置による全体処理の処理結果例を示す図である。なお、第2比較例は、第1比較例と同様のハードウェア構成とする。第1比較例と比較すると、第2比較例は、ブラック及びシアンの液体吐出ヘッドユニット間の距離及びマゼンタ及びイエローの液体吐出ヘッドユニット間の距離がそれぞれ「1.75d」である点が異なる。すなわち、第2比較例は、ブラック及びシアンの液体吐出ヘッドユニット間の距離及びマゼンタ及びイエローの液体吐出ヘッドユニット間の距離がそれぞれローラの円長dの非整数倍となる例である。
この第2比較例において、ブラック用センサSENKが検出するウェブの位置と、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの下でのウェブの位置との差を「Pk」とする。同様に、シアン用センサSENCが検出するウェブの位置と、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの下でのウェブの位置との差を「Pc」とする。さらに、マゼンタ用センサSENMが検出するウェブの位置と、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの下でのウェブ120の位置との差を「Pm」とする。さらにまた、イエロー用センサSENYが検出するウェブの位置と、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの下でのウェブ120の位置との差を「Py」とする。また、第2比較例では、各色のインクのウェブに対する液体の着弾位置をウェブ端部からの距離「Lk2」、「Lc2」、「Lm2」及び「Ly2」とすると、下記(7)式のような関係が示せる。
Lc2=Lk2−Pc
Lm2=Lk2
Ly2=Lk2−Py (7)
よって、「Lk2=Lm2≠Lc2=Ly2」となる。このように、液体吐出ヘッドユニット間の距離がローラの円長dの非整数倍であると、この比較例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C及びマゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの直下でのウェブの位置が「Pc」及び「Py」分ずれるため、異なる。そのため、ウェブの位置変動が補償されず、色ずれ等が発生しやすい。
図24は、比較例に係る液体を吐出する装置におけるセンサが設置される位置の一例を示す図である。図示するように、比較例では、センサが吐出位置より、遠い位置に設置される場合である。そのため、比較例における検出誤差E2は、大きくなる場合が多い。
<機能構成例>
図25は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。図示するように、プロダクションプリンタ110は、複数の液体吐出ヘッドユニットと、液体吐出ヘッドユニットごとに検出部110F10及び第1移動部110F11をそれぞれ備える。また、プロダクションプリンタ110は、制御部54Fを備える。
検出部110F10は、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとにそれぞれ備えられる。具体的には、図2に示す例では、検出部110F10は、図示するように4つとなる。また、検出部110F10は、ウェブ120の搬送方向又は直交方向における被搬送物の状態又は物理量を検出する。例えば、被搬送物が搬送されているか否か等の状態が検出される。なお、検出部110F10は、例えば、図4等に示すハードウェア構成等によって実現される。そして、検出部110F10は、光学センサを用いて、被搬送物が搬送される搬送方向又は搬送方向に対して直交方向の少なくとも一方における被搬送物の位置、搬送速度又は加速度等の物理量を示す検出結果を出力する。なお、検出部110F10は、図8においては、検出部52A及び52B等である。
図示するように、第1移動部110F11は、各検出部110F10をウェブ120に当接させる。なお、当接は、吐出が制限され、かつ、被搬送物が搬送されている場合等に行われる。また、検出部110F10は、当接部材等によって、ウェブ120に当接されてもよい。なお、第1移動部110F11は、制御装置52(図4)及びアクチュエータ等によって実現される。
第1ローラは、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとにそれぞれ備えられる。具体的には、第1ローラは、液体吐出ヘッドユニットと同じ数である4つとなる。また、第1ローラは、記録媒体の所定の箇所に対して液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出できる吐出位置へ記録媒体を搬送させるのに用いられるローラである。すなわち、第1ローラは、各吐出位置より上流側に設置されるローラである。なお、第1ローラは、例えば、ブラックの場合には、ブラック用第1ローラCR1K等である。
第2ローラは、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとにそれぞれ備えられる。具体的には、第2ローラは、液体吐出ヘッドユニットと同じ数である4つとなる。また、第2ローラは、吐出位置から他の位置へ記録媒体を搬送させるのに用いられるローラである。すなわち、第2ローラは、各吐出位置より下流側に設置されるローラである。なお、第2ローラは、例えば、ブラックの場合には、ブラック用第2ローラCR2K等である。
設定部55Fは、搬送速度に基づいて、検出部110F10が用いる光学センサに係る光学ズーム倍率等の各種パラメータを設定してもよい。
なお、プロダクションプリンタ110は、検出結果に基づいて、液体吐出ヘッドユニットをそれぞれ移動させる第2移動部を更に有してもよい。
また、望ましくは、検出部110F10が検出を行う位置、すなわち、センサが設置される位置等は、ブラック用ローラ間INTK1等のように、ブラック吐出位置PK等の吐出位置に近い位置が良い。すなわち、ブラック用ローラ間INTK1等で検出が行われると、プロダクションプリンタ110は、搬送方向又は直交方向における記録媒体の位置等を精度良く検出できる。
さらに、より望ましくは、検出部110F10が検出を行う位置、すなわち、センサが設置される位置等は、ブラック用上流区間INTK2等のように、各ローラ間のうち、吐出位置より上流側の位置がより良い。すなわち、ブラック用上流区間INTK2等で検出が行われると、プロダクションプリンタ110は、搬送方向又は直交方向における記録媒体の位置等を精度良く検出できる。
<まとめ>
本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、光学センサ等を有する被搬送物検出装置を備える。そして、吐出が制限され、かつ、被搬送物が搬送されていると、被搬送物検出装置の表面、いわゆるセンサ面は、被搬送物に当たるように、制御される。このようにすると、ユーザがセンサ面を清掃する作業を減らすことができる。そのため、液体を吐出する装置は、ユーザの手間を少なくすることができる。
本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットごとに、液体吐出ヘッドユニットに近い位置で搬送方向又は直交方向における記録媒体等の被搬送物の位置を検出する。次に、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、検出結果に基づいて、液体吐出ヘッドユニットを移動させる。そのため、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、図22及び図23に示す第1比較例及び第2比較例等と比較して、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、直交方向において、液体の着弾位置に発生するズレを精度良く補償できる。
また、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、第1比較例のように、各液体吐出ヘッドユニットをローラの周長を整数倍した位置に配置する必要が少ないため、各液体吐出ヘッドユニットを設置する制約を少なくできる。また、第1比較例及び第2比較例では、1色目、すなわち、この例では、ブラックにおいて、アクチュエータがないと、調整ができない。これに対して、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、1色目であっても、直交方向において、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。
また、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する場合には、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置は、吐出される各色の液体の着弾位置が精度良くなると、色ずれが少なくなり、形成される画像の画質を向上させることができる。
なお、本発明に係る液体を吐出する装置は、1以上の装置を有する液体を吐出するシステムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する液体を吐出するシステムによって実現されても良い。
また、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、画像を形成するに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、本発明に係る実施形態では、液体を吐出する装置、情報処理装置又はこれらの組み合わせ等のコンピュータに被搬送物検出方法のうち、一部又は全部を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。