以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成例>
以下、搬送装置が有するヘッドユニットが、液体を吐出する液体吐出ヘッドユニットであり、液体吐出ヘッドユニットが液体をウェブに吐出する位置を「処理位置」とする場合を例に説明する。また、搬送装置が有するヘッドユニットが液体を吐出する液体吐出ヘッドユニットである場合、搬送装置は、液体を吐出する装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す概略図である。このような液体を吐出する装置では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、液体を吐出する装置が画像形成装置である例で説明する。
液体を吐出する装置110は、ウェブ120等の被搬送物を搬送する。図示する例では、液体を吐出する装置110は、ローラ130等によって搬送されるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。画像が形成される場合、ウェブ120は、記録媒体とも言える。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状のシート等である。
例えば、液体を吐出する装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、図では、搬送方向10に直交する方向を「直交方向20」とする。また、この例では、液体を吐出する装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出して、ウェブ120の所定の箇所に、画像を形成するインクジェットプリンタである。
図2は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の全体構成例を示す概略図である。図示するように、液体を吐出する装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する処理を行う。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、この2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送する機構等である。
また、液体を吐出する装置110は、ローラ230等による搬送によって、ウェブ120が移動した移動量を計測する計測装置を有する。例えば、計測装置は、エンコーダENCである。具体的には、エンコーダENCは、回転板と回転板の表面情報を読み取る回転検知センサからなるデバイスである。例えば、エンコーダENCの回転板は、図示するように、ローラ230の回転軸に設置される。そして、ローラ230が回転すると、回転板が回転し、回転検知センサが回転量に応じたパルスであるエンコーダパルスENPを出力する。なお、計測装置は、エンコーダENCに限られず、移動量が計測できる種類の装置であればよい。さらに、計測装置は、移動量が計測できれば、図示する以外の位置に設置されてもよい。
また、ウェブ120の記録媒体は、長尺であるのが望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、記録媒体は、ウェブに限られない。すなわち、記録媒体は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。そして、吐出されたインクがウェブ120に着弾する位置(以下「着弾位置」という。)は、液体吐出ヘッドユニットが吐出を行う位置(以下「吐出位置」という。)のほぼ直下となる。以下、液体吐出ヘッドユニットによって処理が行われる被搬送物の位置である処理位置を吐出位置とする例で説明する。上記のように、被搬送物に対する吐出位置は、被搬送物への着弾位置とほぼ直下であるため、処理位置を着弾位置として説明する場合もある。
この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの着弾位置(以下「ブラック着弾位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの着弾位置(以下「シアン着弾位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの着弾位置(以下「マゼンタ着弾位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの着弾位置(以下「イエロー着弾位置PY」という。)に吐出される。
以下、各ヘッドユニットが処理を実行するタイミングを「処理タイミング」という。具体的には、処理タイミングでは、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出する。各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれの処理タイミングの制御や、各液体吐出ヘッドユニットに設けられたアクチュエータACTの制御は、例えば、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が行う。なお、処理タイミングの制御とアクチュエータACTの制御は、2つ以上のコントローラや回路が行っても良い。アクチュエータACTについては後述する。
また、図示する例では、液体吐出ヘッドユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。具体的には、ウェブ120の搬送経路において、液体吐出ヘッドユニットごとに各着弾位置の上流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第1ローラ」という。)がそれぞれ設置される。また、各着弾位置から下流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第2ローラ」という。)が、それぞれ設置される。
このように、第1ローラ及び第2ローラがそれぞれ設置されると、各着弾位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくなる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、記録媒体の搬送経路に設けられ、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等により回転駆動されるローラであってもよい。
なお、第1の支持部材の例である第1ローラ及び第2の支持部材の例である第2ローラは、従動ローラ等の回転体でなくてもよい。すなわち、第1ローラ及び第2ローラは、被搬送物を支える支持部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、被搬送物と接する部位が円弧状となる湾曲板等であってもよい。以下、第1の支持部材が第1ローラであり、かつ、第2の支持部材が第2ローラである例で説明する。
具体的には、ブラック着弾位置PKのウェブ120の搬送方向上流側にブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック着弾位置PKからウェブの搬送方向下流側にブラック用第2ローラCR2Kが設置される。
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置される。
図3は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を示す図である。図示するように、図3(a)は、液体を吐出する装置110が有する4つの液体吐出ヘッドユニット210K乃至210Yの一例を示す概略平面図である。
図3(a)に示すように、各液体吐出ヘッドユニットは、この例では、ライン型のヘッドユニットである。すなわち、液体を吐出する装置110は、搬送方向10において、上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの液体吐出ヘッドユニット210K、210C、210M及び210Yを配置する。
また、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kは、この例では、直交方向に4つのヘッド210K-1、210K-2、210K-3及び210K-4を千鳥状に配置する。これにより、液体を吐出する装置110は、ウェブ120に画像が形成される領域(印刷領域)において、幅方向(直交方向)の全域に、画像を形成することができる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、この例では、4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、液体吐出ヘッドユニットは、単一のヘッドで構成されてもよい。
<検出部の例>
液体を吐出する装置110は、例えば、図2に示すように、液体吐出ヘッドユニットごとに、検出部を構成するハードウェア例であるセンサデバイスを備える。センサデバイスは、センサを含むユニットである。センサは、ウェブ120の情報を取得可能な装置である。そして、センサが取得した情報に基づいて、液体を吐出する装置110は、直交方向、搬送方向又は両方向において、記録媒体の位置を検出する。また、液体を吐出する装置110は、図示するセンサデバイスとは別に、更にセンサデバイスを備えてもよい。例えば、図示するセンサデバイスより上流側に、センサデバイスが更にあってもよい。以下、図示するように、液体を吐出する装置110が4つのセンサデバイスを備える構成を例に説明する。なお、センサは、図示する構成及び図示する位置に設置されるに限られない。
以下の説明では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対して設置されるセンサを含むセンサデバイスを「ブラック用センサデバイスSENK」という。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置されるセンサデバイスを「シアン用センサデバイスSENC」という。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して設置されるセンサデバイスを「マゼンタ用センサデバイスSENM」という。さらにまた、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して設置されるセンサデバイスを「イエロー用センサデバイスSENY」という。また、以下の説明では、ブラック用センサデバイスSENK、シアン用センサデバイスSENC、マゼンタ用センサデバイスSENM及びイエロー用センサデバイスSENYを総じて、単に「センサデバイスSEN」という場合がある。
また、以下の説明において、「センサが設置される位置」は、情報の取得等が行われる位置を指す。したがって、「センサが設置される位置」に、センサデバイスのすべての構成が設置される必要はなく、ウェブ120の情報の取得に必要な装置以外は、ケーブル等で接続されて他の位置に設置されてもよい。なお、ブラック用センサデバイスSENK、シアン用センサデバイスSENC、マゼンタ用センサデバイスSENM及びイエロー用センサデバイスSENYは、センサが設置される位置の例を示す。
センサが設置される位置は、各着弾位置に近い位置であるのが望ましい。各着弾位置に対して近い位置にセンサが設置されると、各着弾位置と、センサとの距離が短くなる。そして、各着弾位置と、センサとの距離が短くなると、検出における誤差が少なくできる。そのため、画像形成装置は、センサによって、被搬送物の位置等を精度良く検出できる。
各着弾位置に近い位置は、具体的には、例えば、図2に示すように、各第1ローラ及び各第2ローラの間である。すなわち、図示する例では、ブラック用センサデバイスSENKが設置される位置は、図示するように、ブラック用ローラ間INTK1であるのが望ましい。同様に、シアン用センサデバイスSENCが設置される位置は、図示するように、シアン用ローラ間INTC1であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMが設置される位置は、図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYが設置される位置は、図示するように、イエロー用ローラ間INTY1であるのが望ましい。
このように、各ローラ間に、センサが設置されると、センサは、各着弾位置に近い位置で記録媒体の位置等を検出できる。ローラ間では、直交方向への移動速度である蛇行速度や、搬送方向への移動速度である搬送速度が、比較的安定している場合が多い。そのため、液体を吐出する装置は、被搬送物の位置等を精度良く検出できる。
さらに、センサが設置される位置は、各ローラ間において、着弾位置より第1ローラに近い位置であるのが望ましい。すなわち、センサが設置される位置は、各着弾位置より上流側であるのが望ましい。
具体的には、ブラック用センサデバイスSENKが設置される位置は、ブラック着弾位置PKから上流側に向かってブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置までの間(以下「ブラック用上流区間INTK2」という。)であるのが望ましい。同様に、シアン用センサデバイスSENCが設置される位置は、シアン着弾位置PCから上流側に向かってシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置までの間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMが設置される位置は、マゼンタ着弾位置PMから上流側に向かってマゼンタ用第1ローラCR1Mが設置される位置までの間(以下「マゼンタ用上流区間INTM2」という。)であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYが設置される位置は、イエロー着弾位置PYから上流側に向かってイエロー用第1ローラCR1Yが設置される位置までの間(以下「イエロー用上流区間INTY2」という。)であるのが望ましい。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2にセンサが設置されると、液体を吐出する装置110は、被搬送物の位置等を精度良く検出できる。
このような位置にセンサが設置されると、センサが各着弾位置より上流側に設置される。そのため、液体を吐出する装置110は、まず、上流側でセンサによって撮像されたデータに基づいて、直交方向、搬送方向又は両方向において記録媒体の位置を精度良く検出できる。そして、直交方向、搬送方向、又は両方向において精度良く検出できるので、液体を吐出する装置110は、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出する処理タイミング、ヘッドユニットの移動する量又は両方を計算できる。すなわち、上流側で位置が検出された後にウェブ120が着弾位置へ搬送されると、その間に処理タイミングの算出又はヘッドユニットの移動等が行われるため、液体を吐出する装置110は、精度良く着弾位置を変更することができる。
なお、各液体吐出ヘッドユニットの直下をセンサが設置される位置とすると、制御動作分の遅れ等によって、色ズレが生じてしまう場合がある。したがって、センサが設置される位置は、各着弾位置より上流側であると、液体を吐出する装置110は、色ズレを少なくし、画質を向上できる。また、各着弾位置付近等を、センサ等を設置する位置とするのは、制約される場合がある。そのため、センサが設置される位置は、各着弾位置より各第1ローラに近い位置であるのが望ましい。
なお、上述したような制御動作の遅れが問題にならない場合、及び位置の制約がない場合にはセンサの位置は、例えば、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下等でもよい。センサが直下にあると、直下における正確な移動量が、センサによって検出できる。したがって、制御動作等が速く行えるのであれば、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下により近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサは、各液体吐出ヘッドユニットの直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサの位置は、各液体吐出ヘッドユニット210のそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、各液体吐出ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
図4は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置110におけるセンサの配置例を示す模式図である。例えば、各センサは、図示するようなウェブ120の表面等が検出できる位置に配置される。
まず、各センサは、各液体吐出ヘッドユニット210と、ウェブ120を挟んで対向する位置等に設けられる。また、各センサは、例えば、ウェブ120にレーザ光等を照射する発光素子と、発光素子により光が照射される領域を撮像する撮像素子とを有する。
また、図示する構成において、各液体吐出ヘッドユニット及び各センサは、各液体吐出ヘッドユニットが画像形成を行うそれぞれの画像形成領域と、各センサが検出を行うそれぞれの検出領域とが、少なくとも一部が重なる配置であるのが望ましい。
アクチュエータACTK、ACTC、ACTM及びACTYは、それぞれのヘッドユニットを搬送方向10と直交する直交方向に移動可能なアクチュエータである。以下、アクチュエータをまとめて「アクチュエータACT」と記載する場合がある。アクチュエータACTの説明は後述する。
<センサデバイスのハードウェア構成例>
センサデバイスには、センサの例として、赤外線等の光を利用する光学センサ、レーザ、空気圧、光電又は超音波を用いるセンサ等が含まれる。なお、光学センサは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。
さらに、光学センサは、グローバルシャッタであるのが望ましい。グローバルシャッタであると、移動速度が速くても、光学センサは、ローリングシャッタ等と比較して、シャッタを切るタイミングのズレによって発生する、いわゆる画像ズレを少なくできる。また、センサは、例えば、以下に説明する構成が望ましい。すなわち、検出部を実現されるためのセンサは、例えば、記録媒体の表面の情報を取得できるセンサ等である。なお、各センサは、すべて同一の種類でもよいし、異なる種類でもよい。以下の説明では、すべてセンサは、同一の種類とする。以下の説明では、センサが光学センサの例で説明を行う。
図5は、本発明の一実施形態に係る検出部を実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。例えば、検出部は、図示するようなセンサデバイスSEN等のハードウェアによって実現され、コントローラ520等のハードウェアと接続される。
まず、センサデバイスSENは、例えば、以下のような装置である。
図6は、本発明の一実施形態に係るセンサデバイスの一例を示す外観図である。
図示するセンサデバイスSENは、ウェブ120等の被搬送物に対して、光源から光を当てることで形成されるスペックルパターン等を撮像する構成である。具体的には、センサデバイスSENは、まず、半導体レーザ光源(LD)及びコリメート光学系(CL)等の光学系を有する。また、センサデバイスSENは、スペックルパターン等が写る画像を撮像するため、センサOSの例であるCMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサにスペックルパターンを集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(TO)とを有する。スペックルパターンについては後述する。
図示する構成の例では、異なるセンサデバイスSENの備えるCMOSイメージセンサが、例えば、時刻「TM1」と、時刻「TM2」との各々において、それぞれスペックルパターンが写る画像を撮像する。そして、時刻「TM1」で撮像される画像と、時刻「TM2」で撮像される画像とに基づいて、コントローラ520が、相互相関演算等の処理を行う。この場合、時刻TM1から時刻TM2までの間に、一方のセンサデバイスから他方のセンサデバイスまでの距離に対して、対象物が実際に移動した距離を算出することができる。詳細については後述する。また、同じCMOSイメージセンサが、離間した時刻TM1と時刻TM2のそれぞれにおいてパターン等を示す画像を撮像し、時刻TM1で撮像したスペックルパターンと、時刻TM2で撮像したスペックルパターンを示す画像とを用いて、相互相関演算等の処理を行っても良い。この場合、コントローラ520は、時刻TM1から時刻TM2における対象物の移動量を出力することができる。なお、図示する例は、センサデバイスのサイズを幅W×奥行きD×高さH 15×60×32[mm]とする例である。また、光源は、レーザ光を用いる装置に限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro-Luminescence)等でもよい。そして、光源の種類によっては、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。以下、表面情報を示すパターンがスペックルパターンである例で説明する。CMOSイメージセンサは、撮像部を実現するハードウェアの一例である。本例では、相関演算を行うハードウェアをコントローラ520として記載したが、相関演算は、いずれかのセンサデバイスに搭載されたFPGA回路で実行されても良い。
制御回路52は、センサデバイスSEN内部のセンサOS、光源LG等を制御する。具体的には、制御回路52は、例えば、トリガ信号をセンサOSに対して出力して、センサOSがシャッタを切るタイミングを制御する。また、制御回路52は、センサOSから、2次元画像を取得できるように制御する。そして、制御回路52は、センサOSが撮像し、生成される2次元画像を記憶装置53等に送る。制御回路52は、例えばFPGA回路である。
記憶装置53は、いわゆるメモリ等である。なお、制御回路52等から、送られる2次元画像を分割して、異なる記憶領域に記憶できる構成であるのが望ましい。
コントローラ520は、例えば、記憶装置53に記憶される画像のデータ等を用いて演算を行う。
制御回路52及びコントローラ520は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は電子回路等である。なお、制御回路52、記憶装置53及びコントローラ520は、異なるデバイスでなくともよい。例えば、制御回路52及びコントローラ520は、1つのCPU等であってもよい。
<機能構成例>
図7は、本発明の一実施形態に係る機能構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、図示するように、液体吐出ヘッドユニット210ごとに設置される検出部のうち、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの組み合わせを例に説明する。
また、図示するように、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部52Aが「A位置」に係る情報を取得し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の検出部52Bが「B位置」に係る情報を取得する例で説明する。まず、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の検出部52Aは、例えば、撮像部16A、撮像制御部14A及び画像記憶部15A等で構成される。なお、この例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の検出部52Bは、例えば、検出部52Aと同様の構成であり、撮像部16B、撮像制御部14B及び画像記憶部15B等で構成される。以下、検出部52Aを例に説明する。
撮像部16Aは、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。なお、撮像部16Aは、例えば、図5に示すセンサOSによって実現される。
撮像制御部14Aは、シャッタ制御部141A、画像取込部142Aを有する。なお、撮像制御部14Aは、例えば、図5に示す制御回路52等によって実現される。
画像取込部142Aは、撮像部16Aによって撮像される画像を取得する。
シャッタ制御部141Aは、撮像部16Aが撮像するタイミングを制御する。
画像記憶部15Aは、撮像制御部14Aが取り込んだ画像を記憶する。なお、画像記憶部15Aは、例えば、図5に示す記憶装置53等によって実現される。
計算部53Fは、画像記憶部15A及び15Bに記憶されるそれぞれの画像に基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が搬送される移動速度及びウェブ120が搬送される移動量を算出可能に構成される。そして、計算部53Fの出力は、後述する取得タイミングを調整する処理と、処理中にウェブ120の位置変動に対して処理位置を追従させる処理の両方の処理に使用される。
計測部110F20は、図2に示すローラ230に取り付けられたエンコーダENCの出力するエンコーダパルスENPをカウントするカウント機能を有する。
ずれ量計算部110F50は、後述する取得タイミングを調整する処理において、計測部110F20の出力と、計算部53Fの出力に基づいて、「A位置」から「B位置」までの理想のセンサ間距離Lに対するずれ量ΔLを計算する機能を有する。計算の詳細については後述する。
調整部110F40は、計測部110F20の出力に基づいて、又は、計測部110F20の出力及びずれ量計算部110F50の計算結果に基づいて、シャッタ制御部141Aに、シャッタを切るタイミングを示すデータを出力することで取得タイミングを調整する機能を有する。すなわち、調整部110F40は、「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とが所定の間隔で、それぞれ撮像されるように、シャッタを切るタイミングをシャッタ制御部141Aに出力する。なお、調整部110F40は、シャッタ制御部141Bがシャッタを切るタイミングを出力するのでなく、計算部53Fが演算を行う対象となる画像を変更して、検出結果の算出に用いられる取得タイミングを調整しても良い。
移動部110F80は、後述する処理中のウェブ120の位置変動に対して処理位置を追従させる処理に使用される機能である。すなわち、移動部110F80は、計算部53Fが計算した直交方向の移動量又は移動速度に基づいて、液体吐出ヘッドユニット210を移動させる機能を有する。なお、移動部110F80は、アクチュエータコントローラCTRCと、アクチュエータにより構成される。移動部110F80の詳細は後述する。
制御部110F30は、複数の液体吐出ヘッドユニットに、液体をそれぞれ吐出させる制御を行う。そして、制御部110F30は、後述する処理中のウェブ120の位置変動に対して処理位置を追従させる処理に用いられる。処理位置を追従させる処理を行う場合、制御部110F30は、計算部53Fによる検出結果に基づいて決定される処理タイミングで液体吐出ヘッドユニット210に液体を吐出させるよう、ブラック用の第1制御信号SIG1や、シアン用の第2制御信号SIG2等を出力する。
なお、計算部53F、計測部110F20、ずれ量計算部110F50、調整部110F40及び制御部110F30は、例えば、図2に示すコントローラ520等によって実現される。
<スペックルパターンの説明>
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120にレーザ光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンである。そのため、ウェブ120を撮像すると、スペックルパターンを示す画像が得られる。この画像からスペックルパターンのある位置がわかるため、ウェブ120の所定の位置がどこにあるかが検出できる。なお、このスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するスペックルパターンも一緒に搬送される。そのため、同一のスペックルパターンを異なる時間でそれぞれ検出すると、移動量が求められる。すなわち、同一のスペックルパターンを検出してパターンの移動量が求まると、計算部53Fは、ウェブ120の移動量を求めることができる。この求まる移動量を単位時間あたりに換算すると、計算部53Fは、ウェブ120が移動した移動速度を求めることができる。求められる移動量又は移動速度は、ウェブ120の搬送方向に限らない。撮像部16Aが2次元の画像データを出力しているため、計算部53Fは、2次元における移動量、又は移動速度を求めることが可能である。
<計算部53Fの演算例>
計算部53Fは、検出部52A及び52Bによって取得される画像データD1(n)及びD2(n)に対して、相互相関演算を行う。以下、相互相関演算によって生成される画像を「相関画像」という。例えば、計算部53Fは、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算する。
例えば、相互相関演算は、下記(1)式で示す計算である。
D1★D2*=F-1[F[D1]・F[D2]*] (1)
なお、上記(1)式において、画像データD1(n)、すなわち、「A位置」で撮像される画像を示す画像データを「D1」とする。同様に、上記(1)式において、画像データD2(n)、すなわち、「B位置」で撮像される画像を示す画像データを「D2」とする。さらに、上記(1)式において、フーリエ変換を「F[]」で示し、逆フーリエ変換を「F-1[]」で示す。さらにまた、上記(1)式において、複素共役を「*」で示し、相互相関演算を「★」で示す。
上記(1)式に示すように、画像データD1及びD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、相関画像を示す画像データが、得られる。なお、画像データD1及びD2が2次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、2次元画像データとなる。また、画像データD1及びD2が1次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、1次元画像データとなる。
なお、相関画像において、例えば、ブロードな輝度分布が問題となる場合には、位相限定相関法が用いられてもよい。位相限定相関法は、例えば、下記(2)式で示す計算である。
D1★D2*=F-1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]] (2)
なお、上記(2)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
このようにすると、計算部53Fは、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算できる。
相関画像は、画像データD1及びD2の相関関係を示す。具体的には、画像データD1及びD2の一致度が高いほど、相関画像の中心に近い位置には、急峻なピーク、いわゆる相関ピークとなる輝度が出力される。そして、画像データD1及びD2が一致すると、相関画像の中心及びピークの位置は、重なる。
<相関演算例>
相関演算の詳細内容を説明する。
図8は、本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。例えば、計算部53Fは、図示するような構成によって、相関演算を行うと、画像データが撮像された位置におけるウェブ120の相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等を示す検出結果を出力することができる。
具体的には、計算部53Fは、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、計算部53Fは、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図9は、本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SRは、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図10は、本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SRによって探索される。
演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を計算できる。
以上のようにして、計算部53Fは、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、計算部53Fは、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、計算部53Fは、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、計算部53Fは、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、計算部53Fは、相対位置を検出してもよい。
なお、図では、Y方向に変動がある例を説明したが、X方向に変動がある場合には、ピーク位置は、X方向にもずれた位置に発生する。
また、計算部53Fは、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、計算部53Fは、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
<コントローラ520の説明>
制御部の例であるコントローラ520(図2)は、例えば、以下に説明する構成である。
図11は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。この制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD-C、70LD-M、70LD-Y及び70LD-K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図12は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD-Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(図11)から入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図13は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを制御する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、いずれかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、プリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ecは、ウェブ120を搬送させるモータ等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
<処理例>
図14は、本発明の一実施形態に係る処理例を示すフローチャートである。例えば、液体を吐出する装置110は、以下のような全体処理を行う。
また、以下の例では、液体を吐出する装置110は、画像形成を行う場合には、「第1移動速度」で搬送方向へ被搬送物を搬送する。一方で、液体を吐出する装置110は、検出結果の算出に用いられるデータの取得タイミングを調整する場合には、あらかじめ設定される調整用の移動速度(以下「第2移動速度」という。)で搬送方向へ被搬送物を搬送して調整を行うのが望ましい。以下、望ましい実施形態を例に説明する。
ステップS10では、液体を吐出する装置110は、第2移動速度を設定する。例えば、液体を吐出する装置110は、検出タイミングの調整を、画像形成を行う前の準備段階として行う。また、第2移動速度は、第1移動速度より低速であるのが望ましい。例えば、第1移動速度は、1000mm/s(ミリメートル毎秒)以上等といった高速である。これに対して、第2移動速度は、例えば、数10mm/s程度の低速である。このような低速で搬送することにより、ウェブ120のスリップ等の外乱を抑えることが可能となる。
ステップS11では、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、補正値ΔLに初期値を設定する。例えば、初期値は、「0」等である。また、初期値となる値は、あらかじめユーザ等によって設定されてもよい。
ステップS12では、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、センサが設置される間隔である相対距離Lと、補正値ΔLとを加算した値を計算する。
そして、初期状態では、ステップS11によって「ΔL=0」が設定されるため、「L+ΔL=L」となる。すなわち、初期状態は、補正値ΔLによる補正がない、いわゆる理想状態である。したがって、理想状態では、被搬送物は、センサ間距離となる相対距離Lを搬送されるのに、「L÷移動速度」分の時間を要する。
ステップS13では、液体を吐出する装置110の計測部110F20は、第2移動速度に設定されて搬送されている際の移動量をエンコーダENC等の出力から計測する。以下、計算部53Fによって算出される被搬送物の移動量を「第1移動量」という。一方で、エンコーダ等の計測部によって計測される被搬送物の移動量を「第2移動量」という。
ステップS13では、計測部110F20は、センサが撮像を開始するタイミングか否かを判断するため、エンコーダENCのホームポジションを基準にエンコーダパルスENPのカウントを行う。エンコーダパルスENPは、第2移動量の一例である。エンコーダENCは、ローラ230の回転量、すなわち、被搬送物が移動した移動量に応じて、所定の回転角度ごとに、エンコーダパルスENPを出力する。したがって、エンコーダパルスENPをカウントすると、液体を吐出する装置110は、エンコーダパルスが出力される間隔に、カウンタ値を乗じて、撮像を開始するタイミングを判断できる。ステップS13、S14でカウントするカウント値を第1カウント値とする。
ステップS14では、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、第1カウント値が、センサが撮像を開始するタイミングである設定値と等しいか否かを判断する。例えば、設定値には、ローラ230の回転周期変動に検出してキャンセルできるように、エンコーダENCのホームポジションに対して0°乃至360°で複数設定される。周期変動のキャンセルについては後述する。
次に、第1カウント値が設定値と等しいと液体を吐出する装置110の調整部110F40が判断すると(ステップS14でYES)、液体を吐出する装置110は、ステップS15に進む。一方で、第1カウント値が設定値と等しくないと液体を吐出する装置110の調整部110F40が判断すると(ステップS14でNO)、液体を吐出する装置110は、ステップS13に進む。
ステップS15では、液体を吐出する装置110の撮像部16Aは、第1画像を撮像する。すなわち、図7に示す機能構成において、上流側(「A位置」に相当する。)となる画像データを撮像する。
ステップS16では、液体を吐出する装置110の計測部110F20は、エンコーダパルスENPをカウントする。上述した通り、エンコーダパルスENPは、第2移動量の例である。ステップS16で計測される第2移動量は、最初のセンサが検出を行う位置を始点とする値である。具体的には、図2に示す場合には、ブラック用センサデバイスSENKの位置を始点としたカウント値を第2カウント値とする。液体を吐出する装置110は、ブラック用センサデバイスSENK及びシアン用センサデバイスSENCの相対距離Lを第2移動量の例であるエンコーダパルスENPをカウントすることによって計測する。このカウント値を第2カウント値とする。なお、相対距離Lは、センサ間の距離の基準値とも言える。
また、第1カウント値をカウントするためのカウンタと、第2カウント値をカウントするためのカウンタとは、異なるカウンタでもよい。例えば、カウンタは、センサ間隔ごとに、異なるカウンタ等でもよい。例えば、図2に示す例では、ブラック用センサデバイスSENKからシアン用センサデバイスSENC、ブラック用センサデバイスSENKからマゼンタ用センサデバイスSENMまでは異なるカウンタで数えても良い。また、センサ間は、ブラック用センサデバイスSENKからである必要はなく、シアン用センサデバイスSENCからマゼンタ用センサデバイスSENMまでをカウントしても良い。
ステップS17では、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、第2移動量をカウントした第2カウント値が「L+ΔL」と等しくなったか否かを判断する。つまり、ステップS17では、液体を吐出する装置は、エンコーダパルスENPをカウントした第2カウント値が、上流側のセンサと、下流側のセンサとのセンサ間隔、すなわち、「L+ΔL」となったか否かを判断する。
次に、第2移動量が「L+ΔL」と等しいと液体を吐出する装置110の調整部110F40が判断すると(ステップS17でYES)、液体を吐出する装置110は、ステップS18に進む。一方で、第2移動量が「L+ΔL」と等しくないと液体を吐出する装置の調整部110F40が判断すると(ステップS17でNO)、液体を吐出する装置110は、ステップS16に進む。
ステップS18では、液体を吐出する装置110の撮像部16Bは、第2画像を撮像する。すなわち、図7に示す機能構成において、下流側(「B位置」に相当する。)となる画像データを撮像する。
なお、液体を吐出する装置110は、ステップS13乃至ステップS19を繰り返すことで、複数のずれ量を、複数の回転位置を開始タイミングとして算出し、複数のずれ量を統計処理して平均値ΔDave等を計算することが望ましい。上述したように設定値としては複数の回転位置が記憶されている。異なる回転位置で第1画像の撮像を行うことで、異なる回転角度からのずれ量を取得することができる。複数のずれ量を統計処理して平均値ΔDaveを計算することにより、ローラ230の回転周期変動をキャンセルすることができる。
まず、上流側の画像データと、下流側の画像データとがあると、液体を吐出する装置110は、計算部53Fの上述したような相関演算の結果に基づいて、L+ΔLで移動したときの実際のセンサの撮像画像によるウェブ120の位置を検出できる。これにより、ずれ量計算部110F50は、L+ΔLの距離に対して、センサ間隔がどの程度ずれたのかを検出できる。つまり、実際のセンサの間隔を検出できる。例えば、液体を吐出する装置110は、ステップS15及びステップS18によって、第1画像データ及び第2画像データが得られると、ブラック用センサデバイスSENK及びシアン用センサデバイスSENCのセンサ間隔のずれ量が検出できる。このようにして、液体を吐出する装置110は、センサの検出結果に基づいて、センサ間隔のずれ量を示す値(以下単に「ずれ量」という。)が得られる。
したがって、図示するように、第1画像データ及び第2画像データの取得を複数回行うと、液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50は、複数のずれ量を算出できる。なお、ずれ量を何個算出するかを示す所定回数は、ユーザ等によってあらかじめ設定される。
ステップS19では、液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50は、ずれ量の算出回数と所定回数が等しいか否かを判断する。すなわち、液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50は、ステップS13乃至ステップS19を繰り返し行って、あらかじめ設定される数、ずれ量が集まっているか否かを判断する。
次に、ずれ量の算出回数と所定回数が等しいと液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50が判断すると(ステップS19でYES)、液体を吐出する装置110は、ステップS20に進む。一方で、ずれ量の算出回数と所定回数が等しくないと液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50が判断すると(ステップS19でNO)、液体を吐出する装置110は、ステップS16に進む。
ステップS20では、液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50は、ずれ量の平均値ΔDave等を計算する。すなわち、ステップS20では、液体を吐出する装置110のずれ量計算部110F50は、複数のずれ量に対して、統計処理を行って、統計値を計算する。例えば、統計量は、平均値又は移動平均値等である。以下、統計値が平均値ΔDaveである例で説明する。
ステップS21では、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、平均値ΔDaveが判定値より小さいか否かを判断する。なお、判定値は、仕様等に基づいて許容できるずれ量の範囲を示す値である。また、判定値は、あらかじめユーザ等によって設定される値である。したがって、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、平均値ΔDaveが許容できる範囲であるか否かを判断する。
次に、平均値ΔDaveが判定値より小さいと液体を吐出する装置110の調整部110F40が判断すると(ステップS21でYES)、液体を吐出する装置は、ステップS23に進む。一方で、平均値ΔDaveが判定値以上であると液体を吐出する装置の調整部110F40が判断すると(ステップS21でNO)、液体を吐出する装置110は、ステップS22に進む。
ステップS22では、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、補正値ΔLを算出する。このようにして、算出される補正値ΔLが、ステップS12で反映される。このようにすると、液体を吐出する装置110は、各センサによるデータの取得タイミングを調整できる。調整の詳細は、後述する。
ステップS23では、液体を吐出する装置は、第1移動速度、すなわち、高速に、被搬送物を移動しながら画像形成等のヘッドユニットによる処理を行う。そして、液体を吐出する装置の計算部53Fは、処理中に、補正値ΔLで補正された取得タイミングによって取得されるセンサの出力データに基づいてウェブ120の位置等の検出結果を算出する。さらに、液体を吐出する装置110は、上述したように、このようにして得られる検出結果に基づいて、処理中に、液体を吐出させる等を行う処理タイミングの調整、直交方向における各ヘッドユニットの移動又はこれらの組み合わせを行う。
以上、液体を吐出する装置が、処理(ステップS23等)が行われる前に、調整を行う例を説明したが、調整は、ジョブとジョブの間等に行われてもよい。
<取得タイミング調整例>
図15は、本発明の一実施形態に係る調整例を示すタイミングチャートである。図14に示す処理が行われると、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、例えば、図示するような調整が可能である。
以下、図示するように、ブラック用センサデバイスSENK(上流側のセンサの例とする。)及びシアン用センサデバイスSENC(下流側のセンサの例とする。)の組み合わせを例に説明する。さらに、この例では、ブラック用センサデバイスSENKと、シアン用センサデバイスSENCとは、それぞれが備えるセンサのセンサ間隔、すなわち、相対距離Lが「100mm(ミリメートル)」となるように設置されるとする。ただし、この例では、センサの取り付けにおいて、取り付け誤差Mが発生したとする。以下の説明では、取り付け誤差Mが「+0.5mm」、すなわち、図示するように、相対距離Lとなる位置から、「M=+0.5mm」となる位置にシアン用センサデバイスSENCが取り付けられたとする。なお、以下の説明では、取り付け誤差M以外の外乱はないものとする。
また、この例では、エンコーダパルスENPは、「1pulse(パルス)=0.1mm」であるとする。そして、エンコーダカウンタCN2が、エンコーダパルスENPをカウントする。
次に、取得タイミング信号SH1は、ブラック用センサデバイスSENKが撮像を行うタイミングを制御する信号である。すなわち、図示するように、取得タイミング信号SH1がアサート(ON)される第1取得タイミングTS1では、ブラック用センサデバイスSENKは、シャッタを切り、第1画像データD1を生成する。
同様に、取得タイミング信号SH2は、シアン用センサデバイスSENCが撮像を行うタイミングを制御する信号である。すなわち、図示するように、取得タイミング信号SH2がアサートされる第2取得タイミングTS2では、シアン用センサデバイスSENCは、シャッタを切り、第2画像データD2を生成する。この例では、取得タイミング信号SH1がアサートされてから、どのくらい経て取得タイミング信号SH2をアサート(ON)するかの時間が調整される。したがって、この例では、取得タイミング信号SH1がアサートされたタイミング、すなわち、第1取得タイミングTS1で、図示するように、エンコーダカウンタCN2がリセットされ、かつ、エンコーダカウンタCN2がカウントアップを開始する。
図14に示す処理では、まず、取り付け誤差Mがない状態に相当する初期値が設定される(ステップS11)。このように、設定されると、「補正値ΔL=0」であるため、第2移動量が相対距離L、すなわち、エンコーダカウンタCN2が「1000」となると(ステップS17でYES)、シアン用センサデバイスSENCは、シャッタを切り、第2画像データD2を生成する(調整前タイミングTBE、ステップS18)。
調整前タイミングTBEのようなタイミングで第2画像データD2が生成されても、移動速度が第2移動速度のような低速であれば、ウェブ120のスリップ等の生じる可能性が低いため、第2画像データD2には、第1画像データD1が示す所定の箇所が写る可能性が高い。そこで、液体を吐出する装置は、例えば、第2画像データD2に写る所定の箇所の位置と、第2画像データD2の中心座標等の位置とを比較すると、ずれ量を計算できる。このように、ずれ量が所定回数繰り返し計算されると、液体を吐出する装置は、ずれ量の平均値ΔDaveが計算できる(ステップS20)。以下、平均値ΔDaveも、「-0.5mm」であるとする。
図示する例では、シアン用センサデバイスSENCの取得タイミングは、平均値ΔDaveが「-0.5mm」であるため、調整前タイミングTBEから、「5pulse」遅れたタイミングに調整される。
したがって、この例では、補正値ΔLは、平均値ΔDaveを打ち消すように、「+0.5mm」と算出される(ステップS22)。そして、このような補正値ΔLが設置されると(ステップS12)、シアン用センサデバイスSENCの取得タイミングは、調整前タイミングTBEから、補正値ΔL分調整され、第2取得タイミングTS2となる。すなわち、液体を吐出する装置110の調整部110F40は、調整後、シアン用センサデバイスSENCの取得タイミングを「L+ΔL=1000+5=1005pulse」とする。
このような調整が行われると、例えば、以下のような効果を奏する。
<効果例>
図16は、本発明の一実施形態に係る効果の一例を示す図である。まず、センサが、例えば、1画素が「8μm(マイクロメートル)」であって、搬送方向に256画素あるとする。このような仕様のセンサであると、センサが位置等を検出可能な範囲は、約「2mm」程度となる。すなわち、センサが位置等を検出可能な範囲は、約「±1mm」程度となる。
以下、センサが「±1mm」の範囲を検出できる仕様であるとする。すなわち、図示する例では、原点「0」を中心に、センサは、図示する検出範囲RAN1において、被搬送物の位置等を検出できる。
さらに、以下の説明では、被搬送物が「±0.6mm」の範囲で変動があるとする。すなわち、被搬送物は、スリップ等の理由によって、図示する例では、原点「0」を中心に、図示する変動範囲RAN2で位置が変動する。図示するように、センサは、検出範囲RAN1が「±1mm」の範囲であるため、取り付け誤差M等がなければ、変動範囲RAN2の範囲で変動する被搬送物の位置を検出できる。なお、変動は、センサによる検出値、すなわち、縦軸の値となって出力される。
一方で、例えば、図15と同様に、取り付け誤差Mが「+0.5mm」あるとする。このように、取り付け誤差Mがある場合には、この図では、被搬送物は、「+0.5mm」を中心に変動する。したがって、取り付け誤差Mがある場合には、被搬送物は、「-0.1mm乃至+1.6mm」の範囲である、変動範囲RAN3で変動する。変動範囲RAN3のような変動は、検出範囲RAN1の範囲外となる変動を含む。具体的には、変動範囲RAN3のような変動のうち、「+1.0mm」を超える「+1.0mm乃至+1.6mm」の変動は、図示する仕様のセンサでは、検出できない。
そこで、図15に示すように、調整を行うと、液体を吐出する装置110は、取り付け誤差M等をキャンセルすることができる。すなわち、図16に示す例では、調整が行われると、取り付け誤差Mの影響が少なくなるため、変動範囲RAN2のように、液体を吐出する装置110は、被搬送物の変動を検出することができる。
以上のような構成であると、液体を吐出する装置110は、図7に示す計算部53Fによる検出結果の検出に用いられるデータの取得タイミングを調整部110F40によって、調整できる。
例えば、検出部52A及び検出部52Bを実現するセンサを新たに設置したり、又は、センサが設置されている位置を変更したりすると、取り付け誤差M等が発生しやすい。このように、取り付け誤差M等があると、センサ間隔は、相対距離L等の基準値ではなくなる場合が多い。
そこで、液体を吐出する装置110は、画像形成等の処理が行われる(図14のステップS23)前等に、例えば、図14に示すような処理によって、取得タイミングを調整する。具体的には、例えば、図15に示すように、液体を吐出する装置110は、まず、図7に示す計測部110F20によって、エンコーダカウンタCN2のように第2移動量を計測する。そして、第2移動量が所定の値となると、例えば、図15に示す調整前タイミングTBEで、図7に示す下流側の検出部52Bによって、第2画像データD2が生成できる。次に、液体を吐出する装置110は、第2画像データD2等の調整前タイミングTBEで出力される検出結果に基づいて、ずれ量ΔDが計算できる。
<処理中の計算部の計算>
図7に示すように、撮像部16A及び撮像部16Bは、搬送方向10において所定の間隔で設置される。そして、撮像部16A及び撮像部16Bによって、それぞれの位置で、ウェブ120が撮像される。処理中は、ウェブ120は第1移動速度で移動している。
上述したような調整により、撮像部16Aの撮像タイミングと撮像部16Bの撮像間隔は「L+ΔL」となる。以下の例では、撮像部16Aが最上流のセンサであり、撮像部16Aの撮像タイミングが調整されない例で説明する。
調整部110F40は、シャッタ制御部141Aに撮像指示を出力する。また、調整部110F40は、計測部110F20の出力したデータに基づいて、シャッタ制御部141Aに撮像指示を出力してからL+ΔLの位置でシャッタ制御部141Bに撮像指示を出力する。
撮像部16A及び撮像部16Bは、L+ΔLの間隔で撮像を行い、スペックルパターンを含む画像データを出力する。この画像データ基づいて、計算部53Fは、相関演算を行う。
次に、相関演算の結果に基づいて、L+ΔLにおける画像データD1と画像データD2との間での位置の差、移動量又は移動速度等の情報が出力される。例えば、直交方向においては、画像データD1から画像データD2までの間に、どの程度ウェブ120が直交方向に移動したかを検出することができる。なお、相関演算の結果は、移動量でなく、移動速度として検出されても良い。このようにして、計算部53Fは、相関演算の計算結果から、処理中に移動部110F80がシアン液体吐出ヘッドユニット210Cを直交方向に移動させる移動量を算出することができる。直交方向の移動については後述する。
さらに、計算部53Fは、相関演算の結果に基づき、搬送方向におけるウェブの移動量がどの程度ずれたかを求めることもできる。この結果に基づき、制御部110F30は、液体吐出ヘッドユニットの吐出タイミングを変更することができる。液体吐出等の処理タイミングの変更については後述する。
このようにセンサが兼用されると、それぞれの方向について装置を設置するコスト等が少なくできる。また、センサの数が少なくできるので、省スペースとすることもできる。
<処理タイミング変更例>
図17は、着弾位置のズレの一例を示す図である。図は、補正をしない状態で液体が着弾した位置のズレの一例を示す。
第1グラフG1は、実際のウェブの位置を示す。一方で、第2グラフG2は、エンコーダENCからのエンコーダパルスに基づいて算出されるウェブの位置である。つまり、第1グラフG1と、第2グラフG2とに差があると、搬送方向において、実際にウェブがある位置と、算出されるウェブの位置とが異なるため、着弾位置にズレが発生しやすい。
例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kによる液体の吐出において、ズレ量σが発生した例である。また、ズレ量は、液体吐出ヘッドユニットごとに異なる場合がある。すなわち、ブラック以外の吐出では、各ズレ量は、ズレ量σと異なる場合が多い。
ズレ量は、例えば、ローラの偏心、ローラの熱膨張、ウェブとローラとの間に発生する滑り、記録媒体の伸び縮み及びこれらの組み合わせが原因となって発生する。
図18は、本発明の一実施形態に係るセンサによる検出例を示すタイミングチャート及び概念図である。
図示する例は、エンコーダENCの出力したエンコーダパルスENPを横軸とする。また、エンコーダパルスENPの1パルス当たりの移動量を単位移動量PDとする。第1取得タイミングTS1は、ブラック用センサデバイスSENKがデータの取得を行う取得タイミングである。また、第1処理タイミングTE1を、ブラックの液体が吐出される処理タイミング、第2取得タイミングTS2を、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの間に設置されるシアン用センサデバイスSENCがデータの取得を行う取得タイミングとする。調整前タイミングTBEは、図14のフローに示す調整が行われなかったときにシアン用センサデバイスSENCが検出を行うタイミングである。さらに、変更前処理タイミングTE2´を、シアンの液体が吐出を行う予定のタイミング、第2処理タイミングTE2がセンサデバイスSENKとセンサデバイスSENCの撮像した画像データに基づいて、変更された後のシアンの液体が吐出される処理タイミングとする。
なお、この例において、シアン用センサデバイスSENCが検出を行う位置を以下「検出位置」という。検出位置は、上述したように、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの着弾位置から「設置距離(D-M)」の位置であるとする。
まず、ブラック用センサデバイスSENKが検出を行う第1取得タイミングTS1は、エンコーダパルスENPが所定値になったタイミングである。そして、第1取得タイミングTS1は、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kが液体を吐出するタイミングに対して、「設置距離D/単位移動量PD」分早いタイミングである。さらに、第1取得タイミングTS1において、ブラック用センサデバイスSENKは、画像データを取得する。図示する例では、第1取得タイミングTS1で取得される画像は、第1画像信号PAで示される。画像データは、図7に示す「A位置」における画像データD1(n)に相当する。
次に、液体を吐出する装置110は、第1処理タイミングTE1でブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに液体を吐出させるように、図7の第1制御信号SIG1を「ON」にする。第1処理タイミングTE1も、エンコーダパルスENPがあらかじめ定められた所定値となったタイミングとする。なお、第1処理タイミングTE1は、第1タイミングT1からカウントしても良い。
次に、第2取得タイミングTS2において、シアン用センサデバイスSENCは、画像データを取得する。この第2取得タイミングTS2が、図14に示す処理によって調整された後のタイミングである。図示する調整前タイミングTBEは、図14に示す処理が行われなかったときのシアン用センサデバイスSENCによる撮像タイミングである。この例では、ヘッドユニット間のエンコーダパルスENPの数であるLのタイミングでシアン用センサデバイスSENCが撮像を行うと、撮像したい位置に対して早すぎることが図14のステップS19、ステップS20で分かっているため、シアン用センサデバイスの撮像するタイミングを、ΔLにあたるパルス数、後に調整している。つまり、シアン用センサデバイスSENCの位置が「取り付け誤差M」の分シアン液体吐出ヘッドユニット210C側にずれているため、ΔLにあたるパルス数後で検出を行っている。図示する例では、第2取得タイミングTS2で取得される画像は、第2画像信号PBで示し、画像データは、図7に示す「B位置」における画像データD2(n)に相当する。次に、液体を吐出する装置110の計算部53Fは、画像データD1(n)及びD2(n)に対して相互相関演算を行う。このようにすると、画像形成装置は、ずれ量ΔD(0)を計算できる。
搬送の状態が、第2移動速度での搬送と同じ状態の場合、つまりローラに熱膨張がない、かつ、ローラとウェブ120との間にスリップがない等の状態では、液体を吐出する装置110がウェブ120の有する所定の箇所をブラック液体吐出ヘッドユニット210Kからシアン液体吐出ヘッドユニット210Cへ移動するのにかかるエンコーダパルス数は「L」である。
一方で、実際には、第2移動速度よりも早い第1移動速度でウェブ120を移動する場合にはローラとウェブ120との間に滑りが発生する場合が多い。
図19は、ローラの偏心等が着弾位置のズレに与える影響の一例を示す図である。図示するグラフは、ローラ及びウェブの間の滑り、ローラの熱膨張及び偏心等による影響の一例を示す。すなわち、各グラフは、エンコーダENCからのエンコーダ信号に基づいて算出されるウェブの位置と、実際の位置との差を縦軸の「ズレ量」で示す。また、図示する例は、ローラが「φ60」の外径、かつ、ローラの材質がアルミである例を示す。
第3グラフG3は、ローラに偏心量「0.01mm」がある場合のズレ量を示す。第3グラフG3で示すように、偏心によるズレ量は、ローラの回転周期と同期する周期となる場合が多い。また、偏心によるズレ量は、偏心量に比例する場合が多いが、累積はしない場合が多い。
第4グラフG4は、ローラに偏心と、熱膨張とがある場合のズレ量を示す。なお、熱膨張は、「-10℃」の温度変化があった場合の例である。
第5グラフG5は、ローラに偏心と、ウェブとローラとの間に発生する滑りとがある場合のズレ量を示す。なお、ウェブとローラとの間に発生する滑りは、「0.1パーセント」であった場合の例である。
また、ウェブの蛇行等を少なくするため、ウェブを搬送方向に引っ張る、いわゆるテンションをかける場合がある。このテンションによっては、ウェブには、伸び縮みが発生する場合がある。また、ウェブの伸び縮みは、ウェブの厚み、幅又は塗布量等によって異なる場合がある。
図18に戻り、第2取得タイミングTS2において取得された画像データD2(n)と、第1取得タイミングTS1で取得した画像データD1(n)に基づいて、液体を吐出する装置110の計算部53Fは、ずれ量ΔD(0)を計算する。そして、液体を吐出する装置110は、ずれ量ΔD(0)及び単位移動量PDに基づいて、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する処理タイミング、すなわち、第2処理タイミングTE2を変更する。
実際には、「L」のパルス数の経過後、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する対象となる位置は、ローラの熱膨張やスリップのため、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出する位置からずれ量ΔD(0)の位置にある。そのため、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cが液体を吐出すべきタイミングは「ΔD(0)/PD」分ずれることになる。そこで、液体を吐出する装置110は、理想の位置に対してずれ量ΔD(0)となる位置で液体が吐出できるように、変更前処理タイミングTE2´から第2処理タイミングTE2へ処理タイミングを変更する。
このように、液体を吐出する装置110は、第2制御信号SIG2を「ON」にするタイミングを変更前処理タイミングTE2´から第2処理タイミングTE2へ「ΔD(0)/PD」だけずらすように変更する。このようにすると、ローラの熱膨張やウェブとローラのスリップ等があっても、液体を吐出する装置110は、ずれ量ΔD(0)、単位移動量PDに基づいて処理タイミングが変更されるため、搬送方向において、液体の着弾位置の精度を向上できる。
他にも、液体を吐出する装置110には、モードごとに、それぞれの理想の移動速度があらかじめ設定されてもよい。なお、理想の移動速度は、熱膨張等がない状態での移動速度である。
以上、処理タイミングをエンコーダパルスENPに基づいて変更して決定する例を記載したが、液体を吐出する装置110は、ずれ量、移動速度「V」及び設置距離「D」に基づいて、液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させる処理タイミングを直接演算して決定しても良い。また、上記処理は複数並行して行われても良い。つまり、図18では、画像データD1の取得は1回だが、実際には、図18の期間中に画像データD1の取得は、複数回行われ、それぞれの画像データD1の位置がL+ΔL移動した後に、対応する画像データD2の取得が行われても良い。
<処理中のウェブの直交方向への変動例>
図20は、直交方向において記録媒体の位置が変動する例を示す図である。以下、図20(A)に示すように、ウェブ120が搬送方向10に搬送される例で説明する。この例で示すように、ウェブ120は、ローラ等によって搬送される。このように、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120は、例えば、図20(B)に示すように、直交方向において位置が変動する場合がある。すなわち、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。
なお、図示する例は、ローラが斜めに配置されてしまった場合である。図では、「斜め」となっている状態を分かりやすく記載しており、ローラの傾き等は、図示する例より少ない場合等でもよい。
直交方向におけるウェブ120の位置の変動、すなわち、「蛇行」は、例えば、搬送に係るローラの偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。また、ウェブ120が直交方向に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向におけるウェブ120の位置の変動に対して影響する場合もある。
例えば、ローラの偏心又はブレードの切断等によって、振動が発生すると、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。他にも、ブレードによる切断が一様にならず、ウェブ120の物理的特性、すなわち、ウェブ120が切断された後の形状等によって、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。
図21は、色ずれが起こる原因の一例を示す図である。図20で説明するように、直交方向において記録媒体の位置が変動、すなわち、「蛇行」が起こると、以下のような色ずれが起きやすい。
具体的には、複数の色を用いて記録媒体に画像を形成する場合、すなわち、カラー画像が形成される場合には、図示するように、画像形成装置は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出する各色のインクを重ねて、いわゆるカラープレーンによるカラー画像をウェブ120上に形成する。
これに対して、図20で説明するような位置の変動がある。例えば、参照線320を基準に、「蛇行」が起きる場合がある。この場合において、各液体吐出ヘッドユニットが同一の位置に対してインクをそれぞれ吐出すると、液体吐出ヘッドユニットの間で「蛇行」によって、直交方向において、ウェブ120の位置が変動するため、色ずれ330が起きる場合がある。すなわち、色ずれ330は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するインクによって形成される線等の位置が、直交方向においてずれることで起こる。このように、色ずれ330が起きると、ウェブ120に形成される画像の画質が劣化することがある。
<直交方向位置の移動例>
直交方向の位置、移動速度、又は第1移動量は、上述したように計算部53Fの計算結果から求められる。計算部53Fが計算を行う対象となる画像データD1及び画像データD2の検出は、処理タイミングの調整に使用される画像データと同様の画像データである。すなわち、図14のフローのステップS13~S21に基づいて調整されたタイミングで検出された画像データである。
図22は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置が有する液体吐出ヘッドユニットを移動させるための移動機構の一例を示すブロック図である。なお、移動機構は、図7に示す移動部110F80の機能を実現するハードウェア構成例である。例えば、移動機構は、図示するようなハードウェア等によって実現される。図示する例は、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる移動部の例である。
まず、図示する例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させるリニアアクチュエータ等のアクチュエータACTが、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに設置される。そして、アクチュエータACTには、アクチュエータACTを制御するアクチュエータコントローラCTRLが接続される。
アクチュエータACTは、例えば、リニアアクチュエータ又はモータである。また、アクチュエータACTは、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。
アクチュエータコントローラCTRLには、計算部53Fが算出した直交方向のウェブ120の位置、第1移動量、又は移動速度を示す検出結果が入力される。そして、アクチュエータコントローラCTRLは、検出結果が示すウェブ120の位置の変動を補償するように、アクチュエータACTによって、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。アクチュエータコントローラには、検出結果ではなく、アクチュエータを駆動させる指示信号、移動タイミング等が入力されても良い。
図示する例では、検出結果は、例えば、変動Δとなる。したがって、この例では、アクチュエータコントローラCTRLは、変動Δを補償するように、直交方向20へ、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cを移動させる。
このような移動機構等によって実現される移動部があると、処理中に、各液体吐出ヘッドユニットを移動させることができるため、搬送装置は、処理中に、「蛇行」等によって、被搬送物が直交方向20において変動しても、液体吐出ヘッドユニットを追従させることで精度良く処理を行うことができる。
また、データの取得タイミングが調整されると、取り付け誤差M等の外乱の影響が少なくなる。このように、取り付け誤差M等の外乱の影響が少なくなると、例えば、図16に示すように、検出部52Bが、検出を行うことができる検出範囲が広くできる。さらに、検出範囲では、検出部52Bは、被搬送物の位置等を検出することができる。このように、広い範囲で、検出結果が得られると、搬送装置は、ヘッドユニットによって精度よく処理を行うことができる。
また、実施形態に係る液体を吐出する装置は、液体吐出ヘッドユニットごとに、搬送方向、直交方向又はこれら両方向における位置、移動速度又は第1移動量等の検出結果を求める。
そのため、実施形態に係る液体を吐出する装置は、検出結果等に基づいて、液体吐出ヘッドユニットごとに、液体を吐出させる処理タイミング等を決定できる。そのため、上記の比較例等と比較すると、実施形態に係る液体を吐出する装置は、搬送方向において、液体の着弾位置に発生するズレを精度良く補償できる。
さらに、実施形態に係る液体を吐出する装置では、ウェブの位置を直接検出できるので、ローラの熱膨張等の影響が、精度良くキャンセルできる。他にも、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置では、液体吐出ヘッドユニットに近い位置で検出が行われると、ウェブの伸び縮み等の影響が、精度良くキャンセルできる。
このように、ローラの偏心、ローラの熱膨張、ウェブとローラとの間に発生する滑り、記録媒体の伸び縮み及びこれらの組み合わせ等による影響を少なくできると、液体を吐出する装置は、吐出される液体の着弾位置の精度をより向上できる。
また、液体を吐出して記録媒体に画像を形成する場合には、実施形態に係る液体を吐出する装置は、吐出される各色の液体の着弾位置が精度良くなると、色ずれが少なくなり、形成される画像の画質を向上させることができる。
さらに、それぞれの検出部は、異なる2以上のタイミングで被搬送物が有するパターンに基づいて、液体吐出ヘッドユニットごとに、被搬送物の位置、移動速度、第1移動量又はこれらの組み合わせをそれぞれ検出する。このようにすると、それぞれの検出結果に基づいて、各液体吐出ヘッドユニットが液体を吐出する処理タイミングがそれぞれ制御されるため、液体を吐出する装置は、液体の着弾位置に発生するズレをより精度良く補償できる。
なお、検出結果に加えて、計測部による計測結果も使用されると、液体を吐出する装置は、より確実に記録媒体の位置等が検出できる。
また、調整は、第2移動速度のような低速で行われるのが望ましい。調整前であると、取得タイミングは、例えば、調整前タイミングTBE(図15)等である。そして、ずれ量ΔDを計算するには、調整前タイミングTBEで得られる画像データのどこかに、上流側で検出された所定の箇所が、写っていないと、検出部52Bは、所定の箇所を検出できないため、ずれ量計算部110F50は、ずれ量ΔDを計算するのが難しい。一方で、移動速度が低速であれば、調整前タイミングTBEで得られる画像データであっても、上流側で検出された所定の箇所が写る可能性が高い。すなわち、液体を吐出する装置は、第2移動速度にすると、調整を行いやすい。
<変形例>
なお、検出部は、1つのセンサで2回撮像し、各撮像で生成されるそれぞれの画像を比較して、ウェブ120の位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等の検出結果を出力してもよい。
なお、本発明に係る実施形態は、1以上の装置を有する液体を吐出するシステム等の搬送システムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する液体を吐出するシステムによって実現されても良い。
また、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、画像を形成するに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、本発明は、搬送される被搬送物に対して、搬送方向に直交する方向に並べられたライン状のヘッドユニットを用いて何らかの処理を行う装置に適用可能である。
<第1変形例>
第1の支持部材及び第2の支持部材は、兼ねられてもよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、以下のような構成でもよい。
図23は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の第1変形例を示す概略図である。図2と比較すると、図示する構成では、第1の支持部材及び第2の支持部材の配置が異なる。図示するように、第1の支持部材及び第2の支持部材は、例えば、第1部材RL1、第2部材RL2、第3部材RL3、第4部材RL4及び第5部材RL5によって実現されてもよい。すなわち、各液体吐出ヘッドユニットの上流側に設けられる第2の支持部材と、各液体吐出ヘッドユニットの下流側に設けられる第1の支持部材とは、兼用されてもよい。なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、ローラで兼ねられてもよく、湾曲板で兼ねられてもよい。
<第2変形例>
例えば、搬送装置は、以下のように、被搬送物に対して読み取り等の処理を行うでもよい。
図24は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の第2変形例を示す概略図である。以下、図示するように、ウェブ120を上流側から下流側へ(図では、左から右となる。)搬送する場合を例に説明する。
図示するように、本変形例では、ヘッドユニットがCIS(Contact Image Sensor、密着型イメージセンサ)ヘッドを備える。
ヘッドユニットは、直交方向20に1個以上設置されたCISヘッドによって構成される。例えば、図示するように、搬送装置は、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2のように、2個のヘッドユニットを有する。なお、ヘッドユニットの数は、2個に限られず、3個以上であってもよい。
図示するように、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、それぞれ1つ以上のCISヘッドを備える。以下、ヘッドユニットは、1つのCISヘッドを備えるが、例えば、ヘッドユニットは、2つのCISヘッドが互いに千鳥状になる位置に、複数のCISヘッドを備えても良い。
ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、いわゆるスキャナ(Scanner)を構成する。したがって、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、ウェブ120の表面に形成される画像等を読み取り、読み取った画像等を示す画像データを出力する。そして、搬送装置は、各ヘッドユニットから出力される画像データを繋ぎ合わせると、直交方向20に繋がった画像を生成することができる。
また、この例では、搬送装置は、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2を有する。コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、情報処理装置である。具体的には、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、CPU、電子回路又はこれらの組み合わせ等の演算装置、制御装置、記憶装置及びインタフェース等を有するハードウェア構成である。なお、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、複数の装置でもよく、同一の装置で構成されても良い。
各ヘッドユニットに対して、センサデバイスSEN1及びSEN2がそれぞれ設置される。そして、搬送装置は、センサデバイスによって、ウェブ120の表面情報を検出し、複数の検出結果の間での相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を検出できる。
この例では、2個のヘッドユニットHD1及びHD2に対して、複数のローラが設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、2個のヘッドユニットHD1及びHD2を挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。
このように、ローラ間INTでセンサデバイスによって検出が行われると、搬送装置は、処理位置に近い位置でウェブ120の位置等を検出できる。また、ローラ間INTは、移動速度が比較的安定する場合が多い。そのため、搬送装置は、搬送方向、直交方向又は両方向において、複数の検出結果の間での相対位置、速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を精度良く検出できる。
また、センサデバイスが設置される位置は、ローラ間INTにおいて処理位置より第1ローラR1に近い位置であるのが望ましい。すなわち、センサデバイスは、処理位置より上流側で検出を行うのが望ましい。具体的には、図示する例では、センサデバイスSEN1は、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。すなわち、センサデバイスSEN1は、図示する例では、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第1上流区間INT1」という。)で検出を行うのが望ましい。
同様に、図示する例では、センサデバイスSEN2は、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。すなわち、センサデバイスSEN2は、図示する例では、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第2上流区間INT2」という。)で検出を行うのが望ましい。
第1上流区間INT1及び第2上流区間INT2にセンサデバイスが設置されると、搬送装置は、被搬送物の位置等を精度良く検出できる。このような位置にセンサデバイスが設置されると、センサデバイスが処理位置より上流側に設置される。そのため、搬送装置は、まず、上流側でセンサデバイスによって被搬送物の表面情報を検出できる。そして、搬送装置は、検出結果に基づいて、直交方向、搬送方向又は両方向において、ヘッドユニットによる処理タイミング、ヘッドユニットを移動させる量又は両方を計算できる。すなわち、上流側で被搬送物の位置等が検出された後、ウェブ120が処理位置に搬送される間に、処理タイミングの計算又はヘッドユニットの移動等が行われるため、搬送装置は、精度良く処理位置を変更できる。
ヘッドユニットのほぼ直下にセンサデバイスが設置されると、処理タイミングの計算又はヘッドユニットを移動させる等の処理時間によって、処理の実行に遅れが生じる場合がある。したがって、センサデバイスが設置される位置は、処理位置より上流側であると、搬送装置は、処理における遅れを少なくできる。また、処理位置、すなわち、ヘッドユニットの直下となる付近は、センサデバイス等を設置する位置とするのに制約される場合ある。そのため、センサデバイスが設置される位置は、処理位置より第1ローラR1に近い位置、すなわち、処理位置より上流であるのが望ましい。
ヘッドユニットによる処理及びセンサデバイスによる検出のどちらでも、ウェブ120へ光源から光を照射する場合がある。そして、特にウェブ120の透明度が高いと、それぞれの光が外乱となる場合がある。したがって、センサデバイス及びヘッドユニットは、同じ光軸上にない方が望ましい場合がある。
一方で、ウェブ120の透明度が高くない場合等では、センサデバイスが設置される位置は、例えば、ヘッドユニットの直下等でもよい場合がある。図示する例では、ヘッドユニットの直下は、処理位置の裏側である。すなわち、搬送方向において、処理位置と、センサデバイスが設置される位置は、ほぼ同一であって、ウェブ120の一方の面(表側)を処理対象とし、ウェブ120の他方の面(裏面)をセンサデバイスによる検出対象としても良い場合もある。
このように、センサデバイスがヘッドユニットの直下にあると、直下における正確な移動量等が、センサデバイスによって検出できる。したがって、それぞれの光が外乱とならない場合であって、制御等が速く行える場合であれば、センサデバイスは、ヘッドユニットの直下に近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサデバイスは、ヘッドユニットのほぼ直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサデバイスが設置される位置は、ヘッドユニットのほぼ直下又はローラ間INT間であって、ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
<第3変形例>
例えば、液体を吐出する装置110は、以下のように、被搬送物をベルト等にしてもよい。
図25は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の第3変形例を示す概略図である。本変形例では、ヘッドユニット350C、350M、350Y及び350Kがインク滴を吐出して、転写ベルト328の外周表面上に画像を形成する。以下、ヘッドユニット350C、350M、350Y及び350Kをまとめて「ヘッドユニット群350」という。
次に、乾燥機構370は、転写ベルト328上に形成された画像を乾燥させ、膜化する。
続いて、転写ベルト328が転写ローラ330と対向する転写部において、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上の膜化した画像を用紙に転写する。
また、クリーニングローラ323は、転写後の転写ベルト328の表面をクリーニングする。
このように、本変形例では、液体を吐出する装置において、転写ベルト328の周りには、ヘッドユニット350C、350M、350Y、350K、乾燥機構370、クリーニングローラ323及び転写ローラ330等が設けられる。
本変形例では、転写ベルト328は、駆動ローラ321、対向ローラ322、4つの形状維持ローラ324及び8つの支持ローラ325C1、325C2、325M1、325M2、325Y1、325Y2、325K1及び325K2等に架け渡され、転写ベルト駆動モータ327によって回転する駆動ローラ321に従動して図中矢印方向に移動する。駆動ローラ321の回転によって転写ベルト328が移動する方向を移動方向とする。
また、ヘッドユニット群350に対向して設けられる8つの支持ローラ325C1、325C2、325M1、325M2、325Y1、325Y2、325K1及び325K2は、各ヘッドユニット350からインク滴が吐出される際に、転写ベルト328の引張状態を維持する。そして、転写モータ331は、転写ローラ330を回転駆動する。
さらに、本変形例では、支持ローラ325C1と支持ローラ325C2との間、かつ、ヘッドユニット350Cの吐出位置よりも、転写ベルト328の移動方向において上流側に、センサデバイス332Cが配置される。また、センサデバイス332Cは、スペックルセンサを有する。
スペックルセンサは、転写ベルト328の情報を取得するセンサの例である。また、ヘッドユニット350Cに対する支持ローラ325C1、支持ローラ325C2及びセンサデバイス332Cの位置関係と同様の位置関係で、ヘッドユニット350Mに対してもセンサデバイス332Mが設けられる。
本変形例では、ヘッドユニットM、ヘッドユニットY及びヘッドユニットKには、アクチュエータ333M、333Y及び333Kがそれぞれ設けられる。また、アクチュエータ333Mは、ヘッドユニットMを、転写ベルト328の移動方向と直交する方向に移動させるアクチュエータである。同様に、アクチュエータ333Y及び333Kは、それぞれヘッドユニット350Y及びヘッドユニット350Kを転写ベルト328の移動方向と直交する方向に移動させるアクチュエータである。
制御基板340は、センサデバイス332C、332M、332Y及び332Kから取得した画像データに基づいて、転写ベルト328の直交方向の移動量及び転写ベルト328の移動方向の移動量等を検出する。また、制御基板340は、転写ベルト328の直交方向の移動量に応じて、アクチュエータ333M、333Y及び333Kを制御し、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kを直交方向に移動させる。さらに、制御基板340は、転写ベルト328の移動方向の移動量に応じて、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kの吐出タイミングを制御する。
さらに、制御基板340は、転写ベルト駆動モータ327、転写モータ331に駆動信号を出力する。
<第3変形例における効果>
本変形例によれば、転写ベルト328の移動中に、転写ベルト328が駆動ローラ321の駆動による移動方向と直交する直交方向に動いた場合にも、検出した移動量に応じて、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kを直交方向にそれぞれ移動させることができる。このため、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上に品質の高い画像を形成することができる。
また、転写ベルト328が駆動ローラ321の駆動による移動方向に、想定と異なる移動量移動した場合にも、検出した移動量に応じて、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kの吐出タイミングをそれぞれ変更することができる。このため、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上に品質の高い画像を形成することができる。
上記の例では、センサデバイス332C、332M、332Y及び332Kから取得した画像データに基づいて、転写ベルト328の直交方向の移動量と、転写ベルト328の移動方向の移動量とを算出したが、いずれかの移動量しか使用しない場合は、一方のみを算出しても良い。
また、本変形例では、ヘッドユニット350Cは、アクチュエータを備えないが、備えても良い。そして、ヘッドユニット350Cを直交方向に移動させることで、転写ベルト328から用紙に転写される際の、転写Pの搬送方向に直交する方向の位置を制御することができる。
なお、上記の例では、複数のヘッドユニットを用いて転写ベルト328上に画像を形成する例について記載したが、一つのヘッドユニットで画像を形成する場合にも適用可能である。
さらに、例えば、本発明に係る実施形態は、ヘッドユニットがレーザを発し、レーザによって、被搬送物である基板に、パターンニングの処理を行う搬送装置等でもよい。具体的には、搬送装置は、まず、レーザヘッドを基板が搬送される搬送方向と直交する方向にライン状に並べて有する。そして、搬送装置は、基板の位置等を検出し、検出結果に基づいて、ヘッドユニットを移動させる等を行う。また、この例では、処理位置は、レーザが基板に照射される位置が処理位置となる。
さらに、搬送装置が有するヘッドユニットは、複数でなくともよい。すなわち、被搬送物に対して、基準となる位置に、処理を行い続ける等の場合には、本発明は、適用可能である。
また、本発明に係る実施形態では、搬送装置、情報処理装置又はこれらの組み合わせ等のコンピュータに液体を吐出させる等のタイミング調整方法のうち、一部又は全部を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。