以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
<全体構成例>
以下、搬送装置が有するヘッドユニットが液体を吐出する液体吐出ヘッドユニットであり、液体吐出ヘッドユニットが液体をウェブに吐出する位置を「処理位置」とする場合を例に説明する。また、搬送装置が有するヘッドユニットが液体を吐出する液体吐出ヘッドユニットである場合、搬送装置は、液体を吐出する装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の一例を示す概略図である。このような液体を吐出する装置では、吐出される液体は、水性又は油性のインク等の記録液である。以下、液体を吐出する装置が画像形成装置である例で説明する。
液体を吐出する装置110は、ウェブ120等の被搬送物を搬送する。図示する例では、液体を吐出する装置110は、ローラ130等によって搬送されるウェブ120に対して、液体を吐出して画像形成を行う。画像が形成される場合、ウェブ120は、記録媒体とも言える。また、ウェブ120は、いわゆる連続用紙印刷媒体等である。すなわち、ウェブ120は、巻き取りが可能なロール状のシート等である。
例えば、液体を吐出する装置110は、いわゆるプロダクション・プリンタである。以下の説明では、ローラ130が、ウェブ120の張力を調整等し、図示する方向(以下「搬送方向10」という。)にウェブ120が搬送される例で説明する。さらに、図では、搬送方向10に直交する方向を「直交方向20」とする。また、この例では、液体を吐出する装置110は、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の4色のそれぞれのインクを吐出してウェブ120の所定の箇所に画像を形成するインクジェットプリンタである。
図2は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の全体構成例を示す概略図である。図示するように、液体を吐出する装置110は、4色のそれぞれのインクを吐出するため、4つの液体吐出ヘッドユニットを有する。
各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向10に搬送されるウェブ120に対して、各色のそれぞれの液体を吐出する。また、ウェブ120は、2対のニップローラ(nip roller)及びローラ230等で搬送されるとする。以下、この2対のニップローラのうち、各液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるニップローラを「第1ニップローラNR1」という。一方で、第1ニップローラNR1及び各液体吐出ヘッドユニットより下流側に設置されるニップローラを「第2ニップローラNR2」という。なお、各ニップローラは、図示するように、ウェブ120等の被搬送物を挟んで回転する。このように、各ニップローラ及びローラ230は、ウェブ120等を所定の方向へ搬送する機構等である。
また、ウェブ120の記録媒体は、長尺であるのが望ましい。具体的には、記録媒体の長さは、第1ニップローラNR1と、第2ニップローラNR2との距離より長いのが望ましい。さらに、記録媒体は、ウェブに限られない。すなわち、記録媒体は、折り畳まれて格納されるシート、いわゆる「Z紙」等でもよい。
以下、図示する全体構成例では、各液体吐出ヘッドユニットは、上流側から下流側に向かって、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の順に設置されるとする。すなわち、最も上流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「ブラック液体吐出ヘッドユニット210K」という。)をブラック(K)用とする。このブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「シアン液体吐出ヘッドユニット210C」という。)をシアン(C)用とする。さらに、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの次に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M」という。)をマゼンタ(M)用とする。続いて、最も下流側に設置される液体吐出ヘッドユニット(以下「イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y」という。)をイエロー(Y)用とする。
各液体吐出ヘッドユニットは、画像データ等に基づいて、ウェブ120の所定の箇所に、各色のインクをそれぞれ吐出する。このインクを吐出する位置(以下「吐出位置」という。)は、液体吐出ヘッドユニットから吐出される液体が記録媒体に着弾する位置(以下「着弾位置」という。)にほぼ等しい。すなわち、着弾位置は、液体吐出ヘッドユニットのほぼ直下となる。以下、液体吐出ヘッドユニットによって処理が行われる処理位置を吐出位置とする例で説明する。
この例では、ブラックのインクは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出位置(以下「ブラック吐出位置PK」という。)に吐出される。同様に、シアンのインクは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出位置(以下「シアン吐出位置PC」という。)に吐出される。さらに、マゼンタのインクは、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mの吐出位置(以下「マゼンタ吐出位置PM」という。)に吐出される。また、イエローのインクは、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yの吐出位置(以下「イエロー吐出位置PY」という。)に吐出される。なお、各液体吐出ヘッドユニットがインクを吐出するそれぞれのタイミングの制御や、各液体吐出ヘッドユニットに設けられたアクチュエータACの制御は、例えば、各液体吐出ヘッドユニットに接続されるコントローラ520が行う。タイミングの制御とアクチュエータの制御は、2つ以上のコントローラや回路が行っても良い。アクチュエータについては後述する。
また、図示する例では、液体吐出ヘッドユニットごとに、複数のローラがそれぞれ設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、各液体吐出ヘッドユニットを挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。具体的には、ウェブ120の搬送経路において、液体吐出ヘッドユニットごとに、各吐出位置の上流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第1ローラ」という。)が、設置される。また、各吐出位置から下流側にウェブ120を支持するローラ(以下「第2ローラ」という。)が、設置される。
このように、第1ローラ及び第2ローラがそれぞれ設置されると、各吐出位置において、いわゆる「ばたつき」が少なくなる。なお、第1ローラ及び第2ローラは、例えば、従動ローラである。また、第1ローラ及び第2ローラは、モータ等により回転駆動されるローラであってもよい。
なお、第1の支持部材の例である第1ローラ及び第2の支持部材の例である第2ローラは、従動ローラ等の回転体でなくてもよい。すなわち、第1ローラ及び第2ローラは、被搬送物を支える支持部材であればよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、断面円形状のパイプ又はシャフト等でもよい。他にも、第1の支持部材及び第2の支持部材は、被搬送物と接する部位が円弧状となる湾曲板等であってもよい。以下、第1の支持部材が第1ローラであり、かつ、第2の支持部材が第2ローラである例で説明する。
具体的には、ブラック吐出位置PKのウェブ120の搬送方向上流側にブラック用第1ローラCR1Kが設置される。これに対して、ブラック吐出位置PKからウェブ120の搬送方向下流側にブラック用第2ローラCR2Kが設置される。
同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して、シアン用第1ローラCR1C及びシアン用第2ローラCR2Cがそれぞれ設置される。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して、マゼンタ用第1ローラCR1M及びマゼンタ用第2ローラCR2Mがそれぞれ設置される。また、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して、イエロー用第1ローラCR1Y及びイエロー用第2ローラCR2Yがそれぞれ設置される。
液体を吐出する装置110は、例えば、図2に示すように、液体吐出ヘッドユニットごとに、センサデバイス(SENK、SENC、SENM、SENY)(以下「第1センサデバイス」という。)を備える。また、液体を吐出する装置110は、第1センサデバイスとは別に、第1センサデバイスより上流側に、センサデバイス(以下「第2センサデバイスSEN2」という。)を更に備えてもよい。第2センサデバイスSEN2を備える場合、第2センサデバイスSEN2が、最も上流に位置するセンサとなる。
以上のように、液体を吐出する装置110は、図2に示す例では、4つの第1センサデバイスと、1つの第2センサデバイスSEN2とを合わせて、合計5つのセンサデバイスを備える。
以下の説明では、各第1センサデバイス及び第2センサデバイスを総じて、単に「センサデバイス」という場合がある。なお、センサデバイスは、図示する構成及び図示する位置に設置されるに限られない。
以下の説明は、センサデバイスが合計5つの例で説明する。なお、センサデバイスの数は、5つに限られない。すなわち、センサデバイスの数は、図2に示すように、第1センサデバイス及び第2センサデバイスの数を合計して液体吐出ヘッドユニットの数より多くてもよい。例えば、液体吐出ヘッドユニットごとに、2つ以上のセンサデバイスが設置されてもよい。同様に、第2センサデバイスは、2つ以上設置されてもよい。また、第2センサデバイスSEN2は、なくともよい。
センサデバイスは、可視光、レーザ又は赤外線等の光を利用する光学センサOS等を備える。なお、光学センサOSは、例えば、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等でもよい。すなわち、センサデバイスは、例えば、ウェブ120の表面情報を検出できるセンサ等を有する。液体を吐出する装置は、センサデバイスによって、ウェブ120の表面情報を検出し、複数の検出結果の間での相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を検出できる。なお、各センサデバイスは、すべて同一の種類でもよいし、異なる種類でもよい。以下の説明では、すべてセンサデバイスは、同一の種類とする。
また、センサデバイスは、後述するようにレーザ光源を備える。光源から照射されるレーザ光がウェブ120の表面で散乱した散乱波が重なり合って干渉すると、スペックルパターン等が生じる。そして、各センサデバイスが有する光学センサOSは、このようなスペックルパターン等を撮像して、画像データを生成する。スペックルパターンは、ウェブ120の表面情報の一例である。このように、光学センサOSによって撮像されるパターンの位置変化に基づいて、センサデバイスは、相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を検出できる。そして、液体を吐出する装置110は、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる移動量や、各液体吐出ヘッドユニットの吐出タイミング等を求めることができる。
また、以下の説明において、「センサデバイスが設置される位置」は、センサデバイスによって位置の検出等が行われる位置を指す。したがって、「センサデバイスが設置される位置」に、位置の検出等に用いる装置がすべて設置される必要はない。すなわち、光学センサOSのみがセンサデバイスとして検出が行われる位置に設置され、他の装置は、光学センサOSとケーブル等で接続されて他の位置に設置されてもよい。一方で、検出に用いられる装置が全て「センサデバイスが設置される位置」に設置されても良い。なお、図2に図示するブラック用センサデバイスSENK、シアン用センサデバイスSENC、マゼンタ用センサデバイスSENM、イエロー用センサデバイスSENY及び第2センサデバイスSEN2は、センサデバイスが設置される位置の例を示す。さらに、以下の説明では、各センサデバイスを総じて単に「センサデバイス」という場合がある。
また、第1センサデバイスが設置される位置は、各吐出位置に近い位置であるのが望ましい。各吐出位置に対して近い位置に第1センサデバイスが設置されると、各吐出位置と、第1センサデバイスとの距離が短くなる。各吐出位置と、第1センサデバイスとの距離が短くなると、検出における誤差が少なくできる。そのため、液体を吐出する装置は、第1センサデバイスによって、搬送方向又は直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
以下の説明では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kに対して設置されるセンサデバイスを「ブラック用センサデバイスSENK」という。同様に、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cに対して設置されるセンサデバイスを「シアン用センサデバイスSENC」という。さらに、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mに対して設置されるセンサデバイスを「マゼンタ用センサデバイスSENM」という。さらにまた、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Yに対して設置されるセンサデバイスを「イエロー用センサデバイスSENY」という。
各吐出位置に近い位置は、具体的には、各第1ローラ及び各第2ローラの間である。すなわち、図示する例では、ブラック用センサデバイスSENKが設置される位置は、ブラック用ローラ間INTK1であるのが望ましい。同様に、シアン用センサデバイスSENCが設置される位置は、図示するように、シアン用ローラ間INTC1であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMが設置される位置は、図示するように、マゼンタ用ローラ間INTM1であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYが設置される位置は、図示するように、イエロー用ローラ間INTY1であるのが望ましい。このように、各ローラ間に、第1センサデバイスが設置されると、第1センサデバイスは、各吐出位置に近い位置で記録媒体の位置等を検出できる。また、ローラ間は、移動速度が比較的安定している場合が多い。そのため、液体を吐出する装置は、直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。
さらに、第1センサデバイスが設置される位置は、各ローラ間において、吐出位置より第1ローラに近い位置であるのが望ましい。すなわち、第1センサデバイスが設置される位置は、図2に示すように、各吐出位置より上流側であるのが望ましい。
具体的には、ブラック用センサデバイスSENKが設置される位置は、ブラック吐出位置PKからとブラック用第1ローラCR1Kが設置される位置の間(以下「ブラック用上流区間INTK2」という。)であるのが望ましい。同様に、シアン用センサデバイスSENCが設置される位置は、シアン吐出位置PCとシアン用第1ローラCR1Cが設置される位置の間(以下「シアン用上流区間INTC2」という。)であるのが望ましい。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMが設置される位置は、マゼンタ吐出位置PMとマゼンタ用第1ローラCR1Mが設置される位置の間(以下「マゼンタ用上流区間INTM2」という。)であるのが望ましい。さらにまた、イエロー用センサデバイスSENYが設置される位置は、イエロー吐出位置PYとイエロー用第1ローラCR1Yが設置される位置の間(以下「イエロー用上流区間INTY2」という。)であるのが望ましい。
ブラック用上流区間INTK2、シアン用上流区間INTC2、マゼンタ用上流区間INTM2及びイエロー用上流区間INTY2に第1センサデバイスが設置されると、液体を吐出する装置では、直交方向において、記録媒体の位置を精度良く検出できる。このような位置に第1センサデバイスが設置されると、第1センサデバイスが各着弾位置より上流側に設置される。そのため、液体を吐出する装置は、まず、上流側で第1センサデバイスによって記録媒体の位置を精度良く検出でき、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するタイミング、各液体吐出ヘッドユニットを移動させる移動量又はこれらの組み合わせを計算できる。
すなわち、上流側で、位置が検出され、その後、ウェブ120が下流側にある着弾位置に搬送されると、その間に、液体を吐出するタイミングの調整、液体吐出ヘッドユニットの移動又はこれらの組み合わせが行われる。そのため、各液体吐出ヘッドユニットは、搬送方向、直交方向又は両方向に、精度良く着弾位置を変更することができる。
なお、各液体吐出ヘッドユニットの直下を第1センサデバイスが設置される位置とすると、制御動作分の遅れ等によって、色ズレが生じてしまう場合がある。したがって、第1センサデバイスが設置される位置は、各着弾位置より上流側であると、液体を吐出する装置は、色ズレを少なくし、画質を向上できる。また、各着弾位置付近等を、第1センサデバイス等を設置する位置とするのは、制約される場合がある。そのため、第1センサデバイスが設置される位置は、各着弾位置より各第1ローラに近い位置であるのが望ましい。
一方で、センサデバイスの位置は、例えば、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下等でもよい。このように、センサデバイスが直下にあると、直下における正確な移動量が、センサデバイスによって検出できる。したがって、制御動作等が速く行えるのであれば、センサデバイスは、各液体吐出ヘッドユニットの直下により近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサデバイスは、各液体吐出ヘッドユニットの直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサデバイスの位置は、各液体吐出ヘッドユニットのそれぞれの直下又は各第1ローラ及び各第2ローラの間であって、直下より下流となる位置でもよい。
一方で、第2センサデバイスSEN2が設置される位置は、各第1センサデバイスのそれぞれの間隔がほぼ等間隔である場合には、同様に、センサデバイスの間隔が、ほぼ等間隔となる位置であるのが望ましい。以下、図2に示す例で説明する。具体的には、ブラック用センサデバイスSENK及びシアン用センサデバイスSENCの間隔と、シアン用センサデバイスSENC及びマゼンタ用センサデバイスSENMの間隔と、マゼンタ用センサデバイスSENM及びイエロー用センサデバイスSENYの間隔が、ほぼ等間隔となるように、第1センサデバイスがそれぞれ設置される場合がある。これに対して、第2センサデバイスが設置される位置は、第2センサデバイスSEN2及びブラック用センサデバイスSENKの間隔と、ブラック用センサデバイスSENK及びシアン用センサデバイスSENCの間隔とがほぼ等間隔となる位置であるのが望ましい。各センサデバイスによる検出精度は、各センサデバイスの間隔に基づいて計算される場合が多い。そのため、各センサデバイスの間隔がほぼ等間隔であると、各センサデバイスによる検出精度が均一にできる。
他にも、第2センサデバイスが設置される位置は、巻きつき等があるローラよりも下流側の位置であるのが望ましい。例えば、ウェブがローラ等に巻きつくと、ウェブは、変動する場合が多い。そのため、第2センサデバイスは、巻きつきが起きた後、すなわち、下流側で、検出するのが望ましい。このようにすると、巻きつき等による変動の影響を第2センサデバイスによる検出結果によって、少なくすることができる。なお、巻きつきが起きやすいローラは、図2に示す例では、ローラ230である。図示するように、ウェブ120が巻きつき角度がきついローラ等があると、ウェブ120は、変動しやすい。したがって、図2に示す例では、図示するように、第2センサデバイスが設置される位置は、ローラ230よりも下流側の位置であるのが望ましい。
図3は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置におけるセンサデバイスとアクチュエータの配置例を示す模式図である。例えば、各センサデバイスは、ウェブ120の記録面に対して垂直の方向から見たときに、図示するようにウェブ120の幅方向(直交方向)における端付近であり、ウェブ120と重なる位置に配置されるのが望ましい。各センサデバイスは、配置位置PS1、PS2、PS3、PS4及びPS5等に配置される。また、本構成は、コントローラ520が、アクチュエータAC1、AC2、AC3及びAC4を制御することで、ウェブ120が搬送される方向と直交する方向に、各液体吐出ヘッドユニットを移動させることができる構成例である。
図2に示すように、各センサデバイスは、各液体吐出ヘッドユニットに対して裏側(ウェブ120に対して各液体吐出ヘッドユニットが設置される側と反対側)に設けられる。
また、各アクチュエータAC1、AC2、AC3及びAC4には、アクチュエータを制御するアクチュエータコントローラCTL1、CTL2、CTL3及びCTL4が接続される。
アクチュエータは、例えば、リニアアクチュエータ又はモータである。また、アクチュエータは、制御回路、電源回路及び機構部品等を有してもよい。
アクチュエータコントローラCTL1、CTL2、CTL3及びCTL4は、例えば、ドライバ回路等である。
図4は、本発明の一実施形態に係る被搬送物の変動量を算出するためのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示する構成は、液体を吐出する装置110が、複数のアクチュエータ及び複数のセンサデバイスを有する例である。さらに、図示する構成は、液体を吐出する装置110には、コントローラ520が搭載される例である。また、コントローラ520は、CPU221、ROM(Read−Only Memory)222及びRAM(Random Access Memory)223を有する。さらに、図示するように、各装置は、他の装置とデータ等を送受信するため、I/O(Input/Output)となるインタフェースを有してもよい。
なお、構成は、図示する例に限られない。すなわち、図示する各装置は、液体を吐出する装置が有してもよいし、外部装置でもよい。
また、各装置は、兼用でもよい。例えば、CPU221等は、後述する検出部を実現するためのCPU等と兼用でもよいし、別々であってもよい。
CPU221は、演算装置及び制御装置の例である。具体的には、CPU221は、各センサの検出結果を取得し、被搬送物の変動量を算出するための演算等を行う。また、CPU221は、各アクチュエータを制御し、各ヘッドユニットを移動させるための制御等を行う。
ROM222及びRAM223は、記憶装置の例である。例えば、ROM222は、CPU221が用いるプログラム及びデータ等を記憶する。また、RAM223は、CPU221が演算を行うのに用いるプログラム等を記憶し、各演算を実現するための記憶領域となる。
速度検出回路SCRは、被搬送物が搬送される移動速度等を検出する電子回路である。なお、速度検出回路SCRは、CPU221等の演算装置と同一であってもよいし、別であってもよい。
図5は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドユニットの外形形状の一例を示す図である。図示するように、図5(a)は、液体を吐出する装置110が有する4つの液体吐出ヘッドユニット210K乃至210Yの一例を示す概略平面図である。
図5(a)に示すように、各液体吐出ヘッドユニットは、この例では、ライン型のヘッドユニットである。すなわち、液体を吐出する装置110は、搬送方向10において、上流側からブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)に対応する4つの液体吐出ヘッドユニット210K、210C、210M及び210Yを配置する。
また、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kは、この例では、直交方向に4つのヘッド210K−1、210K−2、210K−3及び210K−4を千鳥状に配置する。これにより、液体を吐出する装置110は、ウェブ120に画像が形成される領域(印刷領域)において、幅方向(直交方向)の全域に、画像を形成することができる。なお、他の液体吐出ヘッドユニット210C、210M及び210Yの構成は、ブラック(K)の液体吐出ヘッドユニット210Kの構成と同様のため、説明を省略する。
なお、この例では、4つのヘッドで液体吐出ヘッドユニットを構成する例を説明したが、液体吐出ヘッドユニットは、単一のヘッドで構成されてもよい。
<検出装置の例>
図6は、本発明の一実施形態に係る検出装置を実現するハードウェア構成例を示すブロック図である。例えば、検出装置600は、図示するようなセンサデバイスSEN及びコントローラ520等のハードウェアによって実現される。
まず、センサデバイスSENは、例えば、以下のよう構成で使用される。
図7は、検出装置に含まれるセンサデバイスの一例を示す外観図である。
図示する検出装置600は、ウェブ等の対象物に対して照明を当て、スペックルパターンを形成する構成を有する。具体的には、センサデバイスは、複数の発光部からなる光源LGを有する。また、センサデバイスは、パターン等を示す画像を撮像するため、CMOSイメージセンサと、CMOSイメージセンサにスペックルパターンを集光結像するためのテレセントリック撮像光学系(TO)とを有する。
例えば、光学センサOSがパターンを撮像する。そして、コントローラ520は、撮像したパターンと他のセンサデバイスの備える光学センサOSが撮像したパターンとに基づいて相互相関演算等の処理を行う。この場合、コントローラ520は、一方の光学センサOSから、他方の光学センサOSまでの間に、対象物が移動した移動量等を算出する。また、同じ光学センサOSが、離間した時刻T1と時刻T2の各々においてパターン等を示す画像を撮像し、時刻T1で撮像したスペックルパターンを示す画像と、時刻T2で撮像したスペックルパターンを示す画像とを用いて相互相関演算等の処理を行っても良い。この場合、コントローラ520は、時刻T1から時刻T2における対象物の移動量を出力する。なお、図示する例では、センサデバイスのサイズは、幅W×奥行きD×高さHを15×60×32[mm]とする例である。
なお、光源は、レーザ光を用いる装置に限られない。例えば、光源は、LED(Light Emitting Diode)又は有機EL(Electro−Luminescence)等でもよい。そして、光源の種類によって、パターンは、スペックルパターンでなくともよい。以下、パターンがスペックルパターンである例で説明する。
なお、CMOSイメージセンサは、撮像部を実現するハードウェアの一例である。本例では、相関演算を行うハードウェアをコントローラ520として記載したが、相関演算は、何れかのセンサデバイスに搭載されたFPGA回路で実行されても良い。
制御回路52は、センサデバイスSEN内部の光学センサOS、光源LG等を制御する。具体的には、制御回路52は、例えば、トリガ信号を検出回路50に対して出力して、光学センサがシャッタを切るタイミングを制御する。また、制御回路52は、光学センサOSから、2次元画像データを取得できるように制御する。そして、制御回路52は、光学センサOSが撮像して生成する2次元画像データを記憶装置53等に送る。また、制御回路52は、光源LG等に対して照射範囲を制御する信号を出力する。制御回路52は、例えばFPGA回路である。
記憶装置53は、いわゆるメモリ等である。なお、記憶装置53は、制御回路52から送られる2次元画像データを分割して、異なる記憶領域に記憶できる構成であるのが望ましい。
コントローラ520は、例えば、記憶装置53に記憶される画像データ等を用いて演算を行う。
制御回路52及びコントローラ520は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又は電子回路等である。なお、制御回路52、記憶装置53及びコントローラ520は、異なるデバイスでなくともよい。例えば、制御回路52及びコントローラ520は、1つのCPU等であってもよい。
図8は、本発明の一実施形態に係る検出装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、図示するように、液体吐出ヘッドユニットごとに設置されるセンサデバイスのうち、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K及びシアン液体吐出ヘッドユニット210Cの組み合わせと、コントローラを含む検出装置により、検出部110F10を実現する場合を例に説明する。この例では、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用のブラック用センサデバイスSENKが備える画像取得機能である画像取得部52Aが「A位置」で撮像する画像データを出力し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用のシアン用センサデバイスSENCが備える画像取得機能である画像取得部52bが「B位置」で撮像する画像データを出力する例で説明する。
まず、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の画像取得部52Aは、例えば、撮像部16A、撮像制御部14A及び画像記憶部15A、光源部51A及び光源制御部56A等で構成される。なお、この例では、シアン液体吐出ヘッドユニット210C用の画像取得部52Bは、例えば、画像取得部52Aと同様の構成であり、撮像部16B、撮像制御部14B及び画像記憶部15B等で構成される。以下、画像取得部52Aを例に説明し、重複する説明を省略する。
撮像部16Aは、図示するように、搬送方向10に搬送されるウェブ120を撮像する。なお、撮像部16Aは、例えば、図7に示す光学センサOS等によって実現される。
撮像制御部14Aは、シャッタ制御部141A、画像取込部142A及び設定部143Aを有する。なお、撮像制御部14Aは、例えば、制御回路52等によって実現される。
画像取込部142Aは、撮像部16Aによって撮像される画像データを取得する。
シャッタ制御部141Aは、撮像部16Aが撮像するタイミングを制御する。
設定部143Aは、画像取込部142Aから出力された画像の一部を切り出すように設定する。又は、設定部143Aは、撮像部16Aにあってもよい。この場合には、設定部143Aは、読み出し範囲を設定する。
画像記憶部15Aは、撮像制御部14Aが取り込んだ画像データを記憶する。なお、画像記憶部15Aは、例えば、記憶装置53等によって実現される。
光源部51Aは、ウェブに対してレーザ光等の光を照射する。光源部51Aは、例えば、図7に示す光源LGによって実現される。
光源制御部56Aは、例えば、光源部51Aに含まれる複数の発光素子のオンオフや光量を制御する。光源制御部56Aは、例えば、制御回路52等によって実現される。
さらに、光源制御部56Aは、調整部55Fによって制御される。調整部55Fは、後述するように、検出結果に応じて光源部51Aの照射する照射範囲を変更するように光源制御部56Aを制御する。なお、調整部55Fは、例えば、コントローラ520等によって実現される。
計算部53Fは、画像記憶部15A及び15Bに記憶されるそれぞれの画像データに基づいて、ウェブ120が有するパターンの位置、ウェブ120が移動する移動速度及びウェブ120が移動した移動量を算出可能に構成される。また、計算部53Fは、シャッタ制御部141Aに、シャッタを切るタイミングを示す時差Δtのデータを出力する。すなわち、計算部53Fは、「A位置」を示す画像と、「B位置」を示す画像とが時差Δtで、それぞれ撮像されるように、シャッタを切るタイミングをシャッタ制御部141Aに出力しても良い。なお、計算部53Fは、例えば、コントローラ520又は演算装置等によって実現される。
ウェブ120は、表面又は内部に散乱性を有する部材である。そのため、ウェブ120に光源部51A又は光源部51Bからレーザ光等の光が照射されると、反射光が拡散反射する。この拡散反射によって、ウェブ120には、パターンが形成される。すなわち、パターンは、「スペックル」と呼ばれる斑点、いわゆるスペックルパターンである。そのため、ウェブ120を撮像すると、スペックルパターンを示す画像が得られる。この画像からスペックルパターンのある位置が分かるため、ウェブ120の所定の位置が相対的にどこにあるかが検出できる。なお、このスペックルパターンは、ウェブ120の表面又は内部に形成される凹凸形状によって、照射されるレーザ光が干渉するため、生成される。
ウェブ120が搬送されると、ウェブ120が有するスペックルパターンも一緒に搬送される。そのため、同一のスペックルパターンを異なる時間でそれぞれ検出すると、計算部53Fは、検出結果に基づいてウェブ120の移動量が求められる。すなわち、同一のスペックルパターンを複数回検出してパターンの移動量が求まると、計算部53Fは、ウェブ120の移動量を求めることができる。この求まる移動量を単位時間あたりに換算すると、計算部53Fは、ウェブ120が移動した移動速度を求めることができる。
図8に示すように、撮像部16A及び撮像部16Bは、搬送方向10において所定の間隔で設置される。そして、撮像部16A及び撮像部16Bを介して、それぞれの位置でウェブ120が撮像される。
各撮像部によって撮像される時差を「Δt」とすると、時差Δtの間隔で、シャッタ制御部141Aは、撮像部16Aと、撮像部16Bとにウェブ120を撮像させる。そして、撮像によって生成される画像データが示すパターンに基づいて、計算部53Fは、ウェブ120の移動量を求める。具体的には、ずれ等がない理想状態の移動速度V[mm/s]であって、撮像部16A及び撮像部16Bが搬送方向10において設置される間隔である相対距離L[mm]とすると、下記(1)式のように示せる。
Δt=L/V (1)
上記(1)式において、相対距離L[mm]は、撮像部16A及び撮像部16Bの間隔であるため、あらかじめ求めることができる。
計算部53Fは、画像取得部52A及び52Bによって撮像されるそれぞれの画像データを示す画像データD1(n)及びD2(n)に対して相互相関演算を行う。以下、相互相関演算によって生成される画像データを「相関画像」という。例えば、計算部53Fは、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算する。
例えば、相互相関演算は、下記(2)式で示す計算である。
D1★D2*=F−1[F[D1]・F[D2]*] (2)
なお、上記(2)式において、画像データD1(n)、すなわち、「A位置」で撮像される画像データを「D1」とする。同様に、上記(2)式において、画像データD2(n)、すなわち、「B位置」で撮像される画像データを「D2」とする。さらに、上記(2)式では、フーリエ変換を「F[]」で示し、逆フーリエ変換を「F−1[]」で示す。
さらにまた、上記(2)式では、複素共役を「*」で示し、相互相関演算を「★」で示す。
上記(2)式に示すように、画像データD1及びD2に対して、相互相関演算「D1★D2」を行うと、相関画像を示す画像データが、得られる。なお、画像データD1及びD2が2次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、2次元画像データとなる。また、画像データD1及びD2が1次元画像データであると、相関画像を示す画像データは、1次元画像データとなる。
なお、相関画像において、例えば、ブロードな輝度分布が問題となる場合には、位相限定相関法が用いられてもよい。位相限定相関法は、例えば、下記(3)式で示す計算である。
D1★D2*=F−1[P[F[D1]]・P[F[D2]*]] (3)
なお、上記(3)式において、「P[]」は、複素振幅において位相のみを取り出すことを示す。また、振幅は、すべて「1」とする。
このようにすると、計算部53Fは、ブロードな輝度分布であっても、相関画像に基づいて、ずれ量ΔD(n)を計算できる。
相関画像は、画像データD1及びD2の相関関係を示す。具体的には、画像データD1及びD2の一致度が高いほど、相関画像の中心に近い位置には、急峻なピーク、いわゆる相関ピークとなる輝度が出力される。そして、画像データD1及びD2が一致すると、相関画像の中心及びピークの位置は、重なる。
次に、相関演算の結果に基づいて、Δtにおける画像データD1と画像データD2との間での位置の差、移動量又は移動速度等の情報が出力される。例えば、直交方向においては、画像データD1から画像データD2までの間に、どの程度ウェブ120が直交方向に移動したかを検出することができる。なお、相関演算の結果は、移動量でなく、移動速度として検出されても良い。このようにして、計算部53Fは、相関演算の計算結果から、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの移動量を算出することができる。
そして、計算部53Fの計算結果に基づいて、移動部57Fは、図3のアクチュエータAC2を制御し、液体の着弾位置を制御する。また、移動部57Fは、例えば、アクチュエータコントローラによって構成される。なお、移動部57Fは、アクチュエータコントローラだけでなく、コントローラ520等との組み合わせで構成されても良い。また、移動部57Fは、コントローラ520で構成されても良い。
さらに、計算部53Fは、相関演算の結果に基づき、搬送方向におけるウェブの移動量がどの程度相対距離Lに対してずれたかを求めることもできる。すなわち、撮像部16A及び16Bが撮像した二次元画像データから、計算部53Fは、搬送方向及び直交方向のそれぞれの位置を検出するのに兼用されてもよい。このようにセンサデバイスが兼用されると、それぞれの方向について、センサデバイスを設置するコストが少なくできる。また、センサデバイスの数が少なくできるので、省スペースとすることもできる。
また、理想の距離からどの程度ウェブ120の搬送量がずれたかの演算に基づいて、計算部53Fは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cの吐出タイミングを算出する。この算出結果に基づき、制御部54Fは、シアン液体吐出ヘッドユニット210Cによる吐出を制御する。なお、液体を吐出するタイミングは、制御部54Fによって出力されるシアン液体吐出ヘッドユニット210C用の第2信号SIG2等によって制御される。また、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出タイミングが算出された場合には、制御部54Fは、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K用の第1信号SIG1によってブラック液体吐出ヘッドユニット210Kの吐出タイミングを制御する。なお、制御部54Fは、例えば、コントローラ520(図2)等によって実現される。
また、液体を吐出する装置は、エンコーダ等の計測部を更に備えてもよい。以下、計測部がエンコーダによって実現される例で説明する。具体的には、エンコーダは、例えば、ローラ230が有する回転軸に対して設置される。このようにすると、ローラ230の回転量に基づいて搬送方向における搬送量を計測できる。この計測結果をセンサデバイスによる検出結果と併せて利用すると、より精度良く、液体を吐出する装置は、ウェブ120に対して液体を吐出できる。
また、相関演算は、例えば、以下のように演算されてもよい。
<相関演算例>
図9は、本発明の一実施形態に係る相関演算方法の一例を示す構成図である。例えば、計算部53Fは、図示するような構成によって、相関演算を行うと、画像データが撮像された位置におけるウェブ120の直交方向の相対位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ、又は画像データが撮像されたタイミングにおけるウェブ120の理想の搬送位置からのずれ量、移動速度等を計算することができる。
具体的には、計算部53Fは、図示するように、第1の2次元フーリエ変換部FT1、第2の2次元フーリエ変換部FT2、相関画像データ生成部DMK、ピーク位置探索部SR、演算部CAL及び変換結果記憶部MEMを有する構成である。
第1の2次元フーリエ変換部FT1は、第1画像データD1を変換する。具体的には、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT1aは、直交方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT1bは、直交方向用のフーリエ変換部FT1aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第1画像データD1を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT1a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT1bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。このようにして変換された変換結果を、第1の2次元フーリエ変換部FT1は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
同様に、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、第2画像データD2を変換する。具体的には、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、直交方向用のフーリエ変換部FT2a、搬送方向用のフーリエ変換部FT2b及び複素共役部FT2cを有する構成である。
直交方向用のフーリエ変換部FT2aは、直交方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。そして、搬送方向用のフーリエ変換部FT2bは、直交方向用のフーリエ変換部FT2aによる変換結果に基づいて、搬送方向に、第2画像データD2を1次元フーリエ変換する。このようにして、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bが、直交方向及び搬送方向に、それぞれ1次元フーリエ変換する。
次に、複素共役部FT2cは、直交方向用のフーリエ変換部FT2a及び搬送方向用のフーリエ変換部FT2bによる変換結果の複素共役を計算する。そして、複素共役部FT2cが計算した複素共役を、第2の2次元フーリエ変換部FT2は、相関画像データ生成部DMKに出力する。
続いて、相関画像データ生成部DMKは、第1の2次元フーリエ変換部FT1から出力される第1画像データD1の変換結果と、第2の2次元フーリエ変換部FT2から出力される第2画像データD2の変換結果とに基づいて、相関画像データを生成する。
相関画像データ生成部DMKは、積算部DMKa及び2次元逆フーリエ変換部DMKbを有する構成である。
積算部DMKaは、第1画像データD1の変換結果と、第2画像データD2の変換結果とを積算する。そして、積算部DMKaは、積算結果を2次元逆フーリエ変換部DMKbに出力する。
2次元逆フーリエ変換部DMKbは、積算部DMKaによる積算結果を2次元逆フーリエ変換する。このように、2次元逆フーリエ変換が行われると、相関画像データが生成される。そして、2次元逆フーリエ変換部DMKbは、相関画像データをピーク位置探索部SRに出力する。
ピーク位置探索部SRは、生成された相関画像データにおいて、最も急峻となる(すなわち、立ち上がりが急になる。)ピーク輝度(ピーク値)があるピーク位置を探索する。まず、相関画像データには、光の強さ、すなわち、輝度の大きさを示す値が入力される。また、輝度は、マトリクス状に入力される。
なお、相関画像データでは、輝度は、エリアセンサの画素ピッチ間隔、すなわち、画素サイズ間隔で並ぶ。そのため、ピーク位置の探索は、いわゆるサブピクセル処理を行ってから、探索が行われるのが望ましい。このように、サブピクセル処理が行われると、ピーク位置が精度良く探索できる。そのため、計算部53Fは、位置、移動量及び移動速度等を精度良く出力できる。
例えば、ピーク位置探索部SRによる探索は、以下のように行われる。
図10は、本発明の一実施形態に係る相関演算におけるピーク位置の探索方法の一例を示す図である。図では、横軸は、相関画像データが示す画像における搬送方向の位置を示す。一方で、縦軸は、相関画像データが示す画像の輝度を示す。
以下、相関画像データが示す輝度のうち、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3の3つのデータを例に説明する。つまり、この例では、ピーク位置探索部SR(図9)は、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3を繋ぐ曲線kにおけるピーク位置Pを探索する。
まず、ピーク位置探索部SRは、相関画像データが示す画像の輝度の各差分を計算する。そして、ピーク位置探索部SRは、計算した差分のうち、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせを抽出する。次に、ピーク位置探索部SRは、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせに隣接する組み合わせを抽出する。このようにすると、図示する、第1データ値q1、第2データ値q2及び第3データ値q3のように、ピーク位置探索部SRは、3つのデータを抽出できる。そして、抽出される3つのデータを繋いで曲線kを算出すると、ピーク位置探索部SRは、ピーク位置Pを探索できる。このようにすると、ピーク位置探索部SRは、サブピクセル処理等の演算量を少なくし、より高速にピーク位置Pを探索できる。なお、最も差分の値が大きくなるデータ値の組み合わせの位置が、最も急峻な位置となる。また、サブピクセル処理は、上記の処理以外の処理でもよい。
以上のように、ピーク位置探索部SRがピーク位置を探索すると、例えば、以下のような演算結果が得られる。
図11は、本発明の一実施形態に係る相関演算の演算結果例を示す図である。図は、相互相関関数の相関強度分布を示す。なお、図では、X軸及びY軸は、画素の通し番号を示す。図示する「相関ピーク」のようなピーク位置が、ピーク位置探索部SR(図9)によって探索される。
図9に戻り、演算部CALは、ウェブの相対位置、移動量又は移動速度等を演算する。例えば、演算部CALは、相関画像データの中心位置と、ピーク位置探索部SRによって探索されるピーク位置との差を計算すると、相対位置及び移動量を演算することができる。
また、演算部CALは、例えば、移動量を時間で除算して移動速度を計算できる。
以上のようにして、計算部53Fは、相関演算によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出できる。なお、相対位置、移動量又は移動速度等の検出方法は、これに限定されない。例えば、計算部53Fは、以下のように、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。
まず、計算部53Fは、第1画像データ及び第2画像データのそれぞれの輝度を2値化する。すなわち、計算部53Fは、輝度があらかじめ設定される閾値以下であれば、「0」とし、一方で、輝度が閾値より大きい値であると、「1」とする。このように2値化された第1画像データ及び第2画像データを比較して、計算部53Fは、相対位置を検出してもよい。
なお、図では、Y方向に変動がある例を説明したが、X方向に変動がある場合には、ピーク位置は、X方向にもずれた位置に発生する。
また、計算部53Fは、これ以外の検出方法によって、相対位置、移動量又は移動速度等を検出してもよい。例えば、計算部53Fは、いわゆるパターンマッチング処理等によって、各画像データに写るそれぞれのパターンから相対位置を検出してもよい。
<ずれの発生例>
図12は、直交方向において記録媒体の位置が変動する例を示す図である。以下、図12(A)に示すようにウェブ120が搬送方向10に搬送される例で説明する。この例で示すように、ウェブ120は、ローラ等によって搬送される。このように、ウェブ120が搬送されると、ウェブ120は、例えば、図12(B)に示すように、直交方向において位置が変動する場合がある。すなわち、ウェブ120は、図12(B)に示すように、「蛇行」する場合がある。
なお、図示する例は、ローラが斜めに配置されてしまった場合である。図では、「斜め」となっている状態を分かりやすく記載しており、ローラの傾き等は、図示する例より少ない場合等でもよい。
直交方向におけるウェブ120の位置の変動、すなわち、「蛇行」は、例えば、搬送に係るローラの偏心、ミスアライメント又はブレードによるウェブ120の切断等によって発生する。また、ウェブ120が直交方向に対して幅が狭い場合等には、ローラの熱膨張等が、直交方向におけるウェブ120の位置の変動に対して影響する場合もある。
例えば、ローラの偏心又はブレードの切断等によって、振動が発生すると、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。他にも、ブレードによる切断が一様にならず、ウェブ120の物理的特性、すなわち、ウェブ120が切断された後の形状等によって、ウェブ120は、図示するように、「蛇行」する場合がある。
図13は、色ずれが起こる原因の一例を示す図である。図12で説明するように、直交方向において記録媒体の位置が変動、すなわち、「蛇行」が起こると図13に示す原因等によって、色ずれが起きやすい。
具体的には、複数の色を用いて記録媒体に画像を形成する場合、すなわち、カラー画像が形成される場合には、図示するように、液体を吐出する装置は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出する各色のインクを重ねて、いわゆるカラープレーンによるカラー画像をウェブ120上に形成する。
これに対して、図12で説明するような位置の変動がある。例えば、参照線320を基準に、「蛇行」が起きる場合がある。この場合において、各液体吐出ヘッドユニットが同一の位置に対してインクをそれぞれ吐出すると、液体吐出ヘッドユニットの間で「蛇行」によって、直交方向において、ウェブ120の位置が変動するため、色ずれ330が起きる場合がある。すなわち、色ずれ330は、各液体吐出ヘッドユニットが吐出するインクによって形成される線等の位置が、直交方向においてずれることで起こる。このように、色ずれ330が起きると、ウェブ120に形成される画像の画質が劣化することがある。
<制御部の例>
制御部の例であるコントローラ520(図2)は、例えば、以下に説明する構成である。
図14は、本発明の一実施形態に係る制御部のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、コントローラ520は、情報処理装置等である上位装置71と、プリンタ装置72とを有する。図示する例では、コントローラ520は、上位装置71から入力される画像データ及び制御データに基づいて、プリンタ装置72に、記録媒体に対して画像を画像形成させる。
上位装置71は、例えば、PC(Personal Computer)等である。また、プリンタ装置72は、プリンタコントローラ72C及びプリンタエンジン72Eを有する。
プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eの動作を制御する。まず、プリンタコントローラ72Cは、上位装置71と、制御線70LCを介して制御データを送受信する。さらに、プリンタコントローラ72Cは、プリンタエンジン72Eと、制御線72LCを介して制御データを送受信する。この制御データの送受信によって、制御データが示す各種印刷条件等がプリンタコントローラ72Cに入力され、プリンタコントローラ72Cは、レジスタ等によって、印刷条件等を記憶する。次に、プリンタコントローラ72Cは、制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eを制御し、印刷ジョブデータ、すなわち、制御データに従って画像形成を行う。
プリンタコントローラ72Cは、CPU72Cp、印刷制御装置72Cc及び記憶装置72Cmを有する。なお、CPU72Cp及び印刷制御装置72Ccは、バス72Cbによって接続され、相互に通信を行う。また、バス72Cbは、通信I/F(interface)等を介して、制御線70LCに接続される。
CPU72Cpは、制御プログラム等によって、プリンタ装置72全体の動作を制御させる。すなわち、CPU72Cpは、演算装置及び制御装置である。
印刷制御装置72Ccは、上位装置71から送信される制御データに基づいて、プリンタエンジン72Eと、コマンド又はステータス等を示すデータを送受信する。これにより、印刷制御装置72Ccは、プリンタエンジン72Eを制御する。
プリンタエンジン72Eには、データ線70LD−C、70LD−M、70LD−Y及び70LD−K、すなわち、複数のデータ線が接続される。そして、プリンタエンジン72Eは、複数のデータ線を介して、上位装置71から画像データを受信する。次に、プリンタエンジン72Eは、プリンタコントローラ72Cによる制御に基づいて、各色の画像形成を行う。
プリンタエンジン72Eは、データ管理装置72EC、72EM、72EY及び72EK、すなわち、複数のデータ管理装置を有する。また、プリンタエンジン72Eは、画像出力装置72Ei及び搬送制御装置72Ecを有する。
図15は、本発明の一実施形態に係る制御部が有するデータ管理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。例えば、複数のデータ管理装置は、同一の構成である。以下、各データ管理装置が同一の構成である例で説明し、データ管理装置72ECを例に説明する。したがって、重複する説明は、省略する。
データ管理装置72ECは、ロジック回路72EClと、記憶装置72ECmとを有する。図示するように、ロジック回路72EClは、データ線70LD−Cを介して上位装置71と接続される。また、ロジック回路72EClは、制御線72LCを介して印刷制御装置72Ccと接続される。なお、ロジック回路72EClは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はPLD(Programmable Logic Device)等で実現される。
ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72C(図14)から入力される制御信号に基づいて、上位装置71から入力される画像データを記憶装置72ECmに記憶する。
また、ロジック回路72EClは、プリンタコントローラ72Cから入力される制御信号に基づいて、記憶装置72ECmからシアン用画像データIcを読み出す。次に、ロジック回路72EClは、読み出されたシアン用画像データIcを画像出力装置72Eiに送る。
なお、記憶装置72ECmは、3頁程度の画像データを記憶できる容量を有するのが望ましい。3頁程度の画像データが記憶できると、記憶装置72ECmは、上位装置71から入力される画像データ、画像形成中の画像データ及び次に画像形成するための画像データを記憶できる。
図16は、本発明の一実施形態に係る制御部が有する画像出力装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図示するように、画像出力装置72Eiは、出力制御装置72Eicと、各色の液体吐出ヘッドユニットであるブラック液体吐出ヘッドユニット210K、シアン液体吐出ヘッドユニット210C、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M及びイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yとを有する。
出力制御装置72Eicは、各色の画像データを各色の液体吐出ヘッドユニットにそれぞれ出力する。すなわち、出力制御装置72Eicは、入力される画像データに基づいて、各色の液体吐出ヘッドユニットを制御する。
出力制御装置72Eicは、複数の液体吐出ヘッドユニットを同時又は個別に制御する。すなわち、出力制御装置72Eicは、タイミングの入力を受けて、各液体吐出ヘッドユニットに液体を吐出させるタイミングを変える制御等を行う。なお、出力制御装置72Eicは、プリンタコントローラ72C(図14)から入力される制御信号に基づいて、何れかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。さらに、出力制御装置72Eicは、ユーザによる操作等に基づいて、何れかの液体吐出ヘッドユニットを制御してもよい。
なお、図14に示すプリンタ装置72は、上位装置71から画像データを入力する経路と、制御データに基づく上位装置71及びプリンタ装置72の間での送受信に用いられる経路とをそれぞれ異なる経路とする例である。
また、プリンタ装置72は、例えば、ブラック1色で画像形成を行う構成とされてもよい。ブラック1色で画像形成を行う場合において、画像形成を行う速度を速くするため、例えば、1つのデータ管理装置と、4つのブラック液体吐出ヘッドユニットとを有する構成等でもよい。このようにすると、複数のブラック液体吐出ヘッドユニットによって、それぞれブラック用のインクが吐出される。そのため、1つのブラック液体吐出ヘッドユニットとする構成と比較して、速い画像形成を行うことができる。
搬送制御装置72Ec(図14)は、ウェブ120を搬送させるモータ等である。例えば、搬送制御装置72Ecは、各ローラ等に接続されるモータ等を制御し、ウェブ120を搬送させる。
<全体処理例>
図17は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による全体処理の一例を示すフローチャートである。例えば、液体を吐出する装置は、図示するような全体処理を行う。
ステップS01では、液体を吐出する装置は、「N=1」と設定する。なお、「N」は、処理回数を示すカウンタ値とする。また、「N=1」は、いわゆる初期値の例である。以下、説明では、「N=1」である場合を「1回目」という場合もある。また、以下に説明する例は、「3回目」(N=3)まで行う例とする。
ステップS02では、液体を吐出する装置は、「N=1」であるか否かを判断する。次に、「N=1」である、すなわち、1回目であると(ステップS02でYES)、液体を吐出する装置は、ステップS03に進む。一方で、「N=1」でない、すなわち、1回目以外であると(ステップS02でNO)、液体を吐出する装置は、ステップS09に進む。
ステップS03では、液体を吐出する装置は、第1検出範囲の初期設定を行う。例えば、第1検出範囲の初期設定は、以下のように行われる。
図18は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による検出範囲の初期設定例を示す図である。例えば、図17に示すステップS03、すなわち、画像データに基づくウェブ120に対する画像形成が行われる前に、液体を吐出する装置は、図示するような初期設定を行う。
なお、図示する状態は、ウェブ120が平行に移動する状態、すなわち、斜行及び蛇行等がなく、直交方向においてウェブ120が移動しない状態の例である。つまり、図12に示すような変動が発生していない状態である。
図2に示す例では、液体を吐出する装置は、搬送方向10において、第1センサデバイス、すなわち、ブラック用センサデバイスSENK、シアン用センサデバイスSENC、マゼンタ用センサデバイスSENM及びイエロー用センサデバイスSENYが検出を行う。なお、検出装置が検出を行う範囲(以下「検出範囲」という。)は、例えば、検出装置の計算部53Fが計算を行う画像データの範囲である。検出範囲は、例えば、撮像部16Aの出力する画像データの範囲であっても良い。また、計算部53Fが、画像データの範囲よりも小さい所定の範囲に対して計算を行う場合、計算が行われる範囲を検出範囲としても良い。
液体を吐出する装置は、各検出範囲を設定することが可能とする。すなわち、液体を吐出する装置は、検出装置が検出を行う検出範囲の位置、大きさ又はこれらの組み合わせを設定できるとする。そして、液体を吐出する装置が、初期設定によって、設定する検出範囲の位置、大きさ又はこれらの組み合わせを以下の説明では、「第1検出範囲」という。
以下、ブラック用センサデバイスSENKの撮像した画像データに対して計算を行う範囲を「ブラック用第1検出範囲SRK1」という。同様に、シアン用センサデバイスSENCの撮像した画像データに対して計算を行う範囲を「シアン用第1検出範囲SRC1」という。さらに、マゼンタ用センサデバイスSENMの撮像した画像データに対して計算を行う範囲検出範囲を「マゼンタ用第1検出範囲SRM1」という。また、イエロー用センサデバイスSENYの撮像した画像データに対して計算を行う範囲検出範囲を「イエロー用第1検出範囲SRY1」という。
各第1検出範囲は、ウェブ120が斜行及び蛇行等によって変動する範囲を十分に含む程度であるのが望ましい。例えば、ウェブ120が直交方向に、「±1.0mm」程度変動する蛇行又は斜行が見込まれる場合には、各第1検出範囲は、「1.0mm」以上の検出範囲とする初期設定を行うのが望ましい。このように、ウェブ120が変動する範囲を含む程度に、第1検出範囲が設定されると、液体を吐出する装置は、ウェブ120に斜行及び蛇行等が発生しても、ウェブ120の移動量を検出することができる。
図17に戻り、ステップS04では、液体を吐出する装置は、画像を撮像する。例えば、ステップS04では、液体を吐出する装置は、図8に示すように、画像を撮像する。したがって、ステップS04によって、画像が撮像されると、ステップS05において、液体を吐出する装置は、相関演算等によって、位置を検出できる。
ステップS05では、液体を吐出する装置は、相関演算等によって、位置を検出する。相関演算は、例えば、図9に示すような構成によって実現される。また、相関演算は、ステップS04において、ブラック用第1検出範囲SRK1、シアン用第1検出範囲SRC1、マゼンタ用第1検出範囲SRM1及びイエロー用第1検出範囲SRY1の画像データを用いて行われる。以下、撮像部が撮像して出力する画像データの範囲が検出範囲である例で説明する。
図19は、本発明の一実施形態に係る記録媒体の斜行例を示す図である。以下、図示するように、ウェブが斜行する場合を例に説明する。具体的には、この例では、ウェブは、搬送方向10に対して所定の角度がある状態で搬送されるとする。以下、図示するようなウェブの状態を「斜行状態121」という。
まず、ブラック用センサデバイスSENKのブラック用第1検出範囲SRK1において、任意の箇所(以下「検出箇所PT」という。)が検出されるとする。ブラック用第1検出範囲SRK1において検出が行われた後、ウェブは、搬送方向10に搬送される。そのため、検出箇所PTは、搬送方向10、すなわち、ブラック用第1検出範囲SRK1から、シアン用第1検出範囲SRC1に移動する。
したがって、斜行状態121であると、図示するように、検出箇所PTは、直交方向20において、ブラック用第1検出範囲SRK1における位置と、シアン用第1検出範囲SRC1における位置とでは、ずれが生じる。
また、検出箇所PTは、搬送方向10においても、ブラック用第1検出範囲SRK1における位置と、シアン用第1検出範囲SRC1における位置とでは、ずれが生じる場合がある。
そして、相関演算等によって、液体を吐出する装置は、各第1検出範囲において、検出箇所PTの位置を検出する。なお、検出結果は、基準となる色に対するずれ量又は各第1検出範囲における座標値等である。つまり、検出結果が分かると、液体を吐出する装置は、ウェブがどの程度変動するかを示す変動量を把握できる。なお、検出結果は、検出箇所PTの位置を複数回検出した結果等でもよい。すなわち、検出結果は、平均値又は移動平均値等でもよい。
図17に戻り、ステップS06では、液体を吐出する装置は、第2検出範囲を設定する。すなわち、ステップS06では、液体を吐出する装置は、初期設定した第1検出範囲と異なる位置、大きさ又は範囲となるように、検出範囲を変更する。以下、ステップS06によって設定される検出範囲を「第2検出範囲」という。具体的には、液体を吐出する装置は、例えば、以下のように第2検出範囲を設定する。
図20は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による第2検出範囲の設定例を示す図である。図19と比較すると、図20では、ブラック用第1検出範囲SRK1、シアン用第1検出範囲SRC1、マゼンタ用第1検出範囲SRM1及びイエロー用第1検出範囲SRY1が、ブラック用第2検出範囲SRK2、シアン用第2検出範囲SRC2、マゼンタ用第2検出範囲SRM2及びイエロー用第2検出範囲SRY2となる点が異なる。
第2検出範囲は、図示するように、第1検出範囲より、センサデバイスが検出に用いる範囲が狭いのが望ましい。すなわち、この例では、液体を吐出する装置は、第1検出範囲を撮像した画像のサイズより、第2検出範囲を撮像する画像のサイズを小さく設定する。このように、検出範囲を絞ると、液体を吐出する装置は、検出箇所PTの位置を精度良く検出できる。そのため、液体を吐出する装置は、ウェブの変動量を精度良く検出することができる。
また、第2検出範囲の中心位置は、第1検出範囲の中心位置と位置が異なってもよい。以下、第2検出範囲の中心位置を「ブラック用中心位置SCK」、「シアン用中心位置SCC」、「マゼンタ用中心位置SCM」及び「イエロー用中心位置SCY」という。
さらに、図示するように、液体を吐出する装置は、例えば、各第2検出範囲のそれぞれの中心位置を設定する。具体的には、液体を吐出する装置は、相関演算等による検出結果によって定まる位置を中心位置とする。なお、第2検出範囲の位置は、相関演算等による検出結果によって定まる中心位置以外の中心位置を用いる設定でもよい。
つまり、この例では、ステップS05において、液体を吐出する装置は、図19に示すブラック用第1検出範囲SRK1内で検出される検出箇所PTの位置をブラック用中心位置SCKとする。同様に、ステップS05において、液体を吐出する装置は、図19に示すシアン用第1検出範囲SRC1内で検出される検出箇所PTの位置をシアン用中心位置SCCとする。さらに、ステップS05において、液体を吐出する装置は、図19に示すマゼンタ用第1検出範囲SRM1内で検出される検出箇所PTの位置をマゼンタ用中心位置SCMとする。そして、ステップS05において、液体を吐出する装置は、図19に示すイエロー用第1検出範囲SRY1内で検出される検出箇所PTの位置をイエロー用中心位置SCYとする。
このように、中心位置を設定すると、検出箇所PTは、ウェブが斜行状態121であっても、画像の中心付近に写る可能性が高くなる。したがって、このように、中心位置を設定すると、液体を吐出する装置は、検出箇所PTを画像の中心付近で撮像する確率を高くすることができる。
以上のように、液体を吐出する装置は、斜行状態121に合わせて、第2検出範囲を設定する。
図17に戻り、ステップS07では、液体を吐出する装置は、照射範囲を設定する。図示するように、液体を吐出する装置は、照射範囲を設定する処理を行うのが望ましい。例えば、液体を吐出する装置は、以下のように、照射範囲を設定する。
図21は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による照射範囲の設定例を示す図である。まず、液体を吐出する装置は、図示するような光源LGを備えるとする。図示するように、光源LGは、複数の発光素子からなる光源である。また、以下の説明では、光源LGから発光される光が照射される範囲を「照射範囲」という。
具体的には、光源LGは、複数のレーザダイオードを搬送方向及び直交方向に配置した装置等である。複数のレーザダイオードは、例えば、等間隔に配置される。したがって、光源LGは、複数のレーザダイオードを個別に点灯又は消灯させる設定によって、照射範囲の大きさを変更することができる装置であるのが望ましい。また、光源LGの発光素子が形成するスペックルは打ち消し合わない構成であることが望ましい。ただし、取得する表面情報がスペックルでない場合にはこの限りではない。
初期設定では、液体を吐出する装置は、例えば、図21(A)に示すように、第1検出範囲の大きさに合わせて、各第1検出範囲が含まれる範囲を照射範囲とする。
次に、図20に示すように第2検出範囲が設定されると、液体を吐出する装置は、例えば、図21(B)に示すように、第2検出範囲の大きさ及び位置に合わせて、各第2検出範囲が含まれる範囲を照射範囲に設定する(図17に示すステップS07)。
この例では、図示するように、第1検出範囲が絞られ、第2検出範囲が設定される場合には、液体を吐出する装置は、同様に照射範囲も絞る。このようにすると、照射範囲が絞られるため、光源LGは、第2検出範囲を明るくして撮像することができる。
図17に戻り、ステップS08では、液体を吐出する装置は、「N=N+1」とする。すなわち、液体を吐出する装置は、「N=2」とし、以降、2回目の処理を行う。
ステップS09では、液体を吐出する装置は、「N=2」であるか否かを判断する。次に、「N=2」である、すなわち、2回目であると(ステップS09でYES)、液体を吐出する装置は、ステップS10に進む。一方で、「N=2」でない、すなわち、2回目以外であると(ステップS09でNO)、液体を吐出する装置は、ステップS15に進む。
ステップS10では、液体を吐出する装置は、画像を撮像する。例えば、ステップS10は、ステップS04と同様の処理である。
ステップS11では、液体を吐出する装置は、相関演算等によって、位置を検出する。例えば、ステップS11は、ステップS05と同様の処理である。
ステップS10及びステップS11のように、2回目以降も、液体を吐出する装置は、1回目と同様に、設定された各検出範囲に基づく相関演算等によって、位置を検出する。
ステップS12では、液体を吐出する装置は、第3検出範囲を設定する。すなわち、ステップS12では、液体を吐出する装置は、第1検出範囲及び第2検出範囲と異なる位置、大きさ又は範囲となるように、検出範囲を変更する。以下、ステップS12によって設定される検出範囲を「第3検出範囲」という。具体的には、液体を吐出する装置は、例えば、以下のように第3検出範囲を設定する。
図22は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による第3検出範囲の設定例を示す図である。図20と比較すると、図22では、ブラック用第2検出範囲SRK2、シアン用第2検出範囲SRC2、マゼンタ用第2検出範囲SRM2及びイエロー用第2検出範囲SRY2が、ブラック用第3検出範囲SRK3、シアン用第3検出範囲SRC3、マゼンタ用第3検出範囲SRM3及びイエロー用第3検出範囲SRY3となる点が異なる。
第3検出範囲は、図示するように、第2検出範囲より、センサデバイスが検出に用いる範囲が狭いのが望ましい。すなわち、この例では、液体を吐出する装置は、第2検出範囲を撮像した画像のサイズより、第3検出範囲を撮像する画像のサイズを小さく設定する。
以上のように、液体を吐出する装置は、例えば、第2検出範囲から第3検出範囲に、検出範囲が狭くなるように設定する。なお、第3検出範囲の設定では、位置等が変更されてもよい。
図17に戻り、ステップS13では、液体を吐出する装置は、照射範囲を設定する。図示するように、液体を吐出する装置は、照射範囲を設定する処理を行うのが望ましい。例えば、液体を吐出する装置は、ステップS07と同様に、照射範囲を設定する。すなわち、液体を吐出する装置は、第3検出範囲の大きさ及び位置に合わせて、各第3検出範囲が含まれる範囲を照射範囲に設定する。
ステップS14では、液体を吐出する装置は、「N=N+1」とする。すなわち、液体を吐出する装置は、「N=3」とし、以降、3回目の処理を行う(ステップS09でNOとなる)。
ステップS15では、液体を吐出する装置は、画像を撮像する。例えば、ステップS15は、ステップS04と同様の処理である。
ステップS16では、液体を吐出する装置は、相関演算等によって、位置を検出する。例えば、ステップS16は、ステップS05と同様の処理である。
ステップS17では、液体を吐出する装置は、第4検出範囲を設定する。すなわち、ステップS17では、液体を吐出する装置は、第1検出範囲乃至第3検出範囲と異なる位置、大きさ又は範囲となるように、検出範囲を変更する。以下、ステップS17によって設定される検出範囲を「第4検出範囲」という。具体的には、液体を吐出する装置は、例えば、以下のように第4検出範囲を設定する。
図23は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による第4検出範囲の設定例を示す図である。図22と比較すると、図23では、ブラック用第3検出範囲SRK3、シアン用第3検出範囲SRC3、マゼンタ用第3検出範囲SRM3及びイエロー用第3検出範囲SRY3が、ブラック用第4検出範囲SRK4、シアン用第4検出範囲SRC4、マゼンタ用第4検出範囲SRM4及びイエロー用第4検出範囲SRY4となる点が異なる。
第4検出範囲は、図示するように、第3検出範囲より、センサデバイスが検出に用いる範囲が狭いのが望ましい。すなわち、この例では、液体を吐出する装置は、第3検出範囲を撮像した画像のサイズより、第4検出範囲を撮像する画像のサイズを小さく設定する。
以上のように、液体を吐出する装置は、例えば、第3検出範囲から第4検出範囲に、検出範囲が狭くなるように設定する。なお、第4検出範囲の設定では、位置等が変更されてもよい。
図17に戻り、ステップS18では、液体を吐出する装置は、照射範囲を設定する。図示するように、液体を吐出する装置は、照射範囲を設定する処理を行うのが望ましい。例えば、液体を吐出する装置は、ステップS07と同様に、照射範囲を設定する。すなわち、液体を吐出する装置は、第4検出範囲の大きさ及び位置に合わせて、各第4検出範囲が含まれる範囲を照射範囲に設定する。
以上のように、検出範囲の設定等は、画像形成が行われる前、すなわち、ステップS19が行われる前に、準備段階等で行われる。
なお、ステップS04、ステップS10及びステップS15、すなわち、撮像を行うタイミングは、図示するタイミングに限られない。例えば、撮像は、あらかじめ設定される周期に基づいて、周期的に行われてもよい。そして、周期的に撮像される画像に基づいて、液体を吐出する装置は、所定のタイミングで、相関演算を行ってもよい。
ステップS19では、液体を吐出する装置は、画像形成を行う。図示する例では、3回目、すなわち、最後に設定された検出範囲(図示する例では、第4検出範囲となる。)を用いて、ウェブ上にあるパターンを検出する。そして、パターンの検出結果に基づいて、液体を吐出する装置は、吐出位置を変更する。この検出と吐出位置の変更は、所定の印刷ジョブの印刷を行っている最中に実施される。なお、吐出位置の変更は、例えば、パターンの検出結果に基づいて、液体吐出ヘッドユニットを移動させたり、又は、液体を吐出するタイミングを制御したりして変更される。具体的には、液体を吐出する装置は、例えば、以下のように、変動量を算出し、液体吐出ヘッドユニットを移動させる。
なお、液体を吐出する装置は、画像形成中も、第4検出範囲を用いて、検出及び吐出位置の変更を行う。例えば、第4検出範囲を用いる検出及び吐出位置の変更は、あらかじめ設定される周期に基づいて、周期的に行われる。このようにすると、例えば、図12に示すような変動が起きても、液体を吐出する装置は、変動を検出し、吐出位置を変更できる。そのため、液体を吐出する装置は、着弾位置の精度を向上させることができる。
したがって、液体を吐出する装置は、着弾位置を向上させることによって、図13のような色ずれを防ぎ、画質を向上させることができる。
図24は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置による被搬送物の変動量を算出する方法の一例を示すタイミングチャートである。図示するように、計算部53F(図8)は、複数の第4検出範囲を用いた検出結果に基づいて、変動量を算出する。具体的には、第1検出結果S1及び第2検出結果S2に基づいて、計算部53Fは、変動量を示す算出結果を出力する。なお、図示する例では、上流にあるセンサデバイスが出力する検出結果が、第1検出結果S1となる。一方で、下流にあるセンサデバイスが出力する検出結果が、第2検出結果S2となる。
変動量は、液体吐出ヘッドユニットごとに算出される。以下、シアン液体吐出ヘッドユニット210C(図2)用の変動量を算出する例で説明する。この例では、変動量は、例えば、シアン用センサデバイスSENC(図2)による検出結果と、シアン用センサデバイスSENCより1つ上流側に設置されるブラック用センサデバイスSENK(図2)による検出結果とに基づいて算出される。図24では、第1検出結果S1は、ブラック用センサデバイスSENKによる検出結果である。一方で、第2検出結果S2は、シアン用センサデバイスSENCによる検出結果である。
ブラック用センサデバイスSENKと、シアン用センサデバイスSENCとの間隔、すなわち、センサデバイス間の距離が、「L2」であるとする。また、速度検出回路SCRによって検出される移動速度が、「V」であるとする。さらに、ブラック用センサデバイスSENKの位置からシアン用センサデバイスSENCの位置まで被搬送物が搬送されるのにかかる移動時間が「T2」であるとする。この場合には、移動時間は、「T2=L2/V」と算出される。
また、センサデバイスによるサンプリング間隔を「A」とする。さらに、ブラック用センサデバイスSENKと、シアン用センサデバイスSENCとの間でのサンプリング回数を「n」とする。この場合には、サンプリング回数は、「n=T2/A」と算出される。
図示する算出結果、すなわち、変動量を「ΔX」とする。例えば、図示するように、検出周期が「0」である場合には、変動量は、移動時間「T2」前の第1検出結果S1と、検出周期「0」の第2検出結果S2とを比較して算出される。具体的には、変動量は、「ΔX=X2(0)−X1(n)」と算出される。そして、センサデバイスの位置が着弾位置よりも第1ローラに近い位置である場合には、液体を吐出する装置は、センサデバイスの位置まで用紙が移動した場合の記録媒体の位置の変動を計算してアクチュエータを駆動させる。
次に、液体を吐出する装置は、変動量「ΔX」を補償するように、第2アクチュエータAC2(図4)を制御し、シアン液体吐出ヘッドユニット210C(図2)を直交方向において、移動させる。このようにすると、被搬送物の位置が変動しても、液体を吐出する装置は、被搬送物に対して、画像を精度良く画像形成することができる。また、図示するように、2つの検出結果、すなわち、2つのセンサデバイスによる検出結果に基づいて、変動量を算出すると、各センサデバイスの位置情報を積算せずに、変動量が算出できる。そのため、このようにすると、各センサデバイスによる検出誤差の累積が少なくできる。
なお、変動量の算出は、他の液体吐出ヘッドユニットにおいて同様に行われてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210K(図2)用の変動量は、第2センサデバイスSEN2(図2)による第1検出結果S1と、ブラック用センサデバイスSENKによる第2検出結果S2とによって算出される。同様に、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210M(図2)用の変動量は、シアン用センサデバイスSENCによる第1検出結果S1と、マゼンタ用センサデバイスSENMによる第2検出結果S2とによって算出される。さらに、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y(図2)用の変動量は、マゼンタ用センサデバイスSENMによる第1検出結果S1と、イエロー用センサデバイスSENYによる第2検出結果S2とによって算出される。
また、第1検出結果S1に用いられる検出結果は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより1つ上流側に設置されるセンサデバイスによって検出される検出結果に限られない。すなわち、第1検出結果S1は、移動させる液体吐出ヘッドユニットより上流側に設置されるセンサデバイスによって検出される検出結果であればよい。例えば、イエロー液体吐出ヘッドユニット210Y用の変動量は、第1検出結果S1に、第2センサデバイスSEN2、ブラック用センサデバイスSENK又はシアン用センサデバイスSENCの何れかによる検出結果が用いられて算出されてもよい。
一方で、第2検出結果S2は、移動させる液体吐出ヘッドユニットに最も近い位置に設置されるセンサデバイスによる検出結果であるのが望ましい。
また、変動量は、3つ以上の検出結果によって算出されてもよい。
このように、複数の検出結果から算出される変動量に基づいて、液体吐出ヘッドユニットの移動を行い、ウェブに対して、液体が吐出されると、画像等が、記録媒体に形成される。
図17に戻り、図示するように、検出範囲は、1回目、2回目及び3回目のように、段階的に設定されるのが望ましい。なお、何段階とするか(図示する例では、「N」の最大値となる。)は、あらかじめ液体を吐出する装置に設定できてもよい。すなわち、検出範囲は、図示するような3段階で設定されるに限られない。また、各回において、設定される画像のサイズは、あらかじめ液体を吐出する装置に設定できてもよい。
以上のように、例えば、まず、初期設定によって、第1検出範囲は、センサデバイスが検出できる最大の大きさに設定される。次に、1回目では、第2検出範囲は、第1検出範囲より狭く、かつ、第3検出範囲より広くなるように、設定される。続いて、2回目では、第3検出範囲は、第2検出範囲より狭く、かつ、第4検出範囲より広くなるように、設定される。最後に、3回目では、第4検出範囲は、第3検出範囲より狭い、すなわち、用いられる検出範囲で最も狭い大きさが設定される。このようにして、液体を吐出する装置は、徐々に検出範囲を狭めていくように設定を行うのが望ましい。
具体的には、第1検出範囲は、例えば、「搬送方向2mm×直交方向6mm」の範囲である。そして、第4検出範囲は、例えば、「搬送方向1mm×直交方向1mm」の範囲である。このように、検出範囲は、搬送方向と直交方向が異なる値でもよく、同じでもよい。
また、第4検出範囲は、例えば、「搬送方向2mm×直交方向2mm」等でもよい。すなわち、第1検出範囲と、第4検出範囲とは、直交方向について同じ大きさとしてもよい。
例えば、第1検出範囲に基づいて出力される検出結果が「第1の検出結果」の例となり、第4検出範囲に基づいて出力される検出結果が「第2の検出結果」の例となる。なお、第1の検出結果は、第2の検出結果を出力するための検出範囲が設定される前の検出範囲に基づいて出力される検出結果であればよい。例えば、第1の検出結果が第1検出範囲に基づいて出力される検出結果であり、かつ、第2の検出結果が第2検出範囲に基づいて出力される検出結果等の組み合わせでもよい。
また、各検出範囲は、4色とも、同じ大きさに設定されるのが望ましい。すなわち、ブラック用第1検出範囲SRK1、シアン用第1検出範囲SRC1、マゼンタ用第1検出範囲SRM1及びイエロー用第1検出範囲SRY1を用いて撮像された各画像は、同じサイズであるのが望ましい。画像が同じサイズであると、液体を吐出する装置は、相関演算等の処理が行いやすい。同様に、各第2検出範囲、各第3検出範囲及び各第4検出範囲も4色とも、同じ範囲に設定されるのが望ましい。
さらに、検出範囲の設定は、例えば、センサデバイスからの読み出し範囲を設定する、又は、センサデバイスから出力された画像の一部を切り出すように設定される等の処理である。センサデバイスからの読み出し範囲を絞ると、液体を吐出する装置は、センサデバイスから読み出される画像のデータ量を少なくすることができる。また、いずれの処理で検出範囲を設定した場合にも、計算部53Fでの計算量を少なくすることができる。
また、検出範囲が変更されると、液体を吐出する装置は、ステップS07、ステップS13及びステップS18のように、検出範囲に合わせて照射範囲を設定するのが望ましい。
具体的には、まず、検出範囲が広い場合には、液体を吐出する装置は、搬送方向においてウェブを移動させる移動速度を遅くする場合がある。このように、移動速度が遅い場合には、液体を吐出する装置は、周期的に撮像を行う周期を長くする、すなわち、いわゆるフレームレートを低くできる。そして、フレームレートが低いと、露光時間は、長くできる場合が多い。
また、フレームレートは、例えば、液体を吐出する装置が画像形成を行う速度等に合わせて設定される。具体的には、フレームレートは、例えば、50乃至800[fps(Frames Per Second、フレーム毎秒)]の範囲で設定される。そして、画像形成を行う速度が速い場合には、ウェブの移動速度も速くする場合が多いため、フレームレートは、高くなるように設定される。
さらに、1回目等は、露光時間を長くできる場合が多い。そのため、1回目に撮像される画像は、撮像条件が暗くとも、明るい画像が撮像できる場合が多い。ゆえに、液体を吐出する装置は、1回目等では、画像が光によって飽和しないように、光源LGが発する光量を少なくする等の設定を行うのが望ましい。
一方で、移動速度が速い場合には、液体を吐出する装置は、フレームレートを高くして、単位時間あたりに撮像を行う回数を増やすのが望ましい。そして、フレームレートが高いと、露光時間は、短くなる場合が多い。したがって、例えば、4回目等では、1回目等と比較して、露光時間が短い場合がある。このように、露光時間が短いと、撮像される画像が、暗い場合がある。そこで、液体を吐出する装置は、2回目以降等では、例えば、図21に示すように、照射範囲を設定する。このように、液体を吐出する装置は、照射範囲を狭くし、かつ、光量を上げるように設定する。このような照明条件下であると、露光時間が短くても、液体を吐出する装置は、明るい画像を撮像することができる。
<変形例>
なお、検出部110F10は、1つのセンサデバイスで2回撮像し、各撮像で生成されるそれぞれの画像を比較して、ウェブ120の位置、移動量、移動速度又はこれらの組み合わせ等の検出結果を出力してもよい。
なお、本発明に係る実施形態は、1以上の装置を有する液体を吐出するシステム等の搬送システムによって実現されてもよい。例えば、ブラック液体吐出ヘッドユニット210Kとシアン液体吐出ヘッドユニット210Cが同じ筐体の装置であり、マゼンタ液体吐出ヘッドユニット210Mとイエロー液体吐出ヘッドユニット210Yが同じ筐体の装置であり、この両者を有する液体を吐出するシステムによって実現されても良い。
また、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムでは、液体は、インクに限られず、他の種類の記録液又は定着処理液等でもよい。すなわち、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、インク以外の種類の液体を吐出する装置に適用されてもよい。
したがって、本発明に係る液体を吐出する装置及び液体を吐出するシステムは、画像を形成するに限られない。例えば、形成される物体は、三次元造形物等でもよい。
<第1変形例>
なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、兼ねられてもよい。例えば、第1の支持部材及び第2の支持部材は、以下のような構成でもよい。
図25は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の第1変形例を示す概略図である。図2と比較すると、図示する構成では、第1の支持部材及び第2の支持部材の配置が異なる。図示するように、第1の支持部材及び第2の支持部材は、例えば、第1部材RL1、第2部材RL2、第3部材RL3、第4部材RL4及び第5部材RL5によって実現されてもよい。すなわち、各液体吐出ヘッドユニットの上流側に設けられる第2の支持部材と、各液体吐出ヘッドユニットの下流側に設けられる第1の支持部材とは、兼用されてもよい。なお、第1の支持部材及び第2の支持部材は、ローラで兼ねられてもよく、湾曲板で兼ねられてもよい。
<第2変形例>
例えば、搬送装置は、以下のように、被搬送物に対して読み取り等の処理を行うでもよい。
図26は、本発明の一実施形態に係る搬送装置の第2変形例を示すブロック図である。以下、図示するように、ウェブ120を上流側から下流側へ(図では、左から右となる。)搬送する場合を例に説明する。
図示するように、本変形例では、ヘッドユニットがCIS(Contact Image Sensor、密着型イメージセンサ)ヘッドを備える。
ヘッドユニットは、直交方向20に1個以上設置されたCISヘッドによって構成される。例えば、図示するように、搬送装置は、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2のように、2個のヘッドユニットを有する。なお、ヘッドユニットの数は、2個に限られず、3個以上であってもよい。
図示するように、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、それぞれ1つ以上のCISヘッドを備える。以下、ヘッドユニットは、1つのCISヘッドを備えるが、例えば、ヘッドユニットは、2つのCISヘッドが互いに千鳥状になる位置に、複数のCISヘッドを備えても良い。
ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、いわゆるスキャナ(Scanner)を構成する。したがって、ヘッドユニットHD1及びヘッドユニットHD2は、ウェブ120の表面に形成される画像等を読み取り、読み取った画像等を示す画像データを出力する。そして、搬送装置は、各ヘッドユニットから出力される画像データを繋ぎ合わせると、直交方向20に繋がった画像を生成することができる。
また、この例では、搬送装置は、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2を有する。コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、情報処理装置である。具体的には、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、CPU、電子回路又はこれらの組み合わせ等の演算装置、制御装置、記憶装置及びインタフェース等を有するハードウェア構成である。なお、コントローラ520、第1アクチュエータコントローラCT1及び第2アクチュエータコントローラCT2は、複数の装置でもよく、同一の装置で構成されても良い。
各ヘッドユニットに対して、センサデバイスSEN1及びSEN2がそれぞれ設置される。そして、搬送装置は、センサデバイスによって、ウェブ120の表面情報を検出し、複数の検出結果の間での相対位置、移動速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を検出できる。
この例では、2個のヘッドユニットHD1及びHD2に対して、複数のローラが設置される。図示するように、複数のローラは、例えば、2個のヘッドユニットHD1及びHD2を挟んで、上流側と、下流側とにそれぞれ設置される。
このように、ローラ間INTでセンサデバイスによって検出が行われると、搬送装置は、処理位置に近い位置でウェブ120の位置等を検出できる。また、ローラ間INTは、移動速度が比較的安定する場合が多い。そのため、搬送装置は、搬送方向、直交方向又は両方向において、複数の検出結果の間での相対位置、速度、移動量又はこれらの組み合わせ等を精度良く検出できる。
また、センサデバイスが設置される位置は、ローラ間INTにおいて処理位置より第1ローラR1に近い位置であるのが望ましい。すなわち、センサデバイスは、処理位置より上流側で検出を行うのが望ましい。具体的には、図示する例では、センサデバイスSEN1は、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。すなわち、センサデバイスSEN1は、図示する例では、ヘッドユニットHD1が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第1上流区間INT1」という。)で検出を行うのが望ましい。
同様に、図示する例では、センサデバイスSEN2は、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置より、第1ローラR1に近い位置に設置されるのが望ましい。すなわち、センサデバイスSEN2は、図示する例では、ヘッドユニットHD2が処理を行う処理位置と、第1ローラR1との間の区間(以下「第2上流区間INT2」という。)で検出を行うのが望ましい。
第1上流区間INT1及び第2上流区間INT2にセンサデバイスが設置されると、搬送装置は、被搬送物の位置等を精度良く検出できる。このような位置にセンサデバイスが設置されると、センサデバイスが処理位置より上流側に設置される。そのため、搬送装置は、まず、上流側でセンサデバイスによって被搬送物の表面情報を検出できる。そして、搬送装置は、検出結果に基づいて、直交方向、搬送方向又は両方向において、ヘッドユニットによる処理タイミング、ヘッドユニットを移動させる量又は両方を計算できる。すなわち、上流側で被搬送物の位置等が検出された後、ウェブ120が処理位置に搬送される間に、処理タイミングの計算又はヘッドユニットの移動等が行われるため、搬送装置は、精度良く処理位置を変更できる。
ヘッドユニットのほぼ直下にセンサデバイスが設置されると、処理タイミングの計算又はヘッドユニットを移動させる等の処理時間によって、処理の実行に遅れが生じる場合がある。したがって、センサデバイスが設置される位置は、処理位置より上流側であると、搬送装置は、処理における遅れを少なくできる。また、処理位置、すなわち、ヘッドユニットの直下となる付近は、センサデバイス等を設置する位置とするのに制約される場合ある。そのため、センサデバイスが設置される位置は、処理位置より第1ローラR1に近い位置、すなわち、処理位置より上流であるのが望ましい。
ヘッドユニットによる処理及びセンサデバイスによる検出のどちらでも、ウェブ120へ光源から光を照射する場合がある。そして、特にウェブ120の透明度が高いと、それぞれの光が外乱となる場合がある。したがって、センサデバイス及びヘッドユニットは、同じ光軸上にない方が望ましい場合がある。
一方で、ウェブ120の透明度が高くない場合等では、センサデバイスが設置される位置は、例えば、ヘッドユニットの直下等でもよい場合がある。図示する例では、ヘッドユニットの直下は、処理位置の裏側である。すなわち、搬送方向において、処理位置と、センサデバイスが設置される位置は、ほぼ同一であって、ウェブ120の一方の面(表側)を処理対象とし、ウェブ120の他方の面(裏面)をセンサデバイスによる検出対象としても良い場合もある。
このように、センサデバイスがヘッドユニットの直下にあると、直下における正確な移動量等が、センサデバイスによって検出できる。したがって、それぞれの光が外乱とならない場合であって、制御等が速く行える場合であれば、センサデバイスは、ヘッドユニットの直下に近い位置にあるのが望ましい。一方で、センサデバイスは、ヘッドユニットのほぼ直下になくてもよく、直下にない場合であっても、同様の計算が行われる。
また、誤差が許容できるのであれば、センサデバイスが設置される位置は、ヘッドユニットのほぼ直下又はローラ間INT間であって、ヘッドユニットの直下より下流となる位置等でもよい。
<第3変形例>
例えば、液体を吐出する装置110は、以下のように、被搬送物をベルト等にしてもよい。
図27は、本発明の一実施形態に係る液体を吐出する装置の第3変形例を示すブロック図である。本変形例では、ヘッドユニット350C、350M、350Y及び350Kがインク滴を吐出して、転写ベルト328の外周表面上に画像を形成する。以下、ヘッドユニット350C、350M、350Y及び350Kをまとめて「ヘッドユニット群350」という。
次に、乾燥機構370は、転写ベルト328上に形成された画像を乾燥させ、膜化する。
続いて、転写ベルト328が転写ローラ330と対向する転写部において、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上の膜化した画像を用紙Pに転写する。
また、クリーニングローラ323は、転写後の転写ベルト328の表面をクリーニングする。
このように、本変形例では、液体を吐出する装置において、転写ベルト328の周りには、ヘッドユニット350C、350M、350Y、350K、乾燥機構370、クリーニングローラ323及び転写ローラ330等が設けられる。
本変形例では、転写ベルト328は、駆動ローラ321、対向ローラ322、4つの形状維持ローラ324及び8つの支持ローラ325C1、325C2、325M1、325M2、325Y1、325Y2、325K1及び325K2等に架け渡され、転写ベルト駆動モータ327によって回転する駆動ローラ321に従動して図中矢印方向に移動する。駆動ローラ321の回転によって転写ベルト328が移動する方向を移動方向とする。
また、ヘッドユニット群350に対向して設けられる8つの支持ローラ325C1、325C2、325M1、325M2、325Y1、325Y2、325K1及び325K2は、各ヘッドユニット350からインク滴が吐出される際に、転写ベルト328の引張状態を維持する。そして、転写モータ331は、転写ローラ330を回転駆動する。
さらに、本変形例では、支持ローラ325C1と支持ローラ325C2との間、かつ、ヘッドユニット350Cの吐出位置よりも、転写ベルト328の移動方向において上流側に、センサデバイス332Cが配置される。また、センサデバイス332Cは、スペックルセンサを有する。
スペックルセンサは、転写ベルト328の表面を撮像するセンサの例である。また、ヘッドユニット350Cに対する支持ローラ325C1、支持ローラ325C2及びセンサデバイス332Cの位置関係と同様の位置関係で、ヘッドユニット350Mに対してもセンサデバイス332Mが設けられる。
本変形例では、ヘッドユニットM、ヘッドユニットY及びヘッドユニットKには、アクチュエータ333M、333Y及び333Kがそれぞれ設けられる。また、アクチュエータ333Mは、ヘッドユニットMを、転写ベルト328の移動方向と直交する方向に移動させるアクチュエータである。同様に、アクチュエータ333Y及び333Kは、それぞれヘッドユニット350Y及びヘッドユニット350Kを転写ベルト328の移動方向と直交する方向に移動させるアクチュエータである。
制御基板340は、センサデバイス332C、332M、332Y及び332Kから取得した画像データに基づいて、転写ベルト328の直交方向の移動量及び転写ベルト328の移動方向の移動量等を検出する。また、制御基板340は、転写ベルト328の直交方向の移動量に応じて、アクチュエータ333M、333Y及び333Kを制御し、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kを直交方向に移動させる。さらに、制御基板340は、転写ベルト328の移動方向の移動量に応じて、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kの吐出タイミングを制御する。
さらに、制御基板340は、転写ベルト駆動モータ327、転写モータ331に駆動信号を出力する。
<第3変形例における効果>
本変形例によれば、転写ベルト328の移動中に、転写ベルト328が駆動ローラ321の駆動による移動方向と直交する直交方向に動いた場合にも、検出した移動量に応じて、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kを直交方向にそれぞれ移動させることができる。このため、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上に品質の高い画像を形成することができる。
また、転写ベルト328が駆動ローラ321の駆動による移動方向に、想定と異なる移動量移動した場合にも、検出した移動量に応じて、液体を吐出する装置110は、ヘッドユニット350M、350Y及び350Kの吐出タイミングをそれぞれ変更することができる。このため、液体を吐出する装置110は、転写ベルト328上に品質の高い画像を形成することができる。
上記の例では、センサデバイス332C、332M、332Y及び332Kから取得した画像データに基づいて、転写ベルト328の直交方向の移動量と、転写ベルト328の移動方向の移動量とを算出したが、何れかの移動量しか使用しない場合は、一方のみを算出しても良い。
また、本変形例では、ヘッドユニット350Cは、アクチュエータを備えないが、備えても良い。そして、ヘッドユニット350Cを直交方向に移動させることで、転写ベルト328から用紙Pに転写される際の、転写Pの搬送方向に直交する方向の位置を制御することができる。
なお、上記の例では、複数のヘッドユニットを用いて転写ベルト328上に画像を形成する例について記載したが、一つのヘッドユニットで画像を形成する場合にも適用可能である。
さらに被搬送物は、用紙等の記録媒体に限られない。被搬送物は、液体が付着可能な材質であればよい。例えば、液体が付着可能な材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス又はこれらの組み合わせ等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
また、本発明は、搬送される被搬送物に対して、搬送方向に直交する方向に並べられたライン状のヘッドユニットを用いて何らかの処理を行う装置に適用可能である。
例えば、本発明に係る実施形態は、ヘッドユニットがレーザを発し、レーザによって、被搬送物である基板に、パターンニングの処理を行う搬送装置等でもよい。具体的には、搬送装置は、まず、レーザヘッドを基板が搬送される搬送方向と直交する方向にライン状に並べて有する。そして、搬送装置は、基板の位置等を検出し、検出結果に基づいて、ヘッドユニットを移動させる等を行う。また、この例では、処理位置は、レーザが基板に照射される位置が処理位置となる。
さらに、搬送装置が有するヘッドユニットは、複数でなくともよい。すなわち、被搬送物に対して、基準となる位置に、処理を行い続ける等の場合には、本発明は、適用可能である。
また、本発明に係る実施形態では、搬送装置、情報処理装置又はこれらの組み合わせ等のコンピュータに液体を吐出させる等の処理方法のうち、一部又は全部を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。