JP2012505292A - 高活性連鎖移動剤を使用して製造される改良された光学特性を備える高圧低密度ポリエチレン樹脂 - Google Patents

高活性連鎖移動剤を使用して製造される改良された光学特性を備える高圧低密度ポリエチレン樹脂 Download PDF

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Abstract

約0.90〜約0.94g/cmの密度、約2〜約30の分子量分布(M/M)、約0.1〜約50g/10分のメルトインデックス(I)を備え、約5〜約4,000ppmの硫黄をさらに含むエチレン系ポリマーが開示される。硫黄の量は、さらに又エチレン系ポリマーの総重量に基づいて決定される。さらに又エチレン系ポリマーを製造するためのプロセスであって、管型反応器内に送達するためにプロセス流体を分割する工程と;上流プロセス供給流を第1反応ゾーン内に、及び少なくとも1つの下流プロセス供給流を少なくとも1つの他の反応ゾーン内に供給する工程であって、このとき前記プロセス流体は少なくとも10m/秒の平均速度を有する工程と;フリーラジカル重合反応を開始させる工程とを含むプロセスが開示される。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2008年10月7日に出願された米国仮特許出願第61/103,374号明細書(代理人整理番号第67403号)からの優先権を主張するものである。米合衆国特許の実施のために、本出願の内容は、これにより全体として参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、低密度エチレン系ポリマー、例えば高圧低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を形成するための組成物及びプロセスに関する。
LDPEは、オートクレーブ反応器、管型反応器、及びそれらの組み合わせにおいて製造されてきた。各タイプの反応器は利点及び欠点を有しているが、経済的状況及び製品設計は改良を強く必要としている。使用される反応器の作動及びタイプは、結果として生じるLDPEの物理的特性に劇的に影響を及ぼすことができる。そのような改良は、用途、例えばインフレーションフィルム及びキャストフィルムにとって望ましく、このときは特に優れた光学特性が望ましい。
高圧低密度ポリエチレン系ポリマーは、約0.91〜約0.94g/cmの範囲内の密度を有する。低密度エチレン系ポリマーは、典型的には、アルキル置換基(短鎖分枝)並びに長鎖分枝の両方を含有するランダム分枝構造を有する。大多数のLDPEポリマーはホモポリマーであるが、一部は、典型的には他のα−オレフィンコポリマーを使用するコポリマー及びインターポリマーである。
連鎖移動剤(CTA)、若しくは「テロゲン(telogen)」は、フリーラジカル重合プロセスにおいてメルトインデックスを制御するために使用されることが多い。「連鎖移動」は、成長するポリマー鎖の停止を含むので、ポリマー材料の最終分子量を限定する。連鎖移動剤は、典型的には、成長するポリマー鎖と反応して鎖の重合反応を停止させる水素原子供与体である。公知のCTAには、多数のタイプの水素原子供与体化合物、例えば飽和若しくは不飽和炭化水素類、アルデヒド類、ケトン類、及びアルコール類が含まれる。プロセスにおいて使用される連鎖移動剤の濃度及びタイプを操作することによって、ポリマー鎖の平均鎖長及び分子量分布に影響を及ぼすことができる。これは順に、分子量に関連するメルトインデックス(I若しくはMI)に影響を及ぼす。
多数の連鎖移動剤は、高圧低密度ポリエチレンの製造において使用するために当分野において公知である。エチレン及びエチレン系ポリマーのフリーラジカル重合における連鎖移動剤の使用を開示している参考文献には、Ehrlich, P., and Mortimer,G.A., “Fundamentals of the Free-Radical Polymerization of Ethylene”, Advanced Polymers, Vol.7, 386-448(1970)、Mortimer, George A.,“Chain Transfer in Ethylene Polymerization -IV. Additional Study at 1360 Atm and 130℃”, Journal of Polymer Science, Part A-1, Vol.8, 1513-23(1970)、Mortimer, George A.,“Chain Transfer in Ethylene Polymerization - VI. The Effect of Pressure”, Journal of Polymer Science, Part A-1, Vol.8, 1543-48(1970)、Mortimer, George A.,“Chain Transfer in Ethylene Polymerization - VII. Very Reactive and Depletable Transfer Agents”, Journal of Polymer Science, Part A-1, Vol.10, 163-168、英国特許第997,408号(Cave)、米国特許第3,377,330号(Mortimer)、米国特許公開公報第2004/0054097号(Maehling et al.)、および米国特許第6,596,241号、第6,673,878号、および米国特許第6,899,852号(Donck)が含まれる。
水素原子供与後には、連鎖移動剤が新規ポリマー鎖を開始できるラジカルを形成できることは公知である。その結果は、オリジナルCTAが新規若しくは現行ポリマー鎖内に組み入れられ、それによって新規官能基がオリジナルCTAと結び付いたポリマー鎖内に導入されることになる。CTAは、ポリマー鎖内に新規官能基を導入することができるが、これは通常はモノマー/コモノマー重合の結果ではない。
CTAの存在下で製造される低密度エチレン系ポリマーは、多数の物理的特性、例えば加工処理性;フィルム光学特性、例えばヘイズ(曇り)、グロス(光沢)及び透明度;密度;剛性;降伏点;フィルムドロー(film draw);及び引裂強度において修飾されている。例えば、CTAとして作用するα−オレフィンも又、組み込まれると短鎖分枝をポリマー鎖内に導入することができよう。
約0.90〜約0.94g/cmの密度、約2〜約30の分子量分布(M/M)、約0.1〜約50g/10分のメルトインデックス(I)を備え、及び約5〜約4,000ppm(100万分の1部)の硫黄をさらに含むエチレン系ポリマーが開示される。本エチレン系ポリマー中の硫黄の量は、以下で記載する全硫黄濃度法(Total Sulfur Concentration method)と呼ばれる方法を使用して決定される。硫黄の量は、さらに又エチレン系ポリマーの総重量に基づいて決定される。一部の開示されたエチレン系ポリマーでは、ポリマーはホモポリマーである。
さらに又、長鎖分枝(long chain branching)を備えるエチレン系ポリマーも開示される。長鎖分枝は、以下で記載するgpcBR分枝指数(Branching Index)によって決定される0.05より大きいgpcBR値を特徴とする。長鎖分枝は、以下で記載するGPC−LS特性解析法によって決定される2.1より大きいGPC−LS特性解析値をさらに又特徴とする。一部の開示されたエチレン系ポリマーでは、GPC−LS特性解析値は、約2.1〜約10である。
さらに又、以下で記載するゼロ剪断粘度法を使用して決定される190℃でのゼロ剪断粘度(η)(Pa・s(パスカル秒))、絶対重量平均分子量値(Mw,Abs)(g/モル)、及び従来型重量平均分子量値(Mw,GPC)を備えるエチレン系ポリマーが開示される。開示されたエチレン系ポリマーの一部についてのこれらの特性は、下記の数値関係:
(3.6607LogMw,Abs)−16.47<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62、を有する。
さらに、どちらもヘイズ率(%)の単位で表示され、どちらも以下で記載する表面及び内部ヘイズ法を用いて決定される表面ヘイズ(S)、内部ヘイズ(I)、及びメルトインデックス(I)(g/10分)を備えるエチレン系ポリマーが開示される。開示されたエチレン系ポリマーについてのこれらの特性は、下記の数値関係:
S/I≦(−0.057)+1.98、を有し、このときエチレン系ポリマーは、好ましくは硫黄を含む。
エチレン系ポリマー付加化合物を製造するためのプロセスであって、プロセス流体を、管型反応器内に、上流プロセス供給流内及び少なくとも1つの下流プロセス供給流内に、送達するために、エチレンを含む一部分に分割する工程と;該プロセス流体を再結合させるために、該上流プロセス供給流を第1反応ゾーンに、及び該少なくとも1つの下流プロセス供給流を少なくとも1つの他の反応ゾーン内に供給する工程であって、このとき該管型反応器の内部で幾つかの反応ゾーン内の少なくとも1つにおける該プロセス流体は少なくとも10m/秒の平均速度を有する工程と;該管型反応器の内部でフリーラジカル重合反応を開始させてエチレン系ポリマー付加化合物及び熱を生成する工程とを含むプロセスが開示される。開示されたプロセスは、第1反応ゾーン及び少なくとも1つの他の反応ゾーンを含む幾つかの反応ゾーンから構成される管型反応器を含む。開示されたプロセスは、1より大きい連鎖移動定数Csを備える少なくとも1つの連鎖移動剤からさらに構成される上流プロセス供給流をさらに含む。一部の開示されたプロセスでは、1より大きいCsを備える少なくとも1つの連鎖移動剤は、上流プロセス供給流において、少なくとも1つの下流プロセス供給流のいずれかにおいて1より大きいCsを備える少なくとも1つの連鎖移動剤のいずれの濃度よりも高い濃度を有する。一部の開示されたプロセスでは、該プロセス流体は、1より小さいCsを備える少なくとも1つの連鎖移動剤をさらに含む。
エチレン系ポリマー付加化合物を製造するための又別のプロセスであって、プロセス流体を上流プロセス供給流を介して管型反応器の第1ゾーン内に供給する工程であって、該プロセス流体は該管型反応器内で幾つかの反応ゾーンのうちの少なくとも1つにおいて少なくとも10m/秒の平均速度を有する工程と;該管型反応器の内部でフリーラジカル重合反応を開始させてエチレン系ポリマー付加化合物及び熱を生成する工程とを含むプロセスが開示される。開示されたプロセスは、第1反応ゾーン及び少なくとも1つの他の反応ゾーンを含む幾つかの反応ゾーンから構成される管型反応器を含む。開示されたプロセスは、1より大きい連鎖移動定数Csを備える少なくとも1つの連鎖移動剤からさらに構成される上流プロセス供給流をさらに含む。一部の開示されたプロセスでは、プロセス流体は、1より小さいCsを備える少なくとも1つの連鎖移動剤をさらに含む。
本発明の概要並びに詳細な説明は、添付の図面を関連付けて読むことでより明確に理解されるであろう。しかしながら本発明の範囲は、本明細書に示した緻密な配置及び手段に限定されないことを理解されたい。図面における構成要素は、必ずしも縮尺通りではない。図面では、同様の参照符号は、幾つかの図面を通して対応する部分を指定する。
開示された管型反応器システム100の要素を説明するプロセス図である。 実施例1についてのある範囲の従来法で較正されたlogGPC分子量及びGPC−LS特性解析の部分についての濃度標準化光散乱(LS)クロマトグラフ曲線を示す図である。 比較例4についてのある範囲の従来法で較正されたlogGPC分子量及びGPC−LS特性解析の部分についての濃度標準化光散乱(LS)クロマトグラフ曲線を示す図である。 実施例1及び2並びに比較例1〜3を製造するために使用されるプロセス反応システム200を示す図である。 実施例1及び2、比較例1〜46、並びに線状標準物質1についての、Zg、若しくはLogη (Mw,GPC/Mw,Abs)対絶対分子量(Mw,Abs)の対数のプロット図である。 実施例1及び2並びに比較例1〜4及び47〜82についての表面/内部ヘイズ比対メルトインデックス(I)のプロット図である。 実施例1及び比較例3についての大気条件下でメルトインデックス(I)対押出パス回数のチャート図である。 実施例1及び2並びに比較例1〜4についての動的機械的分光法によって決定される粘度対周波数のプロット図である。 実施例1及び2並びに比較例1〜4についての動的機械的分光法によって決定されるtanδ対周波数のプロット図である。 実施例1及び2並びに比較例1〜4についての動的機械的分光法によって決定される位相角対Gのプロット図である。
本組成物は、狭い分子量分布を有する低密度エチレン系ポリマーであり、単独で又は他のポリマーとのブレンドで使用されるインフレーションフィルム及びキャストフィルムのために使用することができ、エチレン、及び任意でコモノマーのフリーラジカル重合において、少なくとも1つの連鎖移動剤(CTA)の存在下において作製できる。少なくとも1つの連鎖移動剤は、高活性CTA、例えばtert−ドデシルメルカプタン(TDM)である。
典型的な高圧フリーラジカルLDPE製造プロセスでは、「低活性」連鎖移動剤がプロセスにおける反応を制御するために典型的に使用される。低活性CTAは、1より小さい連鎖移動定数Csを有する。例えば、所定の条件では、プロピオンアルデヒドは、Mortimer, George A., “Chain Transfer in Ethylene Polymerization -VII. Very Reactive and Depletable Transfer Agents”, Journal of Polymer Science, Part A-1, Vol.10, 163-168(1972)において報告されたように、約0.33のCsを有する。連鎖移動剤に対する連鎖移動定数Csは、モノマーの成長の反応速度定数に比較した連鎖移動剤の反応速度定数の比率であると規定されている。
「高活性」連鎖移動剤(1又はそれ以上のCs)は、成長するモノマー鎖が又別のモノマー分子とともに成長する場合よりも機会が与えられて水素原子供与を受入れる可能性が一層高くなる、フリーラジカル重合中の十分に高い活性を有する連鎖移動剤である。Csが1より大きい場合には、プロセス流体中の高活性CTAは、反応が次第に前進するにつれてモノマーの濃度に比較して連鎖移動剤の相対濃度が減少する方法で消費される。反応が持続しても追加の連鎖移動剤が提供されない場合は、高活性CTAは枯渇するようになる。反応システムが、たとえあったとしても分子量を制御するために十分な連鎖移動剤を有していない可能性が起こりうる。
プロセス開始時に1より大きい、及び5,000まで、好ましくは500までであってよいCs範囲を備える高活性連鎖移動剤を使用すると、高分子量ポリマー鎖の形成はプロセス開始時には抑制される。これはより狭い分子量分布を備えるポリマーを生じさせる。この抑制は、プロセスの後期において生成される高分枝状の高分子量ポリマー鎖の形成を防止する。
プロセスの早期の部分において高分子量ポリマー鎖形成を抑制するために高活性CTAを使用する他の利点が存在する。この抑制は、プロセスのシステム性能を改良することによって全シングルパスプロセス転化を改良する。
しかし、フリーラジカル重合プロセスにおいて高Cs連鎖移動剤を単独で効果的に使用することには課題が多い。そのように行う1つの手段は、プロセスの後期において追加の高Cs CTAを加えることであろう。又別の手段は、プロセスの開始時に、少なくとも1つの高Cs CTA及び少なくとも1つの低Cs CTAの組み合わせを組み入れることであろう。そのようなプロセスでは、反応が開始時から終了時まで進行するにつれて、高活性CTAはモノマーが相対的に高濃度にある、特に、1つより多い反応ゾーン(即ち、開始剤注入地点)を備える管型反応器システム内にある期間中に優先的に消費される。プロセスの後期に、モノマー及び高Cs CTAの両方が相対的に枯渇した場合は、モノマーと比較してその相対反応速度及び濃度のために形成されるポリマー鎖と有意には反応しなかった低Cs CTAは、分子量を制御するように連鎖移動剤を支持することによってプロセスにより大きな影響を及ぼす。
さらに、連鎖移動剤、特に、高Cs連鎖移動剤の存在下で製造されたポリマーは、連鎖移動剤が組み入れられたために興味深い物理的及び化学的特性を有する可能性がある。修飾できる特性には、そのプロセス可能性(例、剪断粘度)、光学特性、例えばヘイズ及び透明度、密度、剛性、降伏点、フィルムドロー及び引裂強度が含まれる。
約0.90〜約0.94g/cmの密度、約2〜約30の分子量分布(M/M)、及び約0.1〜約50g/10分のメルトインデックス(I)を有する低密度エチレン系ポリマーが開示される。エチレン系ポリマー中の硫黄の量は、エチレン系ポリマーの総重量に基づいており、全硫黄濃度法を使用して決定される。
低密度エチレン系ポリマーは、エチレンのホモポリマーであってよい、又はエチレン及び少なくとも1つのコモノマーから構成されるエチレン系インターポリマーであってよい。エチレン系インターポリマー、特に、エチレン/α−オレフィンインターポリマー内に組み入れるために有用なコモノマーには、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、及び1−オクテン、非コンジュゲート化ジエン類、ポリエン類、ブタジエン類、イソプレン類、ペンタジエン類、ヘキサジエン類(例えば、1,4−ヘキサジエン)、オクタジエン類、スチレン、ハロ置換スチレン、アルキル置換スチレン、テトラフルオロエチレン類、ビニルベンゾシクロブテン、ナフテン酸類、シクロアルケン類(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン)、並びにそれらの混合物が含まれる。エチレンは、少なくとも1つのC−C20α−オレフィン、例えばプロペン、1−ブテン、1−ヘキセン及び1−オクテンなどと共重合させられることが多い。
低密度エチレン系ポリマーは、さらに硫黄を含むことができ、このとき硫黄はエチレン系ポリマーの総重量に基づいて少なくとも5ppmの全硫黄濃度であってよい。エチレン系ポリマー内に組み込まれる硫黄は、その分子構造の一部として硫黄を備える高Cs連鎖移動剤の使用が起源である。一部のメルカプタン類、例えばtert−ドデシルメルカプタンは高Cs連鎖移動剤であり、連鎖移動を実行するためにフリーラジカル重合中にエチレン系ポリマー内に優先的に組み込まれる。エチレン系ポリマー内への硫黄の組み入れは、改良された特性、例えば酸化耐性をもたらすと考えられる。
さらに、「遊離硫黄」化合物、若しくは副生成物として含まれる硫黄含有化合物及びその他のエチレン系ポリマーが均質的に組み入れられた他の化合物も又存在する。
本低密度エチレン系ポリマーは、他の低密度エチレン系ポリマーとは相違するポリマーの内部ヘイズ、表面ヘイズ、及びIメルトインデックス間の数値関係を示すことができる。約0.1〜約1.5g/10分の範囲内のIについて、ある表面/内部ヘイズ比対メルトインデックス(I)関係を備えるエチレン系ポリマーがさらに開示される。さらに、硫黄をさらに含む表面/内部ヘイズ比対メルトインデックス関係を備えるエチレン系ポリマーが開示される。さらに、3D−GPC法によるgpcBR分枝指数によって決定される0.05より大きいgpcBR値を特徴とする長鎖分岐を示す、表面/内部ヘイズ比対メルトインデックス関係を備えるエチレン系ポリマーが開示される。
以下で記載するトリプル検出器ゲル透過クロマトグラフィー法によって決定される従来法で較正された分子量(Mw,GPC)(g/モル)及び絶対分子量(Mw,Abs)(g/モル)、並びに以下で記載するゼロ剪断粘度法によって決定される190℃でのゼロ剪断粘度(η)(Pa・s)との間の数値関係を示し、さらに硫黄を含む低密度エチレン系ポリマーが開示される。さらに、3D−GPC法によるgpcBR分枝指数によって決定される0.05より大きいgpcBR値を特徴とする長鎖分岐を示す、従来法で較正された分子量、絶対分子量、及びゼロ剪断粘度の関係を備えるエチレン系ポリマーが開示される。
他の低密度エチレン系ポリマーのものとは相違する、濃度標準化光散乱(LS)反応値と従来法で較正された分子量(Mw,GPC)の対数値との関係を示す低密度エチレン系ポリマーが開示される。その差は、GPC−LS特性解析値(Y)と呼ばれる関係で捕捉される。GPC−LS特性解析値(Y)は、以下で記載するGPC−LS特性解析法によって決定される。2.1より大きいGPC−LS特性解析値(Y)を有し、長鎖分枝を有するエチレン系ポリマーが開示される。長鎖分枝は、3D−GPC法によるgpcBR分枝指数の決定によって決定される0.05より大きいgpcBRを特徴とする。2.3より大きい、好ましくは2.4より大きいGPC−LS特性解析値(Y)を有するエチレン系ポリマーも又開示される。さらに、約2.1〜約10の範囲内で所定のGPC−LS特性解析値(Y)を備えるエチレン系ポリマーが開示される。さらに硫黄を含む、所定のGPC−LS特性解析値(Y)を備えるエチレン系ポリマーが開示される。
開示されたプロセスは、低密度エチレン系ポリマー付加化合物及び副生成物の熱を生成するために、エチレン、及び任意で少なくとも1つのコモノマーを重合するための高圧フリーラジカル反応器プロセスである。開示されたプロセスは、従来通りに製造された場合より狭い分子量分布の低密度エチレン系ポリマーの形成に役立つために少なくとも1つの高Cs(及び一部の場合には少なくとも1つの高Csと少なくとも1つの低Csの混合物)連鎖移動剤を使用する。
本発明の1つのプロセスは、管型反応器プロセスにおけるフリーラジカル開始低密度エチレン系重合反応を含む。反応器にエチレン、及び任意で少なくとも1つのコモノマーを供給することに加えて、フリーラジカル反応を開始して支持するためにエチレン系ポリマー付加化合物が形成されるにつれて、例えば反応開始剤、触媒、及び連鎖移動剤といった他の成分が反応器に供給される。このプロセスは、部分的にエチレンから構成されるプロセス流体がフリーラジカル重合されて高度の発熱反応を作り出す管型重合反応である。この反応は反応器内で160℃〜360℃の最高温度にある乱流プロセス流体流(従って「高圧」ポリマーとも呼ばれる低密度エチレン系ポリマー)内において高い作動圧(1,000bar〜4,000bar)下で発生するが、反応のための初期開始温度は120℃〜200℃である。管に沿った所定の地点では、フリーラジカル重合中に生成された熱の一部分は管壁に沿って取り除くことができる。管型反応器についての典型的なシングルパス転化値は、約20〜40%の範囲に及ぶ。管型反応器システムは、典型的には転化効率を改良するために少なくとも1つのモノマー再循環ループも又含む。
典型的な管型重合反応システムを、図1に示した。管型反応器システム100は、典型的には約250〜約2,000m(メートル)の長さを備える管2を有する。管の長さ及び直径は、プロセス流体の滞留時間及び速度並びに管2の熱付加/除去能力に影響を及ぼす。適切な、しかし限定されない反応器長さは、100〜3,000m、及び一部は500〜2,000mであってよい。管2はさらに、混合及び反応のために所望のシステムスループット、作動圧範囲、及び乱流度に基づいて約30〜約100mmの作動内径を有する。作動内径は、プロセスの相違する部分、例えば乱流混合、反応開始剤及び供給流の注入、並びにプロセス流体スロットリング(即ち、圧力損失を犠牲にしてプロセス流体速度を加速する)に適応するために管2に沿った地点で広がったり狭まったりすることがある。
本発明のプロセスのためには、プロセス流体の平均速度は、少なくとも10m/秒であり、25m/秒と高い場合さえある。プロセス流体速度は、多数の理由、全プロセススループット、エチレン転化、熱除去能力を含む理由のために、及び多数の反応ゾーンを備えるプロセス、局所反応開始温度の管理並びに連鎖移動剤及びプロセス開始剤の注入量のために重要である。
図1及び管型反応器システム100を参照すると、多段コンプレッサー若しくは並列式で作動する2基又はそれ以上のコンプレッサーであってよい第1コンプレッサー4は、新鮮供給導管6及び低圧システム再循環導管8と呼ばれる新鮮モノマー/コノマー供給流の供給源にその取入口側で連結される。
さらになお図1を参照すると、一部の場合にはハイパーコンプレッサー5と呼ばれる、多段コンプレッサーであってよい第2コンプレッサーは、第1コンプレッサー4並びに高圧システム再循環導管26と呼ばれる2つの内の第2の再循環流の排出口へその取入口で連結されている。
ハイパーコンプレッサー5による加圧後に、プロセス流体は、上流プロセス供給流として導管12を通して管2内に供給される。開示された一部のプロセスでは、プロセス流体は分割され、相違する供給場所で管2に供給される。そのようなプロセスでは、プロセス流体の一部は第1反応ゾーンへの上流プロセス供給流として導管12を通して管2に供給され、別の部分は(プロセス流体において作成される分割数に依存して)様々な導管14を通して他の反応ゾーンへの下流プロセス供給流として管2に供給される。
開示されたように、第1反応ゾーン及び少なくとも1つの他の反応ゾーンを含む新鮮供給を備える幾つかの反応ゾーンを使用するプロセスは、管2内のプロセス流体より低温である第1反応ゾーンの下流の供給流(即ち、開始剤、モノマー)の導入を通してシステム内の熱を除去することにより全エチレン転化を改良する。複数の反応及び供給ゾーンを備える管型反応器システムは、管型反応器が全般的により低い平均ピーク反応器温度で作動することを許容する。これは、複数の反応器若しくは供給ゾーンと同様の非複数の反応若しくは供給ゾーン反応器管の転化が同一に維持されると見なされる。Goto, et al., J. Appl. Polymer Science, Appl. Polymer Symp., Vol.36, 21(1981)を参照されたい。これについての1つの理由は、導管14を通過する下流プロセス供給物は反応システム内への注入前に冷却することができる、又は本質的により低温であり、これにより重合の(再)開始前の全反応プロセス流体温度を低下させることにある。以前に言及したように、プロセスの冷却は、追加の開始剤を添加することを許容し、これによりモノマー/コモノマーのシングルパス転化を改良するであろう。そのような開示されたプロセスでは、下流プロセス供給流の温度は、好ましくは120℃未満、より好ましくは50℃未満、及び最も好ましくは30℃未満である。より低い平均反応器温度は重要であるが、それはより狭いMWD生成物を生成する全レベルの長鎖分岐を減少させるからである。さらに、管に沿った複数の供給場所の使用は、複数の用途、例えば光学特性が重要であるフィルム樹脂などにおいて使用するための狭いMWD樹脂を生成するためにも好ましい。複数の供給場所は、多数の反応ゾーンを有していない同様のシステムに比較して分子量分布の狭小化も又さらに生じさせることがある。
開示された1つより多い反応ゾーンが存在するプロセスでは、1つ又はそれ以上のフリーラジカル開始剤若しくは触媒導管7は、各反応ゾーンの開始部若しくはその近くで開始剤若しくは触媒を管2に運搬する。
使用されるフリーラジカル開始剤のタイプは、重要ではない。フリーラジカル開始剤の例には、酸素系開始剤、例えば有機過酸化物(PO)が含まれる。好ましい開始剤は、t−ブチルペルオキシピバレート、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルペルオキシアセテート、及びt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、並びにそれらの混合物である。これらの有機ペルオキシ開始剤は、高圧供給物の重量に基づいて0.0001〜0.01重量%の従来型量で使用される。
開示されたエチレン系ポリマー付加化合物を結果として生じるフリーラジカル重合反応は、開始剤若しくは触媒が存在する各反応ゾーン内で発生する。この反応は、大量の熱を生成する発熱反応である。冷却を行わないと、断熱温度はプロセス流体内で上昇し、エチレン系ポリマー付加化合物(熱を吸収して保持する)は不都合な反応を生じさせるであろう。そのような反応は、エチレン分解(エチレン及びポリエチレンが非燃焼反応において基本生成物へ崩壊する)又は分子量分布の拡大を引き起こすであろう過剰な長鎖分枝を含むことができる。
典型的なプロセスでは、高分子量ポリマー鎖が形成され、反応器管壁の内側上で「プレートアウト(plate out)」し、プロセスを絶縁して熱除去を妨害する。開示された高Cs連鎖移動剤及び10m/秒を超えるプロセス流体速度の使用を含むプロセスでは、この絶縁層が形成される程度が減少する。これは、高Cs連鎖移動剤を使用しない匹敵するプロセスに比較して熱除去プロセスを改良する。さらに、一部の実施形態では、管2内のプロセス流体は、導管14からの下流プロセス流体流の添加によって直接的に定期的に冷却される。熱除去は高Cs連鎖移動剤若しくは冷却された下流プロセス供給流を使用しない匹敵するプロセスに比較して改良されるので、管2内のプロセス流体はより低い再開始温度で少なくとも1つの他の反応ゾーンに進入する;このため、改良されたシングルパスプロセス転化を引き起こす。これは、必要であれば各反応再開始中に類似のピークプロセス流体温度に達するためにより大量の触媒若しくは開始剤の添加を許容する。
高Cs連鎖移動剤を本プロセスに送達する場合は、定常状態作動中に管型反応器から熱を除去する能力に及ぼす大きな影響は、高Cs CTAが使用されない場合と比較して見ることができる。開示された一部のプロセスでは、他の条件では同等であり定常状態にあるが高Cs CTAを使用しない類似及び同様のプロセスと比較して:
(a)少なくとも1%及び好ましくは少なくとも3%より多い熱が少なくとも1つの反応ゾーンから除去される;及び/又は
(b)熱を反応システムから除去する熱交換器で使用される熱除去媒体の入口及び出口温度間の平均温度差(温度「δ」)は、同様のプロセス内の同様の熱交換器において使用された同様の熱除去媒体よりも統計的有意に大きい(即ち、一定期間に渡って温度δの標準偏差の3倍より大きい);及び/又は
(c)反応システムから熱を除去する熱交換器内で使用される熱除去媒体の出口温度の差は、同様のプロセス内の同様の熱交換器において使用される同様の熱除去媒体よりも一定期間に渡って少なくとも1℃高い。
開示されたプロセスでは、少なくとも1つの連鎖移動剤が、1より大きいCsを有するプロセス流体に加えられる。開示された一部のプロセスでは、少なくとも2つの、1つは1より大きいCsを備え、もう1つは1より小さいCsを備える連鎖移動剤がプロセス流体に加えられる。1つより多い連鎖移動剤は、管2の内側でのフリーラジカル重合中の相対特性を利用するために使用できる。
開示されたプロセスでは、連鎖移動剤は、管2に導入する前にプロセス流体とできる限り均質にブレンドできるように加えられる。管型反応器システム100の物理的配置並びにプロセス流体及びCTAの化学的特性に依存して、そのようなブレンドする工程は、定圧システム再循環導管8のためのブースターコンプレッサー21の入口、第一コンプレッサー4の入口、ハイパーコンプレッサー5の入口、ハイパーコンプレッサー5の出口、管2の入口で、又は第1過酸化物注入と一緒にCTAを注入する工程によって達成できる。
図1には示していないが、CTAの管型反応器2への選択的供給は可能である。そのような場合には、CTAは、図1に示したようにCTA源23を使用する代りに導管12又は14内に注入する工程によって管2内に選択的に供給することができる。特定の場合には、CTAは、CTA源23から導管12を経由して上流プロセス供給流内にのみ注入することができる。CTA源23からのCTAの注入に関する開示されたプロセスにおけるこの柔軟性は、第1反応ゾーン内のみへの、又は相違する反応ゾーン内のみへ、又は反応ゾーンの一部又は全部へのCTAの選択的注入を許容する。これはさらに、反応システムの性能及びエチレン系ポリマー付加化合物の特性を最適化するために、CTA源23から相違するゾーン(例えば、第1反応ゾーン内へ注入される高Cs CTA及び少なくとも1つの他の反応ゾーン内に注入される低Cs CTA)内へ注入すべき、相違するCs特性を備えるCTAを含む様々なCTAの注入も又許容する。
1つより多いCTAが使用される開示された一部のプロセスでは、連鎖移動剤の1つは1より小さいCsを有し、又別の連鎖移動剤は1より大きいCsを有する。そのようなプロセスでは、連鎖移動剤は、プロセスの相違する部分でそれらの有効性をカスタマイズする、又はエチレン系ポリマー特性を最適化することができるように、相違する供給速度又は量で本システムに供給されてよい。開示された一部のプロセスでは、低活性CTAの供給速度は、再循環流26及び8の一方又は両方で検出される再循環された低活性CTAの量によって調節することができる。連鎖移動剤の供給量、相互に対する比率、及び新鮮供給導管6内でのエチレンの量に対する連鎖移動剤の相対量は、管2及び管型反応器システム100の幾何学的形状、製造速度、連鎖移動剤の相対活性、並びに全管2滞留時間を含むがそれらに限定されない幾つかの因子に依存して変動するであろう。連鎖移動剤の供給量及び比率は、さらに又エチレン系ポリマーの最終特性、例えば溶融粘度、全製造量、目標分子量分布、所望のメルトインデックス、第1ゾーンピーク温度、残留CTA若しくはCTA副生成物、及び管プロセス流体速度などに基づいて調節することもできる。
開示されたプロセスでは、プロセス流体内の連鎖移動剤の濃度は、約1〜約600モルppm、及び好ましくは約1〜約200モルppmである。開示された一部のプロセスでは、上流プロセス供給流内の高Cs CTAの濃度は、約1〜約600モルppm、及び好ましくは約1〜約200モルppmである。開示されたそのようなプロセスでは、開示したCTA濃度は、上流プロセス供給流内、例えば導管12内で見いだされる。開示された他のプロセスでは、プロセス流体内の高Cs CTA(モル/時)対低Cs CTA(モル/時)の比であるCTAモル流量比は、約0.01〜約100、好ましくは約0.05〜約5、及びより好ましくは約0.05〜約0.5である。
図1を参照すると、反応から形成されたエチレン系ポリマー、未反応モノマー(及びコモノマー)、及び未使用供給物、例えば溶媒及びCTA、又は分解及び副反応生成物の混合物は、管出口16からプロセスの分離部分に通過する。管型反応器システム100の分離及び再循環部分は、管2の出口から生成物ポリマー及びプロセス流体混合物を受入れる高圧分離装置(HPS)18を含む。HPS18の後部は、ポリマー付加化合物及び任意の残留している未反応モノマー/コモノマー及びポリマー付加化合物とともに溶解する可能性があるその他の未使用供給物を低圧分離装置(LPS)20に搬送する。より高圧の軽量流は、該流を冷却及び精製して不活性ガスをパージするための精錬システム24を含むことができ、第1コンプレッサー4からハイパーコンプレッサー5に通過するプロセス流体を再結合させる高圧システム再循環導管26を通過する。
熱除去媒体が液体である場合は、熱移動を実行してプロセス流体及びエチレン系ポリマー付加化合物を冷却するために、熱交換器30を使用することができる。
開示されたプロセスでは、エチレン転化において全体的に改良が見られる。全体的改良は、プロセスの初期における高分子量ポリマー鎖の形成の減少、熱移動の改良、及びより多くのフリーラジカル開始剤を使用する能力から生じる。匹敵する定常状態条件を前提にすると、1より大きいCsを備える少なくとも1つの連鎖移動剤を使用する開示されたプロセスのためのエチレン転化における改良は、1より大きいCsを備える連鎖移動剤を欠いた類似のプロセスにおけるエチレン転化より少なくとも0.3%高い。
最終使用
開示されたエチレン系ポリマーを使用して製造される最終使用生成物には、全てのタイプのフィルム(例えば、インフレーション、キャスト及び押出しコーティング(単層若しくは多層)、成形製品(例えば、ブロー成形及びロトモールド製品)、ワイヤー及びケーブルコーティング及び調製物、架橋結合用途、フォーム(例えば、オープン若しくはクローズドセルを用いたインフレーション)、並びに他の熱可塑性樹脂用途が含まれる。開示されたエチレン系ポリマーは、他のポリオレフィン類とのブレンド成分としても又有用である。
開示されたエチレン系ポリマーからの最終使用生成物として製造することのできるフィルムのタイプには、サイレージフィルム、シーラント、サイロバッグ、ストレッチフィルム、ディスプレイパッケージング、シュリンクフィルム、及び頑丈な輸送袋が含まれる。さらに、インフレーション、キャスト及び押出しコーティング(単層若しくは多層)も又、開示されたエチレン系ポリマーを用いて製造することができる。
用語の定義
用語「ブレンド」若しくは「ポリマーブレンド」は、2つ又はそれ以上のポリマーの混合物を意味する。ブレンドは、混和性(分子レベルでの相分離ではない)であってもよく、又は混和性でなくてもよい。ブレンドは、相分離であってよく、又は相分離でなくてもよい。ブレンドは、透過型電子分光法、光散乱、x線散乱、及び当分野において公知の他の方法から決定される1つ又はそれ以上のドメイン構成を含有していてもよく、又は含有していなくてもよい。
用語「匹敵する」は、類似する、などを意味する。所定のプロセスについては、「匹敵する」は、同一の物理的プロセス装置を用いてランされる(そこで各ランにおけるプロセス単位は相互に同様である)2つ又はそれ以上のプロセスについては、幾つかの反応ゾーンの各々について各類似反応ゾーン(例、実施例1の反応ゾーン1−ピーク温度及び比較例1の反応ゾーン1−ピーク温度)についてのピーク温度値間の差は、匹敵すると見なされるプロセスについては1℃以内であることを意味する。
比較の基礎は、10分間平均データ(特定時点での個別データ示度である「スポットデータ」とは対照的)を用いた2.5時間の定常状態条件の期間についてである。
用語「組成物」には、組成物並びに組成物の材料間の相互作用及び反応から形成された反応生成物及び分解生成物を含む材料の混合物が含まれる。
用語「エチレン系ポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モル%を超える重合エチレンモノマー、及び任意で、1つ又はそれ以上のコモノマーから形成されるポリマーを意味する。エチレンのホモポリマーは、エチレン系ポリマーである。
用語「エチレン/α−オレフィンインターポリマー」は、(重合可能なモノマーの総量に基づいて)50モル%を超える重合エチレンモノマー、及び少なくとも1つのα−オレフィンコモノマーから形成されるインターポリマーを意味する。
用語「ホモポリマー」は、単一タイプのモノマー、例えばエチレンだけから形成されるポリマーである。
用語「インターポリマー」は、少なくとも2つの相違するタイプのモノマーの共重合によって調製されたポリマーを意味する。用語、インターポリマーには、通常は2つの相違するモノマーから調製されたポリマー、及び2つより多い相違するタイプのモノマーから製造されたポリマー、例えばターポリマーを意味するために使用されるコポリマーが含まれる。
用語「LDPE」も又「高圧エチレンポリマー」若しくは「高分枝状ポリエチレン」を意味することができ、このポリマーはオートクレーブ若しくは管型反応器内において13,000psigを超える圧力で部分的又は完全に、フリーラジカル開始剤、例えば過酸化物を使用して重合されることを意味すると定義されている(例えば、米国特許第4,599,392号明細書(McKinney, et al.)を参照されたい)。
用語「ポリマー」は、同一又は相違するタイプのモノマーのいずれであれ、1つ又はそれ以上のモノマーを重合する工程によって調製された化合物を意味する。用語、ポリマーは、用語「ホモポリマー」及び「インターポリマー」を含む。
用語「硫黄含有化合物」は、−S−官能基を水素原子と置換された炭素原子に加えて含有する化合物であり、このとき水素原子の一部分は不活性置換基若しくは成分と置換することができる。硫黄貴含有化合物、例えばメルカプタンに由来する単位の存在は、公知の技術を使用して、例えば以下に記載する全硫黄濃度法によって定量的に決定することができる。
試験方法
密度:ポリマーの密度測定のためのサンプルは、ASTM D1928に従って調製される。測定は、ASTM D792方法Bを使用してサンプル圧縮の1時間以内に行われる。
メルトインデックス:エチレン系ポリマーのメルトインデックス(I)は、ASTM D1238、190℃/2.16kgの条件に従って測定される。
溶融強度:溶融強度の測定は、Gottfert Rheotester 2000キャピラリーレオメーターに取付けられたGottfert Rheotens 71.97(Goettfert社;サウスカロライナ州ロックヒル)上で実施される。ポリマー溶融物は、2.0mmのキャピラリー径及び15のアスペクト比(キャピラリー長/キャピラリー半径)を備える平坦入口角(180°)を備えるキャピラリーダイを通して押し出される。190℃で10分間に渡りサンプルが平衡化させられた後、ピストンは0.265mm/秒の一定ピストン速度でランさせる。標準試験温度は、190℃である。サンプルは、2.4mm/秒の加速度を備えてダイの100mm下方に配置された1組の加速ニップへ一軸的に引き出される。張力は、ニップロールの巻取り速度の関数として記録される。溶融強度は、ストランドが破損する前のプラトー力(cN)として報告される。以下の条件が溶融強度測定において使用される:プランジャー速度=0.265mm/秒;ホイール加速度=2.4mm/秒;キャピラリー径=2.0mm;キャピラリー長=30mm;及びバレル径=12mm。
動的機械的分光法:動的機械的分光法(DMS)
動的振動剪断測定は、不活性窒素雰囲気下で25mmパラレルプレートを2.0mmのギャップ及び10%の一定歪みで使用するTA Instruments社のARESシステム(デラウェア州ニューキャッスル)を190℃で用いて実施する。周波数間隔は、間隔をあけた10対数当たり5地点で0.03〜300rad(ラジアン)/秒である。応力反応は、振幅及び位相によって分析され、それらから貯蔵弾性係数(G’)、損失弾性係数(G’’)、複素弾性係数(G)、tanδ、位相角δ及び複素粘度(η)が計算された。複素弾性係数(G)は、各々その実数としてのG’及びその虚数成分としてのG’’を備える複素数である(G=G’+iG’’)。Gの大きさは、|G|=(G’+G’’1/2であると報告されている。tanδ及び位相角δは、どちらも材料の相対弾性率に関連する。tanδは、損失弾性係数対記憶弾性係数の比率(tanδ=G’’/G’)であり、位相角δは、
Figure 2012505292
から得ることができる。複素粘度(η)は、さらに各々その実数としてのη’及びその虚数成分としてのη’’を備える複素数でもある。ηの大きさは
Figure 2012505292
(式中、ωは角周波数(rad/秒)である)であると報告されている。
DSC:示差走査熱量測定法(DSC)は、広範囲の温度について所定温度でのサンプルの結晶化度を測定するために使用できる。例えば、RCS(冷凍冷却システム)及びオートサンプラーモジュールを装備したTA Instruments社製Q1000 DSCが、この分析を実施するために使用される。試験中、50mL/分の窒素パージガス流が使用される。各サンプルは薄膜内に圧縮され、約175℃のプレス機内で溶融される;溶融したサンプルは、次に室温に空冷される(約25℃)。3〜10mg、6mm径の標本は、冷却ポリマーから抽出され、計量され、軽量のアルミ鍋(約50mg)に入れられ、クリンプ閉鎖された(crimped shut)。分析は、次にその熱特性を決定するために実施される。サンプルの熱挙動は、熱流量対温度プロファイルを作成するためにサンプル温度を上下に変動させることによって決定される。最初に、サンプルは迅速に180℃に加熱され、その熱履歴を除去するために3分間等温で保持される。次に、サンプルは−40℃へ10℃/分の冷却速度で冷却され、3分間に渡り−40℃で等温に保持される。サンプルは次に10℃/分の加熱速度で150℃へ加熱される(これは「第2熱」ランプである)。冷却及び第2加熱曲線が記録される。冷却曲線は、結晶化の開始時からベースライン時エンドポイントを−20℃に設定する工程によって分析される。加熱曲線は、−20℃からのベースライン時エンドポイントを溶融終了まで−20℃に設定する工程によって分析される。決定された数値は、ピーク溶融温度(T)、ピーク結晶化温度(T)、融解熱(H)(ジュール/g)、及び方程式1:
結晶化度(%)=[(H(J/g))/(292J/g)]×100 (方程式1)
を用いて計算されたポリエチレンサンプルについての結晶化度(%)である。融解熱(H)及びピーク溶融温度は、第2加熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定される。
トリプル検出器ゲル透過クロマトグラフィー:トリプル検出器ゲル透過クロマトグラフィー(3D−GPC又はTD−GPC)システムは、オンボード示差屈折計(RI)を装備したWaters社(マサチューセッツ州ミルフォード)製150℃高温クロマトグラフ(その他の適切な高温GPC機器には、Polymer Laboratories社(英国シュロップシャー州)モデル210及びモデル220が含まれる)から構成される。追加の検出器には、Polymer ChAR社(スペイン国バレンシア)の赤外線検出器IR4、精密検出器(マサチューセッツ州アマースト)2角レーザー光散乱(LS)検出器モデル2040、及びViscotek社(テキサス州ヒューストン)150R4−キャピラリー溶液粘度計を含むことができる。これら後者2つの独立検出器及び前者の検出器の内の少なくとも1つを備えるGPCは、時には「3D−GPC又はTD−GPC」と呼ばれるが、用語「GPC」単独は一般に従来型GPCを意味する。サンプルに依存して、角度15°又は90°のいずれかが光散乱検出器での計算目的で使用される。データ収集は、Viscotek TriSECソフトウエアのバージョン3、及び4−チャネルViscotekデータマネージャーDM400を使用して実施される。このシステムには、さらにPolymer Laboratories社(英国シュロップシャー州)からのオンライン溶媒脱気装置も又装備されている。
適切な高温GPCカラム、例えば4基の長さ30cmのShodex HT803 13ミクロンカラム又は4基の長さ30cmのPolymer Labs社製の20ミクロン混合孔径充填のカラム(MixA LS、Polymer Labs社)を使用できる。サンプルのカルーセルコンパートメントは140℃で作動させられ、カラムコンパートメントは150℃で作動させられる。サンプルは、50mLの溶媒中で0.1gのポリマーの濃度で調製される。クロマトグラフィー溶媒及びサンプル調製溶媒は、トリクロロベンゼン(TCB)中に200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有している。どちらの溶媒も窒素を用いて拡散させられる。ポリエチレンサンプルは、4時間に渡り160℃で緩徐に攪拌される。注入量は、200μLである。GPCを通る流量は、1mL/分に設定される。
セットされたGPCカラムは、21の狭い分子量分布ポリスチレン標準物質をランさせることによって較正される。標準物質の分子量(MW)の範囲は580〜8,400,000に及び、標準物質は6つの「カクテル」混合物中に含有される。各標準混合物は、個々の分子量間で少なくとも10の分離を有する。標準混合物は、Polymer Laboratories社から購入される。ポリスチレン標準物質は、1,000,000又はそれより多い分子量の溶媒50mL中では0.025gで、1,000,000未満の分子量の溶媒50mL中では0.05gで調製される。ポリスチレン標準物質は、30分間に渡り緩徐に攪拌しながら80℃で溶解させられた。狭い標準混合物は、最初に、及び分解を最小限に抑えるために最高分子量成分の量を減少させるためにランさせられる。ポリスチレン標準ピーク分子量は、方程式2:
ポリエチレン=A×(Mポリエチレン (方程式2)
(式中、Mはポリエチレン若しくは(マーキングした)ポリスチレンの分子量であり、Bは1.0と同等である)を使用してポリエチレン分子量に転化させられる(Williams and Ward, J. Polym. Sci., Polym. Let., 6, 621(1968)に記載されている)。当業者には、公知であるAは約0.38〜約0.44の範囲内にあってよく、較正の時点には、以下の3D−GPC法によるgpcBR分枝指数、及び詳細には方程式9に略述したように、広範囲の分子量分布ポリエチレン標準物質を使用して決定される。分子量値、例えばM/Mを入手するためのこのポリエチレン較正法、及び関連統計学の使用は、本明細書ではWilliams and Ward法であると規定されている。
マルチ検出器オフセットを決定するための系統的アプローチは、Balke, Mourey, et al.(Mourey and Balke, Chromatography Polym., Chapter 12,(1992))(Balke, Thitiratsakul, Lew, Cheung, Mourey, Chromatography Polym., Chapter 13,(1992))によって公表された方法と一致する方法で実施され、トリプル検出器対数(M及び固有粘度)はDow 1683幅広ポリスチレン(American Polymer Standards Corp.社;オハイオ州メンター)から生じる、又は狭い標準カラム較正との同等物は狭いポリスチレン標準物質較正曲線から生じる。分子量データは、Zimmにより公表されたデータと一致する方法で入手される(Zimm, B.H., J. Chem. Phys., 16, 1099(1948))及びKratochvil(Kratochvil, P., Classical Light Scattering from Polymer Solutions, Elsevier, Oxford, NY(1987))。分子量の決定において使用される全注入濃度は、適切な線状ポリエチレンホモポリマー又は公知の重量平均分子量のポリエチレン標準物質の1つに由来する質量検出器面積及び質量検出規定数から入手される。計算分子量は、上記の1つ又はそれ以上のポリエチレン標準物質に由来する光散乱定数及び0.104の屈折指数濃度係数(dn/dc)を用いて入手される。一般に、質量検出器応答及び光散乱定数は、約50,000ダルトンを超える分子量を備える線状標準物質から決定しなければならない。粘度計の較正は、製造業者によって記載された方法を使用して、又は適切な線状標準物質、例えば標準参照材料(SRM)1475a、1482a、1483、又は1484aなどの公表された数値を用いて遂行することができる。クロマトグラフィー濃度は、アドレス指定(addressing)第2ウイルス係数作用(分子量に及ぼす濃度作用)を除去するために十分に低いと推定される。
3D−GPCによるgpcBR分枝指数:3D−GPC構成では、ポリエチレン及びポリスチレン標準物質を使用すると、2つのポリマータイプであるポリスチレン及びポリエチレンの各々について独立して、Mark-Houwink定数K及びαを測定することができる。これらを使用すると、以下の方法の適用においてWilliams and Wardポリエチレン等価分子量法を洗練させることができる。
gpcBR分枝指数は、以前に記載されたように、光散乱、粘度、及び濃度検出器を最初に較正する工程によって決定される。ベースライン値は、次に光散乱、粘度計、及び濃度クロマトグラムから減じる。次に積分窓を、屈折指数クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱及び粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持容量範囲の全部の積分を保証するために設定される。線状ポリエチレン標準物質は、次に以前に記載されたようにポリエチレン及びポリスチレンMark-Houwink定数を確立するために使用される。これらの定数が入手されると、2つの数値は、方程式3及び4:
Figure 2012505292
及び
Figure 2012505292
に示したように、溶出体積の関数としてのポリエチレン分子量及びポリエチレン固有粘度についての2つの線状参照従来型較正を構築するために使用される。
gpcBR分枝指数は、Yau, Wallace W., “Examples of Using 3D-GPC-TREF for Polyolefin Characterization”, Macromol. Symp., 2007, 257, 29-45において考察された長鎖分枝の特性解析するためのロバスト法(robust method)である。この指数は、全ポリマー検出器面積に好都合に、g’値の決定及び分枝周波数計算において従来通りに使用されるスライス画像毎の3D−GPC計算が回避される。3D−GPCデータから、ピーク面積法を使用して光散乱(LS)検出器によってサンプルバルク絶対重量平均分子量(Mw,Abs)を入手できる。本方法は、従来的g’決定において必要とされる濃度検出器信号に比した光散乱検出器信号のスライス画像毎の比率を回避する。
3D−GPCを用いると、絶対重量平均分子量(「Mw,Abs」)及び固有粘度も又、方程式5及び6:
Figure 2012505292
を用いて独立して入手される。方程式5における面積計算はより高い精度を提供するが、それは全サンプル面積として、ベースライン及び積分限界上の検出器雑音及びGPC設定によって誘発される変動に対してはるかに低感受性であるからである。より重要には、ピーク面積計算は、検出器容積オフセットによっては影響を及ぼされない。同様に、高精度サンプル固有粘度(IV)は、方程式6:
Figure 2012505292
(式中、DPは、オンライン粘度計から直接的にモニタリングされた差圧信号を表す)に示した面積法によって入手される。
gpcBR分枝指数を決定するために、サンプルポリマーについての光散乱溶出面積を使用すると、サンプルの分子量が決定される。サンプルポリマーについての粘度検出器溶出面積を使用すると、サンプルの固有粘度(IV又は[η])が決定される。
最初に、線状ポリエチレン標準物質サンプル、例えばSRM1475a若しくは同等物についての分子量及び固有粘度は、方程式7及び8:
Figure 2012505292
及び
Figure 2012505292
によって、溶出体積の関数としての分子量及び固有粘度の両方についての従来型較正(「cc」)を使用して決定される。方程式9:
Figure 2012505292
(式中、[η]は測定固有粘度であり、[η]ccは従来型較正からの固有粘度であり、Mは測定重量平均分子量であり、及びMw,ccは従来型較正の重量平均分子量である)は、gpcBR分枝指数を決定するために使用される。方程式(5)を使用した重量平均分子量/光散乱(LS)は、一般には「絶対重量平均分子量」若しくは「Mw,Abs」と呼ばれている。従来型GPC分子量較正曲線(「従来型較正」)を用いて方程式(7)からのMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来型重量平均分子量」、及び「Mw,GPC」と呼ばれることが多い。
下付き文字「cc」を備える全ての統計値は、それらの各溶出体積、以前に記載された対応する従来型較正、及び保持容量分子量較正から引き出された濃度(C)を用いて決定される。下付き文字が付いていない数値は、質量検出器、LALLS、及び粘度計面積に基づいた測定値である。KPEの数値は、線状参照サンプルがゼロのgpcBR測定値を有するまで反復して調整される。例えば、この特定の場合におけるαについての最終値及びgpcBRの決定のためのLogKは、各々ポリエチレンに対しては0.725及び−3.355、並びにポリスチレンに対しては0.722及び−3.993である。
K及びα値が以前に考察した手順を使用して決定されると、この手順は分枝状サンプルを用いて繰り返される。分枝状サンプルは、最善「cc」較正値としての最終Mark-Houwink定数を用いて分析され、方程式5〜8が適用される。
gpcBRの解釈は、以下の通りである:線状ポリマーについては、方程式9から計算されたgpcBRはゼロに近いが、それはLS及び粘度測定法によって測定された数値は従来型較正標準物質に近いからである。分枝状ポリマーについては、gpcBRは、特に高レベルの長鎖分枝を用いるとゼロより大きいが、それは測定ポリマー分子量が計算Mw,ccより大きく、計算IVccは測定ポリマーIVより大きいからである。実際に、gpcBR値は、ポリマー分枝の結果としての分子サイズ収縮作用に起因して分別IV変化を表す。0.5若しくは2.0のgpcBR値は、当量の線状ポリマー分子に比較して、各々50%及び200%のレベルでのIVの平均分子サイズ収縮作用を意味するであろう。
これらの特定の実施例については、従来的「g’指数」及び分枝周波数計算に比してgpcBRを用いる利点は、gpcBRのより高度の精度に起因する。gpcBR指数決定において使用されるパラメーター全部は、良好な精度で入手され、濃度検出器からの高分子量での低3D−GPC検出器反応によって有害には影響を受けない。検出器容積アラインメントにおける誤差も又gpcBR指数決定の精度には影響を及ぼさない。
ゼロ剪断粘度:クリープ測定のための試験片は、プログラム可能な四面体ベンチトッププレス上で調製された。このプログラムは、溶融物を177℃で5分間に渡り10Paの圧力で保持した。次に室温へ冷却するためにチェースがベンチへ取り除かれた。円形試験片は次に、パンチプレス及び直径25mmを備えるハンドヘルド型ダイを用いてプラークからダイカットされた。試験片は、厚さ約1.8mmである。
ゼロ剪断粘度は、AR−G2応力制御流量計(TA Instruments社;デラウェア州ニューキャッスル)上で25mm径パラレルプレートを190℃で使用して実施されるクリープ試験によって入手される。2,000ppmの酸化防止剤であるIRGAFOS 168及びIRGANOX 1010の2:1混合物(Ciba Specialty Chemicals社;スイス国グラットブルグ)が圧縮成形の前に各サンプルを安定化させるために加えられる。流量計オーブンは、ゼロ化固定前の少なくとも60分間に渡り190℃の試験温度に設定される。この試験温度では、圧縮成形サンプルディスクがプレート間に挿入され、5分間に渡り平衡化させられる。上方プレートは次に、所望の試験間隙(1.5mm)の上方50μmへ下降させられる。あらゆる過度の材料は削られ、上方プレートは所望の間隙へ下降させられる。測定は、5L/分の流量でパージされる窒素下で実施される。デフォルトクリープ時間は6時間に設定される。
定常状態剪断速度がニュートン領域内にあるように十分に低いことを保証するために、全サンプルに対して5〜20Paの低剪断応力が印加される。定常状態は、log(J(t))対log(t)(式中、J(t)はクリープコンプライアンスであり、tはクリープ時間である)のプロットの最終10%時間窓における全データについて線形回帰を考慮に入れることによって決定される。線形回帰の勾配が0.97より大きい場合は定常状態に達したと見なし、クリープ試験が停止される。本試験における全部の場合に、サンプルは6時間以内に定常状態に達した。定常状態剪断速度は、ε対t(式中、εは歪みである)のプロットの最終10%時間窓における全データポイントの線形回帰の勾配から決定される。ゼロ剪断粘度は、印加された応力対定常状態剪断速度の比率から決定される。
動的振動剪断試験は、10%歪みでの0.1〜100rad/秒の同一試験片上でのクリープ試験の前後に実施される。2回の試験の複素粘度値が比較される。0.1rad/秒での粘度値の差が5%より大きい場合は、サンプルがクリープ試験中に劣化したと見なされ、結果は廃棄される。
全硫黄濃度:エチレン系ポリマー生成物において見いだされる硫黄−エチレン系ポリマーに分子結合している、及び「遊離」硫黄(即ち、副生成物及びエチレン系ポリマーと均質に組み入れられた他の化合物に含有された硫黄)の全濃度は、PANalytical GmbH社(独国カッセルーワルダウ)製のRh管を備えるAxios−PetroX線蛍光(XRF)分光計を用いてX線蛍光(XRF)によって決定される。XRF分光計は、鉱油(製品番号ORG−S8−2Z;Spex Certiprep社;ニュージャージー州メタチェン)及びクリーンオイル(Standard oil;Merck KGaA社、独国ダルムシュタット)中で1,000μg/kgのSの標準物質を使用することによって較正される。この例での文字「S」は、硫黄元素を意味する。XRF法は、標準物質の総(brutto)強度に基づいて重量による5ppmの硫黄検出閾値を有する。全標準物質及びサンプルは、ポリプロピレン系フィルムで被覆されたサンプルカップ中で測定した。各測定のためには、およそ3gのエチレン系ポリマーが31mm径ディスクにホットプレスされ、厚さ約4mmの試験片が生成された。次にサンプルディスクは、試験のために中央リングを備えるサンプルカップの中央に固定される。XRF分光計は各試験のために表1に列挙した条件に設定され、試験が実施される。
Figure 2012505292
バックグラウンドについて補正された強度は、Fundex Software and Technology社(カリフォルニア州ノースリッジ)による「マトリックス補正プログラム「Personal Computer Fundamental Parameters for Windows」にエクスポートされた。硫黄濃度に基づく線形較正曲線は、油及び硫黄標準物質からの強度応答から決定される。線形較正曲線は、各サンプル内の全硫黄濃度を計算するために使用される。フローターの組成は、Cに設定された。
表面及び内部ヘイズ:内部ヘイズ及び全ヘイズについて測定されるサンプルは、ASTM D1003に従ってサンプリングかつ調製される。試験のためにはHazegard Plus(BYK−Gardner USA社;メリーランド州コロンビア)が使用される。表面ヘイズは、全ヘイズと内部ヘイズとの差として決定される。表面ヘイズはフィルムの表面粗さと関連する傾向があり、表面ヘイズは表面粗さの増加に伴って増加する。表面ヘイズ対内部ヘイズ比は、表面ヘイズ値を内部ヘイズ値で割った数値である。
インフレートフィルムの作製条件:サンプルフィルムは、表2に記載の条件を使用して45mmのCOVEX単層インフレーションフィルムライン(スペイン国バルセロナ)上で作製された押出しインフレーションフィルムである。
Figure 2012505292
GPC−LS特性解析:特定サンプルについての事前に決定した分子量範囲を使用した濃度標準化LSクロマトグラム反応曲線の分析は、同様及び市販で入手できる匹敵する低密度エチレン系ポリマーから実施形態のポリマーを識別する際に有用である。「GPC−LS特性解析」パラメーターであるYは、特定の材料についての分子量分布(MWD)及びGPC−LSプロファイルの固有の組み合わせを捕捉するために設計されている。重要な特性は、メルトインデックス(I)、MWD、長鎖分枝、及びヘイズである。低ヘイズを備えるポリマーについての所望の特性は、より大きいメルトインデックス(I)、より狭いMWD、及びより小さい長鎖分枝値である。全体としてみると、GPC−LS特性解析値は、小さい長鎖分枝、狭いMWD、及び大きいメルトインデックス(I)の特徴を捕捉するために設計されている。図2は、本発明の実施形態を同定するためにGPC−LS特性解析法を使用するための実施例及び指針を提供する。
長鎖分枝を有するエチレン系ポリマー、例えば低密度エチレン系ポリマーは、「GPC−LS特性解析」と呼ばれる分析技術を使用することによって識別することができる。GPC−LS特性解析法では、この決定は、サンプルのある範囲の分子量に渡って従来法で較正した3D−GPC(「cc−GPC」)によって加工処理されたサンプルに対して光散乱(LS)検出器反応を使用して行われる。サンプルの分子量は、縮尺の目的で対数値に変換される。LS反応は「濃度標準化」されているのでLS反応をサンプル間で比較することができるが、それは非標準化LS信号は標準化を行わないとサンプル毎に大きく変動する可能性があることが当分野において公知であるからである。プロットすると、cc−GPC分子量の範囲の対数値及び濃度標準化LS値は、濃度標準化LSクロマトグラム曲線、例えば図2に示した曲線を形成する。
濃度標準化LSクロマトグラム曲線が入手可能になると、GPC−LS特性解析値の決定は容易である。GPC−LS特性解析法では、GPC−LS特性解析値(Y)は、以下の方程式:
Y=(0−x)(A/B) (方程式10)
を用いて決定される。本質的に、GPC−LS特性解析値は、2つの関連する領域(A及びB)間の関係並びに濃度標準化LSクロマトグラム曲線上の2つの特定cc−GPC分子量値の対数値での2点間の線の指標付き勾配(x)である。特定のcc−GPC分子量値は、長鎖分枝を備えるポリマー鎖を含有することが公知である分子量画分をひとまとめにすることを試みる。
分析における第1工程は、濃度標準化LS反応値対試験されるポリマーについてのcc−GPC分子量の対数値を表す濃度標準化LSクロマトグラム曲線の生成である。
第2工程は、濃度標準化LSクロマトグラム曲線上の2点間に直線を引くことである。この直線及び点は、領域A及びBを決定するための根拠を提供する。2つの点、点1及び点2は、濃度標準化LSクロマトグラム曲線上に位置しており、2つのcc−GPC分子量値(第1及び第2対数cc−GPC分子量値)についての対数値での濃度標準化LS反応値(第1及び第2濃度標準化LS反応値)を表す。点1(図2上の点1)は、およそ5.54の数値である、cc−GPC分子量350,000g/モル(第1対数cc−GPC分子量値を表す)の対数値に対応する濃度標準化LSクロマトグラム曲線(第1濃度標準化LS反応値を表す)上にあると規定されている。点2(図2上の地点2)は、およそ6.06の数値である、cc−GPC分子量1,150,000g/モル(第2対数cc−GPC分子量値を表す)の対数値に対応する濃度標準化LS反応値で濃度標準化LSクロマトグラム曲線(第2濃度標準化LS反応値を表す)に沿っていると規定されている。当分野においては、長鎖分枝における識別は、典型的には約1Mg/モルのcc−GPC分子量で示されることは公知である。
第3工程は、直線と2つの対数cc−GPC分子量値間の濃度標準化LSクロマトグラム曲線との間の領域Aを決定することである。領域Aは、A1−A2の数値であると規定されている。好ましい実施形態では、領域Aは、cc−GPC分子量350,000g/モルの対数値及びcc−GPC分子量1,150,000g/モルの対数値の間の数値の範囲に対して規定されている。
A1は直線と標準化LSクロマトグラム曲線間で結合された領域であると規定されており、このとき直線の濃度標準化LS反応値は2つの対数cc−GPC分子量値間の濃度標準化LSクロマトグラム曲線に対する濃度標準化LS反応値より大きい。
図2から明らかなように、A1として規定した領域は、2つの対数cc−GPC分子量値間の全範囲を満たす;このため、A=A1である。多数の場合において、直線は対数cc−GPC分子量範囲についての濃度標準化LSクロマトグラム曲線の「上方」にあり、点1及び2を除いて濃度標準化LSクロマトグラム曲線とは交差しないであろう。これらの場合には、A=A1及びA2=0である。しかし一部の実施形態では、AはA1と等価ではない。図3に示した濃度標準化LSクロマトグラム曲線は、これが発生する可能性のある実施例を示している。
一部の実施形態では、図3から明らかなように、直線は濃度標準化LSクロマトグラム曲線と点1及び点2以外の少なくとも1つの他の点で交差する可能性がある(図3の「直線の交差」を参照されたい)。そのような状況で、A1は、以前に規定したように決定される。図3に示した実施例については、A1は濃度標準化LSクロマトグラム曲線とcc−GPC分子量1,150,000g/モルの対数値に対しておよそ5.8の対数cc−GPC分子量値間の直線との間の領域であろう。
A2は、A1の逆であると規定されている。A2は直線と濃度標準化LSクロマトグラム曲線間で結合された領域であると規定されており、このとき直線の濃度標準化LS反応値は2つの対数cc−GPC分子量値間の濃度標準化LSクロマトグラム曲線に対する濃度標準化LS反応より小さい。図3に示した実施例については、A2は濃度標準化LS反応曲線とcc−GPC分子量350,000g/モルの対数値に対しておよそ5.8の対数cc−GPC分子量値間の直線との間の領域である。
Aに対する総計値を計算する際には、Aは、同様に領域A1−領域A2であると規定される。一部の実施形態では、図3のグラフから明らかなように、Aはマイナス値を生じさせる可能性があり、これは直線がそれより上方の濃度標準化LS反応曲線より下方の1つより多い領域を規定することを反映している。
第4工程は、対数cc−GPC分子量範囲に対する濃度標準化LSクロマトグラム曲線下の領域Bを決定することである。Bは、2つの対数cc−GPC分子量値間の濃度標準化LSクロマトグラム曲線下の領域であると規定されている。領域Bは、領域Aの分析には依存しない。
第5工程は、勾配指数値であるx値を決定することである。xの数値は、領域A及びBを決定するために確定された直線の勾配を説明する指数因子である。xの数値は、直線の勾配ではない;しかしxは、点1と点2間の差を反映する数値を表す。xの数値は、方程式11:
Figure 2012505292
(式中、「LS反応」は各々点1及び点2についての濃度標準化LS反応値であり、「logMW」は各々点1及び点2に対する対数cc−GPC分子量である)によって規定される。好ましい実施形態では、xの数値はマイナスであり、直線が下方に勾配していることを示している。一部の実施形態では、直線は、点1と点2間で少なくとも1回、標準化LSクロマトグラム曲線と交差する可能性がある。
最終的に、x、A、及びBが確定されると、GPC−LS特性解析値(Y)は、以前に提示した方程式10:
Y=(0−x)(A/B) (方程式10)
を使用して決定される。
LSクロマトグラム反応曲線を試験すると、約logMW6でのLSピークのサイズがポリマー内の長鎖分枝のレベルと関連することが公知である。logMW6 LSピークが小さいほど、LSプロット内の線区間の勾配値はよりマイナスになるが、それはこの線がより急勾配で傾斜しているからである。これは、線(x)値のよりマイナスの指標付き勾配を生じさせる。よりマイナスのx値は、方程式10における関係を前提にすると、Yのより大きいプラス値に寄与する。
方程式10におけるYに寄与する他の用語は、A/Bの面積比である。A/B比が高いほど、より大きいY値を生じさせる。この比率は、ポリマーのメルトインデックス(I)及びMWD値による影響を受ける。これら2つの数値は、順に主ポリマーピークが高MW領域のlogMW6近くでのLSプレピークからどの位遠くまで引張られるのかに影響を及ぼす。より大きいメルトインデックス(I)値はより小さいMWを意味しており、これは2つの反応ピーク間でより明確な分離を示す。これは、高及び低MW画分間でより深い谷を作製するであろう。より深い谷は、「A」と指定される線区間の下方でより大きな領域を作り出す。狭いMWDは広範囲ではないLS反応曲線を意味しており、プロットにおけるより深い谷、及びさらにより大きな領域Aを作製する類似作用を有する。
押出しマルチパス:2つ又はそれ以上の樹脂の大気安定度(即ち、酸化攻撃及び分解反応に対する耐性)は、ポリマーサンプルを加熱押出し装置に数回、大気条件下で通過させ、次に各通過後に物理的特性、例えばメルトインデックス(I)について試験することによって試験できる。
ポリマーサンプルは、LEISTRIZ micro−18ツインスクリュー式押出機(American Leistritz Extruder Corporation社(ニュージャージー州サマービルより入手)を通して加工処理される。この押出機は、HAAKE(商標)PolyLab System(Thermo Fischer Scientific社;メリーランド州ウォルサム)コンピュータシステムによって制御及び駆動される。押出機は、各々が長さ90mmの6つの加熱ゾーン、及び3mmのストランド開口部を備える加熱ダイから構成される。第1ゾーンは供給口であり、供給ポリマーの架橋を防止するために流水を用いてジャケット冷却される。第1ゾーンは、K−TRON KV2T20ツイン/オーガー/フィーダー(ニュージャージー州ピットマン)からのポリマー供給物を受入れるためのオープンコーンが装備される。5つの加熱ゾーンは、各々135、165、200、220、及び220℃に設定される。押出機の最後にあるダイは、220℃に加熱される。
各スクリューは18mmの直径及び540mmの長さを有しており、30のL/D比を生じさせる。第1の5つのゾーンのためのスクリュースタックは、30°ピッチ(偏垂直)を備える開放前進設計からなる。スクリュースタックの最終ゾーンは、20°のピッチ(偏垂直)を備えるわずかにより狭い傾斜前進設計である。全スクリュー設計はポリマーには殆ど剪断を伝えず、加熱バレル区間を通して主として材料を前進させる。溶融ポリマーは、ダイに溶融材料を通して推し進めるために十分な逆圧を提供するためにより緊密傾斜素子を通してスクリューの末端近くに圧縮される。
加工処理工程では、スクリューは250rpm(回転/分)で回転する。ポリマーは、分析のための各パス後に、好ましくは約50gのサンプルの獲得を許容しながら、必要に応じてできる限り多数回パスを加工処理するために十分なポリマーでフィーダーによって押出機に供給される。
生じた溶融ポリマーストランドは、冷水浴中に送達され、そこで凝固する。凝固後、ポリマーストランドは水を除去するためにエアナイフを通過し、その後にストランドチョッパーによってポリマーペレットに切断される。ペレット化されると、分析用サンプルが入手され、その後に残りは必要であればその後の加工処理のためにフィーダー内へ返送される。
以下では、非限定的実施例によって本発明を詳細に例示する。実施例及び比較例を考察するに当たり、幾つかの用語について規定する。2つの実施例組成物及びそれらを作製するための数組のプロセス情報が存在する:実施例1及び実施例2。3つの比較例組成物及び数組のプロセス情報が存在する。比較例1、2、及び3を作製したプロセスランは、それらが実施例1及び2と同一プロセス列を使用して製造されたという点で同様である。比較例1及び2は、各々実施例1及び2と直接的に匹敵する。開示された比較例3に関する情報は、概して、条件は類似であるが、実施例1及び2のどちらにも匹敵しない、そしてプロセスは同様である(同一プロセス列)という点で類似である。比較例1、2、及び3に関するプロセス情報は、以下で入手できる。
比較例1〜3に加えて、幾つかの「市販の」比較例(比較例4、5、6、以下参照)も又材料特性に関する比較の目的で使用される。時々言及する可能性がある「市販の」比較例とは、一般に「在庫があって」入手可能であり、市販されているLDPE材料、又は研究所において少量で製造されているが、適正にスケールアップすれば製造して市販することができるであろうグレードのLDPEである。
プロセス条件を考察及び比較する場合は、プロセス条件はそれらの製品名称によって言及されることがある(例えば、実施例1の製品を製造するためのプロセス条件は、「実施例1のプロセス」と呼ぶことがある。
実施例1及び2並びに比較例1、2、及び3は、同一プロセス反応システム上で製造される;このため、ラン間の同一装置については、物理的プロセス及びそのユニットは、相互に同様である。図4は、上述した実施例及び比較例を製造するために使用したプロセス反応システム200の単純なブロック図である。
図4におけるプロセス反応システム200は、部分的閉ループ二重再循環高圧低密度ポリエチレン製造システムである。プロセス反応システム200は、新鮮エチレン供給導管206;並列第1コンプレッサー204A及び204B;2つの並列ハイパーコンプレッサー204A及び205Bから製造され、各々がさらに第1圧縮ステージ及び第2圧縮ステージから成り、各圧縮ステージ間に中間冷却器205Cを備えるハイパーコンプレッサー205;管型反応器202;第1反応ゾーン供給導管212;下流反応ゾーン供給導管214;第1過酸化物開始剤源247に連結された第1過酸化物開始剤導管207;第1過酸化物開始剤源247に連結された第2過酸化物開始剤導管287;第2過酸化物開始剤源257に連結された第3過酸化物開始剤導管217;管型反応器202のアウターシェルの周囲に取付けられた第1(230)、第2(231)、及び第3(232)冷却ジャケット(水を使用する);管型反応器202の正面でアウターシェルの周囲に取付けられた予熱器235;高圧セパレーター218;高圧再循環ライン226;高圧再循環システム224;低圧セパレーター220;低圧再循環ライン208;ブースターコンプレッサー221;並びにCTA供給物源253に連結されたCTA供給導管223から構成される。
管型反応器202は、過酸化物注入地点の場所によって境界が定められた3つの反応ゾーンをさらに含む。管型反応器202は、約1,540mの長さを有する。第1反応ゾーン供給導管212は、0mで管型反応器202の正面に取付けられ、プロセス流体の一部分を第1反応ゾーン内に供給する。第1反応ゾーンは、管型反応器202の正面の管の約120m下方に位置する注入地点#1で始まり、注入地点#2(272)で終了する。第1過酸化物開始剤導管207は、管型反応器202に注入地点#1(271)で連結されている。第2反応ゾーンは、管型反応器202の正面の管から約520m下方に位置する注入地点#2で始まる。下流反応ゾーンからの分岐管は、第2反応ゾーンへプロセス流体の一部分を直接的に供給する導管214に供給し、第2過酸化物開始剤導管287は注入地点#2(272)で管型反応器202に連結されている。第2反応ゾーンは、注入地点#3(273)で終了する。第3反応ゾーンは、管型反応器202の正面の管から約980m下方に位置する注入地点#3(273)で始まる。下流反応ゾーン供給導管214からの分岐管は注入地点#3(273)から管のわずかに、約10m上方で連結されており、プロセス流体の一部分を第3反応ゾーンに供給する。
管型反応器202の予熱器235及び第1反応ゾーンは、4cmの直径を有する。管型反応器202の第2反応ゾーンは、6cmの直径を有する。管型反応器202の第3反応ゾーンは、6cmの直径を有する。
全実施例及び比較例1〜3について、プロセス流体のおよそ50%は、第1反応ゾーンへ第1反応ゾーン供給導管212を経由して方向付けられる。プロセス流体のおよそ35%は、第2反応ゾーンへ下流反応ゾーン供給導管214を経由して方向付けられる。残りのプロセス流体は、第3反応ゾーンへ下流反応ゾーン供給導管214を経由して方向付けられる。
全実施例及び比較例1〜3について、t−ブチルペルオキシ−2エチルヘキサノエート(TBPO)、ジ−t−ブチルペルオキシド(DTBP)、及びn−パラフィン炭化水素溶媒(沸点範囲:180〜240℃)を含有する混合物が第1(271)及び第2(272)注入地点のための開始剤混合物として使用される。注入地点#3(273)のためには、DTBP及びn−パラフィン炭化水素溶媒を含有する混合物が使用される。表3は、トライアルラン各々のために使用される過酸化物開始剤溶液の重量を示している。
Figure 2012505292
実施例1及び2のためには、2つの連鎖移動剤−1つは1より小さいCsを備えるCTA(プロピオンアルデヒド若しくは「PA」)及び1つは1より大きいCsを備えるCTA(tert−ドデシルメルカプタン若しくは「TDM」)−が、並列ハイパーコンプレッサー205Aの入口でプロセス流体中に注入される。TDMは、テキサス州ウッドランドに所在するChevron Philips Chemical社製のSulfole(登録商標)120メルカプタンである。開示されたプロセスにおいて1つより多いCTAを使用する場合は、CTAは個別にポンプ輸送され、インラインで一緒に混合される。並列ハイパーコンプレッサー205Aの入口内に供給することによって、実施例1及び2のためのCTA混合物は管型反応器202の正面にのみ第1反応ゾーン供給導管212を経由して供給される。比較例1及び2も又、さらに又同一方法で管型反応器202に「正面供給」される;しかし、PAだけがそれらのプロセスラン中に供給される。比較例3は、比較例1及び2と同様に、その連鎖移動剤としてPAだけを使用するが、比較例3のプロセスは、CTAの全量を管型反応器202の正面に供給しない。図4に図示していないが、比較例3のためのCTA供給物の一部分は、第2及び第3反応ゾーンに供給される。これは、CTA供給物の一部分を並列ハイパーコンプレッサー205Bの入口に注入することによって遂行される。以前に考察したように、並列ハイパーコンプレッサー205Bのプロセス流体放出は、第2及び第3反応ゾーン内へ下流反応ゾーン供給導管214を使用して供給される。
比較プロセスへのCTA供給物の量及び組成は、実施例1及び2と比較例1及び2との比較プロセスラン間で変動した唯一の制御変量である。その他の制御プロセス変量は、4つのランについて匹敵する数値に設定される。
表4は、開示されたプロセスで使用される連鎖移動剤の量及び組成を示している。
Figure 2012505292
管型反応器202内への連鎖移動剤の質量流量(kg/時)は、多数の因子、例えば費用及び溶解度に、しかし最も顕著には2つ又はそれ以上のCTAの相対連鎖移動定数に左右される。例えば、実施例1及び2では、1より大きいCsを有する連鎖移動剤(TDM)の質量流量は、1より大きいCsを有する連鎖移動剤(PA)の質量流量より小さい。
連鎖移動剤のモル流量(kg/モル)は、CTAの質量流量を考慮に入れ、CTAの分子量(kg/モル)で割ることによって質量流量と関連付けられる。例えば、PAの分子量は、0.058kg/g・モルである。TDMの分子量は、0.201kg/g・モルである。
実施例1及び2並びに比較例1、2、及び3を製造するために使用した反応器管プロセス条件は、表5に示した。
Figure 2012505292
表5に示したデータから、高Cs連鎖移動剤の存在に起因してプロセス内での早期の高分子量ポリマー鎖の抑制の作用を示す証拠が存在することを観察できる。表4に示したように、高Cs連鎖移動剤であるTDMは、実施例1及び2のためのラン中に、プロセスだけに、それもプロセスの正面部分にのみ供給される。表5に報告したプロセス条件では、高Cs連鎖移動剤であるTDMは1より大きいが100より小さいCSを有しており、低Cs CTAであるPAのCsは1より小さく0.05より大きい。
実施例1と比較例1、実施例2と比較例2とのプロセス条件比較に関しては、表3〜5から、CTA供給物及び量を除いて、条件が匹敵していたことは明らかである。表5に示したように、実施例1及び2についてのプロセス条件は、第1及び第2反応ゾーンにおける改良されたプロセス条件を通しての高分子量ポリマー鎖の抑制を示している。比較例1及び2は各々、同様及び匹敵する実施例プロセスランに対して高い「反応ゾーン1−出口温度」及び低い「δT−CJW−反応ゾーン1」温度差動を示している。「入口水温−CJW」及び「流量ーCJW−反応ゾーン1」は、全4ランについて安定状態で保持されることを前提にすると、2回の実施例ラン中の反応ゾーン1における2回の比較例ランに比して優れた熱移動が生じると容易に結論づけることができる。
反応ゾーン1の熱移動の改良は、反応システムの残りにプラスのエネルギーの大きな影響を及ぼす。全ランについて、第2反応ゾーンのための開始温度は、約150℃であることが目標とされている。「反応ゾーン1−出口温度」がこの温度目標より高いことを前提にすると、下流反応ゾーン供給導管214内のプロセス流体は、反応システム温度を相殺して温度目標に達するために辛うじて反応器管202内への注入地点#2(272)での注入前に冷却される。各実施例のための「反応ゾーン1−出口温度」は同様の比較例と比較して相当に低温であるために、下流反応ゾーン供給導管214内のプロセス流体は、温度目標を満たすためにこの地点での反応システム温度を相殺できるほどは冷却する必要がない。これは下流反応ゾーン供給導管214を通して供給される反応器管202内に注入されたプロセス流体の温度である「下流プロセス流体温度」値において明らかである。実施例については、この温度値は比較例についての同一値よりわずかに高いが、それは、150℃の目標を満たすために反応システム温度を相殺するために注入地点#2(272)での追加のプロセス流体の注入によってそれ程多くの反応システム冷却が必要とされないからである(「反応ゾーン2−開始温度」値によってさらに詳細に例示されている)。
類似の改良された性能は、第2及び第3反応ゾーン内で見られる。第2反応ゾーンでは、「反応ゾーン2−出口温度」はより低く、「δT−CJW−反応ゾーン2」はより高く、これは同様の比較例に比して実施例についての第2反応ゾーン内の改良された熱移動を示している。これはさらに、プロセスの流体の最終部分がプロセス内に注入されるにつれて、実施例についてのより低い「反応ゾーン3−開始温度」ももたらす。これは、実施例についての比較例に比した「反応ゾーン3−開始温度」及び「反応ゾーン3−ピーク温度」間の広範囲の温度差を生じさせ、このゾーンにおいてより大量のエチレン転化が発生することを示していた。
プロセス改良に関する最終指示は、エチレン消費量及びポリエチレン生成である。表5に示したように、「新鮮エチレン供給物」、「エチレン転化」、及び「ポリエチレン生産速度」は全部が、管型反応器システム内の改良された全熱除去能力の結果としてより大きい。
表5に示したデータを綿密に検査すると、開示されたプロセスは、実施例及び比較例の下流プロセス流体温度がより近くに、及びより匹敵するように推進されると、エチレン転化と生産速度値との間に一層大きな差を示すであろう。実施例1と比較例1とを比較すると、エチレン転化値の差は0.4%であり、実施例1の方が好都合である。比較例1の下流プロセス流体温度を実施例1の数値により近い高温へ推し進めると、より高い比較例1反応ゾーン3−開始温度を生じさせるであろうが、これはこの温度が反応ゾーン2−開始温度とは相違して制御されないからである。比較例1の第3ゾーンのためのより高い開始温度は、全エチレン転化効率の低下を生じさせるであろう。実施例2及び比較例2について同様の傾向が当てはまるであろう。
実施例及び比較例の特性解析
3D−GPC分析は、実施例1及び2並びに比較例1、2、及び3の生成物ポリマーを対象に実施される。さらに、比較例4は市販で入手できるLDPE材料であり、線状標準物質1は1MI線状ポリエチレン標準物質である。これらの結果は表6〜8に要約した;これらの表では、「GPC」の下付き文字は従来型較正測定を意味しており、「abs」は絶対(光散乱)測定を意味する。
Figure 2012505292
Figure 2012505292
Figure 2012505292
表6から、実施例1及び2はどちらも従来型GPCによるそれらの関連比較例よりも狭いM/M比を示すことが明らかである。両方の実施例の比較的に狭いM/M比は、実施例材料が機械的特性における利点、並びに比較例に比較してフィルムにおける改良された明瞭度及び減少したヘイズを提供できることを示している。さらに、両方の実施例は、比較例4よりも低いM/M比を有する。Mは、表6における実施例については比較例に比較して低い。より小さい、低分子量尾部に関連するMについてのより小さい数値は、より小さいヘイズ値と関連することも又公知である。より大きい分子量はより大きい溶融強度を生じさせ、フィルム加工処理における表面粗さの機会を増加させる。表面粗さは、表面ヘイズにマイナスの影響を及ぼすと考えられる。従来型重量平均分子量(Mw,GPC)に比した絶対重量平均分子量(Mw,Abs)の比率は、表7に示したように、数値が1より大きいので、長鎖分枝が全実施例及び4つの比較例に存在することを示している。
線状ポリマーは、0又はゼロに近いと予想されるgpcBR値を生じさせるであろう。典型的には長鎖分枝のレベルが増加するにつれて、gpcBR指数値はゼロの数値から増加する。表8における分枝情報から明らかなように、実施例は、それらの関連比較例よりわずかに少ない長鎖分枝を示している。これは、高分子量材料が実施例の形成において早期に抑制されるが比較例においては早期に抑制されないことを前提にすると予測されるであろう。
実施例1及び2並びに比較例1〜4のためにDSC法を用いたDSC分析の結果は表9に報告した。
Figure 2012505292
所定の密度に対して、2つの実施例サンプルは一般に、比較例に比較して高い融解熱を有する。
実施例1及び2並びに比較例1及び2のための全硫黄濃度法を硫黄分析の結果は表10に報告した。
Figure 2012505292
実施例1及び2のXRF分析は、実施例1及び2の生成において使用した硫黄含有高Cs連鎖移動剤化合物(この場合には、TDM)の結果としての硫黄濃度値を示している。比較例1及び2のためには硫黄含有CTAが使用されないので、それらのサンプルにおいては硫黄は予想されず、全く見いだされない。
ゼロ剪断粘度(η)分析は、表11及び12における2つの実施例、同様の比較例、及び幾つかの市販で入手できる比較例について報告されている。この関係をより明確に観察するために、「Zg」と呼ばれる因子は、方程式12:
Zg=Logη (Mw,GPC/Mw,Abs) (方程式12)
に示したように対数ゼロ剪断粘度×従来型重量平均分子量:絶対重量平均分子量の比であると規定されている。
Figure 2012505292
Figure 2012505292
Zgと絶対分子量との関係は、図5に示した。実施例と同様及び市販両方の比較例とが区別されるために、差を強調するための群間の境界線を所定の対数絶対重量平均分子量に対して確定することができる。図5に示したように、以下の数値関係:
(3.6607LogMw,Abs)−16.47<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62 (方程式13)、
が存在する。
図5には示していないが、表11及び12に記載の情報に基づいて以下の数値関係:
5.23未満のLogMw,Abs値については、
(3.6607LogMw,Abs)−16.47<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62 (方程式14)、及び
5.23以上のLogMw,Abs値については、
2.675<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62 (方程式15)、
も又存在する。
実施例1及び2は、エチレン系ポリマーであり、図5に示したように、さらに硫黄を含む。
ヘイズデータは、表13における両方の実施例、同様の比較例、及び幾つかの市販で入手できる比較例から製造されたフィルムについて報告されている。図6は、表面/内部ヘイズ対メルトインデックス(I)についての表13に示したデータのプロット図を示している。
Figure 2012505292
下記の試験方法セクションに記載した表面及び内部ヘイズ法に規定したように、表面ヘイズは全ヘイズと内部ヘイズとの差である。表13から明らかなように、実施例は同様の比較例と比較して相対的に低い表面/内部ヘイズ値を有する。これらの結果は、2つの実施例のM/Mの狭小化によって表面ヘイズが類似のメルトインデックス(I)とともに比較例と比較して減少することを証明している。実施例から製造されたフィルムの表面粗さは比較例に対して減少させられ、それにより表面ヘイズ値が改善されると考えられる。表面/内部ヘイズ値は、ポリマー生成物間の密度差について標準化する程度までフィルム特性に関する表面ヘイズにおける変化の影響を示している。実施例の全ヘイズは、表面ヘイズを減少させることによって比較例に対して減少させられる。
表13からのデータを使用して、図6には、どちらも%単位で示され、どちらも表面及び内部ヘイズ法を使用して決定される表面ヘイズ(S)、内部ヘイズ(I)、及びメルトインデックス(I)間の比較プロットが示されている。実施例と同様及び市販両方の比較例とが区別されるために、差を強調するための2群間の境界線を所定のメルトインデックス(I)範囲に対して確定することができる。図6に示したように、以下の数値関係:
S/I≦(−0.057)+1.98 (方程式16)
が存在する。図6には示していないが、表13に記載のデータに基づいて以下の数値関係:
S/I≦(−0.057)+1.85 (方程式17)
も又存在する。これらの関係の両方によって記載されるエチレン系ポリマーについて、メルトインデックス(I)範囲は、0.1〜約1.5であってよい。これらのエチレン系ポリマーについて、ポリマーはさらに硫黄を含むことができる。
GPC−LS特性解析値(Y)は、表14及び15における実施例、同様の比較例、及び幾つかの市販で入手できる比較例について報告されている。以前に開示された図2及び3は、実施例1及び比較例4各々についての濃度標準化LSクロマトグラム曲線及びGPC−LS特性解析を示している。
Figure 2012505292
Figure 2012505292
表14及び15に提示したデータから明らかなように、同様若しくは市販の比較例はいずれも2.1より大きいGPC−LS特性解析値を有していないが、両方の実施例は2.1より大きい数値を有する。GPC−LS特性解析方程式は、高Cs CTAを用いて反応器内で早期に形成される鎖の分子量を抑制し、それによりなお一部の長鎖分枝を許容しながら分子量分布を狭小化させることの作用を捕捉するが、これは低Cs CTAが優勢である場合に低密度ポリエチレンがプロセスの後半部分で発生することを示している。これは「6のlogMW値」分子量範囲(図2から明らかである)内のより小さい分子量及びより小さいgpcBR値(表8に示したように)を備える生成物を生じさせる。
押出マルチパス試験は、比較ポリマーに比較した本発明のポリマーの相対大気安定度を決定するために実施例1及び比較例3を対象に実施した。5パス試験を使用し、以下の試験方法のセクションで記載する押出マルチパス法によって実施した。表16及び17は各々、実施例1及び比較例3についての各パスの条件を示している。図6は、各パス後の実施例1及び比較例3のメルトインデックス(I)を示している。メルトインデックス(I)は、キャンペーン前に採取したサンプル並びに各ラン間に採取したサンプルを対象に試験した。
Figure 2012505292
Figure 2012505292
図7から明らかなように、比較例3は、表16及び17に示したほぼ同様の条件についての実施例1より有意に多い酸化的分解を示している。比較例3は、メルトインデックスにおける23.0%の減少(「受入れ時点」の1.061g/10分及び5回のパス後の0.817g/10分)対実施例1についてのメルトインデックスの11.3%の減少(受入れ時点」の1.125g/10分」及び5回のパス後の0.998g/10分)を有する。これらのデータはメルトインデックス及びMw,GPCについても表17に要約されており、このとき比較例3については7.65%の変化が見られるが、実施例1については1.18%の変化しか見られない。
Figure 2012505292
動的機械的分光法データは、以下の試験方法のセクションに記載した動的機械的分光法を使用して収集かつ実施した。図8、9、及び10は各々、実施例1及び2並びに比較例1〜4についての粘度オーバーレイ、tanδオーバーレイ、及びvan Gurp-Palmen (Trinkle, S. and C. Friedrich, Rheologica Acta, 2001. 40(4):p.322-328)分析を示している。これらのデータは、表19〜21に要約した。
Figure 2012505292
Figure 2012505292
Figure 2012505292
図8に示したように、本発明のサンプルは比較例に比して小さい剪断薄化(shear thinning)を示す。これは、より狭い分子量分布の反映である。これらの材料はフィルムを製造する場合に比較例よりわずかに高い逆圧を用いてランできると予想される。他方では、より狭い分子量分布の結果として、一部のフィルム特性が改善されると予想できる。図9では、本発明のサンプルは測定した全周波数範囲に渡って比較例よりも高いtanδを示す。より大きいtanδ値は、同様により狭い分子量分布の結果として生じる低弾性材料を反映している。より大きい弾性は、押出中の圧力低下に起因すると予測できるので、これはこれらの材料の加工処理に役立つ可能性がある。図10のG対位相角度プロットでは、本発明のサンプルはさらに又同一G値で比較例に比較して高い位相角度を示す。これらの結果は、本発明のサンプルが比較例に比較して短い緩和時間を有し、低弾性であることを示しており、これらはおそらくそれらの狭いMWDによって引き起こされたのであろう。より短い緩和時間はフィルムインフレーションにおいて有益な可能性があり、材料が比較例に比してより迅速に緩和することを許容するので、そこでフィルムが結晶化する前にフィルム内の応力を軽減する。
実施例1及び2並びに比較例1〜4についての溶融強度値は、表22に示した。これらの試験は、下記の試験方法のセクションに記載した溶融強度試験法を用いて実施した。実施例1〜2の溶融強度はそれらの対応する比較例1及び2の溶融強度より低く、これも又比較例と比較してそれらのより狭い分子量分布が原因である。
Figure 2012505292
本明細書に言及した全特許、試験方法及びその他の文献は、優先権書類を含めて、そのような開示が本発明と不一致にならない程度まで、及びそのような組み入れが許容されるすべての権限について参照により完全に組み込まれる。

Claims (15)

  1. 約0.90〜約0.94g/cmの密度、約2〜約30の分子量分布(M/M)、約0.1〜約50g/10分のメルトインデックス(I)を備えるエチレン系ポリマーであって、全硫黄濃度法を用いて、及び前記エチレン系ポリマーの総重量に基づいて決定される約5〜約4,000重量ppmの硫黄をさらに含むエチレン系ポリマー。
  2. gpcBR分枝指数によって決定される0.05より大きいgpcBR値及びGPC−LS特性解析法によって決定される2.1より大きいGPC−LS特性解析値を特徴とする長鎖分枝を備えるエチレン系ポリマー。
  3. 前記GPC−LS特性解析値は、約2.1〜約10である、請求項2に記載のエチレン系ポリマー。
  4. ゼロ剪断粘度法を用いて決定される190℃でのゼロ剪断粘度(η)(Pa・s(パスカル秒))、絶対重量平均分子量値(Mw,Abs)(g/モル)、及び従来型重量平均分子量値(Mw,GPC)(g/モル)を備えるエチレン系ポリマーであって、η、Mw,Abs、及びMw,GPCの数値は関係:
    (3.6607LogMw,Abs)−16.47<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62、
    に対応し、及び前記エチレン系ポリマーはさらに硫黄を含むエチレン系ポリマー。
  5. η、Mw,Abs、及びMw,GPCの数値は、5.23未満のLogMw,Abs値については関係:
    (3.6607LogMw,Abs)−16.47<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62、
    に対応し、及び5.23以上のLogMw,Absについては前記数値は関係:
    2.675<Logη (Mw,GPC/Mw,Abs)<(3.6607LogMw,Abs)−14.62、
    に対応する、請求項4に記載のエチレン系ポリマー。
  6. 3D−GPC法によるgpcBR分枝指数によって決定される0.05より大きいgpcBR値を特徴とする長鎖分岐を有する、請求項4に記載のエチレン系ポリマー。
  7. エチレン系ポリマーであって、エチレン系ポリマーを含むフィルムが、どちらもヘイズ率(%)の単位で表示され、どちらも表面及び内部ヘイズ法を用いて決定される表面ヘイズS、内部ヘイズI、並びにメルトインデックス(I)(g/10分)を有し、このときS、I、及びIの数値は下記の関係:
    S/I≦(−0.057)+1.98
    に対応するエチレン系ポリマー。
  8. S、I、及びIの数値は、下記の関係:
    S/I≦(−0.057)+1.85、
    に対応する、請求項7に記載のエチレン系ポリマー。
  9. 3D−GPC法によるgpcBR分枝指数によって決定される0.05より大きく高くても10までのgpcBR値を特徴とする長鎖分岐を有する、請求項7に記載のエチレン系ポリマー。
  10. a.プロセス流体を、管型反応器内に、上流プロセス供給流内及び少なくとも1つの下流プロセス供給流内に、送達するために、エチレンを含む一部分に分割する工程と;
    b.前記プロセス流体を再結合させるために、前記上流プロセス供給流を第1反応ゾーン内に、及び前記少なくとも1つの下流プロセス供給流を少なくとも1つの他の反応ゾーン内に供給する工程であって、このとき前記管型反応器の内部で幾つかの反応ゾーン内の少なくとも1つにおける前記プロセス流体は少なくとも10m/秒の平均速度を有する工程と;
    c.前記管型反応器の内部でフリーラジカル重合反応を開始させて、エチレン系ポリマー付加化合物及び熱を生成する工程とを含み、
    前記管型反応器は、第1反応ゾーン及び少なくとも1つの他の反応ゾーンを含む幾つかの反応ゾーンを含み、前記上流プロセス供給流は、1より大きい連鎖移動定数Csを備える少なくとも1つの連鎖移動剤をさらに含むプロセス。
  11. a.プロセス流体を上流プロセス供給流を介して管型反応器の第1ゾーン内に供給する工程であって、前記プロセス流体は前記管型反応器内で幾つかの反応ゾーンのうちの少なくとも1つにおいて少なくとも10m/秒の平均速度を有する工程と;
    b.前記管型反応器の内部でフリーラジカル重合反応を開始させて、エチレン系ポリマー付加化合物及び熱を生成する工程とを含み、
    前記管型反応器は、第1反応ゾーン及び少なくとも1つの他の反応ゾーンを含む幾つかの反応ゾーンを含み、前記プロセス流体の一部分はエチレンを含み、別の部分は1より大きい連鎖移動定数Csを備える少なくとも1つの連鎖移動剤を含むプロセス。
  12. 前記プロセス流体は、1より小さいCsを備える少なくとも1つの連鎖移動剤をさらに含む、請求項10又は11に記載のプロセス。
  13. 前記上流プロセス供給流は、約0.01〜約100のCTAモル流量比を有する、請求項10又は11に記載のプロセス。
  14. 1より大きいCsを備える前記少なくとも1つの連鎖移動剤は、前記上流プロセス供給流内で約1モルppm〜約600モルppmの濃度を有する、請求項10又は11に記載のプロセス。
  15. 定常状態条件でのエチレン転化率における差は、1より大きいCsを備える前記少なくとも1つの連鎖移動剤を欠いた比較定常状態条件を備える類似プロセス内でのエチレン転化率より少なくとも0.3%高い、請求項10又は11に記載のプロセス。
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