JP2012230767A - スパークプラグ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】スパークプラグにおける多重放電の発生を低減する技術を提供する。
【解決手段】スパークプラグは、主接地電極と3つの補助接地電極とを備える。第1の補助接地電極の主体金具に接合されている位置は、中心電極を挟んで主接地電極の前記主体金具に接合されている位置に対向する位置である。また、第2と第3の補助接地電極の主体金具に接合されている位置は、中心電極を挟んで対向する位置である。第1の補助接地電極の幅をWとし、第2の補助接地電極と第3の補助接地電極との間の最短距離をTとし、最短距離Tの第1の補助接地電極に垂直な方向成分の距離をTpとしたとき、W≧Tpに設定されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、スパークプラグ及びその製造方法に関する。
よく知られているように、スパークプラグは、中心電極と接地電極との間の放電ギャップで火花放電を生じることによって着火を行っている。中心電極や接地電極の形状については、スパークプラグの用途及びその要求特性に応じて様々が形状が工夫されている。特に、複数の接地電極を設けることにより、耐汚損性や着火性の改善、放電に要する電圧(要求電圧)の低減等を実現するスパークプラグが知られている(特許文献1〜5等)。
特開昭60−081784号公報 特開平05−0326107号公報 特開平08−031955号公報 特開2001−237045号公報 特開2005−183189号公報 特開2008−171646号公報
しかしながら、複数の接地電極を有するスパークプラグでは、接地電極の形状や配置によっては、放電ギャップの周囲におけるガス(気体)の流れによって火花が流されてしまい、いわゆる多重放電が生じてしまう、或いは、多重放電の発生を抑制できない、という問題があった。多重放電が生じると、電極の消耗が加速されるので、スパークプラグの寿命が短くなるという問題がある。
本発明は、スパークプラグにおける多重放電の発生を低減する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
軸線方向に延在する中心電極と、
前記軸線方向に延在する軸孔を有し、前記軸孔に前記中心電極が挿設される絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
一端部が前記主体金具の先端部に接合され、他端部が前記中心電極の先端部との間で前記軸線方向にギャップG1を形成する主接地電極と、
一端部が前記主体金具の先端部に接合され、他端部が前記中心電極の側面との間でギャップを形成する3つの補助接地電極と、を備え、
前記中心電極との間でギャップを形成する前記3つの補助接地電極の他端部の対向面は、前記絶縁体の先端より前記軸線方向先端側に位置し、
前記3つの補助接地電極のうちの第1の補助接地電極の前記主体金具に接合されている位置は、前記中心電極を挟んで前記主接地電極の前記主体金具に接合されている位置に対向しており、
前記3つの補助接地電極のうちの第2と第3の補助接地電極の前記主体金具に接合されている位置は、前記中心電極を挟んで対向しているスパークプラグであって、
前記第1の補助接地電極の幅をWとし、前記第2の補助接地電極と前記第3の補助接地電極との間の最短距離をTとし、前記最短距離Tの前記第1の補助接地電極に垂直な方向成分の距離をTpとしたとき、W≧Tpであることを特徴とするスパークプラグ。
この構成によれば、主接地電極の他に3つの補助接地電極を備えており、このうちの第1の補助接地電極が、中心電極を挟んで主接地電極と対向する位置に設けられているので、この方向からのガスの流れを遮蔽することができ、放電ギャップ近傍のガスの流れに起因して発生する多重放電を低減することができる。なお、第2及び第3の補助接地電極との間の最短距離をTとしたとき、この最短距離Tの第1の補助接地電極に垂直な方向成分の距離Tpは、第1の補助接地電極が伸びる方向に沿って外部から放電ギャップに流れ込むガスの流路の大きさを示す指標と考えることができる。従って、この距離Tpと第1の補助接地電極の幅Wとの関係を、W≧Tpを満たすようにスパークプラグを構成することにより、第1の補助接地電極が伸びる方向からのガスの流れをより効果的に遮蔽することができ、ガスの流れに起因する多重放電を十分に低減することが可能となる。
[適用例2]
適用例1に記載のスパークプラグであって、
前記第1の補助接地電極の前記中心電極側の先端部と、前記第2及び第3の補助接地電極の先端部側面との距離をS2、S3としたとき、S2≦0.7mm、S3≦0.7mmを満たすことを特徴とするスパークプラグ。
これらの距離S2,S3は、第2及び第3の補助接地電極の先端部側面に沿って、放電ギャップ近傍に流れ込むガスの流路の大きさを示す指標と考えることができる。従って、これらの距離S2,S3を0.7mm以下に設定することにより、この方向に沿ったガス流れの遮蔽効果を高めることができ、ガスの流れに起因する多重放電をさらに低減することが可能となる。
[適用例3]
適用例2に記載のスパークプラグであって、
前記ギャップG1と、前記中心電極と前記第2及び第3の補助接地電極との間のギャップG2、G3が、|G2−G1|≦0.2mm、|G3−G1|≦0.2mmの関係にあることを特徴とするスパークプラグ。
この構成によれば、中心電極と主接地電極との間のギャップG1と、中心電極と第2及び第3の補助接地電極との間のギャップG2、G3との差が十分に小さいので、これらのギャップG1,G2,G3をいずれも放電ギャップとして活用することができる。この結果、放電開始の要求電圧を低減することが可能である。
[適用例4]
適用例3に記載のスパークプラグであって、
前記ギャップG1は、0.2mm≦G1≦1.0mmを満たすことを特徴とするスパークプラグ。
この構成では、中心電極と主接地電極との間の放電ギャップG1の値が小さく、放電ギャップ近傍におけるガス流れに起因して多重放電が発生しやすい傾向にあるため、上述したガス流れの遮蔽による多重放電の低減効果も顕著である。
[適用例5]
適用例1〜4のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
前記主接地電極の幅Lと前記距離Tpが、L≧Tpの関係にあることを特徴とするスパークプラグ。
この構成によれば、主接地電極の幅Lが、距離Tp(放電ギャップに流れ込むガスの流路の大きさを示す)以上に設定されているため、主接地電極の方向から放電ギャップに流れ込むガスを効率的に遮蔽することができ、多重放電を更に低減することが可能である。
[適用例6]
適用例5に記載のスパークプラグであって、
L≧W≧Tpであることを特徴とするスパークプラグ。
この構成によれば、主接地電極の方向、及び、第1の補助接地電極の方向から放電ギャップに流れ込むガスを効率的に遮蔽することができ、多重放電を十分に低減することが可能である。
[適用例7]
適用例1〜6のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
ガスエンジン用であることを特徴とするスパークプラグ。
特に、ガスエンジン用のスパークプラグでは、ガソリンエンジンやアルコールエンジンスパークプラグに比べて、放電ギャップ近傍のガスの流れに起因して多重放電が発生しやすい傾向がある。従って、ガスエンジン用のスパークプラグでは、ガス流れの遮蔽による多重放電の低減効果も顕著である。
[適用例8]
適用例1〜7のいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
前記主体金具に前記第1〜第3の補助接地電極を接合する工程と、
前記接合後に前記第1〜第3の補助接地電極を曲げ加工する工程と、
前記曲げ加工後に、前記主体金具の内側に前記絶縁体と前記中心電極とが組み付けられた組立体を構成する組み付け工程と、
を備え、
断面略円形の打ち抜き工具を用いて、少なくとも前記第2及び第3の補助接地電極の先端部の間の中央部に打ち抜き部が形成されるように前記第2及び第3の補助接地電極の先端部を打ち抜く打ち抜き工程を備え、
前記第2と第3の補助接地電極を結ぶ方向と前記軸線方向との両方に垂直な方向に沿って測った前記第2及び第3の補助接地電極の幅をVとし、前記第2と第3の補助接地電極の間に形成される前記打ち抜き部の径をDとしたとき、W2≧D2−V2を満たすように打ち抜かれることを特徴とする製造方法。
この構成によれば、打ち抜き工具を用いて第2及び第3の補助接地電極の先端部の間の中央部に打ち抜き部を形成するので、第2及び第3の補助接地電極と中心電極との間に小さなギャップを形成するように、打ち抜き部を容易に形成することが可能である。ここで、パラメータ(D2−V2)は、第2と第3の補助接地電極の間から打ち抜き部に流れるガスの流路の大きさを示す指標であると考えることができる。一方、パラメータWは、第1の補助接地電極の幅である。従って、打ち抜き部を、W2≧D2−V2を満たすように打ち抜くことにより、第1の補助接地電極によってガス流れを効果的に遮蔽することができ、多重放電を低減することが可能である。
[適用例9]
適用例8に記載のスパークプラグの製造方法であって、
前記第1〜第3の補助接地電極の前記曲げ加工前の長さは、前記第1〜第3の補助接地電極の前記曲げ加工を同時に行った際に、前記第2及び第3の補助接地電極の前記第1の補助接地電極側の側面と前記第1の補助接地電極の前記第2及び第3の補助接地電極側の先端との間の最短距離Mが、M≧0となる長さに形成されていることを特徴とする製造方法。
この構成によれば、曲げ加工において第1〜第3の補助接地電極が互いに干渉することを防止できる。
[適用例10]
適用例9に記載のスパークプラグの製造方法であって、
前記曲げ加工前の前記第1〜第3の補助接地電極の先端部にはそれぞれテーパ部が設けられており、
前記第1〜第3の補助接地電極の前記曲げ加工を同時に行った際に、前記第1の補助接地電極の前記第2及び第3の補助接地電極側の先端が、前記第2及び第3の補助接地電極の前記第1の補助接地電極側の側面よりも前記中心電極側に位置することを特徴とする製造方法。
この構成によれば、第1〜第3の補助接地電極の先端同士をより近づけることができるので、この後に先端を打ち抜くことによって形成される打ち抜き部をより小さくすることができる。この結果、打ち抜き部へのガス流れを効果的に遮蔽することができ、多重放電を低減することが可能である。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、スパークプラグ、スパークプラグ用の金具、及び、それらの製造方法等の形態で実現することができる。
本発明の一実施形態としてのスパークプラグの部分断面図。 第1実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 比較例としてのスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 第2実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 第3実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 第4及び第5実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 第6実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 第7実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図。 スパークプラグの製造方法の工程を示すフローチャートである。 図9のステップT50における曲げ加工及び打ち抜き加工の様子を示す説明図である。 正常放電と多重放電発生時の放電波形を示す説明図。 実施例と比較例の実験結果(多重放電発生率)の一例を示すグラフ。 スパークプラグのサンプルS01〜S05の形状及び実験結果を示す図。 補助放電ギャップ寸法がスパークプラグの耐久性に与える影響に関する試験結果を示す図。
図1は、本発明の一実施形態としてのスパークプラグ100の部分断面図である。なお、図1において、スパークプラグ100の軸線方向ODを図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ100の先端側、上側を後端側として説明する。スパークプラグ100は、絶縁体として絶縁碍子10と、この絶縁碍子10を保持する主体金具50と、絶縁碍子10内に軸線方向ODに保持された中心電極20と、接地電極30と、絶縁碍子10の後端部に設けられた端子金具40とを備えている。後で詳述するように、接地電極30は複数個設けられている。
絶縁碍子10は周知のようにアルミナ等を焼成して形成され、軸中心に軸線方向ODへ延びる軸孔12が形成された筒形状を有する。軸線方向ODの略中央には外径が最も大きな鍔部19が形成されており、それより後端側(図1における上側)には後端側胴部18が形成されている。鍔部19より先端側(図1における下側)には、後端側胴部18よりも外径の小さな先端側胴部17が形成され、さらにその先端側胴部17よりも先端側に、先端側胴部17よりも外径の小さな脚長部13が形成されている。脚長部13は先端側ほど縮径され、スパークプラグ100が内燃機関のエンジンヘッド200に取り付けられた際には、その燃焼室に曝される。脚長部13と先端側胴部17との間には段部15が形成されている。
主体金具50は、内燃機関のエンジンヘッド200にスパークプラグ100を固定するための円筒状の金具である。主体金具50は、絶縁碍子10を、その後端側胴部18の一部から脚長部13にかけての部位を取り囲むようにして内部に保持している。主体金具50は低炭素鋼材より形成され、図示しないスパークプラグレンチが嵌合する工具係合部51と、内燃機関の上部に設けられたエンジンヘッド200の取付ネジ孔201に螺合するネジ山が形成された取付ネジ部52とを備えている。
主体金具50の工具係合部51と取付ネジ部52との間には、鍔状のシール部54が形成されている。取付ネジ部52とシール部54との間のネジ首59には、板体を折り曲げて形成した環状のガスケット5が嵌挿されている。ガスケット5は、スパークプラグ100をエンジンヘッド200に取り付けた際に、シール部54の座面55と取付ネジ孔201の開口周縁部205との間で押し潰されて変形する。このガスケット5の変形により、スパークプラグ100とエンジンヘッド200間が封止され、取付ネジ孔201を介したエンジン内の気密漏れが防止される。
主体金具50の工具係合部51より後端側には薄肉の加締部53が設けられている。また、シール部54と工具係合部51との間には、加締部53と同様に薄肉の座屈部58が設けられている。工具係合部51から加締部53にかけての主体金具50の内周面と絶縁碍子10の後端側胴部18の外周面との間には、円環状のリング部材6,7が介在されており、さらに両リング部材6,7間にタルク(滑石)9の粉末が充填されている。加締部53を内側に折り曲げるようにして加締めることにより、リング部材6,7およびタルク9を介し、絶縁碍子10が主体金具50内で先端側に向け押圧される。これにより、主体金具50の内周で取付ネジ部52の位置に形成された段部56に、環状の板パッキン8を介し、絶縁碍子10の段部15が支持されて、主体金具50と絶縁碍子10とが一体にされる。このとき、主体金具50と絶縁碍子10との間の気密性は、板パッキン8によって保持され、燃焼ガスの流出が防止される。座屈部58は、加締めの際に、圧縮力の付加に伴い外向きに撓み変形するように構成されており、タルク9の軸線方向ODの圧縮長を長くして主体金具50内の気密性を高めている。なお、段部56よりも先端側における主体金具50と絶縁碍子10との間には、所定寸法のクリアランスが設けられている。
中心電極20は、インコネル(商標名)600または601等のニッケルまたはニッケルを主成分とする合金から形成された電極母材21の内部に、電極母材21よりも熱伝導性に優れる銅または銅を主成分とする合金からなる芯材25を埋設した構造を有する棒状の電極である。通常、中心電極20は、有底筒状に形成された電極母材21の内部に芯材25を詰め、底側から押出成形を行って引き延ばすことで作製される。芯材25は、胴部分においては略一定の外径をなすものの、先端側においては縮径部が形成される。中心電極20は軸孔12内を後端側に向けて延設され、シール体4およびセラミック抵抗3(図1)を経由して、後方(図1における上方)の端子金具40に電気的に接続されている。端子金具40には高圧ケーブル(図示外)がプラグキャップ(図示外)を介して接続され、高電圧が印加される。
なお、図1に示したスパークプラグの全体構成は単なる一例であり、これ以外の種々の構成を採用可能である。
図2(A)は、第1実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す正面図であり、図2(B)はその左側面図、図2(C)は底面図である。図2(D)は、図2(C)から主接地電極300を取り除いた説明図である。電極としては、中心電極20と、中心電極20に対向する主接地電極300と、3つの補助接地電極310,320,330とが設けられている。これらの電極20,300,310,320,330は、絶縁碍子(絶縁体)10よりも下端側に突出している。主接地電極300の先端部の上面には、凸部302が設けられているが、この凸部302は省略してもよい。なお、中心電極20や接地電極300,310,320,330は、同一の材料(例えばニッケル合金)で形成されていてもよく、或いは、異なる材料で形成されていても良い。凸部302も同様である。また、中心電極20の下端と、主接地電極300の凸部302の上端にそれぞれ貴金属チップを設けるようにしてもよい。なお、前述した図1では、図示の便宜上、4つの接地電極300,310,320,330を代表して1つの接地電極30(主接地電極300に相当する)のみが描かれている。
中心電極20は、上下方向(図1の軸線方向OD)に沿って延びる略円柱状の電極であり、その下端は略円形を有していることが好ましい。主接地電極300は、主体金具50の下端に接合され、その先端部分がほぼ水平になるまで約90度だけ弧状に折り曲げられている。主接地電極300の凸部302と中心電極20の間には、放電ギャップG1(火花ギャップ)が形成されている(図2(A))。3つの補助接地電極310,320,330も、その先端部分がほぼ水平になるまで約90度だけ弧状に折り曲げられている。しかし、補助接地電極310,320,330の全体の軸線方向に突出する長さが小さいため、補助接地電極310,320,330の先端部は、中心電極20の側面に対向する位置にある(図2(A),図2(B))。換言すれば、補助接地電極310,320,330の先端部は、中心電極20の周囲を取り囲むように配置されている。なお、本実施形態では、3つの補助接地電極310,320,330は、軸線方向に同じ長さ突出しているが、その中の一部(例えば第1の補助接地電極310)が他と軸線方向に異なる長さ突出していてもよい。
図2(C),図2(D)に示すように、底面から見たとき(すなわち、図1の軸線方向ODと垂直な平面において)、3つの補助接地電極310,320,330と主接地電極300は、以下の配置的な特徴点を有している。
(A1)3つの補助接地電極310,320,330と主接地電極300は、中心電極20の周囲に等角度間隔で(すなわち90度間隔で)配置されている。
(A2)第1の補助接地電極310は、中心電極20を挟んで主接地電極300と対向する位置にある。
(A3)第2と第3の補助接地電極320,330は、中心電極20を挟んで互いに対向する位置にある。
(A4)第1の補助接地電極310及び中心電極20の中心同士を結ぶ方向と、第2と第3の補助接地電極320,330の中心同士を結ぶ方向は、直交する。
(A5)第1の補助接地電極310の先端面は平坦である。
(A6)第2と第3の補助接地電極320,330の先端面は、それぞれ略円筒面状(断面略円弧状)に形成されている。
(A7)第2と第3の補助接地電極320,330の先端面の間には、断面略円形の空間PS(「打ち抜き部PS」と呼ぶ)が形成されている。
なお、これらの配置的な特徴点は好ましいものの一例であり、スパークプラグの用途等に応じてこれらの特徴点の一部を適宜省略又は変更してもよい。例えば、第1の補助接地電極310の先端面を、略円筒面状(断面略円弧状)に形成してもよい。また、打ち抜き部PSの断面形状として、略円形以外の他の形状を採用してもよい。
図2(A)〜図2(D)に記載されているパラメータの定義は以下の通りである。
<パラメータの定義>
・D:第2と第3の補助接地電極320,330の間の打ち抜き部PSの直径
・G1:主接地電極300と中心電極20との間のギャップ(「主放電ギャップ」とも呼ぶ)
・G2:第2の補助接地電極320と中心電極20との間のギャップ(「補助放電ギャップ」とも呼ぶ)
・G3:第3の補助接地電極330と中心電極20との間のギャップ(「補助放電ギャップ」とも呼ぶ)
・L:主接地電極300の幅
・S2:中心電極20の中心から第1の補助接地電極310に向かう方向に沿って測定したときの、第2の補助接地電極320の先端部側面から第1の補助接地電極310の先端までの距離(「補助電極オフセットS2」とも呼ぶ)
・S3:中心電極20の中心から第1の補助接地電極310に向かう方向に沿って測定したときの、第3の補助接地電極330の先端部側面から第1の補助接地電極310の先端までの距離(「補助電極オフセットS3」とも呼ぶ)
・T:第2と第3の補助接地電極320,330の間の最短距離
・Tp:第2と第3の補助接地電極320,330の間の最短距離TのY方向成分(後述する)
・V2:第2の補助接地電極330の幅
・V3:第3の補助接地電極330の幅
・W:第1の補助接地電極310の幅
なお、X方向は中心電極20と第1の補助接地電極310を結ぶ方向であり、Y方向はX方向に垂直な方向である。上記の各種パラメータのうち、ギャップG1は、図2(A)に示す正面図における高さ方向のパラメータであるが、他のパラメータは、図2(C)又は図2(D)に示すように底面から見たときのもの(図1の軸線方向ODと垂直な平面に各部を投影したときのパラメータ)である。距離TのY方向成分Tpは、後に図4で説明するように、第1の補助接地電極310の先端部が伸びる第1の方向と、第2と第3の補助接地電極320,330の先端部が伸びる第2の方向とが直交していない場合を考慮したパラメータである。第1実施形態では、これらの2つの方向が直交しているので、T=Tpである。なお、距離S2,S3が等しい場合には、両者を代表して「距離S」というパラメータを使用する。幅V2,V3が等しい場合にも、両者を代表して「幅V」というパラメータを使用する。
図2(A)〜図2(D)に示す第1実施形態のスパークプラグにおいて、上記パラメータには以下のような関係が成立している。
(B1)第2と第3の補助接地電極320,330は同一の形状を有しており、それぞれに関する2つのパラメータの値(例えばG2とG3、S2とS3、V2とV3)は互いに等しい。
(B2)第1の補助接地電極310の幅Wと、第2及び第3の補助接地電極320,330の幅V2,V3は、等しい。補助接地電極310,320,330の幅W,V2,V3の値は、例えば約2〜3mmの範囲が好ましい。
(B3)補助接地電極310,320,330の幅W,V2,V3は、主接地電極300の幅Lよりも小さい。なお、主接地電極300の幅Lの値は、例えば約3〜4mmの範囲が好ましい。
(B4)第2と第3の補助接地電極320,330の間の最短距離Tと、そのY方向成分Tpは等しい。
(B5)第1の補助接地電極310の幅Wは、第2と第3の補助接地電極320,330の間の最短距離TのY方向成分Tp以上である。なお、最短距離T及びそのY方向成分Tpの値は、約2〜4mmの範囲が好ましい。
(B6)第2及び第3の補助接地電極320,330の先端部側面から第1の補助接地電極310の先端までの距離S2,S3(補助電極オフセット)は、ゼロより大きく0.7mm以下である。
(B7)主接地電極300と中心電極20との間のギャップG1と、第2及び第3の補助接地電極320,330と中心電極20との間のギャップG2,G3とには、|G2−G1|≦0.2mm、|G3−G1|≦0.2mmの関係がある。
(B8)主接地電極300のギャップG1は、0.2mm≦G1≦1.0mmを満たす。
(B9)主接地電極300の幅Lと、第1の補助接地電極310の幅Wと、第2と第3の補助接地電極320,330の間の最短距離TのY方向成分Tpは、Tp≦W≦Lの関係にある。
なお、これらのパラメータ関係は好ましい関係の一例であり、スパークプラグの用途等に応じてこれらの関係の一部を適宜省略又は変更してもよい。
第1実施形態のスパークプラグにおける電極の形状、配置、及び、パラメータ関係は、以下のような効果を奏する。第1の効果は、中心電極20の周囲において、主接地電極300とは異なる方向に複数の補助接地電極310,320,330が設けられているので、中心電極20の周囲におけるガスの流れ(気流)に起因して生じる多重放電現象を低減又は抑制できる、というものである。よく知られているように、スパークプラグの正常な放電現象では、最初に容量放電が発生して放電が開始され、その次に誘導放電が継続する。容量放電ではスパイク状の電圧変化が見られるが、誘導放電では、中心電極20と接地電極300との間が容量放電に比べてはるかに小さな電圧で維持される。一方、多重放電は、通常の誘導放電が生じる期間において、多数のスパイク状の容量放電が発生する現象である。多重放電では多数のスパイク状の電圧変化が生じるので、これにより電極が消耗する、という問題がある。本願の発明者らは、中心電極20の周囲がガスの流れで乱されると、多重放電が発生しやすいことを発見し、また、中心電極20の周囲に複数の補助接地電極を設けることによって多重放電現象を効果的に低減できることを見出した。特に、中心電極20を挟んで主接地電極300と反対側に第1の補助接地電極310を設けることにより、第1の補助接地電極310が無い場合に比べて、この方向(−X方向)のガスの流れによる多重放電の発生を低減又は抑制することが可能となる。なお、このように放電ギャップ近傍へのガスの流れを遮蔽して多重放電を低減する効果を、「ガス流れの遮蔽効果」とも呼ぶ。
第2の効果は、第1の補助接地電極310の幅Wを距離Tp(図2(D))よりも大きく設定したので、第1の補助接地電極310によるガス流れの遮蔽効果を十分に確保することができる、というものである(上記パラメータ関係B5)。すなわち、第1の補助接地電極310の幅Wが距離Tpよりも小さい場合に比べて、第1の補助接地電極310によるガス流れの遮蔽効果を大きくして、多重放電を低減又は防止することができる。
第3の効果は、補助電極オフセットS2,S3をそれぞれゼロを超えて0.7mm以下という小さな値に設定したので、第1と第2の補助接地電極310,320の間、及び、第1と第3の補助接地電極310,330の間のガス流れの遮蔽効果を十分に高めることができる、というものである(上記パラメータ関係B6)。この結果、多重放電を更に低減又は防止することができる。なお、このパラメータ関係B6は、第1の補助接地電極310の先端が、第2及び第3の補助接地電極320,330の先端部側面よりも、中心電極20から遠い位置にある、ということを意味していると考えることも可能である。また、補助電極オフセットS2は、主接地電極300の側面に垂直な方向(Y方向)における第1の補助接地電極310と第2の補助接地電極320との間の隙間(すなわち、ガスの流れの流路の大きさ)を示す指標であると考えることが可能である。補助電極オフセットS3も同様である。従って、この隙間に沿ったガス流れを遮蔽するためには、補助電極オフセットS2,S3を0.7mm以下の小さな値にすることが好ましい。但し、補助電極オフセットS2,S3を0.7mmを超える値としても良いが、0.7mm以下に設定すればより効果的にガス流れを遮蔽することができる。
第4の効果は、|G2−G1|≦0.2mm、|G3−G1|≦0.2mmが成立するように設定したので、主接地電極300のギャップG1のみでなく、補助接地電極320,330のギャップG2,G3も放電用ギャップとして活用することができる、というものである(上記パラメータ関係B7)。すなわち、スパークプラグの放電を、主接地電極300のギャップG1のみでなく、補助接地電極320,330のギャップG2,G3においても発生させることが可能となる。この結果、放電に要求される電圧(要求電圧)を低減することが可能である。なお、典型的には、主接地電極300のギャップG1の方が、補助接地電極320,330のギャップG2,G3よりも小さな値に設定される。具体的には、主接地電極300のギャップG1は、0.2mm≦G1≦1.0mmを満たす値に設定することが好ましい。発明者らは、各種用途のスパークプラグのうち、天然ガス(LNG)やプロパンガスなどを可燃ガスとして使用するガスエンジン用のスパークプラグでは、ガソリンやアルコールを燃焼させるエンジン用のスパークプラグに比べて、ガスの流れに起因する多重放電の発生の問題点が特に大きなことを見いだした。ガスエンジン用のスパークプラグでは、主接地電極300のギャップG1は、0.2mm≦G1≦1.0mmを満たす値に設定することが好ましく、この場合に、複数の補助接地電極310,320,330を設けることによって多重放電を効果的に低減することができる。なお、第2と第3の補助接地電極320,330の先端面はそれぞれ略円筒面(断面略円弧状)に形成することが好ましい。こうすれば、第2と第3の補助接地電極320,330の先端面が平坦である場合に比べて、第2と第3の補助接地電極320,330の先端面と中心電極20との間のギャップG2,G3を、放電用ギャップとしてより効率的に活用可能である。また、第2と第3の補助接地電極320,330の先端面はそれぞれ略円筒面に形成すれば、これらのギャップG2,G3におけるガス流れの遮蔽効果も高めることが可能である。一方、第1の補助接地電極310の先端面は、図2(D)に示すように略平坦でも良く、或いは、第2及び第3の補助接地電極320,330と同様に略円筒面状(断面略円弧状)に形成しても良い。
第5の効果は、距離Tpと主接地電極300の幅Lを、Tp≦Lの関係に設定したので、第2と第3の補助接地電極320,330の間に存在する幅Tpのギャップを、主接地電極300の幅Lによって遮蔽することができる、というものである(上記パラメータ関係B9)。この結果、中心電極20の周囲のうちの主接地電極300側におけるガス流れの遮蔽効果を高めることができ、多重放電を低減又は抑制することができる。なお、同様の理由により、第1の補助接地電極310の幅Wについても、Tp≦Wの関係が好ましい。但し、第1の補助接地電極310の幅Wを過度に大きくすると、可燃ガスが中心電極20の周囲に流れ込むことが過度に妨げられてしまい、却って着火性能が低下する可能性がある。そこで、第1の補助接地電極310の幅Wは、主接地電極300の幅Lよりも小さいことが好ましい。従って、Tp≦W≦Lの関係が成立することが好ましい。
以上のように、図2に示した第1実施形態のスパークプラグでは、主接地電極300の他に3つの補助接地電極310,320,330を設け、これらの4つの接地電極300,310,320,330によって中心電極20の周囲を遮蔽するようにしたので、ガス流れの遮蔽効果を十分に奏することができる。この結果、中心電極20の周囲に過度のガスの流れが存在することにより生じる多重放電を低減又は抑制することができるという効果がある。なお、以下に説明する他の実施形態から理解できるように、上述した種々の形状やパラメータ関係については、種々の変更や修正が可能である。
図3は、比較例としてのスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図である。この比較例は、第1の補助接地電極が設けられていない点で、図2に示した第1実施形態と異なっている。この比較例では、第1の補助接地電極によるガス流れの遮蔽効果が無いので、第1実施形態に比べて多重放電が高頻度に発生する傾向にある。
図4(A)は、第2実施形態の説明図であり、第1実施形態の図2(D)に対応している。このスパークプラグでは、第2と第3の補助接地電極320s,330sの先端部が伸びる方向SDと、第1の補助接地電極310sの先端部が伸びる方向Xが直交していない。なお、図4(A)では主接地電極300は図示が省略されている。主接地電極300は、例えば第1実施形態と同様に、第1の補助接地電極310sと対向する位置に設けることが可能である。
図4(B)は、図4(A)の第2と第3の補助接地電極320s,330sを実線で描き、第1の補助接地電極310sについてはその位置をずらして破線で描いたものである。第2と第3の補助接地電極320s,330sの間の最短距離Tは、これらの電極の先端部が伸びるSD方向に沿った距離である。方向Yは、X方向(第1の補助接地電極310sの先端部が伸びる方向)に垂直な方向である。このように、Y方向とSD方向とが異なる場合には、最短距離TのY方向成分Tpは、最短距離Tよりも小さな値となる。図4(A)から理解できるように、この成分Tpは、第2と第3の補助接地電極320s,330sの打ち抜き部PSが、第1の補助接地電極310sに向けている開口の大きさ(ガスの流路の大きさ)を示している。
図4(B)において、第2と第3の補助接地電極320s,330sの幅V(=V2=V3)と、電極320s,330sの間の打ち抜き部PSの直径Dと、電極320s,330sの間の最短距離Tとの間には、以下の関係が成立する。
=T+V …(1)
=D−V …(2)
上述したように、最短距離TのY方向成分Tpは、第2と第3の補助接地電極320s,330sの打ち抜き部PSが、第1の補助接地電極310sが伸びる方向(X方向)に向いて開いている開口の大きさを示している。従って、第1の補助接地電極310sによるガス流れの遮蔽効果を十分に確保するためには、第1の補助接地電極310sの幅Wを、距離Tp及び距離T以上の値とすることが好ましい(上述したパラメータ関係B9)。
Tp≦T≦W …(3)
上記(2)式と(3)式を考慮すると、第1の補助接地電極310sの幅Wと、第2と第3の補助接地電極320s,330sの打ち抜き部PSの直径Dと、第2と第3の補助接地電極320s,330sの幅Vには、以下の関係が成立することが好ましい。
≧D−V …(4)
この(4)式が成立すれば、打ち抜き部PSのX方向の開口を、第1の補助接地電極310sで十分に遮蔽することができ、多重放電を低減又は抑制することが可能である。
図5(A),図5(B)は、第3実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図であり、図2(C),図2(D)に相当する図である。この第3実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1の補助接地電極310aの幅Wが、第2と第3の補助接地電極320,330の幅Vよりも大きい点だけであり、他の構成は第1実施形態と同じである。この構成では、第1の補助接地電極310aによるガス流れの遮蔽効果を更に大きくできるので、多重放電を更に低減又は抑制することが可能である。なお、第3実施形態とは逆に、第1の補助接地電極310の幅を、第2と第3の補助接地電極320,330の幅Vよりもやや小さくしてもよい。
図6(A)は、第4実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図であり、第1実施形態の図2(D)に相当する図である。第4実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1の補助接地電極310bの先端部の形状及び位置だけであり、他の構成は第1実施形態と同じである。すなわち、この第1の補助接地電極310bの先端部は、断面略円弧状の先端面311bを有しており、その両側にテーパ部312bが形成されている。先端面311bは、第2と第3の補助接地電極320,330の打ち抜き部PSが形成する直径Dの円に整合する形状を有している。従って、3つの補助接地電極310b,320,330と、中心電極20との間のギャップは略一定である。この結果、これらのギャップを利用して、より安定した放電を起こすことが可能であり、また、放電の要求電圧を低下させることが可能である。第1の補助接地電極310bのテーパ部312bは、第1の補助接地電極310bと、第2及び第3の補助接地電極320,330とが干渉しないようにするために設けられている。なお、この第4実施形態では、補助電極オフセットS2,S3は、0mmである。また、第1の補助接地電極310bと第2の補助接地電極320との間の隙間、及び、第1の補助接地電極310bと第3の補助接地電極330との間の隙間はそれぞれほぼ0である。この構成では、第1の補助接地電極310bによるガス流れの遮蔽効果を更に大きくできるので、多重放電を更に低減又は抑制することが可能である。
図6(B)は、第5実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図である。第5実施形態が第4実施形態と異なる点は、第1〜第3の補助接地電極310c,320c,330cの先端部の形状及び位置だけであり、他の構成は第4実施形態と同じである。すなわち、第1〜第3の補助接地電極310c,320c,330cの先端部は、それぞれ断面略円弧状の先端面を有しており、それぞれの両側にテーパ部312c,322c,332cが形成されている。さらに、補助電極オフセットS2,S3は、マイナスである。なお、補助電極オフセットS2,S3は、第2及び第3の補助接地電極320c,330cの先端部の2つの側面のうちで第1の補助接地電極310cにより近い側面(図6(B)の右側の側面)から、X方向(第1の補助接地電極310cが伸びる方向)に沿って測った値である。すなわち、第5実施形態では、第1の補助接地電極310cの先端が、第2及び第3の補助接地電極320c,330cの先端部側面よりも、中心電極20に近い位置にある。このような配置は、第1〜第3の補助接地電極310c,320c,330cの先端部の両側にそれぞれテーパ部312c,322c,332cが形成されていることによって達成されたものである。第5実施形態では、3つの補助接地電極310c,320c,330c相互の間に十分な隙間を確保することができ、互いに干渉してしまうことを防止できる点で、第4実施形態よりも更に好ましい。
図7(A)〜図7(D)は、第6実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図であり、第1実施形態の図2(A)〜図2(D)に相当する図である。第6実施形態が第1実施形態と異なる点は、第1実施形態に比べて3つの補助接地電極310d,320d,330dの先端が中心電極20からより遠い位置にある点、及び、第1の補助接地電極310dの先端面が略円筒面状(すなわち、断面が直径Dの円に整合する略円弧状)に形成されている点、の2点であり、他の構成は第1実施形態と同じである。3つの補助接地電極310d,320d,330dの先端は、中心電極20から遠い位置にあるため、補助電極オフセットS2,S3は0.7mmよりも大きい。すなわち、この構成では、3つの補助接地電極310d,320d,330dの先端が中心電極20から遠い位置にあるため、これらの電極310d,320d,330dによるガス流れの遮蔽効果が第1実施形態よりも小さい。従って、多重放電を低減又は抑制するという観点からは、この第6実施形態よりも、補助電極オフセットS2,S3がより小さな第1実施形態の方が好ましい。
図8は、第7実施形態のスパークプラグの放電ギャップの近傍を拡大して示す説明図であり、第6実施形態の図7(D)に相当する図である。第7実施形態が第6実施形態と異なる点は、第6実施形態に比べて3つの補助接地電極310e,320e,330eの先端が中心電極20からより近い位置にある点だけであり、他の構成は第6実施形態と同じである。なお、第1の補助接地電極310eの先端が中心電極20に近い位置にあるので、補助電極オフセットS2,S3は0.7mm以下となっている。この構成では、補助接地電極310e,320e,330eによるガス流れの遮蔽効果が第6実施形態よりも大きい点で好ましい。また、この第7実施形態では、3つの補助接地電極310e,320e,330eの先端面が、直径Dの円に整合する形状(断面略円弧状)を有しており、これらの電極310e,320e,330eと中心電極20との間のギャップが一定である点で好ましく、これは図6(A)に示した第4実施形態や図6(B)に示した第5実施形態と共通している。但し、第7実施形態では、補助接地電極310e,320e,330eの先端部にテーパ部が形成されていないので、製造がより容易である。
図9は、本発明の一実施形態におけるスパークプラグの製造方法の工程を示すフローチャートである。ステップT10では主体金具50が準備され、ステップT20では絶縁碍子10が準備される。ステップT30では、主接地電極300と補助接地電極310,320,330が準備される。ステップT40では、主体金具50に主接地電極300と補助接地電極310,320,330が接合され、ステップT50では補助接地電極310,320,330に対して曲げ加工及び打ち抜き加工が行われる。
図10は、ステップT50における曲げ加工及び打ち抜き加工の様子を示す説明図である。ここでは、図6(B)で説明した第5実施形態のスパークプラグの加工工程を示しており、図10(A1)〜図10(C1)はスパークプラグの下端の正面図、図10(A2)〜図10(C2)はその底面図である。なお、図10においては、主接地電極300の先端部には、凸部302(図2(A))は設けられていない。但し、図10に示したステップT50の後又は前に行われるいずれかの工程において、接地電極300の先端部に凸部302を設けるようにしてもよい。図10(A1),図10(A2)は、ステップT40において主接地電極300cと補助接地電極310c,320c,330cが主体金具50に接合された状態を示している。この例では、棒状の電極部材が準備されて主体金具50に接合される。この後、第1の曲げ工具(図示省略)を用いて、3つの補助接地電極310c,320c,330cの先端が約90度の弧状になるように曲げ加工される。
図10(B1),図10(B2)は、曲げ加工後の状態を示している。補助接地電極310c,320c,330cとなる電極部材の先端は、後述する打ち抜き工程で打ち抜かれるが、図10(B1),図10(B2)では打ち抜き前の電極部材の形状が示されている。この曲げ加工後の状態において、隣接する補助接地電極同士(例えば電極310c,320c)の間の最短距離Mが0以上の値となるように、曲げ加工前の各電極部材の長さが予め決定されている。なお、この最短距離Mは、隣接する補助接地電極の先端同士の距離に相当する。この最短距離Mが0以上であれば、曲げ加工時に補助接地電極の先端同士が干渉しない点で好ましい。この最短距離Mは0でも良いが、加工誤差を考慮すると、最短距離Mは、0を超える値に設定されていることが好ましく、0.2mm以上が更に好ましく、0.4mm以上が最も好ましい。
なお、第1〜第3の補助接地電極310c,320c,330cの曲げ加工を同時に行った際に、図10(B1)、図10(B2)のように、第1の補助接地電極310cの第2及び第3の補助接地電極320c、330c側の先端314cが、第2及び第3の補助接地電極320c、330cの第1の補助接地電極310c側の側面326c、336cよりも中心電極20側に位置することが好ましい。このような構成では、第1〜第3の補助接地電極310c,320c,330cの先端同士をより近づけることができるので、この後に、これらの先端を打ち抜くことによって形成される打ち抜き部PSをより小さくすることができる。この結果、打ち抜き部PSへのガス流れを効果的に遮蔽することができ、多重放電を低減することが可能となる。
図10(C1),図10(C2)は、打ち抜き工具400を用いて、補助接地電極310c,320c,330cの先端部の打ち抜き加工が行われる様子を示している。この打ち抜き工具400は、断面が直径Dの略円形形状を有している。この打ち抜き工具400を用いて3つの補助接地電極310c,320c,330cの先端部を打ち抜くことにより、直径Dの略円形状の打ち抜き部PSが形成される。このように、曲げ加工後に複数の補助接地電極310c,320c,330cの中央を打ち抜くようにすれば、略円形形状の打ち抜き部PSを1工程できれいに形成することができる。この打ち抜き部PSの中央には、中心電極20(図6(B)参照)が設置されるので、個々の補助接地電極310c,320c,330cと中心電極20との間にほぼ一定のギャップを形成することが可能となる。
なお、図10に示した曲げ加工及び打ち抜き可能は、図6(B)以外の他の実施形態にも適用可能である。但し、図2,図4,図5に示した実施形態では、第1の補助接地電極310の先端が打ち抜かれないように打ち抜き工具400の形状が設定される。また、図6(A),図6(B)に示した実施形態のように、補助接地電極の先端が円弧状以外の断面形状(例えばテーパ部312b)を含む場合には、その断面形状も打ち抜き工具で打ち抜くようにしてもよい。あるいは、テーパ部312bのような円弧状以外の断面形状は、曲げ加工前の電極部材の先端に予め加工しておいても良い。あるいは、個々の補助接地電極の先端の形状の全体を、曲げ加工前の電極部材の先端に予め加工しておくことも可能である。
こうして補助接地電極の曲げ加工及び打ち抜き加工が完了すると、図9のステップT60において主体金具50に中心電極20と絶縁碍子10とが挿入される組み付け工程が実施される。この組み付け工程によって、主体金具50の内側に絶縁碍子(絶縁体)10と中心電極20とが組み付けられた組立体が構成される。なお、組み付け工程としては、(i)中心電極20を絶縁碍子10に組み付けたものを主体金具50に組み付ける方法と、(ii)絶縁碍子10を主体金具50に組み付けた後に、中心電極20を組み付ける方法と、が存在するが、これらのいずれを採用してもよい。ステップT70では、加締工具(図示省略)を用いて、主体金具50の加締加工が実施される。この加締加工により、絶縁碍子10が主体金具50に固定される。この後、ステップT80において第2の曲げ工具(図示省略)を用いて主接地電極300の先端が曲げ加工され、ステップT90では主体金具50の取付ネジ部52にガスケット5が装着されて、スパークプラグ100が完成する。
なお、図9に示した製造方法は単なる一例であり、これとは異なる種々の方法でスパークプラグを製造可能である。例えば、ステップT10〜T90の工程の順序はある程度任意に変更可能である。
上述したいくつかの実施形態に従った複数のサンプルについて、以下のような放電性能の実験を行った。
図11(A),図11(B)は、正常放電と多重放電発生時の放電波形をそれぞれ示している。図11(A)に示すように、正常放電時には、容量放電の後に誘導放電がしばらく継続したのちに放電が終了する。よく知られているように、容量放電はパルス状に大きな電圧が印加される短時間の放電現象であり、誘導放電は容量放電に比べて低い電圧が続くより長時間の放電現象である。図11(B)は、多重放電が生じた状態を示している。多重放電は、正常放電であれば誘導放電が継続する期間において、多数回のパルス状の電圧変化が発生する現象である。このような多重放電が発生すると、スパークプラグの電極の消耗が促進されてしまうという不具合がある。なお、図11(C),図11(D)に示すように、気流が無い状態で放電させると正常に放電するスパークプラグに関しても、ガスの流れによっては多重放電が発生し易くなる場合がある。
図12(A)は、実施例と比較例の実験結果(多重放電発生率)の一例を示している。実施例としては、図6(B)に示した第5実施形態に従った形状のスパークプラグを使用した。また、比較例としては、第1の補助接地電極310が設けられていないが、第2と第3の2つの補助接地電極320,330が設けられたスパークプラグ(図3)を使用した。なお、これらの実施例及び比較例では、補助接地電極310〜330の幅W(=V)を2.7mm、第2と第3の補助接地電極320,330間の最短距離Tを2.4mmとした。
図12(B)は、多重放電発生率の測定方法を示している。ここで、期間Aは多重放電発生期間を示し、期間Bは放電全体の期間(「全放電期間B」とも呼ぶ)を示している。多重放電発生率は、全放電期間Bに対する多重放電発生期間Aの割合(=A/B)である。全放電期間Bは、容量放電の発生時点から、放電の終了時点までの期間である。図12(B)や図11(A),図11(B)から理解できるように、放電の終了時には、中心電極と接地電極間の電圧が、一旦低下した後に上昇する。従って、この電圧が一旦低下する直前の時点を、「放電の終了時点」として決定することが可能である。多重放電発生期間Aは、全放電期間Bの中で多重放電が発生している期間である。多重放電発生期間Aの開始時点は、中心電極と接地電極間の電圧が一定値(例えば5kV)以上低下した時点から決定することが可能である。また、多重放電発生期間Aの終了時点は、中心電極と接地電極間の電圧の低下が上記一定値(例えば5kV)を上回らなくなった時点から決定することが可能である。
図12(A)には、気流の向きが正面の場合と、側面の場合と、背面の場合、の3つの場合における多重放電発生率の結果が示されている。ここで、「正面」とは、可燃ガスの気流が主接地電極300の正面から主接地電極300に向かう方向(図2(D)の−X方向)を意味しており、「背面」とはその逆の方向を意味している。また、「側面」とは、第2と第3の補助接地電極320,330を結ぶ方向を意味している。なお、多重放電発生率の値としては、100回の試験の平均値を採用した。気流の向きが正面の場合には、多重放電発生率は、サンプルS03が約35%、比較例が約70%であった。気流の向きが側面の場合には、多重放電発生率は、サンプルS03及び比較例ともに約35%であった。また、気流の向きが背面の場合には、多重放電発生率は、サンプルS03が約23%、比較例が約25%であった。この実験結果から、気流の向きが正面の場合には、実施例(サンプルS03)の多重放電発生率が比較例に比べて大幅に低下していることが分かる。これは、主接地電極300の正面方向に設けられた第1の補助接地電極310が、ガス流れの遮蔽の点で顕著な効果を奏することを意味している。一方、気流の向きが側面や背面の場合には、第1の補助接地電極310によるガス流れの遮蔽効果はそれほど大きくない。
図13は、スパークプラグの5種類のサンプルS01〜S05の形状及び実験結果(多重放電発生率Xave)を示している。サンプルS01は、パラメータS以外は第1実施形態(図2)に従った形状を有しており、補助接地電極310,320,330の幅W(=V)が2.7mm、第2と第3の補助接地電極320,330間の最短距離Tが2.4mm、補助電極オフセットSが0.8mであり、パラメータ関係としてT≦W,0.7mm<Sが成立している。サンプルS02は、サンプルS01とほぼ同じ形状を有しており、補助電極オフセットSが0.7mであり、パラメータ関係としてS≦0.7mmが成立している点だけがサンプルS01と異なる。サンプルS03は、第6実施形態(図6(B))に従った形状を有しており、補助接地電極310c,320c,330cの幅W(=V)が2.7mm、第2と第3の補助接地電極320c,330c間の最短距離Tが2.4mm、補助電極オフセットSが−0.1mであり、パラメータ関係としてT≦W,S<0が成立している。なお、このサンプルS03は、図12(A)で示した実施例で使用したサンプルと同じものである。サンプルS04は、第6実施形態(図7)に従った形状を有しており、補助接地電極310d,320d,330dの幅W(=V)が2.2mm、第2と第3の補助接地電極320d,330d間の最短距離Tが3.5mm、補助電極オフセットSが0.8mであり、パラメータ関係としてW<T,0.7mm<Sが成立している。サンプルS05は、第7実施形態(図8)に従った形状を有しており、補助接地電極310e,320e,330eの幅W(=V)が2.2mm、第2と第3の補助接地電極320e,330e間の最短距離Tが3.5mm、補助電極オフセットSが0.7mであり、パラメータ関係としてW<T,S≦0.7mmが成立している。
図13の下段に示す多重放電発生率Xaveは、放電期間において多重放電が発生する期間の割合を示している。これらの多重放電発生率Xaveの値も、100回の試験の平均値である。気流の向きが正面の場合には、サンプルS01,S02,S03の多重放電発生率は約35%であり、サンプルS04,S05の多重放電発生率は約50%である。この差異は、サンプルS01,S02,S03では、第1の補助接地電極310の幅Wが2.7mmであって、第2と第3の補助接地電極320,330間の最短距離T(=2.4mm)よりも十分に大きいため、第1の補助接地電極310によるガス流れの遮蔽効果が大きいからであると推定される。一方、サンプルS04,S05では、第1の補助接地電極310の幅Wが2.2mmであって、第2と第3の補助接地電極320,330間の最短距離T(=3.5mm)よりもかなり小さいため、第1の補助接地電極310によるガス流れの遮蔽効果が小さく、多重放電発生率がやや高くなっているものと推定される。従って、パラメータT,Wに関しては、T≦Wの関係が成立していることが好ましいことが理解できる。
気流の向きが側面の場合には、サンプルS01,S02,S03の多重放電発生率は、この順に次第に低下するので、この中でサンプルS03が最も好ましい。これらの3つのサンプルS01,S02,S03の主な差異は、補助電極オフセットSの値である。すなわち、補助電極オフセットSは、0.7mmを超えた値よりも0.7mm以下の値の方が好ましい。また、Sの値の範囲としては、0≦S≦0.7mmの範囲が好ましく、S<0(Sがマイナス)であることが最も好ましい。この理由は、補助電極オフセットSが、第1の補助接地電極310と第2の補助接地電極320(又は第3の補助接地電極330)との間において、第1の補助接地電極310の側面に垂直な方向に開口している流路の大きさを示す指標となっているからである。すなわち、図2や図6(A),(B)を見れば理解できるように、補助電極オフセットSが小さいほど、第1の補助接地電極310の側面に垂直な方向(図2のY方向)に開口している流路の幅は小さくなる。従って、補助電極オフセットSが小さい方が、側面方向におけるガス流れの遮蔽効果が大きく、多重放電を低減できる点で好ましい。この点は、サンプルS04,S05の実験結果からも確認できる。
図14は、補助放電ギャップ寸法がパークプラグの耐久性に与える影響に関する試験結果である。ここで、「補助放電ギャップ寸法」とは、中心電極20と第2と第3の補助接地電極320,330との間の放電ギャップG2,G3を意味している。ここでは、参考例として、補助接地電極が設けられておらず、1つの接地電極のみ(主接地電極300のみ)が設けられたスパークプラグを使用した。この参考例のスパークプラグでは、中心電極20と接地電極300との間の初期ギャップGは0.3mmとした。なお、「初期ギャップ」とは、耐久試験を行う前の放電ギャップである。また、実施例として、第5実施形態(図6(B))の形状を有する2つのサンプルS10,S03を使用した。図14の右端のサンプルS03は、図13に示したサンプルS03と同じ寸法を有しており、主放電ギャップG1を0.3mm、補助放電ギャップG2,G3を0.3mmとしたものである。このサンプルS03は、|G2−G1|≦0.2mmを満たしている。一方、図14の中央のサンプルS10は、サンプルS03の補助放電ギャップG2,G3を0.6mmに変更したものであり、他の寸法はサンプルS03と同じである。このサンプルS10は、|G2−G1|>0.2mmを満たすサンプルである。
図14の縦軸は、放電開始に要する電圧(要求電圧)の値を示す。なお、要求電圧の幅は、約10個のサンプルを試験して得られた結果の範囲を示している。要求電圧が高いほど放電しにくいので、要求電圧は低い方が好ましい。耐久試験前は、参考例及び実施例のサンプルS10,S03のいずれにおいても、要求電圧は11〜16kVの範囲に亘っており、三者の間にほとんど差が無かった。一方、2000時間の耐久試験の後に再び要求電圧を測定したところ、参考例では、要求電圧が23〜35kVの範囲まで大幅に上昇していたのに対して、サンプルS10では22〜29kVの範囲というやや少ない上昇に留まり、また、サンプルS03では22〜27kVの範囲という最も少ない上昇に留まっていた。このように、実施例のスパークプラグでは、スパークプラグを長時間使用した後における要求電圧の上昇が少ないという点でも好ましいことが理解できる。また、サンプルS10とサンプルS03との比較から理解できるように、補助放電ギャップG2,G3と主放電ギャップG1との間の差の絶対値については、|G2−G1|≦0.2mm,|G3−G1|≦0.2mmを満たすことが好ましい。この理由は、補助放電ギャップG2,G3と主放電ギャップG1との差が小さいほど、補助放電ギャップG2,G3と主放電ギャップの両方で放電が生じやすく、逆に、両者の差が大きいほど主放電ギャップのみで放電が生じ易いからであると推定される。この意味からは、補助放電ギャップG2,G3と主放電ギャップG1とが同じ値であること(G1=G2=G3)が好ましい。なお、主放電ギャップG1の値は、0.2mm≦G1≦1mmを満たすことが好ましい。この理由は、主放電ギャップG1がこの範囲を満たすようなかなり小さなギャップとなっている場合に、主接地電極300の他に3つの補助接地電極310〜330を設けることによってガス流れの遮蔽効果を向上させ、多重放電を低減する効果が顕著だからである。
3…セラミック抵抗
4…シール体
5…ガスケット
6,7…リング部材
8…板パッキン
9…タルク
10…絶縁碍子
12…軸孔
13…脚長部
15…段部
17…先端側胴部
18…後端側胴部
19…鍔部
20…中心電極
21…電極母材
25…芯材
30…接地電極
40…端子金具
50…主体金具
51…工具係合部
52…取付ネジ部
53…加締部
54…シール部
55…座面
56…段部
58…座屈部
59…ネジ首
100…スパークプラグ
200…エンジンヘッド
201…取付ネジ孔
205…開口周縁部
300…主接地電極
302…凸部
310〜330…補助接地電極
311b…先端面
312b,312c,322c,332c…テーパ部
314c…先端
326c…側面
400…打ち抜き工具

Claims (10)

  1. 軸線方向に延在する中心電極と、
    前記軸線方向に延在する軸孔を有し、前記軸孔に前記中心電極が挿設される絶縁体と、
    前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
    一端部が前記主体金具の先端部に接合され、他端部が前記中心電極の先端部との間で前記軸線方向にギャップG1を形成する主接地電極と、
    一端部が前記主体金具の先端部に接合され、他端部が前記中心電極の側面との間でギャップを形成する3つの補助接地電極と、を備え、
    前記中心電極との間でギャップを形成する前記3つの補助接地電極の他端部の対向面は、前記絶縁体の先端より前記軸線方向先端側に位置し、
    前記3つの補助接地電極のうちの第1の補助接地電極の前記主体金具に接合されている位置は、前記中心電極を挟んで前記主接地電極の前記主体金具に接合されている位置に対向しており、
    前記3つの補助接地電極のうちの第2と第3の補助接地電極の前記主体金具に接合されている位置は、前記中心電極を挟んで対向しているスパークプラグであって、
    前記第1の補助接地電極の幅をWとし、前記第2の補助接地電極と前記第3の補助接地電極との間の最短距離をTとし、前記最短距離Tの前記第1の補助接地電極に垂直な方向成分の距離をTpとしたとき、W≧Tpであることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 請求項1に記載のスパークプラグであって、
    前記第1の補助接地電極の前記中心電極側の先端部と、前記第2及び第3の補助接地電極の先端部側面との距離をS2、S3としたとき、S2≦0.7mm、S3≦0.7mmを満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  3. 請求項2に記載のスパークプラグであって、
    前記ギャップG1と、前記中心電極と前記第2及び第3の補助接地電極との間のギャップG2、G3が、|G2−G1|≦0.2mm、|G3−G1|≦0.2mmの関係にあることを特徴とするスパークプラグ。
  4. 請求項3に記載のスパークプラグであって、
    前記ギャップG1は、0.2mm≦G1≦1.0mmを満たすことを特徴とするスパークプラグ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパークプラグであって、
    前記主接地電極の幅Lと前記距離Tpが、L≧Tpの関係にあることを特徴とするスパークプラグ。
  6. 請求項5に記載のスパークプラグであって、
    L≧W≧Tpであることを特徴とするスパークプラグ。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のスパークプラグであって、
    ガスエンジン用であることを特徴とするスパークプラグ。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記主体金具に前記第1〜第3の補助接地電極を接合する工程と、
    前記接合後に前記第1〜第3の補助接地電極を曲げ加工する工程と、
    前記曲げ加工後に、前記主体金具の内側に前記絶縁体と前記中心電極とが組み付けられた組立体を構成する組み付け工程と、
    を備え、
    断面略円形の打ち抜き工具を用いて、少なくとも前記第2及び第3の補助接地電極の先端部の間の中央部に打ち抜き部が形成されるように前記第2及び第3の補助接地電極の先端部を打ち抜く打ち抜き工程を備え、
    前記第2と第3の補助接地電極を結ぶ方向と前記軸線方向との両方に垂直な方向に沿って測った前記第2及び第3の補助接地電極の幅をVとし、前記第2と第3の補助接地電極の間に形成される前記打ち抜き部の径をDとしたとき、W2≧D2−V2を満たすように打ち抜かれることを特徴とする製造方法。
  9. 請求項8に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記第1〜第3の補助接地電極の前記曲げ加工前の長さは、前記第1〜第3の補助接地電極の前記曲げ加工を同時に行った際に、前記第2及び第3の補助接地電極の前記第1の補助接地電極側の側面と前記第1の補助接地電極の前記第2及び第3の補助接地電極側の先端との間の最短距離Mが、M≧0となる長さに形成されていることを特徴とする製造方法。
  10. 請求項9に記載のスパークプラグの製造方法であって、
    前記曲げ加工前の前記第1〜第3の補助接地電極の先端部にはそれぞれテーパ部が設けられており、
    前記第1〜第3の補助接地電極の前記曲げ加工を同時に行った際に、前記第1の補助接地電極の前記第2及び第3の補助接地電極側の先端が、前記第2及び第3の補助接地電極の前記第1の補助接地電極側の側面よりも前記中心電極側に位置することを特徴とする製造方法。
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