JP2013016295A - スパークプラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】頭部が絶縁体の後端から露出する端子電極を備えたスパークプラグにおいて、端子電極と主体金具との間のフラッシュオーバーを効果的に抑制する。
【解決手段】スパークプラグ1は、軸線CL1方向に延びる軸孔4を有する絶縁碍子2と、自身の先端側が軸孔4の後端側に挿通され、自身の後端側に絶縁碍子2の後端から露出する頭部6Hを有する端子電極6とを備える。また、軸線CL1方向に沿った頭部6Hの先端部に径方向外側に膨出する鍔部6Fが設けられ、鍔部6Fの先端面が絶縁碍子2の後端面と接触している。鍔部6Fの先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部6Wが設けられており、軸線CL1を含む断面において、湾曲面部6Wの曲率半径をR1(mm)としたとき、R1≧0.15を満たす。
【選択図】 図1
【解決手段】スパークプラグ1は、軸線CL1方向に延びる軸孔4を有する絶縁碍子2と、自身の先端側が軸孔4の後端側に挿通され、自身の後端側に絶縁碍子2の後端から露出する頭部6Hを有する端子電極6とを備える。また、軸線CL1方向に沿った頭部6Hの先端部に径方向外側に膨出する鍔部6Fが設けられ、鍔部6Fの先端面が絶縁碍子2の後端面と接触している。鍔部6Fの先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部6Wが設けられており、軸線CL1を含む断面において、湾曲面部6Wの曲率半径をR1(mm)としたとき、R1≧0.15を満たす。
【選択図】 図1
Description
本発明は、内燃機関等に使用されるスパークプラグに関する。
スパークプラグは、内燃機関等に用いられ、例えば、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、軸孔の先端側に設けられる中心電極と、軸孔の後端側に設けられる端子電極とを備える。また、端子電極は、絶縁体の後端から露出し、電力供給用のプラグキャップ等が取付けられる頭部を備えている。
ところで近年では、環境保護等の観点から内燃機関の燃費が厳しく規制されている。そこで、燃費規制の要求に応えつつ、出力の低下を防止するために、内燃機関の排気量を減少させる一方で、高圧縮化や高過給気化を行うことにより出力の低下防止が図られている。
ここで、高圧縮化や高過給気化された内燃機関においては、火花放電のためにより大きな電圧が必要となる。しかしながら、印加電圧を増大させると、電界強度の比較的高い前記頭部の先端外周と、主体金具との間で絶縁体の表面を這うようにして電流がリークしてしまい、放電異常(失火)やプラグキャップの損傷等が生じてしまうおそれがある。そこで、電流のリーク(いわゆる、フラッシュオーバー)を防止すべく、軸孔の後端部に後端側に向けて拡径する拡径部を設けるとともに、電界強度の高い頭部の先端部を前記拡径部内に配置することが考えられる(例えば、特許文献1等参照)。
しかしながら、軸孔に拡径部を設けるためには、絶縁体の後端部の肉厚を小さくせざるを得ず、絶縁体の強度不足等が生じてしまうおそれがある。従って、この点を鑑みると、端子電極の頭部を絶縁体の後端から露出させることが好ましい。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、頭部が絶縁体の後端から露出する端子電極を備えたスパークプラグにおいて、端子電極と主体金具との間におけるフラッシュオーバーを効果的に抑制することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各構成につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する構成に特有の作用効果を付記する。
構成1.本構成のスパークプラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
自身の先端側が前記軸孔の後端側に挿通され、自身の後端側に前記絶縁体の後端から露出する頭部を有する端子電極とを備え、
前記軸線方向に沿った前記頭部の先端部に径方向外側に膨出する鍔部が設けられ、前記鍔部の先端面が前記絶縁体の後端面と接触するスパークプラグであって、
前記鍔部の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部が設けられており、
前記軸線を含む断面において、前記湾曲面部の曲率半径をR1(mm)としたとき、
R1≧0.15
を満たすことを特徴とする。
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
自身の先端側が前記軸孔の後端側に挿通され、自身の後端側に前記絶縁体の後端から露出する頭部を有する端子電極とを備え、
前記軸線方向に沿った前記頭部の先端部に径方向外側に膨出する鍔部が設けられ、前記鍔部の先端面が前記絶縁体の後端面と接触するスパークプラグであって、
前記鍔部の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部が設けられており、
前記軸線を含む断面において、前記湾曲面部の曲率半径をR1(mm)としたとき、
R1≧0.15
を満たすことを特徴とする。
上記構成1によれば、端子電極の頭部が絶縁体の後端から露出しているため、絶縁体の後端部の肉厚を十分に大きく確保することができる。従って、絶縁体の強度を十分に維持することができる。また、頭部の先端側には鍔部が設けられるとともに、当該鍔部の先端面が絶縁体の後端面と接触している。このため、軸線に対して端子電極の中心軸が傾いてしまうという事態をより確実に防止することができる。
一方で、絶縁体の後端から頭部(鍔部)が露出するとともに、径方向外側に膨出する鍔部が絶縁体に対して隙間なく接触している(すなわち、絶縁体表面を這った頭部と主体金具との間の距離が比較的小さくなる構成とされている)ため、端子電極と主体金具との間におけるフラッシュオーバーの発生が懸念される。
この点、上記構成1によれば、鍔部の先端面と外周面との間に湾曲面部が設けられるとともに、当該湾曲面部の曲率半径R1が0.15mm以上とされている。従って、鍔部の先端外周の電界強度を十分に小さなものとすることができ、端子電極と主体金具との間におけるフラッシュオーバーを効果的に抑制することができる。
尚、端子電極の製造容易性を確保するとともに、鍔部の先端面や外周面と湾曲面部との間に電界強度の高い角部が形成されないようにすべく、鍔部の最大外径をL1(mm)としたとき、R1<L1/2を満たすように曲率半径R1を設定することが好ましい。
構成2.本構成のスパークプラグは、上記構成1において、R1≧1.30を満たすことを特徴とする。
上記構成2によれば、湾曲面部の曲率半径R1が1.30mm以上とされており、鍔部の先端外周の電界強度を著しく低減させることができる。その結果、耐フラッシュオーバー性を飛躍的に向上させることができる。
構成3.本構成のスパークプラグは、軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
自身の先端側が前記軸孔の後端側に挿通され、自身の後端側に前記絶縁体の後端から露出する頭部を有する端子電極とを備え、
前記軸線方向に沿った前記頭部の先端側が円柱状に形成されるとともに、前記頭部の先端面が前記絶縁体の後端面と接触するスパークプラグであって、
前記頭部の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部が設けられており、
前記軸線を含む断面において、前記湾曲面部の曲率半径をR2としたとき、
R2≧0.10
を満たすことを特徴とする。
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
自身の先端側が前記軸孔の後端側に挿通され、自身の後端側に前記絶縁体の後端から露出する頭部を有する端子電極とを備え、
前記軸線方向に沿った前記頭部の先端側が円柱状に形成されるとともに、前記頭部の先端面が前記絶縁体の後端面と接触するスパークプラグであって、
前記頭部の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部が設けられており、
前記軸線を含む断面において、前記湾曲面部の曲率半径をR2としたとき、
R2≧0.10
を満たすことを特徴とする。
上記構成3によれば、端子電極の頭部が絶縁体の後端から露出しているため、絶縁体の後端部の肉厚を十分に大きく確保することができ、ひいては絶縁体の強度を十分に維持することができる。また、頭部の先端面が絶縁体の後端面と接触しているため、端子電極の中心軸が軸線に対して傾いてしまうという事態をより確実に防止することができる。
一方で、絶縁体の後端から頭部が露出するとともに、頭部が絶縁体に対して隙間なく接触しているため、端子電極と主体金具との間におけるフラッシュオーバーの発生が懸念されるが、上記構成3によれば、湾曲面部の曲率半径R2が0.10mm以上とされている。従って、頭部の先端外周の電界強度を十分に小さくすることができ、端子電極と主体金具との間におけるフラッシュオーバーを効果的に抑制することができる。
構成4.本構成のスパークプラグは、上記構成3において、R2≧1.30を満たすことを特徴とする。
上記構成4によれば、湾曲面部の曲率半径R2が1.30mm以上とされており、頭部の先端外周の電界強度を顕著に低減させることができる。その結果、耐フラッシュオーバー性を飛躍的に向上させることができる。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、スパークプラグ1を示す一部破断正面図である。尚、図1では、スパークプラグ1の軸線CL1方向を図面における上下方向とし、下側をスパークプラグ1の先端側、上側を後端側として説明する。
スパークプラグ1は、筒状をなす絶縁体としての絶縁碍子2、これを保持する筒状の主体金具3などから構成されるものである。
絶縁碍子2は、周知のようにアルミナ等を焼成して形成されており、その外形部において、後端側に形成された後端側胴部10と、当該後端側胴部10よりも先端側において径方向外向きに突出形成された大径部11と、当該大径部11よりも先端側においてこれよりも細径に形成された中胴部12と、当該中胴部12よりも先端側においてこれよりも細径に形成された脚長部13とを備えている。加えて、絶縁碍子2のうち、大径部11、中胴部12、及び、大部分の脚長部13は、主体金具3の内部に収容されている。そして、中胴部12と脚長部13との連接部にはテーパ状の段部14が形成されており、当該段部14にて絶縁碍子2が主体金具3に係止されている。尚、本実施形態では、耐フラッシュオーバー性を高めるために、後端側胴部10の外周面に複数の同心円状の溝からなるコルゲーション部10Cが設けられ、後端側胴部10Cの表面積の増大が図られている。
さらに、絶縁碍子2には、軸線CL1に沿って延びる軸孔4が貫通形成されており、当該軸孔4の先端側には中心電極5が挿入、固定されている。当該中心電極5は、銅又は銅合金からなる内層5Aと、ニッケル(Ni)を主成分とするNi合金からなる外層5Bとを備えている。また、中心電極5は、全体として棒状(円柱状)をなし、その先端部分が絶縁碍子2の先端から突出している。
加えて、軸孔4の後端側には、所定の金属(例えば、低炭素鋼等)により形成された棒状の端子電極6が挿入、固定されている。端子電極6は、自身の先端側が軸孔4の後端側に挿通され、自身の後端側に絶縁碍子2の後端から露出する頭部6Hを備えている。また、軸線CL1方向に沿った頭部6Hの先端部には、径方向外側に膨出する鍔部6Fが設けられており、鍔部6Fの先端面が絶縁碍子2の後端面と接触している。尚、頭部6Hの軸線CL1方向に沿った略中央部分には、電力供給用のプラグキャップ等を接続する際に、プラグキャップのコネクタ金具が嵌め込まれる括れ部6Cが設けられている。
さらに、軸孔4の中心電極5と端子電極6との間には、円柱状の抵抗体7が配設されている。当該抵抗体7の両端部は、導電性のガラスシール層8,9を介して、中心電極5と端子電極6とにそれぞれ電気的に接続されている。
加えて、前記主体金具3は、低炭素鋼等の金属により筒状に形成されており、その外周面にはスパークプラグ1を内燃機関や燃料電池改質器等の燃焼装置に取付けるためのねじ部(雄ねじ部)15が形成されている。また、ねじ部15の後端側には座部16が外周側に向けて膨出形成されており、ねじ部15後端のねじ首17にはリング状のガスケット18が嵌め込まれている。さらに、主体金具3の後端側には、主体金具3を燃焼装置に取付ける際にレンチ等の工具を係合させるための断面六角形状の工具係合部19が設けられている。また、主体金具3の後端部には、径方向内側に向けて屈曲する加締め部20が設けられている。
尚、本実施形態においては、スパークプラグ1の小径化を図るべく、主体金具3が小径化されており、ねじ部15のねじ径は比較的小径(例えば、M12以下)とされている。また、絶縁碍子2の後端側胴部10の外径(最大外径)も比較的小さなもの(例えば、11mm以下)とされており、後端側胴部10の外径(最大外径)から鍔部6Fの外径(最大外径)を減じた径差が比較的小さなもの(例えば、3mm以下)とされている。
尚、スパークプラグ1は、燃焼装置のうち、後述する火花放電間隙28において火花放電を発生させるために必要な電圧(要求電圧)が比較的大きなものとなるエンジン(高圧縮エンジンや高過給気エンジン)に好適に用いられる。
また、主体金具3の内周面には、絶縁碍子2を係止するためのテーパ状の段部21が設けられている。そして、絶縁碍子2は、主体金具3の後端側から先端側に向かって挿入され、自身の段部14が主体金具3の段部21に係止された状態で、主体金具3の後端側の開口部を径方向内側に加締めること、つまり上記加締め部20を形成することによって主体金具3に固定されている。尚、絶縁碍子2及び主体金具3双方の段部14,21間には、円環状の板パッキン22が介在されている。これにより、燃焼室内の気密性を保持し、燃焼室内に晒される絶縁碍子2の脚長部13と主体金具3の内周面との隙間に入り込む燃料ガスが外部に漏れないようになっている。
さらに、加締めによる密閉をより完全なものとするため、主体金具3の後端側においては、主体金具3と絶縁碍子2との間に環状のリング部材23,24が介在され、リング部材23,24間には滑石(タルク)25の粉末が充填されている。すなわち、主体金具3は、板パッキン22、リング部材23,24及び滑石25を介して絶縁碍子2を保持している。
また、主体金具3の先端部26には、略中間部分が曲げ返されて、その先端側側面が中心電極5の先端部と対向する接地電極27が接合されている。中心電極5の先端部と接地電極27の先端部との間には、火花放電間隙28が形成されており、当該火花放電間隙28において、軸線CL1にほぼ沿った方向で火花放電が行われるようになっている。
加えて、本実施形態では、図2に示すように、鍔部6Fの先端面と外周面との間に、凸状の湾曲面部6Wが設けられている。そして、軸線CL1を含む断面において、湾曲面部6Wの曲率半径をR1(mm)としたとき、R1≧0.15を満たす(より好ましくは、R≧1.30を満たす)ように構成されている。
尚、湾曲面部6Wの曲率半径が一定でない場合、「曲率半径R1」とあるのは、軸線CL1を含む断面における、湾曲面部6Wの先端点と後端点と両者の中点との3点を通る仮想円の曲率半径をいう。
また、本実施形態においては、端子電極6の製造容易性を確保するとともに、鍔部6Fの先端面や外周面と湾曲面部6Wとの間に角部が形成されないようにすべく、鍔部6Fの最大外径をL1(mm)としたとき、R1<L1/2を満たすように構成されている。
以上詳述したように、本実施形態によれば、端子電極6の頭部6Hが絶縁碍子2の後端から露出するように構成されているため、絶縁碍子2の後端部の肉厚を大きく確保することができる。従って、上述のように比較的小径化された絶縁碍子2において、その強度を十分に維持することができる。また、頭部6Hの先端側には鍔部6Fが設けられるとともに、鍔部6Fの先端面が絶縁碍子2の後端面と接触している。このため、軸線CL1に対して端子電極6の中心軸が傾いてしまうという事態をより確実に防止することができる。
さらに、鍔部6Fの先端面と外周面との間に湾曲面部6Wが設けられるとともに、当該湾曲面部6Wの曲率半径R1が0.15mm以上とされている。従って、鍔部6Fの先端外周の電界強度を十分に小さなものとすることができる。その結果、本実施形態のように、鍔部6Fの外径と後端側胴部10の外径との径差が比較的小さく、フラッシュオーバーがより生じやすいスパークプラグ1であっても、フラッシュオーバーを効果的に抑制することができる。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、頭部6Hの先端側に鍔部6Fが設けられているが、本第2実施形態におけるスパークプラグ1Aは、図3に示すように、端子電極36の頭部36Hのうち、軸線CL1方向に沿った先端側に円柱状をなす円柱部36Pが形成されている。そして、頭部36Hの先端面が絶縁碍子2の後端面と接触している。
〔第2実施形態〕
次に、第2実施形態について、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、頭部6Hの先端側に鍔部6Fが設けられているが、本第2実施形態におけるスパークプラグ1Aは、図3に示すように、端子電極36の頭部36Hのうち、軸線CL1方向に沿った先端側に円柱状をなす円柱部36Pが形成されている。そして、頭部36Hの先端面が絶縁碍子2の後端面と接触している。
加えて、図4に示すように、頭部36H(円柱部36P)の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部36Wが設けられており、軸線CL1を含む断面において、湾曲面部36Wの曲率半径をR2(mm)としたとき、R2≧0.10を満たす(より好ましくは、R2≧1.30を満たす)ように構成されている。
さらに、端子電極36の製造容易性を確保するとともに、頭部36Hの先端面等と湾曲面部36Wとの間に角部が形成されないようにすべく、円柱部36Pの最大外径をL2(mm)としたとき、R2<L2/2を満たすように構成されている。
尚、本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、スパークプラグ1Aの小径化を図るべく、主体金具3が小径化されており、ねじ部15のねじ径は比較的小径(例えば、M12以下)とされている。また、絶縁碍子2の後端側胴部10の外径(最大外径)も比較的小さなもの(例えば、11mm以下)とされており、後端側胴部10の外径(最大外径)から円柱部6Pの外径(最大外径)を減じた径差が比較的小さなもの(例えば、3mm以下)とされている。
以上、本第2実施形態によれば、絶縁碍子2の強度を十分に維持することができるとともに、軸線CL1に対する端子電極36の傾きをより確実に防止することができる。
さらに、曲率半径R2が0.10mm以上とされているため、頭部36Hの先端側に鍔部が形成されていないスパークプラグ1Aにおいて、フラッシュオーバーを効果的に抑制することができる。
次いで、端子電極に鍔部を設けた上で、鍔部の最大外径を7.5mm又は6.5mmとし、かつ、鍔部の先端面と外周面との間に形成された湾曲面部の曲率半径R1(mm)を種々変更したサンプルAと、端子電極に鍔部を設けることなく円柱部を設けるとともに、円柱部の最大外径を6.34mm又は5.34mmとし、かつ、頭部の先端面と外周面との間に形成された湾曲面部の曲率半径R2(mm)を種々変更したサンプルBとについて、机上火花放電試験を行った。机上火花放電試験の概要は次の通りである。すなわち、サンプルを所定のチャンバーに取付けた上で、負極性の電圧を出力する所定の電源装置(CDI方式)により、印加電圧の周波数を50〜60Hzとして出力電圧を0.5kV/sで昇圧させながらサンプルの端子電極に電圧を印加し、端子電極(頭部)と主体金具との間で絶縁碍子の表面を這った火花放電(フラッシュオーバー)が生じた際の印加電圧(フラッシュオーバー電圧)を測定した。ここで、フラッシュオーバー電圧が27kVとなったサンプルは、フラッシュオーバーの抑制効果に優れるとして「○」の評価を下し、フラッシュオーバー電圧が29kVとなったサンプルは、フラッシュオーバーの抑制効果に極めて優れるとして「◎」の評価を下すこととした。一方で、フラッシュオーバー電圧が25kVとなったサンプルは、フラッシュオーバーが比較的生じやすいとして「×」の評価を下すこととした。
表1に、サンプルAの試験結果を示し、表2に、サンプルBの試験結果を示す。尚、サンプルA,Bともに、主体金具のねじ部のねじ径をM12とし、工具係合部の対辺寸法を16mmとし、後端側胴部にコルゲーション部を設けた。また、各サンプルは、接地電極を取り除くことにより中心電極と接地電極との間で火花放電が生じないようにした。尚、曲率半径R1,R2が0.00mmとあるのは、鍔部(頭部)の先端面と外周面とを直交させ、湾曲面部を設けなかったサンプルであることを意味する。
表1及び表2に示すように、鍔部を設けたサンプルAでは、曲率半径R1を0.15mm以上とすることで、鍔部を設けることなく構成したサンプルBでは、曲率半径R2を0.10mm以上とすることで、優れたフラッシュオーバーの抑制効果を実現できることが明らかとなった。これは、頭部の先端面と外周面との間の部位における電界強度を効果的に低減できたことに起因すると考えられる。尚、鍔部を設けたサンプルAにおいて曲率半径R1をより大きくすることが必要なのは、サンプルAは頭部の先端側の外径がサンプルBよりも大きく、頭部と主体金具との間の絶縁体表面を這った距離がより小さかったためであると考えられる。
また、サンプルA,Bともに、曲率半径R1,R2を1.30mm以上とすることで、フラッシュオーバーの抑制効果を著しく向上できることが分かった。
以上の試験結果より、フラッシュオーバーをより確実に抑制すべく、頭部の先端外周に湾曲面部を設けるとともに、頭部の先端側に鍔部が形成されたスパークプラグにおいては、湾曲面部の曲率半径R1を0.15mm以上とし、頭部の先端側に円柱部が形成されたスパークプラグにおいては、湾曲面部の曲率半径R2を0.10mm以上とすることが好ましいといえる。
また、フラッシュオーバーの抑制効果を一層向上させるという観点から、湾曲面部の曲率半径R1,R2を1.30mm以上とすることがより好ましいといえる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記第1実施形態では、頭部6Hにプラグキャップ等を取付けるための括れ部6Cが設けられているが、図5に示すように、頭部6Hにプラグキャップ等を螺合するための雄ねじ部6Sを設けることとしてもよい。
(b)上記実施形態では、絶縁碍子2にコルゲーション部10Cが設けられているが、コルゲーション部10Cを設けることなく絶縁碍子2を構成してもよい。
(c)上記実施形態では、中心電極5及び接地電極27間に火花放電間隙28が形成されているが、両電極5,27の少なくとも一方に貴金属合金(例えば、白金合金やイリジウム合金等)からなる貴金属チップを設け、一方の電極に設けられた貴金属チップと他方の電極との間、又は、両電極に設けられた両貴金属チップの間に火花放電間隙を形成することとしてもよい。
(d)上記実施形態における主体金具3のねじ径や後端側胴部10の外径、鍔部6F(円柱部36P)と後端側胴部10との径差は例示であって、主体金具3のねじ径や後端側胴部10の外径等は特に限定されるものではない。
(e)上記実施形態では、主体金具3の先端部26に、接地電極27が接合される場合について具体化しているが、主体金具の一部(又は、主体金具に予め溶接してある先端金具の一部)を削り出すようにして接地電極を形成する場合についても適用可能である(例えば、特開2006−236906号公報等)。
(f)上記実施形態では、工具係合部19は断面六角形状とされているが、工具係合部19の形状に関しては、このような形状に限定されるものではない。例えば、Bi−HEX(変形12角)形状〔ISO22977:2005(E)〕等とされていてもよい。
1,1A…スパークプラグ
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
6,36…端子電極
6F…鍔部
6H,36H…頭部
6W,36W…湾曲面部
CL1…軸線
2…絶縁碍子(絶縁体)
3…主体金具
4…軸孔
6,36…端子電極
6F…鍔部
6H,36H…頭部
6W,36W…湾曲面部
CL1…軸線
Claims (4)
- 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
自身の先端側が前記軸孔の後端側に挿通され、自身の後端側に前記絶縁体の後端から露出する頭部を有する端子電極とを備え、
前記軸線方向に沿った前記頭部の先端部に径方向外側に膨出する鍔部が設けられ、前記鍔部の先端面が前記絶縁体の後端面と接触するスパークプラグであって、
前記鍔部の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部が設けられており、
前記軸線を含む断面において、前記湾曲面部の曲率半径をR1(mm)としたとき、
R1≧0.15
を満たすことを特徴とするスパークプラグ。 - R1≧1.30を満たすことを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
- 軸線方向に延びる軸孔を有する絶縁体と、
前記絶縁体の外周に配置される主体金具と、
自身の先端側が前記軸孔の後端側に挿通され、自身の後端側に前記絶縁体の後端から露出する頭部を有する端子電極とを備え、
前記軸線方向に沿った前記頭部の先端側が円柱状に形成されるとともに、前記頭部の先端面が前記絶縁体の後端面と接触するスパークプラグであって、
前記頭部の先端面と外周面との間には、凸状の湾曲面部が設けられており、
前記軸線を含む断面において、前記湾曲面部の曲率半径をR2としたとき、
R2≧0.10
を満たすことを特徴とするスパークプラグ。 - R2≧1.30を満たすことを特徴とする請求項3に記載のスパークプラグ。
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JP2011147122A JP2013016295A (ja) | 2011-07-01 | 2011-07-01 | スパークプラグ |
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Family Applications (1)
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Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
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JP2016139502A (ja) * | 2015-01-27 | 2016-08-04 | 日本特殊陶業株式会社 | スパークプラグ |
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-
2011
- 2011-07-01 JP JP2011147122A patent/JP2013016295A/ja not_active Withdrawn
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20140902 |