JP2011190926A - ボールねじ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ボールねじを、ダブルナット10と、ねじ軸2と、ボール3と、リング状の非接触シール4と、エンドデフレクタ5と、環状のスペーサ6とで構成する。ダブルナット10は、第1のナット1と第2のナット1Aが間座9を介して連結されたものである。ボール戻し経路を各ナット1,1Aの内部に形成し、ダブルナット10の軸方向両端にリング状の非接触シール4を配置する。間座9に吸引穴7を形成し、給脂穴8を第1のナット1のフランジ11に形成する。
【選択図】図1
Description
下記の特許文献1には、ボールねじのボール戻し経路が、ボールを循環チューブのタングに衝突させてナットの外部にすくい上げる構造であると、衝突の際にボール等に付着しているグリースの油分が飛散して、ねじ軸とナットの間から外部に微粒子として放出されるため、発塵の原因になることが記載されている。この原因をなくすために、ボールねじのボール戻し経路を、ナットの軸方向に延びる貫通穴(ボール戻し通路)と、これに連続するボール循環コマで形成し、ボール循環コマを、ボールがタングに衝突しない状態で循環できる形状にすることが記載されている。
下記の特許文献2には、ボールねじのナットに設けた給油孔に吸引配管を接続して、ナットの内部に発生した塵埃を吸引除去することが記載されている。また、ねじ軸にグリースプレーティング(潤滑剤含有溶液に浸漬後、乾燥することで潤滑剤被膜を形成する方法)を施すことで、潤滑剤からの発塵を抑制することが記載されている。
この発明の課題は、ナット内部に発生した塵埃を外部に極力出さないようにして、従来のボールねじよりも高い発塵低減効果を得ることである。
また、非接触シールが配置されているため、ねじ軸とシールとの接触による発塵が防止される。
前記潤滑剤としては、ちょう度が300以下の低発塵性グリースを使用することが好ましい。
また、ナットの内部に潤滑剤を供給して慣らし運転をすることにより、非接触シールとねじ軸との隙間に潤滑剤を介在させると、ねじ軸と非接触シールとの間に微小な隙間ができる。よって、この発明のボールねじは、慣らし運転を行った後に使用することで吸引効率が向上する。
図1は、第1実施形態のボールねじを示す断面図である。
図1に示すように、このボールねじは、ダブルナット10と、ねじ軸2と、ボール3と、リング状の非接触シール4と、エンドデフレクタ5と、環状のスペーサ6とで構成されている。ダブルナット10は、第1のナット1と第2のナット1Aが、環状体からなる間座9を介して連結されたものである。
第1のナット1の軸方向一端にはフランジ11が形成されているが、第2のナット1Aにはフランジが形成されていない。両ナット1,1Aの内周面に螺旋溝1aが形成され、ねじ軸2の外周面に螺旋溝2aが形成されている。両ナット1,1Aの螺旋溝1aとねじ軸2の螺旋溝2aで形成される軌道の間に、ボール3が配置されている。
第1のナット1のフランジ11が形成されている部分の隣り合う螺旋溝1aの間となる位置に、内部に潤滑剤を供給する給脂穴8が、径方向に貫通する貫通穴として形成されている。給脂穴8のナット外周側は(フランジ11に配置されている部分は全て)拡径されて、給脂配管の先端を挿入して取り付ける取り付け穴81となっている。
このボールねじは、例えば以下の手順で使用される。
第1のナット1の給脂穴8の取り付け穴81に、ちょう度が300以下の低発塵グリースの給脂配管の先端を取り付け、間座9の吸引穴7の取り付け穴71に吸引配管の先端を取り付ける。そして、先ず、給脂穴8から第1のナット1の内部に、ダブルナット10の内部空間の1/4程度となる量の低発塵グリースを供給することで、グリ−ス溜まり空間46にグリースを溜める。
したがって、この実施形態のボールねじによれば、ボールねじの潤滑をダブルナットの内部へ潤滑剤を供給することで行いながら、ダブルナットの内部に発生した塵埃のほとんどが外部に向かわず吸引除去されるため、従来のボールねじよりも高い発塵低減効果が得られる。
なお、長期間の使用により、吸引時にダブルナット10の内部のグリースが吸引穴7から吸引配管に入ることが考えられるが、吸引配管にグリースを溜める部分を設けて、その部分から定期的にグリースを取り除くこと等により、長期間の使用でも吸引効率を低下させないようにすることができる。
この実施形態では、ダブルナット10の軸方向両端の凹部14に、それぞれスペーサ6を介して2枚の非接触シール41,42を取り付けている。これにより、グリース溜まり空間46が非接触シール41,42の間に形成されている。これ以外の点は第1実施形態と同じである。
図3は、第3実施形態のボールねじを示す断面図である。
第1および第2実施形態では、第1のナット1のフランジ11に給脂穴8が形成され、この給脂穴8からグリースを供給しているが、第3実施形態では、第1のナット1に給脂穴8を設けず、ねじ軸2にグリースプレーティングを施すことで潤滑を行っている。これにより、図3のボールねじは、シール4とねじ軸2との隙間がほぼ一定に保持されるとともに、吸引穴7にグリースが入らない。
ねじ軸2にグリースプレーティングを施すことに代えて、固体潤滑剤からなる被膜をねじ軸2の表面に形成することによっても、上記と同様の効果を得ることができる。前記被膜をなす固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン、有機モリブデン化合物、軟質金属(例えば、金、銀、鉛)、および高分子材料(例えば、PTFE、ポリイミド)の少なくとも1種からなるものが挙げられる。
また、これらの実施形態のボールねじは、貫通穴13からなるボール戻し通路とエンドデフレクタ5とからなるボール戻し経路を有するが、この発明は、ボール戻し経路がエンドキャップ式、循環チューブ式、コマ式であるボールねじにも適用できる。
1A 第2のナット
1a ナットの螺旋溝
10 ダブルナット
11 フランジ
13 ボール戻し通路をなす貫通穴
14 シール取り付け用の凹部
14a 凹部14の端面
15 エンドデフレクタ取り付け用の凹部
2 ねじ軸
2a ねじ軸の螺旋溝
3 ボール
4 非接触シール
41 非接触シール
42 非接触シール
46 グリース溜まり空間
5 エンドデフレクタ
6 スペーサ
7 吸引穴
71 取り付け部
8 給脂穴
81 取り付け部
9 間座
Claims (2)
- 内周面に螺旋溝が形成されたナットが間座を介して二個連結されたダブルナットと、外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、前記二個のナットの螺旋溝と前記ねじ軸の螺旋溝で形成される各軌道の間に配置されたボールと、ボールを各軌道の終点から始点に戻す二個のボール戻し経路とを備え、前記各軌道内をボールが転動することで前記ダブルナットがねじ軸に対して相対移動する、循環回路を二個有するボールねじであって、
前記ダブルナットの軸方向両端に、リング状の非接触シールが配置され、
前記ダブルナットを径方向に貫通する吸引穴が、前記間座に形成されていることを特徴とするボールねじ。 - 前記間座以外の部分に、前記ダブルナットの内部に潤滑剤を供給する給脂穴が形成されている請求項1記載のボールねじ。
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