JP5598136B2 - ボールねじ - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載されたボールねじは、低発塵性グリースで潤滑され、ねじ軸とナットの環状隙間が、ナットの軸方向両端に配置されたリング状の接触シールで塞がれている。
このボールねじ装置には、ハウジングとボールねじナットとボールスプラインナットとボールねじ軸とで囲まれた閉空間が存在し、ハウジングに吸引孔を設けている。また、ベアリング部と前記閉空間とを区画するシール部材を、ボールねじナットとボールスプラインナットの外周にそれぞれ配設している。
下記の特許文献4には、ボールねじのナットに設けた給油孔に吸引配管を接続して、ナットの内部に発生した塵埃を吸引除去することが記載されている。また、ねじ軸にグリースプレーティング(潤滑剤含有溶液に浸漬後、乾燥することで潤滑剤被膜を形成する方法)を施すことで、潤滑剤からの発塵を抑制することが記載されている。
この発明の課題は、ボールねじの潤滑をナット内部へ潤滑剤を供給することで行い、吸引を行わずに、ナット内部に発生した塵埃のボールねじ設置雰囲気への飛散を抑制することである。
したがって、前記排塵穴に配管を接続して、その先端をボールねじ設置雰囲気外に配置することで、吸引を行わずに、ナット内部に発生した塵埃のボールねじ設置雰囲気への飛散を抑制することができる。
また、非接触シールが配置されているため、ねじ軸とシールとの接触による発塵が防止される。
前記排塵穴は、ナットの軸方向中央部またはその近くのランド部(ナットの内周面で隣り合う螺旋溝の間となる部分)の位置に、ランド部の幅(軸方向寸法)よりも小さい直径で形成されていることが好ましい。
なお、潤滑剤としては、ちょう度が300以下の低発塵性グリースを使用することが好ましい。
また、この発明のボールねじは、前記ナットを、前記排塵穴と連通する貫通穴が形成されたハウジングに固定し、前記貫通穴を介して前記配管を前記排塵穴に接続して使用することもできる。
図1および2は、この実施形態のボールねじがハウジングに固定された状態を示す断面図である。いずれも軸の中心線を含む軸方向に沿った断面図であって、互いに直交する断面を示している。
これらの図に示すように、このボールねじは、ナット1と、ねじ軸2と、ボール3と、リング状の非接触シール4と、エンドデフレクタ5と、環状のスペーサ6で構成されている。ナット1の内周面に螺旋溝1aが形成され、ねじ軸2の外周面に螺旋溝2aが形成されている。ナット1の螺旋溝1aとねじ軸2の螺旋溝2aで形成される軌道の間に、ボール3が配置されている。ナット1の軸方向一端にはフランジ11が形成されている。フランジ11にはボルト挿入穴11aが形成されている。
ねじ軸2の螺旋溝2aの断面形状は、研削逃げ溝が形成されていない単純なゴシックアーク形状である。これに対応させて、非接触シール4の内周部の形状を、ねじ軸2と非接触シール4とで形成される円環状隙間が周方向全体でほぼ同じ(0.1mm以下)になるようにしてある。また、非接触シール4の外径は、ナット1の凹部14の内径との差が0.1mm以下となっている。
先ず、筒状のハウジング9として、ナット1の排塵穴7の大径部71に対応する位置に雌ねじ91が形成され、フランジ11のボルト挿入穴11aに対応する位置に雌ねじ92が形成されたものを用意する。このハウジング9をクリーンルーム内に配置し、このハウジング9にナット1のフランジ11以外の部分を挿入する。次に、ナット1の排塵穴7とハウジング9の雌ねじ91を合わせ、フランジ11のボルト挿入穴11aとハウジング9の雌ねじ92を合わせて、ボルト挿入穴11aからボルト94を挿入して雌ねじ92に螺合する。
次に、ナット1の給脂穴8の取り付け穴81に、ちょう度が300以下の低発塵グリースの給脂配管の先端を取り付ける。そして、先ず、給脂穴8からナット1の内部に、内部空間の1/4程度となる量の低発塵グリースを供給することで、グリ−ス溜まり空間46にグリースを溜める。
この状態でボールねじの運転を開始すると、ナット1に対するねじ軸2の相対移動で、ナット1の内部が負圧となり、ナット1の軸方向両端の非接触シール4とねじ軸2との間から、外部の空気がナット1の内部に流れ込む。この流れ込んだ空気が排塵穴7からハウジング9の雌ねじ91を通って配管100に入り、クリーンルームの外部に排出される。また、この空気の流れ込みにより、ナット1の内部の空気が非接触シール4とねじ軸2との隙間を通って外部に向かうことが妨げられる。また、非接触シール4を用いているため、ねじ軸2との接触による発塵が防止される。
なお、この実施形態では、排塵穴7をナット1に一つだけ設けているが、複数設けてもよい。
また、ハウジング9を介さずにナット1に配管100を取り付ける場合には、例えば、図3に示すように、ナット1の排塵穴7の大径部72を雌ねじ状に形成し、この雌ねじ72にL字状継手10の一方の取り付け部10aを螺合する。そして、他方の取り付け部10bに配管100の一端を取り付け、この配管100の他端をクリーンルーム外に配置する。
ナット1の外周面はナット1を固定する機械のハウジングに嵌合されることが多く、その場合には、図3のようにナット1の外周部に配管100のL字状継手10を取り付けることが難しい。よって、ハウジング9を介さずにナット1に直接配管100を取り付ける場合には、図4に示すように、フランジ11の位置に排塵穴7を設けて、フランジ11の外周部に配管100のL字状継手10を取り付けることが好ましい。
1a ナットの螺旋溝
11 フランジ
11a ボルト挿入穴
13 ボール戻し通路をなす貫通穴
14 シール取り付け用の凹部
14a 凹部14の端面
15 エンドデフレクタ取り付け用の凹部
2 ねじ軸
2a ねじ軸の螺旋溝
3 ボール
4 非接触シール
46 グリース溜まり空間
5 エンドデフレクタ
6 スペーサ
7 排塵穴
71 大径部
71a 大径部の雌ねじ
72 雌ねじ状の大径部
8 給脂穴
81 取り付け穴
9 ハウジング
91 雌ねじ
92 雌ねじ
10 継手
10a 接続部
10b 接続部
100 配管
Claims (3)
- 内周面に螺旋溝が形成されたナットと、外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、ナットの螺旋溝とねじ軸の螺旋溝で形成される軌道の間に配置されたボールと、ボールを軌道の終点から始点に戻すボール戻し経路とを備え、前記ナットには内部に潤滑剤を供給する給脂穴が形成され、前記軌道内をボールが転動することで前記ナットがねじ軸に対して相対移動するボールねじであって、
前記ボール戻し経路がナットの内部に形成され、
前記ナットの軸方向両端に、リング状の非接触シールが前記ねじ軸に対して0.1mm以下の隙間で配置され、
前記ナットを径方向に貫通する排塵穴が、前記給脂穴とは別に、前記軌道の範囲内に形成され、
前記排塵穴に配管が接続され、前記配管の先端がボールねじ設置雰囲気外に配置され、前記配管からの吸引を行わずに使用されることを特徴とするボールねじ。 - 前記非接触シールが前記ナットの内周面に設けた凹部内に配置され、前記ナットの軸方向両端にグリース溜まり空間を有する請求項1記載のボールねじ。
- 前記ナットが、前記排塵穴と連通する貫通穴が形成されたハウジングに固定され、前記貫通穴を介して前記配管を前記排塵穴に接続して使用される請求項1または2記載のボールねじ。
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