JP5790136B2 - グリース封入密封複列円錐コロ軸受 - Google Patents
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Description
また、軸受装置を組み込む軸箱82には、その内周部の外輪外径溝と対向する部位に溝(以下、軸箱内径溝という)82aが全周に亘って形成されているとともに、当該軸箱内径溝82aから軸箱82の外周部までを貫通する孔(以下、ガン孔という)82bが形成されている。
軸受装置に対してグリースを補給する際には、軸箱82のガン孔82bへグリースガンなどと接続するカプラ84を挿入し、当該カプラ84からグリースを噴出させることで、軸箱内径溝82a及び外輪外径溝72aを経由して給脂孔72bから軸受内部へグリースを吐出させている。
また、中間給脂以外の時期においても、軸受装置の稼働中(端的には、軸受Bの回転中)の振動によって、軸箱内径溝82a及び外輪外径溝72aに充填されているフレッチング摩耗粉混入グリースが、重力の作用によって外輪72の給脂孔72bから軸受B内へ流動してしまう場合がある。この場合にも、中間給脂の場合と同様のグリース劣化や軸受寿命低下などを招く虞がある。
前記グリース給脂孔は、テーパ状のネジ溝を有したネジ孔であり、前記封止部材は、テーパ状のネジ溝を有したネジ構造体である。
図1には、このような軸受装置の構成例が示されており、かかる軸受装置は、複数の転動体(一例として、円すいころ)6a,6bを介して相対回転可能に対向配置された外方軌道輪4及び内方軌道輪2と、前記外方軌道輪4を組み込んで位置決め固定するための略円筒状の軸箱30と、内部を外部から封止して密封状態に保つための密封部材(シールケース16及びオイルシール18)とを備えている。
内輪2(第1の内輪2a及び第2の内輪2b)は、車軸Sに外嵌された環状の位置決め部材(後ろ蓋F、油切りP及び内輪間座14)によって軸方向(図1においては、左右方向)に対して位置決めされている。この場合、第1の内輪2aの端面2eと後ろ蓋Fの端面F1とが当接し、第2の内輪2bの端面2fと油切りPの端面P1とが当接している。また、第1の内輪2aの端面2cと内輪間座14の端面14aとが当接し、第2の内輪2bの端面2dと内輪間座14の端面14bとが当接している。
また、転動体としては、円すいころ6a,6bを組み込む場合を想定しているが、このような円すいころではなく、円筒ころや球面ころ(たる型ころ)、中空ころ、あるいは玉などを組み込むことも想定可能である。
この状態において、後ろ蓋Fは、一端側(例えば、車軸Sの軸端St側(図1の左側))の端面F1が、対向する内輪2(第1の内輪2a)の端面2eに軸方向(一例として、同図においては、右方)から当接している。
この状態において、油切りPは、一端側(一例として、図1においては、右側)の端面P1が、対向する内輪2(第2の内輪2b)の端面2fに軸方向(一例として、同図においては、左方)から当接するとともに、他端側(例えば、車軸Sの軸端St側(同図の左側))の端面P4が固定ナット12と当接する。
これにより、内輪2は、第1の内輪2aと第2の内輪2bの間に内輪間座14を介在させ、後ろ蓋F及び油切りPを介して車軸Sの外周面段差部S1と固定ナット12との間で挟み付けられた状態で、車軸Sの軸端St側(図1の左側)から回り止めリング22を介してボルト24で固定(緩み止め)されている。
シールケース16は、断面視階段状(例えば、3段)の円筒をなし、その一端側(大径側)が外輪4に内嵌され、その他端側(小径側)が後ろ蓋F及び油切りP方向に延出し、その延出端は後ろ蓋F及び油切りPとは非接触状態に位置付けられている。そして、シールケース16と後ろ蓋Fとの間、並びにシールケース16と油切りPとの間には、軸受装置内部を装置外部から封止するためのオイルシール18が介在されている。なお、オイルシール18としては、例えば、断面形状が略L字状を成す円環状のシール芯金の一部に、各種の弾性材(例えば、ゴムやプラスチックなどの樹脂材)でなる複数のシールリップ(オイルリップやダストリップなど)を連結して構成され、当該シールリップを後ろ蓋F及び油切りPの外周面F2,P2に摺接させる多リップシールなどを適用すればよい。
そして、軸受装置に対し、グリース給脂孔42と軸箱貫通孔32hを連通させた状態で、これら軸箱貫通孔32h及びグリース給脂孔42へ連通管26を挿入し、当該連通管26を通して軸箱30の外部から内部へ潤滑用のグリースが補給される。
一方、図1及び図2(a)に示すように、連通管26は、軸箱貫通孔32h及びグリース給脂孔42への挿入方向へ向かうに従って先細りとなっており、その外周部に前記軸箱貫通孔32hの入口部のテーパ状のネジ溝32aと螺合可能なネジ溝26aが形成されている。すなわち、連通管26は、その外周部にテーパ状のネジ溝26aを有したネジ構造体となっている。
本実施形態においては、軸箱後蓋36に対し、上記軸方向の他方側の端部(図1においては、左端部)36aの外周縁から軸方向(同図においては、左方)へ突出する3つの凸部38が周方向へ等間隔(120°の位相差)で設けられているとともに、外輪4に対し、上記軸方向の一方側の端部(同図においては、右端部)4aの外周縁近傍を軸方向(同図においては、左方)へ窪ませた(別の捉え方をすれば、当該外周縁近傍を縮径させた)3つの凹部44が周方向へ等間隔(120°の位相差)で設けられている。
なお、これらの凸部と凹部は、相互に嵌合可能であれば、いずれも軸箱後蓋36の端部36a、あるいは外輪4の端部4aへ設けることが可能であり、凸部及び凹部の形状や大きさ、個数なども任意に設定することが可能である。例えば、軸箱後蓋36及び外輪4にそれぞれ2つ以下、あるいは4つ以上の凸部38及び凹部44を設けてもよいし、軸箱後蓋36及び外輪4にそれぞれ凸部と凹部の両方を設けてもよい。
このように、軸箱後蓋36の端部36aに3つの凸部38を設けるとともに、外輪4の端部4aに3つの凹部44を設けることで、これらの凸部38と凹部44を相互に嵌合させるだけで、外輪4を軸箱後蓋36、ひいては軸箱30に対して組み込み、当該軸箱30に対して位置決めさせることができる。
すなわち、外輪4のグリース給脂孔42及び軸箱本体32の軸箱貫通孔32h、そして、外輪4の凹部44及び軸箱後蓋36の凸部38は、これらの凸部38と凹部44を相互に嵌合させた状態(すなわち、外輪4が軸箱30に対して位置決めされた状態)において、グリース給脂孔42と軸箱貫通孔32hが連通され、連通管26を挿入可能となるように、それぞれの位置を相互に調整して外輪4及び軸箱30(軸箱本体32、軸箱後蓋36)に配されている。一例として、図1及び図3には、軸箱後蓋36及び外輪4に対し、周方向へ等間隔(120°の位相差)で3つの凸部38及び凹部44を配するとともに、外輪4の各凹部44に対して周方向へ180°対向する位置に、3つのグリース給脂孔42を周方向へこれら凹部44と同一間隔(120°の位相差をなす等間隔)で配している。つまり、外輪4は、3つの凹部44と3つのグリース給脂孔42が周方向に対して等間隔(60°の位相差)で1つずつ交互に配された構成となっている。
これにより、軸箱貫通孔32hと連通させたグリース給脂孔42へ挿入された連通管26の挿入方向の一方側(図1及び図2(a)においては、上側)は、密封部材(Oリング)28によってグリース給脂孔42と密着される。同時に、外輪4の外周部と軸箱30(軸箱本体32)の内周部の間の間隙と、グリース給脂孔42との連通部分(端的には、溝50)が密封部材(Oリング)28によって封止される。
すなわち、連通管26と軸箱貫通孔32h及びグリース給脂孔42との間の間隙が螺合させたテーパ状のネジ溝26a,32aによって封止されるだけでなく、当該間隙を密封部材(Oリング)28によっても封止することができ、装置内部をより確実に密封することができる。また、外輪4の外周部と軸箱30(軸箱本体32)の内周部との間の間隙を密封部材(Oリング)28によってグリース給脂孔42に対して封止することができ、これら外輪4と軸箱30(軸箱本体32)の微小変動の繰り返しによってフレッチング摩耗が生じた場合であっても、その摩耗粉のグリース給脂孔42への侵入を確実に防止することができる。
したがって、カプラ52の基端部(接続口)52aにグリースの補給タンク等とつながるグリースガン(図示しない)などを接続し、当該グリースガンからグリースを噴出させることで、連通管26を通して装置内部(一例として、2列の転動体軌道の列間)へグリースを吐出させることができる。
すなわち、本実施形態によれば、軸受装置の稼働中、外輪4の外周部と軸箱30(軸箱本体32)の内周部との間でフレッチング摩耗が生じた場合であっても、その摩耗粉のグリース給脂孔42への侵入を密封部材(Oリング)28によって防止しつつ、連通させた軸箱貫通孔32hとグリース給脂孔42へ挿入した連通管26を通して軸受装置の内部へグリースを補給することができる。つまり、中間給脂などのグリース補給時はもちろん、中間給脂時以外の時においても、軸受装置の内部へのフレッチング摩耗粉の侵入を確実に防止することができる。
このため、連通グリース給脂孔が軸箱30(軸箱本体32)の軸箱貫通孔32hと連通され、当該連通グリース給脂孔へ連通管26が挿入された状態においては、非連通グリース給脂孔を所定の封止部材によって封止している。本実施形態においては、一例として封止部材がネジ状の封止栓である場合を想定しており、当該封止栓を非連通グリース給脂孔に対して螺合させることで、当該非連通グリース給脂孔を封止している。
一方、図2(b)に示すように、封止栓54は、非連通グリース給脂孔42への挿入方向へ向かうに従って先細りとなっており、その外周部に非連通グリース給脂孔42のテーパ状のネジ溝42aと螺合可能なネジ溝54aが形成されている。すなわち、封止栓54は、その外周部にテーパ状のネジ溝54aを有したネジ構造体となっている。
なお、封止栓54は、そのネジ溝54aを非連通グリース給脂孔42のネジ溝42aと螺合させた際、非連通グリース給脂孔42への取付方向(図1においては、下から上へ向かう方向)とは反対側の端部54bが軸箱本体32の内周部とちょうど当接した状態、あるいは非接触状態となるように、前記取付方向への長さ(寸法)が調整されている。
例えば、図4に示す本発明の第2実施形態に係る軸受装置のようなテーパ構造とすることも可能であり、軸箱後蓋36の端部36a及び外輪4の端部4aにそれぞれキー溝加工を施し、キーでグリース給脂孔42と軸箱貫通孔32hの位置合わせを行うことも可能である。すなわち、グリース給脂孔42と軸箱貫通孔32hの位置合わせを容易に行うことが可能であれば、任意の手段であって構わない。
以下、本発明の第2実施形態に係る軸受装置の構成について説明する。その際、グリース給脂孔42と軸箱貫通孔32hの位置合わせのための手段であるテーパ構造以外の軸受装置の構成は、上述した第1実施形態(図1から図3)と同様であるため、以下では、第2実施形態に特有のグリース給脂孔42と軸箱貫通孔32hの位置合わせ用テーパ構造についての説明に止める。
4 外方軌道輪(外輪)
6a,6b 転動体(円すいころ)
16 シールケース
18 オイルシール
26 連通管
30 軸箱
32h 貫通孔(軸箱貫通孔)
42 グリース給脂孔
Claims (5)
- 複数の転動体を介して相対回転可能に対向配置された外方軌道輪及び内方軌道輪と、前記外方軌道輪を組み込んで位置決め固定するための略円筒状の軸箱と、内部を外部から封止して密封状態に保つための密封部材とを備え、内部へ潤滑用のグリースが封入されたグリース封入密封複列円錐コロ軸受であって、
前記外方軌道輪には、その外周部から内周部までを貫通するグリース給脂孔が複数形成され、前記軸箱には、その外周部から内周部までを貫通し、前記グリース給脂孔のいずれか一つと連通可能なテーパ状のネジ溝を有する貫通孔が形成されており、
前記複数の内一つのグリース給脂孔と前記貫通孔を連通させた状態で、これらグリース給脂孔及び貫通孔へテーパ状のネジ溝を有する連通管を挿入し、当該連通管を通して前記軸箱の外部から内部へ潤滑用のグリースが補給され、
前記複数の内残りのグリース給脂孔は、所定の封止部材を当該グリース給脂孔に対して螺合させて封止されることを特徴とするグリース封入密封複列円錐コロ軸受。 - 前記軸箱は、前記外方軌道輪の軸方向に対して一方側の端部と当接する軸箱後蓋を備え、当該軸箱後蓋は、軸方向に対して他方側の端部を前記外方軌道輪の端部と当接させており、
前記軸箱後蓋の端部及び前記外方軌道輪の端部には、その一方に凸部が設けられ、他方に当該凸部と嵌合可能な凹部が設けられており、これらの凸部と凹部を相互に嵌合させた状態において、前記グリース給脂孔と前記貫通孔との位置決めを行い、前記グリース給脂孔と前記貫通孔が連通され、これらグリース給脂孔及び貫通孔に対して連通管が挿入可能となることを特徴とする請求項1に記載のグリース封入密封複列円錐コロ軸受。 - 前記外方軌道輪には、複数の前記グリース給脂孔が周方向へ所定間隔で形成されており、これら各グリース給脂孔をそれぞれ前記貫通孔と連通させるための前記凸部もしくは前記凹部が周方向へ前記グリース給脂孔と同一間隔で設けられていることを特徴とする請求項2に記載のグリース封入密封複列円錐コロ軸受。
- 前記外方軌道輪には、前記グリース給脂孔の外周部側の開口周りに密封部材が装着されており、
前記貫通孔と連通させた前記グリース給脂孔へ挿入された前記連通管の当該挿入方向の一方側は、前記密封部材により前記グリース給脂孔と密着され、
前記連通管の前記挿入方向の他方側には、当該連通管を潤滑用グリースの補給源と接続するための接続具が設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のグリース封入密封複列円錐コロ軸受。 - 前記グリース給脂孔は、テーパ状のネジ溝を有したネジ孔であり、
前記封止部材は、テーパ状のネジ溝を有したネジ構造体であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のグリース封入密封複列円錐コロ軸受。
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