JP2016153685A - 転がり軸受 - Google Patents

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【課題】耐焼き付き性を向上させることができる転がり軸受を提供する。【解決手段】転がり軸受の保持器1は、内輪3と外輪2との間に転動可能に配置された複数の転動体4を周方向に所定間隔毎に保持する複数のポケット5を有する。保持器1の外周面および内周面のうち少なくとも一方の周面において、各ポケット5の周囲に沿ってそれぞれ凹部21が形成されている。また、前記一方の周面の少なくとも軸方向中央部には、周方向に隣り合う凹部21同士を連通する溝部22が形成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受に関する。
転がり軸受の転動体である玉を保持する樹脂製保持器として、いわゆる片抱きタイプの保持器が知られている。ここで「片抱き」とは、転動体を軸方向一方側から抱き込んで保持することを意味する。片抱きタイプの保持器は、玉を保持するためのポケットが周方向に等間隔で複数形成されており、各ポケットは玉を取り付けるために軸方向一方側に開口した形状となっている(例えば、特許文献1参照)。
片抱きタイプの保持器はこのような構成であることから、この保持器を備えた転がり軸受が高速で回転すると、遠心力によって、保持器の軸方向一方側、つまりポケットの開口側が開くように変形することで、保持器と玉とが干渉する場合がある。この場合、転がり軸受に異常昇温等が発生し、転がり軸受の運転が困難になる。
そこで、高速回転の条件下でも使用可能となる樹脂製保持器が開発されている(例えば、特許文献2参照)。この樹脂製保持器は、いわゆる両抱きタイプの保持器であって、軸方向に二分割された円環状の分割体から成り、これらの分割体を連結することにより保持器を完成体としている。ここで「両抱き」とは、転動体を軸方向両側からそれぞれ抱き込んで保持することを意味する。
特開2002−327760号公報 特開2009−115128号公報
上記両抱きタイプの樹脂製保持器をグリース潤滑で使用する場合、内外輪における玉の転走面や保持器のポケット内に存在するグリースは、玉の自転や保持器の公転によって前記転走面の軸方向両側方(非転走面)に押し退けられやすい。このため、転がり軸受内にグリースが残留していても、十分な潤滑を得られずに、転がり軸受に焼き付きが発生するおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、耐焼き付き性を向上させることができる転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、内輪と、外輪と、前記内外輪の間に転動可能に配置された複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向に所定間隔毎に保持する複数のポケットを有する環状の保持器と、を備えた転がり軸受であって、複数の転動体を周方向に所定間隔毎に保持する複数のポケットを有する環状の保持器と、を備えた転がり軸受であって、前記保持器の外周面および内周面のうち少なくとも一方の周面において、前記各ポケットの周囲に沿ってそれぞれ形成された凹部と、前記一方の周面の少なくとも軸方向中央部に形成され、周方向に隣り合う前記凹部同士を連通する溝部と、を備えていることを特徴とする。
上記のように構成された転がり軸受によれば、グリース等の潤滑剤は、保持器の周面に対向する外輪又は内輪における転動体の転走面から、転動体の自転により当該転走面の軸方向両側方へ押し退けられると、ポケットの周囲に形成された凹部に沿って溝部に導かれる。そして、溝部に導かれた潤滑剤は、保持器の公転により隣接するポケット側に形成された凹部の軸方向中央部から前記転走面に再び供給される。このように、前記転走面の軸方向両側方に押し退けられた潤滑剤は、凹部および溝部に導かれて再び軸方向中央部の前記転走面に供給されるため、前記転走面において潤滑不足が発生するのを抑制することができる。その結果、耐焼き付き性を向上させることができる。
上記転がり軸受において、前記内輪または外輪の軸方向両端部には、前記内外輪の間の環状空間を密封する一対の環状のシールド部材がそれぞれ取り付けられており、前記保持器の軸方向の側面が、当該側面と対向する前記シールド部材に近接して配置されているのが好ましい。
この場合、保持器の軸方向の側面と当該側面に対向するシールド部材との間に形成される軸方向の隙間を、従来の保持器に比べて狭くすることができる。これにより、一対のシールド部材の間に封入された潤滑剤を、従来の保持器に比べて、前記隙間以外の保持器の凹部や溝部に多く存在させることができるため、耐焼き付き性をさらに向上させることができる。
上記転がり軸受において、前記保持器の周面が、当該周面に対向する前記内輪または外輪の周面に近接して配置されているのが好ましい。
この場合、保持器の周面と当該周面に対向する外輪または内輪の周面との間に形成される隙間を、従来の保持器に比べて狭くすることができる。これにより、一対のシールド部材の間に封入された潤滑剤を、従来の保持器に比べて、前記隙間以外の保持器の凹部や溝部にさらに多く存在させることができるため、耐焼き付き性をさらに向上させることができる。
上記転がり軸受において、前記溝部の軸方向寸法は、前記一方の周面における前記ポケットの開口の軸方向寸法以下に設定されているのが好ましい。
この場合、前記転走面上に存在する潤滑剤の量が多い場合には、例えば溝部の軸方向寸法を、ポケットの軸方向寸法と同一寸法に設定して軸方向に幅広に形成することで、溝部による潤滑剤の案内を円滑に行うことができる。また、前記転走面上に存在する潤滑剤の量が少ない場合には、溝部の軸方向寸法を、ポケットの軸方向寸法よりも小さく設定して軸方向に幅狭に形成することで、潤滑剤を溝部により前記転走面に効率的に集めることができる。
本発明の転がり軸受によれば、耐焼き付き性を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る転がり軸受の保持器を示す斜視図である。 上記転がり軸受の断面図である。 上記保持器の両分割体を分離させた状態の一方の分割体の一部を示す側面図である。 上記転がり軸受の運転中におけるグリースの流れを示す上記保持器の正面図であり、(a)はグリースが上記保持器の凹部により案内されている状態を示し、(b)はグリースが上記保持器の溝部により案内されている状態を示している。
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る転がり軸受の樹脂製保持器1(以下、単に保持器1ともいう)を示す斜視図である。図2は、この転がり軸受の断面図である。図2において、この転がり軸受は、外輪(固定輪)2と、内輪(回転輪)3と、外輪2と内輪3との間に転動自在に設けられた複数の玉(転動体)4と、これらの玉4を周方向に沿って所定間隔毎に保持している保持器1とを備えている。
外輪2及び内輪3は、例えば軸受鋼(SUJ2)や機械構造用鋼(S55C)から形成されている。外輪2は、図示していないハウジングの内面に嵌め入れられる環状の部材である。この外輪2の内周面には、外輪軌道(固定側軌道)2aが形成されている。
内輪3は、図示していない回転軸に外嵌される環状の部材である。この内輪3の外周には、外輪軌道2aに対向している内輪軌道(回転側軌道)3aが形成されている。
玉4は、軸受鋼等を用いて形成された球形の部材であり、外輪軌道2aと内輪軌道3aとの間に転動自在に介在している。
外輪2の内周面の軸方向両端部には環状の外切欠部2bが形成されている。外切欠部2bは、外輪2の軸方向一端部の内周に形成された外切欠周面2b1と、外切欠周面2b1の軸方向一端から径方向内方に延びる外切欠端面2b2とを有する。
内輪3の外周面の軸方向両端部には環状の内切欠部3bが形成されている。内切欠部3bは、内輪3の軸方向一端部の外周に形成された内切欠周面3b1と、内切欠周面3b1の軸方向一端から径方向外方に延びる内切欠端面3b2とを有する。
保持器1は、軸方向に二分割されており、円環状である一対の分割体10を備えている。これらの分割体10を軸方向に組み合わせることで一つの保持器1が構成される。
図1において、この保持器1には、周方向等間隔で複数のポケット5が形成されている。ポケット5は、玉4(図2参照)の直径よりも僅かに大きな直径を有する球の表面に沿った凹状の部分球形状を有している。そして、このポケット5に玉4が保持され、玉4は回転自在となる。なお、本実施形態の保持器1は、転動体案内方式の保持器であり、外輪2の内周面および内輪3の外周面には接触しないようになっている。
分割体10は、樹脂製(合成樹脂製)であり、特にポリアミド樹脂などの軟質樹脂製であるのが好ましい。分割体10を軟質樹脂製とした場合、後述する係合爪が係合溝に係合されたときに変形しても折れにくくなり、両分割体10同士を連結するときに、各分割体10が変形して破損するのを防止することができる。
本実施形態では、両分割体10は同じ形状とされている。分割体10は、ポケット部11と連結部12とを周方向に沿って交互に備えている。ポケット部11は、ポケット5を構成するための半割ポケット面13が形成されている部分である。連結部12は、相手側の分割体10(連結部12)と連結させるための部分である。
連結部12には、軸方向に向く面である連結面14が形成されており、この連結面14が、相手側の分割体10の連結面14と接するようになっている。これにより、ポケット部11と連結部12とが周方向に沿って交互に複数(図例では8個ずつ)形成される。連結面14には、例えば係合爪および係合溝が形成されており(図示省略)、これらの係合爪および係合溝が相手側の分割体10の連結面14に形成された係合溝および係合爪とそれぞれ係合し合うことで、これらの連結部12同士が連結されて両分割体10を一体化することができる。
図2において、外輪2には、金属製の環状板部材からなる一対のシールド部材7が設けられている。このシールド部材7は、外輪2と内輪3との間に形成された環状空間6を密封する機能を有している。これにより、シールド部材7は、軸受外部に存在する異物が環状空間6に侵入するのを防ぐとともに、環状空間6に封入されたグリース(潤滑剤)が軸受外部へ流出するのを防止している。グリースは、玉4と、上記各軌道2a,3aにおける玉4の転走面との間を潤滑するものであり、例えばグリースは増ちょう剤と基油とその他添加剤とを含む。増ちょう剤は、Li石けん、Li複合石けんなどの石けん、ウレア、ベントン、ポリテトラフルオロエチレンなどを用いることができる。基油は、鉱油、合成炭化水素油、エステル油、エーテル油、シリコン油、フッ素油などを用いることができる。
一対のシールド部材7は、環状空間6の軸方向両側にそれぞれ設けられている。各シールド部材7は、円環部7aと、この円環部7aの外周端部から軸方向内方に延びる円筒部7bとを有している。円筒部7bの外周面は外輪2の外切欠周面2b1に圧入嵌合され、円筒部7bの軸方向の端面は外輪2の外切欠端面2b2に当接している。これにより、シールド部材7は、外輪2に固定されている。
外輪2と内輪3とは相対回転可能であることから、シールド部材7は内輪3に対して相対回転可能となる。各シールド部材7の内周面は、内輪3の内切欠周面3b1に対して径方向に微小な隙間を有して対向している。この隙間によって、シールド部材7は、内輪3と非接触でありながら密封性を確保している。なお、シールド部材7は、円環部7aと円筒部7bとによって構成されているが、円環部7aのみによって構成されていても良い。
保持器1は、各シールド部材7と保持器1の軸方向両側の外側面15との間に大きな隙間が生じないように、軸方向に長く形成されている。すなわち、保持器1の各分割体10の軸方向の外側面15は、当該外側面15に対向するシールド部材7の内側面に近接して配置されている。具体的には、各分割体10の外側面15は、保持器1の軸方向の幅寸法Wが一対のシールド部材7の軸方向の離間距離Lの98.78%〜99.65%となるように、対向するシールド部材7の内側面に近接して配置されるのが好ましい。
上記の離間距離L対する幅寸法Wの比率の最小値Ramin(=98.78)及び最大値Ramax(=99.65)は、以下の考えに基づいて算出することができる。
幅寸法Wは、保持器1が軸方向に動いたときにシールド部材7と接触しない範囲で設定されていれば良い。具体的には、保持器1は、玉4と保持器1との軸方向の隙間寸法δa、及び転がり軸受の軸方向の隙間寸法δb(但し、δa≧δb)の分だけ軸方向に動くことができる。そのため、この軸方向に移動可能な軸方向移動距離(=δa+δa)の最大値を離間距離Lから差し引いた値が幅寸法Wの最小値Wminとなり、上記軸方向移動距離の最小値を離間距離Lから差し引いた値が幅寸法Wの最大値Wmaxとなる。
上記軸方向移動距離の最大値はδbを最大値δbmaxとした場合であり、上記軸方向移動距離の最小値はδb=δaとした場合である。したがって、幅寸法Wの最小値Wmin及び最大値Wmaxは、下記の式(1)及び式(2)によりそれぞれ算出することができる。
min=L−(δa+δbmax) ・・・(1)
max=L−2δa ・・・(2)
したがって、離間距離Lに対する幅寸法Wの比率の最小値Ramin及び最大値Ramaxは、下記の式(3)及び式(4)により算出することができる。
Ramin=(L−(δa+δbmax))/L×100(%) ・・・(3)
Ramax=(L−2δa)/L×100(%) ・・・(4)
また、保持器1は、外輪2の内周面と保持器1の外周面との間、および内輪3の外周面と保持器1の内周面との間にそれぞれ大きな隙間が生じないように、径方向の厚みが厚く形成されている。すなわち、保持器1の各分割体10の外周面は外輪2の内周面に近接して配置され、各分割体10の内周面は内輪3の外周面に近接して配置されている。
具体的には、各分割体10の外周面(内周面)は、各分割体10の径方向の厚み寸法tが外輪2の内周面と内輪3の外周面との間の径方向の離間距離sの98.74%〜99.67%となるように、対向する外輪2の内周面(内輪3の外周面)に近接して配置されるのが好ましい。
上記の離間距離s対する厚み寸法tの比率の最小値Rbmin(=98.74)及び最大値Rbmax(=99.67)は、以下の考えに基づいて算出することができる。
厚み寸法tは、保持器1が径方向に動いたときに外輪2及び内輪3と接触しない範囲で設定されていれば良い。具体的には、保持器1は、玉4と保持器1との径方向の隙間寸法δc、及び転がり軸受の径方向の隙間寸法δd(但し、δd≧δc)の分だけ径方向に動くことができる。そのため、この径方向に移動可能な径方向移動距離(=δc+δd)の最大値を離間距離sから差し引いた値が厚み寸法tの最小値tminとなり、上記径方向移動距離の最小値を離間距離sから差し引いた値が幅寸法Wの最大値tmaxとなる。
上記径方向移動距離の最大値はδdを最大値δdmaxとした場合であり、上記径方向移動距離の最小値はδd=δcとした場合である。したがって、厚み寸法tの最小値tmin及び最大値tmaxは、下記の式(5)及び式(6)によりそれぞれ算出することができる。
min=s−(δc+δdmax) ・・・(5)
max=s−2δc ・・・(6)
したがって、離間距離sに対する厚み寸法tの比率の最小値Rbmin及び最大値Rbmaxは、下記の式(7)及び式(8)により算出することができる。
Rbmin=(s−(δc+δdmax))/s×100(%) ・・・(7)
Rbmax=(s−2δc)/s×100(%) ・・・(8)
以上のように、保持器1は、軸方向に長く形成されるとともに、径方向の厚みが厚くなるように形成されているため、環状空間6を保持器1によって埋めることができる。これにより、保持器1の外周面と外輪2の内周面との隙間、保持器1の内周面と内輪3の外周面との隙間、および保持器1の軸方向両側面と各シールド部材7との間に形成される隙間が狭くなる。したがって、環状空間6に封入されたグリースを、上記各隙間よりも後述する凹部21および溝部22に多く存在させることができる。
図3は、保持器1の両分割体10を分離させた状態の一方の分割体10の一部を示す側面図である。図1及び図3に示すように、保持器1の外周面および内周面には、各ポケット5の周囲に沿って真円環状に形成された複数の凹部21と、周方向に隣接する凹部21同士を連通する溝部22とが形成されている。
凹部21は、両分割体10の半割ポケット面13の径方向外端縁(径方向内端縁)に沿ってそれぞれ形成された一対の半割凹部21aによって構成されている(図2も参照)。半割凹部21aは、断面凹円弧状に形成されている。
なお、凹部21は、全体として真円環状に形成されているが、楕円環状に形成されていても良い。また、半割凹部21aは、断面凹円弧状に形成されているが、断面テーパ状に形成されていても良い。
溝部22は、保持器1の外周面および内周面の軸方向中央部において周方向に延びて形成されている。具体的には、溝部22は、両分割体10の外周面(内周面)の連結面14側の端縁に沿ってそれぞれ形成された一対の半割溝部22aによって構成されており、全体として凹円弧状に形成されている。
なお、溝部22は、凹円弧状に形成されているが、断面テーパ状に形成されていても良い。
図1に示すように、溝部22の軸方向寸法d1(d2)は、当該溝部22が形成された外周面(内周面)におけるポケット5の開口の軸方向寸法D1(D2)以下となるように設定されている。また、図2および図3に示すように、溝部22は、当該溝部22により連通される凹部21と同一の深さに形成されている。
図4は、転がり軸受の運転中におけるグリースの流れを示す保持器1の正面図である。図4(a)はグリースが凹部21により案内されている状態を示し、図4(b)はグリースが溝部22により案内されている状態を示している。以下、図2、図4(a)および図4(b)を参照して、転がり軸受の運転中におけるグリースの流れについて説明する。
図2において、転がり軸受の運転中において、外輪軌道2a(内輪軌道3a)の軸方向中央部における玉4の転走面に存在するグリースGは、図中の二点鎖線矢印で示すように、玉4の自転により前記転走面の軸方向両側方にそれぞれ押し退けられる。このように押し退けられたグリースGは、ポケット5の軸方向両側から保持器1の各分割体10の外周面(内周面)に形成された半割凹部21aにそれぞれ流れ込む。
図4(a)において、ポケット5の軸方向両側から半割凹部21aに流れ込んだグリースGは、保持器1が図中の白抜き矢印の方向へ公転することにより、半割凹部21aに沿ってその周方向一方側(ここでは、当該半割凹部21aの図中上側)に集められる。そして、このように集められたグリースGは、さらに保持器1が公転することにより、凹部21(半割凹部21a)の前記周方向一方側に連通する溝部22に流れ込む。
図4(b)において、前記溝部22に流れ込んだグリースGは、さらに保持器1が公転することにより、周方向に隣接する凹部21(ここでは図中上側の凹部21)に導かれる。そして、この隣接する凹部21に導かれたグリースGは、当該凹部21に対応するポケット5の軸方向中央部から前記転走面に再び供給される。
以上、本実施形態の転がり軸受によれば、グリースは、保持器1の周面に対向する外輪2(内輪3)における玉4の転走面から、玉4の自転により当該転走面の軸方向両側方へ押し退けられると、ポケット5の周囲に形成された凹部21に沿って溝部22に導かれる。そして、溝部22に導かれたグリースは、保持器1の公転により隣接するポケット5側に形成された凹部21の軸方向中央部から前記転走面に再び供給される。このように、前記転走面の軸方向両側方に押し退けられたグリースは、凹部21および溝部22に導かれて再び軸方向中央部の前記転走面に供給されるため、前記転走面において潤滑不足が発生するのを抑制することができる。その結果、耐焼き付き性を向上させることができる。
また、保持器1における軸方向両側の外側面15は、当該外側面15とそれぞれ対向するシールド部材7に近接して配置されている。このため、保持器1の前記外側面15と当該外側面15に対向するシールド部材7との間に形成される軸方向の隙間を、従来の保持器に比べて狭くすることができる。これにより、一対のシールド部材7の間に封入されたグリースを、従来の保持器に比べて、前記隙間以外の保持器1の凹部21や溝部22に多く存在させることができ、耐焼き付き性をさらに向上させることができる。
また、保持器1の外周面(内周面)は、当該外周面(内周面)に対向する外輪2(内輪3)の内周面(外周面)に近接して配置されている。このため、保持器1の外周面(内周面)と当該外周面(内周面)に対向する外輪2の内周面(内輪3の外周面)との間に形成される隙間を、従来の保持器に比べて狭くすることができる。これにより、一対のシールド部材7の間に封入されたグリースを、従来の保持器に比べて、前記隙間以外の保持器1の凹部21や溝部22にさらに多く存在させることができ、耐焼き付き性をさらに向上させることができる。
また、溝部22の軸方向寸法d1(d2)は、ポケット5の軸方向寸法D1(D2)以下に設定されるため、以下の作用効果を奏する。すなわち、溝部22に対向する外輪軌道2a(内輪軌道3a)の転走面上に存在するグリースの量が多い場合には、例えば溝部22の軸方向寸法d1(d2)を、ポケット5の軸方向寸法D1(D2)と同一寸法に設定して軸方向に幅広に形成することで、溝部22によるグリースの案内を円滑に行うことができる。また、前記溝部22に対向する外輪軌道2a(内輪軌道3a)の転走面上に存在するグリースの量が少ない場合には、溝部22の軸方向寸法d1(d2)を、ポケット5の軸方向寸法D1(D2)よりも小さく設定して軸方向に幅狭に形成することで、グリースを溝部22により前記転走面に効率的に集めることができる。
なお、今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。例えば、上記実施形態の保持器1は、一対の分割体10により構成されているが、単一の部材により構成されていても良い。また、上記実施形態の凹部21および溝部22は、保持器1の外周面と内周面とにそれぞれ形成されているが、保持器1の外周面のみ又は内周面のみに形成されていても良い。
また、本発明は、深溝玉軸受以外に、円筒ころ軸受にも適用可能である。
また、上記実施形態における溝部22は、保持器1の周面の軸方向中央部に形成されているが、その軸方向寸法d1(d2)を上記実施形態よりも幅広に形成しても良い。例えば、溝部22の軸方向寸法d1(d2)を、ポケット5の開口の軸方向寸法D1(D2)と同じ寸法に形成しても良い。
1:樹脂製保持器(保持器)、2:外輪、3:内輪、4:玉(転動体)、5:ポケット、6:環状空間、7:シールド部材、21:凹部、22:溝部、d1,d2:溝部の軸方向寸法、D1,D2:ポケットの開口の軸方向寸法

Claims (4)

  1. 内輪と、外輪と、前記内外輪の間に転動可能に配置された複数の転動体と、前記複数の転動体を周方向に所定間隔毎に保持する複数のポケットを有する環状の保持器と、を備えた転がり軸受であって、
    前記保持器の外周面および内周面のうち少なくとも一方の周面において、前記各ポケットの周囲に沿ってそれぞれ形成された凹部と、
    前記一方の周面の少なくとも軸方向中央部に形成され、周方向に隣り合う前記凹部同士を連通する溝部と、
    を備えていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記内輪または外輪の軸方向両端部には、前記内外輪の間の環状空間を密封する一対の環状のシールド部材がそれぞれ取り付けられており、
    前記保持器の軸方向の側面が、当該側面と対向する前記シールド部材に近接して配置されている請求項1に記載の転がり軸受。
  3. 前記保持器の周面が、当該周面に対向する前記内輪または外輪の周面に近接して配置されている請求項1又は2に記載の転がり軸受。
  4. 前記溝部の軸方向寸法は、前記一方の周面における前記ポケットの開口の軸方向寸法以下に設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり軸受。
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