JP5195434B2 - ボールねじ - Google Patents
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Description
このようなボールねじのボールは、ねじ軸の回転運動に伴ってねじ溝を転動するため、ねじ軸に付着した塵埃や摩耗粉などの異物がナット内に入り込むと、ナット内に入り込んだ異物によってボールの転がり運動が阻害され、焼付きなどの損傷が生じることがある。そこで、ナット内への異物の侵入等を防ぐために、ナットの軸方向両端にリング状のシールが配置されている。
前記リップ部の硬さはデュロメ−タA50〜90であり、前記しめしろは前記ボールの直径の10%以下であり、前記隙間は前記しめしろの20%以下の寸法であることが好ましい。
図1は、この実施形態のボールねじの外形を示す図である。
このボールねじは、ナット1とねじ軸2とボール3とシール4とリターンチューブ5を備えている。ナット1の内周面に螺旋溝11が形成されている。ねじ軸2の外周面に螺旋溝21が形成されている。ボール3は、ナット1の螺旋溝11とねじ軸2の螺旋溝21で形成される軌道溝の間に配置されている。シール4はリング状で、ナット1の内部の軸方向両端に配置されている。リターンチューブ5は、ボール3を軌道溝の終点から始点まで外部を経由して戻すためのものであり、この例ではサーキット数が3であるため3個設けてある。また、図示されていないが、ナット1には、各サーキットに1カ所の給脂穴が形成され、軸方向両端部に排出穴が形成されている。
理想状態とは、図4(a)に示すように、ナット1の螺旋溝11とねじ軸2の螺旋溝21で形成される軌道溝をなす円の中心と、この軌道溝内に配置されたボール3の中心が一致している状態を指す。
この実施形態では、ナット1の螺旋溝11とねじ軸2の螺旋溝21の断面が円弧状に形成され、この軌道溝とボール3との間に、シール4のねじ軸2に対する「しめしろ」よりも小さい寸法(例えば、しめしろの20%以下の寸法)の隙間を設けてある。すなわち、軌道溝をなす円の直径A1より「しめしろよりも小さい寸法」の分だけ小さい直径A2のボール3が組み込まれている。また、リップ部42aを含むゴム成形体42の硬さはデュロメ−タA50〜90であり、シール4のねじ軸2に対する「しめしろ」はボール3の直径A2の10%以下である。
図5は、ナット1がねじ軸2に対して相対的に右側に移動している状態を示す。この場合、ボール3がナット1の螺旋溝11とねじ軸2の螺旋溝21に接触して、ボール3と両螺旋溝11,21との間に軸方向の力がかかる。この力の向きは右側であり、これに伴って、図4(a)で設計形状より右側に傾き、螺旋溝21の中心Cより右側に配置されていたリップ部42aは、図5(a)で設計形状より左側に傾き、先端がほぼ中心線Cに一致した状態となる。すなわち、シール4のリップ部42aとねじ軸2との軸方向での接触位置が変化する。同様に、図4(b)〜(d)に示す、ねじ軸2の同一断面円の各位置での、シール4のリップ部42aとねじ軸2の螺旋溝21および外周面22との接触状態は、図5(b)〜(d)のように変化する。
図6は、ナット1がねじ軸2に対して相対的に左側に移動している状態を示す。この場合、ボール3がナット1の螺旋溝11とねじ軸2の螺旋溝21に接触して、ボール3と両螺旋溝11,21との間に軸方向の力がかかる。この力の向きは左側であり、これに伴って、図4(a)で設計形状より右側に傾き、先端が螺旋溝21の中心Cより距離L4だけ右側に配置されていたリップ部42aは、図6(a)で先端が螺旋溝21の中心Cより距離L6(<L4)だけ右側に配置される。すなわち、図4(a)と図6(a)で、シール4のリップ部42とねじ軸2との軸方向での接触位置が変化する。
このように、図4(a)〜(d)の状態から図6(a)〜(d)の状態になる間に、リップ部42aの先端が、軸方向でねじ軸2の螺旋溝21および外周面22を摺動する。これに伴って、ナット1の内部に封入された潤滑剤がリップ部42aの異なる位置に付着する。
このように、半径Rと半径rの関係がr<Rの場合には、シールのリップ部42aとねじ軸の螺旋溝21Aとの間に隙間が生じない。そのため、図7(b)に示すような、ねじ軸2の螺旋溝21Bの断面形状が、ゴシックアーク状であって、両円弧が尖った状態で連結されているものと比較して、シールのリップ部とねじ軸との接触状態が良好となる。
図8(b)は、シールのリップ部42aの断面形状が図7(a)と異なる例を示すが、この例でも、ねじ軸2の螺旋溝21Dの断面形状がゴシックアーク状であって、二つの円弧が半径Rの円弧で滑らかに連結されている。また、リップ部42aの先端部の断面が半径r(>R)の円弧状に形成されている。この例でも、シールのリップ部42aとねじ軸の螺旋溝21Dとの間に隙間が生じないため、シールのリップ部とねじ軸との接触状態が良好となる。
さらに、軌道溝とボールとの隙間をシールのねじ軸に対するしめしろより小さくするためには、螺旋溝の断面形状をゴシックアーク状とすることが有利である。
図10は、ナット1のフランジ6側に対するシール4の固定方法を示している。図10(a)は、ナット1をフランジ6側から見た図である。図10(b)はナット1のフランジ6側にシール4が固定された状態を示す部分破断断面図である。図10(a)では、フランジ6の内周面62をなす円と、ナット1の螺旋溝11間の内周面12をなす円が見えている。
この例では、ナット1の軸方向端部の、シール4の取り付け部となる内周面13の位置を貫通する雌ねじ14を、周方向4カ所に形成し、この雌ねじ14に螺合する止めねじ(止め部材)9を用いて、シール4をナット1に固定している。止めねじ9は、雌ねじ14に螺合する軸部91と、先端の円錐状部分92とからなる。
11 ナットの螺旋溝
12 ナットの螺旋溝間の内周面
13 ナットのシール取り付け部となる内周面
14 雌ねじ
17 ねじ
2 ねじ軸
21 ねじ軸の螺旋溝
21A〜21D ねじ軸の螺旋溝
3 ボール
4 シール
41 本体
41a 縁部
42 ゴム成形体
42a リップ部
5 リターンチューブ
6 外向きフランジ
61 ねじ穴
62 外向きフランジの内周面
63 凹部
64 雌ねじ
7 座金(止め部材)
8 ボルト
81 ボルトの頭部
82 ボルトの軸部
9 止めねじ(止め部材)
91 止めねじの軸部
92 止めねじの先端の円錐状部分
A1 軌道溝をなす円の直径
A2 ボールの直径
C ねじ軸の螺旋溝の中心
Claims (3)
- 内周面に螺旋溝が形成されたナットと、外周面に螺旋溝が形成されたねじ軸と、ナットの螺旋溝とねじ軸の螺旋溝で形成される軌道溝の間に配置されたボールと、ナットの軸方向両端に配置されたリング状のシールを備えたボールねじであって、
前記シールは、ナットに固定される縁部を備えた本体と、ねじ軸の外周面および螺旋溝に弾性変形状態で接触するリップ部と、を有し、
前記軌道溝とボールとの間に、前記シールのねじ軸に対するしめしろよりも小さい寸法の隙間を設け、
前記ナットが前記ねじ軸に対して相対的に軸方向で往復運動する際に、往復運動の向きの変化で、前記シールのリップ部と前記ねじ軸との軸方向での接触位置が変化することを特徴とするボールねじ。 - 前記リップ部の硬さはデュロメ−タA50〜90であり、前記しめしろは前記ボールの直径の10%以下であり、前記隙間は前記しめしろの20%以下の寸法である請求項1記載のボールねじ。
- 前記リップ部のねじ軸と接触する先端部の断面が円弧状である請求項1記載のボールねじ。
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