JP2010281386A - 密封装置、転がり軸受、および、車輪用転がり軸受 - Google Patents

密封装置、転がり軸受、および、車輪用転がり軸受 Download PDF

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一寿 梶原
Akira Yamamoto
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Abstract

【課題】トルクが小さくて、かつ、シールリップの寿命が長い密封装置を提供することにある。
【解決手段】パックシール型の第1密封装置8の弾性部材51を、芯金部材50に固着された基部53と、基部53から延在して、スリンガ52の固定部65に間隔をおいた状態でフランジ部66に摺動する環状の第1および第2アキシアルリップ54,55とで構成する。第1および第2アキシアルリップ54,55のフランジ部66側の端面に、軸方向の位置が略同一である一方、周方向に互いに間隔をおいて位置する複数の略同一の突起部80,81を形成する。
【選択図】図3

Description

本発明は、密封装置に関する。また、本発明は、密封装置を備える転がり軸受および車輪用転がり軸受に関する。
従来、密封装置としては、特開2003−314698号公報(特許文献1)に記載されているものがある。
この密封装置は、所謂パックシールであり、芯金部材と、芯金部材に固定された弾性部材と、断面L字状のスリンガとを備える。上記スリンガは、軸方向に延在する軸方向延在部と、径方向に延在するフランジ部とからなる。上記弾性部材は、上記軸方向延在部に常に摺動するラジアルリップと、上記フランジ部に摺動する第1アキシアルリップと、第1アキシアルリップの径方向の内方に位置すると共に、上記フランジ部に摺動する第2アキシアルリップとを有している。
特開2003−314698号公報(第1図)
上記背景において、車両等の燃費を低減するために、車両等が備えるパックシールのトルクの大幅な低減が所望されている。
本発明者等は、以下に詳述するように、パックシールにおいて、ラジアルリップの摺接に起因して発生するトルクが、アキシアルリップの摺接に起因して発生するトルクよりも格段に大きいことを発見した。
しかしながら、本発明者は、トルクを大幅に低減するために、ラジアルリップを省略すると、次に示す課題が発生することを発見した。
すなわち、本発明者は、上記ラジアルリップを省略した場合、密封装置で密封された空間の温度が上昇したときに、密封空間内の空気が密封装置を通過して外に排出されるため、その後、密封空間内の温度が下がった際に、上記密封空間内の圧力が大気圧に対して負圧になって、上記アキシアルリップの先端がフランジ部に強く押し付けられる現象が発生することを発見した。そして、この現象によって、アキシアルリップの先端が異常に摩耗して、アキシアルリップの寿命が短くなったり、昇温したり、異音が発生したり、また、アキシアルリップのフランジ部に対する高い接触面圧に起因してトルクが高くなることがあることを発見した。
そこで、本発明の課題は、トルクが小さくて、かつ、シールリップの寿命が長い密封装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の密封装置は、
筒状の固定部、および、この固定部から略上記固定部の径方向に延在する径方向延在部を有する芯金部材と、上記芯金部材に固定された弾性部材とを有するシール部材と、
筒状の固定部と、この固定部の軸方向の一端部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有するスリンガと
を備え、
上記弾性部材は、
上記芯金部材の上記径方向延在部に固定された基部と、
上記スリンガの上記固定部に間隔をおいた状態で、上記基部から延在して上記フランジ部に摺動する一以上の環状のアキシアルリップと
からなり、
上記各アキシアルリップは、そのアキシアルリップの上記フランジ部側の表面に、上記軸方向の位置が略同一である一方、そのアキシアルリップの周方向に互いに間隔をおいて位置する複数の突起部を有していることを特徴としている。
上述の現象によって、密封空間が負圧になって、アキシアルリップがフランジ部に強く押圧された場合に、複数の突起部がフランジ部に接触するように、上記複数の突起部を、アキシアルリップに配置する。
本発明によれば、上記環状のアキシアルリップが有する複数の突起部の軸方向の位置が略同一である一方、上記複数の突起部が、周方向に互いに間隔をおいて位置しているから、密封空間の負圧が大きくなって、複数の突起部が、フランジ部に接触した場合に、上記アキシアルリップにおいて周方向において隣接する上記突起部の間に位置する部分とフランジ部との間に隙間を形成することができる。したがって、密封空間の負圧が大きくなった場合に、上記隙間を通じて密封装置の内外部間で空気のやり取りができるから、瞬時に密封空間の負圧を解消できて、瞬時にアキシアルリップのフランジ部に対する面圧を軽減できる。したがって、上記負圧に起因するアキシアルリップの異常摩耗を防止でき、かつ、昇温、異音の発生およびトルクの増大を抑制できる。
また、一実施形態では、
上記一以上のアキシアルリップは、
上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する第1アキシアルリップと、
上記スリンガの上記固定部に間隔をおいた状態で上記第1アキシアルリップと上記スリンガの上記固定部との間に位置して、上記フランジ部に摺動する第2アキシアルリップと
からなり、
上記第2アキシアルリップは、
上記基部から上記径方向の上記スリンガの上記固定部側かつ上記軸方向の上記フランジ部側に延在する第1部分と、
上記第1部分の上記軸方向のフランジ部側の先端から上記径方向の上記芯金部材の上記固定部側かつ上記軸方向の上記フランジ部側に延在して、上記フランジ部に摺動する第2部分と
からなる。
本発明者等は、芯金部材、弾性部材および断面L字状のスリンガを有する所謂パックシール型の密封装置であって、ラジアルリップを2つ有すると共に、アキシアルリップを1つ有する密封装置において、全てのリップについて、リップの接触荷重に起因するトルクの大きさを調査した。その結果、2つのラジアルリップの接触荷重に起因するトルクの全トルクに対する割合が、8割程度にも達し、トルクの大部分は、ラジアルシールの接触荷重に起因するものであることを発見した。
本発明によれば、上記弾性部材がスリンガの固定部と非接触な状態になっていて、ラジアルリップが存在しない状態になっているから、トルクを急激に低減することができる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。
また、上記実施形態によれば、径方向の内方の第2アキシアルリップが、基部から径方向のスリンガの固定部側かつ軸方向のフランジ部側に延在する第1部分と、その第1部分の軸方向のフランジ部側の先端から径方向の芯金部材の固定部側かつ軸方向の上記フランジ部側に延在して、フランジ部に摺動する第2部分とからなるから、第1部分と第2部分との接続部と、スリンガの固定部との距離を小さくできる。したがって、上記接続部と、上記スリンガの固定部とでラビリンスシールを構成できて、密封性能を向上できる。また、第2アキシアルリップが予め定められた量以上摩耗して、第2アキシアルリップがスリンガの固定部の方に移動した場合に、上記接続部が上記スリンガの固定部に接触するようにすると、第2アキシアルリップの接触荷重が小さくなった場合でも、上記接続部と上記スリンガの固定部との間で内外部の間を密封することができて、密封性能の低下を抑制できる。
また、本発明の転がり軸受は、
本発明の密封装置と、
軌道面を有する内輪と、
軌道面を有する外輪と、
上記内輪の上記軌道面と上記外輪の上記軌道面との間に配置された複数の転動体と
を備え、
上記密封装置は、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面とで画定されて、上記複数の転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪に固定され、
上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されている。
本発明によれば、本発明の密封装置を備えるから、運転時において、密封空間である転動体配置室の負圧に起因するアキシアルリップの異常摩耗を防止でき、かつ、昇温、異音の発生およびトルクの増大を抑制できる。
また、本発明の車輪用転がり軸受は、
本発明の密封装置と、
軌道面を有する内軸と、
上記内軸に固定されると共に、軌道面を有する内輪と、
第1軌道面と第2軌道面とを有する外輪と、
上記内軸の上記軌道面と上記第1軌道面との間に配置された複数の第1転動体と、
上記内輪の上記軌道面と上記第2軌道面との間に配置された複数の第2転動体と
を備え、
上記密封装置は、上記外輪の内周面と、上記内軸の外周面および上記内輪の外周面において上記外輪の内周面に上記径方向に対向している部分とで画定されて、上記複数の第1転動体および上記複数の第2転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪または上記内軸に固定され、
上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されていることを特徴としている。
本発明によれば、本発明の密封装置を備えるから、運転時において、密封装置に密封された密封空間の負圧に起因するアキシアルリップの異常摩耗を防止でき、かつ、昇温、異音の発生およびトルクの増大を抑制できる。
本発明の密封装置によれば、環状のアキシアルリップが有する複数の突起部の軸方向の位置が略同一である一方、上記複数の突起部が、周方向に互いに間隔をおいて位置しているから、密封空間の負圧が大きくなって、複数の突起部が、フランジ部に接触した場合に、上記アキシアルリップにおいて周方向において隣接する上記突起部の間に位置する部分とフランジ部との間に隙間を形成することができて、この隙間を通じた空気のやり取りによって、瞬時に密封空間の負圧を解消できる。したがって、瞬時にアキシアルリップのフランジ部に対する面圧を軽減できて、上記負圧に起因するアキシアルリップの異常摩耗を防止でき、かつ、昇温、異音の発生およびトルクの増大を抑制できる。
また、本発明の密封装置によれば、弾性部材がスリンガの固定部と非接触な状態になっていて、ラジアルリップが存在しない状態になっているから、トルクを急激に低減することができる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減できる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態の車輪用転がり軸受の軸方向の断面図である。
この車輪用転がり軸受は、内軸2、外輪3、内輪4、複数の第1の玉5、複数の第2の玉6、本発明の一実施形態の第1密封装置8、および、本発明の一実施形態の第2密封装置9を備える。上記第1の玉5は、第1転動体を構成し、第2の玉6は、第2転動体を構成する。
上記内軸2は、軸方向の一端部に、ブレーキディスク11を取り付けるための径方向に広がる円板状のブレーキディスク取付用フランジ10を有する。このブレーキディスク取付用フランジ10の略中心を中心とする同心円上には、複数のボルト貫通穴が形成されている。上記ブレーキディスク取付用フランジ10に、ブレーキディスク11を当接させ、さらに、ブレーキディスク11にホイール部材13を当接させた状態で、ホイール部材13のブレーキディスク11側とは反対側の端面と、ブレーキディスク取付用フランジ10との間を、複数のボルト15で固定している。
上記内軸2の軸方向の他端部には、内輪4が外嵌されて固定されている。上記内軸2における、内輪4と、ブレーキディスク取付用フランジ10との間には、軌道面としてのアンギュラ型の軌道溝16が形成されている。また、上記内輪4の外周面には、軌道面としてのアンギュラ型の軌道溝17が形成されている。
上記外輪3は、内軸2におけるブレーキディスク取付用フランジ10よりも上記他端部側に、内軸2に径方向に対向するように、配置されている。上記外輪3は、軸方向の上記他端部側に、径方向に広がる車体側取付用フランジ14を有する。この円板状の車体側取付用フランジ14には、車体側取付用フランジ14を車体側(ナックル)に取り付けるボルトを挿入するためのボルト貫通穴が複数形成されている。上記外輪3は、外輪3の内周面に軸方向に離間配置された第1軌道面としてのアンギュラ型の第1軌道溝26および第2軌道面としてのアンギュラ型の第2軌道溝27を有している。上記第1軌道溝26は、第2軌道溝27よりも上記一端部側に位置している。
上記複数の第1の玉5は、内軸2の軌道溝16と外輪3の第1軌道溝26との間に、保持器18に保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて配置されている。また、上記複数の第2の玉6は、内輪4の軌道溝17と外輪3の第2軌道溝27との間に、保持器19に保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて配置されている。
上記第1密封装置8は、内軸2と外輪3との間における、軸方向の上記一端部側(ブレーキディスク取付用フランジ10側)の開口付近に配置されている。上記第1密封装置8は、内軸2と外輪3との間における上記一端部側の開口を密封している。一方、上記第2密封装置9は、内輪4と外輪3との間における、軸方向の上記他端部側(ブレーキディスク取付用フランジ10側とは反対側)の開口付近に配置されている。上記第2密封装置9は、内輪4と外輪3との間における上記他端部側の開口を密封している。上記第2密封装置9は、第1密封装置8と同一な構造を有している。
図2および図3は、上記第1密封装置8の構造を、詳細に説明する断面図である。詳しくは、図2は、組み付け位置での、芯金部材50、弾性部材51およびスリンガ52の位置関係を示す軸方向の断面図である。図2では、弾性部材51の位置として、弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合における、弾性部材の組み付け位置での位置を示している。一方、図3は、弾性部材51をスリンガ52に組み付けた状態で、かつ、弾性部材51が摩耗していない非摩耗状態での、弾性部材51の位置と、スリンガ52の位置とを示す断面図である。
上記第2密封装置9は、第1密封装置8と同一の構造を有している。上記第2密封装置9は、図2および図3において軸方向の左右を反転させた状態で、内輪4と外輪3との間における、軸方向の上記他端部側の開口付近に配置されている。上記第2密封装置9についての説明は、第1密封装置8の説明をもって省略する。
図2に示すように、第1密封装置(以下、単に密封装置という)8は、所謂パックシールであり、芯金部材50と、弾性部材51と、スリンガ52とを有する。上記芯金部材50と弾性部材51とは互いに固定されて一体になっている。上記芯金部材50および弾性部材51は、シール部材48を構成している。
上記芯金部材50は、環状に形成されている。上記芯金部材50は、断面L字状の形状を有している。芯金部材は、筒状の固定部60と、径方向延在部61からなる。上記固定部60は、外輪3(図1参照、図2には、図示せず)の内周面に内嵌されて固定されている。上記径方向延在部61は、固定部60の内周面における軸方向の上記他端部側(図2の紙面における左側)から径方向の内方に延在している。
上記スリンガ52は、環状に形成されている。上記スリンガ52は、断面L字状の形状を有している。上記スリンガ52は、筒状の固定部65と、固定部65につながるフランジ部66とを有する。上記固定部65は、内軸2の外周面に外嵌されて固定されている。尚、上記第2密封装置9においては、スリンガが固定される部材が、内輪4であることは言うまでもない。上記フランジ部66は、固定部65の外周面の軸方向の外方側(紙面における右側)の端部から径方向の外方側に延在している。上記フランジ部66は、芯金部材50の径方向延在部61よりも軸方向の外方に位置している。上記フランジ部66において径方向の内方の一部を除いた大部分は、径方向延在部61に対して隙間を介して軸方向に対向している。
上記弾性部材51は、環状に形成されている。上記弾性部材51は、固定部60の内周面全面と、固定部60の内周面につながる径方向延在部61の軸方向の外方側の端面の全面とを覆うように、芯金部材50に固着されている。上記弾性部材51は、基部53と、第1アキシアルリップ54と、第2アキシアルリップ55とを有する。上記弾性部材51は、具体的には、ゴム材からなる。ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムを、好適に用いることができる。
上記基部53は、芯金部材50の固定部60の内周面および径方向延在部61の軸方向の外方側の端面に沿うように配置されている。上記基部53は、固定部60の内周面および径方向延在部61の外方側の端面に固着されている。上記第1アキシアルリップ54は、基部53から外輪3(図1参照)側かつ軸方向の外方側(フランジ部66側)に延在している。
上記第2アキシアルリップ55は、第1アキシアルリップ54の径方向の内軸2(図1参照)側(径方向の内方側)に、第1アキシアルリップ54に対して径方向に間隔をおいて位置している。上記第2アキシアルリップ55は、第1部分56と、第2部分57とを有する。上記第1部分56は、基部53から径方向の内軸2側かつ軸方向の外方側に延在している。また、上記第2部分57は、第1部分56の軸方向の外方側の先端につながると共に、径方向の外輪3側かつ軸方向の外方側に延在している。
図2に示すように、弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合の弾性部材51の位置は、組み付け位置において、スリンガ52と重なっている。詳しくは、上記弾性部材51の第1アキシアルリップ54の軸方向の外方の先端部、および、弾性部材51の第2アキシアルリップ55の軸方向の外方の先端部は、スリンガ52のフランジ部66と重なり、第2アキシアルリップ55において、第1部分56と第2部分57との接続部の近傍(接続部を含む)に位置する屈曲部(第2アキシアルリップ55において固定部65に径方向に対向する部分の一部)90は、スリンガ52の固定部65と重なっている。
また、図2に示すように、上記弾性部材51がスリンガ52に組み込まれる前の状態において、第1部分56の径方向の内方の表面58は、凹面である一方、第2部分57の径方向の内方の表面59は、円錐面になっている。また、軸方向の断面において、第1部分56の径方向の内方の表面58の曲率は、軸方向の外方(軸方向のフランジ部66側)にいくにしたがって大きくなっている。具体的には、軸方向の断面において、上記第1部分56の径方向の内方の表面58は、基部53側に位置する略円錐面状の部分と、この円錐面状の部分に滑らかにつながると共に、軸方向の外方(軸方向のフランジ部66側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている略回転楕円面の一部からなる部分とからなっている。
上記第2部分57の径方向の内方の表面59は、軸方向の断面において、一端から他端まで微分可能になっており、上記表面59は、滑らかにつながっている。
図3に示すように、第1アキシアルリップ54、および、第2アキシアルリップ55の第2部分57は、組み付け時において、車輪用転がり軸受の中心軸を略中心とするシール部材48とスリンガ52との相対回転により、スリンガ52のフランジ部66に摺動するようになっている。また、図3に示すように、組み付け状態、かつ、組込後の非摩耗状態において、上記第2アキシアルリップ55は、スリンガ52の固定部65に対して径方向に間隔をおいて位置している。
すなわち、図2および図3に示すように、組み付け時に、芯金部材50の径方向延在部61とスリンガ52のフランジ部66とが接近するように、芯金部材50とスリンガ52とを軸方向に相対移動させることで、第1アキシアルリップ54、および、第2アキシアルリップ55の第2部分57が、スリンガ52のフランジ部66の表面に沿って径方向の外方に移動することによって、第1部分56と第2部分57との間の屈曲部90が、径方向の外方に移動して、屈曲部90が、固定部65の外周面から径方向の外方に浮上するようになっている。
本実施形態では、上記屈曲部90を径方向の内方に押圧するガータースプリング等の締め付け部材がないから、屈曲部90を容易かつ確実に、固定部65の外周面から径方向に外輪3側に浮上させることができる。屈曲部を径方向の内方に押圧するガータースプリング等の締め付け部材があると、屈曲部が固定部の外周面から径方向の外輪側に浮上しない場合がある。
上述のように、上記弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合の屈曲部90の位置は、スリンガ52の固定部65に重なるように設定されている。上記第2アキシアルリップ55の第2部分57の摩耗によって、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する接触荷重が所定力以上低下した状態で、屈曲部90は、スリンガ52の固定部65に接触して、車輪用転がり軸受の中心軸を略中心とするシール部材48とスリンガ52との相対回転により、固定部65に摺動するようになっている。すなわち、上記屈曲部90は、第2アキシアルリップ55の第2部分57の摩耗によって、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する接触荷重が所定力以上低下した状態で、ラジアルリップの役割を果たすようになっている。
図3に示すように、上記第1アキシアルリップ54は、複数の略同一突起部80を有し、第2アキシアルリップ55は、複数の略同一の突起部81を有する。尚、図2では、これらの突起部80,81の図示を、省略している。また、第1アキシアルリップおよび第2アキシアルリップの夫々において、アキシアルリップが有する複数の突起部は、必ずしも全て略同一の形状でなくても良い。
上記各突起部80は、第1アキシアルリップ54におけるフランジ部66側の端面からスリンガ52のフランジ部66側に突出している。上記複数の突起部80は、軸方向において、略同一の位置に存在している。また、上記複数の突起部80は、環状の第1アキシアルリップ54の周方向に互いに間隔をおいて位置している。
また、上記各突起部81は、第2アキシアルリップ55におけるフランジ部66側の端面からスリンガ52のフランジ部66側に突出している。上記複数の突起部81は、軸方向において、略同一の位置に存在している。また、上記複数の突起部81は、環状の第2アキシアルリップ55の周方向に互いに間隔をおいて位置している。
図4および図5は、上記第1アキシアルリップ54の動作を模式的に示す図である。詳しくは、図4は、上記第1密封装置8で密封される第1の玉5および第2の玉6が配置される転動体配置室の気圧と、車輪用転がり軸受の外部の大気圧が略等しい状態での、第1アキシアルリップ54の位置をしめす模式図である。また、図5は、上記転動体配置室の気圧が、車輪用転がり軸受の外部の気圧よりも小さい場合での、第1アキシアルリップ54の位置を示す模式図である。
尚、図4および図5では、上記第1アキシアルリップ54の動作を分かり易く説明するため、上記突起部80を誇張して描いている。このため、図4および図5での第1アキシアルリップ54の形状は、図2および図3での第1アキシアルリップ54の形状と異なる形状になっている。
図4に示すように、上記第1アキシアルリップ54は、スリンガ52のフランジ部66に対する摺動部87を有する。この摺動部87は、第1密封装置8で密封される転動体配置室内の気圧と、外部の気圧が略等しい状態では、フランジ部66に対して摺動している。図4に示すように、上記各突起部80は、摺動部87よりも径方向の内方に位置している。
この車輪用転がり軸受の運転に伴って、転動体配置室内の温度が上昇した場合、転動体配置室内の空気が、第2アキシアルリップ55および第1アキシアルリップ54を通過して外部に放出する。したがって、その後、車輪用転がり軸受の停止時において、転動体配置室の内部温度が、外気温度まで低下した場合、転動体配置室の気圧が、外部の気圧に対して小さくなって、転動体配置室内の圧力が外部の大気圧に比して負圧になる。
このとき、上記第1アキシアルリップ54は、この負圧によって、径方向の内方に引っ張られ、図5に示すように、摺動部87がフランジ部66から離間すると共に、突起部80がスランジ部66に接触するようになっている。
この時、上記第1アキシアルリップ54において、周方向において突起部80が存在しない部分、すなわち、上記第1アキシアルリップ54において、周方向に隣接する突起部の間の部分とフランジ部66との間に隙間が形成され、この隙間を介して、外部から転動体配置室側に負圧を解消する空気が流入する。
すると、負圧が解消されたことにより、第1アキシアルリップ54の形状が、摺動部87をフランジ部66に摺接させる図4に示す状態に変形することになる。
このように、この実施形態の第1密封装置8では、負圧の発生によって、上記第1アキシアルリップ54が、突起部80がフランジ部66に接触するように変形したとしても、瞬時に図4に示す状態に戻るようになっている。
尚、詳述しないが、上記第2アキシアルリップ55は、第1アキシアルリップ54と略同様に動作するようになっている。すなわち、上記第2アキシアルリップ55も、第1アキシアルリップ54と同様、第1密封装置8で密封される転動体配置室内の気圧と、外部の気圧が略等しい状態では、摺動部88(図3参照)が、フランジ部66に摺動する一方、転動体配置室内の気圧が、外部の圧力に対して負圧になった場合に、突起部81がフランジ部66に接触するように変形するようになっている。上記第2アキシアルリップ55の動作の詳しい説明は、第1アキシアルリップ54の動作の説明をもって省略する。
詳述しないが、上記第1アキシアルリップ54と第2アキシアルリップ55とスリンガ52とで形成される空間や、第2アキシアルリップ55とスリンガ52とで囲まれた空間には、潤滑剤としての適量のグリースが封入または塗布されている。上記グリースによって第1アキシアルリップ54とスリンガ52との摺動部および第2アキシアルリップ55とスリンガ52との摺動部が潤滑されるようになっている。また、図3において、上記第2アキシアルリップ55とスリンガ52とで囲まれた領域につながると共に、第1密封装置8より軸方向の内方側(紙面における左側)に位置する転動体(この実施形態では玉5,6)が配置される転動体配置室には、潤滑剤(この実施形態ではグリース)が封入されている。
図6は、比較品の密封装置および上記実施形態の密封装置の夫々において、各リップが非摩耗な状態になっている場合において、各リップの全接触荷重に対する接触荷重の比と、比較品の密封装置の全接触荷重に対する上記実施形態の密封装置の全接触荷重の比を示す図である。図6に示す結果は、一実験例における結果である。
ここで、上記比較品の密封装置とは、図9に270で示す、芯金部材250、弾性部材251および断面L字状のスリンガ252を有する所謂パックシール型の密封装置であって、2つのラジアルリップ(補助リップ273および主リップ272)と、1つのアキシアルリップ271とを有する密封装置である。
図9に示された弾性部材251の位置は、スリンガ252に対する芯金部材250の相対位置が、組み付け状態での所定位置になっている状態において、弾性部材251がスリンガ252から力を受けないと仮定した場合での、弾性部材251の存在位置である。
図6に示すように、比較品の密封装置270においては、ラジアルリップ(2つの合計)の全接触荷重に対する接触荷重比が、8割にも達する一方、アキシアルリップの全接触荷重に対する接触荷重比は、2割程度になっている。このことから、ラジアルリップの接触荷重を低減できれば、トルクを大幅に低減することができる。
そして、2つのアキシアルリップを有するのみで、ラジアルリップを有さない上記実施形態の密封装置においては、全接触荷重の接触荷重比が、比較品の全接触荷重の4割にしか達しておらず、接触荷重を急激に低減することができる。
図7は、上記比較品の密封装置270と、上記実施形態の密封装置の夫々において、一実験例における、回転数と回転トルクとの関係を示す図である。尚、この試験は、上記実施形態の密封装置においても比較品の密封装置270においても潤滑剤を使用せずに行った。
図7に示す試験結果では、回転数が低い領域から高い領域にわたって、上記実施形態の密封装置のトルクは、比較品の密封装置のトルクの5割程度になっている。すなわち、上記実施形態の密封装置のトルクは、比較品の密封装置と比較して、急激に小さくなっている。
上記実施形態の密封装置によれば、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下する迄、弾性部材51がスリンガ52の固定部65と非接触な状態になっていて、ラジアルリップが存在しない状態になっているから、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する緊迫力が所定力以上低下する迄、ラジアルリップを有する密封装置と比較して、トルクを50%程度急激に低減することができる。したがって、この密封装置を有する自動車等の燃費を低減することができて、この密封装置を有する自動車等のCO排出量を低減でき、地球温暖化の抑制に貢献できる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記環状の第1および第2アキシアルリップ54,55が有する複数の突起部80,81の軸方向の位置が略同一である一方、上記複数の突起部80,81が、周方向に互いに間隔をおいて位置しているから、密封空間である転動体配置室内の負圧が大きくなって、複数の突起部80,81が、フランジ部66に接触した場合に、第1および第2アキシアルリップ54,55において、周方向において隣接する突起部80,81の間に位置する部分とフランジ部66との間に隙間を形成することができる。したがって、上記転動体配置室の負圧が大きくなった場合に、上記隙間を通じて第1および第2密封装置8,9の内外部間で空気のやり取りができるから、瞬時に上記転動体配置室の負圧を解消できて、瞬時に第1および第2アキシアルリップ54,55のフランジ部66に対する面圧を軽減できる。したがって、上記負圧に起因する第1および第2アキシアルリップ54,55の異常摩耗を防止でき、かつ、昇温、異音の発生およびトルクの増大を抑制できる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第1部分56の径方向の内方の表面58が、弾性部材51がスリンガ52に組み込まれる前の組込前の状態で凹面であるから、第1部分が凸面である場合と異なり、組込状態の非摩耗状態において、第2アキシアルリップ55を、スリンガ52の固定部65に対して非接触にするのに、第2アキシアルリップ55の第1部分56の基部53側の一部分を、集中的かつ過度に変形させる必要がない。そして、上記第1部分56全体を、その延在方向に略均等に変形させることによって、第2アキシアルリップ55を、スリンガ52の固定部65に非接触にすることができる。すなわち、上記第1部分56の一部に局所的で過大な応力がかかることがないから、第2アキシアルリップ55の耐久力を格段に向上させることができて、密封装置の寿命を長くすることができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第2部分57の径方向の内方の表面59は、組込前の状態で円錐面であるから、第2部分の径方向の内方の表面が凹面である場合と比較して、第2アキシアルリップ55とスリンガ52のフランジ部66との接触面圧を小さくすることができて、第2アキシアルリップ55の摩耗を抑制することができる。したがって、上記第2アキシアルリップ55の上記屈曲部が、スリンガ52の固定部65に接触するまでの時間を、長くすることができて、第2部分の径方向の内方の表面が凹面である場合と比較して、トルクが格段に小さい状態を、長期に亘って持続することができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第2部分57の径方向の内方の表面59が、滑らかにつながっているから、組込時に第2アキシアルリップ55の変形に起因して生じる応力を、第2部分57の全体に略均等に分配することができて、第2部分57の全体に均等に負担させることができる。また、組込時に上記第2アキシアルリップ55を、径方向の外方に容易に変形させることができ、かつ、第2アキシアルリップ55の非摩耗状態において、第2アキシアルリップ55と、スリンガ52の固定部65との間に、所定のクリアランスを容易かつ正確に生成することができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、組込前の状態において、軸方向の断面において、上記第1部分56の径方向の内方の面の曲率が、軸方向の外方にいくにしたがって大きくなっているから、組込時に第2アキシアルリップ55の変形に起因して生じる応力を、第1部分56の全体に略均等に分配することができて、第2部分57の全体に均等に負担させることができる。したがって、上記第1部分56に局所的な応力の集中が発生することを確実に防止することができて、密封装置の寿命を更に延ばすことができる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第2アキシアルリップ55の第2部分57の摩耗によって、第2アキシアルリップ55のフランジ部66に対する接触荷重が所定力以上低下した状態で、第2アキシアルリップ55の屈曲部90が、スリンガ52の固定部65に接触して、固定部65に摺動するようになっているから、第2アキシアルリップ55の摩耗がすすんだとしても、外部からの泥水が、車輪用転がり軸受において玉8,9が配置されている転動体配置室に、浸入することを抑制できる。
また、上記実施形態の密封装置によれば、上記第2アキシアルリップ55が受ける力が、スリンガ52からの力だけであって、第2アキシアルリップ55においてスリンガ52の固定部65に対向している部分を、スリンガ52の固定部65に押し付けようとするガータースプリング等の締め付け部材がない。したがって、第2アキシアルリップにおいてスリンガの固定部に対向している部分を、スリンガの固定部に押し付けようとするガータースプリング等の締め付け部材がある場合と比較して、上記第2アキシアルリップ55をスリンガ52のフランジ部66に押し付ける組立時において、スリンガ52の固定部65に対向している部分を、上記固定部65に対して離間させ易くすることができる。
また、上記実施形態の車輪用転がり軸受によれば、運転時において、第1および第2密封装置8,9のトルクを小さくすることができて、この車輪用転がり軸受を有する自動車等の車両の燃費を小さくすることができる。また、上記第1および第2密封装置8,9のアキシアルリップの異常摩耗を防止でき、かつ、昇温、異音の発生およびトルクの増大を抑制できる。
尚、上記実施形態の密封装置では、アキシアルリップ54,55の数が、二つであったが、この発明では、アキシアルリップの数が、一または三以上であっても良い。尚、この発明では、密封装置が有する全てのアキシアルリップに突起部が存在しなくてはならないことは、言うまでもない。突起部を有さないアキシアルリップが一つでもあれば、そのアキシアルリップの内外の気圧差を容易に緩和できないからである。
また、上記実施形態の密封装置では、上記第2部分57の径方向の内方の表面59は、組込前の状態で円錐面であったが、この発明では、第2部分の径方向の内方の表面は、組込前の状態で凸面であっても良い。
また、上記実施形態の密封装置では、軸方向の断面において、上記第1部分56の径方向の内方に位置する凹面である表面58は、基部53側に位置する略円錐面状の部分と、この円錐面状の部分に滑らかにつながると共に、軸方向の外方(フランジ部66側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている略回転楕円面の一部からなる部分とからなっていた。しかしながら、この発明では、軸方向の断面において、第1部分の径方向の内方に位置する表面全体が、円錐面、または、軸方向の外方(フランジ部側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている回転楕円面の一部からなる部分であっても良い。この発明では、第1部分の径方向の内方に位置する表面は、軸方向の断面において、軸方向の外方(フランジ部側)にいくにしたがって曲率が大きくなっている形状であれば、如何なる形状であっても良い。
また、上記実施形態の密封装置では、上記第2アキシアルリップ55が所定以上摩耗した状態で、第2アキシアルリップ55の第1部分56と第2部分57との屈曲部90が、スリンガ52の固定部65に接触するようになっていたが、この発明では、各アキシアルリップが如何に摩耗使用とも、最内方に位置するアキシアルリップが、スリンガの固定部に接触しない構成であっても良い。
また、上記車輪用転がり軸受では、転動体配置室の軸方向の両側の開口の近傍に、本発明の一実施形態の密封装置8,9が配置されていたが、本発明の密封装置は、車輪用転がり軸受の転動体配置室(潤滑剤封入室)の軸方向の片側の開口の近傍のみに配置されても良い。尚、転動体は、玉でなくて、ころであっても良い、また、玉ところの両方であっても良い。転動体が、ころであるとは、転動体が、円錐ころである場合、円筒ころである場合および凸面ころである場合を含むが、転動体がころである場合、転動体が円錐ころであると好ましい。
尚、上記第2密封部材9は、内輪4と外輪3との間における軸方向の上記他端部側の開口付近に配設され、ブレーキディスク取付用フランジ10がない側に配設されているから、内輪4にスリンガ50を、外輪3にシール部材48を容易に取り付けることができる。
図8は、ウォータポンプの密封装置99周辺の拡大断面図である。
このウォータポンプは、ポンプ軸100と、メカニカルシール101と、ポンプハウジング102と、外輪105と、本発明の密封装置99とを有している。上記ポンプハウジング102は、ポンプハウジング102を貫通する水抜き穴107を有している。また、外輪105は、ポンプハウジング102の内周面に内嵌されて固定されている。
上記ポンプ軸100、外輪105、および、密封装置99は、ウォータポンプのウォータポンプ軸受の一部をなしている。すなわち、図示しないが、外輪105の内周面の図8に矢印aで示す側には、軸方向に間隔をおいて、密封装置99に近い方から、深溝型の軌道溝と、円筒軌道面が形成されている一方、ポンプ軸100の外周面の図8に矢印aで示す側には、軸方向に間隔をおいて、密封装置99に近い方から、深溝型の軌道溝と、円筒軌道面が形成されている。
外輪105の上記軌道溝と、ポンプ軸100の上記軌道溝との間には、保持器に保持された状態の玉が、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。また、外輪105の上記円筒軌道面と、ポンプ軸100の上記円筒軌道面との間には、保持器に保持された状態の円筒ころが、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記密封装置99の芯金部150は、外輪105の内周面に内嵌されて固定されている一方、密封装置99のスリンガ152は、ポンプ軸100の外周面に外嵌されて固定されている。上記密封装置99は、外輪105と、ポンプ軸100との間における、メカニカルシール101側の開口を密封している。このようにして、メカニカルシール101から矢印bで示す方向に漏れだしたポンプ室の冷却水が、ウォータポンプ軸受の内部に入ることを防止している。
上記漏れだしたポンプ室の冷却水は、ポンプハウジング102に形成された水抜き穴107を介して矢印cに示す方向に外部に確実に排出されるようになっている。尚、図8において、111は、メカニカルシール101のゴムスリーブを示し、110は、メカニカルシール101のコイルバネを示している。
図8に示すウォータポンプのように、本発明の密封装置99を、ウォータポンプに設置すると、ウォータポンプにおけるウォータポンプ軸受のトルクを低減できて、ウォータポンプを有する自動車等の燃費を低減できる。また、上記密封装置99においてアキシアルリップの異常摩耗を防止できる。また、上記密封装置99における昇温や異音の発生を抑制でき、アキシアルリップのフランジ部に対する接触面圧が、長期に亘って過度に高くなることを防止できる。
尚、上記実施例では、本発明の密封装置を、車輪用転がり軸受や、ウォータポンプに設定した。しかしながら、本発明の密封装置を、軌道面を有する軌道部材が外輪および内輪である転がり軸受において、上記外輪と上記内輪との間の少なくとも一方の開口を密封するように配置しても良い。また、本発明の密封装置を、モータにおける、ロータ部材とステータ部材との間に配設する転がり軸受に設置しても良く、この場合、モータの運転コストを低減することができる。本発明の密封装置は、内周面を有する第1部材と、外周面を有する第2部材とを有し、かつ、上記第1部材と、上記第2部材とが、上記第1部材の内周面の径方向に対向する装置であれば、如何なる機械にも設置することができる。そして、本発明の密封装置を設置した機械の運転コストを低減することができ、その機械の密封装置のアキシアルリップの摩耗を格段に抑制できる。
本発明の一実施形態の車輪用転がり軸受の軸方向の断面図である。 上記車輪用転がり軸受の第1密封装置の構造を、詳細に説明する断面図である。 上記車輪用転がり軸受の第1密封装置の構造を、詳細に説明する断面図である。 上記第1密封装置の第1アキシアルリップの動作を模式的に示す図である。 上記第1密封装置の第1アキシアルリップの動作を模式的に示す図である。 比較品の密封装置および上記実施形態の密封装置の夫々において、各リップが非摩耗な状態になっている場合において、各リップの全接触荷重に対する接触荷重の比と、比較品の密封装置の全接触荷重に対する上記実施形態の密封装置の全接触荷重の比を示す図である。 上記比較品の密封装置と、上記実施形態の密封装置の夫々において、一実験例における、回転数と回転トルクとの関係を示す図である。 ウォータポンプの密封装置周辺の拡大断面図である。 比較品の密封装置の軸方向の断面図である。
2 内軸
3 外輪
4 内輪
5 第1の玉
6 第2の玉
8 第1密封装置
9 第2密封装置
48 シール部材
50,150 芯金部材
51 弾性部材
52,152 スリンガ
53 基部
54 第1アキシアルリップ
55 第2アキシアルリップ
56 第1部分
57 第2部分
58 第1部分の径方向の内方の表面
59 第2部分の径方向の内方の表面
60 芯金部材の固定部
61 径方向延在部
65 スリンガの固定部
66 フランジ部
80 第1アキシアルリップの突起部
81 第2アキシアルリップの突起部
99 密封装置

Claims (4)

  1. 筒状の固定部、および、この固定部から略上記固定部の径方向に延在する径方向延在部を有する芯金部材と、上記芯金部材に固定された弾性部材とを有するシール部材と、
    筒状の固定部と、この固定部の軸方向の一端部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有するスリンガと
    を備え、
    上記弾性部材は、
    上記芯金部材の上記径方向延在部に固定された基部と、
    上記スリンガの上記固定部に間隔をおいた状態で、上記基部から延在して上記フランジ部に摺動する一以上の環状のアキシアルリップと
    からなり、
    上記各アキシアルリップは、そのアキシアルリップの上記フランジ部側の表面に、上記軸方向の位置が略同一である一方、そのアキシアルリップの周方向に互いに間隔をおいて位置する複数の突起部を有していることを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1に記載の密封装置において、
    上記一以上のアキシアルリップは、
    上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する第1アキシアルリップと、
    上記スリンガの上記固定部に間隔をおいた状態で上記第1アキシアルリップと上記スリンガの上記固定部との間に位置して、上記フランジ部に摺動する第2アキシアルリップと
    からなり、
    上記第2アキシアルリップは、
    上記基部から上記径方向の上記スリンガの上記固定部側かつ上記軸方向の上記フランジ部側に延在する第1部分と、
    上記第1部分の上記軸方向のフランジ部側の先端から上記径方向の上記芯金部材の上記固定部側かつ上記軸方向の上記フランジ部側に延在して、上記フランジ部に摺動する第2部分と
    からなることを特徴とする密封装置。
  3. 請求項1または2に記載の密封装置と、
    軌道面を有する内輪と、
    軌道面を有する外輪と、
    上記内輪の上記軌道面と上記外輪の上記軌道面との間に配置された複数の転動体と
    を備え、
    上記密封装置は、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面とで画定されて、上記複数の転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
    上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪に固定され、
    上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されていることを特徴とする転がり軸受。
  4. 請求項1または2に記載の密封装置と、
    軌道面を有する内軸と、
    上記内軸に固定されると共に、軌道面を有する内輪と、
    第1軌道面と第2軌道面とを有する外輪と、
    上記内軸の上記軌道面と上記第1軌道面との間に配置された複数の第1転動体と、
    上記内輪の上記軌道面と上記第2軌道面との間に配置された複数の第2転動体と
    を備え、
    上記密封装置は、上記外輪の内周面と、上記内軸の外周面および上記内輪の外周面において上記外輪の内周面に上記径方向に対向している部分とで画定されて、上記複数の第1転動体および上記複数の第2転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
    上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪または上記内軸に固定され、
    上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されていることを特徴とする車輪用転がり軸受。
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