JP2010190406A - 密封装置、転がり軸受、および、車輪用転がり軸受 - Google Patents

密封装置、転がり軸受、および、車輪用転がり軸受 Download PDF

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Abstract

【課題】アキシアルリップの内外間に発生する気圧差を抑制できて、アキシアルリップの摩耗を抑制できる密封装置を提供すること。
【解決手段】スリンガ52の筒状の外嵌固定部65の外周面において、軸方向のフランジ部66側とは反対側の端部に、軸方向のフランジ部66側に行くにしたがって、外径が大きくなるテーパ外周面70を形成する。弾性部材51に、芯金部材50に固着している弾性部材51の基部53から延在して、フランジ部66に摺動するアキシアルリップ54と、基部53から延在して、テーパ外周面70に摺動するグリースリップ56とを形成する。グリースリップ56においてフランジ部66に軸方向に対向する面90を、軸方向のフランジ部66側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ内周面にする。
【選択図】図2

Description

本発明は、密封装置に関する。また、本発明は、密封装置を備える転がり軸受および車輪用転がり軸受に関する。
従来、密封装置としては、特開2004−11732号公報(特許文献1)に記載されているものがある。
この密封装置は、所謂パックシールであり、芯金部材と、芯金部材に固定された弾性部材と、断面L字状のスリンガとを備える。上記スリンガは、軸方向に延在する軸方向延在部と、径方向に延在するフランジ部とからなる。
上記弾性部材は、基部、アキシアルリップ、ラジアルリップ、および、グリースリップを有し、上記基部は、上記芯金部材に固着されている。上記アキシアルリップは、上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動している。上記ラジアルリップは、上記基部から径方向の内方かつ軸方向のフランジ部側に延在して、上記軸方向延在部の円筒外周面に摺動している。また、上記グリースリップは、上記基部から径方向の内方かつ軸方向のフランジ部側とは反対側に延在して、上記軸方向延在部の円筒外周面に摺動している。
特開2004−11732号公報
上記構成のパックシールにおいて、次に示す現象により、アキシアルリップに異常摩耗が発生したり、アキシアルリップのフランジ部に対する面圧が大きくなって、この大きな面圧に起因してトルクが増大することがある。
詳しくは、この密封装置が備えられた車両等が運転されて、密封装置で密封された密封空間の温度が上昇すると、その密封空間内の空気が密封装置を通過して外に排出されることがある。この場合、その後、上記車両等が停止して上記密封空間内の温度が下がった際に、上記密封空間内の圧力が大気圧に対して負圧になって、この負圧に起因して、上記アキシアルリップが径方向の内方に押圧される。そして、このことによって、アキシアルリップがフランジ部に押し付けられ、アキシアルリップが長い時間に亘ってフランジ部に吸着することがある。そして、このアキシアルリップのフランジ部への吸着に起因して、アキシアルリップの先端が異常に摩耗して、アキシアルリップの寿命が短くなったり、昇温したり、異音が発生したり、また、アキシアルリップのフランジ部に対する高い接触面圧に起因してトルクが高くなることがある。
そこで、本発明の課題は、アキシアルリップの内外間に発生する気圧差を抑制できて、アキシアルリップのフランジ部への吸着を抑制でき、アキシアルリップの摩耗を抑制できる密封装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の密封装置は、
筒状の内嵌固定部、および、この内嵌固定部から上記内嵌固定部の略径方向に延在する径方向延在部を有する芯金部材と、上記芯金部材に固定された弾性部材とを有するシール部材と、
筒状の外嵌固定部と、この外嵌固定部の軸方向の一端部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有し、上記外嵌固定部に上記軸方向の上記フランジ部側に行くにしたがって外径が大きくなっているテーパ外周面を有するスリンガと
を備え、
上記弾性部材は、
上記芯金部材の上記径方向延在部に固定された基部と、
上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する環状のアキシアルリップと、
上記基部から延在して、上記スリンガの上記外嵌固定部の上記テーパ外周面に摺動する環状のグリースリップと
を有し、
上記グリースリップにおいて上記外嵌固定部に上記径方向に対向する面は、上記軸方向の上記フランジ部側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ内周面であることを特徴としている。
本発明によれば、グリースリップの外嵌固定部に対向する面が、フランジ部側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ内周面であって、かつ、グリースリップが、スリンガの外嵌固定部の外周面においてフランジ部側に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面に摺動するようになっているから、密封装置が密封している密封空間内の温度が、外部の温度よりも高くなって、密封装置の内外の気圧差によって、グリースリップが軸方向のフランジ部側に押圧されたとしても、グリースリップが、グリースリップの上記テーパ内周面が軸方向のフランジ部側に撓むように、かつ、グリースリップのテーパ外周面に対する摺動位置が軸方向のフランジ部側に移動するように、変形するだけで、グリースリップとスリンガのテーパ外周面との密着性を維持しながら、すなわち、グリースリップの空気の通過を回避しながら、グリースリップの内外間の気圧差を緩和できる。
したがって、密封空間内の気圧が、外部の気圧よりも高くなった場合において、上記密封空間から外部に流出する空気の量を抑制できる。
したがって、密封装置が密封している密封空間の温度が、外部の温度よりも高温になった後、外部の温度程度まで低下した場合に、アキシアルリップの内外間に発生する気圧差を抑制できて、アキシアルリップのフランジ部への長い時間に亘る吸着を抑制でき、従来の構成と比較して、アキシアルリップの摩耗を抑制できて、トルクを低減することができる。
また、本発明の転がり軸受は、
本発明の密封装置と、
軌道面を有する内輪と、
軌道面を有する外輪と、
上記内輪の上記軌道面と上記外輪の上記軌道面との間に配置された複数の転動体と
を備え、
上記密封装置は、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面とで画定されて、上記複数の転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪に固定され、
上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されている。
本発明によれば、本発明の密封装置を備えるから、密封空間である転動体配置室の気圧と、外部の気圧との気圧差を、緩和することができて、密封装置のアキシアルリップの摩耗を抑制でき、フランジ部に対するアキシアルリップの接触面圧に起因するトルクを低減できる。
また、本発明の車輪用転がり軸受は、
本発明の密封装置と、
軌道面を有する内軸と、
上記内軸に固定されると共に、軌道面を有する内輪と、
第1軌道面と第2軌道面とを有する外輪と、
上記内軸の上記軌道面と上記第1軌道面との間に配置された複数の第1転動体と、
上記内輪の上記軌道面と上記第2軌道面との間に配置された複数の第2転動体と
を備え、
上記密封装置は、上記外輪の内周面と、上記内軸の外周面および上記内輪の外周面において上記外輪の内周面に上記径方向に対向している部分とで画定されて、上記複数の第1転動体および上記複数の第2転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪または上記内軸に固定され、
上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されていることを特徴としている。
本発明によれば、本発明の密封装置を備えるから、密封空間である転動体配置室の気圧と、外部の気圧との気圧差を、緩和することができて、密封装置のアキシアルリップの摩耗を抑制でき、フランジ部に対するアキシアルリップの接触面圧に起因するトルクを低減できる。
本発明の密封装置によれば、密封装置が密封している密封空間の温度が、外部の温度よりも高温になった後、外部の温度程度まで低下した場合に、アキシアルリップの内外間に発生する気圧差を抑制できて、アキシアルリップのフランジ部への長い時間に亘る吸着を抑制できる。したがって、従来の構成と比較して、アキシアルリップの摩耗を抑制できて、トルクを低減することができる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の車輪用転がり軸受の軸方向の断面図である。
この車輪用転がり軸受は、内軸2、外輪3、内輪4、複数の第1の玉5、複数の第2の玉6、本発明の第1実施形態の第1密封装置8、および、第2密封装置9を備える。上記第1の玉5は、第1転動体を構成し、第2の玉6は、第2転動体を構成する。
上記内軸2は、軸方向の一端部に、ブレーキディスク11を取り付けるための径方向に広がる円板状のブレーキディスク取付用フランジ10を有する。このブレーキディスク取付用フランジ10の略中心を中心とする同心円上には、複数のボルト貫通穴が形成されている。上記ブレーキディスク取付用フランジ10に、ブレーキディスク11を当接させ、さらに、ブレーキディスク11にホイール部材13を当接させた状態で、ホイール部材13のブレーキディスク11側とは反対側の端面と、ブレーキディスク取付用フランジ10との間を、複数のボルト15で固定している。
上記内軸2の軸方向の他端部には、内輪4が外嵌されて固定されている。上記内軸2における、内輪4と、ブレーキディスク取付用フランジ10との間には、軌道面としてのアンギュラ型の軌道溝16が形成されている。また、上記内輪4の外周面には、軌道面としてのアンギュラ型の軌道溝17が形成されている。
上記外輪3は、内軸2におけるブレーキディスク取付用フランジ10よりも上記他端部側に、内軸2に径方向に対向するように、配置されている。上記外輪3は、軸方向の上記他端部側に、径方向に広がる車体側取付用フランジ14を有する。この円板状の車体側取付用フランジ14には、車体側取付用フランジ14を車体側(ナックル)に取り付けるボルトを挿入するためのボルト貫通穴が複数形成されている。上記外輪3は、外輪3の内周面に軸方向に離間配置された第1軌道面としてのアンギュラ型の第1軌道溝26および第2軌道面としてのアンギュラ型の第2軌道溝27を有している。上記第1軌道溝26は、第2軌道溝27よりも上記一端部側に位置している。
上記複数の第1の玉5は、内軸2の軌道溝16と外輪3の第1軌道溝26との間に、保持器18に保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて配置されている。また、上記複数の第2の玉6は、内輪4の軌道溝17と外輪3の第2軌道溝27との間に、保持器19に保持された状態で、周方向に所定の間隔を隔てられて配置されている。
上記第1密封装置8は、内輪4と外輪3との間における、軸方向の上記他端部側(車体取付用フランジ14側)の開口付近に配置されている。上記第1密封装置8は、内輪4と外輪3との間における上記他端部側の開口を密封している。一方、上記第2密封装置9は、内軸2と外輪3との間における、軸方向の上記一端部側(ブレーキディスク取付用フランジ10側)の開口付近に配置されている。上記第2密封装置9は、内軸2と外輪3との間における上記一端部側の開口を密封している。上記第2密封装置9は、外輪3に固定され内軸2の周面に摺動するリップを有する。
図2は、上記第1密封装置8の構造を、詳細に説明する断面図である。詳しくは、図2は、組み付け位置での、芯金部材50、弾性部材51およびスリンガ52の位置関係を示す軸方向の断面図である。尚、図2では、弾性部材51の位置として、弾性部材51がスリンガ52から力を受けないと仮定した場合における、弾性部材51の組み付け位置での仮想存在位置を示している。
図2に示すように、第1密封装置(以下、単に密封装置という)8は、所謂パックシールであり、芯金部材50と、弾性部材51と、スリンガ52とを有する。上記芯金部材50と弾性部材51とは互いに固定されて一体になっている。上記芯金部材50および弾性部材51は、シール部材48を構成している。
上記芯金部材50は、環状に形成されている。上記芯金部材50は、断面L字状の形状を有している。芯金部材は、筒状の内嵌固定部60と、径方向延在部61からなる。上記内嵌固定部60は、外輪3(図1参照、図2には、図示せず)の内周面に内嵌されて固定されている。上記径方向延在部61は、内嵌固定部60の内周面における軸方向の上記一端部側(図2の紙面における左側)から径方向の内方に延在している。
上記スリンガ52は、環状に形成されている。上記スリンガ52は、断面L字状の形状を有している。上記スリンガ52は、筒状の外嵌固定部65と、外嵌固定部65につながるフランジ部66とを有する。上記外嵌固定部65は、内輪4の外周面に外嵌されて固定されている。上記外嵌固定部65の外周面は、テーパ外周面70と、円筒外周面71とを有する。図2に示すように、上記テーパ外周面70は、外嵌固定部65の外周面のフランジ部66側とは反対側の端部に位置している。上記テーパ外周面70は、軸方向のフランジ部66側に行くにしたがって外径が大きくなっている。上記テーパ外周面70は、ローレットによって塑性変形されて形成されている。一方、上記円筒外周面71は、テーパ外周面70のフランジ部66側の端部につながり、フランジ部66まで延在している。
上記フランジ部66は、外嵌固定部65の外周面の軸方向の外方側(紙面における右側)の端部から径方向の外方側に延在している。上記フランジ部66は、芯金部材50の径方向延在部61よりも軸方向の外方に位置している。上記フランジ部66において径方向の内方の一部を除いた大部分は、径方向延在部61に対して隙間を介して軸方向に対向している。
上記弾性部材51は、環状に形成されている。上記弾性部材51は、内嵌固定部60の内周面全面と、内嵌固定部60の内周面につながる径方向延在部61の軸方向の外方側の端面の全面とを覆うように、芯金部材50に固着されている。上記弾性部材51は、基部53と、アキシアルリップ54と、ラジアルリップ55と、グリースリップ56とを有する。尚、本発明では、グリースリップを、芯金部材に固着された弾性部材の基部から、径方向において、スリンガの外嵌固定部の方に延在し、軸方向において、スリンガのフランジ部側とは反対側に延在しているリップとして定義する。上記弾性部材51は、ゴム材からなっている。ゴム材としては、例えば、ニトリルゴム、水素化ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴムを、好適に用いることができる。
上記基部53は、芯金部材50の内嵌固定部60の内周面および径方向延在部61の軸方向の外方側の端面に沿うように配置されている。上記基部53は、内嵌固定部60の内周面および径方向延在部61の外方側の端面に固着されている。
上記アキシアルリップ54は、基部53から径方向の外輪3側(径方向の芯金部材50の内嵌固定部60側)かつ軸方向の外方側(軸方向のフランジ部66側)に延在している。
上記ラジアルリップ55は、基部53から径方向のスリンガ52の外嵌固定部65側かつ軸方向のフランジ部66側に延在している。上記ラジアルリップ55は、スリンガ52の円筒外周面71に摺動している。図2に示すように、上記ラジアルリップ55は、略円筒状の外周面を有し、そのラジアルリップ55の外周面は、環状のガータスプリング取付溝75を有している。そして、ガータスプリング76が、そのガータスプリング取付溝75に嵌入されている。上記ガータスプリング76は、ラジアルリップ55を、スリンガ52の円筒外周面71に押圧し、ラジアルリップ55と、スリンガ52の円筒外周面71との密封性を高くしている。
上記グリースリップ56は、軸方向においてラジアルリップ55のフランジ部66側とは反対側に位置している。上記グリースリップ56は、基部53から径方向のスリンガ52の外嵌固定部65側かつ軸方向のフランジ部66側とは反対側に延在している。上記グリースリップ56は、スリンガ52の外嵌固定部65のテーパ外周面70に摺動している。上記グリースリップ56において外嵌固定部65に径方向に対向する面(以下、単に、対向面という)90は、軸方向のフランジ部66側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ内周面になっている。図2に示すように、上記アキシアルリップ54およびラジアルリップ55は、スリンガ52に対して締め代を有する一方、グリースリップ56は、締め代を殆ど有さない状態で、上記テーパ外周面70に接触している。
図3は、上記グリースリップ56とスリンガ52のテーパ外周面70との摺接部の拡大断面図である。尚、図3において、破線80は、従来のグリースリップの先端を示し、破線81は、従来のスリンガの外嵌固定部のフランジ部側とは反対側の端部の外周面を示している。
図3に示すように、上記対向面90の径方向の内端は、テーパ外周面70に接触している。上記グリースリップ56において、そのグリースリップ56とテーパ外周面70との接触点91よりも軸方向のフランジ部66側とは反対側に位置する部分は、軸方向のフランジ部66側に行くにしたがって、内径が小さくなる第2テーパ内周面92を有している。
上記テーパ内周面90と、第2テーパ内周面92との角部は、上記接触点91を構成している。図3に示すように、従来の密封装置では、スリンガが、その外嵌固定部のフランジ部側とは反対側にテーパ外周面を有さず、スリンガの外嵌固定部の外周面は、一端から他端まで略外径が同一である円筒外周面になっている。
尚、詳述しないが、上記アキシアルリップ54とラジアルリップ55とスリンガ52とで形成される空間や、ラジアルリップ55とグリースリップ56とスリンガ52とで囲まれた空間には、潤滑剤としての適量のグリースが封入または塗布されている。上記グリースによって、アキシアルリップ54とスリンガ52との摺動部、および、ラジアルリップ55とスリンガ52との摺動部が潤滑されるようになっている。また、第1、2密封装置8,9によって密封された密封空間(転動体配置室(玉8,9配置室))には、潤滑剤(例えば、グリース)が封入されている。
上記第1実施形態の密封装置8によれば、上記グリースリップ56のフランジ部66に対向する対向面90が、フランジ部66側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ内周面であって、かつ、グリースリップ56が、スリンガ52の外嵌固定部65においてフランジ部66側に行くにしたがって外径が大きくなるテーパ外周面70に摺動するようになっているから、密封装置8が密封している密封空間(転動体配置室)内の温度が、外部の温度よりも高くなって、密封装置8,9の内外の気圧差によって、グリースリップ56が軸方向のフランジ部66側に押圧されたとしても、グリースリップ56が、グリースリップ56の対向面90が軸方向のフランジ部66側に撓むように、かつ、グリースリップ56のテーパ外周面70に対する摺動位置が軸方向のフランジ部66側に移動するように変形するだけで、グリースリップ56とスリンガ52のテーパ外周面70との密着性を維持しながら、すなわち、グリースリップ56の空気の通過を回避しながら、グリースリップ56の内外間の気圧差を緩和できる。
したがって、上記密封空間内の気圧が、外部の気圧よりも高くなった場合において、上記密封空間から外部に流出する空気の量を抑制できる。
したがって、上記第1、2密封装置8,9が密封している上記密封空間(転動体配置室)の温度が、外部の温度よりも高温になった後、外部の温度程度まで低下した場合に、アキシアルリップ56の内外間に発生する気圧差を抑制できて、アキシアルリップ56のフランジ部66への長い時間に亘る吸着を抑制でき、従来の構成と比較して、アキシアルリップ56の摩耗を抑制できて、トルクを低減することができる。
また、上記第1実施形態の車輪用転がり軸受装置によれば、第1実施形態の密封装置8を備えるから、密封空間である転動体配置室の気圧と、外部の気圧との気圧差を、緩和することができて、第1密封装置8の夫々のアキシアルリップ54の摩耗を抑制でき、フランジ部66に対するアキシアルリップ54の接触面圧に起因するトルクを低減できる。
尚、上記実施形態の第1密封装置8では、ラジアルリップ55が、ガータスプリング取付溝75を有して、このガータスプリング取付溝75にガータスプリング76が嵌入されていた。しかしながら、この発明では、図4に示すように、ガータスプリングを省略し、アキシアルリップ254、ラジアルリップ255およびグリースリップ256を有する弾性部材251において、ラジアルリップ255が、ガータスプリングにより径方向の内方に押圧されない構成であっても良い。
また、上記実施形態の第1密封装置8では、アキシアルリップ54、ラジアルリップ55およびグリースリップ56を有する構成において、アキシアルリップ54の数が、一つであったが、この発明では、アキシアルリップ、ラジアルリップおよびグリースリップを有する構成において、アキシアルリップの数が、二以上であっても良い。
また、上記実施形態の第1密封装置8では、弾性部材51がラジアルリップ55を有していたが、この発明では、弾性部材はラジアルリップを有していなくても良い。例えば、この発明では、図5に示すように、弾性部材351が有する全ての弾性リップが、二つのアキシアルリップ354,355と、グリースリップ356のみから構成され、弾性リップが、ラジアルリップを有していなくても良い。このように、密封装置が、ラジアルリップを有さない場合、密封装置のトルクを大幅に低減できて、密封装置を有する車両等の燃費を低減できる。尚、この発明の密封装置は、弾性部材が有する全ての弾性リップが、一または三以上のアキシアルリップと、グリースリップのみを有する構成であっても良い。
また、上記実施形態の第1密封装置8では、スリンガ52のテーパ外周面70が、スリンガ52の外嵌固定部65の外周面のフランジ部66側とは反対側の端部に位置していたが、この発明では、スリンガのテーパ外周面は、スリンガの外嵌固定部の外周面において、スリンガのフランジ部側とは反対側の端部以外の位置に存在していても良い。
また、上記車輪用転がり軸受では、転動体配置室の軸方向の他端側の開口の近傍に、本発明の第1実施形態の密封装置8が配置されていたが、本発明の密封装置は、車輪用転がり軸受の転動体配置室(潤滑剤封入室)の軸方向の両側、又は、軸方向の一端側のみの開口の近傍のみに配置されても良い。尚、転動体は、玉でなくて、ころであっても良い、また、玉ところの両方であっても良い。転動体が、ころであるとは、転動体が、円錐ころである場合、円筒ころである場合および凸面ころである場合を含むが、転動体がころである場合、転動体が円錐ころであると好ましい。
尚、上記第2密封部材9は、内輪4と外輪3との間における軸方向の上記他端部側の開口付近に配設され、ブレーキディスク取付用フランジ10がない側に配設されているから、内輪4にスリンガ50を、外輪3にシール部材48を容易に取り付けることができる。
図6は、本発明の第2実施形態のウォータポンプの密封装置99周辺の拡大断面図である。
このウォータポンプは、ポンプ軸100と、メカニカルシール101と、ポンプハウジング102と、外輪105と、本発明の密封装置99とを有している。上記ポンプハウジング102は、ポンプハウジング102を貫通する水抜き穴107を有している。また、外輪105は、ポンプハウジング102の内周面に内嵌されて固定されている。
上記ポンプ軸100、外輪105、および、密封装置99は、ウォータポンプのウォータポンプ軸受の一部をなしている。すなわち、図示しないが、外輪105の内周面の図6に矢印aで示す側には、軸方向に間隔をおいて、密封装置99に近い方から、深溝型の軌道溝と、円筒軌道面が形成されている一方、ポンプ軸100の外周面の図6に矢印aで示す側には、軸方向に間隔をおいて、密封装置99に近い方から、深溝型の軌道溝と、円筒軌道面が形成されている。
外輪105の上記軌道溝と、ポンプ軸100の上記軌道溝との間には、保持器に保持された状態の玉が、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。また、外輪105の上記円筒軌道面と、ポンプ軸100の上記円筒軌道面との間には、保持器に保持された状態の円筒ころが、周方向に所定の間隔を隔てられて複数配置されている。
上記密封装置99の芯金部150は、外輪105の内周面に内嵌されて固定されている一方、密封装置99のスリンガ152は、ポンプ軸100の外周面に外嵌されて固定されている。上記密封装置99は、外輪105と、ポンプ軸100との間における、メカニカルシール101側の開口を密封している。このようにして、メカニカルシール101から矢印bで示す方向に漏れだしたポンプ室の冷却水が、ウォータポンプ軸受の内部に入ることを防止している。
上記漏れだしたポンプ室の冷却水は、ポンプハウジング102に形成された水抜き穴107を介して矢印cに示す方向に外部に確実に排出されるようになっている。尚、図6において、111は、メカニカルシール101のゴムスリーブを示し、110は、メカニカルシール101のコイルバネを示している。
図6に示すウォータポンプのように、本発明の密封装置99を、ウォータポンプに設置すると、密封装置99においてアキシアルリップ154の異常摩耗を防止できる。また、上記密封装置99における昇温や異音の発生を抑制でき、アキシアルリップ154のフランジ部166に対する接触面圧が、長時間に亘って過度に高くなることに起因するトルクの増大を防止できる。
尚、上記実施例では、本発明の密封装置99を、車輪用転がり軸受や、ウォータポンプに設定した。しかしながら、本発明の密封装置を、軌道面を有する軌道部材が外輪および内輪である転がり軸受において、上記外輪と上記内輪との間の少なくとも一方の開口を密封するように配置しても良い。また、本発明の密封装置を、モータにおける、ロータ部材とステータ部材との間に配設する転がり軸受に設置しても良い。本発明の密封装置は、内周面を有する第1部材と、外周面を有する第2部材とを有し、かつ、上記第1部材と、上記第2部材とが、上記第1部材の内周面の径方向に対向する装置であれば、如何なる機械にも設置することができる。そして、本発明の密封装置を設置した機械の密封装置のアキシアルリップの摩耗を格段に抑制できる。また、その密封装置における昇温や異音の発生を抑制でき、その密封装置におけるアキシアルリップのフランジ部に対する接触面圧が、長時間に亘って過度に高くなることに起因するトルクの増大を防止できる。
本発明の第1実施形態の車輪用転がり軸受の軸方向の断面図である。 上記車輪用転がり軸受の第1密封装置の構造を、詳細に説明する断面図である。 上記第1密封装置のグリースリップとスリンガのテーパ外周面との摺接部の拡大断面図である。 本発明の変形例の密封装置の軸方向の模式断面図である。 本発明の変形例の密封装置の軸方向の模式断面図である。 本発明の第2実施形態のウォータポンプの密封装置周辺の拡大断面図である。
2 内軸
3 外輪
4 内輪
5 第1の玉
6 第2の玉
8 第1密封装置
9 第2密封装置
48 シール部材
50,150 芯金部材
51,251,351 弾性部材
52,152 スリンガ
53 基部
54,154,254,354,355 アキシアルリップ
55,255 ラジアルリップ
56,256,356 グリースリップ
60 芯金部材の内嵌固定部
61 径方向延在部
65 スリンガの外嵌固定部
66,166 フランジ部
90 グリースリップの対向面
99 密封装置

Claims (3)

  1. 筒状の内嵌固定部、および、この内嵌固定部から上記内嵌固定部の略径方向に延在する径方向延在部を有する芯金部材と、上記芯金部材に固定された弾性部材とを有するシール部材と、
    筒状の外嵌固定部と、この外嵌固定部の軸方向の一端部から略上記径方向に延在するフランジ部とを有し、上記外嵌固定部に上記軸方向の上記フランジ部側に行くにしたがって外径が大きくなっているテーパ外周面を有するスリンガと
    を備え、
    上記弾性部材は、
    上記芯金部材の上記径方向延在部に固定された基部と、
    上記基部から延在して、上記フランジ部に摺動する環状のアキシアルリップと、
    上記基部から延在して、上記スリンガの上記外嵌固定部の上記テーパ外周面に摺動する環状のグリースリップと
    を有し、
    上記グリースリップにおいて上記外嵌固定部に上記径方向に対向する面は、上記軸方向の上記フランジ部側に行くにしたがって内径が大きくなるテーパ内周面であることを特徴とする密封装置。
  2. 請求項1に記載の密封装置と、
    軌道面を有する内輪と、
    軌道面を有する外輪と、
    上記内輪の上記軌道面と上記外輪の上記軌道面との間に配置された複数の転動体と
    を備え、
    上記密封装置は、上記内輪の外周面と上記外輪の内周面とで画定されて、上記複数の転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
    上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪に固定され、
    上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されていることを特徴とする転がり軸受。
  3. 請求項1に記載の密封装置と、
    軌道面を有する内軸と、
    上記内軸に固定されると共に、軌道面を有する内輪と、
    第1軌道面と第2軌道面とを有する外輪と、
    上記内軸の上記軌道面と上記第1軌道面との間に配置された複数の第1転動体と、
    上記内輪の上記軌道面と上記第2軌道面との間に配置された複数の第2転動体と
    を備え、
    上記密封装置は、上記外輪の内周面と、上記内軸の外周面および上記内輪の外周面において上記外輪の内周面に上記径方向に対向している部分とで画定されて、上記複数の第1転動体および上記複数の第2転動体が配置される転動体配置室における上記軸方向の少なくとも一方の側の開口を密封するように配置され、
    上記密封装置の上記スリンガは、上記内輪または上記内軸に固定され、
    上記密封装置の上記シール部材は、上記外輪に固定されていることを特徴とする車輪用転がり軸受。
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JP2004353560A (ja) * 2003-05-29 2004-12-16 Nsk Ltd スロットルバルブ装置用回転支持装置
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