JP2015075218A - 密封装置付き転がり軸受 - Google Patents

密封装置付き転がり軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2015075218A
JP2015075218A JP2013213765A JP2013213765A JP2015075218A JP 2015075218 A JP2015075218 A JP 2015075218A JP 2013213765 A JP2013213765 A JP 2013213765A JP 2013213765 A JP2013213765 A JP 2013213765A JP 2015075218 A JP2015075218 A JP 2015075218A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inner ring
sleeve
annular groove
seal
sealing device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013213765A
Other languages
English (en)
Inventor
毅 曹
Yi Cao
毅 曹
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp, NTN Toyo Bearing Co Ltd filed Critical NTN Corp
Priority to JP2013213765A priority Critical patent/JP2015075218A/ja
Publication of JP2015075218A publication Critical patent/JP2015075218A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】内輪の大つばにスリーブを締まりばめで取り付け、スリーブの外径面をシールリップのしゅう動面として利用する密封装置付き転がり軸受における内輪内径の寸法変化を抑制する。【解決手段】内輪12の大つば12b側の端面に環状溝12dを設ける。環状溝12の軸方向寸法L1をスリーブ24のはめあい部長さL2よりも長くするのが好ましい。大つば12にスリーブ24を取り付けることに起因する影響が環状溝12dによって吸収され、内輪12内径の寸法変化が抑制される。【選択図】図1

Description

この発明は密封装置付き転がり軸受に関し、限定する趣旨ではないが、たとえば鉄道車両車軸用軸受に利用することができる。
図4に、密封装置付き転がり軸受の一例として、複列円すいころ軸受を用いた鉄道車両車軸用軸受装置を示す(特許文献1参照)。この装置は、複列円すいころ軸受110と、油切り104と、後蓋106とで構成される。
複列円すいころ軸受110は、軸方向に隣接した一対の内輪112と、複列外輪114と、複列の転動体すなわちこの場合は円すいころ116と、保持器118を有し、さらに密封装置120を備えている。
各内輪112は外周に円すい面状の軌道112aを有し、軌道112aの大径側に大つば112b、小径側に小つば112cが形成してある。
複列外輪114は概略円筒形状で、内周に2列の円すい面状の軌道114aを有し、両端部の内周には環状凹部114bが形成してある。複列外輪114の中央部には軸受内部にグリースを補給するためのグリースニップル115が取り付けてある。
円すいころ116は内輪112の軌道112aと外輪114の軌道114aとの間に介在し、各列の円すいころ116は保持器118によって円周方向に所定間隔に保持される。
内輪112は軸102に取り付け、外輪114は軸受箱(図示省略)に取り付け、内輪112が回転側、外輪114が静止側となる。一対の内輪112の軸方向両側に油切り104と後蓋106が配置してあり、油切り104は軸102の軸端側(図4の左側)に位置する内輪112と隣接し、後蓋106は反軸端側(図4の右側)の内輪112と隣接する。そして、油切り104と後蓋106により一対の内輪112を軸方向に挟み込んで軸102上で軸方向の位置決めをする。
外輪114と油切り104との間、および、外輪114と後蓋106との間に、それぞれ密封装置120が設けてある。密封装置120の構造はいずれも同じであるため、ここでは後蓋106側の密封装置についてのみ説明し、油切り104側については説明を省略する。
図5に拡大して示すように、密封装置120は、スリーブ122と、シールケース124と、シール本体126と、シール環128とで構成されている。
スリーブ122は後蓋106に取り付けてある。内輪112側の後蓋106の端部外周に、内輪112の大つば112bの外周面よりも若干小径の小径円筒部106aが形成してあり、小径円筒部106aの反内輪側の端部には、小径円筒部106aから半径方向に立ち上がった段差面106bが形成してある。そして、後蓋106の小径円筒部106aに、外周面がシールリップのしゅう接面となるスリーブ122が設けてある。スリーブ122は内筒部122aと平板部122bと外筒部122cとからなり、内筒部122aを後蓋106の小径円筒部106aにはめ合わせてある。スリーブ122の平板部122bは、内筒部122aの軸受110から見て遠い方の端部から半径方向に立ち上がり、外径側で外筒部122cに連なっている。この平板部122bを後蓋106の段差面106bに当ててある。
シールケース124は軸受110の外輪114に取り付けてあり、スリーブ122の外周に対して同軸になっている。シールケース124は大径筒部124aと中径筒部124bと小径筒部124cとからなる3段の段付き円筒状で、大径筒部124aを外輪114の環状凹部114bにはめ合わせてある。小径筒部124cはスリーブ122の外筒部122cの外周に位置し、両者間にラビリンスシールを形成する。中径筒部124bはシール本体126を保持するための部分である。
シール本体126は芯金126aと弾性シール126bからなる。芯金126aは金属板からプレス加工で断面L字形に成形したもので、円筒部分と内向きフランジ部分を有し、円筒部分をシールケース124の中径筒部124bにはめ合わせてある。芯金126aの内向きフランジ部分の内周側端縁に弾性シール126bの基部が一体的に取り付けてある。弾性シール126bの基部から3つのシールリップが伸びている。すなわち、内径側に向かって斜めに伸びた2つの第一リップと、軸方向に伸びた第二リップとである。第一リップのうち図5の左側のリップは軸受110側へ向き、図5の右側のリップはそれとは反対側へ向いているが、いずれも先端でスリーブ122の内筒部122aの外周面に軽接触する。第二リップは、軸受110から遠ざかる向きに伸び、先端が拡がってスリーブ122の外筒部122cの内周面に近接する。
シール環128はシール本体126よりも軸受110に近い側に配置してある。シール環128は円筒部分と平板部分とからなり、円筒部分を芯金126aの円筒部分の内周にはめ合わせてある。シール環128の平板部分は、その先端(内径端)がスリーブ122の内筒部122aの外周面に近接して両者間にラビリンスシールを形成している。
シール環128とスリーブ122の内筒部122aとの間に形成されるラビリンスシールと、スリーブ122の内筒部122aの外周面に軽接触する2枚の第一リップにより、軸受110内のグリース等の潤滑剤がもれるのを防止する。また、シールケース124の小径筒部124cとスリーブ122の外筒部122cとの間に形成されるラビリンスシールと第二リップにより、水や異物が軸受内部に侵入するのを防止する。
特開平9−68232号公報 特許第3540450号公報
密封装置120を軸受内輪112の大つば112bに取り付けることがある(特許文献2参照)。しかし、軸受内輪112と軸102との寸法関係は締まりばめとなるように設計されるため、密封装置120のスリーブ122を軸受内輪112の大つば112bに取り付けた場合、その影響を受けて軸受内輪112の内径寸法が変化し、具体的には縮径する。その結果、軸受内輪112の軸102とのはめ合わせ(圧入)が困難になったり、軸102へのかじりが発生したりするおそれがある。
そこで、内輪112の内径寸法の変化を抑制するために、内輪112の内径面にアンダーカットを設けて、内輪112の内径寸法の変化を抑制する方法が考えられている(特許文献2)。
しかし、内輪112の内径面にアンダーカットを設けると、内輪112と軸102とのはめあい長さ(はめあい部の軸方向寸法)が短くなってしまう。はめあい長さを確保するためにアンダーカット部分以外の軸方向寸法を延長することも考えられるが、そうすると内輪112の軸方向寸法が長くなって軸受全体の大形化につながる。
また、内輪112と相手部材との突き当て面がなくなる。内輪112の大つば側の端面を後蓋または油切りの端面に突き当てることになるが、大つば側の内径面にアンダーカットがあるため、内輪112の強度低下が問題となる。内輪112の大つば側の端面は背面すなわち、アキシアル荷重を支持する軌道輪の側面である。
この発明の目的は、内輪の大つばにスリーブを締まりばめで取り付け、スリーブの外径面をシールリップのしゅう動面として利用する密封装置付き転がり軸受において、内輪内径の寸法変化を抑制することにある。
この発明は、内輪の大つば側の端面に環状溝を設けることによって課題を解決した。
すなわち、この発明の密封装置付き転がり軸受は、内輪の大つばにスリーブを締まりばめで取り付け、前記スリーブの外径面をシールリップのしゅう動面として利用する密封装置付き転がり軸受において、前記内輪の前記大つば側の端面に環状溝を設けたことを特徴とするものである。
この発明によれば、内輪の大つば側の端面に環状溝を設けたことにより、内輪の大つばにスリーブを締まりばめで取り付けることによる影響が環状溝によって吸収され、内輪内径の寸法変化が抑制される。したがって、軸と内輪のはめあい(圧入)が容易となり、軸受の装着性向上が図れる。
また、環状溝よりも内径側に相手部材との突き当て面を確保してもよい。その場合、内輪と相手部材との間に環状スペーサを介在させることができる。鉄道車両車軸用軸受に適用した場合、後蓋または油切りが相手部材となる。そして、たとえば金属プレートの外周縁部に弾性シールを固着させた環状スペーサを内輪の大つば側の端面と相手部材の端面との間に介在させる場合、弾性シールが環状溝に押し込まれて環状スペーサと内輪が一体化し、内輪と相手部材の接触面のフレッティングを回避するとともに、環状溝への水や異物の侵入を防止することができる。
この発明の実施の形態を示す部分断面図である。 図1における密封装置の拡大図である。 別の実施の形態を示す部分断面図である。 従来の技術を示す鉄道車両車軸用軸受装置の断面図である。 図4の部分拡大図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。ここでは、鉄道車両車軸用軸受に適用した場合を例にとることとする。
図1に、複列円すいころ軸受を用いた鉄道車両車軸用軸受装置の片側だけを示す。基本的構成に関する限り、図4および図5に関連してすでに述べた従来の鉄道車両車軸用軸受装置と変わるところはないため、この発明と直接関連しない部分については重複した説明を省略する。
複列円すいころ軸受10は、一対の内輪12と、複列外輪14と、転動体たる円すいころ16と、保持器18を主要な構成要素としている。
内輪12は車軸とはめ合わせ、同じく車軸とはめ合わせた油切り(図4参照)と後蓋6とで軸方向の位置決めをする。各内輪12は外周に軌道12aを有し、軌道12aの両側につば12b、12cが形成してある。軌道12aは円すい面状で、その大径側に大つば12bが位置し、小径側に小つば12cが位置している。内輪12の大つば12b側の端面は、油切りや後蓋6といった相手部材との突き当て面となる。なお、以下では図1との関連上、後蓋6側についてのみ言及するが、油切り側についても基本的に同様である。
外輪14は、内周に2列の軌道14aを形成したいわゆる複列外輪で、図示しない軸箱に固定するようになっている。
円すいころ16は、内輪12の軌道12aと外輪14の軌道14aとの間に介在している。そして、保持器18は、各列の円すいころ16を円周方向に所定間隔で保持する役割を果たす。
軸受内部に充填した潤滑剤(グリース)のもれを防止し、また、外部から軸受内部に水その他の異物が侵入するのを防止するため、密封装置Sを設ける。密封装置Sは既存のものを適宜選択して採用することができるため、ここでは一例を挙げるにとどめる。
図1における密封装置Sは、図2に拡大して示すように、シール本体20と、シールケース22と、スリーブ24とで構成されている。
シールケース22は金属製で、大径部22aと、小径部22bと、内向きフランジ部22cとからなる段付き円筒形状であり、大径部22aを外輪14の端部に形成した環状凹部14bに圧入して装着する。内向きフランジ部22cの内径端部にシール本体20がたとえば加硫接着により固着させてある。
スリーブ24は金属製の環状体で、略U字形断面を有し、内筒部24aと、外筒部24cと、内筒部24aと外筒部24cをつなぐ接続部24bとからなっていて、内筒部24aを内輪12の大つば12bの外径面にはめ合わせる。したがって、外輪側部材であるシールケース22は静止側、内輪側部材であるスリーブ24は回転側となる。スリーブ24の外筒部24cはシールケース22の小径部22cの外周に位置している。
シールケース22の小径部22cとスリーブ24の外筒部24cとは同心状に配置され、シールケース22の大径部22aと小径部22cをつなぐ半径方向部分22bとスリーブ24の外筒部24cの端面との間に環状のすきまが形成される。同様に、シールケース22の小径部22cの外周面とスリーブ24の外筒部24cの内周面との間に環状のすきまが形成される。これらのすきまはラビリンスシールを形成し、外部から侵入してくる水や異物に対する第一のシール部となる。この第一のシール部に対して第二、第三のシール部を構成するのはサイドリップ20e、補助リップ20dであるが、これらについては後に述べる。
なお、上述のラビリンスシールは半径方向外方に向かって開口している。そして、図1および図2では上方に開口しているが、それは図1が時計表示で言うならば12時に相当する断面を示しているためである。これらの図に現れていない6時方向ではラビリンスが下方に開口しているため、後に述べるサイドリップとの協働作用で、水や異物が侵入しても下方の開口から容易に排出することができる。
シール本体20は、基部20aと、その基部20aから伸びた複数のリップを有する。基部20aは、すでに述べたとおり、シールケース22の内向きフランジ部22dの内周縁部に固着させてある。複数のシールリップとは、主リップ20b、20cと、補助リップ20dと、サイドリップ20eである。
主リップ20b、20cは、環状溝を挟んで軸方向に一対のリップを配置したいわばツインのシールリップで、各シールリップの内周面に円周方向に伸びる環状溝が形成してある。言い換えれば、主リップ20a、20bは、内周面に3つの環状溝を小、大、小の順に配置したシールリップということもできる。主リップ20b、20cは非接触タイプで、スリーブ24の内筒部24aの外周面との間の環状のすきまによってラビリンスシールを形成する。このラビリンスシールが、軸受内部の潤滑剤がもれ出すのを防止する役割を果たす。すなわち、軸受内部の潤滑剤が外部に流出しようとするとき、最初の関門となるのが主リップ20b、20cである。主リップ20a、20bは非接触であることから低トルクである。
補助リップ20dは、スリーブ24の内筒部24aに向かって半径方向内側に、かつ、主リップ20a、20bから遠ざかる向きに斜めに伸び、先端がスリーブ24の小径部24aの外周面に弾性的に接触する。主リップ20b、20cと補助リップ20dとの間に環状の圧力室mが形成される。この圧力室m内の圧力によって、潤滑剤は、主リップ20b、20cによって形成されるラビリンスシール内に進入することはできても、そこからさらに環状空間m内に流出することはできない。このように、主リップ20b、20cと補助リップ20dは両者を合わせてデュアルリップと捉えることができ、両者間に圧力室mを画成することにより軸受内部の潤滑剤がもれ出るのを防止する役割を果たす。
また、補助リップ20dは接触タイプであることから、外部からの水や異物に対する第三のシール部としても機能する。すなわち、外部から侵入しようとする水や異物が次に述べるサイドリップ20eを通過してくるときに、これを阻止して軸受内部に侵入させないようにする役割を果たす。
サイドリップ20eは半径方向外側に向かって斜めに、かつ、スリーブ24の接続部24bに向かって伸びている。サイドリップ20eは非接触タイプで、その先端はスリーブ24の接続部24bの内壁面の少し手前で止まっている。サイドリップ20eの断面形状がこのように外径側に開いた環状溝の形であることから、外部から侵入しようとする水や異物を受け止めて容易に排出することができる。したがって、このサイドリップ20eは外部からの水や異物に対する第二のシール部となる。
すでに述べたよう、内輪12の大つば12bにスリーブ24を締めしろをもってはめ合わせると、締めしろによる影響を受けて、内輪12の内径が縮小する。具体的には、締めしろにもよるが、20μm程度小さくなる。このため、軸(図4参照)とのはめ合わせ(圧入)が困難となる場合がある。
そこで、締めしろによる影響を緩和するため、図1および図2に示すように、内輪12の大つば12b側の端面に環状溝12dを設ける。環状溝12dを設けることにより、大つば12bの外径面にスリーブ24を締まりばめではめ合わせても、締めしろの影響が環状溝12dによって吸収され、内輪12の内径にまで影響が及ばない。したがって、内輪12の内径の変化(縮小)を抑制することができる。
スリーブ24を締めしろをもってはめ合わせることによる内輪12の内径面の変形を抑制することが目的であることから、環状溝12dの寸法関係は次のような設定とするのが好ましい。すなわち、環状溝12dの深さL1、言い換えれば内輪12の大つば12b側の端面から測った軸方向寸法は、スリーブ24の長さL2、言い換えれば内輪12とスリーブ24のはめあい部長さよりも長く設定する。また、内輪12の大つば12bの強度低下を防ぐために、環状溝12dの外径D1を内輪12の軌道12aの大径D2よりも小さく設定する。
なお、図示した環状溝12dの場合、内輪12の軸線と平行である。つまり、大つば12b側の端面に対して垂直で、大つば12bの外径面に対しては平行である。しかし、軸線に対して傾斜させてもよい。いずれにせよ、環状溝12dよりも内径側には相手部材(後蓋または油切り)との突き当て面を確保する。図1の場合、内輪12の大つば12b側の端面のうち環状溝12dよりも内径側の部分が後ろ蓋6との突き当て面となっている。
軸受の取付け、取外しの際や使用中に、後蓋6との接触により内輪12に荷重が作用することは、内輪12の強度の観点から好ましくない。したがって、後蓋6の内輪12側の端面のうち、環状溝12dよりも外径側の領域に逃げを設けることが望ましい。図1は、符号8で示すように、後蓋6の端面を切り欠いた例である。あるいは、内輪12の大つば12d側の端面のうち、環状溝12dよりも外径側の領域を後退(セットバック)させて、後蓋6と接触しないようにしてもよい。
内輪12の大つば12b側の端面に環状溝12dを設け、後蓋6の端面に切欠き8を設ける場合、内輪12と後蓋6との間にすきまが形成されるため、そのすきまから環状溝12dに、水や異物が侵入しやすい。しかも、一旦水や異物が侵入してしまうと排出が困難で、とくに水が侵入すると錆が発生するおそれがある。
図3はその対策の一例を示す。すなわち、図示するように、内輪12と後蓋6との間に環状スペーサ26を介在させて、環状溝12dを閉塞する。さらに、環状溝12dを利用して弾性シール30を装着する。
環状スペーサ26は、金属プレート28と弾性シール30とからなる。金属プレート28は、軟質金属薄板を円環状にプレス成形したものである。軟質金属とは、内輪12や後蓋6の材料よりも軟質という意味で、一例として銅合金を挙げることができる。金属プレート28の外周縁部には、ほぼ直角に折れ曲がったリムが形成してある。弾性シール30はニトリルゴムなどの耐摩耗性弾性材料製で、金属プレート28の外周縁部に固着させてある。弾性シール30は、金属プレート28の上記リムの全面を覆うようにして金属プレート28と一体化される。
内輪12の端面と後蓋6の端面との間に環状スペーサ26を介在させることにより、内輪12と後蓋6が直接接触することがなくなり、しかも、弾性シール30が環状溝12d内に押し込まれる。したがって、この実施の形態では、環状溝12dへの水や異物の侵入を防止し、同時に、内輪12の端面と後蓋6の端面のフレッティングを抑制することができる。また、内輪12と後蓋6との間に金属プレート20が介在することにより、内輪12と後蓋6とが直接接触しないため、後蓋6から内輪12に対して直接外力が作用することがなくなり、後蓋6の端面に逃げを設ける必要がなくなる。
図3は、内輪12と後蓋6との間に金属プレート28と弾性シール30が挟み込まれ、その結果、弾性シール30が弾性変形して、一部が環状溝12dの内部に詰め物のように入り込んだ状態を示している。したがって、弾性シール30は、内輪12と後蓋6との間のすきまを埋めて外部から水や異物が侵入するのを防止するだけでなく、環状溝12dの内部への水や異物の侵入を一層確実に防止する。
また、弾性シール30が環状溝12dに入り込むことによって、弾性シールだけでなく金属プレート28も内輪12と一体化するため、金属プレート28の位置ずれや脱落がなくなる。したがって、軸受の分解や再組立の際にも、金属プレート28および弾性シール30が内輪12と常に一体であるため、作業能率が向上する。
さらに、弾性シール30が弾性変形して内輪12の端面および後蓋6の端面に密着することにより、車軸のたわみに起因して内輪12と後蓋6の接触部にフレッティングが発生することを回避し、かつ、摩耗粉の発生を回避することができる。同時に弾性シール30が内輪12の端面と後蓋6の端面に密着することで、内輪12と後蓋6との接触部を気密、液密に封止する。そのため、万一、金属プレート28の摩耗粉が発生したとしても、弾性シール30によって接触部の外周側へ、ひいては軸受内部への侵入が阻止される。したがって、軸受の長寿命に寄与する。
以上、鉄道車両車軸用軸受に適用した実施例を例にとってこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、添付図面に示し、かつ、上に述べた実施の形態に限らず、特許請求の範囲に悖ることなく種々の改変を加えて実施をすることが可能である。
一例を挙げるならば、ここでは複列円すいころ軸受を用いた場合を例にとったが、複列円筒ころ軸受を用いた場合にも同様に適用することができる。その場合、円すいころを円筒ころと読み替え、大つばをつばと読み替えるなど、適宜の読み替えをすべきことは言うまでもない。また、複列軸受に限らず単列軸受であっても同様に適用することができる。もちろん用途に関しても鉄道車両用に限られない。
密封装置Sも、ここに図示し、かつ述べたものに限らず、とくにシール本体20のリップの形状や構造については任意の形状、構造を採用することができる。例えばJIS B 2042−1:2013に規定されたオイルシールのなかから選択して採用してもよい。
10 複列円すいころ軸受(転がり軸受)
12 内輪
12a 軌道
12b 大つば
12c 小つば
12d 環状溝
14 外輪
14a 軌道
14b 環状凹部
16 円すいころ(転動体)
18 保持器
S 密封装置
20 シール本体
20a 基部
20b、20c 主リップ
20d 補助リップ
20e サイドリップ
22 シールケース
22a 大径部
22b 半径方向部分
22c 小径部
22d 内向きフランジ
24 スリーブ
24a 内筒部
24b 接続部
24c 外筒部
26 環状スペーサ
28 金属プレート
30 弾性シール

Claims (8)

  1. 内輪の大つばにスリーブを締まりばめで取り付け、前記スリーブの外径面をシールリップのしゅう動面として利用する密封装置付き転がり軸受において、
    前記内輪の前記大つば側の端面に環状溝を設けた密封装置付き転がり軸受。
  2. 前記環状溝は深さが前記スリーブの長さよりも長い請求項1の密封装置付き転がり軸受。
  3. 前記環状溝は外径が前記内輪の軌道の大径よりも小さい請求項1または請求項2の密封装置付き転がり軸受。
  4. 前記内輪の大つば側の端面に前記環状溝よりも内径側に相手部材との突き当て面を確保した請求項1から請求項3のいずれか1項の密封装置付き転がり軸受。
  5. 前記内輪の前記突き当て面と前記相手部材との間に環状スペーサを介在させた請求項4の密封装置付き転がり軸受。
  6. 前記環状スペーサは、環状の金属プレートと、前記金属プレートの外周に固着した弾性シールを備えている請求項5の密封装置付き転がり軸受。
  7. 前記弾性シールを弾性変形を利用して前記環状溝に押し込んだ請求項6の密封装置付き転がり軸受。
  8. 鉄道車両車軸用である請求項1から請求項7のいずれか1項の密封装置付き転がり軸受。
JP2013213765A 2013-10-11 2013-10-11 密封装置付き転がり軸受 Pending JP2015075218A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013213765A JP2015075218A (ja) 2013-10-11 2013-10-11 密封装置付き転がり軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013213765A JP2015075218A (ja) 2013-10-11 2013-10-11 密封装置付き転がり軸受

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015075218A true JP2015075218A (ja) 2015-04-20

Family

ID=53000218

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013213765A Pending JP2015075218A (ja) 2013-10-11 2013-10-11 密封装置付き転がり軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015075218A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018056000A1 (ja) * 2016-09-20 2018-03-29 Ntn株式会社 車軸用軸受装置
JP2020143708A (ja) * 2019-03-05 2020-09-10 Ntn株式会社 スラスト軸受

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018056000A1 (ja) * 2016-09-20 2018-03-29 Ntn株式会社 車軸用軸受装置
JP2018048658A (ja) * 2016-09-20 2018-03-29 Ntn株式会社 車軸用軸受装置
CN109661523A (zh) * 2016-09-20 2019-04-19 Ntn株式会社 车轴用轴承装置
GB2569494A (en) * 2016-09-20 2019-06-19 Ntn Toyo Bearing Co Ltd Bearing device for axle
US10851839B2 (en) 2016-09-20 2020-12-01 Ntn Corporation Bearing device for axle
GB2569494B (en) * 2016-09-20 2022-02-09 Ntn Toyo Bearing Co Ltd Bearing device for axle
JP2020143708A (ja) * 2019-03-05 2020-09-10 Ntn株式会社 スラスト軸受
JP7270416B2 (ja) 2019-03-05 2023-05-10 Ntn株式会社 スラスト軸受

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9463814B2 (en) Bearing device for axle of railway vehicle
JP2016080141A (ja) 密封装置
WO2016125516A1 (ja) 鉄道車両用軸受装置
JP6214891B2 (ja) 密封装置付き軸受装置
JP2015075218A (ja) 密封装置付き転がり軸受
JP2007187218A (ja) 車輪用軸受装置
JP2012117628A (ja) 密封装置および転がり軸受
JP2008082392A (ja) 鉄道車両車軸用軸受装置
JP2008267431A (ja) 複列円すいころ軸受装置
JP5206537B2 (ja) 密封装置および転がり軸受
JP2005325866A (ja) 鉄道車両用軸受
JP6629802B2 (ja) 車輪用軸受装置
KR20170126528A (ko) 수분 유입 방지용 고무가 부착된 플링거가 구비된 휠 베어링
JP2009024809A (ja) 密封装置および転がり軸受装置
JP5194992B2 (ja) 転がり軸受装置
JP5564180B2 (ja) 密封装置、転がり軸受および車輪用転がり軸受
JP2009024807A (ja) 密封装置
JP6396681B2 (ja) 車輪用軸受装置
JP5023774B2 (ja) 転がり軸受構造
JP2012184815A (ja) 転がり軸受の密封装置及び車輪用転がり軸受装置
JP2015227671A (ja) 密封型転がり軸受
JP2023030822A (ja) 転がり軸受及び転がり軸受ユニット
JP5274931B2 (ja) 複列ころ軸受
JP2009024804A (ja) 密封装置
JP2013194880A (ja) 転がり軸受