JP2003097565A - アンギュラ玉軸受 - Google Patents
アンギュラ玉軸受Info
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Abstract
散するのを抑制することができるようにして、グリース
潤滑による高速回転時の長寿命化の達成を低コストで実
現することができるアンギュラ玉軸受を提供する。 【解決手段】 アンギュラ玉軸受1は、外輪内周面に形
成したカウンターボア7と、外周部に形成した取付け嵌
合部15が外輪内周面の軸線方向両端部近傍に形成した一
対のシール嵌合溝8,8 内にそれぞれ嵌合される非接触シ
ール部材10と、内外輪間に複数の玉5を保持する保持器
6とを備える。カウンターボア7側の非接触シール部材
10における取付け嵌合部15の内径D2が、対応するシール
嵌合溝8の最小内径D1より小さく、且つ保持器6の最大
外径D3より大きくされる。一対のシール嵌合溝8,8 の間
隔B2が、保持器6のポケット径B1以上、且つ保持器6の
幅寸法B3以下にされる。
Description
寿命化が求められるモータや工作機械の主軸等に用いら
れる外輪にカウンターボアを有する非接触シール部材付
きのアンギュラ玉軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】工作機械の主軸に用いられる軸受の潤滑
は、コストやメンテナンスフリーの観点からグリース潤
滑が多く用いられる。また、工作機械の主軸の回転数
は、生産性向上の要求から高回転になり、軸受の高速化
がますます要求されている。特に、外輪にカウンターボ
アを有するアンギュラ玉軸受は、グリース潤滑の場合に
高速回転になると、外輪のカウンターボアの存在によっ
てグリースの基油(潤滑油)が排出されやすくなり、軌
道溝における潤滑油の保油性が悪化して潤滑不良が発生
し、軸受の耐久面で不利になる。 【0003】また、外輪の軸線方向の両端部近傍に、単
純に非接触シール部材を装着した場合も、高速回転にな
ると軸受内のグリースは軸方向の端面側に移動してシー
ル部分に付着することになるので、グリース自体が軸受
内部から飛散することはないものの、シール部分に付着
したグリースから基油が再び軌道溝に供給されることは
少なく、グリース潤滑における潤滑不良を解消するには
不十分である。 【0004】そこで、特開平11−108068号公報
に開示されたアンギュラ玉軸受では、非接触シール部材
を装着しなくても外輪の軌道溝と玉との接触面(接触楕
円)が確保されるように、外輪の内周面に機械加工によ
りグリース貯蔵溝を形成することにより、この貯蔵溝に
溜まったグリースから基油(潤滑油)を再び軌道溝に供
給し、これにより従来の軸受に比べて長寿命化を図れる
としている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平11−108068号公報に開示されたアンギュラ
玉軸受においては、例えばdmN(許容回転数)が10
0万以上の高速回転になると、外輪内周面に形成したグ
リース貯蔵溝だけでは、軸受内に充填したグリースの飛
散を抑制できず、軸受内に充填したグリースを十分に活
用して潤滑に寄与させることは難しい。 【0006】また、個々の軸受毎に、機械加工によりグ
リース貯蔵溝を外輪内周面に形成する必要があるため、
製作コストの低減を妨げる原因になるという問題もあ
る。従って、本発明の目的は上記課題を解消することに
係り、高速回転時に軸受内に充填したグリースが飛散す
るのを抑制することができるようにして、グリース潤滑
による高速回転時の長寿命化の達成を低コストで実現す
ることができるアンギュラ玉軸受を提供することであ
る。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、外
輪内周面に形成したカウンターボアと、外周部に形成し
た取付け嵌合部が外輪内周面の軸線方向両端部近傍に形
成した一対のシール嵌合溝内にそれぞれ嵌合される非接
触シール部材と、内外輪間に複数の玉を保持する保持器
とを備えたアンギュラ玉軸受であって、少なくとも前記
カウンターボア側の非接触シール部材における取付け嵌
合部の内径が、対応する前記シール嵌合溝の最小内径よ
り小さく、且つ前記保持器の最大外径より大きくされる
と共に、前記一対のシール嵌合溝の間隔が、前記保持器
のポケット径以上、且つ前記保持器の幅寸法以下にされ
ることを特徴とするアンギュラ玉軸受により達成され
る。 【0008】上記構成によれば、非接触シール部材によ
って軸受内に充填したグリースの飛散を抑制することが
できると共に、該非接触シール部材における取付け嵌合
部と外輪内周面とによって、グリース貯蔵溝を形成する
ことができるため、該グリース貯蔵溝に溜まったグリー
スから基油(潤滑油)を再び外輪の軌道溝に供給するこ
とができる。また、前記グリース貯蔵溝は、非接触シー
ル部材における取付け嵌合部と外輪内周面とによって形
成されるので、個々の軸受毎に機械加工によりグリース
貯蔵溝を外輪内周面に形成する必要がない。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明
の実施形態に係るアンギュラ玉軸受を詳細に説明する。
本発明の第1実施形態に係るアンギュラ玉軸受1は、図
1に示したように、外輪2の軌道溝2aと内輪3の軌道
溝3aとの間に、転動体である複数の玉5が配置されて
いる。これら玉5は、保持器6により周方向に所定間隔
をもって転動自在に保持されている。 【0010】前記外輪2の軸線方向一端側(図中、右端
側)の外輪内周面には、カウンターボア7が形成されて
いる。前記保持器6のカウンターボア側の外径は、反カ
ウンターボアの外径より大きくなっており、カウンター
ボア側および反カウンターボア側において、前記保持器
6の外周面と前記外輪2の外輪内周面とのクリアランス
が、略同一間隔と成るように構成されている。 【0011】また、前記外輪2の外輪内周面の軸線方向
両端部近傍には、それぞれ非接触シール部材10が嵌合
される一対のシール嵌合溝8が形成されている。このシ
ール嵌合溝8は、図2に示したように、カウンターボア
側および反カウンターボア側共に、外輪2の端面から軸
線方向内方に向けて次第に拡径方向に傾斜するテーパ状
内周面8aと、該テーパ状内周面8aに角部8cを介し
て半径方向内方に連続して延びる端面8bとを有してお
り、カウンターボア側の端面8bは、反カウンターボア
側の端面8bより径方向の寸法が短くなっている。 【0012】前記非接触シール部材10は、カウンター
ボア側および反カウンターボア側共に、同一形状とされ
ており、図3に示したように、環状板11と該環状板1
1の外周縁から軸線方向に沿って突出する円筒部12と
を備えた芯金13に、ゴム等の弾性材14が加硫成形等
により一体に固着されている。前記芯金13の環状板1
1に固着された弾性材14の内周部は、前記内輪3の外
周面に近接して配置されるが非接触とされる。 【0013】前記芯金13の円筒部12に固着された弾
性材14は、前記外輪2のシール嵌合溝8に嵌合される
取付け嵌合部15とされており、該取付け嵌合部15の
内周面は軸線と略平行な円筒状内周面とされ、外周面は
円筒部12の突出方向に向けて次第に縮径方向に傾斜す
るテーパ状外周面16とされている。 【0014】そして、前記取付け嵌合部15が前記シー
ル嵌合溝8に嵌合される際、テーパ状外周面16はテー
パ状内周面8aと逆方向に傾斜するようにして組付けら
れる。そこで、前記シール嵌合溝8に軸方向から挿入し
て嵌合される前記非接触シール部材10は、前記取付け
嵌合部15の挿入先端側(円筒部12の突出側)の外径
が挿入後端側の外径より小さいために、シール嵌合溝8
へ嵌合し易く、且つ抜け難くなる。 【0015】尚、前記非接触シール部材10における芯
金13の円筒部12の外径は、カウンターボア側のシー
ル嵌合溝8の最小内径D1よりも大きくなっており、取
付け嵌合部15がシール嵌合溝8に嵌合される際には、
該取付け嵌合部15を軸方向へ必要以上に入り込まない
ようにする一種の軸線方向位置決め手段として機能す
る。 【0016】また、前記シール嵌合溝8のテーパ状内周
面8aのテーパ角α1は、カウンターボア側のシール嵌
合溝8の溝深さが浅いことによる非接触シール部材10
の抜けを防ぐために、1〜30度の角度範囲が好まし
く、本実施形態では該テーパ角α1を10度としてい
る。前記テーパ角α1が30度を超えると、シール嵌合
溝8の溝深さが深くなって外輪2の肉厚が減少し、外輪
2の強度低下を招く虞れがあり、一方、1度未満ではシ
ール嵌合溝8の加工精度によって、非接触シール部材1
0の嵌合力のばらつきが大きくなる。 【0017】更に、本実施形態では、前記非接触シール
部材10の取付け嵌合部15の内径D2が、対応するカ
ウンターボア側のシール嵌合溝8の最小内径D1より小
さく、且つ前記保持器6の最大外径D3より大きくされ
ると共に、前記一対のシール嵌合溝8,8の間隔B2
が、前記保持器6のポケット径B1以上、且つ前記保持
器6の幅寸法B3以下にされる。 【0018】即ち、前記非接触シール部材10における
取付け嵌合部15の内径D2をカウンターボア側のシー
ル嵌合溝8の最小内径D1より小さくすることにより、
該取付け嵌合部15の軸線方向内方の先端面とカウンタ
ーボア7とによって、外輪2の内周面にグリース貯蔵溝
17が形成される。また、前記取付け嵌合部15の内径
D2を保持器6の最大外径D3より大きくすることによ
り、保持器6と該取付け嵌合部15との干渉による異常
発熱や損傷を防止するようにしている。 【0019】また、一対のシール嵌合溝8,8の間隔B
2を保持器6のポケット径B1以上にすることにより、
前記グリース貯蔵溝17の軸線方向の側面(取付け嵌合
部15の軸線方向愛方の先端面)が前記ポケット18の
内周面より軸方向外側に位置することになるので、回転
中の玉5にかき上げられたグリースがポケット18を通
過して外輪2の内周面に到達した際に、該グリースをグ
リース貯蔵溝17に確実に貯蔵することができる。 【0020】更に、一対のシール嵌合溝8,8の間隔B
2を保持器6の幅寸法B3以下にする理由は次の通りで
ある。上述したように、取付け嵌合部15の軸線方向内
方の先端面とカウンターボア7とによって外輪2の内周
面に形成されるグリース貯蔵溝17は、該グリース貯蔵
溝17に溜まったグリースから滲み出す基油により外輪
2の軌道溝2aを潤滑するため、軌道溝2aに近いほど
その効果が発揮される。また、前記グリース貯蔵溝17
の軸線方向の幅が大きすぎると、軸受内のグリース封入
量が多くなってトルクが上昇するため、グリース貯蔵溝
17の軸線方向の幅を保持器6のポケット径B1に近づ
けるように狭くして、極力グリース封入量を下げること
が好ましいからである。 【0021】上述した如き本実施形態のアンギュラ玉軸
受1によれば、一対の非接触シール部材10,10によ
って軸受内に充填したグリースの飛散を抑制することが
できると共に、該非接触シール部材10における取付け
嵌合部15と外輪2の外輪内周面とによって、グリース
貯蔵溝17を形成することができるので、前記グリース
貯蔵溝17に溜まったグリースから基油(潤滑油)を再
び外輪2の軌道溝2aに供給することができる。そこ
で、例えばdmN(許容回転数)が100万以上の高速
回転でも、軸受内に充填したグリースを十分に潤滑に寄
与させることができ、高速回転時の軸受の長寿命化を達
成することができる。 【0022】また、前記グリース貯蔵溝17は、非接触
シール部材10における取付け嵌合部15と外輪2の外
輪内周面とによって形成されるので、個々の軸受毎に機
械加工によりグリース貯蔵溝を外輪内周面に形成する必
要がなく、軸受の製作コストの上昇を招くことがない。 【0023】尚、上記実施形態では、シール嵌合溝8の
形状および非接触シール部材10の形状をカウンターボ
ア側および反カウンターボア側で同一とした場合を例に
説明したが、本発明のアンギュラ玉軸受はこれに限定さ
れない。例えば、シール嵌合溝および非接触シール部材
の形状をカウンターボア側と反カウンターボアで異なら
せてもよく、また、識別の為にカウンターボア側と反カ
ウンターボアで非接触シール部材の色が異なっていても
よい。 【0024】次に、図4乃至図6を参照して、本発明の
第2実施形態に係るアンギュラ玉軸受を説明する。尚、
本第2実施形態に係るアンギュラ玉軸受21は、上記第
1実施形態に係るアンギュラ玉軸受1に対して、反カウ
ンターボア側のシール嵌合溝28および該シール嵌合溝
28に嵌合される非接触シール部材30の形状が相違す
るだけであるため、上記第1実施形態と重複する部分に
ついては各図に同一符号を付して詳細な説明を省略す
る。 【0025】本第2実施形態に係るアンギュラ玉軸受2
1は、図4及び図5に示したように、反カウンターボア
側のシール嵌合溝28が、外輪22の端面から軸線方向
内方に向けて軸線と略平行に延びる円筒面28dと、該
円筒面28dに連続して次第に拡径方向に傾斜するテー
パ状内周面28aと、該テーパ状内周面28aに角部2
8cを介して半径方向内方に連続して延びる端面28b
とを有しており、カウンターボア側の端面8bは、反カ
ウンターボア側の端面28bより径方向の寸法が短くな
っている。 【0026】前記非接触シール部材30は、図6に示し
たように、環状板31と該環状板31の外周縁から軸線
方向に沿って突出する円筒部32とを備えた芯金33
に、ゴム等の弾性材34が加硫成形等により一体に固着
されている。前記芯金33の環状板31に固着された弾
性材34の内周部は、前記内輪3の外周面に近接して配
置されるが非接触とされる。 【0027】前記芯金33の円筒部32に固着された弾
性材34は、前記外輪22のシール嵌合溝28に嵌合さ
れる取付け嵌合部35とされており、該取付け嵌合部3
5の内周面は軸線と略平行な円筒状内周面とされ、外周
面は円筒部32の突出方向に向けて次第に縮径する断面
1/4円弧状の曲面状外周面とされている。これによ
り、前記非接触シール部材30をシール嵌合溝28に軸
方向から挿入して嵌合する際には、前記取付け嵌合部3
5の挿入先端側(円筒部32の突出側)の外径が挿入後
端側の外径より小さいために、シール嵌合溝28へ嵌合
し易く、且つ抜け難くなる。 【0028】図5に示したように、本第2実施形態で
は、カウンターボア側のシール嵌合溝8の溝深さK1を
反カウンターボア側のシール嵌合溝28の溝深さK2よ
りも浅くして(K1<K2)、外輪22のカウンターボ
ア側の肉厚を確保し、これにより、外輪22の強度が低
下するのを防止している。 【0029】また、カウンターボア側のシール嵌合溝8
は、テーパ状にして溝深さが浅くされているので、図3
に示した前記非接触シール部材10の芯金11とシール
嵌合溝8の端面8bとで非接触シール部材10の軸線方
向の位置決めを確実に行えるように、シール嵌合溝8の
軸線方向の長さLL1を反カウンターボア側のシール嵌
合溝28の軸線方向の長さLL2より長くしている(L
L1≧LL2)。 【0030】その結果、図3及び図6に示したように、
カウンターボア側の非接触シール部材10における芯金
13の円筒部12に固着された弾性材14の最大肉厚K
K1が、反カウンターボア側の非接触シール部材30に
おける芯金33の円筒部32に固着された弾性材34の
最大肉厚KK2より薄くされると共に(KK1<KK
2)、前記非接触シール部材10における芯金11の円
筒部12の軸方向長さL1が、前記非接触シール部材3
0における芯金31の円筒部32の軸方向長さL2)よ
り長くされる(L1≧L2)。これにより、カウンター
ボア側の非接触シール部材10の取付け嵌合部15の緊
迫力が、反カウンターボア側の非接触シール部材30の
取付け嵌合部35の緊迫力より大きくされ、該非接触シ
ール部材10は軸方向に抜け難くされている。 【0031】更に、図5に示したように、反カウンター
ボア側のシール嵌合溝28におけるテーパ状内周面28
aの傾斜角α2は、カウンターボア側のシール嵌合溝8
のテーパ状内周面8aのテーパ角α1に比べて大きくし
ている(α1<α2)。このように、反カウンターボア
側のシール嵌合溝28の傾斜角α2が大きいのは、外輪
22の肉厚が十分確保できるので、シール嵌合溝28の
溝深さK2が十分に得られるためである。尚、本第2実
施形態に係るアンギュラ玉軸受21におけるその他の構
成および作用効果は、上記第1実施形態に係るアンギュ
ラ玉軸受1と同様であるので説明を省略する。 【0032】次に、図7乃至図9を参照して、本発明の
第3実施形態に係るアンギュラ玉軸受を説明する。尚、
本第3実施形態に係るアンギュラ玉軸受23は、上記第
2実施形態に係るアンギュラ玉軸受21に対して、カウ
ンターボア側のシール嵌合溝38および該シール嵌合溝
38に嵌合される非接触シール部材40の形状が相違す
るだけであるため、第2実施形態と重複する部分につい
ては各図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。 【0033】本第3実施形態に係るアンギュラ玉軸受2
3は、図7及び図8に示したように、カウンターボア側
のシール嵌合溝38が、外輪24の端面から軸線方向内
方に向けて軸線と略平行に延びる円筒面38aと、該円
筒面38aに連続して半径方向内方に延びる端面38b
と、前記円筒面38aに凹設された周溝39とを有して
おり、カウンターボア側の端面38bは、反カウンター
ボア側の端面28bより径方向の寸法が短くなってい
る。 【0034】また、前記周溝39の内側の溝側面は、図
8に示したように、外輪24の内方に向けて次第に縮径
方向に所定の角度γで傾斜するテーパ状溝側面39aと
されている。前記非接触シール部材40は、図9に示し
たように、環状板41と該環状板41の外周縁から軸線
方向に沿って突出する円筒部42とを備えた芯金43
に、ゴム等の弾性材44が加硫成形等により一体に固着
されている。前記芯金43の環状板41に固着された弾
性材44の内周部は、前記内輪3の外周面に近接して配
置されるが非接触とされる。 【0035】前記芯金43の円筒部42に固着された弾
性材44は、前記外輪24のシール嵌合溝38に嵌合さ
れる取付け嵌合部45とされており、該取付け嵌合部4
5の内周面は軸線と略平行な円筒状内周面とされ、外周
面は軸線と略平行な円筒状外周面46と円筒部42の突
出方向に向けて次第に縮径方向に傾斜するテーパ状外周
面47とで形成されている。 【0036】これにより、前記非接触シール部材40を
シール嵌合溝38に軸方向から挿入して嵌合する際に
は、前記取付け嵌合部45の挿入先端側(円筒部42の
突出側)の外径が挿入後端側の外径より小さいために、
シール嵌合溝38へ嵌合し易く、且つ抜け難くなる。 【0037】また、前記取付け嵌合部45の円筒状外周
面46の外径は、前記シール嵌合溝38の円筒面38a
の内径より大きいため、弾性変形した円筒状外周面46
の一部が前記周溝39内に入り込んだ状態で該シール嵌
合溝38の円筒面38aに圧着されて、更に抜け難くな
る。尚、本第3実施形態に係るアンギュラ玉軸受23に
おけるその他の構成および作用効果は、上記第2実施形
態に係るアンギュラ玉軸受21と同様であるので説明を
省略する。 【0038】次に、図10を参照して、本発明の第4実
施形態に係るアンギュラ玉軸受を説明する。尚、本第4
実施形態に係るアンギュラ玉軸受25は、上記第2実施
形態に係るアンギュラ玉軸受21に対して、反カウンタ
ーボア側のシール嵌合溝58および該シール嵌合溝58
に嵌合される非接触シール部材60の形状が相違すると
共に、保持器70の外径がカウンターボア側及び反カウ
ンターボア側で同径である点を除いてその基本的構成が
同一であるため、上記第2実施形態と重複する部分につ
いては各図に同一符号を付して詳細な説明を省略する。 【0039】本第4実施形態に係るアンギュラ玉軸受2
5は、図10に示したように、反カウンターボア側のシ
ール嵌合溝58の最小内径D4が、上記第2実施形態に
おけるシール嵌合溝28の最小内径より大きくされると
共に、該シール嵌合溝58に嵌合される非接触シール部
材60の外径が上記第2実施形態の非接触シール部材3
0の外径より小さく、且つ取付け嵌合部65が上記第2
実施形態の取付け嵌合部35と同一形状とされている。 【0040】更に、前記非接触シール部材60の取付け
嵌合部65の内径D5が、反カウンターボア側のシール
嵌合溝58の最小内径D4より小さく、且つ前記保持器
70の最大外径D6より大きくされると共に、前記一対
のシール嵌合溝58,8の間隔B2が、前記保持器70
のポケット径B1以上、且つ前記保持器70の幅寸法B
3以下にされる。 【0041】即ち、前記非接触シール部材60における
取付け嵌合部65の内径D5を反カウンターボア側のシ
ール嵌合溝58の最小内径D4より小さくすることによ
り、該取付け嵌合部65の軸線方向内方の先端面と外輪
26の内周面とによって反カウンターボア側の外輪内周
面にもグリース貯蔵溝77が形成される。そこで、使用
環境に応じて、カウンターボア側のグリース貯蔵溝17
と反カウンターボア側のグリース貯蔵溝77とを合わせ
た多量のグリースを、軸受内に封入することもできる。
尚、本第4実施形態に係るアンギュラ玉軸受25におけ
るその他の構成および作用効果は、上記第2実施形態に
係るアンギュラ玉軸受21と同様であるので説明を省略
する。 【0042】尚、本発明のアンギュラ玉軸受における非
接触シール部材の芯金、取付け嵌合部、シール嵌合溝及
び保持器等の構成は、上記各実施形態の構成に限定され
るものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の形態を
採りうることは言うまでもない。 【0043】 【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
のアンギュラ玉軸受によれば、非接触シール部材によっ
て軸受内に充填したグリースの飛散を抑制することがで
きると共に、該非接触シール部材における取付け嵌合部
と外輪内周面とによって、グリース貯蔵溝を形成するこ
とができるため、該グリース貯蔵溝に溜まったグリース
から基油(潤滑油)を再び外輪の軌道溝に供給すること
ができる。また、前記グリース貯蔵溝は、非接触シール
部材における取付け嵌合部と外輪内周面とによって形成
されるので、個々の軸受毎に機械加工によりグリース貯
蔵溝を外輪内周面に形成する必要がない。従って、高速
回転時に軸受内に充填したグリースが飛散するのを抑制
することができるようにして、グリース潤滑による高速
回転時の長寿命化の達成を低コストで実現することがで
きるアンギュラ玉軸受を提供できる。
を説明するための要部断面図である。 【図2】図1に示した外輪の拡大断面図である。 【図3】図1に示した非接触シール部材の要部拡大断面
図である。 【図4】本発明の第2実施形態に係るアンギュラ玉軸受
を説明するための要部断面図である。 【図5】図4に示した外輪の拡大断面図である。 【図6】図4に示した反カウンターボア側の非接触シー
ル部材の要部拡大断面図である。 【図7】本発明の第3実施形態に係るアンギュラ玉軸受
を説明するための要部断面図である。 【図8】図7に示した外輪の拡大断面図である。 【図9】図7に示したカウンターボア側の非接触シール
部材の要部拡大断面図である。 【図10】本発明の第4実施形態に係るアンギュラ玉軸
受を説明するための要部断面図である。 【符号の説明】 1 アンギュラ玉軸受 2 外輪 3 内輪 5 玉 6 保持器 7 カウンターボア 8 シール嵌合溝 10 非接触シール部材 15 取付け嵌合部 D1 シール嵌合溝の最小内径 D2 取付け嵌合部の内径 D3 保持器の最大外径 B1 保持器のポケット径 B2 一対のシール嵌合溝の間隔 B3 保持器の幅寸法
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 外輪内周面に形成したカウンターボア
と、外周部に形成した取付け嵌合部が外輪内周面の軸線
方向両端部近傍に形成した一対のシール嵌合溝内にそれ
ぞれ嵌合される非接触シール部材と、内外輪間に複数の
玉を保持する保持器とを備えたアンギュラ玉軸受であっ
て、 少なくとも前記カウンターボア側の非接触シール部材に
おける取付け嵌合部の内径が、対応する前記シール嵌合
溝の最小内径より小さく、且つ前記保持器の最大外径よ
り大きくされると共に、 前記一対のシール嵌合溝の間隔が、前記保持器のポケッ
ト径以上、且つ前記保持器の幅寸法以下にされることを
特徴とするアンギュラ玉軸受。
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