JP3723247B2 - ころ軸受用の保持器 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ころ軸受用の保持器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受等のころ軸受には、複数個のころを所定間隔毎に保持するために、金属製又は合成樹脂製の保持器が使用されている。この保持器は、ころを収容する複数のポケットを、周方向に沿って所定間隔毎に形成しているものであり、使用時におけるころの自転及び公転に伴って、上記ポケット面が、ころの外周面及び端面に摺接する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アキシアル荷重とラジアル荷重の双方が付加される例えばトラック用のトランスミッションに組み込まれる転がり軸受としては、一般に玉軸受が使用されている。ところが、近年、この転がり軸受について、より高速回転で高負荷に耐えることが要請されている。
そこで、アキシアル荷重及びラジアル荷重に対する負荷容量の面で、上記玉軸受よりも優れるころ軸受の使用が検討されている。しかし、このころ軸受は、図5に示すように、アキシアル荷重をころ2の端面と内外輪5,6の鍔51,61との面接触によって受け止める構造上、これを高速回転及び高荷重条件で使用すると、両者の接触面(摺接面)S2に潤滑剤が供給され難い点と相まって、合成樹脂製の保持器7については、焼付いたり、多量に発生する摩擦熱により溶融破損したり、回転中のころ2に進み遅れが発生して、ころ2の周面と接する保持器7の柱に過大な力がかかることにより、上記柱が折損したりするおそれがあった。また、金属製の保持器7の場合には、保持器7ところ2とが焼付くおそれがあった。
従って、大きなアキシアル荷重とラジアル荷重とが付加される条件下において、上記ころ軸受を高速回転で使用することは困難であった。
この発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、アキシアル荷重に対する負荷容量が大きく、高速回転でも使用することができるころ軸受用の保持器を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためのこの発明のころ軸受用の保持器は、端面に凹部が形成されたころを収容する複数のポケットを、周方向に沿って所定間隔毎に形成している内外輪鍔付きのころ軸受用の保持器において、
上記ポケットのころの端面に対向する面に、上記ころの端面の凹部と共に閉塞可能な油溜めを構成する油溜め用の凹部であって、長軸が周方向の楕円断面形状を呈する凹部を形成しているとともに、この油溜め用の凹部の少なくとも開口縁部を、その周囲面に対して曲面で連続させていることを特徴とするものである。
ただし、上記保持器は、トランスミッション用軸受に用いられるのが好ましい。
【0005】
【作用】
上記の構成のころ軸受用の保持器によれば、これをころ軸受に組み込んだ状態で、当該ころ軸受に充填された潤滑剤の一部を、上記油溜め用の凹部に溜めておくことができ、この凹部に溜めた潤滑剤によって、ころの端面と保持器との摺接面を直接潤滑することができる。しかも、上記凹部の少なくとも開口縁部を、その周囲面に対して滑らかな曲面で連続させているので、上記凹部に溜めた潤滑剤を、ころの端面と保持器との摺接面、及びころの端面と内外輪の鍔との摺接面に効率良く供給することができる。このため、当該摺接面の良好な潤滑性を確保することができる。
【0006】
【実施例】
以下、この発明の実施例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、この発明のころ軸受用の保持器の一実施例を示す要部正面図及び拡大断面図である。このころ軸受用の保持器1は、円筒ころ軸受用のものであり、全体がガラス繊維を混入したナイロン46等のポリアミド系の合成樹脂によって形成されている。この保持器1には、複数個のポケット3が、周方向に沿って所定間隔毎に形成されており、各ポケット3には所定隙間を設けた状態で円筒ころ2が収容されている。
【0007】
上記各ポケット3のうちの、円筒ころ2の一端面21に対向する第1の端面31と、円筒ころ2の他端面22に対向する第2の端面32のそれぞれには、油溜め用の凹部4が形成されている。この凹部4は、全体が湾曲面からなる楕円断面形状のものであり(図2参照)、その深さは浅く形成されている。また、上記凹部4の開口部41は、円筒ころ2の各端面21,22が上記第1,第2の端面31,32にそれぞれ接触した際に、当該円筒ころ2の各端面21,22によって閉塞可能な大きさに設定されている。さらに、上記凹部4の開口縁部42から底部にかけては、当該凹部4の周囲面(摺接面S1)に対して滑らかな曲面で連続させてある(図1b及び図3参照)。
【0008】
以上の構成であれば、保持器1をころ軸受に組み込んだ状態で、当該ころ軸受に充填された潤滑剤の一部を、上記保持器1のポケット3に形成された油溜め用の凹部4に溜めておくことができ、この凹部4に溜めた潤滑剤によって、円筒ころ2の端面21,22と保持器1との摺接面S1を直接潤滑することができる。しかも、上記凹部4を、その周囲面に対して滑らかな曲面で連続させているので、当該凹部4に溜めた潤滑剤を、上記摺接面S1に効率良く供給することができると同時に、円筒ころ2の端面21,22と軸受の内外輪5,6の鍔51,61との摺接面S2(図5参照)にも潤滑剤を効率良く供給することができる。即ち、上記凹部4の開口縁部42が角張っていると、円筒ころ2の端面21,22に付着した凹部4内の潤滑剤が、当該開口縁部42によって掻き落とされてしまい、円筒ころ2の端面21,22と保持器1との摺接面S1や、円筒ころ2の端面21,22と軸受の内外輪5,6の鍔51,61との摺接面S2に潤滑剤を効率よく供給することができないが、この実施例のように、上記凹部4の開口縁部42と摺接面S1とを滑らかな曲面で連続させていると、上記凹部4に溜めた潤滑剤を、上記摺接面S1,S2に効率良く供給することができる。このため、当該摺接面S1,S2の潤滑性を良好に確保することができる結果、ころ軸受のアキシアル荷重に対する負荷容量を高めることができるとともに、高速回転時において上記摺接面S1,S2が発熱したり、保持器1の柱11に過大な力が作用したりするのを抑制することができる。従って、大きなアキシアル荷重とラジアル荷重とが付加される条件下において、ころ軸受を高速回転で使用することができる。
【0009】
なお、上記凹部4の開口面積は、ころ軸受の使用条件に合わせて、潤滑剤を摺接面S1,S2に最適に供給できるように設定される。また、円筒ころ2の端面21,22に形成された凹部23の開口面積を調整することによっても、潤滑剤の供給状態を調整することも可能である。
上記凹部4は、環状のものであってもよく、また、少なくとも開口縁部42を摺接面S1に対して滑らかな曲面で連続させてあればよい(いずれも図4参照)。
また、この発明の保持器は、上記合成樹脂によって形成する他、黄銅等の金属によって形成してもよい。さらに、この発明の保持器は、円筒ころ軸受用の保持器の他、円すいころ軸受や自動調心ころ軸受等の他のころ軸受用の保持器にも適用して実施することができる。
【0010】
【発明の効果】
以上のように、この発明のころ軸受用の保持器によれば、ころ軸受に充填された潤滑剤の一部を、油溜め用の凹部に溜めておくことができるので、上記凹部の少なくとも開口縁部を、その周囲面に対して曲面で連続させている点と相まって、ころの端面と保持器との摺接面、及びころの端面と軸受の内外輪の鍔との摺接面を、良好な潤滑状態に維持することができる。このため、高速回転時において上記摺接面が発熱したり、保持器の柱に過大な力が作用したりするのを抑制することができる結果、ころ軸受のアキシアル荷重に対する負荷容量を高めることができる。従って、大きなアキシアル荷重とラジアル荷重とが付加される条件下において、ころ軸受を高速回転で使用することができるという特有の効果を奏する。
特に、上記保持器が合成樹脂製である場合には、上記効果をより顕著に奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のころ軸受用の保持器の一実施例を示す図であり、(a) は正面図、(b) は要部拡大断面図である。
【図2】図1のII−II線における要部断面図である。
【図3】図2のIII −III 線における要部端面図である。
【図4】他の実施例を示す要部拡大断面図である。
【図5】この発明のころ軸受用の保持器が適用される円筒ころ軸受の要部断面図である。
【符号の説明】
1 保持器
2 ころ
21 ころの端面
22 ころの端面
3 ポケット
4 凹部
42 開口縁部
Claims (2)
- 端面に凹部が形成されたころを収容する複数のポケットを、周方向に沿って所定間隔毎に形成している内外輪鍔付きのころ軸受用の保持器において、
上記ポケットのころの端面に対向する面に、上記ころの端面の凹部と共に閉塞可能な油溜めを構成する油溜め用の凹部であって、長軸が周方向の楕円断面形状を呈する凹部を形成しているとともに、この油溜め用の凹部の少なくとも開口縁部を、その周囲面に対して曲面で連続させていることを特徴とするころ軸受用の保持器。 - トランスミッション用軸受に用いられる請求項1記載のころ軸受用の保持器。
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