JP4180296B2 - 固形潤滑剤を充填した転がり軸受 - Google Patents

固形潤滑剤を充填した転がり軸受 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は,潤滑油又はグリースを供給できるように固形潤滑剤を充填した転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,転がり軸受については,いろいろの産業分野でメンテナンスフリーが要求されており,転がり軸受に供給する潤滑剤についても,長期に渡って潤滑剤を給油できる固形潤滑剤が多く使用されている。通常,固形潤滑剤は,転動体が転がる軌道面間のスペースの全体に渡って充填されていた。しかしながら,近年は,固形潤滑剤の充填形態も用途に合わせて多様化してきている。例えば,固形潤滑剤を充填した転がり軸受としては,保持器及び針状ころ等の転動体を除く転動空間の全体に渡って固形潤滑剤が充填されている。
【0003】
特開2001−208084号公報には,固形潤滑剤で覆った転動体組立体を用いたスラスト軸受又はラジアル軸受である転がり軸受が開示されている。該転がり軸受は,複数の転動体と該転動体を回転自在に保持する保持孔が形成された保持器を有し,転動体と保持器とは転動体の一部の転動面が露出された状態で固形潤滑剤によって覆われたものであり,長期間に渡って給油のメンテナンスフリーを実現できる。円筒ころは,一部の転動面が固形潤滑剤から現れており,軌道面を転走する時に,円筒ころに固形潤滑剤から次々に滲み出て供給された潤滑剤が,軌道面を潤滑すると共に,両軌道面の対向する隙間を塞ぎ,異物や水分の侵入等を防ぐシールとしても機能する。
【0004】
また,特開2000−87983号公報には,真空機器用ころがり軸受が開示されている。該真空機器用ころがり軸受は,固形潤滑剤が転動体間の保持器にスポット的に封入されたものである。上記ころがり軸受は,合成樹脂基材に潤滑成分を分散保持させた固形状の潤滑組成物を軸受内部に収容するものであり,潤滑組成物の軸受内部への封入方法は,熱処理前の混合物を保持器上にスポット封入した後に,焼成して固形化するものである。潤滑組成物は,潤滑油又は潤滑グリースと超高分子量ポリオレフィン粉末とを含む混合物にし,潤滑グリースの基油又は潤滑油はアルキルシクロペンタン系油である。
【0005】
また,特開平ll−44323号公報に開示された円筒ころ軸受は,保持器を樹脂製にして保持器と内輪又は外輪との間に固形潤滑剤を充填したものであり,滑り摩擦抵抗を小さくして回転トルクを小さくしたものである。固形潤滑剤は,超高分子量ポリオレフィンとグリースとからなる混合物を固形化したものであり,外輪又は内輪と樹脂製の保持器とで形成される空間に充填されている。
【0006】
また,特開平11−153144号公報には,潤滑剤含有ポリマーを充填したころ軸受とその製造方法が開示されている。上記ころ軸受は,内輪軌道と外輪軌道との間でころを設置した環状空間内に潤滑剤含有ポリマーを充填し,潤滑剤含有ポリマーの一部で,ころの転動面と外輪軌道との当接部の両側に位置するくさび状部分に対応する部分を除去し,この部分が転動面と外輪軌道との間に入り込まないようにし,回転トルクを低減したものであり,また,エッジ部分にスペーサを挿入したものであり,低トルク化と温度上昇の低減を図ったものである。
【0007】
また,特開平10−158682号公報には,固形潤滑剤充填転がり軸受が開示されている。該固形潤滑剤充填転がり軸受は,軸受内部に充填された固形潤滑剤が固化した時に発生する僅かな空隙に潤滑グリースを充填して空隙を無くすようにしたものであり,軸受内部へ隙間を通じて水分が侵入するのを防止し,軸受の防錆を向上させたものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように,各種の固形潤滑剤を充填した従来の転がり軸受は,それぞれ使用目的に合わせて固形潤滑剤を転がり軸受内部に充填したものになっている。しかしながら,前掲特開2000−87983号公報に開示された真空機器用ころがり軸受は,固形潤滑剤の充填作業が各転動体間にスポットパックしなければならないので,構成的には面倒なものであり,断面積が小さいニードルベアリングでは適用が難しいものである。
【0009】
また,前掲特開平11−153144号公報に開示された潤滑剤含有ポリマーを充填したころ軸受は,保持器を樹脂製にして側面の小さな隙間から固形潤滑剤を充填しなければならないので,保待器を特定の形状に形成しなければならないし,固形潤滑剤の充填作業も面倒なものになっている。
【0010】
また,前掲特開平11−153144号公報に開示された潤滑剤含有ポリマーを充填したころ軸受は,転動体ごとに固形潤滑剤のエッジ部を削り落とさなければならないし,スペーサ等の別部品を埋め込まなければならず,固形潤滑剤の構成が面倒なものになっている。また,ニードルベアリング等の転がり軸受では,断面積が小さいものになっているので,上記のころ軸受を適用することは極めて困難なものになっている。
【0011】
また,前掲特開平10−158682号公報に開示された固形潤滑剤充填転がり軸受は,空隙が非常に小さな隙間であるので,潤滑剤を補給するには充分なスペースでなく,特に,ニードルベアリングでは空隙の奥まで潤滑剤を補給することが困難なものになっている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,上記の課題を解決することであり,特に,ニードルころを組み込んだニードル軸受に適用して好ましく,固形潤滑剤に更に油及びグリースの非固形状潤滑剤を適宜補給できるように外輪の内周部に空所を形成し,長期間にわたって機械の焼き付き等の故障を未然に防止することができる固形潤滑剤を充填した転がり軸受を提供することである。
【0013】
この発明は,軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔部を備えた外輪,前記外輪の前記鍔部間の内周部に組み込まれた複数のニードルローラ,及び前記外輪の内側に配設された前記ニードルローラを保持するポケットを備えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸受において,
前記外輪の前記鍔部間の前記内周部には空所を形成するように固形潤滑剤が充填され,前記外輪には前記空所に連通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空所には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供給され,前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所は,前記外輪の前記鍔部間の前記内周部の軸方向中央部に周方向に延びる環状に形成され,前記固形潤滑剤は環状の前記空所の両側に環状に充填されていることを特徴とする転がり軸受に関する。
【0014】
この転がり軸受において, 前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所は,前記外輪の前記内周部の半幅環状部以下の第1片側環状部分に粉末状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化して第1片側固形潤滑剤を充填し,次いで,反対側の半幅環状部以下の第2片側環状部分に粉末状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化して第2片側固形潤滑剤を充填することによって,前記第1片側固形潤滑剤と前記第2片側固形潤滑剤との間に形成されるものである。
【0015】
また,この発明は,軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔部を備えた外輪,前記外輪の前記鍔部間の内周部に組み込まれた複数のニードルローラ,及び前記外輪の内側に配設された前記ニードルローラを保持するポケットを備えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸受において,
前記外輪の前記鍔部間の前記内周部には空所を形成するように固形潤滑剤が充填され,前記外輪には前記空所に連通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空所には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供給され,
前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所は,前記外輪の前記鍔部に隣接した前記内周部の軸方向端部に形成された研削用逃げ溝でなる内周溝及び/又は前記外輪の前記鍔部間の内周面の予め決められた所定の領域に形成された内周溝で構成され,
前記外輪の前記内周溝で形成される前記内周溝に耐熱グリースを充填し,次いで,前記外輪の前記内周部に前記固形潤滑剤を充填し,前記耐熱グリースが充填された前記内周溝を前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所に構成したことを特徴とする転がり軸受に関する
【0016】
この転がり軸受は,上記のように構成されているので,ニードルベアリングに適用して好ましく,固形潤滑剤を充填した転がり軸受で有りながら,外輪の内周部に空所が形成されているので,空所を通じて非固形状の潤滑剤を補給することができ,長期に渡って良好な潤滑を行うことができる。即ち,外輪の内周部に充填された固形潤滑剤は,例えば,多量の潤滑油と微粒子の超高分子量ポリオレフィン樹脂との混合液を熱処理して固形化したものであり,軸受が回転することによって潤滑剤が軌道面と転動体とに常時適量しみ出し,長期間に渡って軸受の潤滑性能を維持するものであるが,潤滑剤そのものはしみ出せば無くなるものであるので,そこで,本発明は,空所を通じて潤滑剤を補給することによって,更に長期間にわたって軸受の潤滑性能を維持することができるようになる。しかしながら,ニードル軸受では,外輪の内周部に空所を形成するのが困難であるが,上記のようにして空所を形成すれば,容易に且つ確実に適正なサイズの空所を作製することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下,図面を参照して,この発明による固形潤滑剤を充填した転がり軸受の実施例を説明する。図1及び図2には,この発明による転がり軸受の第1実施例が示されている。図4及び図5には,この発明による転がり軸受の第2実施例が示されている。図6及び図7には,この発明による転がり軸受の第3実施例が示されている。
【0018】
この転がり軸受は,外輪1,転動体及び保持器3から成るタイプ,或いは更に内輪2を設けるタイプに構成されている。転動体は,ローラでなり,特に,針状ころ即ちニードルローラ4から構成されている。ニードルローラ4は,ころ径(DW )が5mm以下であり,ころ径(DW )に対するころ長さLW の比(LW /DW )が3〜10以下のものである。即ち,この転がり軸受は,ニードルローラ4が上記のサイズのものに適用して好ましいニードルベアリングに構成されている。この転がり軸受は,軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔部6を備えた外輪1,外輪1の鍔部6間の内周部7に組み込まれた複数のニードルローラ4,及び外輪1の内側に配設されたニードルローラ4を保持するポケット9を備えた周方向に延びる保持器3を有するものである。外輪1は,内周面が軌道面12となり,軌道面12の両側に内径側に垂下する鍔部6が形成されている。また,外輪1の外周側の中央には,凹溝即ち凹状の給油溝22が形成され,この転がり軸受では,円周上の一箇所に給油孔即ち潤滑剤供給孔8が形成されている。
【0019】
この発明による転がり軸受は,上記の構成において,特に,外輪1の鍔部6間の内周部7には空所15を形成するように固形潤滑剤5が充填され,外輪1には空所15に連通する潤滑剤供給孔8が形成され,空所15には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤20が供給されることを特徴としている。この転がり軸受の実施例では,外輪1の半径方向内側には内輪2が配置され,ニードルローラ4は外輪1と内輪2との間に組み込まれている。内輪2の内周面24は,機械装置等の回転軸,軸,シャフト等が嵌入し,転がり軸受が機械装置等に組み込まれる。この転がり軸受では,外輪1の軸方向端面の角部には面取り25が形成され,また,内輪2の軸方向端面の角部には面取り26が形成されている。
【0020】
この実施例の転がり軸受は,固形潤滑剤5の充填等の説明を容易にするため,内輪2を設けたタイプを図示しているが,内輪2を設けないタイプに構成することもできる。また,この転がり軸受では,固形潤滑剤5は,固形潤滑剤5から転動体のニードルローラ4及び軌道面12,16に潤滑剤が浸み出て長期に渡って給油することができ,しかも,ニードルローラ4が軌道面12,16を転動する部分の隙間を塞いでいるので,ごみ等の異物の侵入やある程度の水分の侵入を防ぐシールの機能を果たすことができる。
【0021】
転がり軸受において,内輪2を設けない構造の場合は,内輪2を成形治具に置き換えて,外輪1と内輪状の成形治具との間の外輪1の内周部7に固形潤滑剤5を充填すればよいものである。内輪2を組み込むタイプでは,図1に示すように,外周に軌道面16が形成され,軌道面16の両側にテーパ状の面取り26が施されているが,内輪2の代わりに成形治具の場合には軌道面,テーパ状の面取りは不要である。成形治具の外周面は,固形潤滑剤5を充填した後に,成形治具を取り外す必要があるので,ストレート形状に構成しておく必要がある。また,内輪無しの転がり軸受は,機械装置等の回転軸,軸,シャフト等にニードルローラ4が直接転動するように直接組み込まれて使用される。
【0022】
また,保持器3は,図8に示すように,内周側がストレート形状の内周面28に形成され,外周側が軸方向両端部に円環部19と円環部19間の凹周溝18で形成され,ニードルローラ4が挿入されるポケット9が周方向に複数(例えば,25窓)形成されている。保持器3は,金属,又は樹脂で作製することができ,軸方向端面の角部には面取り27が形成されている。ポケット9の幅のうち,最小幅Wは,ローラ径よりも僅かに小さいサイズに形成されている。従って,外輪1に保持器3を嵌入し,次いで,保待器3の内周側よりニードルローラ4を保持器3のポケット9に押圧することにより,ニードルローラ4をポケット9に容易に組み込むことができ,組込後にニードルローラ4が保持器3から脱落することがないものになっている。また,ニードルローラ4は,保持器3に組み込んだ後には,ポケット9内に転動自在に保持器3に保持される。ポケット9の長さLは,ニードルローラ4の長さよりも僅かに大きいサイズに形成されている。
【0023】
図1,図2及び図3を参照して,この発明による転がり軸受の第1実施例を説明する。この転がり軸受は,上記の特徴とする構成を有しており,非固形状潤滑剤20を供給する空所15は,外輪1の鍔部6間の内周部7の軸方向中央部に周方向に延びる環状に形成され,また,固形潤滑剤5は,環状の空所15の両側に環状に充填されている。固形潤滑剤5は,粉末状樹脂材と潤滑油との混合液14を外輪1の内周部7に充填し,次いで,混合液14を加熱後冷却して固化させることによって外輪1の内周部7に充填することができる。即ち,この転がり軸受は,外輪1の鍔部6間の内周部7に充填された固形潤滑剤5の間で軸方向中央に周方向に沿って潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤を補給するための空所15が環状に形成されている。また,外輪1の内周部7に充填された固形潤滑剤5には,潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤20が供給可能に構成されているものである。更に,外輪1には,空所15に通じる給油孔即ち潤滑剤供給孔8が少なくとも一箇所設けられている。また,外輪1の外周面23には,潤滑剤供給孔8に通じる凹状の給油溝22が形成されている。即ち,外輪1の外周面23に形成された給油溝22は,例えば,外輪1が機器等の取付け孔に嵌合された場合に,潤滑剤を供給できるように機能するものである。
【0024】
次に,この転がり軸受において,固形潤滑剤5を外輪1の内周部7に充填する方法を図3を参照して説明する。まず,転がり軸受の片側に固形潤滑剤5を充填し,次いで,転がり軸受を反転して他の片側に固形潤滑剤5を充填することによって空所15を簡単に形成することができる。即ち,成形前の溶液状でなる固形潤滑剤5の原料の混合液14を軸受幅の半分よりも浅い液面29に満たした型部材の容器13に軸受片側環状部を浸漬させて半分以下の環状部に充填し,混合液14を加熱後冷却して固化させる。その後,軸受を反転させ,反対側の軸受片側環状部を浸漬させて半分の環状部に混合液14を充填し,同様の成形を行うものである。言い換えれば,まず,外輪1の内周部7の半幅環状部以下の第1片側環状部分に充填された粉末状樹脂材と潤滑油とから成る混合液14とし,次いで,混合液14を加熱後冷却して固形化し,第1片側環状部分に第1片側固形潤滑剤5を充填する。ここで,「半幅」は,外輪1の軸方向即ち幅方向の全幅の「半分の幅」を表し,また,「環状部」は外輪1の周方向に延びる全円筒部を表している。次いで,反対側の半幅環状部以下の第2片側環状部分に充填された粉末状樹脂材と潤滑油とから成る混合液14とし,次いで,混合液14を加熱後冷却して固形化し,第2片側環状部分に第2片側固形潤滑剤5を充填する。これによって,第1片側固形潤滑剤5と前記第2片側固形潤滑剤5との間に,環状の空所15が外輪1の軸方向の内周部7の中央部に形成されることになる。
【0025】
固形潤滑剤5の材料は,従来から実施されている材料を使用することができるものであり,例えば,超高分子量ポリエチレンパウダ等の超高分子量ポリオレフィンパウダの粉末状樹脂材であり,また,タービン油等の潤滑油で生成することができる。固形潤滑剤5は,粉末状樹脂と潤滑油のタービン油とを,例えば,重量比で25:75の割合で混合した混合液14であり,混合液14を150℃にて10分間以上加熱し,その後,冷却して固形化させることによって生成することができるものである。固形潤滑剤5は,例えば,特開2001−208084号公報,特開平9−94893号公報等の従来の技術で提示した各公報に開示されている従来周知の熱可塑性や熱硬化性のものを使用することができる。
【0026】
次に,図4及び図5を参照して,この発明による転がり軸受の第2実施例を説明する。図4及び図5に示すように,転がり軸受の軸方向中央に周方向に沿って非固形状の潤滑剤を補給のため,外輪1の内周面の軌道面12には空所15を形成する凹溝でなる内周溝10が形成されている。この実施例では,固形潤滑剤5の充填方法は,まず,外輪1の内周溝10内に耐熱グリース17を充填し,その後に,転がり軸受を組立て,従来と同様に,外輪1の内周部7内に固形潤滑剤5を充填して固形化させる。固形潤滑剤5が固形形成するまで,外輪1の内周溝10内の耐熱グリース17は溶け出しずらいので,その内周溝10の部分に空所15が形成される。
【0027】
次に,図6及び図7を参照して,この発明による転がり軸受の第3実施例を説明する。この実施例の転がり軸受は,その軸方向両側に周方向に沿って潤滑剤の補給のための空所15が設けられているものである。即ち,この転がり軸受は,記非固形状潤滑剤20を供給する空所15は,外輪1の鍔部6に隣接した内周部7の軸方向端部に形成された研削用逃げ溝11でなる内周溝で構成されている。この実施例では,固形潤滑剤5を外輪1の内周部7に充填する方法は,まず,図7に示すように,空所15を形成するため外輪1の両側の鍔部6に隣接した研削用逃げ溝11に沿って耐熱グリース17を充填し,その後に,図8に示す保持器3を外輪1に嵌入して,回転させないようにしてその位置で保持器3を外輪1に対して固定してニードルローラ4を組み込んで軸受を組み立て,次いで,従来と同様に,外輪1の内周部7内に固形潤滑剤5を充填して固形化する。固形潤滑剤5が固形するまでに,外輪1の両側の鍔部6に隣接した内周部7の耐熱グリース17は溶け出しずらいので,その内周部7の鍔部6に隣接した研削用逃げ溝11に空所15が形成される。研削用逃げ溝11に形成された空所15は,耐熱グリース17が充填された内周溝の研削用逃げ溝11を非固形状潤滑剤20を供給するのに使用される。空所15に耐熱グリース17が残留することが不適な場合等では,給油孔8を2個所に設けて,一方の給油孔の潤滑剤供給孔8から適用するグリース等の潤滑剤を充填すれば,好ましくない耐熱グリース17が他方の潤滑剤供給孔8から排出される。また,給油孔の潤滑剤供給孔8は,外輪1の軸方向中央に設けられているが,空所15とは近接しているので,グリース等の潤滑剤を空所15に補給することができるものである。
【0028】
次に,図9及び図10を参照して,転がり軸受の別の例を説明する。この転がり軸受は,図9に示すように,その周方向の一部に潤滑剤の補給のため,軸方向に延びるストレート状の空所21が設けられているものである。即ち,この実施例では,外輪1,内輪2,ニードルローラ4及び保持器3については上記各実施例と同様に構成されている。特に,外輪1には,ニードルローラ4間に軸方向に延びる空所21を形成するように固形潤滑剤5が外輪1の周方向の一部の円弧部に充填され,外輪1には空所21に連通する潤滑剤供給孔8が形成されている。空所21には,潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤20が供給されるものである。
【0029】
図9に示す転がり軸受は,回転することなく,揺動中心Oを枢支軸として予め決められた所定の揺動角(±θ)で揺動する機器等に使用されて好ましいものである。揺動個所での空所21の利用方法は,図9に示されるように,負荷側の反対側に配設され,一般に負荷側の反対側に配設される給油孔の潤滑剤供給孔8に通じて給油が可能になる構造に構成されている。また,外輪1の内周部7の一部の円弧部に固形潤滑剤5を充填する方法は,例えば,図10に示すように,成形前の溶液状でなる混合液14を軸受直径の3/4程度までの液面29に満たした型部材の容器13に外輪1の円形の一部が露出して,ニードルローラ4が転がる軌道面12,16間のスペースの一部を除く残りのスペースを浸水させるように配設し,外輪1の内周部7の周方向の一部に侵入させ,次いで,混合液14を加熱後冷却して固化させ,その結果,外輪1の周方向の一部の円弧部に軸方向に延びるストレート状の空所21が形成される。
【0030】
【発明の効果】
この発明による転がり軸受は,上記のように構成されているので,外輪の内周部に環状の空所或いは軸方向に延びるストレート状の空所を容易に形成することができ,空所を通じて潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤20を,固形潤滑剤に含有する潤滑剤が消耗するのに追従して,固形潤滑剤に連続して確実に順次供給可能になり,ニードルローラ,外輪の軌道面或いは内輪の軌道面に長期にわたって給油即ち潤滑剤を供給して潤滑性能を向上させ,長期間にわたって給油のメインテナンスフリーが実現でき,長寿命を確保できる。また,外輪の内周部に充填された固形潤滑剤は,外輪や内輪の軌道面,及びニードルローラへのごみ,水等の異物が侵入するのを防ぐシールとしても機能することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による転がり軸受の第l実施例であって図2のB−B断面を示す縦断面図である。
【図2】 図1の転がり軸受を示し,図1のA−A断面を示す横断面図である。
【図3】 図1の転がり軸受の外輪の内周部に固形潤滑剤を充填する方法を説明するための断面図である。
【図4】 この発明による転がり軸受の第2実施例を示し,図2のB−B断面に対応する断面を示す縦断面図である。
【図5】 図4の転がり軸受における外輪を示す縦断面図である。
【図6】 この発明による転がり軸受の第3実施例を示し,図2のB−B断面に対応する断面を示す縦断面図である。
【図7】 図6の転がり軸受における外輪を示す縦断面図である。
【図8】 この発明による転がり軸受における保持器を説明するため,簡略化して示す縦断面図である。
【図9】 がり軸受の別の例を示し,図2のB−B断面に対応する断面を示す縦断面図である。
【図10】 図9の転がり軸受の外輪の内周部に固形潤滑剤を充填する方法を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 外輪
2 内輪
3 保持器
4 ニードルローラ
5 固形潤滑剤
6 鍔部
7 内周部
8 潤滑剤供給孔
9 ポケット
10 内周溝
11 研削用逃げ溝
12 外輪の軌道面
14 混合液
15 空所
16 内輪の軌道面
17 耐熱グリース
18 凹周溝
20 非固形状潤滑剤
21 空所
22 凹状の給油溝
29 混合液の液面

Claims (3)

  1. 軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔部を備えた外輪,前記外輪の前記鍔部間の内周部に組み込まれた複数のニードルローラ,及び前記外輪の内側に配設された前記ニードルローラを保持するポケットを備えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸受において,
    前記外輪の前記鍔部間の前記内周部には空所を形成するように固形潤滑剤が充填され,前記外輪には前記空所に連通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空所には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供給され,前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所は,前記外輪の前記鍔部間の前記内周部の軸方向中央部に周方向に延びる環状に形成され,前記固形潤滑剤は環状の前記空所の両側に環状に充填されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所は,前記外輪の前記内周部の半幅環状部以下の第1片側環状部分に粉末状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化して第1片側固形潤滑剤を充填し,次いで,反対側の半幅環状部以下の第2片側環状部分に粉末状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化して第2片側固形潤滑剤を充填することによって,前記第1片側固形潤滑剤と前記第2片側固形潤滑剤との間に形成されることを特徴とする請求項に記載の転がり軸受。
  3. 軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔部を備えた外輪,前記外輪の前記鍔部間の内周部に組み込まれた複数のニードルローラ,及び前記外輪の内側に配設された前記ニードルローラを保持するポケットを備えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸受において,
    前記外輪の前記鍔部間の前記内周部には空所を形成するように固形潤滑剤が充填され,前記外輪には前記空所に連通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空所には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供給され,
    前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所は,前記外輪の前記鍔部に隣接した前記内周部の軸方向端部に形成された研削用逃げ溝でなる内周溝及び/又は前記外輪の前記鍔部間の内周面の予め決められた所定の領域に形成された内周溝で構成され,
    前記外輪の前記内周溝で形成される前記内周溝に耐熱グリースを充填し,次いで,前記外輪の前記内周部に前記固形潤滑剤を充填し,前記耐熱グリースが充填された前記内周溝を前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所に構成したことを特徴とする転がり軸受。
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