JP4078505B2 - ポリマ潤滑剤封入転がり軸受およびその製造方法 - Google Patents

ポリマ潤滑剤封入転がり軸受およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内輪と外輪の間に複数の転動体を転動自在に配置するとともに、これらの間に形成される空間にポリマ潤滑剤を封入してなるポリマ潤滑剤封入転がり軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
転がり軸受においては、一般に、内輪軌道面と転動体、あるいは外輪軌道面と転動体との間の潤滑性を向上させるために、内輪と外輪の間の環状空間に潤滑油が供給されたり、あるいはグリースが封入される。このような潤滑油やグリースを内輪と外輪の間の空間に供給もしくは封入するために、あるいはその空間内に外部から水や異物等が侵入することを防止するために、通常、内輪と外輪との間の空間を密閉もしくは外部と仕切るべく、接触型シールやラビリンスシール等が用いられる。
【0003】
しかしながら、例えば外輪に球面からなる1つの軌道面を形成するとともに、内輪には2列の軌道面を形成した自動調心ころ軸受等においては、ある種の条件下で使用すると、転動体が外輪軌道面からはみ出して回転する場合があり、上記のような通常の潤滑法を用いたのでは潤滑油やグリースが軸受外に流出する恐れがある。
【0004】
このような場合の対策の一つとして、従来、内輪と外輪の間に形成される空間に、合成樹脂と、潤滑油またはグリースとの混合体を加熱溶融させた後に、冷却して固化させてなるポリマ潤滑剤を封入することが行われる(例えば特開平6−50330号)。また、高所や装置の奥まった位置等にある転がり軸受では、グリース封入タイプを用いると、グリースの追加注入等の給油メンテナンスが困難となるが、このような用途の転がり軸受においても、内外輪間に形成される環状空間内にポリマ潤滑剤を封入した転がり軸受が用いられる。
【0005】
このようなポリマ潤滑剤は、通常、超高分子量ポリエチレン樹脂と、潤滑油もしくはグリースを混合したものを固化させたものであり、これを転がり軸受の内外輪間に封入するに際しては、上記した混合物を未硬化状態で内輪と外輪およびこれらの間に設けられた転動体の間に充填した後、冷却して固化させる。
【0006】
以上のようなポリマ潤滑剤は、転がり軸受の回転によりポリマ内に含有する潤滑油ないしはグリースが徐々に放出されて内外輪の軌道面と転動体との間に行き渡り、長期にわたって良好な潤滑状態を維持することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したような従来のポリマ潤滑剤封入転がり軸受においては、ポリマ潤滑剤は一般的に内輪と外輪および転動体の間に密に封入されるため、転がり軸受の回転時に、このポリマ潤滑剤が転動体もしくは内輪・外輪と接触することによる滑り摩擦抵抗の発生に起因して、転がり軸受の回転トルクが増大するばかりでなく、自己発熱によりポリマ潤滑剤中の基油の酸化劣化が生じたり、更にはポリマ潤滑剤が溶融してしまったり、あるいは破損してしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、ポリマ潤滑剤封入転がり軸受におけるポリマ潤滑剤と転動体、内輪、および外輪との間の滑り摩擦抵抗を軽減することができ、もって上記した諸問題点を一挙に解決することのできるポリマ潤滑剤封入転がり軸受と、そのような構成を有するポリマ潤滑剤封入転がり軸受を製造する方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受は、内輪と外輪の間に複数の転動体が転動自在に配置されているとともに、内部にポリマに潤滑油を混合したポリマ潤滑剤の原料を加熱溶融した状態で封入し、冷却して固化させてなるポリマ潤滑剤を有する転がり軸受において、上記ポリマ潤滑剤は、上記内輪、外輪、および各転動体の間に形成され、かつ、転動体転動時の荷重がかからない軸受内部空間に封入され、上記ポリマ潤滑剤の表面のうち、転がり軸受の内輪、外輪および転動体と接触する面の少なくとも1つの面に、上記ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点の樹脂粉末からなる多数の微細な凸構造体が設けられ、その各凸構造体は一部が上記ポリマ潤滑剤に没入し、他の部分が外側に突出し、この突出した部分が転がり軸受の内輪、外輪および各転動体と接触することによって特徴づけられる(請求項1)。
【0010】
ここで、本発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受においては、上記凸構造体が、上記ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも低摩擦の材質からなる樹脂粉末からなり、その樹脂粉末の粒子径を、50〜150μmとした構成(請求項2)を好適に採用することができる。
【0011】
一方、本発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受の製造方法は、請求項1または2に係る発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受を製造する方法であって、このうち、請求項3に係る発明は、上記ポリマ潤滑剤の原料加熱溶融した状態で上記空間に封入し、冷却して固化させる工程の前に、当該ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質からなる樹脂粉末を混合・分散させた初期潤滑油を、封入後のポリマ潤滑が接触する転がり軸受の表面の少なくとも一部に塗布もしくは注ぎかけることによって特徴づけられる。
【0012】
また、請求項4に係る発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受の製造方法は、上記ポリマ潤滑剤の原料加熱溶融した状態で上記空間に封入し、冷却して固化させる工程の前に、当該ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質からなる樹脂粉末を溶剤に分散させてなるエマルジョンを、封入後のポリマ潤滑剤が接触する転がり軸受の表面の少なくとも一部に塗布して乾燥させることによって特徴づけられる。
【0013】
更に、請求項5に係る発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受の製造方法は、上記ポリマ潤滑剤の原料に、当該ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質からなる樹脂粉末を添加しておき、その原料を加熱溶融させて上記空間に充填した後、冷却・固化させることによって特徴づけられる。
【0014】
本発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受(請求項1)は、転がり軸受の内外輪および転動体の間の空間に封入されるポリマ潤滑剤の表面のうち、内輪、外輪および転動体に接触する面の少なくとも1つの面に、ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点の樹脂粉末からなる多数の微細な凸構造体設けた構成を採用することにより、ポリマ潤滑剤を内輪、外輪および転動体に対する接触部分のうちの少なくとも一部を密着させず、ポリマ潤滑剤をその表面の凸構造体のみにおいて接触させることにより、ポリマ潤滑剤と転がり軸受の各部品との接触面積を少なくし、その滑り摩擦抵抗を軽減させるものである。
【0015】
この凸構造体としては、ポリマ潤滑剤に用いる樹脂、つまり超高分子量ポリエチレン等よりも低摩擦の材質からなる樹脂粉末、例えばPTFEやポリプロピレン等の樹脂粉末を用いて、その樹脂粉末をポリマ潤滑剤の樹脂に対して一部突出させた状態で保持させる構造を採用することで、滑り摩擦抵抗の軽減効果をより一層確実なものとすることができ、その樹脂粉末の粒子径としては、請求項2に係る発明のように50〜150μmとすることが好ましい。
【0016】
そして、請求項3〜5に係る発明は、このような多数の微細な凸構造体を表面に有するポリマ潤滑剤を封入した転がり軸受を製造するための好適な方法であり、請項3に係る発明では、ポリマ潤滑剤の原料加熱溶融した状態で転がり軸受の内輪、外輪および転動体の間の空間に封入し、冷却して固化させる工程の前に、転がり軸受の内輪、外輪および転動体の表面のうち、ポリマ潤滑剤が接触する部位の少なくとも一部に対して、ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質、例えば上記したPTFEやポリプロピレン等の樹脂粉末を、初期潤滑油、つまりポリマ潤滑剤を封入する前に当該ポリマ潤滑剤が接触する転がり軸受部品表面に油膜を形成するための潤滑油に混合・分散させたものを、塗布ないしは注ぎかける。その状態で未硬化のポリマ潤滑剤を内輪、外輪および転動体の間の空間に充填して冷却して固化させると、内輪、外輪および転動体の表面に初期潤滑油とともに付着している樹脂粉末がポリマ潤滑剤の樹脂の表面に対して一部が突出した状態で保持され、請求項1または2に係る発明の構成を有するポリマ潤滑剤封入転がり軸受が得られる。
【0017】
また、請求項4に係る発明では、ポリマ潤滑剤の原料加熱溶融した状態で転がり軸受の内輪、外輪および転動体の間の空間に封入し、冷却して固化させる工程の前に、転がり軸受の内輪、外輪および転動体の上記と同等の部位に、同じくPTFEやポリプロピレン等の樹脂粉末を適当な溶剤に分散させてなるエマルジョンを塗布して乾燥させておく。この状態で未硬化のポリマ潤滑剤を内輪、外輪および転動体の内だの空間に充填して固化させると、内輪、外輪および転動体の表面付着している樹脂粉末がポリマ潤滑剤の樹脂の表面に対して一部が突出した状態で保持され、請求項1または2に係る発明の構成を有するポリマ潤滑剤封入転がり軸受が得られる。
【0018】
更に、請求項5に係る発明では、ポリマ潤滑剤の原料にあらかじめ上記と同様のPTFEやポリプロピレン等の樹脂粉末を添加しておく。このような原料を加熱溶融させて転がり軸受の内輪、外輪および転動体の間の空間に充填し、冷却により固化させることによって、樹脂粉末がポリマ潤滑剤の全体に分散した状態となり、表面にもその樹脂粉末が突出した状態となり、請求項1または2に係る発明の構成を有するポリマ潤滑剤封入転がり軸受が得られる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の模式的軸平行断面図である。
この例は自動調心ころ軸受に本発明を適用したものであり、内輪1の外周には案内鍔1cを挟んでその両側に互いに平行な2列の軌道面1a,1bが形成され、また、その各軌道面1a,1bの外側には脱落防止鍔1dが形成されているとともに、外輪2の内周には球面からなる1つの軌道面2aが形成されている。
【0020】
内輪1と外輪2の間の環状空間には、内輪1のの2列の軌道面1a,1bに沿って、それぞれ複数のころ(転動体)3が、それぞれ保持器4によって周方向に一定の間隔を開けて保持された状態で、内輪1の軌道面1aまたは1bと、外輪2の軌道面2の双方に対して転動自在に配置されている。
【0021】
内輪1と外輪2、および各ころ3の間の空間には、ポリマ潤滑剤5が封入されている。ポリマ潤滑剤5は、超高分子量ポリエチレンと潤滑油もしくはグリースとを混合した原料を、組立後の内輪1と外輪2の間に注入し、冷却することによって固化させた公知のものである。そして、このポリマ潤滑剤5の表面のうち、内輪1、外輪2およびころ3に接触する部位の表面には、微細な凸構造体6が設けられている。
【0022】
凸構造体6は、例えばPTFE(ポリ四フッ化エチレン)やポリプロピレン等の、ポリマ潤滑剤5の樹脂成分として用いられる超高分子量ポリエチレンよりも高融点で、かつ、低摩擦な材質の樹脂粉末からなり、図2に要部の模式的断面図を示すように、ポリマ潤滑剤5の樹脂5aの表面に対して、一部が外部に突出ないしは露呈した状態で保持されている。この凸構造体6を形成する樹脂粉末の粒子径は、特に限定されるものではないが、50〜150μmの範囲の粒子径とすることが好ましい。
【0023】
以上の実施の形態によると、ポリマ潤滑剤5は、内輪1、外輪2および各ころ3に対して、表面に設けられたPTFEやポリプロピレン等の低摩擦の樹脂粉末からなる凸構造体6を介して接触することになり、ポリマ潤滑剤が転がり軸受の内輪、外輪およびころに対して全面的に密着する従来のこの種の転がり軸受に比して、相互の接触面積が小さくなり、転がり軸受の回転時における滑り摩擦抵抗を低減させることができ、滑り摩擦抵抗による回転トルクの低減および発熱量の低減を達成することができる。
【0024】
次に、以上の本発明の実施の形態の製造方法について、図3に示す手順説明図を参照しつつ説明する。
まず、内輪1、外輪2、ころ3および保持器4からなる自動調心ころ軸受を組み立てた後、これらの軸受部品の表面の内、少なくとも封入後のポリマ潤滑剤5が接触する部位、つまり、内輪1の軌道面1a,1b、案内鍔1cの両側面および外周面、外輪2の軌道面2a、各ころ3の転送面(外周面)等に、PTFEもしくはポリプロピレン等の樹脂粉末60を混合・拡散させた初期潤滑油を塗布もしくは注ぎかける。これにより、図3(A)に模式的断面図を示すように、その初期潤滑油を塗布もしくは注ぎかけた部位には、樹脂粉末60が混在した初期潤滑油の油膜61が形成される。
【0025】
次に、その状態で、例えば図3(B)に示すように、射出成形金型10内に自動調心ころ軸受を挿入して、射出成形法により、内輪1、外輪2およびころ3の間に形成された空間内にポリマ潤滑剤の原料50を溶融状態で注入し、冷却して固化させる。
【0026】
以上の工程により、ポリマ潤滑剤原料50が固化する際に、粉末樹脂60がポリマ潤滑剤原料50中の樹脂中に一部が没入し、他の部分が外側に突出した図2に模式的に示したような構造のもとに、樹脂粉末60がポリマ潤滑剤5に保持された状態となり、図1に示したポリマ潤滑剤封入転がり軸受が得られる。
【0027】
ここで、図1、図2に示す構造を有するポリマ潤滑剤封入転がり軸受は、以下の手順によっても製造することができる。すなわち、上記と同様のPTFEやポリプロピレン等の樹脂粉末を、当該樹脂粉末およびポリマ潤滑剤に用いる樹脂および潤滑油のいずれに対しても不活性な揮発性の溶剤に分散させ、内輪1、外輪2および転動体3の表面のうち、上記した製造方法の例と同等の部位に塗布した後に乾燥させる。この状態では、図4に模式的に示すように、塗布位置における転がり軸受部品の表面には、樹脂粉末60が付着した状態となる。この状態で上記の製法例と同様にしてポリマ潤滑剤原料を射出成形法等によって内輪1、外輪2およびころ3の間の空間に注入し、冷却して固化させることにより、樹脂粉末60がポリマ潤滑剤6の樹脂中に一部が没入し、他の部分が外部に突出した図2に示した構造のもとに、樹脂粉末60がポリマ潤滑剤5の表面に保持された状態となり、図1に示したポリマ潤滑剤封入転がり軸受が得られる。
【0028】
ここで、以上の実施の形態では、ポリマ潤滑剤の表面のうち、転がり軸受の内輪、外輪および転動体と接触する面の全てにおいて多数の微細な凸構造体を設けた例を示したが、これらの面のうちの少なくとも1つの面に微細な凸構造体を設けても、ポリマ潤滑材の転がり軸受部品に対する滑り摩擦抵抗を軽減することができ、本発明はこのような構成をも含む。
【0029】
更に、ポリマ潤滑剤5の表面に凸構造体6を有するポリマ潤滑剤封入転がり軸受は、以下の手順によっても製造することができる。すなわち、超高分子量ポリエチレンと潤滑油もしくはグリースとからなるポリマ潤滑剤5の原料中に、上記と同様のPTFEやポリプロピレン等からなる樹脂粉末60を添加しておく。そのポリマ潤滑剤原料を上記した各例と同様にして射出成形法等によって内輪1、外輪2およびころ3の間の空間に注入し、冷却して固化させることにりよ、樹脂粉末60はポリマ潤滑剤5の全体に分散した状態で保持されることになり、従ってその表面にも露出ないしは突出した状態となり、機能的には図1に示したものと同等のポリマ潤滑剤封入転がり軸受が得られる。
【0030】
なお、以上は自動調心ころ軸受に本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限定されることなく、玉軸受や円筒ころ軸受等の他の種類の転がり軸受にも等しく適用し得ることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、転がり軸受の内輪、外輪および転動体の間に封入されるポリマ潤滑剤の表面のうち、転がり軸受の内輪、外輪およびころに対して接触する面の少なくとも1つの面に凸構造体を設け、ポリマ潤滑剤がその凸構造体を介してこれらの転がり軸受部品に対して接触するように構成しているので、ポリマ潤滑剤が軸受部品に対して面接触する従来のこの種の転がり軸受に比して、ポリマ潤滑剤と軸受部品との間の摩擦抵抗を軽減させることができる結果、回転トルクの減少、摩擦による自己発熱に起因するポリマ潤滑剤の溶融・破損の防止およびそれに伴う限界回転数の向上を達成することができるとともに、自己発熱による基油の酸化劣化をも抑制することができる。
【0032】
また、請求項2に係る発明のように、凸構造体としてポリマ潤滑剤に用いられる超高分子量ポリエチレン等の樹脂よりも摩擦係数の低いPTFEやポリプロピレン等の樹脂粉末を用いることにより、摩擦抵抗の軽減効果はより一層確実なものとなる。
【0033】
しかも、このような本発明のポリマ潤滑剤封入転がり軸受は、ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点で低摩擦の樹脂粉末を、初期潤滑剤もしくは溶剤に分散させて、ポリマ潤滑剤の封入工程の前に転がり軸受の表面に塗布するか(請求項3もしくは4)、あるいはポリマ潤滑剤の原料にあらかじめ添加しておくこと(請求項5)により、特殊な工程を用いることなく、従ってコストをあまり上昇させることなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の構成を示す模式的軸平行断面図である。
【図2】図1の実施の形態の要部の模式的断面図である。
【図3】本発明の実施の形態の製造手順の例の説明図で、(A)は樹脂粉末60を混合・拡散させた初期潤滑油を転がり軸受の所要部位に塗布した状態を示す模式的断面図、(B)は射出成形法によりポリマ潤滑剤原料50を転がり軸受内部に注入する工程の模式的図である。
【図4】本発明の実施の形態の製造手順の他の例の説明図で、樹脂粉末60を分散させた溶剤を転がり軸受の所要部位に塗布して乾燥させた状態を示す模式図である。
【符号の説明】
1 内輪
1a,1b 軌道面
1c 案内鍔
1d 脱落防止鍔
2 外輪
2a 軌道面
3 ころ(転動体)
4 保持器
5 ポリマ潤滑剤
6 凸構造体
50ポリマ潤滑剤原料
60 樹脂粉末

Claims (5)

  1. 内輪と外輪の間に複数の転動体が転動自在に配置されているとともに、内部にポリマに潤滑油を混合したポリマ潤滑剤の原料を加熱溶融した状態で封入し、冷却して固化させてなるポリマ潤滑剤を有する転がり軸受において、
    上記ポリマ潤滑剤は、上記内輪、外輪、および各転動体の間に形成され、かつ、転動体転動時の荷重がかからない軸受内部空間に封入され、上記ポリマ潤滑剤の表面のうち、転がり軸受の内輪、外輪および転動体と接触する面の少なくとも1つの面に、上記ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点の樹脂粉末からなる多数の微細な凸構造体が設けられ、その各凸構造体は一部が上記ポリマ潤滑剤に没入し、他の部分が外側に突出し、この突出した部分が転がり軸受の内輪、外輪および各転動体と接触することを特徴とするポリマ潤滑剤封入転がり軸受。
  2. 上記凸構造体が、上記ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも低摩擦の材質からなる樹脂粉末からなり、その樹脂粉末の粒子径は、50〜150μmであることを特徴とする請求項1に記載のポリマ潤滑剤封入転がり軸受。
  3. 請求項1または2に記載のポリマ潤滑剤封入転がり軸受を製造する方法であって、
    上記ポリマ潤滑剤の原料加熱溶融した状態で上記空間に封入し、冷却して固化させる工程の前に、当該ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質からなる樹脂粉末を混合・分散させた初期潤滑油を、封入後のポリマ潤滑が接触する転がり軸受の表面の少なくとも一部に塗布もしくは注ぎかけることを特徴とするポリマ潤滑剤封入転がり軸受の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載のポリマ潤滑剤封入転がり軸受を製造する方法であって、
    上記ポリマ潤滑剤の原料加熱溶融した状態で上記空間に封入し、冷却して固化させる工程の前に、当該ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質からなる樹脂粉末を溶剤に分散させてなるエマルジョンを、封入後のポリマ潤滑剤が接触する転がり軸受の表面の少なくとも一部に塗布して乾燥させることを特徴とするポリマ粉末剤封入転がり軸受の製造方法。
  5. 請求項1または2に記載のポリマ潤滑剤封入転がり軸受を製造する方法であって、
    上記ポリマ潤滑剤の原料に、当該ポリマ潤滑剤に用いる樹脂よりも高融点かつ低摩擦の材質からなる樹脂粉末を添加しておき、その原料を加熱溶融させて上記空間に注入し、冷却・固化させることを特徴とするポリマ潤滑剤封入転がり軸受の製造方法。
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