JP3692181B2 - 転がり軸受とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品機械に用いられる転がり軸受とその製造方法に関し、さらに詳しくは、一対の軌道輪と転動体と保持器とを含み、且つ両軌道輪間に区画される領域に、樹脂と潤滑成分との混合物からなる固形の潤滑性組成物が充填された転がり軸受とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、転がり軸受の潤滑には、潤滑油やグリース等の潤滑成分が用いられる。これらの潤滑成分は流動性を有するので、転がり軸受の回転時に飛散する。その結果、潤滑成分を頻繁に補給しなければならないという問題がある。
また、潤滑油やグリース等の潤滑成分は、転がり軸受の外部からの水や塵埃等の侵入に対しては全く無力である。したがって、特に、上記水や塵埃等が侵入しやすい環境下で使用される転がり軸受の場合は、複雑な構造のシール部材を、必ず、設けなければならない。
【0003】
そこで、これらの問題を解決すべく、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂と上記潤滑成分との混合物を固形化させて形成した潤滑性組成物が提供されている(たとえば特開昭54−22415公報、特公昭63−23239号公報、および特公平3−67559号公報等参照)。上記の固形化された潤滑性組成物は、転がり軸受の内部の領域に、上記混合物を流動状で充填した後、この混合物を、上記樹脂の融点以上に加熱し、次いで冷却することにより、得るようにしている。
【0004】
上記固形化された潤滑性組成物は、転がり軸受の使用時の遠心力や熱によって潤滑成分が除々ににじみ出る結果として潤滑性を発揮する。したがって、転がり軸受の回転時に潤滑成分が飛散するおそれがなく、長期間に亘って潤滑成分を補給する必要がない。
ところで、従来、食品機械に用いられる転がり軸受等では、グリース等の潤滑剤が多用されているが、転がり軸受から漏れたグリース等が設備や食品を汚染するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、潤滑剤による汚染のおそれのない転がり軸受とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の転がり軸受は、互いの間に環状の領域を区画する一対の軌道輪と、上記領域に配置され、各軌道輪に対して転動する複数の転動体と、上記領域に配置され、各転動体を保持するためのポケットを有する保持器と、上記領域に充填された固形の潤滑性組成物とを備え、この潤滑性組成物は、熱可塑性樹脂と食用油あるいは食品添加物用流動パラフィンまたはそれらの混合物からなる潤滑油成分とを含む混合物が軸受内部で加熱、固形化されたものからなり、上記ポケットと転動体との間には、固形の潤滑性組成物の介在を回避した状態で、潤滑成分の膜が形成されており、上記膜を形成する潤滑成分は、上記固形の潤滑性組成物の潤滑油成分と同じか、または固形の潤滑性組成物の潤滑油成分とは異なった潤滑油成分であって食用油あるいは食品添加物用流動パラフィンまたはそれらの混合物からなる潤滑油成分により構成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明では、使用時に潤滑油成分が除々ににじみ出る結果として潤滑性を発揮する。したがって、転がり軸受の回転時に潤滑油成分が飛散するおそれがなく、長期間に亘って潤滑油成分を補給する必要がない。また、万一、潤滑油成分が転がり軸受が流出し、設備や食品を汚したとしても、潤滑油成分が食用油若しくは食品添加物用流動パラフィンまたはこれらの混合物からなるので、害がない。また、ポケットと転動体との間に、固形の潤滑性組成物の介在を回避した状態で、潤滑成分の膜が形成されているので、転動体の摩擦抵抗を小さくすることができる。
また、上記各軌道輪、転動体および保持器は、それぞれ潤滑剤組成物と接する表面に、潤滑成分の膜を形成しており、この膜を形成する潤滑成分は、上記ポケットと転動体との間に形成される膜の潤滑成分と同じであってもよい。この場合、転がり軸受を構成する各部材と固形の潤滑性組成物との間の摩擦を小さくすることができる。
【0008】
上記の樹脂としては、例えば、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンを示すことができる。
上記の潤滑油成分としては、以下のものに限定されないが、食用植物油の他、食品添加物用流動パラフィンを用いることが可能である。
上記食用植物油としては、40°Cにおける動粘度が10〜100mm2 /sである、例えば、とうもろこし油、綿実油、オリブ油、落花生油、なたね油、サフラワー油、ごま油、大豆油、ひまわり油等がある。
【0009】
上記の流動パラフィンは、歯科ハンドピース用の軸受に用いられたり、食品や化粧品の基材等に多用されているものであり、例えば、商品名オンジナオイル(昭和シェル石油社製)や商品名ハイホワイト(日本石油社製)がある。
上記潤滑性組成物の総量に占める熱可塑樹脂の割合が10〜50重量%であり、潤滑油成分の割合が50〜90重量%でれば、好ましい。これは、樹脂の配合割合が10重量%未満では、樹脂の融点以上に加熱し、冷却しても、潤滑性組成物が固形化しないおそれがある。また、樹脂の配合割合が50重量%を越えた場合には、固形化前の流動性が低下して、軸受内部の空間の隅々まで充填することが困難になるおそれがある。一方、潤滑油成分の配合割合は残りの割合となるので、50〜90重量%が好ましい。
【0010】
なお、必要に応じて、上記潤滑性組成物に食品添加物として認められている酸化防止剤が添加されていてもよい。この場合、潤滑油成分の酸化防止を図るうえで好ましい。
また、上記の転がり軸受を製造する場合、上記保持器と転動体との間に、潤滑成分の膜を形成し、次いで上記領域内に、樹脂と潤滑油成分との混合物を充填し、次いで上記混合物を樹脂の融点以上に加熱した後、冷却して潤滑性組成物を得るようにすれば好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を添付の図に基づいて説明する。
図1を参照して、本転がり軸受は、▲1▼互いの間に環状の領域3を区画する一対の軌道輪としての環状の内輪1および外輪2と、▲2▼領域3に配置され、内輪1および外輪2に対して転動する複数の転動体としてのボール4と、▲3▼領域3に配置され、各ボール4を保持するためのポケット5aを有する保持器5と、▲4▼熱可塑性樹脂と潤滑油成分との混合物からなり、領域3に充填された連続状の固形の潤滑性組成物6と、▲5▼潤滑性組成物6を挟んだ両側に配置され、外輪2に固定されて内輪1と摺接する一対の環状のシール部材7,8を備えている。
【0012】
固形化された潤滑性組成物6は、両輪1,2間に一対のシール部材7,8で区画された領域3内に略一杯となるように充填されている。各シール部材7,8と潤滑性組成物との間に隙間が形成されているのは、固形化の際に、潤滑性組成物6が収縮したからである。シール部材を取り外した状態での転がり軸受の正面図である図2を参照して、固形化した潤滑性組成物6は全体が連続して形成されている。
【0013】
上記内輪1、外輪2、ボール4および保持器5は、それぞれ潤滑性組成物と接する表面に、潤滑成分の膜9を形成しており、また、上記ポケット5aとボール4との間には、固形の潤滑性組成物の介在を回避した状態で、潤滑成分の膜9が形成されている。
なお、内輪1および外輪2に形成される潤滑成分の膜9は、少なくとも軌道面1a,2aに形成されていれば良い。
【0014】
各シール部材7,8は、環状の芯金10と、この芯金10に焼き付けられた環状のゴム体11とを有している。各シール部材7,8は、その外周部が外輪2の両端面にそれぞれ形成した溝部からなるシール部2bに嵌められて固定されており、その内周部が内輪1の両端面に形成した凹面状のシール部1bに弾力的に接触している。
【0015】
次いで、本実施形態の転がり軸受を製造する工程について説明する。
まず、内輪1、外輪2、ボール4および保持器5を組み立ててユニットとする。次いで、このユニットを、図3(a)に示すように、潤滑成分を満たした槽11に所定時間沈めた後、引き上げると、内輪1、外輪2、ボール4および保持器5の表面に潤滑成分の膜が形成され、また保持器5とボール4との間にも、潤滑成分の膜が形成される。
【0016】
なお、潤滑成分の膜を形成は、上記のように槽11に沈めて行う他、注射器等を用いて潤滑成分を所要の部分に塗布しても良い。
次いで、図3(b)に示すように、一方のシール部材7を装着して領域3が上方にのみ開放する状態でユニットを配置し、上方から領域3内に流動状の潤滑性組成物を充填した後、図3(c)に示すように、他方のシール部材8を装着して、領域3を密封する。
【0017】
次いで、混合物を樹脂の融点以上に加熱した後、冷却すると、流動状の潤滑性組成物が固形化する。
なお、本実施形態では、転がり軸受に含まれているシール部材7,8を用いたが、内輪1と外輪2の間に介在して、領域3を密封することのできる一対の環状のシール治具(シール部材と同様の形状のものであっても良いし、他の形状のものであっても良い)を用いて、領域3内に流動状の潤滑性組成物を充填し、加熱、冷却して固形化することができる。
【0018】
本実施形態において、転がり軸受の内部の領域3に充填される潤滑性組成物6としては、熱可塑性樹脂と潤滑油成分との混合物からなり、流動状で供給され、充填後、樹脂の融点以上に加熱し、ついで冷却すると固形化するものである。
上記熱可塑性樹脂としては、以下のものに限定されないが、たとえば超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等があげられ、中でも超高分子量ポリエチレンが、機械的性質等にすぐれるため、好適に使用される。かかる超高分子量ポリエチレンとしては、平均分子量が100万〜600万程度、とくに200万以上であって、かつ融点が100〜140℃程度のものが好適に使用される。
【0019】
樹脂は、粉粒体として供給されることが好ましい。樹脂の粉粒体の粒径はとくに限定されないが、通常は平均粒径で5〜100μm程度が好ましく、10〜30μm程度がより好ましい。
樹脂とともに潤滑性組成物6を構成する潤滑油成分としては、食用植物油の他、食品添加物用流動パラフィンを用いることが可能である。
【0020】
上記食用植物油としては、例えば、とうもろこし油、綿実油、オリブ油、落花生油、なたね油、サフラワー油、ごま油、大豆油、ひまわり油等がある。
上記の流動パラフィンは、歯科ハンドピース用の軸受に用いられたり、食品や化粧品の基材等に多用されているものであり、例えば、商品名オンジナオイル(昭和シェル石油社製)や商品名ハイホワイト(日本石油社製)がある。
【0021】
上記の潤滑油成分としては、上述のものがいずれも使用可能であるが、とくに潤滑性組成物を固形化する際の加熱によって樹脂と反応して、当該樹脂の機械的性質を低下させるおそれのない、安定な潤滑成分が好適に使用される。
潤滑性組成物6を構成する熱可塑性樹脂と潤滑油成分との配合量は、本発明ではとくに限定されないが、潤滑性組成物の総量に占める樹脂の割合が10〜50重量%となるように、両者を配合するのが好ましい。したがって、潤滑油成分の割合は、50〜90重量%ということになる。
【0022】
樹脂の割合が10重量%未満では、樹脂の融点以上に加熱し、冷却しても、潤滑性組成物が固形化しないおそれがある。また樹脂の割合が50重量%を超えた場合には、固形化前の流動性が低下して、軸受内部の空間の隅々まで充填するのが困難になるおそれがある。
なお上記樹脂の割合は、潤滑性組成物6の潤滑性を考慮すると、上記範囲内でもとくに20〜40重量%程度が好ましい。
【0023】
転がり軸受の内部の領域3に充填した潤滑性組成物6を固形化するための処理のうち加熱の条件は従来と同じでよい。つまり樹脂の融点以上の温度で、樹脂同士が十分に融着する時間、加熱すればよい。たとえば融点が136℃の超高分子量ポリエチレンを20〜40重量%の割合で含有する潤滑性組成物の場合は、当該潤滑性組成物を軸受内空間に充填した転がり軸受を、160〜170℃程度の温度で5分〜数10分間程度、好ましくは5分〜15分間程度加熱することにより、固形化することができる。
【0024】
上記潤滑性組成物の充填に先立って転がり軸受に供給され、上記膜9を形成するための潤滑成分としては、潤滑性組成物で使用したのと同じものを使用しても良いし、また、上記潤滑性組成物の潤滑成分に用いるのに好ましいとして例示したもののなかから自由に選択して用いることができる。
かかる潤滑成分の特性についてはとくに限定されないが、当該潤滑成分の動粘度は、転がり軸受の上述した各部位に形成される膜の厚み等を左右し、その結果として転がり軸受を構成する各部と、軸受内空間に充填後、固形化された潤滑性組成物との間の摩擦を小さくする作用に影響を及ぼす重要な要因である。本発明においては、動粘度が10〜200mm2 /sの範囲内にあるのが好ましい。
【0025】
潤滑成分の動粘度が上記範囲未満では、転がり軸受の上述した各部位に、十分な厚みをもった潤滑成分の膜を形成することができず、また潤滑成分の動粘度が上記範囲を超えた場合には、潤滑成分自体の粘度が高すぎるため、いずれの場合にも、固形化された潤滑組成物との間の摩擦を小さくする作用が不十分となって、転がり軸受の回転トルクが大きくなるおそれがある。
【0026】
なお、潤滑成分の動粘度は、上記範囲内でもとくに100〜200mm2 /sであるのが好ましい。
また、転がり軸受の前述した各部位に潤滑成分の膜を形成すべく、転がり軸受に潤滑成分を供給する方法は種々考えられるが、上記のように、転がり軸受を潤滑成分中に浸漬するのが最も簡単な方法である。また、注射器等を用いて、潤滑成分を転がり軸受の内部の領域に注入してもよい。
【0027】
本実施形態の転がり軸受では、使用時に潤滑油成分が除々ににじみ出る結果として潤滑性を発揮する。したがって、転がり軸受の回転時に潤滑油成分が飛散するおそれがなく、長期間に亘って潤滑油成分を補給する必要がない。また、万一、潤滑油成分が転がり軸受から流出し、設備や食品を汚したとしても可食性であるので、害がない。
【0028】
また、本実施形態の製造方法によれば、転がり軸受の内部の領域3に、流動状の潤滑性組成物6を充填する工程に先立って、転がり軸受に潤滑成分を供給して潤滑成分の膜を形成するだけで、前記のように特性のすぐれた本実施形態の転がり軸受を製造できるという利点がある。
さらに、転がり軸受を構成する各部材1,2,5と、固形の潤滑性組成物6との間の摩擦を、潤滑成分の膜9の介在によって小さくできる。特に、保持器5のポケット5aとボール4との間の隙間に、潤滑成分の膜を形成することにより、この隙間に固形の潤滑性組成物が介在することを回避しているので、ボール4の摩擦抵抗を小さくできる。このため、固形の潤滑性組成物6を、外部からの水や塵埃等に対する防壁としての機能を十分に発揮すべく転がり軸受の内部の領域にフルに充填しても、回転トルクを小さくできる。
【0030】
また、必要に応じて、食品添加物として認められている酸化防止剤等の添加剤を加えることもできる。
また、本発明は、針状ころ軸受や自動調心ころ軸受その他のころ軸受に適用して実施することができる。
【0031】
【実施例】
実施例1
波型保持器を有する軸受鋼製のラジアル玉軸受(JIS呼び番号6306ZZ)を、潤滑成分である食品添加物用流動パラフィン(40°Cにおける動粘度75mm2 /s)中に浸漬した後、引き上げて、当該玉軸受の各部の表面に油膜を形成した。
【0032】
次に、超高分子量ポリエチレン粉末30重量部と、食品添加物用流動パラフィン(40°Cにおける動粘度75mm2 /s)70重量部とからなる流動状の潤滑性組成物を、上記玉軸受の内輪と外輪との間に区画される環状の領域一杯に充填した。次いで、170℃で20分間、加熱した後、冷却して潤滑性組成物を固形化して、実施例1の転がり軸受を製造した。
実施例2
上記実施例1において、食品添加物用流動パラフィン(40°Cにおける動粘度75mm2 /s)35重量部、なたね油(40°Cにおける動粘度35mm2 /s)35重量部とした以外は同じにして転がり軸受を製造した。
【0033】
上記実施例1および2の転がり軸受の回転トルクを、下記の方法にて測定したところ、図5に示すように、実施例1および2の転がり軸受の初期の回転トルクはそれぞれ5.72×10-2N・m、5.05×10-2N・mであった。
図5にみるように、実施例1および実施例2の転がり軸受の回転トルクは、30分間、連続回転させてもほぼ一定であった。
回転トルクの測定方法
室温(20℃)条件下、転がり軸受の内輪を3500r.p.m.の速度で回転させた際に、外輪が、上記内輪の回転によって受ける力を、ロードセルにて測定した。
【0034】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明では、使用時に潤滑油成分が除々ににじみ出る結果として潤滑性を発揮する。したがって、転がり軸受の回転時に潤滑油成分が飛散するおそれがなく、長期間に亘って潤滑油成分を補給する必要がない。また、万一、潤滑油成分が転がり軸受が流出し、設備や食品を汚したとしても食品添加物として認められ可食性であるので、害がない。また、ポケットと転動体との間に、固形の潤滑性組成物の介在を回避した状態で、潤滑成分の膜が形成されているので、転動体の摩擦抵抗を小さくすることができる。
また、上記各軌道輪、転動体および保持器は、それぞれ潤滑剤組成物と接する表面に、潤滑成分の膜を形成しており、この膜を形成する潤滑成分は、上記ポケットと転動体との間に形成される膜の潤滑成分と同じである場合には、転がり軸受を構成する各部材と固形の潤滑性組成物との間の摩擦を小さくすることができる。
【0035】
また、潤滑性組成物の総量に占める樹脂の割合としては、10〜50重量%であれば、潤滑性組成物の固形化を妨げない範囲で固形化前の混合物の流動性を確保できる結果、潤滑性組成物を軸受内部の空間の隅々まで充填できる点で好ましく、また、潤滑油成分の配合割合は残りの割合となるので、50〜90重量%が好ましい。
【0036】
なお、必要に応じて、食品添加物として認められている酸化防止剤等の添加剤を加えても良い。この場合、潤滑油成分の酸化防止を図るうえで好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る転がり軸受の断面図である。
【図2】 シール部材を取り外した状態の転がり軸受の正面図である。
【図3】 (a),(b)および(c)はは転がり軸受の製造方法を工程順に示す概略図である。
【図4】 本発明の実施例の転がり軸受における、回転トルクの測定結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 互いの間に環状の領域を区画する一対の軌道輪と、
    上記領域に配置され、各軌道輪に対して転動する複数の転動体と、
    上記領域に配置され、各転動体を保持するためのポケットを有する保持器と、
    上記領域に充填された固形の潤滑性組成物とを備え、
    この潤滑性組成物は、熱可塑性樹脂と食用油あるいは食品添加物用流動パラフィンまたはそれらの混合物からなる潤滑油成分とを含む混合物が軸受内部で加熱、固形化されたものからなり、
    上記ポケットと転動体との間には、固形の潤滑性組成物の介在を回避した状態で、潤滑成分の膜が形成されており、
    上記膜を形成する潤滑成分は、上記固形の潤滑性組成物の潤滑油成分と同じか、または固形の潤滑性組成物の潤滑油成分とは異なった潤滑油成分であって食用油あるいは食品添加物用流動パラフィンまたはそれらの混合物からなる潤滑油成分により構成されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 上記各軌道輪、転動体および保持器は、それぞれ潤滑剤組成物と接する表面に、潤滑成分の膜を形成しており、この膜を形成する潤滑成分は、上記ポケットと転動体との間に形成される膜の潤滑成分と同じである請求項1記載の転がり軸受。
  3. 上記潤滑性組成物の総量に占める熱可塑性樹脂の割合が10〜50重量%であり、潤滑油成分の割合が50〜90重量%であることを特徴とする請求項1または2記載の転がり軸受。
  4. 上記潤滑性組成物に食品添加物として認められている酸化防止剤が添加されていることを特徴とする請求項1,2または3の何れか1項に記載の転がり軸受。
  5. 請求項1ないし4の何れか1項に記載の転がり軸受を製造する方法において、上記保持器と転動体との間に、潤滑成分の膜を形成し、次いで上記領域内に、樹脂と潤滑油成分との混合物を充填し、次いで上記混合物を樹脂の融点以上に加熱した後、冷却して潤滑性組成物を得ることを特徴とする転がり軸受の製造方法
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