JP2003314568A - 固形潤滑剤を充填した転がり軸受 - Google Patents
固形潤滑剤を充填した転がり軸受Info
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Abstract
充填された固形潤滑剤に隣接して空所を形成し,空所を
通じてグリースや潤滑油の潤滑剤を供給し,長期間に渡
って給油のメンテナンスフリーが実現可能になる。 【解決手段】 この転がり軸受は,鍔部6を備えた外輪
1の内周部7に空所15を形成するように固形潤滑剤5
が充填されている。外輪1には,空所15に連通する潤
滑剤供給孔8が形成され,空所15には,潤滑油及び/
又はグリースの非固形状潤滑剤20が供給される。空所
15は,外輪1の内周部7の軸方向中央部に周方向に延
びる環状に形成されている。固形潤滑剤5は,環状の空
所15の両側に環状に充填されている。
Description
ースを供給できるように固形潤滑剤を充填した転がり軸
受に関する。
の産業分野でメンテナンスフリーが要求されており,転
がり軸受に供給する潤滑剤についても,長期に渡って潤
滑剤を給油できる固形潤滑剤が多く使用されている。通
常,固形潤滑剤は,転動体が転がる軌道面間のスペース
の全体に渡って充填されていた。しかしながら,近年
は,固形潤滑剤の充填形態も用途に合わせて多様化して
きている。例えば,固形潤滑剤を充填した転がり軸受と
しては,保持器及び針状ころ等の転動体を除く転動空間
の全体に渡って固形潤滑剤が充填されている。
固形潤滑剤で覆った転動体組立体を用いたスラスト軸受
又はラジアル軸受である転がり軸受が開示されている。
該転がり軸受は,複数の転動体と該転動体を回転自在に
保持する保持孔が形成された保持器を有し,転動体と保
持器とは転動体の一部の転動面が露出された状態で固形
潤滑剤によって覆われたものであり,長期間に渡って給
油のメンテナンスフリーを実現できる。円筒ころは,一
部の転動面が固形潤滑剤から現れており,軌道面を転走
する時に,円筒ころに固形潤滑剤から次々に滲み出て供
給された潤滑剤が,軌道面を潤滑すると共に,両軌道面
の対向する隙間を塞ぎ,異物や水分の侵入等を防ぐシー
ルとしても機能する。
は,真空機器用ころがり軸受が開示されている。該真空
機器用ころがり軸受は,固形潤滑剤が転動体間の保持器
にスポット的に封入されたものである。上記ころがり軸
受は,合成樹脂基材に潤滑成分を分散保持させた固形状
の潤滑組成物を軸受内部に収容するものであり,潤滑組
成物の軸受内部への封入方法は,熱処理前の混合物を保
持器上にスポット封入した後に,焼成して固形化するも
のである。潤滑組成物は,潤滑油又は潤滑グリースと超
高分子量ポリオレフィン粉末とを含む混合物にし,潤滑
グリースの基油又は潤滑油はアルキルシクロペンタン系
油である。
示された円筒ころ軸受は,保持器を樹脂製にして保持器
と内輪又は外輪との間に固形潤滑剤を充填したものであ
り,滑り摩擦抵抗を小さくして回転トルクを小さくした
ものである。固形潤滑剤は,超高分子量ポリオレフィン
とグリースとからなる混合物を固形化したものであり,
外輪又は内輪と樹脂製の保持器とで形成される空間に充
填されている。
は,潤滑剤含有ポリマーを充填したころ軸受とその製造
方法が開示されている。上記ころ軸受は,内輪軌道と外
輪軌道との間でころを設置した環状空間内に潤滑剤含有
ポリマーを充填し,潤滑剤含有ポリマーの一部で,ころ
の転動面と外輪軌道との当接部の両側に位置するくさび
状部分に対応する部分を除去し,この部分が転動面と外
輪軌道との間に入り込まないようにし,回転トルクを低
減したものであり,また,エッジ部分にスペーサを挿入
したものであり,低トルク化と温度上昇の低減を図った
ものである。
は,固形潤滑剤充填転がり軸受が開示されている。該固
形潤滑剤充填転がり軸受は,軸受内部に充填された固形
潤滑剤が固化した時に発生する僅かな空隙に潤滑グリー
スを充填して空隙を無くすようにしたものであり,軸受
内部へ隙間を通じて水分が侵入するのを防止し,軸受の
防錆を向上させたものである。
固形潤滑剤を充填した従来の転がり軸受は,それぞれ使
用目的に合わせて固形潤滑剤を転がり軸受内部に充填し
たものになっている。しかしながら,前掲特開2000
−87983号公報に開示された真空機器用ころがり軸
受は,固形潤滑剤の充填作業が各転動体間にスポットパ
ックしなければならないので,構成的には面倒なもので
あり,断面積が小さいニードルベアリングでは適用が難
しいものである。
報に開示された潤滑剤含有ポリマーを充填したころ軸受
は,保持器を樹脂製にして側面の小さな隙間から固形潤
滑剤を充填しなければならないので,保待器を特定の形
状に形成しなければならないし,固形潤滑剤の充填作業
も面倒なものになっている。
報に開示された潤滑剤含有ポリマーを充填したころ軸受
は,転動体ごとに固形潤滑剤のエッジ部を削り落とさな
ければならないし,スペーサ等の別部品を埋め込まなけ
ればならず,固形潤滑剤の構成が面倒なものになってい
る。また,ニードルベアリング等の転がり軸受では,断
面積が小さいものになっているので,上記のころ軸受を
適用することは極めて困難なものになっている。
報に開示された固形潤滑剤充填転がり軸受は,空隙が非
常に小さな隙間であるので,潤滑剤を補給するには充分
なスペースでなく,特に,ニードルベアリングでは空隙
の奥まで潤滑剤を補給することが困難なものになってい
る。
の課題を解決することであり,特に,ニードルころを組
み込んだニードル軸受に適用して好ましく,固形潤滑剤
に更に油及びグリースの非固形状潤滑剤を適宜補給でき
るように外輪の内周部に空所を形成し,長期間にわたっ
て機械の焼き付き等の故障を未然に防止することができ
る固形潤滑剤を充填した転がり軸受を提供することであ
る。
に延びる鍔部を備えた外輪,前記外輪の前記鍔部間の内
周部に組み込まれた複数のニードルローラ,及び前記外
輪の内側に配設された前記ニードルローラを保持するポ
ケットを備えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸
受において,前記外輪の前記鍔部間の前記内周部には空
所を形成するように固形潤滑剤が充填され,前記外輪に
は前記空所に連通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空
所には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供
給されることを特徴とする転がり軸受に関する。
は,前記外輪の前記鍔部間の前記内周部の軸方向中央部
に周方向に延びる環状に形成され,前記固形潤滑剤は環
状の前記空所の両側に環状に充填されている。
は,前記外輪の前記内周部の半幅環状部以下の第1片側
環状部分に粉末状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷
却して固形化して第1片側固形潤滑剤を充填し,次い
で,反対側の半幅環状部以下の第2片側環状部分に粉末
状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化し
て第2片側固形潤滑剤を充填することによって,前記第
1片側固形潤滑剤と前記第2片側固形潤滑剤との間に形
成されるものである。
は,前記外輪の前記鍔部に隣接した前記内周部の軸方向
端部に形成された研削用逃げ溝でなる内周溝及び/又は
前記外輪の前記鍔部間の内周面の予め決められた所定の
領域に形成された内周溝で構成されている。
で形成される前記内周溝に耐熱グリースを充填し,次い
で,前記外輪の前記内周部に前記固形潤滑剤を充填し,
前記耐熱グリースが充填された前記内周溝を前記非固形
状潤滑剤を供給する前記空所に構成したものである。
内向きに延びる鍔部を備えた外輪,前記外輪の内周部に
組み込まれた複数のニードルローラ,及び前記外輪の内
側に配設された前記ニードルローラを保持するポケット
を備えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸受にお
いて,前記外輪の前記内周部には前記ニードルローラ間
に軸方向に延びる空所を形成するように固形潤滑剤が前
記外輪の円弧部に充填され,前記外輪には前記空所に連
通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空所には潤滑油及
び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供給されることを
特徴とする転がり軸受に関する。
内周部の円弧領域に軸方向に延びるように粉末状樹脂材
と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化して充填さ
れているものである。
潤滑油との混合液を前記外輪の前記内周部に充填して加
熱後冷却して固化させることによって前記外輪の前記内
周部に充填できるものである。更に,前記粉末状樹脂材
は,超高分子量ポリオレフィンパウダであり,また,前
記潤滑油はタービン油である。
形潤滑剤には,潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤
滑剤が供給可能に構成されている。
側には内輪が配置され,前記ニードルローラは前記外輪
と前記内輪との間に組み込まれている。
ているので,ニードルベアリングに適用して好ましく,
固形潤滑剤を充填した転がり軸受で有りながら,外輪の
内周部に空所が形成されているので,空所を通じて非固
形状の潤滑剤を補給することができ,長期に渡って良好
な潤滑を行うことができる。即ち,外輪の内周部に充填
された固形潤滑剤は,例えば,多量の潤滑油と微粒子の
超高分子量ポリオレフィン樹脂との混合液を熱処理して
固形化したものであり,軸受が回転することによって潤
滑剤が軌道面と転動体とに常時適量しみ出し,長期間に
渡って軸受の潤滑性能を維持するものであるが,潤滑剤
そのものはしみ出せば無くなるものであるので,そこ
で,本発明は,空所を通じて潤滑剤を補給することによ
って,更に長期間にわたって軸受の潤滑性能を維持する
ことができるようになる。しかしながら,ニードル軸受
では,外輪の内周部に空所を形成するのが困難である
が,上記のようにして空所を形成すれば,容易に且つ確
実に適正なサイズの空所を作製することができる。
による固形潤滑剤を充填した転がり軸受の実施例を説明
する。図1及び図2には,この発明による転がり軸受の
第1実施例が示されている。図4及び図5には,この発
明による転がり軸受の第2実施例が示されている。図6
及び図7には,この発明による転がり軸受の第3実施例
が示されている。また,図9及び図10には,この発明
による転がり軸受の第4実施例が示されている。
持器3から成るタイプ,或いは更に内輪2を設けるタイ
プに構成されている。転動体は,ローラでなり,特に,
針状ころ即ちニードルローラ4から構成されている。ニ
ードルローラ4は,ころ径(DW )が5mm以下であ
り,ころ径(DW )に対するころ長さLW の比(LW /
DW )が3〜10以下のものである。即ち,この転がり
軸受は,ニードルローラ4が上記のサイズのものに適用
して好ましいニードルベアリングに構成されている。こ
の転がり軸受は,軸方向両端部に周方向内向きに延びる
鍔部6を備えた外輪1,外輪1の鍔部6間の内周部7に
組み込まれた複数のニードルローラ4,及び外輪1の内
側に配設されたニードルローラ4を保持するポケット9
を備えた周方向に延びる保持器3を有するものである。
外輪1は,内周面が軌道面12となり,軌道面12の両
側に内径側に垂下する鍔部6が形成されている。また,
外輪1の外周側の中央には,凹溝即ち凹状の給油溝22
が形成され,この転がり軸受では,円周上の一箇所に給
油孔即ち潤滑剤供給孔8が形成されている。
において,特に,外輪1の鍔部6間の内周部7には空所
15を形成するように固形潤滑剤5が充填され,外輪1
には空所15に連通する潤滑剤供給孔8が形成され,空
所15には潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤
20が供給されることを特徴としている。この転がり軸
受の実施例では,外輪1の半径方向内側には内輪2が配
置され,ニードルローラ4は外輪1と内輪2との間に組
み込まれている。内輪2の内周面24は,機械装置等の
回転軸,軸,シャフト等が嵌入し,転がり軸受が機械装
置等に組み込まれる。この転がり軸受では,外輪1の軸
方向端面の角部には面取り25が形成され,また,内輪
2の軸方向端面の角部には面取り26が形成されてい
る。
の充填等の説明を容易にするため,内輪2を設けたタイ
プを図示しているが,内輪2を設けないタイプに構成す
ることもできる。また,この転がり軸受では,固形潤滑
剤5は,固形潤滑剤5から転動体のニードルローラ4及
び軌道面12,16に潤滑剤が浸み出て長期に渡って給
油することができ,しかも,ニードルローラ4が軌道面
12,16を転動する部分の隙間を塞いでいるので,ご
み等の異物の侵入やある程度の水分の侵入を防ぐシール
の機能を果たすことができる。
造の場合は,内輪2を成形治具に置き換えて,外輪1と
内輪状の成形治具との間の外輪1の内周部7に固形潤滑
剤5を充填すればよいものである。内輪2を組み込むタ
イプでは,図1に示すように,外周に軌道面16が形成
され,軌道面16の両側にテーパ状の面取り26が施さ
れているが,内輪2の代わりに成形治具の場合には軌道
面,テーパ状の面取りは不要である。成形治具の外周面
は,固形潤滑剤5を充填した後に,成形治具を取り外す
必要があるので,ストレート形状に構成しておく必要が
ある。また,内輪無しの転がり軸受は,機械装置等の回
転軸,軸,シャフト等にニードルローラ4が直接転動す
るように直接組み込まれて使用される。
周側がストレート形状の内周面28に形成され,外周側
が軸方向両端部に円環部19と円環部19間の凹周溝1
8で形成され,ニードルローラ4が挿入されるポケット
9が周方向に複数(例えば,25窓)形成されている。
保持器3は,金属,又は樹脂で作製することができ,軸
方向端面の角部には面取り27が形成されている。ポケ
ット9の幅のうち,最小幅Wは,ローラ径よりも僅かに
小さいサイズに形成されている。従って,外輪1に保持
器3を嵌入し,次いで,保待器3の内周側よりニードル
ローラ4を保持器3のポケット9に押圧することによ
り,ニードルローラ4をポケット9に容易に組み込むこ
とができ,組込後にニードルローラ4が保持器3から脱
落することがないものになっている。また,ニードルロ
ーラ4は,保持器3に組み込んだ後には,ポケット9内
に転動自在に保持器3に保持される。ポケット9の長さ
Lは,ニードルローラ4の長さよりも僅かに大きいサイ
ズに形成されている。
による転がり軸受の第1実施例を説明する。この転がり
軸受は,上記の特徴とする構成を有しており,非固形状
潤滑剤20を供給する空所15は,外輪1の鍔部6間の
内周部7の軸方向中央部に周方向に延びる環状に形成さ
れ,また,固形潤滑剤5は,環状の空所15の両側に環
状に充填されている。固形潤滑剤5は,粉末状樹脂材と
潤滑油との混合液14を外輪1の内周部7に充填し,次
いで,混合液14を加熱後冷却して固化させることによ
って外輪1の内周部7に充填することができる。即ち,
この転がり軸受は,外輪1の鍔部6間の内周部7に充填
された固形潤滑剤5の間で軸方向中央に周方向に沿って
潤滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤を補給する
ための空所15が環状に形成されている。また,外輪1
の内周部7に充填された固形潤滑剤5には,潤滑油及び
/又はグリースの非固形状潤滑剤20が供給可能に構成
されているものである。更に,外輪1には,空所15に
通じる給油孔即ち潤滑剤供給孔8が少なくとも一箇所設
けられている。また,外輪1の外周面23には,潤滑剤
供給孔8に通じる凹状の給油溝22が形成されている。
即ち,外輪1の外周面23に形成された給油溝22は,
例えば,外輪1が機器等の取付け孔に嵌合された場合
に,潤滑剤を供給できるように機能するものである。
剤5を外輪1の内周部7に充填する方法を図3を参照し
て説明する。まず,転がり軸受の片側に固形潤滑剤5を
充填し,次いで,転がり軸受を反転して他の片側に固形
潤滑剤5を充填することによって空所15を簡単に形成
することができる。即ち,成形前の溶液状でなる固形潤
滑剤5の原料の混合液14を軸受幅の半分よりも浅い液
面29に満たした型部材の容器13に軸受片側環状部を
浸漬させて半分以下の環状部に充填し,混合液14を加
熱後冷却して固化させる。その後,軸受を反転させ,反
対側の軸受片側環状部を浸漬させて半分の環状部に混合
液14を充填し,同様の成形を行うものである。言い換
えれば,まず,外輪1の内周部7の半幅環状部以下の第
1片側環状部分に充填された粉末状樹脂材と潤滑油とか
ら成る混合液14とし,次いで,混合液14を加熱後冷
却して固形化し,第1片側環状部分に第1片側固形潤滑
剤5を充填する。ここで,「半幅」は,外輪1の軸方向
即ち幅方向の全幅の「半分の幅」を表し,また,「環状
部」は外輪1の周方向に延びる全円筒部を表している。
次いで,反対側の半幅環状部以下の第2片側環状部分に
充填された粉末状樹脂材と潤滑油とから成る混合液14
とし,次いで,混合液14を加熱後冷却して固形化し,
第2片側環状部分に第2片側固形潤滑剤5を充填する。
これによって,第1片側固形潤滑剤5と前記第2片側固
形潤滑剤5との間に,環状の空所15が外輪1の軸方向
の内周部7の中央部に形成されることになる。
ている材料を使用することができるものであり,例え
ば,超高分子量ポリエチレンパウダ等の超高分子量ポリ
オレフィンパウダの粉末状樹脂材であり,また,タービ
ン油等の潤滑油で生成することができる。固形潤滑剤5
は,粉末状樹脂と潤滑油のタービン油とを,例えば,重
量比で25:75の割合で混合した混合液14であり,
混合液14を150℃にて10分間以上加熱し,その
後,冷却して固形化させることによって生成することが
できるものである。固形潤滑剤5は,例えば,特開20
01−208084号公報,特開平9−94893号公
報等の従来の技術で提示した各公報に開示されている従
来周知の熱可塑性や熱硬化性のものを使用することがで
きる。
による転がり軸受の第2実施例を説明する。図4及び図
5に示すように,転がり軸受の軸方向中央に周方向に沿
って非固形状の潤滑剤を補給のため,外輪1の内周面の
軌道面12には空所15を形成する凹溝でなる内周溝1
0が形成されている。この実施例では,固形潤滑剤5の
充填方法は,まず,外輪1の内周溝10内に耐熱グリー
ス17を充填し,その後に,転がり軸受を組立て,従来
と同様に,外輪1の内周部7内に固形潤滑剤5を充填し
て固形化させる。固形潤滑剤5が固形形成するまで,外
輪1の内周溝10内の耐熱グリース17は溶け出しずら
いので,その内周溝10の部分に空所15が形成され
る。
による転がり軸受の第3実施例を説明する。この実施例
の転がり軸受は,その軸方向両側に周方向に沿って潤滑
剤の補給のための空所15が設けられているものであ
る。即ち,この転がり軸受は,記非固形状潤滑剤20を
供給する空所15は,外輪1の鍔部6に隣接した内周部
7の軸方向端部に形成された研削用逃げ溝11でなる内
周溝で構成されている。この実施例では,固形潤滑剤5
を外輪1の内周部7に充填する方法は,まず,図7に示
すように,空所15を形成するため外輪1の両側の鍔部
6に隣接した研削用逃げ溝11に沿って耐熱グリース1
7を充填し,その後に,図8に示す保持器3を外輪1に
嵌入して,回転させないようにしてその位置で保持器3
を外輪1に対して固定してニードルローラ4を組み込ん
で軸受を組み立て,次いで,従来と同様に,外輪1の内
周部7内に固形潤滑剤5を充填して固形化する。固形潤
滑剤5が固形するまでに,外輪1の両側の鍔部6に隣接
した内周部7の耐熱グリース17は溶け出しずらいの
で,その内周部7の鍔部6に隣接した研削用逃げ溝11
に空所15が形成される。研削用逃げ溝11に形成され
た空所15は,耐熱グリース17が充填された内周溝の
研削用逃げ溝11を非固形状潤滑剤20を供給するのに
使用される。空所15に耐熱グリース17が残留するこ
とが不適な場合等では,給油孔8を2個所に設けて,一
方の給油孔の潤滑剤供給孔8から適用するグリース等の
潤滑剤を充填すれば,好ましくない耐熱グリース17が
他方の潤滑剤供給孔8から排出される。また,給油孔の
潤滑剤供給孔8は,外輪1の軸方向中央に設けられてい
るが,空所15とは近接しているので,グリース等の潤
滑剤を空所15に補給することができるものである。
明による転がり軸受の第4実施例を説明する。この転が
り軸受は,図9に示すように,その周方向の一部に潤滑
剤の補給のため,軸方向に延びるストレート状の空所2
1が設けられているものである。即ち,この実施例で
は,外輪1,内輪2,ニードルローラ4及び保持器3に
ついては上記各実施例と同様に構成されている。特に,
外輪1には,ニードルローラ4間に軸方向に延びる空所
21を形成するように固形潤滑剤5が外輪1の周方向の
一部の円弧部に充填され,外輪1には空所21に連通す
る潤滑剤供給孔8が形成されている。空所21には,潤
滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤20が供給さ
れるものである。
く,揺動中心Oを枢支軸として予め決められた所定の揺
動角(±θ)で揺動する機器等に使用されて好ましいも
のである。揺動個所での空所21の利用方法は,図9に
示されるように,負荷側の反対側に配設され,一般に負
荷側の反対側に配設される給油孔の潤滑剤供給孔8に通
じて給油が可能になる構造に構成されている。また,外
輪1の内周部7の一部の円弧部に固形潤滑剤5を充填す
る方法は,例えば,図10に示すように,成形前の溶液
状でなる混合液14を軸受直径の3/4程度までの液面
29に満たした型部材の容器13に外輪1の円形の一部
が露出して,ニードルローラ4が転がる軌道面12,1
6間のスペースの一部を除く残りのスペースを浸水させ
るように配設し,外輪1の内周部7の周方向の一部に侵
入させ,次いで,混合液14を加熱後冷却して固化さ
せ,その結果,外輪1の周方向の一部の円弧部に軸方向
に延びるストレート状の空所21が形成される。
うに構成されているので,外輪の内周部に環状の空所或
いは軸方向に延びるストレート状の空所を容易に形成す
ることができ,空所を通じて潤滑油及び/又はグリース
の非固形状潤滑剤20を,固形潤滑剤に含有する潤滑剤
が消耗するのに追従して,固形潤滑剤に連続して確実に
順次供給可能になり,ニードルローラ,外輪の軌道面或
いは内輪の軌道面に長期にわたって給油即ち潤滑剤を供
給して潤滑性能を向上させ,長期間にわたって給油のメ
インテナンスフリーが実現でき,長寿命を確保できる。
また,外輪の内周部に充填された固形潤滑剤は,外輪や
内輪の軌道面,及びニードルローラへのごみ,水等の異
物が侵入するのを防ぐシールとしても機能することがで
きる。
て図2のB−B断面を示す縦断面図である。
示す横断面図である。
を充填する方法を説明するための断面図である。
し,図2のB−B断面に対応する断面を示す縦断面図で
ある。
である。
し,図2のB−B断面に対応する断面を示す縦断面図で
ある。
である。
明するため,簡略化して示す縦断面図である。
し,図2のB−B断面に対応する断面を示す縦断面図で
ある。
剤を充填する方法を説明するための断面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔
部を備えた外輪,前記外輪の前記鍔部間の内周部に組み
込まれた複数のニードルローラ,及び前記外輪の内側に
配設された前記ニードルローラを保持するポケットを備
えた周方向に延びる保持器を有する転がり軸受におい
て,前記外輪の前記鍔部間の前記内周部には空所を形成
するように固形潤滑剤が充填され,前記外輪には前記空
所に連通する潤滑剤供給孔が形成され,前記空所には潤
滑油及び/又はグリースの非固形状潤滑剤が供給される
ことを特徴とする転がり軸受。 - 【請求項2】 前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所
は,前記外輪の前記鍔部間の前記内周部の軸方向中央部
に周方向に延びる環状に形成され,前記固形潤滑剤は環
状の前記空所の両側に環状に充填されていることを特徴
とする請求項1に記載の転がり軸受。 - 【請求項3】 前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所
は,前記外輪の前記内周部の半幅環状部以下の第1片側
環状部分に粉末状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷
却して固形化して第1片側固形潤滑剤を充填し,次い
で,反対側の半幅環状部以下の第2片側環状部分に粉末
状樹脂材と潤滑油との混合液を加熱後冷却して固形化し
て第2片側固形潤滑剤を充填することによって,前記第
1片側固形潤滑剤と前記第2片側固形潤滑剤との間に形
成されることを特徴とする請求項2に記載の転がり軸
受。 - 【請求項4】 前記非固形状潤滑剤を供給する前記空所
は,前記外輪の前記鍔部に隣接した前記内周部の軸方向
端部に形成された研削用逃げ溝でなる内周溝及び/又は
前記外輪の前記鍔部間の内周面の予め決められた所定の
領域に形成された内周溝で構成されていることを特徴と
する請求項1に記載の転がり軸受。 - 【請求項5】 前記外輪の前記内周溝で形成される前記
内周溝に耐熱グリースを充填し,次いで,前記外輪の前
記内周部に前記固形潤滑剤を充填し,前記耐熱グリース
が充填された前記内周溝を前記非固形状潤滑剤を供給す
る前記空所に構成したことを特徴とする請求項4に記載
の転がり軸受。 - 【請求項6】 軸方向両端部に周方向内向きに延びる鍔
部を備えた外輪,前記外輪の内周部に組み込まれた複数
のニードルローラ,及び前記外輪の内側に配設された前
記ニードルローラを保持するポケットを備えた周方向に
延びる保持器を有する転がり軸受において,前記外輪の
前記内周部には前記ニードルローラ間に軸方向に延びる
空所を形成するように固形潤滑剤が前記外輪の円弧部に
充填され,前記外輪には前記空所に連通する潤滑剤供給
孔が形成され,前記空所には潤滑油及び/又はグリース
の非固形状潤滑剤が供給されることを特徴とする転がり
軸受。 - 【請求項7】 前記固形潤滑剤は,前記外輪の前記内周
部の円弧領域に軸方向に延びるように粉末状樹脂材と潤
滑油との混合液を加熱後冷却して固形化して充填されて
いることを特徴とする請求項6に記載の転がり軸受。 - 【請求項8】 前記固形潤滑剤は,粉末状樹脂材と潤滑
油との混合液を前記外輪の前記内周部に充填して加熱後
冷却して固化させることによって前記外輪の前記内周部
に充填できることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
1項に記載の転がり軸受。 - 【請求項9】 前記粉末状樹脂材は超高分子量ポリオレ
フィンパウダであり,また,前記潤滑油はタービン油で
あることを特徴とする請求項8に記載の転がり軸受。 - 【請求項10】 前記外輪の前記内周部に充填された前
記固形潤滑剤には,潤滑油及び/又はグリースの非固形
状潤滑剤が供給可能に構成されていることを特徴とする
請求項8又は9に記載の転がり軸受。 - 【請求項11】 前記外輪の半径方向内側には内輪が配
置され,前記ニードルローラは前記外輪と前記内輪との
間に組み込まれていることを特徴とする請求項1〜10
のいずれか1項に記載の転がり軸受。
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---|---|---|---|
JP2002118841A JP4180296B2 (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 固形潤滑剤を充填した転がり軸受 |
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JP2002118841A JP4180296B2 (ja) | 2002-04-22 | 2002-04-22 | 固形潤滑剤を充填した転がり軸受 |
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JP2003314568A true JP2003314568A (ja) | 2003-11-06 |
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JP (1) | JP4180296B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2078877A3 (en) * | 2008-01-09 | 2012-11-21 | JTEKT Corporation | Bearing with lubricating means |
JP2016205466A (ja) * | 2015-04-17 | 2016-12-08 | Ntn株式会社 | 円すいころ軸受の製造方法 |
-
2002
- 2002-04-22 JP JP2002118841A patent/JP4180296B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2016205466A (ja) * | 2015-04-17 | 2016-12-08 | Ntn株式会社 | 円すいころ軸受の製造方法 |
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