JP6606903B2 - 転がり軸受 - Google Patents
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しかし、このような転がり軸受を高速で使用すると、初期の段階において軸受内部に封入したグリースが遠心力で飛散し、シールリングの内側面等に移動してしまい、外輪及び内輪の軌道に供給されにくい場合がある。
このような構成によって潤滑剤溜まり部を形成するための突起部を容易に形成することができる。
このような構成によって、保持器の周面と突起部の周面との間隔を狭くしたときに、潤滑剤溜まり部から保持器と突起部との間を通って潤滑剤が排出されるのを抑制することができる。
このように構成すれば、潤滑剤溜まり部内の潤滑剤を転がり軸受の環状空間全体に供給し易くなり、転がり軸受全体の潤滑量を高めたい場合に有利である。
この構成によって、突起部と一方の軌道輪の肩部との間に潤滑剤を貯留する潤滑剤溜まり部が形成されるので、この潤滑剤溜まり部に貯留された潤滑剤によって肩部から軌道へ潤滑剤を供給することができる。軌道輪には潤滑剤溜まり部を形成するための溝を形成する必要がなく、封止部材に突起部を形成するだけでよいので、軌道輪の構造の簡素化及び製造の容易化を図ることができる。潤滑剤溜まり部内のグリースは、空隙において周方向端部が露出することになり、潤滑剤溜まり部内の軸方向外側部に存在する潤滑剤を空隙を介して軌道へ供給することが可能となる。
図1は、一実施の形態に係る転がり軸受を示す縦断面図である。
転がり軸受10は、例えば工作機械の主軸(回転軸)を回転自在に支持するために用いられる。本実施形態の転がり軸受10は、グリースGにより潤滑性能が保たれる。なお、以下の説明においては、転がり軸受10の軸方向の中心Cに向かう方向を「軸方向内方」ということがあり、中心Cにより近い位置を「軸方向内側」ということがある。また、転がり軸受10の軸方向の中心Cから離れる方向を「軸方向外方」ということがあり、中心Cからより離れた位置を「軸方向外側」ということがある。
内輪11は、図示していない回転軸の外周面に嵌合され、当該回転軸に固定される。内輪11の外周面には軌道11aが形成されている。
外輪12は、図示していない工作機械等のハウジングの内周面に嵌合され、当該ハウジングに固定される。外輪12の内周面には軌道12aが形成されている。また、外輪12の軸方向の両外端部には、シールド15を装着するための凹部12cが形成されている。外輪12と内輪11とは、本発明における一対の軌道輪を構成している。
前記保持器14は、複数の転動体13の周方向の間隔を保持している。保持器14は、例えば金属又は合成樹脂材により形成される。保持器14は、軸方向両側に設けられた円環部14aと、両円環部14aの間に架設された柱部14bとを備えている。円環部14aと柱部14bとによって囲まれた空間がポケット14cとされている。ポケット14cに転動体13が収容されている。
シールド15の内側面には、転がり軸受10の内部側(軸方向内方)へ向けて突出する突起部21が設けられている。この突起部21は、図3に示すように、外輪12の肩部内周面12b1の径方向内側に間隔をあけて全周に形成されている。また、図2に示すように、突起部21は、保持器14の軸方向外端面14eを超えてさらに軸方向内方へ延び、先端部が転動体13の近傍に配置されている。したがって、突起部21の内周面21aと保持器14の外周面14dとは径方向に対向している。突起部21の先端部は、転動体13の外周面に略沿った傾斜面に形成されている。
図1及び図2に示すように、潤滑剤溜まり部20に充填されたグリースGは、その基油が、外輪12の肩部内周面12b1と転動体13の表面とを介して軌道12aに供給される。また、転動体13の表面を経て、転動体13と保持器14との接触部や、内輪11の軌道11aにも基油が供給される。
この変形例に係る突起部21は、内周面21aがテーパー状に傾斜している。この傾斜により、突起部21の内周面21aと保持器14の外周面14dとは、軸方向内方ほど間隔が拡大している。
本変形例では、前記実施形態に比べて、潤滑剤溜まり部20内のグリースGが、突起部21と保持器14との間を通って突起部21よりも径方向内側に流れやすくなっている。そのため、潤滑剤溜まり部20内のグリースGの消費は早くなるものの、転がり軸受10全体の潤滑量を高めることができる。したがって、潤滑量をより高めたい場合に本変形例はより有利となる。
例えば、封止部材15は、シールドに限定されるものではない。封止部材15は、芯材とこの芯材に固着されたゴム等の弾性材とを有するシール部材により構成されていてもよい。この場合、突起部21は、芯材の軸方向内側面から軸方向内方へ向けて形成されていればよい。
本発明の転がり軸受は、図示する形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。前記実施形態では、転がり軸受10が深溝玉軸受である場合について説明したが、転がり軸受10は、アンギュラ玉軸受、円すいころ軸受、又は円筒ころ軸受等であってもよい。
Claims (5)
- 径方向に対向して配置され、互いに対向する周面に軌道を有している一対の軌道輪と、
前記一対の軌道輪の間の環状空間に配置され、前記軌道上を転動可能な複数の転動体と、
前記複数の転動体の周方向の間隔を保持する保持器と、
前記一対の軌道輪の軸方向外端部に設けられ前記環状空間を封止する封止部材とを備え、
前記封止部材の軸方向内側面には、軸方向内方へ突出し一方の前記軌道輪の肩部との間で潤滑剤を貯留するための潤滑剤溜まり部を形成する突起部が周方向に沿って形成され、
前記突起部は、前記保持器の軸方向外端面よりも軸方向内方へ延びている、転がり軸受。 - 径方向に対向して配置され、互いに対向する周面に軌道を有している一対の軌道輪と、
前記一対の軌道輪の間の環状空間に配置され、前記軌道上を転動可能な複数の転動体と、
前記複数の転動体の周方向の間隔を保持する保持器と、
前記一対の軌道輪の軸方向外端部に設けられ前記環状空間を封止する封止部材とを備え、
前記封止部材の軸方向内側面には、軸方向内方へ突出し一方の前記軌道輪の肩部との間で潤滑剤を貯留するための潤滑剤溜まり部を形成する突起部が周方向に沿って形成され、
前記潤滑剤溜まり部にグリースが充填され、前記グリースの周方向の一部には、前記潤滑剤溜まり部の軸方向の幅にわたる空隙が形成されている、転がり軸受。 - 前記保持器の周面、及びこれに対向する前記突起部の周面は、軸方向にわたって一定の間隔で形成されている、請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記保持器の周面、及びこれに対向する前記突起部の周面は、軸方向内側ほど互いの間隔が拡大している、請求項1に記載の転がり軸受。
- 前記封止部材が合成樹脂製であり、前記突起部が前記封止部材と一体に成形されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり軸受。
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JP2015147876A JP6606903B2 (ja) | 2015-07-27 | 2015-07-27 | 転がり軸受 |
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JP5821437B2 (ja) * | 2011-09-07 | 2015-11-24 | 日本精工株式会社 | シールリング付転がり軸受装置 |
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2015
- 2015-07-27 JP JP2015147876A patent/JP6606903B2/ja active Active
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JP2017026104A (ja) | 2017-02-02 |
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