JP2001208084A - 転動体組立体及びそれを用いた回転用転がり軸受 - Google Patents

転動体組立体及びそれを用いた回転用転がり軸受

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JP2001208084A
JP2001208084A JP2000014933A JP2000014933A JP2001208084A JP 2001208084 A JP2001208084 A JP 2001208084A JP 2000014933 A JP2000014933 A JP 2000014933A JP 2000014933 A JP2000014933 A JP 2000014933A JP 2001208084 A JP2001208084 A JP 2001208084A
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Masataka Kato
雅孝 加藤
Ikuhisa Miwa
育久 三輪
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Nippon Thompson Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、一対の軌道輪の対向して配置され
た軌道面間に介装される転動体と保持器とを固形潤滑剤
で覆うことにより、長期間に渡って給油のメンテナンス
フリーが実現可能な転動体組立体及び回転転がり用軸受
を提供する。 【解決手段】 軌道輪1,2間に配設された円筒ころ組
立体25は、保持器8と保持器8に回転自在に保持され
た複数の転動体としての円筒ころ9を固形潤滑剤15で
覆って構成されている。円筒ころ9は、一部の転動面9
aが固形潤滑剤15から現れており、軌道面3,4を転
走するときに、円筒ころ9に固形潤滑剤15から次々に
滲み出て供給された潤滑剤が、軌道面3,4を潤滑す
る。円筒ころ組立体25は、両軌道面3,4の対向する
隙間17を塞ぎ、異物や水分の侵入等を防ぐシールとし
ても機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、固定体と可動体
とのように相対回転する軌道輪間において、転動体が保
持器に回転自在に保持された転動体組立体、及びそれを
用いたスラスト軸受又はラジアル軸受である回転用転が
り軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スラスト軸受において、軌道輪と
しての固定輪と可動輪、又は一対の可動輪を互いに相対
回転させるために、一対の軌道輪の対向部分にそれぞれ
形成された軌道溝又は軌道面から構成される軌道路に、
転動体と転動体を回転自在に保持する保持器とから構成
される転動体組立体が配置されている。このような回転
用転がり軸受の一例が図6〜図8に示されている。
【0003】図6は、従来の転動体と転動体を回転自在
に保持する保持器とから構成される転動体組立体の一例
を示す斜視図、図7は図6に示す転動体組立体の断面
図、図8は図6に示す転動体組立体を用いたスラスト軸
受の一例を示す断面図である。図6に示す転動体組立体
30は、負荷として軸方向の荷重(アキシャル荷重)を
支えることができる組立体であり、回転軸心を径方向に
並べ、且つ周方向に隔置して環状に配置された転動体と
しての複数の円筒ころ9(一部のみ符号を付す)と、円
筒ころ9を回転自在に保持する保持器8とから構成され
ている。
【0004】保持器8は、プラスチック又は鋼板に代表
される金属材料等の弾性を有する薄板素材で作製され、
全体として環状構造を有しており、各円筒ころ9を個別
に回転自在に保持するための保持孔10が周方向に一定
間隔に隔置して形成されている。保持器8は、図7に示
すように保持孔10の周囲において、特に回転軸線11
に平行な断面で見て断面M字形状の波形12に屈曲成形
されて剛性が高められ円筒ころ9を回転自在に保持して
おり、保持器8の内周部13と外周部14とは、軸方向
に折り曲げられて後述する軌道輪に嵌合可能な構造とな
っている。
【0005】図8に示すように、固定側のベースである
軌道輪1と、ベースに対して互いに相対回転する可動側
の回転軸としての軌道輪2との対向する部分には、それ
ぞれ回転軸線に直交した一対の平行な平面としての軌道
面3,4が形成されている。軌道輪2は、大径部5と小
径部6との段差構造に構成されており、その段差部分に
環状の軌道面4が形成されている。軌道面3,4間に、
図7に示す転動体組立体としての円筒ころ組立体20が
配設されており、軌道面3,4は、円筒ころ組立体20
の円筒ころ9が転走する軌道路R1を形成している。保
持器8は、回転軸の小径部6の外周面6aに嵌合され、
軌道輪2と共に回転する。円筒ころ組立体20は両軌道
輪1,2間に組み込まれてスラスト軸受21を構成して
おり、両軌道輪1,2間に符号Fで示すようなスラスト
力が生じたときには、力Fで示すスラスト力を支持しな
がら、軌道輪2が軌道輪1に対して回転するのを許容す
る。スラスト軸受21においては、軌道面3,4間には
円筒ころ9及び保持器8では埋まり切らない隙間17が
残るので、塵埃や水分等の異物が軸受内に侵入して、潤
滑が損なわれ錆を生じやすい構造となっている。
【0006】また、回転用転がり軸受に別の形態とし
て、図9に示すニードル軸受51がある。図9は、従来
のニードル軸受の一部を示す断面図である。ニードル軸
受51は、転動体としての針状ころ39と保持器38と
からなる転動体組立体としての針状ころ組立体50を軌
道輪31,32間に配設して構成されている。針状ころ
39は、軌道輪31の内側周面としての軌道面33と、
軌道輪32の外側周面としての軌道面34とから成る軌
道路R2を転走する。保持器38は、一様の肉厚を有す
る筒状素材から一対の環状側部42,42と、環状側部
42,42間において周方向に並列した状態で隔置して
成形され且つ環状側部42,42と一体的に繋がる複数
の柱部43とから構成されている。
【0007】各柱部43の柱中央部44、柱端部46,
46及び柱傾斜部48,48は、筒状の素材から保持孔
40を形成するときに残されて形成された部分であり、
柱端部46,46は柱中央部44から柱傾斜部48によ
って径方向に屈曲されて径方向外側に偏位されている。
周方向に隣接する一対の柱中央部44,44の互いに対
向する側面45,45間の距離は針状ころ39のころ径
より小さいので、柱中央部44は、それ自体で針状ころ
39の径方向内側への脱落を防止する。また、一対の柱
端部46,46の互いに周方向に対向する側面47,4
7間の距離がころ径より小さいので、柱端部46は針状
ころ39の径方向外側への脱落を防止する。隣接する柱
傾斜部48の側面49,49の距離はころ径より大きい
ので、柱傾斜部48は、針状ころ39を回転自在に遊嵌
し、且つ案内している。針状ころ39を保持器38の内
側から保持孔40に多少無理に押し込んで保持器38に
組み付けることにより、保持器付きのニードル軸受51
が完成する。
【0008】保持器38は、同一の薄肉厚を有する板材
から形成され、柱部43が柱端部46に対して柱傾斜部
48を介して径方向に偏位した柱中央部44を有する断
面が所謂M字形、即ち、波形に形成されている保持器で
あり、軸受に組み込まれた状態では軽快に回転して良好
な回転性を示す。環状側部42の近くまで保持孔40を
軸方向に長く形成し、長い針状ころ39を保持器38に
組み込むことが可能であり、ころ軸受としての負荷容量
を大きくすることができる。環状側部42と柱部43と
の一体結合部52である内側角部には、バルジ加工の型
によって自然と曲げRが形成される。一体結合部52の
曲げRは、完成品である保持器38においてもそのまま
残されており、局部応力に起因した割れが生じることが
なく、強固な一体結合を得ることができる。保持器38
は、使用する材料が少なく軽量化、低材料コスト化さ
れ、製造コストも低減される。なお、保持器38は、外
輪、又は外輪と内輪に単列又は複列に組み込んでなる軸
受としても使用されることは勿論である。
【0009】固形潤滑剤を使用したスラスト軸受とし
て、断面コの字形の一対の環状保持器部材を相対向させ
て組み合わせた箱形の保持器に多数のポケットを設け、
そのポケットに転動体を保持させた状態で、保持器の内
部に固形潤滑剤を注入して焼成することで、保持器の内
部に固形潤滑剤を充填したものが提案されている(特開
平8−121489号公報参照)。焼成された固形潤滑
剤は保持器の内部に保持され剥がれることはなく、ポケ
ットから外部に露出した転動体の部分は固形潤滑剤の外
にあり、転動体の全体が固形潤滑剤の中に埋没すること
がない。
【0010】バリの発生がなく、後処理の必要がなく、
低圧充填が可能な、固形潤滑剤を充填した転がり軸受の
製造方法として、特開平9−94893号公報に開示さ
れている技術がある。潤滑グリース又は潤滑油と熱可塑
性樹脂粉末とを混合分散した常温の潤滑剤を常温の転が
り軸受の内輪と外輪の隙間に注入し、この隙間に嵌まる
下型と上型とからなる金型を熱可塑性樹脂粉末の焼結温
度に加熱してこの隙間に嵌め合わせ、潤滑剤の金型接触
面を固形状化した後に金型を取り外して転がり軸受を熱
可塑性樹脂のゲル化点以上滴点以下の温度に加熱し、次
いで冷却して、潤滑剤の全体を固形状化して、固形潤滑
剤を充填した転がり軸受を製造している。固形潤滑剤
は、軸受単体毎に、回転する軸受に充填され固形処理さ
れている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述した転動体組立体
及びそれを組み込んだスラスト軸受は、構造が単純であ
り、軌道溝の軌道面に精度の高い機械加工が施せる上、
厳密に寸法を管理した超精密な円筒ころや針状ころから
成る転動体を保持器に組み込んでいるため、極めて滑ら
かで摩擦抵抗の小さな回転運動が得られる。そのため、
精密測定器、精密加工機等の機器に多用されてきてい
る。また、スラスト軸受以外の型式の軸受として、径方
向外側軌道面と内側軌道面とから成る軌道路を転動する
複数の転動体を保持器で保持したラジアル軸受も多用さ
れている。
【0012】しかしながら、転動体組立体を組み込んだ
回転用転がり軸受をスムーズに作動させるには、転動体
及び転動体が転走する軌道面に対する潤滑が不可欠であ
る。潤滑油の補給のために機器を停止させると、機器の
稼働率を低下させると共にメンテナンス費用が嵩むの
で、近年、回転用転がり軸受において、外部からの給油
が長期間に渡って不要なメンテナンスフリーが強く要求
され、潤滑剤についても長期に渡って給油可能な固形潤
滑剤で潤滑するように組み込むことが可能な転動体組立
体、及びそれを組み込んだ回転用転がり軸受が望まれて
いる。
【0013】
【課題を解決するための手段】そこで、この発明の目的
は、上記の課題を解決することであり、保持器と保持器
に回転自在に保持された複数の転動体とから成り、且つ
軌道路に介装される転動体組立体に固形潤滑剤を備える
ことにより、機器の稼働を停止させることなく転動体及
び軌道路を潤滑させて、長期間に渡って給油の必要がな
いメンテナンスフリーが実現可能な、軸受に組込み可能
な転動体組立体、及び転動体組立体を組み込んだスラス
ト軸受やラジアル軸受のような回転用転がり軸受を提供
することである。
【0014】この発明は、複数の転動体と前記転動体を
回転自在に保持する保持孔が形成された保持器とを具備
し、前記転動体と前記保持器とは、前記転動体の一部の
転動面が露出された状態で固形潤滑剤によって覆われて
いることから成る転動体組立体に関する。
【0015】また、この発明は、対向する軌道面間に軌
道路を形成した一対の軌道輪、及び前記軌道輪を相対回
転させるため前記軌道面間に挿入して配置された転動体
組立体から成り、前記転動体組立体は、前記軌道路を転
走可能な複数の転動体と前記転動体を回転自在に保持す
る保持孔が形成された保持器とを備え、前記転動体と前
記保持器とは前記転動体の前記軌道面と接触する一部の
転動面が露出された状態で固形潤滑剤によって覆われて
いることから成る回転用転がり軸受に関する。
【0016】この発明による、転動体組立体、及びそれ
を組み込んだ回転用転がり軸受によれば、転動体組立体
は、転動体の一部、即ち、軌道面に接触する部分での転
動面が露出された状態で転動体と保持器とが固形潤滑剤
によって覆われているので、転動体組立体が相対回転す
る一対の軌道輪間に適用されて転動体が回転しつつ軌道
路を転走するときに、固形潤滑剤から転動体に対して潤
滑剤が次々に滲み出る。軌道路を形成する軌道輪の軌道
面は、潤滑剤が付着した転動体が軌道路を転走すること
により転動体から給油され、長期に渡って潤滑される。
また、固形潤滑剤は、転動体と保持器とを覆う形態で転
動体組立体に設けられているので、固形潤滑剤の転動体
組立体への組込みが簡単に行われ、固形潤滑剤は、特に
保持器の周囲に確実に付着される。
【0017】前記回転用転がり軸受は、前記軌道路が前
記両軌道輪の互いに軸方向に対向する前記軌道面によっ
て形成されており、前記保持器が前記保持孔を周方向に
隔置した位置において軸方向に貫通して形成した環状体
から構成され、前記転動体がその回転軸線を前記保持器
の径方向に配置した状態で前記保持孔に保持されている
スラスト軸受である。
【0018】前記回転用転がり軸受は、前記軌道路が前
記両軌道輪の互いに径方向に対向する前記軌道面によっ
て形成されており、前記保持器が前記保持孔を周方向に
隔置した位置において径方向に貫通して形成した筒状体
から構成され、前記転動体がその回転軸線を前記保持器
の軸方向に配置した状態で前記保持孔に保持されている
ラジアル軸受である。
【0019】上記転動体組立体、及びそれを組み込んだ
上記回転用転がり軸受において、前記転動体は、円筒こ
ろ、針状ころ、又はボールである。転動体は円筒ころ、
針状ころ、又はボールのいずれの形態であっても、軌道
面上を転走するときに、固形潤滑剤から滲み出た潤滑剤
が転動体の表面に付着し、軌道面を潤滑する。
【0020】上記転動体組立体、及びそれを組み込んだ
上記回転用転がり軸受において、前記保持器は、前記転
動体の前記回転軸線に平行な側となる前記保持孔の周囲
において、波形に成形されている。固形潤滑剤は、波形
に成形された保持器を埋設する状態に保持器を覆うこと
になるので、固形潤滑剤の保持器からの剥がれが生じ難
くなる。
【0021】上記転動体組立体において、前記固形潤滑
剤は、潤滑油が混合された超高分子量のポリエチレンパ
ウダを加熱し固形化することにより成形されている。こ
の場合、前記固形潤滑剤は、前記転動体と前記転動体を
回転自在に保持させた前記保持器とから成る中間組立体
を治具に挟んだ状態で、前記潤滑油が混合された前記超
高分子量のポリエチレンパウダに浸漬させ、前記中間組
立体に付着した前記潤滑油と前記超高分子量のポリエチ
レンパウダとを加熱して固形化させることにより成形さ
れる。更に、転動体組立体は、複数の前記中間組立体
を、一対の前記治具の間に並列に挟んだ状態で又は前記
治具と交互に積層した状態で、前記潤滑油が混合された
前記超高分子量のポリエチレンパウダに浸漬され、多数
個取りで製作される。
【0022】転動体組立体を組み込んだ上記回転用転が
り軸受において、前記固形潤滑剤は、前記軌道輪の前記
軌道面によって形成される隙間を実質的に塞ぐ形状に成
形されている。このように固形潤滑剤を構成することに
より、転動体組立体は、転動体が軌道路を転動する部分
の隙間を塞ぎ、ゴミ等に異物の侵入、ある程度の水分の
侵入を防ぐシールにもなっている。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、この発明
による転動体組立体及びそれを組み込んだ回転用転がり
軸受の実施例を説明する。図1はこの発明による転動体
組立体の一実施例を示す断面図、図2は図1に示す転動
体組立体を一対の軌道輪間に組み込んで得られた軸受の
一例を示す断面図である。図1及び図2において、図7
及び図8に示した従来の転動体組立体及び軸受を構成し
ている各部品及び部位に付した符号と同一の作用を有す
る部品又は部位には同一の符号を付すことで、再度の詳
細な説明を省略する。
【0024】図1に示すこの発明による転動体組立体で
ある円筒ころ組立体25は、図2に示すように、スラス
ト軸受U1に適用される組立体であり、転動体である円
筒ころ9と、円筒ころ9を回転自在に保持する保持孔1
0が形成されている環状体として成形されている保持器
8とから成り、円筒ころ9と保持器8とは、各円筒ころ
9の後述する一部の転動面が露出された状態で固形潤滑
剤15によって覆われている。固形潤滑剤15は、スラ
スト方向(軸方向)の幅については、円筒ころ9の径と
同じ(或いは僅かに小さい)寸法を有し、径方向の幅に
ついては、保持器8の幅と略同じ寸法に成形されてい
る。従って、円筒ころ9と保持器8とは、固形潤滑剤1
5によって略埋設された状態に覆われているが、各円筒
ころ9の円筒面状の転動面のうち、保持器8の外に現れ
る一部の転動面9aは、各円筒ころ9を軌道輪1,2の
軌道路R1に接触して転走可能とするため、固形潤滑剤
15に形成される開口16から僅かに外部に現れるよう
に露出している。保持器8は、円筒ころ9を回転自在に
保持する保持孔10において、円筒ころ9の回転軸線1
1と平行な断面で見てM字形状に屈曲成形されているの
で、保持器8の強度が向上すると共に、固形潤滑剤15
が保持器8に強固に付着して保持器8から剥がれ難くな
っている。
【0025】転動体組立体である円筒ころ組立体25
は、図2に示すように、軌道輪1,2間に組み込まれて
スラスト軸受U1を構成している。固形潤滑剤15は上
述の寸法を有しているので軌道面3,4間の隙間17を
塞ぐ大きさとなり、固形潤滑剤15で覆われた円筒ころ
組立体25は、隙間17への塵埃等の異物の侵入や、あ
る程度の水分の侵入を防止するシールとしての働きも奏
する。軌道輪1,2が相対回転するとき、円筒ころ9
は、固形潤滑剤15から露出する一部の転動面9aが軌
道面3,4に接触しつつ軌道面3,4上を転走する。こ
のとき、円筒ころ9の転動面には固形潤滑剤15から潤
滑油が次々に滲み出て供給される。円筒ころ9の転動面
に供給された潤滑油は、円筒ころ9の転がりにより軌道
面3,4上に供給され、長期に渡って軌道面3,4を潤
滑する。
【0026】図3には、この発明による回転用転がり軸
受の別の実施例が示されている。図3はこの発明による
回転用転がり軸受の別の実施例を示す一部断面図であ
る。図3に示す実施例は、図9に示す回転用転がり軸受
において、転動体組立体が固形潤滑剤を備えた点以外に
構成上の実質的な相違はないので、同じ部品及び部位に
は同じ符号を付して、再度の説明を省略する。
【0027】図3に示す回転用転がり軸受U2において
は、図9に示すニードル軸受51を構成する針状ころ組
立体50を固形潤滑剤55で覆うことによって、転動体
組立体としての針状ころ組立体60が構成されている。
針状ころ組立体60は、針状ころ組立体50と同様に、
複数の針状ころ39と、保持孔40の周囲において波
形、即ち、断面M字形状に成形された鋼板でなる筒状体
に成形されており各針状ころ39を保持孔40内に転動
自在に保持する保持器38とを備えている。針状ころ3
9と保持器38とを覆う固形潤滑剤55は、図3に示す
ように、軌道輪31,32の対向する軌道面33,34
の隙間57を塞ぐ形状に成形されている。各針状ころ3
9が軌道面33,34を転走可能とするため、固形潤滑
剤55には、各針状ころ39の円筒面状の転動面のうち
一部の転動面39aが僅かに外部に現れるように、針状
ころ39の軸方向に延びるスリット状の開口56が形成
されている。固形潤滑剤55の潤滑作用及び保持器への
付着性については、図1及び図2に示す実施例における
固形潤滑剤15の場合と実質的に同じであるので、再度
の説明を省略する。
【0028】以上の各実施例では、転動体が円筒ころ、
針状ころのようなころであったが、転動体をボールとし
てもよい。その他、各部品や部位の形状、構造、組成
等、適宜の変更をなし得ることは言うまでもない。
【0029】この発明による転動体組立体は、図4及び
図5に示すように、多数個取りの型から製作することが
できる。図4はこの発明による転動体組立体を多数個取
りするための型としての容器を示す斜視図、図5は図4
に示す容器の断面図である。転動体組立体の製作におい
ては、先ず、固形潤滑剤15,55を製造する材料は、
粉末状樹脂として、超高分子量ポリエチレンパウダ(例
えば、三井石油化学株式会社製のミペロン(登録商標)
XM−220)と、潤滑油として、FBKオイル(ター
ビン油)(RO#100)とを用意する。
【0030】図4及び図5に示すように、上記の粉末状
樹脂と潤滑油としてのタービン油とを重量比で25:7
5の割合で混合し、液状混合物74を軸部71付きの容
器70に注入する[工程1]。従来(図6、図7)の円
筒ころ組立体20と同じ構造を有する組立体を中間組立
体72として、液状混合物74が注入された容器70内
にセパレータ73と交互に積層状態に入れる[工程
2]。液状混合物74は中間組立体72の外側を覆うと
共に内部の空間に入り込む。中間組立体72が装填され
た容器70ごと、気密性のある箱に入れ、内部の圧力を
下げて、箱内部の気泡を拡大させ液面に浮き出させて脱
泡させる[工程3]。中間組立体72が装填された容器
70全体を炉に入れ、150℃にて10分以上加熱し、
混合液を固形化させる[工程4]。炉から取り出し、放
熱後、固形潤滑剤で覆われた中間組立体を取り出し、不
要部分を切除して仕上げると、図1及び図2に示すとお
りの、固形潤滑剤に埋設された状態の円筒ころ組立体2
5が完成する[工程5]。なお、工程1と工程2とは逆
にしても、或いは交互にしても良い。また、固形潤滑剤
15,55は、上記に示した材料以外にも、他材料、処
理温度、処理方法等について、例えば、特開平9−94
893号公報に記載と同様のものを適用することができ
る。
【0031】
【発明の効果】この発明による転動体組立体及びそれを
用いた回転用転がり軸受は、上記のように構成されてお
り、次のような効果を有する。即ち、転動体組立体は、
転動体と保持器とを転動体の表面の一部が露出する状態
に固形潤滑剤によって覆って構成されているので、一対
の軌道輪が転動体組立体によって相対回転するとき、固
形潤滑剤から転動体に対して潤滑剤が次々に滲み出て転
動体の表面に付着し、転動体が回転しつつ軌道路と接触
するときに、転動体に付着された潤滑油が軌道面に供給
されて軌道面を潤滑する。従って、この転動体組立体及
びそれを用いた回転転がり軸受によれば、転動体及び軌
道面の潤滑について、既存の転動体組立体及び軸受の機
能を損なうことがなく、機器の稼働を停止させることが
なく、且つ外部から潤滑油を補給する必要がないメンテ
ナンスフリーを、簡単に、低コストで且つ長期間に渡っ
て実現することができる。また、固形潤滑剤は、特に保
持器に対して確実に付着するので、固形潤滑剤が転動体
組立体から離脱し難い構造を簡単に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による転動体組立体の一実施例を示す
断面図である。
【図2】図1に示す転動体組立体を一対の軌道輪間に組
み込んで得られた回転用転がり軸受を示す断面図であ
る。
【図3】この発明による回転用転がり軸受の別の実施例
を示す一部断面図である。
【図4】この発明による転動体組立体を多数個取りする
ための型としての容器を示す斜視図である。
【図5】図4に示す容器の断面図である。
【図6】従来の転動体と転動体を回転自在に保持する保
持器とから構成される転動体組立体の一例を示す斜視図
である。
【図7】図6に示す転動体組立体の断面図である。
【図8】図6に示す転動体組立体を用いたスラスト軸受
の一例を示す断面図である。
【図9】従来のニードル軸受の一例を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
U1 スラスト軸受 U2 ラジアル軸受 1,2,31,32 軌道輪 3,4,33,34 軌道面 8 保持器 9 円筒ころ(転動体) 9a 一部の転動面 10 保持孔 11 回転軸線 12 波形 15,55 固形潤滑剤 17,57 隙間 25 円筒ころ組立体(転動体組立体) 38 保持器 39 針状ころ(転動体) 39a 一部の転動面 60 針状ころ組立体(転動体組立体) 70 容器(治具) 71 軸部 72 中間組立体 73 セパレータ(治具) R1,R2 軌道路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J101 AA02 AA13 AA14 AA24 AA32 AA42 AA52 AA53 AA62 AA73 BA10 BA34 BA44 BA47 BA50 DA05 DA09 EA02 EA31 EA32 EA53 EA78

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の転動体と前記転動体を回転自在に
    保持する保持孔が形成された保持器とを具備し、前記転
    動体と前記保持器とは、前記転動体の一部の転動面が露
    出された状態で固形潤滑剤によって覆われていることか
    ら成る転動体組立体。
  2. 【請求項2】 前記保持器は前記保持孔を周方向に隔置
    した位置において軸方向に貫通して形成した環状体から
    構成され、前記転動体はその回転軸線を前記保持器の径
    方向に配置した状態で前記保持孔に保持されていること
    から成る請求項1に記載の転動体組立体。
  3. 【請求項3】 前記保持器は前記保持孔を周方向に隔置
    した位置において径方向に貫通して形成した筒状体から
    構成され、前記転動体はその回転軸線を前記保持器の軸
    方向に配置した状態で前記保持孔に保持されていること
    から成る請求項1に記載の転動体組立体。
  4. 【請求項4】 前記転動体は、円筒ころ、針状ころ、又
    はボールであることから成る請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の転動体組立体。
  5. 【請求項5】 前記保持器は、前記転動体の前記回転軸
    線に平行な側となる前記保持孔の周囲において、波形に
    成形されていることから成る請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の転動体組立体。
  6. 【請求項6】 前記固形潤滑剤は、潤滑油が混合された
    超高分子量のポリエチレンパウダを加熱し固形化するこ
    とにより成形されていることから成る請求項1〜5のい
    ずれか1項に記載の転動体組立体。
  7. 【請求項7】 前記固形潤滑剤は、前記転動体と前記転
    動体を回転自在に保持させた前記保持器とから成る中間
    組立体を治具に挟んだ状態で、前記潤滑油が混合された
    前記超高分子量のポリエチレンパウダに浸漬させ、前記
    中間組立体に付着した前記潤滑油と前記超高分子量のポ
    リエチレンパウダとを加熱して固形化させることにより
    成形されることから成る請求項6に記載の転動体組立
    体。
  8. 【請求項8】 複数の前記中間組立体を、一対の前記治
    具の間に並列に挟んだ状態で又は前記治具と交互に積層
    した状態で、前記潤滑油が混合された前記超高分子量の
    ポリエチレンパウダに浸漬され、多数個取りで製作され
    ることから成る請求項7に記載の転動体組立体。
  9. 【請求項9】 対向する軌道面間に軌道路を形成した一
    対の軌道輪、及び前記軌道輪を相対回転させるため前記
    軌道面間に挿入して配置された転動体組立体から成り、
    前記転動体組立体は、前記軌道路を転走可能な複数の転
    動体と前記転動体を回転自在に保持する保持孔が形成さ
    れた保持器とを備え、前記転動体と前記保持器とは前記
    転動体の前記軌道面と接触する一部の転動面が露出され
    た状態で固形潤滑剤によって覆われていることから成る
    回転用転がり軸受。
  10. 【請求項10】 前記回転用転がり軸受は、前記軌道路
    が前記両軌道輪の互いに軸方向に対向する前記軌道面に
    よって形成されており、前記保持器が前記保持孔を周方
    向に隔置した位置において軸方向に貫通して形成した環
    状体から構成され、前記転動体がその回転軸線を前記保
    持器の径方向に配置した状態で前記保持孔に保持されて
    いるスラスト軸受であることから成る請求項9に記載の
    回転用転がり軸受。
  11. 【請求項11】 前記回転用転がり軸受は、前記軌道路
    が前記両軌道輪の互いに径方向に対向する前記軌道面に
    よって形成されており、前記保持器が前記保持孔を周方
    向に隔置した位置において径方向に貫通して形成した筒
    状体から構成され、前記転動体がその回転軸線を前記保
    持器の軸方向に配置した状態で前記保持孔に保持されて
    いるラジアル軸受であることから成る請求項9に記載の
    回転用転がり軸受。
  12. 【請求項12】 前記転動体は、円筒ころ、針状ころ、
    又はボールであることから成る請求項9〜11のいずれ
    か1項に記載の回転用転がり軸受。
  13. 【請求項13】 前記保持器は、前記転動体の前記回転
    軸線に平行な側となる前記保持孔の周囲において、波形
    に成形されていることから成る請求項9〜12のいずれ
    か1項に記載の回転用転がり軸受。
  14. 【請求項14】 前記固形潤滑剤は、前記軌道輪の前記
    軌道面によって形成される隙間を実質的に塞ぐ形状に成
    形されていることから成る請求項9〜13のいずれか1
    項に記載の回転用転がり軸受。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7234873B2 (en) 2003-02-26 2007-06-26 Nippon Thompson Co., Ltd. Rolling-contact bearing containing solid lubricant therein
JP2007247827A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Jtekt Corp スラストころ軸受
WO2019138939A1 (ja) * 2018-01-10 2019-07-18 Ntn株式会社 スラストころ軸受

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