JP2021148250A - 転がり軸受用保持器および転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受用保持器および転がり軸受 Download PDF

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篤史 徳田
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Abstract

【課題】比較的簡易な構造としながら、軸受のならし運転時の発熱を抑制できる転がり軸受用保持器、および該保持器を用いた転がり軸受を提供することを目的とする。【解決手段】保持器5は、転がり軸受において複数の転動体の各々を収容する複数のポケット6を備え、軌道輪により案内され、複数のポケット6は、円環状の保持器本体に、保持器周方向に一定間隔で設けられており、ポケット6は、ポケット内面6aに保持器5の内周面5aから外周面5bまで貫通した凹溝6bを有し、凹溝6bは、少なくともポケット6の保持器周方向の両端部に形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、転がり軸受用保持器および転がり軸受に関する。
転がり軸受では通常グリース潤滑が使用される。グリース潤滑は、軸受の取り付けの際に、あらかじめグリースを所定量封入するだけで長時間使用できるため、非常に簡単であり、最も一般的な潤滑方法として広く採用されている。
グリース潤滑の転がり軸受の潤滑性を向上させるため、例えば、保持器の案内面に凹部を設けた保持器が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。これらの保持器では、その凹部に保持されたグリースによって案内すきまに油膜が形成されることで、潤滑状態の改善を図っている。
特開2007−232177号公報 特開2018−204740号公報
ところで、グリース潤滑では、グリースを封入し、軸受を主軸に組み付けた後、通常の運転をさせる前に慎重なならし運転が必要である。これは、グリースを軸受内部の全体に均一に行き渡らせるとともに、徐々にグリースを転がり接触部から排除して、不必要な抵抗がかからないようにするためである。ならし運転をせずに急に最高回転速度まで立ち上げると、軌道面および軌道面近傍の過剰グリースの撹拌抵抗により軸受内部の温度が急激に上昇し、グリースの成分に悪影響を与える場合や異常昇温により焼付きを招く場合がある。
ならし運転の方法として、例えば、(1)低速から回転を始め、軸受温度が安定したことを確認しながら、少しずつ回転速度を上げていく方法と、(2)軸受の最高回転速度付近まで数分間回し、これを2〜3回繰り返す方法がある。上記(1)の方法の場合、温度上昇によるグリースの劣化は少ないが、ならし運転の時間が長いのが欠点になる。また、(2)の方法の場合、ならし運転の時間を短縮できるが、立ち上がり時の急激な温度上昇により潤滑剤を劣化させる可能性がある。
上記特許文献1、2の保持器では、保持器の案内面に凹部を設けることでグリースを保持し、回転中の潤滑状態を改善することはできるが、ならし運転時の温度上昇を低減させる効果は期待できない。また、案内面などに凹部を加工する場合、ドリルによる穴加工が困難であったり、射出成形で保持器を作製する場合、凹部の部分の型がうまく離型できず(例えば、射出成形体が型から抜きづらい)、成形型の構造が複雑になるおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、比較的簡易な構造としながら、軸受のならし運転時の発熱を抑制できる転がり軸受用保持器、および該保持器を用いた転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受用保持器は、転がり軸受において複数の転動体の各々を収容する複数のポケットを備え、軌道輪により案内される転がり軸受用保持器であって、上記複数のポケットは、円環状の保持器本体に、保持器周方向に一定間隔で設けられており、上記ポケットは、そのポケット内面に上記保持器の内周面から外周面まで貫通した凹溝を有し、該凹溝は、少なくとも上記ポケットの保持器周方向の両端部に形成されていることを特徴とする。
上記凹溝が、曲率半径0.05mm〜0.8mmの円弧溝であることを特徴とする。
上記ポケットにおいて、上記凹溝が形成されていないと仮定した場合のポケット内面の全体の面積に対する、上記凹溝の合計面積の割合が20%〜70%であることを特徴とする。
上記転がり軸受用保持器は、合成樹脂製であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、上記転動体の周囲に充填されたグリースと、上記転動体を保持する保持器とを備える転がり軸受であって、上記保持器が本発明の転がり軸受用保持器であることを特徴とする。
上記転がり軸受は、5000min−1以上の回転速度でならし運転が実施される軸受であることを特徴とする。
本発明の転がり軸受用保持器は、軌道輪により案内される保持器であり、複数のポケットが円環状の保持器本体に、保持器周方向に一定間隔で設けられており、ポケットが、そのポケット内面に保持器の内周面から外周面まで貫通した凹溝を有するので、ならし運転時において軸受の内輪側にあったグリースを凹溝を介して外輪側に排出させることができ、グリースによる粘性抵抗を低下させることができる。また、凹溝は、少なくともポケットの保持器周方向の両端部に形成されているので、回転時に転動体が保持器周方向の一方の端部に寄った場合でも外輪側へのグリースの排出をスムーズに行なうことができる。これにより、ならし運転時の発熱を抑制することができる。
本発明の転がり軸受は、内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、転動体の周囲に充填されたグリースと、転動体を保持する上記本発明の保持器を備えてなるので、ならし運転時における外輪の温度上昇を抑制することができる。これにより、グリースの発熱自体が抑えられ、グリースの劣化を抑えることができるとともに、ならし運転時間を短縮することもできる。また、凹溝にグリースが入ることで、回転時において保持器と転動体の間で潤滑切れの発生を抑えることができる。
本発明の転がり軸受の一例を示す軸方向断面図である。 本発明の転がり軸受用保持器の一例を示す斜視図などである。 凹溝の断面形状を示す図である。 本発明の転がり軸受用保持器の他の例の展開した平面図である。 本発明の転がり軸受を用いたスピンドル装置を示す断面図である。 回転速度と外輪の温度上昇との関係を示す図である。
本発明の転がり軸受を図1に基づいて説明する。図1は、本発明の転がり軸受の一例であるアンギュラ玉軸受の軸方向断面図である。図1に示すように、アンギュラ玉軸受1は、内輪2と、外輪3と、内輪2と外輪3との間に介在する複数の玉4と、この玉4を周方向に一定間隔で保持する保持器5とを備えている。保持器5が、本発明の転がり軸受用保持器である。内輪2および外輪3と、玉4とは径方向中心線に対して所定の角度θ(接触角)を有して接触しており、ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を負荷できる。玉4の周囲にはグリースが充填されており、アンギュラ玉軸受1はグリース潤滑で潤滑がなされる。
グリースを構成する基油としては、鉱油や合成油など、通常、転がり軸受に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。また、グリースを構成する増ちょう剤としても、金属石けんやウレア化合物など、通常、転がり軸受に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。なお、本発明の転がり軸受は、後述するように、ならし運転時の軸受温度の上昇を抑制できるため、耐熱温度が比較的低い鉱油やジエステル油などの基油なども使用することができる。
図1において、保持器5は外輪案内方式の保持器であり、該保持器の外周面の一部に外輪3に案内される外輪案内部を有している。図1の構成では、外輪案内部が外輪3の内周面と接触することで、保持器5が外輪3に案内される。なお、保持器の案内方式は、外輪案内方式に限らず、内輪案内方式でもよい。
保持器について、図2に基づいて説明する。図2(a)は、保持器5の一部斜視図であり、図2(b)はA部分を平面上に展開した図である。図2(a)に示すように、保持器5は、もみ抜き型の保持器であり、円環状の保持器本体に転動体である玉を保持するポケット6が周方向に一定間隔で複数設けられている。複数のポケット6のそれぞれは、保持器5の外周面5aおよび内周面5bに開口している。また、各ポケット6は、そのポケット内面6aに、外周面5aから内周面5bまで貫通した凹溝6bを2本ずつ有している。
なお、保持器5の外周面5aまたは内周面5bには、グリース溜まりとなる凹部を形成してもよいが、構造の簡素化の観点から、図2(a)に示すように、凹部は形成しない方が好ましい。
図2(b)の展開図において、上下方向が保持器周方向であり、左右方向が保持器軸方向である。図2(b)に示すように、ポケット6の凹溝6bを除く部分は、ポケット径dの円形状である。ポケット径dは、例えば3mm〜20mmである。ポケット6において、保持器周方向の両端部には凹溝6bが形成されている。ポケット6における2つの凹溝6bは、保持器周方向に平行なポケット中心線X上にそれぞれ位置しており、ポケット周方向で等間隔の位置に形成されている。また、隣接するポケット間において、各ポケットの凹溝6bは互いに連通していない。凹溝6bの断面形状を図3(a)に示す。
図3(a)に示すように、凹溝6bは断面円弧状の円弧溝である。また、凹溝6bを設けたことで生じる凹溝6bの縁部6cには面取りが施されていてもよい。円弧溝の曲率半径rは0.05mm〜0.8mmであることが好ましく、0.2mm〜0.7mmであることがより好ましい。曲率半径rを0.2mm〜0.7mmの範囲内にすることで、溝幅をある程度確保することができ、グリースを円滑に通過させることができる。また、曲率半径rは、ポケット径dの1/50〜1/10倍であることが好ましく、1/30〜1/20倍であることがより好ましい。
また、凹溝6bにおいて、円弧溝の曲率半径rは、保持器の内周面から外周面にかけて一定でもよく、異なるようにしてもよい。例えば、保持器の内周面側から外周面側にグリースを円滑に通過させるため、内周面から外周面にかけて、曲率半径rが連続的にまたは段階的に小さくなるように形成してもよい。さらに、この場合、曲率半径rを0.2mm〜0.7mmの範囲内で変化させることが好ましい。
なお、ポケットの凹溝の形状は、グリースを通過させるものであれば、形状は特に限定されず、例えば、断面矩形の角溝(図3(b))や、断面三角形の三角溝(図3(c))、アリ溝(図3(d))などを採用できる。これらの溝の溝幅や溝深さは、適宜設定でき、保持器の内周面から外周面にかけて一定でもよく、異なるようにしてもよい。なお、射出成形時の無理抜きを考慮すると、円弧溝や、角溝、三角溝が好ましい。
本発明の転がり軸受用保持器の他の例を図4に示す。図4(a)、(b)は、保持器の外周面を平面上に展開した図であり、各図において、上下方向が保持器周方向であり、左右方向が保持器の軸方向である。図4(a)、(b)の保持器はいずれももみ抜き型の保持器であり、上述の保持器5に比べて、ポケットに更に多くの凹溝が形成されている。
図4(a)の保持器7は、円環状の保持器本体に転動体である玉を保持するポケット8が保持器周方向に一定間隔で複数設けられている。ポケット8では、保持器周方向の両端部の凹溝8bに加えて、それら両端部の凹溝8bから、ポケット中心Oを中心にしてそれぞれポケット周方向の両方向に等角度(例えば20°)ずつずれた位置に凹溝8bが形成されている。保持器7において、ポケット8は保持器周方向の両側に5本ずつ凹溝8bを有し、合計で10本の凹溝8bを有している。これら10本の凹溝8bは、ポケット周方向で等間隔になっておらず、保持器7では、保持器軸方向の両側の部分には凹溝が形成されていない。なお、保持器軸方向の両側の部分とは、例えば、ポケットの保持器軸方向の両端部Pを中央として該中央からポケット周方向に30°の範囲内の部分をいう。
図4(b)の保持器9は、円環状の保持器本体に転動体である玉を保持するポケット10が保持器周方向に一定間隔で複数設けられている。ポケット10では、保持器周方向の両端部の凹溝10bに加えて、それら両端部の凹溝10bから、ポケット中心Oを中心にしてそれぞれポケット周方向の両方向に等角度(例えば20°)ずつずれた位置に凹溝10bが形成されており、ポケット周方向の全域に凹溝10bが形成されている。保持器9において、ポケット10は、合計で18本の凹溝10bを有している。これら18本の凹溝10bは、ポケット周方向で等間隔に形成されている。
図4(a)、(b)では、凹溝として円弧溝を示している。円弧溝の曲率半径rの好ましい範囲は上述のとおりである。この円弧溝以外にも、図3で示すような各形状の溝を採用できる。また、図4(a)、(b)に示す各ポケットの平面形状は、ポケット中心線Xに対して線対称である。
図4(a)、(b)に示すような保持器周方向の両端部以外にも凹溝が形成される構成では、保持器周方向の両端部に形成される凹溝と、それ以外の位置に形成される凹溝とで溝の形状や大きさを異なるようにしてもよい。例えば、図4(a)の場合、保持器周方向の両端部に形成される凹溝8bの曲率半径rよりも、保持器周方向の両端部以外の位置に形成される凹溝8bの曲率半径rの方が小さくなるようにしてもよい。
本発明の転がり軸受用保持器は、ポケットにおいて、凹溝が形成されていないと仮定した場合のポケット内面の全体の面積に対する、凹溝の合計面積の割合(以下、凹溝率ともいう)が20%〜90%であることが好ましい。凹溝率は、以下の式(1)で算出できる。
凹溝率(%)=(凹溝の合計面積/凹溝が形成されていないと仮定した場合のポケット内面の全体の面積)×100・・・(1)
凹溝率を上記範囲にすることで、保持器の強度やウエルド強度を確保しつつ、グリースの移動を円滑に行うことができる。なお、凹溝の合計面積は、ポケットに形成された全ての凹溝の面積の和であり、例えば、図4(a)では10本の凹溝の合計面積である。また、凹溝が形成されていないと仮定した場合のポケット内面の全体の面積は、仮想ポケットC(図2参照)のポケット内面の全体の面積である。凹溝率は、20%〜70%であることがより好ましく、20%〜50%であることがさらに好ましい。
本発明の転がり軸受用保持器は合成樹脂製であることが好ましい。樹脂材としては、射出成形が可能であり、保持器材料として十分な耐熱性や機械的強度を有するものであれば、任意のものを使用できる。例えば、ポリアミド(PA)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂などを樹脂母材とし、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、他の添加剤を配合した樹脂組成物を使用できる。
グリースの封入量は、所望の潤滑特性を確保できる範囲であれば特に限定されないが、軸受内空間における静止空間体積の5%〜50%(体積比率)程度とすることが好ましい。ここで、静止空間体積とは、内輪と外輪とシール部材の空間体積における軸受回転時に転動体および保持器が通過しない空間の体積である。本発明によれば、グリース封入量を低減しても、ならし運転を円滑に行なうことができ、撹拌によるトルク低減が図れるとともに、グリース漏れの少ない転がり軸受が得られる。
本発明の転がり軸受は、上記の凹溝が形成された転がり軸受用保持器を備えるので、ならし運転時においてもグリースが内輪側から外輪側に円滑に排出され、グリースによる粘性抵抗が低下することで、外輪の温度上昇を抑制することができる。本発明の転がり軸受のならし運転の方法は、(1)低速から回転を始め、軸受温度が安定したことを確認しながら、少しずつ(例えば2000min−1ずつ)回転速度を上げていく方法と、(2)軸受の最高回転速度付近まで数分間回し、これを2〜3回繰り返す方法のいずれの方法も適用できる。ただし、本発明の転がり軸受は、ならし運転の時間を短縮可能であることから、温度上昇によるグリースの劣化が少ない上記(1)の方法が好ましい。
また、本発明の転がり軸受は、5000min−1以上の回転速度でならし運転が実施される軸受であることが好ましく、6000min−1以上の回転速度でならし運転が実施される軸受であることがより好ましい。後述の実施例で示すように、本発明に係る転がり軸受は、回転速度6000min−1においても顕著に外輪の温度上昇を抑制できるため、ならし運転で高回転速度まで回転させる軸受に好適である。このような軸受としては、高速回転用途の転がり軸受があり、具体的には、工作機械主軸用スピンドル装置に適用される軸受などが挙げられる。
図5は、図1のアンギュラ玉軸受を用いた工作機械主軸用スピンドル装置の例である。図5に示すように、スピンドル装置11は、フロント側に2列のアンギュラ玉軸受1、リア側に単列の円筒ころ軸受15を有しており、中央部に配置された、ステータ13およびロータ14を備えるビルトインモータ12で駆動する高速仕様となっている。ビルトインモータ12で駆動される回転軸は、アンギュラ玉軸受1および円筒ころ軸受15で支持されている。円筒ころ軸受15は内輪16と、外輪17と、円筒ころ18と、保持器19とで構成される。保持器19は、例えば合成樹脂製である。なお、リア側の円筒ころ軸受15は2列の構成でもあってもよい。
本発明に係る構成は、上記の形態に限らない。例えば、図1では、本発明の転がり軸受としてアンギュラ玉軸受を例に説明したが、本発明を適用できる軸受形式はこれに限定されず、他の玉軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受などにも適用できる。
本発明に係るアンギュラ玉軸受の有効性を確認するために、アンギュラ玉軸受の回転試験を行った。
実施例1〜3、比較例
軸受には、内径70mmのアンギュラ玉軸受(型名HSE014)を用いた。樹脂材料を用いて、実施例1〜3および比較例の保持器を射出成形により作製した。保持器は、外輪案内方式の保持器とした。保持器の各寸法は、内径φ88mm、外径φ95mm、ポケット径9mmである。実施例1〜3の保持器のポケットの形状は、18本の凹溝がポケット周方向に等間隔に形成された図4(b)の形状であり、各凹溝の曲率半径および凹溝率は表1に示すとおりである。なお、比較例の保持器には、凹溝が形成されていない、通常の保持器を用いた。これらの保持器をアンギュラ玉軸受に組み込んで、グリースを封入し、軸方向両側にシール部材を設けて密封した試験用軸受を得た。
得られた試験用軸受を、図5に示される工作機械主軸用スピンドル装置11のアンギュラ玉軸受1として適用した。なお、円筒ころ軸受15は2列の構成を用いた。スピンドル装置11の組み立てに際し、試験用軸受には定圧予圧により予圧が与えられた。
試験用軸受の潤滑方式はグリース潤滑とした。回転試験では、0〜8000min−1までのならし運転を実施し、その際の外輪温度を測定した。具体的には、回転速度を2000min−1、4000min−1、6000min−1、8000min−1でそれぞれ2時間ずつ回転させた。各回転速度における外輪温度は、その回転速度に上げた直後に急上昇し、その後、時間経過とともに低下し、ある温度で安定する。このような推移を各回転速度で繰り返していく。図6には、回転速度と外輪の温度上昇の結果を示す。温度上昇の結果は、その回転速度での最高温度を示した。また、外輪の温度上昇の評価では、比較例に対して、温度上昇時に温度低下が確認されたものを「○」とした。結果を表1に示す。
Figure 2021148250
まず、比較例の軸受では、図6に示すように、回転速度6000min−1で外輪の温度上昇が大きくなっている。一方で、その後の回転速度8000min−1では、外輪の温度上昇が回転速度6000min−1に比べて抑えられている。この結果は、回転速度6000min−1でなじみが完了したことを示している。そのため、この試験では、特に回転速度6000min−1における顕著な温度上昇を抑制してなじみを完了させることが、グリースの劣化を防ぐためにも重要になる。
図6に示すように、実施例1〜3の軸受では、比較例の軸受よりも全ての回転速度域で温度上昇の低下が確認された。特に、回転速度6000min−1では、比較例に比べて温度上昇を顕著に低下させることができた。また、凹溝の曲率半径0.5mmで、凹溝率50%の保持器を用いた実施例2の軸受は、比較例の軸受に対して、回転速度6000min−1での外輪温度の上昇が約5℃低下した。
図6の結果より、特に、実施例1および実施例2の軸受では、回転速度6000min−1でグラフが極大になっておらず、過度な温度上昇を発生させずに、ならし運転が実現できている。
このように、本発明の転がり軸受によれば、案内方式が外輪案内または内輪案内である保持器において、ならし運転時に軸受の内輪側にあったグリースが凹溝を通って外輪側に排出されることで、グリースによる粘性抵抗を低下させ、外輪の温度上昇を抑制することができる。これにより、グリースの発熱自体が低下することで、グリースの劣化を抑えることができると同時に、ならし運転時間を短縮することもできる。また、凹溝にグリースが入ることで、回転時において保持器と転動体の間で潤滑切れの発生を抑えることができる。
本発明の転がり軸受用保持器は、比較的簡易な構造としながら、転がり軸受のならし運転時の発熱を抑制できるので、種々の用途における転がり軸受用の保持器として広く利用できる。特に、高回転速度域でならし運転が行われる、高速回転条件下で使用される転がり軸受の保持器として好適に利用できる。具体的には、工作機械主軸用スピンドル装置の転がり軸受として好適である。
1 アンギュラ玉軸受(転がり軸受)
2 内輪
3 外輪
4 玉
5 保持器
6 ポケット
7 保持器
8 ポケット
9 保持器
10 ポケット
11 スピンドル装置
12 ビルトインモータ
13 ステータ
14 ロータ
15 円筒ころ軸受
16 内輪
17 外輪
18 円筒ころ
19 保持器

Claims (6)

  1. 転がり軸受において複数の転動体の各々を収容する複数のポケットを備え、軌道輪により案内される転がり軸受用保持器であって、
    前記複数のポケットは、円環状の保持器本体に、保持器周方向に一定間隔で設けられており、
    前記ポケットは、該ポケット内面に前記保持器の内周面から外周面まで貫通した凹溝を有し、該凹溝は、少なくとも前記ポケットの保持器周方向の両端部に形成されていることを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 前記凹溝が、曲率半径0.05mm〜0.8mmの円弧溝であることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受用保持器。
  3. 前記ポケットにおいて、前記凹溝が形成されていないと仮定した場合のポケット内面の全体の面積に対する、前記凹溝の合計面積の割合が20%〜70%であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転がり軸受用保持器。
  4. 前記転がり軸受用保持器が合成樹脂製であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の転がり軸受用保持器。
  5. 内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、前記転動体の周囲に充填されたグリースと、前記転動体を保持する保持器とを備える転がり軸受であって、
    前記保持器が請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の転がり軸受用保持器であることを特徴とする転がり軸受。
  6. 前記転がり軸受は、5000min−1以上の回転速度でならし運転が実施される軸受であることを特徴とする請求項5記載の転がり軸受。
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