JPH11336772A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受

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JPH11336772A
JPH11336772A JP10144095A JP14409598A JPH11336772A JP H11336772 A JPH11336772 A JP H11336772A JP 10144095 A JP10144095 A JP 10144095A JP 14409598 A JP14409598 A JP 14409598A JP H11336772 A JPH11336772 A JP H11336772A
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JP
Japan
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groove
needle
lubricant
shaft
bearing
Prior art date
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JP10144095A
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English (en)
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Takanobu Sato
高信 佐藤
Makoto Goino
良 五位野
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • F16C33/00Parts of bearings; Special methods for making bearings or parts thereof
    • F16C33/30Parts of ball or roller bearings
    • F16C33/66Special parts or details in view of lubrication
    • F16C33/6637Special parts or details in view of lubrication with liquid lubricant
    • F16C33/6681Details of distribution or circulation inside the bearing, e.g. grooves on the cage or passages in the rolling elements
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
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    • F16C19/22Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing rollers essentially of the same size in one or more circular rows, e.g. needle bearings
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16C2300/02General use or purpose, i.e. no use, purpose, special adaptation or modification indicated or a wide variety of uses mentioned

Abstract

(57)【要約】 【課題】軌道面における潤滑剤からなる油膜ぎれを抑制
して、寿命の低下を抑制できる転がり軸受を提供するこ
とにある。 【解決手段】転がり軸受としてのニードル軸受1は固定
体としてのシャフト2と回転体としての外輪3と転動体
としてのニードル4とを備えている。シャフト2は断面
形が円形に形成されている。外輪3はシャフト2の外径
より大きな内径を有する円環状に形成されている。ニー
ドル4はシャフト2と外輪3との間に転動自在に設けら
れている。ニードル4はシャフト2の軌道面2bと外輪
3の軌道面3b上を転動する。ニードル4は負荷圏にお
いて外部装置などからの荷重によってラジアル荷重が作
用し非負荷圏においてはラジアル荷重が作用しない。シ
ャフト2の軌道面2bには負荷圏と非負荷圏との境の近
傍において非負荷圏から負荷圏とに亘って凹溝5が設け
られている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、電気・情
報・鉄鋼などの産業分野に用いられる各種機械や、各種
の工作機械、産業機械などに用いられる転がり軸受に関
する。
【0002】
【従来の技術】自動車、電気・情報・鉄鋼などの産業の
分野に用いられる各種機械や、各種の工作機械、産業機
械などに用いられる転がり軸受としての、エンジンタペ
ットやオートマチックトランスミッションなどに用いら
れるニードル軸受は、固定体としてのシャフトと、回転
体としての外輪と、転動体としてのニードルと、を備え
ている。また、ニードル軸受は、前記ニードルを前記シ
ャフトと外輪との間に保持する保持器を有していないと
ともに、前記シャフトと外輪との間には潤滑剤が充填さ
れている。
【0003】この潤滑剤は、シャフト及び外輪と、ニー
ドルとが互いに接触する部分において、金属同士の接触
を防止し、これらの摩擦および摩耗を抑制するように、
前記回転体としての外輪の回転などによって、前記シャ
フトと外輪との間などを周方向に沿って流れて循環して
いる。
【0004】前記潤滑剤は、前述したように回転体とし
ての外輪の回転などによって循環する際に、前記シャフ
ト及び外輪それぞれのニードルとの接触する面(軌道
面)と、前記ニードルの周面などの表面と、に弾性流体
潤滑油膜を形成する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記ニードル軸受は、
比較的小さな寸法に形成されているとともに、大きな負
荷容量を有している。ニードル軸受は、小型化によっ
て、回転体としての外輪の周方向に沿った速度が減少す
ることとなって、前記弾性流体潤滑油膜が前記シャフト
及び外輪それぞれの軌道面と、前記ニードルの周面と
に、必ずしも十分には形成されなくなる。
【0006】このため、前記ニードル軸受は、前記シャ
フト及び外輪それぞれの軌道面と、ニードルの周面と
に、潤滑剤の枯渇による潤滑不良時特有のピーリングと
よばれる表面損傷が発生するとともに、このピーリング
がうろこ状にはがれる所謂フレーキングに成長して、軸
受の寿命の低下をもたらすこととなる。
【0007】また、比較的大型でかつ内輪と外輪とこれ
ら内外輪の間に転動自在に設けられた転動体とを備えた
転がり軸受は、その寸法の大型化などによって、前記回
転体の周方向に沿った速度が増加することとなって、遠
心力によって潤滑剤が飛散したり軸受自体の発熱によっ
て潤滑剤の粘度が低下するなどして、前記軌道面と転動
体との間に前述した弾性流体潤滑油膜が十分に形成され
なくなることがあった。
【0008】さらに、前記転がり軸受は、組付られた外
部装置などから作用する荷重によって生じるラジアル荷
重を前記転動体が受ける範囲としての負荷圏と、転動体
が前述したラジアル荷重を受けない非負荷圏と、の境の
近傍において、潤滑剤が枯渇したりして油膜ぎれの状態
となったり、前記転動体と軌道面との間ですべりが生じ
たりするなどして、部分的な発熱による微小な凝着所謂
スミアリングが生じることがあった。このスミアリング
が生じると、軸受の寿命の低下をもたらすこととなる。
【0009】さらに、中型または大型の電動機(モー
タ)などに用いられる軸受は、前述した負荷圏と非負荷
圏との境の近傍において、潤滑剤が枯渇したりして油膜
ぎれの状態となったり、前記転動体と軌道面との間です
べりが生じたりすることがあった。このため、前記軸受
は、きしり音を発生させたり前述したスミアリングが生
じることがあった。従って、本発明の目的は、軌道面に
おける潤滑剤の油膜ぎれを抑制して、寿命の低下を抑制
できる転がり軸受を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明の転がり軸受は、固定体と、回
転体と、これら固定体と回転体との間に転動自在に設け
られた転動体とを備えた転がり軸受において、前記固定
体の前記転動体が転動する軌道面の少なくとも前記転動
体に荷重が作用する負荷圏と前記荷重が作用しない非負
荷圏との境の近傍において、前記非負荷圏から負荷圏と
に亘って、前記軌道面の表面から凹に形成された凹溝を
設けたことを特徴としている。
【0011】前記転がり軸受は、潤滑剤が固定体の軌道
面の少なくとも負荷圏と非負荷圏との境の近傍において
前記非負荷圏と負荷圏とに亘って形成された凹溝に沿っ
て流れるとともに、この凹溝に保持されることとなる。
【0012】前記凹溝に沿って流れかつ前記凹溝に保持
されるので、潤滑剤が、前記固定体及び回転体と転動体
とが互いに接する軌道面と、転動体の表面との間に送り
込まれることとなって、前記軌道面と転動体との油膜ぎ
れ状態での接触が抑制される。
【0013】さらに、前記固定体の軌道面に前記凹溝を
設けたので、前記この軌道面における転動体との接触面
圧が増大して、前記転動体が軌道面上を滑ることなく確
実に転動することとなる。
【0014】また、前記凹溝は、回転体の回転によって
生じる潤滑剤の流れを付勢する所謂ポンピング作用を生
じる方向に沿って形成されるのが望ましい。この場合、
前記潤滑剤をより付勢することとなって、潤滑剤が前記
固定体及び回転体それぞれの軌道面と、転動体の表面と
の間に送り込まれることとなって、前記軌道面と転動体
との油膜ぎれ状態での接触がより抑制される。
【0015】さらに、前記転がり軸受において、前記固
定体に、前記凹溝が設けられた位置を識別自在とする識
別部を設けるのが望ましい。この場合、前記転がり軸受
を外部装置などに組み付ける際に、前記凹溝を前記外部
装置から加わる荷重によって生じる前記負荷圏と非負荷
圏とに亘る所望の位置に位置させた状態で、容易に組み
付けることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第1の実施形態に
ついて図1ないし図7を参照して説明する。図1ないし
図3に示す転がり軸受としてのニードル軸受1は、自動
車などのエンジンのエンジンタペットなどに用いられる
軸受であって、エンジンタペットなどの外部装置のハウ
ジング13(図3に示す)に取付けられるようになって
いる。
【0017】ニードル軸受1は、軌道輪としてのシャフ
ト2と外輪3と転動体としてのニードル4とを備えてい
る。シャフト2は断面が円形に形成されているととも
に、本明細書に記した固定体をなしている。
【0018】外輪3は、前記シャフト2の外径より大き
な内径を有する円環状に形成されているとともに、前記
シャフト2などの軸線P回りに正逆方向に回動自在とな
っている。外輪3は本明細書に記した回転体をなしてい
る。
【0019】転動体としてのニードル4は、針状に形成
されておりかつシャフト2の外周面2aと外輪3の内周
面3aに接した状態で前記シャフト2と外輪3との間に
複数転動自在に設けられている。ニードル4は、前記シ
ャフト2と外輪3と間の相対的な回転を、互いに外輪3
及びシャフト2に伝えないようになっている。
【0020】前記シャフト2および外輪3のそれぞれの
前記外周面2a及び前記内周面3aにおいて、前記ニー
ドル4が対向しかつニードル4が接して転動する部分は
軌道面2b,3bをなしている。これらの軌道面2b,
3bは、前記外輪3が軸線P回りに正逆方向に回動する
際に前記ニードル4が転がるようになっている。また、
前記シャフト2と外輪3との間には、グリースなどの潤
滑剤が充填されている。
【0021】シャフト2の軌道面2b及び外輪3の軌道
面3bとの間に設けられたニードル4には、前記ニード
ル軸受1がエンジンタペットなどに組み付けられた際
に、このエンジンタペットなどの外部装置から作用する
荷重によって、内部応力としてのラジアル荷重が作用す
る。
【0022】図示例においてラジアル荷重は、図2に示
すように、このラジアル荷重が最大となる最大負荷圏位
置MRと軸線Pとを結んだ線分Lに対し、最大負荷圏位
置MRを中心として、例えば±70度(degree)などの
第1の所定角度θ1以下の図示中の領域R1(以下負荷
圏とよぶ)の範囲内に生じている。
【0023】また、前記第1の所定角度θ1より前記線
分Lとのなす角度が大きな図示中の領域R2の範囲内
は、前記ラジアル荷重がニードル4に作用しない非負荷
圏となっている。なお、図示例において、前記線分Lに
対する角度において、前記軸線Pを中心として時計回り
の方向をプラスとし、時計と逆回りの方向をマイナスと
している。
【0024】前記固定体としてのシャフト2の軌道面2
bの少なくとも前記負荷圏R1と前記非負荷圏R2との
境MKとの近傍において、前記非負荷圏R2から負荷圏
R1とに亘って、前記軌道面2bの表面から凹に形成さ
れた図3及び図4に示す凹溝5が設けられている。
【0025】図示例において、前記凹溝5は、前記軸線
Pを中心として前記線分Lに対し例えば±40度などの
第2の所定角度θ2を有する位置(図2及び図3中二点
鎖線Q1で示す)から、前記軸線Pを中心として前記線
分Lに対して例えば±80度などの第3の所定角度θ3
を有する位置(図2及び図3中二点鎖線Q2で示す)ま
での範囲に設けられている。
【0026】前記凹溝5は、図4に示すように、前記軸
線Pとの間に例えば45度などの傾きφ1を有して形成
された第1の溝6と、前記軸線Pに対する前記第1の凹
溝6の傾きφ1に対し逆向きの傾きφ2を有して形成さ
れた第2の溝7と、を備えている。
【0027】これらの溝6,7は、前記軌道面2b上に
おいて互いにまじわらないように、互いに間隔を有して
設けられており、前記軌道面2bの中央部に向って延長
すると、図3及び図4中の点線で示すように互いに交わ
ってV字状の所謂ヘリングボーン溝となる位置に設けら
れている。
【0028】また、これらの溝6,7は、前述したよう
に所謂ヘリングボーン溝となると、このヘリングボーン
溝の鋭部が前記最大負荷圏位置MRに相対するように設
けられている。
【0029】このように、前記凹溝5は負荷圏R1と非
負荷圏R2との境界MKと軸線Pとのなす線分(図2中
一点鎖線Sで示す)から、前記軸線Pを中心として前記
非負荷圏R2側に10度傾いた範囲に設けられている。
【0030】このことは、前記凹溝5が、この10度よ
り前記非負荷圏R2側に傾いた範囲に設けられても、前
記ニードル4と軌道面2bとの間の隙間が大きいため、
前記潤滑剤が前記軸線p方向に逃げてしまい、後述する
ように前記軌道面2bとニードル4との間に保持できな
いためである。
【0031】また、前記凹溝5は、前記負荷圏R1にお
いて、前記軸線Pを中心として前記線分Lに対し40度
以上傾いた範囲に設けられている。このことは、前記凹
溝5が、この40度傾いた位置より前記最大負荷圏位置
MR側に設けられると、前述したラジアル荷重などによ
って、前記ニードル4と軌道面2bとの接触面圧が上昇
するためである。
【0032】また、前記シャフト2の端面8には、前記
凹溝5の位置を識別するための識別部としての印9が設
けられている。この印9によって、前記ニードル軸受1
をエンジンタペットなどの外部装置に取付ける際に、前
記最大負荷圏位置MRを前記外部装置などからの荷重に
よって生じるラジアル荷重が最大となる位置つまり前記
凹溝5を前記負荷圏R1と非負荷圏R2とに亘る所望の
位置に位置させた状態で、容易に取付けることができ
る。このように、前記識別部としての印9によって、外
部装置への取付け時の前記凹溝5および負荷圏R1の位
置を容易に識別することができる。
【0033】また、図示例においては、前記外輪3が前
記軸線P回りに正逆方向に回動する場合を示している
が、前記外輪3が一方向のみに回動する場合には、前記
凹溝5は、少なくとも前記最大負荷圏位置MRの外輪3
の回動方向の上流側に設ければ良い。
【0034】また、前述したラジアル荷重がそれ程大き
くならない場合には、前記凹溝5を前記負荷圏R1の全
域に亘って設けてもよく、前記シャフト2の軌道面2b
の全周に亘って設けてもよい。
【0035】これらの場合は、前記ニードル4と軌道面
2bとの互いの接触面圧の増加による軸受1の寿命の低
下を抑制するために、前記溝6,7のそれぞれの幅を、
互いに平行な第1の溝6,6の相互の間隔及び第2の溝
7,7の相互の間隔より狭く形成するとともに、溝6,
7の深さを前記ラジアル荷重などによって前記軸受1が
弾性的に変形する際に前記ニードル4と軌道面2bとが
互い接近する弾性接近量より浅く形成するのが望まし
い。
【0036】例えば2.5GPaなどの所定の面圧より
大きな面圧を生じる荷重が作用する場合には、前記溝
6,7の深さを前記弾性接近量より浅い例えば30μm
などの所定深さ以下に形成して、前記凹溝5の底面など
も前記ラジアル荷重を支持するようにするのが望まし
い。
【0037】また、前述した図示例における凹溝5は、
前記軸線Pとの傾きφ1,φ2が互いに逆向きの第1及
び第2の溝6,7を備えて構成されているが、この凹溝
5として、図3中に点線などに示すように第1の溝6と
第2の溝7とが互いに交わって形成された所謂ヘリング
ボーン溝5aや、図5に示すように前記軸線Pとのなす
角度が45度などの略一定の第4の所定角度θ4に形成
されかつ互いに平行な複数の溝10aからなるスパイラ
ル溝10や、図6に示すように前記軌道面2bにおいて
前記第1及び第2の溝6,7を互いに交差させて形成し
た所謂交差溝11や、図7に示すように前記軸線Pに沿
って互いに平行に形成された複数の溝12aからなる平
行溝12などを用いてもよい。
【0038】また、前記凹溝5,5a,10,11,1
2などの位置を識別するための識別部として、前述した
印9の他に前記シャフト2及び外輪3などに形成された
切欠や、シャフト2と外輪3などが外部装置などのハウ
ジング13に取付けられる際の嵌め合い表示や、前記潤
滑剤をシャフト2と外輪3との間に供給する際などに用
いられる給油穴などを用いてもよい。
【0039】前述した構成によれば、外輪3が前記軸線
Pまわりに回転すると、転動体としてのニードル4は、
前記シャフト2の外周面2aの軌道面2b上を転がりな
がら、前記シャフト2の周方向に沿って回転することと
なる。
【0040】そして、前記シャフト2と外輪3との間に
充填された潤滑剤は、前記負荷圏R1と非負荷圏R2と
の境MKの近傍において前記非負荷圏R2から前記負荷
圏R1とに亘って形成された凹溝5に沿って流れること
となる。このため、前記非負荷圏R2から負荷圏R1と
に亘って前記潤滑剤が付勢されて流れることとなって、
特に前記負荷圏R1における軌道面2bとニードル4と
の間に送り込まれることとなる。
【0041】さらに、前記凹溝5が、潤滑剤にさらに遠
心力などが作用しても、この潤滑剤を前記非負荷圏R2
と負荷圏R1とに亘って前記軌道面2bとニードル4と
の間に保持しておくこととなる。
【0042】したがって、特に、負荷圏R1において前
記シャフト2の軌道面2b及び外輪3の軌道面3bとニ
ードル4との間に常に潤滑剤が存在することとなって、
油膜ぎれ状態で、前記軌道面2b,3bとニードル4と
が互いに接触することが抑制される。
【0043】したがって、転がり軸受としてのニードル
軸受1のスミアリングやピーリングやフレーキング及び
きしり音などの発生を抑制でき、寿命の低下を抑制する
ことができる。
【0044】さらに、前記非負荷圏R2と負荷圏R1と
に亘って凹溝5が設けられているので、この非負荷圏R
2と負荷圏R1とに亘って、前記ニードル4と軌道面2
bとの互いの接触面圧が上昇することとなる。このた
め、ニードル4が、前記軌道面2b上をすべることなく
確実に転動することとなる。このため、スミアリングや
きしり音などをより確実に抑制することができる。
【0045】また、オートマチックトランスミッション
などには、前記ニードル軸受1を互いに同軸的に複数配
した副列ニードル軸受を用いている。この副列ニードル
軸受も前記ニードル軸受1と同様に、固定体の軌道面に
前記凹溝5,5a,10,11,12を設けている。こ
の副列ニードル軸受は、前述した凹溝5,5a,10,
11,12の潤滑剤の流れの付勢効果と保持作用とによ
って、寿命の低下を抑制できる。
【0046】さらに、前述した実施形態においては、シ
ャフト2を固定体としているが、外輪3を固定体として
用いる場合、この外輪3の軌道面3bに前述した凹溝
5,5a,10,11,12を設けることによって、寿
命の低下を抑制できるのはいうまでもない。
【0047】図8は、第2の実施形態を示し、前記第1
の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を
省略する。図8に示す転がり軸受としての円筒ころ軸受
21は、電動機などに用いられる軸受である。前記円筒
ころ軸受21は、回転体としての内輪22と、固定体と
しての外輪23と、前記内外輪22,23の間に転動自
在に設けられた転動体としての円筒ころ24と、前記円
筒ころ24を前記内外輪22,23の間に保持する保持
器25とを備えている。
【0048】この円筒ころ軸受21は、固定体としての
外輪23の内周面23aにおいて、円筒ころ24が転動
する軌道面23bの前記最大負荷圏位置MR及びこの最
大負荷圏位置MRの近傍を避けた位置に、前記第1及び
第2の溝6,7を備えた凹溝としての交差溝11を設け
ている。
【0049】前記交差溝11は、軸線Pと最大負荷圏位
置MRとを結んだ線分Lに対し±40度などの前記第2
の所定角度θ2傾いた位置から前記非負荷圏R2の全周
に亘って設けられている。なお、前記交差溝11の第1
及び第2の溝6,7は、前記軸線Pに対する傾きφ1,
φ2が、互いに逆向きでかつ略45度となるように形成
されている。
【0050】また、前記交差溝11は、前記外輪23と
円筒ころ24との互いの接触面圧が2.0GPa以上と
なる範囲を避けて設けられるのが望ましい。このため、
前述したラジアル荷重が比較的大きな場合には、前記軸
線Pを中心として前記線分Lに対し40度などの前記第
2の所定角度θ2より大きな角度が傾いた位置から、前
記交差溝11を設けるのが望ましく、前記ラジアル荷重
が比較的小さい場合には、前記線分Lに対し40度など
の第2の所定角度θ2より小さい角度が傾いた位置から
前記交差溝11を設けるのが望ましい。
【0051】なお、本実施形態の円筒ころ軸受21にお
いても、内輪22が固定体とされかつ外輪23が回転体
とされた場合には、前記交差溝11を内輪22の外周面
22aにおける軌道面22bに設けるのが望ましい。こ
の場合、前記交差溝11は、前記軸線Pを中心として前
記線分Lに対し±40度などの前記第2の所定角度θ2
傾いた位置から非負荷圏R2の全域に亘って設けられる
のが望ましい。
【0052】本実施形態によれば、前述した第1の実施
形態と同様に、潤滑剤が前記交差溝11に沿って付勢さ
れて流れることとなって、特に前記負荷圏R1における
軌道面23bと円筒ころ24との間に送り込まれる。ま
た、交差溝11が潤滑剤を前記非負荷圏R2と負荷圏R
1とに亘って前記軌道面23bと円筒ころ24との間に
保持する。
【0053】したがって、特に負荷圏R1において前記
内輪22の軌道面22b及び外輪23の軌道面23bと
ニードル4との間に常に潤滑剤が存在することとなっ
て、油膜ぎれ状態で、前記軌道面22b,23bとニー
ドル4とが互いに接触することが抑制される。
【0054】したがって、前記円筒ころ軸受21は、ス
ミアリングやピーリングやフレーキング及びきしり音な
どの発生が抑制され、寿命の低下が抑制されることとな
る。さらに、前記非負荷圏R2と負荷圏R1とに亘って
交差溝11が設けられているので、この非負荷圏R2と
負荷圏R1とに亘って、前記円筒ころ24と軌道面23
bとの互いの接触面圧が上昇することとなる。
【0055】このため、前記円筒ころ24が軌道面23
b上を滑ることなく確実に転動することとなる。したが
って、スミアリングやきしり音などをより確実に抑制で
きる。
【0056】なお、図示例においては、前記凹溝として
前記第1の溝6と第2の溝7とを備えた交差溝11を用
いているが、本実施形態においても前記第1の実施形態
と同様に、前記凹溝として、図4に示す凹溝5及びヘリ
ングボーン溝5aや、図5に示すスパイラル溝10や、
図7に示す平行溝12などを用いてもよい。
【0057】また、図示例において、前記識別部として
の印9は、前記非負荷圏R2の前記軸線Pを挟んで前記
最大負荷圏位置MRと相対する位置に設けられている
が、この印9を最大負荷圏位置MRの近傍に設けて、前
記交差溝11などの位置を容易に識別できるようにして
もよい。
【0058】本発明において、図示例には示さないが、
円錐ころ軸受、自動調心ころ軸受、深溝玉軸受、アンギ
ュラ玉軸受などの種々の転がり軸受において、固定体の
軌道面に前述した凹溝5,5a,10,11,12のう
ち任意の凹溝を選択して形成しても良いことは無論であ
る。この場合も、潤滑剤の潤滑条件を改善し、ピーリン
グ、スミアリング、きしり音の発生などを抑制できる。
【0059】また、種々の産業分野に用いられる各種機
械や、各種の工作機械、産業機械には、固定体または回
転体のうち一方をなす内輪と、他方をなす外輪と、これ
ら内外輪の間に転動自在に設けられたころとを備え、前
記内外輪のうち少なくとも一方に前記ころの端面と対向
する対向面を有するつば部を設けた転がり軸受が用いら
れることがある。
【0060】前記つば部などを有する転がり軸受として
の自動調心ころ軸受、円錐ころ軸受、円筒ころ軸受やニ
ードル軸受は、前記固定体、回転体及びころの加工精度
や回転中の負荷、回転速度、潤滑条件などの変動によっ
て生じる固定体及び回転体の軸線方向に沿ったスラスト
力が増大して、前記ころが前記回転体及び固定体の周方
向に対し交差する方向に振れながら転動する所謂スキュ
ーが生じることがある。
【0061】前記スキューが生じると、前記ころの端面
と前記つば部の対向面とが互いにこすれるとともに、前
記軌道面ところとがこすれることとなる。さらにこれら
のこすれることによって生じる発熱は、軸受自体を温度
上昇させるとともに、前記ころを前記内外輪の間に保持
する保持器などの不安定な動きなどと伴って、許容回転
数などの軸受の性能を低下するとともに、スミアリング
やピーリング及びフレーキングが発生しやすくなり、軸
受の寿命の低下をもたらすこととなる。
【0062】また、前記円錐ころ軸受や、円筒ころ軸受
は、前述したスキューなどが生じると、前記つば部の対
向面における潤滑剤が枯渇して、摩擦トルクが増大した
り焼付きが生じることがあった。
【0063】さらに、中型および大型の電動機などに用
いられる前述した転がり軸受においては、前述したスキ
ューなどが生じると、前記つば部の対向面における潤滑
剤が枯渇して、この対向面において潤滑剤が不足して、
きしり音などを生じることがあった。
【0064】図9ないし図13は、前述のような問題を
解決した転がり軸受を示しており、前述したスキューを
抑制して、スミアリング、ピーリング、フレーキング、
焼付き及びきしみ音などの発生を抑制できかつ性能の低
下および寿命の低下の抑制などを可能としたものであ
る。
【0065】図9ないし図11は、前述した課題を解決
した転がり軸受の第1の開示例を示し、第1ないし第3
の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を
省略する。
【0066】図9に示すように、本開示例における転が
り軸受としてのスラスト自動調心ころ軸受31は、固定
体と回転体とのうち一方をなす内輪32と、他方をなす
外輪33と、内外輪32,33の間に転動自在に設けら
れた転動体としての球面ころ34と、前記球面ころ34
を前記内外輪32,33の間に保持する保持器35と、
スリーブ36とを備えている。内外輪32,33の間に
は、グリースなどの潤滑剤が充填されている。
【0067】前記球面ころ34は、その周面34aが、
外周方向に膨らんで形成されたたる型に形成されている
とともに、前記内外輪32,33の軌道面32b,33
b上を転動するようになっている。このように、球面こ
ろ34が前記内外輪32,33の軌道面32b,33b
上を転動することによって、前記内外輪32,33のう
ち少なくとも一方が軸線P回りに回動するようになって
いる。
【0068】また、前記内輪32には、前記球面ころ3
4の大径側の端面37と対向して形成された対向面38
を有するつば部39を一体に備えている。このつば部3
9の対向面38には、図10に示すように、内外輪3
2,33の径方向に対し傾きを有して形成されかつこの
対向面38の表面から凹に形成された複数の溝10aか
らなるスパイラル溝10が設けられている。
【0069】前記スパイラル溝10などは、エッチング
や放電加工などによって形成することができる。さら
に、スパイラル溝10は、前記内輪32を成形する際に
用いる金型において前述したつば部39を成形するつば
部成形部に、予め所望の形状の溝成形部を設けておくこ
とによって、内輪32を塑性加工などによって成形する
際に同時に成形することができる。
【0070】このように、塑性加工によってスパイラル
溝10を成形する場合は、加工後の金型の抜き易さを考
慮する必要が生じるとともに、この加工性の容易さと、
所望の潤滑剤の付勢及び保持効果のバランスから、前記
スパイラル溝10の内外輪32,33の径方向に対する
傾き及び前記溝10aの幅および深さや溝10a,10
a間の間隔を適切に定めるのが望ましい。
【0071】前述した構成によれば、内外輪32,33
のうち少なくとも一方が前記軸線Pまわりに回転する
と、転動体としての球面ころ34は、前記内外輪32,
33の軌道面32b,33b上を転がりながら、前記内
外輪32,33の周方向に沿って回転することとなる。
このとき、前記球面ころ34は、大径側の端面37の径
と小径側の端面の径との差によって、前記スキューを生
じやすくなっている。
【0072】そして、前記内外輪32,33の間に充填
された潤滑剤は、前記スパイラル溝10に沿って流れる
こととなる。このため、潤滑剤は、前記つば部39の対
向面38と球面ころ34の大径側の端面37との間に付
勢されて送り込まれることとなる。
【0073】さらに、前記スパイラル溝10が、潤滑剤
にさらに遠心力などが作用しても、この潤滑剤を前記つ
ば部39の対向面38と球面ころ34の大径側の端面3
7との間に保持しておくこととなる。
【0074】このため、前記内輪32のつば部39の対
向面38と球面ころ34の大径側の端面37との間に常
に潤滑剤が存在することとなって、球面ころ34が前記
軸線Pに沿って内外輪32,33を押圧するスラスト力
を抑制することとなる。
【0075】スラスト力が抑制されるので、前記スキュ
ーの発生が抑制されることとなって、前記球面ころ34
の端面37とつば部39の対向面38との油膜ぎれ状態
での互いの接触が抑制される。
【0076】したがって、転がり軸受としてのスラスト
自動調心ころ軸受31の許容回転数などの性能の低下及
び、スミアリングやピーリングやフレーキング及びきし
り音などの発生が抑制されて寿命の低下が抑制されるこ
ととなる。
【0077】なお、本開示例におけるスパイラル溝10
は、内外輪32,33の回転方向によって、前述した潤
滑剤の流れに対する付勢効果が変化する。このため、図
9に示すように、軸受31の周面の一部に、識別部とし
ての印9をエッチングなどによって形成するのが望まし
い。この印9によって、潤滑剤の流れに対する付勢効果
が高い内外輪32,33の回転方向などを容易に識別す
ることが可能となる。
【0078】また、本開示例において、前記つば部39
の対向面38に、前記スパイラル溝10の代わりに、前
記凹溝として図11に示すヘリングボーン溝5aや、図
6に示す交差溝11や、図7に示す平行溝12などを設
けてもよい。
【0079】図12は、第2の開示例を示し、第1ない
し第3の実施形態及び第1の開示例と同一構成部分には
同一符号を付して説明を省略する。図12に示すよう
に、本開示例における自動車や産業機械などに用いられ
る転がり軸受としての円錐ころ軸受41は、固定体と回
転体とのうち一方をなす内輪42と、他方をなす外輪4
3と、内外輪42,43の間に転動自在に設けられた転
動体としての円錐ころ44と、前記円錐ころ44を前記
内外輪42,43の間に保持する保持器45とを備えて
いる。内外輪42,43の間には、グリースなどの潤滑
剤が充填されている。円錐ころ軸受41は、内輪42の
つば部39の対向面38に、凹溝としてのX状の交差溝
11を設けている。
【0080】前述した構成によれば、内外輪42,43
のうち少なくとも一方が前記軸線Pまわりに回転する
と、転動体としての円錐ころ44は、前記内外輪42,
43の軌道面42b,43b上を転がりながら、前記内
外輪42,43の周方向に沿って回転することとなる。
このとき、前記円錐ころ44は、大径側の端面47の径
と小径側の端面の径との差によって、前記スキューを生
じやすくなっている。
【0081】そして、前記内外輪42,43の間に充填
された潤滑剤は、前記交差溝11に沿って流れることと
なる。このため、潤滑剤は、前記つば部39の対向面3
8と円錐ころ44の大径側の端面47との間に付勢され
て送り込まれることとなる。
【0082】また、前記交差溝11が、潤滑剤にさらに
遠心力などが作用しても、この潤滑剤を前記つば部39
の対向面38と円錐ころ44の大径側の端面47との間
に保持しておくこととなる。さらに、交差溝11は、軸
受41が自動車や走行台車などに用いられかつこれらの
車の姿勢が比較的急激に変化して潤滑剤の供給が一時遮
断されても、潤滑剤を一時保持する油だまりとしての作
用を発揮する。
【0083】このため、前記内輪44のつば部39の対
向面38と円錐ころ44の大径側の端面との間に常に潤
滑剤が存在することとなって、円錐ころ44が前記軸線
Pに沿って内外輪42,43を押圧するスラスト力を抑
制することとなる。
【0084】スラスト力が抑制されるので、前記スキュ
ーの発生が抑制されることとなって、前記円錐ころ44
の端面とつば部39の対向面38との油膜ぎれ状態での
互いの接触が抑制される。
【0085】したがって、転がり軸受としての円錐ころ
軸受41の許容回転数などの性能の低下及び、スミアリ
ングやピーリングやフレーキング及びきしり音などの発
生が抑制されて寿命の低下が抑制されることとなる。
【0086】さらに、前記交差溝11は、内外輪42,
43の回転方向が変化しても前述した潤滑剤の流れに対
する付勢効果が変化することがない。このため、この円
錐ころ軸受41を自動車や産業機械などの外部装置に組
み付ける際に、内外輪42,43の回転方向を考慮する
必要が生じることがないので、量産性に優れて低コスト
化を図ることが可能となる。
【0087】図13は、第3の開示例を示し、第1ない
し第3の実施形態及び第1の開示例及び第2の開示例と
同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。図
13に示すように、産業機械や電動機などに用いられる
本開示例における転がり軸受としての円筒ころ軸受51
は、固定体と回転体とのうち一方をなす内輪52と、他
方をなす外輪53と、内外輪52,53の間に転動自在
に設けられた転動体としての円筒ころ54と、前記円筒
ころ54を前記内外輪52,53の間に保持する保持器
55とを備えている。
【0088】内外輪52,53の間には、グリースなど
の潤滑剤が充填されている。円筒ころ軸受51は、円筒
ころ54の少なくとも一方の端面56に、凹溝としての
放射状の放射溝57を設けている。前記放射溝57は、
前記円筒ころ54の端面56において、この端面56の
中心から外周方向に向って放射状に延びて形成されてい
る。
【0089】また、前記外輪53は、軸線Pに沿う両端
部に前記つば部39,39をそれぞれ設けている。つば
部39,39の少なくとも一方の対向面38,38の根
元部には凹み58が設けられている。
【0090】前述した構成によれば、内外輪52,53
のうち少なくとも一方が前記軸線Pまわりに回転する
と、転動体としての円筒ころ54は、前記内外輪52,
53の軌道面52b,53b上を転がりながら、前記内
外輪52,53の周方向に沿って回転することとなる。
このとき、前記円筒ころ54は、前述したスキューを生
じやすくなっている。
【0091】そして、前記内外輪52,53の間に充填
された潤滑剤は、前記放射溝57に沿って流れることと
なる。このため、潤滑剤は、前記つば部39の対向面3
8と円筒ころ54の端面56との間に付勢されて送り込
まれることとなる。
【0092】また、前記放射溝57が、潤滑剤にさらに
遠心力などが作用しても、この潤滑剤を前記つば部39
の対向面38と円筒ころ54の端面56との間に保持し
ておくこととなる。さらに、前記凹み58が潤滑剤を保
持する。
【0093】このため、前記外輪53のつば部39の対
向面38と円筒ころ54の端面56との間に常に潤滑剤
が存在することとなって、円筒ころ54が前記軸線Pに
沿って内外輪52,53を押圧するスラスト力を抑制す
ることとなる。
【0094】スラスト力が抑制されるので、前記スキュ
ーの発生が抑制されることとなって、前記円筒ころ54
の端面56とつば部39の対向面38との油膜ぎれ状態
での互いの接触が抑制される。
【0095】したがって、転がり軸受としての円筒ころ
軸受51の許容回転数などの性能の低下及び、スミアリ
ングやピーリングやフレーキング及びきしり音などの発
生が抑制されて寿命の低下が抑制されることとなる。
【0096】また、前述した第1ないし第2の開示例に
おいて、スパイラル溝10や交差溝11などの凹溝は必
ずしも、内輪32,42および外輪33,43などの軌
道輪のつば部39の対向面38に設ける必要はなく、こ
ろ34,44の端面に設けても良い。さらに、前記凹溝
は、前述した第1ないし第3の開示例において、前記軌
道輪と転動体との両方に設けても良い。
【0097】また、これらの凹溝による潤滑剤の付勢効
果及び保持効果は、軸受の潤滑方法が油潤滑であっても
グリース潤滑であっても発生する。このため、種々の潤
滑方法を用いた転がり軸受において、前述した凹溝を設
けることによって、前記つば部39の対向面38ところ
の端面との間に、潤滑油膜を形成することができる。し
たがって、許容回転数などの性能の低下及びスミアリン
グやピーリングやフレーキング及びきしり音などの発生
を抑制でき、寿命の低下を抑制できる。
【0098】さらに、前記第1及び第2の開示例に示し
た自動調心ころ軸受31及び円錐ころ軸受41におい
て、図13に示した第3の開示例の円筒ころ軸受51の
つば部39のように、前記対向面38の根元部に凹み5
8を設けるのが望ましい。この場合、この凹み58が潤
滑剤を保持することとなって、より確実に前記ころ3
4,44の端面とつば部39の対向面38との間に潤滑
油膜を形成することができる。したがって、許容回転数
などの性能の低下及びスミアリングやピーリングやフレ
ーキング及びきしり音などの発生をより確実に抑制で
き、寿命の低下をより一層抑制できる。
【0099】前述した第1ないし第3の開示例によれ
ば、次の転がり軸受が得られる。固定体と、回転体と、
これら固定体と回転体との間に転動自在に設けられたこ
ろと、を備え、前記固定体と回転体とのうち少なくとも
一方に前記ころの端面と対向する対向面を有するつば部
を設けた転がり軸受において、前記つば部の対向面と、
この対向面に対向する前記ころの端面とのうち少なくと
も一方に、これらの面の表面から凹に形成された凹溝を
設けたことを特徴とする転がり軸受。
【0100】前記転がり軸受は、回転体の回転中におい
て、前記固定体、回転体及びころの加工精度や回転中の
負荷、回転速度、潤滑条件などの変動によって生じる固
定体及び回転体の軸線方向に沿ったスラスト力が増大し
て、前記ころが前記回転体及び固定体の周方向に対し交
差する方向に触れながら転動する所謂スキューが生じて
も、前記凹溝が固定体と回転体との間に充填された潤滑
剤を付勢して前記ころの端面とつば部の対向面との間に
送り込むこととなる。
【0101】そして、前記ころの端面とつば部の対向面
との間に送り込まれた潤滑剤が、前記スラスト力を抑制
することとなって、スキューを抑制することとなる。ま
た、前記回転体の回転に伴う遠心力によって潤滑剤が飛
散されようとしても、前記凹溝が前記ころの端面とつば
部の対向面との間に潤滑剤を保持するとともに、前述し
たように前記潤滑剤を付勢してこれら端面と対向面との
間に送り込むので、前記ころと回転体との間の潤滑不足
を抑制することができ、潤滑剤の枯渇による摩擦トルク
の増大や焼付き及びきしり音などを抑制することができ
る。したがって、許容回転数の低下などの性能の低下
や、寿命の低下を抑制することが可能となる。
【0102】
【発明の効果】本発明によると、潤滑剤が、固定体の軌
道面の少なくとも負荷圏と非負荷圏との境の近傍におい
て前記非負荷圏と負荷圏とに亘って形成された凹溝に沿
って流れるとともに、この凹溝に保持されることとな
る。
【0103】前記潤滑剤が凹溝に沿って流れるとともに
前記凹溝に保持されるので、潤滑剤が前記固定体及び回
転体と転動体とが互いに接する軌道面と、転動体の表面
との間に送り込まれることとなって、前記軌道面と転動
体との油膜ぎれ状態での接触を抑制する。
【0104】したがって、前記軌道面におけるピーリン
グやフレーキングを抑制するとともに、きしり音やスミ
アリングなどの発生を抑制することが可能となって、寿
命の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の転がり軸受としての
ニードル軸受の斜視図。
【図2】図1中の矢印II方向から見た図。
【図3】同実施形態の転がり軸受としてのニードル軸受
の断面図。
【図4】同実施形態の転がり軸受としてのニードル軸受
の凹溝をシャフトの周方向に沿って展開して示す図。
【図5】凹溝の変形例をシャフトの周方向に沿って展開
して示す図。
【図6】凹溝の変形例をシャフトの周方向に沿って展開
して示す図。
【図7】凹溝の変形例をシャフトの周方向に沿って展開
して示す図。
【図8】(A)は本発明の第2の実施形態の転がり軸受
としての円筒ころ軸受を示す斜視図。(B)は同実施形
態の転がり軸受としての円筒ころ軸受の外輪を示す斜視
図。
【図9】第1の開示例の転がり軸受としてのスラスト自
動調心ころ軸受の一部を切り欠いて示す斜視図。
【図10】図9に示された矢印X方向から見た凹溝を示
す図。
【図11】同開示例の凹溝の変形例を示す図。
【図12】(A)は第2の開示例の転がり軸受としての
円錐ころ軸受の一部を切り欠いて示す斜視図。(B)は
同開示例の円錐ころ軸受の断面図。
【図13】(A)は第3の開示例の転がり軸受としての
円筒ころ軸受の一部を切り欠いて示す斜視図。(B)は
同開示例の円筒ころ軸受の断面図。(C)は同開示例の
円筒ころ軸受の円筒ころの端面を示す図。
【符号の説明】
1…ニードル軸受(転がり軸受) 2…シャフト(固定体) 2b…シャフトの軌道面 3…外輪(回転体) 3b…外輪の軌道面 4…ニードル(転動体) 5…凹溝 5a…ヘリングボーン溝(凹溝) 10…スパイラル溝(凹溝) 11…交差溝(凹溝) 12…平行溝(凹溝) 21…円筒ころ軸受(転がり軸受) 22…内輪(回転体) 22b…内輪の軌道面 23…外輪(固定体) 23b…外輪の軌道面 24…円筒ころ(転動体) R1…負荷圏 R2…非負荷圏 MK…負荷圏と非負荷圏との境

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定体と、回転体と、これら固定体と回転
    体との間に転動自在に設けられた転動体とを備えた転が
    り軸受において、 前記固定体の前記転動体が転動する軌道面の少なくとも
    前記転動体に荷重が作用する負荷圏と前記荷重が作用し
    ない非負荷圏との境の近傍において、前記非負荷圏から
    負荷圏とに亘って、前記軌道面の表面から凹に形成され
    た凹溝を設けたことを特徴とする転がり軸受。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004346760A (ja) * 2003-05-20 2004-12-09 Nsk Ltd カムフォロア装置
WO2005045269A1 (ja) * 2003-11-07 2005-05-19 Jtekt Corporation オイル潤滑式転がり軸受装置
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