JP6191715B2 - ボールねじ装置の組立方法 - Google Patents
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Description
ここで、樹脂成形されて本体部51の肉厚が2mm以下であるような変形しやすいシール部材50では、ナット端部への固定時に変形すると所望の性能を発揮できない恐れがある。よって、シール部材50の固定時の変形を抑えるため、シール部材に対して圧縮力(軸方向の力)以外の固定力を極力加えないこと、固定力を周方向で均一に加えかつ細やかに調整できること、等の条件を満たすことが望ましい。
また、特許文献2にも、面板におけるシール部材との接触部位に突起を設ける技術が開示されている。
また、特許文献3には、シール部材と面板とをボルトで共締めしてこれらをナットに固定する技術が開示されている。
また、ボルトの締付け力でシール部材の固定力を管理することも考えられるが、この場合、ボルトを締切らないため、面板を止める各ボルトの締込み力を互いに等しくすることが難しく、シール部材を均一な力で固定できない恐れがある。
ここで、シール部材側に固定用の爪(突起)を設けることも考えられるが、シール部材が複雑な形状となるためにコストが増加してしまう。さらに、シール部材を樹脂成形する場合に肉厚を一定にできないためにシール部材が歪んでしまう恐れがある。
また、ボルトの貫通孔を設けるスペースのないシール部材には、特許文献3に開示の技術を適用することができない。よって、図15に示す構成例のシール部材を特許文献3に開示の技術で固定しようとすると、図17に示すように、シール部材50には、ボルトの貫通孔55を形成するための肉厚部54を外周部に形成し、さらに、固定時に位相調整できるように貫通孔55を長孔に形成する必要がある。この場合、シール部材50には、製造上のデメリットが増えることになる。
また、本発明に係るボールねじ装置の組立方法によれば、とがり先止めねじのねじ軸の軸方向の力によってシール部材をその座面に垂直な方向の力で固定できるため、そのシール部材が低剛性のものであっても、そのシール部材の変形や破損のリスクを低減できる。
(第1の実施形態)
先ず、第1の実施形態を説明する。
第1の実施形態は、本発明の組立方法を適用したボールねじ装置である。
(構成)
図1乃至図3は、第1の実施形態のボールねじ装置1の構成例を示す図である。図1は、ボールねじ装置1を側方からみた断面図である。また、図2は、ボールねじ装置1におけるナット20の端部詳細を示す断面図である。また、図3は、ボールねじ装置1の正面図である。
ねじ軸10は、略円柱の棒状体であり、外周面には、雌ねじ状(螺旋状)のボールねじ装置溝が形成されている。これに対応して、ナット20は、略円筒形状をなし、内周面には、ねじ軸10のボールねじ装置溝に径方向で対向する位置に不図示の雌ねじ状(螺旋状)のボールねじ装置溝が形成されている。このナット20のボールねじ装置溝とねじ軸10のボールねじ装置溝とによって、ナット20とねじ軸10との間には、ボール30が転動する螺旋状転動体通路40が形成されている。また、ナット20には、螺旋状転動体通路40に潤滑油を注入するための潤滑剤注入路21が形成されている。そして、ナット20には、両端部それぞれに、シール部材50と該シール部材50をナット20の端部に固定するための面板60とが取り付けられている。
面板60も、略円環形状をなしている。この面板60の内径は、シール部材50のリップ部52の内径よりも若干大きく、外径は、シール部材50(本体部51)の外径より若干大きい。この面板60は、全周にわたってシール部材50の本体部51と接触する。ここで、面板60におけるシール部材50の本体部51との対向側面に凹部を設けるなどして、面板60とシール部材50の本体部51とを部分的に接触させても良い。
収容部22は、ナット20においてボールねじ装置溝が形成されている内周面部位よりも大きい内周径を有している。この収容部22の周壁23には、止めねじ取り付け用孔23aが形成されている。詳しくは、周壁23には、収容部22に収容されている面板60の軸端に向く側面60aの位置に対して軸端側に距離L1だけオフセットされた位置に止めねじ取り付け用孔23aが形成されている。また、図3に示すように、止めねじ取り付け用孔23aは、ナット20の端部23において周方向で等間隔に形成されている。
次に、止めねじ70によって面板60を固定する構造、作用等を図4及び図5を参照しつつ説明する。
図4に示すように、止めねじ70は、収容部22内に収容された面板60の軸端側に向く側面60aの外周部に先端部70aが当たっている。この状態で、止めねじ70の先端部70aがくさびとして作用して面板60を径方向、軸方向及び周方向の3方向に押し付けることで、シール部材50が該面板60とともに収容部22に固定される。ここで、止めねじ70の先端部70aが面板60との接触部位を押す力は、矢印Rで示す径方向成分及び矢印Xで示す軸方向成分に分割され、径方向成分の力は面板60によって全て受けられる。そのため、シール部材50が面板60を介して止めねじ70から受ける力は、止めねじ70からの軸方向成分の力だけとなる。よって、シール部材50は、その軸方向成分の力がその座面に垂直な方向の力として作用し固定される。
本発明の第1の実施形態について説明したが、第1の実施形態はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
すなわち、本実施形態では、面板60の外周部における止めねじ70との接触部位に溝を設けることもできる。図6及び図7は、その場合の面板60の例を示す図である。ここで、図6(a)は、側方からみた断面図であり、図6(b)及び図7は正面図である。
図8(a)には、そのように溝61を設けた面板60に止めねじ70から加わる力を示し、図8(b)には、そのような溝61を設けていない面板60に止めねじ70から加わる力を示す。
また、本実施形態では、シール部材50、面板60、及びこれらを収容した収容部をユニットとしてナット20に取り付けることができる。図11は、その構成例を示す図である。
図11に示すように、実施形態の変形例では、前述のナット20において収容部22が形成されている端部形状と同様な形状を有するケース80を、ナット20の端部にボルト81によって取り付ける。
また、本実施形態では、面板60の外径をシール部材50の外径よりも小さくすることができる。
次に、第2の実施形態を説明する。
第2の実施形態も、本発明を適用したボールねじ装置である。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同様な構成については同一の符号を付して説明する。
この第2の実施形態では、ナット20の軸方向に取り付けたボルトによって面板60を固定している。
図12は、第2の実施形態のボールねじ装置におけるナット20の端部詳細を示す図である。ここで、図12(a)は、側方からみた断面図であり、図12(b)は、正面図である。
また、第2の実施形態のボールねじ装置1のその他の構成は、第1の実施形態のボールねじ装置1の構成と同様である。
第2の実施形態では、シール部材50が面板60を介してボルト91(ワッシャ92)から受ける力は、主として、ボルト91(ワッシャ92)が面板60を押す軸方向成分の力となる。
図13に示すように、収容部22の軸方向の幅は、シール部材50の厚さと面板60の厚さとを加算した合計厚さよりも狭くなっている。よって、ナット20の軸方向において、ワッシャ92の座面92aに接触することとなる収容部22の周壁23の軸方向端面23aに対して面板60の側面60aが突出する構造になっている。そのため、図13(a)に示すように面板60の側面60aへのワッシャ92の接触時の該面板60の側面60aと該ワッシャ92の座面92aとの間に形成される隙間L3によって、図13(b)に示すように、ワッシャ92において面板60の側面60aに接触している外周部92bは、低剛性ということもあり、ボルト91を完全に締め付けた際に変形する。このとき、ボルト91による固定力は、その変形量(変形量に起因する弾性力)に依存するものとなる。
よって、ボルト91を完全に締め付けたとしても、前述の隙間L3分しかワッシャ92が変形しないため、各ボルト91による固定力を等しくできる。
本発明の第2の実施形態について説明したが、第2の実施形態はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
すなわち、第2の実施形態では、第1の実施形態の変形例と同様に、面板60の外周部におけるワッシャ92との接触部位に溝62を設けることもできる。図14は、その場合の面板60の例を示す図である。ここで、図14(a)は、側方からみた断面図であり、図14(b)は、正面図である。図14に示すように、ボルト91の配置に対応して、面板60の外周に周方向で等間隔に溝62を3箇所設けることができる。
10 ねじ軸
20 ナット
22 収容部
40 ボール
70 止めねじ
70a 先端部
70c 段部
Claims (1)
- 螺旋状の転動体転動溝が外周面に形成されたねじ軸と、前記ねじ軸が挿通され螺旋状の転動体転動溝が内周面に形成されたナットと、前記ねじ軸の転動体転動溝及び前記ナットの転動体転動溝が対向して形成される転動体通路を転動する複数の転動体と、を有するボールねじ装置の組立方法において、
前記ナットの両端に設けた収容部と、
円環形状の本体部と、前記円環形状の本体部の内周側に前記ねじ軸の外周面と摺動する摺動部とを有し、前記収容部に収容されるシール部材と、
前記シール部材の外径と同等又はそれ以下の外径を有する円環形状をなし前記シール部材に対し前記ねじ軸の軸端側に位置して前記収容部に収容される面板と、
前記面板の外周側から押し込まれ前記面板における前記ねじ軸の軸端側の側面の外周部に接触した際に前記ねじ軸の軸方向の力によって前記面板を前記シール部材に対して押し付けるくさび形状の先端部と、前記面板の外周側から前記先端部が押し込まれる量を前記面板における前記ねじ軸の軸端側の側面の外周部との係止によって規制する、前記先端部と略円筒形状の本体部との境界の段部と、を有する複数のとがり先止めねじと、を有するボールねじ装置を組み立てることを特徴とするボールねじ装置の組立方法。
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