JP2008057576A - 直線運動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】潤滑剤補給時にシール部材と内方部材との間に潤滑剤の流れを集中させ、内方部材の外周面に付着した劣化した潤滑剤や異物を潤滑剤により効率よく洗い流すことが可能な直線運動装置を提供する。
【解決手段】直線運動装置1は、外面に転動体転動溝7を有する内方部材2と、内方部材2の外側に配置され、内面に内方部材2の転動体転動溝7に対向する転動体転動溝8を有する外方部材3と、内方部材2の転動体転動溝7と外方部材3の転動体転動溝8との間に転動自在に配置される複数の転動体9と、内方部材2と外方部材3との間をシールするシール部材4と、内方部材2と外方部材3との間に充填される潤滑剤と、潤滑剤を補給する補給口16とを備え、外方部材3とシール部材4との間からの潤滑剤の漏出を防止するシール手段5を備える。
【選択図】図1
【解決手段】直線運動装置1は、外面に転動体転動溝7を有する内方部材2と、内方部材2の外側に配置され、内面に内方部材2の転動体転動溝7に対向する転動体転動溝8を有する外方部材3と、内方部材2の転動体転動溝7と外方部材3の転動体転動溝8との間に転動自在に配置される複数の転動体9と、内方部材2と外方部材3との間をシールするシール部材4と、内方部材2と外方部材3との間に充填される潤滑剤と、潤滑剤を補給する補給口16とを備え、外方部材3とシール部材4との間からの潤滑剤の漏出を防止するシール手段5を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、ボールねじ、リニアガイド、ボールスプライン等の直線運動装置に関し、特に、内方部材の外周面に付着した異物を、内方部材と外方部材との間に充填された潤滑剤により効率よく洗い流すことが可能な直線運動装置に関する。
従来、装置内への異物の侵入を防止するシール部材を備えた直線運動装置の発明として、例えば図5に記載のボールねじが知られている(特許文献1参照)。
図5に示すボールねじ40は、ねじ軸41の外周面に形成したねじ溝42と、ボールナット43の内周面に形成したねじ溝44の間に複数のボール45を介在させ、ねじ軸41の回転動力をボール45を介してボールナット43に伝達し、ボールナット43を軸方向に移動させるものである。また、ボールナット43の両端部に設けられた嵌合部47には、ねじ軸41に付着する異物がボールナット43内に巻き込まれることを防止するため、ボールナット43とねじ軸41との間の隙間を小さくするラビリンスシール46が配設されている。ここで、ラビリンスシール46は、ねじ軸41の外周面と所定の隙間を保ってボールナット43に配設されている。さらに、ボールナット43の端面には、潤滑剤補給路71を介してねじ軸41とボールナット43との間に外部から潤滑剤を補給可能なグリースニップル70が配設されている。
図5に示すボールねじ40は、ねじ軸41の外周面に形成したねじ溝42と、ボールナット43の内周面に形成したねじ溝44の間に複数のボール45を介在させ、ねじ軸41の回転動力をボール45を介してボールナット43に伝達し、ボールナット43を軸方向に移動させるものである。また、ボールナット43の両端部に設けられた嵌合部47には、ねじ軸41に付着する異物がボールナット43内に巻き込まれることを防止するため、ボールナット43とねじ軸41との間の隙間を小さくするラビリンスシール46が配設されている。ここで、ラビリンスシール46は、ねじ軸41の外周面と所定の隙間を保ってボールナット43に配設されている。さらに、ボールナット43の端面には、潤滑剤補給路71を介してねじ軸41とボールナット43との間に外部から潤滑剤を補給可能なグリースニップル70が配設されている。
そして、ボールねじ40によれば、ラビリンスシール46がねじ軸42とボールナット43との間を極小とすることにより、ねじ溝42からのボールねじ1内部への異物の侵入及び潤滑剤のボールねじ41外部への漏れを低減することを可能としている。
また、従来、装置内への異物の侵入を防止するシール部材を備えた直線運動装置の発明として、図6に記載のボールねじが知られている。
また、従来、装置内への異物の侵入を防止するシール部材を備えた直線運動装置の発明として、図6に記載のボールねじが知られている。
図6に示すボールねじ50は、特許文献1に係るボールねじ40と基本構成は同様であるが、ラビリンスシール46は、ラビリンスシール46を嵌合部47に嵌挿後、ボールナット43の各端部の内周面に形成された係止凹部52に、略C形の弾性部材により形成された止め輪51を係止することで、ボールナット43に設置されている。
そして、ボールねじ50によれば、ボールねじ40と同様の効果を奏するとともに、ボールナット43へのラビリンスシール46の設置を容易に行うことを可能としている。
そして、ボールねじ50によれば、ボールねじ40と同様の効果を奏するとともに、ボールナット43へのラビリンスシール46の設置を容易に行うことを可能としている。
さらに、従来、装置内への異物の侵入を防止するシール部材を備えた直線運動装置の発明として、図7に記載のボールねじが知られている。
図7に示すボールねじ60は、外周面に螺旋状の転動体転動溝(図示せず)が形成されたねじ軸61と、内周面にねじ軸61の転動体転動溝に対向する転動体転動溝(図示せず)が形成されたナット62と、両転動体転動溝間に転動自在に配設された転動体(図示せず)と、ナット62の各端部に止めねじ69により固定されるシールハウジング65とを備えている。また、シールハウジング65には、内周部に潤滑剤供給部材64が配設され、端面に接触シール67が止めねじ66により固定されている。さらに、ナット62の端面には、潤滑剤補給路71を介してねじ軸61とナット62との間に外部から潤滑剤を補給可能なグリースニップル70が配設されている。
図7に示すボールねじ60は、外周面に螺旋状の転動体転動溝(図示せず)が形成されたねじ軸61と、内周面にねじ軸61の転動体転動溝に対向する転動体転動溝(図示せず)が形成されたナット62と、両転動体転動溝間に転動自在に配設された転動体(図示せず)と、ナット62の各端部に止めねじ69により固定されるシールハウジング65とを備えている。また、シールハウジング65には、内周部に潤滑剤供給部材64が配設され、端面に接触シール67が止めねじ66により固定されている。さらに、ナット62の端面には、潤滑剤補給路71を介してねじ軸61とナット62との間に外部から潤滑剤を補給可能なグリースニップル70が配設されている。
そして、ボールねじ60によれば、ナット62に対するシール部材63の着脱を容易とすることで、接触シール67及び潤滑剤供給部材64の交換を容易に行うことを可能としている。
特開平10−30704号公報
ラビリンスシールは相対運動する直線運動装置に摺接せず設置されるため、摩擦力が生じないシールとして多用されているが、その隙間より小径の異物を排除する機能を有していないことより、その取り付け部の隙間に対し考慮されていなかった。
たとえば、図5に示すボールねじ40及び図6に示すボールねじ50においては、ラビリンスシール46を止めねじ49又は止め輪51によりボールナット43に設置するが、一般的にボールナット43の嵌合部47とラビリンスシール46との間には寸法公差があるため、ラビリンスシール46の外面とボールナット43の内面との間に隙間を有している。
たとえば、図5に示すボールねじ40及び図6に示すボールねじ50においては、ラビリンスシール46を止めねじ49又は止め輪51によりボールナット43に設置するが、一般的にボールナット43の嵌合部47とラビリンスシール46との間には寸法公差があるため、ラビリンスシール46の外面とボールナット43の内面との間に隙間を有している。
この状態でボールねじ40,50を一定時間稼動した後にグリースニップル70より潤滑剤を補給すると、ボールナット43の内部に残留している古い潤滑剤が押し出され、補給された潤滑剤に入れ替わるが、その際古い潤滑剤は、ねじ軸41とラビリンスシール46との隙間だけでなく、ラビリンスシール46の外面とボールナット43の内面との隙間からも排出されることとなる。
そして、ボールナット43内部の劣化した潤滑剤や異物は、相対運動をするねじ軸41とラビリンスシール46との間に多く溜まるが、ボールナット43とラビリンスシール46との隙間からの潤滑剤の排出は、ラビリンスシール46の内端面とねじ軸41の外周面との間からの潤滑剤の排出を阻害し、結果、劣化した潤滑剤や異物の排出が十分に行われないという問題がある。
また、図7に示すボールねじ60においても同様に、ナット62に対する接触シール67及び潤滑剤供給部材64の取り付けを容易にする必要上、シールハウジング65の嵌合部68とこれが嵌挿するナット62との間には寸法公差に伴う隙間が生じることにより、図5に示すボールねじ40と同一の問題がある。
本発明は上記した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、シール部材と内方部材との摺接部以外からの潤滑剤の漏出を防止することで潤滑剤補給時にシール部材と内方部材との間に潤滑剤の流れを集中させ、内方部材の外周面に付着した劣化した潤滑剤や異物を潤滑剤により効率よく洗い流すことが可能な直線運動装置を提供することにある。
なお、潤滑剤の補給とは、連続的な自動給油、間欠的な自動給油及び手動給油のいずれも含むもので、小径の異物が多い環境では連続的な自動給油が適し、小径の異物が少ない環境では手動給油が適している。
なお、潤滑剤の補給とは、連続的な自動給油、間欠的な自動給油及び手動給油のいずれも含むもので、小径の異物が多い環境では連続的な自動給油が適し、小径の異物が少ない環境では手動給油が適している。
本発明のうち請求項1に係る直線運動装置は、外面に転動体転動溝を有する内方部材と、前記内方部材の外側に配置され、内面に前記内方部材の転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有する外方部材と、前記内方部材の転動体転動溝と前記外方部材の転動体転動溝との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材との間をシールするシール部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に充填される潤滑剤と、前記内方部材と前記外方部材との間に外部から前記潤滑剤を補給する補給口とを備えてなる直線運動装置において、
前記外方部材と前記シール部材との間からの前記潤滑剤の漏出を防止するシール手段を備えることを特徴とする。
前記外方部材と前記シール部材との間からの前記潤滑剤の漏出を防止するシール手段を備えることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項2に係る直線運動装置は、請求項1記載の直線運動装置において、前記シール手段は、前記潤滑剤により膨潤する素材により形成されていることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項3に係る直線運動装置は、請求項1記載の直線運動装置において、前記シール手段は、前記潤滑剤により膨潤する素材により形成された2枚の膨潤性シートと、前記両膨潤性シート間に介装される薄板状の芯材とから3層に形成され、前記芯材は、前記膨潤性シートと比較して曲げ剛性が高く、かつ前記潤滑剤により膨潤しない又は膨潤しにくい素材により形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明のうち請求項4に係る直線運動装置は、請求項1記載の直線運動装置において、前記シール手段は、前記潤滑剤に対して粘性の高い流体であることを特徴とする。
また、本発明のうち請求項3に係る直線運動装置は、請求項1記載の直線運動装置において、前記シール手段は、前記潤滑剤により膨潤する素材により形成された2枚の膨潤性シートと、前記両膨潤性シート間に介装される薄板状の芯材とから3層に形成され、前記芯材は、前記膨潤性シートと比較して曲げ剛性が高く、かつ前記潤滑剤により膨潤しない又は膨潤しにくい素材により形成されていることを特徴とする。
さらに、本発明のうち請求項4に係る直線運動装置は、請求項1記載の直線運動装置において、前記シール手段は、前記潤滑剤に対して粘性の高い流体であることを特徴とする。
本願請求項1乃至4のうちいずれか1項に係る直線運動装置によれば、外方部材と前記シール部材との間からの前記潤滑剤の漏出を防止するシール手段を備える構成により、シール部材と内方部材との間以外からの潤滑剤の漏出を防止し、補給潤滑剤の流れをシール部材と内方部材との間に集中させることにより、内方部材の外周面に付着した異物を潤滑剤により効率よく洗い流すことが可能となる。さらに、補給潤滑剤の排出口がシール部材と内方部材との間のみとなることにより、外方部材内部の潤滑剤の流れが整流化され、古い潤滑剤が流れに従い効率的に排出されるため、潤滑剤の補給量を減らすことができる。
以下、本発明の第一実施形態に係る直線運動装置を図面を参照して説明する。
図1は本発明の第一実施形態に係るボールねじの平面図である。図2はシール手段の断面図である。図3は本発明の第一実施形態に係るボールねじの変形例の平面図である。
なお、本発明に係る直線運動装置は、ボールねじ、リニアガイド、ボールスプライン等に構成可能であり、本実施形態においては、本発明に係る直線運動装置を非接触型シールを備えたボールねじとして構成した場合を例にして説明する。
ボールねじ(直線運動装置)1は、図1に示すように、直線状に延びるねじ軸(内方部材)2と、ねじ軸2が嵌挿されるナット(外方部材)3と、ナット3の各端部に設置される2組のシール部材4及びシール手段5とを備えている。
ねじ軸2は、円柱状に形成されている。ねじ軸2の外周面には、螺旋状の転動体転動溝7が形成されている。
図1は本発明の第一実施形態に係るボールねじの平面図である。図2はシール手段の断面図である。図3は本発明の第一実施形態に係るボールねじの変形例の平面図である。
なお、本発明に係る直線運動装置は、ボールねじ、リニアガイド、ボールスプライン等に構成可能であり、本実施形態においては、本発明に係る直線運動装置を非接触型シールを備えたボールねじとして構成した場合を例にして説明する。
ボールねじ(直線運動装置)1は、図1に示すように、直線状に延びるねじ軸(内方部材)2と、ねじ軸2が嵌挿されるナット(外方部材)3と、ナット3の各端部に設置される2組のシール部材4及びシール手段5とを備えている。
ねじ軸2は、円柱状に形成されている。ねじ軸2の外周面には、螺旋状の転動体転動溝7が形成されている。
ナット3は、円筒状に形成されている。ナット3の内周面には、ねじ軸2の嵌挿時にねじ軸2の転動体転動溝7と対向する螺旋状の転動体転動溝8が形成されている。ナット3の各端面には、円環状の嵌合凹部10が形成されているとともに、嵌合凹部10の周面には、複数のねじ孔11が螺設されている。また、ナット3の外周面には、潤滑剤補給路15を介してナット3の内部と連通するグリースニップル(補給口)16が配設されている。
そして、ねじ軸2とナット3とは、ねじ軸2にナット3を嵌挿した状態で、転動体転動溝7と転動体転動溝8との間に多数の転動体9を転動自在に組み込むとともに、ねじ軸2とナット3との間にグリース、潤滑油等の潤滑剤が充填されることにより組み合わされる。また、ねじ軸2とナット3との間に充填される潤滑剤は、ナット3のグリースニップル16から新しい潤滑剤を注入することにより外部から補給可能となっている。
各シール部材4は、本実施形態においては、ねじ軸2と非接触である円環状のラビリンスシールとして形成されている。そして、シール部材4は、ナット3の嵌合凹部10内に嵌挿され、ナット3のねじ孔11に螺合される止めねじ12により、ナット3に設置される。
各シール手段5は、円環のシート状に形成されている。また、シール手段5は、図2に示すように、2枚の膨潤性シート13と、両膨潤性シート13間に介装される芯材14とから3層に形成されている。
各シール手段5は、円環のシート状に形成されている。また、シール手段5は、図2に示すように、2枚の膨潤性シート13と、両膨潤性シート13間に介装される芯材14とから3層に形成されている。
各膨潤性シート13は、シリコンゴムシート等、ねじ軸2とナット3との間に充填されている潤滑剤により膨潤する素材により形成されている。
芯材14は、金属の薄板、ポリアセタール系の樹脂材、ポリイミド系の樹脂材等、膨潤性シート13と比較して曲げ剛性が高く、かつ潤滑剤により膨潤しない又は膨潤しにくい素材により形成されている。
芯材14は、金属の薄板、ポリアセタール系の樹脂材、ポリイミド系の樹脂材等、膨潤性シート13と比較して曲げ剛性が高く、かつ潤滑剤により膨潤しない又は膨潤しにくい素材により形成されている。
そして、シール手段5は、ナット3の嵌合凹部10内において、シール部材4の側面とナット3の嵌合凹部10の内側面との間に嵌挿されることで、ナット3とシール部材4との間からの潤滑剤の漏出を防止可能に備えられている。
ここで、本実施形態においては、シール部材4は、止めねじ12により嵌合凹部10内に設置されているが、図3に示すように、シール部材4を嵌合凹部10に嵌挿後、ナット3の各端部の内周面に形成された係止凹部17に、略C形の弾性部材により形成された止め輪18を係止することにより設置する構成としても構わない。
ここで、本実施形態においては、シール部材4は、止めねじ12により嵌合凹部10内に設置されているが、図3に示すように、シール部材4を嵌合凹部10に嵌挿後、ナット3の各端部の内周面に形成された係止凹部17に、略C形の弾性部材により形成された止め輪18を係止することにより設置する構成としても構わない。
次に、ボールねじ1の作用について説明する。
ボールねじ1は、ねじ軸2とナット3とが組み合わされた状態において、ねじ軸2又はナット3の回転運動に伴って、転動体9が転動体転動溝7,8上を転動することにより、ねじ軸2とナット3とが軸方向へ相対的に移動可能となっている。
そして、ねじ軸2とナット3との相対移動時においては、シール部材4がねじ軸2とナット3との隙間が極小となるようにシールすることにより、ねじ軸2とナット3との間への塵埃等の異物の侵入を防止することを可能としている。
ボールねじ1は、ねじ軸2とナット3とが組み合わされた状態において、ねじ軸2又はナット3の回転運動に伴って、転動体9が転動体転動溝7,8上を転動することにより、ねじ軸2とナット3とが軸方向へ相対的に移動可能となっている。
そして、ねじ軸2とナット3との相対移動時においては、シール部材4がねじ軸2とナット3との隙間が極小となるようにシールすることにより、ねじ軸2とナット3との間への塵埃等の異物の侵入を防止することを可能としている。
ここで、ボールねじ1では、一定時間稼動することにより、ねじ軸2とナット3との間に充填された潤滑剤の減少及び劣化が発生するため、潤滑剤の補給を行う必要がある。
ボールねじ1への潤滑剤の補給は、潤滑剤をナット3のグリースニップル16及び潤滑剤補給路15を介してねじ軸2とナット3との間へ充填することにより行われる。
そして、ねじ軸2とナット3との間に潤滑剤が補給されると、ナット3の内部に残留している古い潤滑剤がねじ軸2とシール部材4との隙間から押し出され、補給された新しい潤滑剤に入れ替わる。この場合、ナット3内部の劣化した潤滑剤や異物は、ねじ軸2とシール部材4との間に多く溜まることとなる。
ここで、一般的に、ナット3の嵌合凹部10とこれに嵌挿されるシール部材4との間には寸法公差があるため、嵌合凹部10とシール部材4との間には隙間を有している。
ボールねじ1への潤滑剤の補給は、潤滑剤をナット3のグリースニップル16及び潤滑剤補給路15を介してねじ軸2とナット3との間へ充填することにより行われる。
そして、ねじ軸2とナット3との間に潤滑剤が補給されると、ナット3の内部に残留している古い潤滑剤がねじ軸2とシール部材4との隙間から押し出され、補給された新しい潤滑剤に入れ替わる。この場合、ナット3内部の劣化した潤滑剤や異物は、ねじ軸2とシール部材4との間に多く溜まることとなる。
ここで、一般的に、ナット3の嵌合凹部10とこれに嵌挿されるシール部材4との間には寸法公差があるため、嵌合凹部10とシール部材4との間には隙間を有している。
そこで、ボールねじ1においては、ナット3の嵌合凹部10内において、シール部材4の側面とナット3嵌合凹部10の内側面との間にシール手段5が嵌挿されている。そして、シール手段5は、ボールねじ1の作動時において、シール手段5の膨潤性シート13が、ねじ軸2とナット3との間に充填された潤滑剤を吸収して膨潤することにより、シール部材4の側面とナット3嵌合凹部10の内側面との間を密接にシールすることとなる。なお、シール手段5においては、膨潤性シート13の膨潤により、シール部材4の側面及びナット3嵌合凹部10の内側面が多少粗い場合においても両者を密接にシールすることが可能となる。
これにより、ボールねじ1によれば、ボールねじ1への潤滑剤の補給時に、ナット3とシール部材4との間からの潤滑剤の漏出を防止することが可能となり、その結果、補給された潤滑剤の流れをシール部材4とねじ軸2との間に集中させることにより、ねじ軸2の外周面に付着した異物を潤滑剤により効率よく洗い流すことが可能となる。
さらに、ボールねじ1によれば、補給された潤滑剤の排出口がシール部材4とねじ軸2との間のみとなることにより、ナット3内部の潤滑剤の流れが整流化され、古い潤滑剤が流れに従い効率的に排出されるため、潤滑剤の補給量を減らすことができる。
さらに、ボールねじ1によれば、補給された潤滑剤の排出口がシール部材4とねじ軸2との間のみとなることにより、ナット3内部の潤滑剤の流れが整流化され、古い潤滑剤が流れに従い効率的に排出されるため、潤滑剤の補給量を減らすことができる。
次に、本発明の第二実施形態に係る直線運動装置を図面を参照して説明する。
図4は本発明の第二実施形態に係るボールねじの構成図である。
なお、本実施形態においては、本発明に係る直線運動装置を接触型シールを備えたボールねじとして構成した場合を例にして説明する。
本実施形態に係るボールねじ20の基本構成は、ボールねじ1と同様であるため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
ボールねじ20は、図3に示すように、ねじ軸2と、ねじ軸2が嵌挿されるナット23と、ナット23の各端部に設置される2組のシール部材24及びシール手段25とを備えている。
ナット23の基本的構成は、ナット3と同様であるが、ナット23の各端面には、略円筒状の嵌合凸部27が形成されている。
図4は本発明の第二実施形態に係るボールねじの構成図である。
なお、本実施形態においては、本発明に係る直線運動装置を接触型シールを備えたボールねじとして構成した場合を例にして説明する。
本実施形態に係るボールねじ20の基本構成は、ボールねじ1と同様であるため、同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
ボールねじ20は、図3に示すように、ねじ軸2と、ねじ軸2が嵌挿されるナット23と、ナット23の各端部に設置される2組のシール部材24及びシール手段25とを備えている。
ナット23の基本的構成は、ナット3と同様であるが、ナット23の各端面には、略円筒状の嵌合凸部27が形成されている。
シール部材24は、ナット23の各端部に止めねじ39により固定されるシールハウジング30と、シールハウジング30の内周部に配設される潤滑剤供給部材31と、シールハウジング30の端面に止めねじ37により固定される接触シール33とを備えてなる。
シールハウジング30は、略円筒状に形成されている。シールハウジング30の両端面のうち一方には、ナット23の嵌合凸部27が嵌挿される、円環状の嵌合凹部34が形成されている。また、シールハウジング30の両端面のうち他方には、止めねじ37が螺合される複数のねじ孔35が螺設されている。また、シールハウジング30の嵌合凹部34の周面には、止めねじ39が螺合される複数のねじ孔38が螺設されている。
シールハウジング30は、略円筒状に形成されている。シールハウジング30の両端面のうち一方には、ナット23の嵌合凸部27が嵌挿される、円環状の嵌合凹部34が形成されている。また、シールハウジング30の両端面のうち他方には、止めねじ37が螺合される複数のねじ孔35が螺設されている。また、シールハウジング30の嵌合凹部34の周面には、止めねじ39が螺合される複数のねじ孔38が螺設されている。
潤滑剤供給部材31は、潤滑剤含有ポリマからなり、潤滑剤が経時的に徐々に滲み出すことで、ねじ軸2とナット23との間に潤滑剤を充填可能に形成されている。
接触シール33は、樹脂により円環状に形成されている。また、接触シール33の側面には、止めねじ37が螺合される複数のねじ孔36が螺設されている。
シール手段25の基本的構成は、シール手段5と同様である。そして、シール手段25は、円環状に形成されたシール手段25にナット23の嵌合凸部27が嵌挿され、ナット23の端面とシールハウジング30の前記一方の端面との間に設置されることで、ナット23とシール部材24との間からの潤滑剤の漏出を防止可能に備えられている。
接触シール33は、樹脂により円環状に形成されている。また、接触シール33の側面には、止めねじ37が螺合される複数のねじ孔36が螺設されている。
シール手段25の基本的構成は、シール手段5と同様である。そして、シール手段25は、円環状に形成されたシール手段25にナット23の嵌合凸部27が嵌挿され、ナット23の端面とシールハウジング30の前記一方の端面との間に設置されることで、ナット23とシール部材24との間からの潤滑剤の漏出を防止可能に備えられている。
次に、ボールねじ20の作用について説明する。
ボールねじ20においては、ねじ軸2とナット23との相対移動時に、シール部材24の接触シール33の内端部がねじ軸2の外周面に摺接することにより、ねじ軸2とナット23との間への塵埃等の異物の侵入を防止することを可能としている。
ここで、ボールねじ20でも、ボールねじ1と同様に、一定時間稼動後にナット3のグリースニップル16から潤滑剤を注入し、ねじ軸2とナット23との間へ潤滑剤の補給を行う必要がある。
ボールねじ20においては、ねじ軸2とナット23との相対移動時に、シール部材24の接触シール33の内端部がねじ軸2の外周面に摺接することにより、ねじ軸2とナット23との間への塵埃等の異物の侵入を防止することを可能としている。
ここで、ボールねじ20でも、ボールねじ1と同様に、一定時間稼動後にナット3のグリースニップル16から潤滑剤を注入し、ねじ軸2とナット23との間へ潤滑剤の補給を行う必要がある。
そして、ねじ軸2とナット23との間に潤滑剤が補給されると、ナット23の内部に残留している古い潤滑剤がねじ軸2と接触シール33との間から押し出され、補給された新しい潤滑剤に入れ替わる。この場合、ナット3内部の劣化した潤滑剤や異物は、ねじ軸2と接触シール33との間に多く溜まることとなる。
ここで、一般的に、ナット23に対する接触シール33及び潤滑剤供給部材31の取り付けを容易にする必要上、シールハウジング30の嵌合凹部34とこれに嵌挿されるナット23の嵌合凸部27との間には寸法公差があるため、嵌合凹部34とナット23との間には隙間を有している。
ここで、一般的に、ナット23に対する接触シール33及び潤滑剤供給部材31の取り付けを容易にする必要上、シールハウジング30の嵌合凹部34とこれに嵌挿されるナット23の嵌合凸部27との間には寸法公差があるため、嵌合凹部34とナット23との間には隙間を有している。
そこで、ボールねじ20においては、ナット23の端面とシールハウジング30の前記一方の端面との間にシール手段25が設置されている。そして、ボールねじ20の作動時において、シール手段25の膨潤性シート13が潤滑剤を吸収して膨潤することにより、ナット23の端面とシールハウジング30の前記一方の端面との間を密接にシールすることが可能になる。
これにより、ボールねじ20によれば、ボールねじ20への潤滑剤の補給時に、ナット23とシール部材24との間からの潤滑剤の漏出を防止することが可能となり、その結果、補給された潤滑剤の流れを接触シール33とねじ軸2との間に集中させることにより、ねじ軸2の外周面に付着した異物を潤滑剤により効率よく洗い流すことが可能となる。
さらに、ボールねじ20によれば、補給された潤滑剤の排出口が接触シール33とねじ軸2との間のみとなることにより、ナット23内部の潤滑剤の流れが整流化され、古い潤滑剤が流れに従い効率的に排出されるため、潤滑剤の補給量を減らすことができる。
さらに、ボールねじ20によれば、補給された潤滑剤の排出口が接触シール33とねじ軸2との間のみとなることにより、ナット23内部の潤滑剤の流れが整流化され、古い潤滑剤が流れに従い効率的に排出されるため、潤滑剤の補給量を減らすことができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態においては、種々の変更を行うことが可能である。
例えば、本発明の第一及び第二実施形態においては、本発明に係るシール手段を、円環のシート状のシール手段5,25として構成しているが、本発明に係るシール手段として流体を用いる構成としても構わない。
例えば、本発明の第一及び第二実施形態においては、本発明に係るシール手段を、円環のシート状のシール手段5,25として構成しているが、本発明に係るシール手段として流体を用いる構成としても構わない。
この場合、ボールねじ1におけるシール部材4の側面とナット3嵌合凹部10の内側面との間又は、ボールねじ20におけるナット23の端面とシールハウジング30の前記一方の端面との間に流体が充填される。そして、充填される流体としては、シリコングリース、コーキング剤等、ねじ軸2とナット3,23との間に充填される潤滑剤に対して粘性の高い流体が用いられる。
また、本発明の第一及び第二実施形態においては、本発明に係る直線運動装置をボールねじとして構成しているが、リニアガイド、ボールスプライン、その他の直線運動装置として構成することも可能である。
また、本発明の第一及び第二実施形態においては、本発明に係る直線運動装置をボールねじとして構成しているが、リニアガイド、ボールスプライン、その他の直線運動装置として構成することも可能である。
1 ボールねじ
2 ねじ軸
3 ナット
4 シール部材
5 シール手段
7 転動体転動溝
8 転動体転動溝
9 転動体
10 嵌合凹部
11 ねじ孔
12 止めねじ
13 膨潤性シート
14 芯材
15 潤滑剤補給路
16 グリースニップル
17 係止凹部
18 止め輪
20 ボールねじ
23 ナット
24 シール部材
25 シール手段
27 嵌合凸部
30 シールハウジング
31 潤滑剤供給部材
33 接触シール
34 嵌合凹部
35 ねじ孔
36 ねじ孔
37 止めねじ
38 ねじ孔
39 止めねじ
40 ボールねじ
41 ねじ軸
42 ねじ溝
43 ボールナット
44 ねじ溝
45 ボール
46 ラビリンスシール
47 嵌合部
48 貫通穴
49 止めねじ
50 ボールねじ
51 止め輪
52 係止凹部
60 ボールねじ
61 ねじ軸
62 ナット
63 シール部材
64 潤滑剤供給部材
65 シールハウジング
66 止めねじ
67 接触シール
68 嵌合部
69 止めねじ
70 グリースニップル
71 潤滑剤補給路
2 ねじ軸
3 ナット
4 シール部材
5 シール手段
7 転動体転動溝
8 転動体転動溝
9 転動体
10 嵌合凹部
11 ねじ孔
12 止めねじ
13 膨潤性シート
14 芯材
15 潤滑剤補給路
16 グリースニップル
17 係止凹部
18 止め輪
20 ボールねじ
23 ナット
24 シール部材
25 シール手段
27 嵌合凸部
30 シールハウジング
31 潤滑剤供給部材
33 接触シール
34 嵌合凹部
35 ねじ孔
36 ねじ孔
37 止めねじ
38 ねじ孔
39 止めねじ
40 ボールねじ
41 ねじ軸
42 ねじ溝
43 ボールナット
44 ねじ溝
45 ボール
46 ラビリンスシール
47 嵌合部
48 貫通穴
49 止めねじ
50 ボールねじ
51 止め輪
52 係止凹部
60 ボールねじ
61 ねじ軸
62 ナット
63 シール部材
64 潤滑剤供給部材
65 シールハウジング
66 止めねじ
67 接触シール
68 嵌合部
69 止めねじ
70 グリースニップル
71 潤滑剤補給路
Claims (4)
- 外面に転動体転動溝を有する内方部材と、前記内方部材の外側に配置され、内面に前記内方部材の転動体転動溝に対向する転動体転動溝を有する外方部材と、前記内方部材の転動体転動溝と前記外方部材の転動体転動溝との間に転動自在に配置される複数の転動体と、前記内方部材と前記外方部材との間をシールするシール部材と、前記内方部材と前記外方部材との間に充填される潤滑剤と、前記内方部材と前記外方部材との間に外部から前記潤滑剤を補給する補給口とを備えてなる直線運動装置において、
前記外方部材と前記シール部材との間からの前記潤滑剤の漏出を防止するシール手段を備えることを特徴とする直線運動装置。 - 前記シール手段は、前記潤滑剤により膨潤する素材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の直線運動装置。
- 前記シール手段は、前記潤滑剤により膨潤する素材により形成された2枚の膨潤性シートと、前記両膨潤性シート間に介装される薄板状の芯材とから3層に形成され、前記芯材は、前記膨潤性シートと比較して曲げ剛性が高く、かつ前記潤滑剤により膨潤しない又は膨潤しにくい素材により形成されていることを特徴とする請求項1記載の直線運動装置。
- 前記シール手段は、前記潤滑剤に対して粘性の高い流体であることを特徴とする請求項1項記載の直線運動装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006232330A JP2008057576A (ja) | 2006-08-29 | 2006-08-29 | 直線運動装置 |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2006
- 2006-08-29 JP JP2006232330A patent/JP2008057576A/ja active Pending
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