JP2011181939A - ポリシロキサン縮合反応物を用いたトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法 - Google Patents

ポリシロキサン縮合反応物を用いたトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板に形成された開口幅が狭く高アスペクトなトレンチ内に埋め込むために好適な縮合反応物溶液であって、ポットライフが長く、トレンチ埋め込み用として使用した場合のトレンチ内への埋め込み性が良好で、焼成して酸化シリコンとしたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性及びHF耐性に優れる縮合反応物溶液を用いる絶縁膜の形成方法を提供する。
【解決手段】半導体素子に形成されたトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法であって、特定構造のシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物と、シリカ粒子とを含有する縮合成分から得られる縮合反応物、及び溶媒を含み、該シラン化合物が4官能シラン化合物及び3官能シラン化合物を含有する縮合反応物溶液を、基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程と、該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程とを含むトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリシロキサン縮合反応物溶液に関し、より詳しくは、半導体素子に形成されたトレンチの埋め込み用途に好適なポリシロキサン縮合反応物溶液に関し、更に詳しくは、絶縁保護膜用に好適なトレンチ埋め込み用のポリシロキサン縮合反応物溶液に関する。本発明はまた、上記のポリシロキサン縮合反応物溶液の製造方法、及び該ポリシロキサン縮合反応物溶液の用途、より詳しくはトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法に関する。
近年、メモリの集積度を高めるために、メモリセルを3次元的に配置した半導体記憶装置が多数提案されている。このような半導体装置において、メモリセル及び回路素子等の間隙にあたる箇所にトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁材料を埋め込むことにより、メモリセル間及び回路素子間等の電気的分離を行う必要がある。メモリの集積度が高まるにつれて、トレンチの開口幅が狭く、トレンチのアスペクト比(すなわち、トレンチの深さを、トレンチの開口幅で除した値)が大きくなる傾向にある。更に、3次元構造の半導体記憶装置においては、700℃以上の高温で焼成したときに、より厚膜でのクラック耐性を有することが求められる。
このようなトレンチ埋め込みのための材料としては、高い電気絶縁性が求められるという理由でシリコン酸化物が広く好適に用いられている。
トレンチ内にシリコン酸化物を埋め込むための手段としては、従来、CVD法により、トレンチを有するシリコン基材上にシリコン酸化物膜を形成している。しかしながら、近年半導体素子の微細化に伴い、開口幅が狭くなり、アスペクト比が大きくなる傾向がある。そのため、開口幅が0.2μm以下であり、かつアスペクト比が2以上のトレンチにCVD法によりシリコン酸化物を埋めると、トレンチの中にボイド(未充填部分)やシーム(継ぎ目状の未充填部分)が発生し易い問題があった。
CVD法以外の方法として、塗布法により微細溝を埋設し、酸化雰囲気下の焼成によりシリカ膜を形成する方法が知られている。この方法で用いる材料としてはポリシラザン材料、ポリシラン材料、及びシリコーン材料が知られている。
ポリシラザン材料の中で、水素化ポリシラザンは、トレンチ埋め込み性が良く、シリコン酸化物膜への転化時の硬化収縮が少ない特長が報告されている(例えば特許文献1)。しかしながら、水素化ポリシラザンは水蒸気酸化による焼成を必要とするため、基板が酸化されやすいという問題がある。更に近年、トレンチ幅がより狭く、トレンチの深さがより深くなる傾向にあるため、埋め込み性不足の問題、及び厚膜ではクラックが生じる問題、また焼成時にアンモニアガスが発生するため危険であるといった問題があった。
また、ポリシラン材料は、塗布したポリシラン化合物が蒸発し易く、また厚膜ではクラックが生じる問題を有していた(例えば特許文献2)。
シリコーン材料は、塗膜焼成時に脱水、及び脱アルコール縮合反応を伴うため、得られたシリコン酸化物膜中にボイド及びクラックが発生する問題があった。また、シリコーン材料からシリコン酸化物に転化する際に大きな硬化収縮を伴うため、膜表面からトレンチの底部に向かって密度が不均一になるといった問題があった。
シリコーン材料を用いてボイド及びクラックの発生を回避する方法として、シリカ粒子とポリシロキサン化合物とによる組成物が提案されている(例えば特許文献3)。
しかしながら、特許文献3で酸化シリコン粒子と定義されるシリカ粒子とシリコン原子バインダーと定義されるポリシロキサン化合物とは混合されているだけであるため、溶液のポットライフ(室温での保存安定性)が悪いという問題があり、また開口幅30nm以下であり、かつアスペクト比が15以上のトレンチへの埋め込み性が悪く、ボイドが発生するといった問題があった。
シリカ粒子とポリシロキサン化合物とを縮合反応させた材料については、例えば特許文献4〜6に記載されている。しかしながら特許文献4〜6に記載される材料は層間絶縁膜用途等のために設計された材料である。トレンチへの埋め込み性は層間絶縁膜用途では求められていないため、これらの文献にトレンチへの埋め込み性についての記載はない。
特開2001−308090号公報 特開2003−31568号公報 特開2006−310448号公報 特許第3320440号公報 特許第2851915号公報 特許第3163579号公報
更に、本発明者らが追試実験を行ったところ、特許文献4〜6で加水分解物と定義されるポリシロキサン化合物中の4官能シラン化合物に由来する成分の割合が100mol%の場合、クラック耐性が悪く厚み1μm以上の厚膜が形成されないといった問題、及びHF耐性が悪いといった問題があることを見出した。また、ポリシロキサン化合物中の3官能シラン化合物に由来する成分の割合が100mol%の場合、成膜性、基板への密着性、及びトレンチへの埋め込み性が悪いといった問題があることを見出した。更に、4官能シラン化合物と3官能シラン化合物とから成るポリシロキサン化合物に関し、特許文献4〜6では、シリカゾルと定義されるシリカ粒子比率70質量%以上の化合物の例があるが、この例ではシリカ粒子比率が高いため、クラック耐性及びトレンチへの埋め込み性が悪いといった問題があることを見出した。
本発明は、ポットライフが長く、焼成して酸化シリコンとしたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性及びHF耐性に優れる縮合反応物の提供を目的とする。本発明は更に、基板に形成された開口幅が狭く高アスペクトなトレンチ内に埋め込むために好適に使用できる縮合反応物であって、ポットライフが長く、基板への成膜性及び密着性が良好で、トレンチ埋め込み用として使用した場合のトレンチ内への埋め込み性が良好で、焼成して酸化シリコンとしたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性及びHF耐性に優れる縮合反応物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成する方法を開発すべく鋭意研究を行った結果、以下に示す縮合反応物溶液が、ポットライフが長く、焼成して酸化シリコンとしたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性及びHF耐性に優れることを見出し、特に、トレンチ内への良好な埋め込み性によってトレンチ埋め込み用組成物として有用であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 半導体素子に形成されたトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法であって、
(I)(i)下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させて得られる縮合反応物、及び
(II)溶媒
を含み、
該一般式(1)で表されるシラン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である、縮合反応物溶液を、基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程と、
該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程と、
を含む、トレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[2] 該縮合成分が、該ポリシロキサン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下と該シリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有し、
該ポリシロキサン化合物中の、下記一般式(2):
SiX2 4 (2)
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上40mol%以下である、上記[1]に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[3] 該ポリシロキサン化合物中の、下記一般式(3):
2SiX3 3 (3)
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合が60mol%以上95mol%以下である、上記[1]又は[2]に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[4] 29SiNMR分析における、該縮合反応物中の全4官能シロキサン成分のピーク強度(A)と、該縮合反応物中のシロキサン結合数4つに相当する成分のピーク強度(B)とが
{(B)/(A)}≧0.50
の関係を満たす、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[5] 該縮合反応物の重量平均分子量が、1,000以上20,000以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[6] 半導体素子に形成されたトレンチ埋め込み用絶縁膜を形成するための縮合反応物溶液であって、
(I)(i)下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させて得られる縮合反応物、及び
(II)溶媒
を含み、
該一般式(1)で表されるシラン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である、トレンチ埋め込み用絶縁膜形成用縮合反応物溶液。
本発明の縮合反応物溶液は、ポットライフが長く、焼成して酸化シリコンとしたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性及びHF耐性に優れ、更にトレンチ埋め込み用として使用した場合にはトレンチ内への埋め込み性に優れる。よって、本発明の縮合反応物溶液は、基板に形成された開口幅が狭く高アスペクト比なトレンチ内に埋め込むために特に好適である。
本発明の実施例1の29SiNMRスペクトルである。 本発明の比較例3の29SiNMRスペクトルである。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[縮合反応物溶液]
本発明は、(i)下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}で表されるシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させて得られる縮合反応物、及び(II)溶媒を含み、該一般式(1)で表されるシラン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である、縮合反応物溶液を提供する。なお本明細書で記載する縮合成分中の含有量は、縮合成分における全成分合計質量(但し、ポリシロキサン化合物及び任意のシラン化合物の量については縮合換算量に置き換える)を100質量%としたときの量である。
本発明は、上記のように、シリカ粒子と、上記2種類以上のシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物との割合が最適化された縮合成分を縮合反応させることにより、厚膜化と、開口幅が狭く高アスペクト比なトレンチへの埋め込みとの両立を可能にする。本発明では、トレンチへボイド及びシームを発生させずに縮合反応物を埋め込むためには、該縮合反応物の組成の最適化が有効であることを見出し、更に好ましくは、縮合反応物の粘度の低減が有効であることを見出した。そして、該粘度は、縮合反応物の分子量とQ構造のシラノール基割合とを最適化することによって下げることが可能であることを見出した。
<縮合反応物>
縮合反応物は、上記一般式(1)で表され、4官能シラン化合物及び3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物と、シリカ粒子と、を所定の組成で含有する縮合成分を縮合反応させて得られる。
(ポリシロキサン化合物)
本発明において使用されるポリシロキサン化合物は、上記一般式(1)で表されるシラン化合物に由来する。より具体的には、該ポリシロキサン化合物は、上記一般式(1)で表されるシラン化合物の重縮合物である。更に、本発明で用いる、一般式(1)で表されるシラン化合物は、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である。
上記一般式(1)中のR1の具体例としては:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、iso−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、iso−ノニル、n−デシル、iso−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基;ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式及び環式のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基;PhCH=CH−基等のアラアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;等が挙げられる。更に、R1の具体例としては水素原子が挙げられる。この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、収縮率が小さい縮合反応物を与えることができる点で、R1は、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
上記一般式(1)中のX1の具体例としては、例えば:塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基;等が挙げられる。この中でも、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基が、縮合反応の反応性が高いため好ましい。
上記ポリシロキサン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物に由来する成分を含むことにより、成膜性及び基板への密着性が良好になり、一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物に由来する成分を含むことにより、クラック耐性及びHF耐性が良好になり、更に埋め込み性が良好になる。本発明においては、上記特定組成の2種類以上のシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物を用いることにより、成膜性、基板への密着性、クラック耐性及びHF耐性、更には埋め込み性を併せ持つ縮合反応物溶液が得られる。以下に4官能シラン化合物と3官能シラン化合物とのより好ましい態様について説明する。
本発明において使用するポリシロキサン化合物中の、下記一般式(2):
SiX2 4 (2)
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合は、5mol%以上40mol%以下であることが好ましい。なお上記一般式(2)中のX2の構造は上記一般式(1)中のX1の構造に対応しており、一般式(2)の構造は一般式(1)の構造の一部を表している。ポリシロキサン化合物中の、一般式(2)で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上である場合、成膜性及び基板への密着性が良好であるため好ましく、該割合はより好ましくは10mol%以上である。一方、該割合が40mol%以下である場合、HF耐性が良好であるため好ましく、該割合はより好ましくは35mol%以下、更に好ましくは30mol%以下である。
上記一般式(2)中のX2の具体例としては、例えば:塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基等が挙げられる。この中でも、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基が、縮合反応の反応性が高いため好ましい。
中でも、本発明において使用する縮合成分が、一般式(1)で表されるポリシロキサン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下とシリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有し、かつ該ポリシロキサン化合物中の上記一般式(2)で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上40mol%以下である態様は特に好ましい。
本発明において使用するポリシロキサン化合物中の、下記一般式(3):
2SiX3 3 (3)
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合は、60mol%以上95mol%以下であることが好ましい。なお上記一般式(3)中のX3の構造は上記一般式(1)中のX1に対応しており、上記一般式(3)中のR2の構造は上記一般式(1)中のR1の一部の態様を表している。すなわち一般式(3)の構造は一般式(1)の構造の一部を表している。ポリシロキサン化合物中の、一般式(3)で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合が60mol%以上である場合、HF耐性及びクラック耐性が良好であるとともに埋め込み性が良好であるため好ましく、該割合はより好ましくは65mol%以上、更に好ましくは70mol%以上である。一方、該割合が95mol%以下である場合、成膜性及び基板への密着性が良好であるため好ましく、該割合はより好ましくは90mol%以下である。
なお、ポリシロキサン化合物の構造、特に、上記一般式(1)、(2)及び(3)でそれぞれ表される構造の存在及び含有量は、29SiNMR分析により確認できる。
上記一般式(3)中のR2の具体例としては:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、iso−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、iso−ノニル、n−デシル、iso−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基;ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式及び環式のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基;PhCH=CH−基等のアラアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;等が挙げられる。この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、収縮率が小さい縮合反応物を与えることができる点で、R2は、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
上記一般式(3)中のX3の具体例としては、例えば:塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基;等が挙げられる。この中でも、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基が、縮合反応の反応性が高いため好ましい。
(ポリシロキサン化合物の製造)
ポリシロキサン化合物は、例えば上記したシラン化合物を水の存在下で重縮合させる方法により製造できる。このとき、酸性雰囲気下、上記一般式(1)で表されるシラン化合物に含有されるX1の数に対して、好ましくは0.1当量以上10当量以下、より好ましくは0.4当量以上8当量以下の範囲で水を存在させて重縮合を行う。水の存在量が上記の範囲内である場合、縮合反応物溶液のポットライフを長くし、成膜後のクラック耐性を向上させることができるため好ましい。
ポリシロキサン化合物を製造するために用いるシラン化合物が、上記一般式(1)中のX1としてハロゲン原子又はアセトキシ基を含有する場合は、縮合反応のために水を加えることによって、反応系が酸性を示すため、シラン化合物の他に酸触媒を用いても用いなくても、いずれでも構わない。一方、上記一般式(1)中のX1がアルコキシ基である場合は、酸触媒を加えることが好ましい。
酸触媒としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
上記の無機酸及び有機酸は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。また使用される酸触媒の量は、ポリシロキサン化合物を製造する際の反応系のpHを0.01〜7.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲に調整する量であることが好ましい。この場合、ポリシロキサン化合物の重量平均分子量を良好に制御できる。
ポリシロキサン化合物は、有機溶媒中又は水と有機溶媒との混合溶媒中で製造することができる。上記有機溶媒としては、例えばアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素化合物類、アミド化合物類等が挙げられる。
上記アルコール類としては、例えば:メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類;等が挙げられる。
上記エステル類としては例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
上記ケトン類としては例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテル類としては、上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えば:エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素類としては例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記アミド化合物類としては例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物系溶媒が、水と混合しやすく、シリカ粒子を分散させやすい点で好ましい。
好ましい態様において、ポリシロキサン化合物は、アルコール水溶液中、pH5以上7未満の弱酸性条件での加水分解重縮合により製造できる。
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、複数種の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
ポリシロキサン化合物を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲で行う。上記の温度範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物の分子量を容易に制御することができる。
縮合成分中のポリシロキサン化合物の含有量は、ポリシロキサン化合物の縮合換算量で40質量%以上99質量%以下であるように設定する。本明細書において、ポリシロキサン化合物の縮合換算量とは、ポリシロキサン化合物中に残存するX1(X1は、一般式(1)に関して先に定義した通りである)を、1/2個の酸素原子に置き換えて得られる量を意味する。該縮合換算量が40質量%以上であることは、成膜性及びトレンチへの埋め込み性が良好である点で好ましい。該縮合換算量はより好ましくは50質量%以上、更に好ましくは55質量%以上である。一方、該縮合換算量が99質量%以下であることは、低収縮率及び良好なクラック耐性が得られる点で好ましい。該縮合換算量はより好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
(シリカ粒子)
本発明において使用されるシリカ粒子としては、例えばヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
上記ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えばハロゲン化ケイ素(例えば塩化ケイ素等)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解・縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えばジフェニルジクロロシラン等)等が挙げられる。中でも、金属、ハロゲン等の不純物は少ないことが好ましいため、アルコキシケイ素から得られたコロイダルシリカがより好ましい。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは20nm以下、最も好ましくは15nm以下である。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、クラック耐性が良好であり好ましく、120nm以下である場合、トレンチへの埋め込み性が良好であり好ましい。
シリカ粒子の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは40nm以下、最も好ましくは30nm以下である。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、クラック耐性が良好であり好ましく、250nm以下である場合、トレンチへの埋め込み性が良好であり好ましい。
また、シリカ粒子の平均二次粒子径は、上記の範囲内で、かつ基板に形成されたトレンチのうち、最小の開口幅の0.1〜3倍であることが、トレンチへの埋め込み性が良好である点で好ましく、上記最小の開口幅の0.1〜2倍であることが更に好ましい。
上記平均一次粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値であり、上記平均二次粒子径は、動的光散乱光度計で測定される値である。
シリカ粒子の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等の略球状である場合も含むものである。
シリカ粒子の比表面積は、HF耐性が良好である点で、BET比表面積が25m2/g以上であることが好ましく、より好ましくは70m2/g以上、更に好ましくは140m2/g以上、最も好ましくは180m2/g以上である。上記BET比表面積は、N2分子の圧力とガス吸着量とから計算される方法で測定される値である。
シリカ粒子としては、上記の要件に適合する限りで、制限は無く、市販品を使用することもできる。
市販品としては、コロイダルシリカとして、例えばLEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等がそれぞれ挙げられる。シリカ粒子は、分散媒に分散させた形で用いることもできる。その場合の含有量は、正味のシリカ粒子の質量、すなわち分散液の質量にシリカ粒子の濃度を乗じた値を用いて算出する。
縮合成分中のシリカ粒子の含有量は、1質量%以上60質量%以下である。該含有量が1質量%以上であることは、低収縮率及び良好なクラック耐性が得られる点で好ましい。該含有量はより好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。一方、該含有量が60質量%以下であることは、成膜性及びトレンチへの埋め込み性が良好である点で好ましい。該含有量はより好ましくは50質量%以下、更に好ましくは45質量%以下である。
(シラン化合物)
本発明において用いる縮合反応物の製造の際に用いる縮合成分は、上記のポリシロキサン化合物及びシリカ粒子からなることもできるし、他の成分を含むこともできる。他の成分としては、例えば上記一般式(1)で表されるシラン化合物を使用できる。この場合、例えば以下の2段階の縮合反応を採用できる。すなわち、シリカ粒子を溶媒中に分散させた分散体にポリシロキサン化合物溶液を加えて縮合反応させる方法等によって、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とをまず縮合反応させる(第1段階)。次いで、得られた反応液に、上記一般式(1)で表されるシラン化合物を更に反応させる(第2段階)。縮合成分として使用される上記一般式(1)で表されるシラン化合物は1種類でもよいし複数種でもよい。複数種のシラン化合物を使用する場合には、例えば上記の第2段階において、1種類ずつ順次反応系中に加えてもよいし、複数種のシラン化合物を混合させてから反応系中に加えてもよい。
縮合成分としての上記一般式(1)で表されるシラン化合物を用いる場合、縮合成分中の該シラン化合物の含有量は、該シラン化合物の縮合換算量で0質量%超過40質量%以下であるように設定することが好ましい。ここで、上記シラン化合物の縮合換算量とは、一般式(1)中のX1を1/2個の酸素原子に置き換えて得られる量を意味する。該縮合換算量が0質量%超過であることは、縮合反応物溶液のポットライフが長い点で好ましい。該縮合換算量は、より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.03質量%以上である。一方、該縮合換算量が40質量%以下であることは、クラック耐性が良好である点で好ましい。該縮合換算量は、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(縮合反応物の特性)
シリカ粒子、及び上記一般式(1)で表されるシラン化合物のうちn=0の(すなわち上記一般式(2)で表される)4官能シラン化合物に由来する4官能シロキサン成分をQ成分とすると、溶液又は固体の29SiNMR分析より、シロキサン結合数が0〜4にそれぞれ相当するQ0〜Q4成分量を求めることができる。本発明においては、29SiNMR分析における、縮合反応物中の全4官能シロキサン成分(すなわち、シロキサン結合数が0に相当する成分(Q0成分)、シロキサン結合数が1つに相当する成分(Q1成分)、シロキサン結合数が2つに相当する成分(Q2成分)、シロキサン結合数が3つに相当する成分(Q3成分)、及びシロキサン結合数が4つに相当する成分(Q4成分)の合計)のピーク強度(A)と、該縮合反応物中のシロキサン結合数4つに相当する成分(すなわちQ4成分)のピーク強度(B)との比が、{(B)/(A)}≧0.50の関係を満たすことが好ましい。上記比は、より好ましくは{(B)/(A)}≧0.6であり、更に好ましくは{(B)/(A)}≧0.7である。上記比が上記範囲内である場合、縮合反応物中の、シラノール基、アルコキシ基等の末端基が少ないため、硬化収縮率が小さく、トレンチ埋め込み性が良好で、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。なお、各Q成分のピーク強度はピーク面積から算出する。
縮合反応物の重量平均分子量は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、更に好ましくは1,000以上10,000以下である。該縮合反応物の重量平均分子量が1,000以上である場合、成膜性及びクラック耐性が良好であり、重量平均分子量が20,000以下である場合、トレンチ埋め込み性が良好で、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。なお上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定され、標準ポリメチルメタクリレート換算で算出される値である。分子量の測定は、例えば東ソー製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、HLC−8220、TSKgelGMHHR−Mカラムを使用し、アセトン溶媒中、縮合反応物を1質量%溶液にして測定でき、示差屈折率計(RI)により標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
(溶媒)
本発明の縮合反応物溶液は溶媒を含有する。溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる少なくとも1種類の溶媒が挙げられ、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒がより好ましい。また、これらの溶媒の沸点は100℃以上200℃以下であることが好ましい。本発明の縮合反応物溶液中の溶媒の含有量は、縮合反応物100質量部に対して、好ましくは100質量部以上1900質量部以下、より好ましくは150質量部以上900質量部以下である。溶媒の上記含有量が100質量部以上である場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く、1900質量部以下である場合、トレンチ埋め込み性が良好であるため好ましい。
上記のアルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒の具体例としては、例えばブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメトキシエーテル、プロピレングリコールモノエトキシエーテル等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソアミルケトン、エチルヘキシルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。
本発明においては、沸点100℃以上200℃以下の、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が、縮合反応物溶液に含有される溶媒全体の50質量%以上を構成することが好ましい。この場合、縮合反応物溶液中に、沸点100℃以下の溶媒が混合されていても構わない。沸点が100℃以上200℃以下の、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が溶媒全体の50質量%以上を構成する場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く、また成膜性が良好であるため好ましい。
(縮合反応物溶液の製造)
上述した本発明の縮合反応物溶液の好ましい製造方法について以下に説明する。
本発明の別の態様は、上述した本発明の縮合反応物溶液を製造する方法であって、
下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物であって、該一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物、を加水分解重縮合して、ポリシロキサン化合物を得る第1の工程と、
該第1の工程で得たポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させる、第2の工程と、
を含む方法を提供する。
溶媒は、上記第1の工程及び上記第2の工程のいずれか又は両者において、任意のタイミングで反応系中に添加でき、又は存在させることができる。また、第2の工程の後に、溶媒を更に添加する第3の工程を任意に含むことができる。第3の工程においては、溶媒添加後、例えば沸点100℃以下の溶媒及び水を除去する溶媒置換処理を行ってもよい。
好ましい態様において、上記第1の工程において、一般式(1)で表されるシラン化合物として、
下記一般式(2):
SiX2 4 (2)
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物5mol%以上40mol%以下と、下記一般式(3):
2SiX3 3 (3)
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物60mol%以上95mol%以下との組合せのシラン化合物を使用できる。
第1の工程は、ポリシロキサン化合物の製造の項において詳述したような手法で行うことができる。
上記第2の工程において、上記ポリシロキサン化合物に上記シリカ粒子を縮合反応させる際には、溶媒中に分散した状態のシリカ粒子を用いて反応を進行させることができる。この溶媒は、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒であることができる。上記縮合反応時に反応系中に存在させる有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子が分散されている分散媒によって変わる。使用されるシリカ粒子の分散媒が水系の場合は、水及び/又はアルコール系溶媒をシリカ粒子に加えて得た水系分散液をポリシロキサン化合物と反応させてもよいし、シリカ粒子の水分散液に含まれる水を一度アルコール系溶媒に置換してから、このシリカ粒子のアルコール系分散液をポリシロキサン化合物と反応させてもよい。使用できるアルコール系溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール系溶媒が好ましく、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられる。これらは、水と容易に混合できるため好ましい。
使用されるシリカ粒子の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶媒である場合は、水又はアルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を、縮合反応時に反応系中に存在させる溶媒として使用することができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテルとしては、例えばジメトキシエタンが挙げられる。ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステルとしては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル等が挙げられる。
好ましい態様において、第2の工程を炭素数1〜4のアルコール水溶液中で行うことができる。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とを縮合反応させる際の反応系のpHは、好ましくはpH=4〜9の範囲、より好ましくはpH=5〜8、特に好ましくはpH=6〜8の範囲に調整する。pHが上記範囲である場合、縮合反応物の重量平均分子量とQ成分のシラノール基割合とを容易に制御できるため好ましい。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応は、通常酸触媒の存在下で行う。酸触媒としては、ポリシロキサン化合物の製造に用いるものとして前述したのと同じ酸触媒を挙げることができる。ポリシロキサン化合物の製造後に酸触媒を取り除く場合には、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とを反応させる際に酸触媒を再度加えることが通常必要であるが、ポリシロキサン化合物の製造後に酸触媒を取り除かずそのままシリカ粒子を反応させる場合は、酸触媒を再度加えなくても、ポリシロキサン化合物を反応させる際に使用した酸触媒でポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応を行うことができる。しかし、この場合、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応時に改めて酸触媒を加えても構わない。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応温度は、好ましくは0℃以上200℃以下、より好ましくは50℃以上150℃以下である。反応温度が上記範囲である場合、縮合反応物の重量平均分子量とQ成分のシラノール基割合とを容易に制御できるため好ましい。
特に好ましい態様において、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応は、炭素数1〜4のアルコール水溶液中、pH6〜8の条件下、50℃以上の温度で行う。
縮合成分として上記一般式(1)で表されるシラン化合物を用いる場合には、第2の工程において、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応(第1段階)の後、該縮合反応の生成物にシラン化合物を更に反応させる(第2段階)ことができる。該シラン化合物はニートで加えてもよいし、一度溶媒で希釈してから加えてもよい。希釈用の溶媒としては、例えばアルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系、ハロゲン化溶媒等が用いられる。
上記第2段階において、上記一般式(1)で表されるシラン化合物は、濃度1質量%以上100質量%以下(ニートの場合100質量%)の範囲で反応系中に添加することが好ましく、該濃度はより好ましくは3質量%以上50質量%以下である。該濃度が上記の範囲内である場合、縮合反応物製造時の溶媒使用量が少ないため好ましい。
典型的な態様においては、第1段階で、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応生成物を形成し、続いて第2段階で、一般式(1)で表されるシラン化合物を反応系中に添加し、−50℃以上200℃以下の範囲で、1分以上100時間以下の範囲で反応させることが好ましい。反応温度と反応時間とを制御することで、縮合反応物を成膜する際の縮合反応物溶液の粘度を制御することができ、反応温度と反応時間とが上記の範囲である場合には上記粘度を成膜のために特に好適な範囲に制御できる。
縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子及びシラン化合物の反応)後の反応液のpHは、6以上8以下に調整することが好ましい。pHは、例えば縮合反応後に蒸留によって酸を取り除くことによって調整できる。上記反応液のpHが上記範囲内である場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。
アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる溶媒(好ましくは沸点100℃以上200℃以下のもの)を、縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子及びシラン化合物との反応)の際にあらかじめ添加してもよいし、上記縮合反応を行った後に、第3の工程を設けて添加してもよいし、上記両者のタイミングで添加してもよい。
縮合反応物を形成した後に第3の工程を設ける場合には、縮合反応の際に使用した溶媒を蒸留等の方法により除去して得た濃縮物に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる沸点100℃以上200℃以下の溶媒を更に加えても構わない。
第2の工程における縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子及びシラン化合物の反応)の際に使用される溶媒(特に有機溶媒)、及び該縮合反応の際に生成するアルコールが、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる沸点100℃以上200℃以下の溶媒よりも沸点が低い場合は、縮合反応の際又は縮合反応後に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる沸点100℃以上200℃以下の溶媒を添加し、その後蒸留等の方法によって低沸点の溶媒を取り除くことが好ましい。この場合、縮合反応物溶液のポットライフが長くできる点で好ましい。
特に好ましい態様においては、第3の工程において、縮合反応後の反応液に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種類の沸点100℃以上200℃以下の溶媒を加えた後、沸点100℃以下の成分を留去する。これによって高沸点溶媒への溶媒置換を行うことができる。沸点100℃以下の成分としては、例えば、第1の工程及び/又は第2の工程を、水アルコール水溶液中、又は沸点100℃以下のアルコール中等で行った場合における、水、又は沸点100℃以下のアルコール等が挙げられる。
より具体的には、縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子及びシラン化合物の反応)の際に水及びアルコールを使用する場合には、縮合反応後に前述のような態様で溶媒を加えた後に、蒸留等の方法によって水及び沸点100℃以下のアルコールを取り除き、縮合反応物溶液中の沸点100℃以下の成分(すなわち水及び沸点100℃以下のアルコール)の含有量を1質量%以下にすることが好ましい。該含有量が上記範囲内である場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。
上記のような手順によって縮合反応物溶液を得た後に、イオンを除去するために精製を行ってもよい。イオンを除去する方法としては、例えばイオン交換樹脂によるイオン交換、限外ろ過、蒸留等が挙げられる。
本発明の好ましい態様は、本発明の縮合反応物溶液を製造する方法であって:
下記一般式(2):
SiX2 4 (2)
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物5mol%以上40mol%以下と、下記一般式(3):
2SiX3 3 (3)
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物60mol%以上95mol%以下とからなるシラン化合物を、アルコール水溶液中、pH5以上7未満の弱酸性条件で加水分解重縮合して、ポリシロキサン化合物を得る第1の工程と、
該第1の工程で得たポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、からなる縮合成分を、炭素数1〜4のアルコール水溶液中、pH6〜8の条件下、50℃以上の温度で縮合反応させて、反応液を得る第2の工程と、
該第2の工程で得た反応液に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種類の沸点100℃以上200℃以下の溶媒を加えた後、蒸留により沸点100℃以下の成分を留去することによって、縮合反応物溶液を得る第3の工程と
を含む方法を提供する。
(縮合反応物溶液の特性)
縮合反応物溶液を、開口幅が狭く高アスペクト比なトレンチ内に埋め込むためには、縮合反応物溶液の流動性が低いことが好ましい。本発明では、該流動性の低さを、縮合反応物溶液の固形分濃度50質量%における25℃での粘度で評価する。
本明細書において、縮合反応物溶液の固形分濃度とは、該溶液中に存在する、Si原子を有する化合物の濃度を意味する。該固形分濃度は、縮合反応物溶液を窒素雰囲気中、600℃で焼成した前後の重量を測定する方法で測定できる。また、25℃における粘度の値とは、E型粘度計を用い、粘度の値が安定したとき(ばらつきが2%以下)の値を意味する。本発明においては、上記縮合反応物溶液の固形分濃度が50質量%のときの25℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。該粘度は、より好ましくは200mPa・s以下であり、更に好ましくは100mPa・s以下であり、特に好ましくは70mPa・s以下である。該粘度が上記の範囲である場合、トレンチへの埋め込み性が良好であり好ましい。例えば、開口幅25nm以下、アスペクト比40以上のトレンチの場合は、上記粘度が70mPa・s以下であることが好ましい。
本発明の縮合反応物溶液は、例えば、半導体素子に形成されたトレンチの埋め込み用途に好適に使用される。
<絶縁膜の形成方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の縮合反応物溶液を基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程と、該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程とを含む、絶縁膜の形成方法を提供する。前述したような方法により製造された縮合反応物溶液は、通常の方法で基板上に塗布することができる。塗布方法としては例えばスピンコート法、ディップコート法、ローラーブレード塗布法、スプレー塗布法等が挙げられる。中でも成膜時の塗布厚みが均一である点でスピンコート法が好ましい。
上記基板としては例えばシリコン(Si)基板が挙げられる。また上記基板はトレンチ構造を有することができる。塗布工程において、トレンチ構造を有する基板に例えばスピンコーティング法によって縮合反応物溶液を塗布する場合、1段階の回転数で塗布しても、複数段階の回転数を組み合わせて塗布しても構わない。特に、少なくとも1段階目の回転数を低速にし、2段階目以降を高速にすることが好ましい。これは、1段階目に低速で回転させることによって縮合反応物を基板(例えばシリコン基板)全面に広げることができるため、及び埋め込み性が良好になるためである。また、縮合反応物の塗布回数は1回でも複数回でも構わないが、成膜性が良好であるという観点及び製造コストの観点から、1回で塗布することがより好ましい。例えば上記のような手順で塗布基板を得ることができる。
次いで、焼成工程において上記塗布基板を加熱する。塗布工程において基板に上記の方法で縮合反応物溶液を塗布した後、塗布膜中の残留溶媒を除くために50℃〜200℃の範囲で予備硬化させることが好ましい。そのとき、段階的に温度を上げても、連続的に温度を上げてもよい。予備硬化の雰囲気としては、酸化性雰囲気であっても非酸化性雰囲気であっても構わない。
予備硬化させて得られた膜を次いで加熱焼成することによって絶縁膜を得ることができる。上記の加熱焼成の方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネス等の一般的な加熱手段を適用することができる。加熱焼成は非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。また好ましい加熱温度は好ましくは200℃超過850℃以下であり、より好ましくは300℃超過800℃以下であり、更に好ましくは350℃超過750℃以下である。加熱温度が200℃超過である場合、得られる膜質が良好であるため好ましく、850℃以下である場合、耐クラック性が良好であるため好ましい。
非酸化性雰囲気とは、真空下、又はN2、Ar、Xe等の不活性雰囲気である。これらの不活性雰囲気中の酸素、水蒸気等の酸化性ガスの濃度は1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。非酸化性雰囲気の全圧力に特に制限は無く加圧、常圧、減圧のいずれでもよい。
700℃以上900℃以下の高温領域では水素を含む気体中で上記焼成工程を行うことがより好ましい。焼成工程で使用する水素を含む気体は、焼成工程の最初から、すなわち基板がまだ700℃以下の温度である時点から導入してもよいし、700℃に到達してから導入してもよい。さらに一旦700℃以上900℃以下の温度で水素を含まない気体で第一の加熱を行った後に、水素を含む気体を導入して第二の加熱を行うという二段階で行ってもよい。いずれの方法で行う場合も、焼成を終えた後基板が400℃以下の温度、好ましくは室温程度まで冷却されるまで、水素を含む気体を導入したままにしておくのが好ましい。
上述の通り、焼成工程を水素を含む気体中で行えば、シリコン原子と有機基との間の化学結合が700℃を超える高温で切断されても、発生するダングリングボンドを水素で終端することができるため、シラノール基の形成を防止することが可能となる。
焼成工程における熱処理時間は好ましくは1分以上24時間以下であり、より好ましくは30分以上2時間以下である。
焼成工程においては、酸化性雰囲気での加熱焼成と光処理とを併用しても構わない。加熱と光処理とを同時に行う場合の温度は、好ましくは20℃以上600℃以下であり、処理時間は、好ましくは0.1分以上120分以下である。光処理には、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用できる。光処理にはまた、低圧若しくは高圧の水銀ランプ;重水素ランプ;アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光;YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArCl等のエキシマレーザー;等を光源として使用することができる。これらの光源は、好ましくは10〜5,000Wの出力のものである。これらの光源による光の波長は、基板に塗布した膜中の縮合反応物に少しでも吸収があれば構わないが、好ましくは170nm〜600nmの波長の光である。照射量は、好ましくは0.1〜1,000J/cm2であり、より好ましくは1〜100J/cm2である。光処理時に同時にオゾンを発生させても構わない。例えば上記の条件で光処理することによって、基板に塗布した膜中の縮合反応物の酸化反応が進行し、焼成後の膜質を向上させることができる。
上記焼成工程の後に、絶縁膜の表面を疎水化処理剤にさらしても構わない。疎水化処理剤にさらすことで、上記焼成工程で形成された絶縁膜中のシラノール基と疎水化処理剤とが反応し、絶縁膜の表面を疎水化することができる。
疎水化処理剤は公知のものを使用でき、例えばヘキサメチルジシラザン、ジアセトキシジシラザン、ジヒドロキシジメチルシラン、ハロゲン化有機シラン等を利用することができる。また、環状シロキサン、有機ケイ素化合物、及び環状シラザンも利用できる。
環状シロキサンの具体例としては、たとえば、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン、トリフェニルトリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラエチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。
有機ケイ素化合物の具体例としては、たとえば、1,2−ビス(テトラメチルジシロキサニル)エタン、1,3−ビス(トリメチルシロキシ)−1,3−ジメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラエチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラフェニルジシロキサン、1,1,4,4−テトラメチルジシルエチレン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサイソプロピルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,1,1,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,1,3,3,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、1,3−ジメチルテトラメトキシジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルジエトキシトリシロキサン、テトラメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン等のシロキサン化合物が挙げられる。
環状シラザンの具体例としては、例えば、1,2,3,4,5,6−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,3,5,7−テトラエチル−2,4,6,8−テトラメチルシクロテトラシラザン、1,2,3−トリエチル−2,4,6−トリエチルシクロトリシラザン等の環状シラザン化合物が挙げられる。
これらの疎水化処理剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
絶縁膜の表面を疎水化処理剤にさらす方法としては、疎水化処理剤を絶縁膜表面に液相で塗布する方法、疎水化処理剤を気相にして絶縁膜表面に接触させる方法等を適用することができる。
疎水化処理剤を液相で絶縁膜表面に塗布する場合は、疎水化処理剤と有機溶媒とを組合せて用いてもよい。好ましい態様としては、有機ケイ素化合物を有機溶媒と組合せて絶縁膜表面に液相で塗布することが挙げられる。
有機ケイ素化合物と有機溶媒との組合せを用いる場合には、有機ケイ素化合物の濃度は特に制限はなく任意の濃度で実施できる。液相で塗布する場合の温度及び時間に特に制限はないが、好ましくは0℃以上100℃以下、より好ましくは20℃以上80℃以下であり、好ましくは0.1分以上30分以下、より好ましくは0.2分以上10分以下である。
疎水化処理剤を気相で絶縁膜表面に接触させる場合は、好ましくは、疎水化処理剤はガスにより希釈して用いられる。希釈用のガスとしては、空気、窒素、アルゴン、水素等が挙げられる。また、ガスで希釈する代わりに、減圧下での接触も可能である。疎水化処理剤を気相で絶縁膜表面に接触させる場合の温度及び時間に特に制限はないが、好ましくは0℃以上500℃以下、より好ましくは20℃以上400℃以下であり、好ましくは0.1分以上30分以下、より好ましくは0.2分以上10分以下である。
絶縁膜の表面を疎水化処理剤にさらす前に、絶縁膜の脱水処理を行うことが好ましい。乾燥した空気中又は不活性雰囲気下で絶縁膜を熱処理することで脱水処理を行うことができる。熱処理の温度は、好ましくは250℃以上850℃以下、より好ましくは300℃以上850℃以下である。熱処理の時間は、好ましくは0.1分以上2時間以下、より好ましくは0.2分以上1時間以下である。上記温度が250℃以上である場合絶縁膜に吸着した水分を良好に除去することができる。
以上説明したように、本発明者らは、シリカ粒子とポリシロキサン化合物との割合、及びポリシロキサン化合物の成分の割合を最適化することにより、ポットライフが長く、トレンチ埋め込み用に使用した場合のトレンチ内への埋め込み性が良好で、焼成して酸化シリコンとしたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性及びHF耐性に優れる縮合反応物溶液を発明した。すなわち、特に好ましい態様において、本発明において使用する縮合成分が、ポリシロキサン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下とシリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有することが好ましい。上記割合が10質量%以上であることは、低収縮率及び良好なクラック耐性の点で好ましく、50質量%以下であることは、成膜性及びトレンチへの埋め込み性が良好である点で好ましい。また、ポリシロキサン化合物は、上記一般式(2)で表される4官能シラン化合物に由来する成分10mol%以上40mol%以下と、上記一般式(3)で表される3官能シラン化合物に由来する成分60mol%以上90mol%以下とからなることが特に好ましい。3官能シラン化合物に由来する成分の割合が60mol%以上であることは、HF耐性、クラック耐性、及び埋め込み性が良好である点で好ましく、90mol%以下であることは成膜性及び基板への密着性が良好である点で好ましい。
本発明の縮合反応物溶液を使用して得られた絶縁膜は、液晶表示素子、集積回路素子、半導体記憶素子、固体撮像素子等の電子部品用の層間絶縁膜、素子分離膜、STI(Shallow Trench Isolation)用絶縁膜、PMD(Pre Metal Dielectric)膜、平坦化膜、表面保護膜、封止膜等に好適である。
本発明はまた以下の態様を有する。
[1] (I)(i)下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させて得られる縮合反応物、及び
(II)溶媒
を含み、
該一般式(1)で表されるシラン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である、縮合反応物溶液。
[2] 該縮合成分が、該ポリシロキサン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下と該シリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有し、
該ポリシロキサン化合物中の、下記一般式(2):
SiX2 4 (2)
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が、5mol%以上40mol%以下である、上記[1]に記載の縮合反応物溶液。
[3] 該ポリシロキサン化合物中の、下記一般式(3):
2SiX3 3 (3)
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合が、60mol%以上95mol%以下である、上記[1]又は[2]に記載の縮合反応物溶液。
[4] 29SiNMR分析における、該縮合反応物中の全4官能シロキサン成分のピーク強度(A)と、該縮合反応物中のシロキサン結合数4つに相当する成分のピーク強度(B)とが
{(B)/(A)}≧0.50
の関係を満たす、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の縮合反応物溶液。
[5] 該縮合反応物の重量平均分子量が、1,000以上20,000以下である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の縮合反応物溶液。
[6] 半導体素子に形成されたトレンチの埋め込み用途に使用される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の縮合反応物溶液。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の縮合反応物溶液を製造する方法であって:
下記一般式(2):
SiX2 4 (2)
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物5mol%以上40mol%以下と、下記一般式(3):
2SiX3 3 (3)
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物60mol%以上95mol%以下とからなるシラン化合物を、アルコール水溶液中、pH5以上7未満の弱酸性条件で加水分解重縮合して、ポリシロキサン化合物を得る第1の工程と、
該第1の工程で得たポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、からなる縮合成分を、炭素数1〜4のアルコール水溶液中、pH6〜8の条件下、50℃以上の温度で縮合反応させて、反応液を得る第2の工程と、
該第2の工程で得た反応液に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種類の沸点100℃以上200℃以下の溶媒を加えた後、蒸留により沸点100℃以下の成分を留去することによって、縮合反応物溶液を得る第3の工程と
を含む、方法。
[8] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の縮合反応物溶液を基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程と、
該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程と
を含む、絶縁膜の形成方法。
[9] 該基板がトレンチ構造を有する、上記[8]に記載の絶縁膜の形成方法。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施の形態をより詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
[ポリシロキサン化合物、縮合反応物及び縮合反応物溶液の評価項目]
(1) 縮合反応物のNMR測定(Q4成分量測定)
サンプル調製:縮合反応物濃度(実験上は固形分濃度とした)25質量%の重アセトン溶液にクロミニウムアセチルアセトネートを0.9質量%添加し、サンプル調製を行った。
測定条件:日本電子製の核磁気共鳴(NMR)装置:ECA700、プローブSI10を使用し、待ち時間を120秒、積算回数を512回で積算を行った。
ピーク解析:各Q成分のピーク面積を用い、縮合反応物中の全4官能シロキサン成分のピーク強度(A)と、該縮合反応物中のシロキサン結合数4つに相当する成分(すなわちQ4成分)のピーク強度(B)から、以下の式:Q4量={(B)/(A)}×100(%)、に従ってQ4量を算出した。
(2) ポリシロキサン化合物の重量平均分子量(Mw)測定
東ソー製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、HLC−8220、TSKgelGMHHR−Mカラムを使用した。アセトン溶媒中、縮合反応物を1質量%溶液にして測定し、示差屈折率計(RI)により標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
(3) 縮合反応物溶液のpH測定
固形分濃度20質量%の縮合反応物溶液に等量(質量基準)の水を加え攪拌し、この混合溶液をpH試験紙につけてpHを測定した。
(4) 縮合反応物溶液の水分量測定
固形分濃度20質量%の縮合反応物溶液の水分含有量を、島津製作所社製のガスクロマトグラフ(GC−14B)を使用し、TCD検出器を用いて内部検量線法により求めた。
(5) 縮合反応物溶液のアルコール量測定
固形分濃度20質量%の縮合反応物溶液のアルコール含有量を、島津製作所社製のガスクロマトグラフ(GC−14B)を使用し、TCD検出器を用いて内部検量線法により求めた。
(6) 固形分濃度50質量%の縮合反応物溶液の粘度測定
既知濃度の縮合反応物溶液を固形分濃度50質量%までエバポレーターで濃縮し、濃縮後の縮合反応物溶液の温度が25℃以下になってから5分以内に粘度測定を行った。固形分濃度50質量%のサンプルを粘度計(東機産業(株)製 E型粘度計(RE−85R型)、コーンローター:1°34′×R24)のサンプルカップに1.1ml入れ、適切な回転数でローターを回転させた。粘度の値が安定したとき(ばらつきが2%以下となったとき)の値を求めた。
(7) 縮合反応物溶液のポットライフ
縮合反応物溶液を室温で2週間放置した後目視でゲル化の有無を観察した。ゲル化が観察される場合をB、観察されない場合をAとした。
[膜評価項目]
(8) 成膜性
Si基板に縮合反応物膜を成膜した後、100℃で2分間、続いて140℃で5分間、ホットプレート上で段階的にプリベークした。その後、膜の表面を光学顕微鏡にて観察し、ストライエーション又はコメットが観察される場合をB、観察されない場合をAとした。
(9) 耐クラック性
Si基板に縮合反応物膜を種々の厚みで成膜した後、100℃で2分間、続いて140℃で5分間、ホットプレート上で段階的にプリベークした。その後700℃、N2雰囲気下で焼成し、焼成後の膜の表面を光学顕微鏡にて観察した。光学顕微鏡にて、膜にクラックが入っているか否かを判定した。クラック限界膜厚が0.8μm未満の場合をB、0.8μm以上1.0μm未満の場合をA、1.0μm以上1.5μm未満の場合をAA、1.5μm以上の場合をAAAとした。
(10) 収縮率
Si基板に縮合反応物膜を成膜した後、100℃で2分間、続いて140℃で5分間、ホットプレート上で段階的にプリベークした。このときの膜厚T1、及び、その後、700℃、酸素濃度10ppm以下の雰囲気下で焼成した焼成後の膜厚T2を、J.A.Woollam社製分光エリプソメーターM−2000U−Xeで測定した。焼成前後の膜厚から、以下の式:収縮率=(1−T2/T1)×100(%)、に従って収縮率を求めた。収縮率が15%以上の場合をB、12%以上15%未満の場合をA、8%以上12%未満の場合をAA、8%未満の場合をAAAとした。
(11) HF耐性
上記(10)と同様の手順で700℃、酸素濃度10ppm以下の雰囲気下での焼成までを行った。焼成後の膜を、質量比がHF:水=1:299のHF水溶液に10分間浸し、HF試験前後の膜厚を分光エリプソメーターで測定した。Si基板上の膜が溶解するHFレートが50nm/min以上でかつHF浸漬後の屈折率変化が0.01以上であればB、上記HFレートが50nm/min未満でかつHF浸漬後の屈折率変化が0.01以上であればA、上記HFレートが10nm/min未満でかつHF浸漬後の屈折率変化が0.01未満であればAAとした。
(12) 密着性
上記(10)と同様の手順で700℃、酸素濃度10ppm以下の雰囲気下での焼成までを行った。焼成後の膜に、カッターで格子パターンの各方向に1mm間隔で6本切り込みを入れて、1mm×1mmの25個の格子パターンを形成し、そこへ透明感圧付着テープを密着させ、テープを剥がした。その後の格子パターンを観察し、25個全て剥がれていない場合をAA、1〜4個剥がれている場合をA、5個以上剥がれている場合をBとした。
(13) 埋め込み性
開口幅20nm、深さ1μm(すなわちアスペクト比50)のトレンチを有するSi基板に縮合反応物を成膜した後、100℃で2分間、続いて140℃で5分間、ホットプレート上で段階的にプリベークした。その後、700℃、酸素濃度10ppm以下の雰囲気下で焼成した。焼成後、トレンチを有するSi基板を割断し、FIB加工をした後、日立製作所製、走査型電子顕微鏡(SEM)S4800を使用し、加速電圧1kVで観察した。1つの割断した基板中、1000箇所のトレンチ部分を観察した。全ての箇所でボイド又はシームが無くトレンチ内が埋まっていればAAA、10個以下のトレンチにボイド又はシームがある場合をAA、10個より多く100個以下のトレンチにボイド又はシームがある場合をA、100個より多いトレンチにボイド又はシームがある場合をBとした。
ポリシロキサン化合物の製造例
[製造例1]
ナスフラスコに、メチルトリメトキシシラン(MTMS)11.6g、テトラエトキシシラン(TEOS)4.4g、及びエタノール20gを入れて攪拌し、ここへ水11.5gとpH調整のための適切量の濃硝酸との混合水溶液を室温で滴下してpHを6〜7に調整した。滴下終了後、30分間攪拌し、24時間静置した。
[製造例2]〜[製造例14]
表1記載の原料を用いた他は製造例1と同様にして合成を行った。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応物の製造
以下に、製造例1〜14で作製したポリシロキサン化合物とシリカ粒子とを反応させて縮合反応物を得る例を示す。
各実施例及び各比較例においては、ポリシロキサン化合物の縮合換算量とシリカ粒子の仕込み量との比率を変化させることにより、様々な組成比の縮合反応物を得た。なお表2中のシリカ粒子量は、ポリシロキサン化合物の縮合換算量とシリカ粒子量との合計質量基準である。
[実施例1]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例1で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。29SiNMRスペクトルを図1に示した。
生成した縮合反応物溶液を6インチのSi基板上に2mL滴下し、回転速度300rpmで10秒と、回転速度1000rpmで30秒間との2段階でスピンコートを行った。この基板を空気中、100℃で2分間、続いて140℃で5分間、ホットプレート上で段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られたSi基板を酸素濃度10ppm以下の雰囲気下、5℃/minで700℃まで昇温し、700℃で30分間焼成した後、2℃/minで室温まで降温した。
焼成後のSi基板の、上記(8)〜(12)で示される評価を行い、評価結果を表4に示した。
また生成した縮合反応物溶液を開口幅20nm、深さ1μmのトレンチ構造を有するSi基板に2mL滴下し、上記条件でスピンコート、プリベーク、焼成を行った。埋め込み結果を表4に示した。
[実施例2]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)63.5g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例2で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例3]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)63.5g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例3で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例4]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−1(扶桑化学工業製の平均一次粒子径15nm、12質量%濃度の水分散シリカ粒子)33.3g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例4で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例5]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)23.8g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例5で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例6]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−1(扶桑化学工業製の平均一次粒子径15nm、12質量%濃度の水分散シリカ粒子)41.7g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例6で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例7]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)15.9g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例7で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例8]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例8で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[実施例9]
蒸留塔および滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例9で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[比較例1]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例10で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[比較例2]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)127g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例11で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[比較例3]
製造例12で合成したポリシロキサン化合物にプロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を50g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。29SiNMRスペクトルを図2に示した。
[比較例4]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例13で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[比較例5]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)127g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ製造例14で合成したポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[比較例6]
500mLナスフラスコに、メチルトリメトキシシラン11.6g、テトラエトキシシラン4.4g、及びエタノール20gを入れ、5分間攪拌した後、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6gを添加した。1分間攪拌し、ここへ濃硝酸10μlを滴下し、30分間攪拌した。濃縮及びエタノール添加によって濃度を調整し、縮合反応物の固形分濃度20質量%のエタノール溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
[比較例7]
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、メチルトリメトキシシラン11.6g、テトラエトキシシラン4.4g、及びPGMEA20gを入れ、5分間攪拌した後、溶液の温度を50℃に設定し、ここへ水11.5gと濃硝酸10μlとの混合水溶液を滴下した。次いで、50℃で3時間攪拌した後、PGMEAを50gを追加した。その後、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりエタノール、水、及び硝酸を留去し、ポリシロキサン化合物のPGMEA溶液を得た。次いで、得られたポリシロキサン化合物のPGMEA溶液と、AD−1003(触媒化成工業製の平均一次粒子径7nm、20質量%濃度のイソプロパノール分散シリカ粒子)15gをPGMEAに置換したPGMEA分散シリカ粒子とを混合し、5分間攪拌して、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液を得た。
生成した縮合反応物溶液の、上記(1)〜(7)で示される物性評価を行い、評価結果を表3に示した。また、実施例1と同じ条件で成膜、焼成、及びトレンチ埋め込みを行い、評価結果を表4に示した。
Figure 2011181939
Figure 2011181939
Figure 2011181939
Figure 2011181939
本発明の縮合反応物溶液を使用して得られる絶縁膜は、液晶表示素子、集積回路素子、半導体記憶素子、固体撮像素子等の電子部品用の層間絶縁膜、素子分離膜、STI用絶縁膜、PMD(Pre Metal Dielectric)膜、平坦化膜、表面保護膜、封止膜等として好適である。

Claims (6)

  1. 半導体素子に形成されたトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法であって、
    (I)(i)下記一般式(1):
    1 nSiX1 4-n (1)
    {式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
    で表されるシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させて得られる縮合反応物、及び
    (II)溶媒
    を含み、
    該一般式(1)で表されるシラン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である、縮合反応物溶液を、基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程と、
    該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程と、
    を含む、トレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  2. 該縮合成分が、該ポリシロキサン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下と該シリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有し、
    該ポリシロキサン化合物中の、下記一般式(2):
    SiX2 4 (2)
    {式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
    で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上40mol%以下である、請求項1に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  3. 該ポリシロキサン化合物中の、下記一般式(3):
    2SiX3 3 (3)
    {式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
    で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合が60mol%以上95mol%以下である、請求項1又は2に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  4. 29SiNMR分析における、該縮合反応物中の全4官能シロキサン成分のピーク強度(A)と、該縮合反応物中のシロキサン結合数4つに相当する成分のピーク強度(B)とが
    {(B)/(A)}≧0.50
    の関係を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  5. 該縮合反応物の重量平均分子量が、1,000以上20,000以下である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  6. 半導体素子に形成されたトレンチ埋め込み用絶縁膜を形成するための縮合反応物溶液であって、
    (I)(i)下記一般式(1):
    1 nSiX1 4-n (1)
    {式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
    で表されるシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させて得られる縮合反応物、及び
    (II)溶媒
    を含み、
    該一般式(1)で表されるシラン化合物が、一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物及び一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有する2種類以上のシラン化合物である、トレンチ埋め込み用絶縁膜形成用縮合反応物溶液。
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