JP2018026488A - 繊維状半導体材料・ポリシロキサン複合体及びその製造法 - Google Patents

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泰幸 河津
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Abstract

【課題】ナノ構造半導体の機能を保持し、かつ長時間使用が可能な機械的強度や耐熱性をもった、複数の繊維状半導体材料と該材料間に形成される空隙を充填するポリシロキサン硬化体との複合体の提供。【解決手段】繊維状半導体材料のピッチ、周期、厚みなどが特定範囲に制御され、かつ複数の繊維状半導体材料間の隙間が、所望する架橋密度を有する緻密なポリシロキサン材料により埋め込まれた、複数の繊維状半導体材料とポリシロキサン硬化体を有する複合体の提供。【選択図】図4

Description

本発明は、複数の繊維状半導体材料の間に形成される隙間をポリシロキサンで充填してなる、複数の繊維状半導体材料とポリシロキサンとの複合体及びその製造法に関する。
電子デバイスに利用される半導体の微細化が発展するに伴い、より安価に微細構造を作成する技術が開発されている。微細構造を作製するための従来法としては、半導体基板上に形成されたフォトレジストをフォトリソグラフィ―法により露光・現像する手法が代表的である。フォトリソグラフィ―により、基板上にパターニングされたフォトレジストは、後段の基板をエッチングする工程においてマスクとして作用し、半導体に微細構造を形成することができる。
マスクをより安価に作製する方法として、干渉露光法や電子線描画法などにより作製したパターンを有する金型を用いて半導体基板上にポリマーパターンを形成し、このポリマ層のパターンを用いてこの半導体基板をドライエッチング法、陽極酸化法等で凹凸パターンを形成する方法が知られている。
また、このマスクをさらに安価に作製する別の方法として、自己組織化膜やLB膜を用いて、ナノ周期構造をもつ構造体を半導体基板上に形成し、この自己組織化膜をマスクとして、ドライエッチング法、陽極酸化法等で凹凸パターンを形成する方法が知られている。
これらの手法で基板上に安価に形成されたナノ構造体は、多くの応用が期待できる。特に、高アスペクト比を持つナノ構造体を保持した材料は、光反射防止機能や、回折による光取り出し向上効果が期待でき、太陽電池の高効率化のために有効な手段となる。
特許文献1には、高アスペクト比でナノ化された構造をもつ半導体基板が、バルクの基板材料が持つ熱伝導度よりもはるかに低い熱伝導度を示すという原理を利用し熱電素子として応用できることが開示されている。この熱電素子はナノ構造体の両面に十分な温度差を付けた状態で使用されるため、100μm以上の厚みが必要であると開示されている。
特表2014−505998号公報 特開2011−26570号公報 国際公開第2013/187349号
中村博、「NMRID Spectrum」Ver.4.1.3(「パソコンによるFT−NMRのデータ処理 第2版」)、三共出版社、2009年
このようなナノ構造半導体を用いたデバイスの開発において、実使用条件における耐熱性や機械強度を高めることが要求されている。
従来の半導体構造は、トレンチ構造、ラインアンドスペース構造などに代表されるウエハー基材表面にドライエッチング法などによって形成されたナノ凹凸構造であり(特許文献2)、これらは実評価においてナノ凸凹構造が変形したり、場合によっては壊れたりすることなく元の形状が保持されていて十分な機械強度が発現されるので、そのため十分な実用性能を満たすことができる程度のアスペクト(例えば10以下)であり、構造体として充分に自立が可能であった。
近年のナノ加工技術、半導体加工技術の高度化に伴い、陽極酸化法などのウエットエッチング法によりさらにアスペクト比の高いナノ構造体の作製が可能となってきているが、これらをデバイスとしての機能を十分発現させるためには、ナノ構造体を自立させる必要があった。
ナノ構造体を好適に自立保持し、かつ機械強度を得るためには、ナノ構造体同士が形成するナノ空間に充填される際に十分な流動性をもち、かつ反応前後での硬化収縮が充分に小さい材料を用いる必要がある。またデバイス化におけるプロセス温度を想定し、300℃以上の耐熱性を有する材料が望まれている。
従来技術、例えば特許文献1には、アスペクト比が100以上と高く、固定化する際に構造体同士が凝集しやすいナノ構造体においては、通常のスピンオングラスなどの汎用材料では、ポリシロキサン化合物の溶媒揮発に伴い、ナノ構造体同士の凝集と、それに伴う2次的な空隙層の増大によるポリシロキサンのクラックが発生し、機械強度が低下するため適用できないという課題があった。
本発明は、かかる点を鑑みてなされたものであり、ナノ構造半導体の機能を保持し、なおかつ長時間使用が可能な機械的強度や耐熱性をもった、複数のナノ構造半導体(本発明においては繊維状の半導体材料という)と、複数の繊維状半導体材料間に形成されるその空隙を充填するポリシロキサンとの複合体に関するものである。
繊維状半導体材料の最大径、長さ、ピッチ、周期などを特定範囲に制御し、また硬化後の架橋密度が所望する範囲に制御されたより緻密なポリシロキサン材料を、複数の繊維状半導体材料間の隙間を埋めるための充填、結着材として用いることにより、繊維状半導体材料と充填材料とが好適な固着力を有するようになり、そのため繊維状半導体材料のお互いの凝集を抑制できること、すなわち繊維状半導体材料を自立・保持できることを見出した。
さらに、ポリシロキサン材料は、反応溶液として調整された低分子量の縮合物を、熱や溶媒揮発過程においてゾルゲル反応させ、縮合・硬化後に架橋構造を有する固形物として得られるものであるが、本発明者らはその反応物溶液組成を鋭意検討したところ、硬化後のポリシロキサン材料が上記のように所望する架橋密度を有するためには、反応溶液中におけるポリシロキサン縮合物の固体NMRスペクトルで表されるQ4成分の割合を特定の範囲に制御することも重要であることを見出した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 最大径が10〜1000nmで、かつ長さ100μm以上の複数の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)を有する複合体であって、
前記繊維状半導体材料(A)は互いに長さ方向に配向して配列され、
前記ポリシロキサン(B)は、前記複数の前記繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋めるように存在しており、
下記式(1)で算出される前記複合体の断面における、前記繊維状半導体材料(A)の占有率(OR)が15〜70%であり、そして、
下記式(2)で算出される前記ポリシロキサン(B)のQ4ピーク比率(Ir)が、Ir≧0.2である、複合体。
上記式(1)において、SAおよびSBはそれぞれ、前記複合体の繊維状半導体材料(A)の長さ方向に垂直な断面のSEM観察によって算出される繊維状半導体材料(A)およびポリシロキサン(B)の面積を示す。
上記式(2)において、I3およびI4はそれぞれ、ポリシロキサン(B)の固体29SiNMR測定により得られるQ3ピーク強度およびQ4ピーク強度を示す。
[2] 前記ポリシロキサン(B)が、平均一次粒径1nm〜120nmのナノ粒子を1〜60質量%含有する、[1]に記載の複合体。
[3] 前記複合体を構成する繊維状半導体材料(A)の断面方向における、前記繊維状半導体材料(A)間の平均ピッチが、150nm以上500nm以下である、[1]又は[2]のいずれか一項に記載の複合体。
[4] 前記複合体の繊維状半導体材料(A)の断面方向における、前記繊維状半導体材料(A)と前記ポリシロキサン(B)の合計面積が1mm以上である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の複合体。
[5] 前記ポリシロキサン(B)の密度が1.2〜1.54である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の構造体。
[6] 以下の工程:
(第1の工程)
下記一般式(3):
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物であって、該一般式(3)中のnが0である4官能シラン化合物又は一般式(3)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有するシラン化合物、を加水分解重縮合して、分子量が1000〜20000のポリシロキサン化合物を製造する工程;
(第2の工程)前記ポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させ、縮合反応物を製造する工程;
(第3の工程)半導体基板上に、最大径が10〜1000nm、かつ長さ100μm以上の複数の繊維状半導体材料(A)であり、お互いに長さ方向に配向し配列されてなる前記繊維状半導体材料(A)を形成する工程;
(第4の工程)前記縮合反応物溶液を前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間に充填したあとで、加熱により溶媒を除去するとともに、前記縮合反応物をポリシロキサン(B)に硬化せしめる工程;
を含む、前記複数の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)とからなる複合体の製造方法。
本発明によれば、繊維状半導体材料本来の機能を保持し、なおかつ長時間使用が可能な機械的強度や耐熱性を持った繊維状半導体材料と、複数の繊維状半導体材料間に形成される空隙を埋めるポリシロキサンとの複合体を提供することができる。
複合体(上面、側面)を示す模式図である。 半導体材料(A)の占有率を示す模式図である。 フィリング例を示す図である。 実施例1における硬化後の複合体中の繊維状半導体材料(A)のSi29固体NMRスペクトル(図4−1)と、Q3とQ4のピークに分離した後を示す図(図4−2)である。 実施例6における硬化後の複合体中の繊維状半導体材料(A)のSi29固体NMRスペクトル(図5−1)と、Q3とQ4のピークに分離した後を示す図(図5−2)である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
<<複合体>>
(繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)(充填材料)との関係)
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、複数の繊維状半導体材料間の隙間を、所望する耐久性、耐熱性、機械的強度を有するポリシロキサン材料で埋め込むことによって、半導体材料として自立・保持が可能となることを見出した。
本実施形態によれば、最大径が10〜1000nmで、かつ長さが100μm以上の複数の繊維状半導体材料を固定して自立化する際に、該繊維状半導体材料(A)同士が凝集(バンチング)しやすい態様体において、繊維状半導体材料(A)と、一般に硬化収縮しやすい充填剤の比率を特定の範囲にコントロールし、かつナノ粒子を所定の割合添加することで、複数の繊維状半導体材料(A)間の空隙を充填した後に得られる複合体のクラック耐性や該半導体材料と充填成分(ポリシロキサン)との密着力等を飛躍的に向上させることができ、その結果、繊維状半導体材料(A)を自立化させることができる。
図1に、本実施態様の複数の繊維状半導体材料(A)を模式図として示したが、本実施形態の複合体は、最大径が10〜1000nmで、かつ長さ100μm以上の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)を有するものであり、その中で、繊維状半導体材料(A)はお互いに長さ方向に配向して配列され、ポリシロキサン硬化体(B)は、複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成された隙間を埋めるように存在しており、下記式(1):
{上記式(1)において、SAおよびSBはそれぞれ、前記複合体の繊維状半導体材料(A)の長さ方向に垂直な断面のSEM観察によって算出される繊維状半導体材料(A)およびポリシロキサン(B)の面積を示す。}
で算出される前記複合体の断面における、前記繊維状半導体材料(A)の占有率(OR)が15〜70%であり、そして、
下記式(2):
{上記式(2)において、I3及びI4はそれぞれ、ポリシロキサン(B)の固体29SiNMR測定により得られるQ3ピーク強度およびQ4ピーク強度を示す。}
で算出される前記ポリシロキサン(B)のQ4ピーク比率(Ir)が、Ir≧0.2の関係を満たすことを特徴とする。
尚、Q3とQ4について説明は後述される。
本実施形態の複合体は、繊維状の半導体材料、すなわち断面方向にナノ寸法の規則性を有し、周期性の乱れが周期に対して、20%以内でかつ、長さ(厚み)方向が実質均質である複数の繊維状半導体材料(A)と、該複数の繊維状半導体材料(A)間に形成される隙間をポリシロキサン縮合・硬化物(ポリシロキサン(B))で充填してなる、密度1.2〜1.52g/cmである複合体である。本実施形態の複合体の密度がこのような範囲にあると、所望するような耐久性、耐熱性、クラック耐性や密着性が確保できるので好ましい。
実質的に1.2g/cm以上のポリシロキサン(B)を得るためには、繊維状半導体材料(A)の断面方向に形成される半導体材料(A)の構造間距離を表す、いわゆるピッチ間隔は10〜1000nmの周期があることが好ましい。
また、本実施形態の複合体は、上記の繊維状半導体材料(A)の間隙を埋める部分、すなわちポリシロキサン(B)を29SiNMRにより測定して得られるQ3ピーク強度(I3)とQ4ピーク強度(I4)の比率(Ir)が、Ir=I4/(I3+I4)≧0.2の関係を満たすことを特徴とする。
典型例として、実施例1の結果を図4−1に示したが、この場合はIr=0.82である。尚、図中の符号6で示されるピークは実施例1の複合体由来であり、符号7で示されるピークは繊維状半導体材料(A)由来である。また、図4−2にはピーク分離(実施例にて詳述)後のQ3ピーク(符号8)およびQ4ピーク(符号9)が示されている。
以下に説明するが、たとえば、上記一般式(3)で表されるシラン化合物のうち、n=0の(すなわち後述する一般式(4)で表される)シロキサン成分をQ成分とすると、固体の29SiNMR分析より、シロキサン結合数が3と4にそれぞれ相当するQ3とQ4成分量を求めることができる。
本実施形態の一形態においては、複合体中に未反応の官能基又はメチル基のような置換基が1つ存在するシロキサン成分、すなわちシロキサン結合数が3つに相当する骨格2(Q3成分)のピーク強度(I3)と、シロキサン結合数が4つに相当する骨格1(Q4成分)のピーク強度(I4)との合計(I3+I4)に対するQ4成分のピーク強度(I4)との比(Ir)、
すなわち下記式(2):
が、Ir≧0.20の関係を満たす。
尚、Rはたとえば水素原子、水酸基又はメチル基等で表すことができる。
Irはポリシロキサン(B)が形成するネットワークにおける、シリコン原子と酸素原子の化学結合の反応性を規定する指標であり、Irがこの範囲であると、ポリシロキサン化合物が、十分に大きなネットワーク(架橋)を形成することで、十分な機械的強度かつ高い密着力を発現し、繊維状半導体材料(A)を自立させることができる。
上記Irは、より好ましくはIr≧0.6であり、シラノール基、アルコキシ基等の末端基が充分に少ないシリカ粒子を配合させるなどにより、さらに複数の半導体材料(A)を凝集させることなく、また硬化後のポリシロキサン化合物がさらに高い機械強度や密着力を発現することができる。更に好ましくはIr≧0.8である。上記比が上記範囲内である場合、硬化前の縮合反応物中の、シラノール基、アルコキシ基等の末端基が充分に少ないため、硬化後の寸法変化が少なく、クラック耐性を損なうことなく高い機械強度が得られる。一方、わずかに残る上記シラノール基等によって満足する密着性が得られ、繊維状の半導体材料(A)が自立できる。
尚、上記のQ3成分及びQ4成分のピーク強度は、実施例にて詳細に説明されるNMRスペクトルのピーク分離法により求めることができる(一例を図4−2にて示す)。
また、本実施形態のナノ構造複合体は、これを構成する繊維状半導体材料(A)の断面方向における、前記ナノワイヤ間の平均ピッチが、150nm〜500nmであることが好ましい。ナノワイヤの平均ピッチがこのような範囲にあると、後述する充填剤の充填性が良好であるだけでなく、ナノワイヤの占有率が適度な範囲となり充填剤を介して応力が分散されるので好ましい。
平均ピッチが500nm以下であれば、たとえクラックが生じたとしても機械強度に影響のある大きさにはならない。逆に、平均ピッチが150nm以上であると、工業的に得やすい、充填材の量が確保できるので機械強度が得られる。
さらに、本実施形態の複合体は、これを構成する繊維状半導体材料(A)の断面方向における、(A)とポリシロキサン(B)との合計面積が1mm以上であることを特徴とする。このように本実施形態の複合体の面積が1mm以上あると、熱電変換材料などの実デバイスとして使用するうえで製造・加工しやすいので好ましい。
<ナノ構造半導体>
本実施形態の複合体を構成する複数の繊維状半導体材料(A)については、シリコン、ガリウムナイトライドなどの半導体材料を用いることができる。この半導体材料には、所望する性能が発現される範囲内で不純物を含んでいてもよい。
本実施形態に係る繊維状半導体材料(A)の最大径は、例えば太陽電池材料であればエネルギー的に寄与率の高い近赤外、可視光に効果を発揮する10〜1000nm以下であることが好ましい。
熱電材料などのフォノン散乱による熱伝導度を抑制する観点から上限値は1000nm以下、700nm以下、さらに好ましくは500nm以下である。
なお、最大径は、ナノワイヤの断面形状は円形とみなせるが、その外周にナノサイズの凸凹構造が形成される場合があるので、この凸部も含む断面の最大径を測定することにより得られる。
繊維状の半導体材料の最大径に加え、該半導体材料の複合体中における占有率を適切な範囲に設計することが、複合体の機械強度を発現する上で重要となる。
本実施形態に係る繊維状半導体材料(A)の形状を円形(図1、図2)とみなした場合、最密充填率は78%が上限となるが、該半導体材料同士が充填材料を介して固着(バンチング)し、これが原因で起こるクラック等を回避する必要があるため、充填材料をいれるためのスペースとして、上記の占有率は70%以下であることが望ましい。このように占有率が70%以下であると、充填剤の占有率が適度に増え、ナノ構造半導体同士の固着が生じず、充填剤を介しての応力分散効果によりクラックが起きない。下限は15%である。すなわち、好ましい占有率は15%以上70%以下である。より好ましくは15%以上60%以下、さらに好ましくは15%以上50%以下である。
この程度の占有率であれば線膨張係数が異なる(A)と(B)が共存しても温度変化による影響が小さく、機械強度を確保できる。
占有率の測定方法については実施例における評価方法にて説明する。
本実施形態に係る半導体材料(A)はあまり長くなりすぎると、たとえ後述するような充填材料で充填しても自立させることが難しいため、その長さは100μm以上(図1)10000μm以下の構造保持材料として好適に使用でき、より好ましくな100μm以上5000μm以下、さらに好ましくは150μm以上1000μm以下の範囲である。
実施形態において使用される繊維状半導体材料(A)である繊維状材料の製造方法については、特に限定されるものではないが、例えば、特許文献1に開示される方法により製造することができる。
該繊維状半導体材料を、たとえば後述する充填材料として使用するポリシロキサン材料の特性、例えば架橋密度(上記のIr)をコントロールすることにより、機械強度が十分でクラックの極めて少なく、かつ密着性に優れたものが得られるので、そのため繊維状半導体材料(A)を自立させることができる。
次に、本実施形態の充填材料について説明する。
<充填材料>
本実施形態の充填材料は、後述するようなシロキサン化合物を縮合反応せしめ、溶媒により希釈調製したポリシロキサン縮合反応液として得られるものであることが好ましい。
ナノ構造を形成する繊維状半導体材料(A)を所望するように自立保持させ、かつ実用評価において十分な機械強度を得るためには、充填材料として、複数の繊維状半導体材料(A)間に形成されるナノオーダーの空間に充填が十分になされるだけの流動性をもち、かつ縮合・硬化反応前後での収縮が充分に小さい材料を選択しなくてはならず、また本実施形態の複合体を用いてデバイスを作成する場合のプロセス温度を想定し、本実施形態にて好適に使用できる材料として、たとえば300℃以上の耐熱性を有するポリシロキサン材料が挙げられる。
(縮合反応物溶液)
本実施形態における充填材料である縮合反応物溶液は、以下に示すシラン化合物の重縮合物(ポリシラン化合物)とシリカ粒子とのさらなる重縮合物である縮合反応物、溶媒を含むことが好ましい。
すなわち、縮合反応物溶液は、
(i)下記一般式(3):
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物を、縮合物換算で40質量%以上99質量%以下と、(ii)シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する組成物を縮合反応させて得られるポリシロキサン縮合反応物、及び(iii)溶媒を含むことが好ましい。さらに、上記シラン化合物として、上記一般式(3)中のnが0である4官能シラン化合物又は一般式(3)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有することが好ましい。なお本明細書で記載する縮合成分中の含有量は、縮合成分における全成分合計質量(但し、ポリシロキサン化合物及び任意のシラン化合物の量については縮合換算量に置き換える)を100質量%としたときの量である。
本実施形態においては、上記のシラン化合物に由来するシロキサン化合物と、後述するシリカ粒子との割合が、所定の範囲に制御された縮合反応成分を縮合反応させることにより、充填口が狭く高アスペクト比な隙間への埋め込みを可能にするとともに、3官能又は4官能シロキサン化合物が原料として含まれるので、得られた縮合反応成分の架橋密度を所望する程度まで高めることができるようになり、そのため、埋め込み後に硬化して得られる複合体の機械強度に優れ、所望するようなクラック耐性や、繊維状半導体材料(A)と充填物との所望するような密着性もが得られる。
本実施形態では、隙間へボイド及びクラックを発生させずに縮合反応物を充填するためには、該縮合反応物の組成の最適化が有効であることを見出し、更に好ましくは、縮合反応物の粘度の低減が有効であることを見出した。そして、該粘度は、縮合反応物の分子量とQ構造のシラノール基割合とを最適化することによって下げることが可能であることを見出した。
また、本実施形態では、ポリシロキサン縮合反応物中に、特定量の3官能ポリシロキサン化合物を含むことによってより、複合体を構成する繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)との密着性を損なうことなく、クラック耐性がより良好になることを、さらに特定量の4官能ポリシロキサン化合物を含むことによって、複合体のクラック耐性を損なうことなく、より密着性が良好となることを見出した。
(縮合反応物)
縮合反応物は、上記一般式(3)で表され、4官能シラン化合物又は3官能シラン化合物を少なくとも含有するシラン化合物に由来し、X1が酸素原子であるポリシロキサン化合物と、シリカ粒子と、を所定の組成で含有する縮合成分を縮合反応させて得られる。
(ポリシロキサン化合物とシラン化合物)
本実施形態において使用されるポリシロキサン化合物は、上記一般式(3)で表されるシラン化合物に由来する。より具体的には、該ポリシロキサン化合物は、上記一般式(3)で表されるシラン化合物のうちX1が酸素原子であるものの重縮合物が好ましい。更に、実施形態で用いる、一般式(3)で表されるシラン化合物は、一般式(3)中のnが0である4官能シラン化合物又は一般式(3)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有するシラン化合物が好ましい。
耐熱性の観点から、本実施形態の複合体において、式(3)中のR1で示される炭化水素のモル数(C)とSiのモル数(Si)とのC/Si比が1.0以下であることが望ましい。より好ましくは、C/Si比が0.6以下である。尚、C/Si比は後述する固体NMRにより測定することができる。
上記一般式(3)中のR1の具体例としては:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、iso−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、iso−ノニル、n−デシル、iso−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基;ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式及び環式のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基;PhCH=CH−基等のアラアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;等が挙げられる。更に、R1の具体例としては水素原子が挙げられる。この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、収縮率が小さい縮合反応物を与えることができる点で、R1は、好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
上記ポリシロキサン化合物が、一般式(3)中のnが0である4官能シラン化合物に由来する成分を含むことにより、複合体のクラック耐性が損なわれることなく、該複合体の構成成分である、複数の繊維状半導体材料(A)の隙間への充填性及び半導体材料(A)との密着性が良好になる。
又、一般式(3)中のnが1である3官能シラン化合物に由来する成分を含むことにより、繊維状半導体材料(A)との密着性が損なわれることなく、(A)の隙間への充填性やクラック耐性が良好になる。
よって、本実施形態においては、4官能のシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物又は3官能のシラン化合物に由来するポリシロキサン化合物の少なくとも一つを特定量用いることにより、繊維状半導体材料(A)の隙間への充填性、該半導体材料との優れた密着性、さらにクラック耐性を併せ持つ優れた縮合反応物溶液が得られる。
以下に4官能シラン化合物と3官能シラン化合物とのより好ましい態様について説明する。
中でも、本実施形態において使用する縮合成分が、一般式(4)で表されるポリシラン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下とシリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有し、かつ該ポリシロキサン化合物中の下記一般式(4):
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上100%以下である態様はより好ましい。なお上記一般式(4)中のX2の構造は上記一般式(3)中のX1に対応しており、上記一般式(4)の構造は上記一般式(3)の構造の一部の態様を表している。ポリシロキサン化合物中の、一般式(4)で表される4官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上である場合、充填性及び繊維状物のナノ構造半導体への密着性が良好であるため好ましく、該割合はさらに好ましくは10mol%以上100%以下である。
上記一般式(4)中のX2の具体例としては、例えば:塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基等が挙げられる。この中でも、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基が、縮合反応の反応性が高いため好ましい。
また、本発明において使用するポリシロキサン化合物中でも、本実施形態において使用する縮合成分が、下記一般式(5)で表されるポリシラン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下とシリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有し、かつ該ポリシロキサン化合物中の下記一般式(5):
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上80mol%以下である態様はより好ましい。なお上記一般式(5)中のX3の構造は上記一般式(3)中のX1に対応しており、上記一般式(5)中のR2の構造は上記一般式(3)中のR1の一部の態様を表している。すなわち一般式(5)の構造は一般式(3)の構造の一部を表している。ポリシロキサン化合物中の、一般式(5)で表される3官能シラン化合物に由来する成分の割合が5mol%以上である場合、クラック耐性が良好であるとともに埋め込み性が良好であるため好ましく、該割合はさらに好ましくは10mol%以上である。一方、該割合が80mol%以下である場合、充填性及び繊維状半導体に対する密着性が良好であるため好ましく、該割合はより好ましくは70mol%以下である。
なお、ポリシロキサン化合物の構造、特に、上記一般式(3)、(4)及び(5)でそれぞれ表される構造の存在及び含有量は、29SiNMR分析により確認できる。具体的測定方法については後述する。
上記一般式(5)中のR2の具体例としては:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、iso−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、iso−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、iso−ヘプチル、n−オクチル、iso−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、iso−ノニル、n−デシル、iso−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基;ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式及び環式のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基;PhCH=CH−基等のアラアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;等が挙げられる。この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、収縮率が小さい縮合反応物を与えることができる点で、R2は、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
上記一般式(5)中のX3の具体例としては、例えば:塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基;等が挙げられる。この中でも、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、及びアセトキシ基が、縮合反応の反応性が高いため好ましい。
<ポリシロキサン化合物の製造>
ポリシロキサン化合物は、例えば上記したシラン化合物を水の存在下で重縮合させる方法により製造できる。このとき、酸性雰囲気下、上記一般式(3)で表されるシラン化合物に含有されるX1の数に対して、好ましくは0.1当量以上10当量以下、より好ましくは0.4当量以上8当量以下の範囲で水を存在させて重縮合を行う。水の存在量が上記の範囲内である場合、縮合反応物溶液のポットライフを長くし、充填後のクラック耐性を向上させることができるため好ましい。
ポリシロキサン化合物を製造するために用いるシラン化合物が、上記一般式(3)中のX1としてハロゲン原子又はアセトキシ基を含有する場合は、縮合反応のために水を加えることによって、反応系が酸性を示すため、シラン化合物の他に酸触媒を用いても用いなくても、いずれでも構わない。一方、上記一般式(3)中のX1がアルコキシ基である場合は、酸触媒を加えることが好ましい。
酸触媒としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
上記の無機酸及び有機酸は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。また使用される酸触媒の量は、ポリシロキサン化合物を製造する際の反応系のpHを0.01〜7.0、好ましくは5.0〜7.0の範囲に調整する量であることが好ましい。この場合、ポリシロキサン化合物の重量平均分子量を良好に制御できる。
ポリシロキサン化合物は、有機溶媒中又は水と有機溶媒との混合溶媒中で製造することができる。上記有機溶媒としては、例えばアルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素化合物類、アミド化合物類等が挙げられる。
上記アルコール類としては、例えば:メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル類;等が挙げられる。
上記エステル類としては例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
上記ケトン類としては例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテル類としては、上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えば:エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素類としては例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素類としては例えばベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記アミド化合物類としては例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物系溶媒が、水と混合しやすく、シリカ粒子を分散させやすい点で好ましい。
好ましい態様において、ポリシロキサン化合物は、アルコール水溶液中、pH5以上7未満の弱酸性条件での加水分解重縮合により製造できる。
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、複数種の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
ポリシロキサン化合物を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲で行う。上記の温度範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物の分子量を容易に制御することができる。
縮合成分中のポリシロキサン化合物の含有量は、ポリシロキサン化合物の縮合換算量で40質量%以上99質量%以下であるように設定する。本明細書において、ポリシロキサン化合物の縮合換算量とは、ポリシロキサン化合物中に残存するX1(X1は、一般式(3)に関して先に定義した通りである)を、1/2個の酸素原子に置き換えて得られる量を意味する。該縮合換算量が40質量%以上であることは、複数の繊維状半導体材料間に形成される隙間への充填性が良好である点で好ましい。該縮合換算量はより好ましくは50質量%以上である。一方、該縮合換算量が99質量%以下であることは、低収縮率及び良好なクラック耐性が得られる点で好ましい。該縮合換算量はより好ましくは90質量%以下である。
(シリカ粒子)
本実施形態において使用されるシリカ粒子としては、例えばヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
上記ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えばハロゲン化ケイ素(例えば塩化ケイ素等)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解・縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えばジフェニルジクロロシラン等)等が挙げられる。中でも、金属、ハロゲン等の不純物は少ないことが好ましいため、アルコキシケイ素から得られたコロイダルシリカがより好ましい。
上記の縮合反応物にはシリカ粒子などの架橋密度の高い材料をあらかじめ配合することにより、機械強度に優れた結着材を得ることができるが、その場合のシリカ粒子の粒子径は、ナノ構造半導体(複数のナノワイヤ)間の隙間へ充填されるための流動性及び最終構造体であるナノ構造複合体が高強度を発現するうえできわめて重要である。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは20nm以下、最も好ましくは15nm以下である。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、クラック耐性が良好であり好ましく、120nm以下である場合、複数のナノワイヤ間の隙前への充填性が良好であり好ましい。
シリカ粒子の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは40nm以下、最も好ましくは30nm以下である。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、クラック耐性が良好であり好ましく、250nm以下である場合、複数のナノワイヤ間の隙前への充填性が良好であり好ましい。
また、シリカ粒子の平均二次粒子径は、上記の範囲内で、かつ基板に形成されたトレンチのうち、最小の開口幅の0.1〜3倍であることが、複数のナノワイヤ間の隙前への充填性が良好である点で好ましく、上記最小の開口幅の0.1〜2倍であることが更に好ましい。
上記平均一次粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる値であり、上記平均二次粒子径は、動的光散乱光度計で測定される値である。
シリカ粒子の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等の略球状である場合も含むものである。
シリカ粒子の比表面積は、HF耐性が良好である点で、BET比表面積が25m/g以上であることが好ましく、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは140m/g以上、最も好ましくは180m/g以上である。上記BET比表面積は、N分子の圧力とガス吸着量とから計算される方法で測定される値である。
シリカ粒子としては、上記の要件に適合する限りで、制限は無く、市販品を使用することもできる。
市販品としては、コロイダルシリカとして、例えばLEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等がそれぞれ挙げられる。シリカ粒子は、分散媒に分散させた形で用いることもできる。その場合の含有量は、正味のシリカ粒子の質量、すなわち分散液の質量にシリカ粒子の濃度を乗じた値を用いて算出する。
縮合成分中のシリカ粒子の含有量は、縮合反応物中のシロキサン結合数が4つに相当する成分の比率を高め(後述する縮合反応物のI4/Iallの値を高め)つつ、なおかつ縮合反応物の粘性をそれほど高めずにこれらを両立させるためには、シリカ粒子の配合率は1〜40質量%の範囲であることが好ましい。該含有量が1質量%以上40質量%以下であることは、また低収縮率、良好なクラック耐性及び複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間への良好な充填性が得られる点で好ましい。該含有量はより好ましくは10質量%以上40質量%、更に好ましくは15質量%以上40mol%以下である。
(そのほかの成分:シラン化合物)
本実施形態において用いる縮合反応物の製造の際に用いる縮合成分は、上記のポリシロキサン化合物及びシリカ粒子からなることもできるし、他の成分を含むこともできる。他の成分としては、例えば上記一般式(3)で表されるシラン化合物を使用できる。この場合、例えば以下の2段階の縮合反応を採用できる。すなわち、シリカ粒子を溶媒中に分散させた分散体にポリシロキサン化合物溶液を加えて縮合反応させる方法等によって、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とをまず縮合反応させる(第1段階)。次いで、得られた反応液に、上記一般式(3)で表されるシラン化合物を更に反応させる(第2段階)。縮合成分として使用される上記一般式(3)で表されるシラン化合物は1種類でもよいし複数種でもよい。複数種のシラン化合物を使用する場合には、例えば上記の第2段階において、1種類ずつ順次反応系中に加えてもよいし、複数種のシラン化合物を混合させてから反応系中に加えてもよい。
縮合成分としての上記一般式(3)で表されるシラン化合物を用いる場合(たとえば3官能と4官能シラン化合物以外)、縮合成分中の該シラン化合物の含有量は、該シラン化合物の縮合換算量で0質量%超過40質量%以下であるように設定することが好ましい。ここで、上記シラン化合物の縮合換算量とは、一般式(3)中のX1を1/2個の酸素原子に置き換えて得られる量を意味する。該縮合換算量が0質量%超過で40質量%以下あることは、縮合反応物溶液のポットライフが長い点及びクラック耐性が良好である点で好ましい。該縮合換算量は、より好ましくは0.01質量%以上30質量%以下、更に好ましくは0.03質量%以上20質量%以下である。
(縮合反応物の特性)
本実施形態においては、29SiNMR分析により、シリカ粒子はじめ、縮合反応物中の全4官能シロキサン成分(すなわち、シロキサン結合数が0に相当する成分(Q0成分)、シロキサン結合数が1つに相当する成分(Q1成分)、シロキサン結合数が2つに相当する成分(Q2成分)、シロキサン結合数が3つに相当する成分(Q3成分)、及びシロキサン結合数が4つに相当する成分(Q4成分)の成分量を測定することが可能で、シリカ粒子を含む該縮合反応物のQ0〜Q4成分のピーク強度の合計量(Iall)と、該縮合反応物中のシロキサン結合数4つに相当する成分(すなわちQ4成分)のピーク強度(I4)との比が、(I4/Iall)≧0.15の関係を満たすことが好ましい。上記比は、より好ましくは{I4/Iall}≧0.5であり、更に好ましくは(I4)/Iall)≧0.7である。上記比が上記範囲内である場合、縮合反応物中の、シラノール基、アルコキシ基等の末端基が少ないため、硬化収縮率が小さく、充填性が良好で、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。なお、各Q成分のピーク強度はピーク面積から算出する。
縮合反応物の重量平均分子量は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、更に好ましくは1,000以上10,000以下である。該縮合反応物の重量平均分子量が1,000以上である場合、成膜性及びクラック耐性が良好であり、重量平均分子量が20,000以下である場合、充填性が良好で、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。なお上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定され、標準ポリメチルメタクリレート換算で算出される値である。分子量の測定は、例えば東ソー製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、HLC−8220、TSKgel GMHHR−Mカラムを使用し、アセトン溶媒中、縮合反応物を1質量%溶液にして測定でき、示差屈折率計(RI)により標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
(溶媒)
本実施形態の縮合反応物溶液は溶媒を含有する。溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる少なくとも1種類の溶媒が挙げられ、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒がより好ましい。また、これらの溶媒の沸点は100℃以上200℃以下であることが好ましい。本実施形態の縮合反応物溶液中の溶媒の含有量は、縮合反応物100質量部に対して、好ましくは100質量部以上1900質量部以下、より好ましくは150質量部以上900質量部以下である。溶媒の上記含有量が100質量部以上である場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く、1900質量部以下である場合、充填性が良好であるため好ましい。
上記のアルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒の具体例としては、例えばブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメトキシエーテル、プロピレングリコールモノエトキシエーテル等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソアミルケトン、エチルヘキシルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。
本実施形態においては、沸点100℃以上200℃以下の、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が、縮合反応物溶液に含有される溶媒全体の50質量%以上を構成することが好ましい。この場合、縮合反応物溶液中に、沸点100℃以下の溶媒が混合されていても構わない。沸点が100℃以上200℃以下の、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が溶媒全体の50質量%以上を構成する場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く、また充填性が良好であるため好ましい。
(縮合反応物溶液の製造方法)
上述した本実施形態の縮合反応物溶液の好ましい製造方法について以下に説明する。
本実施形態の別の態様は、上述した本実施形態の縮合反応物溶液を製造する方法であって、
下記一般式(3):
{式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表されるシラン化合物であって、該一般式(3)中のnが0である4官能シラン化合物又は一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有するシラン化合物、を加水分解重縮合して、分子量が1000〜20000のポリシロキサン化合物を製造する工程;
(2)前記ポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させ、ポリシロキサン縮合反応物を製造する工程;
(3)半導体基板上に、最大径が10〜1000nmで、かつ長さ100μm以上の複数の繊維状半導体材料であって、お互いに長さ方向に配向して配列されてなる前記繊維状半導体材料(A)を形成する工程;
(4)前記縮合反応物溶液により前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を充填したあとで、加熱により溶媒を除去するとともに、前記縮合反応物をポリシロキサン(B)に硬化せしめる工程;
を含む、前記複数の繊維状半導体材料(A)と前記ポリシロキサン(B)を有する複合体の製造方法を提供する。
溶媒は、上記第1の工程及び上記第2の工程のいずれか又は両者において、任意のタイミングで反応系中に添加でき、又は存在させることができる。また、第2の工程の後に、溶媒を更に添加する工程を任意に含むことができる。この工程においては、溶媒添加後、例えば沸点100℃以下の溶媒及び水を除去する溶媒置換処理を行ってもよい。
第1の工程は、ポリシロキサン化合物の製造の項において詳述したような手法で行うことができる。
上記第2の工程において、上記ポリシロキサン化合物に上記シリカ粒子を縮合反応させる際には、溶媒中に分散した状態のシリカ粒子を用いて反応を進行させることができる。この溶媒は、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒であることができる。上記縮合反応時に反応系中に存在させる有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子が分散されている分散媒によって変わる。使用されるシリカ粒子の分散媒が水系の場合は、水及び/又はアルコール系溶媒をシリカ粒子に加えて得た水系分散液をポリシロキサン化合物と反応させてもよいし、シリカ粒子の水分散液に含まれる水を一度アルコール系溶媒に置換してから、このシリカ粒子のアルコール系分散液をポリシロキサン化合物と反応させてもよい。使用できるアルコール系溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール系溶媒が好ましく、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられる。これらは、水と容易に混合できるため好ましい。
使用されるシリカ粒子の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶媒である場合は、水又はアルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を、縮合反応時に反応系中に存在させる溶媒として使用することができる。アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテルとしては、例えばジメトキシエタンが挙げられる。ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステルとしては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル等が挙げられる。
好ましい態様において、第2の工程を炭素数1〜4のアルコール水溶液中で行うことができる。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とを縮合反応させる際の反応系のpHは、好ましくはpH=4〜9の範囲、より好ましくはpH=5〜8、特に好ましくはpH=6〜8の範囲に調整する。pHが上記範囲である場合、縮合反応物の重量平均分子量とQ成分のシラノール基割合とを容易に制御できるため好ましい。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応は、通常酸触媒の存在下で行う。酸触媒としては、ポリシロキサン化合物の製造に用いるものとして前述したのと同じ酸触媒を挙げることができる。ポリシロキサン化合物の製造後に酸触媒を取り除く場合には、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とを反応させる際に酸触媒を再度加えることが通常必要であるが、ポリシロキサン化合物の製造後に酸触媒を取り除かずそのままシリカ粒子を反応させる場合は、酸触媒を再度加えなくても、ポリシロキサン化合物を反応させる際に使用した酸触媒でポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応を行うことができる。しかし、この場合、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応時に改めて酸触媒を加えても構わない。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応温度は、好ましくは0℃以上200℃以下、より好ましくは50℃以上150℃以下である。反応温度が上記範囲である場合、縮合反応物の重量平均分子量とQ成分のシラノール基割合とを容易に制御できるため好ましい。
特に好ましい態様において、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応は、炭素数1〜4のアルコール水溶液中、pH6〜8の条件下、50℃以上の温度で行う。
縮合成分として上記一般式(3)で表されるシラン化合物を用いる場合には、第2の工程において、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応(第1段階)の後、該縮合反応の生成物にシラン化合物を更に反応させる(第2段階)ことができる。該シラン化合物はニートで加えてもよいし、一度溶媒で希釈してから加えてもよい。希釈用の溶媒としては、例えばアルコール系、エーテル系、ケトン系、エステル系、炭化水素系、ハロゲン化溶媒等が用いられる。
上記第2段階において、上記一般式(3)で表されるシラン化合物は、濃度1質量%以上100質量%以下(ニートの場合100質量%)の範囲で反応系中に添加することが好ましく、該濃度はより好ましくは3質量%以上50質量%以下である。該濃度が上記の範囲内である場合、縮合反応物製造時の溶媒使用量が少ないため好ましい。
典型的な態様においては、第1段階で、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応生成物を形成し、続いて第2段階で、一般式(3)で表されるシラン化合物を反応系中に添加し、−50℃以上200℃以下の範囲で、1分以上100時間以下の範囲で反応させることが好ましい。反応温度と反応時間とを制御することで、縮合反応物を成膜する際の縮合反応物溶液の粘度を制御することができ、反応温度と反応時間とが上記の範囲である場合には上記粘度を成膜のために特に好適な範囲に制御できる。
縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子及びシラン化合物の反応)後の反応液のpHは、6以上8以下に調整することが好ましい。pHは、例えば縮合反応後に蒸留によって酸を取り除くことによって調整できる。上記反応液のpHが上記範囲内である場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。
アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる溶媒(好ましくは沸点100℃以上200℃以下のもの)を、縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子及びシラン化合物との反応)の際にあらかじめ添加してもよいし、上記縮合反応を行った後に、別の工程として、新たな工程を設けて添加してもよいし、上記両者のタイミングで添加してもよい。
縮合反応物を形成した後に新たな工程を設ける場合には、縮合反応の際に使用した溶媒を蒸留等の方法により除去して得た濃縮物に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる沸点100℃以上200℃以下の溶媒を更に加えても構わない。
第2の工程における縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子及びシラン化合物の反応)の際に使用される溶媒(特に有機溶媒)、及び該縮合反応の際に生成するアルコールが、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる沸点100℃以上200℃以下の溶媒よりも沸点が低い場合は、縮合反応の際又は縮合反応後に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる沸点100℃以上200℃以下の溶媒を添加し、その後蒸留等の方法によって低沸点の溶媒を取り除くことが好ましい。この場合、縮合反応物溶液のポットライフが長くできる点で好ましい。
特に好ましい態様においては、第3の工程において、縮合反応後の反応液に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種類の沸点100℃以上200℃以下の溶媒を加えた後、沸点100℃以下の成分を留去する。これによって高沸点溶媒への溶媒置換を行うことができる。沸点100℃以下の成分としては、例えば、第1の工程及び/又は第2の工程を、水アルコール水溶液中、又は沸点100℃以下のアルコール中等で行った場合における、水、又は沸点100℃以下のアルコール等が挙げられる。
より具体的には、縮合反応(ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子及びシラン化合物の反応)の際に水及びアルコールを使用する場合には、縮合反応後に前述のような態様で溶媒を加えた後に、蒸留等の方法によって水及び沸点100℃以下のアルコールを取り除き、縮合反応物溶液中の沸点100℃以下の成分(すなわち水及び沸点100℃以下のアルコール)の含有量を1質量%以下にすることが好ましい。該含有量が上記範囲内である場合、縮合反応物溶液のポットライフが長く好ましい。
上記のような手順によって縮合反応物溶液を得た後に、イオンを除去するために精製を行ってもよい。イオンを除去する方法としては、例えばイオン交換樹脂によるイオン交換、限外ろ過、蒸留等が挙げられる。
本発明のより好ましい態様は、本実施形態の縮合反応物溶液を製造する方法であって、
下記一般式(4):
{式中、X2は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される4官能シラン化合物5mol%以上、又は、
下記一般式(5):
{式中、R2は、炭素数1〜10の炭化水素基であり、X3は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
で表される3官能シラン化合物5mol%以上80mol%以下とからなるシラン化合物を、アルコール水溶液中、pH5以上7未満の弱酸性条件で加水分解重縮合して、分子量が1000〜20000のポリシロキサン化合物を得る第1の工程と、
該第1の工程で得たポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、からなる縮合成分を、炭素数1〜4のアルコール水溶液中、pH6〜8の条件下、50℃以上の温度で縮合反応させて、
反応液を得る第2の工程と、
該第2の工程で得た反応液に、アルコール、ケトン、エステル、エーテル及び炭化水素系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも1種類の沸点100℃以上200℃以下の溶媒を加えた後、蒸留により沸点100℃以下の成分を留去することによって、縮合反応物溶液を得る工程と
を含む方法を提供する。
(縮合反応物溶液の特性)
縮合反応物溶液を、充填口が狭く高アスペクト比な本実施形態に係る複数の繊維状半導体間に形成される隙間へ充填するためには、縮合反応物溶液の流動性が低いことが好ましい。本実施形態では、該流動性の低さを、縮合反応物溶液の固形分濃度50質量%における25℃での粘度で評価する。
尚、固形分濃度50質量%の縮合反応物溶液の粘度は以下の方法により測定した。
既知濃度の縮合反応物溶液を固形分濃度50質量%までエバポレーターで濃縮し、濃縮後の縮合反応物溶液の温度が25℃以下になってから5分以内に粘度測定を行った。固形分濃度50質量%のサンプルを粘度計(東機産業(株)製 E型粘度計(RE−85R型)、コーンローター:1°34′×R24)のサンプルカップに1.1ml入れ、適切な回転数でローターを回転させた。粘度の値が安定したとき(ばらつきが2%以下となったとき)の値を求めた。
本明細書において、縮合反応物溶液の固形分濃度とは、該溶液中に存在する、Si原子を有する化合物の濃度を意味する。該固形分濃度は、縮合反応物溶液を窒素雰囲気中、600℃で焼成した前後の重量を測定する方法で測定できる。また、25℃における粘度の値とは、E型粘度計を用い、粘度の値が安定したとき(ばらつきが2%以下)の値を意味する。本実施形態においては、上記縮合反応物溶液の固形分濃度が50質量%のときの25℃における粘度が500mPa・s以下であることが好ましい。該粘度は、より好ましくは200mPa・s以下であり、更に好ましくは100mPa・s以下であり、特に好ましくは70mPa・s以下である。該粘度が上記の範囲である場合、隙間への充填性が良好であり好ましい。
<充填材料(縮合反応物溶液)の充填・硬化方法>
本実施形態の縮合反応物溶液は、最大径が10〜1000nmで、かつ長さが100μm以上の複数の繊維状半導体材料のお互いが長さ方向に配向し配列されてなる繊維状半導体材料(A)の間隙に充填し、かつそれを硬化する目的に好適に使用される。
本発明の別の態様は、上述した本実施形態に係る縮合反応物溶液を複数の繊維状半導体材料の隙間に充填する充填工程と、該充填工程で得た、硬化前の複合体を焼成する工程とを含む、該複数の繊維状半導体材料(A)と硬化後のポリシロキサン(B)との複合体の形成方法を提供する。
第3の工程として、前述したような方法により製造されたシロキサン縮合反応物溶液を通常の方法で隙間に充填することができる。
充填方法としては例えば、滴下法、スピンコート法、ディップコート法、ローラーブレード塗布法、スプレー塗布法等が挙げられる。
上記基板としては例えばシリコン(Si)基板が挙げられる。また上記基板はナノ構造を有することができる。充填工程において、ナノ構造を有する基板に例えば滴下法によって、縮合反応物溶液を塗布する場合、1段階の滴下でも、複数回滴下しても構わない。特に、少なくとも1段階目は少量滴下し、2段階目以降必要量に達するよう滴下することが好ましい。これは、1段階目でまず全面に液が広がり充填性が良好になるためである。
次いで、第4の工程として、焼成工程において上記充填基板を加熱する。充填工程において基板に上記の方法で縮合反応物溶液を塗布した後、充填体中の残留溶媒を除くために50℃〜200℃の範囲で予備硬化させることが好ましい。そのとき、段階的に温度を上げても、連続的に温度を上げてもよい。予備硬化の雰囲気としては、酸化性雰囲気であっても非酸化性雰囲気であっても構わない。
予備硬化させて得られた基盤を次いで加熱焼成することによって硬化後の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)との複合体を得ることができる。上記の加熱焼成の方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネス等の一般的な加熱手段を適用することができる。加熱焼成は非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。また好ましい加熱温度は好ましくは200℃超過850℃以下であり、より好ましくは300℃超過800℃以下であり、更に好ましくは350℃超過750℃以下である。加熱温度が200℃超過である場合、得られる膜質が良好であるため好ましく、850℃以下である場合、耐クラック性が良好であるため好ましい。
非酸化性雰囲気とは、真空下、又はN2、Ar、Xe等の不活性雰囲気である。これらの不活性雰囲気中の酸素、水蒸気等の酸化性ガスの濃度は1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。非酸化性雰囲気の全圧力に特に制限は無く加圧、常圧、減圧のいずれでもよい。
700℃以上900℃以下の高温領域では水素を含む気体中で上記焼成工程を行うことがより好ましい。焼成工程で使用する水素を含む気体は、焼成工程の最初から、すなわち基板がまだ700℃以下の温度である時点から導入してもよいし、700℃に到達してから導入してもよい。さらに一旦700℃以上900℃以下の温度で水素を含まない気体で第一の加熱を行った後に、水素を含む気体を導入して第二の加熱を行うという二段階で行ってもよい。いずれの方法で行う場合も、焼成を終えた後基板が400℃以下の温度、好ましくは室温程度まで冷却されるまで、水素を含む気体を導入したままにしておくのが好ましい。
上述の通り、焼成工程を水素を含む気体中で行えば、シリコン原子と有機基との間の化学結合が700℃を超える高温で切断されても、発生するダングリングボンドを水素で終端することができるため、シラノール基の形成を防止することが可能となる。
焼成工程においては、酸化性雰囲気での加熱焼成と光処理とを併用しても構わない。加熱と光処理とを同時に行う場合の温度は、好ましくは20℃以上600℃以下であり、処理時間は、好ましくは0.1分以上120分以下である。光処理には、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用できる。光処理にはまた、低圧若しくは高圧の水銀ランプ;重水素ランプ;アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光;YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArCl等のエキシマレーザー;等を光源として使用することができる。これらの光源は、好ましくは10〜5,000Wの出力のものである。これらの光源による光の波長は、基板に塗布した膜中の縮合反応物に少しでも吸収があれば構わないが、好ましくは170nm〜600nmの波長の光である。照射量は、好ましくは0.1〜1,000J/cm2であり、より好ましくは1〜100J/cm2である。光処理時に同時にオゾンを発生させても構わない。例えば上記の条件で光処理することによって、基板に塗布した膜中の縮合反応物の酸化反応が進行し、焼成後の膜質を向上させることができる。
以上説明したように、本発明者らは、シリカ粒子とポリシロキサン化合物との割合、及びポリシロキサン化合物の成分の割合を最適化することにより、ポットライフが長く、複数の繊維状半導体材料間に形成される隙間を充填するために使用した場合の隙間内への充填性が良好で、焼成して酸化シリコン(ポリシロキサン)としたときの硬化収縮率が小さく、クラック耐性に優れ、さらに得られた複合体を構成する繊維状半導体材料(A)との密着性に優れる縮合反応物溶液を提供することができる。
すなわち、特に好ましい態様において、本実施形態において使用する縮合成分が、ポリシロキサン化合物の縮合換算量50質量%以上90質量%以下とシリカ粒子10質量%以上50質量%以下とを含有することがより好ましい。上記割合が10質量%以上であることは、低収縮率及び良好なクラック耐性の点で好ましく、50質量%以下であることは、充填性が良好である点で好ましい。
また、ポリシロキサン化合物は、上記一般式(4)で表される4官能シラン化合物に由来する成分10mol%以上、又は上記一般式(5)で表される3官能シラン化合物に由来する成分5mol%以上70mol%以下とからなることが特に好ましい。
そして、上記の縮合反応物溶液を使用し最終的に得られた本実施形態の複合体は、最大径が10〜1000nmで、長さが100μm以上の複数の繊維状半導体材料と該縮合反応物が加熱により硬化したポリシロキサン(B)とからなるもので、デバイス等に加工されて使用される場合の実評価においても十分な機械強度を有するため、ナノワイヤが変形したり、場合によっては折れたりすることなく元の形状が保持されるので所望するようなデバイス性能が発現される。
本実施形態に係る縮合反応物溶液を使用して得られたナノ構造複合体は、熱電変換素子はじめ、太陽電池、水素センサー等に好適に使用される。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態をより詳細に説明する。本実施形態はこれらに限定されるものではない。
(1)ポリシロキサン(B)のNMR測定
複数の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)を有する本実施形態の複合体を乳鉢で細かく粉砕後、測定試料とした。
以下の条件により、Q3/Q4ピーク比率(Ir)=I4/(I3+I4)を算出した。
<29Si−NMR測定条件>
装置 : Bruker BioSpin Avance500
共鳴周波数 : 99.36MHz
NMR管 : 7mmφ
測定法 : DD/MAS
パルス幅 : 45°
待ち時間 : 150sec
積算回数 : 80回
MAS : 6,500Hz
化学シフト基準 : シリコンゴム(−22.34ppm、外部基準)
試料量 : 約330mg
図4−2に、典型例として実施例1の複合体を測定したときにピーク分離した例を示す。
(a)Q3ピーク(−101ppm付近)(符号8)とQ4ピーク(−110ppm付近)(符号6)のうち、より強度が強いピークのシグナル位置を決める。
(b)より強度が強いピーク形状に対して、もう一つの強度が弱いピークとは反対側のピークの裾形状に合うように、(a)で決めたシグナル位置にガウス曲線のピークを作成し、ピーク高さと半値幅を手動により、作成する。
(c)元のスペクトル形状から、(b)で作成したピーク形状を差し引いた残渣により特定される、より強度が弱いピークのシグナル位置を決める。
(d)(a)、(c)で検出されたシグナルに応じて、半値幅とシグナル高さを最小二乗近似させることにより、ピーク強度と半値幅をフィッティングする。
尚、ピーク分離用ソフトは非特許文献1に付属したものを使用した。
(2)ポリシロキサン化合物の重量平均分子量(Mw)測定
(3)ポリシロキサン縮合反応物溶液のpH測定
固形分濃度20質量%の縮合反応物溶液に等量(質量基準)の水を加え攪拌し、この混合溶液をpH試験紙につけてpHを測定した。
(4)繊維状半導体材料(A)の複合体中の占有率
図2に示すように、繊維状半導体材料(A)の断面を円形とみなし、その直径Dnm(符号1)から単位断面積を求め、複合体断面の任意の断面積(Snm)中に含まれる該半導体材料の本数分の面積(S1nm))から充填率(%)=S1/S×100を求めた。
円形とみなす処理及び面積の算出については、複合体の断面のSEM像から画像ソフトを使って求めた。
画像ソフトはImageJ1.48v(フリーウェア Version1.46 開発者 Wayne Rasband 2014年7月10日)を使用した。
画像ソフトの2値化機能を使用して、以下の閾値を設定した。この過程では、まず仮の閾値が設定され、この閾値よりも大きい値を持つピクセルの平均輝度値と、閾値よりも小さい値を持つピクセルの平均輝度値がそれぞれ計算される。
次にそれら2つの値の平均が計算され、それが次の閾値候補になる。この新しい閾値を使って再び計算が繰り返される。この過程は、閾値が平均値よりも大きくなったときストップする。すわなち、閾値は以下の式(6):
で表された式に従って求められる。
上記の閾値を求める方法により、繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)をSEM観察した場合、半導体材料(A)の輝度がポリシロキサン(B)の輝度よりも大きいため、画像の中の閾値よりも明るい部分のピクセル数の割合を半導体材料(A)の占有率とした。
(5)繊維状半導体材料(A)の複合体中における平均ピッチ
図2に示すように、ナノ構造複合体の断面のSEM像を使って、上記(5)に記載する方法により繊維状半導体材料の中心を求め、これから複数各々の中心間の距離Pnm(符号2)を求め、その平均値を平均ピッチとした(n=100)。
(6)複合体中の繊維状半導体材料(A)の自立性の評価
焼成後の複合体が形成されたウエハーを研削用プレートにWAXなどで固定し、表面の不要な充填剤を研削機(日本エンギス社 EVG−200)を使用して研削した。膜厚が200μmとなるところで研削を止め、WAXから取り出し、繊維状半導体材料の自立性を評価した。尚、自立性の評価がA、AA又はAAAの場合は、複合体のクラック耐性が優れ、複合体中の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)との密着性が良好で、さらに複合体自体の機械強度が良好であることを示す。Aはこれらの性能に優れ、AAではより優れ、AAAではさらに優れていることを示す。

研削後に切り出し、
複合体膜が10cm×10cmで自立するものをAAA
複合体膜が5cm×5cmで膜が自立するものをAA
複合体膜が3cm×3cmで膜が自立するものをA
複合体膜を3cm×3cmで切り出して膜が自立しないものを×とした。
(7)ポリシロキサン(B)の凝集具合
2値化されたSEM画像のうち、閾値よりも高輝度である繊維状半導体材料(A)の本数をMとして、異なる2つ以上の半導体材料(A)が、画像上で接している本数をNとした場合の、N/Mで表される凝集率が
SEM観察にて繊維状半導体材料(A)同士の凝集率10%以下のもの ◎
SEM観察にて繊維状半導体材料(A)同士の凝集率が30%以下のもの ○
SEM観察にて繊維状半導体材料(A)同士の凝集率が50%以下のもの △
SEM観察にて繊維状半導体材料(A)同士の凝集率が50%以上のもの ×
[繊維状半導体材料(A)の作製]
特許文献3に開示されている手法を用いてPET基板上にナノ構造が付与されたシート状樹脂モールドを作製する。レジストのピッチ(P) 350nm パターン径(D)が、
1)130nm
2)160nm
3)190nm
4)230nm
5)250nm
6)300nm
であるナノパターンシート状樹脂モールド(300×220mm)を準備した。
<ナノ加工用フィルムの作製>
シート状樹脂モールドのナノ構造面に対して、下記材料1の希釈液を塗工した。続いて、材料2をナノ構造内部に内包するシート状樹脂モールドのナノ構造面上に、下記材料2の希釈液を塗工し、ナノ加工用フィルムを得た。
・材料1…TTB:3APTMS:SH710:I.184:I.369=65.2g:34.8g:5.0g:1.9g:0.7g
・材料2…Bindingpolymer:SR833:SR368:I.184:I.369=77.1g:11.5g:11.5g:1.47g:0.53g
・BindingPolymer…ベンジルメタクリレート80質量%、メタクリル酸20質量%の2元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分50%、重量平均分子量56000、酸当量430、分散度2.7)
・TTB…チタニウム(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業社製)
・SH710…フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製)
・3APTMS…3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM5103(信越シリコーン社製))
・I.184…1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製 Irgacure(登録商標)184)
・I.369…2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(BASF社製 Irgacure(登録商標)369)
・SR833…トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(SR833(SARTOMER社製))
・SR368…トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(SR833(SARTOMER社製))
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)にて希釈した材料1を、シート状樹脂モールドのナノ構造面上に直接塗工した。ここで、希釈濃度は、単位面積当たりの塗工原料(PGMEにて希釈した材料1)中に含まれる固形分量が、単位面積当たりのナノ構造の体積よりも20%以上小さくなるように設定した。塗工後、80℃の送風乾燥炉内に5分間静置し、材料1をナノ構造内部に内包するシート状樹脂モールドを回収した。
続いて、PGME及びメチルエチルケトン(MEK)にて希釈した材料2を、材料1をナノ構造内部に内包するシート状樹脂モールドのナノ構造面上に直接塗工した。
ここで、希釈濃度は、ナノ構造内部に配置された材料1と塗工された材料2の界面と、材料2の表面と、の距離が500nmになるように設定した。
塗工後、80℃の送風乾燥炉内に5分間静置し、材料2の表面にポリプロピレン製カバーフィルムを合わせ、回収した。カバーフィルムを合わせる際の温度は、30℃とした。
[ウエハー上への熱転写形成]
1)紫外線オゾンで表面洗浄した6インチシリコンウエハーを120℃に加熱したホットプレート上に配置する。
2)フィルムをハンドローラーで押し付け 1min
3)フィルムを付けたままで、UV照射 1min
4)後加熱 1min
5)フィルム剥離
(転写したナノパタン上へのドライエッチング処理)
O2ドライエッチング処理により、レジストを除去し、
以下のパターンを得た。
パターン1
幅D=116nm
パターン2
幅D=147nm
パターン3
幅D=164nm
パターン4
幅D=214nm
パターン5
幅D=232nm
パターン6
幅D=285nm
[銀層の形成]
製造例1〜3のレジストパタン上に、真空加熱蒸着装置を用いて転写シリコンAの格子状凹凸形状転写表面に、銀(Ag)を100nm成膜した。Agの蒸着条件は、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度0.5nm/sとした。Agの厚みを測定するため表面が平滑なガラス基板を転写フィルムと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAg厚みをAg平均厚みとした。
(無電解エッチング)
700mlのイオン交換水に47%HFを202gに調整した。続いて、30%のH2O2過酸化水素水を30m入れ、全体が1000mlになるように調整した。
無電解エッチングによりナノワイヤを作成した。尚、繊維状半導体材料(A)の形成速度は0.5〜1μm/minであった。
得られた繊維状半導体材料(A)の長さを光学顕微鏡により測定したところ200μmであった。また、平均ピッチは350μmであった。
(繊維状半導体材料(A)の乾燥)
繊維状半導体材料(A)が形成されたシリコン基板と2−メチル−2−プロパノールを容器に入れ、2−メチル−2−プロパノールが完全に凍結するまで冷却した。凍結したウエハーは、2−メチル−2−プロパノールが完全に昇華するまで、20Paの真空下で乾燥させた。
[フィリング液(充填剤)の作製]
以下の製造例1〜4にて、ポリシロキサン化合物の製造を行った。
各実施例及び各比較例においては、様々な組成比の縮合反応物を得た。なお表1中のシリカナノ粒子配合比(%)は、ポリシロキサン化合物の縮合換算量とシリカ粒子量との合計質量を基準にして算出した。
[製造例1]
ナスフラスコに、メチルトリメトキシシラン(MTMS)11.6g、テトラエトキシシラン(TEOS)4.4g、及びエタノール20gを入れて攪拌し、ここへ水11.5gとpH調整のための適切量の濃硝酸との混合水溶液を室温で滴下してpHを6〜7に調整した。滴下終了後、30分間攪拌し、24時間静置し、ポリシロキサン化合物を得た。
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌し、ここへ上記のポリシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した。還流後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加し、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去し、縮合反応物のPGMEA溶液を得た。該縮合反応物のPGMEA溶液を濃縮し、固形分濃度20質量%のPGMEA溶液(充填用塗布液)を得た。
[製造例2]
200mLナスフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均1次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)20.41g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)(沸点:120℃)50gを入れ、加熱減圧蒸留を行いPGMEに溶媒置換されたシリカ分散液(PGME/シリカ分散液)20.41gを得た。GC測定により、PGME/シリカ分散液中に、水は、約3質量%含まれていた。
300mLナスフラスコに、テトラエトキシシラン(TEOS)10.40g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル20.63gを入れて攪拌し、ついで0.7質量%硝酸水溶液1.53g、及び水0.28gの混合硝酸水溶液を室温で滴下した。滴下終了後、50℃で1時間加熱攪拌した。加熱攪拌後、PGME/シリカ分散液を20.41g滴下した。滴下終了後、50℃で1時間加熱攪拌した。その後、加熱減圧蒸留により、溶媒を留去し、固形分濃度15質量%の充填用塗布液21.43gを得た。
[製造例3]
500mLセパラブルフラスコに、テトラエトキシシラン(TEOS)63.60g、及びエタノール34.5gを入れ、ここへpH調整のための適切量の濃硝酸と水分量9.18gとなる混合水溶液を室温で滴下してpHを6〜7に調整した。窒素を360ml/minで流しながら、150rpmの速度で撹拌し、反応温度70℃で7時間反応させ、ポリシロキサン縮合材料を得た。
得られたポリシロキサン縮合物にエタノールを添加し、固形分濃度20質量%の充填用塗布液を得た。
[製造例4]
500mLセパラブルフラスコに、テトラエトキシシラン(TEOS)63.60g、及びエタノール34.5gを入れ、ここへpH調整のための適切量の濃硝酸と水分量8.1gとなる混合水溶液を室温で滴下してpHを6〜7に調整した。窒素を360ml/minで流しながら、150rpmの速度で撹拌し、反応温度70℃で7時間反応させ、ポリシロキサン縮合材料を得た。
得られたポリシロキサン縮合物にエタノールを添加し、固形分濃度20質量%の充填用塗布液を得た。
[実施例1]
(複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間へのフィリング工程)
パターン(5)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハー周辺部に付加硬化型シリコーン(旭化成ワッカーシリコーンELASTOSIL A液:B液9:1)熱硬化性樹脂を用いて、図3に示すような周辺部を形成した。
製造例1で得られたフィリング液626μlを21回に分けて6インチ面内に滴下し、トータル量で13.14mlとした。
滴下後、25℃の大気中にて24時間乾燥させた。
(焼成工程)
上記の乾燥後に140℃に設定したオーブン(大気中)で5minでプレキュア焼成、さらに酸素濃度0.1%以下の窒素雰囲気下で、400℃(20℃/min)で焼成した。400℃になったところで、昇温を止め、1時間かけて100℃以下に冷却した後、本実施態様の複数の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)を有する複合体を取り出した。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=21:100であり、Ir=82%(図4−1)であった。また自立性はAAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はなく良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例2]
パターン(4)を用いてナノ構造半導体が形成されたウエハーに変更した以外は実施例1と同様にして、本発明のナノ構造複合体を得た。
得られたナノ構造複合体のI3及びI4はQ3:Q4=21:100であり、Ir= 82%(図4−1)であった。また自立性はAAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はなく良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例3]
パターン(3)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例1と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=21:100であり、Ir= 82%(図4−1)であった。また自立性はAAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はなく良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例4]
パターン(2)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例1と同様にして、本実施態様の複合体を得た。得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=21:100であり、Ir= 82%(図4−1)であった。また自立性はAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集が見られ、わずかにクラックが発生していた。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例5]
パターン(6)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例1と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=21:100であり、Ir= 82%(図4−1)であった。また自立性はAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はわずかに見られ、良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[比較例1]
パターン(1)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例1と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=21:100であり、Ir= 82%(図4−1)であった。また自立性は×で、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集がおおきく、クラックが目視で確認できた。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例6]
(複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間へのフィリング工程)
パターン(5)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハー周辺部に付加硬化型シリコーン(旭化成ワッカーシリコーンELASTOSIL A液:B液9:1)熱硬化性樹脂を用いて、図3のような周辺部を形成した。
製造例2で得られたフィリング液835μlを21回に分けて6インチ面内に滴下し、トータル量で17.53mlとした。
滴下後、25℃の大気中にて24時間乾燥させた。
(焼成工程)
滴下後140℃に設定したオーブン(大気中)で5minでプレキュア焼成、さらに酸素濃度0.1%以下の窒素雰囲気下で、400℃(20℃/min)で焼成した。400℃になったところで、昇温を止め、1時間かけて100℃以下に冷却した後、本実施態様の複合体を取り出した。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=41:100、Ir=71%(図5−1及び2)であった。また自立性はAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はわずかに見られ、良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例7]
パターン(4)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例6と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=41:100、Ir=71%であった。また自立性はAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はわずかに見られ、良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例8]
パターン(3)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例6と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=41:100、Ir=71%であった。また自立性はAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集はわずかに見られ、良好であった。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例9]
パターン(2)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例6と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=41:100、Ir=71%であった。また自立性はAAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集が見られ、わずかにクラックが発生していた。これらの結果を表1にまとめた。
[比較例2]
パターン(1)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例6と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=41:100、Ir=71%であった。また自立性は×で、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集がおおきく、クラックが目視で確認できた。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例10]
(複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間へのフィリング工程)
パターン(5)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハー周辺部に付加硬化型シリコーン(旭化成ワッカーシリコーンELASTOSIL A液:B液9:1)熱硬化性樹脂を用いて、図3のような周辺部を形成した。
製造例3で得られたフィリング液626μlを21回に分けて6インチ面内に滴下し、トータル量で13.14mlとした。
滴下後、25℃の大気中にて24時間乾燥させた。
(焼成工程)
滴下後140℃に設定したオーブン(大気中)で5minでプレキュア焼成、さらに酸素濃度0.1%以下の窒素雰囲気下で、400℃(20℃/min)で焼成した。400℃になったところで、昇温を止め、1時間かけて100℃以下に冷却した後、本実施態様の複合体を取り出した。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=100:23、Ir=28%であった。また自立性はAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集が見られ、わずかにクラックが発生していた。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例11]
パターン(4)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例10と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=100:23、Ir=28%であった。また自立性はAで、構造複合体中のポリシロキサン(B)の凝集が見られ、わずかにクラックが発生していた。これらの結果を表1にまとめた。
[実施例12]
パターン(3)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は実施例10と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=100:23、Ir=28%であった。また自立性はAで、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集が見られ、わずかにクラックが発生していた。これらの結果を表1にまとめた。
[比較例3]
(複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間へのフィリング工程)
パターン(5)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハー周辺部に付加硬化型シリコーン(旭化成ワッカーシリコーンELASTOSIL A液:B液9:1)熱硬化性樹脂を用いて、図3のような周辺部を形成した。
製造例4で得られたフィリング液626μlを21回に分けて6インチ面内に滴下し、トータル量で13.14mlとした。
滴下後、25℃の大気中にて24時間乾燥させた。
(焼成工程)
滴下後140℃に設定したオーブン(大気中)で5minでプレキュア焼成、さらに酸素濃度0.1%以下の窒素雰囲気下で、400℃(20℃/min)で焼成した。400℃になったところで、昇温を止め、1時間かけて100℃以下に冷却した後、本実施態様の複合体を取り出した。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=100:23、Ir=19%であった。また自立性は×で、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集がおおきく、クラックが目視で確認できた。これらの結果を表1にまとめた。
[比較例4]
パターン(4)を用いて繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハーに変更した以外は比較例3と同様にして、本実施態様の複合体を得た。
得られた複合体のI3及びI4はQ3:Q4=100:23、Ir=19%であった。また自立性は×で、複合体中のポリシロキサン(B)の凝集がおおきく、クラックが目視で確認できた。これらの結果を表1にまとめた。
本発明によれば、複数の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)を有する複合体は、熱電変換材料はじめ、太陽電池、水素センサー等に好適に使用される。
1 Dnm
2 Pnm
3 ナノ構造形成部
4 ウエハー
5 土手
6 実施例1の複合体由来のピーク
7 繊維状半導体材料(A)由来のピーク
8 ピーク分離後のQ3構造ピーク
9 ピーク分離後のQ4構造ピーク

Claims (6)

  1. 最大径が10〜1000nmで、かつ長さ100μm以上の複数の繊維状半導体材料(A)とポリシロキサン(B)を有する複合体であって、前記繊維状半導体材料(A)は互いに長さ方向に配向して配列され、
    前記ポリシロキサン(B)は、前記複数の前記繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋めるように存在しており、
    下記式(1)で算出される前記複合体の断面における、前記繊維状半導体材料(A)の占有率(OR)が15〜70%であり、そして
    下記式(2)で算出される前記ポリシロキサン(B)のQ4ピーク比率(Ir)が、Ir≧0.2である、複合体。
    上記式(1)において、SAおよびSBはそれぞれ、前記複合体の繊維状半導体材料(A)の長さ方向に垂直な断面のSEM観察によって算出される繊維状半導体材料(A)およびポリシロキサン(B)の面積を示す。
    上記式(2)において、I3およびI4はそれぞれ、ポリシロキサン(B)の固体29SiNMR測定により得られるQ3ピーク強度およびQ4ピーク強度を示す。
  2. 前記ポリシロキサン(B)が、平均一次粒径1nm〜120nmのナノ粒子を1〜60質量%含有する、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記複合体の繊維状半導体材料(A)の断面方向における、前記半導体材料(A)間の平均ピッチが、150nm〜500nm以下である、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記複合体の繊維状半導体材料(A)の断面方向における、前記(A)と前記ポリシロキサン(B)の合計面積が1mm以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合体。
  5. 前記シロキサン(B)の密度が1.2〜1.54である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の複合体。
  6. 以下の工程:
    (第1の工程)
    下記一般式(3):
    {式中、nは、0〜3の整数であり、R1は、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1は、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基又はアセトキシ基である。}
    で表されるシラン化合物であって、該一般式(3)中のnが0である4官能シラン化合物又は一般式(3)中のnが1である3官能シラン化合物を少なくとも含有するシラン化合物、を加水分解重縮合して、分子量が1000〜20000のポリシロキサン化合物を製造する工程;
    (第2の工程)前記ポリシロキサン化合物の縮合換算量40質量%以上99質量%以下と、シリカ粒子1質量%以上60質量%以下と、を少なくとも含有する縮合成分を縮合反応させ、ポリシロキサン縮合反応物を製造する工程;
    (第3の工程)半導体基板上に、最大径が10〜1000nmで、かつ長さ100μm以上の複数の繊維状半導体材料であって、お互いに長さ方向に配向して配列されてなる前記繊維状半導体材料(A)を形成する工程;
    (第4の工程)前記縮合反応物溶液により前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を充填したあとで、加熱により溶媒を除去するとともに、前記縮合反応物をポリシロキサン(B)に硬化せしめる工程;
    を含む、前記複数の繊維状半導体材料(A)と前記ポリシロキサン(B)を有する複合体の製造方法。
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