JP2018082083A - 繊維状半導体材料と充填材とを有する複合体 - Google Patents

繊維状半導体材料と充填材とを有する複合体 Download PDF

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三都子 齋藤
Mitsuko Saito
三都子 齋藤
泰幸 河津
Yasuyuki Kawazu
泰幸 河津
利信 小笠原
Toshinobu Ogasawara
利信 小笠原
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Abstract

【課題】接触抵抗が低く、高い熱電性能を得ることが可能な、ナノ構造の繊維状半導体材料を含む複合体を提供すること。【解決手段】表面及びその反対面である裏面を有し、前記表面から深さ方向に配列する複数の繊維状半導体材料(A)1と、前記複数の繊維状半導体材料(A)1の間に形成される隙間を埋める充填材(B)2と、前記表面及び前記裏面のうちの少なくとも一方に、前記複数の繊維状半導体材料(A)1と電気的に導通する導電層(C)3とを有する複合体10であって、前記繊維状半導体材料(A)1は、平均断面積が7.0×10−5μm2以上8.0×10−1μm2以下であり、長さが100μm以上であり、そして前記繊維状半導体材料(A)1は、前記導電層(C)3と電気的に導通する側の端部の少なくとも一方に、導電成分を原子モル濃度換算で1%以上含む拡散層1aを有することを特徴とする、前記複合体。【選択図】図3

Description

本発明は、片面又は両面に導電層が形成された、複数の繊維状半導体材料と充填材とを有する複合体に関する。
電子デバイスに利用される半導体の微細化が発展するに伴い、より安価に微細構造を作製する技術が開発されている。微細構造を作製するための従来法としては、半導体基板上に形成されたフォトレジストをフォトリソグラフィーにより露光・現像する工程を経る手法が代表的である。フォトリソグラフィーによって基板上にパターニングされたフォトレジストを形成し、該パターニングされたフォトレジストをマスクとして、基板をエッチングすることにより、半導体基板に微細構造を形成することができる。
マスクをより安価に作製する方法としては、例えば、干渉露光法、電子線描画法等により作製したパターンを有する金型を用いて半導体基板上に形成したポリマーパターンを利用する方法が知られている。このポリマーパターンをマスクとして用い、半導体基板をドライエッチング法、陽極酸化法等の適宜の方法で処理することにより、該基板上に凹凸パターンを形成することができる。
マスクを更に安価に作製する別の方法として、例えば、自己組織化膜、LB膜等を用いて、半導体基板上に形成した、ナノ周期構造をもつ構造体(自己組織化膜)を利用する方法が知られている。この自己組織化膜をマスクとして用い、半導体基板をドライエッチング法、陽極酸化法等の適宜の方法で処理することにより、該基板上に凹凸パターンを形成することができる。
これらの手法によって基板上に安価に形成された凹凸パターン(ナノ構造体)は、多くの応用が期待できる。特に、高アスペクト比を持つナノ構造体を有する材料は、光反射防止機能、回折による光取り出し向上効果等が期待でき、例えば太陽電池の高効率化のために有効な手段となる。
特許文献1には、高アスペクト比でナノ化された構造をもつ繊維状半導体基板を、熱電素子として応用できることが開示されている。これは、該繊維状半導体材料の熱伝導度が、バルクの基板材料の伝導度よりも、はるかに低いとの原理を利用したものである。
特表2014−510396号公報 特表2014−505998号公報 国際公開第2013/187349号
上記のようなナノ構造の繊維状半導体を用いたデバイスから、導電層を介して電気を取り出す際に、該ナノ構造の繊維状半導体と導電層との界面で接触抵抗が発生し、熱電性能が著しく低下するという問題がある。
従来技術、例えば特許文献1には、接触抵抗を下げるために、熱電素子のナノ構造体を充填部から一部突出させて導電層と接触させることが有効であると記載されている。しかし、特許文献1の技術によっても、接触抵抗の低下は不十分である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものである。従って本発明の目的は、接触抵抗が低く、高い熱電性能を得ることが可能な、ナノ構造の繊維状半導体材料を含む複合体を提供することである。
本発明者らは、ナノ構造の繊維状半導体と導電層との界面で接触抵抗を下げるためには、導電層の成分の一部を繊維状半導体中へ特定範囲拡散させることが有効であることを見出した。最も好ましい構成によると、上記の措置によって、導電層とナノ構造体との外面における接触抵抗を、オーミック状態まで下げることが可能である。
本発明は、上記の知見に基づいてなされた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 表面及びその反対面である裏面を有し、
前記表面から深さ方向に配列する複数の繊維状半導体材料(A)と、
前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋める充填材(B)と
前記表面及び前記裏面のうちの少なくとも一方に、前記複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)と
を有する複合体であって、
前記繊維状半導体材料(A)は、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上であり、そして
前記繊維状半導体材料(A)は、前記導電層(C)と電気的に導通する側の端部の少なくとも一方に、導電成分を原子モル濃度換算で1%以上含む拡散層を有することを特徴とする、前記複合体。
[2] 前記繊維状半導体材料(A)における拡散層の長さが0.1μm〜10μmである、[1]に記載の複合体。
[3] 前記導電層(C)が、Co、Ti、Al、Cu、Au、Ag、Pt、Ni、P、B、Cr、Li、W、Mg、TiW、TiNi、Mo、TiSi、MoSi、及びWSiからなる群から選択される少なくとも1種を含む、[1]又は[2]に記載の複合体。
[4] 前記繊維状半導体材料(A)の端部のうちの少なくとも一方が前記充填材(B)から突出しており、
前記繊維状半導体材料(A)の突出部分の先端における幅L0と、
突出部分の基底部における幅L1と、
突出部分の高さの半分の位置における幅Laとが、下記数式(2)及び(3):
L0>L1 (2)
La≧(L0+L1)/2 (3)
をいずれも満たすものである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の複合体。
[5] 基体の表面から深さ方向に配列し、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上である、複数の繊維状半導体材料(A)を形成する、繊維状半導体材料形成工程、
前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋める充填材(B)を形成する、充填材形成工程、及び
前記複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)を形成する、導電層形成工程
を含むことを特徴とする、[1]に記載の複合体を製造するための方法。
[6] 前記導電層形成工程の後に、繊維状半導体材料(A)、充填材(B)、及び導電層(C)を含む複合体をアニールする、アニール工程を更に含む、[5]に記載の方法。
本発明によれば、繊維状半導体材料と充填材と導電層とを有する複合体において、前記繊維状半導体材料と導電層との界面の接触抵抗を低くすることができ、優れた電気特性を示す。
従って本発明の複合体は、例えば、熱電変換素子、発光素子、ナノワイヤ太陽電池等の高機能デバイスとして適用することができる。上記熱電変換素子は、例えば、水素センサー等に好適に使用することができる。
図1は、本発明の複合体における複数の繊維状半導体材料の配置構造を示す模式断面図である。 図2は、本発明の複合体における複数の繊維状半導体材料が充填材から突出した部分における、各寸法の定義を説明するための概略図である。 図3は、本実施形態の複合体の一例を示す、概略断面図である。 図4は、実施例におけるゾルゲル反応液の塗布方法を説明するための概略図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下に記載された実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
<<複合体>>
本実施形態の複合体は、
表面及びその反対面である裏面を有し、
前記表面から深さ方向に配列する複数の繊維状半導体材料(A)と、
前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋める充填材(B)と
前記表面及び前記裏面のうちの少なくとも一方に、前記複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)と
を有する。前記繊維状半導体材料(A)は、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上であり、そして
前記繊維状半導体材料(A)は、前記導電層(C)と電気的に導通する側の端部の少なくとも一方に、導電成分を原子モル濃度換算で1%以上含む拡散層を有する。
<繊維状半導体材料(A)>
本実施形態の複合体における繊維状半導体材料(A)の平均断面積は、7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下である。
繊維状半導体材料(A)の平均断面積をこの範囲とすることにより、本実施形態の複合体を、例えば、太陽電池材料として用いる場合に、エネルギー的な寄与率の高い、近赤外及び可視光領域に効果を発揮する光電変換材料を得ることができる。
繊維状半導体材料(A)の平均断面積を上記の範囲とすることにより、本実施形態の複合体を、例えば、熱電材料等に用いる場合に、フォノン散乱による熱伝導度を効果的に抑制することができ、好ましい。この場合における繊維状半導体材料(A)の平均断面積は、4.0×10−1μm以下とすることが好ましく、更に好ましくは2.0×10−1μm以下である。
繊維状半導体材料(A)の平均断面積は、7.8×10−3μm以上であってよい。
繊維状半導体材料(A)の断面形状は、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば、3角形、4角形、6角形、8角形、12角形等)、星型多角形(例えば、五芒星形、六芒星形等)、扇形、ルーローの多角形、不定形、及びこれらの組み合わせ等の、任意の形状であってよい。
本実施形態に係る繊維状半導体材料(A)は、100μm以上である。長さ100μm以上の繊維状半導体材料(A)の複数を配列させて用いることにより、良好な熱電特性を得ることができる。しかしながら、繊維状半導体材料(A)の長さがあまり長くなりすぎると、たとえその間隙を後述する充填材(B)で充填しても、自立させることが難しくなる。そのため、繊維状半導体材料(A)の長さは、100μm以上10,000μm以下とすることが好ましく、より好ましくは100μm以上5,000μm以下、更に好ましくは150μm以上1,000μm以下の範囲である。
本実施形態の複合体は、上記のような繊維状半導体材料(A)を複数有し、これら複数の繊維状半導体材料(A)は、複合体の表面から深さ方向に配列する。複数の繊維状半導体材料(A)は、好ましくは隣接する繊維状半導体材料との間に有意の空隙を有し、該空隙は充填材(B)によって充填されている。複数の繊維状半導体材料(A)が配列する方向は、複合体の電気抵抗を下げ、好適な熱電特性を示すとの観点から、本実施形態の複合体の表面に対して略垂直であることが好ましい。
図1に、本実施形態の複合体の一例を、該複合体の表面に平行な方向で切断した場合の段面図を示した。図1(a)及び図1(b)は、それぞれ、本発明の複合体の相異なる実施態様に関する。
図1(a)の複合体は、断面形状が円形の繊維状半導体材料(A)1が間隙を空けて紙面に垂直な方向に配列し、該繊維状半導体材料(A)1の間隙には充填材(B)2が充填されている。ここで、上記断面における繊維状半導体材料(A)1の面積の合計をSAとし、同じ断面における充填材(B)2の面積をSBとするとき、下記数式(1):
で算出される繊維状半導体材料(A)1の占有率ORは、5〜70%であることが好ましく、10〜30%であることがより好ましい。
図1(b)の複合体は、繊維状半導体材料(A)1の断面形状が正方形である以外は、図1(a)の複合体と同様である。
上記断面における複数の繊維状半導体材料(A)の平均ピッチは、10〜1,000nmであることが好ましく、150〜500nmであることがより好ましい。平均ピッチがこの範囲にあることにより、充填材(B)の充填性が良好となることの他、本実施形態の複合体における繊維状半導体材料(A)の占有率が適度な範囲となり、該複合体に印加される応力が充填材(B)を介して分散されるため、好ましい。
複数の繊維状半導体材料(A)は、できるだけ均等に配列することが、本実施形態の複合体の電気抵抗を低くし、良好な熱電特性を得る観点から、好ましい。
上述したとおり、本実施形態の複合体においては、配列した繊維状半導体材料(A)の間隙には充填材(B)が充填されている。ここで、繊維状半導体材料(A)の端部は、充填材(B)と同じ面上にあってよいし、充填剤(B)から突出していてもよい。しかしながら、繊維状半導体材料(A)の端部のうちの少なくとも一方(複合体の表面側及び裏面側のうちの少なくとも一方)が前記充填剤(B)から突出していることが、導電層(C)との間の界面抵抗を少なくし、良好な熱電特性を得る観点から、好ましい。
本実施形態の複合体において、充填材(B)から一部突出させた繊維状半導体材料(A)の幅及び高さを、下記のように表す。
L0:繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の先端における幅
L1:繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の基底部における幅
La:繊維状半導体材(A)のうちの突出部分の高さの半分の位置における幅
H1:繊維状半導体材(A)の突出部分の長さ
H2:上記H1の長さの1/2の長さ
図2に、L0、L1、La、H1、及びH2の定義を図示した。
なお、繊維状半導体材料(A)の各部位における「幅」とは、
該繊維状半導体材料(A)の断面形状が円形である場合には直径であり、
該繊維状半導体材料(A)の断面形状が円形以外の場合には、断面の外周上の任意の2点間の距離のうちの最大値である。
上記L1の説明中の「繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の基底部」とは、繊維状半導体材料(A)のうちの、充填材(B)の表面に相当する位置をいう。
本発明者らは、複合体における上記の幅及び高さを適当な範囲に調整することにより、安定した性能を有する複合体を再現性良く製造できることを見出した。
即ち、複合体における上記のL0、L1、La、H1、及びH2を、それぞれ、一定の範囲内とすることにより、後述の導電層(C)を均一に形成することができ、更に、繊維状半導体材料(A)と、導電層(C)との接触面積が増えることにより、高い熱電性能を持つ半導体を得ることができることとなり、好ましい。これは、繊維状半導体材料(A)が突出部を有することにより、複合体製造の際に好ましく行われるアニール工程において、線膨張係数の差により発生する接触界面における応力を分散させることができ、従って、複合体へのダメージを抑制することができるため、複数の繊維状半導体材料(A)上に、安定的に電極形成することが可能となることによると推察される。
本実施形態の複合体においては、上記の 前記繊維状半導体材料(A)の端部のうちの少なくとも一方が前記充填剤(B)から突出しており、
前記繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の先端における幅L0と、
突出部分の基底部における幅L1と、
突出部分の高さの半分の位置における幅Laとが、下記数式(2)及び(3):
L0>L1 (2)
La≧(L0+L1)/2 (3)
をいずれも満たすものであることが好ましい。
充填材(B)から突出させた繊維状半導体材料(A)の長さH1の範囲としては、1〜1,000nmであることが、アニール工程の際の応力によるダメージを抑制する観点から好ましい。
本実施形態の複合体における複数の繊維状半導体材料(A)を構成する材料としては、例えば、シリコン、ガリウムナイトライド等の半導体材料を用いることができる。この半導体材料は、所望する性能が発現される範囲内で不純物を含んでいてもよい。
繊維状半導体材料(A)の抵抗率は、良好な熱電性能得るために、1×10−4〜1Ωcmであることが好ましく、1×10−4〜1×10−2Ωcmであることがより好ましい。
<充填材(B)>
本実施形態における充填材(B)は、複数の繊維状半導体材料(A)を所望の自立状態に保持し、且つ実用評価において十分な機械強度を与え得るものであることが好ましい。
充填材(B)は、繊維状半導体材料(A)の性能を長期間維持し得るという観点から、不活性ガス雰囲気下又は真空雰囲気下において、400℃以上の耐熱性があることが望ましく、500℃以上の耐熱性があることが好ましく、650℃以上の耐熱性を有することがより好ましい。ここで述べる耐熱性とは、充填材(B)を、不活性ガス雰囲気下、又は真空雰囲気下において加熱した際に生じる重量減少が、加熱前と比較して5%以下であることをいう。加熱後の重量減少がこの範囲であると、本実施形態の複合体を長期間使用した場合でも、充填材(B)から揮発成分が抜けて収縮する程度が少ない。従って、繊維状半導体材料(A)が充填材(B)の収縮によって受ける応力が抑制されるから、繊維状半導体材料(A)の変形、破損等が生じ難くなり、好ましい。
充填材(B)の導電性は、低い方が得られる複合体の熱電特性を向上する観点から好ましい。充填材(B)は、典型的には絶縁体から成り、その抵抗率は、1×1015〜1×1018Ωcmであることが好ましく、1×1016〜1×1018Ωcmであることがより好ましい。
充填材(B)は、ポリシロキサンから成ることが好ましく、該ポリシロキサン中に、Al、Si、P、Ti、Zr、Ta、Nb,In,Sn、B、及びAsから成る群から選択される元素を少なくとも1種類含む酸化物及び窒化物とすることがより好ましい。
<導電層(C)>
本実施形態の複合体は、その表面及び裏面のうちの少なくとも一方に、複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)を有する。導電層(C)は、複合体の表裏両面に存在することが好ましい。
本実施形態の複合体における導電層(C)は、繊維状半導体材料(A)との間にオーミック接合がとれる材料から成ることが好ましい。具体的には例えば、Co、Ti、Al、Cu、Au、Ag、Pt、Ni、P、B、Cr、Li、W、Mg、TiW、TiNi、Mo、TiSi、MoSi、及びWSiから選択される1種以上、又はこれらを含む合金によって構成されることが好ましい。後述のアニール工程時に繊維状半導体材料(A)中に拡散し易く、後述の拡散を容易に形成することができ、これにより接触抵抗を下げる観点から、Ti、Ni、Al、及びPtから選択される1種以上を使用することが特に好ましい。
本実施形態の複合体における導電層(C)の厚みは、好ましくは端部を突出させた繊維状半導体材料(A)との十分な接触を確保する観点から、100nm以上であることが好ましく、100〜1,000nmとすることがより好ましく、150〜600nmとすることが更に好ましい。
<拡散層>
本実施形態における拡散層とは、繊維状半導体材料(A)中に導電層(C)中の導電成分が拡散することにより、該導電性分を含む層のことである。
本発明者らは、繊維状半導体材料(A)の端部から導電成分を原子モル濃度換算で1%以上含有する拡散層を形成することにより、得られる複合体の接触抵抗が下がり、繊維状半導体材料(A)と導電層(C)との接合がオーミック接合となることを見出した。
拡散層中の導電成分の含有量は、原子モル濃度換算で、1%以上50%以下であることが好ましく、1%以上30%以下であることがより好ましい。拡散層中の導電成分の濃度は、EDX(エネルギー分散型X線分析)を用いる元素分析により算出される値である。また、上記拡散層の範囲は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用い測定した値である。
導電成分を繊維状半導体材料(A)中へ拡散させることにより、繊維状半導体材料(A)と導電層(C)との界面が消失し、自然酸化膜、界面欠陥等による接触抵抗を下げることができる。このことに加え、繊維状半導体材料(A)が内部に拡散層を有することにより、該繊維状半導体材料(A)内部の仕事関数が導電層(C)の仕事関数に近づき、両者の差が小さくなるため、ショットキー障壁が改善される結果、接触抵抗をオーミックの状態まで下げることが可能となると考えられる。
拡散層内の導電成分は、金属単体として存在するか、又は金属と繊維状半導体材料(A)の構成元素との化合物(例えばシリサイド等)の状態で存在する。得られる複合体を熱電素子として適用する際の耐熱性の観点から、拡散層内の導電成分は、シリサイド等の形態で存在することが好ましい。
拡散層は、繊維状半導体材料(A)のうちの導電層(C)と電気的に導通する側の端部から、繊維状半導体材料(A)の長さ方向に形成される。複合体が表裏両面に導電層(C)を有する場合、拡散層は、繊維状半導体材料(A)の片端部に形成されていてもよいし、両端部に形成されていてもよい。複合体の電気抵抗をより低減するとの観点からは、繊維状半導体材料(A)と表裏両面の導電層(C)との接触抵抗を下げることが好ましく、従って、拡散層は、繊維状半導体材料(A)の両端部に形成されることが好ましい。
繊維状半導体材料(A)における拡散層の長さとしては、ナノ構造による熱伝導性の抑制効果を持続する観点から、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.1〜7μmであり、更に好ましくは0.1〜5μmである。
なお、本実施形態の複合体における繊維状半導体材料(A)は、好ましくは、P型及びN型の半導体がそれぞれ独立したπ型モジュールの形態で使用される。そのため、好ましくは複合体内にPN接合が存在しないから、上記の範囲内で拡散層を形成してたとしても、その性能(例えば熱電子性能)に悪影響を及ぼすものではない。
<複合体の一実施形態>
図3に、ある実施形態における本実施形態の複合体の一例を示した。図3は、該複合体を、表面及び裏面に垂直な面で切断した概略断面図である。
図3の複合体10は、
表面及びその反対面である裏面を有し、
表面から深さ方向に配列する複数の繊維状半導体材料(A)1と、
複数の繊維状半導体材料(A)1の間に形成される隙間を埋める充填材(B)2と
表裏両面に、複数の繊維状半導体材料(A)1と電気的に導通する導電層(C)3と
を有し、
繊維状半導体材料(A)1は、両端部に拡散層1aを有する。
<<複合体の製造方法>>
本実施形態における複合体の製造方法は、特に限定されるものではない。例えば、特許文献2に開示された方法により製造することができる。詳しくは以下のとおりである。
本実施形態の複合体の好ましい製造方法は、
基体の表面から深さ方向に配列し、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上である、複数の繊維状半導体材料(A)を形成する、繊維状半導体材料形成工程、
前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋める充填材(B)を形成する、充填材形成工程、及び
前記複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)を形成する、導電層形成工程
を含む。
更に、上記充填材形成工程の後、上記導電層形成工程の前に、基体の裏面を研削して、形成された複数の繊維状半導体材料(A)の基体裏面側の端部を露出させる研削工程を含んでいてもよく;
同じく、上記充填材形成工程の後、上記導電層形成工程の前に、充填材(B)中に埋まっている繊維状半導体材料(A)の端部を突出させる、繊維状半導体材料端部突出工程を含んでいてもよく;
上記導電層形成工程の後に、繊維状半導体材料(A)、充填材(B)、及び導電層(C)を含む複合体をアニールする、アニール工程を含んでいてもよい。
<繊維状半導体材料形成工程>
繊維状半導体材料形成工程は、基体の表面から深さ方向に配列し、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上である、複数の繊維状半導体材料(A)を形成する工程である。
使用される基体は、形成すべき繊維状半導体材料(A)と同じ材質の基板を使用することができる。例えば、適当なドーパントによってドープされた、又はドープされていないシリコンウエハであってよい。
該基板の片面上に、繊維状半導体材料(A)の所望の断面パターンに相当する部分をマスクするレジストパターンを形成し、該レジストパターンの非形成部をエッチングすることにより、複数の繊維状半導体材料(A)から成るナノ構造体を得ることができる。
上記レジストパターンを構成する材料は、採用するエッチング方法によって適宜に設定されるべきである。
エッチングは、ドライエッチング及びウェットエッチングのいずれでもよい。
例えば、ドライエッチングを採用する場合のレジストとしては、例えば、Si、Ti等の金属又は半金属元素を含むハードマスクを使用することができ;
例えば、ウェットエッチングを採用する場合のレジストとしては、例えば、ArF等の有機ポリマー系レジストから成るマスクを使用することができる。
レジストパターンの形成は、公知の適宜の方法によってよく、例えば、フォトリソグラフィー、転写法等であってよい。転写法を採用する場合、転写用パターンの形成は、例えナノインプリント法によることができる。
上記のようにして形成された複数の繊維状半導体材料(A)から成るナノ構造体は、必要に応じて洗浄、乾燥等を施した後、次工程に供される。
<充填材形成工程>
充填材形成工程は、上記のようにして形成された複数の繊維状半導体材料(A)の間の隙間を、充填材(B)で埋める工程である。
この充填材形成工程は、例えば、複数の繊維状半導体材料(A)が形成成された基体上にゾルゲル反応液を塗布し、次いで加熱する、ゾルゲル法によって行うことができる。
[ゾルゲル反応液]
ゾルゲル反応液としては、例えば、加水分解性シラン化合物の加水分解・縮合物であるシロキサン化合物を適当な溶媒で希釈した液状組成物であることができる。
加水分解性シラン化合物の加水分解及び縮合を行う際、該加水分解性シラン化合物とともに、Al、P、Ti、Zr、Ta、Nb,In,Sn、B、及びPから成る群から選択される元素の少なくとも1種を含む他の加水分解性化合物を併存させてもよく;
シロキサン化合物にシリカ粒子を配合したうえで、充填材形成工程に供してもよい。
(加水分解性シラン化合物)
上記加水分解性シラン化合物としては、例えば、下記一般式(1):
SiX14−n (1)
{式(1)中、nは0〜3の整数であり、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はアセトキシ基である。}で表される化合物を挙げることができる。
上記Rの具体例としては、水素原子の他;
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチ基ル、t―オクチル基、n−ノニル基、iso−ノニル基、n−デシル基、iso−デシル基等の、非環式又は環式の脂肪族炭化水素基;
ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の、非環式及び環式のアルケニル基;
ベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル等の、アラルキル基;
PhCH=CH−基等の、アラアルケニル基;
フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;
等が挙げられる。これらのうち、ポリシロキサンンへの変換の際に質量減少が少なく、且つ、収縮率が小さいことから、R1として好ましくは水素原子、メチル基又はエチル基であり、より好ましくはメチル基である。
4官能の加水分解性シラン化合物として、特に好ましくは、例えば、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシランから成る群より選択される1種以上であり;
3官能の加水分解性シラン化合物として、特に好ましくは、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、及びアリルトリメトキシシランから成る群より選択される1種以上である。
上記加水分解性シラン化合物が、上記一般式(1)中のnが0である4官能シラン化合物を含むことにより、複合体のクラック耐性が損なわれることなく、充填材(B)の、繊維状半導体材料(A)の隙間への充填性、及び半導体材料(A)との密着性が良好になる。
上記加水分解性シラン化合物が、上記一般式(1)中のnが1である3官能シラン化合物を含むことにより、充填材(B)の繊維状半導体材料(A)との密着性が損なわれることなく、繊維状半導体材料(A)の隙間への充填性及び得られる複合体におけるクラック耐性が良好になる。
従って本実施形態においては、4官能の加水分解性シラン化合物及び3官能の加水分解性シラン化合物を、それぞれ特定量用いることにより、上記の利点を併せ持った複合体とすることができ、好ましい。
加水分解性シラン化合物の全量に対する4官能のシラン化化合物の割合が5モル%以上である場合、ゾルゲル反応液の充填性、及び繊維状半導体材料(A)と充填材(B)との密着性が良好となるため好ましい。加水分解性シラン化合物の全量に対する4官能のシラン化化合物の割合は、更に好ましくは10モル%以上100モル%以下である。
加水分解性シラン化合物の全量に対する3官能のシラン化化合物の割合が5モル%以上である場合、得られる複合体のクラック耐性が良好になるとともに、ゾルゲル反応液の埋め込み性が良好であるため好ましい。加水分解性シラン化合物の全量に対する3官能のシラン化化合物の割合は、より好ましくは10モル%以上80モル%以下であり、更に好ましくは15モル%以上70モル%以下である。
(他の加水分解性化合物)
上記、他の加水分解性化合物としては、例えば、下記一般式(2):
−E−X2m−n (2)
{式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、EはAl、P、Ti、Zr、Ta、Nb,In,Sn、B、及びPから成る群から選択される元素のイオンであり、X2はハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、又はアセトキシ基であり、mはイオンEの価数であり、nは0〜m−1の整数である。}で表される化合物を挙げることができる。
上記式(2)中のRは、上記式(1)中のRと同様である。
上記式(2)中のX2の具体例としては、
ハロゲン原子として、例えば、塩素原子、臭素電子、ヨウ素原子等を;
アルコキシ基として、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等を;
それぞれ挙げることができる。X2としては、この中でも、塩素、臭素、ヨウ素、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、及びアセトキシ基が、加水分解及び縮合反応の反応性が高いため好ましい。
他の加水分解性化合物の具体例としては、例えば、チタニア、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、ニブオ酸リチウム等を挙げることができる。
他の加水分解性化合物の使用割合は、他の加水分解性化合物と加水分解性シラン化合物との合計に対する他の加水分解性化合物のモル比として、50モル%以下とすることが好ましい。
加水分解性シラン化合物(及び存在する場合には他の加水分解性化合物)の加水分解及び縮合反応は、酸によって触媒される。ここで、上記一般式(1)中のX1及び上記一般式(2)中のX2として、それぞれ、ハロゲン原子又はアセトキシ基を含有する場合は、加水分解及び縮合反応のために水を加えることによって、反応系が酸性を示す。そのため、この場合には酸触媒を用いても用いなくても、いずれでも構わない。一方、上記一般式(1)中のX1がアルコキシ基である場合は、酸触媒を加えることが好ましい。
酸触媒としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。
上記の無機酸及び有機酸は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
触媒の使用割合は、加水分解性シラン化合物(及び存在する場合には他の加水分解性化合物)の質量の合計に対して、5質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
(加水分解及び縮合反応時の溶媒)
ゾルゲル反応液に含有されるシロキサン化合物は、上記の加水分解性シラン化合物、並びに任意的に他の加水分解性化合物及び触媒を、有機溶媒中又は水と有機溶媒との混合溶媒中に溶解し、水を加えることにより、製造することができる。
上記有機溶媒としては、例えば、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、
メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール;
エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル;
等が挙げられる。
上記エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテルは、上記の多価アルコールのモノエーテル以外のエステル化合物であり、例えば、
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;
テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等;
が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記アミド化合物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル;及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド化合物が、水と混合し易い点で好ましい。
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、複数種の溶媒を組み合わせて使用しても構わない。また上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
(水の使用割合)
水の使用割合は、加水分解性シラン化合物、及び存在する場合には他の加水分解性化合物の仕込み量の合計に対して、80質量%以下とすることが好ましく、60質量%以上75%質量以下とすることがより好ましい。
加水分解及び縮合反応液を行う際の反応温度は、特に制限はないが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の温度範囲で反応を行うことにより、得られるシロキサン化合物の分子量を容易に制御することができる。
なお、反応溶媒が水と有機溶媒との混合溶媒である場合、上記の水の使用割合は、溶媒としての水も含むものとして理解されるべきである。
(シロキサン化合物)
好ましくは上記のようにして得られるシロキサン化合物の重量平均分子量は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、更に好ましくは1,000以上10,000以下である。該縮合反応物の重量平均分子量が1,000以上である場合、充填材(B)の成膜性、及び得られる複合体のクラック耐性が良好となり、重量平均分子量が20,000以下である場合、充填材(B)の充填性が良好となり、且つ得られる縮合反応物液のポットライフが長くなり、好ましい。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定され、標準ポリメチルメタクリレート換算で算出される値である。分子量の測定は、例えば、東ソー製の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(形式「HLC−8220」)及びカラム(品名「TSKgel GMHHR−M」)を使用し、アセトン溶媒中、縮合反応物を1質量%溶液に調整して測定でき、示差屈折率計(RI)により標準ポリメチルメタクリレート換算の重量平均分子量(Mw)を求めることができる。
(シリカ粒子)
上記のようにして得られた加水分解及び縮合反応の反応混合物(シロキサン化合物を含有する反応液)は、これをそのまま本実施形態におけるゾルゲル反応液として用いてもよいし、該反応混合物にシリカ粒子を加えたうえでゾルゲル反応液として用いてもよい。
本実施形態において使用されるシリカ粒子としては、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
本実施形態におけるゾルゲル反応液に架橋密度の高いシリカ粒子を配合することにより、機械強度に優れた充填材(B)を得ることができる。
上記ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えばハロゲン化ケイ素(例えば塩化ケイ素等)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解・縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えばジフェニルジクロロシラン等)等が挙げられる。中でも、金属、ハロゲン等の不純物が少ないことから、アルコキシケイ素から得られたコロイダルシリカがより好ましい。
シリカ粒子の形状は、球状、棒状、板状、若しくは繊維状、又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができる。好ましくは球状である。ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等の略球状である場合も含むものである。
シリカ粒子の粒子径は、
これを含有するゾルゲル反応液が、複数の繊維状半導体材料(A)が形成する隙間へ充填されるための流動性を有すること;及び
得られる複合体の強度を高くすること
等の観点から、重要である。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、より好ましくは40nm以下、更に好ましくは20nm以下、最も好ましくは15nm以下である。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、得られる複合体のクラック耐性が良好となり好ましく;120nm以下である場合、ゾルゲル反応液における、複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間への充填性が良好となり好ましい。
シリカ粒子の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、より好ましくは80nm以下、更に好ましくは40nm以下、最も好ましくは30nm以下である。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、得られる複合体のクラック耐性が良好となり好ましく;250nm以下である場合、ゾルゲル反応液における、複数の繊維状半導体材料(A)間の隙間への充填性が良好となり好ましい。シリカ粒子の平均二次粒子径は、上記の範囲内で、基板に形成された繊維状半導体材料(A)の間隙のうちの最小の開口幅の0.1〜3倍であることが、ゾルゲル反応液における、複数の繊維状半導体材料(A)の隙間への充填性が良好となる点で好ましく、上記最小の開口幅の0.1〜2倍であることが更に好ましい。
上記平均一次粒子径は、BETの比表面積(下記)から計算で求められる値であり、上記平均二次粒子径は、動的光散乱光度計で測定される値である。
シリカ粒子の比表面積は、HF耐性が良好である点で、BET比表面積として25m/g以上であることが好ましく、より好ましくは70m/g以上、更に好ましくは140m/g以上、最も好ましくは180m/g以上である。シリカ粒子の比表面積は、1,000m/g以下であってよい。
上記BET比表面積は、N分子の圧力とガス吸着量とから計算される方法で測定される値である。
シリカ粒子としては、上記の要件に適合する限りで、制限はなく、市販品を使用してもよい。
市販品としては、
コロイダルシリカとして、例えば、LEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(以上、日産化学工業(株)製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学(株)製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業(株)製)等を;
粉体状のシリカ粒子として、例えば、アエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株)製)、SYLYSIA470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等を;
それぞれ挙げることができる。
(ゾルゲル反応液の組成)
本実施形態のゾルゲル反応液は、上記のシロキサン化合物の質量、及びシリカ粒子の質量の合計に対して、シロキサン化合物を、50質量%以上90質量%以下含むことが好ましく、55質量%以上80質量%以下含むことが好ましい。
(ゾルゲル反応液の溶媒)
本実施形態におけるゾルゲル反応液は溶媒を含有する。
ゾルゲル反応液における溶媒としては、例えば、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる少なくとも1種類の溶媒が挙げられ、エステル、エーテル、及び炭化水素系溶媒から選ばれる少なくとも1種類がより好ましい。溶媒の沸点は、100℃以上200℃以下であることが好ましい。
本実施形態におけるゾルゲル反応液中の溶媒の含有量は、シロキサン化合物100質量部に対して、好ましくは100質量部以上1,900質量部以下、より好ましくは150質量部以上900質量部以下である。溶媒の上記含有量が100質量部以上である場合、ゾルゲル反応液のポットライフが長くなり、一方で、1,900質量部以下である場合、ゾルゲル反応液の充填性が良好となるため好ましい。
上記の溶媒の具体例としては、加水分解性シラン化合物、並びに任意的に他の加水分解性化合物を加水分解及び縮合する際に使用される有機溶媒として上記に例示したアルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素、及び芳香族炭化水素化合物の各具体例と同様である。
本実施形態におけるゾルゲル反応液の溶媒としては、
ポリシロキサン合成時の溶媒をそのまま使用してもよいし;
ポリシロキサン合成時の溶媒に、同種又は異種の溶媒を追加して使用してもよいし;或いは、
ポリシロキサン合成時の溶媒を、同種又は異種の溶媒によって溶媒置換したうえで使用してもよい。
[ゾルゲル反応液の充填及び硬化方法]
本実施形態の複合体における充填材(B)は、表面に繊維状半導体材料(A)を形成した基体上に上記のようなゾルゲル反応液を塗布し、次いでゾルゲル反応により該ゾルゲル反応液中のシロキサン化合物(及び存在する場合にはシリカ粒子)を縮合させることにより、得ることができる。このようなゾルゲル反応液を用いることは、開口部が10μm以下の空間に均一に充填材(B)を形成できるという観点から好ましい。
次いで、上記のゾルゲル反応液を基体上に形成された複数の繊維状半導体材料(A)の隙間に充填する。
この充填は、例えば塗布法によることができ、具体的な充填方法として、例えば、滴下法、スピンコート法、ディップコート法、ローラーブレード塗布法、スプレー塗布法等が挙げられる。滴下法によってゾルゲル反応液を塗布する場合、1段階の滴下でも、複数回滴下でも構わない。特に、少なくとも1段階目は少量滴下し、2段階目以降において必要量に達するように、徐々に滴下することが好ましい。これは、1段階目でまず全面に液が広がり充填性が良好になるためである。
塗布量は、ゾルゲル反応液乾燥後のシロキサン化合物(及び存在する場合にはシリカ粒子)の体積が、複数の繊維状半導体材料(A)の隙間の体積と等しくなる量とすることが好ましい。
次いで、上記のゾルゲル反応液塗布後の基体を加熱して、ゾルゲル反応液中の加水分解性シラン化合物(及び存在する場合には他の加水分解性化合物)を硬化させる。この加熱は、一段階で行ってもよいし、塗布後の反応液から残留溶媒を除くために、予備加熱を行ってもよく、この予備加熱を行うことが好ましい。
予備加熱は、50℃〜200℃の範囲の温度において、1分〜1時間の範囲で行うことができる。このとき、段階的に温度を上げても、連続的に温度を上げてもよい。予備加熱の際の雰囲気としては、酸化性雰囲気であっても非酸化性雰囲気であっても構わない。
上記の任意的な予備加熱後の基体を、次いで加熱焼成することによって、塗布されたゾルゲル反応液を完全に硬化し、繊維状半導体材料(A)と充填材(B)との複合体を得ることができる。
上記の加熱焼成の方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネス等の一般的な加熱手段を適用することができる。
加熱温度は、好ましくは200℃超過850℃以下であり、より好ましくは300℃超過800℃以下であり、更に好ましくは350℃超過750℃以下である。加熱温度が200℃超過である場合、得られる充填材(B)の膜質が良好となめ好ましく、850℃以下である場合、得られる複合体において耐クラック性が良好となるため好ましい。加熱時間は、昇温時間を含めて15分〜5時間とすることが好ましく、15分〜3時間とすることがより好ましい。
加熱焼成は非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。非酸化性雰囲気とは、真空下、又はN2、Ar、Xe等の不活性雰囲気である。これらの不活性雰囲気中の酸素、水蒸気等の酸化性ガスの濃度は、1,000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。非酸化性雰囲気の全圧力に特に制限はなく加圧、常圧、減圧のいずれでもよい。
<研削工程>
次に任意的に、基体の裏面を研削して、形成された複数の繊維状半導体材料(A)の基体裏面側の端部を露出させる研削工程を行ってもよい。
この研削工程は、市販の研削機、例えば、日本エンギス社製、型式名「EVG−200」等により行うことができる。
<繊維状半導体材料端部突出工程>
任意的に行われる繊維状半導体材料端部突出工程においては、充填材(B)と、繊維状半導体材料(A)とのエッチング速度の差を利用して、複合体の表面若しくは裏面、又はその双方から、充填材(B)を所定の厚みだけ除去し、繊維状半導体材料(A)の端部を露出させる。本工程の好ましい態様によると、露出させた繊維状半導体材料(A)の端部の形状及びサイズを、それぞれ所望のとおりに制御することができる。
エッチング方法としては、ドライエッチング若しくはウェットエッチング、又はこれらを組み合わせて用いることができる。これらのうち、エッチング時の繊維状半導体の酸化を抑制するとの観点から、ドライエッチングによることが好ましい。
ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素原子を含むガス(例えば、塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)、四塩化ケイ素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)等)、フッ素原子を含むガス(例えば、四フッ化炭素(CF)、六フッ化硫黄(SF)、三フッ化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)等)、臭化水素(HBr)、酸素(O)等を例示することができる。これらのうち、塩素原子を含むガスが好ましい。
これらのガスに、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)等の希ガスを添加したガスを用いてもよい。
ドライエッチング法としては、例えば、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法等を用いることができる。エッチング形状を制御するため、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
更に、導電層(C)を形成する直前に、逆スパッタ処理を行うことにより、突出させた繊維状半導体材料(A)のエッジ部分及び先端部が選択的にエッチングされるため、繊維状半導体材料(A)の露出させた端部の形状及びサイズを制御することが可能となり、L0>L1、及びLa≧(L0+L1)を満たすことがより容易となる。また、逆スパッタを行うことにより、接触界面の自然酸化膜、欠陥の原因となる有機物等を除去し、導電層(C)と繊維状半導体材料(A)とのの密着性が向上する。そのため、より安定的に導電層(C)の形成をすることができることとなる。
逆スパッタとは、ターゲット側(繊維状半導体材料(A)の露出端部)に電圧を印加せずに、不活性雰囲気下で基体側にRF電源を用いて電圧を印加して、基体の近傍にプラズマを発生させることにより、繊維状半導体表面を改質する方法である。上記不活性雰囲気としては、例えば、アルゴン、窒素、ヘリウム等を用いることができる。
この繊維状半導体端部突出工程は、複合体の片面のみに行ってもよいし、表裏両面に対して行ってもよい。
<導電層形成工程>
次いで、導電層形成工程により、繊維状半導体材料(A)と充填材(B)とを有し、好ましくは繊維状半導体材料(A)の端部が露出された複合体の片面又は両面に、導電層(C)を形成する。
導電層(C)は、例えば、蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、気相成長法、無電解めっき法等によって形成することができる。
蒸着法とは、金属、金属酸化物等の成膜材料を真空中で加熱して、溶融・蒸発又は昇華させて、基体表面に粒子(原子・分子)を付着・堆積させて成膜する方法である。加熱手段としては、抵抗加熱方式、電子ビーム方式等ある。
スパッタ法とは、アルゴンガス粒子をターゲット材にぶつけて、その衝撃でターゲット材成分をたたき出して基体に付着させる成膜方法である。方式としては、二極方式、マグネトロン方式等がある。
イオンプレーティング法とは、成材料を真空中で蒸発又は昇華させ、その蒸気に+(プラス)の電荷を帯びさせ、且つ基体に−(マイナス)の電荷を印加して、基体へ+(プラス)電荷の蒸気を引き寄せることにより、成膜する方法である。これらのうち、スパッタ法及び蒸着法を採用することが、繊維状半導体材料(A)と導電層(C)との界面における欠陥を防ぐとの観点から好ましい。
<アニール工程>
次いで任意的に、アニール工程を行ってもよい。このアニール工程は、繊維状半導体材料(A)、充填材(B)、及び導電層(C)を含む複合体を、所定の温度において所定の時間加熱してアニールする工程である。
このアニール工程により、導電層(C)中の導電成分が繊維状半導体材料(A)の端部から内部にマイグレートし、拡散層を容易に形成することができる。
加熱方法としては、例えば、赤外線ランプアニール装置等を用いた熱処理等が例示される。
加熱温度及び加熱時間は、導電層の金属種により異なるが、例えば、350〜850℃の温度範囲で30秒〜10分の時間で行うことができる。
このアニール工程は、導電層(C)の酸化を防ぎ、該導電層(C)の抵抗の上昇を抑制できる観点から、Ar,N等の不活性雰囲気下で行うことが好ましい。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施形態をより詳細に説明する。本実施形態はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例における複合体の製造及び評価は、特記した以外は、それぞれ、以下に示す方法に従って実施した。
<複合体の製造>
(1)繊維状半導体材料(A)形成工程
(1−1)円筒状マスターモールドの作製
特許文献3に開示されている手法を用いて、PET基板上にナノ構造パターンを有するシート状樹脂モールドを作製した。具体的には以下のとおりである。
底面の直径100mm円筒状の石英ガラスの表面を十分に洗浄した。この石英ガラス表面上に、ターゲット(レジスト層)としてφ3インチのCuO(8atm%Si含有)を用い、RF100Wの電力にてスパッタリングを行い、厚さ20nmのレジスト層を成膜した。続いて、石英ガラスを回転させながら、波長405nmnの半導体レーザを用いて一度露光を行った。
上記の一度露光されたレジスト層に対して、波長405nmnの半導体レーザを用いて、所定のナノ構造パターンにて露光を行った後、0.03質量%のグリシン水溶液を現像液として240秒間の現像を行い、レジストパターンを得た。
得られたレジストパターンをマスクとし、エッチングガスとしてSFを用い、処理ガス圧1Pa、及び処理電力300Wの条件下で石英ガラスのドライエッチングを行った。その後、石英ガラス表面の残渣をpH1の塩酸による処理を6分間行うことにより、表面にナノ構造パターンを有する円筒状マスターモールドを得た。
得られた円筒状マスターモールドのナノ構造形成面(側面)に、窒素雰囲気下にてフッ素系表面処理剤(品名「デュラサーフHD−1101Z」、ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱後、室温で24時間静置し、固定化した後、洗浄剤(品名「デュラサーフHD−ZV」、ダイキン化学工業社製)で3回洗浄して離型処理を施した。
(1−2)キャリアの作製
上記で得た円筒状マスターモールドを鋳型とし、光ナノインプリント法によってキャリアを作製した。キャリアを構成する原料としては、以下の各成分の混合物を使用した。
[キャリア構成原料]
フッ素含有ウレタン(メタ)アクリレート(品名「OPTOOL DAC HP」、ダイキン工業社製):17.5質量部、
トリメチロールプロパン(EO変性)トリアクリレート(品名「M350」、東亞合成社製):100質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(品名「Irgacure(登録商標)184」、BASF社製):5.5質量部、及び
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(品名「Irgacure 369」、BASF社製):2.0質量部
の混合物。
マイクログラビアコーター(廉井精機社製)を用いて、上記のキャリア構成原料をPETフィルム「A−4100」(品名、東洋紡社製、長さ200m、幅300mm、厚さ100μm)の易接着面に、塗布膜厚が6μmになるように塗布した。
このキャリア構成原料が塗布されたPETフィルムを、ニップロール(0.1MPa)を用いて円筒状マスターモールドに押し付け、塗布されたPETフィルム上のキャリア構成原料に円筒状マスターモールドのナノ構造パターンを転写した。
次いで、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製のUV露光装置(品名「Hバルブ」)を用い、大気下、温度25℃、相対湿度60%の条件下で、PETフィルム上のキャリア構成原料の全面に、ランプ中心下の積算露光量が1,500mJ/cmとなるように紫外線を照射して光硬化を行うことにより、表面にナノ構造パターンが転写されたシート状樹脂モールド(200m×m300mm)を得た。このシート状樹脂モールドが有するナノ構造パターンは、直径(D):250nm及び深さ400nmの円筒状凹部が、ピッチ(P):350nmの六方格子状に配置されたパターンであった。
(1−3)ナノ加工用フィルムの作製
上記で得たシート状樹脂モールドのナノ構造面に対して、下記材料1の希釈液及び下記材料2の希釈液を順次に塗工して、ナノ加工用フィルムを得た。
先ず、シート状樹脂モールドのナノ構造面に、材料1の希釈液を直接塗工した後、80℃の送風乾燥炉内に5分間静置して通風乾燥し、溶媒を除去した。材料1の希釈倍率は、送風乾燥後の塗膜が、ナノ構造パターンの円筒状凹部の高さの約80%まで充填し、上側の約20%相当分が空隙となるように調整した。
[材料1]
チタニウム(IV)テトラブトキシドモノマー(和光純薬工業社製):65.2質量部
3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(品名「KBM5103」、信越シリコーン社製):34.8質量部、
フェニル変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社製):5.0質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(品名「Irgacure(登録商標)184」、BASF社製:1.9質量部、及び
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(品名「Irgacure(登録商標)369」、BASF社製):0.7質量部
の混合物、並びに
希釈媒体:プロピレングリコールモノメチルエーテル。
上記材料1を塗布及び通風乾燥後のシート状樹脂モールドのナノ構造面に、材料2の希釈液を直接塗工した後、80℃の送風乾燥炉内に5分間静置して通風乾燥し、溶媒を除去した。材料2の希釈倍率は、送風乾燥後に、シート状樹脂モールドのナノ構造内部に配置された材料1と材料2の界面と、材料2の表面と、の間の距離が500nmになるように調整した。
[材料2]
バインディングポリマー:ベンジルメタクリレート80質量%、メタクリル酸20質量%の2元共重合体(重量平均分子量56,000、酸当量430、分散度2.7)のメチルエチルケトン溶液(固形分50質量%):77.1質量部、
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(品名「SR833」、SARTOMER社製):11.5質量部、
トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(品名「SR368」、SARTOMER社製):11.5質量部、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(品名「Irgacure(登録商標)184」、BASF社製):1.47質量部、及び
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(品名「Irgacure(登録商標)369」、BASF社製):0.53質量部
の混合物、並びに
希釈媒体:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)及びメチルエチルケトン(MEK)の混合媒体(PGME:MEK=80:20(質量比))。
次いで、環境温度30℃において、材料2の表面にポリプロピレン製カバーフィルム(200mm×300mm)を貼り合わせた後、これを剥離することにより、カバーフィルム上に材料2及び材料1がこの順に積層されたナノ構造パターンを有するナノ加工用フィルムを得た。
(1−4)ウエハー上への熱転写
6インチシリコンウエハーを紫外線オゾンで表面洗浄した後、120℃に加熱したホットプレート上に設置した。このウエハー上に、上記で得たナノ加工用フィルムを、ナノ構造形成面がウエハー面と相対するように、ハンドローラーで1分間押し付けた。
次いで、フィルムを付けたままのウエハーをホットプレートから外し、該ウエハー上に波長365nmの輝線を含む紫外線を1分間照射した後、オーブン中で120℃における1分間の加熱を行った。
その後、ウエハーからカバーフィルムを剥離することにより、ウエハー上にナノ加工用フィルムが有していたナノ構造パターンを熱転写した。得られたウエハーは、該ウエハー上に材料1及び材料2がこの順に積層されたナノ構造パターンを有していた。
(1−5)ドライエッチング処理
上記で得た、材料1及び材料2から成る根の構造パターンを有するウエハーに対してOドライエッチング処理を施すことにより、材料2を除去し、材料1から成る、直径(D):232nmの円形ドットが、ピッチ(P):350nmの六方格子状にて配置されたパターンを有するウエハーを得た。
(1−6)Ag層の形成
真空加熱蒸着装置を用いて、常温下、真空度2.0×10−3Pa、蒸着速度0.5nm/sの条件下で、上記で得た材料1のパターンを有するウエハ上に銀(Ag)を100nm成膜した。
Agの厚みを測定するために、表面が平滑なガラス基板をウエハと同時に装置に挿入し、平滑ガラス基板上のAg厚みをウエハ上のAg膜の平均厚みとした。
(1−7)無電解エッチング(繊維状半導体材料(A)の形成)
700mlのイオン交換水に、47質量%HF水溶液202g、及び30質量%の過酸化水素水30mlを順次に加えた後、全量が1,000mlになるようにイオン交換水を加えて、エッチング液を調製した。
上記のエッチング液に、上記Ag膜形成後のウエハを浸漬し、無電解エッチングにより、繊維状半導体材料(A)を形成した。このときの繊維状半導体材料(A)の形成速度(エッチング速度)は0.5〜1μm/minであった。
得られた繊維状半導体材料(A)を光学顕微鏡により測定したところ、長さ:200μm、平均ピッチ:350μmの六方格子状のパターンが形成されていることが確認された。
(1−8)繊維状半導体材料(A)の乾燥
上記の操作によって繊維状半導体材料(A)が形成されたウエハと2−メチル−2−プロパノールとを容器に入れ、2−メチル−2−プロパノールが完全に凍結するまで冷却した。その後、容器を20Paの真空下に置き、2−メチル−2−プロパノールが完全に昇華するまで真空を維持することにより、繊維状半導体材料(A)の乾燥を行った。
(2)充填材(B)形成工程
(2−1)充填材形成用塗布液の調製
ナスフラスコに、メチルトリメトキシシラン(MTMS)11.6g、テトラエトキシシラン(TEOS)4.4g、及びエタノール20gを入れて攪拌し、ここへ水11.5gとpH調整のための適切量の濃硝酸との混合水溶液を室温で滴下して、pHを6〜7に調整した。滴下終了後、30分間攪拌し、24時間静置して、シロキサン化合物を得た。
蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の500mLフラスコに、PL−06L(扶桑化学工業製の平均一次粒子径6nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子)47.6g及びエタノール80gを入れ、5分間攪拌した。ここへ、上記のシロキサン化合物を室温で滴下した。滴下終了後30分間攪拌した後、4時間還流した後、プロピレングリコールメチルエチルアセテート(PGMEA)を150g添加した。
次いで、オイルバスを昇温させて、蒸留ラインよりメタノール、エタノール、水、及び硝酸を留去した後、エバポレーターを用いて濃縮することにより、固形分濃度20質量%の充填材形成用塗布液を得た。
(2−2)充填材形成用塗布液の塗布(フィリング)
以下、図4を参照する。
上記「(1)繊維状半導体材料(A)の形成」によって繊維状半導体材料(A)のパターンが形成された、繊維状半導体材料(A)の形成領域1bを有するウエハー4の外周端部に、付加硬化型シリコーン(旭化成製、品名「ワッカーシリコーンELASTOSIL」、A液:B液=9:1(質量比))熱硬化性樹脂を用いて、土手5を形成した。
次いで、上記「(2−1)充填材形成用塗布液の調製」で得られた充填材形成用塗布液13.14mlを、626μlずつ21回に分けて、土手5の内側の繊維状半導体材料(A)の形成領域1b上に滴下した。
滴下後、25℃の大気中にて24時間静置して乾燥させた。
(2−3)焼成工程
上記の乾燥後、140℃に設定したオーブン(大気中)内で5分間プレキュア焼成した後、酸素濃度0.1体積%以下の窒素雰囲気下、以下の温度プロファイルにて焼成を行って、充填材形成用塗布液を硬化して、充填材(B)を形成した。
室温から、20℃/minの速度で400℃まで昇温し、400℃になったところで昇温を止め、その後1時間かけて100℃以下まで冷却した。
(3)研削工程
上記焼成後のウエハーを、研削用プレートにWAXにて固定し、塗布時に形成した土手、表面の不要な充填材、及び材料1のパターンを研削機(日本エンギス社、型式名「EVG−200」)を使用して研削し、ウエハーをWAXから取り出した。更に、裏面のウエハー層を除去するため、再度ウエハーを研削用プレートにWAXにて固定し、膜厚が200μmとなるところまで研削して繊維状半導体材料(A)及び充填材(B)から成る構造体とした後、該構造体をWAXから取り出した。
その後、構造体のWAX残渣を除去するため、イソプロピルアルコールを用いて洗浄を行った。
(4)繊維状半導体材料端部突出工程
次に、上記の構造体の両面に、それぞれ、反応性イオンエッチング(RIE)を施し、充填材(B)をエッチングして繊維状半導体材料(A)の端部を露出する処理を行った。
アネルバ社、型式名「DEM−451」を使用し、真空度が5.0×10−4Pa以下に達した後、出力:100W、圧力:8.0Pa、エッチングガス流量を、CF:40sccm、O:15sccmとして、3分間処理することにより、繊維状半導体材料(A)の端部を充填材(B)から一部突出させた。端部の突出長さは、RIEの実施時間を変更することにより調整した。
(5)導電層形成工程
スパッタ装置(アネルバ社 L−430−HF)を使用して、上記の繊維状半導体材料(A)の端部を一部突出させた構造体の両面に、それぞれ、10×10mmの導電層を形成した。
導電層を作成する直前にナノ複合体表面に対して、上記のスパッタ装置を用いて、出力:400W、スパッタ圧:0.5Pa、Ar流量:50sccmの条件下で3分間の逆スパッタ処理を行った後に、又はこの逆スパッタ処理を行わずに、所定の金属から成る導電層をスパッタ法により所定の厚みで形成した。
(6)アニール工程
上記導電層形成後の構造体に対し、赤外線ランプアニール装置(アドバンス理工社、型式名「MILA−5050」)を用いてN雰囲気下所定条件のアニール処理を行うことにより、複合体を得た。
<評価方法>
(1)繊維状半導体材料(A)の突出させた端部のサイズ
繊維状半導体材料(A)の端部を充填材(B)から突出させた部分の、先端部直径L0、基底部直径L1、及び中間部直径Laの各サイズは、複合体の断面をFE−SEM(日立ハイテクノロジーズ社製、型式名「S4800」)を用いて加速電圧2.0kVにて得られたSEM像(2次電子像)から、画像ソフト「ImageJ1.48v」(フリーウェア、Version1.46、開発者:Wayne Rasband、2014年7月10日)を用いて算出した。
画像ソフトの2値化機能を使用して、繊維状半導体材料(A)と充填材(B)との界面を明確化して、各サイズを求めた。
繊維状半導体材料(A)の突出端部サイズは、得られた構造体の任意の片面に突出した端部の平均値として評価した。
(2)拡散層の範囲、及び拡散層中の導電成分濃度
複合体をエポキシ樹脂に包埋し、BIB加工により断面出しを行ったうえで、STEM−EDX(走査型透過電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分析)を行った。STEMとして日立ハイテクノロジーズ社製の型式名「HD−2300A」を用い、EDXとしてEDAX社製の型式名「Genesiss」を用い、加速電圧200kVにて観察した。
拡散層の範囲を、観察されたTEM像から、繊維状半導体材料(A)の形状を円筒と仮定して算出した。拡散層中の導電成分の濃度(atm%)は、EDXによる元素分析の結果から、処理ソフト(EDAX Genesiss)を用いてEDAX簡易定量法(TEM薄膜モード)により算出した。
拡散層の範囲、及び拡散層中の導電成分濃度は、いずれも、得られた複合体の任意の片面について測定した。
(3)界面抵抗
抵抗測定が可能なデジタル・マルチメータ(エーディーシー社製、型式名「7415A」)を用い、複合体の上下の導電層に、それぞれ、銅電極を接触させた状態で電流を流し、複合体とデジタル・マルチメータの電極との接触抵抗を含む抵抗値を測定した。
測定した抵抗値には複合体とデジタル・マルチメーターとの接触抵抗が含まれていることを考慮して、抵抗の実測値を以下の基準で評価した。
抵抗実測値が10mΩ以下であった場合:◎(極めて良好)
抵抗実測値が10mΩを超え30mΩ以下であった場合:○(良好)
抵抗実測値が39mΩを超え50mΩ以下であった場合:△(可)
抵抗実測値が50mΩを超えた場合:×(不良)
<実施例1>
上記「(5)導電層形成工程」において、逆スパッタを行った後、以下のようにして、Ti及びNiがこの順に積層された10×10mmの導電層を形成し、「(6)アニール工程」におけるアニール条件を表1に記載のとおりとして、上記のとおりに複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
[実施例1における導電層形成方法]
スパッタ装置(アネルバ社 L−430−HF)を使用して、繊維状半導体材料(A)の端部を一部突出させた構造体の両面に、出力:600W、スパッタ圧:0.5Pa、及びAr流量:20sccmの条件にて、厚み100nmのTi層を形成した。その後、真空を破らずに連続して、出力:400W、スパッタ圧:0.5Pa、及びAr流量:20sccmの条件にて、厚み500nmのNiの導電層を形成した。
<実施例2>
上記「(5)導電層形成工程」において、逆スパッタを行った後、以下のようにして、Niから成る10×10mmの導電層を形成し、「(6)アニール工程」におけるアニール条件を表1に記載のとおりとして、上記のとおりに複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
[実施例2における導電層形成方法]
スパッタ装置(アネルバ社、型式名「L−430−HF」)を使用して、繊維状半導体材料(A)の端部を一部突出させた構造体の両面に、出力:600W、スパッタ圧:0.5Pa、及びAr流量:20sccmの条件にて、厚み500nmのNi層を形成した。
<実施例3>
上記「(5)導電層形成工程」における導電層の材料をAlとし、「(6)アニール工程」におけるアニール条件を表1に記載のとおりとした以外は、実施例2と同様に複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
<実施例4>
上記「(5)導電層形成工程」において、導電層の材料をPtとし、Ptスパッタ時の出力を300Wとし、更に「(6)アニール工程」におけるアニール条件を表1に記載のとおりとした以外は、実施例2と同様に複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
<実施例5>
上記「(5)導電層形成工程」において、逆スパッタを行わなかった以外は実施例1と同様に複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
<実施例6>
上記「(4)繊維状半導体材料端部突出工程」を行わなかった以外は実施例1と同様に複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
<比較例1>
上記「(6)アニール工程」におけるアニール条件を表1に記載のとおりとした以外は、実施例3と同様に複合体を製造して評価した。評価結果は表1に示した。
1 繊維状半導体材料(A)
1a 拡散層
1b 繊維状半導体材料(A)の形成領域
2 充填材(B)
3 導電層(C)
4 ウエハー
5 土手
10 複合体
L0 繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の先端における幅
L1 繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の基底部における幅
La 繊維状半導体材(A)のうちの突出部分の高さの半分の位置における幅
H1 繊維状半導体材(A)の突出部分の長さ
H2 上記H1の長さの1/2の長さ
本発明の複合体は、熱電変換素子、発光素子、ナノワイヤ太陽電池等の高機能デバイスとして適用することができる。上記熱電変換素子は、例えば、水素センサー等に好適に使用される。

Claims (6)

  1. 表面及びその反対面である裏面を有し、
    前記表面から深さ方向に配列する複数の繊維状半導体材料(A)と、
    前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋める充填材(B)と、
    前記表面及び前記裏面のうちの少なくとも一方に、前記複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)と
    を有する複合体であって、
    前記繊維状半導体材料(A)は、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上であり、そして
    前記繊維状半導体材料(A)は、前記導電層(C)と電気的に導通する側の端部の少なくとも一方に、導電成分を原子モル濃度換算で1%以上含む拡散層を有することを特徴とする、前記複合体。
  2. 前記繊維状半導体材料(A)における拡散層の長さが0.1μm〜10μmである、請求項1に記載の複合体。
  3. 前記導電層(C)が、Co、Ti、Al、Cu、Au、Ag、Pt、Ni、P、B、Cr、Li、W、Mg、TiW、TiNi、Mo、TiSi、MoSi、及びWSiからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1又は2に記載の複合体。
  4. 前記繊維状半導体材料(A)の端部のうちの少なくとも一方が前記充填材(B)から突出しており、
    前記繊維状半導体材料(A)のうちの突出部分の先端における幅L0と、
    突出部分の基底部における幅L1と、
    突出部分の高さの半分の位置における幅Laとが、下記数式(2)及び(3):
    L0>L1 (2)
    La≧(L0+L1)/2 (3)
    をいずれも満たすものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の複合体。
  5. 基体の表面から深さ方向に配列し、平均断面積が7.0×10−5μm以上8.0×10−1μm以下であり、長さが100μm以上である、複数の繊維状半導体材料(A)を形成する、繊維状半導体材料形成工程、
    前記複数の繊維状半導体材料(A)の間に形成される隙間を埋める充填材(B)を形成する、充填材形成工程、及び
    前記複数の繊維状半導体材料(A)と電気的に導通する導電層(C)を形成する、導電層形成工程
    を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複合体を製造するための方法。
  6. 前記導電層形成工程の後に、繊維状半導体材料(A)、充填材(B)、及び導電層(C)を含む複合体をアニールする、アニール工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
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