JP2010186975A - トレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法 - Google Patents

トレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板に形成されたトレンチ内に絶縁膜を埋め込むために使用するのに好適な、良好なクラック耐性を有し、硬化収縮率が小さい絶縁膜を形成する工程を提供すること。
【解決手段】ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応物を、トレンチ構造を含む基板に塗布する工程、前記塗布された縮合反応物を非酸化雰囲気下において焼成する工程を含むことを特徴とするトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子に形成されたトレンチ内の絶縁膜の形成方法に関する。
半導体装置のような電子デバイスの構成要素であるトランジスタなどの回路素子を電気的に分離するための技術の一つとして、シャロートレンチ分離技術(STI技術)が開発されている。STI技術とは、基板中、回路素子の間隙にトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁材料を埋め込むことにより、回路素子間の電気的分離を行う技術である。
このようなトレンチ埋め込みに使われる材料としては、高い電気絶縁性が求められるという理由でシリコン酸化物が広く用いれられている。
トレンチ内にシリコン酸化膜を埋め込むために、従来、高密度プラズマCVD法に代表されるスパッタ法により、トレンチを有するシリコン基板上にシリコン酸化膜を形成している。しかしながら、近年半導体素子の微細化に伴い、トレンチの開口幅は小さく、アスペクト比は大きい傾向にあり、トレンチ幅が0.2μm以下、アスペクト比(トレンチの深さを、トレンチの開口幅で除した値)が2以上の微細溝にCVD法によりシリコン酸化膜を埋めると、微細溝の中にボイドが発生しやすいという問題がある。
スパッタ法以外の方法として、塗布法によりトレンチの微細溝を埋設し、酸化雰囲気下の焼成によりシリカ膜を形成する方法が知られており、材料としてはポリシラザン材料(例えば、以下の特許文献1参照)、ポリシラン材料(例えば、以下の特許文献2参照)、シリコーン材料、酸化粒子とシリコーンの組成物(例えば、以下の特許文献3参照)、水素化シリコーン材料(例えば、以下の特許文献4参照)が知られている。
しかしながら、半導体素子の微細化に伴い、トレンチの開口幅が狭く、トレンチの深さは深くなり、また同一基板上に開口部が広い部分が混在し、それらを同時に平坦化する必要があるため、絶縁膜の厚膜化が要求されているが、上記塗布系材料のうち、ポリシラザン材料、ポリシラン材料、シリコーン材料、水素化シリコーン材料では、絶縁膜の形成工程におけるクラックの発生が問題となっている。また、上記記載の酸化粒子とシリコーンの組成物は、有機官能基を多く含むため、耐熱性が低く、収縮率も大きくなる問題がある。
特開2001−308090号公報 特開2003−31568号公報 特開2006−310448号公報 特開2008−101206号公報
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その課題は、半導体素子に形成された深いトレンチ内にシリコン酸化物を埋め込むために好適な、焼成後の硬化収縮率が小さく、かつ良好な耐クラック性を有するトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法を提供することである。
本発明者らは上記課題を達成すべく鋭意研究を行った結果、以下に示すトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法を見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応物を、トレンチ構造を含む基板に塗布する工程、前記塗布された縮合反応物を非酸化雰囲気下において焼成する工程を含むことを特徴とするトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[2]前記ポリシロキサン化合物が、HSiO3/2基、MeHSiO基、及びHSiO基からなる群から選ばれる少なくとも一種を40mol%以上有し、前記ポリシロキサン化合物の重量平均分子量が、1,000以上200,000以下であり、そして前記シリカ粒子の平均一次粒子径が、1nm以上100nm以下である、前記[1]に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[3]前記焼成温度が、200℃超850℃以下の温度範囲である、前記[1]又は[2]に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[4]前記トレンチ埋め込み用縮合反応物の焼成の前に、200℃以下の温度で予備加熱を行う工程を含む、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[5]前記縮合反応物が、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子に加え、さらに下記一般式(1):
SiX4−n
{式中の、nは、1〜3の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、そしてXは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基である。}で表されるシラン化合物と縮合反応させた反応物を含む、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[6]前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2):
HSiX3
{式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物の縮合反応物である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[7]前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2):
HSiX3
{式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物と、下記一般式(3):
SiX
{式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物、下記一般式(4):
SiX
{式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、Xは同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物、下記一般式(5):
SiX
{式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そして複数のR及びXは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物、又は下記一般式(6):
SiX
{式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そしてRは、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種との、縮合反応物であり、該シロキサン化合物中の、一般式(2)で表されるシラン化合物に由来する構造の割合が30mol%以上である、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[8]前記シリカ粒子が、前記ポリシロキサン化合物と前記シリカ粒子、又は前記ポリシロキサン化合物と前記シリカ粒子と前記シラン化合物の合計に対して、1質量%超80質量%以下である、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[9]前記シラン化合物が、前記ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とシラン化合物の合計に対して、0質量%超40質量%以下である、前記[1]〜[8]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[10]前記非酸化雰囲気下での焼成後に、酸化雰囲気下での加熱を行う工程をさらに含む、前記[1]〜[9]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
[11]前記酸化雰囲気下での加熱が、空気雰囲気下、酸素雰囲気下又は水蒸気を含む雰囲気下での加熱である、前記[1]〜[10]のいずれかに記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
本発明によれば、半導体素子に形成された深いトレンチ内にシリコン酸化物を埋め込むために好適な、焼成後の硬化収縮率が小さく、かつ良好な耐クラック性を有するトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法を提供することが可能になる。
図1は、本発明で用いるトレンチ構造を含む基板を示す。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法は、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応物を、トレンチ構造を含む基板に塗布し、塗布された縮合反応物を非酸化雰囲気下において焼成することにより行うことができる。
本発明で使用するポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応物とは、ポリスチレン換算重量平均分子量が1,000以上かつ200,000以下であり、HSiO3/2基、MeHSiO基、及びHSiO基からなる群から選ばれる少なくとも一種類の基を40mol%以上含むポリシロキサン化合物と、平均一次粒子径が1nm以上100nm以下であるシリカ粒子からなる。
ポリシロキサン化合物は、下記一般式(2):
HSiX3
{式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}、下記一般式(3):
SiX
{式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}、下記一般式(4):
SiX
{式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そしてXは、同一でも異なっていてもよい。}、下記一般式(5):
SiX
{式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そして複数のR及びXは、ぞれぞれ、同一でも異なっていてもよい。}、又は下記一般式(6):
SiX
{式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そしてRは、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物の中で、少なくとも前記一般式(2)で表されるシラン化合物に由来する構造を有することが、硬化収縮率を小さくする観点から好ましい。
また、クラック耐性やトレンチへの埋め込み性の観点から、ポリシロキサン化合物は、上記一般式(3)〜一般式(6)で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種に由来する構造をさらに含有してもよい。より典型的には、ポリシロキサン化合物としては、上記一般式(2)で表されるシラン化合物と、上記一般式(3)〜一般式(6)で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種との縮合反応物が好ましい。なお、一般式(2)で表されるシラン化合物として、単独又は2種以上の化合物を使用できる。上記各々の縮合反応は酸化雰囲気下で行うことができる。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物を製造される際に用いられるシラン化合物の上記一般式(5)又は一般式(6)中のRの具体例としては、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、i−ヘプチル、n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、i−ノニル、n−デシル、i−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式又は環式のアルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基又はキシリル基のようなアリール基が挙げられる。この中でも、焼成時にシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、硬化収縮率が小さい点で、水素原子、メチル基、及びエチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記一般式(2)〜一般式(6)中のXの具体例としては、例えば、クロライド、ブロマイド、アイオダイド等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基等が挙げられる。この中でもクロライド、ブロマイド、アイオダイド等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基やアセトキシ基が、縮合反応の反応性が高いために好ましい。
一般式(4)中のRの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、i−ヘプチル、n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、i−ノニル、n−デシル、i−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式又は環式のアルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基又はキシリル基のようなアリール基が挙げられる。この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、硬化収縮率が小さい点で、メチル基及びエチル基が好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物の調製においては、上記一般式(2)で表される水素化シラン化合物の使用割合、又は上記一般式(5)においてHSiX又はMeHSiXで表される水素化シラン化合物の使用割合が、ポリシロキサン化合物を製造する際に用いられるシラン化合物の合計の40mol%以上であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上である。上記いずれかの使用割合が上記範囲内に入っている場合は、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に塗布膜の硬化収縮率が小さいため好ましい。
なお、ポリシロキサン化合物中、特に上記一般式(2)で表されるシラン化合物と上記一般式(3)〜(6)で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種との縮合反応物中の、上記一般式(2)で表されるシラン化合物(すなわち、水素化シラン化合物)に由来する構造の割合が30mol%以上である場合、耐クラック性が良好なため好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物の製造の際に使用される上記一般式(3)で表されるシラン化合物の割合は、ポリシロキサン化合物を製造する際に用いられるシラン化合物の合計に対して30mol%以下が好ましく、より好ましくは20mol%以下である。上記の範囲内であることは、成膜性が良く収縮率も小さいため、好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物の製造の際に使用される上記一般式(4)で表されるシラン化合物の割合は、ポリシロキサン化合物を製造する際に用いられるシラン化合物の合計の50mol%以下であることが好ましく、より好ましくは30mol%以下である。上記の範囲内であることは、成膜性が良く硬貨収縮率が小さいため、好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物の製造の際に使用される上記一般式(5)で表されるシラン化合物の割合は、ポリシロキサン化合物を製造する際に用いられるシラン化合物の合計に対して50mol%以下が好ましく、より好ましくは30mol%以下である。上記の範囲内であることは、埋め込み性がよく、耐クラック性が高いため、好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物の製造の際に使用される上記一般式(6)で表されるシラン化合物の割合は、ポリシロキサン化合物を製造する際に用いられるシラン化合物の合計の30mol%以下であることが好ましく、より好ましくは20mol%以下である。上記の範囲内であることは、埋め込み性が良く、クラック耐性が高いため、好ましい。
ポリシロキサン化合物を製造する際、上記一般式(2)〜一般式(6)で表されるシラン化合物のうち使用されるものの少なくとも1種のXにハロゲン原子及び/又はアセトキシ化合物が含まれている場合には、縮合反応のために水を加えることによって反応系が酸性を示すため、シラン化合物の他に酸触媒を加えても加えなくてもよい。また上記一般式(2)〜一般式(6)で表されるシラン化合物のうち使用されるもののXが全てアルコキシ基である場合は、酸触媒を加えることが好ましい。
酸触媒としては、無機酸又は有機酸を挙げることができる。無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等を挙げることができる。有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等を挙げることができる。
これらの化合物は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。また使用される酸触媒の量は、ポリシロキサン化合物の重量平均分子量を制御するために、ポリシロキサン化合物を製造する際の反応系のpHを0.01〜6.0の範囲に調整する量であることが好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物は、有機溶媒中又は水と有機溶媒との混合溶液系中で製造できる。有機溶媒としては、例えばアルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等を挙げることができる。
上記アルコール類としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのような多価アルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル類等が挙げられる。
上記エステル類としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。上記ケトン類としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテル類としては、上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えばエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒等が挙げられる。
上記アミド化合物としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N− メチルピロリドン等を挙げることができる。
以上の溶媒の中でもメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等は、水と混合しやすく、シリカ粒子を分散させやすいために、好ましい。
これらの溶媒は、単独で使用してもよいし、複数の溶媒を併用しても構わない。また、上記溶媒を用いずにバルク中で反応を行ってもよい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物は、反応系中に水を添加することによって製造されることが好ましい。水の添加量としては、例えば、上記一般式(2)〜一般式(6)で表されるシラン化合物のうち使用されるもののXの合計モル数に対して0.1当量以上10当量以下が好ましく、更に好ましくは0.4当量以上、8当量以下の範囲である。水の添加量が0.1当量以上である場合、ポリシロキサン化合物の分子量が上がるため好ましく、10当量以下である場合、本発明で使用されるトレンチ埋め込み用反応物溶液のポットライフが長く、成膜後の耐クラック性を向上させるため好ましい。
本発明で使用されるポリシロキサン化合物を製造する際の反応温度には特に制限は無いが、−50℃以上200℃以下が好ましく、より好ましくは0℃以上150℃以下である。上記の範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン化合物の分子量を所望の範囲に制御することができる。
本発明で用いられるトレンチ埋め込み用反応物を製造する際に用いるポリシロキサン化合物、より典型的には上記一般式(2)で表されるシラン化合物の縮合反応物又は上記一般式(5)で表されるシラン化合物と、上記一般式(3)〜一般式(6)で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種との縮合反応物の重量平均分子量としては、1,000以上200,000以下の範囲が好ましく、更に好ましくは2,000以上150,000以下である。ポリシロキサン化合物の重量平均分子量が1,000以上である場合、成膜性と耐クラック性が良好であり、重量平均分子量が200,000以下であると、トレンチ埋め込み用反応物のポットライフが長くなるため好ましい。本発明で使用されるポリシロキサン化合物は、例えば上記有機溶媒中で製造した後、そのままシリカ粒子と反応させてもよいし、上記有機溶媒中で製造した後、濃縮したり、他の有機溶媒に置換してから、シリカ粒子と反応させても構わない。なお本明細書に記載する重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用い、クロロホルム溶液中、1質量%溶液にて測定し、示差屈折率によりポリエチレン換算して得られる値である。
次に本発明で使用されるシリカ粒子について説明する。
本発明で用いられるトレンチ埋め込み用反応物に使用されるシリカ粒子としては、例えばヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等を挙げることができる。
上記ヒュームドシリカは、シリコン原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えばハロゲン化ケイ素(例えば、塩化ケイ素等)等を挙げることができる。
コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解及び縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えば、テトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えば、ジフェニルジクロロシラン等)等を挙げることができる。中でも、金属やハロゲン等の不純物は少ないことが好ましいため、アルコキシケイ素から得られたコロイダルシリカがより好ましい。
シリカ粒子の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、1nm以上100nm以下であることがより好ましく、1nm以上40nm以下であることが特に好ましい。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、耐クラック性が向上するため好ましく、120nm以下である場合、トレンチへの埋め込み性が高くなるため好ましい。
シリカの平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、2nm以上80nm以下であることがより好ましい。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、クラック耐性が向上するため好ましく、250nm以下である場合、トレンチへの埋め込み性が高くなるため好ましい。また、シリカ粒子の平均二次粒子径は、上記の範囲内で、かつ基板に形成されたトレンチのうち最小の開口幅に対して、0.1〜3倍であることが、トレンチへの埋め込み性が高くなる点で好ましく、上記最小の開口幅の0.1〜2倍であることが更に好ましい。なお上記平均一次粒子径は、BET法で測定した比表面積から粒子が完全な球形であることを仮定して測定される値であり、平均二次粒子径は、光子相関法により測定される値である。
なお、シリカ粒子は、加熱された際に結合が開裂・再結合して再配列する、いわゆる「リフロー」といわれる現象を示すことが知られている。このため、シリカ粒子の平均二次粒子径がトレンチの開口幅より大きくても、後述する加熱工程においてリフロー現象が起こり、これによって細分化されたシリカ粒子の一部がトレンチ内部まで到達することとなる。
シリカ粒子の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体や卵形等の略球状である場合も含む。
シリカ粒子の比表面積は、HF耐性が良好になる点で、1,000m/g以下であることが好ましく、500m/g以下であることがより好ましい。上記比表面積は、BET法で測定される値である。
シリカ粒子としては、上記の要件に適合する限り制限は無く、市販品を使用することもできる。市販品としては、コロイダルシリカとして、例えばLEVASILシリーズ(H.C.Starck(株)製)、メタノールシリカゾルIPA−ST 、同MEK−ST、同NBA−ST、同XBA−ST、同DMAC−ST、同ST−UP、同ST−OUP、同ST−20、同ST−40、同ST−C、同ST−N、同ST−O、同ST−50、同ST−OL(以上、日産化学工業(株)製) 、クオートロンP L シリーズ(扶桑化学(株)製)等;粉体状のシリカ粒子として、例えばアエロジル130、同300、同380、同TT600 、同OX50(以上、日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31、同H32、同H51 、同H52 、同H121 、同H122(以上、旭硝子(株)製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業(株))、SYLYSIA470( 富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)等を、挙げることができる。
本発明において用いられるポリシロキサン化合物に上記シリカ粒子を反応させる際には、溶媒中に分散した状態にシリカ粒子を反応させることができる。溶媒としては、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒を使用することができる。使用される有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子の分散媒によって変わる。使用されるシリカ粒子の分散媒が水系の場合は、水若しくはアルコール系溶媒をシリカ粒子の水分散媒に加えてからシリカ粒子をポリシロキサン化合物と反応させてもよいし、シリカ粒子の水溶液を一度アルコール系溶媒に置換してから、シリカ粒子をポリシロキサン化合物と反応させてもよい。使用できるアルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられ、これらは水と容易に混合されるため好ましい。
使用されるシリカ粒子の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等の溶媒である場合は、水、アルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を使用することができる。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えばジメトキシエタンが挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル等が挙げられる。
シリカ粒子とポリシロキサン化合物との反応は酸性雰囲気下で行われることが好ましい。酸触媒としてはポリシロキサン化合物を製造する際に用いられるものと同じ酸触媒を挙げることができる。ポリシロキサン化合物の製造後に酸触媒を取り除く場合には、シリカ粒子とポリシロキサン化合物とを反応させる際に酸触媒を再度加える必要があるが、ポリシロキサン化合物の製造後に酸触媒を取り除かずそのままシリカ粒子を反応させる場合は、酸触媒を再度加えなくても、ポリシロキサン化合物を反応させる際に使用された酸触媒でポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応を行うことができる。しかし、この場合、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応時に改めて酸触媒を加えても構わない。
シリカ粒子とポリシロキサン化合物溶液との反応温度は特に制限はされず、通常の範囲である−50℃以上200℃以下で行われる。
使用されるシリカ粒子の割合は、前記ポリシロキサン化合物と前記シリカ粒子、又は前記ポリシロキサン化合物と前記シリカ粒子と前記シラン化合物の合計に対して、1質量%以上80質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上70質量%以下であり、更に好ましくは10質量%以上60質量%以下である。1質量%以上である場合、クラック耐性が高いため好ましく、80質量%以下である場合、膜質が良好なため好ましい。
本発明で使用されるトレンチ埋め込み用反応物の製造においては、上記のようにしてシリカ粒子とポリシロキサン化合物とを反応させた後に、下記一般式(1):
SiX4−n
{式中、nは、1〜3の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そして複数のR及びXは、それぞれ、同一でも異なっていていてもよい。}で表されるシラン化合物を更に反応させても構わない。シリカ粒子に由来する構造を有する反応物が上記一般式(1)で表されるシラン化合物に由来する構造を有することは、特にシリカ粒子として水系のものを用いる場合に製膜性などの点で有利である。
一般式(1)中のR及びXは、上記一般式(2)、一般式(5)、及び一般式(6)におけるものと同じ基から選ばれることが好ましく、Rの具体例としては、水素原子、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、i−ヘプチル、n−オクチル、i−オクチル、t―オクチル、n−ノニル、i−ノニル、n−デシル、i−デシル等の非環式又は環式の脂肪族炭化水素基、ビニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、シクロヘキセニルエチル、ノルボルネニルエチル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、スチレニル等の非環式又は環式のアルケニル基、ベンジル、フェネチル、2−メチルベンジル、3−メチルベンジル、4−メチルベンジル等のアラルキル基、PhCH=CH−基のようなアラアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基が挙げられる。この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転換の際に重量減少が少なく、硬化収縮率が小さい基として、水素原子、メチル基、エチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
上記一般式(1)中のXの具体例としては、例えば塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、アセトキシ基等が挙げられる。この中でもメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基やアセトキシ基が縮合反応の反応性が高い点で好ましい。
本発明のトレンチ埋め込み用反応物に加える上記一般式(1)で表されるシラン化合物は、1種でも複数種でもよい。複数種のシラン化合物を加える際には、1種ずつ加えてもよいし、複数種のシラン化合物を混合してから加えてもよい。
上記一般式(1)で表されるシラン化合物の添加量は、ポリシロキサン化合物、シリカ粒子、及び一般式(2)で表されるシラン化合物の合計の0質量%超40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0質量%超30質量%以下である。一般式(2)で表されるシラン化合物の添加量が上記の範囲である場合、本発明のトレンチ埋め込み用反応物のポットライフが長くなり、クラック耐性が上がるため好ましい。
上記一般式(1)で表されるシラン化合物は、ニートで(すなわち溶媒で希釈せずにそのまま)加えてもよいし、一度溶媒で希釈してから加えてもよい。希釈用の溶媒としては、シラン化合物が反応しなければどのような溶媒を用いても構わない。例えばエーテル系、炭化水素系、ハロゲン系の溶媒等を使用できる。一般式(1)で表されるシラン化合物の添加時の濃度としては1質量%以上100質量%以下の範囲が好ましく、より好ましくは3質量%以上50質量%以下である。該濃度が上記の範囲内である場合、溶媒量を少なくできる点で好ましい。
一般式(1)で表されるシラン化合物は、添加後、−50℃以上200℃以下の範囲で、1分以上100時間の範囲で反応させることが好ましい。反応温度と反応時間とを制御することで、本発明のトレンチ埋め込み用反応物を成膜する際の粘度を制御することができる。
以上のような手順で、シリカ粒子に由来する構造を有する反応物を得ることができる。
上記のようにして得た、シリカ粒子に由来する構造を有する反応物は、沸点100℃以上200℃以下の、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、炭化水素系の溶媒から選ばれる少なくとも1種類の溶媒が、本発明のポリシロキサン系トレンチ埋め込み用縮合反応物溶液に占める溶媒の合計に対して50質量%以上含まれている分散液又は溶液にすることが好ましい。アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の溶媒は、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又はポリシロキサンとシリカ粒子の反応物とシラン化合物との反応の際にあらかじめ加えておいても構わないし、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又はポリシロキサン化合物及びシリカ粒子の反応物と一般式(1)で表されるシラン化合物との反応を行った後に、上記から選ばれる溶媒を更に添加しても構わない。また、反応時に使用した溶媒を蒸留等の方法で濃縮したものを、シリカ粒子に由来する構造を有する反応物を形成した後で加えても構わない。
上記のアルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、炭化水素系の溶媒の具体例としては、例えばブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメトキシエーテル、プロピレングリコールモノエトキシエーテル等のアルコール系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソアミルケトン、エチルヘキシルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、プロピレングリコールメチルエチルアセテート、乳酸エチル等のエステル系溶媒、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系の溶媒、トルエン、キシレン等の炭化水素系の溶媒等が挙げられる。これらの溶媒系は、本発明のトレンチ埋め込み用反応物に含まれる溶媒系の中で50質量%以上含まれていれば、沸点が100℃以下の溶媒が混合されていても構わない。また上記の溶媒系が複数用いられていても構わない。上記の沸点が100℃以上200℃以下のアルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系、炭化水素系の溶媒が50質量%以上含まれる場合、トレンチ埋め込み用反応物のポットライフを長くすることができ、また成膜性も向上するために好ましい。
ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又はポリシロキサン化合物とシリカ粒子とシラン化合物との反応の際に使用される溶媒、及びポリシロキサン化合物とシリカ粒子との反応、又はポリシロキサン化合物とシリカ粒子とシラン化合物との反応の際に生成される水やアルコールが、上記のアルコール、ケトン、エステル、エーテル系溶媒よりも沸点が低い場合は、反応の際か、反応後に上記から選ばれる溶媒を加えた後に、蒸留等の方法によって低沸点の溶媒を取り除く方が、本発明で使用されるトレンチ埋め込み用反応物のポットライフが長くなるため好ましい。
図1に示すように、本発明で用いるトレンチ構造を含む基板は、トレンチ部分のみを含む基板と、トレンチ部分と、平坦部を同時に含む基板のどちらを用いても構わない。トレンチ部分としては、特に制限は無いが、開口部が100nm未満の狭いトレンチが通常用いられ、また開口部の幅は単一であっても、複数あってよい。平坦部としては、開口が100nm以上の領域を示す。本発明で用いることができるトレンチ構造を含む基板は、トレンチ構造の開口部から最深部までの深さが0.3μm以上であり、より好ましくは開口部から最深部までの深さが0.5μm以上であり、更に好ましくは開口部から最深部までの深さが0.8μm以上である。トレンチ構造の開口部から最深部までの深さが0.3μm以上である場合、本発明のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法を用いると耐クラック性が向上するため好ましい。
本発明で使用されるトレンチ埋め込み用縮合反応物は、通常の方法で基板上に塗布することができる。塗布方法としては、例えばスピンコート法、ディップコート法、ローラーブレード塗布法、スプレー塗布法等が挙げられる。中でも成膜時の塗布厚みが均一になる点でスピンコート法が好ましい。
トレンチ構造を含む基板に、これらの方法でトレンチ埋め込み用縮合反応物を塗布した後、塗布膜中の残留溶媒を除くために50℃〜200℃で予備硬化させることが好ましい。そのとき、段階的に温度を上げても、連続的に温度を上げてもよい。予備硬化の雰囲気としては、酸化性雰囲気であっても非酸化性雰囲気であっても構わない。
予備硬化させて得られた膜を非酸化性雰囲気で加熱焼成することによって絶縁膜を得ることができる。上記の加熱焼成の方法としては、ホットプレート、オーブン、ファーネス等の一般的な加熱手段を適用することができる。非酸化性雰囲気での熱処理温度は好ましくは200℃超850℃以下であり、より好ましくは300℃超800℃以下である。更に好ましくは350℃超750℃以下である。200℃超である場合、得られた膜質が良好であるため好ましく、850℃以下である場合、耐クラック性が良好であるため好ましい。
本発明の非酸化性雰囲気とは、真空下、又はN、Ar、Xe等の不活性雰囲気であり、これらの不活性雰囲気中の酸素や水蒸気などの酸化性ガスは1,000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。そのときの全圧力に特に制限は無く加圧、常圧、減圧のいずれでもよい。
非酸化性雰囲気での焼成後に、空気や酸素又は水蒸気などの酸化性雰囲気での焼成を行っても構わない。加熱温度としては好ましくは200℃〜850℃であり、より好ましくは300℃〜700℃である。さらに好ましくは350℃〜600℃である。200℃超である場合、得られた膜質が良好であるため好ましく、850℃以下である場合、基板の酸化が抑制されるため好ましい。
酸化性雰囲気での焼成と光処理を併用しても構わない。加熱と光処理を同時に行う場合の温度としては、好ましくは室温〜600℃であり、処理時間は0.1〜120分程度である。光処理としては、可視光線、紫外線、遠紫外線などを使用できるほか、低圧又は高圧の水銀ランプ、重水素ランプ、アルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザー等を光源として使用することができる。これらの光源は、好ましくは10〜5,000Wの出力のものである。これらの光の波長は、塗布した膜中のトレンチ埋め込み用縮合反応物に少しでも吸収があれば構わないが、好ましくは170nm〜600nmの波長の光であり、照射量は、好ましくは0.1〜1,000J/cmであり、より好ましくは1〜100J/cmである。光処理時に同時にオゾンを発生させても構わない。例えば上記の条件で光処理することによって酸化反応が進行し、焼成後の膜質を向上させることができる。
本発明のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法は、例えばフラッシュメモリなどの素子分離絶縁膜の形成方法として好適である。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
トレンチ埋め込み用縮合反応物の製造例
[製造例1]
200mLのナスフラスコにトリエトキシシラン14.67gとジメトキシジメチルシラン3.78gと、イソプロパノール50gを入れ、水7.77gと塩酸1.25gの混合溶液を室温で滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、ポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液を得た。蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の1Lフラスコに、扶桑化学工業製の平均粒径7nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子;PL−06、95.24gとイソプロパノール324gを入れ、上記のポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液75.6gを室温で滴下した。滴下終了後、30分攪拌し、トリエトキシシラン6.01gをキシレン56gで希釈した溶液を滴下した。オイルバス100℃で4時間還流した。還流後PGMEA200gを加え、オイルバスで昇温し、蒸留ラインよりイソプロパノール、塩酸、水、キシレンを留去し、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子の反応物のPGMEA溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。
[製造例2]
200mLのナスフラスコにトリエトキシシラン19.61gとジメトキシジメチルシラン4.41gと、イソプロパノール50gを入れ、水7.77gと塩酸1.25gの混合溶液を室温で滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、ポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液を得た。一部をサンプリングしGPCを測定すると重量平均分子量は4800であった。蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の1Lフラスコに、扶桑化学工業製の平均粒径7nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子;PL−06、71.43gとイソプロパノール243gを入れ、上記のポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液83gを室温で滴下した。滴下終了後、30分攪拌し、トリエトキシシラン4.51gをキシレン35gで希釈した溶液を滴下した。オイルバス100℃で4時間還流した。還流後PGMEA200gを加え、オイルバスで昇温し、蒸留ラインよりイソプロパノール、塩酸、水、キシレンを留去し、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子の反応物のPGMEA溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。
[製造例3]
200mLのナスフラスコにトリエトキシシラン21.6gとジメトキシジメチルシラン3.37gと、イソプロパノール50gを入れ、水8.11gと塩酸1.25gの混合溶液を室温で滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、ポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液を得た。蒸留塔及び滴下ロートを有する4つ口の1Lフラスコに、扶桑化学工業製の平均粒径7nm、6.3質量%濃度の水分散シリカ粒子;PL−06、71.43gとイソプロパノール243gを入れ、上記のポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液84gを室温で滴下した。滴下終了後、30分攪拌し、トリエトキシシラン4.51gをキシレン35gで希釈した溶液を滴下した。オイルバス100℃で4時間還流した。還流後PGMEA200gを加え、オイルバスで昇温し、蒸留ラインよりイソプロパノール、塩酸、水、キシレンを留去し、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子の反応物のPGMEA溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。
[製造例4]
200mLのナスフラスコにトリエトキシシラン34.46gとジメトキシジメチルシラン6.31gと、イソプロパノール50gを入れ、水13.22gと塩酸1.25gの混合溶液を室温で滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、ポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液を得た。キシレン35gを加え、オイルバス100℃で4時間還流した。還流後PGMEA200gを加え、オイルバスで昇温し、蒸留ラインよりイソプロパノール、塩酸、水、キシレンを留去し、ポリシロキサン化合物のPGMEA溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。
[製造例5]
200mLのナスフラスコにトリメトキシメチルシラン24.37gと、イソプロパノール50gを入れ、水7.30gと塩酸1.25gの混合溶液を室温で滴下した。滴下終了後、2時間攪拌し、ポリシロキサン化合物のイソプロパノール溶液を得た。キシレン35gを加え、オイルバス100℃で4時間還流した。還流後PGMEA200gを加え、オイルバスで昇温し、蒸留ラインよりイソプロパノール、塩酸、水、キシレンを留去し、ポリシロキサン化合物のPGMEA溶液(固形分濃度:25重量%)を得た。
以上の製造例1〜5を以下の表1に纏める。
Figure 2010186975
(1)クラック耐性
焼成後の膜厚が1.1μm以上になるように、6インチSi基板上にトレンチ埋め込み用縮合反応物を塗布、焼成し、焼成後の膜表面を光学顕微鏡にて観察し、光学顕微鏡下でクラックが入っているか否かを判定した。更に、開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板に、開口部の最深部から膜表面までの膜厚が、焼成後に1.1μm以上になるようにトレンチ埋め込み用縮合反応物を塗布及び焼成し、日立製作所製 走査型電子顕微鏡(SEM) S4700で断面を観察し、SEM下でクラックが入っているか否かを判定した。上記の判定で、ともにクラックが入っていない場合を○、その他の場合を×とした。
(2)収縮率
6インチSi基板上に塗布した膜において、予備加熱後の膜厚tと、焼成後の膜厚tをHORIBA JOBINYVON製 分光エリプソメーター UVISELで測定し、収縮率を(t−t)/t*100とした。収縮率が25%以下の場合を○、その他の場合を×とした。
(3)耐電圧
6インチSi基板上に塗布した膜において、SSM製 水銀プローブ 495CV SYSTEMを用いて、電流−電圧特性を測定し、電流値が10−5A/cm以上を絶縁破壊とした。
[実施例1]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板にそれぞれに、製造例1で製造した縮合反応物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。これらの基板を大気中で50℃、100℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜は異物やハジキの観察されない均一なものであった。得られた膜をAr雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに○であった。
[実施例2]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板それぞれに、製造例2で製造した縮合反応物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を50℃、100℃、150℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜は異物やハジキの観察されない均一なものであった。得られた膜をN雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに○であった。耐電圧は5MV/cm以上であった。
[実施例3]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板それぞれに、製造例2で製造した縮合反応物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を50℃、100℃、150℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜は異物やハジキの観察されない均一なものであった。得られた膜をN雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。更にその後、Air雰囲気に置換し、5℃/分で400℃まで昇温し、400℃で60分保持し、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに○であった。耐電圧は5MV/cm以上であった。
[実施例4]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板それぞれに、製造例2で製造した縮合反応物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を50℃、100℃、150℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜は異物やハジキの観察されない均一なものであった。得られた膜をN雰囲気下、5℃/minで700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。更にその後、水蒸気雰囲気に置換し、5℃/分で400℃まで昇温し、400℃で60分保持し、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに○であった。
[実施例5]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板にそれぞれに、製造例3で製造した縮合反応物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を100℃、200℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜は異物やハジキの観察されない均一なものであった。得られた膜をN雰囲気下、5℃/分で400℃まで昇温し、400℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに○であった。
[実施例6]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板にそれぞれに、製造例3で製造した縮合反応物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を100℃、200℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜は異物やハジキの観察されない均一なものであった。得られた膜をN雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに○であった。
[比較例1]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板それぞれに、製造例4で製造したポリシロキサン化合物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。得られた膜は、一部にハジキやストリが観察された。この基板を50℃、100℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜をN雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに×であった。
[比較例2]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板にそれぞれに、製造例5で製造したポリシロキサン化合物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を50℃、100℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜をAir雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、収縮率ともに×であった。
[比較例3]
開口100nm、開口部から最深部までの深さが0.5μmのトレンチを含む基板と6インチSi基板にそれぞれに、製造例5に記載のポリシロキサン化合物のPGMEA溶液を2mL滴下し、所定の回転速度でスピンコートを行った。この基板を50℃、100℃のホットプレート上でこの順に2分間ずつ、段階的にプリベークし、溶媒を除去した。得られた膜をN雰囲気下、5℃/分で700℃まで昇温し、700℃で60分保持し、その後、室温まで降温した。クラック耐性、は○、収縮率は×であった。
実施例1〜6及び比較例1〜3の評価結果を以下の表2に纏める。
Figure 2010186975
ポリシロキサン化合物とシリカの縮合反応物を非酸化性雰囲気下で焼成することで、クラック耐性に優れ、収縮率が小さい絶縁膜を得ることができることが分かる。
本発明のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法は、例えばフラッシュメモリ等の半導体素子に形成されたトレンチ内の絶縁保護膜の形成方法の分野等で好適に利用できる。

Claims (11)

  1. ポリシロキサン化合物とシリカ粒子との縮合反応物を、トレンチ構造を含む基板に塗布する工程、前記塗布された縮合反応物を非酸化雰囲気下において焼成する工程を含むことを特徴とするトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  2. 前記ポリシロキサン化合物が、HSiO3/2基、MeHSiO基、及びHSiO基からなる群から選ばれる少なくとも一種を40mol%以上有し、前記ポリシロキサン化合物の重量平均分子量が、1,000以上200,000以下であり、そして前記シリカ粒子の平均一次粒子径が、1nm以上100nm以下である、請求項1に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  3. 前記焼成温度が、200℃超850℃以下の温度範囲である、請求項1又は2に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  4. 前記トレンチ埋め込み用縮合反応物の焼成の前に、200℃以下の温度で予備加熱を行う工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  5. 前記縮合反応物が、ポリシロキサン化合物とシリカ粒子に加え、さらに下記一般式(1):
    SiX4−n
    {式中の、nは、1〜3の整数であり、Rは、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、そしてXは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基である。}で表されるシラン化合物と縮合反応させた反応物を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  6. 前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2):
    HSiX3
    {式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物の縮合反応物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  7. 前記ポリシロキサン化合物が、下記一般式(2):
    HSiX3
    {式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物と、下記一般式(3):
    SiX
    {式中、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物、下記一般式(4):
    SiX
    {式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、Xは同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物、下記一般式(5):
    SiX
    {式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そして複数のR及びXは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物、又は下記一般式(6):
    SiX
    {式中、Rは、炭素数1〜10の炭化水素基であり、Xは、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、及びアセトキシ基からなる群から選ばれる基であり、そしてRは、同一でも異なっていてもよい。}で表されるシラン化合物から選ばれる少なくとも1種との、縮合反応物であり、該シロキサン化合物中の、一般式(2)で表されるシラン化合物に由来する構造の割合が30mol%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  8. 前記シリカ粒子が、前記ポリシロキサン化合物と前記シリカ粒子、又は前記ポリシロキサン化合物と前記シリカ粒子と前記シラン化合物の合計に対して、1質量%超80質量%以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  9. 前記シラン化合物が、前記ポリシロキサン化合物とシリカ粒子とシラン化合物の合計に対して、0質量%超40質量%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  10. 前記非酸化雰囲気下での焼成後に、酸化雰囲気下での加熱を行う工程をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
  11. 前記酸化雰囲気下での加熱が、空気雰囲気下、酸素雰囲気下又は水蒸気を含む雰囲気下での加熱である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のトレンチ埋め込み用絶縁膜の形成方法。
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