JP2008227389A - 二酸化ケイ素膜およびトレンチアイソレーションの形成方法ならびにそのための組成物 - Google Patents

二酸化ケイ素膜およびトレンチアイソレーションの形成方法ならびにそのための組成物 Download PDF

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【課題】高純度且つ高密度の二酸化ケイ素膜を形成するための組成物の提供。
【解決手段】下記式(1)で示されるケイ素化合物と下記式(2)で示されるカルバメート化合物とを含有する酸化ケイ素形成用組成物。 (R SiO0.5(R SiO)(RSiO1.5・・・・・(1)
Figure 2008227389

(式(2)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基あるいは炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の有機基を示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、高純度の二酸化ケイ素膜および半導体素子の素子分離に用いるトレンチアイソレーションの形成方法ならびにそのための組成物に関する。
多数の素子を高密度に集積して形成される半導体装置の素子間を分離する技術にトレンチアイソレーションがある。トレンチアイソレーション構造は、シリコン基板にドライエッチングによって溝を掘り、その中にSiOを埋め込んで最後は化学機械研磨法(CMP)によって平坦化して形成するのが主流となってきている。このトレンチアイソレーションは、LOCOS法で形成するアイソレーションに比較してバーズビークのようなプロセスに起因するアイソレーション寸法の増加がない。このため、素子の高集積化に適している。上記構造のトレンチアイソレーションは、通常、「初めての半導体プロセス」(前田和夫著、(株)工業調査会)に記載された方法などにより形成される。一般的なトレンチアイソレーションの形成法としては、まず例えば化学的気相成長法によって、シリコン基板の上面に二酸化ケイ素(SiO)膜と酸化用マスクである窒化ケイ素(Si)膜とを積層する。次いで、通常のフォトリソグラフィーにより、窒化ケイ素膜の上面に、レジストにてトレンチパターンを有するエッチングマスクを形成し、反応性イオンエッチングのような異方性エッチングによって、窒化ケイ素膜と酸化シリコン膜とを貫通した状態にてシリコン基板にトレンチを形成する。その後、例えば熱酸化法や化学的気相成長法によってトレンチの内壁に酸化シリコン膜を形成し、次いで、例えば化学的気相成長法によって、トレンチの内部と窒化ケイ素膜の上面とに酸化シリコン堆積層を形成する。そして、化学機械研磨法(CMP)によって埋め込み部を平坦化し、トレンチアイソレーションが形成される。しかしながら、上記の形成方法により形成されたトレンチアイソレーションでは、比較的カバレジのよい化学的気相成長法によって二酸化ケイ素よりなる絶縁体をトレンチ内部に形成しても、トレンチのアスペクト比(トレンチ深さ/トレンチ幅)が1以上になると形成した二酸化ケイ素の内部に局所的なボイドが生じる。このため、その後熱処理工程を行った場合に、発生したボイドが膨張してトレンチアイソレーションを破壊する。そこで局所的なボイドの発生が少ない二酸化ケイ素堆積層の形成方法として、オゾンとテトラエトキシシラン(TEOS)との混合ガスを反応ガスに用いた化学的気相成長法が採用されている。しかしこの方法でも、上記アスペクト比が2以上のトレンチ内部に形成される酸化シリコン堆積層に局所的なボイドが発生する。またこの化学的気相成長法によって形成された二酸化ケイ素堆積層は、他の化学的気相成長法によって形成された二酸化ケイ素堆積層よりも密度が低いために、高抵抗の二酸化ケイ素よりなる絶縁体の形成が困難である。 また、上記した方法にはいずれも高価な真空系装置が必要であるためコスト上の問題があり、また、原料が気体状であるため、装置の汚染や異物発生による生産歩留まりが低い等の解決すべき問題がある。
本発明の目的は、上記事情に鑑み、有機成分を含まない高純度で且つ高密度の二酸化ケイ素膜またはトレンチアイソレーションを形成する方法ならびにそのための組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、CVD法やスパッタリング法等の真空系を用いる方法とは異なり、簡単な操作や装置により、高い歩留りや大きい形成速度で二酸化ケイ素膜またはトレンチアイソレーションを形成するための形成方法およびそのための保存安定性に優れた組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
下記式(1)で示されるケイ素化合物と下記式(2)で示されるカルバメート化合物とを含有することを特徴とする酸化ケイ素形成用組成物。
(R SiO0.5(R SiO)(RSiO1.5・・・・・(1)
(式(1)中、R、RおよびRは、相互に独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、あるいは炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示しそしてk、m、nの合計は1である。)
Figure 2008227389
(式(2)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基あるいは炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の有機基を示す。)
によって達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、
本発明の酸化ケイ素形成用組成物を基板に塗布し、加熱及び/または光照射することを特徴とする二酸化ケイ素膜の形成方法によって達成される。
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第3に、
シリコン基板に形成する複数の半導体素子を電気的に分離するためのトレンチアイソレーションの形成であって、本発明の酸化ケイ素形成用組成物を基板のトレンチ内が充填されるように基板上に塗膜を形成し、次いで加熱および/または光照射することを特徴とするトレンチアイソレーションの形成方法によって達成される。
本発明の酸化ケイ素形成用組成物によれば、シリコン基板に複数の半導体素子を電気的に分離するためのトレンチ内を、高純度且つ高密度の二酸化ケイ素で充填することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明で使用されるケイ素化合物は、上記式(1)で示される。その構造は鎖状、環状、カゴ状の構造であることができる。
上記式(1)中、R、RおよびRは、互に独立に、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示す。
炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、t−ブチル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のハロゲン化アルキル基としては、上記炭素数1〜20のアルキル基のハロゲン化体が挙げられる。ハロゲンとしては、フッ素、塩素または臭素が挙げられる。
炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基としては、上記炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基のハロゲン体が挙げられる。ハロゲンとしては、ここでも、フッ素、塩素、臭素が挙げられる。
上記式(1)で表わされるケイ素化合物は単独であるいは2種以上一緒に用いることができる。
上記式(1)で示される溶媒可溶性ケイ素化合物は、例えば下記式(3)で示されるケイ素化合物を、有機溶媒中、塩基性ないし中性条件下で、縮合させて生成させることが可能である。
Figure 2008227389
ここで、xは4〜100の整数を示す、
上記縮合反応は、−50℃〜200℃の温度範囲で行うことができ、0℃〜100℃で反応させることが好ましい。
本縮合反応を塩基性条件下で行う場合には、塩基触媒を用いることができる。塩基触媒は、無機塩基および有機塩基のいずれでもよい。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を挙げることができる。
また、有機塩基としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、シクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のモノアルキルアミン;
ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジ−n−ノニルアミン、ジ−n−デシルアミン、シクロヘキシルメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のジアルキルアミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、シクロヘキシルジメチルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等の直鎖状、分岐状もしくは環状のトリアルキルアミン;
アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族アミン;
エチレンジアミン、N,N,N',N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン、1,3−ビス[1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル]ベンゼン等のジアミン;
イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、4−ヒドロキシキノリン、8−オキシキノリン、アクリジン等のピリジン;ピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン等のピペラジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の他の含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
これらの塩基触媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明において、縮合時に用いられる有機溶剤としては、シリコーン樹脂成分と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルペンチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましい。
また、上記式(1)において、R、R、Rが水素原子以外のケイ素化合物は、それ自体公知の方法に従って、R SiX、RSiXおよびRSiXで表わされる化合物を適宜混合して加水分解、重縮合させることによって製造することができる。
これらの式において、Xはハロゲン原子あるいはアルコキシ基の加水分解性基である。
上記縮合反応により、上記式(1)で表わされるケイ素化合物であるシリコーン樹脂を生成することができる。
上記式(1)で表わされるケイ素化合物は、k+m+n=1であり、好ましくはkは0〜0.2で、mは0.2〜0.8で、nは0.2〜0.8である。kが0.2より大きいときは十分な膜厚が得られない等の塗布異常が発生しやすい。mが0.2より小さいときはケイ素化合物の溶媒に対する溶解性が低下し組成物の保存安定性が悪くなり、mが0.8より大きいときは成膜性が悪化する。nが0.2より小さいときは成膜性の異常が発生しやすく、nが0.8より大きい場合にはケイ素化合物溶液の保存安定性が悪くなる。ケイ素化合物の分子量は、好ましくは200から500,000であり、より好ましくは1,000〜100,000であり、更に好ましくは2,000〜50,000である。このようなケイ素化合物は、単独で、または分子量、組成の異なる2種以上を混合して使用することができる。
上記式(3)で表わされるケイ素化合物は、有機溶媒中、ジクロロシランを加水分解することで合成することができる。加水分解の際には、有機溶媒、水以外に触媒などの第3成分を加えてもよい。
ここで使用する溶媒としては、シリコーン樹脂成分と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素などの塩素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルペンチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点で、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましい。
加水分解のため水の量は、ジクロロシランに対して、好ましくは0.5モル%以上、より好ましくは10モル%以下で、さらに好ましくは、0.9モル%以上、特に好ましくは1.5モル%以下である。水添加量が0.5モル%以下では加水分解反応が未反応のクロル体を残留し、一方、水添加量が10モル%以上では反応が急激に進みゲル化が起こる恐れがある。なお、本反応に使用する水の量は、添加する水の他に、ジクロロシラン、溶剤、その他添加物、雰囲気、装置等反応系中に存在する可能性のある全ての水分を示す。
本加水分解反応は、−78℃〜100℃の温度で行なうのが望ましく、特に−20℃〜50℃の範囲で行なうのが望ましい。
上記式(3)で示されるケイ素化合物は室温で安定な化合物ではあるが、室温で取り扱う場合は、上記に示した溶媒の溶液状態での取り扱い、保存が好ましく、また、無溶媒状態で取り扱い、保存する場合は0℃以下で行なうのが望ましい。
また、上記式(3)で示されるケイ素化合物は、蒸留精製が可能であり、蒸留時の減圧度は常圧(760mmHg)以下が望ましく、蒸留時の加温温度も200℃以下が望ましく、蒸留により得られた上記式(3)で示されるケイ素化合物も溶液状態で保管するのが望ましい。蒸留により、脱金属、脱ハロゲン等が可能となる。本条件が保持しない場合、ゲル化が進行し、目的物が得られない恐れがある。
本発明で用いられるカルバメート化合物は、上記式(2)で表わされる。式(2)中、RおよびRは、互に独立に、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基または炭素数6〜20の1価のハロゲン芳香族炭化水素基である。
これらのアルキル基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化芳香族炭化水素基としては、R、RおよびRについて前述したと同じ基を具体例として挙げることができる。
式(2)中、Rは、炭素数1〜20の置換または非置換の有機基を示す。Rの具体例としては、R、RおよびRについて前述したアルキル基、芳香族炭化水素基およびハロゲン化芳香族炭化水素基が挙げられるが、この中でも、t−ブチル基、t−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等、カルボニルオキシ基と結合している炭素が3級炭素であることが好ましい。
上記式(2)で表わされるカルバメート化合物のうち、Rがt−ブチル基の化合物としては、例えば、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、
N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等のN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物のほか、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
上記カルバメート化合物は単独であるいは2種以上一緒に用いることができる。
本発明の組成物は、上記式(1)で表わされるケイ素化合物と上記式(2)で表わされるカルバメート化合物を、両者の合計に基づいて、それぞれ、好ましくは70〜99.9重量%、より好ましくは75〜99重量%および好ましくは0.1〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%で含有する。
上記式(1)で表わされるケイ素化合物に、上記式(2)で表わされるカルバメート化合物を併用することで、溶液中では安定で、成膜後加熱することにより、膜中該ケイ素化合物のSi−O−Si結合を構築、架橋度を高度化させて二酸化ケイ素膜の膜密度を高めることができる。
本発明の組成物中には、必要に応じ、溶剤など他成分が存在していてもよい。
本発明の二酸化ケイ素膜の形成方法およびトレンチアイソレーションの形成方法では上記組成物が用いられる。
上記組成物は上記式(1)のケイ素化合物および上記式(2)のカルバメート化合物を溶媒に溶解して形成される。ここで使用する溶媒としては、これらの成分と反応しないものであれば特に限定されない。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランなどの炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルブチルエーテル、エチルペンチルエーテル、エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;およびプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を挙げることができる。これらのうち、該溶液の安定性の点でエーテル系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましい。これらの溶媒は、単独でもあるいは2種以上の混合物としても使用できる。上記の溶媒を使用する場合、その使用量は、所望のシリコン酸化膜の膜厚に応じて適宜調整することができる。好ましくは上記ケイ素化合物およびカルバメート化合物の合計1重量部に対し1,000重量部以下であり、特に好ましくは500重量部以下である。1,000重量部を越えると、塗布液の成膜が困難な場合があり好ましくない。
上記組成物には、本発明の目的と機能を損なわない範囲で必要に応じて界面活性剤を添加することができる。このような界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、両イオン系、または非イオン系であることができる。このうち、非イオン系界面活性剤は、組成物の塗布対象物への濡れ性を良好化し、塗布した膜のレベルリング性を改良し、塗膜のぶつぶつの発生、ゆず肌の発生などの防止に役立つ点で好ましく使用できる。かかる非イオン性界面活性剤としては、例えばフッ化アルキル基もしくはパーフルオロアルキル基を有するフッ素系界面活性剤、またはオキシアルキル基を有するポリエーテルアルキル系界面活性剤を挙げることができる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えばエフトップEF301、同EF303、同EF352(新秋田化成(株)製)、メガファックF171、同F173(大日本インキ(株)製)、アサヒガードAG710(旭硝子(株)製)、フロラードFC−170C、同FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC101、同SC102、同SC103、同SC104、同SC105、同SC106(旭硝子(株)製)、BM−1000、同1100(B.M−Chemie社製)、Schsego−Fluor(Schwegmann社製)、C19CONHC1225、C17SONH−(CO)H、C17O(プルロニックL−35)C17、C17O(プルロニックP−84)C17、C17O(テトロニック−704)(C17)2などを挙げることができる。(ここで、プルロニックL−35:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量1,900;プルロニックP−84:旭電化工業(株)製、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体、平均分子量4,200;テトロニック−704:旭電化工業(株)製、N,N,N’,N’−テトラキス(ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロック共重合体)、平均分子量5,000である。)
またポリエーテルアルキル系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマーなどを挙げることができる。これらのポリエーテルアルキル系界面活性剤の具体例としては、エマルゲン105、同430、同810、同920、レオドールSP−40S、同TW−L120、エマノール3199、同4110、エキセルP−40S、ブリッジ30、同52、同72、同92、アラッセル20、エマゾール320、ツィーン20、同60、マージ45(いずれも(株)花王製)、ノニボール55(三洋化成(株)製)などを挙げることができる。
上記以外の非イオン性界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリアルキレンオキサイドブロック共重合体などがあり、具体的にはケミスタット2500(三洋化成工業(株)製)、SN−EX9228(サンノプコ(株)製)、ノナール530(東邦化学工業(株)製)などを挙げることができる。このような界面活性剤の使用量は、ケイ素化合物およびカルバメート化合物の合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、特に好ましくは0.1〜5重量部である。ここで、10重量部を超えると得られる組成物が発泡し易くなると共に、熱変色を起こす場合があり好ましくない。
また本発明の組成物には、適当な分散媒に分散されたコロイド状シリカを添加することもできる。このコロイド状シリカは、本発明の組成物の動的粘弾性特性を変えるために使用されるもので、塗布方法や得られる所望の膜厚により変量することができる。なお、コロイド状シリカを用いる場合には、その使用量は本発明で用いられるケイ素化合物および任意添加成分との分散性を考慮して適宜選択使用するのが好ましい。また本発明の組成物には、組成物のゲル化防止および増粘、得られるシリコン酸化膜の耐熱性、耐薬品性、硬度、および密着性の向上、更には静電防止などを目的として、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンなどの金属酸化物の微粉末を適宜配合することもできる。
本発明の組成物は基板に塗布した後、光照射及び/または加熱することにより二酸化ケイ素膜へ変換される。塗布方法は特に限定されないが通常スピンコート、スプレーコート、カーテンコート、バーコートの他に、印刷法、インクジェット塗布などの方法が適応できる。半導体用途では通常スピンコート法が好ましい。また塗布環境としては特に限定されないが窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気、水素を含む還元性ガス雰囲気、一般的な空気雰囲気で行ってもよい。
また、塗布したケイ素化合物は、加熱及び/または光照射により二酸化ケイ素膜へ変換される。処理条件としては、加熱の場合は通常空気中、もしくは窒素などの不活性雰囲気中で熱処理が施される。上記加熱は、ホットプレート、オーブンなどの一般的な加熱手段を用いて行われる。加熱温度は、好ましくは100〜1,000℃であり、より好ましくは200〜900℃で、さらに好ましくは300〜800℃である。加熱処理時間は好ましくは1〜300分、より好ましくは5〜120分、さらに好ましくは10〜60分である。加熱温度が100℃より低いと膜密度は低くケイ素化合物膜の二酸化ケイ素膜化反応が不十分である場合があり、一方加熱温度が1,000℃より高い場合には得られる二酸化ケイ素膜にクラックが入ることがあり、好ましくない。また、加熱時間が1分より短いと酸化反応が不十分である場合があり、一方、300分を越えて長時間加熱する必要はない。
窒素中一定温度での加熱と空気中一定温度での加熱を組み合わせた処理でもよい。また光照射する際には、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000Wの出力のものが用いられる。通常100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は組成物または塗膜中のケイ素化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが、170nm〜600nmが好ましい。更に光と熱の両方を使用する場合として、上記光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜500℃以下である。処理時間は0.1〜60分程度である。光照射処理は、照射光の波長により異なり波長は220nm以下の場合は窒素中で行うのが好ましく、波長は220nm以上の場合には空気中で行うことが好ましい。
本発明のトレンチアイソレーションの形成方法においては、上記組成物を、トレンチ構造を有する基板上に、例えばスプレー法、ロールコート法、カーテンコート法、スピンコート法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法などの適宜の方法により塗布成膜し、上記の加熱及び/または光照射を施した後の膜厚としては、好ましくは5〜1,000nm、さらに好ましくは25〜500nm程度になるように塗布する。なお、組成物が溶媒を含有するものであるとき、上記膜厚は溶媒除去後の膜厚として理解されるべきである。
基板上にトレンチを形成する方法としては、それ自体公知の方法、例えば前記したマスク窒化膜/パッド酸化膜からなる絶縁膜を堆積することを含む方法を挙げることができる。トレンチは、好ましくは30〜100,000nm、より好ましくは50〜50,000nmの線巾を有することができる。トレンチのアスペクト比は好ましくは50以下、より好ましくは10以下である。また、本発明の組成物の塗膜を密着性よくかつ緻密に基板上に成膜するために、塗布前および後のうちの少なくとも一回、光照射処理を施すことが好ましい。このような光照射処理に際しては、可視光線、紫外線、遠紫外線の他、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザーなどを光源として使用することができる。これらの光源としては、好ましくは10〜5,000Wの出力のものが用いられる。通常100〜1,000Wで十分である。これらの光源の波長は組成物または塗膜中のポリシラン化合物が多少でも吸収するものであれば特に限定されないが170nm〜600nmが好ましい。光照射処理を行う際の温度は、好ましくは室温〜300℃である。処理時間は0.1〜30分程度である。これらの光照射処理は、シリコーン樹脂の成膜工程と同様の雰囲気下で行うことが好ましい。
本発明のトレンチアイソレーションの形成に使用するトレンチ基板としては特に限定されない。基板としては、例えば通常の石英、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラスの他、ITOなどの透明電極、金、銀、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステンなどの金属基板、さらにこれらの金属またはこれらの金属の酸化物を表面に有するガラス、あるいはプラスチック基板などを使用することができる。
塗膜を形成する面は平面でも、段差のある非平面でもよく、その形態は特に限定されない。本発明において、上記の如くして二酸化ケイ素膜がトレンチ内部に局所的な空孔を生じることなく埋め込まれる。また、シリコーン樹脂塗膜を光照射にて行う場合には、所望のパターンを有するフォトマスクの使用等により、塗膜の一部に選択的に光照射すれば、任意の部分のみにトレンチアイソレーションを形成することも可能である。
本発明により基板の面積や形状に関わらずに局所的なボイドがない二酸化ケイ素膜を形成することができ、高信頼性が要求されるデバイスを製造するために好適に使用することができる。また、本発明の方法は、真空装置などの高価な装置が不要なので低コストである。本発明により従来の方法では実現できなかったアスペクト比2以上のトレンチの埋込みを容易に行うことが可能となった。
以下、実施例により本発明を詳述する。本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
合成例1
500mLの4口フラスコにデュアコンデンサー、空気導入管、温度計、セプタムを装備し、窒素雰囲気中、トルエン200mlを仕込んだ。この反応系をドライアイス−アセトンバスにより−60℃に冷却した後、液化したHSiCl(24.3g,240mmol)をシリンジにて注入した。同温度−60℃において、蒸留水(4.10ml、228mmol)を3分間かけて、滴下し、その後、2時間かけて、室温まで昇温させた。更に、そのまま室温で1時間撹拌した。その後、反応液を分液ロートに移し、トルエン層を蒸留水100mlで5回洗浄し、トルエン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濾過し、シリコン樹脂溶液を得た。
得られたシリコン樹脂溶液を、150mmHg、80℃、更に、0.5mmHgで、80℃まで温度をかけ減圧蒸留し、蒸留液(イ)198gを得た。蒸留液(イ)について、H−NMR、29Si−NMR、測定を行なった。H−NMR測定では、4.8〜4.7ppmの領域に、Si−H由来のピークが観察された。また、4.8ppm〜4.7ppmの領域に現れるSi−H由来のピークと、トルエン由来のピークの積分比から、蒸留液(イ)には、シリコン樹脂が3.0重量%溶解していることが判明した。
合成例2
大気中、50ml茄子型フラスコに、上記蒸留液(イ)(トルエンに対してシリコン樹脂が3.0%(w/w)含まれている)を50gとり、室温にて攪拌、更にトリエチルアミンをトルエンに溶解し1%(w/w)溶液とした溶液0.33mlを3分間かけ滴下し、その後、室温にて16時間攪拌した。
その後、反応液に1%シュウ酸水を加え、反応を停止し、次いで分液ロートに移し、更にn−ブチルエーテル30mlを加え、水槽を分液し、再度1%シュウ酸水を加え、分液した後、蒸留水で3回水洗を行なった。その後、溶媒留去、更にn−ブチルエーテルで3回、減圧留去による溶剤置換作業を行ない、均一で透明な、シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ)14.3gを得た。
シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ)について、H−NMR、29Si−NMR、測定を行なった。H−NMR測定では、4.8ppm〜4.6ppmの領域にSi−H由来のブロードなピークが、4.5ppm〜4.3ppmの領域にSi−H由来のブロードなピークが、観察され、双方の積分比は51:49であった。一方、29Si−NMR測定では、−47ppm〜−51ppmの領域にHSi(−O)のピークと−80ppm〜87ppmの領域にHSi(−O)ピークが観察され、双方の積分比は51:49であった。また、H−NMR測定によるn−ブチルエーテル由来のピークの積分比から、シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ)には、シリコン樹脂が10.0%溶解していることが判明した。
また、シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ)について、燃焼ガス吸収法によるイオンクロマト分析により、溶液中の塩素濃度を測定した所、測定法検出限界の1ppm以下であることが解った。
合成例3
300mLの3口フラスコに空気導入管、滴下ロートを装備し、窒素雰囲気中、ジクロロメタン100mlを加え、N,N−ジメチルアミノピリジンを120mg添加、更に、表1に示す量のアミンを添加し攪拌、次いで室温にてジ−t−ブチルジカーボネート21.8g(100mmol)を塩化メチレン20mlに溶解し、15分間かけ滴下した。
滴下終了後、室温にて1時間攪拌後、反応液を分液ロートに移し、蒸留水100mlを加え塩化メチレン層を計5回洗浄した。次いで、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後塩化メチレンを留去、式(2)に示す反応生成物カルバメート化合物(2−a)〜(2−l)を表1に記載の収量で得た。
Figure 2008227389
次いで、合成例2のシリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ)10gに対して、それぞれ、上記表のカルバメート化合物(2−a)〜(2−l)を表1に記載の添加量で添加し、均一液(ロ−a)〜(ロ−l)とした。室温にて1日放置したが、特に外観上の変化等は観察されなかった。
評価例1
上記合成例3で得たカルバメート化合物添加シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ−a)〜(ロ−l)と、カルバメート化合物無添加のシリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ロ)について、0.5μmPTFEフィルターで濾過後、シリコンウエハー上に回転数1,000rpmでスピンコートして成膜し、次いで、100℃で1時間焼成し、二酸化ケイ素膜(ハ−a)〜(ハ−l)並びに(ハ:無添加)を得た。ここで得られた二酸化ケイ素膜についてFT−IRによる分析を実施した所、カルバメート化合物無添加二酸化ケイ素膜(ハ)の場合、2,200cm−1付近に観察されるSi−H基由来のピークが観察されたのに対し、カルバメート化合物を添加した12種の液により成膜した二酸化ケイ素膜(ハ−a)〜(ハ−l)では2,200cm−1付近にはSi−H基由来のピークは殆ど観察されなかった。また、カルバメート化合物無添加、シリコン膜(ハ)の場合、1,000〜1,100cm−1付近に観察されるSi−O−Si基由来のピークが観察されるのに対し、カルバメート化合物を添加した12種の液により成膜した二酸化ケイ素膜(ハ−a)〜(ハ−l)では、更にSi−O−Si基由来のピーク範囲が広がり、1,000〜1,200cm−1の範囲に広がり、Si−O−Si結合が相対的に増加していることが解った。
評価例2
上記評価例1で得た二酸化ケイ素膜(ハ−a)〜(ハ−l)並びに(ハ:無添加)について、それぞれ二酸化ケイ素膜としての膜厚を測定した所、何れも約200Nmの膜厚であることが判明した。次いで、二酸化ケイ素膜(ハ−a)〜(ハ−l)並びに(ハ:無添加)について、1%フッ酸溶液に10秒間浸潤させ、蒸留水で洗浄後の膜について観察した所、二酸化ケイ素膜(ハ:無添加)並びに二酸化ケイ素膜(ハ−a)、(ハ−b)、(ハ−c)では基板上に二酸化ケイ素膜の存在が確認出来なかった一方で、二酸化ケイ素膜(ハ−d)〜(ハ−l)では酸化膜がエッチングされずに基板上に残っていることが確認できた。
評価例3
上記評価例1で得た二酸化ケイ素膜(ハ−a)〜(ハ−l)並びに(ハ:無添加)についてESCA分析を行ったところ、何れの膜からも珪素と酸素原子以外の元素は観察されなかった。
合成例4
テトラメトキシシラン30.1gおよびメチルトリメトキシシラン20.1gをプロピレングリコールモノプロピルエーテル154gに溶解させて攪拌し、溶液の温度を60℃に安定させた。この溶液に、マレイン酸0.12gをイオン交換水15.7gに溶解させた水溶液を1時間かけて添加した。その後、60℃で4時間反応させ、反応液を室温まで冷却した。そして、反応によって副生したメタノールを含む溶液51gを反応液から減圧留去し、プロピレングリコールモノプロピルエーテル51gを加えて反応生成液(ニ)を得た。
この反応生成液(ニ)10gに対して、合成例3で合成した表2のカルバメート化合物をそれぞれ、表2記載の添加量で添加し、均一液(ニ−d)〜(ニ−l)とした。室温にて1日放置したが、特に外観上の変化等は観察されなかった。
Figure 2008227389
評価例4
上記合成例4で得たカルバメート化合物添加シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ニ−d)〜(ニ−l)と、カルバメート化合物無添加のシリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ニ)について、0.5μmPTFEフィルターで濾過後、シリコンウエハー上に回転数1,000rpmでスピンコートで成膜し、次いで、100℃で1時間焼成し、二酸化ケイ素膜(ホ−d)〜(ホ−l)並びに(ホ:無添加)を得た。ここで得た二酸化ケイ素膜(ホ−d)〜(ホ−l)並びに(ホ:無添加)について、それぞれ二酸化ケイ素膜としての膜厚を測定した所、何れも約300nmの膜厚であることが判明した。次いで、二酸化ケイ素膜(ホ−d)〜(ホ−l)並びに(ホ:無添加)について、1%フッ酸溶液に10秒間浸潤させ、蒸留水で洗浄後の膜について観察した所、二酸化ケイ素膜(ホ:無添加)では基板上に二酸化ケイ素膜の存在が確認出来なかった一方で、二酸化ケイ素膜(ホ−d)〜(ホ−l)では酸化膜がエッチングされずに基板上に残っていることが確認できた。
二酸化ケイ素膜(ホ:無添加)、並びに、二酸化ケイ素膜(ホ−d)、(ホ−g)、(ホ−l)について、この二酸化ケイ素膜の内部応力をTenchor社製応力計で測定したところ、(ホ)は80MPa、(ホ−d)は120MPa、(ホ−g)は130MPa、(ホ−l)は150MPa、の圧縮応力を示した。
評価例5
上記合成例3で得たカルバメート化合物添加シリコン樹脂−n−ブチルエーテル溶液(ニ−f)について、0.5μmPTFEフィルターで濾過後、PETフィルム上に回転数1,000rpmでスピンコートで成膜し、次いで、100℃で1時間焼成し、二酸化ケイ素膜を得た。ここで得た二酸化ケイ素膜について、1%フッ酸溶液に10秒間浸潤させ、蒸留水で洗浄後の膜について観察した所、酸化膜がエッチングされずに基板上に残っていることが確認できた。
以上、本発明により、上記式(1)のシリコン化合物に対して、上記式(2)のカルバメート化合物類を加えることで、安定なシリコン樹脂組成物溶液を得ることができ、この樹脂組成物溶液を用いて成膜し、低温焼成することで、不純物が少なく、且つ、高密度な二酸化ケイ素膜が得られることが判明した。
合成例1で得られたシリコーン樹脂(環状ポリシロキサン)のH−NMRスペクトル図。 合成例1で得られた上記と同じシリコーン樹脂の29Si−NMRスペクトル図。 合成例2で得られたシリコーン樹脂(重合後のポリシロキサン)のH−NMRスペクトル図。 合成例2で得られた上記と同じシリコーン樹脂の29Si−NMRスペクトル図。

Claims (4)

  1. 下記式(1)で示されるケイ素化合物と下記式(2)で示されるカルバメート化合物とを含有することを特徴とする酸化ケイ素形成用組成物。
    (R SiO0.5(R SiO)(RSiO1.5・・・・・(1)
    (式(1)中、R、RおよびRは、相互に独立して、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、あるいは炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示しそしてk、m、nの合計は1である。)
    Figure 2008227389
    (式(2)中、RおよびRは、相互に独立して、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基あるいは炭素数6〜20の1価のハロゲン化芳香族炭化水素基を示し、Rは炭素数1〜20の置換または非置換の有機基を示す。)
  2. 請求項1記載の酸化ケイ素形成用組成物を基材に塗布し、加熱及び/または光照射することを特徴とする二酸化ケイ素膜の形成方法。
  3. 二酸化ケイ素膜が圧縮応力を有する請求項2に記載の二酸化ケイ素膜の形成方法。
  4. シリコン基板に形成する複数の半導体素子を電気的に分離するためのトレンチアイソレーションの形成方法であって、請求項1記載の組成物を基板のトレンチ内が充填されるように基板上に塗膜を形成し、次いで加熱および/または光照射を行うことを特徴とするトレンチアイソレーションの形成方法。
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