JP5826012B2 - ポリシロキサン縮合物を含有する絶縁材料及び該絶縁材料を用いた硬化膜の製造方法 - Google Patents

ポリシロキサン縮合物を含有する絶縁材料及び該絶縁材料を用いた硬化膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリシロキサン縮合物を含有する絶縁材料、該絶縁材料を用いて形成される硬化膜及びその製造方法、並びに該硬化膜を含む半導体装置に関する。
近年、メモリの集積度を高めるために、メモリセルを3次元的に配置した半導体記憶装置が多数提案されている。このような半導体装置において、メモリセル及び回路素子等の間隙にあたる箇所にトレンチを形成し、トレンチ内に絶縁材料を埋め込むことにより、メモリセル間及び回路素子間等の電気的分離を行う必要がある。このようなトレンチ埋め込みのための材料としては、高い電気絶縁性が求められるという理由でシリコン酸化物が広く好適に用いられている。
トレンチ内にシリコン酸化物を埋め込むための手段としては、従来、CVD(化学気相成長)法により、トレンチを有するシリコン基板上にシリコン酸化物膜を形成している。しかしながら、近年、半導体素子の微細化に伴って、トレンチの開口幅が狭くなり、アスペクト比が大きくなる傾向があるため、CVD法によりシリコン酸化物を埋め込む方法では、トレンチ内部にボイド(未充填部分)又はシーム(継ぎ目状の未充填部分)が発生し易いという問題がある。
CVD法以外の方法としては、塗布法により液状の材料をトレンチ内に埋設し、酸化雰囲気下で焼成することによりシリコン酸化物膜を形成する方法が知られている。この方法で用いる材料としては、ポリシラザン材料(例えば特許文献1)、ポリシラン材料(例えば特許文献2)、及びシリコーン材料等が知られている。
ところで、シリコーン材料は、塗膜焼成時に脱水及び脱アルコール縮合反応を伴うため、得られたシリコン酸化物膜中にボイド及びクラックが発生し易いという問題があった。また、シリコーン材料からシリコン酸化物に転化する際に大きな硬化収縮を伴うため、膜表面からトレンチの底部に向かって密度が不均一になるといった問題があった。
このようなボイド及びクラックの発生を回避する方法として、シリカ粒子とポリシロキサン化合物とを含む組成物が提案されている(例えば特許文献3)。また、層間絶縁膜用途のために設計された材料として、シリカ粒子とポリシロキサン化合物とを縮合反応させた材料について特許文献4〜7に記載されている。
特開2001−308090号公報 特開2003−31568号公報 特開2006−310448号公報 特開平5−263045号公報 特開平4−10418号公報 特開平3−263476号公報 国際公開第2010/150861号パンフレット
本発明者らが、シリコーン材料で形成された半導体素子用の絶縁材料について検討を進めたところ、ポリシロキサン縮合物を含む組成物を基板上に塗布し、熱硬化させる過程において、塗布膜中から溶媒以外の揮発成分が発生するという問題が見出された。このような揮発成分は、硬化膜表面で再凝集することによってダスト発生の要因となることがあり、絶縁膜形成工程に引き続いて行われる半導体表面の平坦化工程を困難にし、更に、半導体素子の性能バラつきの要因となる。よってこのような揮発成分の発生は、早急に解決すべき問題である。
本発明は、半導体素子用として有用であり、更に、熱硬化時のダスト発生を回避するために揮発成分が抑制された、絶縁材料を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、ポリシロキサン縮合物と窒素含有化合物とを含む絶縁材料を用いることにより、熱硬化時の揮発成分の発生が抑制され、従ってこのような絶縁材料は半導体素子用として有用であることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ独立であり、そしてnは0〜3の整数である。}
で表されるシラン化合物に由来する重縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物を含む硬化性成分(A)、及び
16質量ppm以上50,000質量ppm以下の、炭素数1以上20以下の窒素含有化合物(B)、
を含む、絶縁材料。
[2] 該硬化性成分(A)が金属酸化物微粒子を更に含み、該金属酸化物微粒子は、該硬化性成分(A)中に混合されており、若しくは該ポリシロキサン縮合物中に縮合されており、又はこれらの両者である、上記[1]に記載の絶縁材料。
[3] 該窒素含有化合物(B)が、炭素数1以上20以下のアミン化合物、若しくは炭素数1以上20以下のアミド化合物、又はこれらのカチオンである、上記[1]又は[2]に記載の絶縁材料。
[4] 該窒素含有化合物(B)が、炭素数1以上12以下の一級アミン化合物、若しくは炭素数1以上12以下の二級アミン化合物、又はこれらのカチオンである、上記[3]に記載の絶縁材料。
[5] 50質量%エタノール水溶液を用いて質量比で5倍希釈したときにpH3.8〜6.0を示す、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の絶縁材料。
[6] 更に溶媒を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の絶縁材料。
[7] 上記[1]〜[6]のいずれかに記載の絶縁材料を基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程、及び
該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程、
を含む、硬化膜の製造方法。
[8] 該基板がトレンチ構造を有する、上記[7]に記載の硬化膜の製造方法。
[9] 上記[8]に記載の製造方法により得られる、硬化膜。
[10] 上記[9]に記載の硬化膜を含む、半導体装置。
本発明により、熱硬化時の揮発成分の発生を抑制できる絶縁材料が提供される。本発明の絶縁材料を用いることにより、半導体装置用として有用な硬化膜を製造できる。
ポリシロキサン縮合物S−2のGPCチャートを示す図である。 ポリシロキサン縮合物S−5のGPCチャートを示す図である。 ポリシロキサン組成物C−5のGC−MSスペクトルを示す図である。 ポリシロキサン組成物C−19のGC−MSスペクトルを示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
<絶縁材料>
本発明の一態様は、下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ独立であり、そしてnは0〜3の整数である。}
で表されるシラン化合物に由来する重縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物を含む硬化性成分(A)、及び
16質量ppm以上50,000質量ppm以下の、炭素数1以上20以下の窒素含有化合物(B)、
を含む、絶縁材料を提供する。
[硬化性成分(A)]
硬化性成分(A)は、下記一般式(1):
1 nSiX1 4-n (1)
{式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ独立であり、そしてnは0〜3の整数である。}
で表されるシラン化合物に由来する重縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物を含む。ポリシロキサン縮合物は、典型的には、上記シラン化合物を含む縮合原料を加水分解重縮合することによって得られる。上記シラン化合物は1種でも2種以上の組合せでもよい。縮合原料は、上記一般式(1)で表されるシラン化合物のみから成るものでもよく、シラン化合物以外の他の縮合性成分を含んでもよい。
上記他の縮合性成分としては、例えば、縮合性末端基を有するシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらの使用量は限定されないが、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
上記一般式(1)において、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基である。炭素数1〜10の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、isо−プロピル基、n−ブチル基、isо−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の非環式又は環式の飽和炭化水素基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の芳香族炭化水素基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の非環式及び環式の不飽和炭化水素基、及びベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。
この中でも、焼成時のシリコン酸化物への転化の際に重量減少が少なく、収縮率が小さいポリシロキサン縮合物を与えることができるという観点から、R1は、水素原子、メチル基又はエチル基であることが好ましく、より好ましくはメチル基である。
上記一般式(1)において、X1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、又はアセトキシ基である。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。炭素数1〜6のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
この中でも、反応制御の容易さという観点から、X1は、アルコキシ基であることが好ましく、より好ましくはメトキシ基、又はエトキシ基である。
上記一般式(1)において、nは0〜3の整数である。すなわち、上記シラン化合物としては、ケイ素原子上の官能基数の異なる、1官能シラン化合物(一般式(1)においてn=3の化合物)、2官能シラン化合物(一般式(1)においてn=2の化合物)、3官能シラン化合物(一般式(1)においてn=1の化合物)、及び4官能シラン化合物(一般式(1)においてn=0の化合物)から成る一連の化合物群から1種又は2種以上が選択可能である。これらは、目的とするポリシロキサン縮合物の物性に合わせて選択することが可能であり、一般的に、官能基数が少ないシラン化合物を用いることにより、重合度が高く靱性に優れたポリシロキサン縮合物が得られ、官能基数が多いシラン化合物を用いることにより、緻密で機械強度の高いポリシロキサン縮合物が得られる。
このような観点から、半導体素子に用いる絶縁材料としては、上記シラン化合物は少なくとも3官能シラン化合物を含むことが好ましく、より具体的には、3官能シラン化合物と4官能シラン化合物とを適宜組み合わせて使用することが好ましい。
3官能シラン化合物と4官能シラン化合物との混合比は、耐クラック性の観点から、3官能シラン化合物/4官能シラン化合物=20/80〜90/10(モル比)であることが好ましい。より好ましくは、3官能シラン化合物/4官能シラン化合物=30/60〜85/15(モル比)であり、更に好ましくは、3官能シラン化合物/4官能シラン化合物=50/50〜80/20(モル比)である。ポリシロキサン縮合物中での上記モル比は、例えば、1H−NMR、及び29Si−NMRを用いて確認することができる。
上記ポリシロキサン縮合物は、上記シラン化合物を従来公知の方法を用いて加水分解重縮合することにより製造することができる。
ポリシロキサン縮合物は、例えば、1種又は2種以上のシラン化合物を水の存在下で重縮合させる方法により製造できる。このとき、酸性条件下、上記一般式(1)で表されるシラン化合物に含有されるX1のモル数に対して、保存安定性の観点から、好ましくは0.1当量以上10当量以下、より好ましくは0.4当量以上8当量以下のモル数の水を存在させて、加水分解及び重縮合を行う。
ポリシロキサン縮合物を製造するために用いるシラン化合物が、上記一般式(1)中のX1としてハロゲン原子又はアセトキシ基を含有する場合は、縮合反応のために水を加えることによって反応系が酸性を示すため、酸触媒を用いても用いなくても、いずれでも構わない。一方、上記一般式(1)中のX1がアルコキシ基である場合は、酸触媒を加えることが好ましい。
上記酸触媒としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。上記の無機酸及び有機酸は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリシロキサン縮合物は、有機溶媒中、又は水と有機溶媒との混合溶媒中で製造することができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、及びアミド等が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等の多価アルコール、及びエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールのモノエーテル等が挙げられる。
エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
エーテルとしては、上記の多価アルコールのモノエーテル、並びに、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールの水酸基の一部、又は全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル、及びジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等が挙げられる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
アミドとしては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル、及びジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミドが、水と混合しやすく、後述の金属酸化物微粒子、特にシリカ粒子を分散させやすいという観点から好ましい。
これらの溶媒は、単独で使用しても、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよい。また、上記溶媒を用いずに無溶媒で反応をおこなってもよい。
ポリシロキサン縮合物を製造する際の反応温度については特に制限は無いが、好ましくは−50℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下の範囲である。上記の温度範囲で反応を行うことにより、ポリシロキサン縮合物の重量平均分子量(Mw)を容易に制御することができる。
硬化性成分(A)は、金属酸化物微粒子を含んでもよい。金属酸化物微粒子は、硬化性成分(A)中に混合されていることができ、若しくはポリシロキサン縮合物中に縮合されていることができ、又はこれらの両者であることができる。硬化性成分(A)が金属酸化物微粒子を含むことにより、焼成時の収縮率を低減し、クラックの発生を抑制するという効果を奏する。更に、これらの効果と、本発明において付与される揮発成分の抑制効果との組み合わせにより、半導体素子用の絶縁材料としてより好ましい態様となる。
本開示において、金属酸化物微粒子とは、外形寸法が最大で10μm以下である金属酸化物粒子を意味する。金属酸化物微粒子は、典型的には、好ましくは、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であり、より好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等の略球状である場合も含む。
金属酸化物微粒子の平均一次粒子径は、1nm以上120nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上40nm以下、更に好ましくは1nm以上20nm以下、最も好ましくは1nm以上15nm以下である。上記平均一次粒子径が1nm以上である場合、耐クラック性が良好であり、120nm以下である場合、トレンチへの埋め込み性が良好である。
金属酸化物微粒子の平均二次粒子径は、2nm以上250nm以下であることが好ましく、より好ましくは2nm以上80nm以下、更に好ましくは2nm以上40nm以下、最も好ましくは2nm以上30nm以下である。上記平均二次粒子径が2nm以上である場合、耐クラック性が良好であり、250nm以下である場合、トレンチへの埋め込み性が良好である。
上記平均一次粒子径は、窒素分子の圧力と吸着量とから算出される比表面積(BET法)等により求められる。また、上記平均二次粒子径は、動的光散乱光度計等により測定される。
金属酸化物微粒子を構成する金属は金属性を有する元素であればよく、例えば半金属元素も包含する。金属酸化物微粒子としては、例えば、シリカ粒子、ジルコニア粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子等が挙げられる。これらの中でも、粒子の形状、及び反応性を制御しやすいという観点からシリカ粒子が好ましい。
シリカ粒子の形状は、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であることができるが、好ましくは球状である。
シリカ粒子としては、例えば、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。
上記ヒュームドシリカは、ケイ素原子を含む化合物を気相中で酸素及び水素と反応させることによって得ることができる。原料となるケイ素化合物としては、例えば、ハロゲン化ケイ素(例えば塩化ケイ素等)等が挙げられる。
上記コロイダルシリカは、原料化合物を加水分解・縮合するゾルゲル法により合成することができる。コロイダルシリカの原料化合物としては、例えば、アルコキシケイ素(例えばテトラエトキシシラン等)、ハロゲン化シラン化合物(例えばジフェニルジクロロシラン等)等が挙げられる。これらの中でも、金属イオン、ハロゲン等の不純物の混入が少ないという観点から、アルコキシケイ素から得られるコロイダルシリカが好ましい。
市販されているコロイダルシリカとしては、例えば、LEVASILシリーズ(H.C.Starck株式会社製)、メタノールシリカゾル、IPA−ST、MEK−ST、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL(以上、日産化学工業株式会社製)、クオートロンP Lシリーズ(扶桑化学工業株式会社製)、OSCALシリーズ(触媒化成工業株式会社製)等が挙げられる。粉体状のシリカ粒子としては、例えば、アエロジル130、同300、同380、同TT600、同OX50(以上、日本アエロジル株式会社製)、シルデックスH31、同H32、同H51、同H52、同H121、同H122(以上、旭硝子株式会社製)、E220A、E220(以上、日本シリカ工業株式会社製)、SYLYSIA470(富士シリシア株式会社製)、SGフレーク(日本板硝子株式会社製)等が挙げられる。
金属酸化物微粒子は、分散媒に分散した形で入手されるものでもよい。その場合、金属酸化物微粒子の含有量は、正味の金属酸化物微粒子の重量、すなわち、用いた分散液の重量に金属酸化物微粒子の濃度を乗じた値を用いて算出することができる。
硬化性成分(A)中に含まれる金属酸化物微粒子の含有量は、1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上50質量%以下、更に好ましくは15質量%以上45質量%以下である。含有量が1質量%以上であれば、低収縮率及び良好な耐クラック性が得られ、含有量が60質量%以下であれば、成膜性及びトレンチへの埋め込み性が良好である。但し、上記含有量は、金属酸化物微粒子が縮合した状態で存在する場合には、金属酸化物微粒子に由来する縮合構造部位の含有量を意味し、縮合原料と金属酸化物微粒子の仕込み量の割合を変えることにより、金属酸化物微粒子に由来する縮合構造部位の含有量の異なる硬化性成分(A)を得ることが可能である。上記含有量は、例えば、29Si−NMRを用いて測定することができる。
硬化性成分(A)を上記一般式(1)で表されるシラン化合物と金属酸化物微粒子とを用いて製造する場合、例えば以下の方法:
(i)上記一般式(1)で表されるシラン化合物を加水分解重縮合させてポリシロキサン縮合物を製造した後、これに金属酸化物微粒子を混合して、ポリシロキサン縮合物と金属酸化物微粒子との混合物である硬化性成分(A)を得る方法、
(ii)上記一般式(1)で表されるシラン化合物を加水分解重縮合させて得られるポリシロキサン中間縮合物を製造した後、得られたポリシロキサン中間縮合物と金属酸化物微粒子とを更に縮合反応させることにより、金属酸化物微粒子が縮合した構造で含有されているポリシロキサン縮合物を硬化性成分(A)として得る方法、及び
(iii)上記一般式(1)で表されるシラン化合物を加水分解重縮合する際に金属酸化物微粒子を共存させておくことにより、又は該加水分解重縮合の反応途中で金属酸化物微粒子を反応系中に添加することにより、金属酸化物微粒子が縮合した構造で含有されているポリシロキサン縮合物を硬化性成分(A)として得る方法、
が好ましく挙げられる。
以下、上記(ii)の方法の例として、金属酸化物の一例であるシリカ粒子が縮合したポリシロキサン縮合物の製造方法について記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
シリカ粒子が縮合したポリシロキサン縮合物を製造する方法は、シラン化合物を加水分解重縮合して、ポリシロキサン中間縮合物を得る第1の工程と、該第1の工程で得たポリシロキサン中間縮合物と、シリカ粒子とを縮合反応させる第2の工程とを含む。
第1の工程は、金属酸化物微粒子を含まないポリシロキサン縮合物の製造方法について前述したのと同様の手法で行うことができる。
第2の工程は、上記ポリシロキサン中間縮合物にシリカ粒子を縮合反応させるものであり、溶媒中に分散した状態のシリカ粒子を用いて反応を進行させることができる。この溶媒は、水若しくは有機溶媒又はこれらの混合溶媒であることができる。上記縮合反応時に用いる有機溶媒の種類は、使用されるシリカ粒子が分散されている分散媒によって異なる。
使用されるシリカ粒子の分散媒が水系の場合は、水及び/又はアルコール系溶媒をシリカ粒子に加えて得た水系分散液をポリシロキサン中間縮合物と反応させてもよく、シリカ粒子の水分散液に含まれる水を一度アルコール等に置換してから、シリカ粒子のアルコール系分散液を上記ポリシロキサン中間縮合物と反応させてもよい。使用できるアルコールとしては、水と容易に混合できるという観点から、炭素数1以上4以下のアルコールが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール等が挙げられる。
使用されるシリカ粒子の分散媒がアルコール、ケトン、エステル、炭化水素等である場合は、水又はアルコール、エーテル、ケトン、エステル等の溶媒を、縮合反応時に使用することができる。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。エーテルとしては、例えば、ジメトキシエタンが挙げられる。ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル等が挙げられる。
ポリシロキサン中間縮合物とシリカ粒子との縮合反応は、通常酸触媒の存在下で行う。酸触媒としては、ポリシロキサン縮合物の製造に用いるものとして前述したのと同じ酸触媒を挙げることができる。
ポリシロキサン中間縮合物とシリカ粒子との縮合反応における反応温度は、好ましくは0℃以上200℃以下、より好ましくは50℃以上150℃以下である。反応温度が上記範囲である場合、縮合反応物の重量平均分子量(Mw)を容易に制御できる。
上記のような手順によってポリシロキサン縮合物を得た後に、金属イオン等の不純物を除去するために精製処理を行ってもよい。金属イオン等の不純物を除去する方法としては、例えば、イオン交換樹脂又はイオン交換膜フィルターによるイオン交換、限外ろ過膜によるろ過分離、及び蒸留による精製等が挙げられる。
金属酸化物微粒子由来の縮合構造部位を有さないポリシロキサン縮合物、及びポリシロキサン中間縮合物の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、300以上5,000以下であることが好ましく、より好ましくは500以上2,000以下である。これらの重量平均分子量(Mw)がそれぞれ300以上であれば成膜性及び耐クラック性が良好であり、5,000以下であればトレンチ埋め込み性、及び絶縁材料の保存安定性が良好である。
一方、金属酸化物微粒子由来の縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上20,000以下であることが好ましく、より好ましくは1,000以上10,000以下である。該縮合物の重量平均分子量(Mw)が1,000以上であれば、成膜性及び耐クラック性が良好であり、該重量平均分子量(Mw)が20,000以下であればトレンチ埋め込み性、及びポリシロキサン縮合物の保存安定性が良好である。
なお上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができ、標準物質であるポリメチルメタクリレート(PMMA)又はポリエチレングリコール(PEG)換算で算出される値である。
[窒素含有化合物(B)]
窒素含有化合物(B)は、炭素数が1以上20以下である、窒素原子を含む一連の化合物群から選択することができる。窒素含有化合物の分子構造及び物理物性と、硬化時の揮発成分を抑制する作用との直接的な因果関係については不明であるが、ポリシロキサン縮合物と窒素含有化合物とを共存させることにより、ポリシロキサン縮合物の硬化反応が促進され、揮発成分の原因となる物質に何らかの作用を与えることにより、揮発成分の発生を抑制しているものと考えられる。
揮発成分の抑制効果については、例えば、熱分解GC−MS(ガスクロマトグラフ質量分析)により確認することができる。具体的には、窒素含有化合物(B)の含有の有無の他は同組成とした組成物サンプルを用い、熱分解温度150℃から500℃までの揮発成分を両サンプルについて採取し、GC分析において検出されるピークの信号強度を比較することにより、揮発成分の抑制効果を評価することが可能である。
窒素含有化合物(B)としては、アミン化合物、アミド化合物、イミド化合物、複素環化合物、その他の窒素含有化合物及びこれらのカチオン等が挙げられる。
アミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、isо−プロピルアミン、n−ブチルアミン、isо−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、3−ヒドロキシプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−イソプロポキシプロピルアミン、3−(2−エチルヘキシルオキシ)プロピルアミン、モノエタノールアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、アリルアミン、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の一級アミン化合物、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−iso−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジアリルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)等の二級アミン化合物、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリエタノールアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチル−1,6−ヘキサメチレンジアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)等の三級アミン化合物が挙げられる。
アミド化合物としては、例えば、ブタンアミド、ヘキサンアミド、エタンジアミド、ブタンジアミド、ヘキサンジアミド、シクロヘキサンカルボキサミド、ベンゼンスルホンアミド、メタンスルフィンアミド、N−メチルアセトアミド、N−フェニルベンズアミド、N−フェニルヘキサンアミド、N−フェニルベンゼンスルホンアミド、酢酸アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルピロリドン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等が挙げられる。
イミド化合物としては、例えば、N−フェニルフタルイミド、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
複素環化合物としては、例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロール、N−メチルピロール、ピペリジン、N−メチルピペリジン、ピリジン、イミダゾール、N−メチルイミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イミダゾリン、ピラジン、モルホリン、チアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、キノリン、キノキサリン、カルバゾール等が挙げられる。
その他の窒素含有化合物としては、例えば、イミン化合物、イソシアネート化合物、ヒドラジン化合物、アミノ酸化合物を挙げることができる。
窒素含有化合物(B)は、1つ以上のプロトン又は正電荷を有する化合物が結合していることによってカチオンの形態をとっていてもよい。
窒素含有化合物(B)は、好ましくは、炭素数1以上20以下のアミン化合物、炭素数1以上20以下のアミド化合物、又はこれらのカチオンである。
揮発成分の発生を抑制するという観点から、上記炭素数は1以上であることが好ましく、蒸気圧が低く、組成物を調製する際の取り扱いが容易である観点から、4以上であることがより好ましい。また、溶媒との相溶性に優れるという観点から、上記炭素数は20以下であることが好ましく、硬化膜の機械特性が良好である観点から、12以下であることがより好ましい。
更に、上記窒素含有化合物(B)は、炭素数1以上12以下の一級アミン化合物、炭素数1以上12以下の二級アミン化合物、又はこれらのカチオンであることが好ましく、炭素数4以上12以下の一級アミン化合物、炭素数4以上12以下の二級アミン化合物、又はこれらのカチオンであることが最も好ましく、揮発成分を抑制する効果が顕著である。
これらの窒素含有化合物は、単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
絶縁材料中の窒素含有化合物(B)の含有量は、16質量ppm以上50,000質量ppm以下であり、好ましくは、100質量ppm以上10,000質量ppm以下である。該窒素含有化合物(B)の含有量は、揮発成分の発生を所望の程度抑制する観点から16質量ppm以上であり、硬化後の膜物性の観点から、50,000質量ppm以下である。
絶縁材料に含まれる窒素含有化合物(B)の濃度については、例えば、イオンクロマトグラフ(IC)を用いて測定することができる。
窒素含有化合物(B)を用いて絶縁材料を調製する際には、該窒素含有化合物(B)をそのまま直接添加しても、適切な溶媒で希釈した溶液として添加してもよい。窒素含有化合物を希釈して使用する際の溶媒としては、上記ポリシロキサン縮合物を製造する際に挙げたものと同様の溶媒を好ましく使用することができる。
本発明の絶縁材料は、保存安定性の観点から、50質量%エタノール水溶液を用いて質量比で5倍希釈したときにpH3.8〜6.0の範囲内を示すことが好ましい。
上記保存安定性の指標としては、例えば、24℃で1週間保存した際の分子量変化が小さいことが挙げられる。本発明の絶縁材料を24℃で1週間保存した後の重量平均分子量(Mw)を、調合時の重量平均分子量(Mw)で除した値を重量平均分子量(Mw)変化率としたとき、半導体素子の絶縁材料として使用する際の物性変化を抑制するという観点から、重量平均分子量(Mw)変化率が1.0以上1.15以下であることが好ましく、1.0以上1.1以下であることがより好ましい。
絶縁材料のpHを調製する方法としては、特に制限はなく、無機の酸若しくは塩基、又は有機の酸若しくは塩基を添加することにより適宜調整することが可能である。この際、酸又は塩基と窒素含有化合物(B)とは、同時に添加しても、順次添加してもよく、予め両者を混合してから添加してもよい。
本発明の絶縁材料は溶媒を含有していてもよい。溶媒としては、例えば、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が挙げられる。これらの溶媒の沸点は100℃以上200℃以下であることが好ましい。本発明の絶縁材料における溶媒の含有量は、硬化性成分(A)100質量部に対して、好ましくは100質量部以上1900質量部以下、より好ましくは150質量部以上900質量部以下である。溶媒の含有量が100質量部以上であれば、絶縁材料の保存安定性が良好であり、1900質量部以下であれば、トレンチ埋め込み性が良好である。
上記のアルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素溶媒としては、例えば、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール、プロピレングリコールモノメトキシエーテル、プロピレングリコールモノエトキシエーテル等のアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソアミルケトン、エチルヘキシルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ―ブチロラクトン等のケトン、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピルプロピオネート、ブチルプロピオネート、ペンチルプロピオネート、ヘキシルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル等のエステル、ブチルエチルエーテル、ブチルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のエーテル、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用しても、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよいが、絶縁材料の保存安定性が良好で、また成膜性が良好であるという観点から、沸点100℃以上200℃以下の、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、及び炭化水素溶媒から選ばれる1種類以上の溶媒が、絶縁材料に含有される溶媒全体の50質量%以上を構成することが好ましい。
本発明に係る絶縁材料は、液晶表示素子、集積回路素子、半導体記憶素子、及び固体撮像素子等の半導体装置において、基板上に形成された積層構造体の各層間を絶縁するための層間絶縁膜、隣接する複数の素子を電気的に分離するための素子分離膜、基板上に溝状の構造(トレンチ)を形成し、その内部に充填することにより素子間を絶縁分離するSTI用絶縁膜、その他、PMD(Pre Metal Dielectric)膜、平坦化膜、表面保護膜、及び封止膜等として好適に利用できる。
<硬化膜の製造方法>
本発明の別の態様は、上述した本発明の絶縁材料を基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程、及び該塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程を含む、硬化膜の製造方法を提供する。
前述したような方法により製造された絶縁材料は、通常の方法で基板上に塗布することができる。塗布方法としては、例えば、スピンコート法、ディップコート法、ローラーブレード塗布法、スプレー塗布法等が挙げられる。これらの中でも、成膜時の塗布厚みが均一であるという観点からスピンコート法が好ましい。
上記基板としては、例えば、シリコン基板が挙げられる。また基板はトレンチ構造を有することができる。例えば、トレンチ構造を有するシリコン基板にスピンコーティング法によって絶縁材料を塗布する場合、1段階の回転数で塗布しても、複数段階の回転数を組み合わせて塗布しても構わないが、少なくとも1段階目の回転数を低速にし、2段階目以降を高速にすることが好ましい。1段階目に低速で回転させることによって絶縁材料をシリコン基板の全面に広げることができ、埋め込み性が良好になる。また、絶縁材料の塗布回数は1回でも複数回でも構わないが、成膜性が良好であるという観点及び製造コストが低減できるという観点から、1回で塗布することが好ましい。
上記塗布工程において、基板上に塗布する絶縁材料の固形分濃度については特に制限はなく、目的とする塗布膜の膜厚に合わせて任意の固形分濃度で実施できる。
上記塗布工程の温度及び時間については特に制限はないが、温度は、0℃以上100℃以下であることが好ましく、より好ましくは20℃以上80℃以下であり、時間は、0.1分以上30分以下であることが好ましく、より好ましくは0.2分以上10分以下である。
次いで、焼成工程において上記塗布基板を加熱する。なお、上記塗布工程において、絶縁材料を基板上に塗布した後、塗布膜中の残留溶媒を除くために50℃〜200℃の範囲で予備硬化(プリベーク)させることが好ましい。このとき、段階的に温度を上げても、連続的に温度を上げてもよい。予備硬化(プリベーク)時の雰囲気は、酸素、水蒸気等の酸化性ガスを含む酸化性雰囲気であっても、酸化性ガスを実質的に含まない非酸化性雰囲気であっても構わない。
次いで、任意に予備硬化(プリベーク)させて得られた膜を加熱焼成することによって硬化膜を得ることができる。加熱焼成の方法としては、例えば、ホットプレート、オーブン、ファーネス等の一般的な加熱手段を適用することができる。加熱焼成は非酸化性雰囲気で行うことが好ましい。加熱焼成温度は、200℃以上900℃以下であることが好ましく、より好ましくは300℃以上800℃以下、更に好ましくは350℃以上750℃以下である。加熱焼成温度が200℃以上であれば、得られる膜質が良好であり、900℃以下であれば、耐クラック性が良好である。
上記非酸化性雰囲気とは、例えば、真空下、又は窒素、ヘリウム、アルゴン、キセノン等の不活性雰囲気が挙げられる。これらの不活性雰囲気中に含まれる、酸素、水蒸気等の酸化性ガスの濃度は1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下、更に好ましくは10ppm以下である。非酸化性雰囲気の圧力については特に制限は無く、加圧、常圧、又は減圧のいずれでもよい。
上記焼成工程において、700℃以上900℃以下の高温領域では、水素を含む気体中で加熱焼成を行うことが好ましい。焼成工程で使用する水素を含む気体は、焼成工程の初期から、即ち、基板温度が700℃未満である時点から導入してもよいし、700℃に到達してから導入してもよい。更に、一旦700℃以上900℃以下の温度で水素を含まない気体で第1の加熱を行った後に、水素を含む気体を導入して第2の加熱を行うという2段階で加熱焼成を行ってもよい。いずれの方法でも、加熱焼成を終えた基板が400℃以下の温度、好ましくは室温程度に冷却されるまで、水素を含む気体を導入したままにしておくことが好ましい。
上述のように、焼成工程を、水素を含む気体中で行えば、シリコン原子と有機基との間の化学結合が700℃を超える高温で切断されても、発生するダングリングボンドを水素で終端することができるため、シラノール基の形成を防止し、半導体素子の絶縁材料として良好な膜物性を実現することが可能となる。
焼成工程における熱処理時間は、好ましくは1分以上24時間以下であり、より好ましくは30分以上12時間以下である。
焼成工程においては、酸化性雰囲気での加熱焼成と光処理とを併用しても構わない。加熱と光処理とを同時に行う場合の温度は、20℃以上600℃以下であることが好ましく、処理時間は、0.1分以上120分以下であることが好ましい。光処理には、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用できる。光処理の光源としては、例えば、低圧若しくは高圧の水銀ランプ、重水素ランプ、又はアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、又はXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF若しくはArCl等のエキシマレーザー等を使用することができる。これらの光源の出力は、10〜5,000Wであることが好ましい。
これらの光源の光の波長は、基板上に形成された膜中のポリシロキサン縮合物によって少しでも吸収があればよく、170nm以上600nm以下であることが好ましい。光処理において、光の照射量は、0.1J/cm2以上1,000J/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは1J/cm2以上100J/cm2以下である。また、光処理と同時にオゾンを発生させても構わない。上述した条件で光処理することによって、基板上に形成した膜中のポリシロキサン縮合物の酸化反応が進行し、焼成後の膜質を向上させることができる。
上記焼成工程の後に、硬化膜の表面を疎水化処理剤にさらしても構わない。硬化膜を疎水化処理剤にさらすことで、該硬化膜中のシラノール基と疎水化処理剤とが反応し、硬化膜の表面を疎水化することができる。
本発明の別の態様は、上述した製造方法により得られる硬化膜を提供する。本発明の更に別の態様は、該硬化膜を含む半導体装置を提供する。半導体装置の例は、例えば液晶表示素子、集積回路素子、半導体記憶素子、及び固体撮像素子等である。本発明が提供する硬化膜は、半導体装置において、例えば層間絶縁膜、素子分離膜、STI用絶縁膜、PMD(Pre Metal Dielectric)膜、平坦化膜、表面保護膜、及び封止膜等として好適に利用できる。
以下、実施例及び比較例により本発明の実施の形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)シリカ粒子由来の縮合構造部位を有さないポリシロキサン縮合物の重量平均分子量(Mw)測定
ポリシロキサン縮合物のPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)溶液を、該縮合物の濃度が1質量%になるようにテトラヒドロフラン(THF)で希釈して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。重量平均分子量(Mw)は、標準物質であるポリエチレングリコール(PEG)換算の値として求めた。
[GPC測定条件]
・カラム:Shodex KF−804L(昭和電工株式会社製) 2本直列
・溶離液:THF(流量:1mL/min)
・カラム使用温度:40℃
(2)シリカ粒子由来の縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物の重量平均分子量(Mw)測定
ポリシロキサン縮合物のPGMEA溶液を、該縮合物の濃度が1質量%になるようにアセトンで希釈して、GPCで測定した。重量平均分子量(Mw)は、標準物質であるポリメチルメタクリレート(PMMA)換算の値として求めた。
[GPC測定条件]
・GPCシステム:HLC−8220(東ソー株式会社製)
・カラム:TSKgel GMHHR−M(東ソー株式会社製)
・溶離液:アセトン(流量:1mL/min)
・カラム使用温度:40℃
(3)窒素含有化合物の濃度測定
ポリシロキサン組成物0.1mLにメタノール0.4mLを加え、更に蒸留水を加えて5mLの希釈溶液を調製した。上記希釈溶液を12,000rpmで10分間遠心分離し、得られた上清の一部を採取し、これを更に蒸留水で250倍希釈してサンプル溶液を得た。このサンプル溶液についてイオンクロマトグラフ(IC)測定を行った。ポリシロキサン組成物中の窒素含有化合物の濃度は、別途標準物質を用いて作成した検量線を用いて算出した。
[IC測定条件]
・ICシステム:Tosoh IC−2001(東ソー株式会社製)
・カラム:TSK guard column Super IC−C/P
・溶離液:ヒスチジン0.50mmol/L、硝酸2.5mmol/L(流量:1.2mL/min)
(4)揮発成分の評価方法
ポリシロキサン組成物1mLを6インチのシリコン基板上に滴下し、140℃のホットプレート上で5分間プリベークして作製したサンプルについて熱分解GC−MSを測定した。熱分解温度が100℃から500℃までの揮発成分を採取し、GC測定した際に検出される保持時間9分から13分までのピークの信号強度を記録した。ポリシロキサン組成物を調合する際に用いたポリシロキサン縮合物についても同様の方法で信号強度を記録した。両者を比較し、ポリシロキサン組成物の信号強度が、ポリシロキサン縮合物単独の信号強度と比べて減少しているものを○、減少していないものを×とした。
[熱分解条件]
・熱分解炉:Py−2020D(Frontier Lab社製)
・熱分解炉温度:100℃から500℃まで毎分20℃ずつ昇温
[GC−MS測定条件]
・GC−MS:Automass−SUN(日本電子株式会社製)
・GCカラム:DB−1(30m×250μm×0.25μmF)
・GCカラム温度:40℃で5分間ホールドしたのち、320℃まで毎分20℃ずつ昇温
・GCキャリアガス:He(流量1.0mL/min)
(5)pH測定方法
ポリシロキサン組成物1.0gに50質量%エタノール水溶液4.0gを加えることによって質量比で5倍希釈した溶液を調製し、pHメーター(型式:TPX−999i、株式会社東興化学研究所製)を用いて測定した。
(6)保存安定性の評価方法
ポリシロキサン組成物を24℃で1週間保存した後の重量平均分子量(Mw)を、調合時の重量平均分子量(Mw)で除した値を重量平均分子量(Mw)変化率とし、重量平均分子量(Mw)変化率が1.15未満であれば○、1.15以上であれば×とした。
<シリカ粒子由来の縮合構造部位を有さないポリシロキサン縮合物の製造方法>
[製造例1]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた500mLセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン(MTMS)28.1g、及びエタノール82.5gを入れて撹拌し、内温が80℃になるようにオイルバスで加熱した。0.7質量%硝酸水溶液3.05gとイオン交換水19.2gとの混合物を滴下しながら加え、加熱撹拌を2時間継続して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを200g加え、エバポレーターでエタノール及び水を除去した。更に、固形分濃度が18質量%になるまで濃縮し、目的とするポリシロキサン縮合物S−1のPGMEA溶液を得た。S−1の重量平均分子量(Mw)は、687であった。
[製造例2]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた500mLセパラブルフラスコに、MTMS44.5g、テトラエトキシシラン(TEOS)17.8g、及びエタノール165gを入れて撹拌し、内温が80℃になるようにオイルバスで加熱した。0.7質量%硝酸水溶液6.1gとイオン交換水38.2gとの混合物を滴下しながら加え、加熱撹拌を2時間継続して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを200g加え、エバポレーターでエタノール及び水を除去した。更に、固形分濃度が18質量%になるまで濃縮し、目的とするポリシロキサン縮合物S−2のPGMEA溶液を得た。S−2の重量平均分子量(Mw)は、703であった。S−2のGPCチャートを図1に示す。
[製造例3]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた500mLセパラブルフラスコに、MTMS19.4g、TEOS8.9g、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMS)3.8g、及びエタノール82.5gを入れて撹拌し、内温が80℃になるようにオイルバスで加熱した。0.7質量%硝酸水溶液3.05gとイオン交換水19.2gとの混合物を滴下しながら加え、加熱撹拌を2時間継続して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを200g加え、エバポレーターでエタノール及び水を除去した。更に、固形分濃度が18質量%になるまで濃縮し、目的とするポリシロキサン縮合物S−3のPGMEA溶液を得た。S−3の重量平均分子量(Mw)は、615であった。
<シリカ粒子由来の縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物の製造方法>
[製造例4]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた500mLセパラブルフラスコに、MTMS22.2g、TEOS8.9g、及びエタノール82.5gを入れて撹拌し、内温が80℃になるようにオイルバスで加熱した。0.7質量%硝酸水溶液3.05gとイオン交換水19.2gとの混合物を滴下しながら加え、加熱撹拌を2時間継続した。更に、シリカ粒子水分散液(PL−06L、扶桑化学工業株式会社製、平均一次粒子径 6nm)47.6g、及びエタノール77.5gを滴下しながら加え、内温80℃での加熱撹拌を4時間継続して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEA300gを添加し、エバポレーターでエタノール及び水を除去した。更に、固形分濃度が18質量%になるまで濃縮し、目的とするポリシロキサン縮合物S−4のPGMEA溶液が得られた。S−4の重量平均分子量(Mw)は、3,200であった。
[製造例5]
シリカ粒子水分散液を95.2g用いる他は上記製造例4と同様にして、ポリシロキサン縮合物S−5のPGMEA溶液を得た。S−5の重量平均分子量(Mw)は、3,000であった。S−5のGPCチャートを図2に示す。
[製造例6]
シリカ粒子水分散液を127g用いる他は上記製造例4と同様にして、ポリシロキサン縮合物S−6のPGMEA溶液を得た。S−6の重量平均分子量(Mw)は、3,300であった。
上記製造例1〜6の結果を表1に示す。
Figure 0005826012
<ポリシロキサン組成物の調製方法>
本発明又は比較の絶縁材料として、種々のポリシロキサン組成物を以下のように調製した。
[実施例1(参考例)
上記製造例1で得られたポリシロキサン縮合物S−1(硬化性成分(A))の18質量%PGMEA溶液10gに対して、ヘキシルアミン(窒素含有化合物(B))の20体積%PGMEA溶液21.8μLをマイクロピペットで添加し、均一になるまで撹拌することによりポリシロキサン組成物C−1を得た。
[実施例2(参考例)
ポリシロキサン縮合物S−1の代わりにS−2(硬化性成分(A))を用いる他は上記実施例1と同様にして、ポリシロキサン組成物C−2を得た。
[実施例3(参考例)
ポリシロキサン縮合物S−1の代わりにS−3(硬化性成分(A))を用いる他は上記実施例1と同様にして、ポリシロキサン組成物C−3を得た。
[実施例4]
上記製造例4で得られたポリシロキサン縮合物S−4(硬化性成分(A))の18質量%PGMEA溶液10gに対して、ヘキシルアミン(窒素含有化合物(B))の10体積%PGMEA溶液50μLをマイクロピペットで添加し、均一になるまで撹拌することによりポリシロキサン組成物C−4を得た。
[実施例5]
ポリシロキサン縮合物S−4の代わりにS−5(硬化性成分(A))を用いる他は上記実施例4と同様にして、ポリシロキサン組成物C−5を得た。C−5の熱分解GC−MS測定を行った際のGCチャートを図3に示す。
[実施例6]
ポリシロキサン縮合物S−4の代わりにS−6(硬化性成分(A))を用いる他は上記実施例4と同様にして、ポリシロキサン組成物C−6を得た。
[実施例7]
上記製造例5で得られたポリシロキサン縮合物S−5(硬化性成分(A))の18質量%PGMEA溶液10gに対して、ヘキシルアミン(窒素含有化合物(B))の20体積%PGMEA溶液20.6μLをマイクロピペットで添加し、均一になるまで撹拌した。更に、ポリシロキサン縮合物の濃度が0.9質量%になるまでPGMEAで希釈することによりポリシロキサン組成物C−7を得た。
[実施例8]
上記製造例5で得られたポリシロキサン縮合物S−5(硬化性成分(A))の18質量%PGMEA溶液10gに対して、ジブチルアミン(窒素含有化合物(B))の20体積%PGMEA溶液24.1μLをマイクロピペットで添加し、均一になるまで撹拌することによりポリシロキサン組成物C−8を得た。
[実施例9]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりにシクロヘキシルアミン(窒素含有化合物(B))の20体積%PGMEA溶液20μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−9を得た。
[実施例10]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりにN−メチルピロリドン(窒素含有化合物(B))500mgを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−10を得た。
[実施例11]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりにメチルアミン(窒素含有化合物(B))の4質量%水溶液56.1μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−11を得た。
[実施例12]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりにプロパンジアミン(窒素含有化合物(B))の20体積%PGMEA溶液29.4μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−12を得た。
[実施例13(参考例)
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりにアミノエタノール(窒素含有化合物(B))の10体積%PGMEA溶液40μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−13を得た。
[実施例14]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりに水酸化テトラメチルアンモニウム(窒素含有化合物(B))の1.0mol/L水溶液60μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−14を得た。
[比較例1]
上記製造例1で得られたポリシロキサン縮合物S−1の18質量%PGMEA溶液を、ポリシロキサン組成物C−15とした。
[比較例2]
上記製造例2で得られたポリシロキサン縮合物S−2の18質量%PGMEA溶液を、ポリシロキサン組成物C−16とした。
[比較例3]
上記製造例3で得られたポリシロキサン縮合物S−3の18質量%PGMEA溶液を、ポリシロキサン組成物C−17とした。
[比較例4]
上記製造例4で得られたポリシロキサン縮合物S−4の18質量%PGMEA溶液を、ポリシロキサン組成物C−18とした。
[比較例5]
上記製造例5で得られたポリシロキサン縮合物S−5の18質量%PGMEA溶液を、ポリシロキサン組成物C−19とした。C−19の熱分解GC−MS測定を行った際のGCチャートを図4に示す。
[比較例6]
上記製造例6で得られたポリシロキサン縮合物S−6の18質量%PGMEA溶液を、ポリシロキサン組成物C−20とした。
[比較例7]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりに0.1mol/L水酸化カリウム水溶液300μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−21を得た。
[比較例8]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりに1.25質量%アンモニア水溶液65.2μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−22を得た。
[比較例9]
ジブチルアミンの20体積%PGMEA溶液24.1μLの代わりに1−ヘキサノールの20体積%PGMEA溶液42.7μLを用いる他は上記実施例8と同様にして、ポリシロキサン組成物C−23を得た。
上記実施例1〜14で得られたポリシロキサン組成物C−1〜14及び比較例1〜9で得られたポリシロキサン組成物C−15〜23を用いて揮発成分の評価を行った結果を、それぞれ表2及び表3に示す。
Figure 0005826012
Figure 0005826012
<ポリシロキサン組成物の保存安定性>
[実施例15〜20]
上記製造例5で得られたポリシロキサン縮合物S−5の18質量%PGMEA溶液10gに対して、ヘキシルアミンの10体積%PGMEA溶液20.6μLをマイクロピペットで添加し、更にポリシロキサン組成物のpHが下記表4に示す値になるように、0.7質量%硝酸を加え、均一になるまで撹拌することによりポリシロキサン組成物C−24〜29を得た。
上記実施例15〜20で得られたポリシロキサン組成物C−24〜29を用いて揮発成分の評価、及び保存安定性の評価を行った結果を表4に示す。
Figure 0005826012
本発明の絶縁材料から得られる硬化膜は、液晶表示素子、集積回路素子、半導体記憶素子、及び固体撮像素子等の半導体装置用の層間絶縁膜、素子分離膜、STI用絶縁膜、PMD(Pre Metal Dielectric)膜、平坦化膜、表面保護膜、及び封止膜等として好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    1 nSiX1 4-n (1)
    {式中、R1は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基であり、X1 炭素数1〜6のアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、複数存在する場合のR1及びX1はそれぞれ独立であり、そしてnは0〜3の整数である。}
    で表されるシラン化合物に由来する重縮合構造部位を有するポリシロキサン縮合物を含む硬化性成分(A)、及び
    16質量ppm以上50,000質量ppm以下の、炭素数1以上20以下の窒素含有化合物(B)、及び溶媒(C)を含
    前記硬化性成分(A)は、前記一般式(1)で表されるシラン化合物を加水分解重縮合させて得られるポリシロキサン中間縮合物を製造した後、得られたポリシロキサン中間縮合物と金属酸化物微粒子とを更に縮合反応させることにより、金属酸化物微粒子が縮合した構造で含有されているポリシロキサン縮合物を含み、
    前記金属酸化物微粒子は、アルコキシケイ素から得られるコロイダルシリカであり、
    前記窒素含有化合物(B)が、ヘキシルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン、N−メチルピロリドン、メチルアミン、プロパンジアミン、又は水酸化テトラメチルアンモニウムから選択され、
    溶媒(C)として、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが絶縁材料に含有される溶媒の50質量%以上を構成しており、
    前記絶縁材料を、50質量%エタノール水溶液を用いて質量比で5倍希釈したときにpH3.8〜6.0を示す、
    絶縁材料の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法によって絶縁材料を製造する絶縁材料製造工程、前記絶縁材料製造工程で得た絶縁材料を基板上に塗布して塗布基板を得る塗布工程、及び前記塗布工程で得た塗布基板を加熱する焼成工程、を含む、硬化膜の製造方法。
  3. 前記基板がトレンチ構造を有する、請求項に記載の硬化膜の製造方法。
  4. 請求項2又は3に記載の方法によって硬化膜を製造する工程を含む、半導体装置の製造方法
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