JP6022885B2 - 表面修飾複合金属酸化物を含有する樹脂組成物 - Google Patents

表面修飾複合金属酸化物を含有する樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は表面修飾された複合金属酸化物を含有する硬化性樹脂組成物に関する。
従来、LEDに代表される光半導体装置の半導体周辺絶縁部材には、主にエポキシ樹脂等をベースとした組成物の硬化物が汎用されている。これは、硬化前の組成物を塗工する際の作業性の観点から、組成物が低粘度であること、また、LEDが使用時に熱を放出し、半導体周辺部材が冷熱サイクルを受けることから、硬化物が高耐クラック性を有すること、また、ダイシングの際平滑な切断面を得るために、硬化物が高硬度であること、また、光取り出し効率を向上するために、硬化物が高透明であることが求められているからである。
しかしながら、エポキシ樹脂では、近年のLEDの高輝度化に伴う発熱量の増大並びに蛍光体の励起波長及び発光波長の短波長化により、樹脂自体に黄変が生じたりすることが問題となっている。近年、かかる問題を解決するために、ポリオルガノシロキサンを主成分とするシリコーン組成物及びその硬化物が使用されている。しかしこのようなシリコーン樹脂は屈折率が低く、外部への光の取り出し効率が低下してしまう。こうしたことから、これらの封止樹脂の透明性、耐候性等の樹脂特性を維持しつつ屈折率を高くする技術の開発が望まれており、そのひとつとして、金属酸化物微粒子をこれらの樹脂中に分散させる方法が検討されている。例えば、金属酸化物である酸化ジルコニウム及び酸化チタンは、屈折率が2.0以上と高く、これらの粒径を20nm以下にすることにより、透明性を確保しながら屈折率を上昇させることができると考えられているが、これらの金属酸化物はマトリックスとなる樹脂との相溶性が悪く、金属酸化物同士が凝集してしまうため、透明性が悪化する懸念がある。
特許文献1では、式(I):
Figure 0006022885
(式中、mは2〜14の整数を表す)
で表される化合物、式(II):
Figure 0006022885
(式中、Rは−H、−(CH22Si(OCH33又は(CH22Si(OC253を示し、nは2〜15の整数を表す)で表される化合物、及び金属酸化物微粒子を含んでなる、シリコーン樹脂用組成物を調製する方法が記載されている。
特許文献2では、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する有機化合物(A)、1分子中に2個以上のSiH基を含有するケイ素化合物(B)、ヒドロシリル化触媒(C)、及び、金属酸化物微粒子(D)を含む金属酸化物微粒子含有硬化性樹脂組成物であって、粒径及び分散性を制御した金属酸化物微粒子を樹脂中に分散させ、光拡散性又は屈折率を向上させた硬化性樹脂組成物が記載されている。
特開2009−173866号公報 特開2010−138270号公報
しかしながら、特許文献1に記載された金属酸化物含有樹脂組成物では、金属酸化物として酸化ジルコニウムを用いているが、酸化ジルコニウムの屈折率は酸化チタンやチタン酸バリウムに比べて低く、必ずしも高屈折化フィラーとして最適ではない。
特許文献2に記載された金属酸化物含有樹脂組成物では、金属酸化物粒子がナノオーダーであるため透明性は良好であると考えられる。しかしながら、SiH基との反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に2個以上含有する有機化合物(A)を用いているため、耐候性については、樹脂にかなりの熱負担がかかる高輝度LEDにおける要求を十分に満足するものではない。
前記した従来技術に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高い屈折率を有し、かつ高い耐候性を有する硬化物を得るための表面修飾された複合金属酸化物を含有する硬化性シリコーン樹脂組成物を提供することである。
前記課題を解決すべく、本願発明者らは鋭意検討し、実験を重ねた結果、以下の解決手段により上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1] 硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と、表面修飾複合金属酸化物(B)とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物であって、
該表面修飾複合金属酸化物(B)は、複合金属酸化物(b2)を、下記一般式(1):
123Si−Y−SiR4 n(3-n) (1)
{式中、R1〜R3は各々独立に炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換若しくは非置換のシロキシ基であり、R4は飽和アルキル基であり、Yは二価の結合基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは0〜2の整数である。}
で表される表面修飾剤(b1)を含む修飾剤で表面修飾して得られる、硬化性シリコーン樹脂組成物。
[2] 該硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)として、ビニル基、アリル基及びアクリル基からなる群から選択される官能基を有するポリオルガノシロキサン化合物(a1)と、ケイ素に直接結合した水素原子を有するポリオルガノシロキサン化合物(a2)とを含み、かつヒドロシリル化触媒(C)をさらに含む、上記[1]に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
[3] 該硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)として、アクリル基、メタクリル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサン化合物(a3)を含み、かつ光ラジカル重合開始剤(D)をさらに含む、上記[1]に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
[4] 該表面修飾剤(b1)において、nが0又は1である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
[5] 該表面修飾剤(b1)において、Yが炭素数1〜6の二価の炭化水素基である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
[6] 該複合金属酸化物(b2)がチタン酸バリウムである、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
[7] 該複合金属酸化物(b2)の平均一次粒子径が1〜50nmである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
[8] 該硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と該表面修飾複合金属酸化物(B)との総体積100体積%に対する該複合金属酸化物(b2)の体積割合が10〜70体積%である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
本発明によれば、高い屈折率を有し、かつ高い耐候性を有する硬化物を得るための表面修飾された複合金属酸化物を含有する硬化性シリコーン樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態は、
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と、表面修飾複合金属酸化物(B)とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物であって、
該表面修飾複合金属酸化物(B)は、複合金属酸化物(b2)を、下記一般式(1):
123Si−Y−SiR4 n(3-n) (1)
{式中、R1〜R3は各々独立に炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換若しくは非置換のシロキシ基であり、R4は飽和アルキル基であり、Yは二価の結合基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは0〜2の整数である。}
で表される表面修飾剤(b1)を含む修飾剤で表面修飾して得られる、硬化性シリコーン樹脂組成物を提供する。
≪硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)≫
本実施形態の硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の構造は、特に制限されるものではないが、下記平均組成式(2)で表される構造を有することが好ましい。
5 a6 bSiO(4-a-b)/2 (2)
{式中、R5は、飽和脂肪族炭化水素基;アリール基;又はアルコキシ基を示し、R6は水素原子、水酸基、又は炭素数1〜8の不飽和炭素二重結合含有基を示し、そして0a≦3、0b≦3、但し0≦a+b≦3である。}
上記式(2)中、R5としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の、C20までのアルキル基及びシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。中でも、透明性、合成容易性、及び入手容易性の点から、メチル基、エチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、及びイソプロポキシ基が好ましく、メチル基、フェニル基、メトキシ基、エトキシ基、及びイソプロポキシ基がより好ましい。
上記式(2)中、R6としては、例えば、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、メタクリル基、アクリル基、スチリル基、メタクリロプロピル基、アクリロプロピル基等の不飽和炭素二重結合含有基;水酸基;水素原子等が挙げられる。中でも、透明性、合成容易性、及び入手容易性の点から、ビニル基、アリル基、メタクリル基、アクリル基、メタクリロプロピル基、アクリロプロピル基、スチリル基、水酸基、及び水素原子が好ましい。
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)は、典型的には、後述するヒドロシリル化触媒(C)、若しくは光ラジカル重合開始剤(D)との組み合わせで用いる。上記R6は、良好な耐候性及び耐熱性組成物の硬化性に寄与する。良好な耐候性及び熱若しくは光による良好な硬化性を得る点から、R6の量は、樹脂(すなわち硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A))1グラム当たり、好ましくは0.1〜8.0mmol、より好ましくは0.3〜7.0mmol、更に好ましくは0.5〜6.5mmolである。
硬化性シリコーン樹脂組成物中の硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の含有量は、1〜80体積%であることが好ましい。該含有量は、硬化性の観点から1体積%以上が好ましく、5体積%以上がより好ましく、耐熱性の観点から80体積%以下が好ましく、70体積%以下がより好ましい。
本実施形態の硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の重量平均分子量は、好ましくは300以上20,000以下であり、更に好ましくは500以上15,000以下である。本開示において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で、標準ポリスチレンを換算して求められる値である。硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の重量平均分子量が300以上であると、耐熱性及び硬化性の観点から好ましく、20,000以下であると粘度が低くなるので好ましい。
本実施形態の硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の粘度は、2mPa・s以上200Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは2mPa・s以上100Pa・s以下である。2mPa・s以上であると、表面修飾複合金属酸化物(B)の分散維持性の点で好ましく、200Pa・s以下であると、ハンドリング性の点で好ましい。
本実施形態の硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の製造方法は、特に制限されるものではないが、一例として、下記一般式(3)で表される化合物を1種あるいは複数種加水分解及び縮合して得る方法が挙げられる。
5 c6 dSi(OR7(4-c-d) (3)
{式中、R5及びR6はそれぞれ一般式(2)で定義した通りであり、R7は炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基であり、そしてc及びdは整数であり、0c≦3、0d≦3、但し0c+d≦3である。}
上記式(3)中、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の、C6までのアルキル基及びシクロアルキル基等が挙げられる。中でも、アルコキシドの加水分解性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基がより好ましい。
加水分解のための水の添加量は、上記一般式(3)で表される化合物中の、OR7で表される基に対して、モル比で0.1〜10倍であることが好ましく、0.4〜8倍であることがより好ましく、0.8〜5倍であることがさらに好ましい。水の添加量が0.1倍以上であると、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の分子量が高くなるため好ましく、10倍以下であることは、作業性の点で好ましい。
加水分解及び縮合の反応速度を調節できる観点から、上記一般式(3)で表される化合物を、触媒の存在下で、加水分解及び縮合することがより好ましい。
触媒の種類としては、酸触媒及び塩基触媒が挙げられる。例えば、酸触媒としては、無機酸及び有機酸が挙げられる。無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、シトラコン酸、リンゴ酸、グルタル酸等が挙げられる。塩基触媒としては、無機塩基及び有機塩基が挙げられる。無機塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ又はアルカリ土類金属炭酸塩;炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム等の金属炭酸水素塩;等が挙げられる。有機塩基としては、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等のトリアルキルアミン;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン等の炭素数1〜4のN,N−ジアルキルアニリン誘導体;ピリジン、2,6−ルチジン等の、炭素数1〜4のアルキル置換基を有していてもよいピリジン誘導体;等が挙げられる。
これらの触媒は、1種で又は2種以上を混合して用いることができる。硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の製造時に、反応系のpHを0.01〜6.0の範囲になる量の触媒を加えることが、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の反応効率の点で好ましい。
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)を製造するための加水分解及び縮合は、有機溶媒中で行うこともできる。縮合反応に使用できる有機溶媒としては、例えば、アルコール、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、アミド化合物等が挙げられる。
上記アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコールのような一価アルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールのような多価アルコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル類;等が挙げられる。
上記エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテルとしては、上記の多価アルコールのモノエーテル類の他に、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;テトラヒドロフラン;1,4−ジオキサン;アニソール等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
上記アミド化合物としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
以上の溶媒の中でも、アルコールとしてメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等;ケトンとしてアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等;エーテルとしてエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等;及びアミド化合物としてジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が水と混合しやすい点で好ましい。
これらの溶媒は単独で使用してもよいし、複数の溶媒を組み合わせて使用してもよい。
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)を製造する際の反応温度は特に制限は無いが、−50℃〜200℃が好ましく、0℃〜150℃がより好ましい。加水分解及び縮合反応の反応速度を上げる観点から、反応温度が−50℃以上であることが好ましく、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)のゲル化を抑制する観点から、反応温度が200℃以下であることが好ましい。
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)を製造する際の反応時間は特に制限は無いが、30分〜24時間が好ましく、1〜6時間がより好ましい。加水分解性基(例えばアルコキシ基)の加水分解を充分に進行させるために、反応時間が30分以上であることが好ましく、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)のゲル化を抑制する観点から、反応温度が24時間以下であることが好ましい。
(シラノール基封止)
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)は、例えば上記のような方法で得られる加水分解縮合物であってもよく、該加水分解縮合物のシラノール基をオルガノシリル化処理することにより該シラノール基を封止したものであってもよい。
好ましい態様において、上記加水分解縮合物のシラノール基は、シラノール基封止剤で封止できる。好ましいシラノール基封止剤の例は、下記一般式(4)で表される化合物である。
1 n8 (3-n)SiQ (4)
{式中、P1は、アルケニル基、シクロアルケニル基、又は水素原子であり、R8は、一価の炭化水素基であり、Qは、ハロゲン原子であり、そしてnは、1又は2である。}
このような化合物を用いた処理により、シラノール基が封止された硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)を得ることができる。
1は、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)における不飽和結合性の官能基として作用できる。P1の好ましい例は、反応性の観点から、炭素数1〜8のアルケニル基、又は炭素数3〜8のシクロアルケニル基であり、より好ましい例は、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、メタクリル基、アクリル基、及びスチリル基であり、特に好ましい例はビニル基、アリル基、メタクリル基、アクリル基、及びスチリル基である。
8の好ましい例は、耐熱性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の、C20までのアルキル基及びシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基であり、より好ましい例はメチル基、及びフェニル基である。
Qの好ましい例は、反応性、硬化性シリコーン樹脂組成物の低粘度化を可能にする観点から、塩素原子である。
上記一般式(4)で表される化合物の添加量は、シラノール基量を調整するために適宜調整すればよく特に制限は無いが、量を変化させることにより、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)中のシラノール基濃度を調整することができる。例えば、上記一般式(4)で表される化合物としてクロロシランを用いる場合の添加量は、処理前の化合物(例えば前述の加水分解縮合物)が有するシラノール基に対するモル比で0.2〜1.1程度であることが好ましい。
シラノール基量を調整するために、上記一般式(4)で表される化合物と、トリメチルクロロシラン等の、不飽和炭素二重結合、及びケイ素原子に直接結合した水素原子のいずれも有さないシラノール基封止剤とを併用することもできる。
シラノール基をオルガノシリル化処理することによりシラノール基を封止する際、溶剤を用いてもよい。溶剤として、例えば、エステル、ケトン、エーテル、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。
上記エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
上記ケトンとしては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン等が挙げられる。
上記エーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルのような多価アルコールのモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのような多価アルコールの水酸基の全てをアルキルエーテル化した多価アルコールエーテル類;テトラヒドロフラン;1,4−ジオキサン;アニソール等が挙げられる。
上記脂肪族炭化水素化合物としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等が挙げられる。
上記芳香族炭化水素化合物としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
シラノール基をオルガノシリル化処理することによりシラノール基を封止する際、発生する酸を、ルイス塩基により中和することが好ましい。ルイス塩基として、例えば、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。
シラノール基を封止する際の反応温度は、20〜150℃が好ましく、20〜50℃がより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度の観点で好ましく、反応温度が150℃以下であると、作業性の観点で好ましい。
≪表面修飾複合金属酸化物(B)≫
本実施形態の表面修飾複合金属酸化物(B)は、複合金属酸化物(b2)を、下記一般式(1):
123Si−Y−SiR4 n(3-n) (1)
{式中、R1〜R3は各々独立に炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換若しくは非置換のシロキシ基であり、R4は飽和アルキル基であり、Yは二価の結合基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは0〜2である。}
で表される表面修飾剤(b1)を含む修飾剤で表面修飾して得られる。
本実施形態では、複合金属酸化物の使用により、優れた耐候性を有する硬化性シリコーン樹脂組成物が得られる。また本実施形態では、表面修飾剤(b1)を少なくとも用いた表面修飾の寄与により、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と表面修飾複合金属酸化物(B)との親和性が良好で、表面修飾複合金属酸化物(B)が硬化性シリコーン樹脂組成物中で良好に分散するため、高い屈折率を有する硬化物を与える硬化性シリコーン樹脂組成物が得られる。
(表面修飾剤(b1))
上記一般式(1)において、R1〜R3は炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換若しくは非置換のシロキシ基であり、それぞれ同じでも異なっていてもよい。炭素数1〜18の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、オクタデシル基等の非環式又は環式の飽和炭化水素基、フェニル基、トリル基、キシリル基等の芳香族炭化水素基、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキセニルエチル基、ノルボルネニルエチル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、スチレニル基等の非環式及び環式の不飽和炭化水素基、及びベンジル基、フェネチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。また、置換若しくは非置換のシロキシ基としては、例えば、トリメチルシロキシ基、メチルジエチルシロキシ基、ジメチルエチルシロキシ基、ジメチルブチルシロキシ基、ジメチルシクロヘキシルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、メチルジフェニルシロキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、複合金属酸化物(典型的には微粒子である)との表面修飾反応が容易に進行し、表面修飾基による屈折率の低下を抑制するという観点から、R1〜R3は、メチル基、エチル基、トリメチルシロキシ基、又はジメチルフェニルシロキシ基であることが好ましく、より好ましくはメチル基又はトリメチルシロキシ基である。
上記一般式(1)において、R4は飽和アルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4の飽和アルキル基である。炭素数1〜4の飽和アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、isо−プロピル基、n−ブチル基、isо−ブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。中でも、複合金属酸化物との表面修飾反応が容易に進行するという観点から、R4はメチル基であることが好ましい。
上記一般式(1)において、Yは二価の結合基であり、炭素数1〜6の二価の炭化水素基であることが好ましく、炭素数2〜6の二価の炭化水素基であることがより好ましい。炭素数1〜6の二価の炭化水素基としては、例えば、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が挙げられる。これらの中でも、合成の容易さという観点から、Yは、炭素数2又は3の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、より好ましくは炭素数2の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
上記一般式(1)において、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基である。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。また、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ヘキシロキシ基等が挙げられ、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基としてはシクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
これらの中でも、Xは水素原子又はアルコキシ基であることが反応制御の容易さという観点から好ましく、より好ましくは水素原子、メトキシ基、又はエトキシ基である。
上記一般式(1)において、nは0〜2である。複合金属酸化物との表面修飾反応が容易に進行するという観点から、nは0又は1であることが好ましい。
上記一般式(1)で表される表面修飾剤(b1)は、例えば、対応するヒドロシラン化合物と、不飽和炭素二重結合を有するシラン化合物(本開示で、アルケニルシラン化合物ともいう)のヒドロシリル化反応により製造することができる。具体的には、炭化水素系の有機溶媒中若しくは無溶媒において、ヒドロシラン化合物とアルケニルシラン化合物を等モル量又は一方の化合物がわずかに過剰になるように溶解させ、金属触媒を加えて加熱撹拌することにより製造される。
上記ヒドロシラン化合物及びアルケニルシラン化合物としては、上記一般式(1)で表されるケイ素化合物に対応して、下記一般式(5):
123Si−H (5)
{式中、R1〜R3は一般式(1)で定義した通りである。}
で表されるヒドロシラン化合物及び下記一般式(6):
9−SiR10 n1 (3-n) (6)
{式中、R9は炭素数2〜6の不飽和炭素二重結合含有炭化水素基であり、R10は炭素数1〜4の飽和アルキル基であり、そしてX1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは0〜2、好ましくは0又は1である。}
で表されるアルケニルシラン化合物、
又は下記一般式(7):
123Si−R9 (7)
{式中、R1〜R3は一般式(1)で定義した通りであり、そしてR9は炭素数2〜6の不飽和炭素二重結合含有炭化水素基である。}
で表されるアルケニルシラン化合物及び下記一般式(8):
H−SiR10 n1 (3-n) (8)
{式中、R10は炭素数1〜4の飽和アルキル基であり、X1はハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは0〜2、好ましくは0又は1である。}
で表されるヒドロシラン化合物を組み合わせて用いることができる。R9の好ましい例としては、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、メタクリル基、アクリル基、及びスチリル基であり、特により好ましい例はビニル基、アリル基、アクリル基等が挙げられる。また、上記の場合、前述の一般式(1)中のR4は、上記各々のR10に由来することになる。R10の好ましい例は、R4について炭素数1〜4の飽和アルキルとして例示したものと同様である。X1の好ましい例は、一般式(1)中のXについてハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基として例示したものと同様である。
上記ヒドロシラン化合物とアルケニルシラン化合物とのモル比には特に制限はないが、一般的には、ヒドロシラン化合物1モルに対して、アルケニルシラン化合物を0.9〜1.1モルの範囲で使用することが好ましい。
上記炭化水素系の有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、オクタン、トルエン、キシレン等が挙げられる。また、上記有機溶媒は任意の量で使用することができる。
上記金属触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の白金族金属、該白金族金属をカーボン、アルミナ、シリカ、ポリマー等の担体に担持した担持触媒、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸のオレフィン又はアセチレン錯体、白金のビニルシロキサン錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が挙げられる。これらの中でも、塩化白金酸(Speier触媒)、白金のテトラメチルジビニルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)、及びクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(Wilkinson触媒)が好ましい。また、これらの金属触媒は、単独でも2種類以上を混合して用いてもよい。
上記金属触媒の使用量は、上記ヒドロシラン化合物1モルに対して、1×10-6〜0.01モルの範囲で使用することができる。
上記ヒドロシリル化反応の反応温度は0〜150℃の範囲であることが好ましく、反応時間は0.5〜48時間の範囲であることが好ましい。
上記ヒドロシリル化反応により上記一般式(1)で表される表面修飾剤(b1)を合成する場合、ヒドロシランがアルケニルシランの不飽和結合部位に付加する際にシス体及びトランス体が生成し、これらの異性体混合物が得られる場合がある。この異性体混合物は蒸留、カラムクロマトグラフィー等の分離操作により分離することも可能であるが、シス−トランス異性体混合物であっても後述の複合金属酸化物との表面修飾反応において好適に使用することができる。
上記一般式(1)で表される表面修飾剤(b1)のうち、上記一般式(1)におけるXが水素原子であるケイ素化合物については、例えば、上記一般式(1)におけるXがハロゲン原子、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であるケイ素化合物を上述の方法により製造した後、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いて還元反応を行うことにより製造することができる。
表面修飾剤(b1)は、単独で用いても、複数を混ぜて使用してもよい。また、本実施形態で用いる修飾剤は、上記表面修飾剤(b1)のみでもよいし、表面修飾剤(b1)と追加の修飾剤成分との組合せでもよい。追加の修飾剤成分としては有機ホスホン酸、有機カルボン酸化合物、テトラアルコキシシラン等が挙げられる。追加の修飾剤成分を用いる場合、修飾剤の総量中の表面修飾剤(b1)の比率は、耐候性、及び分散性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
(複合金属酸化物(b2))
本実施形態では複合金属酸化物(b2)を用いる。複合金属酸化物(b2)は、2種以上の金属原子及び酸素原子を含む。複合金属酸化物としては、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸鉛、珪酸ジルコニウム、ジルコン酸鉛、酸化インジウムスズ、酸化スズアンチモン、ニオブ酸リチウム、コバルト酸リチウム等が挙げられる。これらの中でも、屈折率を向上させるという観点からは、チタン酸バリウム及びチタン酸ストロンチウムが好ましい。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
複合金属酸化物(b2)は、好ましくは、球状、棒状、板状若しくは繊維状又はこれらの2種類以上が合体した形状であり、より好ましくは球状である。なお、ここでいう球状とは、真球状の他、回転楕円体、卵形等も含む略球状を意味する。
複合金属酸化物(b2)の平均一次粒子径は、光の散乱による透明性への悪影響を避けるため、目的とする用途で使用する光の波長以下であることが好ましい。該平均一次粒子径は、1nm以上100nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上50nm以下、更に好ましくは1nm以上40nm以下である。上記平均一次粒子径が1nm以上であれば、複合金属酸化物(b2)の分散性が良好であり、100nm以下であれば、複合金属酸化物(b2)を有機溶剤又は樹脂中に分散させた際の透明性が良好である。なお本開示において、平均一次粒子径とは数平均での値を意味する。上記平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)による直接観察により求めることができる。具体的には、例えば50個の粒子の長径を計測し、その数平均を求める。
複合金属酸化物(b2)は、水熱法、ゾルゲル法、共沈法等により製造することが可能であり、製造条件を変更することにより、平均一次粒子径を制御することができる。
複合金属酸化物(b2)の具体的な製造方法については、例えば、チタン酸バリウムの場合には、2−メトキシエタノール中において、等モル量の金属バリウムとオルトチタン酸テトラエチルとを加熱溶解させた後、水を添加することによって加水分解反応及び縮合反応を進行させ、チタン酸バリウム微粒子の分散液を得る方法等が挙げられる。必要に応じて、スプレードライ、真空乾燥等の乾燥処理を行うことにより、粉末状のチタン酸バリウム微粒子が得られる。また、電気炉等において焼結処理を行うことにより、焼結処理時間に応じて、チタン酸バリウム微粒子の表面水酸基量を制御できる。
本実施形態では、表面修飾剤(b1)を含む修飾剤を複合金属酸化物(b2)に作用させて表面修飾反応を行い、該表面修飾剤(b1)に由来する構造部位を表面に有する表面修飾複合金属酸化物(B)を製造する方法が開示される。
具体的には、例えば、アルコール及び水を含む複合金属酸化物(b2)の均一分散液に、上記表面修飾剤(b1)を添加する工程により製造される。
上記均一分散液は、複合金属酸化物(b2)を製造する際の、加水分解工程において用いられる水をそのまま含んでいてもよく、その一部を除去又は水を追加することにより、水の含有量を制御することもできる。上記表面修飾剤(b1)は、そのまま添加しても、アルコール、水又はその他の有機溶媒等で希釈してから添加してもよい。
上記表面修飾反応の反応温度は、0〜120℃であることが好ましく、より好ましくは30〜100℃である。また、反応時間は、0.5〜24時間であることが好ましく、より好ましくは0.5〜3時間である。
表面修飾反応に用いる複合金属酸化物(b2)は、水、有機溶媒、又はこれらの混合物に分散された状態であっても、乾燥処理によって得られる粉末でもよい。粉末状の複合金属酸化物(b2)を用いて表面修飾反応を行う場合には、ビーズミル等の分散装置中で表面修飾反応を行ってもよい。
ビーズミルは、ローター、ステータ及び撹拌粒子であるビーズを分離するビーズ分離機構を備える分散装置である。撹拌粒子であるビーズは、超微小ビーズであることが必要であり、その粒子径は3〜300μmであることが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。粒子径が3μm以上であれば、分散に必要な衝撃エネルギーが得られ、300μm以下であれば、過剰な衝撃エネルギーによる再凝集が抑制できる。
上記撹拌粒子としては、例えば、ジルコニア、アルミナ、シリカ、ガラス、炭化珪素、窒化珪素等が挙げられる。これらの中でも、撹拌粒子としての強度と安定性に優れるという観点から、ジルコニアを用いることが好ましい。
複合金属酸化物(b2)に対する、表面修飾剤(b1)の添加量は、複合金属酸化物(b2)の全表面積と、表面修飾剤(b1)が単分子修飾しうる面積(理論被覆表面積)との比から決定できる。
複合金属酸化物(b2)の単位質量あたりの表面積(m2/g)はBET法により測定される。表面修飾剤(b1)の単位質量あたりの理論被覆表面積(m2/g)は、6.02×1023×1.3×10-19÷(表面修飾剤の分子量)で計算される。
表面修飾剤(b1)と複合金属酸化物(b2)との量比としては、表面修飾剤(b1)の理論被覆表面積(m2)/複合金属酸化物(b2)の全表面積(m2)の比が、0.3〜3.0であることが好ましく、0.7〜2.0であることがより好ましい。上記比は、複合金属酸化物(b2)の分散性の観点から0.3以上であることが好ましく、作業性の観点から3.0以下であることが好ましい。
表面修飾複合金属酸化物(B)の各種測定のために後述の硬化性シリコーン樹脂組成物から表面修飾複合金属酸化物(B)を分離する方法としては、例えば、回転数が15000rpm以上の遠心分離機により遠心分離することで、分散している表面修飾複合金属酸化物(B)を沈殿させ、単離する方法を用いることができる。単離した表面修飾複合金属酸化物(B)は、既知の方法で測定することができる。
≪硬化性シリコーン樹脂組成物≫
本実施形態の硬化性シリコーン樹脂組成物は、表面修飾複合金属酸化物(B)を、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)に分散させて得ることができる。分散の工程としては、表面修飾複合金属酸化物(B)を溶剤から単離後、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)に混合し、ボールミル、ジェットミル、ビーズミル等のミルを用いて処理すること、又は超音波処理を行うこと等が挙げられる。硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)に対してより分散性が高く、透明性に優れる点で、水若しくは有機溶剤に、表面修飾複合金属酸化物(B)を分散させた分散液に、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)を充分に溶解させたのち、エバポレート等で脱溶剤することにより、表面修飾複合金属酸化物(B)が硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)に分散した硬化性シリコーン樹脂組成物を調製することが更に好ましい。
表面修飾複合金属酸化物(B)の含有量としては、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と表面修飾複合金属酸化物(B)との総体積100体積%に対する複合金属酸化物(b2)の体積割合としての量で、10〜70体積%であることが望ましい。上記体積割合は、さらに好ましくは、15〜50体積%である。上記体積割合は、高屈折率を実現する観点から10体積%以上が好ましく、硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物の脆性を回避する観点から70体積%以下が好ましい。上記体積割合は、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の密度を1g/mL、表面修飾剤(b1)の密度を1g/mLとし、及び複合金属酸化物(b2)の密度を文献値、例えばチタン酸バリウムであれば6.02g/mLとし、下式により計算される。
複合金属酸化物(b2)の体積割合=(b2の質量/b2の密度)/{(Aの質量/Aの密度)+(b1の質量/b1の密度)+(b2の質量/b2の密度)}
≪追加の成分≫
硬化性シリコーン樹脂組成物は、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)及び表面修飾複合金属酸化物(B)に加えて、追加の成分を含有してもよい。以下、追加の成分の好適例について説明する。
硬化性シリコーン樹脂組成物は接着性付与剤を更に含有することが、各種材料との接着性の点で好ましい。接着性付与剤として、例えば、エポキシ官能性基含有化合物、チオール基含有化合物、アルコキシシラン等が挙げられる。好ましい接着性付与剤は、エポキシ基及び/又はアルコキシ基を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物であり、特に好ましい接着性付与剤は、エポキシ基含有オルガノハイドロジェンポリシロキサン化合物である。
上記接着性付与剤の配合量は、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)、及び表面修飾複合金属酸化物(B)の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下が好ましい。該配合量が0.01質量部以上であることが、接着性の点で好ましく、20質量部以下であることが、透明性及び耐クラック性の点で好ましい。
硬化性シリコーン樹脂組成物は、無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーは、光透過性への悪影響を避けるため、目的の用途において使用する波長以下の平均一次粒子径を有するものが好ましい。該平均一次粒子径は、より好ましくは100nm以下である。無機フィラーは、硬化後の樹脂において、例えば機械的物性を改善する場合及び熱伝導性を向上させる場合がある。無機フィラーの平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、樹脂組成物の粘度が低く良好な成形性を有するという点から、0.1nm以上であることが好ましい。なお上記平均一次粒子径は、BETの比表面積から計算で求められる数平均値である。無機フィラーの配合量は、目的に応じて選択できるが、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)、及び表面修飾複合金属酸化物(B)の合計量100質量部に対して、好ましくは1〜60質量部、より好ましくは3〜50質量部、さらに好ましくは5〜40質量部であることができる。
また、硬化性シリコーン樹脂組成物は、硬化遅延剤、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤から選ばれる1種以上を含有してもよい。
更に、硬化性シリコーン樹脂組成物は、発光波長の色を変換させる目的で、蛍光体又は燐光体を含有してもよい。これらの材料は公知の方法、例えば、遠心分離等を用いて樹脂成分又は任意の他の成分と混合することが好ましい。得られた混合物を真空脱泡等で泡抜きしてもよい。
本実施形態の硬化性シリコーン樹脂組成物の一態様として熱硬化性シリコーン組成物が挙げられる。上記熱硬化性シリコーン組成物としては、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)として、ビニル基、アリル基及びアクリル基からなる群から選択される官能基を有するポリオルガノシロキサン化合物(a1)と、ケイ素に直接結合した水素原子を有するポリオルガノシロキサン化合物(a2)とを含み、硬化剤としてヒドロシリル化触媒(C)をさらに含む組成物が硬化物の耐候性の観点から好ましい。ポリオルガノシロキサン化合物(a1)の上記各官能基は不飽和結合性官能基として好ましく、これら官能基はヒドロシリル化触媒(C)の作用によって上記ポリオルガノシロキサン化合物(a2)の水素原子と付加反応して、耐熱性に優れる硬化物を与えることができる。
上記熱硬化性シリコーン組成物の成型体又は薄膜を、熱を用いて硬化処理することにより、光学材料として好ましい透明の硬化物が得られる。
ポリオルガノシロキサン化合物(a1)の好ましい例としては、前述の一般式(2)中のR6がビニル基、アリル基、ブテニル基、プロペニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基又はアクリル基である化合物等が挙げられる。
良好な耐候性及び熱硬化性を得る点から、ポリオルガノシロキサン化合物(a1)のビニル基、アリル基及びアクリル基からなる群から選択される官能基の合計含有量は、好ましくは樹脂(すなわちポリオルガノシロキサン化合物(a1))1グラム当たり0.1〜5.0mmol/gである。
ポリオルガノシロキサン化合物(a2)の好ましい例としては、前述の一般式(2)中のR6が水素原子である化合物等が挙げられる。
良好な耐候性及び熱硬化性を得る点から、ポリオルガノシロキサン化合物(a2)のケイ素に直接結合した水素原子の量は、好ましくは樹脂(すなわちポリオルガノシロキサン化合物(a2))1グラム当たり0.1〜5.0mmol/gである。
熱硬化性シリコーン組成物中のポリオルガノシロキサン化合物(a1)の含有量は、組成物全体を100質量部として、5質量部以上50質量部以下が好ましく、10質量部以上45質量部以下が更に好ましい。硬化物の透明性の点から5質量部以上が好ましく、屈折率の点から50質量部以下が好ましい。
熱硬化性シリコーン組成物中のポリオルガノシロキサン化合物(a1)とポリオルガノシロキサン化合物(a2)との混合比率としては、[ポリオルガノシロキサン化合物(a1)のビニル基、アリル基及びアクリル基からなる群から選択される官能基の合計数]/[ポリオルガノシロキサン化合物(a2)のケイ素原子に直接結合した水素原子の数]の比で0.5〜2が好ましく、0.7〜1.3が特に好ましい。硬化性シリコーン樹脂組成物の耐候性、及び接着性の点から0.5以上が好ましく、ケイ素原子に直接結合した水素原子が硬化中に脱水素反応を起こさない点で2以下が好ましい。
本実施形態では、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)として、ポリオルガノシロキサン化合物(a1)とポリオルガノシロキサン化合物(a2)との両者に該当する化合物、すなわち、1分子中に、ビニル基、アリル基及びアクリル基からなる群から選択される官能基と、ケイ素に直接結合した水素原子との両者を有する化合物を用いてもよい。このような化合物は、前述した硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の製造法により製造できる。この場合該化合物の量は、組成物全体を100質量部として、5質量部以上50質量部以下が好ましく、10質量部以上45質量部以下が更に好ましい。硬化物の透明性の点から5質量部以上が好ましく、屈折率の点から50質量部以下が好ましい。また、好ましい態様において、該化合物を後述のヒドロシリル化触媒(C)と組合せて用いることができる。
熱硬化性シリコーン組成物は、ヒドロシリル化触媒(C)を更に含有することが好ましい。ヒドロシリル化触媒(C)とは、不飽和炭化水素基における不飽和炭化水素と、SiH基におけるケイ素原子に直接結合した水素原子との付加反応を促進するための触媒である。ヒドロシリル化触媒(C)としては、既知のヒドロシリル化触媒を使用できる。ヒドロシリル化触媒として、例えば、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H2PtCl4・nH2O、H2PtCl6・nH2O、NaHPtCl6・nH2O、KHPtCl6・nH2O、Na2PtCl6・nH2O、K2PtCl4・nH2O、PtCl4・nH2O、PtCl2、Na2HPtCl4・nH2O{式中、nは0〜6の整数であり、好ましくは0又は6である。}等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸;塩化白金酸とオレフィンとのコンプレックス;白金黒、パラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィンコンプレックス;クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン、ジビニルテトラメチルジシロキサン白金錯体又はビニル基含有環状シロキサンとのコンプレックス等が挙げられる。これらのヒドロシリル化触媒は、1種類で用いてもよいし、2種類以上のヒドロシリル化触媒を混合して用いてもよい。
熱硬化性シリコーン組成物中のヒドロシリル化触媒(C)の含有量としては、白金族金属の重量換算で、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)を基準に0.01〜1000ppmが好ましく、0.2〜100ppmがより好ましい。該含有量は、0.01ppm以上であることが反応効率の点で好ましく、1000ppm以下であることが、硬化物の透明性の点で好ましい。
本実施形態の硬化性シリコーン樹脂組成物の別の態様として、光硬化性シリコーン組成物が挙げられる。光硬化性シリコーン組成物としては、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)として、アクリル基、メタクリル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサン化合物(a3)を含み、硬化剤として光ラジカル重合開始剤(D)をさらに含む組成物が硬化速度の観点から好ましい。
上記光硬化性シリコーン組成物の成型体又は薄膜を、光を用いて硬化処理することにより、光学材料として好ましい透明の硬化物が得られる。
ポリオルガノシロキサン化合物(a3)の好ましい例としては、前述の一般式(2)中のR6がアクリル基、メタクリル基又はスチリル基である化合物等が挙げられる。
良好な耐候性及び光硬化性を得る点から、ポリオルガノシロキサン化合物(a3)のアクリル基、メタクリル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合を有する基の合計含有量は、好ましくは樹脂(すなわちポリオルガノシロキサン化合物(a3))1グラム当たり0.1〜5.0mmol/gである。
光硬化性シリコーン組成物中のポリオルガノシロキサン化合物(a3)の含有量は、組成物全体を100質量部として、5質量部以上50質量部以下が好ましく、10質量部以上45質量部以下が更に好ましい。硬化物の透明性の点から5質量部以上が好ましく、屈折率の点から50質量部以下が好ましい。
光ラジカル重合開始剤(D)として、好ましいものとしては365nmの波長の光に対する吸収を持つ以下の化合物が挙げられる。
(1)ベンゾフェノン誘導体;例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミ
ノ)ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジ
フェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等
(2)アセトフェノン誘導体;例えば、トリクロロアセトフェノン、2,2’−ジエトキ
シアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2,2−ジメトキシ
−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−
オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)
−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、フェニルグリオキシル酸メ
チル、(2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニ
ル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン)(チバ・ジャパン株
式会社製IRGACURE127)等
(3)チオキサントン誘導体;例えば、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2
−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等
(4)ベンジル誘導体;例えば、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−
メトキシエチルアセタール等
(5)ベンゾイン誘導体;例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、2−ヒドロ
キシ−2−メチル−1フェニルプロパン−1−オン等
(6)オキシム系化合物;例えば、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(O−メ
トキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−メト
キシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキ
シカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−ベンゾイ
ル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(O−エトキシカルボニル)
オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(O−ベンゾイル)オキ
シム、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオ
キシム)](チバ・ジャパン製OXE−01)、エタノン−1−[9−エチル−
6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチル
オキシム)(チバ・ジャパン製IRGACURE OXE02)等
(7)α−ヒドロキシケトン系化合物;例えば、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェ
ニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒド
ロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2
−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン

(8)α−アミノアルキルフェノン系化合物;例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミ
ノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1(チバ・ジャパン製IR
GACURE369)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−
モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン等
(9)フォスフィンオキサイド系化合物;例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾ
イル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2
,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベン
ゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(チバ・ジャパン製DAOCURE TPO)等
(10)チタノセン化合物;例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イ
ル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニ
ウム等
(11)ベンゾエイト誘導体;例えば、エチル−p−(N,N−ジメチルアミノベンゾエ
イト)等
(12)アクリジン誘導体;例えば、9−フェニルアクリジン等
これらは単独で用いても、複数の光ラジカル開始剤を混ぜて使用しても良い。
光ラジカル重合開始剤(D)の量としては、組成物全体を100質量部とした場合に、0.01質量部以上10質量部以下が好ましく、0.1質量部以上5質量部以下がより好ましい。更に好ましくは0.2質量部以上3質量部以下である。0.01質量部以上であると硬化が良好に進行するため好ましく、10質量部以下であると、光硬化後又は熱によるベーク後に着色が少ないため好ましい。
光による硬化処理を行う場合には、例えば、可視光線、紫外線、遠紫外線等を使用できる。光源としては、例えば、低圧若しくは高圧の水銀ランプ、重水素ランプ、又はアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、又はXeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF若しくはArCl等のエキシマレーザー等を使用することができる。これらの光源の出力は、10〜5,000Wであることが好ましい。
本実施形態の別の態様は、上述した硬化性シリコーン樹脂組成物の硬化物である、種々の物品を提供する。上記硬化物は、光半導体用の封止材、ダイアタッチ材、及びレンズとして好ましく利用でき、特に好ましくは光半導体用の封止材として利用できる。
硬化物は、本実施形態において開示される硬化性シリコーン樹脂組成物を加熱、露光、又は露光した後加熱することにより得られる。
これらの硬化物を製造する際の硬化温度は種々設定できるが、30℃〜300℃が好ましく、硬化速度と成形加工性との点から70℃〜200℃がさらに好ましい。
硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階的又は連続的に温度を変化させてもよい。硬化を一定の温度で行うよりも、多段階的又は連続的に温度を上昇させながら反応させた方が、歪の少ない均一な硬化物が得られやすくクラックが発生しにくいという点において好ましい。
硬化時の、炭化水素基による架橋構造の形成方法については特に制限はなく、縮合反応、付加反応等が例示できる。Si−(CH22−Si構造は、硬化物の耐熱性の点において特に好ましい。この構造は、例えば、ポリオルガノシロキサン化合物(a1)としての、ケイ素原子に直接結合するエテニル基を有する化合物と、ケイ素原子に直接結合する水素原子を有するポリオルガノシロキサン化合物(a2)と、ヒドロシリル化触媒(C)としての白金触媒とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物を用い、上記エテニル基と上記水素原子とを上記白金触媒によってヒドロシリル化反応させることで得ることが可能である。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の例にて合成した硬化性ポリオルガノシロキサン化合物について、以下の(1)、(2)に従って測定を行った。
(1)重量平均分子量(Mw)の測定
シリコーン樹脂(硬化性ポリオルガノシロキサン化合物として)のイソプロピルアルコール溶液、又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液を、シリコーン樹脂成分の濃度が1質量%になるようにテトラヒドロフランで希釈して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(EcoSEC HLC−8320、東ソー製)で測定した。重量平均分子量(Mw)は、標準物質であるポリスチレン換算の値として求めた。
[GPC測定条件]
・カラム:TSKgel G1000H−HR、G3000H−HR、及びG5000H−HR(いずれも東ソー製) 3本直列
・溶離液:トルエン(流量:1mL/min)
・カラム使用温度:40℃
(2)不飽和結合性官能基、ケイ素原子に直接反応した水素原子の官能基濃度の測定
下記の方法にて1HNMRを測定し、ポリオルガノシロキサン化合物1gに対する不飽和結合性官能基、ケイ素原子に直接反応した水素原子の官能基濃度(mmol)を算出した。
サンプル調製:各ポリオルガノシロキサン化合物を秤量し、トルエンを10wt%となるように秤量した。さらに1%テトラメチルシラン含有重クロロホルムで、ポリマー濃度が1質量%となるように希釈した。
調製したサンプル溶液の1HNMR測定結果から、ビニル基の水素原子のピーク面積(3H)、又はSiH基の水素原子のピーク面積(1H)と、トルエンのメチル基のピーク面積(3H)との比より、ポリマー1g当りの不飽和結合性官能基、ケイ素原子に直接反応した水素原子の官能基の濃度を算出した。
1HNMR測定:日本電子製NMR(核磁気共鳴)装置GSX400を使用し、パルス幅を0.5秒、待ち時間を2秒、積算回数を16回として積算を行った。
[合成例1]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン149.9g、エトキシトリメチルシラン32.5g、及びイソプロピルアルコール(IPA)120gを入れて撹拌し、さらに1M塩酸58mgとイオン交換水128.7gとの混合物を滴下しながら加え、80℃に設定したオイルバスで2時間加熱して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)を360g加え、エバポレータでIPA及び水を留去した。さらに、シリコーン樹脂成分が33.3質量%になるまで濃縮し、シリコーン樹脂のPGMEA溶液を得た。
別に準備した還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、上記シリコーン樹脂のPGMEA溶液288g、ピリジン90.1g、及びPGMEA100gを入れて撹拌し、さらにビニルジメチルクロロシラン137.6gを滴下しながら加え、室温で1時間撹拌した。
シクロヘキサン100g、及びイオン交換水100gを加えたのち、分液操作により水層を除去し、得られた有機層をイオン交換水100gで2度洗浄した。エバポレータで有機溶媒を留去し、目的とするシリコーン樹脂146g(メチル変性シリコーン-SiVi)を得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は1,020であった。1H−NMRより算出したビニル基の濃度は3.85mmol/gであった。
[合成例2]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、メチルトリメトキシシラン149.9g、エトキシトリメチルシラン32.5g、及びIPA120gを入れて撹拌し、さらに1M塩酸58mgとイオン交換水128.7gとの混合物を滴下しながら加え、80℃に設定したオイルバスで2時間加熱して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを360g加え、エバポレータでIPA及び水を留去した。さらに、シリコーン樹脂成分が33.3質量%になるまで濃縮し、シリコーン樹脂のPGMEA溶液を得た。
別に準備した還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、上記シリコーン樹脂のPGMEA溶液288g、ピリジン90.1g、及びPGMEA100gを入れて撹拌し、さらにジメチルクロロシラン107.8gを滴下しながら加え、室温で1時間撹拌した。
シクロヘキサン100g、及びイオン交換水100gを加えたのち、分液操作により水層を除去し、得られた有機層をイオン交換水100gで2度洗浄した。エバポレータで有機溶媒を留去し、目的とするシリコーン樹脂140g(メチル変性シリコーン−SiH)を得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は980であった。1H−NMRより算出したSiH基の濃度は3.95mmol/gであった。
[合成例3]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン135.9g、メチルトリメトキシシラン69.3g、エトキシトリメチルシラン25.6g、及びIPA187.5gを入れて撹拌し、さらに1M塩酸58mgとイオン交換水144.1gとの混合物を滴下しながら加え、80℃に設定したオイルバスで2時間加熱して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを300g加え、エバポレータでIPA及び水を留去した。さらに、シリコーン樹脂成分が33.3質量%になるまで濃縮し、シリコーン樹脂のPGMEA溶液を得た。
別に準備した還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、上記シリコーン樹脂のPGMEA溶液288g、ピリジン90.1g、及びPGMEA100gを入れて撹拌し、さらにトリメチルクロロシラン123.8gを滴下しながら加え、室温で1時間撹拌した。
シクロヘキサン100g、及びイオン交換水100gを加えたのち、分液操作により水層を除去し、得られた有機層をイオン交換水100gで2度洗浄した。エバポレータで有機溶媒を留去し、目的とするシリコーン樹脂150g(メチル変性シリコーン−メタクリル)を得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は1080であった。1H−NMRより算出したメタクリル基の濃度は2.83mmol/gであった。
[合成例4]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、フェニルトリメトキシシラン136.23g、エトキシトリメチルシラン16.67g、及びIPA308gを入れて撹拌し、さらに1M塩酸1mLとイオン交換水55gとの混合物を滴下しながら加え、80℃に設定したオイルバスで2時間加熱して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを600g加え、エバポレータでIPA及び水を留去した。さらに、シリコーン樹脂成分が33.3質量%になるまで濃縮し、シリコーン樹脂のPGMEA溶液を得た。
別に準備した還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、上記シリコーン樹脂のPGMEA溶液141g、ピリジン44.56gを入れて撹拌し、さらにビニルジメチルクロロシラン56.71gを滴下しながら加え、室温で1時間撹拌した。
シクロヘキサン100g、及びイオン交換水100gを加えたのち、分液操作により水層を除去し、得られた有機層をイオン交換水100gで2度洗浄した。エバポレータで有機溶媒を留去し、目的とするシリコーン樹脂67.8g(フェニル変性シリコーン−SiVi)を得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は930であった。1H−NMRより算出したビニル基の濃度は4.14mmol/gであった。
[合成例5]
還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、フェニルトリメトキシシラン136.23g、エトキシトリメチルシラン16.67g、及びIPA308gを入れて撹拌し、さらに1M塩酸1mLとイオン交換水55gとの混合物を滴下しながら加え、80℃に設定したオイルバスで2時間加熱して反応混合物を得た。
上記反応混合物を1Lフラスコに移し、PGMEAを600g加え、エバポレータでIPA及び水を留去した。さらに、シリコーン樹脂成分が33.3質量%になるまで濃縮し、シリコーン樹脂のPGMEA溶液を得た。
別に準備した還流管、滴下ロート、及び攪拌機を備えた1Lセパラブルフラスコに、上記シリコーン樹脂のPGMEA溶液141g、ピリジン44.56gを入れて撹拌し、さらにジメチルクロロシラン44.5gを滴下しながら加え、室温で1時間撹拌した。
シクロヘキサン100g、及びイオン交換水100gを加えたのち、分液操作により水層を除去し、得られた有機層をイオン交換水100gで2度洗浄した。エバポレータで有機溶媒を留去し、目的とするシリコーン樹脂67.2g(フェニル変性シリコーン−SiH)を得た。得られたシリコーン樹脂の重量平均分子量(Mw)は930であった。1H−NMRより算出したSiH基の濃度は4.10mmol/gであった。
以下の例にて合成した複合金属酸化物について、以下の(3)〜(5)に従って測定を行った。
(3)複合金属酸化物の粒子径の測定
粒子分散液を微細試料捕獲用の膜(コロジオン膜)上に滴下、乾燥後、日本電子製2000−FX透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた観察を行い、50個の粒子の一次粒子径の数平均を算出した。
(4)複合金属酸化物の粒子の同定
粒子分散液を一部乾燥させてリガク製X線回折装置RU−200Xを用いて粉末X線回折を行い、文献記載の回折パターンと比較することにより結晶構造の確認を行った。また、結晶子のサイズを決定した。
(5)複合金属酸化物の表面積の同定
・前処理:試料0.5gを試料管にとり、本体前処理装置でRT〜200℃、0.01mmHg以下、12hr程度の条件下で減圧乾燥した複合金属酸化物の表面積を、BET法を用いて測定した。
<比表面積・細孔分布測定>
・装置:オートソーブ−3MP(ユアサ・アイオニクス製)
・吸着ガス:N2ガス
・測定温度:液体窒素(77.4°K)
[合成例6]
窒素雰囲気下に置換した容量 1Lのセパラブルフラスコに、2−メトキシエタノール(和光純薬製、純度99%以上)288mLを入れた。窒素雰囲気下で、2時間窒素で2−メトキシエタノールをバブリングすることにより脱気した。そこに金属バリウム6.56g(0.08M)(関東化学製、純度99%以上)、テトラエトキシチタン10.05mL(0.08M)(東京化学製、純度97%以上)を入れ、撹拌しながら130℃で2時間加熱し、金属バリウムとテトラエトキシチタンとを完全に溶解させた。2時間後、イオン交換水43.2mL(4M)を2−メトキシエタノールで溶解した液をN2でバブリングし、全液量が600mLになるように加えた。オイルバスを用いて130℃で3時間撹拌してチタン酸バリウムの分散溶液(BT−01)を得た。TEMにより平均7nmのナノ粒子が得られ、XRD回折ピークがチタン酸バリウムに一致することを確認し、結晶子サイズを7nmと同定した。BET法により測定した表面積は130m2/gであった。
[合成例7]
窒素雰囲気下に置換した容量2Lのセパラブルフラスコに、エタノール(和光純薬製、純度99%以上)855mLを入れた。窒素雰囲気下で、そこに金属バリウム24.7g(0.1M)、テトラエトキシチタン37.7mL(0.1M)を入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱し、金属バリウムとテトラエトキシチタンとを完全に溶解させた。2時間後、イオン交換水324mL(10M)をエタノールで溶解した液を、全液量が1800mLになるように加えた。オイルバスを用いて70℃で3時間撹拌してチタン酸バリウムを得た。室温で反応液を冷却後8000rpmで、30分間遠心分離を行い、沈殿物を単離した。単離物をエタノールで洗浄し、70℃、0.5kPaで8時間減圧乾燥を行った。TEMにより平均7nmのナノ粒子が得られ、XRD回折ピークがチタン酸バリウムに一致することを確認し、結晶子サイズを6.7nmと同定した(BT−02)。BET法により測定した表面積は150m2/gであった。
[合成例8]
窒素雰囲気下に置換した容量2Lのセパラブルフラスコに、エタノール833mLを入れた。窒素雰囲気下で、そこに金属バリウム37.1g(0.15M)、テトラエトキシチタン56.5mL(0.1M)を入れ、撹拌しながら70℃で2時間加熱し、金属バリウムとテトラエトキシチタンとを完全に溶解させた。2時間後、イオン交換水648mL(20M)をエタノールで溶解した液を、全液量が1800mLになるように加えた。オイルバスを用いて70℃で3時間撹拌してチタン酸バリウムを得た。室温で反応液を冷却後8000rpmで、30分間遠心分離を行い、沈殿物を単離した。単離物をエタノールで洗浄し、70℃、0.5kPaで8時間減圧乾燥を行った。TEMにより平均18nmのナノ粒子が得られ、XRD回折ピークがチタン酸バリウムに一致することを確認し、結晶子サイズを17.3nmと同定した(BT−03)。BET法により測定した表面積は76m2/gであった。
以下の例にて合成した表面修飾剤について、以下の(6)〜(8)に従って測定を行った。
(6)原料転化率の追跡
ガスクロマトグラフィーを用いて、原料の転化率を決定した。
[GC測定条件]
・GC装置:GC−14B(島津製作所製)
・カラム:DB−1(30m×250μm×0.25μmF)(アジレントテクノロジー製)
・カラム温度:50℃で5分間ホールドしたのち、300℃まで毎分10℃ずつ昇温
・キャリアガス:He(流量1.0mL/min)
(7)表面修飾剤の純度決定
ガスクロマトグラフィーを用いて、純度の決定を行った。
[GC測定条件]
・GC装置:GC−14B(島津製作所製)
・カラム:DB−1(30m×250μm×0.25μmF)(アジレントテクノロジー製)
・カラム温度:50℃で5分間ホールドしたのち、300℃まで毎分10℃ずつ昇温
・キャリアガス:He(流量1.0mL/min)
(8)生成物の確認
1H−NMRを用いて、生成物の構造を同定し、正付加体と逆付加体の生成比率を決定した。
[合成例9]
窒素雰囲気下に置換した容量2Lのセパラブルフラスコにトルエン(和光純薬製、脱水)800g、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチルトリシロキサン128.6g(信越シリコーン製)、トリメトキシビニルシラン71.4g(東京化成製)、を秤量し、白金のテトラメチルジビニルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)の2wt%キシレン溶液(Gelest製)110μLを加えた。還流管をセットし、窒素雰囲気下で、オイルバスを用いて60℃で加熱反応した。8時間後、室温まで空冷した。GCによるトリメトキシビニルシランの転化率は100%だった。エバポレータを用いて4kPa、70℃でトルエンを留去した。さらに0.57kPa、120℃で減圧蒸留(沸点103℃、0.57kPa)を行い精製し、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルエチルトリメトキシシラン(D−TMS)を得た。1H−NMRにより同定したビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルエチルトリメトキシシランとビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルエチルトリメトキシシランの生成比率は物質量比で90:10であり、GCにより測定した純度は99%であった。
[合成例10]
減圧乾燥した1L容量の4つ口フラスコにリチウムアルミニウムハイドライド(東京化成製、以下、LAH)3.8gを秤量し、氷浴で冷やしながら、超脱水ジエチルエーテル(和光純薬製)200mLをシリンジを用いて窒素雰囲気下で添加した。窒素雰囲気下で滴下ロートに、D−TMS26.4gと、超脱水ジエチルエーテル50mLとの混合液を用意し、窒素雰囲気下、氷冷中でLAHのジエチルエーテル懸濁液に内温が15℃を超えないようにゆっくりと滴下した。すべてを滴下後、室温に戻し室温で1時間反応させた。GCで(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルトリメトキシシランが定量的に還元されているのを確認した。再度、氷冷し、滴下ロートを用いて酢酸エチル(和光純薬製)17.6gを内温が15℃を超えないようにゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で8時間窒素雰囲気下、攪拌した。反応液を、セライト545(和光純薬製)を用いて桐山ロートで減圧濾過しLAHを除去したのち、ジエチルエーテルと酢酸エチルを留去した。残った反応液を窒素下、0.5kPaで70℃減圧蒸留(沸点58℃、0.5kPa)を行い、精製し、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルエチルシラン(D−SiH3)を得た。1H−NMRにより同定した2−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルエチルシランと1−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルエチルシランの生成比率は物質量比で90:10であり、GCにより測定した純度は99%であった。
[合成例11]
窒素雰囲気下に置換した容量2Lのセパラブルフラスコにトルエンを640g、トリメトキシビニルシラン78.0g、ペンタメチルジシロキサン(信越シリコーン製)82.0gを秤量し、白金のテトラメチルジビニルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)の2wt%キシレン溶液90μLを加えた。還流管をセットし、窒素雰囲気下で、オイルバスを用いて60℃で加熱反応した。2時間後、室温まで空冷した。GCによるトリメトキシビニルシランの転化率は100%だった。エバポレータを用いて4kPa、70℃でトルエンを留去した。さらに0.7kPa、100℃で減圧蒸留(沸点86℃、0.7kPa)を行い精製し、(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルトリメトキシシランを得た。1H−NMRにより同定した2−(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルトリメトキシシランと1−(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルトリメトキシシランの生成比率は物質量比で79:21であった。
別途、減圧乾燥した1L容量の4つ口フラスコにLAH15.2gを秤量し、氷浴で冷やしながら、超脱水ジエチルエーテル400mLをシリンジを用いて窒素雰囲気下で添加した。窒素雰囲気下で滴下ロートに(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルトリメトキシシランを84.4g、超脱水ジエチルエーテルを100mLの混合液を用意し、窒素雰囲気下、氷冷中でLAHのジエチルエーテル懸濁液に内温が15℃を超えないようにゆっくりと滴下した。すべてを滴下後、室温に戻し室温で1時間反応させた。GCで(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルトリメトキシシランが定量的に還元されているのを確認した。再度、氷冷し、滴下ロートを用いて酢酸エチル52.9gを内温が15℃を超えないようにゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で8時間窒素雰囲気下、攪拌した。反応液を、セライト545を用いて桐山ロートで減圧濾過しLAHを除去したのち、ジエチルエーテルと酢酸エチルを留去した。残った反応液を窒素下、4.4kPaで90℃減圧蒸留(沸点65℃、4.4kPa)を行い、精製し(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルシラン(M−SiH3)を得た。1H−NMRにより同定した2−(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルシランと1−(トリメチルシロキシ)ジメチルシリルエチルシランの生成比率は物質量比で79:21であり、GCにより測定した純度は99%であった。
[合成例12]
窒素雰囲気下に置換した容量2Lのセパラブルフラスコにトルエンを800g、トリメチルビニルシラン73.5g、トリエトキシシラン(東京化成製)126.5gを秤量し、白金のテトラメチルジビニルジシロキサン錯体(Karstedt触媒)の2wt%キシレン溶液110μLを加えた。還流管をセットし、窒素雰囲気下で、オイルバスを用いて60℃で加熱反応した。2時間後、室温まで空冷した。GCによるトリメチルビニルシランの転化率は100%だった。エバポレータを用いて4kPa、70℃でトルエンを留去した。さらに0.3kPa、90℃で減圧蒸留(沸点65℃、0.3kPa)を行い精製し、トリメチルシリルエチルトリエトキシシランを得た。1H−NMRにより同定した2−トリメチルシリルエチルトリエトキシシランと1−トリメチルシリルエチルトリエトキシシランの生成比率は物質量比で87:13であった。
別途、減圧乾燥した1L容量の4つ口フラスコにLAH15.2gを秤量し、氷浴で冷やしながら、超脱水ジエチルエーテル400mLをシリンジを用いて窒素雰囲気下で添加した。窒素雰囲気下で滴下ロートにトリメチルシリルエチルトリエトキシシランを75.2g、超脱水ジエチルエーテルを100mLの混合液を用意し、窒素雰囲気下、氷冷中でLAHのジエチルエーテル懸濁液に内温が15℃を超えないようにゆっくりと滴下した。すべてを滴下後、室温に戻し室温で1時間反応させた。GCでトリメチルシリルエチルトリエトキシシランが定量的に還元されているのを確認した。再度、氷冷し、滴下ロートを用いてギ酸メチル(和光純薬製)36.0gを内温が15℃を超えないようにゆっくりと滴下した。滴下終了後、室温で8時間窒素雰囲気下、攪拌した。反応液を、セライト545を用いて桐山ロートで減圧濾過しLAHを除去したのち、ジエチルエーテルとギ酸メチルを留去した。残った反応液を窒素下、120℃で常圧蒸留(沸点96℃)を2回繰返し、精製しトリメチルシリルエチルシラン(Z−SiH3)を得た。1H−NMRにより同定した2−トリメチルシリルエチルシランと1−トリメチルシリルエチルシランの生成比率は物質量比で87:13であり、GCにより測定した純度は99%であった。
以下の例にて製造された、複合金属酸化物(b2)を表面修飾剤(b1)により表面修飾して得られる表面修飾複合金属酸化物(B)の分散液について、以下の(9)〜(11)に従って測定を行った。
(9)表面修飾剤の反応率
ガスクロマトグラフィーを用いて、検量線法を用いて決定した。
[GC測定条件]
・GC装置:GC−14B(島津製作所製)
・カラム:DB−1(30m×250μm×0.25μmF)(アジレントテクノロジー製)
・カラム温度:50℃で5分間ホールドしたのち、300℃まで毎分10℃ずつ昇温
・キャリアガス:He(流量1.0mL/min)
(10)アルコキシシラン表面修飾率の決定
表面修飾された複合金属酸化物微粒子の粉末1.0gと結晶セルロース(商品名:アビセル、フナコシ製)2.0gを混合し、自動メノウ乳鉢で30分撹拌した。得られた粉末を25mmφの塩化ビニル製リングに充填して錠剤成形機でサンプルを作製し、リガク製走査型蛍光X線分析装置、ZSX PrimusIIを用いてFPオーダー分析を行うことにより、バリウム原子に対するケイ素原子のモル比を測定し、複合金属酸化物微粒子の表面に存在するケイ素化合物の量を算出した。
上記平均一次粒子径から複合金属酸化物微粒子の表面積を算出し、ケイ素化合物1分子当たりの占有面積を1.3×10-192とした場合に、該複合金属酸化物微粒子の表面全体が被覆される状態を表面修飾率100%、該ケイ素化合物が全く存在しない状態を表面修飾率0%とした。
(11)透過率測定
分散液を1cmの石英セルに入れ、分光光度計(U−4100、日立ハイテク製)を用いて波長が400nmの光の透過率を測定した。
[合成例13]
上記合成例6で得られたチタン酸バリウム微粒子の分散液(BT−1)に、合成例9で合成したD−TMS3.31gを加え、70℃で1時間加熱することにより、白色の懸濁液が得られた。遠心分離機を用いて7,000rpmで30分処理することにより溶媒を除去し、得られた固形成分をアセトン及びエタノールで洗浄した後、トルエンを加え固形分濃度で4.0質量%のトルエン分散液を得た。表面修飾剤の反応率は29質量%で、表面修飾率は29%であった。波長が450nmの光の透過率は85%だった。(分散液1)
[合成例14]
還流管をセットした500mLのセパラブルフラスコに表面積150m2/gの合成例7のチタン酸バリウム(一次粒子径7nm)10g、トルエンを323g、(合成例11のM−SiH3+合成例12のZ−SiH3)理論被覆表面積/チタン酸バリウムの表面積の比が1.49となるようにM−SiH31.18g(5.7mmol)及びZ−SiH33.0g(22.9mmol)の混合物を添加し、オイルバス中で、40℃で一時間反応させた。更にその反応液をビーズミル(UAM−015、寿工業製)のスラリータンクにいれトルエンを100g追加した。ジルコニアビーズDZB15マイクロメートル径(大研化学工業製)350g、ビーズ回転数12m/sec、流速110mL/min、32℃、N2雰囲気下、1.5時間ビーズミルで分散処理を行い、分散液を回収し30分間超音波で処理した。M−SiH3、Z−SiH3の反応率はそれぞれ46質量%と72質量%で、合計した表面修飾率で100%(それぞれM−SiH3/Z−SiH3=12%/88%)だった。得られた分散液にトルエンを加え分散液の固形分濃度を1.5質量%とした(分散液2)。波長が450nmの光の透過率は87%だった。
[合成例15]
還流管をセットした500mLのセパラブルフラスコに表面積150m2/gの合成例7のチタン酸バリウム(一次粒子径7nm)10g、トルエン323g、合成例11のM−SiH3理論被覆表面積/チタン酸バリウムの表面積の比が1.49となるようにM−SiH35.9g(28.5mmol)を添加し、オイルバス中で、40℃で一時間反応させた。更にその反応液をビーズミルのスラリータンクにいれトルエンを100g追加した。ジルコニアーズDZB15マイクロメートル径350g、ビーズ回転数12m/sec、流速90mL/min、32℃、N2雰囲気下、1.5時間ビーズミルで分散処理を行い、分散液を回収し30分間超音波で処理した。M−SiH3の反応率は60質量%で、合計した表面修飾率で90%だった。得られた分散液にトルエンを加え分散液の固形分濃度を1.5質量%とした(分散液3)。波長が450nmの光の透過率は89%だった。
[合成例16]
還流管をセットした500mLのセパラブルフラスコに表面積75m2/gの合成例8のチタン酸バリウム(一次粒子径18nm)10g、トルエン323g、[合成例10のD−SiH3+フェニルシラン(信越シリコーン、以下Ph−SiH3)]理論被覆表面積/チタン酸バリウムの表面積の比が1.49となるようにD−SiH32.0g(7.2mmol)及びPh−SiH0.77g(7.2mmol)の混合物を添加し、オイルバス中で、40℃で一時間反応させた。更にその反応液をビーズミルのスラリータンクにいれトルエンを100g追加した。ジルコニアビーズDZB15マイクロメートル径350g、ビーズ回転数12m/sec、流速100mL/min、32℃、N2雰囲気下、2時間ビーズミルで分散処理を行い、分散液を回収し30分間超音波で処理した。D−SiH3、Ph−SiH3の反応率はそれぞれ35質量%と68質量%で、合計した表面修飾率で99%(それぞれD−SiH3/Ph−SiH3 = 74%/26%)だった。得られた分散液にトルエンを加え分散液の固形分濃度を1.5質量%とした(分散液4)。波長が450nmの光の透過率は88%だった。
[合成例17]
還流管をセットした500mLのセパラブルフラスコに表面積150m2/gの合成例7のチタン酸バリウム(一次粒子径7nm)10g、トルエン323g、[合成例10のD−SiH3+フェニルシラン(信越シリコーン製、以下Ph−SiH3)]理論被覆表面積/チタン酸バリウムの表面積の比が1.49となるようにD−SiH34.0g(14.3mmol)及びPh−SiH1.54g(14.3mmol)の混合物を添加し、オイルバス中で、40℃で一時間反応させた。更にその反応液をビーズミルのスラリータンクにいれトルエンを100g追加した。ジルコニアビーズDZB15マイクロメートル径350g、ビーズ回転数12m/sec、流速95mL/min、32℃、N2雰囲気下、2時間ビーズミルで分散処理を行い、分散液を回収し30分間超音波で処理した。D−SiH3、Ph−SiH3の反応率はそれぞれ36質量%と68質量%で、合計した表面修飾率で100%(それぞれD−SiH3/Ph−SiH3 = 74%/26%)だった。得られた分散液にトルエンを加え分散液の固形分濃度を1.5質量%とした(分散液5)。波長が450nmの光の透過率は87%だった。
[合成例18]
上記合成例6で得られたチタン酸バリウム微粒子の分散液(BT−1)に、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルプロピルトリメトキシシラン3.4gを加え、70℃で1時間加熱することにより、白色の懸濁液が得られた。遠心分離機を用いて7,000rpmで30分処理することにより溶媒を除去し、得られた固形成分をアセトン及びエタノールで洗浄した後、トルエンを加え固形分濃度で4.0質量%のトルエン分散液を得た(分散液6)。表面修飾剤の反応率は34質量%で、表面修飾率は34%であった。波長が450nmの光の透過率は85%だった。
[合成例19]
上記合成例6で得られたチタン酸バリウム微粒子の分散液(BT−1)に、[ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリル]エチルメチルジメトキシシラン3.4gを加え、70℃で1時間加熱することにより、白色の懸濁液が得られた。遠心分離機を用いて7,000rpmで30分処理することにより溶媒を除去し、得られた固形成分をアセトン及びエタノールで洗浄した後、トルエンを加え固形分濃度で4.0質量%のトルエン分散液を得た(分散液7)。表面修飾剤の反応率は31質量%で、表面修飾率は31%であった。波長が450nmの光の透過率は85%だった。
[合成例20]
平均粒子径7nmの酸化ジルコニア微粒子の水分散液(商品名:NZD−3005、住友大阪セメント製、固形分濃度30質量%)3.0gにエタノールを27g加えた。合成例9で合成したD−TMS3.31gを加え、70℃で1時間加熱することにより、白色の懸濁液が得られた。遠心分離機を用いて7,000rpmで30分処理することにより溶媒を除去し、得られた固形成分をアセトン及びエタノールで洗浄した後、トルエンを加え固形分濃度で4.0質量%のトルエン分散液を得た(分散液8)。表面修飾剤の反応率は35質量%で、表面修飾率は35%であった。波長が450nmの光の透過率は85%だった。
以下の例にて調製した硬化性シリコーン樹脂組成物について、以下の(12)〜(15)に従って測定を行った。
(12)硬化性シリコーン樹脂組成物中の複合金属酸化物の体積割合の算出
硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)の密度を1g/mL、表面修飾剤(b1)の密度を1g/mLとし、及び複合金属酸化物(b2)の密度の文献値から(チタン酸バリウムでは6.02g/mL)、硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と表面修飾複合金属酸化物(B)との総体積100体積%に対する複合金属酸化物(b2)の体積割合を、下式により計算した。(b1)と(b2)の質量比は、表面修飾剤の反応率から算出した。
複合金属酸化物の体積%=(b2の質量/b2の密度)/{(Aの質量/Aの密度)+(b1の質量/b1の密度)+(b2の質量/b2の密度)}
(13)硬化膜の屈折率測定
無アルカリガラスの基板上に各々の組成物を塗布し、150℃で2時間加熱することで、膜厚150μmの硬化膜を作製した。この硬化膜をカッターの刃先を用いて無アルカリガラスの基板から剥がし、多波長アッベ屈折計(アタゴ製DR−M2)を用いて589nmの波長における屈折率を測定した。測定は、作製した硬化膜をプリズムと採光ガラスとに挟んで行った。その際、硬化膜とプリズムとの界面、及び硬化膜と採光ガラスとの界面に、中間液としてモノブロモナフタレンを滴下した。屈折率が1.6以上のものを◎、1.55以上のものを○、1.55未満のものを×と評価した。
(14)硬化物の透明性(透過率)
50mm×50mm×150μmの型に、調製した組成物を満たし、オーブンを用いて80℃×30分、次いで100℃×30分、次いで150℃×2時間で加熱硬化させた。加熱硬化後の硬化物について、波長が400nmの光の透過率を測定した。透過率が、80%以上のものを○、70%以上80%未満のものを△、70%未満のものを×と評価した。
(15)硬化物の耐候性(透過率)
50mm×50mm×150μmの型に、調製した組成物を満たし、オーブンを用いて80℃×30分、次いで100℃×30分、次いで150℃×2時間で加熱硬化させた。加熱硬化後の硬化物を、180℃のオーブン内に空気中で10日間放置し、さらに7Wの365nmの光源への144時間暴露試験を行った。試験後の硬化物について、波長が400nmの光の透過率を測定した。透過率が、85%以上のものを○、55%以上85%未満のものを△、55%未満のものを×と評価した。
[実施例1](参考例)
500mLナスフラスコに合成例13の分散液を190gとり、合成例1のメチル変性シリコーン−SiVi、合成例2のメチル変性シリコーン−SiHを1gづつ秤量し、分散液に溶解させた。70℃、0.5kPaで混合物の粘度が20Pa・sになるまでトルエンを除去し、カルステッド触媒2wt%キシレン溶液をPt純分でシリコーン樹脂に対して2ppmになるように加えた。50mm×50mm×150μmの型に、調製した組成物を満たし、オーブンを用いて80℃×30分、次いで100℃×30分、次いで150℃×2時間で加熱硬化させた。
[実施例2]及び[実施例4]〜[実施例7](参考例)
調製法及び硬化は実施例1に準じ、表1の配合割合で組成物を調製し、熱硬化した。
[実施例3]
500mLナスフラスコに合成例13の分散液を190gとり、合成例3のメチルシリコーン−メタクリル2gを秤量し分散液に溶解させた。70℃、0.5kPaで混合物の粘度が20Pa・sになるまでトルエンを除去し、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(BASF製DAOCURE TPO)を0.01g加えた。50mm×50mm×150μmの型に、調製した組成物を満たし、メタルハライドランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン製CV−110Q−G)を用いて1000mJ/cm2の光量で紫外線照射し、膜厚100μmの硬化膜を作製した。更に150℃でベークすることで残った溶媒を除去した。
[比較例1]
調製法及び硬化は実施例1に準じ、表1の配合割合で組成物を調製し、熱硬化した。硬化物のアッベ屈折率は1.52で、1.55以上の屈折率の硬化物は得られなかった。
[比較例2]
100mLナスフラスコに合成例7のチタン酸バリウムナノ粒子粉末4gをとり、合成例1のメチル変性シリコーン−SiVi、合成例2のメチル変性シリコーン−SiHを1gづつ秤量し、分散液に溶解させた。70℃、0.5kPaで混合物の粘度が20Pa・sになるまでトルエンを除去し、カルステッド触媒2wt%キシレン溶液をPt純分でシリコーン樹脂に対して2ppmになるように加えた。50mm×50mm×150μmの型に、調製した組成物を満たし、オーブンを用いて80℃×30分、次いで100℃×30分、次いで150℃×2時間で加熱硬化させた。チタン酸バリウムはシリコーン樹脂中に分散されず硬化膜は白濁した。
[比較例3]
調製法及び硬化は実施例1に準じ、表1の配合割合で組成物を調製し、熱硬化した。トリアリルイソシアヌレート(エボニック デグサ ジャパン社製、TAICROS(登録商標)))と表面修飾されたチタン酸バリウムが相溶せず、硬化膜は白濁した。
Figure 0006022885
Figure 0006022885
本発明の硬化性シリコーン樹脂組成物は、発光ダイオード素子その他の光学デバイス用又は光学部品用の材料として有用である。具体的には、発光素子上の保護膜、又は素子から得られる光の波長を変更・調整する光学レンズ、リード端子又はパッケージに固定するダイボンディング材、アンダーフィル、基板材料等に好適に利用可能である。

Claims (6)

  1. 硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と、表面修飾複合金属酸化物(B)と、光ラジカル重合開始剤(D)とを含む硬化性シリコーン樹脂組成物であって、
    該硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)として、アクリル基、メタクリル基及びスチリル基からなる群から選択される光ラジカル重合可能な不飽和炭素二重結合を有する基を有するポリオルガノシロキサン化合物(a3)を含み、
    該表面修飾複合金属酸化物(B)は、複合金属酸化物(b2)を、下記一般式(1):
    123Si−Y−SiR4 n(3-n) (1)
    {式中、R1〜R3は各々独立に炭素数1〜18の炭化水素基、又は置換若しくは非置換のシロキシ基であり、R4は飽和アルキル基であり、Yは二価の結合基であり、Xは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数3〜6のシクロアルコキシ基、又はアセトキシ基であり、そしてnは0〜2の整数である。}
    で表される表面修飾剤(b1)を含む修飾剤で表面修飾して得られる、硬化性シリコーン樹脂組成物。
  2. 前記表面修飾剤(b1)において、nが0又は1である、請求項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
  3. 前記表面修飾剤(b1)において、Yが炭素数1〜6の二価の炭化水素基である、請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
  4. 前記複合金属酸化物(b2)がチタン酸バリウムである、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
  5. 前記複合金属酸化物(b2)の平均一次粒子径が1〜50nmである、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
  6. 前記硬化性ポリオルガノシロキサン化合物(A)と前記表面修飾複合金属酸化物(B)との総体積100体積%に対する前記複合金属酸化物(b2)の体積割合が10〜70体積%である、請求項1〜のいずれか1項に記載の硬化性シリコーン樹脂組成物。
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